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特表2023-552352改善されたベント能を有するバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】改善されたベント能を有するバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/358 20210101AFI20231208BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/383 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231208BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231208BHJP
【FI】
H01M50/358
H01M50/211
H01M50/35 201
H01M50/383
H01M50/249
H01M50/204 401F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533754
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 KR2022008653
(87)【国際公開番号】W WO2022265460
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0078996
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC09
5H012CC10
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
(57)【要約】
本発明は、バッテリーモジュールの内部において生じたガスのベントを適切に制御することにより、安全性が向上できるように構成されたバッテリーモジュールを開示する。本発明の一側面によるバッテリーモジュールは、1つ以上のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、内部空間に前記セルアセンブリを収容し、前記セルアセンブリから生成されたベントガスを排出できるようにベント孔が形成されたモジュールケースと、前記モジュールケースの外側に配備され、ベントチャンネルが1つ以上の層として形成され、前記ベント孔から排出されたベントガスが前記ベントチャンネルに流れ込んで内部空間において移動可能なように構成されたベントユニットと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、
内部空間に前記セルアセンブリを収容し、前記セルアセンブリから生成されたベントガスを排出できるようにベント孔が形成されたモジュールケースと、
前記モジュールケースの外側に配備され、ベントチャンネルが1つ以上の層として形成され、前記ベント孔から排出されたベントガスが前記ベントチャンネルに流れ込んで内部空間において移動可能であるベントユニットと、
を含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記ベントユニットは、内側面に流入口が形成されて前記モジュールケースのベント孔と連通し、前記内側面以外の部分に流出口が形成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記ベントユニットは、多層構造に形成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
熱分解反応を通じて二酸化炭素を生じさせる消火部材をさらに含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記消火部材は、熱分解反応を通じて前記二酸化炭素とともに水を生じさせる、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記消火部材は、前記モジュールケースの内部に位置する、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記消火部材は、前記ベントユニットの内部に位置する、請求項4に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記消火部材は、前記ベントチャンネルの上部の表面に位置する、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記ベントユニットは、前記ベントチャンネルに傾斜面が形成された構造を有する、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月17日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0078996号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明はバッテリーに関し、より詳細には、バッテリーモジュールの内部においてガスが生じたとき、改善されたベント能により安全性が向上したバッテリーモジュールと、これを含むバッテリーパック及び自動車などに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気車両、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能バッテリーに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、商用化されているバッテリーとしてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどが挙げられるが、そのうちリチウム二次電池は、ニッケル系列のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
この種のリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、すなわち、電池ケースと、を備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に大別できる。
【0007】
最近には、携帯型電子機器などの小型装置のみならず、電気自動車やエネルギー貯蔵システム(Energy Starge System;ESS)などの中大型装置にも駆動用やエネルギー貯蔵用として二次電池が広く用いられている。このような二次電池は、複数が電気的に接続された状態で、モジュールケースの内部に一緒に収容される形態で、1つのバッテリーモジュールを構成することができる。このとき、バッテリーモジュールの内部には、エネルギー密度を高めるために狭い空間に複数のバッテリーセル(二次電池)が密集された状態で存在することがある。
【0008】
ところが、このように、複数のバッテリーセル(二次電池)が狭い空間に密集された状態で存在する場合、火災や爆発などの事故に脆弱である可能性がある。例えば、いずれか1つのバッテリーセルにおいて熱暴走伝播(thermal runaway propagation)などといった事象が生じる場合、バッテリーセルから高温のベントガスが排出されることがある。もし、このようなベントガスをバッテリーモジュールの外部に適切に排出することができなければ、バッテリーモジュールの内部に組み込まれた他のバッテリーセルに伝播(propagation)して連鎖反応が起こることがある。また、この場合、バッテリーモジュールの内部の圧力が大きくなって、爆発の可能性がある。バッテリーモジュールが爆発してしまうと、爆発圧力により周りの装置や使用者に大きな被害を被らせる虞があるだけではなく、被害の範囲と速度がより一層増大されてしまう虞がある。したがって、バッテリーモジュールの内部においてベントガスが生じる場合、ベントガスは外部に適切に排出されればよい。
【0009】
しかしながら、バッテリーモジュールから排出されるベントガスは高温である場合が多く、ベントガスの内部にはスパークなど発火源になり得る物質が含まれる場合が多い。もし、ベントガスを適切に制御することができず、そのまま排出する場合、他の問題を引き起こすことがある。例えば、高温のベントガスによりバッテリー使用者、つまり、自動車の運転者や搭乗者、または周りの人々にやけどなどの被害を被らせることがある。特に、ベントガスは、非常に速やかに排出できるため、使用者が避難できる十分な時間を確保することができなくなる可能性がある。また、ベントガスから高温のスパークが排出される場合、バッテリーモジュールの外部の酸素と結合して火災を引き起こす虞がある。さらに、バッテリーモジュールの外部における火災は、バッテリーモジュールはもとより、バッテリーモジュールが搭載された装置、つまり、自動車の火災にまで及んでしまい、甚だしい人命の被害及び財産の被害を来してしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであり、バッテリーモジュールの内部において生じたガスのベントを適切に制御することにより、安全性が向上できるように構成されたバッテリーモジュールと、これを含むバッテリーパック及び自動車などを提供することを目的とする。
【0011】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の一側面によるバッテリーモジュールは、1つ以上のバッテリーセルを備えるセルアセンブリと、内部空間に前記セルアセンブリを収容し、前記セルアセンブリから生成されたベントガスを排出できるようにベント孔が形成されたモジュールケースと、前記モジュールケースの外側に配備され、ベントチャンネルが1つ以上の層として形成され、前記ベント孔から排出されたベントガスが前記ベントチャンネルに流れ込んで内部空間において移動可能なように構成されたベントユニットと、を含む。
【0013】
ここで、前記ベントユニットは、内側面に流入口が形成されて前記モジュールケースのベント孔と連通し、前記内側面以外の部分に流出口が形成されてもよい。
【0014】
また、前記ベントユニットは、多層構造に形成されてもよい。
【0015】
さらに、本発明によるバッテリーモジュールは、熱分解反応を通じて二酸化炭素を生じさせるように構成された消火部材をさらに含んでいてもよい。
【0016】
さらにまた、前記消火部材は、熱分解反応を通じて前記二酸化炭素とともに水を生じさせるように構成されてもよい。
【0017】
さらにまた、前記消火部材は、前記モジュールケースの内部に位置してもよい。
【0018】
さらにまた、前記消火部材は、前記ベントユニットの内部に位置してもよい。
【0019】
さらにまた、前記消火部材は、前記ベントチャンネルの上部の表面に位置してもよい。
【0020】
さらにまた、前記ベントユニットは、前記ベントチャンネルに傾斜面が形成された形状に構成されてもよい。
【0021】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の側面によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するための本発明のさらに他の側面による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、バッテリーモジュールの内部においてガスが生じたとき、ベントが適切に制御可能である。
【0024】
特に、本発明の一側面によれば、バッテリーモジュールの内部構成を大きく変更しなくても、バッテリーモジュールのガスベントを効果的に制御することができる。
【0025】
また、本発明の一側面によれば、バッテリーモジュールにおいて生じたガスにより火災が起きるのを効果的に抑えたり、火災が起きても速やかに鎮圧したりすることができる。
【0026】
さらに、本発明の一側面によれば、火災の拡散速度を遅らせることができる。
【0027】
さらにまた、本発明の一側面によれば、高温のベントガスやそれと一緒に排出される物質の温度を低めることができる。
【0028】
さらにまた、本発明の一側面によれば、バッテリーモジュールの内部に酸素が流れ込むのを遮断したり抑制したりすることができる。
【0029】
そのため、本発明の場合、安全性が向上したバッテリーモジュールとその応用装置が提供可能である。特に、本発明によるバッテリーモジュールが自動車に適用される場合、搭乗者の安全をより一層効果的に保証することができる。
【0030】
これらに加えて、本発明は色々な他の効果を有することができ、これについては各実施構成の欄において説明したり、当業者が容易に類推可能な効果などについては当該説明を省略したりする。
【0031】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図2図1の構成に対する組立て状態の斜視図である。
図3図1に示されたベントユニットの構成を下部から見上げた様子の斜視図である。
図4図2のA1-A1’線に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図9】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す分解斜視図であり、図2は、図1の構成に対する組立て状態の斜視図である。
【0036】
図1及び図2を参照すると、本発明によるバッテリーモジュールは、セルアセンブリ100と、モジュールケース200及びベントユニット300を含む。
【0037】
前記セルアセンブリ100は、1つ以上のバッテリーセル110を備えていてもよい。ここで、それぞれのバッテリーセル110は、二次電池を意味することがある。二次電池は、電極組立体と、電解質及び電池ケースを備えていてもよい。特に、セルアセンブリ100に配備されたバッテリーセル110は、パウチ型二次電池であってもよい。但し、二次電池の他の形態、つまり、円筒型電池や角型電池もまた本発明のセルアセンブリ100に採用可能である。
【0038】
複数の二次電池110は、互いに積層された形状にセルアセンブリ100を形成してもよい。例えば、同図に示すように、複数の二次電池110は、それぞれ上下方向(図中のz軸方向)に立てられた状態で水平方向(図中のy軸方向)に並べられた形状に積層されてもよい。それぞれのバッテリーセル110は、電極リードを備えていてもよいが、このような電極リードは、各バッテリーセル110の両端部に位置してもよく、一方の端部に位置してもよい。電極リードが両方向に突出した二次電池は両方向セルと称し、電極リードが一方向に突出した二次電池は単方向セルと称することができる。本発明は、このような二次電池の具体的な種類や形態により何ら制限されるものではなく、本発明の出願時点において公知となっている様々な形態の二次電池が本発明のセルアセンブリ100に採用可能である。
【0039】
前記モジュールケース200は、内部に空き空間が形成されて内部空間にセルアセンブリ100を収容するように構成されてもよい。さらに、前記モジュールケース200には、図1に示すように、ベント孔201が形成されてもよい。このようなベント孔201は、内部空間に収容されたセルアセンブリ100からベントガスが生成された場合、生成されたベントガスがモジュールケース200の外部空間に排出可能なように構成されてもよい。図1において、ベント孔201は、一方向に長尺状に延びた形状であると示されているが、本発明が必ずしもこのようなベント孔201の形状に限定されるとは限らない。なお、図1において、ベント孔201は完全に開放された形状であると示されているが、ベント孔201は完全に開放されておらず、正常の状態では閉鎖されているが、圧力や温度などの変化に伴い開放可能な形状に構成されてもよい。すなわち、ベント孔201の構成は、図1に示された構成に加えて、他の様々な形態を有することができる。
【0040】
前記ベントユニット300は、モジュールケース200の少なくとも一方の側に配備されてベントガスが移動可能なように構成されてもよい。特に、前記ベントユニット300は、モジュールケース200の外側に配備されてもよい。さらに、ベントユニット300は、少なくともモジュールケース200においてベント孔201が形成された部分に取り付けられる形態に構成されてもよい。
【0041】
また、ベントユニット300は、内部にベントチャンネルが1つまたはそれ以上の層として形成された形状に構成されてもよい。すなわち、ベントユニット300は、ベント孔201から排出されたベントガスが内部空間に流れ込んで、内部空間において移動可能なように構成されてもよい。
【0042】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュールのモジュールケース200から排出されたベントガスの経路を制御することにより、高温のベントガスによる使用者や他の装置の被害を払拭したり低減したりすることができる。また、本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュールの通常の構成、つまり、モジュールケース200やその内部に配備されたセルアセンブリ100の構造などは大きく変化させず、外部にベントユニット300を取り付けることにより、ベントガスの様々な制御が可能になる。のみならず、本発明のこのような構成によれば、ベントユニット300がガスや火災を制御する上で効果的な構造物や構成要素などを設ける空間を提供することができる。
【0043】
前記ベントユニット300は、モジュールケース200のベント孔201から排出されたベントガスが内部に流れ込んでベントチャンネルにおいて流れていて、外部に排出する形態に構成されてもよい。このようなベントユニット300のより具体的な構成については、図3及び図4をさらに参照してより詳述する。
【0044】
図3は、図1に示されたベントユニット300の構成を下部から見上げた様子の斜視図であり、図4は、図2のA1-A1’線に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
【0045】
図3及び図4をさらに参照すると、前記ベントユニット300には、流入口301と流出口302が形成されてもよい。ここで、流入口301は、内側面に形成されてもよいが、内側面とは、ベントユニット300からモジュールケース200へと向かう方向の表面、すなわち、モジュールケース200に対面する表面であると言える。例えば、図1から図4の実施構成において、ベントユニット300は、下部の表面がモジュールケース200に取り付けられる形態に構成されてもよいが、このとき、流入口301は、ベントユニット300の下部の表面に形成されてもよい。特に、ベントユニット300の流入口301は、モジュールケース200のベント孔201と連通するように構成されてもよい。すなわち、図4に示すように、ベントユニット300の下面において、流入口301は、モジュールケース200の上面においてベント孔201が形成された部分に対応する位置に形成されてもよい。したがって、ベント孔201と流入口301は、互いに連通して、ベント孔201から排出されたベントガスは、流入口301を介してベントユニット300の内部に流れ込むことができる。
【0046】
また、ベントユニット300は、流入口301が形成されていない部分に流出口302が形成されるように構成されてもよい。例えば、流入口301がベントユニット300の下面に形成された場合、流出口302は、ベントユニット300の下面以外の表面に形成されてもよい。特に、図3及び図4に示すように、流出口302は、ベントユニット300の側面に形成されてもよい。
【0047】
本発明のこのような実施構成によれば、ベントユニット300の内部において流れるベントガスがベントユニット300から排出されるとき、セルアセンブリ100に向かって排出されないようにすることができる。したがって、ベントガスによりセルアセンブリ100側の温度が高くなるのを防ぐことができる。また、本発明のこのような実施構成によれば、流入口301と流出口302をベントユニット300における互いに異なる部分に位置させることにより、ベントユニット300の内部においてベントチャンネルVの長さを長く構成することが実現され易い。したがって、この場合、ベントチャンネルVを通過する間に、ベントガスの温度がさらに格段に低くなるようにすることができる。
【0048】
さらに、前記実施構成の場合、図3及び図4に示すように、流入口301が下部に位置するとき、流出口302は、上面ではなく、側面に位置するようにベントユニット300が構成されてもよい。バッテリーモジュールが自動車に装着された場合、バッテリーモジュールは、自動車の下部に配置される場合が多いため、バッテリーモジュールの上部側には搭乗者が位置することができる。したがって、前記実施構成のように、流出口302がベントユニット300の側面に位置する場合、高温のベントガスが搭乗者側に排出されるのを防ぐことができる。なお、前記実施構成によれば、流入口301と流出口302の位置だけで、ベントユニット300の内部においてベントガスの流れ方向が少なくとも1回以上折り曲げられるようにする構成がより一層達成され易い。
【0049】
一方、この明細書中において、特に断りのない限り、内側方向は、バッテリーモジュールの中心を向く方向を意味し、外側方向は、その反対の方向を意味するといえる。
【0050】
前記ベントユニット300は、多層構造に形成されてもよい。すなわち、ベントユニット300は、ベントチャンネルVが2つ以上の層を有するように構成されてもよい。例えば、図4に示すように、ベントユニット300は、2層構造に構成されてもよい。この場合、ベントユニット300は、相対的に内側に位置する内層チャンネルV1と、相対的に外側に位置する外層チャンネルV2と、を備えるといえる。さらに、図示のごとく、ベントユニット300がモジュールケース200の上部に位置する場合、内層チャンネルV1は、外層チャンネルV2の下部に位置するといえる。そして、ベントユニット300の内部空間には、このような互いに異なる層のベントチャンネルV(内層チャンネルV1、外層チャンネルV2)を区別するために、図4においてWにて示されたように、隔壁を備えていてもよい。このとき、隔壁Wの少なくとも一方の側には連結孔303が形成されてもよい。互いに異なる層のベントチャンネルV(内層チャンネルV1、外層チャンネルV2)は、このような連結孔303により互いに連通してもよい。この場合、いずれか1本のベントチャンネルVに流れ込んだベントガスは、連結孔303を介して他のベントチャンネルVに流れることができる。
【0051】
このような構成において、流入口301と流出口302は、互いに異なるベントチャンネルVに形成されるように構成されてもよい。例えば、図4に示されたところを参照すると、流入口301は内層チャンネルV1に形成され、流出口302は外層チャンネルV2に形成されてもよい。より具体的には、流入口301は内層チャンネルV1の下部に形成され、流出口302は外層チャンネルV2の側部に形成されてもよい。
【0052】
本発明のこのような構成によれば、モジュールケース200の内部のセルアセンブリ100からベントガスが排出される場合、排出されたベントガスは、図中の矢印にて示されたように流れることができる。すなわち、ベントガスは、セルアセンブリ100からモジュールケース200の内部空間におけるベント孔201及び流入口301を介してベントユニット300の内層チャンネルV1に流れ込むことができる。そして、ベントガスは、ベントユニット300の内層チャンネルV1に沿って流れていて、連結孔303を介してベントユニット300の外層チャンネルV2に流れ込むことができる。なお、ベントガスは、ベントユニット300の外層チャンネルV2に沿って流れていて、外層チャンネルV2の流出口302を介してベントユニット300の外部に排出されることができる。
【0053】
本発明のこのような構成によれば、ベントユニット300に配備された複数本のベントチャンネルVを介してベントガスの流れの経路を著しく延ばすことができる。したがって、ベントチャンネルVに沿って流れる間に、ベントガスの温度が落ち込むようにする効果を得ることができる。さらに、ベントユニット300は、内部のベントガスの流れ方向が少なくとも1回以上折り曲げられるように構成されてもよい。特に、前記実施構成のように、ベントユニット300は、互いに異なるベントチャンネルVを流れるベントガスの流れ方向が互いに反対の方向となるように構成されてもよい。例えば、図4の実施構成において、ベントユニット300は、内層チャンネルV1においてベントガスが右側方向(図中の+x軸方向)に流れ、外層チャンネルV2においてベントガスが左側方向(図中の-x軸方向)に流れるように構成されてもよい。このような実施構成によれば、ベントガスに粒子状のスパークなどが含まれている場合、スパークの直進性により、スパークがベントユニット300の内部から外部へと排出されるのが抑えられる。したがって、このようなスパークにより火災が起きるのをより効果的に防ぐことができる。
【0054】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、図4に示すように、消火部材400をさらに含んでいてもよい。
【0055】
前記消火部材400は、熱分解反応を通じて二酸化炭素を生じさせるように構成されてもよい。特に、前記消火部材400は、一定のレベル以上の熱が印加された場合、2種類以上の互いに異なる物質に分解される所定の物質、すなわち、消火物質を含んでいてもよい。このとき、消火部材400が含む消火物質は、熱分解により少なくとも二酸化炭素が生成される材料であってもよい。特に、前記消火部材400は、セルアセンブリ100からベントガスが排出されたりスパークが噴出されたりする場合、このようなベントガスやスパークにより熱分解反応を引き起こして二酸化炭素を生成するように構成されてもよい。
【0056】
本発明のこのような構成によれば、セルアセンブリ100の所定のバッテリーセル110からベントガスやスパークが噴出された場合、二酸化炭素が生成されることにより、火災の発生が抑えられたり、火災の拡散が防がれたりすることができる。特に、この場合、二酸化炭素の供給により、酸素の流れ込みが阻止されたり低減されたりすることができる。また、前記実施構成によれば、消火部材400の熱分解反応過程において熱が吸収されることにより、ベントガスやスパークなどの温度を低めることができる。さらに、前記実施構成によれば、二酸化炭素を生じさせ、熱を吸収するために、別途の制御や駆動のための電源が供給される必要がない。
【0057】
さらに、前記消火部材400は、熱分解反応を通じて二酸化炭素とともに水を生じさせるように構成されてもよい。すなわち、前記消火部材400は、セルアセンブリ100から高温のベントガスやスパークが排出された場合、ガスやスパークなどにより供給された熱により熱分解反応を引き起こして二酸化炭素と水を排出する消火物質を含む形態に構成されてもよい。
【0058】
例えば、前記消火部材400は、消火物質として炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムを含み得る。
【0059】
代表的に、炭酸水素カリウムの場合、下記のような熱分解反応を通じて二酸化炭素及び水(水蒸気)を生成することができる。
【0060】
2KHCO→KCO+HO+CO-Q
【0061】
すなわち、消火部材400に炭酸水素カリウムが含まれている場合、炭酸水素カリウムは、熱(Q)を吸収してKCOとともに、水蒸気(HO)と二酸化炭素(CO)を生成することができる。
【0062】
本発明のこのような実施構成によれば、セルアセンブリ100から高温のベントガスやスパークが排出される場合、消火部材400に含まれている消火物質により水(水蒸気)と二酸化炭素が排出可能である。したがって、バッテリーモジュールの内部に酸素が流れ込むのを遮断するとともに、バッテリーモジュールの内部のスパークや火災を速やかに鎮圧することができる。なお、バッテリーモジュールの少なくとも一部の構成要素、つまり、ベントユニット300やモジュールケース200、セルアセンブリ100の温度、またはベントガスの温度を落として熱暴走現象や火災の拡散をより一層効果的に阻止することができる。
【0063】
前記消火部材400は、消火物質のみから構成されてもよく、消火物質に加えて、他の構成要素をさらに備えていてもよい。
【0064】
例えば、前記消火部材400は、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムのみから構成されてもよい。他の例として、前記消火部材400は、炭酸水素カリウムや炭酸水素ナトリウムなどの消火物質に加えて、このような消火物質を特定の位置に支持したり保持したりするための支持部をさらに備えていてもよい。例えば、前記消火部材400は、メッシュ状の支持部を備えていてもよい。より具体例として、前記消火部材400は、メッシュ状の支持部により消火物質が上部方向に支持される形態に構成されてもよい。
【0065】
前記消火部材400は、図4に示すように、モジュールケース200の内部に位置するように構成されてもよい。特に、前記消火部材400は、モジュールケース200の上部の内面に取り付けられた形態に配備されてもよい。このとき、消火部材400は、板状に構成されてもよい。例えば、前記消火部材400は、炭酸水素カリウム粉末が圧縮化された形態に構成された四角い板状を呈していてもよい。
【0066】
本発明のこのような実施構成によれば、モジュールケース200の内部空間に消火部材400が占める空間を最小限にすることができる。したがって、消火部材400がモジュールケース200の内部に位置しても、バッテリーモジュールのエネルギー密度が低下するのを防ぐことができる。特に、セルアセンブリ100は、図示のごとく、複数のパウチ型電池が立てられた形状に水平方向に配置された形態に構成されてもよい。このとき、板状の消火部材400がモジュールケース200の上部の内面に取り付けられた形態で存在する場合、どのようなパウチ型電池からガスやスパークが噴出されても、熱を吸収し、二酸化炭素及び水蒸気を供給して、火災を抑える効果が速やかにかつしっかりと成し遂げられる。なお、前記実施構成によれば、板状の消火部材400に対する接触面積を最大化させて、消火部材400に対する熱分解反応がしっかりと起きるようにすることができる。
【0067】
前記実施構成において、消火部材400は、モジュールケース200の内部の上面に位置するが、ベント孔201が位置していない部分に配備されてもよい。この場合、セルアセンブリ100から生成されたガスがベント孔201側により一層速やかに流出されるようにしてもよい。特に、ベント孔201が形成されていない部分においては、消火部材400により二酸化炭素及び水が生成されることができるので、セルアセンブリ100のベントガスは、ベント孔201側により一層円滑に移動することができる。なお、前記実施構成によれば、消火部材400により、セルアセンブリ100から上部に向かって噴出される高温のガスやスパークなどからモジュールケース200が損傷されるのが防止可能である。特に、モジュールケース200は、プラスチックなどの材質から構成されてもよいが、この場合、消火部材400は、高温のベントガスやスパークなどからモジュールケース200が溶融されたり破損されたりするのを防ぐことができる。
【0068】
また、前記消火部材400は、ベントユニット300の内部に位置するように構成されてもよい。これについては、図5に基づいてより詳述する。
【0069】
図5は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。特に、図5は、図4の構成に対する変形例であるといえる。本実施形態においては、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明し、上述した実施形態について説明された部分が同一または類似に適用可能な部分については詳細な説明を省略する。
【0070】
図5を参照すると、消火部材400は、ベントユニット300の内部空間、特に、ベントチャンネルVに配備されてもよい。さらに、ベントユニット300は、複数本のベントチャンネルVを備えていてもよいが、消火部材400は、これらの複数本のベントチャンネルVのうちの少なくとも一部のベントチャンネルVに位置してもよい。例えば、図5に示すように、ベントユニット300が内層チャンネルV1と外層チャンネルV2の2つの層を備える場合、消火部材400は、そのうちの少なくとも1本のチャンネル、つまり、内層チャンネルV1に配備されてもよい。
【0071】
本発明のこのような構成によれば、消火部材400がモジュールケース200の外部に位置するため、セルアセンブリ100を収容するモジュールケース200そのものの構造やその内部構成、つまり、セルアセンブリ100は、従来の構成と比べたときに大きく変化させる必要がない。したがって、前記実施形態によるバッテリーモジュールを構成するために、モジュールケース200やその内部構成に対する設計を異ならせなくても済む。そのため、この場合、従来のバッテリーモジュールの外部にベントユニット300を取り付ける形態として本発明が実現可能であるので、本発明の互換性が向上する。のみならず、前記実施構成によれば、消火部材400により水が生成されても、生成された水がセルアセンブリ100と直接的に接触しないようにすることができる。したがって、水との接触による問題、つまり、爆発や漏電、感電などの事故が予防可能である。
【0072】
また、前記消火部材400は、ベントチャンネルVの上部の表面に位置するように構成されてもよい。例えば、前記消火部材400は、図5に示すように、内層チャンネルV1の上部の表面に位置してもよい。特に、内層チャンネルV1と外層チャンネルV2との間に隔壁Wが存在することがあるが、消火部材400は、隔壁Wの下面に取り付けられてもよい。さらに、前記消火部材400は、板状に構成されてもよい。
【0073】
本発明のこのような構成によれば、ベントチャンネルVの上部に位置する消火部材400に熱が印加されて、二酸化炭素及び/又は水が生成される場合、生成された二酸化炭素などがベントチャンネルV側に落下することができる。特に、二酸化炭素の場合、ベントチャンネルVの内部空間に下降することになってベントチャンネルVの内部空間を満たすことになり、これにより、ベントチャンネルVに酸素が流れ込んだり、高温の活物質またはスパークなどがそのまま通過して外部に排出されたりするのを効果的に遮断することができる。なお、水の場合、ベントガス及びベントチャンネルVの内部空間の温度を低め、火炎やスパークなどの温度を落とすことができる。さらに、高い温度により水が水蒸気の形態で存在する場合、ベントチャンネルVの内部空間を満たすことになって、酸素の流れ込みなどを遮断することができる。そのため、本発明のこのような実施構成によれば、火災の発生や拡散を効果的に阻止することができる。
【0074】
さらに、前記消火部材400は、図5においてA2にて示された部分のように、流入口301の上部の表面に位置してもよい。この場合、流入口301に流れ込むベントガスと直接的に当接することになるので、高温のベントガスから熱が速やかに印加可能であるい。そのため、この場合、消火部材400の熱分解反応がより一層速やかに起こることができる。のみならず、このような実施構成によれば、高温のベントガスがベントユニット300の内部において最初に接触する部分を保護して、当該部分が溶融されたり破損されたりするのを防ぐことができる。
【0075】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。特に、図6は、図4の構成に対する他の変形例であるといえる。本実施形態においても、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明する。
【0076】
図6を参照すると、ベントユニット300は、モジュールケース200の上部の表面に載置され、内層チャンネルV1と外層チャンネルV2を備えていてもよい。なお、消火部材400は、板状に構成されて、ベントユニット300の内層チャンネルV1と外層チャンネルV2のそれぞれの上部の表面に取り付けられてもよい。
【0077】
ここで、ベントユニット300は、ベントチャンネルVに傾斜面が形成された形態に構成されてもよい。すなわち、図6に示されたところを参照すると、ベントユニット300は、内層チャンネルV1と外層チャンネルV2のそれぞれに傾斜した構成が含まれるように構成されてもよい(S1、S2)。
【0078】
特に、ベントユニット300は、ベントチャンネルVの少なくとも一部分が流出口302から流入口301に向かって進むにつれて高さが次第に低くなる形状に傾斜面が形成されてもよい。さらに、ベントユニット300のこのような傾斜面は、消火部材400の下部に位置しているベントチャンネルVの表面に形成されてもよい。例えば、外層チャンネルV2の上部の表面には消火部材400が取り付けられ、このような消火部材400の下面に対面する位置において、外層チャンネルV2の下部の表面は、流入口301方向(図6の+x軸方向)に向かって進むにつれて高さが次第に低くなる形状に傾斜面S2が形成されてもよい。なお、内層チャンネルV1の上部の表面には消火部材400が取り付けられ、このような消火部材400の下面に対面する位置において、内層チャンネルV1の下部の表面は、流入口301方向(図6の-x軸方向)に向かって進むにつれて高さが次第に低くなる形状に傾斜面S1が形成されてもよい。
【0079】
本発明のこのような構成によれば、ベントユニット300の内部において消火部材400により生成された二酸化炭素などが流入口301側に移動することができる。すなわち、消火部材400により生成された二酸化炭素などは、図6において矢印にて示されたように、各チャンネルの上部から下部に向かって移動していて、傾斜面S1、S2に沿って流入口301の方向に流れることができる。そして、このようにベントユニット300の流入口301側に移動した二酸化炭素などは、モジュールケース200の内部空間に流れ込むことができる。したがって、前記実施構成によれば、モジュールケース200の内部空間に二酸化炭素が流れ込むことができるので、モジュールケース200の内部空間における火災の発生の防止または火災の鎮圧の効果がより一層成し遂げられ易い。さらに、このような効果をより一層しっかりと成し遂げるためには、複数本のベントチャンネルVのうち、少なくとも流入口301が形成された層のチャンネル、すなわち、内層チャンネルV1に傾斜面が形成されればよい。
【0080】
のみならず、前記実施構成によれば、ベントチャンネルVの傾斜面により、ベントガスがベントチャンネルVの上部面に位置する消火部材400へ向かうようにすることができる。したがって、消火部材400に熱がしっかりと供給できるようにすることにより、消火部材400の熱分解反応がより一層速やかに起こるようにすることができる。
【0081】
また、前記ベントユニット300は、図6においてP1にて示された部分のように、遮断突起を備えていてもよい。前記遮断突起P1は、ベントチャンネルVの下部の表面に位置して上部方向に突出した形状に構成されてもよい。特に、このような遮断突起P1は、流入口301の周りに形成されてもよい。
【0082】
前記遮断突起P1は、消火部材400により生成された水が流入口301を介してモジュールケース200の内部に流れ込むのを防ぐように構成されてもよい。特に、消火部材400により生成された水蒸気が液化して水となった場合、遮断突起P1は、このような水がモジュールケース200の内部に流れ込まないようにすることができる。そのため、このような実施構成によれば、水がモジュールケース200の内部に流れ込むことによるさらなる問題、つまり、爆発や漏電、短絡などの問題が生じるのを防ぐことができる。
【0083】
図7は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。特に、図7は、図4の構成に対するさらに他の変形例であるといえる。本実施形態においても、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明する。
【0084】
図7を参照すると、消火部材400は、ベントユニット300の内部空間のうち、連結孔303が形成された部分に配備されてもよい。すなわち、ベントユニット300が複数本のベントチャンネルVを備える場合、複数本のベントチャンネルV同士をつなぐ部分に消火部材400が配備されてもよい。より具体的に、ベントチャンネルVに内層チャンネルV1と外層チャンネルV2が配備され、内層チャンネルV1と外層チャンネルV2とをつなぐ連結孔303が形成された場合、消火部材400は、このような内層チャンネルV1と外層チャンネルV2との間の連結孔303が位置している部分の内面に取り付けられてもよい。例えば、図7の構成において、連結孔303は、内層チャンネルV1と外層チャンネルV2の右側の端部に位置し、このとき、消火部材400は、連結孔303が位置している内層チャンネルV1と外層チャンネルV2の右側の端部に位置してもよい。特に、消火部材400は、図7に示すように、連結孔303の上部、下部及び側部を包み込む形状に構成されてもよい。すなわち、消火部材400は、連結孔303の部分においてベントチャンネルVの上面、側面及び下面に取り付けられて覆う形状に構成されてもよい。
【0085】
本発明のこのような構成によれば、消火部材400による火災の抑制能がより一層向上する。特に、連結孔303が位置している部分は、ベントガスの方向が切り換えられる個所であって、ベントガスが所定の時間の間に滞留したり滞積されたりする区間であり得る。したがって、このような連結孔303の部分において熱が累積されることがあるが、前記実施構成によれば、当該個所に位置している消火部材400によりこのような熱をより一層速やかに除去することができる。また、連結孔303が位置している部分は、高温のベントガスやスパークと直接的にぶつかり合う部分であり得るが、熱が累積される場合、ベントユニット300が破損される虞がある。前記実施構成によれば、このような個所に消火部材400が位置するので、高温のベントガスや高温のスパークがベントユニット300のケースを損傷させるのを効果的に防ぐことができる。さらに、ベントユニット300のケースは、成形のしやすさや絶縁性、軽量性などを確保するために、プラスチックなどの材質からなり得る。このとき、ベントユニット300の連結孔303の部分に熱が集中すれば、当該部分が一部溶融されたり破損されたりする可能性があるが、前記実施構成によれば、消火部材400がこのような部分を覆って当該部分の溶融や破損を防ぐことができる。
【0086】
図8は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。特に、図8は、図4の構成に対するさらに他の変形例であるといえる。本実施形態においても、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明する。
【0087】
図8を参照すると、ベントユニット300は、ベントチャンネルVの上面に消火部材400が配備され、ベントチャンネルVの下面が傾斜した形状に構成されてもよい。特に、図8の実施構成において、ベントチャンネルVの下面は、連結孔303が形成された方向に向かうにつれて、高さが次第に低くなる形状に傾斜するように構成されてもよい。例えば、図8に示されたところを参照すると、内層チャンネルV1の底面と外層チャンネルV2の底面にはそれぞれ傾斜面S1’、S2’が形成されてもよいが、このとき、2つの傾斜面S1’、S2’は、両方とも連結孔303を向く方向(図中の+x軸方向)に向かって進むにつれて高さが次第に低くなる形状に構成されてもよい。この場合、内層チャンネルV1は、流出口302を向く方向に高さが次第に低くなるように傾斜面が形成され、外層チャンネルV2は、流入口301を向く方向に高さが次第に低くなるように傾斜面が形成されるといえる。なお、各傾斜面の上部、すなわち、各ベントチャンネルVの上部面には消火部材400が配備されてもよい。
【0088】
本発明のこのような構成によれば、消火部材400から二酸化炭素及び/又は水が生成される場合、生成された二酸化炭素や水が連結孔303側に移動するように構成されてもよい。すなわち、前記図8の実施構成によれば、内層チャンネルV1の上面において生成された二酸化炭素や水、及び外層チャンネルV2の上面において生成された二酸化炭素や水は、矢印にて示されたように、連結孔303が位置する右側方向に移動することができる。このとき、連結孔303側にはベントガスやスパーク、熱などが滞留したり蓄積されたりすることがあるが、前記実施構成によれば、連結孔303側に移動する二酸化炭素や水によりベントガスの温度を低めたり、スパークまたは熱を除去ないし低減したりすることができる。そのため、この場合、火災の発生や拡散を抑えることができ、ベントユニット300を保護することもできる。なお、この場合、水が連結孔303側に移動し、モジュールケース200の内部に移動するのを遮断することができる。
【0089】
図9は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。特に、図9は、図4の構成に対するさらに他の変形例であるといえる。本実施形態においても、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明する。
【0090】
図9を参照すると、前記ベントユニット300は、G1にて示されたように、ベントチャンネルVの底面に下部方向に凹んだ溝が形成された形状に構成されてもよい。より具体的に、図9の実施形態において、ベントユニット300は、内層チャンネルV1の上面に消火部材400が位置している状態で、内層チャンネルV1の下面に溝G1が形成された形状に構成されてもよい。
【0091】
本発明のこのような実施構成によれば、消火部材400により供給された水が溝G1に保持されることにより、水がモジュールケース200の内部に流れ込むのを遮断することができる。のみならず、前記実施構成によれば、ベントチャンネルVの内面に形成された溝G1によりベントガスとベントユニット300との間の摩擦力を増大させて、スパークや粒子などの移動を阻止する効果を得ることもできる。
【0092】
図10及び図11は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリーモジュールの構成を概略的に示す断面図である。本実施形態についても、上述した実施形態と相違点がある部分に重点をおいて説明する。
【0093】
図10及び図11を参照すると、前記ベントユニット300は、3層以上のベントチャンネルVを有するように構成されてもよい。例えば、図示のごとく、前記ベントユニット300は、最も下部に位置している内層チャンネルV1と、最も上部に位置している外層チャンネルV2及び内層チャンネルV1と外層チャンネルV2のとの間に位置している中央チャンネルV3を備えていてもよい。このとき、ベントユニット300は、内部に複数の連結孔303が形成されてもよい。すなわち、内層チャンネルV1と中央チャンネルV3との間及び中央チャンネルV3と外層チャンネルV2との間に各チャンネルをつなぐ通路としての連結孔303が形成されてもよい。このような構成において、セルアセンブリ100からベントガスが噴出された場合、ベントガスは、ベントユニット300の内部において矢印にて示されたように移動することができる。
【0094】
ここで、隣り合うベントチャンネルVは、互いにベント方向が反対となるように構成されてもよい。例えば、図10の構成を参照すると、内層チャンネルV1のベント方向は右側方向であり、中央チャンネルV3のベント方向は左側方向であってもよい。なお、外層チャンネルV2のベント方向は、再び右側方向に形成されてもよい。このために、ベントユニット300の流入口301は左側の端部に形成され、ベントユニット300の流出口302は右側の端部に形成されてもよい。
【0095】
あるいは、ベントユニット300の流入口301及び/又は流出口302は、複数本形成されてもよい。例えば、図11に示すように、ベントユニット300の流入口301は、モジュールケース200のベント孔201の位置に対応して、ベントユニット300の左側の端部と右側の端部にそれぞれ形成されてもよい。このとき、内層チャンネルV1と中央チャンネルV3との間の連結孔303は中央部分に形成され、中央チャンネルV3と外層チャンネルV2との間の連結孔303は左側の端部と右側の端部にそれぞれ形成されてもよい。なお、外層チャンネルV2に形成されたベントユニット300の流出口302は、左右方向(x軸方向)に中央部分に形成されてもよい。
【0096】
前記実施形態のように、複数層のベントチャンネルVがベントユニット300に含まれている場合、ベントチャンネルVの経路をさらに長く形成することにより、ベントガスの温度を低め、スパークなどの外部への流出をより一層しっかりと防ぐことができる。また、前記実施構成の場合、複数層のベントチャンネルVの構成要素を互いに異なる形状に形成することにより、ベントの制御効果をさらに増大させることができる。例えば、図10及び図11に示すように、消火部材400は、中央チャンネルV3にのみ位置させることにより、消火部材400がベントユニット300の内部においてより一層安定的に配置され、消火部材400によるベントユニット300の保護効果をさらに高めることができる。また、前記実施構成によれば、消火部材400が位置しない他の層のチャンネル、つまり、内層チャンネルV1や外層チャンネルV2の内部に様々な構成要素を形成することにより、ガスベント能は一定のレベル以上に確保しながらも、火災の発生や火災の拡散防止などの効果もまた安定的に成し遂げられるようにすることができる。例えば、前記実施構成において、内層チャンネルV1の下面には、図6図8に示されたような傾斜面、または図9に示されたような溝が形成されるようにしてもよい。
【0097】
一方、前記色々な実施形態において、ベント孔201は、モジュールケース200の上面に形成され、ベントユニット300は、モジュールケース200の上部に取り付けられる形態で示されているが、本発明が必ずしもこのような形態に限定されるとは限らない。例えば、ベント孔201は、モジュールケース200の側面や下面に形成され、ベントユニット300は、このようなベント孔201が形成された表面、すなわち、モジュールケース200の側面や下面に取り付けられる形態に構成されてもよい。
【0098】
また、前記ベントユニット300は、モジュールケース200に対して様々な形態で結合されてもよい。例えば、ベントユニット300は、接着剤によりモジュールケース200の上面に接着されてもよい。あるいは、ベントユニット300は、モジュールケース200の外面にレーザー溶接などの方式により締結・固定されてもよい。
【0099】
本発明によるバッテリーパックは、上述した本発明によるバッテリーモジュールを1つ以上含んでいてもよい。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュールに加えて、他の様々な構成要素、つまり、バッテリー管理システム(BMS)やバスバー、パックケース、リレー、電流センサーなどといったように、本発明の出願時点において公知となっているバッテリーパックの構成要素などをさらに含んでいてもよい。
【0100】
本発明によるバッテリーモジュールは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用可能である。すなわち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールまたは本発明によるバッテリーパックを含み得る。また、本発明による自動車は、このようなバッテリーモジュールやバッテリーパックの他に、自動車に含まれる他の様々な構成要素などをさらに含み得る。例えば、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールの他に、車体やモーター、エレクトロニックコントロールユニット(ECU Electronic Control Unit)などの制御装置などをさらに含み得る。
【0101】
一方、本明細書においては、上、下、左、右などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【0102】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0103】
100 セルアセンブリ
110 バッテリーセル
200 モジュールケース
201 ベント孔
300 ベントユニット
301 流入口
302 流出口
303 連結孔
400 消火部材
V ベントチャンネル
V1 内層チャンネル
V2 外層チャンネル
V3 中央チャンネル
W 隔壁
S1、S1’、S2、S2’ 傾斜面
P1 遮断突起
G1 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】