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特表2023-552360内視鏡撮像のための蛍光体照明システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】内視鏡撮像のための蛍光体照明システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20231208BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61B1/06 530
A61B1/00 C
A61B1/00 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533779
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2021060488
(87)【国際公開番号】W WO2022162454
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】102021101832.3
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】尾登 邦彦
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161DD01
4C161DD07
4C161NN01
4C161QQ04
4C161QQ06
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR04
4C161RR26
(57)【要約】
内視鏡であって、蛍光体層と、光出射層と、を備え、光出射層が、第1の励起光および第2の励起光を放射して、蛍光体層を介して、第1の合成光および第2の合成光によって対象空間を照明し、第1の励起光の強度が、第1のピーク波長に絶対最大値を有し、第2の励起光の強度が、第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長に絶対最大値を有し、蛍光体層が、1つまたは複数の蛍光体を含み、1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、第1の励起光によって励起されて、それぞれの蛍光体の第1の励起光を生成するように構成され、1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、第2の励起光によって励起されて、それぞれの蛍光体の第2の励起光を生成するように構成されている、内視鏡。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部であって、
蛍光体層と、
光出射層と、を備え、
前記光出射層が、第1の励起光を放射して、前記蛍光体層を介して対象空間を第1の合成光によって照明するように構成され、
前記光出射層が、第2の励起光を放射して、前記蛍光体層を介して前記対象空間を第2の合成光によって照明するように構成され、
前記第1の励起光の強度が、第1のピーク波長に絶対最大値を有し、
前記第2の励起光の強度が、前記第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長に絶対最大値を有し、
前記蛍光体層が、1つまたは複数の蛍光体を含み、
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、前記第1の励起光によって励起されて、前記それぞれの蛍光体の第1の励起光を生成するように構成され、
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、前記第2の励起光によって励起されて、前記それぞれの蛍光体の第2の励起光を生成するように構成され、
前記第1の合成光が、前記第1の励起光によって生成された前記1つまたは複数の蛍光体の前記第1の励起光と、いかなる励起光も生成することなく前記光出射層から前記蛍光体層を通過する残りの第1の励起光とを含み、
前記第2の合成光が、前記第2の励起光によって生成された前記1つまたは複数の蛍光体の前記第2の励起光と、いかなる励起光も生成することなく前記光出射層から前記蛍光体層を通過する残りの第2の励起光とを含む、
内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項2】
前記蛍光体層が、前記第1および第2の励起光のうちの一方によって励起されてそれぞれの励起光を生成するように構成され、前記第1および第2の励起光のうちの他方によって励起された場合に前記それぞれの励起光を生成しないように構成されたいかなる蛍光体も含まない、請求項1に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項3】
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれについて、
・前記蛍光体層に入射する前記第1の励起光の量に対する、前記第1の励起光によって生成される前記第1の励起光の量の比が、前記それぞれの蛍光体の第1の励起比であり、
・前記蛍光体層に入射する前記第2の励起光の量に対する、前記第2の励起光によって生成されるそれぞれの前記第2の励起光の量の比が、前記それぞれの蛍光体の第2の励起比であり、
・前記それぞれの蛍光体の前記第1の励起比が、前記それぞれの蛍光体の前記第2の励起比とは異なる、
請求項1および2のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項4】
前記光出射層が、それぞれが前記第1の励起光を放射するように構成された1つまたは複数の第1の光源を備え、
前記1つまたは複数の第1の光源のそれぞれが、それぞれの第1の発光ダイオードおよびそれぞれの第1のレーザダイオードのうちの少なくとも1つを備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項5】
前記光出射層が、それぞれが前記第2の励起光を放射するように構成された1つまたは複数の第2の光源を備え、
前記1つまたは複数の第2の光源のそれぞれが、それぞれの第2の発光ダイオードおよびそれぞれの第2のレーザダイオードのうちの少なくとも1つを備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項6】
少なくとも1つの前記第1のピーク波長が、前記第2のピーク波長と少なくとも5nm異なり、
前記第1の励起光の前記第1のピーク波長付近の発光スペクトルの半値全幅が、15nm以下であり、
前記第2の励起光の前記第2のピーク波長付近の発光スペクトルの半値全幅が、10nm以下である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項7】
前記第1の励起比が、前記第2の励起比よりも少なくとも2倍大きい、または
前記第2の励起比が、前記第1の励起比よりも少なくとも2倍大きい、
請求項1から6のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第1のピーク波長が、400nmから430nmの範囲内にあり、
前記第2のピーク波長が、430nmから480nmの範囲内にある、
請求項1から7のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項9】
前記蛍光体が、
-Y3Al5O12:Ce
-CaSc2O4:Ce
-Y3(Al,Ga)5O12:Ce
-Lu3Al5O12:Ce
-Lu3(Al,Ga)5O12:Ce
-Y3Al5O12:Ce
-La3Si6N11:Ce
-(La,Y)3Si6N11:Ce、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項10】
前記蛍光体が、
-CaAlSi(ON)3:Eu
-CaAlSiN3:Eu
-(SrCa)AlSiN3:Eu
-CaAlSi(ON)3:Eu
-LiSiN:Eu3+
-Sr[MgSiN]:Eu2+
-CaAlSiN:Eu2+
-LiCa[MgSi]:Eu2+
-Ca18.75Li10.5[Al3955]:Eu2+
-Ba[MgSiN]:Eu2+
-Sr[LiAl1114]:Eu2+
-Ca[LiAl]:Eu2+
-Ba[Li(AlSi)N]:Eu2+
-Sr[LiAl]:Eu2+
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項11】
前記第1の波長および前記第2の波長のうちの一方が、520nmから590nmの範囲内にある、
請求項10に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項12】
前記光出射層が、それぞれが前記第1の励起光を放射する複数の第1の光源と、それぞれが前記第2の励起光を放射する複数の第2の光源とを備え、
前記蛍光体層が、前記第1の光源からの前記第1の励起光が前記第1の部分に入射するように配置された第1の部分を含み、
前記蛍光体層が、前記第2の光源からの前記第2の励起光が前記第2の部分に入射するように配置された第2の部分を含み、
前記第1の部分が、前記第2の部分と間隙を介して離間している、
請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項13】
前記光出射層が、それぞれが前記第1の励起光を放射する複数の第1の光源と、それぞれが前記第2の励起光を放射する複数の第2の光源とを備え、
前記第1の光源および前記第2の光源のうちの少なくとも一部が、複数のユニットセルに配置され、
各ユニットセルにおいて、それぞれの第2の光源が、それぞれの第1の光源に対して同じように配置されている、
請求項1から12のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項14】
前記蛍光体層が、前記ユニットセルの少なくとも1つの前記第1および第2の光源からの前記第1および第2の励起光が前記第3の部分に入射するように配置された第3の部分を含み、
前記第3の部分が、前記蛍光体層の残りの部分と間隙によって分離されている、請求項13に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項15】
蛍光体層が連続している、請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項16】
前記蛍光体層が、前記光出射層に接し、前記光出射層を覆っている、または
前記蛍光体層が、前記光出射層から離間している、
請求項1から15のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項17】
前記対象空間の少なくとも一部を撮像するように構成された対物レンズをさらに備える、
請求項1から16のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項18】
前記第1の励起光の強度が、前記第2の励起光の強度とは別に制御可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項19】
前記第1の励起光の正規化されたスペクトルが、前記第2の励起光の正規化されたスペクトルと同じである、請求項1から18のいずれか一項に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の内視鏡の硬性先端部と、前記硬性先端部の近位端に直接的または間接的に接続された軟性または硬性シャフトと、を備える、内視鏡。
【請求項21】
請求項20に記載の内視鏡を備える内視鏡システムであって、
前記第1の励起光および前記第2の励起光のうちの一方を放射する光発生装置と、
1つまたは複数の光ファイバと、をさらに備え、
前記光出射層が、前記1つまたは複数の光ファイバのそれぞれの放射端を含み、
前記1つまたは複数の光ファイバのそれぞれが、前記光発生装置によって放射された前記第1の励起光および前記第2の励起光のうちの前記一方を前記それぞれの放射端に伝播するように構成され、
前記放射端のそれぞれが、前記蛍光体層を介して、それぞれ前記第1の合成光および前記第2の合成光によって前記対象空間を照明するように構成されている、内視鏡システム。
【請求項22】
前記光発生装置が、前記第1の励起光および前記第2の励起光のうちの他方を出射するように構成されている、
請求項21に記載の内視鏡システム。
【請求項23】
複数の光ファイバを備え、前記光ファイバのうちの少なくとも1つが、前記光発生装置によって放射された前記第1の励起光および前記第2の励起光のそれぞれの1つを前記それぞれの放射端まで伝播するように構成され、前記光発生装置によって放射された前記第1の励起光および前記第2の励起光のそれぞれの他方を前記それぞれの放射端まで伝播するように構成されていない、請求項22に記載の内視鏡システム。
【請求項24】
前記光発生装置から放射された前記第1の励起光と前記第2の励起光とを合成して合成励起光とする合成手段をさらに備え、
前記1つまたは複数の光ファイバのうちの少なくとも1つが、前記合成された励起光を前記それぞれの放射端に伝播するように構成されている、
請求項22または23に記載の内視鏡システム。
【請求項25】
内視鏡システムであって、
硬性先端部と、
前記硬性先端部の近位端に直接的または間接的に接続された可撓性または硬性シャフトと、
第1の励起光を放射するように構成された第1の光源と、
第2の励起光を放射するように構成された第2の光源と、
1つまたは複数の蛍光体を含む蛍光体層と、
1つまたは複数の光ファイバと、を備え、
前記第1の光源が、前記第1の励起光が前記蛍光体層に入射するように配置され、
前記第2の光源が、前記第2の励起光が前記蛍光体層に入射するように配置され、
前記第1の励起光の強度が、第1のピーク波長に絶対最大値を有し、
前記第2の励起光の強度が、前記第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長に絶対最大値を有し、
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、前記第1の励起光によって励起されて、前記それぞれの蛍光体の第1の励起光を生成するように構成され、
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれが、前記第2の励起光によって励起されて、前記それぞれの蛍光体の第2の励起光を生成するように構成され、
前記1つまたは複数の光ファイバのそれぞれが、第1の合成光および第2の合成光のうちの少なくとも一方を前記それぞれの光ファイバの放射端まで伝播するように構成され、
前記それぞれの光ファイバについて、前記それぞれの光ファイバの前記放射端が、前記硬性先端部に配置され、前記それぞれの光ファイバを通って伝播される前記第1合成光および前記第2合成光のうちの少なくとも一方によって対象空間を照明するように構成され、
前記第1の合成光が、前記第1の光源からの前記第1の励起光によって生成された前記1つまたは複数の蛍光体の前記第1の励起光と、いかなる励起光も生成することなく前記光源から前記蛍光体層を通過する残りの第1の励起光とを含み、
前記第2の合成光が、前記光源からの前記第2の励起光によって生成された前記1つまたは複数の蛍光体の前記第2の励起光と、いかなる励起光も生成することなく前記光源から前記蛍光体層を通過する残りの第2の励起光とを含む、内視鏡システム。
【請求項26】
前記1つまたは複数の蛍光体のそれぞれについて、
・前記蛍光体層に入射する前記第1の励起光の量に対する、前記第1の励起光によって生成される前記それぞれの第1の励起光の量の比が、前記それぞれの蛍光体の第1の励起比であり、
・前記蛍光体層に入射する前記第2の励起光の量に対する、前記第2の励起光によって生成される前記それぞれの第1の励起光のそれぞれの量の比が、前記それぞれの蛍光体の第2の励起比であり、
・前記それぞれの蛍光体の前記第1の励起比が、前記それぞれの蛍光体の前記第2の励起比とは異なる、請求項25に記載の内視鏡システム。
【請求項27】
前記第1の励起光の正規化されたスペクトルが、前記第2の励起光の正規化されたスペクトルと同じである、請求項25および26のいずれか一項に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、内視鏡撮像のための照明システムに関する。特に、照明システムは、蛍光体を含む。
【背景技術】
【0002】
臨床情報を強調するために、ヘモグロビン、およびリポフスチンのような自己蛍光分子などの人体において光学的特性を有する標的化分子のスペクトル照明が、医療撮像において、特に内視鏡検査において使用される。
【0003】
例として、図1は、酸素化ヘモグロビン(HbO2)および脱酸素化ヘモグロビン(Hb)の吸収スペクトルを示しており、これらは、双方とも400から450nmの間の波長範囲にそれぞれの第1の吸収ピークを有する。第2の吸収ピーク(緑色スペクトル)は、520nmから590nmの範囲内にある。
【0004】
吸収の差は、処置手順中の出血点を視覚化するために利用される。例えば、緑色、琥珀色および赤色スペクトルを使用し、最も高い吸収は、緑色スペクトルに由来し、2番目に高い吸収は、琥珀色であり、最も低い吸収は、赤色である。したがって、出血点は、他の生物医学的情報とともに視覚化される。
【0005】
また、ICG(インドシアニングリーン)、AF488およびIRdyeファミリーなどのいくつかの造影剤は、蛍光撮像に適用されることがあり、PDT(光線力学療法)およびPIT(光免疫療法)のような光線療法に適用されることもある。
【0006】
分子および造影剤は、それらの吸収/励起および発光特性を有するため、照明光学系および光源には適切なスペクトル照明が望ましい。さらにまた、これらの分子および造影剤から良好な信号雑音比を有する発光を取り込むために、特別な対物光学系が典型的に使用される。多くの場合、それらは、励起光カットフィルタまたは同等の光学系を備える。
【0007】
しかしながら、内視鏡検査に関しては、典型的には内視鏡が白色光照明(WLI)の選択肢を備えるように、白色光撮像も典型的には必要とされる。内視鏡では、光源に利用可能な空間が小さいため、特に光源が内視鏡側の内部に埋め込まれている場合、可能な配置は制限される。
【発明の概要】
【0008】
請求項1に記載の内視鏡またはカプセル型内視鏡の硬性先端部が提供される。さらに、それぞれの請求項によって定義されるように、請求項1の硬性先端部を使用する内視鏡および内視鏡システムが提供される。さらにまた、それぞれの独立請求項によって定義される内視鏡システムが提供される。
【0009】
硬性先端部およびカプセル型内視鏡は、それぞれ、制限された空間しか必要としないが、スペクトル照明(例えば、血管撮像のための)およびWLIの双方を提供することを可能にする。さらに、蛍光体層の全ての蛍光体がスペクトル照明およびWLIの双方に寄与するため、照明の効率が向上する。いくつかの実施形態では、照明のスペクトル形状が調整されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルを示している。
図2】内視鏡の硬性先端部1の概略断面図を示している。
図3】Y3Al5O12:Ce(YAG:Ceとしても知られている)蛍光体の励起および発光スペクトルを示している。
図4】本発明の実施形態にかかる血管撮像およびWLIのためのスペクトル照明を概略的に示している。
図5】いくつかの硬性先端部の平面図を示している。
図6】いくつかの例示的な照明システムの断面図を示している。
図7】いくつかの例示的な照明システムを示している。
図8】光ファイバを備えるいくつかの例示的な照明システムを示している。
図9a)】例示的な内視鏡の電子構成を概略的に示している。
図9b)】例示的な内視鏡の電子構成を概略的に示している。
図10】赤色蛍光体の発光スペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の特定の実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明するが、実施形態の特徴は、特に記載のない限り、互いに自由に組み合わせることができる。しかしながら、特定の実施形態の説明は、例として与えられているにすぎず、本発明を開示された詳細に限定するものとして理解されることを決して意図していないことが、明確に理解されるべきである。
【0012】
図において、同じ数字は対応する構成要素を示し、それら構成要素は異なる文字によって区別される。図は概略図にすぎない。特に、サイズは一定の縮尺ではない。
【0013】
図2は、内視鏡の硬性先端部1の概略断面図を示している。硬性先端部1は、作業チャネル22など、図2に概略的に示されている部材よりも多くの部材を備えてもよい。図2およびその説明は、別段の指示または文脈から明らかにされない限り、カプセル型内視鏡に対応して適用可能である。
【0014】
カプセル型内視鏡は、スタンドアロンで使用され得るが、硬性先端部1の近位端は、典型的には、硬性または軟性シャフトに接続されて内視鏡を形成する。接続は、角度セグメントを介して直接的または間接的であってもよい。
【0015】
硬性先端部1は、光出射層3および蛍光体層2を備える。さらに、典型的には、硬性先端部1は、対象空間100を撮像するための対物レンズ21を含む撮像システム20を備え得る。図2において、対象空間100は、内視鏡の硬性先端部1の遠位端よりも前方にある。しかしながら、いくつかの実施形態では、撮像システム20によって撮像される対象空間100は、硬性先端部1の側方にあってもよい。対象空間100は、空洞、例えば、人間もしくは動物の体内の空洞、またはそのような空洞の一部であってもよい。
【0016】
さらに、硬性先端部1は、光出射層3および蛍光体層2を含む照明システム23を備える。照明システム23は、対象空間100、特に撮像システム20によって撮像される対象空間100の少なくとも一部を照明するように構成されている。図2では、撮像システム20の他に、照明システム23が配置されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、照明システム23は、対象空間100から見たときに撮像システム20を完全にまたは部分的に取り囲むように、撮像システム20の周りに配置されてもよい(例えば図5a)およびb)を参照)。
【0017】
図5は、対象空間100から平面視したときのいくつかの例示的な硬性先端部1を示している。蛍光体層2は、その光源4を有する光出射層3が蛍光体層2を通して見えるように透明に描かれている。図5a)に示すように、蛍光体層2の一部が複数の光源4を覆うように、蛍光体層が連続していてもよい。図5b)から図5d)に示すように、蛍光体層2は、間隙によって互いに分離されたいくつかの部分に分割されてもよい。各部分は、1つまたは複数の光源4を覆ってもよい。照明システム23は、蛍光体層2によって覆われた単一の光源4を備えてもよい(図5には示されていない)。対物レンズ21に対する照明システム23の配置は、図5に示す配置に限定されず、必要に応じて変更されてもよい。
【0018】
光出射層3は、第1の励起光または第2の励起光のいずれかを一度に出射するように構成されている。いくつかの実施形態では、光出射層3はまた、第1の励起光および第2の励起光の双方を一度に放射してもよい。すなわち、第1の励起光の発光(少なくとも第1の励起光の照射の有無にかかわらず、第1の励起光の強度)は、第2の励起光の発光(少なくとも第2の励起光の照射の有無にかかわらず、第2の励起光の強度)とは別個に制御可能である。内視鏡システムは、適切な制御装置を備え得る。
【0019】
少なくとも可視スペクトル(400nmから750nm)において、第1の励起光の強度は、第1のピーク波長に絶対最大値を有する。少なくとも可視スペクトル(400nmから750nm)において、第2の励起光の強度は、第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長に絶対最大値を有する。光出射層3は、2つ以上の異なる励起光を放射してもよく、それらのそれぞれの強度は、他の励起光のピーク波長とは異なるそれぞれのピーク波長において可視スペクトルの絶対最大値を有する。
【0020】
蛍光体層2は、対象空間100から見て、光出射層3を覆っていてもよい。蛍光体層2は、図6b)の断面に示すように、光源4を含む光出射層3と接触していてもよく、図2および図6a)の断面に示すように、離間していてもよい。蛍光体層2は、1つまたは複数の蛍光体を含む。1つまたは複数の蛍光体は、スペクトル照明およびWL(すなわち、典型的には可視スペクトル)に関連する波長範囲で透明な材料(透明樹脂など)のマトリックスに埋め込まれてもよく、または蛍光体層2は、蛍光体のみからなっていてもよい。典型的には、蛍光体層2の組成は略一定である。すなわち、蛍光体層2の厚さにわたって一体化された蛍光体層2の組成は、横方向に10%を超えて変化しない。好ましくは、変化は、5%以下、より好ましくは2%以下である。これに対応して、蛍光体層2の組成は、蛍光体層2の厚さ方向において実質的に変化しない(10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下)。蛍光体層2の厚さは、典型的には、略一定(±10%、好ましくは±5%)である。これらの特徴により、蛍光体層2の製造が簡素化される。
【0021】
光出射層3からの光(第1の励起光、第2の励起光)は、図2に矢印によって示されるように、蛍光体層2に入射し、蛍光体層2を通過して対象空間100を照明する。光出射層3からの光が蛍光体層2を通過すると、例えば蛍光またはりん光などの発光によって、蛍光体層2の各蛍光体を励起する。すなわち、各蛍光体は、励起光に応じて、それぞれの第1または第2の励起光を生成する。したがって、対象空間100は、蛍光体層2の1つまたは複数の蛍光体からの励起光と、励起光を励起することなく蛍光体層2を通過した光出射層3からの残りの光との合成光によって照明される。いかなる励起光も励起せずに蛍光体層2を通過した光は、蛍光体層2中に存在すると、蛍光体および/または小さな粒子(気泡を含む)によって散乱される場合があることに留意されたい。
【0022】
光出射層3および蛍光体層2の蛍光体からの励起光は、各蛍光体が励起されて、各励起光のそれぞれのピーク波長によってそれぞれの励起光を生成し得るように構成されている。例えば、光出射層3がピーク波長λ1およびλ2を有する2つの異なる励起光を放射し、蛍光体層2が1つの蛍光体を含む場合、蛍光体は、ピーク波長λ1およびλ2のそれぞれによって励起される。これに対応して、光出射層3がピーク波長λ1およびλ2を有する2つの異なる励起光を放射し、蛍光体層2が2つの蛍光体AおよびBを含む場合、蛍光体Aは、ピーク波長λ1およびλ2のそれぞれによって励起され、蛍光体Bは、ピーク波長λ1およびλ2のそれぞれによって励起される。蛍光体層2は、励起光のうちの(少なくとも)1つによって励起されてそれぞれの励起光を生成するが、励起光のうちの別の(少なくとも)1つによって励起されないいかなる蛍光体も含まない。このため、蛍光体が励起光の単なる散乱体として作用せず、照明効率が向上する。
【0023】
上記で概説したように、蛍光体層2は、励起光のいずれによっても励起されないいくつかの透明材料(透明樹脂など)をさらに含んでもよい。
【0024】
蛍光体層2中の蛍光体ごとに、異なる励起光によって発生した励起光の正規化されたスペクトルは、励起波長に応じて異なっていてもよい。しかしながら、典型的には、正規化されたスペクトルは、励起光とは無関係に実質的に同一であるが、それらの絶対強度は、励起光に応じて変化してもよい。したがって、正規化は、強度に関するものである。励起光および蛍光体のそれぞれについて、励起比は、蛍光体層2に入射する励起光の量に対する、励起光によって生成される励起光の量の比として定義される。蛍光体層2の各蛍光体について、少なくとも1つの励起光に対する励起比は、別の1つの励起光に対する励起比とは異なる。したがって、光出射層3が一度に複数の励起光を放射し得る場合、略同一の正規化されたスペクトルを有する励起光のそれぞれについて、合成光におけるそれぞれの励起光に対する励起光の比は、励起光の相対強度に応じて変化し得る。すなわち、合成光のスペクトルは、必要に応じて整形されてもよい。
【0025】
一方、蛍光体と励起光との間に1対1の関係がある場合、合成光における励起光と励起光との比は固定される。
【0026】
次に、励起光および蛍光体のいくつかの例をより詳細に説明する。このセクションにおいて、光出射層3は、異なる2つの励起光(第1のピーク波長を有する第1の励起光および第2のピーク波長を有する第2の励起光)を出射するように構成されているものとする。しかしながら、本発明の実施形態は、ただ2つの励起光に限定されず、3つまたはさらには3つを超える異なる励起光を放射してもよい。
【0027】
第1の励起光のピーク波長は、400nmから430nmの範囲内であり得る。第2の励起光のピーク波長は、440nmから480nmの範囲内であり得る。蛍光体は、
-Y3Al5O12:Ce
-CaSc2O4:Ce
-Y3(Al,Ga)5O12:Ce
-Lu3Al5O12:Ce
-Lu3(Al,Ga)5O12:Ce
-Y3Al5O12:Ce
-La3Si6N11:Ce
-(La,Y)3Si6N11:Ceのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0028】
これらの蛍光体中のCeの量は、0.5wt%から5wt%または0.5mol%から5mol%の範囲であり得る。
【0029】
蛍光体としてのY3Al5O12:Ce(YAG:Ceとしても知られている)の例について図3に示すように、紫励起光(400nmから430nmの範囲)および青色励起光(430nmから480nmの範囲)の双方が、570nm付近の広いスペクトルを有する励起光(図3の「発光」)を励起し得る。図4に示すように、紫色励起光(λ1)が蛍光体を励起すると、励起光(λ3)の強度はかなり低く、合波光は、血管撮像(図4の左上)に適している。一方、青色励起光(λ2)が蛍光体を励起すると、励起光の強度が増加し、合波光は、ほぼ白色(CIE1931による白色点に近い、図4の左下)に見える。λ1およびλ2の双方が蛍光体を励起する場合、図4(右)に示すように、合成光は、さらに白色点に近くなり得る。
【0030】
蛍光体層2が、励起光が赤色範囲にある以下の蛍光体のうちの1つをさらに含む場合、WLIのさらなる改善が達成され得る:
-CaAlSi(ON)3:Eu
-CaAlSiN3:Eu
-(SrCa)AlSiN3:Eu
-CaAlSi(ON)3:Eu
-LiSiN:Eu3+
-Sr[MgSiN]:Eu2+
-CaAlSiN:Eu2+
-LiCa[MgSi]:Eu2+
-Ca18.75Li10.5[Al3955]:Eu2+
-Ba[MgSiN]:Eu2+
-Sr[LiAl1114]:Eu2+
-Ca[LiAl]:Eu2+
-Ba[Li(AlSi)N]:Eu2+
-Sr[LiAl]:Eu2+
【0031】
これらの蛍光体におけるEuの量は、0.5wt%から5wt%または0.5mol%~5mol%の範囲であってもよい。
【0032】
表1に示すように、紫色および青色の双方の励起光は、双方の蛍光体(第1のグループの蛍光体および第2のグループの蛍光体)を励起する。
【0033】
【表1】
【0034】
第2の群の赤色蛍光体(すなわち、CaAlSi(ON)3:Eu;CaAlSiN3:Eu;(SrCa)AlSiN3:Eu;CaAlSi(ON)3:Eu;LiSiN:Eu3+;Sr[MgSiN]:Eu2+;CaAlSiN:Eu2+;LiCa[MgSi]:Eu2+;Ca18.75Li10.5[Al3955]:Eu2+;Ba[MgSiN]:Eu2+;Sr[LiAl1114]:Eu2+;Ca[LiAl]:Eu2+;Ba[Li(AlSi)N]:Eu2+;およびSr[LiAl]:Eu2+)のそれぞれまたはそれらの組み合わせは、第1のグループの蛍光体に加えて使用されるだけでなく、蛍光体層2内の唯一の蛍光体(組み合わせ)としても使用され得る。蛍光体が紫色(または青色)励起光(上述した波長範囲)および緑色励起光(波長範囲520nmから590nm)とそれぞれ組み合わせられると、合成光は、第2のグループの赤色蛍光体のうちの1つの発光スペクトルを示す図10に示すように、白色光およびスペクトル照明となる。全ての蛍光体について少量の青色発光が生じるわけではない。
【0035】
以下の条件が適用され得る:
・第1のピーク波長は、第2のピーク波長と少なくとも5nm異なる(好ましくは少なくとも10nm、より好ましくは少なくとも15nm);
・第1の励起光の第1のピーク波長付近における発光スペクトルの半値全幅が、30nm以下(好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下)である;
・第2の励起光の第2のピーク波長付近の発光スペクトルの半値全幅は、30nm以下(好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下)である。
【0036】
さらに、以下の条件のうちの1つが適用され得る:
・第1の励起比は、第2の励起比よりも少なくとも2倍大きい(好ましくは少なくとも4倍、より好ましくは8倍);および
・第2の励起比は、第1の励起比よりも少なくとも2倍大きい(好ましくは少なくとも4倍、より好ましくは8倍)。
【0037】
次に、光出射層3のいくつかの詳細について説明する。
【0038】
光出射層3は、1つまたは複数の第1の光源4を備え得る。第1の光源4は、第1の励起光を放射するように構成されている。1つまたは複数の第1の光源4のそれぞれは、それぞれの第1の発光ダイオードおよびそれぞれの第1のレーザダイオードのうちの少なくとも1つを備え得る。
【0039】
光出射層3は、1つまたは複数の第2の光源4を備え得る。第2の光源4のそれぞれは、第2の励起光4を放射するように構成されている。1つまたは複数の第2の光源4のそれぞれは、それぞれの第2の発光ダイオードおよびそれぞれの第2のレーザダイオードの少なくとも1つを備え得る。
【0040】
光出射層3が光源4として第1および第2のLEDまたはLDを備える場合、照明システム23の全体が硬性先端部1に埋め込まれてもよい。しかしながら、第1の光源4および第2の光源4のうちの少なくとも1つは、硬性先端部1の外部の光発生装置41から励起光を放射する光ファイバの放射端であってもよい。例えば、光発生装置41(例えば、LEDまたはLD)は、内視鏡の近位端または内視鏡の制御ボックス内に配置されてもよく、光発生装置41によって生成された光は、1つまたは複数の光ファイバ8(または対応するガラスロッド)によって光発生装置41から光出射層3に伝播される。
【0041】
光出射層3は、LED/LDと光ファイバ8の放射端との混合物を含んでもよい(「ハイブリッド構成」)。このような混合は、硬性先端部1内の特定の数のLED/LDのための十分な空間が利用できない場合に有利であり得る。例が図7b)に示されている。図7b)において、右光源4は、近位端(または内視鏡の外側)に配置された光発生装置41から光を放射する光ファイバ8の放射端であり、左光源4は、遠位端の硬性先端部1に配置されたLEDまたはLDである。照明システム21が第1の波長(または第2の波長)を放射する複数の光源4を備える場合、それらの一部は、光ファイバ8の放射端であってもよく、それらの一部は、硬性先端部1に配置されたLED/LDであってもよく、または1つの波長を放射する全ての光源は、硬性先端部に配置されたLED/LDであってもよく、他の波長を放射する全ての光源4は、光ファイバ8の放射端であってもよい。図7b)は、光発生装置41が光出射層3内の光源4と直接結合されている例を示しているが、複数の光発生装置41からの光は、光出射層3内の光源4から光が放射される前に、以下にさらに図8に関して説明するように結合されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光ファイバのうちの少なくとも1つは、励起光のうちの1つのみを放射し、他の励起光を放射しないように配置されてもよい。例えば、光ファイバの入力端は、それぞれの励起光のみを放射するそれぞれの発光素子に直接接続されてもよい。これが図7aに示されている。ここで、各光ファイバ8には、光発生装置41がファイバコネクタ8aによって接続されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光ファイバのうちの少なくとも1つは、複数の励起光を放射し得るように配置されてもよい。この場合、光発生装置からの励起光は、光出射層3にその(それらの)放射端を有する光ファイバ8に入力される前に、ビームコンバイナ(2つの波長および3つの波長についてそれぞれ図8aおよび図8bに示されている)またはファイバカプラ(図8cに示されている)によって結合されてもよい。図8b)では、3つの光発生装置41からの光は、ファイバカプラ/デカプラ81によって2つの光ファイバ8に分割され、それにより、硬性先端部1内の光出射層3内に2つの光源4が存在する。もちろん、光ファイバ8および光源4の本数は2本に限定されず、3本以上であってもよい。これに対応して、ビームコンバイナ80の代わりに、ファイバカプラ81が使用されて、図8c)に示すように、複数の光発生装置41の光を1つまたは複数の光ファイバ8に結合してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、硬性先端部1の光出射層3は、LED/LDを含まず、光ファイバの放射端のみを含む。一例では、光出射層3は、LED/LDを含まず、複数の励起光を放射し得る単一の光源としての光ファイバの単一の放射端を含む。
【0045】
蛍光体層2の別個の部分は、光出射層3の光源(図5d)を参照)のそれぞれに対して、または光源(図5b)および図5c)を参照)のいくつかに対して共同で、またはさらには全ての光源(図5a)を参照)に対して存在してもよい。例えば、蛍光体層2は、第1の光源からの第1の励起光が第1の部分に入射し、第2の光源からの第2の励起光が第2の部分に入射するように配置されてもよい。第1および第2の部分は、間隙によって分離されてもよい。
【0046】
光出射層3の光源は、複数のユニットセルに配置されてもよい。各ユニットセルにおいて、光源は、同じように配置されている(例えば、それぞれの距離、相対的な向き、例えば図5b)および図5c)を参照)。各ユニットセルからの励起光は、蛍光体層2の別々の部分に入射してもよく、複数のユニットセルからの励起光は、蛍光体層2の共通の部分に入射してもよい。
【0047】
光出射層3の光源として1つまたは複数の光ファイバの発光端を含むいくつかの実施形態では、蛍光体層2は、発光端が光出射層3に配置されている光発生装置41と光ファイバ8との間に配置されてもよい。これらの実施形態では、光ファイバ8の放射端は、硬性先端部1内の別の蛍光体層2を通過することなく対象空間100を照明するための合成光を出射する。硬性先端部1の近位端に蛍光体層2が配置された場合と同様の効果が達成され得る。
【0048】
図9は、例示的な内視鏡の電子構成を概略的に示している。図9において、LD/LEDは、硬性先端部1の光源4に配置されている。これらは、内視鏡の外部に配置され、その近位端に接続されたプロセッサユニット内の光源制御ユニットによって制御される(すなわち、少なくともオンおよびオフに切り替えられる)。撮像システム20は、得られた画像をA/D変換器を介して画像処理ユニットに供給し、そこからCPUに供給する。典型的には、A/D変換器は、内視鏡内に配置されるが、いくつかの例では外部に配置されてもよい。CPUは、画像処理ユニット、光源制御ユニット、および利用可能であれば、撮像システム20によって得られた画像を視覚化するためのディスプレイモニタを制御する。
【0049】
図9b)は、内視鏡の近位端(またはその近傍)に配置された光源部に光発生装置41(LD/LED)が配置され、光ファイバが、光発生装置41が出射した光を光出射層3の放射端(光源4)に導く点を除いて、図9a)に対応する。図9b)では、各光ファイバ8が1つの光発生装置41および光源4に対応する例が示されている。任意に、図9b)の破線のボックスによって示されるように、例えば図8に関して説明したように、異なる光発生装置からの光が結合されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a)】
図5b)】
図5c)】
図5d)】
図6a)】
図6b)】
図7a)】
図7b)】
図8a)】
図8b)】
図8c)】
図9a)】
図9b)】
図10
【国際調査報告】