(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】血清学的アッセイにおいてCD47に結合する薬物の干渉を低減するための多量体
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20231208BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231208BHJP
C07K 17/14 20060101ALI20231208BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20231208BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231208BHJP
G01N 33/80 20060101ALI20231208BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
G01N33/48 B
C07K19/00
C07K17/14
C07K14/705
C07K16/28
G01N33/80
G01N33/53 K
G01N33/53 N
G01N33/53 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533847
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 US2021062065
(87)【国際公開番号】W WO2022120286
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516237639
【氏名又は名称】エーエルエックス オンコロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポンズ, ジャウメ
(72)【発明者】
【氏名】シム, バン ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】チェン, エイミー ショー-ルー
(72)【発明者】
【氏名】サンガラング, エマ ルース
【テーマコード(参考)】
2G045
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA09
2G045BB45
2G045CA02
2G045CA24
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA50
4H045BA61
4H045BA62
4H045BA63
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
血清学的アッセイにおいて、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物による干渉を低減及び/または防止する方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬赤血球(RBC)または試薬血小板を使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法であって、前記方法が、
(a)前記薬物に結合し且つ前記薬物が前記試薬RBCまたは前記試薬血小板に結合するのを遮断するCD47多量体を、前記薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、及び
(b)ステップ(a)の後に、前記試薬RBCまたは前記試薬血小板を使用して、前記血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、
を含み、
前記薬物が、(i)ヒト抗体Fc領域またはそのバリアント及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含み、
前記CD47多量体が、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む、前記方法。
【請求項2】
前記CD47多量体が、2~100のCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CD47多量体が、前記薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記CD47多量体が、前記薬物に結合可能な、野生型ヒトCD47、野生型マウスCD47、野生型ラットCD47、野生型アカゲザルCD47、野生型カニクイザルCD47、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記CD47多量体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記CD47多量体が、前記薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むCD47バリアントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記CD47多量体が、配列番号2~6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記CD47多量体が、融合ポリペプチドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記融合ポリペプチドが、多量体化ドメインを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記多量体化ドメインが、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記Fc単量体が、マウスFc単量体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マウスFc単量体が、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記融合ポリペプチドが、配列番号84~86のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記CD47多量体が、エピトープタグまたはリガンドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記CD47多量体が、可溶性CD47ポリペプチド単量体を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体が、ペプチド結合を介して連結されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体が、リンカーペプチドを介して連結されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記リンカーペプチドが、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リンカーペプチドが、1つ以上のスペーサーを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記スペーサーが、GS、GGS、または配列番号52~70のいずれか1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体が、固体支持体に結合している、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記CD47ポリペプチド単量体が、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、前記固体支持体に結合している、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号6を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記CD47多量体が、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号6を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記CD47多量体が、ホモ多量体である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記CD47多量体が、ヘテロ多量体である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法であって、前記方法が、
(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせに添加すること、及び
(b)ステップ(a)の前記試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実行すること、
を含み、
前記血漿試料が、薬物による処置を受けている対象由来のものであり、
前記薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、
前記SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む、前記方法。
【請求項32】
試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法であって、前記方法が、
(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、及び
(b)ステップ(a)の後に、前記試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用して、前記血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、
を含み、
前記薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、
前記SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む、前記方法。
【請求項33】
試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを含有する血液試料の血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法であって、前記方法が、
(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血液試料に添加すること、及び
(b)ステップ(a)の後に、前記血液試料の血清学的アッセイを実施すること、
を含み、
前記薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、
前記SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む、前記方法。
【請求項34】
前記SIRP多量体が、2~100個のSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPα、野生型マウスSIRPα、野生型ラットSIRPα、野生型アカゲザルSIRPα、野生型カニクイザルSIRPα、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記SIRP多量体が、CD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPαバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPγ、野生型マウスSIRPγ、野生型ラットSIRPγ、野生型アカゲザルSIRPγ、野生型カニクイザルSIRPγ、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記SIRP多量体が、CD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPγバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記SIRP多量体が、野生型SIRPβまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPβバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含み、前記SIRPβバリアントまたはそのフラグメントが、CD47に結合可能である、請求項31~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
SIRP多量体が、配列番号33~45のいずれか1つのアミノ酸配列を含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~34、37、40、及び41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記SIRP多量体が、融合ポリペプチドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記融合ポリペプチドが、多量体化ドメインを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記多量体化ドメインが、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記Fc単量体が、マウスFc単量体である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記マウスFc単量体が、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記融合ポリペプチドが、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含む、請求項43~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記SIRP多量体が、エピトープタグまたはリガンドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記SIRP多量体が、可溶性SIRPポリペプチド単量体を含む、請求項34~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、ペプチド結合を介して連結されている、請求項31~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、リンカーペプチドを介して連結されている、請求項31~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記リンカーペプチドが、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記リンカーペプチドが、1つ以上のスペーサーを含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記スペーサーが、GS、GGS、または配列番号52~70のいずれか1つを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、固体支持体に結合している、請求項31~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記SIRPポリペプチド単量体が、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、前記固体支持体に結合している、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号111を含む、請求項57~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項31~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号111を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記SIRP多量体が、ホモ多量体である、請求項31~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記SIRP多量体が、ヘテロ多量体である、請求項31~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
試薬赤血球(RBC)または試薬血小板を使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法であって、前記方法が、
(a)前記薬物に結合し且つ前記薬物が前記試薬RBCまたは前記試薬血小板に結合するのを遮断する抗SIRP多量体を、前記薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、及び
(b)ステップ(a)の後に、前記試薬RBCまたは前記試薬血小板を使用して、前記血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、
を含み、
前記薬物が、(i)ヒト抗体Fc領域またはそのバリアント及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含み、
前記抗SIRP多量体が、1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、前記方法。
【請求項67】
前記抗SIRP多量体が、1~100の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記抗SIRP多量体が、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または前記のうちのいずれか2つ以上に結合する抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
前記抗SIRP多量体が、
(a)配列番号46を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号47を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(b)配列番号48を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(c)配列番号50を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号51を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(d)配列番号113を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号114を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(e)配列番号115を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号116を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、及び/または
(f)配列番号133を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号134を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
を含む、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項66~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記抗SIRP多量体が、全長抗SIRP抗体を含む、請求項66~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記抗SIRP抗体が、マウスFcドメインを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記マウスFcドメインが、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記抗SIRP抗体が、
(a)配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖、
(b)配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖、
(c)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖、または
(d)配列番号122を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖、
を含む、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記抗SIRP抗体の前記薬物結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、または単一重鎖抗体である、請求項66~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記薬物結合フラグメントが、F(ab’)2を含み、前記F(ab’)2が、配列番号131及び132を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、エピトープタグまたはリガンドを含む、請求項66~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記エピトープタグが、HHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号135)またはGSGSHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号126)を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、固体支持体に結合している、請求項66~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントのそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により固体支持体に結合している、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記抗SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体またはそのフラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項66~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記抗SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化F(ab’)2フラグメントに結合している前記ストレプトアビジンまたは前記アビジンを含み、前記ビオチン化F(ab’)2フラグメントの2つ以上が、配列番号131及び132を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記抗SIRP多量体が、ホモ多量体である、請求項66~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記抗SIRP多量体が、ヘテロ多量体である、請求項66~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記薬物が、抗CD47抗体を含む、請求項1~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または前記野生型SIRPαもしくは前記SIRPαバリアントのフラグメントを含む、請求項1~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、SIRPαバリアントを含み、前記SIRPαバリアントが、前記野生型SIRPαと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、及び/またはC末端伸長(複数可)を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、前記SIRPαバリアントのフラグメントを含み、前記フラグメントが、前記SIRPαバリアントの細胞外ドメインを含む、請求項88または89に記載の方法。
【請求項91】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または前記野生型SIRPγもしくは前記SIRPγバリアントのフラグメントを含む、請求項1~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、前記SIRPγバリアントを含み、前記SIRPγバリアントが、前記野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または前記のうちのいずれかの組み合わせを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、前記SIRPγバリアントのフラグメントを含み、前記フラグメントが、前記SIRPγバリアントの細胞外ドメインを含む、請求項91または92に記載の方法。
【請求項94】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、SIRPβバリアントまたは前記SIRPβバリアントのフラグメントを含む、請求項1~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、前記SIRPβバリアントを含み、前記SIRPβバリアントが、前記野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または前記のうちのいずれかの組み合わせを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
ヒトCD47に結合する前記薬物の前記部分が、前記SIRPβバリアントのフラグメントを含み、前記フラグメントが、前記SIRPβバリアントの細胞外ドメインを含む、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記薬物の前記抗体Fc領域が、ヒトIgG Fc領域またはそのバリアントである、請求項1~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記ヒトIgG Fc領域が、IgG1、IgG2、もしくはIgG4Fc領域、またはIgG1、IgG2、もしくはIgG4 Fc領域のバリアントである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記血清学的アッセイが、ABO/Rh型判定アッセイである、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記血清学的アッセイが、即時スピン(IS)アッセイである、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記血清学的アッセイが、IgG及び補体C3を検出する多重特異性試薬を使用する直接抗グロブリン(DAT)アッセイである、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記血清学的アッセイが、補体C3を検出する単一特異性試薬を使用する直接抗グロブリン(DAT)アッセイである、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記血清学的アッセイが、PEG増強血清学的アッセイである、請求項1~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記血清学的アッセイが、前記DATアッセイの後に実施される溶出液試験である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記血清学的アッセイが、試験管アッセイまたは固相赤血球アッセイ(SPRCA)である、請求項1~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記血清学的アッセイが、ゲルカードアッセイである、請求項1~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記血清学的アッセイが、固相アッセイである、請求項1~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む、CD47多量体。
【請求項109】
2~100のCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108に記載のCD47多量体。
【請求項110】
前記薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108または109に記載のCD47多量体。
【請求項111】
前記薬物に結合可能な、野生型ヒトCD47、野生型マウスCD47、野生型ラットCD47、野生型アカゲザルCD47、野生型カニクイザルCD47、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項110に記載のCD47多量体。
【請求項112】
配列番号1のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~111のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項113】
前記薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むCD47バリアントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~112のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項114】
配列番号2~6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項113に記載のCD47多量体。
【請求項115】
融合ポリペプチドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~114のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項116】
前記融合ポリペプチドが、多量体化ドメインを含む、請求項115に記載のCD47多量体。
【請求項117】
前記多量体化ドメインが、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む、請求項116に記載のCD47多量体。
【請求項118】
前記Fc単量体が、マウスFc単量体である、請求項117に記載のCD47多量体。
【請求項119】
前記マウスFc単量体が、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項118に記載のCD47多量体。
【請求項120】
前記融合ポリペプチドのCD47ポリペプチド単量体が、配列番号84~86のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項115~119のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項121】
前記CD47多量体が、エピトープタグまたはリガンドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~120のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項122】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項121に記載のCD47多量体。
【請求項123】
前記CD47多量体が、可溶性CD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~122のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項124】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体が、ペプチド結合を介して連結されている、請求項108~123のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項125】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体が、リンカーペプチドを介して連結されている、請求項108~121のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項126】
前記リンカーペプチドが、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む、請求項125に記載のCD47多量体。
【請求項127】
前記リンカーペプチドが、1つ以上のスペーサーを含む、請求項125または126に記載のCD47多量体。
【請求項128】
前記スペーサーが、GS、GGS、または配列番号52~70のいずれか1つを含む、請求項127に記載のCD47多量体。
【請求項129】
前記少なくとも2つのCD47多量体が、固体支持体に結合している複数のCD47ポリペプチド単量体を含む、請求項108~123のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項130】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項129に記載のCD47多量体。
【請求項131】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記CD47ポリペプチド単量体が、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、前記固体支持体に結合している、請求項129または130に記載のCD47多量体。
【請求項132】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項131に記載のCD47多量体。
【請求項133】
前記少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号6を含む、請求項129~132のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項134】
2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項108~123のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項135】
前記2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号6を含む、請求項134に記載のCD47多量体。
【請求項136】
前記CD47多量体が、ホモ多量体である、請求項108~135のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項137】
前記CD47多量体が、ヘテロ多量体である、請求項108~135のいずれか1項に記載のCD47多量体。
【請求項138】
少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む、SIRP多量体。
【請求項139】
前記SIRP多量体が、2~100のSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138に記載のSIRP多量体。
【請求項140】
ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138または139に記載のSIRP多量体。
【請求項141】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPα、野生型マウスSIRPα、野生型ラットSIRPα、野生型アカゲザルSIRPα、野生型カニクイザルSIRPα、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項140に記載のSIRP多量体。
【請求項142】
前記SIRP多量体が、CD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPαバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~141のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項143】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~142のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項144】
前記SIRP多量体が、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPγ、野生型マウスSIRPγ、野生型ラットSIRPγ、野生型アカゲザルSIRPγ、野生型カニクイザルSIRPγ、または前記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項143のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項145】
前記SIRP多量体が、CD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPγバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~143のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項146】
前記SIRP多量体が、野生型SIRPβまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPβバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含み、前記SIRPβバリアントまたはそのフラグメントが、CD47に結合可能である、請求項138~145のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項147】
SIRP多量体が、配列番号33~45のいずれか1つのアミノ酸配列を含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~139、142、145、及び146のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項148】
前記SIRP多量体が、融合ポリペプチドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~147のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項149】
前記融合ポリペプチドが、多量体化ドメインを含む、請求項148に記載のSIRP多量体。
【請求項150】
前記多量体化ドメインが、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む、請求項149に記載のSIRP多量体。
【請求項151】
前記Fc単量体が、マウスFc単量体である、請求項150に記載のSIRP多量体。
【請求項152】
前記マウスFc単量体が、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項151に記載のSIRP多量体。
【請求項153】
前記融合ポリペプチドが、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含む、請求項148~152のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項154】
前記SIRP多量体が、エピトープタグまたはリガンドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~153のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項155】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項154に記載のSIRP多量体。
【請求項156】
前記SIRP多量体が、可溶性SIRPポリペプチド単量体を含む、請求項138~155のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項157】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、ペプチド結合を介して連結されている、請求項138~156のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項158】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、リンカーペプチドを介して連結されている、請求項138~156のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項159】
前記リンカーペプチドが、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む、請求項158に記載のSIRP多量体。
【請求項160】
前記リンカーペプチドが、1つ以上のスペーサーを含む、請求項158または159に記載のSIRP多量体。
【請求項161】
前記スペーサーが、GS、GGS、または配列番号52~70のいずれか1つを含む、請求項160に記載のSIRP多量体。
【請求項162】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体が、固体支持体に結合している、請求項138~156のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項163】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項162に記載のSIRP多量体。
【請求項164】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記SIRPポリペプチド単量体が、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、前記固体支持体に結合している、請求項162または163に記載のSIRP多量体。
【請求項165】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項164に記載のSIRP多量体。
【請求項166】
前記少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号111を含む、請求項162~165のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項167】
前記SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項138~156のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項168】
前記2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つが、配列番号111を含む、請求項167に記載のSIRP多量体。
【請求項169】
前記SIRP多量体が、ホモ多量体である、請求項138~168のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項170】
前記SIRP多量体が、ヘテロ多量体である、請求項138~168のいずれか1項に記載のSIRP多量体。
【請求項171】
1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、抗SIRP多量体。
【請求項172】
前記抗SIRP多量体が、1~100の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項171に記載の抗SIRP多量体。
【請求項173】
野生型SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または前記のうちのいずれか2つ以上に結合する抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項171または172に記載の抗SIRP多量体。
【請求項174】
(a)配列番号46を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号47を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(b)配列番号48を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(c)配列番号50を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号51を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(d)配列番号113を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号114を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
(e)配列番号115を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号116を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、ならびに/または
(f)配列番号133を含む重鎖可変ドメイン(V
H)及び配列番号134を含む軽鎖可変ドメイン(V
L)、
を含む抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む、請求項171~173のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項175】
全長抗SIRP抗体を含む、請求項171~174のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項176】
前記抗SIRP抗体が、マウスFcドメインを含む、請求項175に記載の抗SIRP多量体。
【請求項177】
前記マウスFcドメインが、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項176に記載の抗SIRP多量体。
【請求項178】
前記抗SIRP抗体が、
(a)配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖、
(b)配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖、
(c)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖、または
(d)配列番号122を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖、
を含む、請求項175~176のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項179】
前記抗SIRP抗体の前記薬物結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、または単一重鎖抗体である、請求項164~167のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項180】
前記薬物結合フラグメントが、F(ab’)2を含み、前記F(ab’)2が、配列番号131及び132を含む、請求項179に記載の抗SIRP多量体。
【請求項181】
前記抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、エピトープタグまたはリガンドを含む、請求項171~180のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項182】
前記エピトープタグが、配列番号7~32及び126のいずれか1つを含むか、または前記リガンドが、ビオチンを含む、請求項181に記載の抗SIRP多量体。
【請求項183】
前記エピトープタグが、HHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号135)またはGSGSHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号126)を含む、請求項182に記載の抗SIRP多量体。
【請求項184】
前記1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、固体支持体に結合している、請求項171~183のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項185】
前記固体支持体が、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである、請求項184に記載の抗SIRP多量体。
【請求項186】
前記1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントのそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、前記エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、前記固体支持体上に固定されており、前記抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、前記捕捉剤による前記エピトープタグまたはリガンドの特異的結合により固体支持体に結合している、請求項184または185に記載の抗SIRP多量体。
【請求項187】
前記リガンドが、ビオチンであり、前記捕捉剤が、ストレプトアビジンである、請求項186に記載の抗SIRP多量体。
【請求項188】
前記抗SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体またはそのフラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む、請求項171~183のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項189】
前記抗SIRP多量体が、2、3、または4つのビオチン化F(ab’)2フラグメントに結合している前記ストレプトアビジンまたは前記アビジンを含み、前記ビオチン化F(ab’)2フラグメントの2つ以上が、配列番号131及び132を含む、請求項188に記載の抗SIRP多量体。
【請求項190】
前記抗SIRP多量体が、ホモ多量体である、請求項171~189のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【請求項191】
前記抗SIRP多量体が、ヘテロ多量体である、請求項171~189のいずれか1項に記載の抗SIRP多量体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年12月6日に出願された米国仮出願第63/121,964号の優先権の利益を主張し、この内容は、全体が参照により組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピューター可読形式(CRF)(ファイル名:757972001440SEQLIST.TXT、記録日:2021年12月3日、サイズ:96KB))。
【0003】
発明の分野
本発明は、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物による血清学的アッセイの干渉を低減するのに使用される方法及び試薬に関する。
【背景技術】
【0004】
がんを含む多種多様な疾患の処置として開発されている抗体系薬物の数は増加の一途をたどっている。治療用抗体の標的が、血球、例えば、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、及び/または血小板にも発現している場合、そのような処置は、血液型判定及び血清学的アッセイに干渉する可能性がある。
【0005】
例えば、シグナル調節タンパク質α(SIRPα)に結合し且つ貪食を阻害する、広く発現している細胞表面タンパク質であるCD47(Jaiswal et al.,Trends Immunol(2010)31(6):212-219;Brown et al.,Trends Cell Biol(2001)11(3):130-135)は、血液及び固形腫瘍を含む多種多様な悪性腫瘍上に高レベルで発現している。CD47発現の上昇は、進行性疾患とも相関する(Willingham et al.,Proc Natl Acad Sci USA(2012)109(17):6662-6667)。CD47を標的とするいくつかのがん治療法、例えば、抗体Fc領域を含む抗体及び融合タンパク質は、SIRPα-CD47相互作用を遮断するために開発されており、それにより、マクロファージが食細胞機能を実行して腫瘍細胞を除去することが可能になる。
【0006】
CD47は、赤血球(RBC)及び血小板などの血液細胞の表面にも発現しており(Oldenborg et al.,Science(2000)288(5473):2051-2054)、CD47を標的とする抗体Fc領域を含む薬物は、血液型判定及び血清学的試験に干渉し得る。さらに、CD47標的薬(例えば、がんの処置用)を受けている患者が、多くの場合、同時に生じる貧血及び/または血小板減少症を処置するために輸血を必要とするので、抗CD47薬による血清学的及び血液型判定アッセイへの干渉は、患者の重大な安全性の懸念材料である。従って、当該技術分野では、抗体Fc領域を含むCD47標的薬の血清学的アッセイへの干渉を低減する方法及び試薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態では、試薬赤血球(RBC)または試薬血小板を使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法が提供され、該方法は、(a)薬物に結合し且つ薬物が試薬RBCまたは試薬血小板に結合するのを遮断するCD47多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBCまたは試薬血小板を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物は、(i)ヒト抗体Fc領域またはそのバリアント及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含み、CD47多量体は、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、2~100のCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な、野生型ヒトCD47、野生型マウスCD47、野生型ラットCD47、野生型アカゲザルCD47、野生型カニクイザルCD47、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むCD47バリアントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号2~6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、融合ポリペプチドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、多量体化ドメインは、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc単量体は、マウスFc単量体である。いくつかの実施形態では、マウスFc単量体は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号84~86のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、エピトープタグまたはリガンドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む(例えば、さらに含む)。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、可溶性CD47ポリペプチド単量体を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ペプチド結合を介して連結されている少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体は、リンカーペプチドを介して連結されている。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、1つ以上のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GGS、または、配列番号52~70のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、固体支持体に結合している少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、CD47ポリペプチド単量体が、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ヘテロ多量体である。
【0010】
いくつかの実施形態では、試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法が提供され、該方法は、(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を、試薬の赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせに添加すること;及び、(b)ステップ(a)の試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、血漿試料が、薬物による処置を受けている対象由来のものであり、薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法が提供され、該方法は、(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、及び、ステップ(a)の後に、試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、試薬赤血球(RBC)、試薬血小板、またはそれらの組み合わせを含有する血液試料の血清学的アッセイにおいて薬物干渉を低減する方法が提供され、該方法は、(a)ヒトCD47に特異的に結合するSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血液試料に添加すること、及び、(b)ステップ(a)の後に、血液試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含み、SIRP多量体が、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、2~100のSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPα、野生型マウスSIRPα、野生型ラットSIRPα、野生型アカゲザルSIRPα、野生型カニクイザルSIRPα、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、CD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPαバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPγ、野生型マウスSIRPγ、野生型ラットSIRPγ、野生型アカゲザルSIRPγ、野生型カニクイザルSIRPγ、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、CD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPγバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、野生型SIRPβまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPβバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含み、SIRPβバリアントまたはそのフラグメントは、CD47に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、配列番号33~45のいずれか1つのアミノ酸配列を含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、融合ポリペプチドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、多量体化ドメインは、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc単量体は、マウスFc単量体である。いくつかの実施形態では、マウスFc単量体は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、エピトープタグまたはリガンドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、可溶性SIRPポリペプチド単量体を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ペプチド結合を介して連結されている少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、リンカーペプチドを介して連結されている少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、1つ以上のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GGS、または、配列番号52~70のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、固体支持体に結合している少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、SIRPポリペプチド単量体が、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヘテロ多量体である。
【0013】
いくつかの実施形態では、試薬赤血球(RBC)または試薬血小板を使用する血清学的アッセイの薬物干渉を低減する方法が提供され、該方法は、(a)薬物に結合し且つ薬物が試薬RBCまたは試薬血小板に結合するのを遮断する抗SIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBCまたは試薬血小板を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物は、(i)ヒト抗体Fc領域またはそのバリアント及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含み、抗SIRP多量体は、1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、1~100の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または上記のうちのいずれか2つ以上に結合する抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、以下を含む抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む:(a)配列番号46を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号47を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(b)配列番号48を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(c)配列番号50を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号51を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(d)配列番号113を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号114を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(e)配列番号115を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号116を含む軽鎖可変ドメイン(VL);ならびに/または、(f)配列番号133を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号134を含む軽鎖可変ドメイン(VL)。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、全長抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、マウスFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、マウスFcドメインは、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、以下を含む:(a)配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖;(b)配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖;(c)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖;または(d)配列番号122を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体の薬物結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、または単一重鎖抗体である。いくつかの実施形態では、薬物結合フラグメントは、F(ab’)2を含み、F(ab’)2は、配列番号131及び132を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントは、エピトープタグまたはリガンドを含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグは、HHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号135)またはGSGSHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号126)を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、固体支持体に結合している1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントは、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体またはそのフラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化F(ab’)2フラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含み、ビオチン化F(ab’)2フラグメントの2つ以上は、配列番号131及び132を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、ヘテロ多量体である。
【0016】
本明細書の方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、薬物は、抗CD47抗体を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または、野生型SIRPαもしくはSIRPαバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアントを含み、SIRPαバリアントは、野生型SIRPαと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、及び/またはC末端伸長(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPαバリアントの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または、野生型SIRPγもしくはSIRPγバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントを含み、SIRPγバリアントは、野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPγバリアントの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアント、またはSIRPβバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントを含み、SIRPβバリアントは、野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPβバリアントの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、薬物の抗体Fc領域は、ヒトIgG Fc領域またはそのバリアントである。いくつかの実施形態では、ヒトIgG Fc領域は、IgG1、IgG2、もしくはIgG4Fc領域、またはIgG1、IgG2、もしくはIgG4 Fc領域のバリアントである。
【0017】
本明細書の方法のいずれかの、いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、ABO/Rh型判定アッセイである。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、即時スピン(IS)アッセイである。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、IgG及び補体C3を検出する多重特異性試薬を使用する直接抗グロブリン(DAT)アッセイである。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、補体C3を検出する単一特異性試薬を使用する直接抗グロブリン(DAT)アッセイである。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、PEG増強血清学的アッセイである。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、DATアッセイの後に実施される溶出液試験である。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、試験管アッセイまたは固相赤血球アッセイ(SPRCA)である。
【0018】
少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含むCD47多量体が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、2~100のCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な、野生型ヒトCD47、野生型マウスCD47、野生型ラットCD47、野生型アカゲザルCD47、野生型カニクイザルCD47、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、薬物に結合可能な野生型CD47またはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むCD47バリアントを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号2~6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、融合ポリペプチドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、多量体化ドメインは、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc単量体は、マウスFc単量体である。いくつかの実施形態では、マウスFc単量体は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドCD47ポリペプチド単量体は、配列番号84~86のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、エピトープタグまたはリガンドを含むCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、可溶性CD47ポリペプチド単量体を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ペプチド結合を介して連結されている少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、リンカーペプチドを介して連結されている少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、1つ以上のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GGS、または、配列番号52~70のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、固体支持体に結合している複数のCD47ポリペプチド単量体を含む少なくとも2つのCD47多量体を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、CD47ポリペプチド単量体が、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ヘテロ多量体である。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含むSIRP多量体が提供される。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、2~100のSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPα、野生型マウスSIRPα、野生型ラットSIRPα、野生型アカゲザルSIRPα、野生型カニクイザルSIRPα、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、CD47に結合可能な野生型SIRPαまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPαバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合可能な、野生型ヒトSIRPγ、野生型マウスSIRPγ、野生型ラットSIRPγ、野生型アカゲザルSIRPγ、野生型カニクイザルSIRPγ、または上記のうちのいずれか1つのフラグメントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、CD47に結合可能な野生型SIRPγまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPγバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、野生型SIRPβまたはそのフラグメントと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、N末端伸長、またはC末端伸長を含むSIRPβバリアントを含むSIRPポリペプチド単量体を含み、SIRPβバリアントまたはそのフラグメントは、CD47に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、配列番号33~45のいずれか1つのアミノ酸配列を含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、融合ポリペプチドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、多量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、多量体化ドメインは、Fc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、またはc-Fosロイシンジッパードメインを含む。いくつかの実施形態では、Fc単量体は、マウスFc単量体である。いくつかの実施形態では、マウスFc単量体は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、エピトープタグまたはリガンドを含むSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、可溶性SIRPポリペプチド単量体を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ペプチド結合を介して連結されている少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、リンカーペプチドを介して連結されている少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、配列番号85~109、127~130、140、及び141のいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、1つ以上のスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GS、GGS、または、配列番号52~70のうちのいずれか1つを含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、固体支持体に結合している少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のそれぞれが、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、SIRPポリペプチド単量体が、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により、固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体のうちの少なくとも1つは、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヘテロ多量体である。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む抗SIRP多量体が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、1~100の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または上記のうちのいずれか2つ以上に結合する抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、以下を含む抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む:(a)配列番号46を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号47を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(b)配列番号48を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(c)配列番号50を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号51を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(d)配列番号113を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号114を含む軽鎖可変ドメイン(VL);(e)配列番号115を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号116を含む軽鎖可変ドメイン(VL);ならびに/または、(f)配列番号133を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号134を含む軽鎖可変ドメイン(VL)。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、全長抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、マウスFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、マウスFcドメインは、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、以下を含む:(a)配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖;(b)配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖;(c)配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖;または(d)配列番号122を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体の薬物結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、または単一重鎖抗体である。いくつかの実施形態では、薬物結合フラグメントは、F(ab’)2を含み、F(ab’)2は、配列番号131及び132を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントは、エピトープタグまたはリガンドを含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグが、配列番号7~32及び126のうちのいずれか1つを含むか、または、リガンドが、ビオチンを含む。いくつかの実施形態では、エピトープタグは、HHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号135)またはGSGSHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号126)を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、固体支持体に結合している1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、1つ以上の抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントのそれぞれは、エピトープタグまたはリガンドを含み、エピトープタグまたはリガンドに特異的に結合する捕捉剤が、固体支持体上に固定されており、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントが、捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合により固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体またはそのフラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、2、3、または4つのビオチン化F(ab’)2フラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含み、ビオチン化F(ab’)2フラグメントの2つ以上は、配列番号131及び132を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、ホモ多量体である。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、ヘテロ多量体である。
【0024】
特許出願、特許公報、及びUniProtKB/Swiss-Protアクセッション番号を含む、本明細書に引用されている全ての参考文献は、あたかも個々の参考文献が、参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示されているかのように、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】RBC表面抗原に結合する血漿試料中の抗体の存在を検出するために、対象から得られた血漿試料が試薬赤血球(すなわち、特定の細胞表面抗原、または細胞表面抗原群を発現することが既知の赤血球(「RBC」))と混合される血清学的アッセイを示す。あるいは、そのような血清学的アッセイは、試薬RBCの代わりに、試薬血小板(すなわち、特定の細胞表面抗原、または細胞表面抗原群を発現することが既知の血小板)を使用して実施することができる。
【0026】
【
図1B】血漿試料中の(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含む薬物の存在が、
図1Aのアッセイにどのように干渉するかを示す。
【0027】
【
図1C】対象のRBC及び/または血小板上の抗原の存在を検出するための、試薬血漿/抗血清(すなわち、特定のRBC表面抗原(複数可)または血小板表面抗原(複数可)に対する抗体を含有することが既知の血漿または抗血清)と、対象から得られた血液試料が混合される血清学的アッセイを示す。
【0028】
【
図1D】血液試料中の(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分、を含む薬物の存在が、
図1Cのアッセイにどのように干渉するかを示す。
【0029】
【
図2】CD47多量体を、薬物で処置されている対象から得られた血漿試料に添加することを含む、血清学的アッセイの干渉を低減する方法を示す。要約すると、CD47多量体は、血漿試料中の薬物と結合し、その結果、試薬RBCまたは試薬血小板の表面上のCD47に結合するために利用可能な薬物はほとんどないか、または全くない。
【0030】
【
図3A】CD47に結合するSIRP多量体を試薬RBCまたは試薬血小板に添加することを含む、血清学的アッセイの干渉を低減する方法を示す。要約すると、SIRP多量体は、試薬RBCまたは試薬血小板の表面上のCD47に結合する。SIRP多量体による試薬RBC(または試薬血小板)の結合は、薬物が試薬RBC(または試薬血小板)に結合するのを遮断する。
【0031】
【
図3B】薬物による処置を受けている対象由来の血漿に、CD47に結合するSIRP多量体を添加することを含む、血清学的アッセイの干渉を低減する方法を示す。要約すると、SIRP多量体は、試薬RBCまたは試薬血小板の表面に発現しているCD47への結合に関して薬物と競合し、アッセイにおける薬物結合試薬RBCもしくは薬物結合試薬血小板の量を最小限に抑える(またはアッセイにおける薬物結合試薬RBC及び/もしくは薬物結合試薬血小板を除去する)。
【0032】
【
図3C】薬物による処置を受けている対象由来の血液試料に、CD47に結合するSIRP多量体を添加することを含む、血清学的アッセイの干渉を低減する方法を示す。要約すると、SIRP多量体は、対象のRBC及び/または血小板の表面に発現しているCD47への結合に関して薬物と競合し、アッセイにおける薬物結合RBC及び/または薬物結合血小板の量を最小限に抑える(または除去する)。
【0033】
【
図3D】薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に、薬物に結合するSIRP多量体を添加することを含む、血清学的アッセイの干渉を低減する方法を示す。要約すると、SIRP多量体は、血漿試料中の薬物と結合し、その結果、試薬RBCまたは試薬血小板の表面上のCD47に結合するために利用可能な薬物はほとんどないか、または全くない。
【0034】
【
図4】IAT試験管アッセイにおいて、CD47ポリペプチド単量体、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dが薬物Aによる干渉を阻害する程度を比較するために実施された実験の結果を提供する。
【0035】
【
図5】IAT試験管アッセイにおいて、CD47ポリペプチド単量体、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dが薬物Aによる干渉を阻害する程度を比較するために実施された、さらなる実験の結果を提供する。
【0036】
【
図6】IAT試験管アッセイにおいて、CD47ポリペプチド単量体、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dが薬物Aによる干渉を阻害する程度を比較するために実施された、さらなる実験の結果を提供する。
【0037】
【
図7】固相赤血球接着アッセイ(SPRCA)において、CD47ポリペプチド単量体、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dが薬物Aによる干渉を阻害する程度を比較するために実施された実験の結果を提供する。
【0038】
【
図8】固相赤血球接着アッセイ(SPRCA)において、抗SIRP多量体Cまたは抗SIRP多量体Fが薬物Aによる干渉を阻害するかどうかを試験するために実施された実験の結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
I.輸血前の血清学的アッセイの干渉を軽減する方法
CD47は、トロンボスポンジン1(TSP-1)及びシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)を含む免疫細胞上のいくつかの分子と相互作用する膜貫通タンパク質である。CD47に結合する際に、SIRPαは、貪食を阻害し且つ免疫系による健康な細胞の食細胞による除去を防止するシグナル伝達カスケードを開始する。しかし、多くのがんは、CD47を過剰発現し、食細胞によるクリアランスを回避する。従って、CD47を標的とする薬物(例えば、抗CD47抗体と、抗体Fc領域及びCD47に結合する部分を含む融合タンパク質)には、治療上重要な関心がある。CD47は、ヒトの赤血球(RBC)及び血小板の表面にも発現する。従って、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物を対象に投与した後、対象の血漿中に存在する薬物、または対象のRBC及び/もしくは血小板に結合している薬物により、所定の輸血前の血清学的アッセイの干渉が引き起こされ得る。
【0040】
例えば、
図1Aは、対象から得られた血漿試料が、試薬RBCもしくは「参照RBC」(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知であるRBC)、または、試薬血小板もしくは「参照血小板」(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知である血小板)と混合されている血清学的アッセイを示す。これは、試薬RBCまたは試薬血小板上に発現されることが既知である細胞表面抗原に結合する抗体の血漿試料中における存在を検出する。血漿試料及び試薬RBC(または試薬血小板)が混合された後に、抗ヒトグロブリン(AHG)が添加され、血漿試料が、RBC表面抗原(または血小板表面抗原)に結合する抗体を含有する場合、試薬RBC(または試薬血小板)の凝集(例えば、凝集)が生じる。しかし、対象の血漿中に(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物が存在すると、アッセイが干渉され、偽陽性結果が生じ得る。
図1Bに示されているように、対象の血漿及び試薬RBC(または試薬血小板)が混合された後に、薬物は、試薬RBC(または試薬血小板)の表面に発現されているCD47に結合し得る。混合物にAHGを添加すると、試薬RBC(または試薬血小板)の凝集が生じる。
【0041】
図1Cは、対象のRBC及び/または血小板上の抗原の存在を検出する血清学的アッセイ(対象由来の血液試料を試薬血漿/抗血清(すなわち、既知のRBC表面抗原(複数可)または既知の血小板表面抗原(複数可)に対する抗体を含有する血漿または抗血清)と混合している)を示す。試薬血漿/抗血清及び対象由来の試料を混合した後に、試薬血漿/抗血清中の抗体により認識される抗原が、対象のRBC及び/または血小板上で発現している場合、AHGの添加により凝集が生じる。対象のRBC及び/または血小板を含む試料中に、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物が存在すると、アッセイに干渉し、偽陽性結果が生じ得る。
図1Dに示されているように、対象の血液試料及び試薬血漿/抗血清を含む混合物にAHGが添加された後に、対象のRBCまたは血小板上のCD47に結合している薬物が凝集を引き起こすであろう。
【0042】
以下に記載の方法は、すなわち、
図1B及び1Dに示されているように、薬物により引き起こされる干渉を低減する(いくつかの実施形態では、除去する)。
【0043】
II.輸血前の血清学的アッセイの干渉を軽減する、薬物に結合するCD47多量体を使用する方法
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)薬物(すなわち、ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の部分)に結合するCD47多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBC(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知のRBC)及び/または試薬血小板(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知の血小板)を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物は、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む。そのような実施形態は、一般に、
図2に示されている。
図2に示されているように、CD47多量体は、対象の血漿試料中の薬物(例えば、ヒトCD47に結合する薬物の部分)に結合し、薬物が試薬RBC及び/または試薬血小板に結合するのを遮断する。試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上のCD47に結合する遊離薬物は、ほとんどないか、または全くない。試薬RBC及び/または試薬血小板への薬物の結合から生じる干渉(
図1Bに示されている)が最小限に抑えられ(または、いくつかの実施形態では、除去され)、それにより、血清学的アッセイにおける偽陽性結果が防止される。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、10.5倍、11倍、11.5倍、12倍、12.5倍、13倍、13.5倍、14倍、14.5倍、または15倍モル過剰の抗SIRP多量体のうちのいずれか1つを得るために、CD47多量体が、血漿試料に添加される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイが実施される前に、CD47多量体も、試薬RBC及び/または試薬血小板に添加される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイが実施される前に、CD47多量体が、試薬RBC及び/または試薬血小板(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板のみ)に添加される。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、CD47多量体が可溶性である、溶液中で実施される。いくつかの実施形態では、本方法がマトリックスまたは表面への吸着、共有結合、または非共有結合を介して実施される前に、CD47多量体が、固相に固定される。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、固相または固体支持体への固定化後に、薬物に結合可能である。固定化に使用される固相または固体支持体は、本質的に非水溶性で、イムノアッセイに有用な任意の不活性支持体、表面、または担体であり得、これは、例えば、表面、粒子、多孔質マトリックス、セルロースポリマースポンジ(ImmunoCAP(登録商標)、Phadia)などの形態の支持体を含む。一般に使用された支持体の例としては、小さなシート、Sephadex、ポリ塩化ビニル、プラスチックビーズ、金ビーズ、微粒子、アッセイプレート、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどから製造された試験管が挙げられる。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、複数の試料を同時に分析するために使用することができるマルチウェルマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタープレート上にコーティングされる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または、野生型SIRPαもしくはSIRPαバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)を含み、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)は、野生型SIRPα(またはそのCD47結合フラグメント)と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、及び/またはC末端伸長(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPαバリアントの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または、野生型SIRPαもしくはSIRPαバリアントのフラグメントに結合可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または、野生型SIRPγもしくはSIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントを含み、SIRPγバリアントは、野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含み、フラグメントは、SIRPγバリアントの細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または、野生型SIRPγもしくはSIRPγバリアントのフラグメントに結合可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアント、またはCD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントを含み、SIRPβバリアントは、野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPβバリアントの細胞外ドメインを含み、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、SIRPβバリアント、またはSIRPβバリアントのCD47結合フラグメントに結合可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、薬物は、抗CD47抗体(またはそのCD47結合フラグメント)を含み、CD47多量体は、抗CD47抗体(またはそのCD47結合フラグメント)に結合可能である。
【0049】
(a)CD47ポリペプチド単量体を含むCD47多量体
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、複数のCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または最大100(これらの値の間の任意の範囲を含む)のうちの少なくともいずれか1つのCD47ポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、薬物に結合して、薬物が試薬RBC及び/または試薬血小板に結合するのを遮断することが可能な野生型CD47(「WTCD47-ECD」)の細胞外ドメイン、またはWT CD47-ECDの部分を含む。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、CD47の膜貫通ドメインまたはその任意の部分を含まない可溶性ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、融合ポリペプチド、例えば、CD47(またはそのフラグメント)を含む融合ポリペプチド、を含む。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、CD47ポリペプチド単量体(またはそのフラグメント)と、例えば、抗体Fcドメイン、例えば、マウスFcドメイン、を含む。本明細書の他の箇所でさらに詳細に考察されているように、いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、CD47ポリペプチド単量体及び多量体化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、薬物に結合して、薬物が試薬RBC及び/または試薬血小板に結合するのを遮断することが可能な、ヒトCD47、マウスCD47、ラットCD47、アカゲザルCD47、カニクイザルCD47、または任意の起源のCD47を含む。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、ヒトCD47、マウスCD47、ラットCD47、アカゲザルCD47、カニクイザルCD47、または任意の起源のCD47のフラグメントを含む。但し、フラグメントは、薬物に結合して、薬物が試薬RBC及び/または試薬血小板に結合するのを遮断することが可能である。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、野生型CD47のバリアント(またはそのフラグメント、例えば、CD47の膜貫通ドメインまたはその任意の部分を含まないWT CD47-ECDのバリアントもしくはCD47のバリアント)を含む。但し、そのバリアントは、薬物に結合可能である。いくつかの実施形態では、バリアント(またはそのフラグメント)は、野生型CD47(例えば、野生型ヒト、ラット、マウス、アカゲザル、またはカニクイザルCD47)と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、バリアント(すなわち、「CD47バリアント」)に存在する1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)が、野生型CD47(例えば、野生型ヒト、ラット、マウス、アカゲザル、またはカニクイザルCD47)と比較して、CD47バリアントのグリコシル化パターンを変化させる。いくつかの実施形態では、CD47バリアントに存在する1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型CD47(例えば、野生型ヒト、ラット、マウス、アカゲザル、またはカニクイザルCD47)と比較して、CD47バリアントの薬物に対する親和性を増加させる。いくつかの実施形態では、薬物のCD47ポリペプチド単量体に対する親和性は、薬物のヒトCD47に対する親和性よりも大きい。
【0050】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、以下の配列番号1~6のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCD47バリアントを含む:
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVS(配列番号1)
WQLPLLFNKT KSVEFTFGND TVVIPCFVTN MEAQNTTEVY VKWKFKGRDI YTFDGDKNKS TVPTDFSSAK IEVSQLLKGD ASLKMDKSDA VSHTGNYTCE VTELTREGET IIELKYRVVS(配列番号2)
WQPPLLFNKT KSVEFTFGND TVVIPCFVTN MEAQNTTEVY VKWKFKGRDI YTFDGQANKS TVPTDFSSAK IEVSQLLKGD ASLKMDKSDA VSHTGNYTCE VTELTREGET IIELKYRVVS(配列番号3)
WQPPLLFNKT KSVEFTFCND TVVIPCFVTN MEAQNTTEVY VKWKFKGRDI YTFDGQANKS TVPTDFSSAK IEVSQLLKGD ASLKMDKSDA VSHTGNYTCE VTELTREGET IIELKYRVVS(配列番号4)
WQPPLLFNKT KSVEFTCGND TVVIPCFVTN MEAQNTTEVY VKWKFKGRDI YTFDGQANKS TVPTDFSSAK IEVSQLLKGD ASLKMDKSDA VSHTGNYTCE VTELTREGET IIELKYRVVS(配列番号5)
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVSHHH HHHGLNDIFE AQKIEWHE(配列番号6)
【0051】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍モル過剰のCD47多量体のうちのいずれか1つを得るために、CD47多量体が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0052】
多量体化して本明細書に記載の方法で使用することができる例示的なCD47ポリペプチド単量体(例えば、CD47バリアントを含む)に関するさらなる詳細は、Ho et al.(2015)“‘Velcro’Engineering of High Affinity CD47 Ectodomain as Signal Regulatory Protein a(SIRPα)Antagonists That Enhance Antibody-Dependent Cellular Phagocytosis.”J Biol Chem.290:12650-12663及びWO2016/179399で提供されており、これらの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、多量体化ドメインを含む融合ポリペプチドを含む。例示的な多量体化ドメインとしては、例えば、マウスFc単量体などのFc単量体、c-Junロイシンジッパードメイン、及びc-Fosロイシンジッパードメインが挙げられるが、これらに限定されない。これらの多量体化ドメインのそれぞれは、二量体を形成可能である。いくつかの実施形態では、多量体化は、GVGVP(配列番号71)、VPGG(配列番号142)、APGVGV(配列番号72)、GAGAGS(配列番号73)、GPGGG(配列番号74)、GPGGX(式中、Xは、任意のアミノ酸(配列番号123)である)、GPGQQ(配列番号124)、GPGGY(配列番号125)、GGYGPGS(配列番号75)、GAPGAPGSQGAPGLQ(配列番号76)、GAPGTPGPQGLPGSP(配列番号77)、AKLKLAEAKLELA(配列番号78)、PPAKVPEVPEPKKPVPEEKVPVPKKPEA(配列番号79)、及び/またはGGFGGMGGGX(式中、Xは、任意のアミノ酸(配列番号80)である)の反復単位を含む。例えば、以下を参照のこと:Tatham et al.(2000)Trends in Biochemical Sciences,25,567-571;Sanford and Kumar(2005)Current Opinion in Biotechnology,16,416-421;及びCasal et al.(2014)Future Trends for Recombinant Protein-Based Polymers:The Case Study of Development and Application of Silk-Elastin-Like Polymers.In Kabasci(Ed.)Bio-Based Plastics:Materials and Applications(pp.311-32)John Wiley & Sons,Ltd.。
【0054】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、配列番号1~6のいずれか1つ及び配列番号81~83のいずれか1つを含む融合ポリペプチドを含む。配列番号81~83のアミノ酸配列が以下に記載される。配列番号81は、マウスIgG1のCH2及びCH3ドメインを含む。配列番号82は、マウスIgG1のCH2及びCH3ドメインを含み、CH3ドメインは、N297A置換を含み、アミノ酸番号付けは、KabatのEUインデックスに従う。配列番号83は、マウスIgG2aのCH2及びCH3ドメインを含む。
VPRDSGCKPC ICTVPEVSSV FIFPPKPKDV LTITLTPKVT CVVVDISKDD PEVQFSWFVD DVEVHTAQTQ PREEQFNSTF RSVSELPIMH QDWLNGKEFK CRVNSAAFPA PIEKTISKTK GRPKAPQVYT IPPPKEQMAK DKVSLTCMIT DFFPEDITVE WQWNGQPAEN YKNTQPIMDT DGSYFIYSKL NVQKSNWEAG NTFTCSVLHE GLHNHHTEKS LSHSPG(配列番号81)
VPRDSGCKPC ICTVPEVSSV FIFPPKPKDV LTITLTPKVT CVVVDISKDD PEVQFSWFVD DVEVHTAQTQ PREEQFASTF RSVSELPIMH QDWLNGKEFK CRVNSAAFPA PIEKTISKTK GRPKAPQVYT IPPPKEQMAK DKVSLTCMIT DFFPEDITVE WQWNGQPAEN YKNTQPIMDT DGSYFIYSKL NVQKSNWEAG NTFTCSVLHE GLHNHHTEKS LSHSPG (配列番号82)
EPRGPTIKPC PPCKCPAPNL LGGPSVFIFP PKIKDVLMIS LSPIVTCVVV DVSEDDPDVQ ISWFVNNVEV HTAQTQTHRE DYNSTLRVVS ALPIQHQDWM SGKEFKCKVN NKDLPAPIER TISKPKGSVR APQVYVLPPP EEEMTKKQVT LTCMVTDFMP EDIYVEWTNN GKTELNYKNT EPVLDSDGSY FMYSKLRVEK KNWVERNSYS CSVVHEGLHN HHTTKSFSRT PG(配列番号83)
【0055】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、そのアミノ酸配列が以下の配列番号84~86のいずれか1つに記載の融合ポリペプチドを含む。
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVSVPR DSGCKPCICT VPEVSSVFIF PPKPKDVLTI TLTPKVTCVV VDISKDDPEV QFSWFVDDVE VHTAQTQPRE EQFNSTFRSV SELPIMHQDW LNGKEFKCRV NSAAFPAPIE KTISKTKGRP KAPQVYTIPP PKEQMAKDKV SLTCMITDFF PEDITVEWQW NGQPAENYKN TQPIMDTDGS YFIYSKLNVQ KSNWEAGNTF TCSVLHEGLH NHHTEKSLSH SPG(配列番号84)
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVSVPR DSGCKPCICT VPEVSSVFIF PPKPKDVLTI TLTPKVTCVV VDISKDDPEV QFSWFVDDVE VHTAQTQPRE EQFASTFRSV SELPIMHQDW LNGKEFKCRV NSAAFPAPIE KTISKTKGRP KAPQVYTIPP PKEQMAKDKV SLTCMITDFF PEDITVEWQW NGQPAENYKN TQPIMDTDGS YFIYSKLNVQ KSNWEAGNTF TCSVLHEGLH NHHTEKSLSH SPG(配列番号85)
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVSEPR GPTIKPSPPC KCPAPNLLGG PSVFIFPPKI KDVLMISLSP IVTCVVVDVS EDDPDVQISW FVNNVEVHTA QTQTHREDYN STLRVVSALP IQHQDWMSGK EFKCKVNNKD LPAPIERTIS KPKGSVRAPQ VYVLPPPEEE MTKKQVTLTC MVTDFMPEDI YVEWTNNGKT ELNYKNTEPV LDSDGSYFMY SKLRVEKKNW VERNSYSCSV VHEGLHNHHT TKSFSRTPG(配列番号86)
【0056】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体(例えば、融合ポリペプチド)は、エピトープタグを含む(例えば、さらに含む)。いくつかの実施形態では、エピトープタグにより、CD47ポリペプチド単量体の多量体化が促進される。いくつかの実施形態では、タグにより、CD47ポリペプチド単量体の固体支持体(例えば、ビーズ、スライドガラスなど)への固定化が促進される。例示的なエピトープタグとしては、例えば、HHHHHH(配列番号7)、GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)、SRLEEELRRRLTE(配列番号9)、KRRWKKNFIAVSAANRFKKISSSGAL(配列番号10)、ポリグルタミン酸タグ、例えば、EEEEEE(配列番号11)、GAPVPYPDPLEPR(配列番号12)、DYKDDDDK(配列番号13)、YPYDVPDYA(配列番号14)、TKENPRSNQEESYDDNES(配列番号15)、TETSQVAPA(配列番号16)、KETAAAKFERQHMDS(配列番号17)、MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP(配列番号18)、SLAELLNAGLGGS(配列番号19)、TQDPSRVG(配列番号20)、WSHPQFEK(配列番号21)、MASMTGGQQMG(配列番号22)、EVHTNQDPLD(配列番号23);GKPIPNPLLGLDST(配列番号24)、YTDIEMNRLGK(配列番号25)、DLYDDDDK(配列番号26)、TDKDMTITFTNKKDAE(配列番号27)、AHIVMVDAYKPTK(配列番号28)、KLGDIEFIKVNK(配列番号29)、KLGSIEFIKVNK(配列番号30)、DIPATYEFTDGKHYITNEPIPPK(配列番号31)、及びDPIVMIDNDKPIT(配列番号32)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、リガンドを含む(例えば、リガンドに結合している)。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。
【0058】
いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、配列番号6のアミノ酸配列を含む(上を参照)。配列番号6は、N末端からC末端に向かって、WTヒトCD47のアミノ酸配列、ヘキサヒスチジンペプチド(すなわち、HHHHHH(配列番号7))、及び15アミノ酸のタグGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)を含む。AVITAG(商標)としても既知のGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)は、E.coliビオチンリガーゼBirAにより特異的にビオチン化される。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、N末端からC末端に向かって、WTヒトCD47のアミノ酸配列及びヘキサヒスチジンペプチド(すなわち、HHHHHH(配列番号7))を含む、配列番号Gのアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、同一のCD47ポリペプチド単量体(例えば、本明細書に記載の2~100の同一のCD47ポリペプチド単量体)を含むホモ多量体である。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、少なくとも2つの異なるCD47ポリペプチド単量体(例えば、本明細書に記載のCD47ポリペプチド単量体)を含むヘテロ多量体である。2つ以上の異なるCD47ポリペプチド単量体の任意の組み合わせを含むCD47ヘテロ多量体が企図される。
【0060】
いくつかの実施形態では、CD47多量体中のCD47ポリペプチド単量体は、例えば、CD47ポリペプチド単量体の連結鎖を形成するように、ペプチド結合を介して連結されている。いくつかの実施形態では、CD47多量体中のCD47ポリペプチド単量体は、リンカーペプチドを介して連結されている。例示的なリンカーペプチドは、例えば、以下を含むが、これに限定されない:LSGX1RX2X3SX4DNH(配列番号127)(式中、X1~X4のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);X1SGSRKX2RVX3X4X5(配列番号128)(式中、X1~X5のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);SGRXSA(配列番号129)(式中、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸である);LSGX1RX2X3SX4DNH(配列番号130)(式中、X1~X4のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);RX1X2X3RKX4VX5X6GX7(配列番号137)(式中、X1~X7のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);RQARXVV(配列番号138)(式中、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸である);RX1X2RKVX3G(配列番号87)(式中、X1~X3のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);KRRKQGASRKA(配列番号:88);LSGX1RX2X3SX4DNH(配列番号89)(式中、X1~X4のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);X1X2X3X4X5X6NX7X8X9(配列番号90)(式中、X1~X9のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);AANXL(配列番号91)(式中、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸である);ATNXL(配列番号139)(式中、Xは、任意の天然に存在するアミノ酸である);SISQX1YQRSSX2X3(配列番号92)(式中、X1~X3のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);SSKLQ(配列番号93);X1PX2X3LIX4X5X6(配列番号94)(式中、X1~X6のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);GPAX1GLX2GX3(配列番号95)(式中、X1~X3のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);GPLGIAGQ(配列番号96);PVGLIG(配列番号97);HPVGLLAR(配列番号98);X1X2X3VIATX4X5X6X7(配列番号99)(式中、X1~X7のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);X1YYVTAX2X3X4X5(配列番号100)(式中、X1~X5のそれぞれは、任意の天然に存在するアミノ酸である);PRFKIIGG(配列番号101);PRFRIIGG(配列番号102);SSRHRRALD(配列番号103);RKSSIIIRMRDVVL(配列番号104);SSSFDKGKYKGDDA(配列番号105);SSSFDKGKYKRGDDA(配列番号106);IEGR(配列番号141);IDGR(配列番号140);GGSIDGR(配列番号107);PLGLWA(配列番号108);及びDVAQFVLT(配列番号109)。
【0061】
いくつかの実施形態では、CD47多量体中のCD47ポリペプチド単量体は、リンカーペプチド及び少なくとも1つのスペーサーを介して連結されている。いくつかの実施形態では、スペーサーは、3~200のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、1つ以上のグリシン及び/またはセリン残基を含む。特定の実施形態では、スペーサーは、GS、GGS、GGGGS(配列番号52)、GGSG(配列番号53)、またはSGGG(配列番号54)を含む複数のモチーフまたは反復モチーフを含む。特定の実施形態では、スペーサーは、GSGS(配列番号55)、GSGSGS(配列番号56)、GSGSGSGS(配列番号57)、GSGSGSGSGS(配列番号58)、またはGSGSGSGSGSGS(配列番号59)を含む複数または反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGS、例えば、GGSGGS(配列番号60)、GGSGGSGGS(配列番号61)、及びGGSGGSGGSGGS(配列番号136)を含む複数または反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GGSG(配列番号53)、GGSGGGSG(配列番号62)、またはGGSGGGSGGGSG(配列番号63)を含む複数または反復モチーフを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、配列番号52の複数の反復、例えば、2~10の反復、を含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、GENLYFQSGG(配列番号64)、SACYCELS(配列番号65)、RSIAT(配列番号66)、RPACKIPNDLKQKVMNH(配列番号67)、GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号68)、AAANSSIDLISVPVDSR(配列番号69)、またはGGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号70)を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、固体支持体に結合している複数のCD47ポリペプチド単量体(例えば、2~100のCD47ポリペプチド単量体)を含む。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、共有結合または非共有結合的捕捉を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、複数のCD47ポリペプチド単量体(例えば、2つ以上のCD47ポリペプチド単量体)及び固体支持体を含み、CD47ポリペプチド単量体のそれぞれは、(例えば、上記の)エピトープタグまたはリガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定され、CD47ポリペプチド単量体は、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、CD47多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、ビオチン化CD47ポリペプチド単量体は、例えば、実施例に記載されるように、配列番号6をビオチン化することにより生成される。
【0063】
(b)CD47多量体の作製方法
(i)組み換え生成
いくつかの実施形態では、CD47多量体(例えば、ペプチド結合またはリンカーペプチドを介して連結されている少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含むホモ多量体またはヘテロ多量体)は、組み換え宿主細胞により生成される。宿主細胞は、対応する核酸から本明細書に記載のCD47多量体を発現するために必要な必要な細胞の構成要素、例えば、細胞小器官、が含まれるビヒクルを指す。核酸は、当該技術分野で既知の従来手法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染など)により宿主細胞に導入することができる核酸ベクターに含まれ得る。核酸ベクターの選択は、使用されるべき宿主細胞に部分的に依存する。一般に、宿主細胞は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物(例えば、哺乳動物)起源のいずれかである。
【0064】
(A)核酸、ベクター、及び宿主細胞
CD47多量体のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知の様々な方法で調製され得る。これらの方法には、オリゴヌクレオチド媒介(または部位特異的)変異導入及びPCR変異導入が含まれるが、これらに限定されない。CD47多量体をコードするポリヌクレオチド分子は、標準的な手法、例えば、遺伝子合成、を使用して得られ得る。いくつかの実施形態では、CD47多量体をコードするポリヌクレオチド分子は、当該技術分野の標準的手法、例えば、QUIKCHANGE(商標)変異導入、を使用して、特定の置換を含有するように変異され得る。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成装置またはPCR手法を使用して合成することができる。CD47多量体をコードするポリヌクレオチド配列は、原核生物または真核生物の宿主細胞においてポリヌクレオチドを複製及び発現可能なベクターに挿入され得る。多くのベクターが、当該技術分野で利用可能である。各ベクターは、特定の宿主細胞との適合性を調整及び最適化され得る様々な構成要素を含有してもよい。例えば、ベクター構成要素には、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、CD47多量体をコードするポリヌクレオチド配列、及び転写終結配列が含まれてもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ベクターには、複数のCD47多量体の発現を可能にする内部リボソーム侵入部位(IRES)が含まれ得る。細菌発現ベクターのいくつかの例としては、pGEXシリーズのベクター(例えば、pGEX-2T、pGEX-3X、pGEX-4T、pGEX-5X、pGEX-6P)、pETシリーズのベクター(例えば、pET-21、pET-21a、pET-21b、pET-23、pET-24)、pACYCシリーズのベクター(例えば、pACYDuet-1)、pDESTシリーズのベクター(例えば、pDEST14、pDEST15、pDEST24、pDEST42)、ならびにpBR322及びその誘導体(例えば、米国特許第5,648,237号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物発現ベクターのいくつかの例としては、pCDNA3、pCDNA4、pNICE、pSELECT、及びpFLAG-CMVが挙げられるが、これらに限定されない。他のタイプの核酸ベクターには、宿主細胞内でタンパク質を発現させるためのウイルスベクター(例えば、昆虫宿主細胞内でタンパク質を発現させるためのバキュロウイルスベクター)が含まれる。
【0065】
いくつかの実施形態では、E.coli細胞が、宿主細胞として使用される。E.coli株の例としては、例えば、E.coli 294(ATCC(登録商標)31,446)、E.coli λ 1776(ATCC(登録商標)31,537)、E.coli BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)、及びE.coli RV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞が、宿主細胞として使用される。哺乳動物細胞型の例としては、例えば、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、PC3細胞、Vero細胞、及びMC3T3細胞が挙げられるが、これらに限定されない。異なる宿主細胞は、タンパク質生成物の翻訳後プロセシング及び修飾のための特徴的且つ特異的な機序を有する。発現されたタンパク質の適切な修飾及びプロセシングを確実に行うために、適切な細胞株または宿主系が選択され得る。上記の発現ベクターは、当該技術分野における従来の手法、例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、及び直接マイクロインジェクションを使用して、適切な宿主細胞に導入され得る。タンパク質生成のためにベクターが宿主細胞に導入されると、宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変された従来の栄養培地で培養される。
【0066】
(B)タンパク質の生成、回収、及び精製
CD47多量体を生成するために使用される宿主細胞は、当該技術分野で既知の且つ選択された宿主細胞の培養に適した培地中で成長され得る。細菌宿主細胞に適した培地の例としては、ルリアブロス(LB)及び必要な補助剤、例えば、選択剤、例えば、アンピシリン、が挙げられる。哺乳動物宿主細胞に適した培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)が補充されたDMEM、及びRPMI-1640が挙げられる。宿主細胞は、好適な温度、例えば、約20℃~約39℃、例えば、25℃~約37℃、で培養される。培地のpHは、一般に、主に宿主生物に応じて、約6.8~約7.4、例えば、約7.0、である。誘導性プロモーターが発現ベクターに使用される場合、プロモーターの活性化に適した条件下で、タンパク質発現が誘導される。いくつかの実施形態では、宿主細胞により生成されたCD47多量体の回収は、通常は、一般に、浸透圧衝撃、超音波処理、または溶解のような手段による宿主細胞の破壊を含む。細胞が破壊されると、細胞破片は、遠心分離または濾過で除去され得る。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、培地中に分泌される。そのような発現系の上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して最初に濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤は、タンパク質分解を阻害する上記ステップのいずれかに含まれてもよく、外来性汚染物質の成長を防止する抗生物質が含まれてもよい。CD47多量体は、例えば、アフィニティー樹脂クロマトグラフィーで、さらに精製されてもよい。当該技術分野で既知の標準的なタンパク質精製方法を使用することができる。以下の手順は、好適な精製手順の例示である:免疫親和性またはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカまたは陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、SOS-PAGE、及びゲル濾過。
【0067】
(ii)固体支持体への非共有結合的捕捉
いくつかの実施形態では、CD47多量体(例えば、CD47ホモ多量体またはCD47ヘテロ多量体)は、非共有結合的捕捉を介して、複数のCD47ポリペプチド単量体(例えば、2~100のCD47ポリペプチド単量体)を固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、マイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルもしくはポリプロピレンを含むか、またはそれらから作製される。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、それぞれ、リガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定されており、CD47多量体は、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるリガンドの特異的結合を介して、CD47ポリペプチド単量体を固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。固相または固体支持体(例えば、本明細書に記載の固相または固体支持体)上に固定されている少なくとも2つのCD47ポリペプチド単量体を含むCD47多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、それぞれ、ビオチン化され、ストレプトアビジン分子は、固体支持体上に固定されており、CD47ポリペプチド単量体は、アビジンへのビオチンの特異的結合を介して固体支持体に結合している。
【0068】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、配列番号6を含むCD47ポリペプチド単量体をコードする核酸を含む宿主細胞を、CD47ポリペプチド単量体の発現を引き起こす適切な条件下で培養し、CD47ポリペプチド単量体を回収することにより調製される。ビオチン受容体ペプチドのアミノ酸配列を含むCD47ポリペプチド単量体は、E.coliビオチンリガーゼ(BirA)を使用してビオチン化される。ストレプトアビジン及びアビジンは、四量体のビオチン結合糖タンパク質である。ストレプトアビジン及びアビジンの各サブユニットは、高い特異性及び高い親和性(KD=約10-15)でビオチンに結合可能である。いくつかの実施形態では、CD47多量体は、ビオチン化CD47ポリペプチド単量体を、ストレプトアビジンまたはアビジン分子が固定されている固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、例えば、ストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体に結合している複数のCD47ポリペプチド単量体(例えば、2~100のCD47ポリペプチド単量体)を含むCD47多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。例示的なストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体としては、例えば、金ビーズ(例えば、Nanocs、Nanocomposix、及びCytodiagnosticsから入手可能)、金ナノシェル(例えば、Nanocs、Nanocomposix、及びCytodiagnosticsから入手可能)、デキストランポリマー(例えば、FinaBiosoltionsから入手可能)、シリカビーズ(例えば、BangsLabs、ThermoFisher、VectorLabsから入手可能)、磁気ビーズ(例えば、CD Bioparticles、ThermoFisher、SigmaAldrichから入手可能)、ならびにセファロースビーズ(例えば、BioVision及びCellSignalから入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化CD47ポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含むCD47多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、例えば、二官能性タンパク質カップリング剤を介して2つ以上のCD47ポリペプチド単量体を互いに連結することにより生成される。例示的な二官能性タンパク質カップリング剤としては、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トリエン2,6-ジイソシアナート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、CD47多量体は、例えば、二官能性薬物を介して2つ以上のCD47ポリペプチド単量体を固体支持体に連結することにより生成される。一般に使用された架橋剤としては、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4-アジドサリチル酸とのエステル、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジル-プロピオナート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、二官能性マレイミド、例えばビス-N-マレイミド-1,8-オクタン、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダートなどの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
次に、上記のように生成されたCD47多量体は、血清学的アッセイにおいてCD47に結合する薬物による干渉を防止するために、本明細書で提供される方法で使用される。
【0072】
III.輸血前血清学的アッセイの干渉を軽減するためにCD47に結合するSIRP多量体を使用する方法
(a)ヒトCD47に結合するSIRP多量体を使用する方法
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)ヒトCD47に結合し且つ抗ヒトグロブリン(AHG)に結合する抗体Fc領域を含まないSIRP多量体を、試薬RBC(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知のRBC)及び/または試薬血小板(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知の血小板)に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBC及び/または試薬血小板を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、血漿試料は、薬物による処置を受けている対象に由来するものであり、薬物は、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む。そのような実施形態は、一般に、
図3Aに示されている。
図3Aに示されているように、SIRP多量体は、試薬RBC(及び/または試薬血小板)の表面上に発現しているCD47に結合し、薬物が試薬RBC(及び/または試薬血小板)に結合するのを遮断し、それにより、試薬RBC及び/または試薬血小板への薬物の結合から生じる干渉(
図1Bに示されている)が最小限に抑えられる(または、いくつかの実施形態では、除去される)。いくつかの実施形態では、対象由来の血漿試料中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、10.5倍、11倍、11.5倍、12倍、12.5倍、13倍、13.5倍、14倍、14.5倍、または15倍モル過剰のSIRP多量体のうちのいずれか1つを得るために、CD47多量体が、血漿試料に添加される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイが実施される前に、SIRP多量体が、対象の血漿、ならびに試薬RBC及び/または試薬血小板に添加される。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、10.5倍、11倍、11.5倍、12倍、12.5倍、13倍、13.5倍、14倍、14.5倍、または15倍モル過剰の抗SIRP多量体のうちのいずれか1つを得るために、SIRP多量体が、血漿試料に添加される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)ヒトCD47に結合し且つ抗ヒトグロブリン(AHG)に結合する抗体Fc領域を含まないSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBC及び/または試薬血小板を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物は、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む。
図3Bに示されているように、SIRP多量体は、試薬RBC(及び/または試薬血小板)の表面上に発現しているCD47への結合に関して薬物と競合し、それにより、薬物の試薬RBC及び/または試薬血小板への結合から生じる干渉(
図1Bに示されている)が最小限に抑えられる(または、いくつかの実施形態では、除去される)。
【0074】
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)ヒトCD47に結合するが、抗ヒトグロブリン(AHG)に結合する抗体Fc領域を含まないSIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血液試料に添加すること、及び、(b)ステップ(a)の後に、試薬血漿/抗血清を使用して、血液試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物が、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む。
図3Cに示されているように、SIRP多量体は、対象のRBC及び/または血小板の表面に発現しているCD47への結合に関して薬物と競合し、それにより、対象のRBC及び/または血小板への薬物の結合から生じる干渉(
図1Dに示されている)が最小限に抑えられる(または、いくつかの実施形態では、除去される)。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、血清学的アッセイが実施される前に、試薬血漿/抗血清、及び対象由来の血液試料に添加される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、SIRP多量体が可溶性である、溶液中で実施される。いくつかの実施形態では、本方法がマトリックスまたは表面への吸着、共有結合、または非共有結合を介して実施される前に、SIRP多量体が、固相に固定される。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、固相または固体支持体への固定化後に、CD47に結合可能である。固定化に使用される固相または固体支持体は、本質的に非水溶性で、イムノアッセイに有用な任意の不活性支持体、表面、または担体であり得、これは、例えば、表面、粒子、多孔質マトリックス、セルロースポリマースポンジ(ImmunoCAP(登録商標)、Phadia)などの形態の支持体を含む。一般に使用された支持体の例としては、小さなシート、Sephadex、ポリ塩化ビニル、プラスチックビーズ、金ビーズ、微粒子、アッセイプレート、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどから製造された試験管が挙げられる。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、複数の試料を同時に分析するために使用することができるマルチウェルマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタープレート上にコーティングされる。
【0076】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または、野生型SIRPαもしくはSIRPαバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)を含み、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)は、野生型SIRPα(またはそのCD47結合フラグメント)と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、及び/またはC末端伸長(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPαバリアントの細胞外ドメインを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または、野生型SIRPγもしくはSIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントを含み、SIRPγバリアントは、野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含み、フラグメントは、SIRPγバリアントの細胞外ドメインを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアント、またはCD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントを含み、SIRPβバリアントは、野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPβバリアントの細胞外ドメインを含み、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能である。
【0079】
いくつかの実施形態では、薬物は、抗CD47抗体を含む。
【0080】
(b)CD47に結合するSIRPポリペプチド単量体を含むSIRP多量体
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合するSIRP多量体は、複数のSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能な少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または最大100のSIRPポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、「SIRPポリペプチド単量体」は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPαポリペプチド単量体、SIRPγポリペプチド単量体、またはSIRPβバリアントポリペプチド単量体を指す。いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、抗体Fc領域を含まない。例示的なSIRPαポリペプチド単量体、SIRPγポリペプチド単量体、及びSIRPβバリアントポリペプチド単量体は、さらに詳細に、以下に記載される。
【0081】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合するSIRPαポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド単量体は、CD47に結合可能なSIRPαのフラグメント(例えば、野生型SIRPαの細胞外ドメイン(「WT SIRPα-ECD」)またはそのD1ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、CD47に結合可能なSIRPαのフラグメントは、可溶性フラグメント(例えば、膜貫通ドメインまたはその任意の部分が含まれないSIRPαのフラグメント)である。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド単量体は、ヒトSIRPα、マウスSIRPα、ラットSIRPα、アカゲザルSIRPα、カニクイザルSIRPα、または任意の起源のSIRPαを含む。但し、SIRPαは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上に発現されているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド単量体は、ヒトSIRPα、マウスSIRPα、ラットSIRPα、アカゲザルSIRPα、カニクイザルSIRPα、または任意の起源のSIRPαのフラグメントを含む。但し、フラグメントは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面に発現しているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド単量体は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPαバリアント(またはそのフラグメント、例えば、WT SIRPα-ECDのバリアントもしくはそのD1ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、CD47に結合可能なSIRPαバリアント(またはそのフラグメント)は、野生型SIRPαと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))に存在する、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型SIRPαと比較して、SIRPαバリアントのグリコシル化パターンを変化させる。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))に存在する、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型SIRPαと比較して、SIRPαバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))のヒトCD47に対する親和性を増加させる。
【0082】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合するSIRPγポリペプチド単量体を含む。いくつかの実施形態では、SIRPγポリペプチド単量体は、CD47に結合可能なSIRPγのフラグメント(例えば、野生型SIRPγの細胞外ドメイン(「WT SIRPγ-ECD」)またはそのD1ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、CD47に結合可能なSIRPγのフラグメントは、可溶性フラグメント(例えば、膜貫通ドメインまたはその任意の部分が含まれないSIRPγのフラグメント)である。いくつかの実施形態では、SIRPγポリペプチド単量体は、ヒトSIRPγ、マウスSIRPγ、ラットSIRPγ、アカゲザルSIRPγ、カニクイザルSIRPγ、または任意の起源のSIRPγを含む。但し、SIRPγは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上に発現されているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPγポリペプチド単量体は、ヒトSIRPγ、マウスSIRPγ、ラットSIRPγ、アカゲザルSIRPγ、カニクイザルSIRPγ、または任意の起源のSIRPγのフラグメントを含む。但し、フラグメントは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面に発現しているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPγポリペプチド単量体は、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上に発現しているヒトCD47)に結合可能なSIRPγバリアント(またはそのフラグメント、例えば、WT SIRPγ-ECDのバリアントもしくはそのD1ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))は、野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))に存在する、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型SIRPγと比較して、SIRPγバリアントのグリコシル化パターンを変化させる。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアント(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))に存在する、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型SIRPγと比較して、SIRPγバリアントのヒトCD47に対する親和性を増加させる。
【0083】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ヒトCD47に結合するSIRPβバリアントポリペプチド単量体、またはヒトCD47に結合する、そのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD47に結合可能なSIRPβバリアントポリペプチド単量体のフラグメントは、可溶性フラグメント(例えば、膜貫通ドメインまたはその任意の部分が含まれないSIRPβバリアントポリペプチドのフラグメント)である。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントポリペプチド単量体は、野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含み、これは、野生型SIRPβと比較して、SIRPβバリアントポリペプチド単量体のヒトCD47に対する親和性を増加させる。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントポリペプチド単量体は、CD47に結合可能なSIRPβバリアントのフラグメント(例えば、SIRPβバリアントの細胞外ドメインまたはそのD1ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、CD47に結合可能なSIRPβバリアントのフラグメントは、可溶性フラグメント(例えば、膜貫通ドメインまたはその任意の部分が含まれないSIRPβバリアントのフラグメント)である。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントポリペプチド単量体は、野生型ヒトSIRPβのバリアント、野生型マウスSIRPβのバリアント、野生型ラットSIRPβのバリアント、野生型アカゲザルSIRPβのバリアント、野生型カニクイザルSIRPβのバリアント、または任意の起源のSIRPβバリアントを含む。但し、そのSIRPβバリアントは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上に発現しているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントポリペプチド単量体は、野生型ヒトSIRPβのバリアント、野生型マウスSIRPβのバリアント、野生型ラットSIRPβのバリアント、野生型のバリアント、野生型アカゲザルSIRPβのバリアント、野生型カニクイザルSIRPβのバリアント、または任意の起源のSIRPβバリアントのフラグメントを含む。但し、フラグメントは、CD47(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上に発現しているヒトCD47)に結合可能である。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントポリペプチド単量体(またはそのフラグメント(CD47に結合可能))に存在する、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)は、野生型SIRPβと比較して、SIRPβバリアントポリペプチド単量体のグリコシル化パターンを変化させる。
【0084】
いくつかの実施形態では、SIRPαポリペプチド単量体、SIRPβバリアントポリペプチド単量体、またはSIRPγポリペプチド単量体は、以下の配列番号33~41のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGA ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号33)
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRELIY NQREGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGA ITPADAGTYY CVKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号34)
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQREGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGA ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号35)
EDELQIIQPE KSVSVAAGES ATLRCAITSL FPVGPIQWFR GAGAGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSETTKRN NLDFSISISN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号36)
EEELQIIQPD KSISVAAGES ATLHCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRISN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号37)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL FPVGPIQWFR GVGPGRVLIY NQRDGPFPRV TTVSDGTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGTPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号38)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL FPVGPIQWFR GVGPGRVLIY NQKDGPFPRV TTVSDGTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGSPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号39)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL FPVGPIQWFR GVGPGRVLIY NQKDGHFPRV TTVSDGTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGSPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号40)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSH FPVGPIQWFR GVGPGRVLIY NQKDGHFPRV TTVSDGTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGSPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号41)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL FPVGPVLWFR GVGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGTPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号42)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL FPVGPIQWFR GVGPGRELIY NAREGRFPRV TTVSDLTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGSPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号43)
EEELQIIQPE KLLLVTVGKT ATLHCTITSL LPVGPIQWFR GVGPGRELIY NQRDGPFPRV TTVSDGTKRN NMDFSIRISS ITPADVGTYY CVKFRKGTPE DVEFKSGPGT EMALGAKPS(配列番号44)
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPS(配列番号45)
【0085】
本明細書に記載の方法で多量体化及び使用することができる例示的なSIRPαポリペプチド単量体(例えば、SIRPαバリアント)、SIRPβバリアントポリペプチド単量体、及びSIRPγポリペプチド単量体(例えば、SIRPγバリアント)に関するさらなる詳細は、WO2013/109752;US2015/0071905;USP9,944,911;WO2016/023040;WO2017/027422;US2017/0107270;USP10,259,859;US9845345;WO2016187226;US20180155405;WO2017177333;WO2014094122;US2015329616;US20180312563;WO2018176132;WO2018081898;WO2018081897;US20180141986A1;及びEP3287470A1で提供され、これらの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、例えば、限定されないが、CD47ポリペプチド単量体に対する上記の例示的な多量体化ドメインを含む、多量体化ドメインを含む融合ポリペプチドを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、配列番号33~45のいずれか1つ及び配列番号81~83のいずれか1つに記載の多量体化ドメインを含む融合ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、WO2013/109752;US2015/0071905;USP9,944,911;WO2016/023040;WO2017/027422;US2017/0107270;USP10,259,859;US9845345;WO2016187226;US20180155405;WO2017177333;WO2014094122;US2015329616;US20180312563;WO2018176132;WO2018081898;WO2018081897;US20180141986A1;及びEP3287470A1のいずれか1つに開示されたSIRPポリペプチド単量体、ならびに配列番号81~83のいずれか1つに記載の多量体化ドメイン、を含む融合ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、配列番号110に記載のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドを含む。
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPSA KTTAPSVYPL APVCGDTTGS SVTLGCLVKG YFPEPVTLTW NSGSLSSGVH TFPAVLQSDL YTLSSSVTVT SSTWPSQSIT CNVAHPASST KVDKKIEPRG PTIKPCPPCK CPAPNLLGGP SVFIFPPKIK DVLMISLSPI VTCVVVDVSE DDPDVQISWF VNNVEVHTA QTQTHREDYN STLRVVSALP IQHQDWMSGK EFKCKVNNKD LPAPIERTIS KPKGSVRAPQ VYVLPPPEEE MTKKQVTLTC MVTDFMPEDI YVEWTNNGKT ELNYKNTEPV LDSDGSYFMY SKLRVEKKNW VERNSYSCSV VHEGLHNHHT TKSFSRTPG(配列番号110)。
【0088】
いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体(例えば、融合ポリペプチド)は、エピトープタグを含む(例えば、さらに含む)。いくつかの実施形態では、エピトープタグにより、SIRPポリペプチド単量体の多量体化が促進される。いくつかの実施形態では、タグにより、SIRPポリペプチド単量体の固体支持体(例えば、ビーズ、ガラス面など)への固定化が促進される。例示的なエピトープタグには、CD47ポリペプチド単量体に対する上記の配列番号7~32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、リガンドを含む(例えば、これに結合される)。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。
【0090】
いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、配列番号111のアミノ酸配列を含む(以下を参照)。配列番号111は、N末端からC末端に向かって、配列番号45のアミノ酸配列、ヘキサヒスチジンペプチド(すなわち、HHHHHH(配列番号7))、及び15アミノ酸のタグGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)を含む。AVITAG(商標)としても既知のGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)は、E.coliビオチンリガーゼBirAにより特異的にビオチン化される。いくつかの実施形態では、CD47ポリペプチド単量体は、N末端からC末端に向かって、配列番号45のアミノ酸配列及びヘキサヒスチジンペプチド(すなわち、HHHHHH(配列番号7))を含む、配列番号112のアミノ酸配列(以下を参照)を含む。
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPSH HHHHHGLNDI FEAQKIEWHE(配列番号111)
EEELQIIQPD KSVLVAAGET ATLRCTITSL FPVGPIQWFR GAGPGRVLIY NQRQGPFPRV TTVSDTTKRN NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CIKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPSH HHHHH(配列番号112)
【0091】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合するSIRP多量体は、同一のSIRPポリペプチド単量体(例えば、同一のSIRPαポリペプチド単量体、同一のSIRPβバリアントポリペプチド単量体、または同一のSIRPγポリペプチド単量体、例えば、本明細書に記載のSIRPポリペプチド単量体)を含むホモ多量体である。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合するSIRP多量体は、少なくとも2つの異なるSIRPαポリペプチド単量体、2つの異なるSIRPβバリアントポリペプチド単量体、2つの異なるSIRPγポリペプチド単量体、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含むヘテロ多量体である。2つ以上の異なるSIRPαポリペプチド単量体、SIRPβバリアントポリペプチド単量体、及び/またはSIRPγポリペプチド単量体(例えば、本明細書に記載のSIRPポリペプチド単量体)の任意の組み合わせを含むSIRPヘテロ多量体が企図される。
【0092】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体中のSIRPポリペプチド単量体は、例えば、SIRPポリペプチド単量体の連結鎖を形成するように、ペプチド結合またはリンカーペプチドを介して連結されている。いくつかの実施形態では、SIRP多量体中のSIRPポリペプチド単量体は、リンカーペプチドを介して連結されている。例示的なリンカーペプチドは、配列番号85~109、127~130、140、及び141に記載のもの、ならびにCD47多量体で使用される他のリンカーを含むが、これらに限定されない(上を参照)。いくつかの実施形態では、SIRP多量体中のSIRPポリペプチド単量体は、ペプチドリンカー及び少なくとも1つのスペーサーを介して連結されている。例示的なペプチドスペーサーとしては、配列番号52~70、及びCD47多量体で使用される他のスペーサーが挙げられるが、これらに限定されない(上を参照)。
【0093】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合するSIRP多量体は、固体支持体に結合している複数のSIRPポリペプチド単量体(例えば、2~100のSIRPポリペプチド単量体)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、共有結合または非共有結合的捕捉を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルもしくはポリプロピレンを含むか、またはそれらから作製される。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合するSIRP多量体は、複数のSIRPポリペプチド単量体(例えば、2つ以上のSIRPポリペプチド単量体)及び固体支持体を含み、SIRPポリペプチド単量体のそれぞれは、(例えば、上記の)エピトープタグまたはリガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定され、SIRPポリペプチド単量体は、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。
【0094】
(c)SIRP多量体を作製する方法。
いくつかの実施形態では、SIRP多量体(例えば、ペプチド結合またはリンカーペプチドを介して連結されている少なくとも2つのSIRPポリペプチド単量体を含むホモ多量体またはヘテロ多量体)は、組み換え宿主細胞により生成される。組み換え手法を使用してCD47多量体を生成する、本明細書に記載の方法のいずれも、同様に、SIRPポリペプチド単量体を含むSIRP多量体の生成に適用可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、非共有結合的捕捉を介して、複数のSIRPポリペプチド単量体(例えば、2~100のSIRPポリペプチド単量体)を固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、SIRPポリペプチド単量体は、それぞれ、リガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定されており、SIRP多量体は、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるリガンドの特異的結合を介して、SIRPポリペプチド単量体を固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。
【0096】
CD47ポリペプチド単量体を固体支持体に結合させてCD47多量体を生成する本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれも、同様に、SIRPポリペプチド単量体を固体支持体に結合させてSIRP多量体を生成するのに適用可能である。例えば、いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、配列番号111を含むSIRPポリペプチド単量体をコードする核酸を含む宿主細胞を、SIRPポリペプチド単量体の発現を引き起こす適切な条件下で培養し、SIRPポリペプチド単量体を回収することにより調製される。ビオチン受容体ペプチドのアミノ酸配列を含むSIRPポリペプチド単量体は、E.coliビオチンリガーゼ(BirA)を使用してビオチン化される。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、ビオチン化SIRPポリペプチド単量体を、ストレプトアビジンまたはアビジン分子が固定されている固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、例えば、ストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体に結合している複数のSIRPポリペプチド単量体(例えば、2~100のSIRPポリペプチド単量体)を含むSIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。例示的なストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載される。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化SIRPポリペプチド単量体に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含むSIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような)二官能性架橋剤を使用して、1つ以上のSIRP単量体ポリペプチドを、例えば、固体支持体に、または、例えば、相互に結合させることにより生成される。
【0098】
次に、このように生成されたSIRP多量体は、血清学的アッセイにおいてCD47に結合する薬物による干渉を防止するために、本明細書で提供される方法で使用される。
【0099】
IV.輸血前血清学的アッセイの干渉を軽減するために抗SIRP多量体を使用する方法
(a)薬物に結合する抗SIRP多量体を使用する方法
いくつかの実施形態では、本方法は、(a)薬物(すなわち、ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の部分)に結合する抗SIRP多量体を、薬物による処置を受けている対象由来の血漿試料に添加すること、ならびに、(b)ステップ(a)の後に、試薬RBC(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知のRBC)及び/または試薬血小板(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知の血小板)を使用して、血漿試料の血清学的アッセイを実施すること、を含み、薬物は、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む。そのような実施形態は、一般に、
図3Dに示されている。
図3Dに示されているように、抗SIRP多量体は、対象の血漿試料中の薬物(例えば、ヒトCD47に結合する薬物の部分)に結合し、薬物が試薬RBC及び/または試薬血小板に結合するのを遮断する。試薬RBC及び/または試薬血小板の表面上のCD47に結合できる薬物は、ほとんど、または全くない。試薬RBC及び/または試薬血小板への薬物の結合から生じる干渉(
図1Bに示されている)が最小限に抑えられ(または、いくつかの実施形態では、除去され)、それにより、血清学的アッセイにおける偽陽性結果が防止される。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、10.5倍、11倍、11.5倍、12倍、12.5倍、13倍、13.5倍、14倍、14.5倍、または15倍モル過剰の抗SIRP多量体のうちのいずれか1つを得るために、抗SIRP多量体が、血漿試料に添加される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイが実施される前に、薬物に結合する抗SIRP多量体も、試薬RBC及び/または試薬血小板に添加される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイが実施される前に、抗SIRP多量体が、試薬RBC及び/または試薬血小板(例えば、試薬RBC及び/または試薬血小板のみ)に添加される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、薬物に結合する抗SIRP多量体が可溶性である、溶液中で実施される。いくつかの実施形態では、薬物に結合する抗SIRP多量体は、マトリックスまたは表面への吸着、共有結合、または非共有結合を介して方法が実施される前に、固相に固定される。いくつかの実施形態では、薬物に結合する抗SIRP多量体は、固相または固体支持体への固定化後に、薬物に結合可能である。固定化に使用される固相または固体支持体は、本質的に非水溶性で、イムノアッセイに有用な任意の不活性支持体、表面、または担体であり得、これは、例えば、表面、粒子、多孔質マトリックス、セルロースポリマースポンジ(ImmunoCAP(登録商標)、Phadia)などの形態の支持体を含む。一般に使用された支持体の例としては、小さなシート、Sephadex、ポリ塩化ビニル、プラスチックビーズ、金ビーズ、微粒子、アッセイプレート、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどから製造された試験管が挙げられる。いくつかの実施形態では、薬物に結合する抗SIRP多量体は、複数の試料を同時に分析するために使用することができるマルチウェルマイクロタイタープレートなどのマイクロタイタープレート上にコーティングされる。
【0101】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPα、SIRPαバリアント、または、野生型SIRPαもしくはSIRPαバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)を含み、SIRPαバリアント(またはそのCD47結合フラグメント)は、野生型SIRPα(またはそのCD47結合フラグメント)と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、及び/またはC末端伸長(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPαバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPαバリアントの細胞外ドメインを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、野生型SIRPγ、SIRPγバリアント、または、野生型SIRPγもしくはSIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントを含み、SIRPγバリアントは、野生型SIRPγと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPγバリアントのCD47結合フラグメントを含み、フラグメントは、SIRPγバリアントの細胞外ドメインを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアント、またはCD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能なSIRPβバリアントのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントを含み、SIRPβバリアントは、野生型SIRPβと比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、挿入(複数可)、欠失(複数可)、N末端伸長(複数可)、C末端伸長(複数可)、または上記のうちのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する薬物の部分は、SIRPβバリアントのフラグメントを含み、フラグメントは、SIRPβバリアントの細胞外ドメインを含み、CD47(例えば、ヒトCD47)に結合可能である。
【0104】
(b)抗SIRP多量体
いくつかの実施形態では、薬物に結合する抗SIRP多量体は、薬物のSIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、SIRPγ、またはSIRPγバリアント部分に結合可能な抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、薬物に結合する抗SIRP多量体は、薬物のSIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、SIRPγ、またはSIRPγバリアント部分に結合可能な1つ以上の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または最大100の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、二価の抗SIRP抗体を含む(例えば、それである)。いくつかの実施形態では、「抗SIRP抗体」は、SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPγ、SIRPγバリアント、またはSIRPβバリアントに特異的に結合する抗体またはその薬物結合フラグメント(例えば、その抗原結合フラグメント)を指す。SIRPα、SIRPβ、及びSIRPγの細胞外ドメインは、高い相同性を有する。従って、いくつかの実施形態では、「抗SIRP抗体」は、SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPγ、SIRPγバリアント、及び/またはSIRPβバリアントのうちの1つ以上と交差反応する可能な抗体またはその薬物結合フラグメントを指す。
【0105】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、全長抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、抗ヒトグロブリン試薬(AHG)に結合しないFc領域(またはその部分)を含む。(血清学的アッセイ及びそのようなアッセイで使用される試薬に関するさらなる詳細は、本明細書の他の箇所で提供される)。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、マウスFc領域(またはその部分)を含む。いくつかの実施形態では、マウスFc領域は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体の薬物結合フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)は、例えば、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、単一重鎖抗体などである。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、薬物(すなわち、SIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、SIRPγ、またはSIRPγバリアントを含む薬物の部分)に結合するADA(抗薬物抗体)またはNAb(中和抗体)である。いくつかの実施形態では、薬物の抗SIRP抗体に対する親和性は、薬物のヒトCD47に対する親和性よりも大きい。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号114のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号116のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号133のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号134のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むマウスFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体の薬物結合フラグメントは、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab’-SH、Fv、ダイアボディ、ワンアーム抗体、scFv、scFv-Fc、単一ドメイン抗体、単一重鎖抗体などを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体の薬物結合フラグメントは、配列番号131及び配列番号132を含むFabまたはF(ab’)2を含む。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFSFS SYAMNWVRQA PGEGLEWVSR INSGGGGTDY AESVKGRFTI SRDNSENTLY LQMNSLRAED TAVYYCAKQY DWNSFFDYWG LGALVTVSS(配列番号46)
ETVLTQSPAT LSVSPGERAT LSCRASQTVG SKLAWHQQKP GQAPRLLIYD ATNRATGISD RFSGSGSGTD FTLTISSLQT EDSAVYYCQQ YYYWPPYRFG GGTKVEIK(配列番号47)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCEASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWVAG ISSGSDTYYG DSVKGRLTIS RDNSKNILYL QMNSLTAEDT AVYYCARETW NHLFDYWGQG TLVTVSS(配列番号48)
SYELTQPPSV SVSPGQTARI TCSGGSYSSY YYAWYQQKPG QAPVTLIYSD DKRPSNIPER FSGSSSGTTV TLTISGVQAE DEADYYCGGY DQSSYTNPFG GGTKLTVL(配列番号49)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SYDMNWVRQA PGEGLEWVSL ISGSGEIIYY ADSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCAKEN NRYRFFDDWG QGTLVTVSS(配列番号50)
ETVLTQSPGT LTLSPGERAT LTCRASQSVY TYLAWYQEKP GQAPRLLIYG ASSRATGIPD RFSGSGSGTE FTLTISSLQS EDFAVYYCQQ YYDRPPLTFG GGTKVEIK(配列番号51)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SYAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY IDSVKGRFTI SRDNPKNSLY LQMSSLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSS(配列番号113)
ALTQPASVSA NPGETVKITC SGGDYYSTYY AWYQQKSPGS APVTVIHSDD KRPSDIPSRF SGSASGSAAT LIITGVRVED EAVYYCGGYD GRTYINTFGA GTTLTVL(配列番号114)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSS(配列番号115)
ALTQPASVSA NPGETVKIAC SGGDYYSYYY GWYQQKAPGS ALVTVIYSDD KRPSDIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRAED EAVYYCGGYD YSTYANAFGA GTTLTVL(配列番号116)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCEASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWVAG ISSGSDTYYG DSVKGRLTIS RDNSKNILYL QMNSLTAEDT AVYYCARETW NHLFDYWGLG TLVTVS(配列番号133)
ALTQPASVSA SPGETVEITC SGGSDSSYYY GWYQQKSPGS APVTVIYSDN KRPSNIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRVED EAVYYCGGYD YSTYTNPFGA GTTLTVL(配列番号134)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCEASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWVAG ISSGSDTYYG DSVKGRLTIS RDNSKNILYL QMNSLTAEDT AVYYCARETW NHLFDYWGLG TLVTVSSAKT TAPSVYPLAP VCGDTTGSSV TLGCLVKGYF PEPVTLTWNS GSLSSGVHTF PAVLQSDLYT LSSSVTVTSS TWPSQSITCN VAHPASSTKV DKKIEPRGPT IKPCPPCKCP GSGSHHHHHH GLNDIFEAQK IEWHE(配列番号131)
ALTQPASVSA SPGETVEITC SGGSDSSYYY GWYQQKSPGS APVTVIYSDN KRPSNIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRVED EAVYYCGGYD YSTYTNPFGA GTTLTVLRTV AAPSVFIFPP SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC(配列番号132)
【0106】
いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体は、配列番号122を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖を含む。配列番号117~122のアミノ酸配列は、以下で提供される。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTPPSVYPLA PGSAAQTNSM VTLGCLVKGY FPEPVTVTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVPS STWPSETVTC NVAHPASSTK VDKKIVPRDC GCKPCICTVP EVSSVFIFPP KPKDVLTITL TPKVTCVVVD ISKDDPEVQF SWFVDDVEVH TAQTQPREEQ FASTFRSVSE LPIMHQDWLN GKEFKCRVNS AAFPAPIEKT ISKTKGRPKA PQVYTIPPPK EQMAKDKVSL TCMITDFFPE DITVEWQWNG QPAENYKNTQ PIMDTDGSYF IYSKLNVQKS NWEAGNTFTC SVLHEGLHNH HTEKSLSHSP G (配列番号117)
ALTQPASVSA NPGETVKIAC SGGDYYSYYY GWYQQKAPGS ALVTVIYSDD KRPSDIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRAED EAVYYCGGYD YSTYANAFGA GTTLTVLGQP KSSPSVTLFP PSSEELETNK ATLVCTITDF YPGVVTVDWK VDGTPVTQGM ETTQPSKQSN NKYMASSYLT LTARAWERHS SYSCQVTHEG HTVEKSLSRA DCS(配列番号118)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTAPSVYPLA PVCGDTTGSS VTLGCLVKGY FPEPVTLTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVTS STWPSQSITC NVAHPASSTK VDKKIEPRGP TIKPCPPCKC PAPNLLGGPS VFIFPPKIKD VLMISLSPIV TCVVVDVSED DPDVQISWFV NNVEVHTAQT QTHREDYNST LRVVSALPIQ HQDWMSGKEF KCKVNNKDLP APIERTISKP KGSVRAPQVY VLPPPEEEMT KKQVTLTCMV TDFMPEDIYV EWTNNGKTEL NYKNTEPVLD SDGSYFMYSK LRVEKKNWVE RNSYSCSVVH EGLHNHHTTK SFSRTPG(配列番号119)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SYAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY IDSVKGRFTI SRDNPKNSLY LQMSSLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTPPSVYPLA PGSAAQTNSM VTLGCLVKGY FPEPVTVTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVPS STWPSETVTC NVAHPASSTK VDKKIVPRDC GCKPCICTVP EVSSVFIFPP KPKDVLTITL TPKVTCVVVD ISKDDPEVQF SWFVDDVEVH TAQTQPREEQ FASTFRSVSE LPIMHQDWLN GKEFKCRVNS AAFPAPIEKT ISKTKGRPKA PQVYTIPPPK EQMAKDKVSL TCMITDFFPE DITVEWQWNG QPAENYKNTQ PIMDTDGSYF IYSKLNVQKS NWEAGNTFTC SVLHEGLHNH HTEKSLSHS PG(配列番号120)
ALTQPASVSA NPGETVKITC SGGDYYSTYY AWYQQKSPGS APVTVIHSDD KRPSDIPSRF SGSASGSAAT LIITGVRVED EAVYYCGGYD GRTYINTFGA GTTLTVLGQP KSSPSVTLFP PSSEELETNK ATLVCTITDF YPGVVTVDWK VDGTPVTQGM ETTQPSKQSN NKYMASSYLT LTARAWERHS SYSCQVTHEG HTVEKSLSRA DCS(配列番号121)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SYAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY IDSVKGRFTI SRDNPKNSLY LQMSSLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTAPSVYPLA PVCGDTTGSS VTLGCLVKGY FPEPVTLTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVTS STWPSQSITC NVAHPASSTK VDKKIEPRGP TIKPCPPCKC PAPNLLGGPS VFIFPPKIKD VLMISLSPIV TCVVVDVSED DPDVQISWFV NNVEVHTAQT QTHREDYNST LRVVSALPIQ HQDWMSGKEF KCKVNNKDLP APIERTISKP KGSVRAPQVY VLPPPEEEMT KKQVTLTCMV TDFMPEDIYV EWTNNGKTEL NYKNTEPVLD SDGSYFMYSK LRVEKKNWVE RNSYSCSVVH EGLHNHHTTK SFSRTPG(配列番号122)
【0107】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、配列番号115を含むVH及び配列番号116を含むVLを含む抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍のうちのいずれか1つのモル過剰の抗SIRP多量体を得るために、抗SIRP多量体(例えば、抗SIRP抗体)が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍のうちのいずれか1つのモル過剰の抗SIRP多量体を得るために、抗SIRP多量体(例えば、抗SIRP抗体)が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0109】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍のうちのいずれか1つのモル過剰の抗SIRP多量体を得るために、抗SIRP多量体(例えば、抗SIRP抗体)が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖を含む抗SIRP抗体を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍のうちのいずれか1つのモル過剰の抗SIRP多量体を得るために、抗SIRP多量体(例えば、抗SIRP抗体)が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0111】
本明細書に記載の方法で使用されるSIRP多量体に含まれ得る他の例示的な抗SIRP抗体(例えば、SIRPαと交差反応する抗SIRPα抗体、抗SIRPβ抗体、及び/もしくは抗SIRPγ抗体)またはその薬物結合フラグメントは、当該技術分野で既知である。そのような抗体に関するさらなる詳細は、例えば、WO2018/057669;US-2018-0105600-A1;US20180312587;WO2018107058;WO2019023347;US20180037652;WO2018210795;WO2017178653;WO2018149938;WO2017068164;及びWO2016063233で提供され、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、上記参考文献のうちの1つに開示されている抗SIRP抗体は、マウスFcドメイン(またはその部分)を含む。いくつかの実施形態では、マウスFcドメインは、配列番号81~83のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、同一の抗SIRP抗体(例えば、同一の抗SIRPα抗体、抗SIRPαバリアント抗体、抗SIRPβバリアント抗体、抗SIRPγ抗体、抗SIRPγバリアント抗体、またはSIRPα、SIRPαバリアント、SIRPβバリアント、SIRPγ、及び/もしくはSIRPγバリアントのうちの1つ以上と交差反応することが可能な抗体)を含むホモ多量体あるいはその薬物結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、単一特異性二価抗SIRP抗体を含むホモ多量体である。いくつかの実施形態では、SIRP多量体は、少なくとも2つの異なる抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントを任意の組み合わせで含むヘテロ多量体である。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、多重特異性抗SIRP抗体(すなわち、第1のVH/VL対及び第2のVH/VL対を含む多重特異性抗SIRP抗体(第1及び第2のVH/VL対が、異なるアミノ酸配列を含み、第1及び第2のVH/VL対が、それぞれ、薬物のCD47結合部分に結合する))を含むヘテロ多量体である。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントは、例えば、限定されないが、CD47ポリペプチド単量体及びSIRPポリペプチド単量体に対する上記の例示的な多量体化ドメインを含む、多量体化ドメインを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体またはその薬物結合フラグメントは、エピトープタグを含む(例えば、さらに含む)。いくつかの実施形態では、エピトープタグにより、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)の多量体化が促進される。いくつかの実施形態では、タグにより、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)の固体支持体(例えば、ビーズ、ガラス面など)への固定化が促進される。例示的なエピトープタグとしては、本明細書の他の箇所に記載の配列番号7~32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、リガンドを含む(例えば、それに結合されている)。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンである。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント、例えば、FabもしくはF(ab’)2)は、HHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号135)またはGSGSHHHHHGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号126)を含む。AVITAG(商標)としても既知のGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)は、E.coliビオチンリガーゼBirAにより特異的にビオチン化される。いくつかの実施形態では、FabまたはF(ab’)2は、配列番号131及び132を含む。いくつかの実施形態では、血漿中の薬物の量と比較して、約1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または10倍モル過剰の抗SIRP多量体のうちのいずれか1つを得るために、抗SIRP多量体(例えば、配列番号131及び132を含むFabまたはF(ab’)2)が、血漿試料(例えば、薬物による処置を受けている対象から得られた血漿試料)に添加される。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)の連結鎖を形成するように、例えば、ペプチド結合を介して、連結されている。いくつかの実施形態では、SIRP多量体中の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、リンカーペプチドを介して連結されている。例示的なリンカーペプチドとしては、配列番号85~109、127~130に記載のもの、IEGR(配列番号141)、IDGR(配列番号140)、ならびにCD47多量体及び/またはSIRP多量体と共に使用される他のリンカーが挙げられるが、これらに限定されない(上を参照)。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、リンカーペプチド及び少なくとも1つのスペーサーを介して連結されている。例示的なペプチドスペーサーとしては、配列番号52~70、ならびにCD47多量体及び/またはSIRP多量体と共に使用される他のスペーサーが挙げられるが、これらに限定されない(上を参照)。
【0117】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、固体支持体に結合している少なくとも1つ(例えば、1~100)の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体もしくはその薬物結合フラグメントは、共有結合または非共有結合的捕捉を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、固体支持体は、例えば、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、もしくはポリプロピレンを含むか、またはそれから作製される。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、抗SIRP抗体、または複数の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)、及び固体支持体を含み、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体もしくはその薬物結合フラグメントは、(例えば、上記の)エピトープタグまたはリガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定されており、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体もしくはその薬物結合フラグメントは、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるエピトープタグまたはリガンドの特異的結合を介して固体支持体に結合している。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体もしくはその薬物結合フラグメントは、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号111を含む。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、2、3、または4つのF(ab’)2フラグメントに結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む。いくつかの実施形態では、F(ab’)2フラグメントの2つ以上は、配列番号131及び配列番号132を含む。
【0118】
(c)抗SIRP多量体を作製する方法
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体(例えば、ペプチド結合またはリンカーペプチドを介して連結されている、例えば、2つ以上の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む、例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、組み換え宿主細胞により生成される。組み換え手法を使用してCD47多量体またはSIRP多量体を生成する、本明細書に記載の方法のいずれも、同様に、抗SIRP抗体(またはその抗原結合フラグメント)を含む抗SIRP多量体の生成に適用可能である。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)は、非共有的捕獲を介して、1つ以上(例えば、1~100)の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、固体支持体は、金ナノスフィア、金ナノシェル、磁気ビーズ、シリカビーズ、デキストランポリマー、試験管、スライド、ゲルカラム、またはマイクロタイターウェルである。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体(もしくはその薬物結合フラグメント)は、それぞれ、リガンドを含み、捕捉剤は、固体支持体上に固定されており、抗SIRP多量体は、抗SIRP抗体、または抗SIRP抗体(もしくはその薬物結合フラグメント)を、固体支持体上に固定されている捕捉剤によるリガンドの特異的結合を介して固体支持体に結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、リガンドは、ビオチンであり、捕捉剤は、ストレプトアビジンである。いくつかの実施形態では、抗SIRP抗体(複数可)(またはその薬物結合フラグメント)は、配列番号111または配列番号126を含む。
【0120】
CD47ポリペプチド単量体を固体支持体に結合させてCD47多量体を生成する、本明細書の他の箇所に記載の方法のいずれも、同様に、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を固体支持体に結合させて抗SIRP多量体を生成するのに適用できる。例えば、いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、配列番号111または配列番号126を含む抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)の発現を引き起こす適切な条件下で培養し、抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を回収することにより調製される。ビオチン受容体ペプチドアミノ酸配列を含む抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)は、E.coliビオチンリガーゼ(BirA)を使用してビオチン化される。いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、ストレプトアビジンまたはアビジン分子が固定されている固体支持体にビオチン化抗SIRP抗体(複数可)(またはその薬物結合フラグメント)を結合させることにより生成される。いくつかの実施形態では、例えば、ストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体に結合している1つ以上(例えば、1~100)の抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)を含む抗SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。例示的なストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート固体支持体は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載される。いくつかの実施形態では、2、3、または4つのビオチン化抗SIRP抗体(またはその薬物結合フラグメント)に結合しているストレプトアビジンまたはアビジンを含む抗SIRP多量体(例えば、ホモ多量体またはヘテロ多量体)が提供される。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗SIRP多量体は、(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような)二官能性架橋剤を使用して、1つ以上の抗SIRP抗体(または、その薬物結合フラグメント)を、例えば、固体支持体に、または、例えば、互いに、連結することにより生成される。
【0122】
次に、このように生成された抗SIRP多量体は、血清学的アッセイにおいてCD47に結合する薬物による干渉を防止するために、本明細書で提供される方法で使用される。
【0123】
V.例示的な薬物
本明細書で提供される方法は、血清学的アッセイの干渉を低減する(または、いくつかの実施形態では、除去する)。これは、薬物による処置を受けている対象から得られている血漿またはRBC/血小板を含む試料中の(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の存在により引き起こされる。いくつかの実施形態では、薬物は、IgG Fc領域、例えば、ヒトIgG Fc領域、例えば、IgG1、IgG2、またはIgG4 Fc領域、を含む。いくつかの実施形態では、薬物は、改変Fc領域(例えば、改変IgG Fc領域)を含み、これは、野生型ヒトFc領域(例えば、野生型ヒトIgG Fc領域)と比較して、1つ以上のアミノ酸の置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。例示的なFc領域は、WO2017177333;WO2014094122;US2015329616、WO2017/027422;US2017/0107270;及びUSP10,259,859に記載され、この内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する部分は、膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD47に結合可能な任意の野生型SIRPαの細胞外ドメイン)を欠く野生型SIRPαである。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する部分は、ヒトCD47に結合可能であり且つ膜貫通ドメインを欠くSIRPαバリアントである。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアントは、野生型SIRPαの細胞外ドメインと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアントは、SIRPα-d1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、SIRPαバリアントのヒトCD47に対する親和性は、野生型SIRPαのヒトCD47に対する親和性よりも高い。
【0125】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する部分は、膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD47に結合可能な任意の野生型SIRPγの細胞外ドメイン)を欠く野生型SIRPγである。いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する部分は、ヒトCD47に結合可能であり且つ膜貫通ドメインを欠くSIRPγバリアントである。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアントは、野生型SIRPγの細胞外ドメインと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアントは、SIRPγ-d1ドメインバリアントである。いくつかの実施形態では、SIRPγバリアントのヒトCD47に対する親和性は、野生型SIRPγのヒトCD47に対する親和性よりも高い。
【0126】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に結合する部分は、ヒトCD47に結合可能であり且つ膜貫通ドメインを欠くSIRPβバリアントである。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントは、野生型SIRPβの細胞外ドメインと比較して、1つ以上のアミノ酸置換(複数可)、欠失(複数可)、挿入(複数可)、N末端付加(複数可)、及び/またはC末端付加(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、SIRPβバリアントは、SIRPβ-d1ドメインバリアントである。
【0127】
例示的なSIRPαバリアント、SIRPβバリアント、及びSIRPγバリアントは、当該技術分野で既知であり、WO2013/109752;US2015/0071905;USP9,944,911;WO2016/023040;WO2017/027422;US2017/0107270;USP10,259,859;US9845345;WO2016187226;US20180155405;WO2017177333;WO2014094122;US2015329616;US20180312563;WO2018176132;WO2018081898;WO2018081897;US20180141986A1;及びEP3287470A1に記載され、これらの内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
上記の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、薬物は、抗CD47抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体は、AO-176、CC-90002、Hu5F9-G4(5F9とも呼ばれる)、SHR-1603、NI-1701、SRF231、TJC4、またはIBI188である。これら及び他の治療用抗CD47抗体に関する詳細は、WO2018175790A1;US20180142019;US20180171014;US20180057592;US20170283498,US9,518,116;US9,518,117;US20150274826;US20160137733;US9,221,908;US20140161799;US20160137734;WO2015191861;WO2014093678;WO2014123580;WO2013119714;US9,045,541;WO2016109415;WO2018183182;WO2018009499;WO2017196793;US9663575;US20140140989;WO2018237168;US20180037652;US20190023784;WO2018095428;EP3411071;WO2019042285;WO2016081423;WO2011076781;WO2012172521;WO2014087248;US20140303354;WO2016156537;US20160289727;US20190062428;US20180201677;US9352037;US20170044258;US9650441;及びUS20180105591で提供される。
【0129】
VI.輸血前試験のための例示的な血清学的アッセイ
輸血前試験は、輸血を目的とした血液製剤が対象(すなわち、輸血のレシピエント)の血液と適合することを確認するために実施される。輸血前試験は、ドナー血液及びレシピエント血液間のABO適合性を確認するために使用される血清学的アッセイ、ならびに、ドナーRBC及び/またはドナー血小板上の抗原と反応する臨床的に最も重要なRBC/血小板同種抗体を検出するために使用されるものを包含する(Technical Manual,18th ed,AABB,Bethesda,MD,2014を参照)。ドナー/レシピエントの輸血適合性を決定するために血清学的アッセイが行われる他の例示的な血液型抗原としては、例えば、Kell血液型抗原、Duffy血液型抗原、Knops血液型抗原、Cartwright血液型抗原、Scianna血液型抗原、Indian血液型抗原、アカゲザル血液型抗原、Dombrock血液型抗原、Landsteiner-Wiener血液型抗原、及びVEL血液型抗原が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法は、当該技術分野で既知の多くの血清学的アッセイにおける薬物干渉(例えば、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物による干渉)を低減または防止する。本方法を使用することができる例示的な血清学的アッセイとしては、以下でさらに詳細に記載するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
通常は、血清学的アッセイは、例えば、輸血を必要とする対象(例えば、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物による処置を受けている対象)由来の非溶血の血液、血漿(例えば、EDTA中で抗凝固処理されている血漿試料)、凝固した血液、または血清を含む試料を使用して実施される。一般に、対象のABO型及びRh型が最初に決定される。次に、抗体スクリーニング法は、対象の血漿中に存在し得る臨床的に重要な予想されない非ABO血液型抗体を検出するために使用される。スクリーニング試験により、そのような抗体の存在が明らかになる場合、抗体同定パネルを使用して、その抗体の特異性が判定される。抗体の特異性が特定された後、適切なABO型及びRh型のドナーユニットが、対応する抗原についてスクリーニングされる。その抗原に対して陰性のユニットは、適合性を確保するために輸血を必要とする対象と交差適合される。
【0131】
血清学的アッセイを、試験管中、スライド上、ゲルカラム上、またはマイクロタイターウェルプレート中で実施することができ、溶血及び凝集は、陽性(不適合)試験結果を示すシグナルである。抗体でコーティングされた隣接するRBCの連結を反映する反応である凝集は、最も一般に使用される試験管法で目視的に及び/または顕微鏡的に、スケール0~4+でスコアリングすることができる。スコア0は、反応性がないことを示し、滑らかで容易に分散した細胞を特徴とする。スコア4+は、強い反応性を示し、容易に分散しない1つの固体の凝集物を特徴とする。スコア1+、2+、または3+は、中間レベルの反応性を示し、スコアが高くなるほど凝集体のサイズが徐々に大きくなるのが特徴である。カラム内の抗IgG抗体を含むゲルカラム(ゲルカード)または結合している赤血球抗原を含むマイクロタイターウェルプレート(固相)を使用して、血清学的試験を実施した場合、凝集スコアリングの同様の原理を適用することができる。抗体-RBC抗原の相互作用を様々な感度で検出するための様々な手法が現在利用可能である。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、手動で実施される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、自動機械を介して実施される。
【0132】
例えば、即時スピン(IS)(「即時スピン交差適合」としても既知)は、例えば、試薬血漿/抗血清(すなわち、既知のRBC及び/または血小板表面抗原に対する抗体を含有する血漿)と対象の血球を混合すること、直ちに、混合物を室温または37℃で約15~30秒間遠心分離すること、ならびに、直接凝集のために試験管を目視検査すること、を必要するアッセイである。直接凝集は、血漿中の抗体及びRBC表面抗原間に強い相互作用があることを示す。あるいは、対象の血漿及び試薬RBC(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知のRBC)及び/または試薬血小板(すなわち、特定の細胞表面抗原、もしくは細胞表面抗原群を発現することが既知の血小板)を混合し、遠心分離し、直接凝集を視覚的に評価することができる。
【0133】
抗ヒトグロブリン(AHG)は、直接凝集を生じない抗体結合RBCを検出するために使用される。AHGは、別の種で生成されている二次抗ヒトグロブリン抗体である。AHG試薬は、単一クラスのヒトIg(例えば、IgG)に特異的であるか、または多重特異的、すなわち、複数のヒトIgクラス(例えば、IgG、IgM、IgA)及び補体に結合可能である。AHG血清は、直接抗グロブリン試験(DAT)及び/または間接抗グロブリン試験(IAT)で使用され得る。DATは、赤血球のin vivo感作を実証し、洗浄した患者の赤血球試料をAHGで直接試験することにより実施される。IATは、赤血球及び抗体間のin vitro反応を示す。IATでは、血清(または血漿)を赤血球と共にインキュベートし、次に、これを洗浄して未結合のグロブリンを除去する。AHGの添加による凝集の存在は、抗体が特定の赤血球抗原に結合していることを示す。いくつかの方法は、増強試薬(増強)、例えば、生理食塩水、アルブミン、低イオン強度生理食塩水(LISS)、またはポリエチレングリコール(PEG)の添加を含み、次に、試料は、AHG試験前に、37℃で10~60分間インキュベートされる。いくつかの実施形態では、アッセイは、試験管アッセイである。いくつかの実施形態では、アッセイは、固相赤血球接着アッセイ(SPRCA)である。
【0134】
ABO型判定には、抗A及び抗B抗血清を使用して、レシピエントの赤血球をA及びB抗原の存在について試験すること(オモテ試験の型判定)が含まれる。既知のA型及びB型赤血球を使用したレシピエント血漿の抗A及び抗Bの存在試験(ウラ試験の型判定)も、所定のABO血液型試験の一部である。
【0135】
輸血レシピエントのRh(D)型は、レシピエントの赤血球を抗Dで試験することにより決定される。ABO型判定は、通常、即時スピン(IS)を使用して試験される。
【0136】
個体の赤血球には存在しない抗原に対する同種抗体は、妊娠または輸血により外来の赤血球抗原に曝露されている者に発生し得る。非AまたはB型抗原に対する抗体を検出するには、患者の血漿または血清の試料は、A及びB以外の臨床的に重要な抗原の大部分を発現する選択された市販のO型赤血球に対して試験される。
【0137】
抗体スクリーニングが陽性の場合、さらなる血清学的試験は、臨床的に重要な抗体を同定するための市販のO型試薬RBCの拡張パネルを使用して行われる。次に、抗体の特異性が判明すると、抗原を欠くユニットを選択するために、ドナーユニットは、対応する抗原についてスクリーニングされなければならない。
【0138】
個体がどの赤血球抗体を生じさせる可能性が高いかを判定する、レシピエント赤血球の抗原型判定(表現型判定)も実施され得る。RBC表現型判定のための血清学的アッセイは、レシピエント細胞を、特異的抗体を含有する市販試薬抗血清と混合することを含む。
【0139】
増強なし及び増強ありのIAT(例えば、生理食塩水、LISS、PEG)は、抗体の検出及び抗体の同定に使用される。
【0140】
「交差適合」は、患者の血液(血漿)及びドナー赤血球間の適合性を確認する方法を指す。交差適合は、主に、ABO型不適合を検出して防止することを意味する。血清学的交差適合アッセイ(IS交差適合またはAHGフェーズ交差適合のいずれか)は、ドナー赤血球をレシピエント血漿と直接混合すること、ならびに、即時スピン法またはAHG試験後に溶血及び凝集のスコアを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、ゲルカードを使用して実施される。ゲルカード試験の原理は、赤血球凝集反応の検出については、Lapierre,et al.(1990)“The gel test:a new way to detect red cells antigen-antibody reactions.”Transfusion,30:109-113に記載のゲル手法に基づいている。プラスチックカードは、複数のマイクロチューブで構成されている。各マイクロチューブは、カラムの上部にインキュベーターチャンバーを含む。カード内の各マイクロチューブには、RBCまたは血小板表面抗原に対する特異的抗体を含む緩衝ゲル溶液があらかじめ充填されている。凝集は、対象のRBCまたは血小板がゲル溶液中に存在する対応する抗体と反応した場合に生じる。あるいは、マイクロチューブには、対象の血清が充填されており、凝集は、試薬RBCまたは試薬血小板が患者の血清または血漿中に存在する抗体と反応する場合に生じる。ゲルカラムは、カードの遠心分離中に、凝集した赤血球がゲルカラムを通過するにつれて、それをトラップするフィルターとして機能する。ゲルカラムは、サイズに基づいて、凝集した赤血球を凝集していない赤血球から分離する。凝集した赤血球は、ゲルカラムの上部またはゲルカラムに沿って捕捉され、凝集していない赤血球は、マイクロチューブの底に到達してペレットを形成する。
【0142】
いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、固相アッセイ(例えば、本明細書に記載のCD47に結合する薬物、対象のRBC、試薬RBC、または既知のRBC及び/もしくは血小板表面抗原に対する抗体の干渉を軽減/低減する多量体が固体支持体上に固定されている)である。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、手動で実施される。いくつかの実施形態では、血清学的アッセイは、自動システムを使用して実施される。いくつかの実施形態では、自動システムは、異なる対象から得られた複数のRBC、血小板、血清、または血漿試料の同時分析を可能にする多重化ハイスループットシステムである。いくつかの実施形態では、自動システムは、単一の対象から得られたRBC、血小板、血清、または血漿試料を使用する様々な血清学的アッセイの同時分析を可能にする多重化ハイスループットシステムである。通常、自動血液分析システムは、マイクロプロセッサー制御機器である。例示的な自動血液分析システムとしては、例えば、ImmucorのNEO(登録商標)システム(すなわち、固相プラットフォーム)及びDiagastのQWALYS(登録商標)3システムが挙げられる。Qwalys(登録商標)は、ABO/D型判定、Rh表現型判定、K型判定、及び抗体スクリーニング(ABS)のための完全に自動化された赤血球磁化技術(EMT)システムである。
【0143】
本明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な変更は、上記説明から当業者らには明らかであり、添付の特許請求の範囲内にある。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
本明細書に記載される各実施形態は、明確に反対の指示のない限り、他の任意の実施形態(複数可)と組み合わされ得る。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴または実施形態は、明確に反対の指示のない限り、好ましいまたは有利であると示された他の任意の特徴(複数可)または実施形態(複数可)と組み合わされ得る。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は、当業者らに本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために記載され、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することが意図されず、また、以下の実験が、実施された全ての実験または唯一の実験であることを表すことも意図されない。使用された数値(例えば、量、温度など)の正確性を確保する取り組みがなされているが、いくつかの実験誤差及び偏差は考慮する必要がある。別途指示のない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏度であり、圧力は、大気圧または大気圧付近である。
【0146】
実施例1:例示的なCD47多量体の調製
CD47多量体Bの調製
配列番号6(以下参照)を含むCD47ポリペプチド単量体を、Expi293F細胞で一過性発現させ、回収し、Ni SEPHAROSE(登録商標)6 FAST FLOWクロマトグラフィー樹脂を使用して精製し、サイズ排除クロマトグラフィーで精製した。
QLLFNKTKSV EFTFSNDTVV IPCFVTNMEA QNTTEVYVKW KFKGRDIYTF DGALNKSTVP TDFSSAKIEV SQLLKGDASL KMDKSDAVSH TGNYTCEVTE LTREGETIIE LKYRVVSHHH HHHGLNDIFE AQKIEWHE(配列番号6)
【0147】
Avidity LLCから入手可能なBirAビオチン化キットを使用して、精製CD47ポリペプチド単量体をin vitroでビオチン化した。次に、in vitroビオチン化反応混合物を、サイズ排除クロマトグラフィーで精製して、混合物中に存在する過剰なビオチンからビオチン化CD47ポリペプチド単量体を分離した。
【0148】
次に、ビオチン化CD47ポリペプチド単量体を、ビオチン化CD47ポリペプチド単量体:ストレプトアビジンのモル比4.5:1で、穏やかに撹拌しながら4℃で一晩、ストレプトアビジンタンパク質と共にインキュベートした。次に、反応混合物をサイズ排除クロマトグラフィーにより精製して、混合物中の他の種からCD47多量体(すなわち、ストレプトアビジンに結合している四量体化ビオチン化CD47ポリペプチド単量体)を分離した。CD47多量体(すなわち、四量体)を、ゲル濾過標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーで確認した。
【0149】
実施例2:例示的な抗SIRP多量体の調製
抗SIRP八量体(抗SIRP多量体C)の生成
配列番号131を含むVH-CH1配列及び配列番号132を含むVL-CL配列を含む抗SIRP F(ab’)2を以下のように調製した。配列番号131のC末端は、配列番号126を含み、これは、ヘキサヒスチジンペプチドHHHHHH(配列番号7)及び15アミノ酸のタグGLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)を含む。GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号8)、AVITAG(商標)としても既知。配列番号8は、E.coliビオチンリガーゼBirAで特異的にビオチン化されている。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCEASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWVAG ISSGSDTYYG DSVKGRLTIS RDNSKNILYL QMNSLTAEDT AVYYCARETW NHLFDYWGLG TLVTVSSAKT TAPSVYPLAP VCGDTTGSSV TLGCLVKGYF PEPVTLTWNS GSLSSGVHTF PAVLQSDLYT LSSSVTVTSS TWPSQSITCN VAHPASSTKV DKKIEPRGPT IKPCPPCKCP GSGSHHHHHH GLNDIFEAQK IEWHE(配列番号131)
ALTQPASVSA SPGETVEITC SGGSDSSYYY GWYQQKSPGS APVTVIYSDN KRPSNIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRVED EAVYYCGGYD YSTYTNPFGA GTTLTVLRTV AAPSVFIFPP SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC(配列番号132)
【0150】
配列番号131及び132は、Expi293細胞で一時的に発現していた。Ni SEPHAROSE(登録商標)6 FAST FLOWクロマトグラフィー樹脂を使用して、トランスフェクション上清を精製し、サイズ排除クロマトグラフィーで研磨した。Avidity LLCから入手可能なBirAビオチン化キットを使用して、精製抗SIRP(Fab’)2をin vitroでビオチン化した。次に、in vitroビオチン化反応混合物をサイズ排除クロマトグラフィーで精製して、混合物中に存在する過剰なビオチンからビオチン化抗SIRP F(ab’)2を分離した。
【0151】
次に、ビオチン化抗SIRP F(ab’)2を、ビオチン化抗SIRP F(ab’)2:ストレプトアビジンのモル比4.5:1で、穏やかに撹拌しながら4℃で一晩、ストレプトアビジンタンパク質と共にインキュベートした。次に、反応混合物をサイズ排除クロマトグラフィーで精製して、抗SIRP F(ab’)2多量体(すなわち、ストレプトアビジンに結合している四量体化ビオチン化抗SIRP F(ab’)2)を混合物中の他の種から分離した。抗SIRP F(ab’)2多量体(すなわち、八量体)を、ゲル濾過標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーで確認した。
【0152】
抗SIRP多量体Dの生成
配列番号115を含むVH、配列番号116を含むVL、及びマウスFcドメインを含む抗SIRP抗体は、Expi293細胞で一過性に発現していた。(配列番号115及び116は、以下で提供される)。抗SIRP抗体を、細胞培養上清からMabSelect LXを介して精製し、1×リン酸緩衝生理食塩水中で透析した。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSS(配列番号115)
ALTQPASVSA NPGETVKIAC SGGDYYSYYY GWYQQKAPGS ALVTVIYSDD KRPSDIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRAED EAVYYCGGYD YSTYANAFGA GTTLTVL(配列番号116)
【0153】
実施例3:CD47多量体B、抗SIRP多量体C、または抗SIRP多量体Dを使用した、所定の血清学的試験における、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の干渉の軽減。
CD47多量体B、抗SIRP多量体C、または抗SIRP多量体Dが、試験管法を使用した間接抗グロブリン試験(IAT)における薬物Aの干渉を軽減するかどうかを評価する実験を実施した。薬物Aは、SIRPαバリアント(すなわち、ヒトSIRPαに由来するCD47結合ドメイン)及びヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域に由来するFcバリアントを含む例示的なCD47結合薬物であり、薬物Aは、所定の血清学的アッセイに干渉することが以前に示されている(Kim et al.(2020)Transfusion.1-9を参照)。
【0154】
ドナー赤血球(RBC)及びドナー血漿を調製するために、様々な血液型のドナーからのHemeQC全血試料(Bio-Radから市販)を室温、1000xgで10分間回転させて、赤血球から血漿を分離した。次に、ペレット化された赤血球を、MLB2 LISS(低イオン強度溶液)中で3.4%に再懸濁した。
【0155】
アッセイを実施するために、130nM(10μg/mL)の薬物A100μLを、各ドナー血漿中で薬物Aのモル濃度の20倍から開始して1:2希釈で、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、抗SIRP多量体D、またはCD47ポリペプチド単量体(配列番号6)と共に室温(RT)で10分間共インキュベートした。次に、各滴定条件の100μLを、それぞれのドナーからの3.4%のRBC 50μLを含有する捕捉ウェルに添加し、37℃で45分間インキュベートした。次に、ウェルを洗浄し、PBSを用いて、室温で5分間、400×gで3回回転させた。2滴のAHG抗IgG(すなわち、抗ヒトグロブリンIgG)を各ウェルに添加し、800×gで30秒間遠心分離した。画像を取得する前に、反応混合物を、ペレット化した細胞に対して穏やかに撹拌した。PBSを含有する捕捉ウェルは、アッセイの陰性対照として機能し、薬物Aのみを含有するウェルは、陽性対照として機能した。
【0156】
図4は、血液型/血漿型AsubB RhD+を有するドナー由来の血液試料を使用した試験管アッセイを使用したIATの結果を示す。
図5は、抗Fyを含むRBC型/血漿O型RhD+R1r DCceeを有するドナー由来の血液試料を使用した試験管アッセイを使用したIATの結果を示す。
図6は、抗Dを有する血液型/血漿型A1 RhD-rr cceeのドナー由来の血液試料を使用した試験管アッセイを使用したIATの結果を示す。CD47多量体B、抗SIRP多量体C、抗SIRP多量体D、及びCD47単量体の異なるモル滴定(20x、10x、5x、2.5x、1.25x、0.63x、0.31x)(すなわち、薬物Aとの比較)を試験した。
【0157】
CD47ポリペプチド単量体を使用したIATアッセイにおいて、全てのモル滴定にわたって、凝集が観察された(
図4~6を参照)。対照的に、少なくとも5×モル比のCD47多量体B、2.5×モル比の抗SIRP多量体C、及び2.5×モル比の抗SIRP多量体Dを添加したIATアッセイにおいて、凝集が観察されなかった。CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dは、試験管アッセイでAHG抗IgG試薬を使用した場合に、薬物Aが血液型判定に干渉するのを防止する能力を実証した。
【0158】
続く実験を実施して、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、または抗SIRP多量体Dが固相赤血球接着アッセイ(SPRCA)における薬物Aの干渉を軽減するかどうかを評価する。
【0159】
要約すると、130nM(10μg/mL)の薬物A 50μLを、PBS中で薬物Aのモル濃度20×から開始して1:2希釈で、CD47多量体B、抗SIRP多量体C、または抗SIRP多量体Dと共に室温(RT)で10分間共インキュベートした。次に、各滴定条件の50μLを、Capture Rウェルに添加し、これを、2人のO型ドナー由来の等しい割合の赤血球のプール懸濁液から調製された赤血球膜でコーティングした。次に、2滴の捕捉LISS試薬を、各ウェルに添加し、ウェルを37℃で45分間インキュベートした。次に、ウェルを、PBSで6回洗浄した。洗浄後、Capture-R Ready Indicator Red cellsを1滴ずつ各ウェルに添加した。ウェルを、450xgで1分間回転させ、その後画像を取得した。
【0160】
凝集は、CD47ポリペプチド単量体を用いたSPRCAアッセイで観察された(
図7を参照)。対照的に、少なくとも0.31xモル比のCD47多量体B、0.31xモル比の抗SIRP多量体C、または0.63xモル比の抗SIRP多量体Dを添加したSPRCAアッセイでは、薬物Aによる干渉は、観察されなかった。CD47多量体B、抗SIRP多量体C、及び抗SIRP多量体Dは、固相赤血球接着アッセイでAHG抗IgG試薬を使用した場合に、薬物Aが血液型判定に干渉するのを防止する能力を実証した。
【0161】
実施例4:例示的な抗SIRP多量体E及び抗SIRP多量体Fの調製
抗SIRP多量体Eは、配列番号117を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む。抗SIRP多量体Fは、配列番号120を含む重鎖及び配列番号121を含む軽鎖を含む。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTPPSVYPLA PGSAAQTNSM VTLGCLVKGY FPEPVTVTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVPS STWPSETVTC NVAHPASSTK VDKKIVPRDC GCKPCICTVP EVSSVFIFPP KPKDVLTITL TPKVTCVVVD ISKDDPEVQF SWFVDDVEVH TAQTQPREEQ FASTFRSVSE LPIMHQDWLN GKEFKCRVNS AAFPAPIEKT ISKTKGRPKA PQVYTIPPPK EQMAKDKVSL TCMITDFFPE DITVEWQWNG QPAENYKNTQ PIMDTDGSYF IYSKLNVQKS NWEAGNTFTC SVLHEGLHNH HTEKSLSHSP G (配列番号117)
ALTQPASVSA NPGETVKIAC SGGDYYSYYY GWYQQKAPGS ALVTVIYSDD KRPSDIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRAED EAVYYCGGYD YSTYANAFGA GTTLTVLGQP KSSPSVTLFP PSSEELETNK ATLVCTITDF YPGVVTVDWK VDGTPVTQGM ETTQPSKQSN NKYMASSYLT LTARAWERHS SYSCQVTHEG HTVEKSLSRA DCS(配列番号118)
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SYAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY IDSVKGRFTI SRDNPKNSLY LQMSSLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTPPSVYPLA PGSAAQTNSM VTLGCLVKGY FPEPVTVTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVPS STWPSETVTC NVAHPASSTK VDKKIVPRDC GCKPCICTVP EVSSVFIFPP KPKDVLTITL TPKVTCVVVD ISKDDPEVQF SWFVDDVEVH TAQTQPREEQ FASTFRSVSE LPIMHQDWLN GKEFKCRVNS AAFPAPIEKT ISKTKGRPKA PQVYTIPPPK EQMAKDKVSL TCMITDFFPE DITVEWQWNG QPAENYKNTQ PIMDTDGSYF IYSKLNVQKS NWEAGNTFTC SVLHEGLHNH HTEKSLSHS PG(配列番号120)
ALTQPASVSA NPGETVKITC SGGDYYSTYY AWYQQKSPGS APVTVIHSDD KRPSDIPSRF SGSASGSAAT LIITGVRVED EAVYYCGGYD GRTYINTFGA GTTLTVLGQP KSSPSVTLFP PSSEELETNK ATLVCTITDF YPGVVTVDWK VDGTPVTQGM ETTQPSKQSN NKYMASSYLT LTARAWERHS SYSCQVTHEG HTVEKSLSRA DCS(配列番号121)
【0162】
抗SIRP多量体Eを調製するために、配列番号117及び118を293FS細胞で発現させた。多量体を、製造業者の推奨プロトコール(MabSelect LX、Cytiva)に従って、標準的なプロテインAアフィニティークロマトグラフィー法で精製し、1×リン酸緩衝生理食塩水中で透析した。配列番号120及び121を293F細胞で発現させ、抗SIRP多量体Eについて記載された多量体を精製することにより、抗SIRP多量体Fを調製した。
【0163】
実施例5:抗SIRP多量体Eまたは抗SIRP多量体Fを使用した日常的な血清学的試験における、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の干渉の軽減。
実験を実施して、抗SIRP多量体E及び抗SIRP多量体Fが固相赤血球接着アッセイ(SPRCA)において薬物Aの干渉を軽減し得る程度を比較した。SPRCAアッセイを、実施例3に記載されているように実施した。
図8に示されているように、抗SIRP多量体E及び抗SIRP多量体Fは、双方ともに、薬物Aと比較して少なくとも1.25倍のモル比を加えることにより、薬物Aの干渉を同等に軽減することが可能である。
【0164】
実施例6:例示的な抗SIRP多量体Gの調製
抗SIRP多量体Gは、配列番号119を含む重鎖及び配列番号118を含む軽鎖を含む。
DVQLVESGGG VVRPGESLRL SCAASGFTFS SNAMSWVRQA PGKGLEWLAG ISAGGSDTYY PASVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNTLTAED TAVYYCARET WNHLFDYWGL GTLVTVSSAK TTAPSVYPLA PVCGDTTGSS VTLGCLVKGY FPEPVTLTWN SGSLSSGVHT FPAVLQSDLY TLSSSVTVTS STWPSQSITC NVAHPASSTK VDKKIEPRGP TIKPCPPCKC PAPNLLGGPS VFIFPPKIKD VLMISLSPIV TCVVVDVSED DPDVQISWFV NNVEVHTAQT QTHREDYNST LRVVSALPIQ HQDWMSGKEF KCKVNNKDLP APIERTISKP KGSVRAPQVY VLPPPEEEMT KKQVTLTCMV TDFMPEDIYV EWTNNGKTEL NYKNTEPVLD SDGSYFMYSK LRVEKKNWVE RNSYSCSVVH EGLHNHHTTK SFSRTPG(配列番号119)
ALTQPASVSA NPGETVKIAC SGGDYYSYYY GWYQQKAPGS ALVTVIYSDD KRPSDIPSRF SGSASGSTAT LTITGVRAED EAVYYCGGYD YSTYANAFGA GTTLTVLGQP KSSPSVTLFP PSSEELETNK ATLVCTITDF YPGVVTVDWK VDGTPVTQGM ETTQPSKQSN NKYMASSYLT LTARAWERHS SYSCQVTHEG HTVEKSLSRA DCS(配列番号118)
【0165】
抗SIRP多量体Gを調製するために、配列番号118及び119を組み換え宿主細胞内で発現させた。多量体を標準的な方法で精製した。
【0166】
実施例7:薬物Aは、様々なプラットフォームを使用して実施される血液型判定アッセイに干渉する。
薬物AがRBC抗体スクリーニングに干渉する可能性に関する以前の結果(例えば、Kim et al.(2020)Transfusion.1-9;doi:10.1111/trf.16009を参照)に基づいて、赤血球表面抗原に結合する抗体が含まれていないことが確認されている正常なプール血漿に、薬物Aをスパイクした。この試験で使用された患者の血漿試料を、病院での日常ケアの一環として収集した。薬物Aの最終濃度は、0.1、1、10、100、1000、及び2000μg/mLであり、ゲルカードフォーマットでBio-Rad抗体スクリーニング細胞I及びII(表1)を使用して、固相でImmucorの自動ハイスループットNEO(登録商標)システム(表2)を使用して、抗体スクリーニング細胞I、II、及びIIIの場合、Diagastの自動ハイスループットQwalys3システム(表3)を使用して、これを試験した。表1~3に示されているように、凝集反応性は、(0~4+のスケールで)2+~4+の範囲であり、試験された薬物A濃度全体で観察された。これは、薬物AのRBCへの結合及びAHG試薬による薬物AのFc部分の相互作用が上記フォーマットを使用した上記アッセイを干渉することを示唆する。製造者のプロトコールに従って、試薬を使用した。Bio-Radの試薬情報には、抗体スクリーニングIセル及びIIセル:ID-DiaCell I-II、ID細胞由来のrr表現型:ID-DiaPanel:ゲルカード:IDカードが含まれる。ゲルカードアッセイを、製造者のプロトコールに従って実施した。要約すると、0.8%のRBC懸濁液50μL及び血漿25μLを利用し、37℃で15分間インキュベートし、Bio-Rad ID-Centrifugeで10分間遠心分離した。血漿は、AB型であることが確認された患者からプールされた血漿であり、同種抗体を含有していなかった。
【表1】
【0167】
NEO(登録商標)システムで通常使用するためのNEO(登録商標)固相プラットフォーム用の試薬は、Immucorにより供給された。試薬には、Capture-R Ready-Screen(I及びII)が含まれていた。試薬赤血球(赤血球間質の形態)を、製造時に試験ウェルに結合させた。ウェル当たりの血漿量は、25μLであった。
【表2】
【0168】
QWALYS3プラットフォーム(赤血球磁化技術(EMT))で使用される所定の試薬は、Diagastにより供給された。1つの試薬は、Hemascreen I-II-III(1%の磁化赤血球)であった。1ウェル当たりの赤血球及び血漿の体積は、それぞれ、15及び15μLであった。
【表3】
【0169】
表1のデータは、薬物Aにより、ゲルカード試験(Bio-Rad)において2+~3+の凝集反応性が生じたことを示す。同等の凝集反応性は、D- -、すなわち、CD47発現が著しく減少したRBC、を使用したゲルカード試験、及び、rr、すなわち、CD47発現が高いRBC、を使用したゲルカード、において観察された。表2及び3のデータは、薬物Aが非常に低濃度であっても、薬物Aにより、ハイスループット固相試験(NEO(登録商標)、QWALYS(登録商標))において4+の凝集反応性が生じたことを示す。
【0170】
実施例8:抗SIRP多量体Gを使用した日常的な血清学的試験における、(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物の干渉の軽減。
抗SIRP多量体Gがゲルカードアッセイにおいて薬物Aの干渉を軽減する程度を評価する実験を実施した。実施例7に記載されているように、アッセイを実施した。1つの一連の試験では、最終濃度0.1、1、10、100、1000、または2000μg/mLを得るために、多量体Gを血漿試料に添加した。ゲルカード血清学的アッセイを実施した。表4に示されているように、薬物Aが試料中に2000μg/mLの濃度で存在する場合、薬物Aと比較して6倍モル過剰の抗SIRP多量体Gは、薬物Aの干渉を軽減した。薬物Aが試料中に1000μg/mLの濃度で存在する場合、薬物Aと比較して4倍モル過剰の抗SIRP多量体Gは、薬物Aの干渉を軽減した。薬物Aが試料中に0.1~100μg/mLの濃度で存在する場合、3倍モル過剰の抗SIRP多量体Gは、薬物Aの干渉を軽減した。
【表4】
【0171】
次に、薬物Aを、抗Jka抗体または抗E抗体(すなわち、既知の同種抗体)を含有する血漿試料に添加して、薬物Aの最終濃度0.1、1、10、100、1000、または2000μg/mLを得た。Gel Gardアッセイを実施した。表5に示されているように、血漿中に2000μg/mLの濃度で存在する薬物Aは、抗Jka及び抗E同種抗体の検出に干渉した。多量体Gは、抗Jka及び抗E同種抗体の検出を干渉することなく、薬物Aの干渉を中和した。
【表5】
【0172】
表4及び5のデータは、抗SIRP多量体Gが血漿中に存在する薬物Aにより引き起こされた干渉を軽減するという結論を裏付けている。そのような軽減により、ゲルカードアッセイによる血漿中の同種異系抗体の検出が可能になる。
【0173】
実施例9:(i)抗体Fc領域及び(ii)ヒトCD47に結合する部分を含む薬物により引き起こされる血清学的アッセイの干渉は、様々なプラットフォームにわたって多量体Gを使用することにより軽減され得る。
薬物Aが試験管試験及びゲルカードフォーマットでの血清学的アッセイに干渉する程度を評価する、さらなる試験を実施した。血漿試料(AB不活性血漿)を薬物Aでスパイクして、薬物Aの最終濃度31.25、125、500、または2000μg/mlを得た。試験管試験では、500μg/ml及び2000μg/mlの濃度で血漿中に薬物Aが存在すると、強力な陽性の直接抗グロブリン試験(DAT)が生じた。試験された31.25μg/ml及び2000μg/mlの濃度の薬物Aは、ABO型判定(オモテ試験及びウラ試験)またはRhD型判定を干渉しなかった。陽性DATにより、AHGでの弱いDに対しRhD型判定で干渉が観察された。試験された全ての濃度(31.25μg/ml、125μg/ml、500μg/ml、及び2000μg/ml)の薬物Aは、(従来のABO不適合性が試験されていた)初期スピン時に抗体スクリーニングを干渉しなかったが、PEGならびに試験された両方のAHG試薬(Immucor及びOrtho)を使用した間接抗グロブリン試験(IAT)で全ての細胞との強い凝集を引き起こした。ゲルカード試験では、薬物Aは、薬物Aの全ての濃度(すなわち、31.25μg/ml、125μg/mlμg/ml、500μg/ml、及び2000μg/ml)で試験された全細胞と強い陽性凝集を引き起こした。(データは示されない)。
【0174】
多量体G(100mg/ml)は、1:10(v/v、多量体G:血漿)の比で血漿に添加され、室温で15分間インキュベートされた場合、500μg/mlの濃度で血漿中に存在する薬物Aの干渉が除去された。表6Aを参照のこと。多量体G(100mg/ml)は、1:10(v/v、多量体G:血漿)の比で血漿に添加され、室温または37℃で最大60分間インキュベートされた場合のにより、薬物Aによる干渉が部分的に軽減し(「vw+」または「非常に弱い+」であり、これは、0~1+に入る)、血漿中に2000μg/mlの濃度で存在する場合、抗体スクリーニングは、陽性のままであった(「w1+」または「弱い1+」であり、これは、0~1+に入る)。表6Bを参照のこと。抗体スクリーニングにおける反応性は、大幅に低下したが、PEG-IAT及びLISS-IATによる試験では弱い陽性のままであった。表6Cを参照のこと。
【表6】
【表7】
【表8】
【0175】
多量体Gを使用すると、LISSもしくはPEGIAT、またはゲルカード試験による同種抗Dの反応性に影響はなかった。表7を参照のこと。多量体Gを使用すると、LISSもしくはPEGIAT、またはゲルカード試験による同種抗Kの反応性に影響はなかった。表8を参照のこと。
【表9】
【表10】
【0176】
表9Aに示されているように、薬物Aは、LISSIAT、PEGIAT、及びゲルカード試験フォーマットにおいて凝集を引き起こす。
【表11】
【0177】
以下の結果が表9Bに示されている:多量体G(150mg/ml)を1:10(v/v、多量体G:血漿)の比で血漿に添加した。30分間のインキュベーション後、血漿中に750μg/mlまたは1000μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、LISS IAT試験において多量体Gにより完全に軽減された。30分間のインキュベーション後、血漿中に1250μg/ml、1500μg/ml、または2000μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、LISS IAT試験において多量体Gにより実質的に消滅していた(マイクロ+反応性)。30分間のインキュベーション後、試験された全ての濃度(750μg/mL、1000μg/mL、1250μg/mL、1500μg/mL、及び2000μg/mL)での薬物Aによる干渉は、PEG IAT試験で多量体Gにより大幅に減少した(1+またはmicro+)。30分間のインキュベーション後、血漿中に750μg/ml、1000μg/mL、または1250μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、IgGゲル試験において多量体Gにより完全に軽減された。30分間のインキュベーション後、血漿中に1500μg/mlまたは2000μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、IgGゲル試験において多量体Gにより大幅に減少した(1+または+/-)。
【表12】
【0178】
以下の結果は、表9Cに示されている。多量体G(150mg/ml)を1:10(v/v、多量体G:血漿)の比で血漿に添加した。60分間のインキュベーション後、血漿中に750μg/ml、1000μg/mL、または1250μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、LISS IAT試験において多量体Gにより完全に軽減された。60分間のインキュベーション後、血漿中に1500μg/mLで存在する場合、薬物Aによる干渉は、LISS IAT試験において多量体Gにより実質的に消滅していた(マイクロ+反応性)。薬物Aによる干渉の多量体Gによる軽減は、血漿中に2000μg/mLで存在する場合、この実験のLISS IAT試験では評価されなかった。60分間のインキュベーション後、薬物Aによる干渉は、血漿中に750μg/mL、1000μg/mL、1250μg/mL、または1500μg/mLで存在する場合、PEG IAT試験において多量体Gにより実質的に消滅していた(マイクロ+反応性)。薬物Aによる干渉の多量体Gによる軽減は、血漿中に2000μg/mLで存在する場合、この実験のPEG IAT試験では評価されなかった。60分間のインキュベーション後、薬物Aによる干渉は、血漿中に750μg/mLまたは1000μg/mLで存在する場合、多量体Gにより完全に軽減され、血漿中に1250μg/mLまたは1500μg/mLで存在する場合、IgGゲル試験において多量体Gにより大幅に減少した(弱い+または+/-)。薬物Aによる干渉の多量体Gによる軽減は、血漿中に2000μg/mLで存在する場合、IgGゲル試験では評価されなかった。
【表13】
【配列表】
【国際調査報告】