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特表2023-552377地図状萎縮成長速度のマルチモーダル予測
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】地図状萎縮成長速度のマルチモーダル予測
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533851
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021061606
(87)【国際公開番号】W WO2022120044
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/121,125
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/169,764
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/181,813
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/218,905
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チー
(72)【発明者】
【氏名】アネゴンディ, ネハ ステークシュナ
(72)【発明者】
【氏名】カオ, シモン シャン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB07
4C316AB11
4C316AB16
4C316FB21
4C316FB27
4C316FZ01
(57)【要約】
網膜における地図状萎縮を評価する方法およびシステム。網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。病変成長速度は、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびOCT画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変について予測される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、
前記網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、
前記FAF撮像データおよび前記OCT撮像データを使用して、前記網膜における地図状萎縮(GA)病変についての病変成長速度を予測することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記FAF撮像データおよび前記OCT撮像データを使用して前記GA病変についてのベースライン病変面積を予測することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記病変成長速度を予測することが、
前記FAF撮像データを使用して第1の入力を生成し、前記OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、
前記第1の入力と前記第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、
前記融合入力を使用して、前記地図状萎縮病変についての前記病変成長速度を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記融合入力からバイオマーカーを抽出することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオマーカーが、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、網膜外層管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記病変成長速度を予測することが、
FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、
前記FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、
前記OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、
前記第1の目的の特徴と前記第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、
前記融合特徴入力を使用して、前記地図状萎縮病変についての前記病変成長速度を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記網膜が患者と関連付けられており、前記方法が、
前記患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、
前記臨床因子データを前記第1の目的の特徴および前記第2の目的の特徴と融合させて、前記融合特徴入力を形成することと、
前記融合特徴入力を使用して、前記地図状萎縮病変の前記病変成長速度を生成することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記臨床因子データが、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記融合特徴入力は、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、
前記FAF撮像データ、前記OCT撮像データ、および前記IR撮像データを使用して、前記網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記FAF撮像データを前処理して前記第1の入力を形成することであって、前記前処理が、黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト調整、または多視野FAF画像の組み合わせを含む、前記FAF撮像データを前処理して前記第1の入力を形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記OCT撮像データを前処理して前記第2の入力を形成することであって、前記前処理が、
網膜膜の上方および前記網膜膜の下方に面内マップのセットを生成することと、
生成された前記面内マップのセットを使用して前記GA病変についての前記病変成長速度を予測することと、を含む、前記OCT撮像データを前処理して前記第2の入力を形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
システムであって、
非一時的メモリと、
前記非一時的メモリに結合され、前記非一時的メモリから命令を読み出して、前記システムに、
網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、
前記網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、
前記FAF撮像データおよび前記OCT撮像データを使用して、前記網膜における地図状萎縮(GA)病変についての病変成長速度を予測することと
を含む動作を実行させるように構成されたハードウェアプロセッサと
を備える、システム。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記FAF撮像データおよび前記OCT撮像データを使用して前記GA病変についてのベースライン病変面積を予測することをさらに含む動作を実行するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記病変成長速度を予測することが、
前記FAF撮像データを使用して第1の入力を生成し、前記OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、
前記第1の入力と前記第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、
前記融合入力を使用して、前記地図状萎縮病変についての前記病変成長速度を生成することと
をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記融合データからバイオマーカーを抽出することをさらに含む動作を実行するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記病変成長速度を予測することが、
FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、
前記FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出し、前記OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、
前記第1の目的の特徴と前記第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、
前記融合特徴入力を使用して、前記地図状萎縮病変についての前記病変成長速度を生成することと
を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記網膜が患者と関連付けられており、前記プロセッサが、
前記患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、
前記臨床因子データを前記第1の目的の特徴および前記第2の目的の特徴と融合させて、前記融合特徴入力を形成することと、
前記融合特徴入力を使用して、前記地図状萎縮病変の前記病変成長速度を生成することと
をさらに含む動作を実行するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記臨床因子データが、年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、およびそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサが、
前記網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、
前記FAF撮像データ、前記OCT撮像データ、および前記IR撮像データを使用して、前記網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと
をさらに含む動作を実行するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサが、前記OCT撮像データを前処理するようにさらに構成されており、前記前処理が、
ブルッフ膜に沿って前記OCT撮像データを平坦化することと、
全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、
前記GA病変についての前記病変成長速度を予測するためのマルチチャネル入力を生成するために、前記面内マップのセットを組み合わせることと
を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であって、コンピュータシステムに、
網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、
前記網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、
前記FAF撮像データおよび前記OCT撮像データを使用して、前記網膜における地図状萎縮(GA)病変についての病変成長速度を予測することと
を含む動作を実行させるように実行可能なコンピュータ可読命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月3日に出願された「Multimodal Prediction Of Geographic Atrophy Growth Rate」と題する米国仮特許出願第63/121,125号、2021年4月1日に出願された「Multimodal Prediction Of Geographic Atrophy Growth Rate」と題する米国仮特許出願第63/169,764号、2021年4月29日に出願された「Multimodal Prediction Of Geographic Atrophy Growth Rate」と題する米国仮特許出願第63/181,813号、および2021年7月6日に出願された「Multimodal Prediction Of Geographic Atrophy Growth Rate」と題する米国仮特許出願第63/218,905号の優先権および利益を主張し、これらは、以下に完全に記載されているかのように、および全ての適用可能な目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
分野
この説明は、一般に、網膜における地図状萎縮の評価に関する。より具体的には、この説明は、例えば眼底自発蛍光(FAF)画像および光干渉断層撮影(OCT)画像などの複数のモダリティからの画像を使用して、地図状萎縮病変についての成長速度を予測する方法およびシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
序論
加齢黄斑変性(AMD)は、50歳以上の患者における視力喪失の主な原因である。地図状萎縮(GA)は、AMDの2つの進行期のうちの1つであり、脈絡毛細管、網膜色素上皮(RPE)および光受容体の進行性および不可逆性の喪失を特徴とする。GAの進行は患者によって異なり、現在、GAの進行を予防または遅延させるための米国食品医薬品局(FDA)が認めている治療法は存在しない。したがって、個々の患者におけるGAの進行を予測することは、GAを研究し、有効な治療法を開発するために重要であり得る。現在、GA病変拡大の診断および監視は、共焦点走査レーザー検眼鏡検査(cSLO)によって得られる眼底自発蛍光(FAF)画像を使用して実施され得る。RPE中のリポフスチンのトポグラフィックマッピングを示すこのタイプの撮像技術は、経時的なGA病変の変化を測定するために使用され得る。さらに、FAF画像が使用されてGA成長速度を予測し得る。しかしながら、少なくともいくつかの場合において、FAF画像は、所望のレベルの精度でGA成長速度を予測することができないことがある。
【発明の概要】
【0004】
概要
1つまたは複数の実施形態では、網膜における地図状萎縮を評価する方法が提供される。網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。病変成長速度は、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびOCT画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変について予測される。
【0005】
1つまたは複数の実施形態では、網膜における地図状萎縮を評価する方法が提供される。網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。網膜の赤外線(IR)画像のセットは、機械学習システムにおいて受信される。病変成長速度は、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびIR画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変について予測される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に開示された原理およびその利点のより完全な理解のために、ここで添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【0007】
図1A】様々な実施形態にかかる病変評価システム100のブロック図である。
【0008】
図1B】様々な実施形態にかかる、病変面積分析システム114の概略図である。
【0009】
図1C】様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するための例示的なプロセスフローを示している。
【0010】
図1D】様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するための別の例示的なプロセスフローを示している。
【0011】
図1E】様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するための別の例示的なプロセスフローを示している。
【0012】
図1F】様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するための別の例示的なプロセスフローを示している。
【0013】
図1G】様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するための別の例示的なプロセスフローを示している。
【0014】
図2】様々な実施形態にかかる地図状萎縮を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0015】
図3】様々な実施形態にかかる地図状萎縮を予測するためのプロセスのフローチャートである。
【0016】
図4】様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する例示的な方法のフローチャートである。
【0017】
図5】様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する別の例示的な方法のフローチャートである。
【0018】
図6】様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する別の例示的な方法のフローチャートである。
【0019】
図7】様々な実施形態にかかる深層学習ニューラルネットワークを実装するために使用され得る例示的なニューラルネットワークを示している。
【0020】
図8A】様々な実施形態にかかる、単一モダリティマルチタスクモデルを示している。
【0021】
図8B】様々な実施形態にかかる、マルチモダリティマルチタスクモデルを示している。
【0022】
図9】様々な実施形態にかかる、光干渉断層撮影(OCT)ボリュームの例示的な前処理ステップを示している。
【0023】
図10】様々な実施形態にかかる、(A)開発データセットおよび(B)ホールドアウトデータセットに対する3つのモデルおよびベンチマークモデルのモデル性能を比較するフォレストプロットを示している。
【0024】
図11】様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセット上の予測されたGA病変面積対観察されたGA病変面積およびGA成長速度の散布図を示している。
【0025】
図12】様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセット上の予測されたGA病変面積対観察されたGA病変面積およびGA成長速度の残差プロット1200を示している。
【0026】
図13】様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセットに対するサブグループ残差分析に基づくGA成長速度予測のプロットを示している。
【0027】
図14】様々な実施形態にかかる、FAFのみ、OCTのみおよびマルチモーダルマルチタスクモデルを使用したGA病変面積の勾配活性化マップ(GradAM)およびGA成長速度予測を示している。
【0028】
図15】様々な実施形態にかかるコンピュータシステムのブロック図である。
【0029】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、図面内の物体は必ずしも互いに一定の縮尺で描かれているわけではないことを理解されたい。図面は、本明細書に開示される装置、システム、および方法の様々な実施形態に明瞭さおよび理解をもたらすことを意図した描写である。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照符号が使用される。さらに、図面は、本教示の範囲を決して限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
I.概要
例えば、ベースライン評価または経時的情報に基づいて地図状萎縮(GA)の進行を正確に予測する能力は、多くの異なるシナリオにおいて有用であり得る。一例として、GAの進行に関する予測が使用されて、GAの進行を遅らせることが目標である臨床試験における患者の層別化を改善し、それによって治療効果の改善された評価を可能にし得る。さらに、場合によっては、GA進行に関する予測が使用されて、遺伝子型シグネチャまたは表現型シグネチャとの相関を介して疾患病因を理解し得る。
【0031】
GA病変は、様々な撮像モダリティによって撮像され得る。例えば、眼底自発蛍光(FAF)画像は、GA病変面積を定量化するために使用されている。GA成長速度は、FAF画像を使用して測定される場合、ある期間にわたる病変面積の変化であり、臨床試験におけるGA進行の解剖学的パラメータとして広く受け入れられている。さらに、GA成長速度は、ベースラインFAF画像から予測され得る。しかしながら、少なくともいくつかの場合において、ベースラインFAF画像を使用して予測されたGA成長速度は、所望のレベルの精度を有しないことがある。
【0032】
したがって、本明細書に記載の様々な実施形態は、これらの予測の精度を改善するために複数のモダリティからの画像を使用してGA成長速度を予測する方法およびシステムを提供する。より具体的には、これらの複数のモダリティからの画像は、機械学習システムを使用して処理され、予測されたGA成長速度を生成し得る。複数のモダリティからの画像を使用することは、この予測を向上させる。例えば、第1のモダリティからの網膜の画像は、第2のモダリティからの網膜の画像と比較して、より多くの情報、より大きな特徴解像度、またはその双方を提供し得る。しかしながら、第2のモダリティからの画像は、第1のモダリティからの画像を使用して識別できないまたは容易に識別できないいくつかの情報を提供し得る。機械学習システム(例えば、ニューラルネットワークシステム、深層学習システムなど)を介して双方の種類のモダリティから提供される情報を処理することは、この情報の理解およびGA成長速度の予測におけるその使用を改善し得る。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、FAFおよび光干渉断層撮影(OCT)画像が使用されてGA成長速度を予測する。FAF画像は2次元であるが、OCT画像は3次元(3D)である。したがって、OCT画像は、患者のGA発症およびGA進行のより大きな理解を提供することができる網膜の解剖学的構造、例えばGA病変に関する追加の構造情報を提供することができる。例えば、網状偽ドルーゼン(RPD)、反射亢進巣、多層膜厚減少、光受容体萎縮、および網膜下反射低下(例えば、楔形網膜下反射低下)は、疾患進行の可能性のある前駆体またはバイオマーカーとしてリンクされているOCT画像において特定可能な属性である。したがって、この種のOCT由来情報は、GA成長速度予測の改善を可能にし得る。
【0034】
一般に、OCTおよびFAF撮像は、基本的に異なる信号または情報を提供する。例えば、FAFは、青色光への曝露後のリポフスチン自己蛍光を捕捉することができる。リポフスチンは、網膜色素上皮(RPE)細胞において観察可能である。したがって、FAF画像は、RPE細胞の1つの視野を提供する。一方、OCTは、近赤外光に対する組織反射率を3D画像の形態で捕捉する。OCT画像は、FAF画像では利用できない病変および構造情報を提供し得るが、FAF画像は、OCT撮像によって区別できないかまたは明確に捕捉されない網膜の部分を撮像し得る。本明細書で述べるように、これらの撮像モダリティにおける違いは、GAの病態をより良好に視覚化するための相補的な情報を提供する。さらに、OCTおよびFAFは、本明細書の方法およびシステムによって有用とすることができる唯一の撮像モダリティではなく、本明細書の説明は、本明細書の方法およびシステムの適用をこれら2つのモダリティのみに限定すると見なされるべきではない。IR撮像は、追加の値を提供することができるだけでなく、他の撮像モダリティは、GA進行を決定する際に同様の追加の値を提供することができる。
【0035】
場合によっては、FAF画像は、OCT画像と比較してより正確な情報を提供し得る。例えば、場合によっては、FAF画像は、OCT画像と比較して、ベースライン病変面積のより正確な推定を提供し得る。したがって、FAFモダリティおよびOCTモダリティの双方を一緒に使用してGA成長速度を予測することは、FAFモダリティのみまたはOCTモダリティのみを使用することと比較して、より正確であり得る。1つまたは複数の実施形態では、FAFモダリティおよびOCTモダリティの双方を使用することは、GA成長速度が予測されるベースライン病変面積が、改善されたGA成長速度予測を可能にするのに十分に正確であることを確実にするのに役立ち得る。したがって、本明細書の様々な実施形態によれば、様々な画像タイプ(例えば、OCTおよびFAF撮像データ)のマルチモーダル分析は、GA病変面積のより正確な読み取りとGA成長速度の双方を提供することができる。
【0036】
したがって、本開示の方法およびシステムは、マルチモーダルアプローチおよび機械学習システムを使用して自動GA成長予測を可能にする。このマルチモーダルアプローチは、FAF画像とOCT画像の双方を使用し得る。他の実施形態では、いずれかの撮像モダリティは、例えば、限定されないが、赤外線(IR)モダリティなどの第3のモダリティによって置き換えられるか、またはそれによって補完されてもよい。例えば、機械学習システムを介してFAFおよびIR画像が処理されて、予測されたGA成長速度を生成し得る。IR画像、特に近赤外(NIR)画像は、OCT面内画像よりも広い視野を提供し得る。場合によっては、FAF画像と組み合わせたIR画像、より具体的にはNIR画像は、GA病変に対してより大きな明瞭さを提供し得る。このより高い分解能および明瞭性は、GA病変についての病変面積の改善された識別、したがって最終的にはGA成長速度予測の改善を可能にし得る。さらに他の実施形態では、FAFモダリティ、OCTモダリティ、およびIRモダリティが組み合わせて使用されてGA成長速度を予測してもよく、これらのモダリティのそれぞれは、他のモダリティのうちの少なくとも1つに対する少なくとも一部の情報または何らかの改善に寄与する。
【0037】
様々な実施形態では、受信された撮像データを、撮像データ内の特定の目的の領域に焦点を合わせることを可能にするために前処理することができる。これは、例えば、特定の目的の領域を適切に評価する能力を損なう可能性がある撮像データのノイズおよび/またはアーチファクトを低減することによって行われ得る。さらに、様々なモダリティからの撮像データは、GA成長速度および病変面積の決定のための効果的なマルチモーダル分析を確実にするために、様々な方法で組み合わされるか、または融合され得る。例えば、これらの様々なモダリティからのデータは、その後の特徴抽出プロセスを受けることができる統合されたマルチチャネル入力に融合されてもよく、これは成長速度および病変面積の決定の基礎として使用され得る。別の例では、個々の撮像モダリティから特徴が抽出され得、その後、前記抽出された特徴自体が、成長速度および病変面積の決定のために一緒に融合され得る。
【0038】
そのようなマルチモーダルシステムおよび方法の用途は広い。例えば、そのようなシステムおよび方法は、GA成長速度の予測ツールとして使用され得る。そのようなシステムおよび方法は、GA病変面積決定に使用され得る。さらに、そのようなシステムおよび方法は、臨床試験空間において非常に有用とすることができ、本明細書の実施形態は、臨床試験の設計、実装、および分析に情報を提供することによって、臨床試験開発の信頼性を向上させることができる。特に、本明細書の様々な実施形態は、試験、患者の事前スクリーニング、患者の濃縮、患者の層別化、および事後データ分析(例えば、臨床試験完了後)における調整を可能にすることができる。
【0039】
上述した改善を提供することができる方法論およびシステムの重要性および有用性を認識して考慮に入れて、本明細書は、複数のモダリティの画像(例えば、FAF画像およびOCT画像)を使用してGA進行を評価するための様々な実施形態を説明する。より具体的には、本明細書は、GA病変に対応する成長速度を正確に予測するために機械学習システム(例えば、ニューラルネットワークシステム)を使用してこれらのマルチモーダル画像を処理する方法およびシステムの様々な実施形態を説明する。
【0040】
II.定義
本開示は、これらの例示的な実施形態および用途、または例示的な実施形態および用途が本明細書で動作するまたは説明される方法に限定されない。さらに、図は、簡略化されたまたは部分的な図を示すことがあり、図の要素の寸法は、誇張されているか、または比例していないことがある。
【0041】
さらに、本明細書では、「の上にある(on)」、「に取り付けられている(attached to)」、「に接続されている(connected to)」、「に結合されている(coupled to)」という用語または同様の用語が使用される場合、一方の要素が他方の要素の上に直接あるか、他方の要素に直接取り付けられているか、他方の要素に接続されているか、または他方の要素に結合されているか、または一方の要素と他方の要素との間に1つまたは複数の介在要素が存在するかにかかわらず、一方の要素(例えば、構成要素、材料、層、基板など)は、他方の要素「の上にある」、「に取り付けられている」、「に接続されている」、または「に結合されている」ことができる。さらに、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、それ自体で列挙された要素のいずれか1つ、列挙された要素の全てよりも少ない要素の任意の組み合わせ、および/または列挙された要素の全ての組み合わせを含むことが意図される。本明細書におけるセクションの区分は、単に検討を容易にするためのものであり、説明された要素の任意の組み合わせを限定するものではない。
【0042】
用語「被験者」は、臨床試験の被験者、処置を受けている人、抗癌療法を受けている人、寛解または回復について監視されている人、(例えば、その病歴に起因して)予防健康分析を受けている人、または目的のある任意の他の人もしくは患者を指し得る。様々な場合では、「被験者」および「患者」は、本明細書において交換可能に使用され得る。
【0043】
特に定義されない限り、本明細書に記載の本教示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、化学、生化学、分子生物学、薬理学および毒物学に関連して利用される命名法およびその技術は、本明細書に記載されており、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。
【0044】
本明細書で使用される場合、「実質的に」は、意図された目的のために機能するのに十分であることを意味する。したがって、「実質的に」という用語は、当業者によって予想されるが、全体的な性能にそれほど影響しないような、絶対的または完全な状態、寸法、測定値、結果などからの微細な、僅かな変動を可能にする。数値、または数値として表されることのできるパラメータもしくは特性に関して使用される場合、「実質的に」とは、10パーセント以内を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、数値または数値として表され得るパラメータもしくは特性に関して使用される「約」という用語は、数値の10%以内を意味する。例えば、「約50」は、45以上55以下の範囲の値を意味する。
【0046】
「複数」という用語は、2つ以上を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上とすることができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「のセット」という用語は、1つまたは複数を意味する。例えば、項目のセットは、1つまたは複数の項目を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの1つまたは複数の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目のうちの1つのみが使用されてもよいことを意味する。項目は、特定の物体、物、ステップ、動作、プロセス、またはカテゴリであり得る。換言すれば、「のうちの少なくとも1つ」は、リストから項目の任意の組み合わせまたは任意の数の項目を使用し得るが、リスト内の項目の全てが使用されるわけではないことを意味する。例えば、限定されないが、「項目A、項目B、または項目Cのうちの少なくとも1つ」は、項目A、項目Aおよび項目B、項目B、項目A、項目B、および項目C、項目Bおよび項目C、または項目AおよびCを意味する。場合によっては、「項目A、項目B、または項目Cの少なくとも1つ」は、限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、および項目Cのうちの10個、項目Bのうちの4個と項目Cのうちの7個、またはいくつかの他の適切な組み合わせを意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「モデル」は、1つまたは複数のアルゴリズム、1つまたは複数の数学的技法、1つまたは複数の機械学習アルゴリズム、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0051】
本明細書において使用される場合、「機械学習」は、アルゴリズムを使用してデータを解析し、そこから学習し、次いで世界の何かについての決定または予測を行う実践を含む。機械学習は、ルールベースのプログラミングに依存することなくデータから学習することができるアルゴリズムを使用する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「人工ニューラルネットワーク」または「ニューラルネットワーク」(NN)は、計算に対する接続論的アプローチに基づいて情報を処理する人工ニューロンの相互接続されたグループを模倣する数学的アルゴリズムまたは計算モデルを指し得る。ニューラルネットと呼ばれることもあるニューラルネットワークは、非線形ユニットの1つまたは複数の層を使用して、受信した入力の出力を予測することができる。いくつかのニューラルネットワークは、出力層に加えて1つまたは複数の隠れ層を含む。各隠れ層の出力は、ネットワーク内の次の層、すなわち、次の隠れ層または出力層への入力として使用され得る。ネットワークの各層は、各パラメータのセットの現在の値にしたがって、受信した入力から出力を生成する。様々な実施形態では、「ニューラルネットワーク」への言及は、1つまたは複数のニューラルネットワークへの言及であり得る。
【0053】
ニューラルネットワークは、2つの方法で情報を処理し得る。それが訓練されているとき、それは訓練モードにあり、それが学習したことを実際に実行するとき、それは推論(または予測)モードにある。ニューラルネットワークは、出力が訓練データの出力と一致するように、ネットワークが中間隠れ層内の個々のノードの重み係数を調整する(その挙動を修正する)ことを可能にするフィードバックプロセス(例えば、バックプロパゲーション)を通じて学習する。換言すれば、ニューラルネットワークは、訓練データ(学習例)を供給されることによって学習し、最終的には、新たな範囲または入力のセットが提示された場合であっても、正しい出力に到達する方法を学習する。ニューラルネットワークは、例えば、限定されないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「病変」は、(怪我または疾患を介して)損傷を受けた臓器または組織の領域を含み得る。この領域は、連続的または不連続的な領域であり得る。例えば、本明細書において使用される場合、病変は、複数の領域を含み得る。地図状萎縮(GA)病変は、慢性進行性変性を患っている網膜の領域である。本明細書で使用される場合、GA病変は、1つの病変(例えば、1つの連続病変領域)または複数の病変(例えば、複数の別個の病変からなる不連続病変領域)を含み得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「総病変面積」は、その病変が連続領域であるか不連続領域であるかにかかわらず、病変によって覆われる面積(総面積を含む)を指し得る。
【0056】
本明細書において使用される場合、「経時的」は、ある期間にわたることを意味する。期間は、日、週、月、年、または他の何らかの時間尺度であり得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、GA病変に対応する「成長速度」は、GA病変の病変面積の経時的変化および/または病変面積の経時的変化のペースを指し得る。この成長速度は、GA成長速度とも呼ばれることがある。
【0058】
本明細書で使用される場合、「融合」は、データ、臨床データ、特徴入力、または入力をマージすることを意味する。この融合は、例えば、2つ以上のデータセット、2つ以上の臨床データ(例えば、臨床因子データまたは臨床試験データ)、2つ以上の特徴入力、または2つ以上の入力をマージする「一緒に融合」とも呼ばれることがある。
【0059】
本明細書で使用される場合、OCT画像を「平坦化する」とは、OCT画像の歪み特性が最小限であり、より一貫したデータセットを形成することを意味する。平坦化は、OCTボリュームのボリューム平坦化または平坦化とも呼ばれることがある。
【0060】
III.地図状萎縮(GA)成長速度のマルチモーダル予測
図1Aは、様々な実施形態にかかる病変評価システム100のブロック図である。病変評価システム100は、被験者の網膜における地図状萎縮(GA)病変を評価するために使用される。病変評価システム100は、コンピューティングプラットフォーム102と、データストレージ104と、ディスプレイシステム106とを含む。コンピューティングプラットフォーム102は、様々な形態をとり得る。1つまたは複数の実施形態では、コンピューティングプラットフォーム102は、互いに通信する単一のコンピュータ(またはコンピュータシステム)または複数のコンピュータを含む。他の例では、コンピューティングプラットフォーム102は、クラウドコンピューティングプラットフォームの形態をとる。
【0061】
データストレージ104およびディスプレイシステム106は、それぞれ、コンピューティングプラットフォーム102と通信する。いくつかの例では、データストレージ104、ディスプレイシステム106、またはその双方は、コンピューティングプラットフォーム102の一部と見なされるか、そうでなければ統合されてもよい。したがって、いくつかの例では、コンピューティングプラットフォーム102、データストレージ104、およびディスプレイシステム106は、互いに通信する別個の構成要素であってもよいが、他の例では、これらの構成要素のいくつかの組み合わせが一緒に統合されてもよい。
【0062】
病変評価システム100は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る画像プロセッサ108を含む。1つまたは複数の実施形態では、画像プロセッサ108は、コンピューティングプラットフォーム102に実装される。
【0063】
画像プロセッサ108は、処理のために画像入力109を受信する。画像入力109は、ベースラインまたは基準時点において生成された画像を含み得る。いくつかの実施形態では、画像入力109は、ベースライン画像入力と呼ばれることがある。
【0064】
本明細書の様々な実施形態によれば、画像入力109は、眼底自発蛍光(FAF)撮像データ、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、および/または赤外線(IR)撮像データのいずれかまたは全てを含み得る。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、眼底自発蛍光(FAF)撮像データは、眼底自発蛍光(FAF)画像110のセットを含み得て、光干渉断層撮影(OCT)撮像データは、光干渉断層撮影(OCT)画像112のセットを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、FAF画像110のセットおよびOCT画像112のセットは、位置合わせされていない画像である。しかしながら、他の実施形態では、FAF画像110のセットおよびOCT画像112のセットは、位置合わせされた画像であってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、画像入力109は、モダリティの他の組み合わせからの画像を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、画像入力109は、眼底自発蛍光(FAF)画像110のセットおよび赤外線(IR)画像113のセットを含み得る。いくつかの実施形態では、赤外線(IR)撮像データは、例えば、近赤外(NIR)画像のセットであり得るIR画像113のセットを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、FAF画像110のセットおよびIR画像113のセットは、位置合わせされていない画像である。しかしながら、他の実施形態では、FAF画像110のセットおよびIR画像113のセットは、位置合わせされた画像であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、画像入力109は、モダリティの他の組み合わせからの画像を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、画像入力109は、OCT画像112のセットおよび赤外線(IR)画像113のセットを含み得る。IR画像113のセットは、例えば、近赤外(NIR)画像のセットであってもよい。1つまたは複数の実施形態では、OCT画像112のセットおよびIR画像113のセットは、位置合わせされていない画像である。しかしながら、他の実施形態では、OCT画像112のセットおよびIR画像113のセットは、位置合わせされた画像であってもよい。
【0068】
さらに他の実施形態では、画像入力109は、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、およびIR画像113のセットを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、およびIR画像113のセットのいずれかまたは全ては、位置合わせされていない画像である。しかしながら、他の実施形態では、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、およびIR画像113のセットのいずれかまたは全ては、位置合わせされた画像であってもよい。
【0069】
画像プロセッサ108は、病変面積分析システム114を使用して画像入力109(例えば、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、およびIR画像113のセットのうちの任意の1つ、2つ、または全て)を処理して、GA病変に対応する病変成長速度116を予測し、病変面積120を決定する。様々な実施形態によれば、病変面積分析システム114は、GA病変面積120およびGA成長速度116を同時に予測することができる。
【0070】
病変面積分析システム114は、様々な方法で実装され得る。図1Bは、様々な実施形態にかかる、病変面積分析システム114の概略図を示している。図1Bに示すように、病変面積分析システム114は、ニューラルネットワークシステム118を使用して実装され得る。ニューラルネットワークシステム118は、任意の数または組み合わせのニューラルネットワークを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、ニューラルネットワークシステム118は、1つまたは複数のニューラルネットワークを含む畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムの形態をとり得る。これらの1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれは、それ自体が畳み込みニューラルネットワークであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステム118は、深層学習ニューラルネットワークシステムであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステム118は、それぞれが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む複数のサブシステムを含む。本明細書で開示されるように、ニューラルネットワークシステム118の1つまたは複数のニューラルネットワークは、例えば、限定されないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、スクイーズおよび励起埋め込みニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0071】
様々な実施形態では、病変面積分析システム114は、病変面積検出モジュール122および病変面積計算モジュール124を含み得る。病変面積分析システム114は、病変面積検出モジュール122および/または病変面積計算モジュール124を介して、FAF画像および/またはOCTボリュームを使用して、個々のGA面積および成長速度を予測することができる。計算モジュール124は、様々な実施形態では、個々のGA面積および成長速度を予測するためにニューラルネットワークシステムを利用することができる。予測は、例えば、FAF画像110、OCT画像112およびIR画像113のいずれかまたは全てを含み得る画像入力109のスクリーニング画像を使用して、病変面積分析システム114を介して実行され得る。様々な実施形態では、GA成長速度(例えば、年間であればmm/年)は、蓄積されたFAFおよびOCTの撮像に基づく利用可能な全てのFAF測定値を使用して適合された線形モデルから導出され得、これはまた、経時的に、例えば2年間にわたって24週間ごとに行われ得る。
【0072】
様々な実施形態によれば、GA成長速度予測は、回帰タスクとして定式化され得る。例えば、3つのマルチタスク畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を有するニューラルネットワークシステム118を使用して、マルチモーダル撮像データ(例えば、FAF画像とOCT画像との組み合わせ)によって入力として訓練されて、病変面積検出モジュール122および病変面積計算モジュール124を介して、GA病変面積およびGA成長速度(例えば、年間化)を(例えば、同時に)予測することができる。様々な実施形態では、GA成長速度予測を導出するためのベースラインGA病変特徴、病変面積、中心窩までの病変距離、病変連続性(単焦点/多焦点)、および低輝度欠損(LLD)に基づく線形モデルは、性能をベンチマークするための参照モデルとして機能することができる。
【0073】
サイズ変更および正規化されたFAF/OCT画像は、病変面積分析システム114における入力(例えば、融合入力)として使用され得る。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、FAF画像は、512×512画素にサイズ変更され、0と1との間で正規化され得る。OCTボリューム(例えば、3D画像)の場合、画像を使用する前に前処理を実行することができる。例えば、Bスキャン間の画像強度の差を較正するためにヒストグラムマッチングが最初に適用され得、次に各Bスキャンがブルッフ膜(BM)に沿って平坦化され得る。非限定的な例として、全深さにわたって平均化された3つの面内マップ、BMを超える深さ、およびBM未満の深さは、3チャネル入力(例えば、融合入力)として組み合わせられ得る。様々な実施形態では、OCT前処理は、ボリューム平坦化の有無にかかわらず、一般的な画像コントラスト改善(または調整)を含み得る。平坦化は、網膜の内境界膜(ILM)などの任意の層に沿って行うことができる。あるいは、またはそれに加えて、OCT断面画像が画像入力チャネルに統合され得る。以下にさらに詳細に提供されるように、BMの上の深さとBMの下の深さの双方が100画素(390μm)に設定され得る一方で、面内マップは、512×512画素にサイズ変更され、0と1との間で正規化され得る。任意の2つ以上の撮像データソース(例えば、FAF画像110、OCT画像112、および/またはIR画像113のうちの任意の2つ)について画素寸法および正規化強度を0と1との間に設定することは、病変面積分析システム114および/またはニューラルネットワークシステム118、または病変面積検出モジュール122および病変面積計算モジュール124の双方のモジュールの一方に供給する前に、上述した撮像データの融合を可能にする。
【0074】
さらに、様々な実施形態では、データセット(例えば、3チャネル入力または融合入力)に対してさらなるデータ拡張(本明細書では「オフライン」と呼ぶことができる)が実行され得る。拡張は、例えば、水平方向のフリップ、回転[-5度から5度の範囲]、およびランダムな明るさおよびコントラスト[-0.2から0.2の範囲]を含み得るが、これらに限定されない。拡張後、データセットは、元のFAF/OCT面内画像および各FAF/OCT面内画像の4つの修正バージョンを含み得て、したがってデータセットのサイズを増大させる。
【0075】
様々な実施形態では、病変面積分析システム114は、画像入力109を処理して、病変成長速度116および/または推定病変面積120(本明細書ではGA病変面積、GA領域、およびベースライン病変面積とも呼ばれる)を予測する。速度116および病変面積120は、同時に決定され得る。病変面積120は、病変面積分析システム114が病変成長速度116を予測するために使用するGA病変についてのベースライン総病変面積であり得る。病変面積分析システム114は、単一のモダリティの画像を使用してGA病変を評価し、GA進行を予測する場合と比較して、より高い精度で病変成長速度116を予測する。
【0076】
例えば、GA病変面積を予測するため、および/またはGA病変についての病変成長速度を予測するために病変面積分析システム114によって実行される非限定的なワークフロー例は、図1C図1D図1E図1F、および図1Gに関して以下のように記載される。
【0077】
図1Cは、様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するためのプロセスフロー10を示している。様々な実施形態では、プロセスフロー10は、病変評価システム100などのシステムを使用して実施され、図1に関して説明した病変面積分析システム114によって実行される。図示されるように、プロセスフロー10は、例えば、眼底自発蛍光(FAF)撮像データ、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、および/または赤外線(IR)撮像データのうちの1つまたは複数であり得る画像入力109を受信することから始まる。様々な実施形態では、画像入力109は、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、および/またはIR画像113のセットを含み得る。
【0078】
様々な実施形態では、FAF画像110のセット、OCT画像112のセット、および/またはIR画像113のセットは、必要に応じて、前処理130を介して前処理され得る。前処理130は、プロセスフロー10において画像入力109に対して実行され得る任意のプロセスステップである。例えば、FAF画像110を前処理するための前処理130は、自動黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出(例えば、オートマスクディスクエリア)、画像コントラスト改善(ヒストグラム等化など)、複数のFAF画像を1つのマルチチャネル入力に結合することなどを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の方法を含み得る。いくつかの実施形態では、前処理130は、FAF撮像データまたは画像を適切な寸法にサイズ変更すること、またはFAF撮像データまたは画像を0から1の間で正規化することを含み得る。いくつかの実施形態では、FAF撮像データの前処理は、黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト調整、または多視野FAF画像の組み合わせを含み得る。
【0079】
様々な実施形態では、例えば、OCT画像112を前処理するための前処理130は、ボリューム平坦化の有無にかかわらず、一般的な画像コントラスト調整(または改善)を含み得るが、これに限定されない。様々な実施形態では、OCT画像112の平坦化は、網膜の内境界膜(ILM)などの任意の層に沿って実行され得る。あるいは、またはそれに加えて、OCT断面画像が画像入力チャネルに統合され得る。様々な実施形態では、前処理130は、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネルOCT入力を生成するために面内マップのセットを組み合わせることとを含み得る。様々な態様では、OCT撮像データを前処理することは、網膜膜の上および網膜膜の下に面内マップのセットを生成することと、生成された面内マップのセットを使用してGA病変についての病変成長速度を予測することとを含み得る。いくつかの実施形態では、角膜曲率、眼の動き、およびカメラの位置決めなどのアーチファクトを事前にフィルタリングされ得る。例えば、OCT画像112を平坦化することは、画像をより一貫した形状にすることによって視覚化をより容易にし得て、これはまた、画像入力109の効率的な切り捨てを可能にする。平坦化OCT画像は、最小限の歪み特性を提供し得る。
【0080】
プロセスフロー10は、図1Cに示すように、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)140などのニューラルネットワークを使用して、前処理の有無にかかわらず、画像入力109の分析を続ける。ここでは実証目的のためにCNN140が説明されているが、人工(ANN)またはリカレント(RNN)ニューラルネットワークなどの任意の他の適切なニューラルネットワークシステムが使用されて分析を実行してもよい。いくつかの実施形態では、CNN140は、1つまたは複数のニューラルネットワークを含んでもよい。CNN140のこれら1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれは、深層学習ニューラルネットワークであってもよい。場合によっては、CNN140は、それぞれが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む複数のサブシステムを含み得る。本明細書で開示されるように、CNN140は、例えば、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、スクイーズおよび励起埋め込みニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、ニューラルネットワークシステム118の1つまたは複数のニューラルネットワークとすることができる。
【0081】
CNN140による分析の後、図1Cに示すように、分析から1つまたは複数の特徴が抽出され、グローバル平均プーリング(GAP)150を介して処理され得る。GAPの使用は、画像サイズの縮小および計算速度の向上を可能にし、特徴検出をよりロバストにすることができる。GAP150は、所望の特徴についての1つまたは複数の特徴マップを生成するように設計されており、GAPが同様に使用され得るバイナリ分類とは対照的に、マルチクラス分類の場合に特に有用である。特徴マップの上に全結合層を追加する代わりに、GAPは、各特徴マップの平均を取り、得られたベクトルは、例えば、CNN出力を正規化することができるソフトマックス層にフィードフォワードされる。全結合層を超えるGAPの1つの利点は、特徴マップとカテゴリとの間の対応関係を強制することによって畳み込み構造に対してよりネイティブであることである。
【0082】
様々な実施形態では、グローバル平均プーリング150を使用して、画像入力109の特徴を融合またはマージして融合入力を形成する。様々な実施形態では、融合特徴入力は、平均プーリング法(本明細書で説明する)、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成され得る。
【0083】
様々な実施形態では、1つまたは複数の抽出された特徴(例えば、画像特徴)は、図1Cに示すように、1つまたは複数の高密度-256層160に供給されてもよい。高密度-256層が例として使用され、256は、層上のニューロンカウントを指すが、所与のニューロンカウントの他の任意の適切な高密度層が使用され得る。それにもかかわらず、高密度層は、一般にCNNの出力層に先行する隠れ層であり、ニューロンの層を含み、各ニューロンは、CNNの前の層からの全てのニューロンから入力を受信する。場合によっては、出力は、畳み込み層から直接もたらされ、その場合、出力は多次元である。したがって、Flatten()などの方法が使用されて、多次元出力を単次元入力に変換し、画像分類のために高密度層/出力層に変換することができる。
【0084】
様々な態様では、病変面積120(またはベースライン病変面積)は、この高密度-256層160を介して予測される。様々な実施形態では、病変成長速度116は、この高密度-256層160を介して予測される。
【0085】
様々な実施形態では、臨床因子データは、グローバル平均プーリング150(例えば、特徴の融合)中に、および/または畳み込み層出力が高密度層-256層160などの高密度層に供給される前に、含まれるかまたは生成され得る。様々な実施形態では、臨床因子データは、任意の臨床的特徴および/または被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、網膜の中心窩までの観察されたGA病変の距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、年齢、性別、および喫煙状態などのこのデータのいくつかは、提供される撮像データセットの一部として収集される情報であってもよい。網膜バイオマーカーと呼ばれる他のデータは、上述したように、CNNを介して生成され得る。
【0086】
図1Dは、様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するためのプロセスフロー20を示している。様々な実施形態では、プロセスフロー20は、病変評価システム100などのシステムを使用して実装され、図1に関して説明した病変面積分析システム114によって実行される。本明細書に開示されるように、プロセスフロー20は、プロセスフロー10のものとは異なるプロセスであり、網膜のGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するために使用して実装され得る。しかしながら、前処理130、CNN140、グローバル平均プーリング150、および高密度層256などのプロセスフロー20の各ステップは、図1Cに関して説明したものと同じまたは実質的に同じであり得るため、これ以上詳細には説明しない。図1Dに示すように、様々な実施形態によれば、前処理130およびCNN140は、画像入力109-1および109-2について同じであってもなくてもよい。
【0087】
図1Dに示すように、プロセスフロー20は、眼底自発蛍光(FAF)撮像データ、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、および/または赤外線(IR)撮像データから撮像データ(例えば、画像入力109-1および画像入力109-2)の複数の入力を受信することができる。図示されるように、画像入力109-1および画像入力109-2のそれぞれは、プロセスフロー10のものと同様に、前処理130を介してそれぞれの前処理を受け、CNN140を介して分析され得る。特徴がCNN140から抽出されると、画像入力109-1および画像入力109-2のそれぞれから抽出された特徴が組み合わせられて融合入力を形成することができる。画像入力109-1および画像入力109-2の融合入力は、図1Dに示すように、全体平均プーリング150を介して平均化されて、高密度-256層160に供給される出力を生成することができる。プロセスフロー20に示すように、高密度-256層160を介した出力は、図1Dに示すように、ベースライン病変面積120および/または病変成長速度116であり得る。様々な実施形態では、病変面積120および/または病変成長速度116が同時に予測され得る。
【0088】
図1Eは、様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するためのプロセスフロー30を示している。様々な実施形態では、プロセスフロー30は、病変評価システム100などのシステムを使用して実装され、図1に関して説明した病変面積分析システム114によって実行される。本明細書に開示されるように、プロセスフロー30は、プロセスフロー10およびプロセスフロー20のプロセスとはさらに異なるプロセスであり、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するために使用して実装され得る。プロセスフロー30では、単一の画像入力109が使用されて、CNN140に抽出された特徴をグローバル平均プーリング150に供給し得て、第1の高密度-256層160は、ベースライン病変面積120予測を生成し得る。第2の高密度-256層160は、病変周囲126を生成し得る。さらなる高密度-256層160は、他の網膜バイオマーカー128を生成し得る。ベースライン病変面積120、病変周囲126、および任意の他の網膜バイオマーカー128のそれぞれが決定されると、それらは、患者または被験者の網膜の病変成長速度116を生成するために、高密度-n*170などの別の高密度層に供給され得る。この最終的な高密度層170について、「n*」は、高密度層160のうちの1つから出力される予測バイオマーカーの数を表すことができる。
【0089】
図1Fは、様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するためのプロセスフロー40を示している。様々な実施形態では、プロセスフロー40は、病変評価システム100などのシステムを使用して実装され、図1に関して説明した病変面積分析システム114によって実行される。本明細書に開示されるように、プロセスフロー40は、プロセスフロー10、プロセスフロー20、またはプロセスフロー30のプロセスとはさらに異なるプロセスであり、網膜のGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するために使用して実装され得る。プロセスフロー40は、眼底自発蛍光(FAF)撮像データ、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、および/または赤外線(IR)撮像データから撮像データ(すなわち、画像入力109-1および画像入力109-2)の複数の入力を受信することができるという点でプロセスフロー20と同様である。図1Fに示すように、複数の画像入力109-1および109-2のそれぞれは、特徴を生成するために独立して処理され得る。例えば、画像入力109-1は、任意の前処理130を介して処理され、CNN140は、特徴を抽出して、第1の高密度-256層160がベースライン病変面積120を予測するために使用されるグローバル平均プーリング150に供給し得る。同様に、画像入力109-2は、任意の前処理130、CNN140を介して処理されて特徴を抽出し、第2の高密度-256層160が病変周囲126を予測するために使用されるグローバル平均プーリング150に供給することができる。同様に、任意の追加の画像入力109は、プロセスフロー40を介して、追加の高密度-256層160を介して処理され、追加の/他の網膜バイオマーカー128を予測することができる。図1Fに示すように、前処理130およびCNN140は、画像入力109-1および109-2、または任意の追加の画像入力109について同じであってもなくてもよい。ベースライン病変面積120、病変周囲126、および任意の他の網膜バイオマーカー128のそれぞれが生成されると、それらは、患者または被験者の網膜の病変成長速度116を生成するために、高密度-n*170などの別の高密度層に供給され得る。
【0090】
図1Gは、様々な実施形態にかかる、網膜におけるGA病変についてのベースライン病変面積および/または病変成長速度を予測するためのプロセスフロー50を示している。様々な実施形態では、プロセスフロー50は、病変評価システム100などのシステムを使用して実装され、図1に関して説明した病変面積分析システム114によって実行される。図1Gに示すように、プロセスフロー50は、CNN140を適用する代わりに、セグメンテーションCNN/コンピュータビジョン(CV)155を使用して特徴または特徴マップを抽出することができ、次いで、これを1つまたは複数のコンピュータビジョンアルゴリズム165に入力して、ベースライン病変面積120、病変周囲126、および/または任意の他の網膜バイオマーカー128を予測することができる。プロセスフロー30およびプロセスフロー40と同様に、ベースライン病変面積120、病変周囲126、および任意の他の網膜バイオマーカー128は、患者または被験者の網膜の病変成長速度116を生成するために、高密度-n*170などの別の高密度層に供給され得る。
【0091】
図2は、様々な実施形態にかかる地図状萎縮病変を評価するためのプロセス200のフローチャートである。様々な実施形態では、プロセス200は、図1に記載の病変評価システム100を使用して実装される。特に、プロセス200が使用されてGA進行を予測し得る。
【0092】
ステップ202は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットを受信することを含む。ステップ204は、網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像のセットを受信することを含む。FAF画像のセットおよびOCT画像のセットは、被験者の同じ網膜のものである。FAF画像のセットおよびOCT画像のセットのそれぞれは、1つまたは複数の画像を含み得る。様々な実施形態では、FAF画像のセットおよびOCT画像のセットは、同じまたは実質的に同じ1つまたは複数の時点(例えば、同じ時間内、同じ日内、同じ1~3日内など)についての対応する画像を含むベースライン画像である。
【0093】
ステップ206は、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびOCT画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含む。この予測病変成長速度は、FAF画像のセットのみまたはOCT画像のセットのみを使用して予測された成長速度よりも正確であり得る。上述したように、OCT画像のセットは、OCT画像が3次元であるため、GA病変に関するより大きな構造情報を提供し得る。さらに、場合によっては、OCT画像は、FAF画像では容易に識別できない特定の特徴(例えば、疾患進行の前駆体またはバイオマーカー)を明らかにし得る。
【0094】
図3は、様々な実施形態にかかる地図状萎縮病変を評価するためのプロセス300のフローチャートである。様々な実施形態では、プロセス300は、図1に記載の病変評価システム100を使用して実装される。特に、プロセス300が使用されてGA進行を予測し得る。
【0095】
ステップ302は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットを受信することを含む。網膜は、地図状萎縮、または場合によっては地図状萎縮の前駆期と診断された被験者に属し得る。
【0096】
ステップ304は、網膜の赤外線(IR)画像のセットを受信することを含む。FAF画像のセットおよびIR画像のセットは、被験者の同じ網膜のものである。FAF画像のセットおよびIR画像のセットのそれぞれは、1つまたは複数の画像を含み得る。様々な実施形態では、FAF画像のセットおよびIR画像のセットは、同じまたは実質的に同じ1つまたは複数の時点(例えば、同じ時間内、同じ日内、同じ1~3日内など)についての対応する画像を含むベースライン画像である。赤外線画像のセットは、例えば、近赤外(NIR)画像のセットであってもよい。
【0097】
ステップ306は、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびIR画像のセットを使用して網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含む。この予測された病変成長速度は、FAF画像のセットのみまたはIR画像のみを使用して予測された成長速度よりも正確であり得る。
【0098】
図4は、様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する方法400のフローチャートである。様々な実施形態では、方法400は、図1に記載の病変評価システム100などのシステムを使用して実装される。特に、方法400が使用されてGAの病変成長速度を予測し得る。
【0099】
図4に示すように、ステップ402は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することを含む。FAF撮像データは、図1の画像入力109のFAF撮像データとすることができ、図1の眼底自発蛍光(FAF)画像110を含むことができる。FAF撮像データは、1つまたは複数のFAF画像のセットを含み得る。1つまたは複数のセットのFAF画像は、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。網膜は、地図状萎縮、または場合によっては地図状萎縮の前駆期と診断された被験者に属し得る。
【0100】
ステップ404は、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することを含む。OCT撮像データは、図1の画像入力109のOCT撮像データとすることができ、図1のOCT画像112を含むことができる。OCT撮像データは、1つまたは複数のOCT画像のセットを含み得る。1つまたは複数のOCT画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0101】
方法400のいくつかの実施形態では、任意のステップ406は、網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することを含み得る。IR撮像データは、図1の画像入力109のIR撮像データとすることができ、図1のIR画像113を含むことができる。IR撮像データは、1つまたは複数のIR画像のセットを含み得る。1つまたは複数のIR画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0102】
方法400の様々な実施形態では、FAF画像の1つもしくは複数のセット、OCT画像の1つもしくは複数のセット、および/またはIR画像の任意の1つもしくは複数のセットは、被験者の同じ網膜のものである。1つまたは複数のFAF画像のセット、1つまたは複数のOCT画像のセット、および/または任意の1つまたは複数のIR画像のセットのそれぞれは、1つまたは複数の画像を含み得る。様々な実施形態では、1つまたは複数のFAF画像のセット、1つまたは複数のOCT画像のセット、および/または任意の1つまたは複数のIR画像のセットは、同じまたは実質的に同じ1つまたは複数の時点(例えば、同じ時間内、同じ日内、同じ1~3日内など)の対応する画像を含むベースライン画像である。
【0103】
ステップ410は、FAF撮像データおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含む。方法400のいくつかの実施形態では、ステップ410は、FAF撮像データ、OCT撮像データ、および/またはIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含み得る。
【0104】
様々な実施形態によれば、予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行される。FAF撮像データおよびOCT撮像データを使用した予測病変成長速度は、FAF画像のセットのみまたはOCT画像のセットのみを使用して予測された成長速度よりも正確であり得る。上述したように、OCT画像のセットは、OCT画像が3次元であるため、GA病変に関するより大きな構造情報を提供し得る。さらに、場合によっては、OCT画像は、FAF画像では容易に識別できない特定の特徴(例えば、疾患進行の前駆体またはバイオマーカー)を明らかにし得る。
【0105】
方法400のいくつかの実施形態では、任意のステップ410がステップ408の前に実行され得る。任意のステップ410は、FAF撮像データおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についてのベースライン病変面積を予測することを含み得る。様々な実施形態によれば、ベースライン病変面積の予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行され得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、FAF撮像データおよびOCT撮像データを処理して、推定ベースライン病変面積を生成し、これは、機械学習システムがステップ408において実行される病変成長速度を予測するために使用するGA病変についてのベースライン総病変面積であり得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、単一のモダリティの画像を使用してGA病変を評価し、GA進行を予測する場合と比較して、より高い精度で病変成長速度を予測し得る。
【0106】
ステップ408および/または任意のステップ410において使用される機械学習システムは、図1のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを使用して実装され得る。地図状萎縮病変についての病変成長速度の予測に使用されるニューラルネットワークシステムは、任意の数または組み合わせのニューラルネットワークを含んでもよく、1つまたは複数のニューラルネットワークを含む畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムの形態をとってもよい。これらの1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれは、それ自体が畳み込みニューラルネットワークであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、深層学習ニューラルネットワークシステムであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、それぞれが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む複数のサブシステムを含み、例えば、限定はしないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、スクイーズおよび励起埋め込みニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0107】
方法400の様々な実施形態では、ステップ408の病変成長速度を予測することは、FAF撮像データを使用して第1の入力を生成することと、OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1の入力と第2の入力を組み合わせて融合入力を形成することと、融合入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度予測を生成することと、をさらに含むことができる。
【0108】
様々な実施形態では、方法400は、融合入力から1つまたは複数のバイオマーカー(または網膜バイオマーカー)を生成または予測することを含み得る。本明細書に開示される様々な実施形態によれば、バイオマーカーは、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、外網膜卵管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含み得る。これらのバイオマーカーのいくつかは、例えば画像入力の一部として提供される臨床データに基づく外部入力として提供されてもよいことに留意されたい。
【0109】
方法400の様々な実施形態では、ステップ408の病変成長速度を予測することは、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成することと、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含み得る。
【0110】
様々な実施形態では、網膜は患者と関連付けられ得る。そのような場合、方法400は、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含んでもよい。場合によっては、臨床因子データは、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0111】
様々な実施形態では、融合特徴入力は、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成され得る。
【0112】
様々な実施形態では、方法400は、網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、FAF撮像データ、OCT撮像データ、およびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することとをさらに含み得る。
【0113】
様々な実施形態では、方法400はまた、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理は、自動黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト改善、または1つのマルチチャネル入力へのマルチフィールドFAF画像の組み合わせなどを含み得る。そのような場合、前処理は、FAF撮像データを512×512画素にサイズ変更することと、FAF撮像データを0と1との間で正規化することとを含み得る。様々な実施形態では、方法400はまた、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理OCT画像は、一般的な画像コントラスト改善、3Dから2Dへのボリューム平坦化などを含み得るが、これらに限定されない。様々な実施形態では、OCT画像の平坦化は、内境界膜(ILM)などの任意の層に沿って実行されてもよく、OCT断面画像は、画像入力チャネルに統合されてもよい。そのような場合、前処理は、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネルOCT入力を生成するために面内マップのセットを組み合わせることとを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、それぞれ図1C図1D図1E図1F、および図1Gのプロセスフロー10、20、30、40、および50に記載されているように、前処理130に関して本明細書に開示されている任意の前処理方法を含み得る。
【0114】
図5は、様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する方法500のフローチャートである。様々な実施形態では、方法500は、図1に記載の病変評価システム100などのシステムを使用して実装される。特に、方法500が使用されて、GAの病変成長速度を予測し得る。
【0115】
図5に示すように、ステップ502は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することを含む。FAF撮像データは、図1の画像入力109のFAF撮像データとすることができ、図1の眼底自発蛍光(FAF)画像110を含むことができる。FAF撮像データは、1つまたは複数のFAF画像のセットを含み得る。1つまたは複数のセットのFAF画像は、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。網膜は、地図状萎縮、または場合によっては地図状萎縮の前駆期と診断された被験者に属し得る。
【0116】
方法500のいくつかの実施形態では、任意のステップ504は、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することを含み得る。OCT撮像データは、図1の画像入力109のOCT撮像データとすることができ、図1のOCT画像112を含むことができる。OCT撮像データは、1つまたは複数のOCT画像のセットを含み得る。1つまたは複数のOCT画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0117】
図5に示すように、ステップ506は、網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することを含む。IR撮像データは、図1の画像入力109のIR撮像データとすることができ、図1のIR画像113を含むことができる。IR撮像データは、1つまたは複数のIR画像のセットを含み得る。1つまたは複数のIR画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0118】
方法500の様々な実施形態では、FAF画像の1つもしくは複数のセット、IR画像の1つもしくは複数のセット、および/またはOCT画像の任意の1つもしくは複数のセットは、被験者の同じ網膜のものである。1つまたは複数のFAF画像のセット、1つまたは複数のIR画像のセット、および/または任意の1つまたは複数のOCT画像のセットのそれぞれは、1つまたは複数の画像を含み得る。様々な実施形態では、1つまたは複数のFAF画像のセット、1つまたは複数のIR画像のセット、および/または任意の1つまたは複数のOCT画像のセットは、同じまたは実質的に同じ1つまたは複数の時点(例えば、同じ時間内、同じ日内、同じ1~3日内など)についての対応する画像を含むベースライン画像である。
【0119】
ステップ510は、FAF撮像データおよびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含む。方法500のいくつかの実施形態では、ステップ510は、FAF撮像データ、IR撮像データ、および/またはOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含み得る。
【0120】
様々な実施形態によれば、予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行される。FAF撮像データおよびIR撮像データを使用した予測病変成長速度は、FAF画像のセットのみまたはIR画像のセットのみを使用して予測された成長速度よりも正確であり得る。上述したように、OCT画像のセットは、OCT画像が3次元であるため、GA病変に関するより大きな構造情報を提供し得る。さらに、場合によっては、OCT画像は、FAF画像では容易に識別できない特定の特徴(例えば、疾患進行の前駆体またはバイオマーカー)を明らかにし得る。
【0121】
方法500のいくつかの実施形態では、任意のステップ510がステップ508の前に実行され得る。任意のステップ510は、FAF撮像データおよびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についてのベースライン病変面積を予測することを含み得る。様々な実施形態によれば、ベースライン病変面積の予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行され得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、FAF撮像データおよびIR撮像データを処理して、推定ベースライン病変面積を生成し、これは、機械学習システムがステップ508において実行される病変成長速度を予測するために使用するGA病変についてのベースライン総病変面積であり得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、単一のモダリティの画像を使用してGA病変を評価し、GA進行を予測する場合と比較して、より高い精度で病変成長速度を予測し得る。
【0122】
ステップ508および/または任意のステップ510において使用される機械学習システムは、図1のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを使用して実装され得る。地図状萎縮病変についての病変成長速度の予測に使用されるニューラルネットワークシステムは、任意の数または組み合わせのニューラルネットワークを含んでもよく、1つまたは複数のニューラルネットワークを含む畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムの形態をとってもよい。これらの1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれは、それ自体が畳み込みニューラルネットワークであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、深層学習ニューラルネットワークシステムであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、それぞれが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む複数のサブシステムを含み、例えば、限定はしないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、スクイーズおよび励起埋め込みニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0123】
方法500の様々な実施形態では、ステップ508の病変成長速度を予測することは、FAF撮像データを使用して第1の入力を生成することと、IR撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1および第2の入力を一緒に融合することと、融合入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含むことができる。
【0124】
様々な実施形態では、方法500は、融合入力から1つまたは複数のバイオマーカー(または網膜バイオマーカー)を生成または予測することを含み得る。本明細書に開示される様々な実施形態によれば、バイオマーカーは、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、外網膜卵管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含み得る。これらのバイオマーカーのいくつかは、例えば画像入力の一部として提供される臨床データに基づく外部入力として提供されてもよいことに留意されたい。
【0125】
方法500の様々な実施形態では、ステップ508の病変成長速度を予測することは、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成することと、IR画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、IR撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含み得る。
【0126】
様々な実施形態では、網膜は患者と関連付けられ得る。そのような場合、方法500は、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含んでもよい。場合によっては、臨床因子データは、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0127】
様々な実施形態では、融合特徴入力は、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成され得る。
【0128】
様々な実施形態では、方法500は、網膜のOCT撮像データと、FAF撮像データ、IR撮像データ、およびOCT撮像データを使用して網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することとをさらに含み得る。
【0129】
様々な実施形態では、方法500はまた、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理は、自動黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト改善、または1つのマルチチャネル入力へのマルチフィールドFAF画像の組み合わせなどを含み得る。そのような場合、前処理は、FAF撮像データを512×512画素にサイズ変更することと、FAF撮像データを0と1との間で正規化することとを含み得る。様々な実施形態では、方法500はまた、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理OCT画像は、一般的な画像コントラスト改善、3Dから2Dへのボリューム平坦化などを含み得るが、これらに限定されない。様々な実施形態では、OCT画像の平坦化は、内境界膜(ILM)などの任意の層に沿って実行されてもよく、OCT断面画像は、画像入力チャネルに統合されてもよい。様々な実施形態では、前処理は、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネルOCT入力を生成するために面内マップのセットを組み合わせることとを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、それぞれ図1C図1D図1E図1F、および図1Gのプロセスフロー10、20、30、40、および50に記載されているように、前処理130に関して本明細書に開示されている任意の前処理方法を含み得る。
【0130】
ここで、様々な実施形態にかかる、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測する方法600のフローチャートである図6を参照する。様々な実施形態では、方法600は、図1に記載の病変評価システム100などのシステムを使用して実装される。特に、方法600が使用されて、GAの病変成長速度を予測し得る。
【0131】
図6に示すように、ステップ604は、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することを含む。網膜は、地図状萎縮、または場合によっては地図状萎縮の前駆期と診断された被験者に属し得る。OCT撮像データは、図1の画像入力109のOCT撮像データとすることができ、図1のOCT画像112を含むことができる。OCT撮像データは、1つまたは複数のOCT画像のセットを含み得る。1つまたは複数のOCT画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0132】
方法600のいくつかの実施形態では、任意のステップ602は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することを含み得る。FAF撮像データは、図1の画像入力109のFAF撮像データとすることができ、図1の眼底自発蛍光(FAF)画像110を含むことができる。任意のFAF撮像データは、1つまたは複数のFAF画像のセットを含み得る。任意の1つまたは複数のセットのFAF画像は、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0133】
方法600は、網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することを含み得るステップ606をさらに含む。IR撮像データは、図1の画像入力109のIR撮像データとすることができ、図1のIR画像113を含むことができる。IR撮像データは、1つまたは複数のIR画像のセットを含み得る。1つまたは複数のIR画像のセットは、位置合わせされていないまたは位置合わせされた画像であってもよい。
【0134】
方法600の様々な実施形態では、任意のFAF画像の1つまたは複数のセット、OCT画像の1つまたは複数のセット、および/またはIR画像の1つまたは複数のセットは、被験者の同じ網膜のものである。任意のFAF画像の1つまたは複数のセット、OCT画像の1つまたは複数のセット、および/またはIR画像の1つまたは複数のセットのそれぞれは、1つまたは複数の画像を含み得る。様々な実施形態では、任意のFAF画像の1つまたは複数のセット、OCT画像の1つまたは複数のセット、および/またはIR画像の1つまたは複数のセットは、同じまたは実質的に同じ1つまたは複数の時点(例えば、同じ時間内、同じ日内、同じ1~3日内など)についての対応する画像を含むベースライン画像である。
【0135】
ステップ610は、IR撮像データおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含む。方法600のいくつかの実施形態では、ステップ610は、IR撮像データ、OCT撮像データ、および/またはFAF撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することを含み得る。
【0136】
様々な実施形態によれば、予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行される。IR撮像データおよびOCT撮像データを使用した予測病変成長速度は、IR画像のセットのみまたはOCT画像のセットのみを使用して予測された成長速度よりも正確であり得る。上述したように、OCT画像のセットは、OCT画像が3次元であるため、GA病変に関するより大きな構造情報を提供し得る。さらに、場合によっては、OCT画像は、FAF画像では容易に識別できない特定の特徴(例えば、疾患進行の前駆体またはバイオマーカー)を明らかにし得る。
【0137】
方法600のいくつかの実施形態では、任意のステップ610がステップ608の前に実行され得る。任意のステップ610は、IR撮像データおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についてのベースライン病変面積を予測することを含み得る。様々な実施形態によれば、ベースライン病変面積の予測は、図1に関して説明した病変面積分析システム114などの機械学習システムを介して実行され得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、IR撮像データおよびOCT撮像データを処理して、推定ベースライン病変面積を生成し、これは、機械学習システムがステップ608において実行される病変成長速度を予測するために使用するGA病変についてのベースライン総病変面積であり得る。様々な実施形態では、機械学習システムは、単一のモダリティの画像を使用してGA病変を評価し、GA進行を予測する場合と比較して、より高い精度で病変成長速度を予測し得る。
【0138】
ステップ608および/または任意のステップ610において使用される機械学習システムは、図1のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを使用して実装され得る。地図状萎縮病変についての病変成長速度の予測に使用されるニューラルネットワークシステムは、任意の数または組み合わせのニューラルネットワークを含んでもよく、1つまたは複数のニューラルネットワークを含む畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムの形態をとってもよい。これらの1つまたは複数のニューラルネットワークのそれぞれは、それ自体が畳み込みニューラルネットワークであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、深層学習ニューラルネットワークシステムであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークシステムは、それぞれが1つまたは複数のニューラルネットワークを含む複数のサブシステムを含み、例えば、限定はしないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、スクイーズおよび励起埋め込みニューラルネットワーク、MobileNet、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0139】
方法600の様々な実施形態では、ステップ608の病変成長速度を予測することは、IR撮像データを使用して第1の入力およびOCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1および第2の入力を一緒に融合して融合入力を形成することと、融合入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含むことができる。
【0140】
様々な実施形態では、方法600は、融合入力から1つまたは複数のバイオマーカー(または網膜バイオマーカー)を生成または予測することを含み得る。本明細書に開示される様々な実施形態によれば、バイオマーカーは、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、外網膜卵管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含み得る。これらのバイオマーカーのいくつかは、例えば画像入力の一部として提供される臨床データに基づく外部入力として提供されてもよいことに留意されたい。
【0141】
方法600の様々な実施形態では、ステップ608の病変成長速度を予測することは、IR画像のセットを使用して第1の入力を生成することと、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、IR撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含み得る。
【0142】
様々な実施形態では、網膜は患者と関連付けられ得る。そのような場合、方法600は、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含んでもよい。場合によっては、臨床因子データは、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0143】
様々な実施形態では、融合特徴入力は、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成され得る。
【0144】
様々な実施形態では、方法600は、網膜のFAF撮像データと、IR撮像データ、OCT撮像データ、およびFAF撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することとをさらに含み得る。
【0145】
様々な実施形態では、方法600はまた、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理は、自動黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト改善、または1つのマルチチャネル入力へのマルチフィールドFAF画像の組み合わせなどを含み得る。そのような場合、前処理は、FAF撮像データを512×512画素にサイズ変更することと、FAF撮像データを0と1との間で正規化することとを含み得る。様々な実施形態では、方法600はまた、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することを含んでもよい。様々な実施形態では、前処理OCT画像は、一般的な画像コントラスト改善、3Dから2Dへのボリューム平坦化などを含み得るが、これらに限定されない。様々な実施形態では、OCT画像の平坦化は、内境界膜(ILM)などの任意の層に沿って実行されてもよく、OCT断面画像は、画像入力チャネルに統合されてもよい。そのような場合、前処理は、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネルOCT入力を生成するために面内マップのセットを組み合わせることとを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、それぞれ図1C図1D図1E図1F、および図1Gのプロセスフロー10、20、30、40、および50に記載されているように、前処理130に関して本明細書に開示されている任意の前処理方法を含み得る。
【0146】
様々な実施形態では、方法400、方法500、および/または方法600を実装するためのシステムは、非一時的メモリと、非一時的メモリに結合され、非一時的メモリから命令を読み出して、システムに方法400、方法500、および/または方法600の動作を実行させるように構成されたハードウェアプロセッサとを含むことができる。様々な実施形態では、システムは、図1に記載の病変評価システム100を使用して実装され得る。システムが実行する動作は、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信すること、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信すること、および/または網膜の赤外線(IR)撮像データを受信すること、ならびにFAF、OCT、および/またはIR撮像データのうちの2つ(例えば、FAFおよびOCT撮像データ、FAFおよびIR撮像データ、またはOCTおよびIR撮像データ)を使用して網膜における地図状萎縮(GA)病変について病変成長速度を予測することを含み得る。
【0147】
様々な実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)は、方法400、方法500、および/または方法600の動作をコンピュータシステムに実行させるように実行可能なコンピュータ可読命令を記憶していてもよい。様々な実施形態では、動作は、図1に記載の病変評価システム100などのシステムを使用して実行または実装され得る。CRMは、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信すること、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信すること、および/または網膜の赤外線(IR)撮像データを受信すること、ならびにFAF、OCT、および/またはIR撮像データのうちの2つ(例えば、FAFおよびOCT撮像データ、FAFおよびIR撮像データ、またはOCTおよびIR撮像データ)を使用して網膜における地図状萎縮(GA)病変についての病変成長速度を予測することを含む動作を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。
【0148】
IV.人工ニューラルネットワーク
図7は、本開示の様々な実施形態にかかる、コンピュータベースのモデルを実装するために使用され得る例示的なニューラルネットワークを示している。例えば、ニューラルネットワーク700は、病変面積分析システム114のニューラルネットワークシステム118を含んでもよい。図示のように、人工ニューラルネットワーク700は、入力層702、隠れ層704、および出力層706の3つの層を含む。層702、704、および706のそれぞれは、1つまたは複数のノードを含み得る。例えば、入力層702は、ノード708~714を含み、隠れ層704は、ノード716~718を含み、出力層706は、ノード722を含む。この例では、階層内の各ノードは、隣接する階層内の全てのノードに接続されている。例えば、入力層702のノード708は、隠れ層704の双方のノード716、718に接続される。同様に、隠れ層のノード716は、入力層702のノード708~714および出力層706のノード722の全てに接続される。人工ニューラルネットワーク700についてはただ1つの隠れ層しか示されていないが、病変面積分析システム114のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを実装するために使用される人工ニューラルネットワーク700は、必要または所望に応じた数の隠れ層を含み得ると考えられている。
【0149】
この例では、人工ニューラルネットワーク700は、入力値のセット(入力1~4)を受信し、出力値(出力5)を生成する。入力層702内の各ノードは、別個の入力値に対応し得る。例えば、人工ニューラルネットワーク700が病変面積分析システム114のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを実装するために使用される場合、入力層702内の各ノードは、OCT撮像データ110の別個の属性に対応し得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、隠れ層704内のノード716~718のそれぞれは、ノード708~714から受信した入力値に基づいて値を生成する数学的計算(またはアルゴリズム)を含み得る表現を生成する。数学的計算は、ノード708~714から受信したデータ値のそれぞれに異なる重みを割り当てることを含み得る。ノード716および718は、ノード716~718のそれぞれがノード708~714から受信した同じ入力値に基づいて異なる値を生成し得るように、ノード708~714からのデータ変数に割り当てられた異なるアルゴリズムおよび/または異なる重みを含み得る。いくつかの実施形態では、ノード716~718のそれぞれの特徴(または入力値)に最初に割り当てられる重みは、(例えば、コンピュータランダマイザを使用して)ランダムに生成されてもよい。ノード716および718によって生成された値は、人工ニューラルネットワーク700の出力値を生成するために出力層706内のノード722によって使用され得る。人工ニューラルネットワーク700が、病変面積分析システム114のニューラルネットワークシステム118などのニューラルネットワークシステムを実装するために使用される場合、人工ニューラルネットワーク700によって生成される出力値は、ベースライン病変面積120および/または病変成長速度116を含み得る。
【0151】
人工ニューラルネットワーク700は、訓練データを使用することによって訓練され得る。例えば、本明細書の訓練データは、OCT撮像データ112(図1Aを参照)からの画像のセットであってもよい。人工ニューラルネットワーク700に訓練データを提供することによって、隠れ層704内のノード716~718は、訓練データに基づいて出力層706において最適な出力が生成されるように訓練(調整)され得る。異なる訓練データセットを連続的に提供し、人工ニューラルネットワーク700の出力が正しくない(例えば、誤ったGA病変セグメントを含むセグメンテーションマスクを生成する場合)ときに人工ニューラルネットワーク700にペナルティを課すことによって、人工ニューラルネットワーク700(具体的には、隠れ層704内のノードの表現)が訓練(調整)されて、データ分類におけるその性能を改善することができる。人工ニューラルネットワーク700を調整することは、隠れ層704内の各ノードと関連付けられた重みを調整することを含み得る。
【0152】
上記の説明は、機械学習の例としての人工ニューラルネットワークに関するものであるが、他のタイプの機械学習方法もまた、本開示の様々な態様を実装するのに適し得ることが理解される。例えば、サポートベクターマシン(SVM)が使用されて機械学習を実装し得る。SVMは、分類および回帰に使用される関連する教師あり学習方法のセットである。非確率的バイナリ線形分類器であり得るSVM訓練アルゴリズムは、新たな例が1つのカテゴリに入るか別のカテゴリに入るかを予測するモデルを構築し得る。別の例として、ベイジアンネットワークが使用されて機械学習を実装してもよい。ベイジアンネットワークは、ランダム変数のセットおよび有向非巡回グラフ(DAG)によるそれらの条件的独立性を表す非巡回確率的グラフィカルモデルである。ベイジアンネットワークは、1つの変数と別の変数との間の確率的関係を提示することができる。別の例は、決定木学習モデルを使用して機械学習プロセスを実行する機械学習エンジンである。場合によっては、決定木学習モデルは、分類木モデルおよび回帰木モデルを含み得る。いくつかの実施形態では、機械学習エンジンは、回帰木モデルとして勾配ブースティング機械(GBM)モデル(例えば、XGBoost)を使用する。他の機械学習技術が使用されて、例えばランダムフォレストまたは深層ニューラルネットワークを介して機械学習エンジンを実装してもよい。他のタイプの機械学習アルゴリズムは、簡単にするために本明細書では詳細に説明されず、本開示は、特定のタイプの機械学習に限定されないことが理解される。
【0153】
V.本明細書で開示されるシステムおよび方法の例示的な適用
以下では、本発明をより詳細に説明する例示的なワークフローについて説明する。開示されたシステムおよび方法は、マルチモーダル、マルチタスク深層学習(DL)アプローチを介したベースライン来院からの眼底自発蛍光(FAF)画像、赤外線(IR)画像、および/またはスペクトル領域光干渉断層法(OCT)ボリュームを使用してGA面積および成長速度を予測するために使用され得る。前向きランパリズマブ臨床試験に位置合わせされた両側GAを有する患者の試験眼からのベースラインFAF画像、IR画像および/またはOCTボリュームを使用して、遡及的分析が実行され得る。前向きランパリズマブ臨床試験からの1722人の患者/眼の遡及的分析は、ベースライン来院FAF画像および/またはOCTボリュームを使用して、マルチタスク深層学習アプローチを使用して同時GA病変面積および年間GA成長速度を予測することの実現可能性を実証する。ベースライン来院画像を使用したGA成長速度の正確な予測は、臨床試験の設計、実装、および分析を改善するのに役立つ。
【0154】
GA成長速度(mm/年)を、病変面積の利用可能な全ての測定値(mm、独立したリーディングセンターによって等級付けされる)に対する線形適合の傾きとして推定した。データセットを開発(1279人の患者/眼)セットとホールドアウト(443人の患者/眼)セットに分割した。3つのマルチタスク畳み込みニューラルネットワークモデル、FAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダル(FAFおよびOCT)を使用して、同時病変面積および年間成長速度を同時に予測した。性能は、観察された病変面積/成長速度と予測された病変面積/成長速度との間のピアソン相関係数(r)の二乗として定義される試料内決定係数(R)を計算することによって評価した。信頼区間(CI)は、ブートストラップリサンプリング(B=10000)によって計算した。
【0155】
開発セットにおいて、GA病変面積予測についてのFAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダルモデルの平均Rとしての性能は、それぞれ0.93、0.91、および0.93であり、GA成長速度予測については、それぞれ0.48、0.42、および0.52であった。ホールドアウトデータセットでは、GA病変面積予測についてのFAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダルモデルのR(95%CI)としての性能は、それぞれ0.96(0.95~0.97)、0.91(0.87~0.95)、および0.94(0.92~0.96)であり、GA成長速度予測については、それぞれ0.48(0.41~0.55)、0.36(0.29~0.43)、0.47(0.40~0.54)であった。
【0156】
これらの所見は、ベースラインFAF画像および/またはOCTボリュームを使用して、マルチタスクDLアプローチを利用して個々のGA面積および成長速度を予測することの実現可能性を示す。スクリーニング画像のみを使用する人工知能ベースの予測は、臨床試験の設計および患者管理を潜在的に知らせ、改善することができる。
【0157】
地図状萎縮(GA)は、加齢黄斑変性(AMD)の進行期であり、世界中で約500万人が罹患している。これは、光受容体、網膜色素上皮(RPE)および脈絡毛細管板の進行性の喪失を特徴とし、現在、有効な承認された治療法はない。
【0158】
GA病変は、カラー眼底撮影法(CFP)、フルオレセイン蛍光造影法(FA)、眼底自発蛍光法(FAF)、近赤外反射率(NIR)、光干渉断層撮影法(OCT)および光干渉断層撮影法血管造影法(OCTA)を含むいくつかのモダリティによって検出され得る。FAFは、RPE中のリポフスチン顆粒内の内因性フルオロフォアのトポグラフィックマッピングを示し、GA病変面積を定量化するために臨床試験で使用されている。定義された時間(すなわち、GA成長速度)にわたるFAF由来GA病変面積の変化は、臨床試験におけるGAの主要評価項目として使用されている。
【0159】
OCTは、マイクロメートル分解能で組織微細構造から断面3次元画像を捕捉し、臨床眼科における標準的な技術である。OCT技術が進歩するにつれて、OCT画像は、GA前駆体、発症および進行を特徴付けるのに役立ち得る構造情報を提供することが現在受け入れられている。OCT撮像は、異なる萎縮表現型を定義するための参照方法として、萎縮会議分類(CAM)群によって推奨されている。GAへの変換を含む、中程度から進行したAMDへの進行のためのいくつかの可能性のある前駆体またはバイオマーカーがOCT画像上で観察されており、それらは、楔形網膜下反射低下、RPE減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、および高い中心ドルーゼン容積などである。
【0160】
典型的には、個体間でGA成長速度に大きな変動がある。したがって、正確で個別化されたGA成長速度予測が使用されて、重要な臨床的および研究的問題に対処することができる。それは、患者のカウンセリングを支援するか、または患者のスクリーニング、濃縮および層別化による臨床試験設計、または出力を増加させるための予後共変量調整による臨床試験分析を知らせることができる。さらに、遺伝子型または表現型の特徴と相関させることによって疾患の病因をよりよく理解するために使用され得る。
【0161】
以前の研究は、CFP、FAF、NIR、OCTおよびOCTAのような撮像モダリティを使用して経時的なGA成長を予測することを試みてきた。一般に、GA成長速度は、線形であることが分かっている。CFPに関する最近の研究は、GA成長速度が病変周囲長と強く相関することを示した。FAFに関する研究からの所見は、病変の形状記述的特徴、周りを囲む異常な自己蛍光パターンおよび以前の進行速度がGA病変拡大の予後であることを示唆した。FAFおよびNIR画像を使用した研究は、RPDがGA病変の成長を高度に予測することを示した。OCTボリュームから抽出された特徴に基づく予測モデルは、GAがどこで成長する可能性が高いかを予測する能力を実証した。OCTに関する別の研究は、網膜外層管形成の存在がより遅い病変成長と関連付けられ得ることを示した。さらに、OCTAに関する研究は、脈絡毛細管板の空隙がGA病変成長の前駆体であり得ることを示した。研究はまた、GAの発症と関連付けられた遺伝的、環境的および人口統計学的因子も同定しているが、GAの進行に対するそれらの効果は明らかではない。
【0162】
以前の知見にもかかわらず、GA疾患進行の根底にある正確な機構は依然として不明であり、したがって、個々のGA進行を正確に予測する画像ベースの特徴および臨床的特徴の双方を抽出することは依然として困難である。しかしながら、これは、事前の特徴抽出および/または選択が必要とされない新たな深層学習技術を適用する機会を提供する。深層学習アルゴリズムが使用されて、有望な結果を伴うベースライン網膜画像から個々のGA成長速度を予測することができる。リカレントニューラルネットワークベースの予測モデルが使用されて、GAがどこで成長する可能性が高いかを予測することができる。
【0163】
この研究は、GA成長速度を正確に予測するために、以前のランパリズマブ第3相試験および観察研究からのデータセットに対して最先端の深層学習技術を活用することを目的とした。以下の3つのマルチタスクモデルをベースライン画像上でエンドツーエンドで訓練した:FAFのみ、OCTのみおよびマルチモーダル(FAFおよびOCT)。モデル性能を比較し、各モデルは同時GA病変面積および環状GA成長速度を同時に予測した。勾配活性化ヒートマップ視覚化技術が使用されて、モデル予測に寄与する画像の領域を決定した。
【0164】
この遡及的試験は、ランパリズマブ第3相臨床試験(彩度[NCT02247479]およびスペクトル[NCT02247531])または観察試験(プロキシマA[NCT02479386])に位置合わせされた両側GAを有する患者の試験眼からのデータを使用した。これらの3つの試験における試験眼の選択基準は同じであり、以前に記載されている。試験はヘルシンキ宣言に準拠し、医療保険の携行性と責任に関する法律に準拠していた。プロトコルは、試験が開始される前に各施設の施設内審査委員会によって承認された。全ての患者は、将来の医学的研究および分析のために書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0165】
本研究では、Spectralis HRA+OCT(Heidelberg Engineering,Inc.(ハイデルベルク、ドイツ))を使用して捕捉した黄斑30度FAF画像(768×768画素)および黄斑OCTボリューム(496×1024×49ボクセル)を分析した。単一のFAF画像またはBスキャンOCT画像を得るために平均化された画像の数を示す自動化実時間関数(ART)値は、15以上であった。ベースライン来院からの試験眼画像のみを使用した。第3相試験では治療効果が観察されなかったため、この分析のために全ての治療アームをプールした。全ての研究来院からのGA病変面積を、必要に応じて裁定者を有する2人の訓練された読者によって中央リーディングセンターにおいてRegionFinderソフトウェア(Heidelberg Engineering,Inc.(ハイデルベルク、ドイツ))を使用してFAF画像で等級分けした。GA成長速度(mm/年)は、2年間にわたって24週間ごとにFAFおよびOCT撮像を受けた各患者について利用可能な全てのFAF測定値を使用して適合させた線形モデルから導出した。画像データセットを開発データセット(1279人の患者/眼)およびホールドアウトデータセット(443人の患者/眼)に分割した。開発データセットを、入れ子式交差検証(CV)のためにさらに5つに分割した。分析に含まれる患者のベースライン特性は、データセット分割にわたってバランスがとれていた(以下の表1)。全体として、ベースラインGA病変面積は、2.54から17.78mmの範囲であり、GA成長速度は、0.15から5.98mm/年の範囲であった。
【表1】
表1において、BCVAは、最高矯正視力を表す。ETDRSは、早期治療糖尿病性網膜症研究を表す。FAFは、眼底自発蛍光を表す。GAは、地図状萎縮を表す。LLDは、低輝度不足を表す。SDは、標準偏差を表す。
【0166】
GA成長速度予測を回帰タスクとして定式化した。3つのマルチタスク畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を、ベースラインのFAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダル(FAF画像とOCT画像との組み合わせ)画像を入力として用いて訓練して、ベースラインGA病変面積および年間GA成長速度を同時に予測した。GA成長速度予測を導出するためのベースラインGA病変特徴、病変面積、中心窩までの病変距離、病変連続性(単焦点/多焦点)、および低輝度欠損(LLD)に基づく線形モデルを、性能をベンチマークするための参照モデルとして使用した。ベースライン来院画像は、ベースラインGA病変の特徴およびLLD単独に基づく線形モデルよりも多くのGA疾患進行の予後情報を提供する。さらに、マルチモーダルアプローチ(図8Bを参照)は、疾患進行に対するより多くの洞察を与え、単一モダリティアプローチ(図8Aを参照)よりも優れている。
【0167】
3つのCNNを、ベースラインGA病変面積および年間GA成長速度を同時に予測するように設計した。マルチタスクモデルは、成長速度予測タスクのみではオーバーフィッティングする可能性がより少なく、双方のタスクの情報を捕捉する表現を見つけ、より低い特徴抽出CNN層に追加の情報が提供されるため、おそらく性能を改善することが期待された。マルチタスクアプローチは、以前に良好な性能を実証している。3つのモデルは、全て、CNNベースの深層学習ネットワークアーキテクチャInception V3を使用した。ネットワークは、開発データセットで完全に再訓練される前に1000クラスの1400万個の画像を含む画像データセットであるImageNetで事前訓練された。
【0168】
図8Aおよび図8Bは、全体的なニューラルネットワークアーキテクチャ800aおよび800bを示している。図8Aは、図1Cに示すプロセスフロー10と同じであり、図8Bとの比較のために本明細書に含まれる、単一モダリティマルチタスクモデルを示している。図8Bは、様々な実施形態にかかる、マルチモダリティマルチタスクモデルを示している。図8Bは、図1Dに関して説明したプロセスフロー20と実質的に同様であるが、ニューラルネットワークアーキテクチャ800bは、画像入力109-1がFAF撮像データ/画像であり、画像入力109-2がOCT撮像データ/画像である例である。以下に示す結果は、前処理されていないFAF撮像データ/画像および分析中に処理されたOCT撮像データ/画像に基づく。
【0169】
モデルは、サイズ変更および正規化されたベースラインFAF/OCT画像を入力として取得する。FAF画像を512×512画素にサイズ変更し、0と1との間で正規化した。OCTボリュームの場合、ヒストグラムマッチングを最初に適用してBスキャン間の画像強度の差を較正し、次に各Bスキャンをブルッフ膜(BM)に沿って平坦化した。全深さにわたって平均化された3つの面内マップ、BM上深さ、およびBM下深さを、3チャネル入力として組み合わせた。BM上深さとBM下深さの双方が100画素(390μm)であった。面内マップは、512×512画素にサイズ変更され、0と1との間で正規化された。
【0170】
図9は、様々な実施形態にかかる、光干渉断層撮影(OCT)ボリュームの前処理ステップを含むワークフロー900の例を示している。図9に示すように、OCTボリュームを処理してヒストグラムマッチングを行い、続いてブルッフ膜(BM)に沿ってボリュームを平坦化し、続いて面内マップを行うことができる。図9はまた、ヒストグラムマッチングの前後のスキャン、および3チャネル入力としての面内マップの例を示している。例えば、OCTスキャナから得られた網膜表面は、BスキャンおよびCスキャンスライスにおいて異なる形態の歪みを示す。これらのアーチファクトは、角膜曲率、眼の動き、およびカメラの位置などのいくつかの要因の結果であると考えられる。データセットを平坦化すること(すなわち、OCT画像の平坦化)は、データセットをより一貫した形状にすることによって視覚化を容易にし、データセットの効率的な切り捨ても可能にする。平坦化OCT画像は、光干渉断層撮影画像に特徴的な最小限の歪みを有し得る。
【0171】
水平方向のフリップ、回転[-5度から5度の範囲]、ならびにランダムな明るさおよびコントラスト[-0.2から0.2の範囲]を含むオフラインデータ拡張を開発データセットに対して行った。拡張後、開発データセットは、元のFAF/OCT面内画像および各FAF/OCT面内の4つの修正バージョンを含み、開発データセットのサイズを5倍増加させた。ホールドアウトデータセットに対して拡張は実行されなかった。
【0172】
各モデルの性能は、観察値と予測値との間のピアソン相関係数(r)の二乗として定義されるサンプル内決定係数(R)を計算することによって評価した。95%信頼区間(CI)は、ブートストラップリサンプリング(B=10000)によって導出された。
【0173】
モデルが依拠し得る画像特徴を特徴付けるための初期の努力において、最先端の勾配重み付けクラス活性化マッピング法(回帰タスクのためのGradCAMまたはGradAM)を適用して、ホールドアウトデータセット上の3つのモデリングアプローチのヒートマップを導出し、定性的に検討した。
【0174】
入れ子式CV設定では、各外側折り畳みのモデルハイパーパラメータの調整は、5つの内側CV折り畳みを使用して実行された。各外側折り畳みレベルで、最良のハイパーパラメータ設定を選択し、モデルを内側折り畳み開発データセットでこれらのハイパーパラメータによって再訓練し、外側折り畳みデータセットで予測するために使用した。ホールドアウトデータセットについて、各外側折り畳みの最良のハイパーパラメータを有する5つのモデルを開発データセットで再訓練し、ホールドアウトデータセットの最終予測を得るために平均化した。
【0175】
3つのマルチタスクモデルの性能を、最初に開発データセットの内側折り畳みで評価した(表2)。
【表2】
FAFは、眼底自発蛍光を表す。GAは、地図状萎縮を表す。OCTは、光干渉断層法を表す。SDは、標準偏差を表す。
【0176】
内側CV折り畳みの場合、性能は、毎回外側折り畳みを除いてランダムに分割された5つの内側折り畳みの平均Rとして与えられる。
【表3】
ベンチマークモデルは、ベースラインGA病変面積、中心窩までの病変距離、病変連続性(単焦点/多焦点)および低輝度欠損(LLD)に基づく線形モデルである。CIは、信頼区間を表す。FAFは、眼底自発蛍光を表す。GAは、地図状萎縮を表す。OCTは、光干渉断層法を表す。SDは、標準偏差を表す。
【0177】
表3(上記)は、開発データセットおよびホールドアウトデータセットの外側折り畳みにおけるベースラインGA病変面積および環状GA成長速度の予測におけるベンチマークモデルおよび3つのマルチタスクモデルの性能を示している。開発データセットでは、マルチモーダルモデルは、FAFのみのモデル[0.93(0.03)および0.48(0.05)]およびOCTのみのモデル[0.91(0.03)および0.93(0.02)]と比較して、GA病変面積およびGA成長速度予測についてそれぞれ0.42(0.04)および0.52(0.05)の平均R(標準偏差[SD])でCV性能を有していた(表3)。ホールドアウトデータセットでは、GA病変面積およびGA成長速度についてのR(ブートストラップ95%信頼区間[CI])値は、FAFのみおよびマルチモーダルモデルについて類似しており[0.96(0.95~0.97)および0.48(0.41~0.55)対0.94(0.92~0.96)および0.47(0.40~0.54)]、OCTのみのモデルではより低かった[0.91(0.87~0.95)および0.36(0.29~0.43)](表3)。比較すると、ベースライン来院GA病変面積、中心窩までの病変距離、病変連続性およびLLDに基づく線形回帰モデルを使用して以前に開発されたベンチマークモデルは、同じホールドアウトデータセット上のGA成長速度予測について0.16(0.10~0.23)のR値を示した(表3)。
【0178】
図10は、様々な実施形態にかかる、(A)開発データセットおよび(B)ホールドアウトデータセットに対する3つのモデルおよびベンチマークモデルのモデル性能を比較するフォレストプロットを示している。図10は、開発データセットおよびホールドアウトデータセットの外側折り畳みにおいて、ベンチマークモデルと3つのマルチタスクモデルとを比較した対応するフォレストプロットを示している。開発データセットでは、臨床ベンチマークモデルのサンプルサイズは1485であり、撮像モデルのサンプルサイズは1279である。95%CIは、B=10000ブートストラップ再サンプリングによって導出される。
【0179】
図11は、様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセット上の予測されたGA病変面積対観察されたGA病変面積およびGA成長速度の散布図1100を示している。プロット1100に示すように、ホールドアウトデータセット上の3つのモデルの(A)予測されたGA病変面積対観察されたGA病変面積および(B)予測されたGA成長速度対観察されたGA成長速度の散布図である。
【0180】
図12は、様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセット上の予測されたGA病変面積対観察されたGA病変面積およびGA成長速度の残差プロット1200を示している。ホールドアウトデータセット上の3つのモデルの(A)予測されたGA病変面積-観察されたGA病変面積対観察されたGA病変面積および(B)予測されたGA成長速度-観察されたGA成長速度対観察されたGA成長速度の残差プロットが示されている。
【0181】
図13は、様々な実施形態にかかる、ホールドアウトデータセットに対するサブグループ残差分析に基づくGA成長速度予測のプロット1300を示している。図13のプロット1300は、病変連続性(単焦点/多焦点)および病変の位置(中心窩下/中心窩外)のサブセットに基づいて、ホールドアウトデータセットに対して実行されたサブグループ分析を示している。予測バイアスは観察されず、3つ全てのモデルが双方のサブセットにわたって同様の性能を示した。
【0182】
図14は、様々な実施形態にかかる、FAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダルマルチタスクモデルを使用したGA病変面積の勾配活性化マップ(GradAM)1400およびGA成長速度予測を示している。図14に示すGradAMヒートマップ1400は、各モデルのGA病変面積および成長速度予測のものである。GA病変面積予測のヒートマップは、病変自体を強調するが、GA成長速度ヒートマップは、病変周囲の領域を強調する。
【0183】
入れ子式CV設定では、各外側折り畳みのモデルハイパーパラメータの調整は、5つの内側CV折り畳みを使用して行った。調整されたハイパーパラメータは、学習率(0.0001、0.0002、0.0005)、オプティマイザ(アダムス、SGD)、損失関数(平均二乗誤差、平均絶対誤差)、およびドロップアウト(0.1、0.5、0.9)であった。GA病変面積予測およびGA成長速度予測の平均二乗誤差または平均絶対誤差の接合損失を訓練に使用した。各項の重みは、0.5に固定された。バッチサイズもまた、16において一定に保たれた。バッチサイズおよび損失関数の双方の重み設定を、1つの内側折り畳みCVデータを使用して実験し、次いで、計算コストを削減するために全ての折り畳みによって最適な設定を採用した。CNN転送学習モデルの選択も同様にして決定した。Inception V3は、1つの内側折り畳みCVデータを有するVGG16、ResNet50、DenseNet121およびEfficientNetsと比較して最良の性能を有していた。各外側折り畳みレベルにおいて、最良の超パラメータ設定を選択した後、モデルを完全な内側折り畳み開発データセットでこれらのハイパーパラメータによって再訓練し、外側折り畳みデータセットで予測するために使用した。次いで、ホールドアウトデータセットについて、モデルタイプのネストされたCV実験からの各外側折り畳みの個別折り畳み最良ハイパーパラメータを有する5つのモデルを、開発データセット全体で再訓練した。これらの5つのモデルからの結果を平均して、ホールドアウトデータ試験の最終予測を得た。FAFのみ、OCTのみ、およびマルチモーダルの3つのアプローチは、全て、上記の入れ子式CVおよびホールドアウトプロセスを経た。ホールドアウトデータについては、95%信頼区間(CI)をブートストラップリサンプリングによって計算し、ホールドアウトデータセット上の各モデルタイプの予測を10,000回再サンプリングし、Rを各サンプルについて計算した。これらのサンプルのRの範囲は、CIの推定値を与えた。
【0184】
CNNを設計し、事前訓練された重みをロードするために使用されたバックエンドは、Tensorflow 1.8.0(2018;Google)によるKeras 2.2.4(2018;Google(カリフォルニア州マウンテンビュー))であった。プログラムは、オンプレミスの内部高処理コンピューティングでPython 3.6.3において実行された。
【0185】
この研究は、標準化されたベースラインビジットFAFおよび/またはOCT画像を使用して、マルチタスク深層学習アプローチを用いて個々の同時GA病変面積および年間GA成長速度を予測することの実現可能性を実証した。FAFのみのモデルは、開発データセットおよびホールドアウトデータセットにおいて一貫して良好な性能を示した。マルチモーダルアプローチは、開発データセットにおいて僅かな性能改善を示したが、ホールドアウトデータセットにおいては示さなかった。
【0186】
この研究において開発された3つの深層学習モデルは、全て、ベースライン臨床的特徴を使用する参照モデルよりも有意に優れた性能を有し、FAFとOCTの双方が、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、および病変連続性として定量化された解剖学的特徴を超える追加の予後情報を有することを示唆している。この知見は、他の研究からのデータと一致している:FAF画像におけるGA病変に由来する形状記述因子は、1つの研究においてGA進行についての予後値を有し、いくつかの他の研究は、GA進行速度と強く関連付けられたGA病変を取り囲む自己蛍光パターンを定量化した。外顆粒層薄化などのOCT画像特徴もGA進行と推定的に関連付けられた。
【0187】
ここで使用されるCNNモデルアーキテクチャの1つの固有の設計要素は、GA病変面積およびGA成長速度を同時に予測する能力であった。これは、ベースラインでのGA病変面積が経時的なGA進行と関連付けられるという事前の知識に基づいていた。マルチタスクモデルは、共有CNN層における双方のタスクについての情報を捕捉する表現を見つけることができる。このように、モデルは、初期特徴抽出段階において画像の臨床的に関連する領域を見るように一意に誘導されたため、GA成長速度のみを直接予測することと比較して、完全に「ブラックボックス」ではない。さらに、GA面積と成長速度との関係に関するコンセンサスまたは単純な数学モデルはまだ存在しない。例えば、ある研究は、GA面積が約12mmまで二次的に成長し、その後成長速度が安定化または減少することを見出した。対照的に、平方根変換を使用してベースラインでのGA面積とその経時的な進行との間の関係を決定する別の研究は、相関が負であることを見出し、より大きな病変がよりゆっくりと成長する可能性があることを示唆した。開示されたマルチタスクCNNモデルは、病変面積を進行と結び付ける独自の非線形能力を提供する。最後に、マルチタスクモデルは、オーバーフィッティングする可能性が低く、潜在的に性能の改善を実証する。3つ全てのモデルによるGA病変面積予測の性能は非常に良好であり、入れ子式CVおよびホールドアウト試験結果の双方についてRは0.90を超えた。潜在的に、そのようなモデルは、患者の募集中の効率的な事前スクリーニングのための臨床試験、または患者のカウンセリングのための臨床診療において使用され得る。
【0188】
GradCAMは、深層学習モデルのための既知の事後属性化技術の1つであり、予測に最も寄与する画像領域への洞察を提供し得る。ここでは、回帰タスクにより適したGradCAMの変形を使用した:GradAM。興味深いことに、GradAMヒートマップは、CNNネットワークがGA病変面積予測を行うために病変自体、およびGA成長速度予測のために病変を囲む領域を見たことを明らかにし、これらは他の所見と一致する。
【0189】
この研究は、両側性GAおよび広範囲の臨床症状を有する患者を含む、広く十分に特徴付けられたランパリズマブ臨床試験データを活用した。R値によって評価されたFAFおよび/またはOCT画像を使用した個々のGA成長速度性能は、過去の複数回の来院を使用したモデルであっても、文献でこれまでに最もよく報告されている。しかしながら、モデルの開発、検証および試験は、ランパリズマブデータセットのみで完全に実行された。ランパリズマブ試験データにおける集団分布以外のいかなる使用事例も、さらなる評価を必要とする。この試験に含まれるFAFおよびOCT画像は、同じベンダーの装置(Heidelberg Engineering,Inc.ドイツ)を使用して捕捉され、同様のART値を有し、中央リーディングセンターによる適格性スクリーニングに必要な高品質であった。様々な実施形態では、より解釈的なCNNモデルまたは追加の説明可能技術を使用して意思決定プロセスに関する洞察を得ることができ、それはGA病変拡大の病態生理学をさらに理解し、場合によっては新たな撮像バイオマーカーを識別するのに役立つ。例えば、病変形状特徴ならびに他の画像抽出特徴をGA成長速度予測の統計モデルに明示的に組み込んで、臨床試験分析における解釈性および実装の容易さを高めることができる。さらに、他のモダリティ(例えば、OCTA、暗所微小周辺感度)からの画像は、追加の予測値を提供してもよく、モデル訓練のために入力データに追加されることもできる。
【0190】
要約すると、ベースラインFAFおよび/またはOCT画像を利用して、マルチタスク深層学習アプローチを使用して個々のGA病変面積および成長速度を予測することの実現可能性が実証される。ホールドアウトデータセットでは、マルチモーダルアプローチの性能は、より単純なFAFのみのモデルと同等であった。この研究は、臨床試験の設計、実装、および分析、具体的には予後共変量調整、患者の事前スクリーニング、濃縮、および層別化、および/または事後データ分析を知らせることによって、臨床開発の信頼性を改善することができる。この技術はまた、臨床診療のために考慮され得、将来的に患者のカウンセリングを支援する可能性がある。追加のデータセットにおけるさらなる検証は、FAFのみのモデルに対するマルチモーダルアプローチのロバストな性能および任意の潜在的な利点を確認し得る。
【0191】
VI.コンピュータ実装システム
図15は、様々な実施形態にかかるコンピュータシステムのブロック図である。コンピュータシステム1500は、図1において上述したコンピューティングプラットフォーム102の一実装形態の例であり得る。1つまたは複数の例では、コンピュータシステム1500は、情報を通信するためのバス1502または他の通信機構と、情報を処理するためのバス1502に結合されたプロセッサ1504とを含むことができる。様々な実施形態では、コンピュータシステム1500はまた、プロセッサ1504によって実行される命令を決定するためにバス1502に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)1506または他の動的記憶装置とすることができるメモリを含むことができる。メモリはまた、プロセッサ1504によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。様々な実施形態では、コンピュータシステム1500は、プロセッサ1504のための静的情報および命令を記憶するためにバス1502に結合された読み出し専用メモリ(ROM)1508または他の静的記憶装置をさらに含むことができる。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置1510が設けられ、情報および命令を記憶するためにバス1502に結合され得る。
【0192】
様々な実施形態では、コンピュータシステム1500は、コンピュータユーザに情報を表示するために、バス1502を介して陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ1512に結合され得る。英数字および他のキーを含む入力装置1514は、情報およびコマンド選択をプロセッサ1504に通信するためにバス1502に結合され得る。別のタイプのユーザ入力装置は、プロセッサ1504に方向情報およびコマンド選択を通信し、ディスプレイ1512上のカーソル移動を制御するための、マウス、ジョイスティック、トラックボール、ジェスチャ入力装置、視線ベースの入力装置、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御装置1516である。この入力装置1514は、典型的には、装置が平面内の位置を指定することを可能にする第1の軸(例えば、x)および第2の軸(例えば、y)の二軸の二自由度を有する。しかしながら、3次元(例えば、x、yおよびz)カーソル移動を可能にする入力装置1514も本明細書で企図されることを理解されたい。
【0193】
本教示の特定の実装と一致して、結果は、RAM1506に含まれる1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ1504に応答して、コンピュータシステム1500によって提供され得る。そのような命令は、記憶装置1510などの別のコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶媒体からRAM1506に読み込まれ得る。RAM1506に含まれる命令シーケンスの実行は、プロセッサ1504に本明細書に記載のプロセスを実行させることができる。あるいは、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用され得る。したがって、本教示の実装形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されない。
【0194】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」(例えば、データストア、記憶装置、データ記憶装置など)または「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ1504に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の例は、これらに限定されないが、記憶装置1510などの光学、固体、磁気ディスクを含むことができる。揮発性媒体の例は、これらに限定されないが、RAM1506などの動的メモリを含むことができる。伝送媒体の例は、これらに限定されないが、バス1502を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含むことができる。
【0195】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み取ることができる任意の他の有形媒体を含む。
【0196】
コンピュータ可読媒体に加えて、命令またはデータを、実行のためにコンピュータシステム1500のプロセッサ1504に1つまたは複数の命令のシーケンスを提供するために、通信装置またはシステムに含まれる伝送媒体上の信号として提供することができる。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含み得る。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、本明細書の開示に概説される機能を実装させるように構成されている。データ通信伝送接続の代表的な例は、限定されないが、電話モデム接続、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続、光通信接続などを含むことができる。
【0197】
本明細書に記載のフローチャート、図、および付随する開示は、コンピュータシステム1500をスタンドアロン装置として使用して、またはクラウドコンピューティングネットワークなどの共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワーク上で実装され得ることを理解されたい。
【0198】
本明細書に記載の方法論は、用途に応じて様々な手段によって実装されてもよい。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ハードウェア実装の場合、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載された機能を実行するように設計された他の電子ユニット、および/またはそれらの組み合わせ内に実装されてもよい。
【0199】
様々な実施形態では、本教示の方法は、C、C++、Pythonなどのような従来のプログラミング言語で書かれたファームウェアおよび/またはソフトウェアプログラムおよびアプリケーションとして実装されてもよい。ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして実装される場合、本明細書に記載される実施形態は、コンピュータに上述した方法を実行させるためのプログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読媒体上に実装され得る。本明細書に記載の様々なエンジンがコンピュータシステム1500などのコンピュータシステム上に設けられ得、それによって、プロセッサ1504は、メモリ構成要素RAM1506、ROM1508、または記憶装置1510のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせによって提供される命令、および入力装置1514を介して提供されるユーザ入力にしたがって、これらのエンジンによって提供される分析および決定を実行することを理解されたい。
【0200】
VII.結論
本教示は、様々な実施形態に関連して説明されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。逆に、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替、変更、および均等物を包含する。
【0201】
例えば、上述したフローチャートおよびブロック図は、様々な方法およびシステム実施形態の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および/または動作を示している。フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、動作もしくはステップの一部、またはそれらの組み合わせを表し得る。実施形態のいくつかの代替実装では、ブロックに記載された1つまたは複数の機能は、図に記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、場合によっては、連続して示される2つのブロックが実質的に同時に実行されてもよい。他の場合には、ブロックは、逆の順序で実行されてもよい。さらに、場合によっては、フローチャートまたはブロック図内の1つまたは複数の他のブロックを置換または補足するために、1つまたは複数のブロックを追加され得る。
【0202】
したがって、様々な実施形態を説明する際に、本明細書は、特定の一連のステップとして方法および/またはプロセスを提示している場合がある。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載の特定の順番のステップに依拠しない限り、方法またはプロセスは、記載された特定の順序のステップに限定されるべきではなく、当業者は、順序が変動してもよく、依然として様々な実施形態の趣旨および範囲内にあることを容易に理解することができる。
【0203】
VIII.実施形態の記載
実施形態1:網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、FAFおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮(GA)病変に対する病変成長速度を予測することと、を含む、方法。
【0204】
実施形態2:FAFおよびOCT撮像データを使用してGA病変についてのベースライン病変面積を予測することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0205】
実施形態3:病変成長速度を予測することが、FAF撮像データを使用して第1の入力を生成することと、OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1の入力と第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、融合入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0206】
実施形態4:融合入力からバイオマーカーを抽出することをさらに含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
実施形態5:バイオマーカーが、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、網膜外層管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態4に記載の方法。
【0208】
実施形態6:病変成長速度を予測することが、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
実施形態7:網膜が患者と関連付けられており、方法が、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態6に記載の方法。
【0210】
実施形態8:臨床因子データが、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態7に記載の方法。
【0211】
実施形態9:融合特徴入力が、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成される、実施形態6から8のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
実施形態10:網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、FAF撮像データ、OCT撮像データ、およびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと、をさらに含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0213】
実施形態11:FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することであって、前処理が、黄斑視野FAF画像選択、目的の領域抽出、画像コントラスト調整、または多視野FAF画像の組み合わせを含む、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することをさらに含む、実施形態3から10のいずれか一項に記載の方法。
【0214】
実施形態12:OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することであって、前処理が、網膜膜の上方および網膜膜の下方に面内マップのセットを生成することと、生成された面内マップのセットを使用してGA病変についての病変成長速度を予測することと、を含む、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することをさらに含む、実施形態3から11のいずれかに記載の方法。
【0215】
実施形態13:システムであって、非一時的メモリと、非一時的メモリに結合され、非一時的メモリから命令を読み出して、システムに、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、FAFおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮(GA)病変に対する病変成長速度を予測することと、を含む動作を実行させるように構成されたハードウェアプロセッサと、を備える、システム。
【0216】
実施形態14:プロセッサが、FAFおよびOCT撮像データを使用してGA病変についてのベースライン病変面積を予測することをさらに含む動作を実行するように構成されている、実施形態13に記載のシステム。
【0217】
実施形態15:病変成長速度を予測することが、FAF撮像データを使用して第1の入力を生成することと、OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1の入力と第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、融合入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態13または14に記載のシステム。
【0218】
実施形態16:プロセッサが、融合データからバイオマーカーを抽出することをさらに含む動作を実行するように構成されている、実施形態15に記載のシステム。
【0219】
実施形態17:病変成長速度を予測することが、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出し、OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、を含む、実施形態13から16のいずれか一項に記載のシステム。
【0220】
実施形態18:網膜が患者と関連付けられており、プロセッサが、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む動作を実行するように構成されている、実施形態17に記載のシステム。
【0221】
実施形態19:臨床因子データが、年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、およびそれらの組み合わせを含む、実施形態18に記載のシステム。
【0222】
実施形態20:プロセッサが、網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、FAF撮像データ、OCT撮像データ、およびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと、をさらに含む動作を実行するように構成されている、実施形態13から19のいずれか一項に記載のシステム。
【0223】
実施形態21:プロセッサが、OCT撮像データを前処理するようにさらに構成されており、前処理が、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネル入力を生成するために、面内マップのセットを組み合わせることと、を含む、実施形態13から20のいずれか一項に記載のシステム。
【0224】
実施形態22:非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)であって、コンピュータシステムに、網膜の眼底自発蛍光(FAF)撮像データを受信することと、網膜の光干渉断層撮影(OCT)撮像データを受信することと、FAFおよびOCT撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮(GA)病変に対する病変成長速度を予測することと、を含む動作を実行させるように実行可能なコンピュータ可読命令を記憶した、非一時的コンピュータ可読媒体(CRM)。
【0225】
実施形態23:動作が、FAFおよびOCT撮像データを使用して、GA病変についてのベースライン病変面積を予測することをさらに含む、実施形態22に記載のCRM。
【0226】
実施形態24:病変成長速度を予測することが、FAF撮像データを使用して第1の入力を生成することと、OCT撮像データを使用して第2の入力を生成することと、第1の入力と第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、融合入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態22または23に記載のCRM。
【0227】
実施形態25:動作が、融合入力からバイオマーカーを抽出することをさらに含む、実施形態22から24のいずれか一項に記載のCRM。
【0228】
実施形態26:バイオマーカーが、病変周囲長、病変形状記述的特徴、楔形網膜下反射低下、網膜色素上皮(RPE)の減弱および破壊、高反射性病巣、網状偽ドルーゼン(RPD)、多層膜厚減少、光受容体萎縮、ドルーゼンにおける低反射性コア、中心部の大きなドルーゼン、周りを囲む異常な自己蛍光パターン、以前のGA進行速度、網膜外層管形成、脈絡毛細管板の空隙、GA病変サイズ、中心窩までのGA距離、病変連続性、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態25に記載のCRM。
【0229】
実施形態27:病変成長速度を予測することが、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、FAF撮像データから第1の目的の特徴を抽出することと、OCT撮像データから第2の目的の特徴を抽出することと、第1の目的の特徴と第2の目的の特徴とを融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態22から26のいずれか一項に記載のCRM。
【0230】
実施形態28:網膜が患者と関連付けられており、方法が、患者と関連付けられた臨床因子データを受信することと、臨床因子データを第1の目的の特徴および第2の目的の特徴と融合して融合特徴入力を形成することと、融合特徴入力を使用して、地図状萎縮病変についての病変成長速度を生成することと、をさらに含む、実施形態27に記載のCRM。
【0231】
実施形態29:臨床因子データが、被験者の年齢、性別、喫煙状態、観察されたGA病変面積、観察されたGA病変の網膜の中心窩までの距離、画像の連続性、最高矯正視力(BCVA)スコア、低輝度欠損(LLD)スコア、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態28に記載のCRM。
【0232】
実施形態30:融合特徴入力が、平均プーリング法、スクイーズおよび励起法、またはそれらの組み合わせを含むモデルを使用して形成される、実施形態27から29のいずれか一項に記載のCRM。
【0233】
実施形態31:網膜の赤外線(IR)撮像データを受信することと、FAF撮像データ、OCT撮像データ、およびIR撮像データを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと、をさらに含む、実施形態22から30のいずれか一項に記載のCRM。
【0234】
実施形態32:動作が、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することであって、前処理が、FAF撮像データを512×512画素にサイズ変更することと、FAF撮像データを0と1との間で正規化することと、を含む、FAF撮像データを前処理して第1の入力を形成することをさらに含む、実施形態24から31のいずれかに記載のCRM。
【0235】
実施形態33:動作が、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することであって、前処理が、ブルッフ膜に沿ってOCT撮像データを平坦化することと、全深さ、ブルッフ膜より上方の深さ、およびブルッフ膜より下方の深さの1つまたは複数にわたって面内マップのセットを平均化することと、GA病変についての病変成長速度を予測するためのマルチチャネルOCT入力を生成するために、面内マップのセットを組み合わせることと、を含む、OCT撮像データを前処理して第2の入力を形成することをさらに含む、実施形態24から32のいずれか一項に記載のCRM。
【0236】
実施形態34:網膜における地図状萎縮を評価する方法であって、網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットを受信することと、網膜の光干渉断層撮影(OCT)画像のセットを受信することと、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびOCT画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと、を含む、方法。
【0237】
実施形態35:機械学習システムを介して、病変成長速度を予測することが、地図状萎縮病変についてのベースライン病変面積を予測することを含む、実施形態34に記載の方法。
【0238】
実施形態36:機械学習システムを介して、病変成長速度を予測することが、FAF画像のセットを使用して第1の入力を生成し、OCT画像のセットを使用して第2の入力を生成することと、第1の入力と第2の入力とを融合して融合入力を形成することと、融合入力を使用して、地図状萎縮病変についての環状化病変成長速度を生成することと、を含む、実施形態34または35に記載の方法。
【0239】
実施形態37:網膜における地図状萎縮を評価する方法であって、網膜の眼底自発蛍光(FAF)画像のセットを受信することと、網膜の赤外線(IR)画像のセットを受信することと、機械学習システムを介して、FAF画像のセットおよびIR画像のセットを使用して、網膜における地図状萎縮病変についての病変成長速度を予測することと、を含む、方法。
【0240】
実施形態38:機械学習システムを介して、病変成長速度を予測することが、地図状萎縮病変についてのベースライン病変面積を予測することを含む、実施形態37に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13-1】
図13-2】
図14
図15
【国際調査報告】