(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ツル状ロボットカテーテルデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20231208BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61M25/00 540
A61M25/00 610
A61M25/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533875
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 US2021060354
(87)【国際公開番号】W WO2022132400
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505088684
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ホークス、エリオット
(72)【発明者】
【氏名】モリモト、タニア
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB06
4C267BB07
4C267BB10
4C267BB52
4C267BB62
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC22
4C267CC25
4C267CC26
4C267EE01
4C267EE20
4C267FF01
4C267GG02
4C267GG05
4C267HH30
(57)【要約】
ツル状ロボットカテーテルデバイスは、ターゲットの解剖学的構造の領域に到達するための経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテルと、内翻ツル状ロボット伸長部であって、その近位端が、外側カテーテルに取り付けられており、その遠位端が、ターゲット部位への送達中、外側カテーテル内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻されている、内翻ツル状ロボット伸長部と、ツル状ロボット伸長部に流体圧力を加えてツル状ロボット伸長部を駆動し、遠位端を、外側カテーテルの外へ、且つ、外側カテーテルを越えて、外翻させて伸長する、外側カテーテル内の流体路と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの解剖学的構造の領域に到達するためのルーメン経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテルと、内翻(inverted)ツル状(vine)ロボット伸長部であって、その近位端が、前記外側カテーテルに取り付けられており、その遠位端が、ターゲット部位への送達中、前記外側カテーテル内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻されている、内翻ツル状ロボット伸長部と、前記ツル状ロボット伸長部に流体圧力を加えて前記ツル状ロボット伸長部を駆動し、前記遠位端を、前記外側カテーテルの外へ、且つ、前記外側カテーテルを越えて、外翻させて(evert)伸長する、前記外側カテーテル内の流体路と、を備える、ツル状ロボットカテーテルデバイス。
【請求項2】
前記外側カテーテルのルーメン内に細長い内側要素を備え、前記内側要素は、前記内翻ツル状ロボット伸長部の前記遠位端に取り付けられている、請求項1に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【請求項3】
前記内側要素は、ルーメンを画定する内側カテーテルチューブを備える、請求項2に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【請求項4】
前記ツル状ロボット伸長部の生長の経路を解剖学的経路に追従するように案内するように伸長可能なガイドワイヤを前記内側カテーテルチューブ内に備える、請求項3に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【請求項5】
前記ツル状ロボット伸長部内の予め湾曲された区間であって、解剖学的経路に追従するように外翻している間に、予め決められた形状を形成する、予め湾曲された区間を備える、請求項1から4の何れか一項に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【請求項6】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、上部消化管、特に食道、胃、及び/又は、小腸のために寸法決めされており、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項7】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、下部消化管、特に結腸、及び/又は、直腸のために寸法決めされており、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項8】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、胆膵管、特に総胆管、肝内胆管、胆嚢管、及び/又は、ウィルスング管のために寸法決めされており、好ましくは1mm~5mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項9】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、尿路、特に腎杯、尿管、膀胱、及び/又は、尿道のために寸法決めされており、好ましくは1~4mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項10】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、気道、特に気管、気管支、及び/又は、細気管支のために寸法決めされており、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項11】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、子宮腔のために寸法決めされており、好ましくは1~5mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項12】
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、血管のために寸法決めされており、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項13】
前記ツル状ロボット伸長部は、プラスチックと繊維構造体との群から選択された材料、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン(tpu)、ダイニーマ、PTFE、又はシリコーンコーティング若しくはウレタンコーティングを施したリップストップナイロン繊維構造体、で構成されている、請求項1から12の何れか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載のツル状ロボットカテーテルデバイスを含むツル状ロボットカテーテルシステムであって、流体駆動システムと、前記流体駆動システムが前記ツル状ロボットカテーテル伸長部の外翻の速度を制御できるようにリアルタイムフィードバックを提供する圧力センサと、を備える、ツル状ロボットカテーテルシステム。
【請求項15】
流体圧力を加えるリニアアクチュエータと、前記リニアアクチュエータの速度を、現在の圧力と所望の圧力との差に基づいて更新する比例制御器と、を備え、圧力差が大きいほど、外翻の速度が速くなる、請求項14に記載のツル状ロボットカテーテルシステム。
【請求項16】
外側シースと内側チューブとを備えるカテーテルを、ルーメン内へ、前記ルーメン内で第1の距離だけ遠位方向に前進させるステップと、
流体圧力により、ツル状ロボットカテーテル伸長部であって、その遠位端が、内翻され、前記内側チューブの遠位端に接続されており、その近位端が、前記外側シースの遠位端に接続されている、ツル状ロボットカテーテル伸長部を、外翻し、生長し、それにより、前記内側チューブを遠位方向に引っ張るように駆動するステップと、
流体圧力を監視し、前記ツル状ロボットカテーテル伸長部内の圧力を維持するステップと、
を含む、ツル状ロボットカテーテルシステムを操作する方法。
【請求項17】
前記内側チューブ上のマーカを監視するステップと、前記マーカが予め決められた遠位量だけ前進したときに生長を一時停止するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ツル状ロボットカテーテルシステムは、予め湾曲された区間を備え、前記方法は、前記生長を一時停止した後に前記外側シースを回転させるステップと、前記回転後に生長を継続するステップと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の権益についてのステートメント)
この発明は、米国科学財団によって与えられた補助金番号1637446による政府の支援の下で成された。当該政府は本発明について一定の権利を有する。
【0002】
(優先権の主張及び関連する出願の引用)
本出願は、米国特許法第119条、及び、全ての適用可能な法令若しくは条約に基づき、2020年12月14日に出願された先の仮出願番号63/125,169の優先権を主張する。
【0003】
(分野)
本発明の分野は、血管内デバイスと、ロボティクスと、を含む。
【背景技術】
【0004】
2019年7月18に公開されたHawkesらの特許文献1は、生長ロボットを公開している。この生長ロボットは、薄肉で中空の加圧された柔軟なボディを有し、その先端からボディ内に格納された新しい壁材を外翻することによってボディを伸長すると共に、ボディの対向する側面に沿った壁材の相対長を能動的に制御することによってボディの形状を制御する。ボディの対向する側面に沿った壁材の相対長は、曲がり角の内側に面する側面の壁材の長さを、ボディの長さに沿って取り付けられた、収縮する人工筋肉を使用することで短くすることによって、制御され得る。ボディの対向する側面に沿った壁材の相対長は、曲がり角の外側に面する側面の壁材の長さを伸長すること、壁材の締め付けを解除すること、又は、壁材を、ボディが内圧によって伸長するように、能動的に軟化させること、によっても制御され得る。ボディの対向する側面に沿った壁材の相対長は、曲がり角の外側の壁材が伸長することを許容しつつ、曲がり角の内側に面する側面の壁材の長さを能動的に抑制することによっても制御され得る。
【0005】
Hawkesらによる生長ロボット技術の進歩は、先端伸長部を有し、穴掘り及び洗浄のための流体放出を含む、軟質のロボティックデバイスにおいて提供される。そのような軟質のロボットは、植物の根に類似した方法で、砂又は土に穴を掘ることができる。ロボットは、液体であって、砂及び土を流動化し、地中で生長することを可能にする、液体を先端から放出しつつ、外翻によって先端方向に伸長する。その進歩は、特許文献2と、Hawkesらによる公開論文である非特許文献1と、において開示されている。
【0006】
Hawkesらの、名称が「Vine Robot Tracheal Intubation Device」である、PCT/US2020/43932は、救急医療技士(EMTs:Emergency Medical Technicians)及び他の施術者が、緊急及び非緊急シナリオにおいて、気管挿管に成功することを可能にする、気管挿管に関する進歩を提供する。この文献は、自動的且つ自律的に気管を挿管し、ルーメンであって、当該ルーメンを通して人工換気が行われ得る、ルーメンを形成することができる、外翻するツル状ロボット挿管デバイスを開示している。ツル状ロボット挿管デバイスは、一次外翻ボディ、挿管ボディ、及び、調整された圧力リザーバからこれらのボディへの流体/圧力の伝達を可能にするアクセスポートを有するマウスピースを含み、これらから構成され得る。このツル状ロボット挿管デバイスは、わずかな医療トレーニング及び経験で、病院レベルの成功を可能にする。
【0007】
カテーテルデバイスは、ステント及び弁などのインプラントの設置を含む、低侵襲手術を行うために、及び、手術を行うために、使用される。カテーテルデバイスは、ルーメンを画定し、導管であって、当該導管を通して、より小さなカテーテル及びワイヤが導入され、血管系を成功裡に案内し得る、導管として機能する、外側シースを含むことがある。血管内低侵襲手術は、広く使用されているものの、リスク及び課題が残っている。血管の解剖学的構造は、非常に可変的であり、過度の蛇行及び急峻な角形成を示し得る。このような困難な血管の解剖学的構造は、脳卒中、冠動脈疾患、動脈瘤、及び他の疾患の治療のために、血管内手術の対象になることが多くなっている、高齢患者において、しばしば見受けられる。
【0008】
脳血管への経路が、Type II又はType IIIの大動脈弓に特徴的な急峻な曲がり角を含み、困難であるため、脳血管にアクセスすることは、特に難しい。小血管への曲がりくねった経路は、高度な外科的熟練及び手術のための時間を必要とする。細心の注意を払っても、複雑な血管内構造物にアクセスする場合には、血管解離のリスクが高まる。
【0009】
最近のカテーテルは、先端に向かって大幅に低下する、剛性勾配を含み得る。剛性が低い先端領域の利点は、カテーテルが曲がりくねった解剖学的構造に押し込まれる際に、標準的なプッシュカテーテルを使用する場合と比較して、血管壁にかかる力が小さく、これにより、血管内手術中の血管損傷のリスクを低減し得ることである。Heitらの非特許文献2を参照。他の先進的なカテーテルデバイスは、操縦機能を提供するための、プルワイヤ又は他の構造を含む、ステアラブルカテーテルである。Fuらの非特許文献3。これらのステアラブルデバイスは、操作するために高度なスキルを要求し、且つ、剛性が上昇してしまう。
【0010】
ある者は、カテーテル操縦に対する、ロボットアプローチを提案している。例えば、Amigo(商標)システムは、標準的なカテーテルのハンドルを模したコントローラを使用する、市販の3自由度カテーテルの遠隔操縦を可能にする。Khanらの非特許文献4。Magellanは、急峻な曲がり角の周りを、精密且つ制御された動きで曲がるように設計された、ロボット操縦されるカテーテルの他の例である。Rigaらの非特許文献5。これらのロボットプラットフォームは、いくつかの他のロボットプラットフォームとともに、その可動性及び巧緻性を一組の腱から実現し、その相対長は、操縦機能を実現するために変更され得る。Katoらの非特許文献6、Kutzerらの非特許文献7、Camarilloらの非特許文献8。
【0011】
磁気ナビゲーションは、研究されている、カテーテル操縦に対する他のアプローチであるが、未だ広く臨床使用されておらず、使用方法が比較的複雑である。これらのカテーテルは、外部磁場で制御され得る、磁気応答性の先端を含む。Ernstらの非特許文献9、Kimらの非特許文献10。
【0012】
水頭症は、脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)が脳室に異常蓄積した状態で、治療されず放置されると、永久的な脳損傷又は死に至る可能性がある。米国では、70万人の成人と、幼児の2000人に1人が、特発性正常圧水頭症に罹患していると推定されている。患者が現在利用可能な2つの治療法は、CSFシャント及び内視鏡下第三脳室底開窓術(ETV:Endoscopic Third Ventriculostomy)である。ETVは、第三脳室の床に穴を開けることによって、過剰なCSFを排出する。これは、異物の埋め込みを必要とせず、従って、感染及びデバイスの故障などの、CSFシャントに付随する、長期的合併症の多くを回避するため、しばしば、水頭症の主要な治療法である。現在、ETVは、外科医が、脳組織に対する損傷又は出血の高いリスクを伴うことなく、脳室にアクセスするための、安全な直線経路が無いため、全ての患者群には施術できない。T. Charlesの非特許文献11。ETVを行うことの危険の1つは、内視鏡の誘導における医師のミスの可能性である。ETVにおけるエラーは、医師のキャリアの早い段階において、より頻繁に発生し、しばしば、可撓性の内視鏡を脳室の通路を通してスライドさせる際に、過剰な垂直力を加えたことに起因している。S. P. Ambesh及びR. Kumarの非特許文献12。
【0013】
身体のより敏感でない部分では、制約された環境へのアクセスを向上させることで、制御可能な内視鏡及びカテーテルの現在の限界を超えた介入を可能にすることができる。腎杯に詰まった結石は、標準的なカテーテルがこれらに到達できないため、治療し難い。これにより、(骨盤部内に針を刺す)経皮的腎結石摘出術、又は、腹腔鏡下手術が、より侵襲性の高い方法として残る。従来の内視鏡は、不快感及び可撓性の欠如により、小腸にアクセスすることもできない。Iddanらの非特許文献13。このため、手術を行うことなく、組織サンプルの撮像又は採取などの簡単なタスクを行う際に困難が伴う。神経内視鏡手術において使用される、一般的な脳室鏡は、先端を、下方向に160°、上方向に100°、能動的に振ることができる。G. Cinalliの非特許文献14。腎臓内結石の診断及び治療である、尿管鏡検査用の内視鏡は、それぞれ270°まで先端を振ることができる。この可撓性は、しばしば、ターゲットの近くにおいて、可視化を補助するために使用される。しかし、何れの場合においても、作業チャンネル内にツールを導入することで、振れ幅が大きく減少する。Pasquiらの非特許文献15。内視鏡が意図した軌道に沿って完全に湾曲しない場合、重大な損傷が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0217908号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/060858号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Hawkesら,“Soft Robotic Burrowing Device with Tip-Extension and Granular Fluidization”
【非特許文献2】Heitら,“Sofia intermediate catheter and the snake technique: safety and efficacy of the sofia catheter without guidewire or microcatheter construct”,Journal of neurointerventional surgery,2018,10(4),p.401-406
【非特許文献3】Fuら,“Steerable catheters in minimally invasive vascular surgery”,The International Journal of Medical Robotics and Computer Assisted Surgery,2009,5(4),p.381-391
【非特許文献4】Khanら,“First experience with a novel robotic remote catheter system: AmigoTM mapping trial”,Journal of Interventional Cardiac Electrophysiology,2013,37(2),p.121-129
【非特許文献5】Rigaら,“Initial clinical application of a robotically steerable catheter system in endovascular aneurysm repair”,Journal of Endovascular Therapy,2009,16(2),p.149-153
【非特許文献6】Katoら,“Tendon-driven continuum robot for endoscopic surgery: Preclinical development and validation of a tension propagation model”,IEEE/ASME Transactions on Mechatronics,2014,20(5),p.2252-2263
【非特許文献7】Kutzerら,“Design of a new cable-driven manipulator with a large open lumen:Preliminary applications in the minimally-invasive removal of osteolysis”,2011 IEEE International Conference on Robotics and Automation,2011,p.2913-2920
【非特許文献8】Camarilloら,“Mechanics modeling of tendon-driven continuum manipulators”,IEEE transactions on robotics,2008,24(6),p.1262-1273
【非特許文献9】Ernstら,“Initial experience with remote catheter ablation using a novel magnetic navigation system:magnetic remote catheter ablation”,Circulation,2004,109(12),p.1472-1475
【非特許文献10】Kimら,“Ferromagnetic soft continuum robots”, Science Robotics,2019,4(33),eaax7329
【非特許文献11】T. Charles,“Complications of endoscopic neurosurgery”,Child’s Nervous System,1996,vol.12.5,p.248-253
【非特許文献12】S. P. Ambesh及びR. Kumar,“Neuroendoscopic procedures: Anesthetic considerations for a growing trend:a review”,Journal of Neurosurgical Anesthesiology,2000,vol. 12,no. 3,p.262-270
【非特許文献13】Iddanら,“Wireless capsule endoscopy”,Nature,2000,vol.405,no.6785,p.417
【非特許文献14】G. Cinalli,“Endoscopic third ventriculostomy”,Pediatric Hydro-cephalus,2005,p.361-388
【非特許文献15】Pasquiら,“Impact on active scope deflection and irrigation flow of all endoscopic working tools during flexible ureteroscopy”,European Urology,2004,vol.45,p.58-64
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
好適な実施形態は、ターゲットの解剖学的構造の領域に到達するためのルーメン経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテルと、内翻(inverted)ツル状(vine)ロボット伸長部であって、その近位端が、前記外側カテーテルに取り付けられており、その遠位端が、ターゲット部位への送達中、前記外側カテーテル内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻されている、内翻ツル状ロボット伸長部と、前記ツル状ロボット伸長部に流体圧力を加えて前記ツル状ロボット伸長部を駆動し、前記遠位端を、前記外側カテーテルの外へ、且つ、前記外側カテーテルを越えて、外翻させて(evert)伸長する、前記外側カテーテル内の流体路と、を含む、ツル状ロボットカテーテルデバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図1B】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図1C】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図1D】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図1E】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図1F】好適なツル状ロボットカテーテルデバイスの製作及び完成を示す概要図である。
【
図2】ツル状ロボットカテーテル伸長部を有する、好適なカテーテルシステムを示す図である。
【
図3】
図2のツル状ロボットカテーテル伸長部を示す簡略図である。
【
図4】付加マーカを有するツル状ロボットカテーテル伸長システムを示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、近位とはデバイスを操作する外科医に向かう方向を示し、遠位とは外科医から離れる方向を示す。遠位端は外科医から最も離れており、近位端は外科医に最も近い。
【0019】
好適な実施形態のツル状ロボットカテーテルデバイスは、軟質で伸長可能な伸長部であって、標準的なカテーテルチューブなどの他のチューブを、そのカテーテルチューブが静止したままの状態において、越えて生長する、伸長部を有するカテーテルを含む。この軟質で伸長可能な伸長部は、中空の管状構造として形成され、シール方式で他のカテーテルチューブに取り付けられる。送達デバイスを介して供給される(気体又は液体による)流体圧力は、ツル状ロボット伸長部を、送達デバイスの残りの部分が静止したままの状態において、伸長させる。これにより、周囲とのせん断力が制限され、制約された空間を通った本体の伸長部の移動が容易になる。ツル状ロボット伸長部は、ツル状ロボット伸長部が伸展して入っていく上記構造に対して非常に優しく、ツル状ロボット伸長部が外翻し、その遠位端が、完全な外翻及び伸長に達するまで前方に(遠位方向に)移動している間、スライド運動は、最小限であるか、又は、全く無い。標準的なカテーテルと比較して、ツル状ロボットカテーテル伸長部は、30度湾曲した解剖学的構造を案内する際、加えられる垂直力を100分の1に低減することができる。
【0020】
好適な実施形態のツル状ロボットカテーテル伸長部は、薄肉で中空の生体適合プラスチック又は繊維構造体チューブであって、それ自身の内部に折り畳まれ、又は、内翻され得、且つ、圧力を加えられ、生体構造へと外翻して伸長し、又は、生長し得る、生体適合プラスチック又は繊維構造体チューブからなる。適切なプラスチック又は繊維構造体チューブは、熱可塑性ポリウレタン(tpu)、ダイニーマ、PTFE、又はシリコーンコーティング若しくはウレタンコーティングを施したリップストップナイロン繊維構造体を含む。一般に、材料は、流体圧力によって外翻可能でなければならず、体内腔であって、当該体内腔に対してそれが使用される体内腔よりも軟質であるべきであり、生体適合性であるか、又は、生体適合性材料でコーティングされることが可能であるべきである。ツル状ロボットカテーテル伸長部は、生体構造の直径と概ね一致し、好ましくはわずかに小さい直径を有し、遠位端であって、より小さい直径を有し、ツル状ロボットカテーテル伸長部の遠位端の周りの血流を許容する、遠位端を有する。ツル状ロボットカテーテル伸長部は、マウント、(ねじ接続などの)機械的インターフェース、溶接、接着剤、又は他の接着によって、標準的なカテーテルの遠位端に取り付けられる。この取り付けは、好ましくは、送達デバイスを介して供給された流体圧力が、効率よくツル状ロボット伸長部を外翻させることができるように、流体密である。
【0021】
本発明のツル状ロボットカテーテルデバイスの組み立て時に、内翻工程が、ツル状ロボットカテーテル伸長部の一端を、硬質ラムロッドを用いて標準的なカテーテルに押し込むことによって、又は、当該一端に固定されたストリングを引っ張ることによって、達成され得る。使用中、ツル状ロボットカテーテルデバイスの駆動は、それが取り付けられている標準的なカテーテルの一部分、例えば、カテーテル内側チューブ内に付加構成要素を有するシステムにおける、カテーテル外側シース又はカテーテル内側チューブを介して加えられた内圧によって起こり、この駆動により、内翻された部材に、外翻によって伸長部の外へ伸長させ、その遠位端が、その近位端が取り付けられている標準的なカテーテルの構成要素を越える状態に生長させる。緩やかな伸長及び前進に加えて、ツル状ロボット伸長部によって加えられる圧力は、制御され得る。伸長後、追加の流体圧力を供給し、バルーンに類似した方法で、生体構造に圧力を外的に加えることができる。好適なツル状ロボットカテーテル伸長部の材料の一例は、チューブ状に巻かれた、10±5ミクロンのオーダーの好適な厚さを有する、低密度ポリエチレン(LDPE)シートであ。最小の曲げ剛性を有し、必要な圧力を保持するという制約の下、外翻に対する抵抗を最小化し、尖端の伸長と予め形成された角度の精度とを向上させるために、可能な限り最も薄い材料が好ましい。ETV又は腎臓結石除去に使用される標準的な案内カテーテルの最大径は、4mm(12フレンチ)であり、より小さな直径が望まれる。軟質のツル状ロボットカテーテル伸長部は、ヒートシーラ又は他の接着方法を使用して、指定された直径及び様々な長さに形成され得る。熱は、予め湾曲された区間をもたらすためにも使用され得る。特定の区間に対して熱を加えることで、プラスチック内の内部応力を緩和し、それが所望の形状に再形成することを可能にすることができる。予め決められた所望の形状を形成する他の技術は、ツル状ロボットを湾曲した型の内部に載置し、追加の部材又は接着剤を湾曲の内側に沿って付加し、所望の所定の形状を保持することである。
【0022】
好適な実施形態のツル状ロボットカテーテルデバイスは、標準的なカテーテル又は内視鏡では到達することが困難又は不可能な解剖学的構造の部分にアクセスできる。好適なツル状ロボットカテーテルデバイスは、低侵襲カテーテル処置による血管、脳室、腎杯、及び小腸へのアクセスなどの応用において有望である。好適なツル状ロボットは、テーパー状であってもよい。好適なツル状ロボットカテーテルデバイスは、例えば、結腸、食道、及び、血管系の特定の領域に入るようなサイズ及び形状を有し得る。ツル状カテーテルの近位端は、1~10mmの間の、好ましくは3~7mmの間の、特に好ましくは5mmの、直径を有し得る。遠位端は、同一の直径であってもよいし、或いは、例えば、3mm若しくは2mmだけ、又は、より好ましくは1.5mm若しくは0.5mmだけテーパー状であってもよい。例示的な実験用ツル状ロボットカテーテルデバイスは、15Frの血管シースの上にぴったりと被さるように近位端において5mmを有し、遠位端において3.5mmであり、当該遠位端において6Frの診断用血管造影カテーテルに取り付けられる。
【0023】
好適な実施形態のツル状ロボットカテーテルデバイスは、血管構造に入る大きさの内側と外側の細長いチューブ(例えば、外側シース及び内側カテーテルチューブ)を有するカテーテルと、ツル状ロボット伸長部であって、外側のチューブによって送達された後に、外翻し、前方に、血管構造内へ、緩やかに伸長するように駆動され得るツル状ロボット伸長部と、を含む。好適なデバイスでは、ツル状ロボット伸長部の遠位端は、内側カテーテルチューブの遠位端に取り付けられ、ツル状ロボット伸長部の近位端は、外側シースの遠位端に取り付けられる。この取り付けは、好ましくは、送達デバイスを介して供給された流体圧力が、ツル状ロボット伸長部を伸長させることができるように、流体密である。ツル状ロボット伸長部の遠位端及び近位端に言及する場合、それらの端は、送達後であり、且つ、それが外翻されて伸長しているときの状態に対する言及である。全長及び直径は、例えば、患者のサイズ、年齢、又は、測定された身体的特徴によって、異なる生理に適合するように予め決められ得る。一般的な外側シースは、1メートル以上の長さを有し得、3Fr~約25Frの範囲内の直径を有し得る。
【0024】
好適なツル状ロボットカテーテルデバイスは、ターゲットの解剖学的構造の領域に到達するためのルーメン経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテルと、内翻ツル状ロボット伸長部であって、その近位端が、外側カテーテルに取り付けられており、その遠位端が、ターゲット部位への送達中、外側カテーテル内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻されている、内翻ツル状ロボット伸長部と、ツル状ロボット伸長部に流体圧力を加えてツル状ロボット伸長部を駆動し、遠位端を、外側カテーテルの外へ、且つ、外側カテーテルを越えて、外翻させて伸長する、外側カテーテル内の流体路と、を含む。
【0025】
このデバイスは、外側カテーテルのルーメン内に細長い内側要素を含み得、内側要素は、内翻ツル状ロボット伸長部の遠位端に取り付けられている。内側要素は、ルーメンを画定する内側カテーテルチューブであり得る。
【0026】
ツル状ロボット伸長部の生長の経路を解剖学的経路に追従するように案内するように伸長可能なガイドワイヤが、内側カテーテルチューブ内に存在し得る。さらに、ツル状ロボット伸長部が外翻すると、任意の従来のツール(マイクロカテーテル、ステントレトリーバーなど)が、内側カテーテルを通じて展開され得る。
【0027】
ツル状ロボットカテーテルデバイスは、ツル状ロボット伸長部内の1つ以上の予め湾曲された(予め曲げられた)区間であって、解剖学的経路に追従するように外翻している間に、予め決められた形状を形成する、予め湾曲された区間を有し得る。
【0028】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、上部消化管、特に食道、胃、及び/又は、小腸のために寸法決めされ得、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する。
【0029】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、下部消化管、特に結腸、及び/又は、直腸のために寸法決めされ得、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する。
【0030】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、胆膵管、特に総胆管、肝内胆管、胆嚢管、及び/又は、ウィルスング管のために寸法決めされ得、好ましくは1mm~5mmの範囲内の外径を有する。
【0031】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、尿路、特に腎杯、尿管、膀胱、及び/又は、尿道のために寸法決めされ得、好ましくは1~4mmの範囲内の外径を有する。
【0032】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、気道、特に気管、気管支、及び/又は、細気管支のために寸法決めされ得、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する。
【0033】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、子宮腔のために寸法決めされ得、好ましくは1~5mmの範囲内の外径を有する。
【0034】
ツル状ロボットカテーテル伸長部は、血管のために寸法決めされ得、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する。
【0035】
ツル状ロボット伸長部は、プラスチックと繊維構造体との群から選択された材料、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン(tpu)、ダイニーマ、PTFE、又はシリコーンコーティング若しくはウレタンコーティングを施したリップストップナイロン繊維構造体、で構成され得る。
【0036】
ツル状ロボットカテーテルシステムは、本発明のツル状ロボットカテーテルデバイスと、流体駆動システムと、流体駆動システムがツル状ロボットカテーテル伸長部の外翻の速度を制御できるようにリアルタイムフィードバックを提供する圧力センサと、を含む。
【0037】
このシステムは、流体圧力を加えるリニアアクチュエータと、リニアアクチュエータの速度を、現在の圧力と所望の圧力との差に基づいて更新する比例制御器と、を含み得、圧力差が大きいほど、外翻の速度が速くなる。
【0038】
以下、本発明の好適な実施形態が図面及び実験に関して説明され、これらは、当業者によって、当該技術分野における一般的な知識及び以下の説明に鑑みて、本発明のより広い側面を示すものと理解されるであろう。一例として、ツル状ロボットカテーテルデバイスは、カメラを搭載し得る。カメラは、内側カテーテルの代わりになり、外翻時に引き出され得る。また、カメラは、完全な外翻が行われた後に、内側カテーテルを通じて設置され得る(他の任意のツールと同様)。カメラは、ツル状ロボットの遠位先端に搭載され、当該先端に沿って「進み」、外翻によって前方へ押し出され得る。他のツール、例えばレーザーアブレーションツールも、同様に搭載され得る。
【0039】
以下、本発明の側面を実証する実験用デバイスについて説明する。外翻ツル状ロボットの製作技術が、Hawkesらの米国特許出願公開第2019/0217908号に開示されており、それらの技術を使用することができる。
【0040】
実験用デバイスの製作は、
図1Aにおいて、ウレタンコーティングが施されたリップストップナイロンを、外翻するツル状伸長部の所望の形状に切断することから始まる。
図1Aに示すカットは直線的であり、細長いナイロン矩形10であって、その長さにわたって同一の幅を有し、幅が長さよりもはるかに小さく、近位端12と遠位端14とが同一の幅「W」を有する、ナイロン矩形10を形成する。テーパー形態のものの幅は、遠位端14における「W」が、近位端12における「W」よりも小さい。
図1Bは、一方の辺16を他方の辺18にラップジョイント20でシールして、長く、細いチューブツル状ロボットカテーテル伸長部22であって、その長さにわたって開放ルーメン24を画定する、チューブツル状ロボットカテーテル伸長部22を形成した結果を示す。任意のステップは、予め定義された形状を含むことであり、これは、例えば、
図1Cにおいて、ツル状ロボットカテーテル伸長部22内の予め湾曲された形状を形成するために使用され得るU字型3Dプリント型30によって実現される。
【0041】
続いて、
図1Dにおいて、ツル状ロボットカテーテル伸長部22が、内翻され(遠位端14が、ルーメン24を通り、且つ、近位端12を通って内側に引き込まれる)、遠位端14が、外側カテーテルシース36のルーメンから延びる、内側カテーテルチューブ34の遠位端に取り付けられる。内側カテーテルチューブ34内には、ガイドワイヤ37も示されている。
図1Eにおいて、ツル状ロボットカテーテル伸長部22の近位端12が、外側シース36の遠位端に取り付けられる。
【0042】
内側チューブ24に流体を供給するための流体ポートを少なくとも有する、従来のハンドル40に取り付けることで、
図1Fのツル状ロボットカテーテルデバイス42が作られる。一般的なハンドル40は、ツル状ロボットカテーテルデバイス42の外翻操作と、内側カテーテルチューブ34及び外側シース36の操作と、を実現するための流体の導入のための近位接続部と、ルアーロック式コネクタなどの接続部と、を有することになる。ハンドル40は、外側シース36と内側チューブ34との間の共同の相対的な移動を含む、カテーテルシステムを体内腔の内部へ前進させるための従来の構成も含み得る。例示的な操作は、従来のものであり、ツル状ロボットカテーテル伸長部22の流体圧力による駆動まで、内側チューブ34及び外側シースを前進させる。
【0043】
ツル状ロボットカテーテル伸長部22は、押されることによってではなく、外翻によって外側シース26の遠位端から生長し得るため、商業用途の最も軟質なカテーテルチューブの剛性すらも必要としない。その代わりに、それは、例えば、0.1mmの厚さを有し、ほぼ伸長しない、40デニールの、ウレタンコーティングが施されたリップストップナイロン(Rockywoods Fabrics)を使用して製作され得る。この繊維構造体は、ステンシル、好ましくは直径を徐々にテーパー状にさせることができるように設計されたステンシルを用いて、所望の形状に切断され得る。例示的な実験用デバイスでは、遠位端において約3.5mmであり、近位端で約5mmとなるように、直径の先細りが実現された。長く、細いチューブを形成するために、繊維構造体の一方の辺を他方の辺にラップジョイントにおいてシールするために、速硬化ポリウレタン接着剤であるMarine Adhesive Sealant Fast Cure 5200(3M)が使用された。他の医療用接着剤、及び/又は、ヒートシールも使用され得る。実験用デバイスでは、約24時間にわたって硬化させた後、曲率半径が20mmであり、直径が、得られるチューブの直径に応じて、3.7~3.9mmである、U字型3Dプリント型(
図1C)が、ナイロンチューブの内部に配置された。続いて、所望の曲率を有する、恒久的な、予め湾曲された形状を作るために、同一のリップストップナイロンの薄い条片が、U字型湾曲部の内側に沿って接着される。硬化すると、型が取り除かれる。上述したように、この予め湾曲された形状は、任意である。押し出し、及び、ルーメンを有する細いチューブの製造に使用される、その他の技術も、使用され得る。ほぼ伸縮せず、外翻圧力に耐える、薄肉で、低摩擦なツル状ロボットチューブを提供する技術が使用され得る。
【0044】
続いて、ツル状ロボット伸長部22を形成する、中空であり、予め湾曲したナイロンチューブが、
図1Fのカテーテルシステムと一体化された。まず、3.5mmの遠位端を5mmの近位端に向かって引っ張ることによって、ツル状ロボットカテーテル伸長部が、裏返しに内翻される。続いて、可撓性であり、6Frの、診断用血管造影カテーテル(MicroVention)が、シースを通して搬送され、その端部が、内翻ツル状ロボットカテーテル伸長部22に、3.5mmの遠位端において取り付けられる。次に、ツル状ロボットカテーテル伸長部の遠位端が、15Frの血管シースの内部に滑り込み、且つ、このシースの周りにぴったりとフィットするように設計された近位端が、シースの遠位端と嵌合するように、カテーテルが引っ張られる。他のカテーテルシステムでは、付加シースの内部に、内側と外側のカテーテルチューブがあり得る。このようなシステムでは、ツル状ロボット伸長部が、内側と外側のチューブに取り付けられる。他のシステムの他の変形例は、当業者には明らかであろう。重要なことは、ツル状ロボット伸長部が、カテーテルシステムへの遠位方向の送達のために、ツル状ロボット伸長部を外翻して遠位方向へ生長させ、その近位接続点からカテーテルシステムへ伸長させるために、流体による駆動を可能にする方法で、取り付けられることである。
【0045】
予め湾曲された形状の代替案は、ガイドワイヤであって、軟質なツル状ロボット伸長部が、大動脈弓などの複雑な構造の周りにおいて、当該ガイドワイヤに追従し得る、ガイドワイヤを含むことである。このワイヤは、標準的な方法を使用することによって、前記弓を越えて案内され得、ツル状ロボット伸長部22は、内側カテーテルチューブがワイヤに追従する方法と同様の方法で、このワイヤに追従する。
【0046】
図2は、実験用ツル状ロボットカテーテルシステム50であって、流体ポート58に接続されたチューブを有する、加圧シリンジ54及び圧力センサ56を有する、それ自身の流体駆動システム52を備える、本発明の好適な実験用ツル状ロボットカテーテルシステム50を示す。
図2Aのツル状ロボットカテーテルデバイス60は、
図1A~
図1F中のデバイスに一致しており、ターゲットの解剖学的構造の領域に挿入されるルーメン経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテル62と、内翻ツル状ロボット伸長部64であって、その近位端66が、外側カテーテル62に取り付けられ、その遠位端68が、ターゲット部位への送達中、外側カテーテル62内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻され、且つ、その遠位端68が、内側チューブ70の遠位端に接続されている、ツル状ロボット伸長部64と、ツル状ロボット伸長部64に流体圧力を加えてツル状ロボット伸長部64を駆動し、遠位端68を、外側カテーテル62の外へ、且つ、外側カテーテル62を越えて、外翻させて伸長する、外側カテーテル内の流体路と、を含む。流体圧力は、リニアアクチュエータ72によって制御され得る。実験用システムは、
図2に示すように構成され、生理食塩水で満たされたシリンジであって、その先端がツル状ロボットカテーテルデバイスに接続されており、そのプランジャがリニアアクチュエータに接続されている、シリンジを含む。シリンジ及びリニアアクチュエータは、リニアアクチュエータがプランジャを前方に押すにつれて、生理食塩水がツル状ロボットカテーテルデバイスに押し込まれ、ツル状ロボットカテーテル伸長部の内圧を上昇させるように、強固に取り付けられている。圧力センサが、ツル状ロボットカテーテルデバイス内の圧力に関するリアルタイムフィードバックを提供した。生長するために、比例制御器が、現在の圧力と所望の圧力との差に基づいてリニアアクチュエータの速度を更新し、圧力差が大きいほど、速度が速くなる。内圧によるツル状ロボットカテーテル伸長部の遠位端における生長する力が、内側カテーテルの張力と釣り合うと、平衡状態が成立し、それ以上の生長は起こらない。
【0047】
好適な制御操作の間、血管内外科医が、一般的な制御及び監視を用いて、内側カテーテルを、前方へ、外側シースの内部に搬送する。
図2と一貫してラベル付けされた
図3の簡略図を参照すると、内側カテーテル70がツル状ロボットカテーテル伸長部64の遠位端68に接続されているため、内側チューブ70を前方へ搬送すると、生長する構成要素にたるみが生じ、VINE(ツル状ロボットカテーテル伸長部)カテーテル64のツル状部材の張力が減少することに一時的につながる。VINEカテーテル内の圧力を一定に保つように制御器が設計されているため、この張力の低下は、VINEカテーテルに正味の力が生長の方向に加わることにつながる。予め湾曲された区間がある場合、VINEカテーテルの端部から該予め湾曲された区間がいつ現れると予期されるかをユーザに報知するために、マーカ74が、該予め湾曲された区間が現れるときに、丁度、このマーカが外側カテーテル62の基部に到達するように、内側カテーテルに取り付けられ得る。マーカ74は、このポイントに到達すると、内側チューブ70がそれ以上搬送され得ないため、外側カテーテルとの機械的干渉によって、それ以上の生長を阻止するように設計され得る。従って、ユーザは、生長を続ける前に、マーカ74を取り除き、外側シース62の基部を回転させることによりツル状ロボットカテーテル64を方向決めする必要がある。ターゲット位置に到達し、任意の処置が行われた後、ツル状ロボットカテーテル伸長部64は、減圧され、標準的なカテーテルと同様に、それを引き戻すために基部から引っ張られる。実験用ツル状ロボットカテーテルデバイス及びシステムが、臨床使用をシミュレートするベンチトップ試験及び生体外(ex vivo)実験によってテストされた。
【0048】
ベンチトップ試験
【0049】
安全性 - 圧力制御システムは、ロボットの伸長によって周囲の解剖学的構造に対して誘起され得る最大付加応力を制限する機能も果たす。基部から押し出される比較的剛性な構造であり、剥離又は他の損傷を動脈血管に引き起こし得る、従来のプッシュカテーテルと異なり、ツル状ロボットカテーテルの伸長によって加えられる最大応力は、本質的に、軟質な構造内の内圧によって制限されており、危険レベルよりはるかに低くなっている。動脈穿孔力は、いくつかの4フレンチカテーテルについて、約2Nと測定されており、約1440kPaの付加応力をもたらす。これに対し、直径4.9mmのツル状ロボットカテーテル伸長部の最大付加応力は、直径12.5mmの中空チャネルを通して生長された場合、200kPaの圧力で生長されたときには平均して165.9±8.3kPaと測定され、300kPaの圧力で生長されたときには平均して234.3±25.9kPaと測定された。これらの測定された応力レベルは、標準的なカテーテルを使用して動脈穿孔を引き起こすことが示されている応力レベルよりも約6~8倍小さい。全内圧が動脈壁に加えられた場合でさえも、応力レベルは、穿孔応力よりも約5倍小さいであろう。
【0050】
予め湾曲された区間の堅牢性 - 実験用ツル状ロボットカテーテル伸長部は、大動脈弓の基部において見られる、可能な角度の範囲の周りでナビゲーションを可能にするために選択された、20mmの曲率半径の「U」字形状を有している。異なる角度に対するデバイスの堅牢性がテストされた。標準的な半硬質カテーテルは、90°程度の急峻さを有するカーブしか通過できないのに対し、ツル状ロボットカテーテル伸長部は、180°(遠位方向に直線)から0°(近位方向に戻る完全なUターン)までの範囲にわたる角度を有するチャネルを通じて案内し得る。これらの異なる経路を案内するために、ツル状ロボットカテーテル伸長部は、予め湾曲された区間が現れ始めるまで生長され、その時点において、ツル状ロボットカテーテル伸長部の基部が、該予め湾曲された区間の先端が所望の方向に整列するように回転される。続いて、ツル状ロボットカテーテル伸長部は、制約された環境との相互作用によって、所望の経路に継続して沿って生長し続けることができる。予め湾曲されたツル状ロボットカテーテル伸長部が、血管系の寸法に類似した寸法を有するアクリル模型を通して生長された。直線状のツル状ロボットカテーテルであって、それが存在し、且つ、(上述したワイヤなどによって)案内されなければ、常に直線状の経路に沿って生長するであろう、直線状のツル状ロボットカテーテルと比較して、予め湾曲されたVINEカテーテル伸長部は、180°(遠位方向に直線)から0°(近位方向に戻る完全なUターン)までの範囲にわたる角度を有する、角度付き経路に沿って、成功裡に生長することができた。比較として、標準的なプッシュカテーテル(5-French Berenstein Catheter (Cordis, Santa Clara, CA))も、同一のアクリル模型のセットを通して、同様に案内された。5つの経路全てを通って成功裡に生長することができた、本発明のカテーテル伸長部と異なり、プッシュカテーテルは、180°(直線)経路を通過し、135°経路及び90°経路に沿って遠位方向に屈曲することしかできなかった。45°経路及び0°経路の近位側に戻る両経路は、何れも、曲率が急峻すぎて、標準的なプッシュカテーテルを、ガイドワイヤ又は他のツールを使用することなく、成功裡にフックして並進移動させることができないことが判明した。これらの急峻な曲がり角を通って標準的なプッシュカテーテルを案内することの困難性は、それらの移動方法に帰することができる。伸長部をターゲットに向かって前進させるためには、プッシュカテーテルがカーブに掛け回された後、カテーテル本体全体が前方に並進移動しなければならず、これは、カテーテルの湾曲が、血管系のカーブともはや一致しなくなることを意味する。そのため、前方への押し出しが、カーブを曲がる前進運動をもたらさない可能性がある。曲率によっては、これは、追加の器具を使用しない限り、困難又は不可能である可能性がある。これに対して、予め湾曲した区間を有するツル状ロボットカテーテル伸長部は、血管系のカーブにほぼ一致する湾曲をその本体が有するように生長され得、そして、この湾曲が、伸長部がターゲットに向かって前進し続けている間、環境に対して静止した状態を保ち得る。従って、ツル状ロボットカテーテル伸長部の端部が前進し続けている間、本体の湾曲が血管系のカーブに一致した状態が保たれる。
【0051】
蛍光透視下での生体外ナビゲーション試験
【0052】
初心者のユーザと熟練した外科医とが、ツル状ロボットカテーテルデバイスと標準的な手動ツールのセットとの性能を、蛍光透視下の生体外模型において比較するように計画された、ユーザスタディに参加した。標準的な器具のセットは、フレンチ血管シース、5フレンチSimmons 2カテーテル、及びガイドワイヤを含んでいた。タスクのゴールは、カテーテルを、模型の右総頸動脈遠位部内のターゲット部位へ案内することであった。
【0053】
実験手順 - 各参加者は、まず、標準的なカテーテルとツル状ロボットカテーテルデバイスとの両方の使用方法について、ステップごとの説明を読み、動画を視聴した。参加者は、各カテーテルデバイスの使用を5分間練習した後、蛍光透視下でタスクを試行した。初心者は、デバイスに習熟し、技術を向上させるために、追加の30分のトレーニングを、標準的な方法について最大15分、ツル状ロボットカテーテル法について最大15分、行った後、最終的なテストセッションを実施した。蛍光透視下でのツル状ロボットカテーテルの試験に対する承認は、カリフォルニア大学サンディエゴ校治験審査委員会によって与えられた。全ての参加者は、オンラインの放射線安全トレーニングコースを受講し、防護用鉛エプロン及び線量測定バッジを着用した。可能なときには、防護シールドも使用された。また、参加者は、いつでも研究を終了することを選択できることを告げられた。
【0054】
実験セットアップ - 大動脈弓のシリコーンフロー模型が、生体外ナビゲーションタスクのために使用された。回転血管造影からのCTA画像が、まず2D軸スライスをセグメント化し、続いてこの2Dセグメンテーションのスタックから3Dボリュームを再構成することによって、関心領域内の解剖学的構造の3Dモデルを再構成するために使用された。続いて、FDM(Fused Deposition Modeling)プリンタを使用して3Dプリントされた、患者固有の模型を生成するために、この3D DICOMデータが使用された。続いて、この模型は、シリコーンを使用してディップコーティングされ、硬化した後、この模型は取り除かれた。このフロー模型は、実験中に模型から漏れ得る、あらゆる液体を受け止めるように製作された、アクリルボックスに取り付けられた。模型は、水で完全に満たされ、気泡が除去された。駆動システムが、X線ベッドにクランプされ、シリンジが、約1:1の割合で造影剤を混ぜた水で満たされた。外部モニタが、X線画像をリアルタイムで可視化するために使用され、参加者に、彼らのターゲット経路及び終了位置がモニタ上で示された。放射線量と経過時間の測定は、全て、モニタから記録された。
【0055】
実験結果 - 全ての参加者が、ツル状ロボットカテーテルデバイスを生長させることによって、前記弓を越えたターゲット部位に到達することができたが、初心者、熟練者の何れも、標準的なツールのセットを使用してタスクを完了することはできなかった。この参加者は、腕頭動脈内への最初のアクセスを得ることはできたものの、彼らは、カテーテルをさらに前進させることができなかったことに留意されたい。熟練者は、標準的なツールを使用して、初心者よりもはるかに速く、右総頸動脈内へ案内することができ、初心者の3人に2人は、この分岐を選択することが全くできなかったことが明らかになった。平均して、熟練者は、右総頸動脈内へ案内してガイドワイヤをターゲットへ向かって前進させるために0.67±0.05分かかったのに対し、タスクのこの部分に成功した1人の初心者は、8.1分でこれを完了した。平均して、ツル状ロボットカテーテルデバイスの場合、初心者は、4.22±1.90分かかり、熟練者は、3.75±0.90分かかり、2つのグループの間の差は、わずか0.47分であった。ツル状ロボットカテーテルは、熟練した神経インターベンショナリスト(neurointerventionalist)にとって約35分かかる、標準的なツールを使用した実際の手術と比較して、全研究参加者にとって、大幅に速かった。より迅速な手術の可能性は、多くの利点を有し、手術のリスクを軽減することができる。利点の1つは、外科医と患者の両方にとって、特に極めて曲がりくねった解剖学的構造を案内する場合に、放射線被曝量が少なくなることである。
【0056】
図4は、他のカテーテルデバイスであって、当該カテーテルデバイスにおいて、マウントが、ツル状ロボットカテーテル伸長部を、外側チューブ又はシースの上の標準的なカテーテルの遠位端に取り付けられ、カテーテル部材の内側カテーテルが、膨張/加圧、及び、伸長部若しくはカテーテルデバイスの膨張された区間の外翻生長がなされたときに、カテーテルマウントから引き出される、カテーテルデバイスを示す。マーカA、B、C及びDは、標準的なカテーテルの挿入、ツル状ロボット伸長部の外翻生長、及び、内側カテーテルがロボット伸長部によって引っ張られているときの付随する動きに関する情報を、施術者に提供する。追加のマーカは、外翻の時間ステップが複数ある場合に有用であり、施術者が、部材の各部分が外翻の各時間ステップの後にどこに行き着くかを見ることを可能にする。
【0057】
本発明の特定の実施形態が図示及び説明されてきたが、他の修正、置換、及び、代替が当業者には明らかであることを理解されたい。添付の特許請求の範囲から決定されるべき本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、そのような修正、置換、及び、代替が行われ得る。
【0058】
本発明の様々な構成が、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0059】
(付記)
(付記1)
ターゲットの解剖学的構造の領域に到達するためのルーメン経路に応じて寸法決めされた細長い外側カテーテルと、内翻(inverted)ツル状(vine)ロボット伸長部であって、その近位端が、前記外側カテーテルに取り付けられており、その遠位端が、ターゲット部位への送達中、前記外側カテーテル内において、部分的に又は完全にそれ自身の内部に内翻されている、内翻ツル状ロボット伸長部と、前記ツル状ロボット伸長部に流体圧力を加えて前記ツル状ロボット伸長部を駆動し、前記遠位端を、前記外側カテーテルの外へ、且つ、前記外側カテーテルを越えて、外翻させて(evert)伸長する、前記外側カテーテル内の流体路と、を備える、ツル状ロボットカテーテルデバイス。
【0060】
(付記2)
前記外側カテーテルのルーメン内に細長い内側要素を備え、前記内側要素は、前記内翻ツル状ロボット伸長部の前記遠位端に取り付けられている、付記1に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【0061】
(付記3)
前記内側要素は、ルーメンを画定する内側カテーテルチューブを備える、付記2に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【0062】
(付記4)
前記ツル状ロボット伸長部の生長の経路を解剖学的経路に追従するように案内するように伸長可能なガイドワイヤを前記内側カテーテルチューブ内に備える、付記3に記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【0063】
(付記5)
前記ツル状ロボット伸長部内の予め湾曲された区間であって、解剖学的経路に追従するように外翻している間に、予め決められた形状を形成する、予め湾曲された区間を備える、付記1から4の何れか一つに記載のツル状ロボットカテーテルデバイス。
【0064】
(付記6)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、上部消化管、特に食道、胃、及び/又は、小腸のために寸法決めされており、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0065】
(付記7)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、下部消化管、特に結腸、及び/又は、直腸のために寸法決めされており、好ましくは5mm~25mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0066】
(付記8)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、胆膵管、特に総胆管、肝内胆管、胆嚢管、及び/又は、ウィルスング管のために寸法決めされており、好ましくは1mm~5mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0067】
(付記9)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、尿路、特に腎杯、尿管、膀胱、及び/又は、尿道のために寸法決めされており、好ましくは1~4mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0068】
(付記10)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、気道、特に気管、気管支、及び/又は、細気管支のために寸法決めされており、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0069】
(付記11)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、子宮腔のために寸法決めされており、好ましくは1~5mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0070】
(付記12)
前記ツル状ロボットカテーテル伸長部は、血管のために寸法決めされており、好ましくは1~10mmの範囲内の外径を有する、付記1から5の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0071】
(付記13)
前記ツル状ロボット伸長部は、プラスチックと繊維構造体との群から選択された材料、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン(tpu)、ダイニーマ、PTFE、又はシリコーンコーティング若しくはウレタンコーティングを施したリップストップナイロン繊維構造体、で構成されている、付記1から12の何れか一つに記載のカテーテルデバイス。
【0072】
(付記14)
付記1から13の何れか一つに記載のツル状ロボットカテーテルデバイスを含むツル状ロボットカテーテルシステムであって、流体駆動システムと、前記流体駆動システムが前記ツル状ロボットカテーテル伸長部の外翻の速度を制御できるようにリアルタイムフィードバックを提供する圧力センサと、を備える、ツル状ロボットカテーテルシステム。
【0073】
(付記15)
流体圧力を加えるリニアアクチュエータと、前記リニアアクチュエータの速度を、現在の圧力と所望の圧力との差に基づいて更新する比例制御器と、を備え、圧力差が大きいほど、外翻の速度が速くなる、付記14に記載のツル状ロボットカテーテルシステム。
【0074】
(付記16)
外側シースと内側チューブとを備えるカテーテルを、ルーメン内へ、前記ルーメン内で第1の距離だけ遠位方向に前進させるステップと、
流体圧力により、ツル状ロボットカテーテル伸長部であって、その遠位端が、内翻され、前記内側チューブの遠位端に接続されており、その近位端が、前記外側シースの遠位端に接続されている、ツル状ロボットカテーテル伸長部を、外翻し、生長し、それにより、前記内側チューブを遠位方向に引っ張るように作動させるステップと、
流体圧力を監視し、前記ツル状ロボットカテーテル伸長部内の圧力を維持するステップと、
を含む、ツル状ロボットカテーテルシステムを操作する方法。
【0075】
(付記17)
前記内側チューブ上のマーカを監視するステップと、前記マーカが予め決められた遠位量だけ前進したときに生長を一時停止するステップをさらに含む、付記16に記載の方法。
【0076】
(付記18)
前記ツル状ロボットカテーテルシステムは、予め湾曲された区間を備え、前記方法は、前記生長を一時停止した後に前記外側シースを回転させるステップと、前記回転後に生長を継続するステップと、をさらに含む、付記16に記載の方法。
【国際調査報告】