(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ペプチド受容体放射性核種療法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/08 20060101AFI20231208BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20231208BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231208BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20231208BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20231208BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20231208BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20231208BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231208BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20231208BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/244 20190101ALI20231208BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/34 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/38 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/18 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/245 20190101ALI20231208BHJP
A61K 33/16 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20231208BHJP
A61K 33/42 20060101ALI20231208BHJP
A61K 33/44 20060101ALI20231208BHJP
C07K 14/78 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/395 20060101ALN20231208BHJP
【FI】
A61K51/08 100
A61K38/16 ZNA
A61K45/00
A61K47/64
A61K47/54
A61K47/60
A61P35/00
A61P1/18
A61P15/00
A61P1/04
A61P11/00
A61P1/02
A61P43/00 105
A61P17/00
A61P35/04
A61P43/00 111
A61K33/244
A61K51/08 200
A61K51/04 200
A61K51/04 100
A61K33/00
A61K33/34
A61K33/38
A61K33/18
A61K33/245
A61K33/16
A61K33/24
A61K33/42
A61K33/44
C07K14/78
A61K31/395
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533889
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021061886
(87)【国際公開番号】W WO2022120226
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】サトクリフ ジュリー エル.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076BB11
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC26
4C076CC27
4C076DD59
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA12
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA10
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA32
4C084BA33
4C084BA37
4C084DC50
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC411
4C085HH03
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4C085KB07
4C085KB10
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4C085KB12
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4C085KB18
4C085KB20
4C085KB56
4C085KB74
4C085KB82
4C085LL18
4C086AA01
4C086BC58
4C086HA01
4C086HA03
4C086HA05
4C086HA06
4C086HA07
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4C086HA10
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC41
4H045AA10
4H045BA51
4H045BA56
4H045BA57
4H045BA71
4H045CA40
4H045EA28
4H045EA51
4H045FA20
(57)【要約】
本開示では、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)を用いたインテグリンサブタイプα
vβ
6を介した分子標的アプローチ及びセラノスティクスアプローチを組み込んだ方法及び関連組成物が提供される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α
vβ
6インテグリン関連がんを治療する方法であって、治療を必要とする対象に、ある用量の式Iの治療用コンジュゲートを投与することを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
であり、
前記用量の前記治療用コンジュゲートは、約25mCi~約200mCiの放射能を含む、
前記方法。
【請求項2】
前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記用量中の前記放射能の量が、25mCi、50mCi、100mCi、150mCi、または200mCiである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1、2、または3回の追加用量の前記治療用コンジュゲートを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記用量が約100μg以下の前記ペプチドを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記α
vβ
6インテグリン関連がんが、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、口腔扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、胃癌、または子宮内膜癌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記膵臓癌が、局所進行性もしくは転移性膵臓癌;局所進行性、切除不能、もしくは転移性膵臓腺癌;または膵管腺癌(PDAC)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記α
vβ
6インテグリン関連がんが、原発巣及び転移巣を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記α
vβ
6インテグリン関連がんが、副腎、骨、脳、肝臓、肺、またはそれらの任意の組み合わせにおける病変を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、前記用量の前記治療用コンジュゲートが投与される前に、標準治療を受ける、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、前記用量の前記治療用コンジュゲートが投与された後に、標準治療を受ける、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記標準治療が、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記標準治療が、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)、ゲムシタビン、アブラキサン、イリノテカン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記治療用コンジュゲートを投与した後に、前記対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記走査することが、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記治療用コンジュゲートの投与前に診断用コンジュゲートを投与することをさらに含み、前記診断用コンジュゲートは、RGDペプチド及び第2の放射性核種を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の放射性核種が
68Gaである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記診断用コンジュゲートが、最大約5mCiの放射能を含む用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記診断用コンジュゲートを投与した後に、前記対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記走査することが、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記治療用コンジュゲートが、前記診断用コンジュゲートの投与後5週間以内に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記診断用コンジュゲートが式IIを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アミノ酸の溶液を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液が、前記治療用コンジュゲートの投与前及び投与と同時に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記治療用コンジュゲートが、注入によって前記対象に投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項27】
前記診断用コンジュゲートが、注射によって前記対象に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記治療が、安定した疾患、部分寛解、または完全寛解をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項29】
前記治療が、前記対象における前記がんの転移の減少をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項30】
前記治療が、前記対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖の減少をもたらす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項31】
前記治療が、その後に投与される抗がん剤に対する前記がんの応答性を増加させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項32】
前記コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における腎臓組織中に存在する前記治療用コンジュゲートの量が、前記コンジュゲートの投与後1時間における腎臓組織中に存在する前記治療用コンジュゲートの量よりも少ない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項33】
前記コンジュゲートの投与後24時間、48時間または72時間における原発腫瘍中の前記治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の前記治療用コンジュゲートの量との比が、前記コンジュゲートの投与後1時間における前記原発腫瘍中の前記治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の前記治療用コンジュゲートの量との比よりも高い、請求項1または2に記載の方法。
【請求項34】
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項35】
PEG部分が前記ペプチドのN末端、C末端、または前記N末端と前記C末端の両方に共有結合している、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記PEG部分が、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)
2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
第1のPEG部分が、前記ペプチドの前記N末端に共有結合し、第2のPEG部分が、前記ペプチドの前記C末端に共有結合し、前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)
2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記ペプチドが、アルブミン結合部分(ABM)に共有結合している、請求項34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記ABMが、4-(4-ヨードフェニル)酪酸を含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記ABMが、K(D-Abu-ヨードフェニルブチリル)部分を含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ペプチドが、キレート部分に共有結合している、請求項34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記キレート部分がDOTAである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
放射性核種が、前記キレート部分と錯体化される、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項46】
放射性核種が、前記ペプチドに直接または間接的に共有結合している、請求項34~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記放射性核種が、
32P、
47Sc、
67Cu、
89Sr、
90Y、
105Rh、
111Ag、
117mSn、
131I、
149Pm、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
211At、及び
212Biからなる群から選択される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記放射性核種が、
11C、
13N、
15O、
18F、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
66Ga、
67Cu、
68Ga、
82Rb、
86Y、
111In、
124I、
125I、または
131Iからなる群から選択される、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
式Iのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項50】
前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、請求項49または50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記組成物が、約25mCi~約200mCiの放射能を含む、請求項49または50に記載の医薬組成物。
【請求項53】
式IIのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項54】
前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、請求項53または54に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月4日に出願された米国仮特許出願第63/121,762号の利益を主張し、参照することによりその開示全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
がんは、新しくてより効果的な治療法を必要とし続けている。特に、一部のがん及びそれらの種類のがんのサブセットは、現在のアプローチに不応性である。例えば、膵管腺癌(PDAC)の発生率は増加し続けており、2018年には米国で推定47,000人が膵臓腺癌と診断された。残念ながら、PDACは依然として最も致死性の高いがんであり、最終的には98%の人がこの病気のために死亡している。徹底的な検査と、一次及び二次治療の進歩の促進をもってしても、この病気に効果があることが判明した化学療法はただ1つ(ゲムシタビン)である。しかし、臨床応答率は依然として10%未満であり、平均してわずか6週間の延命にとどまっている。膵臓癌に対する臨床選択肢の欠如と相まって芳しくない結果は、新たな治療法の研究に対する明らかに満たされていないニーズを示している。
【発明の概要】
【0003】
概要
一態様では、本開示は、α
vβ
6インテグリン関連がんを治療する方法を提供し、本方法は、治療を必要とする対象に、ある用量の式Iの治療用コンジュゲートを投与することを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
であり、かつ
ある用量の治療用コンジュゲートは、約25mCi~約200mCiの放射能を含む。
【0004】
関連する態様では、本開示は、α
vβ
6インテグリン関連がんを治療するための方法において使用するための治療用コンジュゲートを提供し、本方法は、治療を必要とする対象に、ある用量の治療用コンジュゲートを投与することを含み、本治療用コンジュゲートは式Iを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
であり、かつ
ある用量の治療用コンジュゲートは、約25mCi~約200mCiの放射能を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれPEG28(PEG1500)を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、用量中の放射能の量は、25mCi、50mCi、100mCi、150mCi、または200mCiである。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、1、2、または3回の追加用量の治療用コンジュゲートを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、用量には、約500μg、約400μg、約300μg、約200μg、または約100μg以下のペプチドが含まれる。特定の実施形態では、用量には約100μg以下のペプチドが含まれる。複数回用量の治療用コンジュゲートが対象に投与される実施形態では、各用量は、同じまたは異なる線量の放射能及び/または同じまたは異なる量のペプチドを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリン関連がんは、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、口腔扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、胃癌、または子宮内膜癌である。特定の実施形態では、膵臓癌は、局所進行性もしくは転移性膵臓癌;局所進行性、切除不能、もしくは転移性膵臓腺癌;または膵管腺癌(PDAC)である。
【0008】
いくつかの実施形態では、αvβ6インテグリン関連がんは、原発病変及び転移巣を含む。特定の実施形態では、αvβ6インテグリン関連がんは、副腎、骨、脳、肝臓、肺、またはそれらの任意の組み合わせにおける病変を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、対象は、ある用量の治療用コンジュゲートが投与される前に、標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、対象は、ある用量の治療用コンジュゲートが投与された後に、標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、対象は、ある用量の治療用コンジュゲートが投与される前及び投与された後に、標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、標準治療は、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む。特定の実施形態では、標準治療は、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)、ゲムシタビン、アブラキサン、イリノテカン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療用コンジュゲートの投与後に、対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む。特定の実施形態では、走査は、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本方法は、治療用コンジュゲートの投与前に診断用コンジュゲートを投与することをさらに含み、診断用コンジュゲートは、RGDペプチドと、イメージングに適した異なる放射性核種などの第2の放射性核種とを含む。特定の実施形態では、第2の放射性核種は68Gaである。特定の実施形態では、診断用コンジュゲートは、最大約5mCi(例えば、約0.01mCi超~約5mCi)の放射能を含む用量で投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、診断用コンジュゲートの投与後に、対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む。特定の実施形態では、走査は、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、診断用コンジュゲートの投与後5週間以内に投与される。
【0014】
特定の実施形態では、診断用コンジュゲートは式IIを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である。
【0015】
いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲート中の第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれPEG28(PEG1500)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、対象にアミノ酸溶液を投与することを含む。特定の実施形態では、該溶液は、治療用コンジュゲートの投与前及び投与と同時に投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、注入によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは注射によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは、ボーラス、スローボーラス、またはスロー注入によって投与される。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、ボーラス、スローボーラス、またはスロー注入によって投与される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートはボーラスによって投与され、治療用コンジュゲートはスローボーラス、またはスロー注入によって投与される。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、数分または数時間、例えば、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約55分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、または約8時間かけて注入される。特定の実施形態では、治療用コンジュゲートは約30分間かけて注入される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは、数分、例えば、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分以下の時間をかけて注入される。特定の実施形態では、診断用コンジュゲートは約5分以下の時間をかけて注入される。
【0018】
いくつかの実施形態では、治療は安定した疾患、部分寛解または完全寛解をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象におけるがんの転移の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖を減少させる。いくつかの実施形態では、治療は、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性を増加させる。
【0019】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における腎臓組織中に存在する治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間における腎臓組織中に存在する治療用コンジュゲートの量よりも少ない。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の治療用コンジュゲートの量との比は、コンジュゲートの投与後1時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の治療用コンジュゲートの量との比よりも高い。
【0020】
別の態様では、本開示は、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含む医薬組成物を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、PEG部分は、ペプチドのN末端、C末端、またはN末端及びC末端の両方に共有結合している。いくつかの実施形態では、PEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。他の実施形態では、第1のPEG部分はペプチドのN末端に共有結合し、第2のPEG部分はペプチドのC末端に共有結合し、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれPEG28(PEG1500)を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ペプチドはアルブミン結合部分(ABM)に共有結合している。特定の実施形態では、ABMは4-(4-ヨードフェニル)酪酸を含む。いくつかの実施形態では、ABMは、ペプチド、第1のPEG部分、または第2のPEG部分に共有結合しているペプチドリンカーなどのリンカーを含む。特定の実施形態では、ABMは、K(D-Abu-ヨードフェニルブチリル)部分を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ペプチドはキレート部分に共有結合している。特定の実施形態では、キレート部分はDOTAである。特定の例では、放射性核種はキレート部分と錯体化する。いくつかの実施形態では、放射性核種は、ペプチドに直接的または間接的に共有結合している。場合によっては、放射性核種は、32P、47Sc、67Cu、89Sr、90Y、105Rh、111Ag、117mSn、131I、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、及び212Biからなる群から選択される。その他の場合では、放射性核種は、11C、13N、15O、18F、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、68Ga、82Rb、86Y、111In、124I、125I、または131Iからなる群から選択される。その他の場合では、放射性核種は、177Luまたは68Gaである。
【0024】
関連する態様では、本開示は、医薬組成物を提供し、式Iのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれPEG28(PEG1500)を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、約25mCi~約200mCiの放射能を含む。特定の実施形態では、組成物は、25mCi、50mCi、100mCi、150mCi、または200mCiの放射能を含む。
【0027】
その他の関連する態様では、本開示は、医薬組成物を提供し、式IIのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれPEG28(PEG1500)を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、最大約5mCi(例えば、約0.01mCi超~約5mCi)の放射能を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1A~Bは、ビオチン化LAPに対するインテグリンα
vβ
6に対するペプチド1(DOTA-5G)(
図1A)及びペプチド2(DOTA-ABM-5G)(
図1B)のELISA結合曲線を示す(n=3/インテグリン/濃度;バー:SD)。
図1Cは、インテグリンα
vβ
6(+)BxPC-3細胞を使用した、37℃での
68Ga-1及び
177Lu-2の細胞結合及び内部移行を示す。内部移行画分は、総結合放射能の画分である(n=3/細胞株;1時間);バー:SD。
図1Dは、37℃でのBxPC-3細胞からの
177Lu-2の流出を決定するために保持された放射能のパーセントを示す。
【
図2】
68Ga-1または
68Ga-2の注射2時間後に得られた、BxPC-3腫瘍(矢印)を有するマウスの代表的な軸横断(上)及び冠状(下)PET/CT断面を示す。K=腎臓、B=膀胱、H=心臓。画像の下のPETスケールの上部バーとCTスケールの下部バー。
【
図3】
図3A~Dは、α
vβ
6(+)BxPC-3腫瘍を有するマウス(n=3/群/時点)における組織1グラムあたりの減衰補正後の注射量として、選択された器官における
68Ga-1及び
68Ga-2(それぞれ
図3A及び3B)、ならびに
177Lu-1及び
177Lu-2(それぞれ
図3C及び3D)の生体内分布をパーセンテージとして示す。
【
図4】
図4A~Dは、(
図4A)BxPC-3腫瘍、(
図4B)腎臓、(
図4C)BxPC-3/腎臓比、及び(
図4D)BxPC-3/胃の比率における
177Lu-1及び
177Lu-2の取り込みを示す。取り込み値は、生体内分布データから導出される、α
vβ
6(+)BxPC-3腫瘍を有するマウス(n=3/群/時点)における組織1グラムあたりの減衰補正注射量のパーセンテージ(%ID/g)として表される。
【
図5】注射後1時間の、BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける放射能アッセイによって決定された
68Ga-1の生体内分布を示す(n=3/群)。ブロックのために、
68Ga-1投与の10分前に8.3μmol/kgの1(30mg/kg)を投与した(n=2/群)。取り込みデータは、組織1グラムあたりの注入量の減衰補正されたパーセントとして表される(列:取り込み[%ID/g];バー:SD)。
【
図6】注射後1時間の、BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける放射能アッセイによって決定された
177Lu-1の生体内分布を示す(n=3/群)。ブロックのために、
177Lu-1投与の10分前に8.3μmol/kgの1(30mg/kg)を投与した(n=2/群)。取り込みデータは、組織1グラムあたりの注入量の減衰補正されたパーセントとして表される(列:取り込み[%ID/g];バー:SD)。
【
図7】注射後4時間の、BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける放射能アッセイによって決定された
177Lu-2の生体内分布を示す(n=3/群)。ブロックのために、
177Lu-2投与の10分前に8.3μmol/kgの2(48mg/kg)を投与した(n=1/群)。取り込みデータは、組織1グラムあたりの注入量の減衰補正されたパーセントとして表される(列:取り込み[%ID/g];バー:SD)。
【
図8】
図8A~Bは、腫瘍体積測定(
図8A)及び生存データ(
図8B)によって決定された、α
vβ
6(+)BxPC-3腫瘍を有するマウスにおける
177Lu-2の治療効果を示す。群1=生理食塩水対照(n=5)、群2=ペプチド2対照(n=5)、群3=74MBq
177Lu-2(n=10)、及び群4=2*37MBq
177Lu-2(n=7)。マウスは腫瘍移植後14日目(群3)と腫瘍移植後21日目(群4)に第1の治療を受け、処置後最大で120日間モニタリングされた。
【
図9】
図9A~Bは、治療群3(
図9A;74MBq
177Lu-2)及び治療群4(
図9B;2*37MBq
177Lu-2)について研究終了(120日間)まで週2回測定したマウスの体重を示す。
【
図10】
68Ga放射性核種を有するペプチド1(本明細書では[
68Ga]GaDOTA-5G及び
68Ga-1とも呼ばれる)を含む式IIを作製するために使用されたペプチド1と、
177Lu放射性核種を有するペプチド2(本明細書では[
177Lu]LuDOTA-ABM-5G及び
177Lu-2とも呼ばれる)を含む式Iを作製するために使用されたペプチド2を示す。ペプチド1は、
177Lu放射性核種を有するペプチド1を含む
177Lu-1を作製するためにも使用された。ペプチド2は、
68Ga放射性核種を有するペプチド2を含む
68Ga-2を作製するためにも使用された。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
I.序文
本明細書では、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)を用いたインテグリンサブタイプαvβ6を介した分子標的アプローチ及びセラノスティクスアプローチを組み込んだ方法及び関連組成物が提供される。
【0032】
インテグリンサブタイプαvβ6は、健康な成人上皮では検出できないが、膵管腺癌(PDAC)を含む広範囲の上皮由来癌では有意に上方制御される上皮特異的細胞表面受容体である。αvβ6はPDACで最初に同定され、ほとんどすべての腫瘍でαvβ6の高度に上方制御された発現が示されている。
【0033】
PRRTは、放射性核種と組み合わせた細胞標的化ペプチドを用いる治療法である。放射性ペプチドは患者の血流に注射されると、目標の高線量の放射線をがん細胞に直接照射する。
【0034】
II.定義
別途特別に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を表す。さらに、本開示の実施の際には、任意の本明細書に記載されている方法及び材料と類似または同等の方法及び材料を用いることができる。本開示の目的において、以下の用語は定義される。
【0035】
本明細書で使用される用語「a」、「an」、または「the」は、1つのメンバーによる態様を含むだけでなく、2つ以上のメンバーによる態様も含む。例えば、文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「コンジュゲート」への言及には、複数のそのようなコンジュゲートが含まれるなどである。
【0036】
「約」という用語は、本明細書では数値を修飾し、その値の周囲の定義された範囲を示すために使用される。「X」が値である場合、「約X」とは、一般に0.90X~1.10Xの値を指す。「約X」への言及は、少なくとも値X、0.90X、0.91X、0.92X、0.93X、0.94X、0.95X、0.96X、0.97X、0.98X、0.99X、1.01X、1.02X、1.03X、1.04X、1.05X、1.06X、1.07X、1.08X、1.09X、1.10Xを指す。したがって、「約X」は、例えば「0.98X」を開示することを意図している。「約」が数値範囲の先頭に適用される場合、それは範囲の両端にも適用される。「約」が値セットの最初の値に適用されると、そのセット内のすべての値に適用される。
【0037】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合されたD-アミノ酸またはL-アミノ酸の単鎖、またはD-アミノ酸とL-アミノ酸の混合物から構成される化合物を指す。一般に、ペプチドは約2~約50個のアミノ酸長である。非限定的な例として、本明細書に記載のコンジュゲート中に存在するペプチドは、約5~約45個のアミノ酸長、約8~約45個のアミノ酸長、約8~約25個のアミノ酸長、約8~約20個のアミノ酸長、約12~約45個のアミノ酸長、約12~約30個のアミノ酸長、または約20個のアミノ酸長である。
【0038】
「RGDペプチド」という用語は、αvβ6インテグリンとの特異的相互作用能力を示す、本明細書に記載のコンジュゲートにおけるペプチドモチーフの結合/相互作用を指す。いくつかの実施形態では、RGDペプチドは、類似の配列または構造の分子と交差反応することなく、αvβ6インテグリンと相互作用及び/または結合する。場合によっては、RGDペプチドは、類似の配列または構造の分子よりも実質的に低い解離定数で結合する(すなわち、より強固な結合)場合、αvβ6インテグリンに特異的に結合する。例えば、特定の例において、RGDペプチドが、関連分子よりも約2、3、4、5、6、8、10、15、20、25、30、40、50、100、または1000倍以上の親和性の割合でαvβ6インテグリンに結合する場合、特異的結合が起こる。RGDペプチドのαvβ6インテグリンへの結合は、イオン結合、水素結合、疎水性相互作用、双極子間結合、及び/またはファンデルワールス力などの分子間力を介して発生し得る。交差反応性は、例えば、αvβ6インテグリン、及び(例えば、構造的及び/または機能的に)密接に関連した分子の大小の数に対する従来の条件下でのRGDペプチドの結合を評価することによって試験することができる。これらの方法には、結合研究、密接に関連した分子とのブロッキング及び競合研究、FACS分析、表面プラズモン共鳴(BIAcoreなどを使用)、分析超遠心分離、等温滴定熱量測定、蛍光異方性、蛍光分光法、放射性標識リガンド結合アッセイ、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「PEG化」は、ポリエチレングリコール(PEG)分子を別の分子、例えば、RGDペプチドに共有結合させるプロセスを指し、その後「PEG化された」と称される。非限定的な例として、RGDペプチドは、規定の鎖長を有する単分散PEG分子を用いてアミノ末端とカルボキシル末端の両方でPEG化され、二末端PEG化ペプチドコンジュゲートを生成し得る。単分散PEG分子は通常、正確に定義された数のエチレングリコール繰り返し単位を持つ個別の分子量を含む。使用に適したPEG部分は、PolypureAS(Oslo,Norway)から市販されており、実質的に1つのオリゴマーのみ(例えば、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のオリゴマー純度超)からなる単分散PEG分子及びそのPEG誘導体を供給している。特定の実施形態では、RGDペプチドは、約5,000ダルトン(Da)未満(例えば、約5,000、4,000、または3,000Da未満)、例えば、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び/または(PEG28)2(PEG1500×2)などの分子量を有するシングルタイプまたは異なるタイプを混合した単分散PEG部分により両端がPEG化されている。
【0040】
用語「放射性核種」は、放射能を示すあらゆる核種を含むことを意図している。「核種」とは、炭素14(14C)など、原子番号、原子質量、エネルギー状態によって特定される原子の種類を指す。「放射能」とは、放射性物質から放出される、アルファ粒子、ベータ粒子、核子、電子、陽電子、ニュートリノ、ガンマ線などの放射線を指す。本明細書に記載のコンジュゲートでの使用に適した放射性核種の例としては、トリチウム(3H)、フッ素18(18F)、リン32(32P)、硫黄35(35S)、スカンジウム47(47Sc)、コバルト55(55Co)、銅60(60Cu)、銅61(61Cu)、銅62(62Cu)、銅64(64Cu)、ガリウム66(66Ga)、銅67(67Cu)、ガリウム67(67Ga)、ガリウム68(68Ga)、ルビジウム82(82Rb)、イットリウム86(86Y)、イットリウム87(87Y)、ストロンチウム89(89Sr)、ストロンチウム90(90Sr)、イットリウム90(90Y)、ロジウム105(105Rh)、銀111(111Ag)、インジウム111(111In)、ヨウ素124(124I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素131(131I)、スズ117m(117mSn)、テクネチウム99m(99mTc)、セシウム137(137Cs)、プロメチウム149(149Pm)、サマリウム153(153Sm)、ホルミウム166(166Ho)、ルテチウム177(177Lu)、レニウム186(186Re)、レニウム188(188Re)、タリウム201(201Tl)、アスタチン211(211At)、アスタチン215(215At)、アスタチン217(217At)、アスタチン218(218At)、ビスマス209(209Bi)、ビスマス211(211Bi)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、ポロニウム210(210Po)、ポロニウム211(211Po)、ポロニウム212(212Po)、ポロニウム214(214Po)、ポロニウム215(215Po)、ポロニウム216(216Po)、ポロニウム218(218Po)、ラドン218(218Rn)、ラドン219(219Rn)、ラドン220(220Rn)、ラドン222(222Rn)、ラドン226(226Rn)、フランシウム221(221Fr)、ラジウム223(223Ra)、ラジウム224(224Ra)、ラジウム226(226Ra)、アクチニウム225(225Ac)、アクチニウム227(227Ac)、トリウム227(227Th)、トリウム228(228Th)、トリウム229(229Th)、トリウム230(230Th)、トリウム232(232Th)、プロタクチニウム231(231Pa)、ウラン233(233U)、ウラン234(234U)、ウラン235(235U)、ウラン236(236U)、ウラン238(238U)、ネプツニウム237(237Np)、プルトニウム238(238Pu)、プルトニウム239(239Pu)、プルトニウム240(240Pu)、プルトニウム244(244Pu)、アメリシウム241(241Am)、キュリウム244(244Cm)、キュリウム245(245Cm)、キュリウム248(248Cm)、カリフォルニウム249(249Cf)、及びカリフォルニア252(252Cf)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する場合、117mSn及び99mTcの「m」はメタ状態を表す。さらに、典型的には放射性同位体の混合物であるウラン、ラジウム、トリウムなどの天然放射性元素は、放射性核種の適切な例である。67Cu、131I、177Lu、及び186Reは、ベータ及びガンマ放出放射性核種である。212Biは、アルファ線及びベータ線を放出する放射性核種である。226Raは、アルファ線及びガンマ線を放出する放射性核種である。211At、215At、217At、218At、209Bi、211Bi、213Bi、210Po、211Po、212Po、214Po、215Po、216Po、218Po、218Rn、219Rn、220Rn、222Rn、226Rn、221Fr、223Ra、224Ra、225Ac、227Ac、227Th、228Th、229Th、230Th、232Th、231Pa、233U、234U、235U、236U、238U、237Np、238Pu、239Pu、240Pu、244Pu、241Am、244Cm、245Cm、248Cm、249Cf、及び252Cfは、アルファ線放出放射性核種の例である。3H、32P、35S、47Sc、89Sr、90Sr、90Y、105Rh、111Ag、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、及び188Reは、ベータ線放出放射性核種の例である。67Ga、111In、99mTc、137Cs、及び201Tlはガンマ線放出放射性核種の例である。55Co、60Cu、61Cu、62Cu、66Ga、68Ga、82Rb、及び86Yは陽電子放出放射性核種の例である。64Cuは、ベータ及び陽電子を放出する放射性核種である。
【0041】
用語「対象」または「患者」は、典型的にはヒトを指すが、例えば、他の霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ブタなどの他の動物も含み得る。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「投与する」は、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内、もしくは皮下投与、または、例えば、小型浸透圧ポンプなどの持続放出機器の対象への移植を意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、頬、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む、任意の経路による。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内が含まれる。他の送達方法には、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用が含まれるが、これらに限定されない。「同時投与」とは、本明細書に記載のコンジュゲートが、第2の薬剤の投与と同時に、投与の直前、または投与の直後に投与されることを意味する。
【0043】
III.RGDペプチド及びコンジュゲート
本明細書では、PRRT用の治療用コンジュゲートを使用するPRRT方法が提供され、コンジュゲートはαvβ6インテグリンに結合する。本明細書の方法で使用するコンジュゲートは、αvβ6インテグリンへの結合に対して選択的なRGDペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドはRGDモチーフ、RGDLX1X2X3を含み、式中、X1及びX2は独立して選択されるアミノ酸であり、X3はLまたはIである。ある特定の実施形態では、RGDペプチドは、アラニン残基を含まない。特定の実施形態では、RGDペプチドは8~40個のアミノ酸である。場合によっては、RGDペプチドは20個超のアミノ酸である。場合によっては、RGDペプチドは21個のアミノ酸である。特定の実施形態では、RGDペプチドは、RGDモチーフのC末端に位置するQX4VX5RTをさらに含み、式中、X4はRまたはKであり、X5はAまたはGである。場合によっては、RGDペプチドは、RGDモチーフのC末端に位置するアミノ酸配列QRVGRTを含む。場合によっては、RGDペプチドは、アミノ酸配列RGDLQVLGQRVGRTを含む。特定の実施形態では、RGDペプチドは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを含む。特定の実施形態では、RGDペプチドは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTからなる、または本質的にそれからなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、RGDペプチドに共有結合した1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)部分も含む。場合によっては、コンジュゲートは2つのPEG部分を含み、例えば、1つのPEG部分がペプチドのN末端に共有結合し、1つのPEG部分がペプチドのC末端に共有結合する。特定の実施形態では、コンジュゲートは、ペプチドのN末端に共有結合した第1のPEG部分と、ペプチドのC末端に共有結合した第2のPEG部分とを有するアミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分はそれぞれ、約5000ダルトン(Da)未満、例えば、約3000Da未満の分子量を有する。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、規定の鎖長を有する単分散PEG部分である。規定の鎖長を有するPEG部分の非限定的な例には、約95%超のオリゴマー純度を有する小さな単分散PEG分子が挙げられる。特定の場合では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される。特定の実施形態では、第1のPEG部分と第2のPEG部分は同じである。特定の実施形態では、第1のPEG部分及び第2のPEG部分は両方ともPEG28(PEG1500)である。特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ共有結合したPEG28(PEG1500)部分(本明細書では「5G」とも呼ばれる)を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG28(PEG1500)部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。
【0046】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、コンジュゲートに共有結合したアルブミン結合部分(ABM)を含む。ABMは、対象に投与された場合などに、血清中でのコンジュゲートの半減期を延長し得る。いくつかの実施形態では、ABMは、ペプチド、第1のPEG部分、または第2のPEG部分に共有結合している。いくつかの実施形態では、ABMは、ペプチド、第1のPEG部分、または第2のPEG部分に共有結合しているペプチドリンカーなどのリンカーを含む。特定の実施形態では、ABMは、4-(4-ヨードフェニル)酪酸(IPA)、またはより短いアルキル鎖を有するその同族体、例えば、4-(4-ヨードフェニル)プロピオン酸または4-(4-ヨードフェニル)酢酸などを含むか、または、ABMは、4-(4-メチルフェニル)酪酸もしくは4-(4-ブロモフェニル)酪酸、またはより短いアルキル鎖を有するその同族体、例えば、プロピオン酸もしくはその酢酸同族体などを含む。特定の例では、ABMは、グルタミン酸(E)リンカーなどのリンカー、リジン-アスパラギン酸-アミノ酪酸(K-D-Abu)などのペプチドリンカー、または当業者に知られている他の適切なリンカー(例えば、アミノ酸またはペプチドリンカー)を介して、第1及び/または第2のPEG部分に共有結合している。特定の実施形態では、ABMは、ε-(4-(4-ヨードフェニル)ブチルアミド)リジン-グルタミン酸部分(「K(IPA)E」)を含み、これはリジン-グルタミン酸ペプチドリンカーのリジン残基の側鎖に共有結合しているIPAに対応する。特定の他の実施形態では、ABMは、リジン-アスパラギン酸-アミノ酪酸(K-D-Abu)ペプチドリンカーのアミノ酪酸に共有結合しているIPAに対応するK(D-Abu-ヨードフェニルブチリル)部分を含む。いくつかの実施形態では、K(IPA)EまたはK(D-Abu-ヨードフェニルブチリル)部分を含むABMは、第1のPEG部分に共有結合している。特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ、それに共有結合したPEG28(PEG1500)部分などのPEG部分を有し、コンジュゲートはさらに共有結合したABMを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。
【0047】
他の実施形態では、造影剤または治療剤は、造影剤または治療剤がコンジュゲートの最もN末端部分であるように第1のPEG部分に共有結合しているアルブミン結合モチーフに(例えば、補欠分子族、キレート剤、またはリンカーを介して)共有結合している。特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ、それに共有結合したPEG28(PEG1500)部分などのPEG部分を有し、ABMはPEG部分にペプチドのN末端で共有結合し、治療剤はコンジュゲートのN末端で共有結合している。特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ、それに共有結合したPEG28(PEG1500)部分などのPEG部分を有し、ABMはPEG部分にペプチドのN末端で共有結合し、造影剤はコンジュゲートのN末端で共有結合している。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。
【0048】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは治療用コンジュゲートであり、治療剤を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、アルファ線、ベータ線、及び/またはガンマ線放出放射性核種などの放射性核種である。いくつかの実施形態において、本明細書の治療用コンジュゲートは、
3H、
18F、
32P、
35S、
47Sc、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
66Ga、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
82Rb、
86Y、
87Y、
89Sr、
90Sr、
90Y、
105Rh、
111Ag、
111In、
124I、
125I、
131I、
117mSn、
99mTc、
137Cs、
149Pm、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
201Tl、
211At、
215At、
217At、
218At、
209Bi、
211Bi、
212Bi、
213Bi、
210Po、
211Po、
212Po、
214Po、
215Po、
216Po、
218Po、
218Rn、
219Rn、
220Rn、
222Rn、
226Rn、
221Fr、
223Ra、
224Ra、
226Ra、
225Ac、
227Ac、
227Th、
228Th、
229Th、
230Th、
232Th、
231Pa、
233U、
234U、
235U、
236U、
238U、
237Np、
238Pu、
239Pu、
240Pu、
244Pu、
241Am、
244Cm、
245Cm、
248Cm、
249Cf、
252Cfなどの放射性核種を含む。いくつかの実施形態において、本明細書の治療用コンジュゲートは、
32P、
47Sc、
67Cu、
89Sr、
90Y、
105Rh、
111Ag、
117mSn、
131I、
149Pm、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
211At、
212Biなどの放射性核種を含む。特定の実施形態では、放射性核種は
177Luである。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは式Iの構造を有し、式中、5Gは二重PEG化RGDペプチドである。
【0049】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは式Iの構造を有し、式中、5Gは二重PEG化RGDペプチドであり、RGDペプチドはアミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT、例えばPEG28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG28-C(O)NH2を有する。
【0050】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ、それに共有結合したPEG28(PEG1500)部分などのPEG部分を有し、ABMはペプチドのN末端のPEG部分、及び放射性核種と錯体を形成するためのキレート部分に共有結合している。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。いくつかの態様では、キレート部分は、コンジュゲートに共有結合したDOTA部分(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)である。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しない。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化する。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化し、放射性核種は、32P、47Sc、67Cu、89Sr、90Y、105Rh、111Ag、117mSn、131I、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、及び212Biなどの治療剤としての使用のために選択される。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しており、放射性核種は177Luである。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しており、放射性核種は、11C、13N、15O、18F、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、68Ga、82Rb、86Y、111In、124I、125I、または131Iなどの治療剤としての使用のために選択される。特定の実施形態では、放射性核種は68Gaである。
【0051】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含み、ペプチドのN末端及びC末端はそれぞれ、それに共有結合したPEG28(PEG1500)部分などのPEG部分、及び放射性核種と錯体化するためのキレート部分を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドのC末端に共有結合したPEG部分は、アミド、カルボキシル基、またはヒドロキシル基で終結する。いくつかの態様では、キレート部分は、コンジュゲートに共有結合したDOTA部分(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)である。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しない。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化する。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化し、放射性核種は、32P、47Sc、67Cu、89Sr、90Y、105Rh、111Ag、117mSn、131I、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、及び212Biなどの治療剤としての使用のために選択される。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しており、放射性核種は177Luである。いくつかの態様では、コンジュゲートのキレート部分は放射性核種と錯体化しており、放射性核種は、11C、13N、15O、18F、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、68Ga、82Rb、86Y、111In、124I、125I、または131Iなどの治療剤としての使用のために選択される。特定の実施形態では、放射性核種は68Gaである。
【0052】
いくつかの実施形態では、式Iのコンジュゲートなどの治療用コンジュゲートは、投与用の医薬組成物として提供される。場合によっては、医薬組成物は1つまたは複数の単位用量を含み、1用量中に存在する放射能の量は約25mCi~約200mCiである。特定の実施形態では、コンジュゲートの1用量に存在する放射能の量は、約25mCi~約50mCi、約25mCi~約100mCi、約25mCi~約150mCi、約25mCi~約200mCi、約50mCi~約100mCi、約50mCi~約150mCi、約50mCi~約200mCi、約100mCi~約150mCi、約100mCi~約200mCi、または約150mCi~約200mCiである。場合によっては、1単位用量中に存在する放射能の量は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCiまたは約200mCiである。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの各単位用量中のペプチドの量は、約500μg、約400μg、約300μg、約200μg、または約100μgのペプチド以下である。場合によっては、コンジュゲートの各単位用量中のペプチドの量は、約100μgのペプチド以下である。
【0053】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは診断用コンジュゲートであり、診断剤を含む。いくつかの実施形態では、診断剤は、陽電子放出放射性核種などの放射性核種である。いくつかの実施形態では、本明細書の診断用コンジュゲートは、
11C、
13N、
15O、
18F、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
66Ga、
67Cu、
68Ga、
82Rb、
86Y、
111In、
124I、
125I、または
131Iなどの放射性核種を含む。特定の実施形態では、放射性核種は
68Gaである。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは式IIの構造を有し、式中、5Gは、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを含む二重PEG化RGDペプチドである。
【0054】
IV.使用方法
本明細書の方法は、本明細書に記載の治療有効用量の治療用コンジュゲートを対象に提供することを含む。本明細書の治療用コンジュゲートは、
177Luなどの放射性核種を含み得る。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは式Iの構造を有し、式中、5Gは二重PEG化RGDペプチドである。いくつかの実施形態では、RGDペプチド(すなわち、式Iの構造を有するコンジュゲート内に見出される)は、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT、例えばPEG
28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG
28-C(O)NH
2を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、対象に投与される治療用コンジュゲートの用量は、約25mCi~約200mCiの放射能を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの用量は、約25mCi~約100mCiの放射能を含む。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの用量は、約25mCi~約150mCiの放射能を含む。場合によっては、投与される用量は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を含む。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの用量中のペプチドの量は、約500μg、約400μg、約300μg、約200μg、または約100μgのペプチド以下である。場合によっては、治療用コンジュゲートの用量中の投与されるペプチドの量は、約100μgのペプチド以下である。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの用量は、対象において有害事象(AE)、例えば、グレード3以上のAE(すなわち、重篤なAE)を引き起こさない。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの線量は、腎臓への約23Gyの放射線量及び/または骨髄への約1.5Gyの放射線量を超えない。
【0056】
治療用コンジュゲートは、数分間または数時間などの一定期間にわたって、注入によって投与され得る。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、数分、例えば、約1分、約2分、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約55分の時間をかけて注入される。特定の実施形態では、治療用コンジュゲートは約30分の時間をかけて注入される。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、または約8時間などの数時間をかけて注入される。特定の実施形態では、治療用コンジュゲートは約4時間の時間をかけて注入される。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートはアミノ酸溶液と同時注入される。場合によっては、アミノ酸溶液の注入は、治療用コンジュゲートの注入前に開始される。
【0057】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、治療過程にわたって1回、2回、3回、4回、または5回、対象に投与される。治療用コンジュゲートの後続の投与は、日、週、または月ごとに区切られた規定の時間間隔で行われ得る。場合によっては、治療用コンジュゲートの最初の投与後に腫瘍またはがん性細胞が再発するか、増殖し続けるか、または完全に治療されない場合、治療用コンジュゲートをその後投与する。場合によっては、対象が第1の治療に対して完全な応答を示さないか、部分応答、安定した応答、または進行性疾患を経験した場合、治療用コンジュゲートをその後再度投与する。
【0058】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの線量測定及び/または生体内分布は、対象への治療用コンジュゲートの投与後に評価される。非限定的な例として、治療用コンジュゲートの線量測定及び生体内分布は、対象への投与(例えば、注入)の1日後及び/または7日後に核イメージングを使用して評価することができる。場合によっては、治療用コンジュゲートの投与後約24時間及び/または168時間で、対象は全身の平面イメージング(例えば:前面及び後面像)及び単光子放射コンピュータ断層撮影/コンピュータ断層撮影(SPECT/CT)(例えば:会陰を通って伸び、大腿近位部で終わる頭蓋骨の頂点、約2~4のベッド位置)を受ける。場合によっては、例えば生体内分布の評価のために、治療用コンジュゲートの投与後約5、15、30、60、120、及び/または180分後に連続血液サンプルが採取される。場合によっては、完全な化学、血液学、肝機能検査、及び/または心電図は、治療用コンジュゲートの投与後1日及び/または7日(例えば±48時間)に実施される。
【0059】
線量測定分析の方法は当技術分野で公知であり、治療用コンジュゲートの放射能濃度-時間曲線に基づいてAUCについて報告される記述統計(例えば、平均、中央値、標準偏差など)(例えば、識別可能な胸部臓器及び腹部臓器、標的病変、及び血液について個別に)、標的病変及び識別可能な臓器における最大摂取量(例えば、%で達成)、臓器当たりの具体的な吸収線量(μGy/MBq)、及び累積吸収臓器線量(Gy)が含まれるが、これらに限定されない。場合によっては、組織への等価線量によって評価された最高吸収線量を受けた臓器が、周波数と割合を使用して表にまとめられる。場合によっては、エンドポイントを説明するためにグラフィックツールが使用される。
【0060】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの分布は、全身平面SPECT/CTイメージングを使用して決定される。非限定的な例として、腎臓、胃、関与していない肝臓、骨髄及び全身、ならびに治療用コンジュゲートの蓄積を示す他の臓器に対する放射線吸収線量が、連続血球数及びSPECT/CTスキャンの分析に基づいて計算される。場合によっては、罹患組織と健康組織の体積吸収放射線量を計算するためにSPECT/CT画像が使用され、例えば、正常組織の放射能濃度-時間曲線は、SPECT/CTスキャンからの関心領域(ROI)分析から生成でき、赤色骨髄及び心臓の放射能濃度-時間曲線は、ウェルシンチレーションカウンターによって測定された血液放射能濃度から生成でき、及び/または関心体積(VOI)は各患者に対して生成できる。場合によっては、赤色骨髄中の放射能濃度は血液中の放射能濃度と同じである。場合によっては、放射能濃度-時間曲線を積分して(例えば、必要に応じて分析的または数値的に)、いわゆる滞留時間を生成するAUC値を得る。場合によっては、これらのデータは臓器線量測定ソフトウェア(OLINDA/EXMなど)に入力され、正常組織の吸収線量推定値が生成される。場合によっては、例えば、画像ROI分析に基づく病変吸収線量推定を含む、補足的な線量測定評価が実行される。場合によっては、吸収線量は投与された放射能に対して正規化され、mGy/MBqで表される。
【0061】
いくつかの実施形態では、対象の腫瘍(例えば、原発腫瘍またはがん性病変)、血液、胆嚢、肝臓、心臓、肺、脾臓、腎臓、膵臓、胃、小腸、膀胱、皮膚、筋肉、骨、大腸、及び/または脳における治療用コンジュゲートの分布は、例えば、SPECT/CTイメージングを使用して決定される。特定の実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における非腫瘍組織中に存在する治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間における非腫瘍組織中に存在する治療用コンジュゲートの量よりも少ない。特定の実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と非腫瘍組織中の治療用コンジュゲートの量との比は、コンジュゲートの投与後1時間における腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と非腫瘍組織中の治療用コンジュゲートの量との比よりも高い。
【0062】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及び/または72時間における腎臓組織中に存在する治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間における腎臓組織中に存在する治療用コンジュゲートの量よりも少ない。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及びまたは72時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の治療用コンジュゲートの量との比は、コンジュゲートの投与後1時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の治療用コンジュゲートの量との比よりも高い。
【0063】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及び/または72時間における胃組織中に存在する治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間における胃組織中に存在する治療用コンジュゲートの量よりも少ない。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及びまたは72時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と胃組織中の治療用コンジュゲートの量との比は、コンジュゲートの投与後1時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と胃組織中の治療用コンジュゲートの量との比よりも高い。
【0064】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及び/または72時間における大腸組織中に存在する治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間における大腸組織中に存在する治療用コンジュゲートの量よりも少ない。いくつかの実施形態では、コンジュゲートの投与後24時間、48時間、及びまたは72時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と大腸組織中の治療用コンジュゲートの量との比は、コンジュゲートの投与後1時間における原発腫瘍中の治療用コンジュゲートの量と大腸組織中の治療用コンジュゲートの量との比よりも高い。
【0065】
いくつかの実施形態では、肝臓組織中の治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間、24時間、48時間、及び/または72時間でアッセイした場合に最小である。いくつかの実施形態では、原発腫瘍における治療用コンジュゲートの量は、コンジュゲートの投与後1時間、24時間、48時間、及び/または72時間の肝臓組織における治療用コンジュゲートの量と比較した場合、実質的に多い。
【0066】
本明細書における方法のいくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートの投与の前に、診断用コンジュゲートが対象に投与される。診断用コンジュゲートは、放射性核種に(直接的または間接的に)共有結合したα
vβ
6インテグリンに結合するRGDペプチドを含む。場合によっては、診断用コンジュゲートのRGDペプチドは、治療用コンジュゲート中に存在するRGDペプチドと同じアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートの放射性核種は、治療用コンジュゲートの放射性核種と比較して、より短い半減期を有し得る。場合によっては、放射性核種は
68Gaである。場合によっては、診断用コンジュゲートの放射性核種は
68Gaであり、治療用コンジュゲートは放射性核種
177Luを含む。いくつかの実施形態において、診断用コンジュゲートは、式IIの構造を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは式IIの構造を有し、式中、5Gは二重PEG化RGDペプチドである。いくつかの実施形態では、RGDペプチド(すなわち、式IIの構造を有する診断用コンジュゲート内に見出される)は、アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT、例えばPEG28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG28-C(O)NH2を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本方法は、腫瘍、がん性病変またはがん性細胞の画像診断のために式IIの診断用コンジュゲートを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、腫瘍、がん性病変またはがん性細胞の画像診断のために式IIの診断用コンジュゲートを投与することと、その後、腫瘍、がん性病変またはがん性細胞を治療するために式Iの治療用コンジュゲートを投与することとを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、式IIの診断用コンジュゲートの十分な病変取り込み(例えば、正常な肺または肝臓の2倍を超える最大標準化取り込み値(SUVmax)を有する任意の視覚化された病変)が検出された場合に、がん性病変を治療するために式Iの治療用コンジュゲートを投与することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは注射によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは注入によって投与される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは、数分、例えば、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分以下の時間をかけて注入される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは約5分以下の時間をかけて注入される。
【0070】
いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは、対象の身体または身体の一部においてイメージングされ得る。いくつかの実施形態では、病変、組織、または器官における診断用コンジュゲートの取り込み及び蓄積を使用して、治療用コンジュゲートの投与対象を選択することができる。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートは、αvβ6インテグリン関連病変またはがん細胞を有し、治療用コンジュゲートによる治療に適格な患者を選択するために利用される。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートを利用して、αvβ6インテグリン関連病変またはがん細胞を有する患者を選択し、次いで、選択された患者に、診断用コンジュゲートをイメージングしてから1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間以内に式Iの治療用コンジュゲートなどの治療用コンジュゲートのある用量を投与する。いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートを利用して、αvβ6インテグリン関連病変またはがん細胞を有する患者を選択し、次いで、選択された患者に、診断用コンジュゲートをイメージングしてから4~5週間以内に、式Iの治療用コンジュゲートなどの治療用コンジュゲートのある用量を投与する。
【0071】
いくつかの実施形態では、診断用コンジュゲートの一般的な分布は、血液データ及びPET/CTスキャンの視覚分析によって決定される。非限定的な例として、再構成されたPET/CT画像(例えば、頭蓋骨の頂点から近位大腿部全身の静止画像)をイメージングワークステーション上に表示し、最大強度投影(MIP)画像、経軸方向画像、冠状断画像、及び矢状方向画像に再配向することができる。特定の実施形態では、PET画像、融合PET/CT画像、及び/またはCT画像が検査される。いくつかの実施形態では、SUV最大及びSUV平均を含むSUVパラメータを取得するために、悪性腫瘍が疑われるトレーサー集積性病巣及び重要な臓器(例えば、腎臓、膀胱、腸、肝臓、脾臓、肺、膵臓)の周囲に関心領域(ROI)が配置される。特定の場合では、SUV測定値は平均、中央値、範囲、及びカウントを使用して要約され、反復測定ANOVAモデルを使用してSUVを組織領域に関連付ける。いくつかの実施形態では、「非排泄」放射能及び「排泄」放射能が追跡され、体内の非排泄放射能は、主要な器官、関心の組織、及び体の残りの部分における放射能の量を導出するために関心体積(VOI)分析から計算される。場合によっては、データは線量測定の目的で「ReferenceMan」擬人化モデルに合わせて調整される。場合によっては、臓器活動を時間に渡って積分して、時間積分活動係数を取得する。場合によっては、臓器線量測定ソフトウェア(OLINDA/EXMなど)を使用して、線量及び実効線量の測定値が取得される。
【0072】
対象における放射性核種の放射性放出を検出するための当該技術分野で公知の任意の装置または方法は、本明細書に記載のコンジュゲート及び方法との使用に適している。例えば、回転ガンマカメラを使用して単一光子ガンマ線放射性核種からの放射線を検出する単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)や、放射性核種シンチグラフィー(核種分布の画像または一連の連続画像を取得する)などの方法が挙げられ、シンチレーションガンマカメラを使用した組織、器官、または身体系内の放射性核種は、本明細書に記載の放射性標識コンジュゲートから発せられる放射線を検出するために使用され得る。陽電子放出断層撮影法(PET)は、対象体内の放射線を検出するためのもう1つの適切な技術である。さらに、米国特許第5,429,133号には、固形組織腫瘍内に集中した放射線を検出するための腹腔鏡プローブが記載されている。医療用途を目的とした小型で柔軟な放射線検出器は、Intra-MedicalLLC(Santa Monica,CA)によって製造されている。さらに、核磁気共鳴(NMR)に基づく方法(例えば、磁気共鳴分光法(MRS)及び磁気共鳴画像法(MRI))、または当業者に知られている他の任意のイメージング技術(コンピュータ断層撮影法(CT)含むがこれらに限定されない)を、放射性核種の放射性放出の検出に適した方法と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、放射性核種からの放射線を使用して、本明細書に記載の診断用コンジュゲートなどのコンジュゲートが対象体内のどこに集中しているかを決定する。使用される方法または装置に関係なく、そのような検出は、コンジュゲートが対象体内のどこに集中しているかを決定することを目的とし、そのような濃度は腫瘍または腫瘍細胞の位置の指標となる。
【0073】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートは、がん、例えば、αvβ6インテグリン関連がんに罹患した対象に投与される。本明細書に記載の治療用コンジュゲートを用いた治療に適した異なる種類のがんの非限定的な例としては、肺癌、乳癌、膵臓癌、膀胱癌、甲状腺癌、肝臓癌、胸膜癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、前立腺癌、精巣癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門癌、胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、直腸癌、虫垂癌、小腸癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、腎臓癌(すなわち腎細胞癌)、中枢神経系の癌、皮膚癌、口腔扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、絨毛癌、頭頸部癌、骨癌、骨原性肉腫、線維肉腫、神経芽腫、神経膠腫、黒色腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、またはヘアリーセル白血病)、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫)、及び多発性骨髄腫が挙げられる。いくつかの実施形態では、がんは、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、口腔扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、胃癌、または子宮内膜癌である。場合によっては、対象は原発巣(例えば、原発腫瘍)を有する。場合によっては、対象は転移(例えば、本明細書に記載されるがんの種類のいずれかの転移形態)を有する。場合によっては、対象は原発巣と転移を有する。いくつかの実施形態では、対象は、局所進行性もしくは転移性膵臓癌;局所進行性、切除不能、もしくは転移性膵臓腺癌;または膵管腺癌(PDAC)などの膵臓癌に罹患している。
【0074】
いくつかの実施形態では、対象は、数分間または数時間、例えば約1分間、約2分間、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分、約40分、約45分、約55分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、または約8時間にわたって投与される、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCiまたは約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の式Iの治療用コンジュゲートを受ける。特定の実施形態では、対象は、約30分間にわたって投与される、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の式Iの治療用コンジュゲートを受ける。
【0075】
いくつかの実施形態では、対象は、治療用コンジュゲートの用量の投与前に、標準治療を受ける。いくつかの態様では、治療用コンジュゲートは式Iの構造を有し、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、そのような用量の前に、対象は標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、標準治療は、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む。標準治療には、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)が含まれ得る。標準治療には、ゲムシタビン、アブラキサン、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。標準治療にはイリノテカンが含まれ得る。標準治療には、外科手術、または外科手術と、フォルフィリノックス、ゲムシタビン、アブラキサン及びイリノテカンのうちの1つ以上とが含まれ得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、対象は、治療用コンジュゲートの用量の投与後に、標準治療を受ける。いくつかの態様では、治療用コンジュゲートは式Iの構造を有し、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、そのような用量の後に、対象は標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、標準治療は、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む。標準治療には、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)が含まれ得る。標準治療には、ゲムシタビン、アブラキサン、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。標準治療にはイリノテカンが含まれ得る。標準治療には、外科手術、または外科手術と、フォルフィリノックス、ゲムシタビン、アブラキサン及びイリノテカンのうちの1つ以上とが含まれ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象は、治療用コンジュゲートの用量の投与前及び投与後に、1つまたは複数の標準治療を受ける。いくつかの態様では、治療用コンジュゲートは式Iの構造を有し、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、そのような用量の前及び後の両方で、対象は標準治療を受ける。いくつかの実施形態では、標準治療は、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む。標準治療には、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)が含まれ得る。標準治療には、ゲムシタビン、アブラキサン、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。標準治療にはイリノテカンが含まれ得る。標準治療には、外科手術、または外科手術と、フォルフィリノックス、ゲムシタビン、アブラキサン、及びイリノテカンのうちの1つ以上とが含まれ得る。治療用コンジュゲートによる治療の前後の標準治療は同じであり得る。治療用コンジュゲートによる治療の前後の標準治療は互いに異なり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートによる治療は、対象において安定した疾患、部分寛解、または完全寛解をもたらす(例えば、本明細書に記載の方法は、がん細胞を死滅させるか、そうでなければ、増殖または進行を遅らせ、対象におけるがんの安定した疾患または部分的または完全な寛解をもたらす用量の治療用コンジュゲートを投与することを含む)。いくつかの実施形態では、治療用コンジュゲートによる治療は、対象におけるがんの転移の減少をもたらす(例えば、本明細書に記載される方法は、対象におけるがんの転移を減少させる用量の治療用コンジュゲートを対象に投与することを含む)。いくつかの実施形態では、治療的コンジュゲートによる治療は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖の減少をもたらす(例えば、本明細書に記載される方法は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖を減少させる用量の治療的コンジュゲートを対象に投与することを含む)。いくつかの実施形態では、治療的コンジュゲートによる治療は、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性の増加をもたらす(例えば、本明細書に記載される方法は、対象に、その後に投与される抗がん剤に対する応答性を増加させる用量の治療的コンジュゲートを投与することを含む)。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象は式Iの治療用コンジュゲートで治療され、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、治療用コンジュゲートを用いた治療は、対象において安定した疾患、部分寛解または完全寛解をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、がん細胞を死滅させるか、そうでなければ、増殖または進行を遅らせ、対象におけるがんの安定した疾患または部分的または完全な寛解をもたらす)。
【0080】
いくつかの実施形態では、対象は式Iの治療用コンジュゲートで治療され、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、治療用コンジュゲートを用いた治療は、対象におけるがんの転移を減少させる(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、対象におけるがんの転移を減少させる)。
【0081】
いくつかの実施形態では、対象は式Iの治療用コンジュゲートで治療され、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、治療用コンジュゲートを用いた治療は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖を減少させる(例えは、治療用コンジュゲートの投与は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖を減少させる)。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象は式Iの治療用コンジュゲートで治療され、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受け、治療用コンジュゲートを用いた治療は、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性の増加をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性を増加させる)。
【0083】
いくつかの実施形態では、対象は、局所進行性、切除不能、または転移性膵臓腺癌に罹患しており、対象は式Iの治療用コンジュゲートで治療され、対象は、約25mCi、約50mCi、約100mCi、約150mCi、または約200mCiの放射能を有する用量など、約25mCi~約200mCiの放射能を含む用量の治療用コンジュゲートを受ける。いくつかの態様では、治療は、対象において安定した疾患、部分的寛解または完全寛解をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、がん細胞を死滅させるか、さもなければ増殖または進行を遅らせ、対象におけるがんの安定した疾患または部分的寛解または完全寛解をもたらす)。いくつかの態様では、治療は、対象における膵臓癌の転移の減少をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、対象におけるがんの転移を減少させる)。いくつかの態様では、治療は、対象における膵臓腫瘍の体積、サイズ、または増殖の減少をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖を減少させる)。いくつかの態様では、治療は、その後に投与される抗がん剤、例えば化学療法剤またはその組み合わせに対するがんの応答性の増加をもたらす(例えば、治療用コンジュゲートの投与は、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性を増加させる)。いくつかの態様では、治療は、フォルフィリノックス、ゲムシタビン、アブラキサン、イリノテカン、またはそれらの任意の組み合わせなど、その後に投与される抗がん剤に対するがんの応答性の増加をもたらす。
【0084】
V.医薬組成物
本明細書に記載の治療用及び診断用コンジュゲートは、使用するための医薬組成物として製剤化することができる。このような医薬組成物は、コンジュゲートと、注射及び/または注入に適した1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含み得る。
【0085】
本明細書のコンジュゲートは、液体の形態で投与するための組成物として製剤化することができる。この液体は、腫瘍内注射や静脈内注入などの注射による送達に役立ち得る。注射による投与のための組成物には、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤(例えば、放射線防護剤)、及び等張剤のうちの1つまたは複数も含めることができる。
【0086】
液体組成物は、溶液、懸濁液、または他の同様の形態であっても、以下の1つまたは複数を含むこともできる:注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウムなどの滅菌希釈剤、溶媒または懸濁媒体として機能する合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコール、または他の溶媒などの固定油;ベンジルアルコールやメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;アミノ酸、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液;非イオン性界面活性剤、ポリオールなどの洗剤;張度を調整するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはブドウ糖。液体組成物には、水性もしくは油性懸濁液、またはゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、もしくはピーナッツ油を伴う乳剤、ならびにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、もしくは無菌水性溶液、及び類似の薬学的ビヒクルが含まれ得る。生理食塩水中の水性溶液も注射のために従来通り使用され得る。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ならびに液体ポリエチレングリコール(及びその好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、及び植物油もまた用いられ得る。例えば、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持のためのレシチンなどのコーティングの使用により、及び界面活性剤の使用により、適切な流動性が維持され得る。
【0087】
本明細書で投与するための組成物は、好ましくは無菌である。微生物の動作を防止することを、種々の抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって行うことができる。
【0088】
本明細書におけるコンジュゲートの投与のための組成物は、一般に、例えば注入用の水、生理的塩溶液(0.9%NaCl)、または細胞緩衝液などの少なくとも1つの賦形剤を含み、好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA)などのタンパク質成分で置換された生理的塩類溶液からなる。
【0089】
投与用のコンジュゲートの組成物は、ガラス、プラスチック、または他の材料で作られたアンプル、使い捨て注射器、または複数回用量のバイアルに封入することができる。
【0090】
場合によっては、診断用コンジュゲートは、無水エタノールが10%v/v以下であるUSPの0.9%塩化ナトリウム溶液中で製剤化される。場合によっては、治療用コンジュゲートは、5mg/mLアスコルビン酸ナトリウム、0.9%塩化ナトリウム溶液中のUSP、無水エタノールが10%v/v以下であるUSP中で製剤化される。
【実施例】
【0091】
VI.実施例
以下の実施例は、特許請求される主題を説明するために提供されるものであり、限定するものではない。
【0092】
実施例1:治療剤/診断剤
DOTA-5G(式II)及びDOTA-ABM-5G(式I)の合成を、キレート剤としてDOTA-トリス(tert-ブチルエステル)を使用したNOTA-K(ABM)-αvβ6-BPで以前に記載されたように固体相上で実施し、これはHausner et al.“The Effects of an Albumin Binding Moiety on the Targeting and Pharmacokinetics of an Integrin alphavbeta6-Selective Peptide Labeled with Aluminum[(18)F]Fluoride”,Mol Imaging Biol22,1543-1552(2020)(“Hausner2020”)に開示され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。20%ピペリジン(DMF中でv/v)を使用して、完全に保護されたペプチド(NovaBiochem)5G(5G=PEG28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG28-NH2)(1当量)からN末端Fmoc保護基を除去した後、DOTA-トリス(tert-ブチルエステル)(CheMatech)(3当量)を、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロリン酸(HATU)(2.8当量)及びジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)塩基(6当量)を使用して結合した。保護基を除去し、トリフルオロ酢酸(TFA)/エタンジチオール/水/トリイソプロピルシラン(94:2.5:2.5:1v/v/v/v)を使用して樹脂からDOTA-αvβ6-BPを周囲温度で3時間切断した。純粋な生成物をRP-HPLC(BeckmanCoulterGoldHPLC)を使用して単離し、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析法(Bruker)によって特性評価した:DOTA-5G、HPLC保持時間(Rt)=14.45分;MALDIm/z=5198.2、計算値=5199.1[M+H]。DOTA-ABM-5G、HPLCRt=17.07分。MALDIm/z分析=5786.1046、計算値=M(C251H457IN44O98)5783.1174、5784.1252[M+H]+。
【0093】
[68Ga]GaDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5GをcGMP条件下で放射性標識した。[68Ga]GaDOTA-5G(ペプチド質量100μg以下)の最終生成物(式II)は、約185MBq(5mCi)の放射能を含んでいた。68Gaを、5mLの0.1NHClを使用して68Ge/68Ga発生器(Eckert及びZiegler)から溶出し、さらに精製することなく使用した。放射性標識を、1MHEPES緩衝液中でpH4で実施した。DOTA-5G(45μg)またはDOTA-ABM-5G(50μg)を反応容器内で68GaCl3(4.3mCi)と混合した。混合物を90℃で15分間加熱し、HPLCに注入し、精製生成物のピークを収集し、15mLの水で希釈し、C-18SepPakライトカートリッジにロードした。カートリッジを水で洗浄し、最終生成物を1.5mLEtOHで溶出した。次に、この最終生成物を窒素ガス流下50℃で乾燥させ、使用のためにPBS中で製剤化した。純粋な生成物を放射性HPLCによって特性評価した。[68Ga]GaDOTA-5Gを9.13分、[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gを9.6分で冷標準と共溶出した。
【0094】
DOTA-5G(52μg)またはDOTA-ABM-5G(58μg)を、100~150μLの緩衝液及び25μLのアスコルビン酸(5mg/mL)中の177LuCl3(5mCi)に添加することにより、ペプチドDOTA-5G及びDOTA-ABM-5Gの177Luによる放射性標識を、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液中でpH5で行った。反応容器を95℃で15分間加熱した。放射化学的純度を、i-TLC(TEC対照/BIODEX、溶媒相:0.1Mクエン酸三ナトリウム)、及び上記の放射性HPLC法によってモニタリングした。生成物を放射性HPLCによって特性評価し、[177Lu]LuDOTA-5Gを16.39分で、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gを17.82分で冷標準と共溶出し、最終生成物を使用のためにPBS中で製剤化した。
【0095】
[68Ga]GaDOTA-5G及び[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gを、セミ分取HPLC精製後、98%以上の放射化学的純度(RCP)で得た。反応開始時のモル活性は、両方の反応とも0.5Ci/μmolであった。[177Lu]LuDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gを97%以上のRCPで得た。両方の反応の比放射能は0.5Ci/μmolであった。
【0096】
生成物を製造後約120分以内に使用した。[
177Lu]LuDOTA-ABM-5G(<100μgペプチド質量)の最終生成物(式I)は、約925~7400MBq(25~200mCi)の放射能を含み、特に合計25、50、100、150、及び200mCiの線量を発生した。製造後、生成物を生成後約6時間以内に使用した。
DOTA=1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸
ABM=K(D-アブ-ヨードフェニルブチリル)部分
5G=PEG
28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG
28-C(O)NH
2ペプチド
【0097】
実施例2:インビトロIC50測定
4-(p-ヨードフェニル)酪酸(IP)ABMを、標準的なFmoc-ペプチド化学を使用してペプチド1に便利に組み込んだ。インテグリンαvβ6及びαvβ3の競合的結合酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)は、Hausner et al.“Use of a peptide derived from foot-and-mouth disease virus for the noninvasive imaging of human cancer:Generation and evaluation of 4-[18F]fluorobenzoylA20FMDV2 for in vivo imaging of integrin alpha(v)beta(6)expression with positron emission tomography”Cancer Res.2007;67:7833-40(“Hausner2007”)に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、前述の手順に従った。データはPrismソフトウェア(GraphPad Software,La Jolla,CA,USA)を使用して分析した。
【0098】
αvβ6についてビオチン化潜伏関連ペプチド(G&P Biosciences,Santa Clara,CA,USA)を使用して、実験を3連で行った。ウシ血清アルブミンの代わりに乾燥脱脂粉乳(Raley’s,West Sacramento,CA,USA)を使用した;ブロッキング緩衝液は、0.5%粉乳(w/v)及び1%Tween20(v/v)を含むPBSで構成された;共役緩衝液は、Hausner 2007に開示されているように、洗浄緩衝液に0.1%粉乳(w/v)を加えることによって調製された。
【0099】
ELISAによって測定した、インテグリンα
vβ
6に対するDOTA-5G及びDOTA-ABM-5Gの結合親和性は、それぞれ35±1nM及び27±4nMであった(
図1A及び1B)。IC
50値によって明らかなように、この構造修飾は、インテグリンα
vβ
6に対するペプチド2の親和性を損なうことはなかった(
図2)。
【0100】
実施例3:インビトロ細胞結合、内部移行、及び流出
細胞株(ATCC)をフローサイトメトリーで分析し、インテグリン発現レベルを確認した。Hu et al.,“Characterization and Evaluation of 64Cu-Labeled A20FMDV2 Conjugates for Imaging the Integrin αvβ6”,Mol Imaging Biol.2014;16:567-77(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているように、放射性トレーサー[68Ga]GaDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gのインテグリンαvβ6への結合及びBxPC-3細胞への内部移行を、インキュベーション後60分で測定した。
【0101】
脱脂粉乳(PBS中0.5%wt/v)を使用してアッセイチューブを前処理し、非特異的結合を防止した。[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gからのサンプルをさらに分析して、内部移行後の流出を測定した。内部移行画分(ペレット)を0.3mLの無血清RPMIに懸濁し、それぞれ0.25時間及び1時間で上清を回収し、ペレットを別の0.3mLのPBSで洗浄した。各時点で、上清と洗浄液を合わせ、ペレットを0.6mLPBSに懸濁した。ペレット中に保持された放射能の割合をガンマカウンターで測定した。
【0102】
全ての放射性トレーサーは、1時間でα
vβ
6を標的とした細胞への結合及び細胞への内部移行を示した。[
68Ga]GaDOTA-5Gについては、(全放射能の)9.7±1.0%がα
vβ
6(+)BxPC-3細胞に結合し、(全放射能の)6.1±0.4%が細胞に内部移行した。[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては、全放射能の29±1.4%(21.6±0.01%内部移行)がBxPC-3細胞に結合し(
図1C)、ごくわずかな流出(5%)が1時間で観察された(
図1D)。
【0103】
実施例4:インビトロアルブミン結合
放射性トレーサー[177Lu]LuDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gのマウス及びヒト血清タンパク質への結合を、Hausner2020で開示されているように、製造業者の推奨に従ってCentrifree Ultrafiltration装置(Millipore Sigma)を使用した4連の限外濾過によって評価した。Hausner 2007に開示されているように、装置をTween20(5%v/v)を含むPBSで前処理し、続いてPBSで3回洗浄した。PBS中の各製剤化放射性トレーサーのアリコート(25μL以下、20~60KBq)を、微量遠心管内で37℃で0.5mLの血清と完全に混合した。混合物を37℃で5分間インキュベートし、そのアリコート(50μL)をγ計数のためにチューブに移した。残りのサンプルをCentrifree Ultrafiltration装置に移し、40分間、1500×g、周囲温度(20~24℃)で遠心分離した。濾液のアリコート(50μL)をγ計数のためにチューブに移した。各放射性トレーサーについては、血清(n=4)の代わりに0.5mLPBS/Tween20(5%v/v)を使用してブランクを実行し、非特異的結合を測定した。γ-計数後、濾液アリコート(すなわち、タンパク質結合していない)で測定された計数を、対応する血清アリコートの計数から差し引くことによって、タンパク質結合放射能を計算した。データは、ブランクで測定された非特異的結合を差し引いた後の、タンパク質に結合した放射能の割合の平均±標準偏差として表される。
【0104】
限外濾過によって測定されたアルブミン結合は、マウス及びヒト血清に関して、[177Lu]LuDOTA-5Gについてのそれぞれ18.1±0.2%及び16.2±0.4%と比較して、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては、それぞれ54.4±2.8%及び58.1±0.4%であった。
【0105】
実施例5:インビトロ血清安定性
マウスまたはヒト血清(500μl、両方ともMillipore Sigmaから購入)を、製剤化された放射性トレーサーのアリコート(100~200μCi)と混合し、37℃でインキュベートした。68Ga放射性トレーサーの場合はインキュベーションの1時間後と2時間後、177Lu放射性トレーサーの場合はインキュベーションの1時間後と24時間後に、分析用にアリコート(100~200μl)を採取し、無水エタノール(500μl、4℃)と混合し、遠心分離(2300×g、3分間)して血清タンパク質を沈殿させた。Hausner et al.,“In vitro and in vivo evaluation of the effects of aluminum[18F]fluoride radiolabeling on an integrin αvβ6-specific peptide”Nuclear medicine and biology.2014;41:43-50(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、上清をHPLC溶媒Aで希釈し、放射性HPLCで分析し、無傷の放射性トレーサーの割合を決定した。
【0106】
[68Ga]GaDOTA-5G、[68Ga]GaDOTA-ABM-5G、[177Lu]LuDOTA-5G、及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの安定性をマウス及びヒト血清の両方で調査した。すべての放射性トレーサーは、時間の経過とともにマウス血清中である程度の分解を示した。対照的に、[68Ga]GaDOTA-5G及び[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gは両方とも2時間で100%安定であり、[177Lu]LuDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gは、ヒト血清中24時間で97%以上安定であった。
【0107】
実施例6:インビボイメージングと生体内分布
雌のnu/nuヌードマウス(6~8週齢)をCharles River Laboratories(Wilmington,MA,USA)から購入し、UC Davis Institutional Animal Care and Use Committeeに従って扱った。100μl 1:1 GFR-Matrigel:無血清RPMI中のBxPC-3細胞(5×106)を左肩脇腹に皮下移植し、約2週間(治療研究用)及び3週間増殖させた(直径0.5~1cm、イメージング及び生体内分布研究用)。注射前にすべての細胞をフローサイトメトリーで評価し、インテグリン発現レベルを確認した。食物及び水は、自由に摂取させた。
【0108】
小動物のイメージングのために、PBS溶液(pH7.2)中の製剤化された放射性トレーサー(100μl中7.4~9.25MBq)のアリコートを、カテーテルを介して、医療グレード酸素中2~3%イソフルランで麻酔したマウスの尾静脈に静脈内(i.v.)注射した(n=3/時点/放射性トレーサー)。動物は、スキャナーベッド上で足から先にうつ伏せの姿勢で並べて、一度に2匹ずつ撮影された。走査中、医療グレード酸素中1.5~2.5%イソフルランで麻酔を維持した。[
68Ga]GaDOTA-5Gを注射したマウスを注射後(p.i.)2時間で走査し、静的な1コマ15分発光走査を1時間後と30分後で取得した。[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gを注射したマウスを注射後4時間で走査し、静的な30分走査を2時間と60分で取得した。減衰補正のための
57コバルト透過スキャン及び解剖学的参照のためのCTスキャンも、各時点で取得した。代表的な画像を
図2に示す。
【0109】
生体内分布のために、配合された放射性トレーサーのアリコート(100μlのPBS中2.96~3.7MBq)を尾静脈に注射し、続いて1時間及び2時間([68Ga]GaDOTA-5G)、2時間及び4時間([68Ga]GaDOTA-ABM-5G)、及び1、24、48、及び72時間([177Lu]LuDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5G)の期間、意識のある状態で取り込ませた。ブロッキング研究の場合、配合された放射性トレーサーの10分前に、それぞれの非キレート化コールドペプチド(PBS中の30mg/kg、10mg/mL(DOTA-5G)及び48mg/kg、16mg/mL(DOTA-ABM-5G)溶液)を注射した。各時点で、マウス(n=3/時点/放射性トレーサー)を麻酔し、屠殺した。組織を収集し、PBSですすぎ、それぞれの放射能をガンマカウンターで測定した。放射能濃度を較正し、減衰補正し、組織1グラムあたりの注射量のパーセント(%ID/g)として表した。
【0110】
[68Ga]GaDOTA-5G及び[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gをインビボイメージングによって評価した。[68Ga]GaDOTA-5G、[68Ga]GaDOTA-ABM-5G、[177Lu]LuDOTA-5G、及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gを、皮下BxPC-3腫瘍モデル内の生体内分布によって評価した。[68Ga]GaDOTA-5Gについてのイメージングと生体内分布を、注射後(p.i.)1時間及び2時間に実行し、[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gは注射後2時間及び4時間に実行した。BxPC-3腫瘍取り込みは、両方の放射性トレーサーのすべての時点で明らかであった。
【0111】
BxPC-3腫瘍における取り込みは、[
68Ga]GaDOTA-5Gについては、注射後1時間で2.6±0.8%、2時間で2.03±0.6%であり、[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gについては、注射後2時間で9.39±1.9%、4時間で10.35±2.6%であった(
図3A及び3B)。[
68Ga]GaDOTA-5Gと[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの間の取り込みの違いは、PET/CT画像(
図2)に反映されており、腫瘍内の[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの取り込みは、注射後2時間で[
68Ga]GaDOTA-5Gよりも有意に高いことが見受けられる。
【0112】
[
68Ga]GaDOTA-5G及び[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの両方の主要な排泄経路は腎臓であった。[
68Ga]GaDOTA-5Gについては、取り込みは、1時間で23.34±3.31%ID/gであり、2時間では13.83±3.91%ID/gに低下した(p=0.032)。[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gについては、取り込みは、2時間で19.62±2.83%ID/gであり、4時間で25.92±2.24%ID/gに増加した(p=0.039)(
図3A及び3B、表1)。[
68Ga]GaDOTA-5Gについて、BxPC-3/腎臓比は0.12±0.05(1時間)から0.16±0.07(2時間)にわずかに増加し、[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gについては、0.48±0.12(2時間)から0.41±0.13(4時間)(両方:p>0.05)に、わずかに減少した。
【0113】
(表1)BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける[
68Ga]GaDOTA-5G及び[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの生体内分布(n=3/群/時点)。
【0114】
血液中の[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの循環の増加が、[
68Ga]GaDOTA-5Gと比較して、特に2時間でPETイメージングにより観察された(
図3A及び3B)。これは生体内分布の結果にも反映されており、[
68Ga]GaDOTA-5G(0.09±0.01%ID/g)と比較して、[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gでは2時間での血液中で8倍高い%ID/g(8.89±0.89%ID/g)が観察された。[
68Ga]GaDOTA-5GについてのBxPC-3/血液比は1時間で12.92±0.73で、2時間で22.05±3.86に増加した(p=0.0158)。[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gについては、BxPC-3/血液比は2時間で1.06±0.22、4時間で1.94±0.12であった(p=0.003)。
【0115】
胃及び腸は、[
68Ga]GaDOTA-5G及び[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの両方について放射能レベルの上昇を示し、すべての臓器での取り込みは、[
68Ga]GaDOTA-5Gと比較して、[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gでは注射後2時間で4倍以上であった;%ID/g-胃:2.75±0.63([
68Ga]GaDOTA-5G)及び11.8±0.65([
68Ga]GaDOTA-ABM-5G)、小腸:1.27±0.16([
68Ga]GaDOTA-5G)及び7.70±0.45([
68Ga]GaDOTA-ABM-5G)、大腸:2.08±0.21([
68Ga]GaDOTA-5G)及び8.73±0.11([
68Ga]]GaDOTA-ABM-5G)(
図3A及び3B、表1)。注射後2時間で得られたBxPC-3/臓器比は、BxPC-3/胃:0.75±0.23([
68Ga]GaDOTA-5G)及び0.88±0.25([
68Ga]GaDOTA-ABM-5G);BxPC-3/小腸:1.63±0.54([
68Ga]GaDOTA-5G)及び1.34±0.31([
68Ga]GaDOTA-ABM-5G);BxPC-3/大腸:0.98±0.26([
68Ga]GaDOTA-5G)及び1.18±0.29([
68Ga]GaDOTA-ABM-5G)であった。BxPC-3/肝臓比は、[
68Ga]GaDOTA-5Gでは19.64±6.65、[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gでは6.04±0.91であった。
【0116】
177Lu標識化合物については、BxPc-3腫瘍における取り込みは、常に[
177Lu]LuDOTA-5Gと比較して[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの方が少なくとも4倍大きかった。[
177Lu]LuDOTA-5Gを注射すると、腫瘍への取り込みは1時間で1.23±0.19%ID/g、72時間では0.81±0.16%ID/g(p=0.043)と、時間の経過とともにわずかなウォッシュアウトを示した。対照的に、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの腫瘍取り込みは、1時間で4.54±0.42%ID/g、最大72時間保持した(5.29±0.75%ID/g)(
図4A)。
【0117】
両方のトレーサーは腎臓への取り込みを示し、時間の経過とともにウォッシュアウトされた。[
177Lu]LuDOTA-5Gについては、取り込みは1時間で12.23±3.91%ID/g、72時間で6.16±1.45%ID/gであった(p=0.0653)。[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gでもまた、取り込みは、1時間で20.89±3.1%ID/g、72時間で8.84±1.15%ID/gであり(p=0.0032)、経過とともに活性のウォッシュアウトを示した(
図4B)。結果として得られたBxPC-3/腎臓への取り込みは、[
177Lu]LuDOTA-5Gについては0.08±0.05(1時間)及び0.14±0.05(72時間)であり、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては0.22±0.05(1時間)及び0.60±0.02(72時間)であった(
図4C)。
【0118】
[68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの場合にも明らかであったように、ABMによる、血液中の[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの循環の増加が観察された。血液中の[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの%ID/gは、[177Lu]LuDOTA-5Gの0.10±0.02と比較して、1時間で5.36±0.71%ID/gであった。[177Lu]LuDOTA-5Gはその後の時点では血液中で検出できなくなったが、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gは72時間(0.01±0.00%ID/g)でも依然として測定可能であった(表2及び表3)。
【0119】
(表2)BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける[
177Lu]LuDOTA-5Gの生体内分布(n=3/群/時点)。
【0120】
(表3)BxPC-3(α
vβ
6(+))腫瘍を有するマウスにおける[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの生体内分布(n=3/群/時点)。
【0121】
[
68Ga]GaDOTA-5G及び[
68Ga]GaDOTA-ABM-5Gの場合に見られるように、増加した[
177Lu]LuDOTA-5G及び[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの両方の取り込みが胃で観察され、時間の経過とともに放射能が消失した;[
177Lu]LuDOTA-5Gの%ID/g-4.10±0.98(1時間)及び0.95±0.13(72時間)(p=0.0053)、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5G-9.16±0.58(1時間)及び4.76±1.22(72時間)(p=0.0049)。得られたBxPC-3/胃比は、[
177Lu]LuDOTA-5Gについては0.31±0.06(1時間)及び0.87±0.28(72時間)であり、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては0.50±0.08(1時間)及び1.16±0.30(72時間)であった(
図4D)。大腸では、同様の取り込み傾向が、[
177Lu]LuDOTA-5G及び[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの両方で観察され、4時間で[
177Lu]LuDOTA-5Gでは<4%ID/g、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gでは<7%ID/gであり、どちらも時間の経過とともに大幅に低下した(4時間から72時間で、p=0.0006、[
177Lu]LuDOTA-5G;p=0.0241、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5G)。BxPC-3/大腸比は、[
177Lu]LuDOTA-5Gでは0.31±0.02(1時間)及び1.74±0.39(72時間)、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gでは、0.77±0.25(1時間)及び1.77±0.26(72時間)であった。肝臓での取り込みは、4時間で[
177Lu]LuDOTA-5Gについては<0.2%ID/g、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては<1%ID/gであり、両方とも時間の経過とともに大幅に低下した。
【0122】
[
68Ga]GaDOTA-5G、[
177Lu]LuDOTA-5G、及び[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの投与10分前に、それぞれのブロッキングペプチド(DOTA-5GまたはDOTA-ABM-5G)を事前投与することは、BxPC-3腫瘍における取り込みの減少をもたらした。取り込みは、注射1時間後で、[
68Ga]GaDOTA-5Gでは2.6±0.79%ID/gから0.27±0.02%ID/gに減少し(Δ=-86%)、[
177Lu]LuDOTA-5Gでは1.23±0.19%ID/gから0.3±0.02%ID/gに減少した(Δ=-75%)。[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gについては、腫瘍における取り込みは、注射4時間後で、7.15±3.04%ID/gから4.12%ID/gに減少した(Δ=-42%)(
図5~7)。
【0123】
実施例7:インビボ標的放射性核種療法
インビボ標的放射性核種治療のために、処置開始の14日前にマウスの皮下にBxPc-3腫瘍細胞を移植した。マウスをランダムに選択し、次の4つの治療群に分けた:対照生理食塩水(群1、n=5);対照ペプチドDOTA-ABM-5G(群2、n=6);1×74MBq[177Lu]LuDOTA-ABM-5G(群3、n=10);及び2×37MBq[177Lu]LuDOTA-ABM-5G(群4、n=7)。処置開始時の平均腫瘍体積は14~218mm3であった。群2には、対照としてマウス1匹あたり20μgのペプチドDOTA-ABM-5Gを与えた。群3は腫瘍移植後14日目(治療0日目)に74MBqを投与し、群4は腫瘍移植後14日目と21日目(治療0日目と7日目)に、2回の37MBqの投与を受け、比放射能は18.5MBq/nmolであった。体重及び腫瘍体積は、処置の前日に測定され、研究全体を通じて処置後には週2回測定した。腫瘍体積(TV)は、方程式TV=(π/6)*L*W*Hに従って決定され、式中、Lは最長軸、WはLに垂直な軸、HはLとWの平面に垂直である。エンドポイントの決定は、TVの最長軸が2cmを超える、放射線潰瘍形成、または研究開始から20%を超える体重減少を含むマウスの健康状態の悪化に基づく。生存曲線は、治療開始を0日目として、カプランマイヤープロットとして表される。
【0124】
対照群1(生理食塩水対照)及び2(ペプチド対照)のすべてのマウスは、それぞれ治療開始から63日及び68日までにエンドポイント基準(任意の方向に2cm以上及び/または腫瘍潰瘍化)を満たした。対照的に、群3(74MBq)及び群4(2x37MBq)のマウスは、研究終了時(120日)でそれぞれ30%及び43%の生存率を示した。各群における処置後のマウスの生存期間中央値は、56日(群1及び2)、82日(群3)、及び113日(群4)であった(
図8B)。研究期間中、どの群でも有害事象及び体重減少は観察されなかった(
図9A及び9B)。また、血液化学検査では処置に対する副作用は認められなかった。
【0125】
実施例8:単一施設パイロット研究
単一施設でのパイロット研究を実施した。すべてのマイノリティー及び両方の性別を採用した。
【0126】
研究デザイン/介入の概要
患者はまず、[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の適格性を評価するために、[68Ga]GaDOTA-5GPET/CTの単回微量投与を受けた。十分な病変取り込み(正常な肺または肝臓の2倍を超えるSUVmaxを持つ視覚化された病変)を持つ患者のみに、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gによる治療を提供した。この研究は、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gを用いた3+3投与漸増研究として設計された。治療計画は、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの1回投与で構成された。3+3設計には、第1の放射能レベル群(25mCi)に3人の患者を含んだ(以下の表4を参照)。用量制限毒性(DLT)は、グレード3(G3)以上の治療関連AEとして定義される。さらに、腎臓への放射線量は23Gyを超えてはならず、骨髄への放射線量は1.5Gyを超えてはならない。30日以内にDLTが起こらなかった場合(3人目の患者の後)、3人の患者は次の用量レベルで登録された。治療に関連しない問題により、患者が30日のDLT枠内で治療関連の毒性の完全な評価に参加できない場合、その患者は、同じ用量レベルでのDLT評価の目的で置き換えられた。研究治療に起因するDLTが最初のコースで正確に1/3の対象で経験された場合、さらに3人の患者(合計6人)がその用量レベルで治療される。拡張用量レベル(すなわち、DLTありの1/6)で追加のDLTが観察されない場合、用量を増加した。2人以上の対象が治験薬に起因するDLTを経験するとすぐに増加を停止した。フェーズIIでは、患者6人中1つのDLT以下で最高用量(200mCi限度)であることが推奨される。さらに、腎臓への放射線量は23Gyを超えてはならず、骨髄への放射線量は1.5Gyを超えてはならない。表4は、研究における用量漸増を示している。
【0127】
(表4)[
177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの用量漸増。
【0128】
登録基準を満たす患者は、担当の腫瘍医または外科医によって登録された。すべての新規患者は、健康情報の公開に関する標準的な承認フォームに記入するよう求められ、該当する場合には、研究者は、紹介医またはかかりつけ医に、処置前の5年間にわたる過去の臨床検査情報及び病歴情報を要求できるようにした。
【0129】
組み入れ基準
[68Ga]GaDOTA-5GPET/CT組み入れ基準:
1.書面によるインフォームドコンセント文書を理解し、署名する意欲があること。
2.年齢18歳以上。
3.RECIST(バージョン1.1)による測定可能な疾患を伴う、局所進行性、切除不能、または転移性膵腺癌(他の膵臓悪性組織型は除外される)の存在が確認されている(すなわち、少なくとも1つの病変が1cmを超えるか、短軸が1.5cmを超えるリンパ節)。
4.参加者は、登録後28日以内にCTまたはMRIスキャンによって確立された少なくとも1つの以前の全身療法中またはその後の腫瘍進行を記録していなければならない。
5.米国東部腫瘍学共同研究グループによるパフォーマンスステータスが2以下である。
6.参加者は、[68Ga]GaDOTA-5GPETスキャンの少なくとも2週間(ウォッシュアウト期間)までに化学療法を完了していなければならない。以前の治療に関連した臨床的に重大な毒性(脱毛及び感覚神経障害を除く)がグレード1またはベースラインに解決されている。
7.血液学的パラメータは次のように定義される:
a.好中球絶対数(ANC)が1000細胞/mm3以上
b.血小板数が100,000/mm3以上
c.ヘモグロビン≧8g/dL。
8.血液化学レベルは次のように定義される:
a.AST、ALT、アルカリホスファターゼが正常値の上限(ULN)の5倍以下
b.総ビリルビンULNの2倍以下
c.クレアチニンULNの2倍以下。
9.予想余命が3か月以上。
10.スキャンごとに最大30~60分間静止した状態を維持できる。
【0130】
[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の組み入れ基準:
1.[68Ga]GaDOTA-5GPET研究へのエントリー完了及び走査完了。
2.[68Ga]GaDOTA-5GPET/CTによる測定可能な少なくとも1つの疾患の存在(SUVmaxが正常な肺または肝臓の2倍を超える)。
【0131】
除外基準
[68Ga]GaDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の除外基準:
1.ワルファリン抗凝固療法の参加者
2.クラス3または4のNYHAうっ血性心不全の参加者
3.治験参加前2週間以内の臨床的に重大な出血(例、胃腸出血、頭蓋内出血)
4.妊娠中または授乳中の女性
5.大手術:研究1日目前から28日以内またはその後6週間以内予定される、全身麻酔及び重大な切開(すなわち、中心静脈アクセス、経皮的栄養チューブ、または生検の設置に必要な切開よりも大きい)を伴う外科的処置として定義される
6.過去2年以内に治療が必要な追加の活動性悪性腫瘍がある
7.全身療法にもかかわらず、制御されていない活動性の細菌、ウイルス、または真菌感染症
8.研究要件の遵守を妨げる精神疾患/社会的状況
9.骨髄の25%を超える部位への外部照射治療歴がある
10.体重制限(350ポンド)のため、PET/CTまたはSPECT/CTスキャンを受けることができない
11.INRが2.0超;PTTがUNLを15秒超上回る
【0132】
対象の治療
処置前評価
治療開始前に、患者は病歴、身体検査、バイタルサイン、心電図、及びECOG評価を含む外来診療を受けた。さらに、標準的な治療ラボも取得した。これらには、肝機能(ALT、AST、ALP、アルブミン、ビリルビン)、腎機能(クレアチニン及びクレアチニンクリアランス)、CBC(Hb、白血球数、血小板数)が含まれる。血液中のαvβ6レベルを評価するための探索的結果のための血液サンプルは、ベースライン(探索的)で採取された。患者の人口統計には、性別、年齢、診断からの期間、及び以前の治療が含まれる。
【0133】
研究介入
[
68Ga]GaDOTA-5GPET/CT研究。
患者は、[
68Ga]GaDOTA-5GPET/CT走査を受け、[
177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の適格性を確認した。[
68Ga]GaDOTA-5GPET/CTの前に、患者は注入当日に1時間ごとに排尿するのに必要な十分な量の水を飲むよう奨励された。特別な絶食の必要はなかった。最大185MBq(5mCi)の[
68Ga]GaDOTA-5G(下記式II)をボーラスとしてIV注射した。注射直後にバイタルサイン(心拍数、パルスオキシメトリー値、体温、心電図)を測定した。患者は、可能であれば排尿することが奨励された。患者は、[
68Ga]GaDOTA-5Gの注射から約1時間後に、頭蓋骨の頂点から大腿近位部までの走査を受けた。時間活動曲線の計算のために、取り込み期間全体の一連の時点(注射後約5、10、15、30、60分)で1mLの血液サンプルを採取した。バイタル、血液サンプル、及び心電図も、[
68Ga]GaDOTA-5Gの注射後1日及び7日(±48時間)にチェックされ、完全な化学、血液学、及び肝機能検査のための臨床検査が行われた。
68Ga=ガリウム-68
DOTA=1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸
5G=PEG
28-GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRT-PEG
28-C(O)NH
2ペプチド
【0134】
[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法研究。
[68Ga]GaDOTA-5GPET/CTに基づいて適格であるとみなされた患者は、[68Ga]GaDOTA-5G走査の4週間(±7日)以内に[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の1回投与を受けるようにスケジュールされた。[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの投与の前に、患者は注入当日及びその翌日に1時間ごとに排尿するのに必要な十分な量の水を飲むよう奨励された。患者は、[177Lu]LuDOTA-ABM-5G処置後、最長1週間毎日排便し、必要に応じて下剤を使用することが奨励された。医師は、第三者への放射線被ばくを制限するために従うべき一般的な推奨事項と注意事項を患者に説明する。腎保護の目的で、L-リジン[18g~24g]とL-アルギニン[18g~24g]を含むアミノ酸溶液の4時間同時注入を、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの注入の30分前に開始し、一定速度(250cc/hr)で合計4時間継続した。患者を、アミノ酸溶液注入の完了後1時間監視した。[177Lu]LuDOTA-ABM-5G療法の前、最中、および後のアミノ酸溶液の投与は、近位尿細管を通して放射性核種を洗い流し、腎臓の放射線量を減少させるためのLu-177DOTATATEの経験に基づく。治療に関連した悪心及び嘔吐を避けるために、病院の手順に従い、抗H3類似体(例、オンダンセトロン)を含む制吐薬をアミノ酸注入開始の30分前に開始した。アミノ酸の投与中及びその後の数時間、患者はできるだけ頻繁に排尿するよう奨励された。
【0135】
[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの注入後1日目及び7日目に、核イメージングを使用して生体内分布及び線量測定を評価した。患者は、[177Lu]LuDOTA-ABM-5G投与後約24時間及び168時間後に、全身平面画像検査(前方及び後方像)及びSPECT/CT(会陰を通って近位大腿部で終わる頭蓋骨の頂点、約2~4のベッド位置)を受けた。さらに、生体内分布を評価するために、[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの投与後約5、15、30、60、120、及び180分後に連続血液サンプルを採取した。完全な化学、血液学、肝機能検査及び心電図を、1日目と7日目(±48時間)に実施した。
【0136】
安全性評価を、[177Lu]LuDOTA-ABM-5G注入後約2週間ごとに最大90日間実施し、遅延性毒性の可能性を評価する臨床検査を取得することによって評価した。これらには、肝機能(ALT、AST、ALP、アルブミン、ビリルビン)、腎機能(クレアチニン及びクレアチニンクリアランス)、血液学(Hb、白血球数、血小板数)が含まれる。放射線療法による晩期副作用の可能性を評価するために、患者が死亡または追跡を損失するまで追跡調査した。
【0137】
有効性の探索的研究は、疾患モニタリングのための標準治療のCTまたはMRIイメージングとの相関によって決定される。これは[177Lu]LuDOTA-ABM-5G注入後3か月以内に得られると予想した。
【0138】
この研究では、患者への重大なリスクは予想されないが、NCICTCAEV5.0に従って定義及び等級付けされたすべての重篤及び非重篤なAEのモニタリングを通じて、この研究における安全性を評価した。すべての患者をAEについて90日間追跡調査した。研究完了時または研究中止時に進行中の研究治療関連AEがある患者は、その事象がグレード1またはベースライングレード(脱毛、感覚神経障害を除く)に解決されるまで、事象が研究者によって安定している判断されるまで、新たな抗がん剤治療が開始されるまで、患者が追跡調査できなくなるまで、患者が同意を撤回するまで、または治験治療または研究への参加がAEの原因ではないと判断されるまで追跡された。
【0139】
介入の分析
[68Ga]GaDOTA-5Gの転移を検出する能力は、少なくとも1つの転移における[68Ga]GaDOTA-5Gの取り込みの増加(正常な肺または肝臓の2倍を超えるSUVmax)によって評価され、[68Ga]GaDOTA-5GPET/CTは、頻度、割合、及び割合の正確な95%信頼区間として要約される。
【0140】
安全性分析:これがヒト初の研究であることを考慮すると、主な目標は、安全性及び忍容性を定義し、AEプロファイルを特徴付けることである。安全性、忍容性、及びAEは記述統計を使用して要約される。[68Ga]GaDOTA-5G及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gで観察されたAEは、頻度、患者の割合、割合の正確な95%信頼区間として要約され、コホート、タイプ、重症度によって分類される。有害事象(AE)は、有害事象共通用語基準バージョン5(CTCAE)を使用して等級付けされる。用量制限毒性は、グレード3(G3)以上の治療関連AEとして定義される。[68Ga]GaDOTA-5G研究では、1日目と7日目の特定のバイタルサインの変化を評価するために、一対のt検定を使用してベースラインとその後の時間を比較する(正規性のために必要な場合は適切な変換を使用する)。母集団平均一般化推定方程式(GEE)は、複数の機会に測定された兆候の変化の軌跡を要約するために使用される。診断プロットは、潜在的な外れ値を特定するために使用される。
【0141】
有効性分析:すべての応答は、RECIST1.1定義を使用して報告される。応答率と95%の正確な二項信頼区間が報告される(探索的)。
【0142】
線量測定分析:(識別可能な胸部臓器及び腹部臓器、標的病変及び血液について別個の)[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの放射能濃度-時間曲線に基づくAUC、標的病変及び識別可能な臓器における最大摂取量(%で達成)、臓器ごとの特定の吸収線量(μGy/MBq)、及び累積吸収臓器線量(Gy)について記述統計(平均、中央値、標準偏差など)を報告する。組織への等価線量によって評価された最高吸収線量を受けた臓器が、周波数と割合を使用して表にまとめられる。エンドポイントを説明するためにグラフィックツールが使用される。
【0143】
相関分析(探索的):線量測定研究のSPECT/CT画像上で十分に識別できる患者当たり最大5つの病変を分析する。各腫瘍病変について、治療に対する客観的な応答を、RECIST1.1基準に従って二項転帰(反応対無反応)に分類する。以下の線量測定値との反応間の関連性を評価する:(i)[68Ga]GaDOTA-5G取り込み量(SUV)、(ii)[177Lu]LuDOTA-ABM-5G取り込み量(Gy)、(iii)[177Lu]LuDOTA-ABM-5G処置前と処置後の血中αvβ6レベルの差異、(iv)処置後の血液中αvβ6レベルの予測値。応答と放射線量との関連性をモデル化する試みは、主に記述統計を使用して行われるが、ただし、正当な場合には、ロジスティック混合効果モデルを使用することもできる。さらに、安全性パラメーター(CBCやCMPなど)と臓器に送達される線量との関連性を、記述統計と混合効果モデルを使用して評価する。正規性(探索的)のために必要な場合、適切な変換が結果に適用される。
【0144】
放射線データ
患者入力の一部として捕捉される放射線学的データ(各タイプの放射線学的検査に関連付けられているが、CTまたはMRIからのもの)には、以下が含まれる:病変の膵臓内の位置、病変の最大サイズ、転移の位置及び転移サイズ。
【0145】
PET/CT画像データ
[68Ga]GaDOTA-5Gの一般的な分布を、血液データ及びスキャンの視覚的分析によって決定する。再構成されたPET/CT画像(頭蓋骨の頂点から近位大腿部全身の静止画像)をGEイメージングワークステーション上に表示し、最大強度投影(MIP)画像、経軸方向画像、冠状断画像、及び矢状方向画像に再配向する。PET、融合PET/CT、CT画像をすべて検査する。SUV最大及びSUV平均を含むSUVパラメータを取得するために、悪性腫瘍が疑われるトレーサー集積性病巣及び重要な臓器(例えば、腎臓、膀胱、腸、肝臓、脾臓、肺、膵臓)の周囲に関心領域(ROI)が配置される。全てのSUV測定値は、平均、中央値、範囲、及びカウントを使用して要約され、反復測定ANOVAモデルを使用して、SUVを組織領域に関連付ける。「非排泄」及び「排泄」放射能を追跡する。体内の非排泄放射能を、主要な器官、関心の組織、及び体の残りの部分における放射能の量を導出するために関心体積(VOI)分析から計算する。データは線量測定の目的で「Reference Man」擬人化モデルに合わせて調整する。臓器活動を経時的に積分して、時間積分活動係数を取得する。OLINDAソフトウェアを使用して、線量及び実効線量の測定値を取得する。
【0146】
SPECT/CT画像データ
全身平面スキャンを、[177Lu]LuDOTA-ABM-5G分布の定性的評価に使用する。腎臓、胃、関与していない肝臓、骨髄、及び全身、及び[177Lu]LuDOTA-ABM-5Gの蓄積を示す他の臓器への放射線吸収線量を、連続血球計算及びSPECT/CTスキャンの分析に基づいて計算する。SPECT/CT研究画像を、病気及び健康な組織における体積吸収放射線量を計算するために使用する。具体的には、正常組織の放射能濃度-時間曲線を、SPECT/CTスキャンの関心領域(ROI)分析から生成する。赤色骨髄及び心臓内容物の放射能濃度-時間曲線を、ウェルシンチレーションカウンターによって測定された血液放射能濃度から生成する。関心体積(VOI)を患者ごとに生成する。赤色骨髄中の放射能濃度は血液中の放射能濃度と同じであると考えられる。放射能濃度-時間曲線を積分して(例えば、必要に応じて分析的または数値的に)、いわゆる滞留時間を生成するAUC値を得る。これらのデータを、正常組織の吸収線量推定値を生成するために、FDA承認の線量測定ソフトウェアパッケージOLINDA/EXM1.0への入力として使用する。SPECT/CTの取得と再構成の研究プロトコルは、MIRD26によって確立されたLu-tetium-177SPECTベースの線量測定のガイドラインに従う。SPECT/CTスキャナーの較正は、較正済みのLu-177線源(例えば、1mCi)を含む均一な水ファントムを使用して行う。補足的な線量測定評価は、画像ROI分析に基づく病変吸収線量推定値を含む。吸収線量は投与された放射能に対して正規化され、mGy/MBqで表される。
【0147】
血液データ(探索的)
患者からの血清液を収集し、生物活性の損失を避けるためにサンプルを-80℃で保存した。血清中のαvβ6濃度は、Cloud-CloneCorp(SEC099Hu,Texas,USA)から購入したヒトITGB6酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)検出キットを使用し、製造元の指示に従って定量的に測定した。濃度がng/mLで計算され、このデータが画像データ及び治療データと関連付けられる。
【0148】
線量レベルと初期の患者評価
線量レベル1及び2の患者を、記載のように治療した。表5は、患者が受けた以前の治療と登録時の状態を示している。患者の腎臓及び骨髄への放射線量を、臓器レベル内部線量評価(OLINDA)及びMRTとして表5に示す。最初の2つの線量レベルにおける患者の初期状態を表6に示す。
【0149】
【0150】
【0151】
VII.例示的な実施形態
本開示の主題に従って提供される例示的な実施形態には、特許請求の範囲及び以下の実施形態が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
1.α
vβ
6インテグリン関連がんを治療する方法であって、治療を必要とする対象に、ある用量の式Iの治療用コンジュゲートを投与することを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
であり、
前記用量の前記治療用コンジュゲートは、約25mCi~約200mCiの放射能を含む、
前記方法。
【0153】
2.前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、実施形態1に記載の方法。
【0154】
3.前記用量中の前記放射能の量が、25mCi、50mCi、100mCi、150mCi、または200mCiである、実施形態1または2に記載の方法。
【0155】
4.1、2、または3回の追加用量の前記治療用コンジュゲートを対前記象に投与することをさらに含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
5.前記用量が約100μg以下の前記ペプチドを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
6.前記αvβ6インテグリン関連がんが、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、口腔扁平上皮癌、皮膚扁平上皮癌、胃癌、または子宮内膜癌である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
7.前記膵臓癌が、局所進行性もしくは転移性膵臓癌;局所進行性、切除不能、もしくは転移性膵臓腺癌;または膵管腺癌(PDAC)である、実施形態6に記載の方法。
【0159】
8.前記αvβ6インテグリン関連がんが原発巣及び転移巣を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
9.前記αvβ6インテグリン関連がんが、副腎、骨、脳、肝臓、肺、またはそれらの任意の組み合わせにおける病変を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
10.前記対象が、前記用量の前記治療用コンジュゲートが投与される前に、標準治療を受ける、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
11.前記対象が、前記用量の前記治療用コンジュゲートが投与された後に、標準治療を受ける、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
12.前記標準治療が、手術、放射線療法、化学療法、化学放射線療法、及び標的療法のうちの1つまたは複数を含む、実施形態10または11に記載の方法。
【0164】
13.前記標準治療が、フォルフィリノックス(ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、フルオロウラシル、塩酸イリノテカン、及びオキサリプラチン)、ゲムシタビン、アブラキサン、イリノテカン、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
14.前記治療用コンジュゲートを投与した後に、前記対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
15.前記走査することが、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む、実施形態14に記載の方法。
【0167】
16.前記治療用コンジュゲートの投与前に診断用コンジュゲートを投与することをさらに含み、前記診断用コンジュゲートは、RGDペプチド及び第2の放射性核種を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
17.前記第2の放射性核種が68Gaである、実施形態16に記載の方法。
【0169】
18.前記診断用コンジュゲートが、最大約5mCiの放射能を含む用量で投与される、実施形態16または17に記載の方法。
【0170】
19.前記診断用コンジュゲートを投与した後に、前記対象の身体またはその一部を走査することをさらに含む、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
20.前記走査することが、陽電子放出断層撮影法(PET)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査、または単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を含む、実施形態19に記載の方法。
【0172】
21.前記治療用コンジュゲートが前記診断用コンジュゲートの投与後5週間以内に投与される、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
22.前記診断用コンジュゲートが式IIを含み、
式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である、実施形態16~21のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
23.前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、それぞれPEG28(PEG1500)を含む、実施形態22に記載の方法。
【0175】
24.アミノ酸の溶液を前記対象に投与することをさらに含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
25.前記溶液が前記治療用コンジュゲートの投与前及び投与と同時に投与される、実施形態24に記載の方法。
【0177】
26.前記治療用コンジュゲートが注入によって前記対象に投与される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
27.前記診断用コンジュゲートが注射によって前記対象に投与される、実施形態16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
28.前記治療が安定した疾患、部分寛解、または完全寛解をもたらす、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
29.前記治療が前記対象における前記がんの転移の減少をもたらす、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
30.前記治療が前記対象における腫瘍の体積、サイズ、または増殖の減少をもたらす、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
31.前記治療が、その後に投与される抗がん剤に対する前記がんの応答性を増加させる、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
32.前記コンジュゲートの投与後24時間、48時間、または72時間における腎臓組織中に存在する前記治療用コンジュゲートの量が、前記コンジュゲートの投与後1時間における腎臓組織中に存在する前記治療用コンジュゲートの量よりも少ない、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
33.前記コンジュゲートの投与後24時間、48時間または72時間における原発腫瘍中の前記治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の前記治療用コンジュゲートの量との比は、前記コンジュゲートの投与後1時間における前記原発腫瘍中の前記治療用コンジュゲートの量と腎臓組織中の前記治療用コンジュゲートの量との比よりも高い、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
34.アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有するペプチドを含む、医薬組成物。
【0186】
35.PEG部分が前記ペプチドのN末端、C末端、または前記N末端と前記C末端の両方に共有結合している、実施形態34に記載の医薬組成物。
【0187】
36.前記PEG部分が、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される、実施形態35に記載の医薬組成物。
【0188】
37.第1のPEG部分が、前記ペプチドの前記N末端に共有結合し、第2のPEG部分が、前記ペプチドの前記C末端に共有結合し、前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分が、PEG11、PEG12(PEG800)、PEG28(PEG1500)、及び(PEG28)2(PEG1500×2)からなる群から独立して選択される、実施形態35に記載の医薬組成物。
【0189】
38.前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、実施形態37に記載の医薬組成物。
【0190】
39.前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分がそれぞれPEG28(PEG1500)を含む、実施形態38に記載の医薬組成物。
【0191】
40.前記ペプチドがアルブミン結合部分(ABM)に共有結合している、実施形態34~39のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0192】
41.前記ABMが4-(4-ヨードフェニル)酪酸を含む、実施形態40に記載の医薬組成物。
【0193】
42.前記ABMがK(D-Abu-ヨードフェニルブチリル)部分を含む、実施形態40または41に記載の医薬組成物。
【0194】
43.前記ペプチドがキレート部分に共有結合している、実施形態34~42のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0195】
44.前記キレート部分がDOTAである、実施形態43に記載の医薬組成物。
【0196】
45.前記放射性核種が前記キレート部分と錯体化される、実施形態43または44に記載の医薬組成物。
【0197】
46.前記放射性核種が前記ペプチドに直接または間接的に共有結合している、実施形態34~45のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0198】
47.前記放射性核種が、32P、47Sc、67Cu、89Sr、90Y、105Rh、111Ag、117mSn、131I、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、及び212Biからなる群から選択される、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0199】
48.前記放射性核種が、11C、13N、15O、18F、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Cu、68Ga、82Rb、86Y、111In、124I、125I、または131Iからなる群から選択される、実施形態46に記載の医薬組成物。
【0200】
49.式Iのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【0201】
50.前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、実施形態49に記載の医薬組成物。
【0202】
51.前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分がそれぞれPEG28(PEG1500)を含む、実施形態49または50に記載の医薬組成物。
【0203】
52.前記組成物が、約25mCi~約200mCiの放射能を含む、実施形態49~51のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0204】
53.式IIのコンジュゲート:
(式中、5Gは、
アミノ酸配列GNGVPNLRGDLQVLGQRVGRTを有し、かつペプチドのN末端に第1のPEG部分、及びペプチドのC末端に第2のPEG部分を含む、PEG化ペプチド
である)、及び
薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【0205】
54.前記第1のPEG部分と前記第2のPEG部分が同じである、実施形態53に記載の医薬組成物。
【0206】
55.前記第1のPEG部分及び前記第2のPEG部分がそれぞれPEG28(PEG1500)を含む、実施形態53または54に記載の医薬組成物。
【0207】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例示的な目的のためであり、それに照らして様々な変形または変更が当業者に示唆され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれることが理解される。本明細書に引用される全ての出版物、特許、特許出願、及びシーケンス登録番号は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】