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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】電気スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/915 20060101AFI20231208BHJP
   H02B 13/055 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
H01H33/915
H02B13/055 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534006
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021084113
(87)【国際公開番号】W WO2022117788
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20211766.9
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドートル,マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】コルベル,ヤクプ
(72)【発明者】
【氏名】パペッティ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ビルト,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル,リジョ-ジュード
(72)【発明者】
【氏名】フォス,ロベルト
【テーマコード(参考)】
5G001
5G017
【Fターム(参考)】
5G001AA06
5G001AA07
5G001BB03
5G001CC03
5G001DD03
5G001EE01
5G017BB01
5G017DD09
(57)【要約】
本発明は、公称接点構成と、その中にアーク消去媒体が存在するアーク容積(6)を画定するアーク接点構成と、タンク容積(9)に流体接続された第1の排出開口部(12a)、高温媒体をアーク容積(6)からタンク容積(9)に消散させるための排出チャネル(7)とを備える排出システム(2)であって、圧縮ガイド(16)内に配置され、かつ圧縮ガイド(16)と共にアーク容積(6)とは反対側に圧縮室(20)を画定するピストン(18)をさらに備える排出システム(2)とを備える電気スイッチング装置(1)に関する。入口チャネル(30)は、圧縮室(20)に流体接続され、タンク容積(9)に流体接続された入口開口部(13)まで延び、入口チャネル(30)と排出チャネル(7)とは互いに流体分離されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(z)を有し、タンク容積(9)を画定する電気スイッチング装置(1)であって、前記長手方向軸(z)に平行に、互いに対して移動可能であり、前記スイッチング装置(1)の閉状態と開状態との間を切り替えるように互いに協働する第1の公称接点(3a)および嵌合する第2の公称接点(3b)を有する公称接点構成と、前記長手方向軸に平行に、互いに対して移動可能であり、前記閉状態と前記開状態との間を切り替えるように互いに協働する、前記第1の公称接点(3a)に関連する第1のアーク接点(4a)および前記第2の公称接点(3b)に関連する嵌合する第2のアーク接点(4b)を有するアーク接点構成であって、前記第1のアーク接点(4a)および前記第2のアーク接点(4b)は、その中でアーク(3)が前記閉状態と前記開状態との間の切り替え中に発生し、アーク消去媒体が存在するアーク容積(6)を画定する、アーク接点構成と、前記アーク容積(6)を取り囲む排出システム(2)であって、前記タンク容積(9)に流体接続された第1の排出開口部(12a)と、前記アーク容積(6)から前記第1の排出開口部(12a)まで延びる排出チャネル(7)とを備え、前記排出チャネル(7)は、前記アーク容積(6)から前記第1の排出開口部(12a)を通って前記タンク容積(9)に高温のアーク消去媒体を消散させるように設計され、前記排出システム(2)は、前記長手方向軸(z)に沿って延びる圧縮ガイド(16)と、前記圧縮ガイド(16)内に摺動可能に配置されたピストン(18)であって、前記圧縮ガイド(16)と共に前記アーク容積(6)に面する側に、前記アーク容積(6)に流体接続された加熱室(10)を画定し、前記圧縮ガイド(16)と共に前記アーク容積(6)に対向する側に、前記タンク容積(9)に流体接続された圧縮室(20)を画定する、ピストン(18)と、前記圧縮室(20)に流体接続され、前記タンク容積(9)に流体接続された入口開口部(13)まで延びる入口チャネル(30)であって、前記入口チャネル(30)と前記排出チャネル(7)とは互いに流体分離されており、前記入口チャネル(30)は前記電気スイッチング装置(1)の使用位置において下方向に向けられていることを特徴とし、前記長手方向軸(z)に沿って前記アーク領域(6)に対向する方向に見て、前記入口開口部(13)は、前記第1の排出開口部(12a)の後に配置されていることを特徴とする、入口チャネル(30)と、をさらに備える排出システム(2)と、を備える、電気スイッチング装置(1)。
【請求項2】
前記入口チャネル(30)は、前記アーク領域(6)に対向する方向に見て半径方向外側に、前記長手方向軸(z)に対して傾斜して延びることを特徴とする、請求項1に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項3】
前記入口開口部(13)は、互いに重複領域なく前記第1の排出開口部(12a)の後に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項4】
好ましくは中空スポークとして形成された複数の入口チャネル(30)を特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項5】
前記複数の入口チャネル(30)は、前記長手方向軸(z)に対して軸対称に円周方向に分布していることを特徴とする、請求項4に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項6】
前記複数の入口チャネル(30)は、前記長手方向軸(z)に対して円周方向に、好ましくは前記複数の入口チャネル(30)の中央入口チャネル(30)を通って延びる長手方向対称面に対して対称に分布し、前記複数の入口チャネル(30)は、対応する複数の入口開口部(13)を有することを特徴とする、請求項4に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項7】
前記複数の入口開口部(13)は、前記電気スイッチング装置(1)の前記使用位置において下方向に向けられていることを特徴とする、請求項6に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項8】
前記複数のチャネル開口部(30)は、前記長手方向軸(z)に垂直な平面内で測定して5°~180°、好ましくは60°~120°の範囲の中心角αを有する円形セクタ内で、前記長手方向軸(z)に対して円周方向に分布していることを特徴とする、請求項6または7に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項9】
前記入口開口部(13)および前記複数の入口開口部(13)はそれぞれ、前記タンク容積(9)から前記圧縮室(20)へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された補充弁(24)と、前記圧縮室(20)から前記タンク容積(9)へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された過圧弁(26)とに流体接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項10】
前記アーク容積(6)とは反対側の前記圧縮室(20)に隣接するチャネル要素(23)を特徴とし、その中で前記入口開口部(13)および前記複数の入口開口部(13)がそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項11】
前記アーク消去媒体は、SF、および/またはCOおよび/またはフルオロエーテル、フルオロアミン、フルオロケトン、フルオロオレフィン、フルオロニトリル、ならびにそれらの混合物および/または分解生成物からなる群から選択されるおよび/もしくは有機フッ素化合物を含む誘電性絶縁媒体であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項12】
前記有機フッ素化合物は、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロアミン、パーフルオロケトン、パーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択され、特に、バックグラウンドガスとの混合物に、より具体的には、空気、空気成分、窒素、酸素、二酸化炭素、窒素酸化物からなる群から選択されるバックグラウンドガス化合物との混合物にあることを特徴とする、請求項11に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項13】
前記有機フッ素化合物は、4から15個の炭素原子を有するフルオロケトンであり、特に前記フルオロケトンは、正確に5個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に6個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に7個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に8個の炭素原子を有するフルオロケトンからなる群から選択され、上述の前記炭素原子の少なくとも1つを有するこのようなフルオロケトンはヘテロ原子によって置き換えられ、特に窒素および/または酸素および/または硫黄、ならびにそれらの混合物によって置き換えられ、および/または前記フルオロニトリルは、2個の炭素原子、3個の炭素原子または4個の炭素原子を含むパーフルオロニトリルであり、特に、パーフルオロアルキルニトリル、具体的には、パーフルオロアセトニトリル、パーフルオロプロピオニトリル(CCN)および/またはパーフルオロブチロニトリル(CCN)であり、より具体的には、式(CFCFCNによるパーフルオロイソブチロニトリルおよび/または式CFCF(OCF)CNによるパーフルオロ-2-メトキシプロパンニトリルであることを特徴とする、請求項11または12に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項14】
前記誘電性絶縁媒体は、前記有機フッ素化合物とは異なるバックグラウンドガスをさらに含むことができ、空気、N、O、CO、希ガス、H;NO、NO、N O;フルオロカーボン、特にCFなどのパーフルオロカーボン;CFI、SF;およびそれらの混合物を含む群から選択することができることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中電圧および高電圧スイッチング技術の分野にあり、特に、送電および配電システムにおける接地装置、急速作動接地装置、回路遮断器、発電機回路遮断器、スイッチ断路器、複合断路器および接地スイッチ、または負荷遮断スイッチとして使用するための、独立請求項に記載の電気スイッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の目的のために、中電圧という用語は、1kV~72.5kVの電圧を指し、高電圧という用語は、72.5kVより高い電圧を指す。
【0003】
電気スイッチング装置は、中電圧および高電圧スイッチング用途の分野で周知である。それらは、例えば、電気的障害が発生したときに電流を遮断するために使用される。電気スイッチング装置の一例として、回路遮断器は、接点を開き、電流の流れを回避するために接点を互いに遠くに保つという役割を有する。前記回路遮断器と同様に、電気スイッチング装置の定格は、2000A~6300Aの高い公称電流を運び、110kV~1200kVの非常に高い電圧で10kA~100kAの非常に高い短絡電流を切り替えるようにすることができる。
【0004】
電気スイッチング装置の公称接点を切断(開放)すると、電気スイッチング装置を通って流れる電流は、公称接点からそのアーク接点に転流する。同様に、公称接点を接続(閉鎖)するとき、アーク接点は事前に接続される。実施形態では、アーク接点は、第1のアーク接点として、いわゆるアーキングフィンガケージ内の電気スイッチング装置の長手方向軸の周りに配置されたアーク接触フィンガと、第2のアーク接点として、フィンガケージ内に駆動されるロッドまたはピンとを備える。
【0005】
電気スイッチング装置の開放プロセス中に、電気アークが第1のアーク接点と第2のアーク接点との間に形成され、これはアーク容積と呼ばれる領域であり、このアークは導電性であり、アーク接点の開放または物理的分離の後でも電流を運ぶ。電流を遮断するために、電気スイッチング装置は、誘電性絶縁媒体として使用され、かつ電気アークを可能な限り迅速に消滅させるための誘電的に不活性な流体を含む。
【0006】
電気アークを消滅させることは、そこから可能な限り多くのエネルギーを取り出すことを意味する。その結果、電気アークが発生する領域に位置する流体の一部は、非常に短時間でかなり加熱される(約20,000℃~30,000℃まで)。その容積膨張のために、流体のこの部分は圧力を高め、アーク容積から排出される。このようにして、電流がゼロになる瞬間付近で電気アークが吹き飛ばされる。流体は、1つまたは複数の排出容積に流入し、そこで冷却され、冷却装置によって方向転換される。
【0007】
電気スイッチング装置の閉鎖プロセス中に、第1のアーク接点は、互いに接続されるように第2のアーク接点に向かって移動し、第1のアーク接点の背後に位置する圧縮容積に低圧をもたらす。この低圧を補償するために、排出システムまたはタンクからの流体は、開く補充弁によって圧縮容積内に吸い込まれる。この圧縮容積から、流体は、後の段階でアーク容積に流入する。
【0008】
欧州特許出願公開第0087578号明細書は、誘電性絶縁媒体で充填され、かつ第1のアーク接点および嵌合する第2のアーク接点を有するアーク接点構成を少なくとも備える電気スイッチング装置を開示している。少なくとも第1の中間容積が第1のアーク接点の下流に設けられ、および/または少なくとも第2の中間容積が第2のアーク接点の下流に設けられる。電気スイッチング装置の閉鎖プロセスの間、流体は、低圧を補償するために排出システムから圧縮容積に直接吸入される。
【0009】
米国特許出願公開第2013/168357号明細書は、固定主接点および移動主接点を有する回路遮断器を開示している。固定主接点の内側には固定アーク接点が設けられ、移動主接点の内側には可動アーク接点が設けられている。回路遮断器は、回路遮断器の移動側の固定シリンダ内に設けられて固定シリンダ内空間を形成する隔壁と、隔壁の一方のフランジに隣接して設けられた機械的パッファ室と、隔壁の他方のフランジと同じ側に設けられた高温ガス排出室とを備える。固定シリンダは、固定シリンダ内空間に連通し、かつ固定シリンダを径方向に二等分する仮想平面に対して一方側に形成されたガス入口孔を有する。また、固定シリンダは、固定シリンダ内空間に連通するガス出口孔と、高温ガス排出室に連通し、さらにパッファ軸流孔に連通し、固定シリンダの径方向であって仮想平面に対して他方側に形成された高温ガス排出開口部とを有する。
【0010】
このような構成によれば、ガス入口孔と高温ガス排出開口部とができるだけ離れて配置されているため、高温ガス排出開口部から排出された高温高圧のガスがガス入口孔に流入するリスクを低減することができる。米国特許出願公開第2013/168357号明細書は、高温ガス排出開口部を電流導体の反対側、すなわち固定シリンダの下部に配置して下方に向け、ガス入口孔を固定シリンダの上部に配置して上方に向けることを教示している。
【0011】
欧州特許出願公開第3200214号明細書は、固定接点、固定アーク接点、可動アーク接点、可動接点、中空操作ロッド、およびノズルを含むガス絶縁回路遮断器を開示している。可動接点は、固定シリンダ部と、可動ピストン部と、固定部と、パッファ室と、ガス入口部と、ガス排出部とを含む。ガス排出物は、中空操作ロッドに流入してガス排出空間に流入する。ガス排出部は、パッファ室とガス排出空間とを接続し、パッファ室とガス排出空間との間でガスを流通させる流路を形成するために設けられる。
【0012】
特開平1-313827号明細書には、固定接点、固定アーク接点、可動アーク接点、駆動ロッド、可動接点、およびノズルを含むガス絶縁回路遮断器が開示されている。また、回路遮断器は、パッファ室と高温ガス室とを画定する隔壁を有するシリンダ部と、可動ピストン部とを含む。隔壁には、パッファ室から高温ガス室にのみ絶縁ガスが流れるように、複数の連通孔および逆止弁が設けられており、絶縁ガスは、ガス入口を有する吸入室を介してパッファ室に導入される。
【0013】
通常、排出容積からの流体、すなわち排出ガスは清浄ではなく、アークダストならびに後に圧縮容積に入る生成粒子を含む。それは圧縮容積内に残り、電流0の後の後の段階で、圧縮容積と加熱容積との間の中間弁が開く。加熱容積は、アーク容積に流体接続され、その結果、潜在的に汚染された流体は、アーク容積内に導かれる。これは、アーク容積内の絶縁耐力に悪影響を及ぼすフラッシュオーバまたは後期リストライクを引き起こす可能性がある。
【0014】
金属で囲まれた高電圧回路遮断器(HVCB)のような電気スイッチング装置の特定の実施形態では、HVCBは、試験デューティに対して様々なレベルの短絡電流応力下でO-0.3s-CO動作を正常に実行しなければならない。閉動作中、排出システムから圧縮容積内にアーク消去媒体を吸引する低圧が圧縮容積内に生成され、後期リストライクが観察される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、電気スイッチング装置内の圧縮容積を再充填するために利用可能な新しいアーク消去媒体を有する改善された設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。実施形態は、従属請求項、それらの任意の請求項の組み合わせ、および図面と共に説明に開示されている。
【0017】
スイッチング装置は、電気スイッチング装置を意味し、例えば、高電圧回路遮断器、発電機回路遮断器、断路器、複合断路器および接地スイッチ、負荷遮断スイッチ、接地装置、または急速作動接地装置を包含することができる。
【0018】
長手方向軸を有し、タンク容積を画定する電気スイッチング装置が開示される。電気スイッチング装置は、第1の公称接点と、好ましくは長手方向軸を中心とする嵌合する第2の公称接点とを有する公称接点構成を備え、これらは、長手方向軸に平行に互いに対して移動可能であり、スイッチング装置の閉状態と開状態との間で切り替えるために互いに協働する。
【0019】
電気スイッチング装置はまた、第1の公称接点に関連付けられた第1のアーク接点と、第2の公称接点に関連付けられた、好ましくは長手方向軸を中心とする嵌合する第2のアーク接点とを有するアーク接点構成を備え、これらは、長手方向軸に平行に互いに対して移動可能であり、閉状態と開状態との間で切り替えるために互いに協働する。
【0020】
第1のアーク接点および第2のアーク接点は、閉状態と開状態との間の切り替え中にアークが発生し、アーク消去媒体が存在するアーク容積を画定する。アーク消去媒体は、誘電性絶縁媒体として使用され、かつ電気アークを可能な限り迅速に消滅させるための誘電的に不活性な流体である。
【0021】
さらに、電気スイッチング装置は、アーク容積を囲み、かつアーク容積をタンク容積から分離する排出システムを備える。排出システムは、アーク容積をタンク容積に流体接続し、高温のアーク消去媒体をアーク容積からタンク容積に消散させるように設計された排出チャネルを備える。この高温アーク消去媒体は、本開示では排出ガスとも呼ばれる。
【0022】
排出チャネルは、アーク容積内に開口するアーク端と、タンク容積内に開口する第1の排出開口部とを備える。第1の排出開口部は、排出システムとタンク容積との間の界面として定義され、排出ガスが排出システムからタンク容積に移動する移行面を表す。
【0023】
排出チャネルは、排出ガス流および排出ガス冷却を最適化するために通常考えられる、直接または1つまたは複数の中間容積によって互いに流体接続された複数の要素を備えることができる。排出チャネルは、好ましくは長手方向軸を中心とする排出管の形態とすることができ、かつアーク端開口部のアーク容積および排出管の排出側の第1の排出容積に流体接続することができる第1のチャネル要素を備えることができ、第1の排出容積は、第1の排出開口部のタンク容積に接続されて開口する。
【0024】
排出システムは、長手方向に延びる圧縮ガイドと、好ましくは気密に、圧縮ガイド内に摺動可能に配置されたピストンとをさらに備える。ピストンは、第1の公称接点によって少なくとも部分的に形成することができる。ピストンは、アーク容積に面する側が開いており、アーク容積に面する側の圧縮ガイドと共に、アーク容積に流体接続された加熱室を画定する。ピストンと圧縮ガイドとの間の圧縮ガイド内の容積は、圧縮室を画定する。圧縮室は、ピストンおよび第1の公称接点がアーク領域に対向する方向に移動するときに、第1のアーク接点および第2のアーク接点の閉状態から開状態への相対移動によって圧縮段階で圧縮されるように設計される。さらに、圧縮室は、ピストンおよび第1の公称接点がアーク領域の方向に移動するときに、第1のアーク接点および第2のアーク接点の開状態から閉状態への相対移動によって膨張段階で膨張するように設計される。
【0025】
第1の公称接点および第1のアーク接点は、第1の電流導体に電気的に接続される。第2の公称接点および第2のアーク接点は、第2の電流導体に電気的に接続される。
【0026】
実施形態では、第1の公称接点および第1のアーク接点は、長手方向軸に沿って移動可能であり、第2の公称接点および第2のアーク接点は固定である。この場合、第1の公称接点および第1のアーク接点は、移動側電流導体である第1の電流導体に接続される。第2の公称接点および第2のアーク接点は、固定側電流導体である第2の電流導体に電気的に接続される。
【0027】
他の実施形態では、第1の公称接点および第1のアーク接点は固定であり、第2の公称接点および第2のアーク接点は長手方向軸に沿って移動可能である。
【0028】
長手方向軸に沿って見たときに、第1の排出開口部は、圧縮室を備えるアーク容積の側に配置される。排出システムは、圧縮室に対向するアーク容積の側に配置された第2の排出開口部をさらに備えることができる。第1の排出開口部は、長手方向軸に対して軸対称に形成され、排出システムの円周にわたって延び、排出システムに連続スリットを形成することができる。第2の排出開口部についても同様の配置が可能である。
【0029】
圧縮室は、膨張段階におけるタンク容積から圧縮室へのアーク消去媒体の通過、および圧縮段階における圧縮室からタンク容積へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された流体接続によってタンク容積に流体接続される。
【0030】
入口チャネルは、圧縮室に流体接続され、タンク容積に流体接続された入口開口部まで延び、入口チャネルと排出チャネルとは互いに流体分離されている。膨張段階では、入口開口部を通して吸引されたアーク消去媒体をタンク容積から圧縮容積に補充することができる。結果として、入口チャネルと排出チャネルとの分離は、排出システムから来る、アークダストを含むアーク消去媒体によって圧縮容積が補充されるのを防止する。その結果、圧縮容積内に補充された清浄かつ低温のアーク消去媒体が、後の段階でアーク容積に入る。ひいては、これは、後期リストライクの可能性を低減し、より清浄なアーク消去媒体がアーク容積に到達することによる絶縁耐力の増加に役立つ。
【0031】
圧縮段階中、アーク消去媒体は、排出ガスと排出システム内で混合される代わりに、圧縮容積から直接容積タンク内に放出される。
【0032】
入口チャネルと排出チャネルとの分離は、電気スイッチング装置の組み立てられた部品間の漏れを除いて、排出チャネル内のまたは排出チャネルを通って流れるアーク消去媒体が、最初に容積タンクを通って流れるときにのみ、入口チャネルに到達する可能性があると理解されるべきである。
【0033】
清浄なアーク消去媒体は、排出システム内に存在するアーク消去媒体、言い換えればアークダストを含む排出ガスとは対照的に、タンク容積からのアーク消去媒体として理解されるべきである。排出ガスは、アーク接点の分離後の一点でタンク容積に到達する。しかしながら、アークダストは、タンク容積内の排出ガスから分離し、タンク容積の壁領域に蓄積する。結果として、タンク容積内のアーク消去媒体は、経時的にアークダストの含有量が徐々に減少する。
【0034】
本発明によれば、入口チャネルは、電気スイッチング装置の使用位置において下方向に向けられている。この配置は、入口チャネルの内壁に入って蓄積する可能性があるアークダストの量を低減する。入口チャネルの内壁は、圧縮室とタンク容積との間を流れるアーク消去媒体と接触する壁として定義される。その結果、この配置は後の段階で圧縮室に入ることができるアークダストの量をさらに低減する。これは、後期リストライクの可能性をさらに低減し、より清浄なアーク消去媒体がアーク容積に到達することによる絶縁耐力の増加に役立つ。
【0035】
電気スイッチング装置の使用位置は、現場で使用するためのその取り付け位置に対応する。使用位置が水平方向に延びる長手方向軸に対応する場合、下方は重力方向に延びると理解されるべきである。使用位置において、移動側電流導体となり得る第1の導体および固定側電流導体となり得る第2の導体は、電気スイッチング装置の重力方向とは反対側に配置される。
【0036】
さらに、本発明によれば、入口開口部は、長手方向軸(z)に沿ってアーク領域と対向する方向に見て、第1の排出開口部の後に配置される。この配置により、入口開口部が第1の排出開口部に隣接する領域において、排出システムから入口チャネルに流入する排出ガスが低減される。この領域では、排出ガスはタンク容積に流入し、続いて隣接する入口開口部を通って入口チャネルに流入することができる。好ましくは、入口開口部および第1の排出開口部は、上述の相互作用を最小限に低減するために重複領域がない。
【0037】
好ましい実施形態では、入口チャネルは、圧縮室に直接流体接続され、圧縮室から入口開口部まで延びることができる。実施形態では、入口チャネルは、接続室に流体接続することができ、接続室から入口開口部まで延び、接続室は、圧縮室に流体接続される。この後の配置は、圧縮室と接続室との間の界面幾何学的形状を入口チャネルの幾何学的形状から独立して設計することができ、電気スイッチング装置の設計においてより柔軟性を提供するという利点を有する。
【0038】
好ましい実施形態では、入口チャネルは、設計を単純に保つために中空スポークとして形成することができる。
【0039】
好ましい実施形態では、入口チャネルは、アーク領域に対向する方向に見て半径方向外側に、長手方向軸に対して傾斜して延びる。言い換えれば、入口チャネルの入口チャネル軸は、圧縮段階において圧縮室から流出するアーク消去媒体の方向に見て、長手方向軸からの距離が増加するにつれて延伸する。この実施形態は、新鮮な低温アーク消去媒体が改善された方法で入口チャネル内に案内されるという利点を有する。
【0040】
本開示における「傾斜」には、「長手方向軸に垂直」な向きも含まれる。
この目的のために、長手方向軸に対する入口チャネル軸の傾斜角は、5°~85°、好ましくは30°~60°の範囲、より好ましくは約45°であり得る。これらの範囲は、新鮮な低温アーク消去媒体の効率的な案内をもたらすが、30°~60°の範囲の角度では、45°付近が最適であるという改善された結果が見出されている。
【0041】
また、電気スイッチング装置の使用位置において、入口チャネルが上方向に向けられている実施形態も考えられる。アークダストは、分離して重力の影響下でタンク容積の下側内壁、すなわち底部に蓄積するので、入口チャネルの上向きの配向は、入口開口部から蓄積されたアークダストまでの距離をさらに増加させる利点を有する。
【0042】
入口チャネルの上方向または下方向の選択は、アークダストの蓄積部位に影響を及ぼすタンク容積および排出システムの構造に依存し得る。同じ理由で、入口チャネルが下向きに配向され、さらなる入口チャネルが上向きに配向される実施形態も考えられる。
【0043】
好ましい実施形態では、それぞれの入口開口部のサイズを増加させることなく、タンク容積と圧縮室との間を流れるアーク消去媒体の量を増加させるために、複数の入口開口部を共に形成する各々の入口開口部を有する複数の入口チャネルを設けることができる。その結果、より多くのアーク消去媒体が流れることができるが、吸い込まれるアークダストの量はあまり増加しない。好ましくは、入口開口部は、単純な設計のために中空スポークとして形成される。
【0044】
好ましい実施形態では、複数の入口チャネルおよび対応する複数の入口開口部は、長手方向軸に対して軸対称に円周方向に分布している。この配置は、新鮮な低温アーク消去媒体の効率的な案内をもたらす。
【0045】
しかしながら、例えば排出システムの構造が対称的な配置を可能にしない場合、複数の入口チャネルを非対称に配置することも可能である。
【0046】
好ましい実施形態では、複数の入口チャネルおよび対応する複数の入口開口部は、長手方向対称面に対して対称に、長手方向軸に対して円周方向に分布している。この配置は、単純な設計を可能にする。
【0047】
好ましい実施形態では、複数の入口開口部は、電気スイッチング装置の使用位置において下方向に向けられている。この配置の利点は、既に詳細に上述されている。この向きは、入口チャネルの内壁に入って蓄積する可能性があるアークダストの量を低減する。これは、後期リストライクの可能性を低減し、より清浄なアーク消去媒体がアーク容積に到達することによる絶縁耐力の増加に役立つ。
【0048】
その結果、好ましい実施形態では、同じ数の入口チャネルが中央入口チャネルの両側に配置される。この配置は、単純な設計を可能にし、その利点は上述した。
【0049】
好ましい実施形態では、長手方向対称面は垂直に向けることができる。この配置では、アークダストは、重力の影響下で長手方向対称面の両側に均一に偏析される。さらに、長手方向対称面が複数の入口チャネルの中央入口チャネルを通って延びる実施形態では、中央チャネルおよびその対応する入口開口部は、複数の入口チャネルおよび入口開口部に対して最も低い位置に配置される。そのため、アークダストの侵入が最小限に抑えられる。
【0050】
好ましい実施形態では、複数のチャネル開口部は、長手方向軸に垂直な平面内で測定して5°~180°の範囲の中心角αを有する円形セクタ内で、長手方向軸に対して円周方向に分布している。円形セクタは、複数のチャネル開口部が円周方向に分布する角度開口部を画定する。これらの角度セクタは、入口チャネルに入るアークダストを最小限に抑える。60°~120°の範囲の好ましい角度αでは、入口チャネル付近に必要な機械的安定性を依然として提示しながら、入口チャネルに入るアークダストのさらなる低減を示すことができる。角度αの45°~90°の範囲は、この態様をさらに最適化するためにより好ましい。
【0051】
長手方向対称面を有する実施形態では、円形セクタは、結果的に長手方向対称面の両側に等しく延びる。この場合、60°の角度セクタは、複数のチャネル開口部が長手方向対称面の各側で30°にわたって円周方向に分布することを意味する。
【0052】
好ましい実施形態では、複数のチャネル開口部を円周方向に分布させることができ、チャネル開口部の少なくとも1つは、他のチャネル開口部に対して軸方向にオフセットされる。この配置は、入口開口部を支持する構造が弱められず、機械的安定性が改善されるように、連続する入口開口部間の円周方向距離を減少させることなく、60°~30°の狭い円形セクタ内にチャネル開口部を配置することを可能にする。
【0053】
好ましい実施形態では、入口開口部および複数の入口開口部はそれぞれ、タンク容積から圧縮室へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された補充弁と、圧縮室からタンク容積へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された過圧弁とに流体接続される。
【0054】
好ましい実施形態では、電気スイッチング装置は、アーク容積とは反対側の圧縮室に隣接するチャネル要素を備え、その中で入口開口部および複数の入口開口部がそれぞれ形成される。
【0055】
好ましい実施形態では、チャネル要素は、側壁を有する接続室を画定する、好ましくは円筒状に形成された中空導管として形成される。接続室は、導管端部で圧縮室に流体接続されるように設計されている。対向する端部は、排出システムから流体連通しないように気密に閉じられる。側壁は複数の窓を有し、そこから毎回1つの入口チャネルが半径方向外側に延び、複数の入口チャネルを形成する。各入口チャネルは、側壁を通って対応する入口開口部まで延び、複数の入口開口部を形成する。電気スイッチング装置の使用位置において下方向に外向きに延びるように入口チャネルを設計することも可能である。チャネル要素を設けることは、チャネル要素の幾何学的形状のみを調整することによって、電気スイッチング装置の設計を異なる排出構成に容易に適合させることができるという利点を有する。
【0056】
好ましい実施形態では、アーク消去媒体は、SFおよび/またはCOおよび/またはフルオロエーテル、オキシラン、フルオロアミン、フルオロケトン、フルオロオレフィン、フルオロニトリル、ならびにそれらの混合物および/または分解生成物からなる群から選択される有機フッ素化合物を含む誘電性絶縁媒体である。
【0057】
本開示の目的のために、電気スイッチング装置に使用されるアーク消去媒体は、SFガスまたは任意の他の誘電性絶縁媒体であってもよく、ガス状および/または液体であってもよく、特に誘電性絶縁ガスまたはアーク消去ガスであってもよい。そのような誘電性絶縁媒体は、例えば、有機フッ素化合物を含む媒体を包含することができ、そのような有機フッ素化合物は、フルオロエーテル、オキシラン、フルオロアミン、フルオロケトン、フルオロオレフィンならびにそれらの混合物および/または分解生成物からなる群から選択される。本明細書では、「フルオロエーテル」、「オキシラン」、「フルオロアミン」、「フルオロケトン」および「フルオロオレフィン」という用語は、少なくとも部分的にフッ素化された化合物を指す。特に、「フルオロエーテル」という用語は、ハイドロフルオロエーテルとパーフルオロエーテルの両方を包含し、「オキシラン」という用語は、ハイドロフルオロオキシランとパーフルオロオキシランの両方を包含し、「フルオロアミン」という用語は、ハイドロフルオロアミンとパーフルオロアミンの両方を包含し、「フルオロケトン」という用語は、ハイドロフルオロケトンとパーフルオロケトンの両方を包含し、「フルオロオレフィン」という用語は、ハイドロフルオロオレフィンとパーフルオロオレフィンの両方を包含する。それにより、フルオロエーテル、オキシラン、フルオロアミンおよびフルオロケトンは、完全にフッ素化されている、すなわち過フッ素化されていることが好ましい場合がある。
【0058】
高電圧または中電圧スイッチング装置では、特定のレベルを超えて加熱されるとアーク消去媒体が分解することがあり、これは特定の動作条件下で遭遇する可能性がある。この分解は、アーク消去媒体の絶縁特性を低下させるので望ましくない。SFは、冷却されると再結合し、それによって実質的にその完全な誘電特性を回復し、電気スイッチング装置の性能にプラスの影響を与えるという特性を有する。
【0059】
実施形態では、アーク消去媒体は、ひとつの(またはいくつかの)ハイドロフルオロエーテル、ひとつの(またはいくつかの)パーフルオロケトン、ひとつの(またはいくつかの)ハイドロフルオロオレフィン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
特に、本発明の文脈で使用される「フルオロケトン」という用語は広義に解釈されるべきであり、フルオロモノケトンおよびフルオロジケトンの両方または一般にフルオロポリケトンを包含するものとする。明示的には、炭素原子に隣接するカルボニル基が分子中に1つ以上存在し得る。この用語は、炭素原子間の二重および/または三重結合を含む飽和化合物および不飽和化合物の両方も包含するものとする。フルオロケトンの少なくとも部分的にフッ素化されたアルキル鎖は、直鎖または分岐鎖であってもよく、任意選択的に環を形成してもよい。
【0061】
実施形態では、アーク消去媒体は、フルオロモノケトンである、および/または分子の炭素骨格に組み込まれたヘテロ原子、例えば、1つ以上の炭素原子を置き換える窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの化合物を含む。より好ましくは、フルオロモノケトン、特にパーフルオロケトンは、3から15個または4から12個の炭素原子、特に5から9個の炭素原子を有することができる。最も好ましくは、それは正確に5個の炭素原子および/または正確に6個の炭素原子および/または正確に7個の炭素原子および/または正確に8個の炭素原子を含み得る。
【0062】
実施形態では、アーク消去媒体は、少なくとも3個の炭素原子を含むハイドロフルオロオレフィン(HFO)、正確に3個の炭素原子を含むハイドロフルオロオレフィン(HFO)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるフルオロオレフィンである少なくとも1つの化合物を含む。
【0063】
誘電性絶縁媒体は、有機フッ素化合物とは異なる(特に、フルオロエーテル、オキシラン、フルオロアミン、フルオロケトンおよびフルオロオレフィンとは異なる)バックグラウンドガスまたはキャリアガスをさらに含むことができ、実施形態では、空気、N、O、CO、希ガス、H;NO、NO、N、O;フルオロカーボン、特にCFなどのパーフルオロカーボン;CFI、SF;およびそれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0064】
好ましい実施形態では、有機フッ素化合物は、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロアミン、パーフルオロケトン、パーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択され、特に、バックグラウンドガスとの混合物に、より具体的には、空気、空気成分、窒素、酸素、二酸化炭素、窒素酸化物からなる群から選択されるバックグラウンドガス化合物との混合物にある。
【0065】
好ましい実施形態において、有機フッ素化合物は、4から15個の炭素原子を有するフルオロケトンであり、特にフルオロケトンは、正確に5個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に6個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に7個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に8個の炭素原子を有するフルオロケトンからなる群から選択され、上述の炭素原子の少なくとも1つを有するこのようなフルオロケトンはヘテロ原子によって置き換えられ、特に窒素および/または酸素および/または硫黄、ならびにそれらの混合物によって置き換えられ、および/またはフルオロニトリルは、2個の炭素原子、3個の炭素原子または4個の炭素原子を含むパーフルオロニトリルであり、特に、パーフルオロアルキルニトリル、具体的には、パーフルオロアセトニトリル、パーフルオロプロピオニトリル(CCN)および/またはパーフルオロブチロニトリル(CCN)であり、より具体的には、式(CFCFCNによるパーフルオロイソブチロニトリルおよび/または式CFCF(OCF)CNによるパーフルオロ-2-メトキシプロパンニトリルであることを特徴とする。
【0066】
実施形態では、フルオロニトリルは、フルオロエーテル、オキシラン、フルオロアミン、フルオロケトン、フルオロオレフィン、およびそれらの混合物および/または分解生成物からなる群から選択される有機フッ素化合物との混合物中にあり、特に、フルオロニトリルは、バックグラウンドガスとの混合物中にあり、より具体的には、空気、空気成分、窒素、酸素、二酸化炭素、窒素酸化物からなる群から選択されるバックグラウンドガス化合物との混合物中にある。
【0067】
六フッ化硫黄(SF6)は、その優れた誘電特性およびその化学的不活性のために、十分に確立された絶縁ガスである。これらの特性にもかかわらず、特にSF6のものよりも低い地球温暖化係数(GWP)を有する代替物を考慮して、代替絶縁ガスを探す努力が強化されている。
【0068】
非SF代替物を提供することを考慮して、有機フッ素化合物を誘電性絶縁媒体に使用することが提案されている。具体的には、国際公開第2010/142346号パンフレットは、4から12個の炭素原子を含有するフルオロケトンを含む誘電性絶縁媒体を提案している。
【0069】
フルオロケトンは高い誘電強度を有することが示されている。同時に、それらは非常に低い地球温暖化係数(GWP)および非常に低い毒性を有する。これらの特徴の組み合わせにより、フルオロケトンはSFの実行可能な代替物を構成する。
【0070】
これに関するさらなる発展は、国際公開第2012/080246号パンフレットに反映されており、これは、キャリアガス、特に空気または空気成分との混合物中に、正確に5個の炭素原子、特に1,1,1,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-ブタン-2-オンを含有するフルオロケトンを含む誘電性絶縁ガスを示唆しており、このフルオロケトンは、フルオロケトンと一緒になって、絶縁媒体のガス成分の誘電強度の合計に対し絶縁媒体の誘電強度の非線形増加をもたらす。
【0071】
別の「非SF」絶縁媒体を見つけるさらなる試みは、国際公開第2013/151741号パンフレットに反映されており、これは、ヘプタフルオロイソブチロニトリル、(CFCFCN、または2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメトキシ)プロパンニトリル(CFCF(OCF)CN)を誘電流体として使用することを示唆している。
【0072】
国際公開第2015/040069号明細書には、ヘプタフルオロイソブチロニトリル、二酸化炭素および酸素を含むガス状媒体が収容されたハウジングを備える中電圧または高電圧の電気装置が記載されている。
【0073】
図面の説明
本発明の実施形態、利点、および用途は、従属請求項、請求項の組み合わせ、ならびに以下の説明および図から得られる。図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明による高電圧回路遮断器の実施形態の概略断面図である。
図2図1の回路遮断器の長手方向軸に沿って見たときに表される、チャネル要素の一実施形態の斜視正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、開放構成の高電圧回路遮断器1の一実施形態の断面図を示す。示されている高電圧回路遮断器1は、本発明による電気スイッチング装置の例示的な実施形態である。本発明に関連する遮断器の要素について説明するが、遮断器1の動作原理の詳細な説明は省略する。
【0076】
電気スイッチング装置1は、長手方向軸zに対して本質的に回転対称であり得る。純粋に例示的な高電圧回路遮断器1は、通常は円筒形であり、かつ長手方向軸zの周りに配置され、かつ容積タンク9を画定する外部エンクロージャ5によって囲まれている。電気スイッチング装置1は、複数の接触フィンガ3aを有する第1の公称接点を備える公称接点構成3a、3bを含み、フィンガのうちの2つのみが明確にするためにここに示されている。公称接触フィンガ3aは、長手方向軸zの周りにフィンガケージとして形成される。公称接点構成は、公称接触フィンガ3aと長手方向軸zの周りに同軸に配置され、かつ通常は金属管である第2の嵌合公称接点3bをさらに備える。遮蔽体5aは、第1および第2の公称接点3a、3bの周りに配置することができる。
【0077】
スイッチング装置1は、第1のアーク接点4aと、第1のアーク接点4aと長手方向軸zの周りに同軸に配置された第2のアーク接点4bとを備えるアーク接点構成4a、4bをさらに備える。第1の公称接点3aと同様に、第1のアーク接点4aも、フィンガケージ内に配置された複数のフィンガ4aを備える。第2のアーク接点4bは、通常、ロッド状である。
【0078】
接触フィンガ3a、4aは、それらが互いに電気的に接触している閉構成から、それらが互いに離れている図1に示す開構成に、およびその逆に、接点3b、4bに対して相対的に移動可能である。
【0079】
本発明の説明のために、第1の公称接点3aおよび第1のアーク接点4aのみが長手方向軸zに沿って移動可能であり、第2の公称接点3bおよび第2のアーク接点4bは静止していると仮定する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。
【0080】
第1の公称接点3aおよび第1のアーク接点4aは、移動側電流導体15に接続される。第2の公称接点3bおよび第2のアーク接点4bは、固定側電流導体14に電気的に接続されている。
【0081】
本明細書で使用される「閉構成」は、電気スイッチング装置1の公称接点および/またはアーク接点が閉じている、すなわち互いに接触していることを意味する。したがって、本明細書で使用される「開構成」は、電気スイッチング装置1の公称接点および/またはアーク接点が開いている、すなわち分離されていることを意味する。
【0082】
上述したように、電気スイッチング装置1は、アーク接点4a、4b間の距離が依然として非常に小さいため、アーク接点4a、4b間に電気アーク3が依然として存在する瞬間の開放プロセス中の図1に示されている。本開示では、電気アーク3の周囲の容積は、アーク容積6と呼ばれる。
【0083】
さらに、スイッチング接点1は、長手方向軸zの周りに同軸に配置され、かつスイッチング装置1が閉じられたときにアーク接点4a、4bの接触位置がノズル6a内に配置されるようにアーク容積6を囲むノズル6aを備える。
【0084】
第1のアーク接点4aは、排出管7aのアーク側のアーク容積6と、排出管7の排出側、すなわち、排出管のアーク容積6とは反対側の第1の排出容積7’とに流体接続された排出管7aに取り付けられている。
【0085】
したがって、第1の排出容積7’は、第1のアーク接点4aを有するスイッチング装置1の第1の側で、アーク容積6から流出する排出ガスの方向に見て、アーク容積6の下流に配置される。第1の排出容積7’は、第1の壁7bによって囲まれ、排出管7から来る排出ガスを受け入れるための第1の排出ガス通路11aと、エンクロージャ5によって画定されたタンク容積9内の排出ガスを排出するための第1の排出開口部12aとを備える。
【0086】
第2の排出容積8’は、第2のアーク接点4bを有するスイッチング装置1の第2の側で、アーク容積6から流出する排出ガスの方向に見て、アーク容積6の下流に配置される。第2の排出容積8’は、第2の壁8bによって囲まれ、アーク領域6から来る排出ガスを受け入れるための第2の排出ガス通路11bを備える。第2の排出容積8’は、タンク容積9に流体接続された第2の排出開口部12bを有する。
【0087】
本実施形態では、第2の排出容積8’は、第2の排出ガス通路11bおよび第2の排出開口部12bに流体接続された中間壁8aによって囲まれた中間容積8を含む。
【0088】
排出管7、第1の排出容積7’、第2の排出容積8’、および中間容積8は、アーク容積6を取り囲む排出システムを形成する。排出管7aおよび第1の排出容積7’は、アーク容積6を第1の排出開口部12aに流体接続する排出チャネル7を形成する。
【0089】
エンクロージャ5およびタンク容積9は、少なくとも部分的に、またはここでの場合のように、排出システムを完全に取り囲む。
【0090】
排出システムは、長手方向に延びる圧縮ガイド16と、気密に圧縮ガイド16内に摺動可能に配置されたピストン18とをさらに備える。ピストンは、第1の公称接点3aによって少なくとも部分的に形成される。ピストン18は、アーク容積6に面する側が開いており、アーク容積6に面する側の圧縮ガイド16と共に、アーク容積6に流体接続された加熱室10を画定する。ピストン18と圧縮ガイド16との間の圧縮ガイド16内の容積は、圧縮室20を画定する。加熱室10は、分離弁22によって圧縮室20に流体接続される。
【0091】
図1では、第2のアーク接点4bは、排出管7によって少なくとも部分的に形成された第1のアーク接点4aともはや嵌合しない。したがって、アーク消去媒体は、加熱室10からノズル6aおよび排出管7aを通ってタンク容積9の方向に流れることができる。
【0092】
本実施形態では、排出管7aは、ピストン底壁を通って長手方向軸zを中心に長手方向に延び、排出管7aは気密にしっかりと接続されている。排出管7aは、圧縮室底壁70を通って気密に摺動可能にさらに延び、第1の排出容積7’に開口する。
【0093】
中空スポークの形態の複数の入口チャネル30は、圧縮室20に流体接続され、毎回圧縮室20から入口開口部13まで延び、タンク容積9に流体接続された複数の入口開口部13を形成する。図1に見られるように、1つの入口チャネル30および1つの入口開口部13のみが示されている。入口チャネル30と排出チャネル7とは、互いに流体的に分離されている。膨張段階では、入口開口部13を介して吸引されたアーク消去媒体をタンク容積9から圧縮容積20に補充することができる。
【0094】
入口チャネル30は、電気スイッチング装置1の使用位置において下方向に向けられている。この向きは、入口チャネル30の内壁に入って蓄積する可能性があるアークダストの量を低減する。その結果、後の段階で圧縮室20に入ることができるアークダストの量をさらに低減する。
【0095】
電気スイッチング装置1の使用位置は、現場で使用するための電気スイッチング装置1の取り付け位置に対応する。この場合、使用位置は水平方向に延びる長手方向軸zに対応し、下向きの方向は重力方向に延びると理解されるべきである。使用位置において、移動側電流導体15および固定側電流導体14は、電気スイッチング装置1の重力方向とは反対側に配置される。入口開口部13は、長手方向軸(z)に沿ってアーク領域6と対向する方向に見て、第1の排出開口部12aの後に配置される。この配置により、入口開口部13が第1の排出開口部12aに隣接する領域において、排出システムから入口チャネル30に流入する排出ガスが低減される。
【0096】
具体的には、圧縮室20は、圧縮室底壁70に配置された補充弁24および過圧弁26を介して複数の入口開口部13に流体接続される。補充弁24は、タンク容積9から圧縮室20へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計されており、過圧弁26は、圧縮室20からタンク容積9へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設けられている。
【0097】
電気スイッチング装置1は、アーク容積6とは反対側で圧縮ガイド16に隣接するチャネル要素23を備え、その中で複数の入口開口部13は、排出チャネル7との流体接続がないように形成される。チャネル要素23は、圧縮ガイド16と、チャネル要素23を通って気密に摺動可能に延びる排出管7aの排出端との間に配置される。
【0098】
図2を参照すると、本発明による電気スイッチング装置1から分解された、チャネル要素23の例示的な実施形態が示されている。チャネル要素23は、スイッチング装置1の長手方向軸zに対して実質的に円筒対称性を有する。これは、側壁60aを有する接続室66を画定する中空円筒導管60として形成される。
【0099】
チャネル要素23は、チャネル要素23を電気スイッチング装置1の支持構造に固定するために、アーク容積6とは反対側の導管端部に配置された第1のフランジ62を備える。本実施形態では、支持構造は、図1に示す壁68を含み、接続室66と排出システム2、ここでは具体的には第1の排出容積7’との間に分離部を形成する。それはまた、チャネル要素23を圧縮ガイド16に固定し、圧縮室20への接続室66の流体接続を可能にするために、アーク容積6に面する導管端部に配置された第2のフランジ64を備える。
【0100】
アーク容積6に面する導管端部は、排出管7aの通過、およびピストン18と共に長手方向軸zに沿った排出管7aの変位を可能にする。チャネル要素23の取り付け状態において、排出管7aは、接続室66との流体接続がない。言い換えると、排出管7aを流れる流体、例えば排出ガスは、接続室66に流入することができない。
【0101】
さらに、アーク容積6に面する導管端部は、上述したように、接続室66の圧縮室20への流体接続を可能にするように設計されている。流体接続は、圧縮室底壁70に設けられた補充弁24および過圧弁26で行うことができる。
【0102】
側壁60aの内側は、複数の窓72a、72bおよび72cを有し、そこから毎回1つの入口チャネル30が半径方向外側に延び、複数の入口チャネル30を形成する。各入口チャネル30は、側壁60aを通って対応する入口開口部13まで延び、複数の入口開口部13を形成する。入口チャネル30は、チャネル要素23の内部容積をタンク容積9に流体接続する中空スポークとして形成され、各々が窓72a、72bおよび72cから側壁60aから半径方向外側に突出している。
【0103】
図2に示す実施形態は、複数の窓のうちの中央窓72aを通って延びる長手方向対称面に対して対称に配置された、長手方向軸zに沿って延びる3つの本質的に長方形の窓を有する。複数の窓は、対称面に対して対称に、約90°の角度セクタα(アルファ)に配置される。周方向に測定すると、各窓の透明開口部は、5°~10°の角度β(ベータ)の範囲であり得る。現在、窓72a、72b、および72cは、互いに同一に形成され、約45°の角度セクタγ(ガンマ)によって互いに等間隔に離間されている。図2の斜視図では見えない対応する入口開口部13は、この実施形態では、側壁60aの外側、すなわちタンク容積9に面する側壁60aの側に、それぞれの入口チャネルの他端に同じ幾何学的形状で分布して形成されている。
【符号の説明】
【0104】
参照符号のリスト
1 遮断器
2 排出システム
3 電気アーク
3a 第1の公称接点の接触フィンガ
3b 第2の公称接点
4a 第1のアーク接点
4b 第2のアーク接点
5 エンクロージャ
5a 遮蔽体
6 アーク容積
7’ 第1の排出容積
7 排出チャネル
7a 排出管
7b 第1の排出容積の壁
8 第2の中間容積
8’ 第2の排出容積
8a 第2の中間容積の壁
8b 第2の排出容積の壁
9 タンク容積
10 加熱室
11a 第1の排出通路
11b 第2の排出通路
12a 第1の排出開口部
12b 第2の排出開口部
13 入口開口部
14 固定側電流導体
15 移動側電流導体
16 圧縮ガイド
18 ピストン
20 圧縮室
22 分離弁
23 チャネル要素
24 補充弁
26 過圧弁
30 入口チャネル、スポーク
60 円筒導管
60a 側壁
62 第1のフランジ
64 第2のフランジ
66 接続室
70 圧縮室底壁
72a、72b、72c 側壁60aの窓
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(z)を有し、タンク容積(9)を画定する電気スイッチング装置(1)であって、前記長手方向軸(z)に平行に、互いに対して移動可能であり、前記スイッチング装置(1)の閉状態と開状態との間を切り替えるように互いに協働する第1の公称接点(3a)および嵌合する第2の公称接点(3b)を有する公称接点構成と、前記長手方向軸に平行に、互いに対して移動可能であり、前記閉状態と前記開状態との間を切り替えるように互いに協働する、前記第1の公称接点(3a)に関連する第1のアーク接点(4a)および前記第2の公称接点(3b)に関連する嵌合する第2のアーク接点(4b)を有するアーク接点構成であって、前記第1のアーク接点(4a)および前記第2のアーク接点(4b)は、その中でアーク(3)が前記閉状態と前記開状態との間の切り替え中に発生し、アーク消去媒体が存在するアーク容積(6)を画定する、アーク接点構成と、前記アーク容積(6)を取り囲む排出システム(2)であって、前記タンク容積(9)に流体接続された第1の排出開口部(12a)と、前記アーク容積(6)から前記第1の排出開口部(12a)まで延びる排出チャネル(7)とを備え、前記排出チャネル(7)は、前記アーク容積(6)から前記第1の排出開口部(12a)を通って前記タンク容積(9)に高温のアーク消去媒体を消散させるように設計され、前記排出システム(2)は、前記長手方向軸(z)に沿って延びる圧縮ガイド(16)と、前記圧縮ガイド(16)内に摺動可能に配置されたピストン(18)であって、前記圧縮ガイド(16)と共に前記アーク容積(6)に面する側に、前記アーク容積(6)に流体接続された加熱室(10)を画定し、前記圧縮ガイド(16)と共に前記アーク容積(6)に対向する側に、前記タンク容積(9)に流体接続された圧縮室(20)を画定する、ピストン(18)と、前記圧縮室(20)に流体接続され、前記タンク容積(9)に流体接続された入口開口部(13)まで延びる入口チャネル(30)であって、前記入口チャネル(30)と前記排出チャネル(7)とは互いに流体分離されており、前記入口チャネル(30)は、前記アーク領域(6)に対向する方向に見て半径方向外側に、前記長手方向軸(z)に対して傾斜して延びており、かつ、前記入口チャネル(30)は、前記電気スイッチング装置(1)の使用位置において下方向に向けられており、当該使用位置は水平方向に延びる前記長手方向軸(z)に対応し、下方向とは重力方向に延びる方向であると定義されることを特徴とし、前記長手方向軸(z)に沿って前記アーク領域(6)に対向する方向に見て、前記入口開口部(13)は、前記第1の排出開口部(12a)の後に配置されていることを特徴とする、入口チャネル(30)と、をさらに備える排出システム(2)と、を備える、電気スイッチング装置(1)。
【請求項2】
前記入口開口部(13)は、互いに重複領域なく前記第1の排出開口部(12a)の後に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項3】
好ましくは中空スポークとして形成された複数の入口チャネル(30)を特徴とする、請求項1または2に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項4】
前記複数の入口チャネル(30)は、前記長手方向軸(z)に対して軸対称に円周方向に分布していることを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項5】
前記複数の入口チャネル(30)は、前記長手方向軸(z)に対して円周方向に、好ましくは前記複数の入口チャネル(30)の中央入口チャネル(30)を通って延びる長手方向対称面に対して対称に分布し、前記複数の入口チャネル(30)は、対応する複数の入口開口部(13)を有することを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項6】
前記複数の入口開口部(13)は、前記電気スイッチング装置(1)の前記使用位置において下方向に向けられていることを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項7】
前記複数のチャネル開口部(30)は、前記長手方向軸(z)に垂直な平面内で測定して5°~180°、好ましくは60°~120°の範囲の中心角αを有する円形セクタ内で、前記長手方向軸(z)に対して円周方向に分布していることを特徴とする、請求項またはに記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項8】
前記入口開口部(13)および前記複数の入口開口部(13)はそれぞれ、前記タンク容積(9)から前記圧縮室(20)へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された補充弁(24)と、前記圧縮室(20)から前記タンク容積(9)へのアーク消去媒体の通過を可能にするように設計された過圧弁(26)とに流体接続されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項9】
前記アーク容積(6)とは反対側の前記圧縮室(20)に隣接するチャネル要素(23)を特徴とし、その中で前記入口開口部(13)および前記複数の入口開口部(13)がそれぞれ形成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項10】
前記アーク消去媒体は、SF、および/またはCOおよび/またはフルオロエーテル、フルオロアミン、フルオロケトン、フルオロオレフィン、フルオロニトリル、ならびにそれらの混合物および/または分解生成物からなる群から選択されるおよび/もしくは有機フッ素化合物を含む誘電性絶縁媒体であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項11】
前記有機フッ素化合物は、パーフルオロエーテル、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロアミン、パーフルオロケトン、パーフルオロオレフィン、ハイドロフルオロオレフィン、パーフルオロニトリル、およびそれらの混合物からなる群から選択され、特に、バックグラウンドガスとの混合物に、より具体的には、空気、空気成分、窒素、酸素、二酸化炭素、窒素酸化物からなる群から選択されるバックグラウンドガス化合物との混合物にあることを特徴とする、請求項10に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項12】
前記有機フッ素化合物は、4から15個の炭素原子を有するフルオロケトンであり、特に前記フルオロケトンは、正確に5個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に6個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に7個の炭素原子を有するフルオロケトン、正確に8個の炭素原子を有するフルオロケトンからなる群から選択され、上述の前記炭素原子の少なくとも1つを有するこのようなフルオロケトンはヘテロ原子によって置き換えられ、特に窒素および/または酸素および/または硫黄、ならびにそれらの混合物によって置き換えられ、および/または前記フルオロニトリルは、2個の炭素原子、3個の炭素原子または4個の炭素原子を含むパーフルオロニトリルであり、特に、パーフルオロアルキルニトリル、具体的には、パーフルオロアセトニトリル、パーフルオロプロピオニトリル(CCN)および/またはパーフルオロブチロニトリル(CCN)であり、より具体的には、式(CFCFCNによるパーフルオロイソブチロニトリルおよび/または式CFCF(OCF)CNによるパーフルオロ-2-メトキシプロパンニトリルであることを特徴とする、請求項10または11に記載の電気スイッチング装置(1)。
【請求項13】
前記誘電性絶縁媒体は、前記有機フッ素化合物とは異なるバックグラウンドガスをさらに含むことができ、空気、N、O、CO、希ガス、H;NO、NO、N O;フルオロカーボン、特にCFなどのパーフルオロカーボン;CFI、SF;およびそれらの混合物を含む群から選択することができることを特徴とする、請求項1012のいずれか1項に記載の電気スイッチング装置(1)。
【国際調査報告】