(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】紫外線・青色光遮断コーティング液、ガラス及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
C09D 1/00 20060101AFI20231208BHJP
C03C 17/30 20060101ALI20231208BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20231208BHJP
C09D 183/02 20060101ALI20231208BHJP
C09D 7/48 20180101ALI20231208BHJP
C09D 5/32 20060101ALI20231208BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20231208BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20231208BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231208BHJP
【FI】
C09D1/00
C03C17/30 A
C03C27/12 Z
C09D183/02
C09D7/48
C09D5/32
C09D7/20
C09D7/61
C09D7/63
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534189
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2021137433
(87)【国際公開番号】W WO2022127733
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011469860.1
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516151818
【氏名又は名称】フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パン,キルイ
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シャンジ
(72)【発明者】
【氏名】サン,インイン
(72)【発明者】
【氏名】ザン,カンゾン
(72)【発明者】
【氏名】ケ,チェン
【テーマコード(参考)】
4G059
4G061
4J038
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC07
4G059FA05
4G059FB05
4G061AA20
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB19
4G061CB20
4G061CD03
4G061CD18
4J038AA011
4J038DL021
4J038HA096
4J038JA18
4J038JA27
4J038JA54
4J038JC38
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA12
4J038MA06
4J038MA09
4J038NA19
4J038PC03
(57)【要約】
紫外線・青色光遮断コーティング液は、シリカゾル及びキレート剤を含有する。シリカゾルはケイ酸塩、第1の溶媒、第1のカップリング剤、第1の触媒、及び脱イオン水を含有する。キレート剤は紫外線吸収剤、青色光吸収剤、第2の溶媒、第2の触媒、及び第2のカップリング剤を含有する。紫外線・青色光遮断ガラスは湾曲ガラス板(1)及び紫外線・青色光遮断コーティング(2)を備える。紫外線・青色光遮断合わせガラスは、紫外線・青色光遮断ガラス、中間接着層、及び第2のガラス板を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線・青色光遮断コーティング液であって、紫外線・青色光遮断コーティングを基材の表面に形成するために用いられ、前記紫外線・青色光遮断コーティング液は、シリカゾル及びキレート剤を含有し、
前記シリカゾルは質量%で、ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を含有し、
前記キレート剤は質量%で、紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を含有する、
ことを特徴とする紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項2】
前記シリカゾルごとに質量%で前記キレート剤 5%~20%が添加されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項3】
前記ケイ酸塩としては、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランのうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項4】
前記第1のカップリング剤及び前記第2のカップリング剤としてはいずれも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、[3-(2,3-エポキシプロポキシ)-プロピル]-トリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項5】
前記第1の溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びプロピレングリコールメチルエーテルのうちの少なくとも1つであり、前記第2の溶媒は酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸イソブチル、及びキシレンのうちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項6】
前記第1の触媒は塩酸、硝酸、及びアンモニア溶液のうちの少なくとも1つであり、前記第2の触媒はジブチル錫ジラウレート、有機ビスマス触媒、及びビス(2-エチルヘキサン酸)すず(II)のうちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項7】
前記紫外線吸収剤は、330nm~370nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有し、前記青色光吸収剤は、400nm~420nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項8】
前記紫外線吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であり、前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンズイミダゾール系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤のうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項9】
前記青色光吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であり、前記青色光吸収剤としては、アゾ系青色光吸収剤、イソインドリノン系青色光吸収剤、キノフタロン系青色光吸収剤、ベンズイミダゾロン系青色光吸収剤、及び有機-無機複合系青色光吸収剤のうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の紫外線・青色光遮断コーティング液。
【請求項10】
紫外線・青色光遮断ガラスであって、湾曲ガラス板及び紫外線・青色光遮断コーティングを備え、前記紫外線・青色光遮断コーティングは前記湾曲ガラス板の少なくとも1つの表面に配置されており、前記紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤及び青色光吸収剤を含有し、前記紫外線・青色光遮断コーティングの厚さは2μm~12μmであり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が20%より小さい、
ことを特徴とする紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項11】
前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における前記透過率が2%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における前記最大透過率が20%以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項12】
前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における前記透過率が1%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における前記最大透過率が10%以下である、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項13】
前記紫外線・青色光遮断コーティングの波長460nmにおける透過率T
460と、波長410nmにおける透過率T
410との比は、
4≦T
460/T
410≦60を満たす、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項14】
前記紫外線・青色光遮断コーティングの波長460nmにおける透過率T
460と、波長410nmにおける透過率T
410との比は、
4≦T
460/T
410≦12を満たす、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項15】
前記湾曲ガラス板は400nm~800nmの波長範囲内において、透過率が70%以上である、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項16】
前記紫外線・青色光遮断コーティングは、400nm~800nmの波長範囲内における透過率が70%以上である、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項17】
前記紫外線・青色光遮断コーティングは、3000時間のキセノンランプエージング試験を経た後、400nm~800nmの波長範囲内において、透過率が70%以上であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは、平面摩耗試験機による1000回転の耐摩耗性試験を経た後、試験前後のヘイズ差が2%より小さい、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項18】
前記湾曲ガラス板は、フラットガラス板に対して少なくとも560℃の高温熱処理及び曲げ工程を行うことにより取得される、
ことを特徴とする請求項10に記載の紫外線・青色光遮断ガラス。
【請求項19】
紫外線・青色光遮断合わせガラスであって、請求項10~18のいずれか一項に記載の紫外線・青色光遮断ガラスと、中間接着層と、第2のガラス板とを備え、前記中間接着層は前記紫外線・青色光遮断ガラスと前記第2のガラス板との間に挟まれており、前記紫外線・青色光遮断ガラスは前記湾曲ガラス板及び前記紫外線・青色光遮断コーティングを備え、前記紫外線・青色光遮断コーティングは前記湾曲ガラス板の少なくとも1つの表面に配置されており、前記紫外線・青色光遮断コーティングは、前記湾曲ガラス板と前記中間接着層との間に位置する、
ことを特徴とする紫外線・青色光遮断合わせガラス。
【請求項20】
調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスであって、順次積層されている第1のガラス板、第1の接着層、調光構造又は発光構造、第2の接着層、及び第2のガラス板を備え、
前記第1のガラス板と前記調光構造もしくは前記発光構造との間に、及び/又は前記第2のガラス板と前記調光構造もしくは前記発光構造との間に、紫外線・青色光遮断コーティングが配置されており、前記紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤、及び青色光吸収剤を備え、前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が20%より小さい、
ことを特徴とする調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称を「紫外線・青色光遮断コーティング液、ガラス及びその製造方法」とする、2020年12月15日に出願された中国特許出願第202011469860.1号の優先権を主張し、そのすべての内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、表面コーティングの技術分野に関し、特に、ガラスの表面に塗布される機能コーティングに関する。具体的に、紫外線・青色光遮断コーティング液、紫外線・青色光遮断ガラス及び紫外線・青色光遮断ガラス合わせガラスが提供され、また、調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスがさらに提供される。
【背景技術】
【0003】
赤外線遮断、紫外線遮断、疎水疎油、防曇などの要件を満たすように、表面コーティングの技術により基材の表面に機能コーティングが形成されることができる。紫外線遮断コーティングは、紫外線の透過率を大幅に低下させ、紫外線による人間への健康被害を軽減し、自動車内装や家屋内装の短期的な老化、退色を防止することができる。ガラス基板の表面に紫外線遮断コーティングを形成することは既に成熟的な技術であり、例えば、日本特許JP2009184882A(特開2009-184882)、JP2013189345A(特開2013-189345)及び中国特許CN102892851A、CN103347833A、CN111819160Aなどには、以下のことが開示されている。ガラス基板の表面に紫外線遮断コーティング液を塗布することにより、紫外線遮断コーティングを形成する。紫外線遮断コーティングを有するガラス基板は、優れた紫外線遮断能力、高い硬度や耐摩耗性などの機械的耐久性を備える。
【0004】
可視光スペクトルにおいて、一般に、波長範囲が400nm~500nmである光は青色光と定義され、400nm~420nmの波長範囲における短波長青色光は、エネルギーが高く、視覚疲労、グレア、網膜の黄斑変性症などの網膜への損傷を引き起こすため、短波長青色光の透過率の低減が求められる。中国特許CN109455945Aには、反射型の青色光遮断ガラス及びその製造方法が開示されており、その反射型の青色光遮断ガラスは、ガラス基材及び青色光遮断コーティングを備える。その青色光遮断コーティングは、反射機能を有するコーティング液により形成され、400~450nmの波長範囲における青色光反射率が50%で、耐摩耗性が自動車ガラスの表面コーティングの性能要件を満たすことができないため、主に電子製品に適用される。
【0005】
また、中国特許CN111201457Aには、一対のガラス板と、上記一対のガラス板の間に配置される調光体と、上記調光体と一方のガラス板との間に配置される紫外線吸収層と、を備えるガラス構成体が開示されている。上記紫外線吸収層は、370nm以上且つ400nm以下の波長領域における最大透過率が10%以下で、400nmより大きく且つ420nm以下の波長領域における最大透過率が50%以上である。400nmより大きく且つ420nm以下の波長領域における最大透過率が50%未満であれば、ガラス構造体は、太陽光によって照射されると着色しているように見える。
【発明の概要】
【0006】
本発明の解決しようとする技術課題は、従来技術における青色光遮断コーティング及び紫外線吸収層が、紫外線及び青色光を同時に遮断することができない欠点であり、それに対して、紫外線・青色光遮断コーティング液と、当該紫外線・青色光遮断コーティング液を塗布することにより形成された紫外線・青色光遮断ガラスと、当該紫外線・青色光遮断ガラスの製造方法とが提供され、同時に、調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスがさらに提供される。
【0007】
本発明において、上記技術課題のための技術的解決策は以下を含む。紫外線・青色光遮断コーティング液は、紫外線・青色光遮断コーティングを基材の表面に形成するために用いられ、シリカゾル及びキレート剤を含有する。
シリカゾルは質量%で、ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を含有する。
キレート剤は質量%で、紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を含有する。
【0008】
好ましくは、シリカゾルごとに質量%でキレート剤 5%~20%が添加されている。
【0009】
好ましくは、ケイ酸塩としては、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランのうちの少なくとも1つから選択される。
【0010】
好ましくは、第1のカップリング剤及び第2のカップリング剤としてはいずれも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、[3-(2,3-エポキシプロポキシ)-プロピル]-トリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つから選択される。
【0011】
好ましくは、第1の溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びプロピレングリコールメチルエーテルのうちの少なくとも1つであり、第2の溶媒は酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸イソブチル、及びキシレンのうちの少なくとも1つである。
【0012】
好ましくは、第1の触媒は塩酸、硝酸、及びアンモニア溶液のうちの少なくとも1つであり、第2の触媒はジブチル錫ジラウレート、有機ビスマス触媒、及びビス(2-エチルヘキサン酸)すず(II)のうちの少なくとも1つである。
【0013】
好ましくは、紫外線吸収剤は、330nm~370nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有し、青色光吸収剤は、400nm~420nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有する。
【0014】
好ましくは、紫外線吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であり、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンズイミダゾール系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤のうちの少なくとも1つから選択される。
【0015】
好ましくは、青色光吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であり、青色光吸収剤としては、アゾ系青色光吸収剤、イソインドリノン系青色光吸収剤、キノフタロン系青色光吸収剤、ベンズイミダゾロン系青色光吸収剤、及び有機-無機複合系青色光吸収剤のうちの少なくとも1つから選択される。
【0016】
本発明において、紫外線・青色光遮断ガラスが提供される。当該紫外線・青色光遮断ガラスは、湾曲ガラス板及び紫外線・青色光遮断コーティングを備える。紫外線・青色光遮断コーティングは湾曲ガラス板の少なくとも1つの表面に配置されている。紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤及び青色光吸収剤を含有する。紫外線・青色光遮断コーティングの厚さは2μm~12μmである。紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が30%より小さい。
【0017】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が2%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が20%以下である。
【0018】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が1%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が10%以下である。
【0019】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングの波長460nmにおける透過率T460と、波長410nmにおける透過率T410との比は、4≦T460/T410≦60を満たす。
【0020】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングの波長460nmにおける透過率T460と、波長410nmにおける透過率T410との比は、4≦T460/T410≦12を満たす。
【0021】
好ましくは、湾曲ガラス板は400nm~800nmの波長範囲内において、透過率が70%以上である。
【0022】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、400nm~800nmの波長範囲内における透過率が70%以上である。
【0023】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、3000時間のキセノンランプエージング試験を経た後、400nm~800nmの波長範囲内において、透過率が70%であり、紫外線・青色光遮断コーティングは、平面摩耗試験機による1000回転の耐摩耗性試験を経た後、試験前後のヘイズ差が2%より小さい。
【0024】
好ましくは、湾曲ガラス板は、フラットガラス板に対して少なくとも560℃の高温熱処理及び曲げ工程を行うことにより取得される。
【0025】
本発明において、紫外線・青色光遮断合わせガラスが提供される。当該紫外線・青色光遮断合わせガラスは、紫外線・青色光遮断ガラスと、中間接着層と、第2のガラス板とを備える。中間接着層は、紫外線・青色光遮断ガラスと第2のガラス板との間に挟まれている。紫外線・青色光遮断ガラスは、湾曲ガラス板及び紫外線・青色光遮断コーティングを備える。紫外線・青色光遮断コーティングは、湾曲ガラス板の少なくとも1つの表面に配置されている。紫外線・青色光遮断コーティングは、湾曲ガラス板と中間接着層との間に位置する。
【0026】
本発明において、紫外線・青色光遮断ガラスの製造方法が提供される。当該製造方法は以下のステップを含む。
【0027】
ステップ1:質量%で、紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を混合して、還流攪拌してキレート剤を得る。
【0028】
ステップ2:質量%で、ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を混合して、攪拌してシリカゾルを得る。
【0029】
ステップ3:シリカゾルごとに質量%でキレート剤 5%~20%を添加して、混合撹拌して紫外線・青色光遮断コーティング液を得る。
【0030】
ステップ4:上記紫外線・青色光遮断コーティング液を湾曲ガラス板1の少なくとも1つの表面に塗布し、80~120℃で硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスを得る。
【0031】
好ましくは、ステップ1では、100~150℃の温度で2~8時間還流攪拌する。
【0032】
好ましくは、ステップ2では、60~120分間攪拌し、ステップ3では、少なくとも120分間混合撹拌し、ステップ4では、80~120℃で硬化させる時間は10~200分であることが好ましい。
【0033】
好ましくは、上記ステップ4は、80~120℃で硬化させることの前に、湾曲ガラス板の表面に塗布された紫外線・青色光遮断コーティング液に対して、温度20~60℃且つ湿度45%~65%の条件で、時間20~40分の予備乾燥を行うことをさらに含む。
【0034】
本発明において、調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスが提供される。当該調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスは、順次積層されている第1のガラス板、第1の接着層、調光構造又は発光構造、第2の接着層、及び第2のガラス板を備える。第1のガラス板と調光構造もしくは発光構造との間に、及び/又は第2のガラス板と調光構造もしくは発光構造との間に、紫外線・青色光遮断コーティングが配置されている。紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤、及び青色光吸収剤を備える。紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が30%より小さい。
【0035】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が2%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が20%以下である。
【0036】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が1%以下であり、紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が10%以下である。
【0037】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングの波長460nmにおける透過率T460と、波長410nmにおける透過率T410との比は、4≦T460/T410≦60を満たす。
【0038】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、400nm~800nmの波長範囲内における透過率が70%以上である。
【0039】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、平面摩耗試験機による1000回転の耐摩耗性試験を経た後、試験前後のヘイズ差が2%より小さい。
【0040】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングの厚さは2μm~12μmである。
【0041】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、400nm~800nmの波長範囲内における透過率が70%より小さい。
【0042】
好ましくは、紫外線吸収剤は、330nm~370nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有し、青色光吸収剤は、400nm~420nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有する。
【0043】
好ましくは、上記調光構造は、紫外線・青色光遮断合わせガラスの可視光透過率を調整するために用いられ、上記調光構造は高分子分散液晶(polymer dispersed liquid crystal、PDLC)、懸濁粒子装置(suspended particle device、SPD)、又はエレクトロクロミック(electrochromic、EC)デバイスであり、上記発光構造は青色光又は白色光を発光することができ、上記発光構造は、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、無機発光ダイオード(inorganic light emitting diode、LED)、無機薄膜エレクトロルミネッセンス素子(inorganic thin film electro-luminescence element、TFEL)、又は有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子(organic thin film electroluminescence element、OTFEL)である。
【0044】
好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、第1のガラス板の表面に配置され且つ第1のガラス板と第1の接着層との間に位置し、又は、第2のガラス板の表面に配置され且つ第2のガラス板と第2の接着層との間に位置する。
【0045】
好ましくは、上記調光構造は、順次積層されている第1のキャリア層、第1の平面電極、調光層、第2の平面電極及び第2のキャリア層を備え、紫外線・青色光遮断コーティングは、第1のガラス板と第1のキャリア層との間に配置されおり、及び/又は第2のガラス板と第2のキャリア層との間に配置されている。
【0046】
より好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティングは、第1のキャリア層の表面に配置され且つ第1のキャリア層と第1の接着層との間に位置し、又は、第2のキャリア層の表面に配置され且つ第2のキャリア層と第2の接着層との間に位置する。
【0047】
より好ましくは、第1の平面電極及び第2の平面電極はいずれも透明導電層であり、透明導電層は、金属層、金属合金層又は金属酸化物層を含み、金属層としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)又はモリブデン(Mo)が用いられ、金属合金層は銀合金であり、金属酸化物層としては、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(fluorine-doped tin oxide、FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(aluminium-doped zinc oxide、AZO)、アンチモンドープ酸化スズ(antimony-doped tin oxide、ATO)が用いられる。
【0048】
好ましくは、第1のガラス板、第1の接着層、第2の接着層及び第2のガラス板のうちの少なくとも1つは本体着色である。
【0049】
より好ましくは、第1のガラス板及び第2のガラス板のうちの少なくとも1つは着色ガラスであり、着色ガラスの可視光透過率は70%未満である。
【0050】
より好ましくは、第1の接着層及び第2の接着層のうちの少なくとも1つは着色接着層であり、着色接着層の可視光透過率は44%以下である。
【0051】
本発明では、上記技術的解決策を採用するため、以下の有益な効果を有する。
【0052】
本発明に係る紫外線・青色光遮断コーティング液、紫外線・青色光遮断ガラス及びそのガラスの製造方法によれば、紫外線透過率と青色光透過率の両方を低下させ、紫外線及び青色光を同時に遮蔽する要件を満たすことができる。紫外線・青色光遮断コーティングは優れた耐老化性、耐摩耗性などの性能を備え、基材の通常の実用寿命を延ばすことができる。同時に、上記紫外線・青色光遮断コーティング液は揮発性有機化合物(volatile organic compound、VOC)の排出が極めて低く、環境に優しく、施工性も良好であるなどの利点を有し、上記紫外線・青色光遮断コーティングは自動車用ガラスの法令の規定にも適合し得る。上記紫外線・青色光遮断コーティング液、紫外線・青色光遮断ガラス及びそのガラスの製造方法を、調光構造又は発光構造を備える紫外線・青色光遮断合わせガラスに応用すれば、車外の紫外線及び青色光を遮断し、調光構造及び発光構造の通常の実用寿命を延ばすことができるだけでなく、調光構造を保護し、発光構造からの青色光を遮断することにより人間の目をよりよく保護し、さらに、日除け、プライバシー保護及びインテリジェントな省エネなどを実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、本発明に係る紫外線・青色光遮断ガラスの構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る紫外線・青色光遮断合わせガラスの構造を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る調光構造を備える紫外線・青色光遮断合わせガラスの第1の構造を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る調光構造を備える紫外線・青色光遮断合わせガラスの第2の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照しながら本発明の内容をさらに説明する。
【0055】
本発明に係る紫外線・青色光遮断コーティング液は、基材の表面に紫外線・青色光遮断コーティングを形成するために用いられる。紫外線・青色光遮断コーティングは、紫外線及び青色光を吸収して紫外線透過率及び青色光透過率を低下させることができる。紫外線・青色光遮断コーティング液は、シリカゾル及びキレート剤を含有し、シリカゾルごとに質量%でキレート剤 5%~20%が添加されている。
【0056】
上記シリカゾルは質量%で、ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を含有する。上記ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を混合撹拌して、上記シリカゾルを得ることができる。
【0057】
上記キレート剤は質量%で、紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を含有する。上記紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を混合撹拌して、上記キレート剤を得ることができる。
【0058】
青色光吸収剤を添加することにより、上記紫外線・青色光遮断コーティング液は、紫外線透過率と青色光透過率の両方を低下させることができ、紫外線及び青色光を同時に遮蔽することができる紫外線・青色光遮断コーティングが取得されることができる。また、上記紫外線・青色光遮断コーティングはさらに優れた耐老化性、耐摩耗性などの性能を備え、紫外線・青色光遮断コーティングが配置された基材の通常の実用寿命を延ばすことができる。同時に、上記紫外線・青色光遮断コーティング液は揮発性有機化合物(VOC)の排出が極めて低く、環境に優しく、施工性も良好であるなどの利点を有し、上記紫外線・青色光遮断コーティングは自動車用ガラスの法令の規定にも適合し得る。
【0059】
本発明において、ケイ酸塩としては、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランのうちの少なくとも1つから選択される。
【0060】
上記第1のカップリング剤及び上記第2のカップリング剤はいずれも、シランカップリング剤であり、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KH540)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(KH550)、[3-(2,3-エポキシプロポキシ)-プロピル]-トリメトキシシラン(KH560)、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(KH570)、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KH792)のうちの少なくとも1つから選択される。なお、上記第1のカップリング剤及び上記第2のカップリング剤としては、同じシランカップリング剤が用いられてもよく、異なるシランカップリング剤が用いられてもよい。
【0061】
コーティング均一性及び使用効果などの点から考慮すると、上記第1の溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びプロピレングリコールメチルエーテルのうちの少なくとも1つであり、上記第2の溶媒は酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテル、酢酸イソブチル、及びキシレンのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0062】
また、コーティング形成時間及び使用効果などの点から考慮すると、上記第1の触媒は塩酸、硝酸、及びアンモニア溶液のうちの少なくとも1つであり、上記第2の触媒はジブチル錫ジラウレート(DY-12)、有機ビスマス触媒(DY-20)、及びビス(2-エチルヘキサン酸)すず(II)のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0063】
上記紫外線吸収剤は、330nm~370nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有する。上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンズイミダゾール系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤のうちの少なくとも1つから選択されることが好ましい。コーティング均一性及び使用効果などの点から考慮すると、上記紫外線吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であることが好ましい。
【0064】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、具体的に、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3(または4、5、6のいずれか)-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’,-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-2’,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノンなどが挙げられることができる。
【0065】
上記ベンズイミダゾール系紫外線吸収剤としては、具体的に、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(紫外線吸収剤、商品名UV-234)、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(即ち、2-(5-chloro-2H--benzotriazol-2-yl)-4-methyl-6-(tert-butyl)phenol)、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4 -ヒドロキシ-5-[5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]プロピオネート(即ち、octyl-3-[3-tert-butyl-4-hydroxy-5-[5-chloro-2H-benzotriazol-2-yl]propionate)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(即ち、2-[2-hydroxy-3-(3,4,5,6-tetrahydrophthalimide-methyl)-5-methylphenyl]benzotriazole)、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(即ち、2-(2-Hydroxy-5-tert-butylphenyl)-2H-benzotriazole)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(即ち、methyl3-(3-(2H-benzotriazol-2-yl)-5-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどが挙げられることができる。
【0066】
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的に、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(即ち、2-[4-[(2-hydroxy-3-dodecyloxypropyl)oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazine)、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(即ち、2-[4-[(2-hydroxy-3-(2’-ethyl)hexyl)oxy]-2-hydroxyphenyl]-4,6-bis(2,4-dimethylphenyl)-1,3,5-triazine)、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(即ち、2,4-bis(2-hydroxy-4-butoxyphenyl)-6-(2,4-bis-butoxyphenyl)-1,3,5-triazine)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(即ち、2-(2-hydroxy-4-[1-octylcarbonylethoxy]phenyl)-4,6-bis(4-phenylphenyl)-1,3,5-triazine)、TINUVIN477、(商品名、CibaJapan株式会社製)などが挙げられることができる。
【0067】
上記有機系紫外線吸収剤は、波長範囲が広い紫外線を吸収することができる。本発明において、これらの紫外線吸収剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよく、具体的な使用状況は実際のニーズに応じて定められる。
【0068】
上記青色光吸収剤は、400nm~420nmの波長範囲内に最大吸収ピークを有する。上記青色光吸収剤としては、アゾ系青色光吸収剤、イソインドリノン系青色光吸収剤、キノフタロン系青色光吸収剤、ベンズイミダゾロン系青色光吸収剤、及び有機-無機複合系青色光吸収剤のうちの少なくとも1つから選択されることが好ましい。コーティング均一性及び使用効果などの点から考慮すると、上記青色光吸収剤におけるヒドロキシル基含有量は質量%で5%以上であることが好ましい。
【0069】
上記アゾ系青色光吸収剤としては、具体的に、アゾフェニルメタクリレート(即ち、azophenylmethacrylate)、2-[(4-メチル-2-ニトロフェニル)アゾ]-3-オキソ-N-フェニルブタンアミド、2-[(4-クロロ-2-ニトロフェニル)アゾ]-N-(2-クロロフェニル)-3-オキソブタンアミド、傑得盈(JADEWIN)1226(商品名、青島傑得佳新材料テクノロジー有限会社製)、2’-(3,3’-ジクロロ-1,1’-ビフェニル-4,4’-ビスアゾ)ビス[N-(4-クロロ-2,5-ジメトキシフェニル)-3-オキソ-ブタンアミド](即ち、2’-(3,3’-dichloro-1,1’-biphenyl-4,4’-bisazo)bis[N-(4-chloro-2,5-dimethoxyphenyl)-3-oxo-butyramide])などが挙げられることができる。
【0070】
上記イソインドリノン系青色光吸収剤としては、具体的に、1,3,3-トリメチル-2-メチレンインドリン、3,3′-[(2-メチル-1,3-フェニレン)ジイミノ]ビス[4,5,6,7-テトラクロロ-1H-イソインドール-1-オン]、ヘキサクロロイソインドリノン(即ち、hexachloroisoindolinone)、2-[[3,3′-ジクロロ-4′-[[1-[[(2,4-ジメチルフェニル)アミノ]カルボニル]-2-オキソプロピル]アゾ]-1,1′-ビフェニル-4-イル]アゾ]-N-(2-メチルフェニル)-3-オキソブタンアミドなどが挙げられることができる。
【0071】
上記キノフタロン系青色光吸収剤としては、具体的に、3-(2-シクロプロピル-4-(4-フルオロフェニル)-3-キノリニル)プロペナール(即ち、3-(2-cyclopropyl-4-(4-fluorophenyl)-3-quinolinyl)propenal)、2-(3-ヒドロキシ-1-オキソ-4,5,6,7-テトラクロロ-2-インデニル)-8-(3,4,5,6-テトラクロロフタルイミド)キノリン(即ち、ピグメントイエロー138)などが挙げられることができる。
【0072】
上記ベンズイミダゾロン系青色光吸収剤としては、具体的に、2-(2-ヒドロキシ-5-イソアクリレートエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(即ち、2-(2-hydroxy-5-isoacrylate ethylphenyl )-2H-benzotriazole)、5-[1-[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル)アミノ]カルボニル](即ち、5-[[1-[[(2,3-dihydro-2-oxo-1H-benzimidazol-5-yl)amino]carbonyl])、2-[[1-[[[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール)-5-イル]アミノ]カルボニル]-2-オキソプロピル]アゾ]-1,4-ベンゼンジカルボン酸ジメチル、傑得盈1227(商品名、青島傑得佳新材料テクノロジー有限会社製)などが挙げられることができる。
【0073】
上記有機-無機複合系青色光吸収剤としては、具体的に、U400(商品名、上海濾正ナノテクノロジー有限会社製)、U410(商品名、上海濾正ナノテクノロジー有限会社製)、U420(商品名、上海濾正ナノテクノロジー有限会社製)、U460(商品名、上海濾正ナノテクノロジー有限会社製)などが挙げられることができる。
【0074】
図1に示されるように、本発明において、紫外線・青色光遮断ガラスが提供される。当該紫外線・青色光遮断ガラスは、湾曲ガラス板1及び紫外線・青色光遮断コーティング2を備える。紫外線・青色光遮断コーティング2は、上記紫外線・青色光遮断コーティング液が湾曲ガラス板1の少なくとも1つの表面に塗布されて硬化することにより形成される。紫外線・青色光遮断コーティング2はシリカ、紫外線吸収剤及び青色光吸収剤を含有する。自動車ガラスに適するように、紫外線・青色光遮断コーティング2の厚さは2μm~12μmである。紫外線・青色光遮断コーティング2は、300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、2%以下であると好ましく、1%以下であるとより好ましく、0.5%以下であると最も好ましい。紫外線・青色光遮断コーティング2は、400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が30%以下であり、20%以下であると好ましく、10%以下であるとより好ましく、5%以下であると最も好ましい。上記紫外線・青色光遮断ガラスは、紫外線及び青色光を同時に遮断することができる。
【0075】
紫外線・青色光遮断コーティング2の外観の黄色みの度合いを低減するために、紫外線・青色光遮断コーティング2の波長460nmにおける透過率T460と、波長410nmにおける透過率T410との比は、4≦T460/T410≦60を満たすことが好ましい。それによって、良好な外観を得てより多くのシナリオに適用される。湾曲ガラス板1は透明ガラスである場合に、湾曲ガラス板1は、400~800nmの波長範囲内における透過率が70%以上である。紫外線・青色光遮断コーティング2の波長460nmにおける透過率T460と、波長410nmにおける透過率T410との比は、4≦T460/T410≦12を満たすことが好ましい。紫外線・青色光遮断コーティング2は、400nm~800nmの波長範囲内における透過率が70%以上であり、80%以上であると好ましく、85%以上であるとより好ましい。また、湾曲ガラス板1は、400~800nmの波長範囲内における透過率が80%以上であると好ましい。
【0076】
自動車ガラスの使用要件を満たすには、好ましくは、紫外線・青色光遮断コーティング2は、3000時間のキセノンランプエージング試験を経た後、400nm~800nmの波長範囲内において、透過率が70%以上であり、紫外線・青色光遮断コーティング2は、平面摩耗試験機による1000回転の耐摩耗性試験を経た後、試験前後のヘイズ差が2%より小さい。
【0077】
湾曲ガラス板1は物理強化ガラスであり、フラットガラス板に対して少なくとも560℃の高温熱処理及び曲げ工程を行うことにより取得される。上記紫外線・青色光遮断ガラスは、自動車のサイドウィンドガラス、リアガラスとして用いられることができる。
【0078】
本発明において、紫外線・青色光遮断ガラスの製造方法がさらに提供される。当該方法は以下のステップを含む。
【0079】
ステップ1:質量%で、紫外線吸収剤 1%~15%、青色光吸収剤 1%~15%、第2の溶媒 40%~60%、第2の触媒 0.01%~1%、及び第2のカップリング剤 10%~30%を混合して、100℃の恒温油槽で還流攪拌してキレート剤を得る。
【0080】
反応を十分に進めるために、100~150℃の温度で2~8時間還流攪拌することが好ましい。
【0081】
ステップ2:質量%で、ケイ酸塩 15%~35%、第1の溶媒 30%~60%、第1のカップリング剤 5%~15%、第1の触媒 0.01%~1%、及び脱イオン水10%~30%を混合して、40℃の水槽で攪拌してシリカゾルを得る。
【0082】
反応を十分に進めるために、60~120分間攪拌することが好ましい。
【0083】
ステップ3:シリカゾルごとに質量%でキレート剤 5%~20%を添加して、混合撹拌して紫外線・青色光遮断コーティング液を得る。
【0084】
反応を十分に進めるために、少なくとも120分間混合撹拌することが好ましい。
【0085】
ステップ4:上記紫外線・青色光遮断コーティング液を湾曲ガラス板1の少なくとも1つの表面に塗布し、80~120℃で硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスを得る。
【0086】
湾曲ガラス板1は凸面及び凹面を有する。湾曲ガラス板1が自動車に取り付けられた場合に、凸面は車外に向かい、凹面は車内に向かう。上記紫外線・青色光遮断コーティング液を凹面に塗布することが好ましい。
【0087】
80~120℃で硬化させる時間は10~200分であることが好ましい。
【0088】
80~120℃で硬化させる前に、上記ステップ4は、湾曲ガラス板1の表面に塗布された紫外線・青色光遮断コーティング液に対して、温度20~60℃且つ湿度45%~65%の条件で、時間20~40分の予備乾燥を行うことをさらに含む。それは後続の硬化に役立つ。
【0089】
湾曲ガラス板1の少なくとも1つの表面に紫外線・青色光遮断コーティング液を塗布するには、スプレーコーティング、ワイプコーティング、フローコーティング、刷毛塗りコーティング、又はディップコーティングなどの曲面コーティング技術と、超音波、遠心、又はスピンなどの技術を組み合わせた複合コーティング方法とを利用することができる。
【0090】
図2に示されるように、本発明において、紫外線・青色光遮断合わせガラスが提供される。当該紫外線・青色光遮断合わせガラスは、上記紫外線・青色光遮断ガラス10、中間接着層20及び第2のガラス板30を備える。中間接着層20は、紫外線・青色光遮断ガラス10と第2のガラス板30との間に挟まれており、紫外線・青色光遮断ガラス10は、湾曲ガラス板1及び紫外線・青色光遮断コーティング2を備え、紫外線・青色光遮断コーティング2は、湾曲ガラス板1の少なくとも1つの表面に配置されている。
【0091】
上記紫外線・青色光遮断合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドウィンドガラス、サンルーフガラス又はリアガラスとして用いられることができる。好ましくは、上記紫外線・青色光遮断合わせガラスが自動車に取り付けられた後、紫外線・青色光遮断ガラス10は外側ガラス板とされ、即ち、紫外線・青色光遮断ガラス10は自動車の外側にあり、紫外線・青色光遮断コーティング2は湾曲ガラス板1と中間接着層20との間に位置する。それによって、中間接着層20への紫外線照射を低減し、紫外線による中間接着層20の老化の速度を低下させ、上記紫外線・青色光遮断合わせガラスの通常の実用寿命を延ばすことができる。
【0092】
図3及び
図4に示されるように、本発明において、紫外線・青色光遮断合わせガラスが提供され、自動車の調光可能なサンルーフガラスとして用いられることができる。当該紫外線・青色光遮断合わせガラスは、紫外線・青色光遮断コーティング2と、順次積層されている第1のガラス板11、第1の接着層12、第1のキャリア層13、第1の平面電極14、調光層15、第2の平面電極16、第2のキャリア層17、第2の接着層18、第2のガラス板19とを備える。紫外線・青色光遮断コーティング2は、第1のガラス板11と第1のキャリア層13との間に、及び/又は第2のガラス板19と第2のキャリア層17との間に配置されている。紫外線・青色光遮断コーティング2によれば、車内に入る紫外線及び青色光を大幅に低減し、車内物品や人間の眼を保護することができる。また、紫外線・青色光遮断コーティング2は、調光層15、特に高分子分散液晶(PDLC)を保護するために用いられることもできる。
【0093】
図3において、紫外線・青色光遮断コーティング2は、第1のガラス板11の表面に配置され、且つ第1のガラス板11と第1の接着層12との間に位置する。紫外線・青色光遮断コーティング2はさらに、第1の接着層12を多量の紫外線照射から保護するために用いられ、それによって、上記紫外線・青色光遮断合わせガラスの通常の実用寿命を延ばすことができる。なお、紫外線・青色光遮断コーティング2は、第2のガラス板19の表面に配置され、且つ第2のガラス板19と第2の接着層18との間に位置してもよい。第1のガラス板11は外側ガラス板とされ、即ち、自動車の外側に位置することが好ましい。紫外線・青色光遮断コーティング2は、車外の紫外線及び青色光を遮断するために用いられる。
【0094】
図4において、紫外線・青色光遮断コーティング2は、第1のキャリア層13の表面に配置され、且つ第1のキャリア層13と第1の接着層12との間に位置する。車内物品、人間の眼及び調光層15を保護するように、紫外線・青色光遮断コーティング2は車外の紫外線及び青色光を遮断するために用いられる。なお、紫外線・青色光遮断コーティング2は、第2のキャリア層17の表面に配置され、且つ第2のキャリア層17と第2の接着層18との間に位置してもよい。
【0095】
調光層15は、紫外線・青色光遮断合わせガラスの可視光透過率を調整するために用いられ、その調整は、第1の平面電極14及び第2の平面電極16に電圧を印加することで実現される。調光層15は高分子分散液晶(PDLC)、懸濁粒子装置(SPD)、又はエレクトロクロミック(EC)デバイスであることができ、それによって、紫外線・青色光遮断合わせガラスは、日除け、プライバシー保護、及びインテリジェントな省エネなどのニーズを満たす。
【0096】
第1の平面電極14及び第2の平面電極16はいずれも透明導電層であり、具体的に、金属層、金属合金層又は金属酸化物層を含むことができる。金属層としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)又はモリブデン(Mo)が用いられることができる。金属合金層としては、銀銅合金や銀インジウム合金などの銀合金が用いられることができる。金属酸化物層としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)などが用いられることができる。
【0097】
本発明において、第1のキャリア層13、第1の平面電極14、調光層15、第2の平面電極16及び第2のキャリア層17を予め積層して調光構造を形成する。通常では、第1のキャリア層13及び第2のキャリア層17としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられ、当然ながら、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアクリレート(PA)又はポリウレタン(PUR)などが用いられてもよい。第1の接着層12及び第2の接着層18は、調光構造を第1のガラス板11と第2のガラス板19との間に接着するために用いられ、それによって、合わせガラスを形成する。通常では、第1の接着層12及び第2の接着層18としては、ポリビニルブチラール(PVB)が用いられ、当然ながら、イオン性中間膜(SGP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアクリレート(PA)又はポリウレタン(PUR)などが用いられてもよい。好ましくは、第1の接着層12及び第2の接着層18は紫外線を吸収することもできる。それによって、車内に入る紫外線の強度を低下させる。同時に、調光層15、特にPDLCの調光性能は紫外線に影響されやすいため、紫外線を吸収することができる第1の接着層12及び第2の接着層18はさらに、調光層15、特にPDLCを保護するために用いられる。
【0098】
本発明において、第1の接着層12と第2の接着層18との間に位置する調光構造を発光構造に置き換えることもできる。上記発光構造は青色光又は白色光を発光することができ、発光構造としては、有機発光ダイオード(OLED)、無機発光ダイオード(LED)、無機薄膜エレクトロルミネッセンス素子(TFEL)、又は有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子(OTFEL)などが挙げられる。紫外線・青色光遮断コーティング2は、第1のガラス板11の表面に配置され、且つ第1のガラス板11と第1の接着層12との間に位置する。紫外線・青色光遮断コーティング2はさらに、発光構造からの有害な青色光を低減するためにも用いられる。なお、紫外線・青色光遮断コーティング2は、第2のガラス板19の表面に配置され、且つ第2のガラス板19と第2の接着層18との間に位置してもよい。第2のガラス板19は内側ガラス板とされ、即ち、自動車の内側に位置することが好ましい。紫外線・青色光遮断コーティング2は、車外の紫外線及び青色光と、発光構造からの青色光とを遮断するために用いられ、それによって、人間の目をよりよく保護する。
【0099】
第1のガラス板11、第1の接着層12、第2の接着層18及び第2のガラス板19のうちの少なくとも1つは本体着色であり、低い可視光透過率を有する。第1のガラス板11及び第2のガラス板19のうちの少なくとも1つは着色ガラスであり、着色ガラスの可視光透過率は70%未満、41%以下、30%以下、又は26%以下であることができ、着色ガラスの例としては、グリーンガラス、グレーガラスなどが挙げられる。第1の接着層12及び第2の接着層18のうちの少なくとも1つは着色接着層であり、着色接着層の可視光透過率は44%以下、18%以下、8%以下、5%以下、又は2%以下であることができ、着色接着層の例としては、異なるタイプの灰色のPVBが挙げられる。よって、プライバシーを保護することができ、サンルーフガラスとして用いられる場合にサンシェードが必要とされず、製品コストの低減や車内空間の向上を図ることができる。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の実施例を挙げながらさらに説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0101】
<実施例1>
【0102】
BP-2紫外線吸収剤 10g、U410青色光吸収剤 10g、酢酸ブチル溶媒 55g、ジブチル錫ジラウレート触媒 0.15g、及びγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 25gを混合して、100℃の恒温油槽で4時間還流攪拌して、室温まで自然降温させてキレート剤U1を得る。
【0103】
オルトケイ酸テトラエチル 13.56g、無水エタノール 20g、イソプロパノール 30g、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 5.18g、質量分率が10%である硝酸 0.1g、及び脱イオン水 12.5gを、40℃の水槽で60分間攪拌してシリカゾルA1を得る。
【0104】
シリカゾルA1 15g及びキレート剤U1 1gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B1を得る。
【0105】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B1を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B1を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスC1を得る。
【0106】
<実施例2>
【0107】
BP-2紫外線吸収剤 10g、U420青色光吸収剤 10g、酢酸ブチル溶媒 55g、ジブチル錫ジラウレート触媒 0.15g、及びγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 25gを混合して、100℃の恒温油槽で4時間還流攪拌して、室温まで自然降温させてキレート剤U2を得る。
【0108】
オルトケイ酸テトラエチル 13.56g、無水エタノール 22g、イソプロパノール 28g、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 5.18g、質量分率が10%である硝酸 0.1g、及び脱イオン水 12.5gを、40℃の水槽で70分間攪拌してシリカゾルA2を得る。
【0109】
シリカゾルA2 20g及びキレート剤U2 1.5gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B2を得る。
【0110】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B2を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B2を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスC2を得る。
【0111】
<実施例3>
【0112】
BP-2紫外線吸収剤 10g、傑得盈1226青色光吸収剤 10g、酢酸ブチル溶媒 55g、ジブチル錫ジラウレート触媒 0.15g、及びγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 25gを混合して、100℃の恒温油槽で4時間還流攪拌して、室温まで自然降温させてキレート剤U3を得る。
【0113】
オルトケイ酸テトラエチル 13.56g、無水エタノール 25g、イソプロパノール 28g、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン 5.18g、質量分率が10%である硝酸 0.1g、及び脱イオン水 12.5gを、40℃の水槽で80分間攪拌してシリカゾルA3を得る。
【0114】
シリカゾルA3 20g及びキレート剤U3 1.3gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B3を得る。
【0115】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B3を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B3を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスC3を得る。
【0116】
<実施例4>
【0117】
シリカゾルA1 10g及びキレート剤U1 1gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B4を得る。
【0118】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B4を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B4を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスC4を得る。
【0119】
<実施例5>
【0120】
シリカゾルA1 10g及びキレート剤U1 1.5gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B5を得る。
【0121】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B5を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B5を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスC5を得る。
【0122】
<比較例1>
【0123】
無塵環境のもとで、適量のシリカゾルA1を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプでシリカゾルA1を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、比較用ガラスD1を得る。
【0124】
<比較例2>
【0125】
シリカゾルA1 10g及びキレート剤U1 3gを秤量して、120分間混合撹拌して、紫外線・青色光遮断コーティング液B6を得る。
【0126】
無塵環境のもとで、適量の紫外線・青色光遮断コーティング液B6を秤量して、バーコーターでそれを湾曲ガラス板1の表面に塗布する。静置してレベリングを行った後、赤外線ランプで紫外線・青色光遮断コーティング液B6を予備乾燥して、110℃で55分間硬化させて、紫外線・青色光遮断コーティングを有する紫外線・青色光遮断ガラスD2を得る。
【0127】
[評価]
実施例1~5及び比較例1~2から得られたガラスサンプルに対して、以下の試験で評価を行い、その評価結果を表1に示す。
【0128】
透過率:分光光度計により、250~2550nmの波長範囲における透過スペクトルが測定される。ISO13837規格に準拠して、300~400nmの波長範囲における紫外線透過率、及び400~800nmの波長範囲における可視光透過率を計算し、透過スぺクトルに基づいて400~440nmの波長範囲における青色光の最大透過率を得る。本発明に係る透過率は、同一ガラスサンプルの5つの異なる点を測定して求めた平均値を指す。
【0129】
コーティングの厚さ:コーティングの厚さは段差ゲージにより測定される。
【0130】
耐老化性:耐老化性の試験方法は、以下のようである。サンプルを、較正されたランプ管を備えるキセノン耐候性試験機(品番、CI4000 米国)に入れ、102分間の乾燥且つ18分間の降雨を組み合わせて降雨周期とし、300~400nmの波長範囲で放射強度を60±2w/m2とし、試験時間を3000時間とし、ブラックパネル温度を65±3℃とし、相対湿度を50±10%とすることで耐老化性試験を行う。耐老化性試験後のサンプルのコーティングの外観にクラックが生じたか否かを観察する。
【0131】
耐摩耗性:耐摩耗性は平面摩耗試験機により測定される。コーティングが上に向く状態でガラスサンプルを試験機に置き、1000回転の耐摩耗性試験を行う。
【0132】
ヘーズ:耐摩耗性試験を経た後のサンプルに対して、ヘーズメーターを利用して試験を行う。耐摩耗性試験が行われていない領域に対して試験を行ってHaze1を得る。サンプルを移動して、耐摩耗性試験を経た後の領域に対して試験を行ってHaze2を得る。試験前後のヘイズ差は|Haze2-Haze1|である。
【0133】
【0134】
表1から見れば以下のことが明らかである。
【0135】
比較例1では、湾曲ガラス板上にシリカゾルコーティングが形成されている。シリカゾルコーティングは、耐老化性及び耐摩耗性が要件を満たすが、紫外線・青色光遮断性能を備えない。
【0136】
比較例2では、湾曲ガラス板上に紫外線・青色光遮断コーティングが形成されているが、シリカゾルごとに過剰(例えば、30%)のキレート剤が添加されている。当該紫外線・青色光遮断コーティングは、紫外線透過率、青色光の最大透過率が要件を満たし且つ非常に低く抑えることができるが、耐摩耗性が要件を満たすことができない。そのため、当該紫外線・青色光遮断コーティングを備えるガラスは自動車ガラスとして用いられることができない。
【0137】
実施例1~3では、湾曲ガラス板に紫外線・青色光遮断コーティングが形成されており、シリカゾルごとに適量のキレート剤が添加されている。それによって、当該紫外線・青色光遮断コーティングは、紫外線透過率、青色光の最大透過率、可視光透過率が要件を満たし、また、耐老化性及び耐摩耗性がいずれも要件を満たすことができる。
【0138】
実施例4~5では、湾曲ガラス板に紫外線・青色光遮断コーティングが形成されており、シリカゾルごとに適量のキレート剤が添加されている。実施例1~3と異なるのは、キレート剤の添加量がより多いことである。実施例4~5では、当該紫外線・青色光遮断コーティングは、紫外線透過率、耐老化性及び耐摩耗性がいずれも要件を満たし、また、実施例1~3と比べて、青色光の最大透過率がより低いが、可視光透過率が70%未満である。そのため、実施例4~5におけるガラスは、可視光透過率に対する要求がない又は70%未満の可視光透過率を要求する自動車の部位に適用されることができ、例えば、サンルーフガラス、特にサンシェードがないサンルーフガラス、調光可能なサンルーフガラス、発光可能なサンルーフガラスなどとして用いられる。
【0139】
以上、本発明に係る紫外線・青色光遮断コーティング液、紫外線・青色光遮断ガラス及びそのガラスの製造方法、並びに調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスに対して具体的に説明した。しかし、本発明は上記具体的な実施様態の内容に限定されず、本発明の技術的要点に基づいて行われるいかなる改良、同等の修正及び置換などはいずれも、本発明の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
本発明に係る紫外線・青色光遮断コーティング液は、基材の表面に紫外線・青色光遮断コーティングを形成するために用いられる。紫外線・青色光遮断コーティングは、紫外線及び青色光を吸収して紫外線透過率及び青色光透過率を低下させることができる。紫外線・青色光遮断コーティング液は、シリカゾル及びキレート剤を含有し、シリカゾルごとに質量%でキレート剤 5%~20%が添加されており、即ち、シリカゾルに対するキレート剤の質量百分率は、5%~20%の範囲にある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
上記ベンズイミダゾロン系青色光吸収剤としては、具体的に、2-(2-ヒドロキシ-5-イソアクリレートエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(即ち、2-(2-hydroxy-5-isoacrylate ethylphenyl )-2H-benzotriazole)、5-[1-[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾール-5-イル)アミノ]カルボニル]-2-オキソプロピル]アゾ]-1,4-ジメチルテレフタレート(即ち、5-[[1-[[(2,3-dihydro-2-oxo-1H-benzimidazol-5-yl)amino]carbonyl]-2-oxopropyl]azo]-1,4-dimethyl terephthalate)、2-[[1-[[[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール)-5-イル]アミノ]カルボニル]-2-オキソプロピル]アゾ]-1,4-ベンゼンジカルボン酸ジメチル、傑得盈1227(商品名、青島傑得佳新材料テクノロジー有限会社製)などが挙げられることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
紫外線・青色光遮断ガラスであって、湾曲ガラス板及び紫外線・青色光遮断コーティングを備え、前記紫外線・青色光遮断コーティングは前記湾曲ガラス板の少なくとも1つの表面に配置されており、前記紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤及び青色光吸収剤を含有し、前記紫外線・青色光遮断コーティングの厚さは2μm~12μmであり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が
30%より小さい、
ことを特徴とする紫外線・青色光遮断ガラス。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項20
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項20】
調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラスであって、順次積層されている第1のガラス板、第1の接着層、調光構造又は発光構造、第2の接着層、及び第2のガラス板を備え、
前記第1のガラス板と前記調光構造もしくは前記発光構造との間に、及び/又は前記第2のガラス板と前記調光構造もしくは前記発光構造との間に、紫外線・青色光遮断コーティングが配置されており、前記紫外線・青色光遮断コーティングはシリカ、紫外線吸収剤、及び青色光吸収剤を備え、前記紫外線・青色光遮断コーティングは300nm~400nmの波長範囲内における透過率が5%以下であり、前記紫外線・青色光遮断コーティングは400nm~440nmの波長範囲内における最大透過率が
30%より小さい、
ことを特徴とする調光又は発光が可能な紫外線・青色光遮断合わせガラス。
【国際調査報告】