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特表2023-552428ポリマーと、メントール及びその誘導体から選択される化合物とを含む水分補給組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ポリマーと、メントール及びその誘導体から選択される化合物とを含む水分補給組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20231208BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231208BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231208BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/73
A61K8/34
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534197
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021085158
(87)【国際公開番号】W WO2022122999
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012974
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】サビーネ・ルー
(72)【発明者】
【氏名】キャロリーヌ・シリシャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】マイッサ-アド・ファルー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB12
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
本発明は、生理学的に許容される媒体中に以下のもの:ポリメタクリル酸グリセリルから選択される少なくとも1種のポリマー、アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される少なくとも1種の高吸水性ポリマー、並びにメントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物を含む、水中油型エマルション形態の組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に、
- ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルから選択される少なくとも1種のポリマー、
- アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される少なくとも1種の高吸水性ポリマー、並びに
- メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物
を含む、水中油型エマルション形態の組成物、好ましくは化粧品。
【請求項2】
ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルが、組成物の0.1質量%から5質量%、好ましくは0.05質量%から3質量%、好ましくは0.1質量%から1質量%の活性物質含有量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
高吸水性ポリマーが、微粒子形態で存在する、アクリル系ホモ又はコポリマーを、特にポリアクリル酸ナトリウムをグラフトしたデンプンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
高吸水性ポリマーが、組成物の総質量に対して、0.05質量%~5質量%の範囲内、好ましくは0.1質量%~3質量%、好ましくは0.2質量%~2質量%の範囲内、好ましくは0.3質量%~1質量%の範囲内の活性物質含有量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
メントール及びその誘導体から選択される化合物が、式(I):
【化1】
[式中、R1は、水素原子、又は任意選択で1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び1つ若しくは複数のNRR'基(式中、R及びR'は、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和のC1~C4アルキル基を表す)によって置換されている、直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和のC1~12アルキル基を表し、好ましくは、R1は、1又は2つのヒドロキシル基によって置換されている、直鎖状で飽和したC1~C6アルキル基を表す]
の化合物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
メントール及びその誘導体から選択される化合物が、メントキシプロパンジオールであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
メントール及びその誘導体から選択される化合物が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%の範囲内の量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の保湿剤、好ましくはグリセロール、ベタイン及びこれらの混合物から選択される保湿剤を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは8以上のHLBの界面活性剤、好ましくは非イオン性及び/又はアニオン性界面活性剤、好ましくは、12個の炭素原子を含む脂肪酸と、4~6つのグリセロール単位を含むポリグリセロールとのエステル、及びクエン酸エステル、例えばクエン酸ステアリン酸グリセリルから選択される界面活性剤を含み、好ましくは、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と少なくとも1種のアニオン性界面活性剤との混合物を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくともモノラウリン酸ポリグリセリル-5を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
式R1COOR2及びR1OR2[式中、R1は、8~29個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、R2は、3~30個の炭素原子を含有する、任意選択で分枝状の、炭化水素鎖を表す]の油、合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含み、任意選択で、少なくとも1種のペースト状脂肪物質を更に含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
実質的にシリコーン油を含まず、及び/又は実質的に鉱物油を含まず、及び/又は実質的に充填剤を含まないことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質の、好ましくは皮膚の美容ケア方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【請求項14】
皮膚に水分補給するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の美容的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布が容易で、塗布時にべたつかず、脂っぽさがなく、爽やかな感覚及び長期的な水分補給効能を有する、水中油型(O/W)エマルションの組成物、特に化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、細胞が連続して互いにしっかりと付着した組織である。皮膚組織は、皮脂腺又は汗腺、及び毛嚢を含む、外側のコーティングを形成する。皮膚及び特に頭皮は、絶えず再生される上皮である。再生、すなわち落屑は、無感覚で目立たずに表面細胞の排除をもたらす、連携して精巧に調節されたプロセスである。
【0003】
ヒトの皮膚は2つの区画、すなわち、表面区画(表皮)と深部区画(真皮)とで構成される。
【0004】
表皮は従来、表皮の胚芽層を形成するケラチノサイトの基底層、胚芽層上に配列する多角形細胞のいくつかの層で構成される、有棘層と呼ばれる層、特有の細胞質封入物、ケラトヒアリン顆粒を含有する扁平な細胞で構成される、顆粒層と呼ばれる1~3層の層、及び最後に、角質細胞(corneocyte)と呼ばれる分化の終末段階におけるケラチノサイトで構成される、角層(又は角質層)と呼ばれる上層の組に分かれる。
【0005】
角質細胞は、角化膜(corneal envelope)によって囲まれた、サイトケラチンを含有する線維質物質から主に構成される、無核細胞である。落屑と呼ばれるメカニズムによって、角質層における表皮細胞が絶えず失われていることを補うため、新たなケラチノサイトが永続的に生産されている。
【0006】
しかしながら、基底層における細胞の生産と、落屑速度との間の不均衡によって、皮膚表面に薄片が形成されることがある。同様に、様々な理由のために、角質層における細胞の終末分化の不足によって、肉眼で見える、「鱗屑」と呼ばれる大きな厚い細胞の凝塊が形成されることがあり、又は他の状況では、角質層が薄くなることがある。これによって、表皮のバリア特性の脆弱性、角質層の慢性的脱水、機械的弾性の喪失、ツッパリ感が生じることがあり、皮膚が艶及び透明感を失うことがある。皮膚の表面の質のこの変化を導く因子の例の中でも、ストレス、冬期、過剰な皮脂、水分補給障害(これは、高齢の対象の乾燥肌にも該当しうる)を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2-295912号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】L. BRANNON-PAPPAS及びR. HARLANDによる書籍「Absorbent polymer technology, Studies in polymer science 8」、Elsevier社刊、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、皮膚の水分補給状態を改善し、ツッパリ感及び皮膚への塗布時の不快感を回避する組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ここで、ポリ(メタ)アクリル酸グリセリル、アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプン、及びメントールから誘導される化合物が関係することによって、塗布時に脂っぽさがなく、べたつかず、一日中満足できるように皮膚に水分を補給でき、爽やかな感覚を与えられることを発見した。
【0011】
したがって、本発明の主題は、生理学的に許容される媒体中に以下のもの:
- ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルから選択される少なくとも1種のポリマー、
- アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される少なくとも1種の高吸水性ポリマー、並びに
- メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物
を含む、水中油型エマルション形態の組成物である。
【0012】
本発明による組成物は、好ましくは化粧品である。
【0013】
「生理学的に許容される」とは、ケラチン物質に適合性の媒体を意味する。
【0014】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚をクレンジングするための美容方法であって、本発明による組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0015】
この発明の別の主題は、皮膚に水分補給するための、本発明による組成物の美容的使用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルから選択されるポリマー
本発明による組成物は、ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルから選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
【0017】
このポリマーは水溶性であり、増粘特性及び水分補給特性を有し、軽く、べたつきのない感触を提供する。
【0018】
好ましくは、このポリマーは、ポリアクリル酸グリセリル及びポリメタクリル酸グリセリルから選択される。有利には、10%水中溶液におけるこのポリマーは、20rpmにおいてスピンドル5を用い、BROOKFIELD RTV粘度計によって25℃で測定して、10000mPa.sから20000mPa.s、好ましくは12000mPa.sから18000mPa.sの粘度を有する。
【0019】
好ましくは、ポリメタクリル酸グリセリルが選択される。より特定的には、ポリメタクリル酸グリセリルは、保湿剤中、好ましくはグリセリン中の混合物形態で存在する。
【0020】
本発明によれば、例えば、GUARDIAN INC社によって「LUBRAJEL MS」の商品名で販売されているポリメタクリル酸グリセリル、又はBASF社によって「HISPAGEL 200 NS」の商品名で販売されているポリアクリル酸グリセリルを使用することができる。
【0021】
ポリ(メタ)アクリル酸グリセリルから選択されるポリマーは、好ましくは、組成物の0.01質量%から5質量%、好ましくは0.05質量%から3質量%、好ましくは0.1質量%から1質量%の活性物質含有量で存在する。
【0022】
アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される高吸水性ポリマー
本発明による組成物は、アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される少なくとも1種の高吸水性ポリマーを含む。
【0023】
「高吸水性ポリマー」とは、乾燥状態において、自重の少なくとも20倍の水性流体、特に水、とりわけ蒸留水を自然に吸収することができるポリマーを意味する。このような高吸水性ポリマーは、L. BRANNON-PAPPAS及びR. HARLANDによる書籍「Absorbent polymer technology, Studies in polymer science 8」、Elsevier社刊、1990年に記載されている。
【0024】
これらのポリマーは、水及び水性流体の吸収及び保持について、高い能力を有する。水性液体の吸収後、このように水性流体中に浸したポリマー粒子は、水性流体に不溶性のままであり、したがって、別々の微粒子の状態のままである。
【0025】
高吸水性ポリマーは、自重の20~2000倍(すなわち、1グラムの吸水性ポリマー当たり20g~2000gの水が吸収される)、好ましくは30~1500倍、より好ましくは50~1000倍で変動する吸水能を有することができる。これらの吸水の特徴は、通常の温度(25℃)及び圧力(760mm Hg、100000Paに等しい)条件下で、蒸留水について規定される。ポリマーの給水能の値は、150gの水の溶液中に0.5gのポリマーを分散させ、20分待機し、吸収されなかった溶液を150μmフィルタにおいて20分濾過し、吸収されなかった水を秤量することによって決定できる。
【0026】
本発明の組成物に使用される高吸水性ポリマーは、粒子の形態である。好ましくは、高吸水性ポリマーは、乾燥又は非水和状態において、100μm以下、好ましくは50μm以下であり、例えば1~100μm、好ましくは5~50μm、より好ましくは7~30μmで変動する平均サイズを有する。
【0027】
粒子の平均サイズは、レーザー分級、又は当業者に公知の別の同等の方法によって測定される平均質量直径(D50)に相当する。これらの粒子は、ひとたび水和すると、10μm~1000μmで変動しうる平均サイズを有する軟質粒子を形成することによって膨張する。
【0028】
好ましくは、この発明において使用される高吸水性ポリマーは、球形粒子の形態である。
【0029】
本発明による高吸水性ポリマーは、アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンである。アクリル系ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー、特にポリアクリル酸ナトリウムであってもよい。このようなポリマーは、ゲル化特性と、シリコーン含有化合物の感触に類似した感触(「シリコーン様」の感触)とを有する。
【0030】
特に、アクリル系ポリマーを、特にポリアクリル酸ナトリウムをグラフトしたデンプン、例えば、三洋化成工業株式会社によってSanfresh ST-100MCの商品名、又は大東化成工業株式会社によってMakimousse 25、Makimousse 12若しくはMakimousse 7の商品名で販売されているもの(INCI名:ポリアクリル酸デンプンナトリウム)を挙げることができる。
【0031】
この発明において使用される高吸水性ポリマーは、架橋されていることもされていないこともある。
【0032】
この発明において使用される高吸水性ポリマーは、好ましくは、微粒子形態で存在する、アクリル系ホモ又はコポリマーを、特にポリアクリル酸ナトリウムをグラフトしたデンプンである。
【0033】
好ましくは、高吸水性ポリマーは、好ましくは100ミクロン以下の平均サイズ(又は平均直径)を有する粒子の形態の、また好ましくは球形粒子の形態の、アクリル系ホモポリマーをグラフトしたデンプンから選択される。
【0034】
アクリル系ポリマーをグラフトしたデンプンから選択される高吸水性ポリマーは、組成物の総質量に対して、例えば0.05質量%~5質量%の範囲内、好ましくは0.1質量%~3質量%、好ましくは0.2質量%~2質量%の範囲内、好ましくは0.3質量%~1質量%の範囲内の活性物質含有量で、本発明による組成物中に存在してもよい。
【0035】
メントール及びその誘導体から選択される化合物
本発明による組成物は、メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0036】
この化合物は、好ましくは、式(I):
【0037】
【化1】
【0038】
[式中、R1は、水素原子、又は任意選択で1つ若しくは複数のヒドロキシル基及び1つ若しくは複数のNRR'基(式中、R及びR'は、同一であり又は異なり、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和のC1~C4アルキル基を表す)によって置換されている、直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくは不飽和のC1~12アルキル基を表す]
の化合物である。
【0039】
R1=Hであるならば、このとき、式(I)の化合物はメントールである。
【0040】
好ましくは、R1は、1つ又は複数のヒドロキシル基によって置換されている、C1~C6、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のアルキル基を表す。C1~C6、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル及びn-ヘキシル基から選択することができる。
【0041】
より好ましくは、R1は、1つ又は複数のヒドロキシル基によって、好ましくは1つ又は2つのヒドロキシル基によって、好ましくは2つのヒドロキシル基によって置換されている、C1~C6直鎖状且つ飽和アルキル基を表す。好ましくは、R1は、プロパン-1,2-ジオール基である。
【0042】
有利には、式(I)の化合物は、メントキシプロパンジオール(3-L-メントキシ-1,2-プロパンジオールとしても知られる)である。
【0043】
この化合物は、特に、Coolact 10の名称でTakasago社によって販売されている。
【0044】
メントール及びその誘導体から選択される化合物は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%の範囲内の量で存在する。
【0045】
水性相
本発明による組成物は、生理学的に許容される水性相を含む。「生理学的に許容される」とは、ケラチン物質に適合性の媒体を意味する。
【0046】
本発明による組成物はO/Wエマルションであるため、この水性相は連続相である。
【0047】
本発明による組成物は、好ましくは、水と、任意選択で25℃で水に溶解性の1種又は複数の有機溶媒とを含む水性相を含む。これらの溶媒は、有利には、例えば、C2~C4における直鎖状又は分枝状アルカノール、例えば、エタノール及びイソプロパノール、プロパノール、ブタノール;特に3~20個の炭素原子、好ましくは3~6個の炭素原子を有する、ポリオール、例えば、ジグリセロール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、2~200個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0048】
組成物は一般に、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、好ましくは70質量%~90質量%の水を含む。
【0049】
有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、例えば0.01質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~13質量%、より好ましくは1質量%~10質量%、より好ましくは3質量%~10質量%の範囲内でありうる。
【0050】
好ましくは、本発明による組成物は、実施例にアルコール(すなわち、アルカノール及び/又はポリオール)を含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物全体の質量に対して、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満のアルコールを含むことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、アルコールを全く含まない。
【0051】
水性相の量は、組成物全体の質量に対して、50質量%~99質量%、好ましくは60質量%~95質量%、好ましくは65質量%~90質量%の範囲内でありうる。
【0052】
組成物は一般に、組成物の総質量に対して、50質量%~95質量%、好ましくは60質量%~90質量%、好ましくは70質量%~90質量%の水を含む。
【0053】
保湿剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の保湿剤を含むことができる。
【0054】
保湿剤は、好ましくは、グリセロール、ベタイン(トリメチルグリシン)及びこれらの混合物から選択される。
【0055】
保湿剤の量は、組成物の総質量に対して、例えば0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは2質量%~12質量%の範囲内でありうる。
【0056】
界面活性剤
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは8以上のHLBの界面活性剤を含むことができる。
【0057】
好ましくは、この界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。
【0058】
好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤から選択される。より好ましくは、アニオン性界面活性剤は、クエン酸エステル、例えばクエン酸ステアリン酸グリセリルである。このような化合物は、Degussa社によってAxol C 62 Pelletsの名称で販売されている。
【0059】
好ましくは、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。より好ましくは、界面活性剤は、12個の炭素原子を含む脂肪酸と、4~6つのグリセロール単位を含むポリグリセロールとのエステルから選択される非イオン性界面活性剤である。
【0060】
脂肪酸とポリグリセロールとのエステルは、12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を含む少なくとも1種の酸と、4~6つのグリセロール単位とから形成される。
【0061】
一実施形態によれば、脂肪酸とポリグリセロールとのエステルは、少なくとも1種の飽和又は不飽和脂肪酸と、ポリグリセロールとのエステル化から得られる。
【0062】
好ましくは、4~6つのグリセロール単位を含む、脂肪酸とポリグリセロールとのエステルは、モノ又はジエステル、好ましくはモノエステルである。
【0063】
「ポリグリセロール」という用語は、グリセロール単位の直鎖状鎖であるグリセリルポリマーを表す。
【0064】
本発明によってより特定的に考慮されるエステルは、ポリグリセロールと、C12におけるカルボン酸、例えばラウリン酸とのエステル化から得られるエステルである。
【0065】
カルボン酸は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0066】
好ましくは、カルボン酸は直鎖状モノカルボン酸である。
【0067】
一般に、これらは、C12におけるカルボン酸による、ポリグリセロールの少なくとも1つのヒドロキシル官能基のエステル化から誘導される。
【0068】
特定的な一実施形態によれば、この発明に好適なエステルは、1種又はいくつかの、同一の又は異なるカルボン酸による、ポリグリセロールのエステル化から誘導することができる。このエステルは、ヒドロキシル化モノエステル、ヒドロキシル化ジエステル、ヒドロキシル化トリエステル又はこれらの混合物であってもよい。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、エステルは、12個の炭素原子を含む脂肪酸と、5つのグリセロール単位を含むポリグリセロールとのエステルから選択される。
【0070】
12個の炭素原子を含む脂肪酸と、5つのグリセロール単位を含むポリグリセロールとのエステルは、(i)12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を含む、少なくとも1種の脂肪酸(C12脂肪酸とも呼ばれる)と、(ii)5つのグリセロール単位とから形成される。
【0071】
好ましくは、C12脂肪酸は飽和しており、直鎖状アルキル鎖を含有する。好ましくは、C12脂肪酸はラウリン酸である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、12個の炭素原子を含む脂肪酸と、5つのグリセロール単位を含むポリグリセロールとのエステルは、5つのグリセロール単位を含むモノラウリン酸ポリグリセリル、すなわちモノラウリン酸ポリグリセリル-5である。
【0073】
主としてモノラウリン酸ポリグリセリル-5、すなわちラウリン酸PG-5をベースとする市販製品は、太陽化学株式会社製のSUNSOFT A-121E-C(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0074】
とりわけ、本発明者らは、モノラウリン酸ポリグリセリル-5が、皮膚のしなやかさに対して、非常に興味深い効果を示すことを発見した。したがって、前記界面活性剤は、皮膚のしなやかさを上昇させる、及び/又は皮膚のツッパリ感を抑制若しくは軽減するのに有用でありうる。
【0075】
したがって、好ましくは、本発明の組成物は、少なくともモノラウリン酸ポリグリセリル-5を含む。
【0076】
好ましくは、本発明による組成物は、上に言及した少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、好ましくはクエン酸エステル、例えばクエン酸ステアリン酸グリセリルとの混合物を含む。
【0077】
好ましくは、非イオン性界面活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲内、好ましくは0.25質量%~5質量%の範囲内、好ましくは0.5質量%~2質量%の範囲内の濃度で存在する。
【0078】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%の範囲内、好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲内、好ましくは0.3質量%~2質量%の範囲内の濃度で存在する。
【0079】
界面活性剤の総量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは0.7質量%~5質量%の範囲内、好ましくは0.8質量%~3質量%の範囲内で変動しうる。
【0080】
本発明による組成物は、水性相中に分散した油性相を含み、O/Wエマルションである。
【0081】
油性相
本発明による組成物はまた、油性相を形成する少なくとも1種の油、特に化粧品用油を含む。油性相は、他の脂肪を更に含有することができる。
【0082】
「油」とは、25℃且つ大気圧(1.013×105Pa)において液体であり、非水混和性である、非水性化合物と理解すべきである。
【0083】
「非混和性」とは、前述の温度及び圧力の条件において、同量の水と油との混合物が、撹拌後に、ただ1つの単一相のみを含む安定溶液を生じないことが理解すべきである。観察は、混合物中に渦が現れるのに十分に(情報のために記すと、200~1000rpm)Rayneriで撹拌した後に得られる100gの混合物に対して、肉眼で、又は必要であれば位相差顕微鏡を使用して行う(観察の前に、得られる混合物を室温で24時間、密閉ボトル中で放置し、落ち着かせる)。
【0084】
本発明による組成物における使用に好適な油として、例えば、以下のものを挙げることができる:
- 植物由来の炭化水素油、例えば4~10個の炭素原子を有する液体脂肪酸トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又は例えば、ヒマワリ、トウモロコシ、ダイズ、カボチャ、ブドウ種子、ゴマ、ヘーゼルナッツ、アプリコット、マカダミア、アララ、ヒマワリ、ヒマシ、アボカドの油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社によって販売されているもの若しくはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812及び818の商品名で販売されているもの、ホホバ油、シアバター油、
- エステル及び合成エステル、特に脂肪酸のエステル、例えば式R1COOR2及びR1OR2[式中、R1は、8~29個の炭素原子を有する脂肪酸の残基であり、R2は、任意選択で分枝状であり、3~30個の炭素原子を含有する炭化水素鎖である]を有する油、例えば、Purcellin油、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸セテアリル(イソノナン酸とのC16及びC18アルキルエステルの混合物である)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、ステアリン酸オクチル-2-ドデシル、エルカ酸オクチル-2-ドデシル、イソステアリン酸イソステアリル等;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、マレイン酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル;脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステル;ポリオールエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコール;並びにペンタエリスリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル又はペンタイソノナン酸ジペンタエリスリチル、
- 鉱物であろうと合成であろうと、直鎖状又は分枝状炭化水素、例えば揮発性であろうとなかろうと、パラフィン油及びその誘導体、10~30個の炭素原子を含む分枝状鎖炭化水素油、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、イソパラフィン及びこれらの混合物、ワセリン、ポリデセン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、例えば、NIPPON OIL FATS社によって販売されているParleam(登録商標)、AMOCO社によって販売されているPANALANE H-300 E、SYNTEAL社によって販売されているVISEAL 20000、WITCO社によって販売されているREWOPAL PIB 1000、又は日油株式会社によって販売されているPARLEAM LITE。好ましい合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素の中でも、スクアレンを水素化することから得られる油である、スクアランを挙げることができる、
- 部分的炭化水素及び/又はシリコーンフッ素化物油、例えば文献特開平2-295912号公報に記載されているもの;
- 任意選択で揮発性の、直鎖状又は環状シリコーン鎖を有し、室温で液体又はペースト状の、ポリメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン油、特に、シクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、例えばシクロヘキサシロキサン;アルキル、アルコキシ若しくはフェニルペンダント、又はケイ素鎖末端基(これらの基は、2~24個の炭素原子を有する)を含む、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニル-シロキサン、ジフェニル-ジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチル-シロキシシリケート及びポリメチルフェニルシロキサン;或いは
- これらの混合物。
【0085】
好ましくは、本発明による組成物は、実質的にシリコーン油を含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物全体の質量に対して、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満のシリコーン油を含むことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、完全にシリコーン油を含まない。
【0086】
好ましくは、本発明による組成物は、実質的に鉱物油を含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物全体の質量に対して、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満の鉱物油を含むことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、鉱物油を全く含まない。
【0087】
好ましくは、本発明による組成物は、式R1COOR2及びR1OR2[式中、R1は、8~29個の炭素原子を含む脂肪酸の残基を表し、R2は、3~30個の炭素原子を含有する、任意選択で分枝状の、炭化水素鎖を表す]の油、合成起源の直鎖状又は分枝状炭化水素、並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0088】
ここで上に指示した通り、本発明による組成物は、油相中に他の脂肪物質を含んでもよい。好ましくは、この脂肪物質は、ペースト状脂肪物質から選択される。
【0089】
本発明の解釈上、「ペースト状脂肪物質」という用語は、可逆的な固体/液体状態の変化を有し、固体状態においては異方性結晶性組織を有し、23℃の温度において液体画分と固体画分とを含む、親油性脂肪化合物を指す。言い換えれば、ペースト状化合物の初期融点は、23℃未満でありうる。23℃において測定されるペースト状化合物の液体画分は、化合物の9~97質量%に相当しうる。この23℃における液体画分は、好ましくは15質量%から85質量%、より好ましくは40質量%から85質量%に相当する。
【0090】
固体脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によって「DSC Q100」の商品名で販売されている熱量計を、「TA Universal Analysis」ソフトウェアとともに使用して、ここで上に規定したプロトコルに従って測定することができる。23℃におけるペースト状化合物の質量による液体画分は、より特定的には、23℃において消費される融解エンタルピーの、ペースト状化合物の融解エンタルピーに対する比に等しい。
【0091】
ペースト状化合物の融解エンタルピーは、固体状態から液体状態に変化するために化合物によって消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その質量のすべてが固体結晶性形態である場合、固体状態であると言われる。ペースト状化合物は、その質量のすべてが液体形態である場合、液体状態であると言われる。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、特に、示差走査熱量計を使用して得られる温度記録の曲線下面積に等しい。ペースト状化合物の融解エンタルピーは、ペースト状化合物を固体状態から液体状態に変えるのに必要なエネルギーの量である。これは、J/gで表される。23℃において消費される融解エンタルピーは、固形状態から、23℃において存在する、液状画分及び固形画分からなる状態へと変化するために、試料が必要とするエネルギーの量である。
【0092】
ペースト状化合物は、合成ペースト状化合物及び植物起源の脂肪物質から特に選択することができる。ペースト状化合物は、以下のものから特に選択することができる:
- ラノリン及びその誘導体、例えばラノリンアルコール、オキシエチレン化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンエステル、例えばラノリン酸イソプロピル、オキシプロピレン化ラノリン、
- C2~C4のペンタエリスリトールとポリアルキレングリコールとのエーテル、脂肪族アルコールと糖とのエーテル、並びにこれらの混合物から選択されるポリオールエーテル。例えば、5つのオキシエチレンパターン(5OE)を含むペンタエリスリトールとポリエチレングリコールとのエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5つのオキシプロピレン単位(5OP)を含むペンタエリスリトールとポリプロピレングリコールとのエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)、及びこれらの混合物、より具体的には、VEVY社によって「Lanolide」の名称で販売されている、PEG-5ペンタエリスリチルエーテルとPPG-5ペンタエリスリチルエーテルとダイズ油との混合物(ここで、質量による構成成分の比は、46:46:8、46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテルと、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテルと、8%のダイズ油とである)を挙げることができる、
- 1種又は複数のC2~C100、好ましくはC2~C50ジオール同士の間のポリエーテル化から誘導されるポリエーテル。脂溶性ポリエーテルのうち、C6~C30長鎖アルキレンオキシドとのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドコポリマー、より好ましくは、コポリマーにおける、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキレンオキシドとの質量比が5:95~70:30であるものが特に考慮される。このファミリーにおいて、長鎖アルキレンオキシドを1000~10000の平均分子量を有するブロックに配列したコポリマー、例えばポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマー、例えばAKZO NOBEL社によってELFACOS ST9のブランドで市販されている、ドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテルを、特に挙げることができる、
- 場合によりヒドロキシル化された、直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくはそうではない、好ましくは飽和した、C6~C20モノカルボン酸、及び/又は直鎖状若しくは分枝状で、飽和若しくはそうではない、好ましくは飽和した、C6~C10ジカルボン酸との、オリゴマーグリセロールエステル、とりわけジグリセロールのエステル、特に、グリセロールのヒドロキシル基の一部が脂肪酸、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応している、アジピン酸とジグリセロールとの縮合体、例えば、Sasol社によってSOFTISAN(登録商標)649の参照名で販売されているポリアシルアジピン酸-2ビス-ジグリセリル等、
- 植物起源のバター、例えばマンゴーバター、例えばAARHUSKARLSHAMN社によってLipex 203の参照名で販売されているもの、シアバター、特にINCI名がシアバターノキ(Butyrospermum Parkii)バターであるもの、例えばAARHUSKARLSHAMN社によって参照名Sheasoft(登録商標)で販売されているもの、クプアスバター(Beraca Sabara社製Rain Forest RF3410)、ムルムルバター(Beraca Sabara社製RAIN FOREST RF3710)、ココアバター、ババスバター、例えばCroda社によってCropure Babassu SS-(LK)の名称で販売されているもの、及びオレンジワックス、例えばKoster Keunen社によってOrange Peel Waxの参照名で販売されているもの等、
- 完全又は部分水添植物油、例えば、水添ダイズ油、水添ヤシ油、水添アブラナ種子油等、水添植物油の混合物、例えば水添ダイズ、ヤシ、パーム及びアブラナ種子の水添植物油の混合物、例えばAARHUSKARLSHAMN社によってAkogel(登録商標)の参照名で販売されている混合物(INCI名:水添植物油)、Desert Whale社によってIso-Jojoba-50(登録商標)の市販参照名で製造又は販売されているトランス異性化部分水添ホホバ油、部分水添オリーブ油、例えばSoliance社によってBeurroliveの参照名で販売されている化合物等、
- 水添ヒマシ油エステル、例えばダイマージリノール酸水添ヒマシ油、例えば高級アルコール工業株式会社によって販売されているRISOCAST-DA-L、イソステアリン酸水添ヒマシ油、例えばNISSHIN OIL社によって販売されているSALACOS HCIS(V-L)、
- 並びにこれらの混合物。
【0093】
好ましくは、本発明による組成物は、油性相中に、植物起源のバターから選択される少なくとも1種のペースト状脂肪物質を含む。
【0094】
油性相の量は、組成物全体の質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、好ましくは3質量%~10質量%の範囲内でありうる。
【0095】
本発明による組成物はまた、化粧品において通常使用される任意の添加剤、例えば、特に充填剤、染料、UV遮蔽剤、保存剤及び/又は活性成分を含んでもよい。
【0096】
UV遮蔽剤として、当業者に周知の有機又は鉱物UV遮蔽剤を挙げることができる。
【0097】
染料の例として、当業者に周知の水溶性着色剤、粉末染料、例えば顔料、真珠層及び光沢剤から選択される染料を挙げることができる。
【0098】
好ましくは、本発明による組成物は、実質的に充填剤を含まない。「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物全体の質量に対して、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満、好ましくは0.1質量%未満の充填剤を含むことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、充填剤を全く含まない。
【0099】
最後に、本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚をクレンジングするための美容方法であって、本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0100】
美容方法はまた、皮膚に水分補給するための、本発明による組成物の美容的使用に関する。
【0101】
具体的であるが非限定的な、本発明を説明する実施例を、ここに提供する。
【0102】
実施例では、別段の言及がない限り、温度は室温(20℃)であり、セルシウス度において表され、圧力は、別段の言及がない限り、大気圧である。
【0103】
実施例において、組成物の成分の量は、組成物の総質量に対する質量%(%w/w)として与えられる。
【実施例1】
【0104】
本発明による組成物の調製、及び比較用組成物と比較したこの組成物の評価
下のTable 1(表1)の本発明による組成物F1を、以下のプロトコルによって調製する。
【0105】
相A1の成分を一緒に混合し、65~70℃に加熱して、ヒドロキシアセトフェノンを溶解させる。
【0106】
相A2のゲル化剤を加えて、相Aを得る。
【0107】
相Bの成分を、65℃に加熱することによって混合する。
【0108】
相Bを相A中で乳化させて、白色乳化ゲルを得る。最後に、相Cを加える。
【0109】
比較用組成物F2~F4(アスタリスクで目印を付けた)を、同じプロトコルに従って調製する。
【0110】
次いで、3人のパネルが、各組成物の皮膚への塗布及び皮膚における仕上がりを分析することによって、各組成物を官能特性について評価する。
【0111】
組成物の許容性は、水分補給、皮膚における仕上がり及び爽やかな感覚によって規定される。
【0112】
【表1】
【0113】
結論:ポリアクリル酸グリセリル、ポリアクリル酸デンプンナトリウム及びメントキシプロパンジオールを含む、本発明による配合物F1のみが、塗布時に油っぽさがなく、べたつかずに、一日中水分補給及び爽やかさを提供している。
【0114】
したがって、本発明による組成物F1は、塗布時に油っぽさがなく、べたつかずに、一日中満足できるように皮膚に水分を補給し、爽やかな感覚を与えることができる。
【国際調査報告】