(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】半減期延長組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20231208BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20231208BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231208BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231208BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231208BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231208BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20231208BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20231208BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20231208BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/13
C12N15/12
C07K19/00
C07K16/46
C07K16/28
C07K16/30
C07K7/06
C07K7/08
A61K39/395 D
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534636
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062238
(87)【国際公開番号】W WO2022125566
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523168825
【氏名又は名称】ジャナックス セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ディライモンド,トーマス アール.
(72)【発明者】
【氏名】バット,ラメシュ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
半減期延長抗体または抗体フラグメントを含む、ポリペプチドおよびポリペプチド複合体が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、半減期延長抗体または抗体フラグメントは単一ドメイン抗体である。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体(H
1)または抗体フラグメントを含む、単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体であって、H
1の前記HC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、前記CDRは、前記HC-CDR1、前記HC-CDR2、または前記HC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む、単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項2】
H
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H
1の前記HC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項3】
H
1の前記抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項4】
前記H
1の抗体または抗体フラグメントは、前記単一ドメイン抗体を含む、請求項3に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項5】
H
1は、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項6】
H
1は、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項7】
H
1は、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項8】
H
1は、配列番号4によるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項9】
H
1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項10】
H
1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項11】
H
1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の前記少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項12】
H
1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の前記少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項13】
H
1は、式I:
A
1-L
1-P
1-H
1(式I)
による構成において腫瘍特異的プロテアーゼの基質である切断可能なリンカー(L
1)を介して、第1の標的抗原への第1の抗原認識分子(A
1)の結合を損なうペプチド(P
1)に連結される、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項14】
A
1は、第2の抗原認識分子(A
2)にさらに連結される、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項15】
前記ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、式Ia:
P
2-L
2-A
2-A
1-L
1-P
1-H
1(式Ia)
によるものであり、
式中、P
2は、第2の標的抗原へのA
2の結合を損なうペプチドを含み、L
2は、A
2をP
2に接続する第2の切断可能なリンカーを含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、請求項14に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項16】
H
1は、H
1をP
1に接続するリンカー部分(L
3)を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項17】
L
3は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項16に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項18】
L
3は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項16に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項19】
L
3は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項16に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項20】
L
3は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項16に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項21】
L
3は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項16に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項22】
L
3は、(G
2S)
n、(GS)
n、(GSGGS)
n(配列番号15)、(GGGS)
n(配列番号16)、(GGGGS)
n(配列番号17)、および(GSSGGS)
n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である、請求項16に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項23】
L
3は、アミノ酸配列GGGGSGGGS(配列番号19)を含む、請求項22に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項24】
A
1は、抗体または抗体フラグメントを含む、請求項14に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項25】
A
1は、ヒトもしくはヒト化の抗体または抗体フラグメントを含む、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項26】
L
1は、A
1の前記抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項27】
A
2は、A
1の前記抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項28】
L
1は、A
1の前記抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項29】
A
2は、A
1の前記抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項30】
A
1の前記抗体または抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、またはFabフラグメントを含む、請求項24に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項31】
A
1は、前記単鎖可変フラグメント(scFv)である、請求項30に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項32】
前記scFvは、scFv重鎖ポリペプチドおよびscFv軽鎖ポリペプチドを含む、請求項31に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項33】
A
1は、前記単一ドメイン抗体である、請求項30に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項34】
A
1の前記抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む、請求項30に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項35】
前記第1の標的抗原は、エフェクター細胞抗原を含む、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項36】
前記第1の標的抗原はCD3である、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項37】
A
1は、抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項38】
A
1は、CD3発現細胞上のCD3に対して1μM以下のKD結合を有する抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項39】
A
1は、それぞれがヒトCD3に特異的に結合できる可変軽鎖および可変重鎖を含む、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項40】
A
1は、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、ビジリズマブ(Nuvion)、SP34、X35、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、F101.01、UCHT-1、WT-31、15865、15865v12、15865v16、および15865v19からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)を含む、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項41】
式Iの前記ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L
1が前記腫瘍特異的プロテアーゼによって切断されると、エフェクター細胞に結合する、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項42】
式Iの前記ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L
1が前記腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、A
1がエフェクター細胞に結合すると、エフェクター細胞に結合する、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項43】
前記エフェクター細胞はT細胞である、請求項42に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項44】
A
1は、前記エフェクター細胞上のTCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドに結合する、請求項43に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項45】
前記TCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドは、ヒトCD3εである、請求項44に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項46】
A
2は、抗体または抗体フラグメントを含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項47】
A
2の前記抗体またはその抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、Fab’、またはFabを含む、請求項46に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項48】
A
2の前記抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む、請求項46に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項49】
A
2の前記抗体またはその抗体フラグメントは、ヒト化またはヒトである、請求項46に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項50】
A
2は、前記FabまたはFab’である、請求項47に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項51】
前記FabまたはFab’は、(a)Fab軽鎖ポリペプチドおよび(b)Fab重鎖ポリペプチドを含み、A
1は、scFv軽鎖ポリペプチドとscFv重鎖ポリペプチドとを含む単鎖可変フラグメント(scFv)を含む、請求項50に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項52】
前記第2の標的抗原は腫瘍抗原を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項53】
A
2の前記抗体またはその抗体フラグメントは、上皮増殖因子受容体(EGFR)結合ドメイン、メソテリン結合ドメイン、PSMA結合ドメイン、またはTROP2結合ドメインを含む、請求項46に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項54】
A
2の前記抗体または抗体フラグメントは、PSMA結合ドメインまたはTROP2結合ドメインを含む、請求項46に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項55】
P
1は、前記第1の標的抗原へのA
1の結合を損なう、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項56】
P
1は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、またはH結合相互作用、あるいはそれらの組合せを介してA
1に結合される、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項57】
P
1は、前記第1の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項58】
P
2は、前記第2の標的抗原へのA
2の結合を損なう、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項59】
P
2は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびH結合相互作用、またはそれらの組合せを介してA
2に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項60】
P
2は、抗原結合部位またはその近傍でA
2に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項61】
P
2は、前記第2の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項62】
P
1またはP
2は、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項63】
P
1またはP
2は、少なくとも10アミノ酸長および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項64】
P
1またはP
2は、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項65】
P
1またはP
2は、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項66】
P
1またはP
2は、少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項67】
P
1またはP
2は、環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項68】
P
1またはP
2は、環状ペプチドを含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項69】
P
1またはP
2は、直鎖ペプチドを含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項70】
L
1は、A
1のN末端に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項71】
L
1は、A
1のC末端に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項72】
L
2は、A
2のN末端に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項73】
L
2は、A
2のC末端に結合される、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項74】
L
1またはL
2は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項75】
L
1またはL
2は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項76】
L
1またはL
2は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項77】
L
1またはL
2は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項78】
L
1またはL
2は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項79】
L
1またはL
2は、(G
2S)
nを含む式を有し、nは1~3の整数である(配列番号20)、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項80】
L
1は、(G
2S)
n、(GS)
n、(GSGGS)
n(配列番号15)、(GGGS)
n(配列番号16)、(GGGGS)
n(配列番号17)、および(GSSGGS)
n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項81】
P
1は、L
1が前記腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA
1が前記第1の標的抗原に曝露されると、A
1から非結合となる、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項82】
P
2は、L
2が前記腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA
2が前記第2の標的抗原に曝露されると、A
2から非結合となる、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項83】
前記腫瘍特異的プロテアーゼは、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群から選択される、請求項13に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項84】
L
1またはL
2は、ウロキナーゼ切断可能アミノ酸配列、マトリプターゼ切断可能アミノ酸配列、マトリックスメタロプロテアーゼ切断可能アミノ酸配列、またはレグマイン切断可能アミノ酸配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項85】
L
1またはL
2は、GGGGSLSGRSDNHGSSGT(配列番号21)、GGGGSSGGSGGSGLSGRSDNHGSSGT(配列番号22)、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、ISSGLLAGRSDNH(配列番号26)、LSGRSDNH(配列番号27)、ISSGLLSGRSDNP(配列番号28)、ISSGLLSGRSDNH(配列番号29)、LSGRSDNHSPLGLAGS(配列番号30)、SPLGLAGSLSGRSDNH(配列番号31)、SPLGLSGRSDNH(配列番号32)、LAGRSDNHSPLGLAGS(配列番号33)、LSGRSDNHVPLSLKMG(配列番号34)、およびLSGRSDNHVPLSLSMG(配列番号35)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項86】
L
1またはL
2は、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、およびISSGLLAGRSDNH(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項87】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項88】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項89】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項90】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項91】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv重鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項92】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv重鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項93】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv軽鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項94】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv軽鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項95】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv重鎖ポリペプチドに結合され、L
2は、A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項96】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv重鎖ポリペプチドに結合され、L
2は、A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項97】
A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L
2は、A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項98】
A
2の前記Fab軽鎖ポリペプチドは、A
1の前記scFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L
2は、A
2の前記Fab重鎖ポリペプチドに結合される、請求項51に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体。
【請求項99】
(i)請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体、および
(ii)薬学的に許容可能な賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項100】
請求項1に記載の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする、単離された組換え核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/122,818号の利益を主張し、その全体は参照によって本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本出願は配列表を包含しており、これは、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体は参照によって本明細書に援用される。2021年11月30日に作成された上記ASCIIのコピーは、52426-731_601_SL.txtという名称であり、39,169バイトのサイズである。
【発明の概要】
【0003】
相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む、単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、式I:A1-L1-P1-H1による構成において腫瘍特異的プロテアーゼの基質である切断可能なリンカー(L1)を介して、第1の抗原認識分子(A1)の第1の標的抗原への結合を損なうペプチド(P1)に連結される。いくつかの実施形態では、A1は、第2の抗原認識分子(A2)にさらに連結される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、式Ia:P2-L2-A2-A1-L1-P1-H1によるものであり、式中、P2は、A2の第2の標的抗原への結合を損なうペプチドを含み、L2は、A2をP2に接続する第2の切断可能なリンカーを含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である。いくつかの実施形態では、H1は、H1をP1に接続するリンカー部分(L3)を含む。いくつかの実施形態では、L3は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3は、アミノ酸配列GGGGSGGGS(配列番号19)を含む。いくつかの実施形態では、A1は、抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、ヒトもしくはヒト化抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。いくつかの実施形態では、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A1の抗体または抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、またはFabフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は単鎖可変フラグメント(scFv)である。いくつかの実施形態では、scFvは、scFv重鎖ポリペプチドおよびscFv軽鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、A1は単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、A1の抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はエフェクター細胞抗原を含む。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はCD3である。いくつかの実施形態では、A1は、抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、CD3発現細胞上のCD3に対して1μM以下のKD結合を有する抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、それぞれがヒトCD3に特異的に結合できる可変軽鎖および可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、A1は、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、ビジリズマブ(Nuvion)、SP34、X35、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、F101.01、UCHT-1、WT-31、15865、15865v12、15865v16、および15865v19からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断されると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、A1がエフェクター細胞に結合すると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、A1は、エフェクター細胞上のTCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、TCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドはヒトCD3εである。いくつかの実施形態では、A2は、抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、Fab’、またはFabを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ヒト化またはヒトである。いくつかの実施形態では、A2はFabまたはFab’である。いくつかの実施形態では、FabまたはFab’は、(a)Fab軽鎖ポリペプチドおよび(b)Fab重鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の標的抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体または抗体フラグメントは、上皮増殖因子受容体(EGFR)結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体または抗体フラグメントは、メソテリン結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原へのA1の結合を損なう。いくつかの実施形態では、P1は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびH結合相互作用、またはそれらの組合せを介してA1に結合される。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原へのA2の結合を損なう。いくつかの実施形態では、P2は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびH結合相互作用、またはそれらの組合せを介してA2に結合される。いくつかの実施形態では、P2は、抗原結合部位またはその近傍でA2に結合される。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸長および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は環状ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、L1はA1のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、L1はA1のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、L2はA2のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、L2はA2のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列で
ある。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、(G2S)nを含む式を有し、nは1~3の整数である(配列番号20)。いくつかの実施形態では、L1は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、P1は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA1が第1の標的抗原に曝露されると、A1から非結合となる。いくつかの実施形態では、P2は、L2が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA2が第2の標的抗原に曝露されると、A2から非結合となる。いくつかの実施形態では、腫瘍特異的プロテアーゼは、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、ウロキナーゼ切断可能アミノ酸配列、マトリプターゼ切断可能アミノ酸配列、マトリックスメタロプロテアーゼ切断可能アミノ酸配列、またはレグマイン切断可能アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、GGGGSLSGRSDNHGSSGT(配列番号21)、GGGGSSGGSGGSGLSGRSDNHGSSGT(配列番号22)、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、ISSGLLAGRSDNH(配列番号26)、LSGRSDNH(配列番号27)、ISSGLLSGRSDNP(配列番号28)、ISSGLLSGRSDNH(配列番号29)、LSGRSDNHSPLGLAGS(配列番号30)、SPLGLAGSLSGRSDNH(配列番号31)、SPLGLSGRSDNH(配列番号32)、LAGRSDNHSPLGLAGS(配列番号33)、LSGRSDNHVPLSLKMG(配列番号34)、およびLSGRSDNHVPLSLSMG(配列番号35)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、およびISSGLLAGRSDNH(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。
【0004】
(i)前述の実施形態のいずれか1つのポリペプチドまたはポリペプチド複合体、および(ii)薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。
【0005】
前述の実施形態のいずれか1つのポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする、単離された組換え核酸分子が本明細書に開示される。
【0006】
式II:L1a-P1a-H1aによる単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、式中、L1aは、非切断時に第1の標的抗原と結合する第1の抗原認識分子にP1aを接続する、腫瘍特異的プロテアーゼに切断されたリンカー部分を含み、P1aは、L1a非切断時に、第1の標的抗原への第1の抗原認識分子の結合を損なうペプチドを含み、H1aは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長分子を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、L1a非切断時、P1aは、エフェクター細胞抗原への第1の抗原認識分子の結合を損なう。いくつかの実施形態では、第1の抗原認識分子は、抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞抗原は抗CD3エフェクター細胞抗原である。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも10アミノ酸長および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、P1aは環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1aは環状ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1aは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、H1aは、H1aをP1aに接続するリンカー部分(L3a)を含む。いくつかの実施形態では、L3aは、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3aは、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3aは、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3aは、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3aは、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3aは、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3aは、GGGGSGGGS(配列番号19)によるアミノ酸配列を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲とともに説明される。本発明の特徴と利点をより良く理解するには、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明と添付図面とを参照されたい。
【0008】
【
図1A】単一ドメイン抗体のウシ血清アルブミンへの結合曲線を例示する。
【
図1B】単一ドメイン抗体のマウス血清アルブミンへの結合曲線を例示する。
【
図1C】単一ドメイン抗体のカニクイザル血清アルブミンへの結合曲線を例示する。
【
図1D】単一ドメイン抗体のヒト血清アルブミンへの結合曲線を例示する。
【
図2A】pH7.4でのHE-1抗アルブミンの滴定データを例示する。
【
図2B】pH5.5でのHE-1抗アルブミンの滴定データを例示する。
【
図3A】pH7.4でのカニクイザル血清アルブミンに結合する単一ドメイン抗体の滴定データを例示する。
【
図3B】pH7.4でのヒト血清アルブミンに結合する単一ドメイン抗体の滴定データを例示する。
【
図3C】pH5.5でのカニクイザル血清アルブミンに結合する単一ドメイン抗体の滴定データを例示する。
【
図3D】pH5.5でのヒト血清アルブミンに結合する単一ドメイン抗体の滴定データを例示する。
【
図4】FcRn認識を遮断しない単一ドメイン抗体のヒト血清アルブミンへの結合データを例示する。
【
図5】ELISAによって測定された、ポリペプチド複合体PC1およびPC2のPSMAへの結合データを例示する。
【
図6】ELISAによって測定された、ポリペプチド複合体PC1およびPC2のCD3への結合データを例示する。
【
図7】CD8+ T細胞の存在下で、ポリペプチド複合体PC1およびPC2によって媒介される22Rv1腫瘍細胞の死滅を例示する。
【
図8】単回IVボーラス注射後のカニクイザルにおけるポリペプチド複合体PC1の薬物動態データを例示する。
【
図9】単回IVボーラス注射後のカニクイザルにおけるポリペプチド複合体PC2の薬物動態データを例示する。
【
図10】ELISAによって測定された、ポリペプチド複合体PC1およびPC4のTROP2への結合データを例示する。
【
図11】ELISAによって測定された、CD3に結合するポリペプチド複合体PC1およびPC4の結合データを例示する。
【
図12】CD8+ T細胞の存在下で、ポリペプチド複合体PC3およびPC4によって媒介されるH292腫瘍細胞の死滅を例示する。
【
図13】単回IVボーラス注射後のカニクイザルにおけるポリペプチド複合体PC3の薬物動態データを例示する。
【
図14】単回IVボーラス注射後のカニクイザルにおけるポリペプチド複合体PC4の薬物動態データを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
抗体、およびT細胞エンゲージャーなどの二重特異性または多重特異性抗体などのタンパク質ベースの治療は、様々な疾患および障害に有効であることが証明されている。任意の治療と同様に、疾患組織中ではタンパク質ベースの治療の活性を維持しながら、健康な組織中ではタンパク質ベースの治療のオフターゲット効果を最小限に抑える必要がある。1つのそのような方策は、タンパク質ベースの治療上の必要な結合部位がタンパク質ベースの治療に連結されたペプチドで遮断され、これによって、健康な組織中にある場合に、タンパク質ベースの治療がその標的抗原に結合するかまたは相互作用するのを防ぐ、タンパク質ベースの治療の不活性の形態を作製することである。所望の疾患状態の微小環境中のタンパク質ベースの治療の活性化のために、ペプチドは、疾患状態の微小環境に特異的なプロテアーゼによる切断が可能であるリンカーを用いてタンパク質ベースの治療に連結されるる。その後、疾患状態の微小環境中にある場合、ペプチドはタンパク質ベースの治療から放出される。
【0010】
タンパク質ベースの治療の薬物動態特性を改善するために、半減期延長分子が治療に加えられる。タンパク質ベースの治療に半減期延長分子を加えるための1つのそのような位置は、健康な組織中にある場合に、タンパク質ベースの治療がその標的抗原に結合するかまたは相互作用するのを遮断するペプチドである。ペプチドが疾患状態の微小環境で切断される場合、半減期延長分子もタンパク質ベースの治療から放出される。
【0011】
相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む、単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体は、癌の処置を必要とする対象の癌を処置する方法の中で使用される。いくつかの実施形態では、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む単離されたポリペプチドあるいはポリペプチドの複合体を、投与を必要とする対象に投与する工程を含む、癌を処置する方法であり、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、癌はEGFRを発現する細胞を有する。いくつかの例では、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肺癌、乳癌(例えば、HER2+;ER/PR+;TNBC)、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、膵臓癌、または胃癌である。
【0013】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも91%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも92%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも94%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0023】
相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む、単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体は、癌の処置を必要とする対象の癌を処置する方法の中で使用される。いくつかの実施形態では、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む単離されたポリペプチドあるいはポリペプチドの複合体を、投与を必要とする対象に投与する工程を含む、癌を処置する方法であり、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、癌はEGFRを発現する細胞を有する。いくつかの例では、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態では、癌は肺癌、乳癌(例えば、HER2+;ER/PR+;TNBC)、子宮頸癌、卵巣癌、大腸癌、膵臓癌、または胃癌である。
【0025】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含みH1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも91%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも92%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも94%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6によるアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1は、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、Fabを含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、Fab’を含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、scFvを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、H1は、ヒト血清アルブミン、カニクイザル血清アルブミン、およびマウス血清アルブミンから選択される血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1は、同等の結合親和性(Kd)を有するヒト血清アルブミンおよびカニクイザル血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1は、ヒトおよびカニクイザルの血清アルブミンに対する上記タンパク質の結合親和性(Kd)よりも約1.5倍~約20倍弱い結合親和性(Kd)を有するマウス血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1は、約1nM~約100nMの間のヒトKd(hKd)を有するヒト血清アルブミンに結合し、1nM~100nMの間のカニクイザルKd(cKd)を有するカニクイザル血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1のhKdおよびcKdは、1nM~約5nMの間、または約5nM~約10nMの間である。いくつかの実施形態では、H1のhKdおよびcKdは、約1nM~約2nM、約2nM~約3nM、約3nM~約4nM、約4nM~約5nM、約5nM~約6nM、約6nM~約7nM、約7nM~約8nM、約8nM~約9nM、または約9nM~約10nMの間である。いくつかの実施形態では、H1のhKdとcKdとの間の比率(hKd:cKd)は、約20:1~約1:2に及ぶ。
【0037】
いくつかの実施形態では、H1タンパク質は、少なくとも12時間、少なくとも20時間、少なくとも25時間、少なくとも30時間、少なくとも35時間、少なくとも40時間、少なくとも45時間、少なくとも50時間、または少なくとも100時間の消失半減期を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1の重鎖可変ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖の可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1の抗体または抗体フラグメントは、軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1の軽鎖可変ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4軽鎖の可変ドメインを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、H1は、式I:
A1-L1-P1-H1(式I)
による構成において腫瘍特異的プロテアーゼの基質である切断可能なリンカー(L1)を介して、第1の抗原認識分子(A1)の第1の標的抗原への結合を損なうペプチド(P1)に連結される。
【0040】
いくつかの実施形態では、A1は、第2の抗原認識分子(A2)にさらに連結される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、式Ia:
P2-L2-A2-A1-L1-P1-H1(式Ia)
によるものであり、式中、P2は、A2の第2の標的抗原への結合を損なうペプチドを含み、L2は、A2をP2に接続する第2の切断可能なリンカーを含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である。
【0041】
いくつかの実施形態では、式II:
L1a-P1a-H1a(式II)
によるポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、
式中、L1aは、非切断時に第1の標的抗原と結合する第1の抗原認識分子にP1aを接続する、腫瘍特異的プロテアーゼに切断されたリンカー部分を含み、P1aは、L1a非切断時に、第1の標的抗原への第1の抗原認識分子の結合を損なうペプチドを含み、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長分子を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも91%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも92%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも94%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも2つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも3つに1個のアミノ酸修飾を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも91%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも92%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも93%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも94%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも96%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6によるアミノ酸配列を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも115個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、H1aは、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも99%の配列同一性を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、Fabを含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、Fab’を含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、scFvを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1aの重鎖可変ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖の可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1aの抗体または抗体フラグメントは、軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、H1aの軽鎖可変ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4軽鎖の可変ドメインを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、H1aは、ヒト血清アルブミン、カニクイザル血清アルブミン、およびマウス血清アルブミンから選択される血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1aは、同等の結合親和性(Kd)を有するヒト血清アルブミンおよびカニクイザル血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1aは、ヒトおよびカニクイザルの血清アルブミンに対する上記タンパク質の結合親和性(Kd)よりも約1.5倍~約20倍弱い結合親和性(Kd)を有するマウス血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1aは、約1nM~約100nMの間のヒトKd(hKd)を有するヒト血清アルブミンに結合し、1nM~100nMの間のカニクイザルKd(cKd)を有するカニクイザル血清アルブミンに結合する。いくつかの実施形態では、H1aのhKdおよびcKdは、1nM~約5nMの間、または約5nM~約10nMの間である。いくつかの実施形態では、H1aのhKdおよびcKdは、約1nM~約2nM、約2nM~約3nM、約3nM~約4nM、約4nM~約5nM、約5nM~約6nM、約6nM~約7nM、約7nM~約8nM、約8nM~約9nM、または約9nM~約10nMの間である。いくつかの実施形態では、H1aのhKdとcKdとの間の比率(hKd:cKd)は、約20:1~約1:2に及ぶ。
【0065】
いくつかの実施形態では、H1aタンパク質は、少なくとも12時間、少なくとも20時間、少なくとも25時間、少なくとも30時間、少なくとも35時間、少なくとも40時間、少なくとも45時間、少なくとも50時間、または少なくとも100時間の消失半減期を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、H1またはH1aは、修飾されたアミノ酸もしくは非天然アミノ酸、または修飾された非天然アミノ酸、あるいはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたアミノ酸または修飾された非天然アミノ酸は、翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、H1またはH1aは、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合の架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のタンパク質への転移RNA媒介性の付加、例えば、アルギニル化(arginylation)、およびユビキチン化を含む修飾を含んでいるが、これらに限定されない。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、および末端を含むいかなる場所でH1またはH1aに対してなされる。
【0067】
【0068】
リンカー部分(L3またはL4)
いくつかの実施形態では、H1は、H1をP1に接続するリンカー部分(L5)を含む。いくつかの実施形態では、H1aは、H1aをP1aに接続するリンカー部分(L3a)を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0070】
いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは、(G2S)n(配列番号20)、(GS)n(配列番号36)、(GSGGS)n(配列番号37)、(GGGS)n(配列番号38)、(GGGGS)n(配列番号39)、および(GSSGGS)n(配列番号40)からなる群から選択される式をL3a有し、nは1~3の整数である。
【0071】
いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(G2S)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GS)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0072】
いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(G2S)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GS)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは1の整数である。
【0073】
いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(G2S)n(配列番号20)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GS)n(配列番号36)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSGGS)n(配列番号37)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGS)n(配列番号38)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GGGGS)n(配列番号39)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L3またはL3aは(GSSGGS)n(配列番号40)の式を有し、nは1~3の整数である。
【0074】
第1の抗原分子認識(A1)
いくつかの実施形態では、A1は、抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、ヒトもしくはヒト化抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。いくつかの実施形態では、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。いくつかの実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、またはFabフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は単鎖可変フラグメント(scFv)である。いくつかの実施形態では、scFvは、scFv重鎖ポリペプチドおよびscFv軽鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、A1は単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の標的抗原はエフェクター細胞抗原を含む。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原は分化抗原群3(CD3)である。いくつかの実施形態では、A1は、抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、CD3発現細胞上のCD3に対して1μM以下のKD結合を有する抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A1は、それぞれがヒトCD3に特異的に結合できる可変軽鎖および可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、A1は、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、ビジリズマブ(Nuvion)、SP34、X35、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、F101.01、UCHT-1、WT-31、15865、15865v12、15865v16、および15865v19からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断されると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、A1がエフェクター細胞に結合すると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、A1は、エフェクター細胞上のTCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、TCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドはヒトCD3εである。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の標的抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、第1の標的抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、メソテリン、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、または腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質2(TROP2)である。いくつかの実施形態では、A1、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ヒト化またはヒトである。いくつかの実施形態では、A1はFabまたはFab’である。いくつかの実施形態では、A1は、FabまたはFab’が(a)Fab軽鎖ポリペプチドおよび(b)Fab重鎖ポリペプチドを含むものである。
【0077】
第2の抗原認識分子(A2)
いくつかの実施形態では、A2は、抗体または抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、Fab’、またはFabを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、可変ドメイン(VHH)を含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ヒト化またはヒトである。いくつかの実施形態では、FabまたはFab’である。いくつかの実施形態では、FabまたはFab’は、(a)Fab軽鎖ポリペプチドおよび(b)Fab重鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第2の標的抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、上皮増殖因子受容体(EGFR)結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、メソテリン結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、PSMA結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、TROP2結合ドメインを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の標的抗原はエフェクター細胞抗原を含む。いくつかの実施形態では、第2の標的抗原はCD3である。いくつかの実施形態では、A2は、抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A2は、CD3発現細胞上のCD3に対して1μM以下のKD結合を有する抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、A2は、それぞれがヒトCD3に特異的に結合できる可変軽鎖および可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、A2は、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、ビジリズマブ(Nuvion)、SP34、X35、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、F101.01、UCHT-1、WT-31、15865、15865v12、15865v16、および15865v19からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、式Iaのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L2が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断されると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L2が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、A2がエフェクター細胞に結合すると、エフェクター細胞に結合する。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、A2は、エフェクター細胞上のTCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、TCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドはヒトCD3εである。
【0079】
ペプチド(P1、P1a、またはP2)
いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原へのA1の結合を損なう。いくつかの実施形態では、P1は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびH結合相互作用、またはそれらの組合せを介してA1に結合される。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して75%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して80%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して85%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して90%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して95%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して98%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1は、第1の標的抗原に対して99%未満の配列相同性を有する。
【0080】
いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原へのA2の結合を損なう。いくつかの実施形態では、P2は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびH結合相互作用、またはそれらの組合せを介してA2に結合される。いくつかの実施形態では、P2は、抗原結合部位またはその近傍でA2に結合される。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して75%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して80%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して85%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して90%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して95%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して98%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P2は、第2の標的抗原に対して99%未満の配列相同性を有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸長および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は環状ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1またはP2は直鎖ペプチドを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも10アミノ酸長および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、P1aは、少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、P1aは環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1aは環状ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1aは直鎖ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して70%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して75%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して80%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して85%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して90%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して95%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して98%未満の配列相同性を有する。いくつかの実施形態では、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して99%未満の配列相同性を有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、P1、P2、またはP1aは、修飾されたアミノ酸もしくは非天然アミノ酸、または修飾された非天然アミノ酸、あるいはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたアミノ酸または修飾された非天然アミノ酸は、翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、P1、P2、またはP1aは、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合の架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のタンパク質への転移RNA媒介性の付加、例えば、アルギニル化(arginylation)、およびユビキチン化を含む修飾を含んでいるが、これらに限定されない。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、および末端を含むいかなる場所でP1、P2、またはP1aに対してなされる。
【0084】
いくつかの実施形態では、P1、P2、またはP1aは、アルブミンまたはアルブミンフラグメントを含まない。いくつかの実施形態では、P1、P2、またはP1aは、アルブミン結合ドメインを含まない。
【0085】
切断可能リンカー(L1またはL2)
いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0086】
いくつかの実施形態では、L1は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は、(G2S)n(配列番号20)、(GS)n(配列番号36)、(GSGGS)n(配列番号37)、(GGGS)n(配列番号38)、(GGGGS)n(配列番号39)、および(GSSGGS)n(配列番号40)からなる群から選択される式を有し、nは1~3の整数である。
【0087】
いくつかの実施形態では、L1は(G2S)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GS)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0088】
いくつかの実施形態では、L1は(G2S)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GS)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは1の整数である。
【0089】
いくつかの実施形態では、L1は(G2S)n(配列番号20)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GS)n(配列番号36)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSGGS)n(配列番号37)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGS)n(配列番号38)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GGGGS)n(配列番号39)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L1は(GSSGGS)n(配列番号40)の式を有し、nは1~3の整数である。
【0090】
いくつかの実施形態では、L1は腫瘍特異的プロテアーゼの基質である。いくつかの実施形態では、腫瘍特異的プロテアーゼは、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、L1は、ウロキナーゼ切断可能アミノ酸配列、マトリプターゼ切断可能アミノ酸配列、マトリックスメタロプロテアーゼ切断可能アミノ酸配列、またはレグマイン切断可能アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1は、GGGGSLSGRSDNHGSSGT(配列番号21)、GGGGSSGGSGGSGLSGRSDNHGSSGT(配列番号22)、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、ISSGLLAGRSDNH(配列番号26)、LSGRSDNH(配列番号27)、ISSGLLSGRSDNP(配列番号28)、ISSGLLSGRSDNH(配列番号29)、LSGRSDNHSPLGLAGS(配列番号30)、SPLGLAGSLSGRSDNH(配列番号31)、SPLGLSGRSDNH(配列番号32)、LAGRSDNHSPLGLAGS(配列番号33)、LSGRSDNHVPLSLKMG(配列番号34)、およびLSGRSDNHVPLSLSMG(配列番号35)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L1は、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、およびISSGLLAGRSDNH(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、L2は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は、(G2S)n(配列番号20)、(GS)n(配列番号36)、(GSGGS)n(配列番号37)、(GGGS)n(配列番号38)、(GGGGS)n(配列番号39)、および(GSSGGS)n(配列番号40)からなる群から選択される式を有し、nは1~3の整数である。
【0092】
いくつかの実施形態では、L2は(G2S)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GS)nの式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0093】
いくつかの実施形態では、L2は(G2S)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GS)nの式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSGGS)n(配列番号15)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGS)n(配列番号16)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGGS)n(配列番号17)の式を有し、nは1の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSSGGS)n(配列番号18)の式を有し、nは1の整数である。
【0094】
いくつかの実施形態では、L2は(G2S)n(配列番号20)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GS)n(配列番号36)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSGGS)n(配列番号37)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGS)n(配列番号38)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GGGGS)n(配列番号39)の式を有し、nは1~3の整数である。いくつかの実施形態では、L2は(GSSGGS)n(配列番号40)の式を有し、nは1~3の整数である。
【0095】
いくつかの実施形態では、L2は腫瘍特異的プロテアーゼの基質である。いくつかの実施形態では、腫瘍特異的プロテアーゼは、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、L2は、ウロキナーゼ切断可能アミノ酸配列、マトリプターゼ切断可能アミノ酸配列、マトリックスメタロプロテアーゼ切断可能アミノ酸配列、またはレグマイン切断可能アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L2は、GGGGSLSGRSDNHGSSGT(配列番号21)、GGGGSSGGSGGSGLSGRSDNHGSSGT(配列番号22)、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、ISSGLLAGRSDNH(配列番号26)、LSGRSDNH(配列番号27)、ISSGLLSGRSDNP(配列番号28)、ISSGLLSGRSDNH(配列番号29)、LSGRSDNHSPLGLAGS(配列番号30)、SPLGLAGSLSGRSDNH(配列番号31)、SPLGLSGRSDNH(配列番号32)、LAGRSDNHSPLGLAGS(配列番号33)、LSGRSDNHVPLSLKMG(配列番号34)、およびLSGRSDNHVPLSLSMG(配列番号35)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、L2は、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、およびISSGLLAGRSDNH(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、L1またはL2は、修飾されたアミノ酸もしくは非天然アミノ酸、または修飾された非天然アミノ酸、あるいはその組合せを含む。いくつかの実施形態では、修飾されたアミノ酸または修飾された非天然アミノ酸は、翻訳後修飾を含む。いくつかの実施形態では、L1またはL2は、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合の架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のタンパク質への転移RNA媒介性の付加、例えば、アルギニル化(arginylation)、およびユビキチン化を含む修飾を含んでいるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、修飾は、ペプチド骨格またはアミノ酸側鎖を含むいかなる場所でL1またはL2に対してなされる。
【0097】
構成
いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。いくつかの実施形態では、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。
【0098】
いくつかの実施形態では、構成1:
【0099】
【化1】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でscFvの軽鎖可変ドメインのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab重鎖ポリペプチドは、scFvの重鎖可変ドメインのC末端に連結され、Fabは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、Fab軽鎖ポリペプチドをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、Fabとを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、構成2:
【0101】
【化2】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でscFvの軽鎖可変ドメインのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチド鎖およびFab重鎖ポリペプチド鎖を含み、Fab重鎖ポリペプチド鎖は、scFvの重鎖可変ドメインのC末端に連結される、Fabとを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、構成3:
【0103】
【化3】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でscFvの軽鎖可変ドメインのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab軽鎖ポリペプチドは、scFvの重鎖可変ドメインのC末端に連結され、Fabは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、Fab重鎖ポリペプチドをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、Fabとを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、構成4:
【0105】
【化4】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドにさらに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でscFvの軽鎖可変ドメインのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab軽鎖ポリペプチドは、scFvの重鎖可変ドメインのC末端に連結される、Fabとを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、構成5:
【0107】
【化5】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でscFvの重鎖可変ドメインのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab重鎖ポリペプチドは、scFvの軽鎖可変ドメインのC末端に連結され、Fabは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、Fab軽鎖ポリペプチドをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、Fabとを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、構成6:
【0109】
【化6】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でscFvの重鎖可変ドメインに連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチド鎖およびFab重鎖ポリペプチド鎖を含み、Fab重鎖ポリペプチド鎖は、scFvの軽鎖可変ドメインのC末端に連結される、Fabとを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、構成7:
【0111】
【化7】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でscFvの重鎖可変ドメインのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab軽鎖ポリペプチドは、scFvの軽鎖可変ドメインのC末端に連結され、Fabは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、Fab重鎖ポリペプチドをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、Fabとを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、構成8:
【0113】
【化8】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドにさらに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でscFvの重鎖可変ドメインのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、単鎖可変フラグメントと、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fab軽鎖ポリペプチド鎖は、scFvの軽鎖可変ドメインのC末端に連結される、Fabとを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、構成9:
【0115】
【化9】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でFab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、scFvは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、scFvの軽鎖可変ドメインをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、構成10:
【0117】
【化10】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でFab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab重鎖ポリペプチドのN末端に連結される、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、構成11:
【0119】
【化11】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でFab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、scFvは、P
2およびL
2にさらに連結され、P
2は、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、scFvの軽鎖可変ドメインをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、構成12:
【0121】
【化12】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でFab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結される、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、構成13:
【0123】
【化13】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチド(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でFab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、scFvは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、scFvの重鎖可変ドメインをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、構成14:
【0125】
【化14】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でFab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの軽鎖可変ドメインは、Fab重鎖ポリペプチドのN末端に連結される、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、構成15:
【0127】
【化15】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なう(P
1)に連結され、P
1は、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分(L
1)でFab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、P
1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの重鎖可変ドメインは、Fab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結され、scFvは、P
2およびL
2に連結され、P
2は、エフェクター細胞抗原へのscFvの結合を損なうペプチドを含み、L
2は、scFvの重鎖可変ドメインをP
2に接続するリンカー部分を含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、構成16:
【0129】
【化16】
による構造的な配置を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体が本明細書に開示され、ここで、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、腫瘍細胞抗原に結合するFabであって、Fabは、Fab軽鎖ポリペプチドおよびFab重鎖ポリペプチドを含み、Fabは、腫瘍細胞抗原へのFabの結合を損なうペプチドに連結され、ペプチドは、腫瘍特異的プロテアーゼの基質であるリンカー部分でFab重鎖ポリペプチドのN末端に連結され、ペプチドは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長単一ドメイン抗体(H
1)にさらに連結され、H
1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む、Fabと、エフェクター細胞抗原に結合する単鎖可変フラグメント(scFv)であって、scFvは、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、scFvの軽鎖可変ドメインは、Fab軽鎖ポリペプチドのN末端に連結される、単鎖可変フラグメントとを含む。
【0130】
ポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードするポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする単離された組換え核酸分子が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、抗体または抗体フラグメントを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする単離された組換え核酸分子が本明細書に開示され、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4によるアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。
【0133】
いくつかの実施形態では、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードし、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードし、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、単離された核酸である。
【0134】
いくつかの実施形態では、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体もしくは抗体フラグメント(H1)を含むポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする単離された組換え核酸分子が本明細書に開示され、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号5を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、配列番号6に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6によるアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。
【0136】
いくつかの実施形態では、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードする単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードし、配列番号6の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、単離された核酸である。いくつかの実施形態では、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列をコードし、配列番号6の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、単離された核酸である。
【0137】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、(a)本明細書に開示されるポリペプチドまたはポリペプチド複合体、および(b)薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。
【0138】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、検出可能な標識、治療剤、または薬物動態学的修飾部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識、放射性標識、酵素、核酸プローブ、または造影剤を含む。
【0139】
対象への投与のために、本明細書に開示されるポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤とともに、医薬組成物で提供され得る。「薬学的に許容可能な担体」という用語は、限定されないが、成分の生物活性の有効性に干渉せず、および投与される患者に対して毒性ではない担体を含む。適切な医薬担体の例は、当該技術分野で周知であり、リン酸緩衝食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、無菌液などが挙げられる。このような担体は、従来の方法によって製剤化することができ、適切な用量で対象に投与することができる。好ましくは、組成物は無菌性である。これらの組成物は、防腐剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントも含有し得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤を含めることによって確実なものとすることができる。
【0140】
医薬組成物は、(所望の投与方法に応じて)任意の適切な形態であってよい。医薬組成物は、単位剤形で提供されてもよく、密封された容器で提供されてもよく、キットの一部分として提供されてもよい。そのようなキットは、使用説明書を含んでもよい。それは複数の上記単位剤形を含んでもよい。
【0141】
医薬組成物は、非経口経路(例えば、皮下、筋肉内、または静脈内)経路を含む、任意の適切な経路による投与に適合させることができる。そのような組成物は、例えば、無菌条件下で活性成分を担体または賦形剤と混合することによって、薬学の技術分野で知られている任意の方法によって調製することができる。
【0142】
本開示の物質の用量は、処置される疾患または障害、処置される個体の年齢および状態などに応じて、広範な限界の間で変化し得、最終的に医師が使用すべき適切な用量を決定する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗体とその結合フラグメント)は、とりわけ、化学合成によって、または組換え発現によって、ポリペプチド(例えば、抗体)の合成に役立つように当該技術分野で知られている任意の方法を使用して生成され、および、好ましくは組換え発現技術によって生成される。
【0144】
いくつかの例では、抗体またはその結合フラグメントは組換え発現され、抗体またはその結合フラグメントをコードする核酸は、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから(例えば、Kutmeier et al.,1994,BioTechniques 17:242に記載されるように)組み立てられ、これは、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングとライゲーション、および、その後のPCRによるライゲートされたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0145】
代替的に、抗体をコードする核酸分子は、配列の3’末端と5’末端へハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用するPCR増幅によって、あるいは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用してクローンを作ることによって、適切なソース(例えば、抗体cDNAライブラリー、または免疫グロブリンを発現する任意の組織もしくは細胞から生成されたcDNAライブラリー)から任意選択的に生成される。
【0146】
いくつかの例では、抗体またはその結合フラグメントは、ポリクローナル抗体を産生するためにマウスなどの動物を免疫化することにより、または、より好ましくは、例えば、KohlerおよびMilstein(1975,Nature 256:495-497)によって記載されるように、または、Kozbor et al.,(1983,Immunology Today 4:72)、あるいはCole et al.,(1985 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96)によって記載されるように、モノクローナル抗体を産生することによって、任意選択的に生成される。代替的に、抗体の少なくともFab部分をコードするクローンは、特異的抗原に結合するFAbフラグメントのクローンについてFab発現ライブラリー(例えば、Huse et al.,1989,Science 246:1275-1281に記載される)をスクリーニングすることにより、または抗体ライブラリー(Clackson et al.,1991,Nature 352:624;Hane et al.,1997 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:4937を参照)をスクリーニングすることにより、任意選択的に得られる。
【0147】
いくつかの実施形態では、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一緒に、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることにより、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrison et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.81:851-855;Neuberger et al.,1984,Nature 312:604-608;Takeda et al.,1985,Nature 314:452-454)が使用される。キメラ抗体は、異なる部分が、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域、およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する動物種などの様々な動物種に由来する分子である。
【0148】
いくつかの実施形態では、一本鎖抗体の産生について記載された技術(U.S.Pat.No.4,694,778;Bird,1988,Science 242:423-42;Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;and Ward et al.,1989,Nature 334:544-54)は、一本鎖抗体を産生するために適合される。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋によってFv領域の重鎖および軽鎖のフラグメントを結合することによって形成され、結果として一本鎖ポリペプチドを生じさせる。大腸菌中の機能的なFvフラグメントの組み立てのための技術も任意選択で使用される(Skerra et al.,1988,Science 242:1038-1041)。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗体のヌクレオチド配列を含む発現ベクターまたは抗体のヌクレオチド配列は、従来の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、および、リン酸カルシウム沈澱反応)によって宿主細胞に導入され、トランスフェクトされた細胞はその後、従来の技術によって培養されて、抗体を産生する。特定の実施形態では、抗体の発現は、構成的な、誘導可能な、または組織特異的なプロモーターによって調節される。
【0150】
いくつかの実施形態では、様々な宿主発現ベクター系が、本明細書に記載される抗体またはその結合フラグメントを発現するために利用される。そのような宿主発現系は、抗体のコード配列が生成され、その後精製されるビヒクルを表すだけでなく、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換されるか、またはトランスフェクトされるときに、抗体またはその結合フラグメントをin situで発現する細胞も表す。これらは、限定されないが、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、または抗体またはその結合フラグメントコード配列を含むコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌と枯草菌)などの微生物、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミケス・ピキア)、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))に感染した、あるいは、抗体またはその結合フラグメントコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、あるいは、哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)、または、哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む、組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BH、293、293T、3T3細胞)を含む。
【0151】
組換えタンパク質の長期的かつ高収率の生成のためには、安定した発現が好ましい。いくつかの例では、安定して抗体を発現する細胞株が任意選択で操作される。ウイルスの複製開始点を含む発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御されたDNAで形質転換される。外来性DNAの導入後に、操作した細胞を富化培地で1~2日間成長させ、その後、選択培地に切り替える。組換えプラスミドにおける選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を与え、細胞がプラスミドをその染色体に安定的に統合し、成長してフォーカスを形成することをできるようにし、フォーカスはクローン化されて細胞株へと拡大する。この方法は、抗体またはその結合フラグメントを発現する細胞株を操作するために有利に使用することができる。
【0152】
いくつかの例では、限定されないが、それぞれtk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞で利用される、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,1977,Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska&Szybalski,192,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,1980,Cell 22:817)遺伝子を含む多くの選択系が使用される。同様に、代謝拮抗薬の耐性は、以下の遺伝子の選定基準として使用される:メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler et al.,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:357;O’Hare et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527)、ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(Mulligan&Berg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を与えるneo(Clinical Pharmacy 12:488-505;Wu and Wu,1991,Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev,1993,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596;Mulligan,1993,Science 260:926-932;and Morgan and Anderson,1993,Ann.Rev.Biochem.62:191-217;May 1993,TIB TECH 11(5):155-215)、およびヒグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerre et al.,1984,Gene 30:147)。使用可能な組換えDNA技術の技術分野で一般的に知られている方法は、Ausubel et al.(eds.,1993,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY;Kriegler,1990,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY;and in Chapters 12 and 13,Dracopoli et al.(eds),1994,Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY.;Colberre-Garapin et al.,1981,J.Mol.Biol.150:1)に記載される。
【0153】
いくつかの例では、抗体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加する(検討には、Bebbington and Hentschel,the use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3.(Academic Press,New York,1987)を参照)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加すると、マーカー遺伝子のコピーの数が増加する。増幅領域が抗体のヌクレオチド配列に関連しているため、抗体の産生も増加する(Crouse et al.,1983,Mol.Cell Biol.3:257)。
【0154】
いくつかの例では、当該技術分野で知られている抗体の精製のための任意の方法は、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、とりわけ、プロテインAの後の特異的な抗原への親和性、および、サイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解性によって、またはタンパク質の精製のための他の標準的な技術によって使用される。
【0155】
発現ベクター
いくつかの実施形態では、ベクターは、真核生物または原核生物の供給源に由来するあらゆる適切なベクターを含む。場合によっては、ベクターは、細菌(例えば大腸菌)、昆虫、酵母(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、藻類、または哺乳動物の供給源から得られる。例示的な細菌ベクターは、pACYC177、pASK75、pBADベクター系、pBADMベクター系、pETベクター系、pETMベクター系、pGEXベクター系、pHAT、pHAT2、pMal-c2、pMal-P2、pQEベクター系、pRSET A、pRSET B、pRSET C、pTrcHis2系、pZA31-Luc、pZE21-MCS-1、pFLAG ATS、pFLAG CTS、pFLAG MAC、pFLAG Shift-12c、pTAC-MAT-1、pFLAG CTC、またはpTAC-MAT-2を含む。
【0156】
例示的な昆虫ベクターは、pFastBac1、pFastBac DUAL、pFastBac ET、pFastBac HTa、pFastBac HTb、pFastBac HTc、pFastBac M30a、pFastBact M30b、pFastBac、M30c、pVL1392、pVL1393、pVL1393 M10、pVL1393 M11、pVL1393 M12、FLAGベクター、例えば、pPolh-FLAG1またはpPolh-MAT 2、あるいはMATベクター、例えば、pPolh-MAT1、またはpPolh-MAT2を含む。
【0157】
場合によっては、酵母ベクターは、Gateway(登録商標)pDEST(商標)14ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)15ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)17ベクター、Gateway(登録商標)pDEST(商標)24ベクター、Gateway(登録商標)pYES-DEST52ベクター、pBAD-DEST49 Gateway(登録商標)デスティネーションベクター、pAO815 Pichiaベクター、pFLD1 Pichi pastorisベクター、pGAPZ A、B、およびCのPichia pastorisベクター、pPIC3.5K Pichiaベクター、pPIC6 A、B、およびCのPichiaベクター、pPIC9K Pichiaベクター、pTEF1/Zeo、pYES2酵母ベクター、pYES2/CT酵母ベクター、pYES2/NT A、B、およびCの酵母ベクター、またはpYES3/CT酵母ベクターを含む。
【0158】
例示的な藻類ベクターはpChlamy-4ベクターまたはMCSベクターを含む。
【0159】
哺乳動物ベクターの例は、一過性発現ベクターまたは安定した発現ベクターを含む。哺乳動物の一過性発現ベクターは、pRK5、p3xFLAG-CMV 8、pFLAG-Myc-CMV 19、pFLAG-Myc-CMV 23、pFLAG-CMV 2、pFLAG-CMV 6a,b,c、pFLAG-CMV 5.1、pFLAG-CMV 5a,b,c、p3xFLAG-CMV 7.1、pFLAG-CMV 20、p3xFLAG-Myc-CMV 24、pCMV-FLAG-MAT1、pCMV-FLAG-MAT2、pBICEP-CMV 3、またはpBICEP-CMV 4を含み得る。哺乳動物の安定した発現ベクターは、pFLAG-CMV 3、p3xFLAG-CMV 9、p3xFLAG-CMV 13、pFLAG-Myc-CMV 21、p3xFLAG-Myc-CMV 25、pFLAG-CMV 4、p3xFLAG-CMV 10、p3xFLAG-CMV 14、pFLAG-Myc-CMV 22、p3xFLAG-Myc-CMV 26、pBICEP-CMV 1、またはpBICEP-CMV 2を含み得る。
【0160】
いくつかの例では、無細胞系は、細胞からの細胞質成分および/または核成分の混合物であり、in vitroでの核酸合成に使用される。場合によっては、無細胞系は原核細胞成分または真核細胞成分のいずれかを利用する。しばしば、核酸合成は、例えば、ショウジョウバエ細胞(Drosophila cell)、ツメガエル卵子(Xenopus egg)、またはHeLa細胞に基づいた無細胞系において得られる。例示的な無細胞系は、限定されないが、大腸菌S30抽出物系、大腸菌T7 S30系、またはPURExpress(登録商標)を含む。
【0161】
宿主細胞
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、任意の適切な細胞、例えば、天然由来の細胞または遺伝子組換えされた細胞を含む。いくつかの例では、宿主細胞は産生宿主細胞である。いくつかの例では、宿主細胞は真核細胞である。他の例では、宿主細胞は原核細胞である。場合によっては、真核細胞は真菌(例えば、酵母菌)、動物細胞、または植物細胞を含む。場合によっては、原核細胞は細菌細胞である。細菌細胞の例はグラム陽性菌またはグラム陰性菌を含む。しばしば、グラム陰性菌は嫌気性、桿状、またはその両方である。
【0162】
いくつかの例では、グラム陽性菌は放線菌門(Actinobacteria)、ファーミキューテス門(Firmicutes)、またはテネリクテス門(Tenericutes)を含む。場合によっては、グラム陰性菌は、アクウィフェクス門(Aquificae)、デイノコッカス-サーマス門(Deinococcus-Thermus)、フィブロバクター門(Fibrobacteres)-クロロビウム門(Chlorobi)/バクテロイデス門(Bacteroidetes)(FCB群)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、ゲンマティモナス門(Gemmatimonadetes)、ニトロスピラ門(Nitrospirae)、プランクトミケス門(Planctomycetes)-ベルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)/クラミジア属(Chlamydiae)(PVC群)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、スピロヘータ門(Spirochaetes)、またはシネルギステス門(Synergistetes)を含む。他の細菌は、アシドバクテリウム門(Acidobacteria)、緑色非硫黄細菌門(Chloroflexi)、クリシオゲネス門(Chrysiogenetes)、シアノバクテリア(Cyanobacteria)、デフェリバクター門(Deferribacteres)、ディクチオグロムス門(Dictyoglomi)、サーモデスルフォバクテリア門(Thermodesulfobacteria)、またはテルモトガ門(Thermotogae)であり得る。細菌細胞は大腸菌、ボツリヌス菌、または大腸菌であり得る。
【0163】
例示的な原核生物宿主細胞は、限定されないが、BL21、Mach1(商標)、DH10B(商標)、TOP10、DH5α、DH10Bac(商標)、OmniMax(商標)、MegaX(商標)、DH12S(商標)、INV110、TOP10F’、INVαF、TOP10/P3、ccdB Survival、PIR1、PIR2、Stbl2(商標)、Stbl3(商標)、またはStbl4(商標)を含む。
【0164】
いくつかの例では、動物細胞は脊椎動物または無脊椎動物からの細胞を含む。場合によっては、動物細胞は、海洋無脊椎動物、魚、昆虫、両生類、爬虫類、または哺乳動物からの細胞を含む。場合によっては、真菌細胞は、ビール酵母、パン酵母、またはワイン酵母などの酵母菌を含む。
【0165】
真菌は子嚢菌、例えば、酵母菌、カビ、糸状菌、担子菌、または接合菌を含む。いくつかの例では、酵母菌は子嚢菌または担子菌を含む。場合によっては、子嚢菌は、サッカロミケス亜門(Saccharomycotina)(真正酵母菌、例えば、ビール酵母菌)(パン酵母))またはタフリナ菌亜門(Taphrinomycotina)(例えば、シゾサッカロミセス綱(Schizosaccharomycetes)(分裂酵母))を含む。場合によっては、担子菌はハラタケ亜門(Agaricomycotina)(例えば、シロキクラゲ綱(Tremellomycetes))またはサビキン亜門(Pucciniomycotina)(例えば、ミクロボトリウム菌綱(Microbotryomycetes))を含む。
【0166】
例示的な酵母菌または糸状菌は、例えば、属、すなわち、サッカロミケス属(Saccharomyces)、分裂酵母、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、チゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、トリコスポロン属(Trichosporon)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidi)、アスペルギルス属(Aspergillus)、フザリウム属(Fusarium)、またはトリコデルマ属(Trichoderma)を含む。例示的な酵母菌または糸状菌は、例えば、種、すなわち、ビール酵母菌、分裂酵母、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・ボイジニ(Candida boidini)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ビスワナチイ(Candida viswanathii)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)、ロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、チゴサッカロミセス・ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、ロスポリジウム・トル-アスペルギルス・ニガー(Rhodosporidium toru-Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニードランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ヤロウイア・リポティカ(Yarrowia lipolytica)、ブレタノミセス・ブルセレンシス(Brettanomyces bruxellensis)、カンジダ・ステラータ(Candida stellata)、分裂酵母、トルラスポラ・デルブルッキィ(Torulaspora delbrueckii)、チゴサッカロミセス・バイリィ(Zygosaccharomyces bailii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)、またはサッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)を含む。
【0167】
例示的な酵母宿主細胞としては、GS115、KM71H、SMD1168、SMD1168H、およびX-33などのピキア・パストリス酵母菌株、ならびにINVSc1などのサッカロミセス・セレビシエ酵母菌株が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
いくつかの実施態様では、追加の動物細胞は、軟体動物、節足動物、環形動物、または海綿動物から得られる細胞を含む。いくつかの実施態様では、追加の動物細胞は、例えば、霊長類、類人猿、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、またはげっ歯類からの哺乳動物細胞である。場合によっては、げっ歯類は、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、ファンシーラット、またはモルモットを含む。
【0169】
例示的な哺乳動物宿主細胞としては、293A細胞株、293FT細胞株、293F細胞、293 H細胞、CHO DG44細胞、CHO-S細胞、CHO-K1細胞、FUT8 KO CHOK1、Expi293F(商標)細胞、Flp-In(商標)T-REx(商標)293細胞株、Flp-In(商標)-293細胞株、Flp-In(商標)-3T3細胞株、Flp-In(商標)-BHK細胞株、Flp-In(商標)-CHO細胞株、Flp-In(商標)-CV-1細胞株、Flp-In(商標)-Jurkat細胞株、FreeStyle(商標)293-F細胞、FreeStyle(商標)CHO-S細胞、GripTite(商標)293 MSR細胞株、GS-CHO細胞株、HepaRG(商標)細胞、T-REx(商標)Jurkat細胞株、Per.C6細胞、T-REx(商標)-293細胞株、T-REx(商標)-CHO細胞株、およびT-REx(商標)-HeLa細胞株が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
いくつかの例では、哺乳動物宿主細胞は、安定した細胞株であるか、または目的の遺伝物質をそれ自体のゲノムに組み込み、細胞分裂の多くの世代後に遺伝物質の生成物を発現する能力を有する細胞株である。場合によっては、哺乳動物宿主細胞は、一過性の細胞株であるか、または対象の遺伝物質をそれ自体のゲノムに組み込んでおらず、細胞分裂の多くの世代後に遺伝物質の生成物を発現する能力を有していない細胞株である。
【0171】
例示的な昆虫宿主細胞としては、ショウジョウバエS2細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、High Five(商標)細胞、およびexpresSF+(登録商標)細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
場合によっては、植物細胞は藻類からの細胞を含む。例示的な昆虫細胞株としては、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)137cまたはシネココッカス(Synechococcus elongatus)PPC 7942からの株が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
製品
本発明の別の態様では、上記の障害の処置、予防、および/または診断に役立つ材料を含む製品が提供される。製品は、容器、および容器上のまたは容器に付属のラベルまたは添付文書を含む。適切な容器は例えば、瓶、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどを含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、疾病を処置、予防、および/または診断するのに有効な組成物を単独でまたは別の組成物と組み合わせて保持し、無菌アクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈用注射液バッグまたはバイアルであってもよい)を有し得る。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、CD3に特異的に結合する第1の抗原結合部位および本明細書中で先に定義された腫瘍抗原に特異的に結合する第2の抗原結合部位を含む二重特異性抗体である。
【0174】
ラベルまたは添付文書は、選択された疾病を処置するために組成物が使用されることを示している。さらに、製品は、(a)その中に組成物を含有する第1の容器であって、組成物は本発明の二重特異性抗体を含む、第1の容器と、(b)その中に組成物を含有する第2の容器であって、組成物はさらに細胞毒性剤またはそうでなければ治療剤を含む、第2の容器とを含み得る。本発明のこの実施形態における製品は、特定の疾病を処置するために上記組成物を使用することができるということを示す添付文書をさらに含み得る。
【0175】
代替的にまたは付加的に、製品はさらに、注射用の静菌性の水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容可能な緩衝液を含む、第2の(または第3の)容器を含んでもよい。それはさらに、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的かつユーザー寄りの観点から望ましい他の材料を含んでもよい。
【0176】
特定の定義
本明細書で使用される用語は、特定の事例のみを記載することを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明白に示していない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。さらに、「含むこと(including)」、「含む(includes)」「有すること(having)」、「有する(has)」、「とともに(with)」という用語またはその変形が、詳細な記載および/または請求項のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、用語「含む(comprising)」に類似した方法で含まれるように意図されている。
【0177】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、抗原を結合することができる抗体フラグメント、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、一本鎖抗体(scFv)、ダイアボディ、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体などを包含する。
【0178】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、抗体が結合するエピトープに対して構造が相補的であり、可変領域の残りよりも可変度が高い抗体の可変領域のセグメントである。これに応じて、CDRはしばしば超可変領域と呼ばれる。可変領域は3つのCDRを含む。CDRペプチドは目的の抗体のCDRをコードする遺伝子の構築により得ることができる。そのような遺伝子は、例えば、抗体産生細胞のRNAからの可変領域を合成するためにポリメラーゼ連鎖反応を使用することにより、調製される。例えば、Larrick et al.,Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991);Courtenay-Luck,“Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,”in Monoclonal Antibodies:Production,Engineering and Clinical Application、Ritter et al.(eds.),pages 166-179(Cambridge University Press 1995)、およびWard et al.,“Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,”in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),pages 137-185(Wiley-Liss,Inc.1995)を参照されたい。
【0179】
「Fab」という用語は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含むタンパク質を指す。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基を加えることでFab’フラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有しているFab’に関する本明細書での命名である。Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド架橋の還元により生成される。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
【0180】
「単鎖可変フラグメント(scFv)」とは、10~約25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドと接続した、抗体の重鎖(VH)と軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリンまたはスレオニンが豊富であり、VHのN末端をVLのC末端に接続するか、またはその逆を接続することができる。このタンパク質は、定常領域を取り除いてリンカーを導入したにもかかわらず、元の抗体の特異性を保持している。scFv抗体は、例えば、Houston,J.S.,Methods in Enzymol.203(1991)46-96)に記載されている。加えて、抗体フラグメントは、VHドメインの特徴を有する、すなわち、VLドメインとともに組み立てることができる、またはVLドメインの特徴を有する、すなわち、VHドメインとともに機能的な抗原結合部位に組み立てることができ、それによって完全長の抗体の抗原結合特性を提供する、単鎖ポリペプチドを含む。
【0181】
本明細書で使用されるとき、配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」という用語は、最大のパーセント配列同一性を達成するために、必要に応じて配列をアラインメントしてギャップを導入した後に、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮することなく、特定の配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当該技術分野内の様々な方法で、例えば、EMBOSS MATCHER、EMBOSS WATER、EMBOSS STRETCHER、EMBOSS NEEDLE、EMBOSS LALIGN、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成可能である。当業者は、比較されている配列の完全長での最大のアラインメントを達成するために必要とされるあらゆるアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0182】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に使用される状況では、所与のアミノ酸配列B(所与のアミノ酸配列Bに対する%アミノ酸配列同一性を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aとして代替的に表現され得る)に対する、所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性は、以下のように計算される:画分X/Yを100倍し、ここで、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBの配列において同一マッチとしてスコアリングされたアミノ酸残基の数であり、ここで、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の合計数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、A対Bの%アミノ酸配列同一性は、B対Aの%アミノ酸配列同一性と等しくないことを理解されたい。特段の定めのない限り、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前のパラグラフに記載されているように、本明細書で使用される%アミノ酸配列同一性の値がすべて得られる。
【0183】
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。多くの変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到されるものである。本明細書に記載される本開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、ならびに、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造はそれによって包含されることが、意図されている。
【0184】
実施形態
実施形態1は、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長抗体または抗体フラグメント(H1)を含む、単離されたポリペプチドあるいはポリペプチド複合体を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0185】
実施形態2は、実施形態1の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む。
【0186】
実施形態3は、実施形態1または2の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。
【0187】
実施形態4は、実施形態3の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。
【0188】
実施形態5は、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0189】
実施形態6は、実施形態1~5のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0190】
実施形態7は、実施形態1~6のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0191】
実施形態8は、実施形態1~7のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。
【0192】
実施形態9は、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0193】
実施形態10は、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0194】
実施形態11は、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0195】
実施形態12は、実施形態1~4のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0196】
実施形態13は、実施形態1~12のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1は、式I:A1-L1-P1-H1による構成において腫瘍特異的プロテアーゼの基質である切断可能なリンカー(L1)を介して、第1の抗原認識分子(A1)の第1の標的抗原への結合を損なうペプチド(P1)に連結される。
【0197】
実施形態14は、実施形態13の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、第2の抗原認識分子(A2)にさらに連結される。
【0198】
実施形態15は、実施形態14の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、ポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、式Ia:P2-L2-A2-A1-L1-P1-H1によるものであり、式中、P2は、A2の第2の標的抗原への結合を損なうペプチドを含み、L2は、A2をP2に接続する第2の切断可能なリンカーを含み、腫瘍特異的プロテアーゼの基質である。
【0199】
実施形態16は、実施形態1~15のいずれか1つの単離されたポリペプチドを含み、H1は、H1をP1に接続するリンカー部分(L3)を含む。
【0200】
実施形態17は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0201】
実施形態18は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0202】
実施形態19は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0203】
実施形態20は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0204】
実施形態21は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0205】
実施形態22は、実施形態16の単離されたポリペプチドを含み、L3は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0206】
実施形態23は、実施形態22の単離されたポリペプチドを含み、L3は、アミノ酸配列GGGGSGGGS(配列番号19)を含む。
【0207】
実施形態24は、実施形態13~23のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、抗体または抗体フラグメントを含む。
【0208】
実施形態25は、実施形態24の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、ヒトもしくはヒト化抗体または抗体フラグメントを含む。
【0209】
実施形態26は、実施形態13~25のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。
【0210】
実施形態27は、実施形態15~25のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのN末端に結合される。
【0211】
実施形態28は、実施形態13~25のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。
【0212】
実施形態29は、実施形態15~25のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2は、A1の抗体または抗体フラグメントのC末端に結合される。
【0213】
実施形態30は、実施形態13~29の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1の抗体または抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、またはFabフラグメントを含む。
【0214】
実施形態31は、実施形態30の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、単鎖可変フラグメント(scFv)である。
【0215】
実施形態32は、実施形態31の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、scFvは、scFv重鎖ポリペプチドおよびscFv軽鎖ポリペプチドを含む。
【0216】
実施形態33は、実施形態30の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、単一ドメイン抗体である。
【0217】
実施形態34は、実施形態30の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1の抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む。
【0218】
実施形態35は、実施形態13~34のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、第1の標的抗原はエフェクター細胞抗原を含む。
【0219】
実施形態36は、実施形態13~35のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、第1の標的抗原はCD3である。
【0220】
実施形態37は、実施形態13~36のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。
【0221】
実施形態38は、実施形態13~37のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、CD3発現細胞上のCD3に対して1μM以下のKD結合を有する抗CD3e単鎖可変フラグメントを含む。
【0222】
実施形態39は、実施形態13~38のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、それぞれがヒトCD3に特異的に結合できる可変軽鎖および可変重鎖を含む。
【0223】
実施形態40は、実施形態13~39のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、ムロモナブ-CD3(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(MGA031)、ビジリズマブ(Nuvion)、SP34、X35、VIT3、BMA030(BW264/56)、CLB-T3/3、CRIS7、YTH12.5、F111-409、CLB-T3.4.2、TR-66、WT32、SPv-T3b、11D8、XIII-141、XIII-46、XIII-87、12F6、T3/RW2-8C8、T3/RW2-4B6、OKT3D、M-T301、SMC2、F101.01、UCHT-1、WT-31、15865、15865v12、15865v16、および15865v19からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)を含む。
【0224】
実施形態41は、実施形態13~40のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断されると、エフェクター細胞に結合する。
【0225】
実施形態42は、実施形態13~40のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、式Iのポリペプチドまたはポリペプチド複合体は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、A1がエフェクター細胞に結合すると、エフェクター細胞に結合する。
【0226】
実施形態43は、実施形態42の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、エフェクター細胞はT細胞である。
【0227】
実施形態44は、実施形態43の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A1は、エフェクター細胞上のTCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドに結合する。
【0228】
実施形態45は、実施形態44の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、TCR-CD3複合体の一部であるポリペプチドは、ヒトCD3εである。
【0229】
実施形態46は、実施形態15~45のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2は、抗体または抗体フラグメントを含む。
【0230】
実施形態47は、実施形態46の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、単鎖可変フラグメント、単一ドメイン抗体、Fab’、またはFabを含む。
【0231】
実施形態48は、実施形態46の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ラクダ科動物由来の単一ドメイン抗体の単鎖可変フラグメント(scFv)、重鎖可変ドメイン(VHドメイン)、軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)、または可変ドメイン(VHH)を含む。
【0232】
実施形態49は、実施形態46~48のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、ヒト化またはヒトである。
【0233】
実施形態50は、実施形態47の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2は、FabまたはFab’である。
【0234】
実施形態51は、実施形態50の単離したポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、FabまたはFab’は、(a)Fab軽鎖ポリペプチドおよび(b)Fab重鎖ポリペプチドを含む。
【0235】
実施形態52は、実施形態15~51のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、第2の標的抗原は腫瘍抗原を含む。
【0236】
実施形態53は、実施形態46~52のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2の抗体またはその抗体フラグメントは、上皮増殖因子受容体(EGFR)結合ドメイン、メソテリン結合ドメイン、PSMA結合ドメイン、またはTROP2結合ドメインを含む。
【0237】
実施形態54は、実施形態46~52のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、抗体または抗体フラグメントは、PSMA結合ドメインまたはTROP2結合ドメインを含む。
【0238】
実施形態55は、実施形態13~54のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1は、第1の標的抗原へのA1の結合を損なう。
【0239】
実施形態56は、実施形態13~55のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、およびまたはH結合相互作用、あるいはそれらの組合せを介してA1に結合される。
【0240】
実施形態57は、実施形態13~56のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1は、第1の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を含む。
【0241】
実施形態58は、実施形態15~57のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P2は、第2の標的抗原へのA2の結合を損なう。
【0242】
実施形態59は、実施形態15~58のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P2は、イオン相互作用、静電的相互作用、疎水的相互作用、Pi-スタッキング相互作用、またはH結合相互作用、あるいはそれらの組合せを介してA2に結合される。
【0243】
実施形態60は、実施形態15~59のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P2は、抗原結合部位またはその近傍でA2に結合される。
【0244】
実施形態61は、実施形態15~60のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P2は、第2の標的抗原に対して70%未満の配列相同性を含む。
【0245】
実施形態62は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0246】
実施形態63は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、少なくとも10アミノ酸および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0247】
実施形態64は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0248】
実施形態65は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0249】
実施形態66は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。
【0250】
実施形態67は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。
【0251】
実施形態68は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、環状ペプチドを含む。
【0252】
実施形態69は、実施形態13~61のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1またはP2は、直鎖ペプチドを含む。
【0253】
実施形態70は、実施形態13~69のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1は、A1のN末端に結合される。
【0254】
実施形態71は、実施形態13~69のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1は、A1のC末端に結合される。
【0255】
実施形態72は、実施形態15~69のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L2は、A2のN末端に結合される。
【0256】
実施形態73は、実施形態15~69のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L2は、A2のC末端に結合される。
【0257】
実施形態74は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0258】
実施形態75は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0259】
実施形態76は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0260】
実施形態77は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0261】
実施形態78は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0262】
実施形態79は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、(G2S)n(配列番号20)を含む式を有し、nは1~3の整数である。
【0263】
実施形態80は、実施形態13~73のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1は、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0264】
実施形態81は、実施形態13~80のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1は、L1が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA1が第1の標的抗原に曝露されると、A1から非結合となる。
【0265】
実施形態82は、実施形態15~81のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P2は、L2が腫瘍特異的プロテアーゼによって切断され、これによりA2が第2の標的抗原に曝露されると、A2から非結合となる。
【0266】
実施形態83は、実施形態13~82のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、腫瘍特異的プロテアーゼは、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群から選択される。
【0267】
実施形態84は、実施形態13~82のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、ウロキナーゼ切断可能アミノ酸配列、マトリプターゼ切断可能アミノ酸配列、マトリックスメタロプロテアーゼ切断可能アミノ酸配列、またはレグマイン切断可能アミノ酸配列を含む。
【0268】
実施形態85は、実施形態13~84のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、GGGGSLSGRSDNHGSSGT(配列番号21)、GGGGSSGGSGGSGLSGRSDNHGSSGT(配列番号22)、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、ISSGLLAGRSDNH(配列番号26)、LSGRSDNH(配列番号27)、ISSGLLSGRSDNP(配列番号28)、ISSGLLSGRSDNH(配列番号29)、LSGRSDNHSPLGLAGS(配列番号30)、SPLGLAGSLSGRSDNH(配列番号31)、およびSPLGLSGRSDNH(配列番号32)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0269】
実施形態86は、実施形態13~84のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1またはL2は、ASGRSDNH(配列番号23)、LAGRSDNH(配列番号24)、ISSGLASGRSDNH(配列番号25)、およびISSGLLAGRSDNH(配列番号26)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0270】
実施形態87は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。
【0271】
実施形態88は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のC末端に結合される。
【0272】
実施形態89は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。
【0273】
実施形態90は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1の単鎖可変フラグメント(scFv)のN末端に結合される。
【0274】
実施形態91は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。
【0275】
実施形態92は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合される。
【0276】
実施形態93は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。
【0277】
実施形態94は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合される。
【0278】
実施形態95は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。
【0279】
実施形態96は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv重鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。
【0280】
実施形態97は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab重鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab軽鎖ポリペプチドに結合される。
【0281】
実施形態98は、実施形態47~86のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、A2のFab軽鎖ポリペプチドは、A1のscFv軽鎖ポリペプチドに結合され、L2は、A2のFab重鎖ポリペプチドに結合される。
【0282】
実施形態99は、(a)実施形態1~33のいずれか1つのバクテリオファージおよび(b)薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0283】
実施形態100は、実施形態1~98のいずれか1つのポリペプチドまたはポリペプチド複合体をコードする、単離された組換え核酸分子を含む。
【0284】
実施形態101は、式II:L1a-P1a-H1aによる単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、式中、L1aは、非切断時に第1の標的抗原と結合する第1の抗原認識分子にP1aを接続する、腫瘍特異的プロテアーゼに切断されたリンカー部分を含み、P1aは、L1a非切断時に、第1の標的抗原への第1の抗原認識分子の結合を損なうペプチドを含み、H1aは、相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含む半減期延長分子を含み、H1のHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含み、CDRは、HC-CDR1、HC-CDR2、またはHC-CDR3の少なくとも1つに0~2個のアミノ酸修飾を含む。
【0285】
実施形態102は、実施形態101の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは相補性決定領域(CDR)、すなわちHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3を含み、H1aのHC-CDR1、HC-CDR2、およびHC-CDR3は、HC-CDR1では配列番号1、HC-CDR2では配列番号2、およびHC-CDR3では配列番号3を含む。
【0286】
実施形態103は、実施形態101または102の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aの抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体、単鎖可変フラグメント、Fab、またはFab’を含む。
【0287】
実施形態104は、実施形態103の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1の抗体または抗体フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。
【0288】
実施形態105は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0289】
実施形態106は、実施形態101~105のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0290】
実施形態107は、実施形態101~106のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4に対して少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0291】
実施形態108は、実施形態101~107のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4によるアミノ酸配列を含む。
【0292】
実施形態109は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0293】
実施形態110は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含む。
【0294】
実施形態111は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも110個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0295】
実施形態112は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、配列番号4の少なくとも120個の連続するアミノ酸残基に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0296】
実施形態113は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L1a非切断時、P1aは、第1の抗原認識分子のエフェクター細胞抗原への結合を損なう。
【0297】
実施形態114は、実施形態101~104のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、第1の抗原認識分子は、抗体または抗体フラグメントを含む。
【0298】
実施形態115は、実施形態113の単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、エフェクター細胞抗原は抗CD3エフェクター細胞抗原である。
【0299】
実施形態116は、実施形態113~115のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、エフェクター細胞抗原に対して70%未満の配列相同性を含む。
【0300】
実施形態117は、実施形態101~116のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、少なくとも10アミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0301】
実施形態118は、実施形態101~116のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、少なくとも10アミノ酸および20以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0302】
実施形態119は、実施形態101~116のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、少なくとも16アミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0303】
実施形態120は、実施形態101~116のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、40以下のアミノ酸長のペプチド配列を含む。
【0304】
実施形態121は、実施形態101~120のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、少なくとも2つのシステインアミノ酸残基を含む。
【0305】
実施形態122は、実施形態101~121のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、環状ペプチドまたは直鎖ペプチドを含む。
【0306】
実施形態123は、実施形態101~122のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、環状ペプチドを含む。
【0307】
実施形態124は、実施形態101~122のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、P1aは、直鎖ペプチドを含む。
【0308】
実施形態125は、実施形態101~124のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、H1aは、H1aをP1aに接続するリンカー部分(L3a)を含む。
【0309】
実施形態126は、実施形態101~125のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、少なくとも5~50個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0310】
実施形態127は、実施形態101~126のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、少なくとも10~30個以下のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0311】
実施形態128は、実施形態101~125のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、少なくとも10個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0312】
実施形態129は、実施形態101~125のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、少なくとも18個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0313】
実施形態130は、実施形態101~125のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、少なくとも26個のアミノ酸を有するペプチド配列である。
【0314】
実施形態131は、実施形態101~130のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、(G2S)n、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号15)、(GGGS)n(配列番号16)、(GGGGS)n(配列番号17)、および(GSSGGS)n(配列番号18)からなる群から選択される式を有し、nは少なくとも1の整数である。
【0315】
実施形態132は、実施形態101~131のいずれか1つの単離されたポリペプチドまたはポリペプチド複合体を含み、L3aは、GGGGSGGGS(配列番号9)によるアミノ酸配列を含む。
【実施例】
【0316】
実施例1:血清アルブミン結合のELISA
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、単一ドメイン抗体の、マウス、ウシ、カニクイザル、およびヒトからの血清アルブミンを結合するそれらの能力について評価した。簡潔に言えば、単一ドメイン抗体を、アルブミンでコーティングしたELISAプレート中に滴定した。洗浄後、結合した単一ドメイン抗体を、二次西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体コンジュゲートを使用して検出した。再び洗浄した後、標準ELISA技術を使用してプレートを現像し、そして酸を使用して停止した。50%最大シグナルを達成するのに必要な単一ドメイン抗体の濃度またはEC50を、Graphpad Prismを用いて計算した。データは、
図1A~
図1Dに示される。
【0317】
実施例2:ヒト血清アルブミンのpH依存性動態結合
ヒト血清アルブミンに対する単一ドメイン抗体結合速度を、Octet RED96機器を使用して評価した。簡潔に言えば、ビオチン化したヒト血清アルブミンを、ストレプトアビジンバイオセンサー(streptavidin biosensors)上で捕捉し、ビオシチンを用いてクエンチし、そして緩衝液中でベースライン測定した。緩衝液中に中性または酸性のpHで滴定した単一ドメイン抗体を、その後、アルブミンを負荷したバイオセンサー上に会合させた。会合後、バイオセンサーを中性また酸性のpHの緩衝液に移動させ、単一ドメイン抗体解離を測定した。会合および解離速度を実時間で測定し、1対1結合モデルに適合させた。オン速度、オフ速度、および親和性(KD)を、様々な単一ドメイン抗体にわたって比較した。データは、
図2A~
図2Bに示される。
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
実施例3:ELISAによるカニクイザルおよびヒトのアルブミンへのpH依存性結合
中性および酸性のpHで酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、単一ドメイン抗体の、カニクイザルまたはヒト由来の血清アルブミンを結合するそれらの能力について評価した。簡潔に言えば、単一ドメイン抗体を、アルブミンでコーティングしたELISAプレート上の中性または酸性の緩衝液中に滴定した。洗浄後、結合した単一ドメイン抗体を、二次西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体コンジュゲートを使用して検出した。再び洗浄した後、標準ELISA技術を使用してプレートを現像し、そして酸を使用して停止した。50%最大シグナルを達成するのに必要な単一ドメイン抗体の濃度またはEC50を、Graphpad Prismを用いて計算した。その後、中性および酸性のpHにおける単一ドメイン抗体親和性を比較した。データは、
図3A~
図3Dに示される。
【0323】
【0324】
実施例4:ヒトアルブミンに対する単一ドメイン抗体およびFcRnの動態結合競合
単一ドメイン抗体の、FcRn認識を遮断せずにヒト血清アルブミンに結合するそれらの能力について評価した。簡潔に言えば、ビオチン化したヒト血清アルブミンを、ストレプトアビジンバイオセンサー上に負荷し、ビオシチン中でクエンチし、そして酸性緩衝液中でベースライン測定した。その後、飽和が生じるまで、単一ドメイン抗体をセンサー上で会合させた(会合1)。その後、センサーを、この時さらにFcRnを含有している、同じ濃度の単一ドメイン抗体に移動させた(会合2)。第2の会合工程の間のシグナルの増加は、FcRnが、結合された単一ドメイン抗体で既に飽和したアルブミン中という状況下であってもヒトアルブミンをなお結合させることができることを示唆する。したがって、会合2では、単一ドメイン抗体がFcRnとアルブミン結合部位について競合するかどうかを試験する。最後に、バイオセンサーを緩衝液に移動させ、解離を観察した。アルブミンのFcRn競合的結合を欠くことが知られている陽性対照単一ドメイン抗体を、比較に使用した。データは
図4に示される。
【0325】
実施例5:in vivo半減期延長のためのポリペプチド配列
ポリペプチド複合体PC1、PC2、PC3、およびPC4は、表7に開示される軽鎖(LC)および重鎖(HC)のアミノ酸配列を有する。HE-1配列(配列番号4)を、PC2 LC中に、およびPC4 HC中に取り込ませる。取り込まれたHE-1配列を有するPC2およびPC4を、PC1およびPC3とそれぞれ比較し、カニクイザルにおけるin vivoの半減期延長に対するHE-1の効果を示した。配列番号7および配列番号8は、PC1のLCおよびHCそれぞれのアミノ酸配列である。配列番号9および配列番号10は、PC2のLCおよびHCそれぞれのアミノ酸配列である。配列番号11および配列番号12は、PC3のLCおよびHCそれぞれのアミノ酸配列である。配列番号13および配列番号14は、PC4のLCおよびHCそれぞれのアミノ酸配列である。PC1およびPC2はPSMAとCD3標的領域とを含み、PC3およびPC4はTROP2とCD3標的領域とを含む。PC2は単一マスクを含み、PC4は二重マスクを含む。PC2は構成8による構成を有し、PC4は構成5による構成を有する。
【0326】
【0327】
【0328】
実施例6:ポリペプチド複合体(PC1およびPC2)によるPSMAおよびCD3e結合
ELISAを使用して、ポリペプチド複合体PC1およびPC2を、PSMAおよびCD3eへの結合について評価した。また、PC2を用いた結合試験を、マスクの切断のためのマトリプターゼ酵素(MTSP1)の存在下で実施した。PSMAおよびCD3eの結合データは、
図5および6でそれぞれ示される。
【0329】
実施例7:ポリペプチド複合体で媒介されたCD8+ T細胞の存在下の22RV1腫瘍細胞の死滅
PSMA陽性腫瘍細胞株22Rv1を使用して、ポリペプチド複合体PC1およびPC2を機能的なin vitro腫瘍細胞死滅アッセイで評価した。腫瘍細胞死滅は、腫瘍細胞がセンサーの表面に付着し、広がり、拡大するにつれて増加されるセンサーインピーダンス測定値(細胞指数)に依存するAgilent製のxCelligenceリアルタイム細胞アナライザーを使用して測定した。同様に、腫瘍細胞が死滅するにつれて、インピーダンスは減少した。96ウェルE-プレート上に1ウェル当たり10,000個の腫瘍細胞を添加し、一晩付着させた。翌日、30,000個のCD8+ T細胞と共にヒト血清添加培地中に滴定されたポリペプチド複合体を、ウェルに添加した。細胞指数測定を10分毎にさらに72時間行った。次いで、細胞指数×時間数(腫瘍細胞増殖動態)をポリペプチド複合体の濃度に対してプロットし、ここで、Graphpad Prismソフトウェアを使用して、腫瘍増殖を50%減少させるのに必要な濃度(IC50)を計算した。
図7は、PC1、PC2、およびMTSP1で切断されたPC2を用いて処置された22Rv1の代表的な細胞毒性データを示す。データは表8に要約され、PC1が、22Rv1細胞に対してPC2の300倍を超える細胞毒性であることを示す。酵素的切断によるPC2の脱マスキングによって、細胞毒性は150倍より大きく増加した。
【0330】
【0331】
実施例8:カニクイザル中のPC1およびPC2の薬物動態
カニクイザルにおけるポリペプチド分子PC1およびPC2の薬物動態ならびに予備的な安全性を評価した。簡潔に言えば、体重およそ3キログラム(kg)のカニクイザルにポリペプチドをIVボーラスで投与し、有害事象の徴候について毎日観察した。生存中の有害事象は観察されなかった。投与後、血液を特定の時点でK2 EDTAチューブに採取し、血漿に処理した。分析まで血漿を凍結保存した。血漿中のポリペプチド分子の濃度を、標準ELISA技術を介して、対照カニクイザル血漿中に希釈した参照標準に対して測定した。血漿濃度曲線を、分布相と消失相を表す標準二相指数方程式に適合させた。薬物動態学の適合により、PC1については表9に、およびPC2については表10に示されるように、C
MAX、半減期(t
1/2)、分布容積(Vd)、クリアランス(CL)、および7日間の曲線下面積(AUC)の計算が可能となった。PC1(10μg/kg IV)の薬物動態データは
図8に示される。PC2(87μg/kg IV)の薬物動態データは
図9に示される。測定されたカニクイザルの薬物動態は、ヒトにおける週1回投与を支持する。
【0332】
【0333】
【0334】
実施例9:ポリペプチド複合体(PC1およびPC4)によるTROP2およびCD3e結合
ELISAを使用して、ポリペプチド複合体PC1およびPC4を、TROP2およびCD3eへの結合について評価した。また、PC4を用いた結合試験を、マスク切断のためのマトリプターゼ(MTSP1)の存在下で実施した。TROP2とCD3eの結合データは、
図10および11でそれぞれ示される。
【0335】
実施例10:ポリペプチド複合体で媒介されたCD8+ T細胞の存在下のH292細胞の死滅を媒介した
TROP2陽性腫瘍細胞株HCT116、NCI-H292、およびMDAMB231を使用して、ポリペプチド複合体PC3およびPC4を機能的なin vitro腫瘍細胞死滅アッセイで評価した。腫瘍細胞死滅は、腫瘍細胞株がセンサーの表面に付着し、広がり、拡大するにつれて増加されるセンサーインピーダンス測定値(細胞指数)に依存するAgilent製のxCelligenceリアルタイム細胞アナライザーを使用して測定した。同様に、腫瘍細胞が死滅するにつれて、インピーダンスは減少した。96ウェルE-プレート上に1ウェル当たり10,000個の腫瘍細胞を添加し、一晩付着させた。翌日、30,000個のCD8+ T細胞と共にヒト血清添加培地中に滴定されたポリペプチド複合体を、ウェルに添加した。細胞指数測定を10分毎にさらに72時間行った。次いで、細胞指数×時間数(腫瘍細胞増殖動態)をポリペプチド複合体の濃度に対してプロットし、ここで、Graphpad Prismソフトウェアを使用して、腫瘍増殖を50%減少させるのに必要な濃度(IC50)を計算した。
図12は、PC3、PC4、およびMTSP
1で切断されたPC4を用いて処置されたH292細胞の代表的な細胞毒性データを示す。データが表11に要約される。表11を参照すると、PC3は、H292細胞に対してPC4の4,000倍を超える細胞毒性である。MTSP-1を用いたPC4の切断によって、ポリペプチド複合体の細胞毒性は劇的に増加した。
【0336】
【0337】
実施例11:カニクイザル中のPC3およびPC4の薬物動態
カニクイザルにおけるポリペプチド分子PC3およびPC4の薬物動態ならびに予備的な安全性を評価した。簡潔に言えば、体重およそ3キログラム(kg)のカニクイザルにポリペプチドをIVボーラスで投与し、有害事象の徴候について毎日観察した。生存中の有害事象は観察されなかった。投与後、血液を特定の時点でK2 EDTAチューブに採取し、血漿に処理した。分析まで血漿を凍結保存した。血漿中のポリペプチド分子の濃度を、標準ELISA技術を介して、対照カニクイザル血漿中に希釈した参照標準に対して測定した。血漿濃度曲線を、分布相と消失相を表す標準二相指数方程式に適合させた。薬物動態学の適合により、PC3については表12に、およびPC4については表13に示されるように、C
MAX、半減期(t
1/2)、分布容積(Vd)、クリアランス(CL)、および7日間の曲線下面積(AUC)の計算が可能となった。PC3(3μg/kg IV)の薬物動態データは
図13に示される。PC4(1000μg/kg IV)の薬物動態データは
図14に示される。測定されたカニクイザルの薬物動態は、ヒトにおける週1回投与を支持する。
【0338】
【0339】
【配列表】
【国際調査報告】