(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】オキシトシン受容体モジュレーター
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20231208BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20231208BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20231208BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/4162 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20231208BHJP
C07D 487/14 20060101ALI20231208BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231208BHJP
【FI】
C07D487/04 138
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P25/18
A61P25/28
A61P25/30
A61P25/22
C07D491/048 CSP
A61K31/4162
A61K31/407
C07D487/14
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535925
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 AU2021051487
(87)【国際公開番号】W WO2022126179
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522089516
【氏名又は名称】キノシス・セラピューティクス・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・カッシオウ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・カッテ
(72)【発明者】
【氏名】キヤン・アフザリ
(72)【発明者】
【氏名】トリスタン・リーキー
(72)【発明者】
【氏名】エリン・ウェリー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB04
4C050BB05
4C050CC04
4C050CC16
4C050DD02
4C050EE01
4C050EE03
4C050EE05
4C050FF01
4C050GG01
4C050GG02
4C050HH01
4C050HH02
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZC01
4C086ZC39
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物並びにその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体、多形体及び/又はプロドラッグに関する。オキシトシン受容体におけるオキシトシンの活性を調節するための式(I)の化合物の使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
Z
1がOである場合、Z
2又はZ
3の少なくとも1つは、Nであり;及び/又はR
1は、任意選択的に置換されたアリールではなく;及び
Z
3がOである場合、Z
1又はZ
2の少なくとも1つは、Nであり;及び/又はR
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキルでも、任意選択的に置換されたアリールでもなく;
R
aは、C(O)R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択され;
Z
3がNR
3である場合、
i)Z
3のR
3は、メチルでもフェニルでもないか、又は
ii)Z
3のR
3がアリールである場合、Z
1は、NR
3であり;及び/若しくは
iii)Z
3のR
3がアリールである場合、Z
2は、CHである)
に従う化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、立体異性体、N-オキシド、多形体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
R
aは、C(O)R
1である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項3】
A
1、A
2、A
3及びA
4は、それぞれCR
2である、請求項1若しくは2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項4】
Z
1は、NR
3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項5】
Z
2は、Nである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項6】
Z
3は、CHである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項7】
Z
3は、NR
3である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項8】
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項9】
R
1は、
【化2】
から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項10】
各R
2は、H、メチル、メトキシ及びハロから独立して選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項11】
R
3は、H、C
2~4アルキル、-(CH
2)
2OH、フェニル及びピリジルから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項12】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含む薬剤。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項15】
オキシトシン受容体の調節に関連する疾患、状態及び/又は障害を処置する方法であって、それを必要としている対象に、有効量の、式(I)
【化3】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、H、C(O)R
1、CR
b
2R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
bは、H、メチル及びハロから独立して選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項16】
前記化合物は、請求項1~12のいずれか一項に記載されるものであるか、又は請求項13に記載の薬剤若しくは請求項14に記載の医薬組成物として投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
オキシトシン受容体活性を調節するための薬剤の製造における、式(I)
【化4】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、H、C(O)R
1、CR
b
2R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
bは、H、メチル及びハロから独立して選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグの使用。
【請求項18】
オキシトシン受容体活性の調節において使用するための、式(I)
【化5】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、H、C(O)R
1、CR
b
2R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
bは、H、メチル及びハロから独立して選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ。
【請求項19】
オキシトシン受容体活性を調節する方法であって、細胞を、式(I)
【化6】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、H、C(O)R
1、CR
b
2R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
bは、H、メチル及びハロから独立して選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグと接触させることを含む方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含むオキシトシン受容体モジュレーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オキシトシン受容体におけるオキシトシンの活性を調節する縮合インドール化合物及びそれを使用する方法に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、オーストラリア仮特許出願オーストラリア特許出願公開第2020904677号明細書からの優先権を主張するものであり、その内容全体は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
オキシトシン(OT)は、主にオキシトシン受容体(OTR)に作用することにより、その生理学的効果を発揮するペプチド神経伝達物質である。OTRは、脳及び周辺に広く分布しているクラスAのGタンパク質共役受容体(GPCR)である。この受容体は、社会的行動、薬物探索行動及び生殖関連行動において重要な役割を果たす。
【0004】
OTRは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、統合失調症及び社会不安などの社会的症状を特徴とする精神障害に対する向社会的治療薬の開発の標的となっている。OTRは、抗嗜癖治療薬の開発の標的である。OTRは、前頭側頭型認知症及び関連の認知症などの神経変性状態のある患者における社会的行動及び神経精神医学的行動の処置の標的でもある。
【0005】
薬物がGPCRに関与し得るプロセスは、2つある。第1のプロセスは、主要な内因性リガンドが結合する部位である受容体のオルソステリック部位へのリガンドの結合によるものである。第2のプロセスは、オルソステリック部位から空間的に離れた部位へのリガンドの結合によるものである。これは、アロステリック部位であり、通常、アロステリックリガンドは、オルソステリックリガンドの活性を調節する。
【0006】
オルソステリックOTRリガンド並びに疾患、状態及び/又は障害の処置におけるその使用は、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)及び(特許文献5)に記載されている。しかしながら、これらの刊行物のいずれも、アロステリックに結合して、OTRにおけるOT活性を調節することができる化合物を開示していない。
【0007】
OT及びバソプレシン(VP)は、いずれも下垂体後葉により分泌される環状ノナペプチドであるため、OTは、VPと高い構造的類似性を有する。V1a、V1b及びV2受容体を含むいくつかのVP受容体(VPR)が特定されている。OT及びVPの構造的類似性のために、オルソステリック阻害剤のOTRと種々のVPRとの間の選択性が重要である。オルソステリックVPRリガンド並びに疾患、状態及び/又は障害の処置におけるその使用は、(特許文献6)及び(特許文献7)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/000692A2号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2005/023812A2号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/004674A1号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2018/107216A1号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/060692A1号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2006/021213A2号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2010/097576A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、OTRにおけるOT活性を調節することができる新規の化合物を提供することが有利であろう。OTRのアロステリック部位に結合することができ、このアロステリック相互作用によってOTRにおけるOT活性を調節し得るこれらの化合物を提供することも有利であろう。アロステリックOTRモジュレーターは、1つ又は複数のVPRと比べて、OTRに対して選択性でもあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中で引用され得る全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0011】
本明細書に含まれる文献、行為、材料、装置、物品などについての議論のいずれも、これらの事項のいずれか又は全てが、本出願の各請求項の優先日よりも前に存在していたことから、従来技術基盤の一部を形成すること又は本開示に関連する分野における共通の一般的な知識であったことの承認として解釈されてはならない。
【0012】
一態様では、式(I)
【化1】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3がCH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2がCH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、C(O)R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
に従う化合物が提供される。本明細書に記載される任意の態様又は実施形態において、本発明の化合物は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/又はプロドラッグの形態で提供され得る。
【0013】
本発明者らは、式(I)の化合物がオキシトシン受容体のモジュレーターであることを見出した。
【0014】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキル-OHではない。
【0015】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、アリールではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、フェニルではない。
【0016】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3である。いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3であり、Z2は、CHである。
【0017】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルでもフェニルでもない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルでもアリールでもない。
【0018】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、
i)Z3のR3は、メチルでもフェニルでもなく;及び/若しくは
ii)Z3のR3は、C1~6アルキルでもアリールでもないか;又は
iii)Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3であり;及び/若しくは
iv)Z3のR3がアリールである場合、Z2は、CHである。
【0019】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、Z2又はZ3の少なくとも1つは、Nである。
【0020】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、Z1又はZ2の少なくとも1つは、Nである。
【0021】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、R1は、任意選択的に置換されたアリールではない。
【0022】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキルでも、任意選択的に置換されたアリールでもない。
【0023】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、
i)Z2又はZ3の少なくとも1つは、Nであり;及び/又は
ii)R1は、任意選択的に置換されたアリールではない。
【0024】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、
i)Z1又はZ2の少なくとも1つは、Nであり;及び/又は
ii)R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキルでも、任意選択的に置換されたアリールでもない。
【0025】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化2】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
a、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib):
【化3】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
a、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(II):
【化4】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、Z
1、Z
2、Z
3、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りである)
の化合物として提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキル-OHではない。
【0030】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa):
【化5】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0031】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb):
【化6】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物1~58のいずれかから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物1~6のいずれかから選択される。
【0033】
別の態様では、本発明の化合物を含む薬剤が提供される。
【0034】
別の態様では、本発明の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0035】
別の態様では、OTRにおけるOT活性に関連する疾患、状態及び/又は障害を処置する方法であって、それを必要としている対象に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0036】
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節する方法であって、細胞を本発明の化合物と接触させることを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、OTの調節は、OTRにおけるその活性の部分アゴニズムである。
【0037】
別の態様では、式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを調製するためのプロセスも提供される。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(III)
【化7】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、Z
1、Z
2、Z
3は、本明細書で定義される通りである)
の化合物から調製される。
【0039】
本明細書中の実施形態のいずれも、他に具体的に明記されない限り、必要な変更を加えて任意の他の実施形態に適用されると解釈されるものとする。
【0040】
本開示は、例示のみを目的とする本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されてはならない。機能的に均等な生成物、組成物及び方法は、本明細書に記載されるように明らかに本発明の範囲内にある。
【0041】
本明細書を通して、他に具体的に明記されない限り又は文脈が他に要求しない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群又は物質の組成物の群への言及は、1つ及び複数(すなわち1つ以上)のそれらのステップ、物質の組成物、ステップの群又は物質の組成物の群を包含すると解釈されるものとする。
【0042】
本発明のさらなる態様及び先行する段落に記載される態様のさらなる実施形態は、例として且つ添付図面を参照して与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【0043】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】10μMの化合物1、2及び3によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【
図1b】10μMの化合物1、2及び3によって誘導されるOT効力の対数倍率変化のチャートを示す。
【
図2a】10μMの化合物4、5及び6によって誘導されるOT効力の改善を示す、OT用量反応曲線を示す。
【
図2b】10μMの化合物4、5及び6によって誘導されるOT効力の対数倍率変化のチャートを示す。
【
図3a】単独での又は0.01、0.03、0.3、1及び10μMの化合物3の存在下でのOTの用量反応曲線を示す。
【
図3b】化合物3の存在下、1nMのOTによって誘導されるカルシウム(Ca
2+)流入のチャートを示す。
【
図4】10μMの化合物12、13及び23によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【
図5】10μMの化合物42及び43によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【
図6】10μMの化合物7、10、14、16及び37によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【
図7】10μMの化合物29によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【
図8】10μMの化合物35によって誘導されるOT効力の改善を示すオキシトシン(OT)用量反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
定義
本明細書中で他に定義されない限り、以下の用語は、以下に示される一般的な意味を有すると理解されるであろう。
【0046】
「C1~6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を有する任意選択的に置換された直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i-Pr)、ブチル(Bu)、イソブチル(i-Bu)、sec-ブチル(s-Bu)、tert-ブチル(t-Bu)、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。文脈が他に要求しない限り、「C1~6アルキル」という用語は、その基が2つの位置によって結合される、すなわち二価であるように、1つ少ない水素原子を含有するアルキル基も包含する。メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルを含む「C1~4アルキル」及び「C1~3アルキル」が好ましく、メチルが特に好ましい。
【0047】
「C2~6アルケニル」という用語は、適用可能な場合にはE又はZ立体化学のいずれかである少なくとも1つの二重結合と、2~6個の炭素原子とを有する任意選択的に置換された直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。例としては、ビニル、1-プロペニル、1-及び2-ブテニル並びに2-メチル-2-プロペニルが挙げられる。文脈が他に要求しない限り、「C2~6アルケニル」という用語は、その基が2つの位置によって結合される、すなわち二価であるように、1つ少ない水素原子を含有するアルケニル基も包含する。エテニル、プロペニル及びブテニルを含む「C2~4アルケニル」及び「C2~3アルケニル」が好ましく、エテニルが特に好ましい。
【0048】
「C2~6アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合と、2~6個の炭素原子とを有する任意選択的に置換された直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。例としては、エチニル、1-プロピニル、1-及び2-ブチニル、2-メチル-2-プロピニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル並びに5-ヘキシニルなどが挙げられる。文脈が他に指示しない限り、「C2~6アルキニル」という用語は、その基が2つの位置によって結合される、すなわち二価であるように、1つ少ない水素原子を含有するアルキニル基も包含する。C2~3アルキニルが好ましい。
【0049】
「C3~10シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシルを含む3~10個の炭素原子を有する非芳香族環状基を指す。シクロアルキル基は、シクロヘキシルなどの飽和であり得るか、又はシクロヘキセニルなどの不飽和であり得ることが理解されるであろう。シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどのC3~6シクロアルキルが好ましい。シクロアルキル基は、多環式炭素環も含み、縮合、架橋及びスピロ環系が含まれる。シクロアルキル基の例としては、アダマンチル、クバニル、スピロ[3.3]ヘプタニル及びビシクロ(2.2.2)オクタニル基が挙げられる。
【0050】
「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」という用語は、基-OHを指す。
【0051】
「オキソ」という用語は、基=Oを指す。
【0052】
「C1~6アルコキシ」という用語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ及びペントキシなどの、1~6個の炭素原子を含有するO結合によって共有結合した上記で定義されるアルキル基を指す。メトキシ、エトキシ、プロポキシ及びブトキシを含む「C1~4アルコキシ」及び「C1~3アルコキシ」が好ましく、メトキシが特に好ましい。
【0053】
「ハロC1~6アルキル」及び「C1~6アルキルハロ」という用語は、1つ又は複数のハロゲンで置換されたC1~6アルキルを指す。例えば-CH2CF3及び-CF3などのハロC1~3アルキル基が好ましい。
【0054】
「ハロC1~6アルコキシ」及び「C1~6アルコキシハロ」という用語は、1つ又は複数のハロゲンで置換されたC1~6アルコキシを指す。例えば-OCF3などのC1~3アルコキシハロ基が好ましい。
【0055】
「アラルキル」という用語は、アルキル基で水素が置換されたアリール基を指す。ベンジル基が好ましい。
【0056】
「カルボキシラート」又は「カルボキシル」という用語は、基-COO-又は-COOHを指す。
【0057】
「エステル」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「カルボキシルC1~6アルキル」又は「アルキルエステル」)、アリール又はアラルキル基(「アリールエステル」又は「アラルキルエステル」)などで水素が置換されたカルボキシル基を指す。例えば、メチルエステル(CO2Me)、エチルエステル(CO2Et)及びプロピルエステル(CO2Pr)などのCO2C1~3アルキル基が好ましく、その逆エステル(例えば、-OC(O)Me、-OC(O)Et及び-OC(O)Pr)も含まれる。
【0058】
「シアノ」及び「ニトリル」という用語は、基-CNを指す。
【0059】
「ニトロ」という用語は、基-NO2を指す。
【0060】
「アミノ」という用語は、基-NH2を指す。
【0061】
「置換アミノ」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアミノ」)、アリール又はアラルキル基(「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」)などで少なくとも1つの水素が置換されたアミノ基を指す。置換アミノ基は、「一置換アミノ」(又は「第2級アミノ」)基を含み、これは、例えば、C1~6アルキル基、アリール又はアラルキル基などで単一の水素が置換された基を指す。好ましい第2級アミノ基は、例えば、メチルアミノ(NHMe)、エチルアミノ(NHEt)及びプロピルアミノ(NHPr)などのC1~3アルキルアミノ基を含む。置換アミノ基は、「二置換アミノ」(又は「第3級アミノ」)基も含み、これは、例えば、同じであるか又は異なり得るC1~6アルキル基(「ジアルキルアミノ」)、アリール及びアルキル基(「アリール(アルキル)アミノ」)などで両方の水素が置換されたアミノ基を指す。好ましい第3級アミノ基には、例えば、ジメチルアミノ(NMe2)、ジエチルアミノ(NEt2)、ジプロピルアミノ(NPr2)及びこれらの変化形(例えば、N(Me)(Et)など)などのジ(C1~3アルキル)アミノ基が含まれる。
【0062】
「アルデヒド」という用語は、基-C(=O)Hを指す。
【0063】
「アシル」及び「アセチル」という用語は、基-C(O)CH3を指す。
【0064】
「ケトン」という用語は、-C(O)-で表すことができるカルボニル基を指す。
【0065】
「置換ケトン」という用語は、少なくとも1つのさらなる基、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアシル」又は「アルキルケトン」又は「ケトアルキル」)、アリール基(「アリールケトン」)、アラルキル基(「アラルキルケトン)などに共有結合されたケトン基を指す。C1~3アルキルアシル基が好ましい。
【0066】
「アミド(amido)」又は「アミド(amide)」という用語は、基-C(O)NH2を指す。
【0067】
「置換アミド(amido)」又は「置換アミド(amide)」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルアミド(amido)」又は「C1~6アルキルアミド(amide)」)、アリール(「アリールアミド」)、アラルキル基(「アラルキルアミド」)などで水素が置換されたアミド基を指す。例えば、メチルアミド(-C(O)NHMe)、エチルアミド(-C(O)NHEt)及びプロピルアミド(-C(O)NHPr)などのC1~3アルキルアミド基が好ましく、その逆アミド(例えば、-NHMeC(O)-、-NHEtC(O)-及び-NHPrC(O)-)も含まれる。
【0068】
「二置換アミド(amido)」又は「二置換アミド(amide)」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「ジ(C1~6アルキル)アミド(amido)」又は「ジ(C1~6アルキル)アミド」(amide))、アラルキル及びアルキル基(「アルキル(アラルキル)アミド」)などで2つの水素が置換されたアミド基を指す。例えば、ジメチルアミド(-C(O)NMe2)、ジエチルアミド(-C(O)NEt2)及びジプロピルアミド((-C(O)NPr2)並びにこれらの変化形(例えば、-C(O)N(Me)Etなど)などのジ(C1~3アルキル)アミド基が好ましく、その逆アミドも含まれる。
【0069】
「チオール」という用語は、基-SHを指す。
【0070】
「C1~6アルキルチオ」という用語は、C1~6アルキル基で水素が置換されたチオール基を指す。例えば、チオールメチル、チオールエチル及びチオールプロピルなどのC1~3アルキルチオ基が好ましい。
【0071】
「チオキソ」という用語は、基=Sを指す。
【0072】
「スルフィニル」という用語は、基-S(=O)Hを指す。
【0073】
「置換スルフィニル」又は「スルホキシド」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「C1~6アルキルスルフィニル」又は「C1~6アルキルスルホキシド」)、アリール(「アリールスルフィニル」)、アラルキル(「アラルキルスルフィニル」)などで水素が置換されたスルフィニル基を指す。例えば、-SOメチル、-SOエチル及び-SOプロピルなどのC1~3アルキルスルフィニル基が好ましい。
【0074】
「スルホニル」という用語は、基-SO2Hを指す。
【0075】
「置換スルホニル」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「スルホニルC1~6アルキル」)、アリール(「アリールスルホニル」)、アラルキル(「アラルキルスルホニル」)などで水素が置換されたスルホニル基を指す。例えば、-SO2Me、-SO2Et及び-SO2PrなどのスルホニルC1~3アルキル基が好ましい。
【0076】
「スルホニルアミド」又は「スルホンアミド」という用語は、基-SO2NH2を指す。
【0077】
「置換スルホンアミド(sulfonamido)」又は「置換スルホンアミド(sulphonamide)」という用語は、例えば、C1~6アルキル基(「スルホニルアミドC1~6アルキル」)、アリール(「アリールスルホンアミド」)、アラルキル(「アラルキルスルホンアミド」)などで水素が置換されたスルホニルアミド基を指す。例えば、-SO2NHMe、-SO2NHEt及び-SO2NHPrなどのスルホニルアミドC1~3アルキル基が好ましく、その逆スルホンアミド(例えば、-NHSO2Me、-NHSO2Et及び-NHSO2Pr)も含まれる。
【0078】
「二置換スルホンアミド(sulfonamido)」又は「二置換スルホンアミド(sulphonamide)」という用語は、例えば、同じであるか又は異なり得るC1~6アルキル基(「スルホニルアミドジ(C1~6アルキル)」)、アラルキル及びアルキル基(「スルホンアミド(アラルキル)アルキル」)などで2つの水素が置換されたスルホニルアミド基を指す。例えば、-SO2NMe2、-SO2NEt2及び-SO2NPr2並びにこれらの変化形(例えば、-SO2N(Me)Etなど)などのスルホニルアミドジ(C1~3アルキル)基が好ましく、その逆スルホンアミド(例えば、-N(Me)SO2Meなど)も含まれる。
【0079】
「スルファート」という用語は基OS(O)2OHを指し、例えば、C1~6アルキル基(「アルキルスルファート」)、アリール(「アリールスルファート」)、アラルキル(「アラルキルスルファート」)などで水素が置換された基が含まれる。例えば、OS(O)2OMe、OS(O)2OEt及びOS(O)2OPrなどのC1~3スルファートが好ましい。
【0080】
「スルホナート」という用語は基SO3Hを指し、例えば、C1~6アルキル基(「アルキルスルホナート」)、アリール(「アリールスルホナート」)、アラルキル(「アラルキルスルホナート」)などで水素が置換された基が含まれる。例えば、SO3Me、SO3Et及びSO3PrなどのC1~3スルホナートが好ましい。
【0081】
「アリール」という用語は、炭素環式(非複素環式)芳香族環又は単環式、二環式若しくは三環式環系を指す。多環式環系は、その系内の環の少なくとも1つが芳香族であれば、「アリール」と呼ぶことができる。芳香族環又は環系は、一般に、6~10個の炭素原子で構成される。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル及びテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。フェニルなどの6員アリールが好ましい。「アルキルアリール」という用語は、ベンジルなどのC1~6アルキルアリールを指す。
【0082】
「アルコキシアリール」という用語は、ベンジルオキシなどのC1~6アルキルオキシアリールを指す。
【0083】
「ヘテロシクリル」という用語は、複素環式化合物の環原子から水素原子を除去することによって得られる部分を指し、その部分は、3~10個の環原子(他に規定されない限り)を有し、そのうちの1、2、3又は4個は、環ヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は、O、S及びNから独立して選択される。ヘテロシクリル基は、その環系の環の少なくとも1つが少なくとも1つのヘテロ原子を含有することを条件として、単環式及び多環式(例えば、二環式)環系、例えば、縮合、架橋及びスピロ環系を含む。
【0084】
これに関連して、接頭語3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員及び10員は、炭素原子又はヘテロ原子に関係なく、環原子の数又は環原子の範囲を示す。例えば、「3~10員ヘテロシクリル」という用語は、本明細書で使用される場合、3、4、5、6、7、8、9又は10個の環原子を有するヘテロシクリル基に関連する。ヘテロシクリル基の例としては、5~6員単環式ヘテロシクリル及び9~10員縮合二環式ヘテロシクリルが挙げられる。
【0085】
単環式ヘテロシクリル基の例としては、アジリジン(3員環)、アゼチジン(4員環)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)、2H-ピロール若しくは3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)又はピロリジノン(5員環)、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン(6員環)及びアゼピン(7員環)などの、1つの窒素原子を含有するもの;イミダゾリン、ピラゾリジン(ジアゾリジン)、イミダゾリン、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(5員環)、ピペラジン(6員環)などの、2つの窒素原子を含有するもの;オキシラン(3員環)、オキセタン(4員環)、オキソラン(テトラヒドロフラン)、オキソール(ジヒドロフラン)(5員環)、オキサン(テトラヒドロピラン)、ジヒドロピラン、ピラン(6員環)、オキセピン(7員環)などの、1つの酸素原子を含有するもの;ジオキソラン(5員環)、ジオキサン(6員環)及びジオキセパン(7員環)などの、2つの酸素原子を含有するもの;トリオキサン(6員環)などの、3個の酸素原子を含有するもの;チイラン(3員環)、チエタン(4員環)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(5員環)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(6員環)、チエパン(7員環)などの、1つの硫黄原子を含有するもの;テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール(5員環)、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジン、オキサジン(6員環)などの、1つの窒素及び1つの酸素原子を含有するもの;チアゾリン、チアゾリジン(5員環)、チオモルホリン(6員環)などの、1つの窒素及び1つの硫黄原子を含有するもの;オキサジアジン(6員環)などの、2つの窒素及び1つの酸素原子を含有するもの;オキサチオール(5員環)及びオキサチアン(チオキサン)(6員環)などの、1つの酸素及び1つの硫黄を含有するもの;並びにオキサチアジン(6員環)などの、1つの窒素、1つの酸素及び1つの硫黄原子を含有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
ヘテロシクリルは、芳香族ヘテロシクリル及び非芳香族ヘテロシクリルを包含する。このような基は、置換されていても又はされていなくてもよい。
【0087】
「芳香族ヘテロシクリル」という用語は、「ヘテロ芳香族」という用語又は「ヘテロアリール」若しくは「ヘタリール」という用語と互換的に使用され得る。芳香族ヘテロシクリル基のヘテロ原子は、N、S及びOから独立して選択され得る。芳香族ヘテロシクリル基は、1、2、3、4個又はそれを超える環ヘテロ原子を含み得る。縮合芳香族ヘテロシクリル基の場合、環の1つのみがヘテロ原子を含有し得、全ての環が芳香族である必要はない。
【0088】
「ヘテロアリール」は、本明細書では、芳香族の特徴を有する複素環式基を示すために使用され、芳香族単環式環系及び1つ又は複数の芳香環を含有する多環式(例えば、二環式)環系を包含する。芳香族ヘテロシクリルという用語は、擬芳香族ヘテロシクリルも包含する。「擬芳香族」という用語は、厳密には芳香族ではないが、電子の非局在化によって安定化され、芳香環と同様に挙動する環系を指す。したがって、芳香族ヘテロシクリルという用語は、縮合環の全てが芳香族である多環式環系を包含すると共に、少なくとも1つの環が芳香族であることを条件として、1つ又は複数の環が非芳香族である環系も包含する。互いに縮合された芳香族環及び非芳香環の両方を含有する多環系の場合、この基は、芳香族環又は非芳香族環によって別の部分に結合され得る。
【0089】
ヘテロアリール基の例は、5~10個の環員を含有する単環式及び二環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員若しくは6員単環式環又は縮合5員及び6員環若しくは2つの縮合6員環若しくは2つの縮合5員環から形成される二環式構造であり得る。各環は、通常は窒素、硫黄及び酸素から選択される約4個までのヘテロ原子を含有し得る。ヘテロアリール環は、4個までのヘテロ原子、より一般的には3個までのヘテロ原子、より普通には2個まで、例えば単一のヘテロ原子を含有し得る。一実施形態では、ヘテロアリール環は、少なくとも1つの環窒素原子を含有する。ヘテロアリール環内の窒素原子は、イミダゾール若しくはピリジンの場合のように塩基性でもあり得るか、又はインドール若しくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性でもあり得る。一般に、環の任意のアミノ基置換基を含む、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、5個未満となる。
【0090】
芳香族ヘテロシクリル基は、5員又は6員の単環式芳香族環系であり得る。
【0091】
5員単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(1,2,3及び1,2,4オキサジアゾリル並びにフラザニル、すなわち1,2,5-オキサジアゾリルを含む)、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル(1,2,3、1,2,4及び1,3,4トリアゾリルを含む)、オキサトリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3及び1,3,4チアジアゾリルを含む)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
6員単環式ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピラニル、オキサジニル、ジオキシニル、チアジニル、チアジアジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。窒素を含有する6員芳香族ヘテロシクリルの例としては、ピリジル(1つの窒素)、ピラジニル、ピリミジニル及びピリダジニル(2つの窒素)が挙げられる。
【0093】
芳香族ヘテロシクリル基は、縮合環系(プリン、プテリジニル、ナフチリジニル、1Hチエノ[2,3-c]ピラゾリル、チエノ[2,3-b]フリルなどを含む)又は連結環系(例えば、オリゴチオフェン、ポリピロールなど)などの二環式又は多環式ヘテロ芳香族環系であり得る。縮合環系は、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニルなどの炭素環式芳香環に縮合された芳香族5員又は6員ヘテロシクリル、例えば、フェニル環に縮合された窒素を含有する5員芳香族ヘテロシクリル、フェニル環に縮合された1つ又は2つの窒素を含有する5員芳香族ヘテロシクリルも含み得る。
【0094】
二環式ヘテロアリール基は、例えば、a)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたベンゼン環;b)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたピリジン環;c)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたピリミジン環;d)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたピロール環;e)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたピラゾール環;f)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたイミダゾール環;g)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたオキサゾール環;h)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたイソオキサゾール環;i)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたチアゾール環;j)1つ又は2つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたイソチアゾール環;k)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたチオフェン環;l)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたフラン環;m)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたシクロヘキシル環;及びn)1つ、2つ又は3つの環ヘテロ原子を含有する5員又は6員環に縮合されたシクロペンチル環から選択される基であり得る。
【0095】
別の5員環に縮合された5員環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾール)及びイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾール)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
5員環に縮合された6員環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、イソベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン)、ベンゾジオキソール及びピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)基が挙げられるが、これらに限定されない。5員環に縮合された6員環のさらなる例は、ピロロ[2,3-b]ピリジン基などのピロロピリジン基である。
【0097】
2つの縮合6員環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンゾオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン及びプテリジン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
芳香族環及び非芳香族環を含有するヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロナフタレン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラン、インドリン、イソインドリン及びインダン基が挙げられる。
【0099】
したがって、炭素環式芳香環に縮合された芳香族ヘテロシクリルの例としては、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ベンゾトリアジニル、フタラジニル、カルボリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
「非芳香族ヘテロシクリル」という用語は、N、S及びOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、任意選択的に置換された飽和及び不飽和環を包含する。この環は、1つ、2つ又は3つのヘテロ原子を含有し得る。この環は、単環式環又は多環式環系の一部であり得る。多環式環系には、縮合環及びスピロ環が含まれる。少なくとも1つの環が1つ又は複数のヘテロ原子を含有することを条件として、非芳香族複素環式多環式環系内の全ての環がヘテロ原子を含有する必要はない。
【0101】
非芳香族ヘテロシクリルは、3~7員単環式環であり得る。
【0102】
5員非芳香族ヘテロシクリル環の例としては、2H-ピロリル、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピロリジニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、2-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、ピラゾリジニル、2-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、3-ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、2-イミダゾリニルなどが挙げられる。
【0103】
6員非芳香族ヘテロシクリルの例としては、ピペリジニル、ピペリジノニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、2Hピラニル、4Hピラニル、チアニル、チアニルオキシド、チアニルジオキシド、ピペラジニル、ジオザニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジチアニル、1,3,5-トリオザラニル、1,3,5-トリチアニル、1,4-モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-オキサチアニル、トリアジニル、1,4-チアジニルなどが挙げられる。
【0104】
7員非芳香族ヘテロシクリルの例としては、アゼパニル、オキセパニル、チエパニルなどが挙げられる。
【0105】
非芳香族ヘテロシクリル環は、連結環系(例えばウリジニルなど)又は縮合環系などの二環式ヘテロシクリル環でもあり得る。縮合環系には、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニルなどの炭素環式芳香環に縮合された非芳香族5員、6員又は7員ヘテロシクリルが含まれる。炭素環式芳香環に縮合された非芳香族5員、6員又は7員ヘテロシクリルの例としては、インドリニル、ベンゾジアゼピニル、ベンゾアゼピニル、ジヒドロベンゾフラニルなどが挙げられる。
【0106】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0107】
他に定義されない限り、本明細書で使用される「任意選択的に置換された」又は「任意選択的な置換基」という用語は、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~8シクロアルキル、ヒドロキシル、オキソ、C1~6アルコキシ、アリールオキシ、C1~6アルコキシアリール、ハロ、C1~6アルキルハロ(例えば、CF3)、C1~6アルコキシハロ(例えば、OCF3)、カルボキシル、エステル、シアノ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、二置換アミノ、アシル、ケトン、置換ケトン、アミド、アミノアシル、置換アミド、二置換アミド、チオール、アルキルチオ、チオキソ、スルファート、スルホナート、スルフィニル、置換スルフィニル、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルアミド、置換スルホンアミド、二置換スルホンアミド、アリール、アリールC1~6アルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール(ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル並びにこれらを含有する基は、任意選択的にさらに置換され得る)からなる群から選択される1、2、3、4個又はそれを超える基、好ましくは、1、2又は3個、より好ましくは1つ又は2つの基でさらに置換されていても又はされていなくてもよい基を指す。Nを含有する複素環の場合の任意選択的な置換基には、C1~6アルキル、すなわちN-C1~3アルキル、より好ましくはメチル、特にN-メチルも含まれ得るが、これらに限定されない。
【0108】
任意選択的に置換された「C1~6アルキル」、「C2~6アルケニル」及び「C2~6アルキニル」の場合、任意選択的な置換基(単数又は複数)は、好ましくは、ハロ、アリール、ヘテロシクリル、C3~8シクロアルキル、C1~6アルコキシ、ヒドロキシル、オキソ、アリールオキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシル及びカルボキシルから選択される。これらの任意選択的な置換基のそれぞれは、上述した任意選択的な置換基のいずれかでも任意選択的に置換され得、ニトロ、アミノ、置換アミノ、シアノ、ヘテロシクリル(非芳香族ヘテロシクリル及びヘテロアリールを含む)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6アルコキシル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル及びカルボキシルが好ましい。
【0109】
窒素を含有する芳香族ヘテロシクリルの適切な誘導体は、そのN-オキシドを含むことが理解されるであろう。
【0110】
アルキルアミノ及びアルキルアリールなど、ラジカルを化合物の残りの部分に取り付ける結合を両方が形成し得る2つの部分を説明する置換基ラジカルのハイブリッド命名の場合、基の順序における方向は意図されず、したがって、結合点は、ハイブリッドラジカルに含まれる部分のいずれに対するものであり得る。例えば、「アルキルアリール」及び「アリールアルキル」という用語は同じ基を指すことが意図され、結合点は、アルキル部分を介するもの又はアリール部分を介するものであり得る(又はジラジカル種の場合には両方)。このようなハイブリッドラジカルの結合の方向は、結合を含むことで示され得、例えば、「-アルキルアリール」又は「アリールアルキル-」は、化合物の残りの部分へのラジカルの結合点がアルキル部分を介することを示し、「アルキルアリール-」又は「-アリールアルキル」は、結合点がアリール部分を介することを示す。
【0111】
本明細書で使用される場合、文脈が他に要求する場合を除いて、「含む(comprise)」という用語並びに「含んでいる」、「含む(comprises)」及び「含まれる」などのその用語の変化形は、さらなる添加剤、成分、整数又はステップを排除することを意図したものではない。
【0112】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が他に明確に示さない限り、複数の参照を含むことに注意しなければならない。したがって、例えば、「塩」への言及は複数の塩を含むことができ、「少なくとも1つのヘテロ原子」への言及は1つ又は複数のヘテロ原子を含むことができる、などである。
【0113】
「及び/又は」という用語は、「及び」又は「又は」を意味することができる。
【0114】
名詞に続く「(s)」という用語は、単数形若しくは複数形又は両方を企図する。
【0115】
本発明の種々の特徴は、特定の値又は値の範囲を参照して記載される。これらの値は、種々の適切な測定技術の結果に関連することが意図され、したがって、任意の特定の測定技術に固有の誤差の範囲を含むと解釈されるべきである。本明細書で言及される値の一部は、少なくとも部分的にこの変動性を説明するために、「約」という用語によって示される。「約」という用語は、値を記載するために使用される場合、その値の±10%、±5%、±1%又は±0.1%以内の量を意味し得る。
【0116】
本発明のさらなる態様及び先行する段落に記載される態様のさらなる実施形態は、例として且つ添付図面を参照して与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【0117】
実施形態の詳細な説明
本発明者らは、本発明の化合物がOTRにおけるOT活性のアロステリックモジュレーターであることを示した。アロステリックモジュレーターに基づく治療薬は、その標的受容体に対してより特異的である可能性があり、個別のシナプスにおける内因性シグナル伝達を調節することができ、飽和効果を示すことができ、プローブ依存性であることができ、受容体を特定のシグナル伝達経路に偏らせることができるため、従来のオルソステリック薬物を超える利点を有し得る。
【0118】
本発明は、式(I)
【化8】
(式中、
A
1、A
2、A
3及びA
4は、CR
2及びNから独立して選択され;
Z
1、Z
2及びZ
3は、NR
3、N、O及びCHから選択され、
Z
1は、NR
3及びOから選択され、且つZ
2及びZ
3がCH及びNから独立して選択されるか、又は
Z
3は、NR
3及びOから選択され、且つZ
1及びZ
2がCH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R
aは、C(O)R
1及びS(O)
2R
1から選択され;
R
1は、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
2~6アルケニル、任意選択的に置換されたC
2~6アルキニル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R
2は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R
3は、H、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル、任意選択的に置換されたC
1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC
3~10シクロアルキルから選択される)
の化合物を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキル-OHではない。いくつかの実施形態では、
A1、A2、A3及びA4は、CR2及びNから独立して選択され;
Z1、Z2及びZ3は、NR3、N、O及びCHから選択され、
Z1は、NR3及びOから選択され、且つZ2及びZ3がCH及びNから独立して選択されるか、又は
Z3は、NR3及びOから選択され、且つZ1及びZ2がCH及びNから独立して選択されるかのいずれかであり;
R1は、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択され;
各R2は、H、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたC1~6アルコキシ及びハロから独立して選択され;及び
R3は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたC1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロシクリル、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキルから選択される。
【0120】
【化9】
が単結合又は二重結合を示すことは、認識されるであろう。例えば、式(I)に描かれている5員ヘテロシクリルは、Z
1、Z
2及びZ
3のそれぞれの同一性に応じて、2つの異性体形態の1つをとり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキル-OHではない。
【0122】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、アリールではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、フェニルではない。
【0123】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3である。いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z3がNR3であり、Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3であり、Z2は、CHである。
【0124】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルでもフェニルでもない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルでもアリールでもない。
【0125】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、
i)Z3のR3は、メチルでもフェニルでもないか、又は
ii)Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3であり;及び/若しくは
iii)Z3のR3がアリールである場合、Z2は、CHである。
【0126】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、
ii)Z3のR3は、C1~6アルキルでもアリールでもないか;又は
ii)Z3のR3がアリールである場合、Z1は、NR3であり;及び/若しくは
iii)Z3のR3がアリールである場合、Z2は、CHである。
【0127】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、Z2又はZ3の少なくとも1つは、Nである。
【0128】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、Z1又はZ2の少なくとも1つは、Nである。
【0129】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、R1は、任意選択的に置換されたアリールではない。
【0130】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキルでも、任意選択的に置換されたアリールでもない。
【0131】
いくつかの実施形態では、Z1がOである場合、
i)Z2又はZ3の少なくとも1つは、Nであり;及び/又は
ii)R1は、任意選択的に置換されたアリールではない。
【0132】
いくつかの実施形態では、Z3がOである場合、
i)Z1又はZ2の少なくとも1つは、Nであり;及び/又は
ii)R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキルでも、任意選択的に置換されたアリールでもない。
【0133】
Ra
いくつかの実施形態では、Raは、C(O)R1である。いくつかの実施形態では、Raは、S(O)2R1である。
【0134】
R1
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC1~5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された線状C1~6アルキル、好ましくは任意選択的に置換された線状C2~5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された任意選択的に置換されたブチル及び任意選択的に置換されたペンチルから選択される。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたブチルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたペンチルである。
【0135】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC2~6アルケニル、好ましくは任意選択的に置換されたC2~4アルケニルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された線状C2~6アルケニル、好ましくは任意選択的に置換された線状C2~4アルケニルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された分枝状C2~6アルケニル、好ましくは任意選択的に置換された分枝状C2~4アルケニルである。
【0136】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC2~6アルキニル、好ましくは任意選択的に置換されたC2~4アルキニルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された線状C2~6アルキニル、好ましくは任意選択的に置換された線状C2~4アルキニルである。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された分枝状C2~6アルキニル、好ましくは任意選択的に置換された分枝状C2~4アルキニルである。
【0137】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアリールである。任意選択的に置換されたアリールは、6員又は10員アリールであり得る。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換されたアリールは、任意選択的に置換されたフェニルである。
【0138】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアラルキルである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換されたアラルキルは、任意選択的に置換されたベンジルである。
【0139】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC3~8シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは単環式である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは多環式である。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたシクロプロピル、任意選択的に置換されたシクロブチル、任意選択的に置換されたシクロヘキシル、任意選択的に置換されたシクロヘプチル、任意選択的に置換されたシクロオクチル、任意選択的に置換されたキュバン、任意選択的に置換されたアダマンチル、任意選択的に置換されたスピロ[3.3]ヘプタニル又は任意選択的に置換されたビシクロ(2.2.2)オクタニル基である。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたシクロプロピル、任意選択的に置換されたシクロブチル、任意選択的に置換されたシクロヘキシル、任意選択的に置換されたシクロヘプチル、任意選択的に置換されたシクロオクチル、任意選択的に置換されたキュバン、任意選択的に置換されたアダマンチルである。好ましいシクロアルキル置換基には、-C(O)OC1~6アルキル(好ましくは、-C(O)OC1アルキル)、C1~4アルキル(好ましくは、メチル)及びハロ(好ましくはフルオロ又はクロロ、より好ましくはフルオロ)が含まれる。好ましいシクロアルキル置換基には、C1~4アルキル(好ましくは、メチル)及びハロ(好ましくはフルオロ又はクロロ、より好ましくはフルオロ)が含まれる。
【0140】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、R1が任意選択的に置換されたヘテロシクリルである場合、R1がRaに結合する原子は、Nである。RaがC(O)R1である実施形態において、この組合せは、ウレイド結合を形成する。いくつかの実施形態では、R1が任意選択的に置換されたヘテロシクリルであり、RaがC(O)R1である場合、R1がRaに結合する原子は、Nである。
【0141】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、5員単環式ヘテロアリール、6員単環式ヘテロアリール、9員縮合二環式ヘテロアリール及び10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、5員単環式ヘテロアリール又は6員単環式ヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、9員縮合二環式ヘテロアリール又は10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換されたヘテロアリールである。任意選択的に置換されたヘテロアリールは、N、O及びS、好ましくはN及びOから選択される1、2又は3個、好ましくは1つ又は2つのヘテロ原子を含み得る。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換されたヘテロアリールのヘテロ原子は、Nである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換されたヘテロアリールのヘテロ原子は、Oである。R1が縮合二環式ヘテロアリールである実施形態において、環ヘテロ原子は、一方の環又は両方の環内に存在することができ、いずれかの環は、式(I)のアミド-カルボニルに結合され得る。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたピリジル、任意選択的に置換されたフラニル、任意選択的に置換されたベンゾオキサゾール及び任意選択的に置換された1,3-ベンゾジオキソールから選択される、任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
【0142】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルである。任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは、任意選択的に置換された3~10員ヘテロシクリルであり得る。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは単環式環であり、好ましくは、N及びOから選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む任意選択的に置換された6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは多環式である。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルのヘテロ原子は、Nである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルのヘテロ原子は、Oである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは、任意選択的に置換されたテトラヒドロピラン又は任意選択的に置換されたピペリジンである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは、任意選択的に置換されたテトラヒドロピランである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは、任意選択的に置換されたピペリジンである。いくつかの実施形態では、任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルは架橋されている。
【0143】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0144】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたC2~6アルケニル及び任意選択的に置換されたC2~6アルキニルから選択される。
【0146】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換されたヘテロシクリルから選択される。
【0147】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアラルキル、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換された芳香族ヘテロシクリルから選択される。
【0148】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換された任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル及び任意選択的に置換された非芳香族ヘテロシクリルから選択される。
【0149】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたアリール及び任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキルから選択される。
【0150】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に置換されたフェニル及び任意選択的に置換されたシクロヘキシルから選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、アリール(好ましくは、フェニル)、メチル、C1~6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル(好ましくは、C4~6シクロアルキル、より好ましくはC6シクロアルキル)、-NH2、-NHC1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2、-NHCOC1~6アルキル、-CONHC1~6アルキル、-NHCONH2、-COOH、-C(O)OC1~6アルキル、-C(O)C1~6アルキルから選択される1、2、3、4個又はそれを超える基で置換されている。
【0152】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、C1~6アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、-NH2、-NHC1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2、-NHCOC1~6アルキル、-CONHC1~6アルキル、-NHCONH2、-COOH、-C(O)OC1~6アルキル、-C(O)C1~6アルキルから選択される1、2、3、4個又はそれを超える基で置換されている。
【0153】
いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、アリール(好ましくは、フェニル)、C3~8シクロアルキル(好ましくは、C4~6シクロアルキル、より好ましくはC6シクロアルキル)、ハロ、メチル、-C(O)OC1~6アルキル(好ましくは、-C(O)OC1アルキル)及びメトキシから選択される1つ又は2つの基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、ハロ、メチル、-C(O)OC1~6アルキル(好ましくは、-C(O)OC1アルキル)及びメトキシから選択される1つ又は2つの基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、ハロ及びメチルから選択される1つ又は2つの基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、1つ又は2つのハロ基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、1つ又は2つのメチル基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、1つ又は2つのメトキシ基で置換されている。いくつかの実施形態では、R1は、任意選択的に、1つ又は2つの-C(O)OC1~6アルキル(好ましくは、-C(O)OC1アルキル)基で置換されている。
【0154】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化10】
から選択される。
【0155】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化11】
から選択される。
【0156】
いくつかの実施形態では、R
1は、
【化12】
から選択される。
【0157】
A1、A2、A3、A4及びR2
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の少なくとも1つ、2つ又は3つは、CR2である。
【0158】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の全てがCR2である。
【0159】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の1つ又は2つ以下がNである。
【0160】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の2つ以下がNである。
【0161】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の1つ以下がNである。
【0162】
いくつかの実施形態では、A1及びA3は、Nである。
【0163】
いくつかの実施形態では、A2及びA4は、CR2である。
【0164】
いくつかの実施形態では、A1及びA3は、Nであり、A2及びA4は、CR2である。
【0165】
いくつかの実施形態では、A1は、CR2である。
【0166】
いくつかの実施形態では、A2は、CR2である。
【0167】
いくつかの実施形態では、A3は、CR2である。
【0168】
いくつかの実施形態では、A4は、CR2である。
【0169】
いくつかの実施形態では、A1は、Nである。
【0170】
いくつかの実施形態では、A2は、Nである。
【0171】
いくつかの実施形態では、A3は、Nである。
【0172】
いくつかの実施形態では、A4は、Nである。
【0173】
いくつかの実施形態では、各R2は、Hである。
【0174】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR2は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC1~4アルキル、最も好ましくは任意選択的に置換されたメチルである。
【0175】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR2は、任意選択的に置換されたC1~6アルコキシ、好ましくは任意選択的に置換されたC1~4アルコキシ、最も好ましくはメトキシである。
【0176】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR2は、ハロ、好ましくはクロロ、ブロモ又はフルオロ、より好ましくはフルオロ又はクロロである。
【0177】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR2は、ハロ、好ましくはクロロ、ブロモ又はフルオロ、より好ましくはフルオロである。
【0178】
いくつかの実施形態では、R2は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC1~4アルキル、最も好ましくは任意選択的に置換されたメチルである。
【0179】
いくつかの実施形態では、R2は、任意選択的に置換されたC1~6アルコキシ、好ましくは任意選択的に置換されたC1~4アルコキシ、最も好ましくはメトキシである。
【0180】
いくつかの実施形態では、R2は、ハロ、好ましくはクロロ、ブロモ又はフルオロ、より好ましくはフルオロ又はクロロである。
【0181】
いくつかの実施形態では、R2は、ハロ、好ましくはクロロ、ブロモ又はフルオロ、より好ましくはフルオロである。
【0182】
いくつかの実施形態では、各R2は、H、メチル、メトキシ及びハロ(好ましくは、クロロ又はフルオロ)から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各R2は、H及びハロ(好ましくは、クロロ又はフルオロ)から独立して選択される。いくつかの実施形態では、各R2は、H及びメチルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、各R2は、H及びメトキシから独立して選択される。
【0183】
いくつかの実施形態では、R2は、H、メチル、メトキシ及びハロ(好ましくは、フルオロ)から選択される。
【0184】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の少なくとも1つは、CR2であり、少なくとも1つのR2は、Hである。
【0185】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の少なくとも2つは、CR2であり、R2の少なくとも1つ又は2つの例は、Hである。R2の残りの任意の例は、本明細書に記載されるR2の任意の実施形態について定義された任意の非H基から選択され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の少なくとも3つは、CR2であり、R2の少なくとも1つ、2つ又は3つの例は、Hである。R2の残りの任意の例は、本明細書に記載されるR2の任意の実施形態について定義された任意の非H基から選択され得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、A1、A2、A3及びA4の少なくとも4つは、CR2であり、R2の1つ、2つ、3つ又は4つの例は、Hである。R2の残りの任意の例は、本明細書に記載されるR2の任意の実施形態について定義された任意の非H基から選択され得る。
【0188】
Z1、Z2及びZ3
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3及びOから選択され、Z2及びZ3は、CH及びNから独立して選択される。
【0189】
いくつかの実施形態では、Z3は、NR3及びOから選択され、Z1及びZ2は、CH及びNから独立して選択される。
【0190】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3である。いくつかの実施形態では、Z1は、Oである。いくつかの実施形態では、Z1は、CHである。
【0191】
いくつかの実施形態では、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z2は、Nである。
【0192】
いくつかの実施形態では、Z3は、NR3である。いくつかの実施形態では、Z3は、Oである。いくつかの実施形態では、Z3は、CHである。
【0193】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z3は、Nである。
【0194】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z2は、Nである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z3は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z2は、Nであり、Z3は、CHである。
【0195】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z2は、Nである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z3は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z2は、Nであり、Z3は、CHである。
【0196】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z2及びZ3は、CHである。
【0197】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z3は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z2及びZ3は、CHである。
【0198】
いくつかの実施形態では、Z1は、Oであり、Z3は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、Oであり、Z2は、Nである。いくつかの実施形態では、Z1は、Oであり、Z2は、Nであり、Z3は、CHである。
【0199】
いくつかの実施形態では、Z1は、Oであり、Z2は、CHである。いくつかの実施形態では、Z1は、Oであり、Z2は、CHであり、Z3は、CHである。
【0200】
いくつかの実施形態では、Z3は、NR3又はOであり、Z1は、CHである。いくつかの実施形態では、Z3は、NR3又はOであり、Z2は、Nである。いくつかの実施形態では、Z3は、NR3又はOであり、Z1は、CHであり、Z2は、Nである。
【0201】
いくつかの実施形態では、Z3は、NR3であり、Z1は、CHである。いくつかの実施形態では、Z3は、NR3であり、Z2は、Nである。
【0202】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3又はOであり、Z2は、N又はCHであり、Z3は、CHであり、好ましくは、Z1は、NR3であり、Z2は、Nであり、Z3は、CHである。
【0203】
いくつかの実施形態では、Z1は、CHであり、Z2は、Nであり、Z3は、NR3である。
【0204】
いくつかの実施形態では、Z1は、NR3であり、Z2は、CHであり、Z3は、Nである。
【0205】
R3
いくつかの実施形態では、R3は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたC1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキルから選択される。
【0206】
いくつかの実施形態では、R3は、任意選択的に置換されたC1~6アルキル、任意選択的に置換されたC1~6アルキル-OH、任意選択的に置換されたヘテロアリール、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキルから選択される。
【0207】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたC1~6アルキル(好ましくは、任意選択的に置換されたC1~4アルキル)、任意選択的に置換されたC1~6アルキル-OH(好ましくは、任意選択的に置換されたC1~2アルキル-OH)、任意選択的に置換されたアリール(好ましくは、任意選択的に置換されたフェニル)、任意選択的に置換されたヘテロシクリル(好ましくは、任意選択的に置換されたヘテロアリール、より好ましくは、任意選択的に置換されたピリジル)、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル(好ましくは、C3~6シクロアルキル)から選択される。
【0208】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたC1~4アルキル及び任意選択的に置換されたC1~2アルキル-OH)から選択される。
【0209】
いくつかの実施形態では、R3は、任意選択的に置換されたフェニル、任意選択的に置換されたヘテロアリール(好ましくは、任意選択的に置換されたピリジル)及び(好ましくは、C3~6シクロアルキル)から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたC2~6アルキル(好ましくは、任意選択的に置換されたC2~4アルキル)、任意選択的に置換されたC1~6アルキル-OH(好ましくは、任意選択的に置換されたC1~2アルキル-OH)、任意選択的に置換されたアリール(好ましくは、任意選択的に置換されたフェニル)、任意選択的に置換されたヘテロシクリル(好ましくは、任意選択的に置換されたヘテロアリール、より好ましくは、任意選択的に置換されたピリジル)、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル(好ましくは、C3~6シクロアルキル)から選択される。
【0211】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたC2~6アルキル(好ましくは、任意選択的に置換されたC2~4アルキル)、任意選択的に置換されたC2~6アルキル-OH(好ましくは、任意選択的に置換されたC2アルキル-OH)、任意選択的に置換されたアリール(好ましくは、任意選択的に置換されたフェニル)、任意選択的に置換されたヘテロシクリル(好ましくは、任意選択的に置換されたヘテロアリール、より好ましくは、任意選択的に置換されたピリジル)、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル(好ましくは、C3~6シクロアルキル)から選択される。
【0212】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたアリール(好ましくは、任意選択的に置換されたフェニル)、任意選択的に置換されたヘテロシクリル(好ましくは、任意選択的に置換されたヘテロアリール、より好ましくは、任意選択的に置換されたピリジル)、任意選択的に置換されたC3~10シクロアルキル(好ましくは、C3~6シクロアルキル)から選択される。
【0213】
いくつかの実施形態では、R3は、H、任意選択的に置換されたC2~4アルキル及び任意選択的に置換されたC1~2アルキル-OH)から選択される。
【0214】
いくつかの実施形態では、R3は、C1~6アルキル、C1~6アルキル-OH、C3~10シクロアルキル及びヘテロシクリル(好ましくは、ヘテロアリール)から選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、R3は、メチル、-(CH2)2OH、シクロプロパニル及びピリジルから選択される。
【0216】
いくつかの実施形態では、R3は、H、C2~4アルキル、-(CH2)2OH、フェニル及びピリジルから選択される。
【0217】
付加的な式
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化13】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
a、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0218】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib):
【化14】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
a、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0219】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(II):
【化15】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、Z
1、Z
2、Z
3、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りである)
の化合物として提供される。
【0220】
いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、メチルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキルではない。いくつかの実施形態では、Z3がNR3である場合、Z3のR3は、C1~6アルキル-OHではない。
【0221】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa):
【化16】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
2及びZ
3は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0222】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb):
【化17】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、R
1、R
2、R
3は、本明細書で定義される通りであり;及び
Z
1及びZ
2は、CH及びNから独立して選択される)
の化合物として提供される。
【0223】
化合物
式(I)の化合物は、表1に含まれる化合物のいずれかから選択され得る。
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物1~6のいずれかから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物7~44のいずれかから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物1~7、10、12~14、16、23、29、31~33、35、37及び42~43のいずれかから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、化合物1~6、12~13、23、31~33及び42~43のいずれかから選択される。
【0236】
調製
通常、本発明の化合物は、当技術分野で既知の技術によって調製され得る。
【0237】
別の態様では、式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを調製するためのプロセスも提供される。
【0238】
一態様では、式(III)
【化18】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、Z
1、Z
2、Z
3は、本明細書で定義される通りである)
の化合物が提供される。
【0239】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(III)
【化19】
(式中、
A
1、A
2、A
3、A
4、Z
1、Z
2、Z
3は、本明細書で定義される通りである)
の化合物から調製される。
【0240】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、式(I)の化合物(式中、Raは、C(O)R1である)を調製するために使用される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物(式中、Raは、C(O)R1である)は、塩基性条件(例えば、NaH)下で、式(III)の化合物と、酸カルボン酸(例えば、式R3C(O)Clの酸クロリド、ここで、R3は、本明細書で定義される通りである)とを接触させることによって調製される。
【0241】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、式(I)の化合物(式中、Raは、S(O)2R1である)を調製するために使用される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物(式中、Raは、S(O)2R1である)は、塩基性条件(例えば、NaH)下で、式(III)の化合物と、活性化スルホン酸(例えば、式R3S(O)2Clの塩化スルホニル、ここで、R3は、本明細書で定義される通りである)とを接触させることによって調製される。
【0242】
方法
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節する方法が提供され、本方法は、それを必要としている対象に、有効量の、式(I)に従う化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを投与することを含む。
【0243】
理論に束縛されることは望まないが、本発明の化合物は、OTRのアロステリック部位に結合し、このアロステリック結合を通して、OTRにおけるOTの活性が調節されると考えられる。したがって、この調節により、OT活性に関連し、OTRに媒介されるあらゆる疾患、状態及び/又は障害は、式(I)の化合物で処置され得ると考えられる。
【0244】
したがって、本発明は、OT活性の低下に関連するか、又はOTRの調節が有益であり得るあらゆる疾患又は状態の処置のための、本明細書に記載される方法及び化合物の使用を含む。
【0245】
鼻腔内オキシトシンは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、社会不安障害、前頭側頭型認知症及び統合失調症の臨床試験で使用されている。一部の試験では社会的行動の改善が示されているが、他の試験では、効果が見られないか、又は攻撃性若しくは社会的認知の障害などの反社会的行動の誘発も見出されている。これらの決定的でない結果は、OTRを活性化するために鼻腔内OTを使用することに固有の重要な問題に起因する可能性がある。このような制限には、以下のものが含まれる:
a)脳に入る濃度が未知であること。神経ペプチドとして、OTは、血液脳関門を迅速に通過しない。鼻腔内OTの0.002~0.005%のみが脳に入ると推定されており、脳脊髄液(CSF)OTのレベルはヒトにおいてプラセボと比較して有意に上昇するが、これがどの受容体占有率に対応するのか、及びその濃度が行動を変化させるのに適切であるかどうかは、依然として不明である。
b)安定性が乏しいこと。ラットへの投与後に、OTは血液中で3~8分の半減期を有し、潜在的に、活性の期間が短いことが示される。
c)バソプレシン受容体の非選択的活性化の可能性。神経ペプチドのバソプレシンは、9つのアミノ酸のうちの7つをOTと共有する。バソプレシン受容体ファミリーは3つの受容体(V1aR、V1bR及びV2R)からなり、これらの受容体と、OTRとの間の相同性は、40~85%で異なり、OTRとV1aRとの間の相同性が最も高い。OTは、ナノモルの親和性でV1aRと結合することができ(例えば、ラットV1aRでは78nM、ヒトV1aRでは120nM)、V1aRの活性化は、OTRの活性化と比較して、行動に逆の効果を与え得る。
【0246】
OT及び鼻腔内OT投与のこのような制限により、OTRを特異的に標的とするために改善された方法を開発することの重要性が強調される。
【0247】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、例えば、研究者又は臨床医が求めている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発し得る薬物又は医薬品の量を意味する。さらに、「治療的有効量」という用語は、このような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害若しくは副作用の処置の改善、治癒、予防若しくは改善又は疾患若しくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語は、その範囲内に、正常な生理学的機能を向上させるのに有効な量も含む。
【0248】
本開示の一実施形態では、式(I)に従う化合物の投与は、OTRの立体構造変化を阻害する。
【0249】
本開示のいくつかの化合物は、様々な種においてOTRに結合し、OT活性を調節できることが予想される。
【0250】
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節するための薬剤の調製における、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/又はプロドラッグの使用が提供される。
【0251】
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の使用が提供される。
【0252】
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調製するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグの使用が提供される。
【0253】
別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節するための、式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の使用が提供される。
【0254】
さらに別の態様では、OTRにおけるOT活性の調節において使用するための、式(I)に従う化合物又はその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグが提供される。
【0255】
さらに別の態様では、OTR活性の調節において使用するための、式(I)に従う化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含む組成物が提供される。いくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物である。
【0256】
さらに別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節するために使用される場合、式(I)に従う化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグが提供される。
【0257】
さらに別の態様では、OTRにおけるOT活性を調節するために使用される場合、式(I)に従う化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグを含む組成物が提供される。
【0258】
OTR活性の調節は、OTRのアゴニズム、部分アゴニズム、スーパーアゴニズム、逆アゴニズム、アンタゴニズム又は部分アンタゴニズムを含み得る。
【0259】
別の態様では、細胞を有効量の式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグと接触させることを含む、OTRを刺激する方法が提供される。
【0260】
式(I)の化合物の塩は、好ましくは、薬学的に許容されるものであるが、例えば、薬学的に許容されない塩は、薬学的に許容される塩の調製における中間体として又は対象への投与を必要としない方法において有用であり得るため、これらも本開示の範囲内に含まれることが認識されるであろう。
【0261】
「薬学的に許容される」という用語は、対象に投与したときに式(I)の化合物又はその活性代謝産物若しくは残基を提供する(直接的又は間接的)ことができ、対象にとって通常有害でない、その任意の塩、溶媒和物、互変異性体、N-オキシド、立体異性体及び/若しくはプロドラッグ又は任意の他の化合物を説明するために使用され得る。
【0262】
適切な薬学的に許容される塩には、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸及び臭化水素酸などの薬学的に許容される無機酸の塩又は酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸などの薬学的に許容される有機酸の塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0263】
塩基性塩には、薬学的に許容されるカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウムにより形成されるもの、トリエチルアミンから形成される塩などのアルキルアンモニウムにより形成されるもの、エタノールアミンにより形成されるものなどのアルコキシアンモニウムにより形成されるもの及びエチレンジアミン、コリン又はアルギニン、リジン若しくはヒスチジンなどのアミノ酸から形成される塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩の種類及びその形成に関する一般的な情報は当業者に知られており、“Handbook of Pharmaceutical salts”P.H.Stahl,C.G.Wermuth,1st edition,2002,Wiley-VCHなどの一般的なテキストに記載される通りである。
【0264】
固体である化合物の場合、本発明の化合物、薬剤及び塩は、異なる結晶形態又は多形形態で存在することができ、それらの全てが、本発明及び規定の式の範囲内にあることを意図されることは、当業者によって理解されるであろう。
【0265】
本発明は、無水結晶形態、水和物、溶媒和物及び混合溶媒和物を含む、式(I)の化合物の全ての結晶形態を含む。これらの結晶形態のいずれかが多形性を示す場合、全ての多形体が本発明の範囲内にある。
【0266】
式(I)は、適用可能な場合、化合物の溶媒和形態及び非溶媒和形態を包含することが意図される。したがって、式(I)は、水和形態又は溶媒和形態並びに非水和形態及び非溶媒和形態を含む、表示された構造を有する化合物を含む。
【0267】
式(I)の化合物又はその塩、互変異性体、N-オキシド、多形体若しくはプロドラッグは、溶媒和物の形態で提供され得る。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量の溶媒を含有し、水、アルコール、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコール、DMSO、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸などの薬学的に許容される溶媒と共に結晶化プロセスの間に形成される可能性があり、溶媒和物は、非共有結合によって又は結晶格子内の穴を占有することによって結晶格子の一部を形成する。溶媒が水である場合には水和物が形成され、溶媒がアルコールである場合にはアルコラートが形成される。本発明の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセス中に都合よく調製又は形成することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的上、非溶媒和形態と均等であると考えられる。
【0268】
塩基性窒素含有基は、塩化、臭化及びヨウ化メチル、塩化、臭化及びヨウ化エチル、塩化、臭化及びヨウ化プロピル並びに塩化、臭化及びヨウ化ブチルなどのC1~6アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキルなどの薬剤で4級化され得る。
【0269】
窒素含有基は、酸化されて、N-オキシドも形成し得る。
【0270】
結晶性固体を形成する式(I)の化合物又はその塩、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物及び/若しくはプロドラッグは、多形性を示し得る。化合物、塩、互変異性体、N-オキシド、溶媒和物及び/又はプロドラッグの全ての多形形態は、本発明の範囲内にある。
【0271】
式(I)の化合物は、互変異性を示し得る。互変異性体は、通常は平衡状態で存在する分子の2つの互換的な形態である。式(I)の化合物のあらゆる互変異性体は、本発明の範囲内にあると理解されるべきである。
【0272】
式(I)の化合物は、1つ又は複数の立体中心を含有し得る。式(I)の化合物の全ての立体異性体は、本発明の範囲内にある。立体異性体には、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体(E及びZオレフィン形態並びにシス及びトランス置換パターン)及びアトロプ異性体が含まれる。いくつかの実施形態では、化合物は、任意の立体中心で立体的に濃縮された式(I)の化合物の形態である。化合物は、1つの立体異性体において、別の立体異性体よりも少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%濃縮され得る。
【0273】
式(I)の化合物又はその塩、互変異性体、溶媒和物、N-オキシド及び/若しくは立体異性体は、化合物中に存在する原子の同位体の1つ又は複数で立体的に濃縮され得る。例えば、化合物は、以下の微量の同位体:2H、3H、13C、14C、15N及び/又は17Oの1つ又は複数で濃縮され得る。同位体は、その存在量がその天然の存在量よりも大きいときに濃縮されていると考えることができる。
【0274】
「プロドラッグ」は、本明細書で提供される化合物の構造要件を完全に満たしていなくてもよいが、対象又は患者への投与後にインビボで修飾されて、本明細書で提供される式(I)の化合物を生じる化合物である。例えば、プロドラッグは、本明細書で提供される化合物のアシル化誘導体であり得る。プロドラッグは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミン又はスルフヒドリル基が任意の基に結合した化合物を含み、これらは哺乳類対象に投与したときに切断されて、それぞれ、遊離ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ又はスルフヒドリル基を形成する。プロドラッグの例としては、本明細書で提供される化合物の範囲内にある、アルコール及びアミン官能基の酢酸、ギ酸、リン酸及び安息香酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される化合物のプロドラッグは、修飾がインビボで切断されて本発明の化合物を生成するような形で、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製され得る。
【0275】
プロドラッグは、アミノ酸残基又は2つ以上(例えば、2つ、3つ又は4つ)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、式(I)の化合物の遊離アミノ及びアミド基に共有結合した化合物を含む。アミノ酸残基には、一般に3文字の記号で指定される20個の天然に存在するアミノ酸が含まれ、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デスモシン、イソデスモシン、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルホンも含まれる。プロドラッグには、カーボネート、カルバマート、アミド及びアルキルエステルがカルボニル炭素プロドラッグ側鎖を介して式(I)の上記の置換基に共有結合した化合物も含まれる。
【0276】
医薬組成物は、例えば、経口、経直腸、経鼻、膣内、局所(経皮、頬側、眼球及び舌下を含む)、非経口(皮下、腹腔内、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、くも膜下腔内、眼内、眼周囲、眼窩内、滑膜内及び腹腔内注射、大槽内注射並びに任意の他の同様の注射又は注入技術を含む)、吸入、ガス注入、注入又は移植技術(例えば、注射可能な滅菌水溶液若しくは非水溶液又は懸濁液として)を含む任意の適切な投与経路のために、式(I)に従う化合物から製剤化され得る。
【0277】
特定の実施形態では、経口使用又は非経口使用に適した形態の組成物が好ましい。適切な経口形態には、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルション、ハード若しくはソフトカプセル又はシロップ若しくはエリキシルが含まれる。静脈内、筋肉内、皮下又は腹腔内投与の場合、1つ又は複数の化合物は、好ましくはレシピエントの血液と等張である滅菌水溶液と組み合わせることができる。このような製剤は、塩化ナトリウム又はグリシンなどの生理学的に適合性の物質を含有し、生理学的条件と適合性のある緩衝pHを有する水中に固体活性成分を溶解させて水溶液を生成し、前記溶液を滅菌化することによって調製され得る。製剤は、密封アンプル又はバイアルなどの単位用量容器又は複数回用量容器中に存在し得る。成分の例は、Martindale-The Extra Pharmacopoeia(Pharmaceutical Press,London 1993)及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,2005,Lippincott Williams&Wilkinsに記載されている。全ての方法は、活性成分、例えば式(I)で定義される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを、1つ又は複数の副成分を構成する担体と関連させるステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性成分、例えば式(I)で定義される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグを、液体担体若しくは微粉化固体担体又は両方と均一且つ緊密に関連させ、次に必要であれば、生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物には、所望の効果を生じるために十分な量の活性目的化合物が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤とを含む医薬品を投与することを含む。
【0278】
本明細書との関連において、「投与すること」という用語並びに「投与する」及び「投与」を含むこの用語の変化形は、本発明の化合物又は組成物を任意の適切な手段により生物又は表面に接触させる、適用する、送達する又は提供することを含む。
【0279】
OTRの調節のために、本発明に従う生物学的に活性な化合物の用量は、広い範囲内で異なることができ、個々の要件に対して調整することができる。本発明に従う活性化合物は、一般に、治療的有効量で投与される。1日の用量は、単回用量として投与されるか又は複数回用量で投与され得る。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される対象及び特定の投与様式に応じて異なるであろう。
【0280】
しかしながら、任意の特定の対象に対する特定の用量レベルが、使用される特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的な健康、性別及び食事、投与の時間、投与経路及び排泄速度、薬物の併用(すなわち対象を処置するために使用されている他の薬物)並びに治療を受けている特定の障害の重症度を含む様々な因子に依存し得ることは理解されるであろう。このような処置は、必要に応じた頻度で、処置する医師が必要であると判断した期間行うことができる。当業者は、投与される式(I)の化合物の投与計画又は治療的有効量が、各個人に対して最適化される必要があり得ることを認識するであろう。
【0281】
異なる障害を処置するために異なる投与量が必要とされ得ることも認識されるであろう。
【0282】
「処置する」、「処置」及び「治療」という用語は、本明細書では、治癒的治療、予防的治療及び防止的治療を指すために使用される。したがって、本開示との関連では、「処置する」という用語は、OTRにおけるOT活性の調節に関連する疾患、状態及び/若しくは障害又はその症状の重症度を治癒、改善又は緩和させることを包含する。
【0283】
「予防する」又は「予防」は、OTRにおけるOT活性の調節に関連する疾患、状態及び/若しくは障害又はその症状の発生を防止すること或いは本発明の化合物又は医薬組成物の投与後に症状が現れる場合、OTRにおけるOT活性の調節に関連する疾患、状態及び/若しくは障害又はその症状の重症度を緩和させることを意味する。
【0284】
「対象」は、あらゆるヒト又は非ヒト動物を含む。したがって、ヒトの処置に有用であることに加えて、本発明の化合物は、コンパニオンアニマル及び家畜、例えば、限定はされないがイヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ヒツジ及びブタなどを含む、哺乳類の獣医学的処置のためにも有用であり得る。
【0285】
本発明の化合物は、上記のような医薬品の担体、希釈剤及び/又は賦形剤と共に投与され得る。
【0286】
本開示の方法は、OTR調節が有益であり得る任意の疾患、状態及び/又は障害を予防又は処置するために使用することができる。したがって、これらの疾患、状態及び/又は障害は、国際公開第03/000692A2号パンフレット、国際公開第2005/023812A2号パンフレット、国際公開第2017/004674A1号パンフレット、国際公開第2018/107216A1号パンフレット及び国際公開第2019/060692A1号パンフレットに記載されているものを含む、任意のOTRオルソステリックリガンドについて既に記載されたものを含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、疾患、状態及び/又は障害は、性障害(例えば、男性の勃起不全、射精障害、女性の性機能不全など)、癌(例えば、前立腺、乳房、卵巣又は骨の癌)、骨粗鬆症、良性前立腺肥大症、分娩後出血、異常分娩(例えば、誘発分娩、早期分娩、胎盤娩出など)、一次的又は二次的特徴として反社会的行動を特徴とする精神障害(例えば、自閉症スペクトラム障害(ASD)、統合失調症、うつ病など)、物質乱用障害(例えば、アルコール、メタンフェタミン、コカイン)、社会的機能障害(例えば、反社会的行動)並びにこれらの組合せから選択され得る。疾患、状態及び/又は障害は、神経精神医学的及び反社会的行動を特徴とする神経変性疾患(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病及び関連の神経変性疾患)も含み得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、さらなる医薬品有効成分(API)と組み合わせて投与され得る。APIは、本明細書に記載されるものなど、OTRにおけるOT活性に関連する疾患、状態及び/又は障害のいずれを治療するのに適したいずれのものであり得る。本発明の化合物は、本明細書に記載される医薬組成物のいずれかにおいて、さらなるAPIと共製剤化され得るか、又は本発明の化合物は、並行して、逐次又は個別に投与され得る。並行投与は、共製剤化されているか、又は同じ若しくは異なる経路により投与される別々の剤形であるかに関係なく、本発明の化合物を他のAPIと同時に投与することを含む。逐次投与は、他方の投与の約0.5、1、2、3、4、5又は6時間以内などの決定された投与計画に従って、本発明の化合物及び他のAPIを同じ又は異なる経路で投与することを含む。逐次的に投与される場合、本発明の化合物は、他のAPI投与の前又は後に投与され得る。個別投与は、互いに独立した計画に従い、同じであるか又は異なり得るいずれかの活性物質に適した任意の経路により、本発明の化合物及び他のAPIを投与することを含む。
【0289】
本方法は、式(I)の化合物を任意の薬学的に許容される形態で投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、多形体、互変異性体若しくはプロドラッグ又はこれらの形態の任意の比率の組合せの形態で提供される。
【0290】
本方法は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、多形体、互変異性体若しくはプロドラッグを含む医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することも含み得る。医薬組成物は、本明細書に記載される任意の薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含み得る。
【0291】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、多形体、互変異性体若しくはプロドラッは、任意の適切な手段、例えば、経口的、経直腸的、経鼻的、経膣的、局所的(頬側及び舌下を含む)、非経口的に、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内又は大槽内注射、吸入、ガス注入、注入又は移植技術(例えば、注射可能な滅菌水溶液若しくは非水溶液又は懸濁液として)によって投与され得る。
【0292】
本発明の化合物は、経口、直腸、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、非経口投与(筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内を含む)のためのものを含む医薬組成物として又は吸入若しくはガス注入による投与に適した形態で提供され得る。したがって、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグは、従来の補助剤、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位剤形の形態にすることができ、このような形態において、錠剤若しくは充填カプセルなどの固体として又は溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル若しくはそれらが充填されたカプセルのような液体として全て経口使用のために使用されるか、又は非経口(皮下を含む)使用のための注射可能な滅菌溶液の形態で使用され得る。
【0293】
キット
以下のものを別々のパーツ内に含むキットオブパーツも提供される:
・式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N-オキシド、多形体、互変異性体若しくはプロドラッグ;及び
・本発明の方法のいずれかにおけるその使用説明書。
【0294】
本明細書に記載される化合物、組成物、キット及び方法は、以下の例示的及び非限定的な実施例によって説明される。
【実施例】
【0295】
実施例1 - 合成
式(I)の化合物は、当技術分野で知られている技術によって調製され得る。種々の例示的な化合物の合成は、以下の実施例1.1及び1.2に記載されているが、これらの化合物が代替的な方法で提供され得ることは認識されるであろう。
【0296】
実施例1.1 - 一般的合成A
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、NCH3であり、Z2は、Nであり、且つZ3は、CHである)は、以下のスキーム1に示される手順に従って調製され得る。RaがC(O)R1である化合物は、以下に示される一般的なアミド結合形成手順に従って調製され得る。
【0297】
スキーム1.R
aがC(O)R
1である式(I)の化合物の一般的合成
【化20】
ステップ1
DMF(5mL)中のインドール-2-カルボン酸エチル(1.00g、5.29mmol、1.0当量)の磁気的に攪拌した溶液を、室温で2時間、N-クロロスクシンイミド(0.776g、5.81mmol、1.1当量)で処理した。反応が完了したら、混合物を氷冷水(15mL)中に注いだ。沈殿物をろ過し、水で洗浄した後、ヘキサンで洗浄して、無色の粉末を得た(1.06g、89%)。
【0298】
ステップ2
DMF(10mL)中の3-クロロ-1H-インドール-2-カルボン酸エチル(1.00g、4.5mmol、1当量)の磁気的に攪拌した溶液を、0℃において、NaH(215mg、5.4mmol、1.2当量)で処理した。30分間攪拌した後、TsCl(850mg、4.5mmol、1当量)を添加し、反応を2時間攪拌した。反応生成物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(3x40mL)で抽出した。有機画分を合わせ、LiCl(5%w/v、2x15mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、EtOAc:ヘキサン=1:20)にかけて、3-クロロ-1-トシル-1H-インドール-2-カルボン酸エチルを白色固体として得た(1.59g、94%)。
【0299】
ステップ3
78℃のCH2Cl2(20mL)中の3-クロロ-1-トシル-1H-インドール-2-カルボン酸エチル(1.00g、2.65mmol、1当量)の磁気的に攪拌した溶液を、DIBAl-Hのヘキサン溶液(1.0M、5.29mL、5.29mmol、2当量)の滴下により2時間処理した。反応が完了したら、グラウバー塩(2.00g)を数回に分けて添加することにより混合物をクエンチし、4時間攪拌した。懸濁液をろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。残渣をCHCl3(20mL)中に溶解させ、MnO2(770mg、4.5mmol、15当量)で処理し、混合物を18時間還流させた。反応が完了したら、混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)によりろ過しCHCl3で洗浄し、ろ液を真空中で濃縮して、3-クロロ-1-トシル-1H-インドール-2-カルバルデヒドを白色固体として得た(652mg、74%)。
【0300】
ステップ4
DMF(3mL)中の3-クロロ-1-トシル-1H-インドール-2-カルバルデヒド(600mg、1.8mmol、1当量)の磁気的に攪拌した溶液をメチルヒドラジン(95μL、1.8mmol、1当量)で処理し、70℃で4時間攪拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却した。ヨウ化銅(I)(34mg、0.18mmol、0.1当量)、トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン(47mg、0.36mmol、0.2当量)及びCs2CO3(1.17g、3.6mmol、2当量)を反応混合物に添加し、90℃に24時間加熱した。次に、反応混合物を冷却し、水(20mL)で希釈し、EtOAc(3x15mL)で抽出した。有機画分を合わせ、LiCl(5%w/v、2x10mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、EtOAc:ヘキサン=3:7)にかけて、1-メチル-4-トシル-1,4-ジヒドロピラゾロ[4,3-b]インドールを白色固体として得た(430mg、74%)。
【0301】
ステップ5
1-メチル-4-トシル-1,4-ジヒドロピラゾロ[4,3-b]インドール(400mg、1.2mmol、1当量)のMeOH(6mL)中の溶液をKOH(275mg、4.9mmol、5当量)で処理してから、反応を6時間加熱還流させた。反応が完了したら、溶媒を真空中で除去し、残渣を水(15mL)中に溶かし、EtOAc(3x10mL)で抽出した。有機画分を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。得られた残渣をCH2Cl2/ヘキサンで再結晶させて、1-メチル-1,4-ジヒドロピラゾロ[4,3-b]インドールを白色固体として得た(202mg、96%)。
【0302】
一般的なアミド形成
アミン(1当量)の磁気的に攪拌したTHF溶液にNaH(1.2当量)を添加した後、式R3C(O)Cl(式中、R3は、式(I)について定義される通りである)の酸クロリド(1.2当量)を添加した。反応が完了したら、混合物を真空中で濃縮し、NaHCO3中に溶かし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出した。有機画分を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。粗オイルをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)にかけて、表題生成物を得た。
【0303】
実施例1.2 - 化合物1~27、29~30の合成
化合物1~27、29~30は、実施例1.1に記載される一般的合成Aに従って調製した。これらの化合物のそれぞれについての特徴付けデータは、以下に提供される。表示されるように、各化合物は、融点(MP)、赤外分光法(IR)、プロトン核磁気共鳴(1HNMR)、炭素NMR(13CNMR)、フッ素NMR(19FNMR;適切な場合)、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モード(ESI+)での低分解能質量分析(LRMS)、同様にESI+での高分解能質量分析(HRMS)及び高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって特徴付けた。
【0304】
融点は、0.5~2.0℃/分のランプ速度によりStanford Research Systems(SRS)MPA160融点装置を用いて、オープンキャピラリーで測定し、補正はしなかった。
【0305】
赤外吸収スペクトルは、Bruker ALPHA FT-IRスペクトロメータにおいて記録した。データは、振動周波数(cm-1)で報告される。
【0306】
核磁気共鳴スペクトルは、Bruker AVANCE DRX200(200MHz)、DRX300(300MHz)、DRX400(400.1MHz)又はAVANCE III 500 Ascend(500.1MHz)スペクトロメータのいずれかを用いて、他に明記されない限りは298Kで記録した。データは、溶媒残留ピークに対する化学シフト(δppm)、相対強度、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=幅広線、dd=二重線の二重線など)、結合定数(J Hz)で報告される。
【0307】
低分解能質量スペクトル(LRMS)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いて記録した。高分解能質量スペクトルは、Apollo II ESI/APCI/MALDIデュアルソースを備えたBruker 7T Apex Qeフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計において実行した。ESIにより実行されたサンプルは、Cole Palmerシリンジポンプを用いて直接注入した(150μL/時間)。
【0308】
分析HPLC純度トレースは、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器(230、254及び271nmに設定)を備えたWaters 2695 Separationsモジュールにおいて得た。0.2mL/分の流速の溶媒A:MilliQ水(+0.1%トリフルオロ酢酸又は0.1%ギ酸)及び溶媒B:アセトニトリル(+0.1%トリフルオロ酢酸又は0.1%ギ酸)を使用し、Waters SunFire(商標)C18 5μmカラム(2.1x150mm)を通して全てのサンプルを溶出させた。この方法は、勾配溶出(30分にわたって0~100%の溶媒A:B)で構成された。キラルHPLCトレースは、Waters 2996 PDA検出器を備えたWaters 2695 Alliance HPLCにおいて得た。0.2mL/分の流速の溶媒A:ヘキサン及び溶媒B:イソプロパノールを使用し、Daicel OD-Hカラム(0.46x25cm)を通して全てのサンプルを溶出させた。この方法は、勾配溶出(30分にわたって0~100%の溶媒A:B)で構成された。データの取得及び処理は、Waters Empower 2ソフトウェアにより実施した。全ての化合物について報告されたデータは、254nmチャネルに基づく。
【0309】
化合物1.
MP:152.6~153.2℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋):1677,1668,1448,1348,1309,1288,742,719,696cm-1;1H NMR(600MHz,クロロホルム-d)δ 8.52(d,J=5.6Hz,1H),7.87-7.68(m,3H),7.68-7.61(m,1H),7.55(t,J=7.6Hz,2H),7.52-7.43(m,1H),7.40(td,J=7.7,0.9Hz,1H),6.38(s,1H),4.16(s,3H);13C NMR(151MHz,クロロホルム-d)δ 168.5,143.1,135.5,134.7,131.9,130.3,128.9,128.1(2C),126.8(2C),124.3,123.4,118.7,118.2,117.7,38.3;LRMS(ESI+)m/z:276(30%,[M+H]+),298(100%,[M+Na]+);HRMS(ESI+)m/z:[M+Na]+ C17H13N3NaOの計算値:298.09508;実測値298.09500;HPLC:99.5%,RT:25.2min。
【0310】
化合物2.
MP:91.1~92.8℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋):3053,1682,1442,1365,1346,1313,1288,820,791,743cm-1;1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 8.50(d,J=7.1Hz,1H),7.76-7.71(m,1H),7.57-7.50(m,2H),7.50-7.38(m,3H),7.37-7.32(m,1H),6.42(s,1H),4.16(s,3H);13C NMR(126MHz,クロロホルム-d)δ 166.9(d,J=2.5Hz),162.7(d,J=249.4Hz),143.1,137.4(d,J=7.0Hz),134.9,130.8(d,J=7.9Hz),129.9,126.9,124.6,123.9(d,J=3.3Hz),123.2,119.0(d,J=21.1Hz),118.8,118.3,117.8,115.4(d,J=23.2Hz),38.3;19F NMR(471MHz,クロロホルム-d)δ-110.74;LRMS(ESI+)m/z:294(100%,[M+H]+),316(30%,[M+Na]+);HRMS(ESI+)m/z:[M+H]+ C17H13FN3Oの計算値:294.10372;実測値294.10372;HPLC:99.4%,RT:25.3min。
【0311】
化合物3.
MP:140.3~141.2℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋):2924,2855,1670,1445,1276,1098,741cm-1;1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 8.69(s,1H),7.72-7.67(m,1H),7.47-7.40(m,2H),7.34(td,J=7.6,1.0Hz,1H),4.20(s,3H),3.02(tt,J=11.6,3.3Hz,1H),2.08(d,J=12.3Hz,2H),1.94(dt,J=12.4,2.9Hz,2H),1.85-1.76(m,1H),1.74-1.63(m,2H),1.53-1.24(m,3H);13C NMR(101MHz,クロロホルム-d)δ 174.8,143.0,135.0,128.7,127.0,123.9,122.8,119.1,117.9,117.1,44.8,38.3,29.0(2C),25.93(2C),25.90;LRMS(ESI+)m/z:282(100%,[M+H]+),304(20%,[M+Na]+);HRMS(ESI+)m/z:[M+H]+ C17H20N3Oの計算値:282.16009;実測値282.16023;HPLC:99.5%,RT:28.3min。
【0312】
化合物4.
MP:167~169℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋)2920,2850,1667,1441,1342,1285,745cm-1;1H NMR(400MHz;CDCl3)δ=8.50(d,J=8.31Hz,1H,ArH),7.72(d,J=7.64Hz,1H,ArH),7.64(d,J=8.01Hz,2H,ArH),7.45(t,J=7.48Hz,1H,ArH),7.40-7.33(m,3H,ArH),6.48(s,1H,ArH),4.15(s,3H,CH3),2.48(s,3H,CH3);13C NMR(100MHz;CDCl3)δ=168.45(C=O),143.08(Ar),142.42(Ar),134.50(Ar),132.39(Ar),130.29(Ar),129.31(Arx2),128.27(Arx2),126.50(Ar),123.97(Ar),123.38(Ar),118.54(Ar),117.97(Ar),117.52(Ar),38.08(NCH3),21.68(ArCH3);LRMS(ESI+)312([M+Na]+100%),290([M+H]+35%);HRMS(ESI+)m/z:C18H15N3O[M+H]+の計算値290.1288,実測値:290.1287;HPLC純度:99.3%,RT:26.5min。
【0313】
化合物5.
MP:145~147℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋)1676,1603,1441,1364,1345,1310,1246,827,747cm-1;1H NMR(400MHz;CDCl3)δ=8.48(d,J=8.01Hz,1H,ArH),7.73-7.68(m,3H,ArH),7.53(d,J=7.72Hz,2H,ArH),7.46(t,J=7.8Hz,1H,ArH),7.39(t,J=7.48Hz,1H,ArH),6.49(s,1H,ArH),4.15(s,3H,CH3);13C NMR(100MHz;CDCl3)δ=167.13(C=O),142.96(Ar),138.20(Ar),134.70(Ar),133.58(Ar),129.84(Ar),129.68(Arx2),129.08(Arx2),126.69(Ar),124.32(Ar),123.08(Ar),118.53(Ar),118.08(Ar),117.60(Ar),38.13(NCH3);LRMS(ESI+)332([M+Na]+100%);HRMS(ESI+)m/z:C17H12ClN3O [M+Na]+の計算値332.0561,実測値:332.0560;HPLC純度:99.4%,RT:26.9min。
【0314】
化合物6.
MP:142~143℃;IR(ダイヤモンドセル、純粋)2933,1667,1441,1366,1345,1312,986,810,770,749,695cm-1;1H NMR(400MHz;CDCl3)δ=8.48(d,J=7.2Hz,1H,ArH),7.86(s,1H,ArH),7.73(d,J=7.55Hz,1H,ArH),7.64(d,J=8.21Hz,1H,ArH),7.58(d,J=8.11Hz,1H,ArH),7.47(t,J=7.30Hz,1H,ArH),7.41(t,J=7.55Hz,1H,ArH),6.53(s,1H,ArH),4.16(s,3H,CH3);13C NMR(100MHz;CDCl3)δ=165.70(C=O),142.89(Ar),136.48(Ar),134.84(Ar),133.82(Ar),130.88(Ar),130.32(Arx2),129.52(Ar),127.36(Ar),126.83(Ar),124.57(Ar),122.94(Ar),118.57(Ar),118.16(Ar),117.68(Ar),38.17(NCH3);LRMS(ESI+)366([M+Na]+100%),368([M+H]+67%);HRMS(ESI+)m/z:C17H11Cl2N3O [M+Na]+の計算値366.0171,368.0142,実測値:366.0171,368.0141;HPLC純度:98.9%,RT:28.7min。
【0315】
化合物7.
MP:136~138℃;1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.48(d,J=8.3Hz,1H),7.78-7.68(m,3H),7.42(dtd,J=23.0,7.5,1.3Hz,2H),7.03(d,J=8.7Hz,2H),6.63(s,1H),4.17(s,3H),3.92(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 168.1,162.8,143.3,134.6,130.8,130.6,127.3,126.6,124.0,123.4,118.6,118.1,117.5,114.0,55.7,38.2;IR(ATR)νmax 3056,2928,1667,1607,1512,1439,1418,1343,1304,1267,1174,984,904,827cm-1;HPLC:95.59%,RT:18.40min.
【0316】
化合物8.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ δ 8.51(d,J=8.2Hz,1H),7.72(d,J=7.6Hz,1H),7.51-7.34(m,3H),7.31-7.21(m,2H),7.16(dd,J=8.3,2.6Hz,1H),6.44(s,1H),4.14(s,3H),3.85(s,3H).13C NMR(75MHz,CDCl3)δ δ 168.2,159.9,143.1,136.6,134.7,130.2,130.0,126.7,124.3,123.5,120.3,118.7,118.1,118.1,117.7,113.0,55.6,38.2;HPLC:96.82%,RT:25.40min.
【0317】
化合物9.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.75(s,1H),7.69(ddd,J=7.6,1.5,0.7Hz,1H),7.54(ddd,J=8.4,7.5,1.7Hz,1H),7.50-7.32(m,3H),7.26(s,1H),7.11(td,J=7.5,0.9Hz,1H),7.05(dd,J=8.4,0.9Hz,1H),5.96(s,1H),4.11(s,3H),3.71(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 166.6,156.3,142.6,134.6,132.2,130.0,128.2,126.7,125.8,124.2,122.6,121.2,118.7,118.0,117.7,111.7,55.8,38.2;HPLC:99.67%,RT:24.50min.
【0318】
化合物10.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.48(d,J=8.2Hz,1H),7.83-7.67(m,3H),7.42(dtd,J=21.1,7.5,1.3Hz,2H),7.23(t,J=8.4Hz,2H),6.48(s,1H),4.15(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 167.3,164.9(d,J=253.3Hz),143.1,134.8,131.5(d,J=3.4Hz),130.9(d,J=8.9Hz),130.1,126.8,124.4,123.2,118.6,118.2,117.7,116.1(d,J=22.0Hz),38.3;19F NMR(282MHz,CDCl3)δ-106.4;HPLC:99.41%,RT:24.76min.
【0319】
化合物11.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.61(s,1H),7.78-7.66(m,1H),7.59(dddd,J=9.5,8.1,5.3,1.9Hz,2H),7.51-7.18(m,4H),6.18(s,1H),4.34-3.96(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 163.8,159.1(d,J=251.4Hz),142.7,135.0,133.1(d,J=8.1Hz),129.5,129.2(d,J=3.0Hz),126.9,125.0,125.0(d,J=3.8Hz),124.5(d,J=17.3Hz),122.4,118.7,118.2,117.9,116.7(d,J=20.6Hz),38.2;HPLC:100%,RT:24.43min.
【0320】
化合物12.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.68(d,J=8.4Hz,1H),7.87-7.59(m,1H),7.46(s,1H),7.42(ddd,J=8.5,7.4,1.5Hz,1H),7.33(td,J=7.5,1.1Hz,1H),4.18(s,3H),3.50(p,J=7.4Hz,1H),2.27-1.97(m,4H),1.95-1.61(m,8H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 174.8,143.0,134.9,128.7,126.8,123.8,122.9,119.0,117.9,117.1,45.1,38.3,30.0,26.1;HPLC:99.53%,RT:26.97min.
【0321】
化合物13.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.71(d,J=8.4Hz,1H),7.74-7.68(m,1H),7.51-7.40(m,2H),7.35(td,J=7.5,1.1Hz,1H),4.21(s,3H),3.23(tt,J=9.2,4.0Hz,1H),2.13(ddd,J=12.7,8.3,4.7Hz,2H),1.89(qd,J=9.9,4.7Hz,4H),1.78-1.50(m,6H):13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 175.9,143.2,135.0,128.7,127.0,123.9,122.8,119.2,117.9,117.1,46.0,38.3,31.1,28.5,26.6;HPLC:99.64%,RT:30.08min.
【0322】
化合物14.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8 8.65(s,1H),7.69(ddd,J=7.6,1.5,0.7Hz,1H),7.43(ddd,J=8.5,6.0,1.4Hz,2H),7.34(td,J=7.5,1.1Hz,1H),4.19(s,3H),2.93(t,J=7.4Hz,2H),1.86(p,J=7.4Hz,2H),1.60-1.46(m,2H),1.01(t,J=7.3Hz,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 171.6,142.8,134.9,128.8,126.9,123.9,122.9,118.8,118.0,117.0,38.3,36.9,26.3,22.5,14.1;HPLC:98.74%,RT:26.01min.
【0323】
化合物15.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.66(d,J=8.3Hz,1H),7.74-7.64(m,1H),7.53(s,1H),7.49-7.30(m,7H),4.30(s,2H),4.21(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 169.4,142.9,135.1,133.1,129.7,128.9,128.6,127.6,127.1,124.2,123.0,119.0,118.1,117.3,43.7,38.4;HPLC:95.00%,RT:25.02min.
【0324】
化合物16.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8 8.69(d,J=8.3Hz,1H),7.71(dd,J=7.6,1.4Hz,1H),7.52-7.31(m,3H),4.21(s,3H),4.14(dt,J=11.7,3.4Hz,2H),3.63(td,J=11.5,2.6Hz,2H),3.29(tt,J=10.7,4.1Hz,1H),2.25-1.88(m,4H).;13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 172.9,143.0,135.2,128.2,127.2,124.2,122.6,119.1,118.0,117.2,67.3,41.8,38.4,28.6;HPLC:98.77%,RT:21.22min.
【0325】
化合物17.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.66(d,J=8.2Hz,1H),7.88-7.65(m,1H),7.51(s,1H),7.45(td,J=7.9,1.5Hz,1H),7.37(td,J=7.5,1.2Hz,1H),4.32-4.22(m,1H),4.21(s,3H),4.04(d,J=11.5Hz,1H),3.74(dd,J=11.4,10.0Hz,1H),3.53(td,J=11.1,4.0Hz,1H),3.44-3.29(m,1H),2.25(d,J=12.6Hz,1H),1.99(ddd,J=22.8,11.0,5.3Hz,1H),1.84(ddd,J=13.4,10.1,3.7Hz,2H).13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 171.7,142.8,135.2,128.3,127.1,124.3,122.7,119.1,118.0,117.3,69.2,68.4,43.7,38.4,26.5,25.3;HPLC:95.01%,RT:22.14min.
【0326】
化合物18.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.68(d,J=8.3Hz,1H),7.78-7.66(m,1H),7.50-7.32(m,3H),4.63(dd,J=9.2,3.6Hz,1H),4.20(s,3H),4.18-4.15(m,1H),4.00-3.50(m,1H),2.12-1.92(m,3H),1.81-1.62(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 169.1,143.1,135.2,128.3,127.1,124.3,123.3,119.3,118.0,117.4,77.1,69.0,38.3,27.6,25.6,22.8;HPLC:97.68%,RT:22.73min.
【0327】
化合物19.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.84(d,J=5.0Hz,2H),8.70-8.25(m,1H),7.71-7.63(m,1H),7.54(d,J=5.0Hz,2H),7.40(m,2H),6.31(s,1H),4.10(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 165.8,150.7,142.7,142.7,135.0,129.1,126.9,124.8,122.8,121.5,118.6,118.2,117.7,38.2;HPLC:96.64%,RT:17.13min.
【0328】
化合物20.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.96(d,J=2.1Hz,1H),8.85(dd,J=5.1,1.7Hz,1H),8.46(d,J=8.2Hz,1H),8.02(dt,J=8.0,2.0Hz,1H),7.68(dd,J=7.3,1.6Hz,1H),7.53-7.30(m,3H),6.37(s,1H),4.11(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 165.9,152.6,149.0,142.8,135.7,134.9,131.3,129.5,126.8,124.6,123.5,122.7,118.5,118.2,117.7,38.2;HPLC:97.00%,RT:18.14min.
【0329】
化合物21.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.51(dt,J=8.5,0.8Hz,1H),7.75(ddd,J=7.2,1.6,0.8Hz,2H),7.46(ddd,J=8.4,7.4,1.5Hz,1H),7.43-7.35(m,2H),7.27(d,J=4.7Hz,1H),6.69(dd,J=3.6,1.8Hz,1H),4.21(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 157.3,146.8,145.9,143.4,135.1,129.5,126.7,124.2,123.7,118.8,118.8,118.1,117.5,112.5,38.3;HPLC:99.08%,RT:22.54min.
【0330】
化合物22.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.63(s,1H),7.74-7.52(m,1H),7.49-7.36(m,2H),7.36-7.13(m,1H),4.13(s,3H),3.77-3.47(m,1H),2.64-2.26(m,4H),2.13(t,J=7.4Hz,2H),2.07-1.93(m,2H),1.93-1.73(m,2H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 172.9,142.7,134.6,128.2,126.7,123.6,122.5,118.7,117.8,116.9,40.2,38.1,37.1,35.4,35.1,34.9,16.3;HPLC:95.78%,RT:28.73min.
【0331】
化合物23.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.91-8.56(m,1H),7.81(s,1H),7.76-7.60(m,1H),7.42(ddd,J=8.9,7.4,1.7Hz,1H),7.33(tt,J=7.5,1.4Hz,1H),4.20(s,3H),2.29(d,J=2.9Hz,6H),2.24-2.14(m,3H),1.97-1.77(m,6H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 177.5,144.9,135.3,128.3,127.0,126.0,123.7,120.3,117.5,116.6,43.6,38.2,36.9,36.7,28.;HPLC:99.54%,RT:31.76min.
【0332】
化合物24.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.72(dd,J=8.5,1.8Hz,1H),7.70(dt,J=7.7,2.0Hz,1H),7.46(s,1H),7.45-7.38(m,1H),7.34(tdd,J=7.5,2.7,1.2Hz,1H),4.20(d,J=2.0Hz,3H),3.70(s,3H),2.29-2.10(m,6H),1.98(dd,J=10.3,5.6Hz,6H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 177.7,176.2,144.6,127.1,124.4,123.9,120.1,117.6,116.6,52.0,41.4,38.8,38.2,28.2,26.8;HPLC:99.13%,RT:27.48min.
【0333】
化合物25.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.59(s,1H),7.71(ddd,J=7.6,1.5,0.7Hz,1H),7.51(s,1H),7.44(ddd,J=8.4,7.4,1.5Hz,1H),7.35(td,J=7.5,1.1Hz,1H),4.60(ddd,J=5.2,4.2,2.2Hz,3H),4.28-4.16(m,6H),4.11-4.00(m,1H).13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 169.8,143.1,134.9,128.5,126.9,123.9,121.5,118.8,117.9,117.1,58.8,50.0,46.1,45.0,38.3;HPLC:98.90%,RT:27.31min.
【0334】
化合物26.
MS(ESI,+ve)m/z(%)317[M+H]+(100)。
【0335】
化合物27.
MS(ESI,+ve)m/z(%)317[M+H]+(100)。
【0336】
化合物29.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.99(dd,J=4.2,1.7Hz,1H),8.58(d,J=33.4Hz,1H),8.37(dt,J=8.2,1.2Hz,1H),8.27(ddd,J=8.6,1.7,0.9Hz,1H),7.92-7.77(m,2H),7.73(dt,J=7.3,0.9Hz,1H),7.57-7.35(m,3H),5.78(s,1H),4.10(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 166.7,151.5,148.2,142.8,134.9,133.5,133.2,132.9,129.6,128.8,127.0,126.3,125.3,124.8,123.0,122.6,118.8,118.3,118.0,38.2;HPLC:98.67%,RT:18.25min.
【0337】
化合物30.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.46(d,J=8.2Hz,1H),7.86-7.61(m,1H),7.45(ddd,J=8.4,7.4,1.5Hz,1H),7.39(dd,J=7.5,1.2Hz,1H),7.33(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),7.23(d,J=1.7Hz,1H),6.93(d,J=8.0Hz,1H),6.68(s,1H),6.10(s,2H),4.17(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 167.6,151.0,148.0,143.2,134.6,130.4,128.8,126.6,124.1,123.9,123.5,118.6,118.1,117.6,109.1,108.4,102.0,38.3;HPLC:97.37%,RT:26.84min.
【0338】
実施例1.3 - 一般的合成B
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、NCH3であり、Z2は、Nであり、且つZ3は、CHである)は、実施例1.1に従って調製され得る。RaがC(O)R1(式中、R1は、環状ウレイド結合の一部である)である式(I)の化合物は、以下のスキーム2に従って調製され得る。
【0339】
スキーム2.R
aがC(O)R
1(式中、R
1は、任意選択的に置換されたヘテロシクリルであり、R
1がR
aに結合する原子は、Nである)である式(I)の化合物の一般的合成。
【化21】
一般的な環状ウレイド形成
THF中のアミン(1当量)の磁気的に攪拌した溶液を0℃に冷却し、NaH(1.75当量)を添加した後、式R
3’N(O)Cl(式中、R
3’は、カルバモイルクロリドのNと環状構造を形成する)の環状カルバモイルクロリド(1.75当量)を添加した。反応が完了したら、混合物を穏やかなプロトン源(NH
4Cl溶液)で処理し、有機溶媒(酢酸エチル、3x20mL)で抽出した。有機画分を合わせ、乾燥剤(Na
2SO
4)上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。粗オイルをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)にかけて、表題生成物を得た。
【0340】
実施例1.4 - 化合物42の合成
化合物42は、実施例1.3に記載される一般的合成に従い、実施例1.1の最初のステップを用いて調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.93(dt,J=8.4,0.9Hz,1H),7.71(ddd,J=7.8,1.4,0.7Hz,1H),7.44(s,1H),7.38(ddd,J=8.5,7.3,1.3Hz,1H),7.26(td,J=7.6,1.0Hz,1H),4.19(s,3H),3.74-3.43(m,4H),1.71(q,J=2.9,2.4Hz,6H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 155.1,143.3,133.4,130.6,125.7,122.0,121.5,118.1,116.2,116.0,47.8,38.3,26.1,24.5;HPLC:99.53%,RT:22.84min.
【0341】
実施例1.5 - 一般的合成C
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、NCH3であり、Z2は、Nであり、且つZ3は、CHである)は、実施例1.1に従って調製され得る。RaがS(O)2R1である式(I)の化合物は、以下のスキーム3に従って調製され得る。
【0342】
スキーム3.R
aがS(O)
2R
1である式(I)の化合物の一般的合成
【化22】
一般的なスルホンアミド形成
THF中のアミン(1当量)の磁気的に攪拌した溶液を0℃に冷却し、NaH(1.75当量)を添加した後、式R
3S(O)
2Cl(式中、R
3は、式(I)について定義される通りである)の塩化スルホニル(1.2当量)を添加した。反応が完了したら、混合物を穏やかなプロトン源(NH
4Cl溶液)で処理し、有機溶媒(酢酸エチル、3x20mL)で抽出した。有機画分を合わせ、乾燥剤(Na
2SO
4)上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。粗オイルをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル)にかけて、表題生成物を得た。
【0343】
実施例1.6 - 化合物43の合成
化合物43は、実施例1.5に記載される一般的合成に従い、実施例1.1の最初のステップを用いて調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.06-7.97(m,1H),7.80-7.71(m,1H),7.63(s,1H),7.46-7.31(m,2H),4.20(s,3H),3.24(tt,J=12.1,3.5Hz,1H),1.95-1.82(m,2H),1.82-1.72(m,2H),1.55(ddt,J=20.6,12.1,6.6Hz,3H),1.20-1.02(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 142.7,133.7,130.8,126.2,123.5,122.6,118.7,116.9,115.5,63.7,38.4,26.5,25.0,24.9;HPLC:99.77%,RT:28.01min.
【0344】
実施例1.7 - 一般的合成D
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、CHであり、Z2は、Nであり、且つZ3は、NCH3である)は、以下のスキーム4に示される手順に従って調製され得る。
【0345】
スキーム4.Z
1がCHであり、Z
2がNであり、且つZ
3がNCH
3である式(I)の化合物の一般的合成
【化23】
ステップ1
無水DMF(5.82mL、75.2mmol)を無水クロロホルム(20mL)に添加し、0℃に冷却した。この溶液にオキシ塩化リン(5.25mL、56.2mmol)を滴下し、0℃で30分間攪拌させた。2-オキシインドール(2.5g、18.8mmol)を無水クロロホルム(15mL)中に溶解させ、反応混合物に注入し、還流で6時間攪拌させた。完了したら、反応混合物を冷却し、氷冷水(30mL)上に注いだ。水層をCH2Cl2(3x30mL)で抽出した。次に、有機抽出物を水、塩化リチウム溶液(5%w/w)及び塩水で洗浄した。次に、有機層をMgSO4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中20~35%のEtOAc)により精製して、46(2.42g、72%)をくすんだ赤色~ピンクの粉末として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d
6):δ 13.03(s,1H),9.99(s,1H),8.33-7.91(d,J=7.1Hz,1H),7.42(d,J=7.1Hz),7.31-7.18(m,2H);
13C NMR(75MHz,DMSO-d
6):δ 183.2,134.7,134.6,124.3,123.8,122.7,119.9,112.0,111.7,39.5;LRMS(+ESI):m/z=180[M +H]
+.
【0346】
ステップ2
2-クロロ-1H-インドール-3-カルバルデヒド(500mg、2.78mmol)をDMF(40mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。次に、NaH(144mg、3.61mmol)を添加し、反応混合物を1時間攪拌しながら室温になるようにした。次に、窒素の流れの中で塩化p-トルエンスルホニル(636mg、3.34mmol)を添加し、出発材料が消費されるまでさらに6時間反応混合物を攪拌させた。次に、混合物を水(30mL)でクエンチし、水層をCH2Cl2で抽出した。有機層を水及び塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。次に、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中15%のEtOAc)により粗反応混合物を精製し、所望の生成物(65mg、7%)が黄色の結晶性粉末として得られた。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 10.16(s,1H),8.24-8.30(m,2H),7.92-7.82(m,2H),7.50-7.27(m,4H),2.04(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ 185.2,130.4,127.5,126.5,125.7,125.0,124.7,123.7,121.5,121.5,114.5,110.8,77.2,21.2;LRMS(+ESI):m/z=356[M+Na]+.
【0347】
ステップ3
2-クロロ-1-トシル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(250mg、0.75mmol)を無水DMF(3.75mL)中に溶解させ、圧力菅内でメチルヒドラジン(51μL、0.97mmol)と共に90℃で6時間攪拌させた。ヨウ化銅(I)(14.1mg、0.08mmol)、トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン(19.6mg、0.15mmol)及びCs2CO3(488mg、1.50mmol)を添加し、混合物を140℃で18時間攪拌した。反応混合物を冷却し、水(20mL)で希釈してから、水層をCH2Cl2(3x30mL)で抽出した。有機層を水、塩化リチウム溶液(5%w/w)及び塩水で洗浄した。次に、有機層をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。次に、フラッシュカラムクロマトグラフィ(CH2Cl2中0.25~2%のMeOH)により粗生成物を精製して、所望の生成物(91mg、71%)を黄褐色の結晶性固体として得た。
1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 11.26(s,1H),7.64(s,1H),7.61(d,J=7.7Hz,1H),7.35(d,J=8.1Hz,1H),7.18-7.10(m,1H),7.08-7.02(m,1H),3.90(s,3H)ppm.13C NMR(126MHz,DMSO-d6):δ 147.2,142.2,128.7,121.7,119.3,119.1,111.8,108.9,35.5ppm.LRMS(+ESI)m/z:172[M+H]+.HRMS(ESI+)m/z:C10H10N3[M+H]+の計算値,172.08747;実測値172.08690。
【0348】
一般的なアミド形成
実施例1.1に記載されるものと均等な条件をアミド形成のために使用した。
【0349】
実施例1.8 - 化合物31~33の合成
化合物31~33は、実施例1.7に記載される一般的合成に従って調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
【0350】
化合物31.
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 7.84(d,2H),7.74(s,1H),7.73-7.68(m,1H),7.64(d,1H),7.57(t,J=7.8Hz,2H),7.25-7.20(m,1H),7.04-6.97(m,1H),6.81(d,J=8.4Hz,1H),4.00(s,3H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 167.8,145.0,141.5,134.6,133.5,129.83,129.3,129.2,124.0,123.4,121.8,120.0,115.5,114.2,39.8;IR(ATR)νmax 1680,1559,1511,1440,1374,1348,1301,1221,1135,1071 cm-1;LRMS(ESI,+ve)m/z(%)276[M+H]+(100);HRMS(TOF ESI,+ve)276.1136[M+H]+(C17H14N3Oの計算値,276.1131);HPLC:99.30%,RT:25.2min。
【0351】
化合物32.
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 7.74(s,1H),7.67-7.59(m,2H),7.58-7.51(m,2H),7.43-7.38(m,1H),7.24(t,J=7.5Hz,1H),7.06-6.98(m,1H),6.76(d,J=8.5Hz,1H),4.05(s,3H);13C NMR(126MHz,CDCl3)δ 166.4(d,J=2.7Hz),162.9(d,J=250.1Hz),144.8,141.2,136.6(d,J=7.0Hz),131.1(d,J=7.9Hz),129.3,125.5(d,J=3.1Hz),124.3,123.6,122.0,120.6(d,J=21.2Hz),120.1,116.8(d,J=23.2Hz),115.4,114.4,40.0;19F NMR(471MHz,CDCl3)δ-110.18;IR(ATR)νmax 1677,1561,1514,1442,1373,1342,1292,1238,1208,1069cm-1;LRMS(ESI,+ve)m/z(%)294[M+H]+(100);HRMS(TOF ESI,+ve)294.1036[M+H]+(C17H13FN3Oの計算値,294.1042);HPLC:99.1%,RT:25.6min。
【0352】
化合物33.
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.68(s,1H),7.67-7.62(m,1H),7.51(dt,J=7.2,2.9Hz,1H),7.35-7.26(m,2H),4.26(s,3H),3.26(tt,J=11.4,3.3Hz,1H),2.17-2.03(m,2H),1.98-1.90(m,2H),1.87-1.66(m,3H),1.55-1.31(m,3H);13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 174.8,145.3,139.6,128.7,124.1,124.0,122.6,120.3,115.1,114.2,44.5,41.6,29.6,25.9,25.7;IR(ATR)νmax 2928,1692,1556,1510,1440,1376,1305,1268,1223,1156,1096 cm-1;LRMS(ESI,+ve)m/z(%)282[M+H]+(100);HRMS(TOF ESI,+ve)276.1601[M+H]+(C17H19N3Oの計算値,282.1606);HPLC:97.5%,RT:28.4min。
【0353】
実施例1.9 - 一般的合成E
式(I)の化合物(式中、A1及びA3は、Nであり、A2及びA4は、CHであり、Z1は、NCH3であり、Z2は、Nであり、且つZ3は、CHである)は、以下のスキーム5に示される手順に従って調製され得る。
【0354】
スキーム5.A
1及びA
3がNであり、A
2及びA
4がCR
2であり、Z
1がNCH
3であり、Z
2がNであり、且つZ
3がCHである式(I)の化合物の一般的合成
【化24】
ステップ1
4-ニトロ-1H-ピラゾール(10g、78.7mmol)を無水DMF(60mL)に添加し、K
2CO
3(13.05g、94.4mmol)と共に室温で30分間攪拌した。ヨウ化メチル(6.05mL、86.6mmol)を添加し、混合物を室温で12時間攪拌した。混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(3x100mL)で抽出し、有機層を塩化リチウム溶液(5%w/w)及び塩水で洗浄した。次に、溶媒を真空中で除去し、粗生成物を無水エタノール中で再結晶させて、所望の生成物(9.50g、85%)を無色の結晶性固体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 8.12(s,1H),8.02(s,1H),3.95(s,3H);
13C NMR(75MHz,CDCl
3):δ 135.78,135.67,129.2,40.1;LRMS(+ESI)m/z:128[M+H]
+.
【0355】
ステップ2
1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(4.5g、35.41mmol)及びヘキサクロロエタン(8.38g、35.41mmol)を無水CH2Cl2(70mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。次に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミン溶液(THF中1M、53.1mL、51.31mmol)を滴下し、混合物を6時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(100mL)でクエンチし、CH2Cl2(3x150mL)で抽出し、得られた有機層を飽和NaHCO3水及び塩水で洗浄した。次に、抽出物をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。次に、フラッシュカラムクロマトグラフィ(EtOAc ヘキサン中0~30%)により粗生成物を精製して、所望の生成物(5.73g、86%)を無色の結晶性固体として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ 3.90(s,3H),8.15(s,1H);13C NMR(75MHz,DMSO-d6):136.6,130.1,77.1,37.6;LRMS(+ESI)m/z:184[M+Na]+.
【0356】
ステップ3
カリウムtert-ブトキシド(4.76g、49.52mmol)を、シアノ酢酸エチル(5.27mL、49.52mmol)と共に無水1,4-ジオキサン(100mL)中で30分間攪拌した。次に、5-クロロ-1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール(5.0g、24.76mmol)を窒素流の中で反応混合物に添加し、還流で18時間加熱した。次に、反応生成物を水(200mL)で希釈し、水層をNaOH水(10M)で(pH=10)に調整した。水層をCH2Cl2で洗浄して、過剰のシアノ酢酸エチルを除去した。次に、HCl水(10M)の滴下により水層を酸性化し(pH=1)、CH2Cl2(3x100mL)で抽出した。次に、抽出物を酸性化した塩水(pH=1)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して、所望の生成物(6.30g、95%)を赤色オイルとして得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 8.15(s,1H),6.15(s,1H),4.36(qd,J=7.2,1.8Hz,2H),4.02(s,3H),1.34(t,J=7.1,3H);13C NMR(75MHz,DMSO-d6):161.4,136.3,133.4,129.7,111.7,65.0,39.0,33.2,14.0;LRMS(-ESI)m/z:237[M]-.
【0357】
ステップ4
2-シアノ-2-(1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-イル)酢酸エチル(7.9g、33.16mmol)を氷酢酸(80mL)中に溶解させ、60℃に加熱した。次に、ガスの蓄積を最小限にするために激しく攪拌して、亜鉛粉末(21.7g、331mmol)をフラスコにゆっくり添加し、温度を2時間、90℃まで上昇させた。次に、混合物をセライト(登録商標)によりろ過して、不溶性の亜鉛種を除去し、氷酢酸(400mL)で洗浄した。窒素流により酢酸を除去し、得られた茶色オイルを飽和NaHCO3水(100mL)で処理して、環化生成物を沈殿させた。真空ろ過により沈殿物を集め、氷冷水で洗浄して、所望の生成物(3.59g、46%)をくすんだ茶色~ベージュの粉末として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ 10.05(s,1H),6.99(s,1H),6.40(s,2H),4.18(q,J=7.1Hz,2H),3.96(s,3H),1.28(t,J=7.2Hz,3H);13C NMR(75MHz,DMSO-d6):δ 164.3,155.3,120.3,118.6,78.6,58.4,38.0,14.5ppm.LRMS(-ESI)m/z:207[M]-.
【0358】
ステップ5
5-アミノ-1-メチル-1,4-ジヒドロピロロ[3,2-c]ピラゾール-6-カルボン酸エチル(500mg、2.40mmol)を、密封圧力菅中で、NaOMe(MeOH中25w%、1.1mL、4.80mmol)及びホルムアミド(0.76mL、19.23mmol)と共に90℃で48時間攪拌した。次に、HCl水(10M)の滴下により混合物を中和し(pH=7)、環化生成物を沈殿させた。懸濁液を水(400mL)で希釈し、真空ろ過により沈殿物を集めた。沈殿物を氷冷水で洗浄して、所望の生成物(191mg、42%)をくすんだ茶色の粉末として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ 12.36-11.49(m,2H),7.98(s,1H),7.46(s,1H),4.16(s,3H)ppm.13C NMR(75MHz,DMSO-d6):157.0,154.5,145.6,131.9,125.1,119.8,92.8,39.5,38.2ppm.LRMS(-ESI)m/z:188[M]-.
【0359】
ステップ6
1-メチル-4,7-ジヒドロピラゾロ[3’,4’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-8(1H)-オン(100mg、0.53mmol)、N,N-ジメチルアニリン(0.073mL、0.58mmol)及び塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(25mg、1.06mmol)をMeCN(1.00mL)中に溶解させ、15分間攪拌させた。混合物を0℃に冷却し、POCl3(0.30mL、3.17mmol)を滴下した。次に、反応混合物を90℃に90分間加熱し、出発材料が消費されたら、溶媒を窒素流中で除去した。次に、混合物を氷冷水(25mL)で希釈し、飽和NH3水の滴下によりpH=6に調整して、塩素化生成物を沈殿させた。次に、真空ろ過により沈殿物を集め、氷冷水で洗浄して、所望の生成物(57mg、52%)を黄色の粉末として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ 12.40(s,1H),8.71(s,1H),7.75(s,1H),4.36(s,3H).13C NMR(75MHz,CDCl3):157.2,151.9,147.9,129.9,126.3,119.9,103.5,39.7,39.5 ppm.LRMS(-ESI)m/z:206/207[M]-.
【0360】
一般的なアミド形成
実施例1.1に記載されるものと均等な条件をアミド形成のために使用した。
【0361】
実施例1.10 - 化合物34及び37の合成
化合物34及び37は、実施例1.9に記載される一般的合成に従って調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
【0362】
化合物34
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 8.64(s,1H),7.81-7.75(m,2H),7.70-7.65(m,1H),7.64(s,1H),7.53(t,J=7.8Hz,2H),4.44(s,3H);13C NMR(126MHz,CDCl3):δ 166.6,157.4,152.9,149.9,133.5,133.0,129.8,128.3,127.3,108.3,40.3.LRMS(+ESI)m/z:334[M+Na]+.HRMS(ESI+)m/z:C15H10ClN5NaO[M+Na]+の計算値:334.04661;実測値334.04619。HPLC:97.8%,RT:23.0min。
【0363】
化合物37
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 8.83(s,1H),8.01(s,1H),4.42(s,3H),4.21(tt,J=11.4,3.3Hz,1H),2.10-2.02(m,2H),1.88(dp,J=10.6,3.4Hz,2H),1.84-1.75(m,1H),1.64(qd,J=12.6,3.3Hz,2H),1.50(dt,J=12.8,3.4Hz,2H),1.34(qt,J=12.8,3.7Hz,1H);13C NMR(126MHz,CDCl3):δ 174.4,156.3,152.8,149.8,129.3,126.9,125.1,108.4,44.1,40.3,29.1,25.8,25.5;LRMS(+ESI)m/z:340[M+Na]+.HRMS(ESI+)m/z:C15H16ClN5NaO [M+Na]+の計算値:340.09356;実測値340.09319。HPLC:97.4%,RT:28.8min。
【0364】
実施例1.11 - 一般的合成E
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、NCH3であり、Z2及びZ3は、CHである)は、以下のスキーム6に示される手順に従って調製され得る。
【0365】
スキーム6.A
1、A
2、A
3及びA
4がCHであり、Z
1がNCH
3であり、Z
2及びZ
3がCHである式(I)の化合物の一般的合成
【化25】
ステップ1
アセトニトリル(90mL)中の1-ブロモ-2-ニトロベンゼン(2.53g、12.5mmol)、1-メチル-1H-ピロール(6.66mL、75.0mmol)、Cs
2CO
3(7.23g、37.5mmol)の磁気的に攪拌する溶液を90℃に21時間加熱した。混合物を冷却し、真空中で濃縮した。粗混合物を水(100mL)と酢酸エチル(100mL)との間で分配させた。分離した水層をさらに酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル;3:97v/vの酢酸エチル-ヘキサン)により粗生成物を精製して、所望の化合物(1.27g、50%)をオレンジの結晶性固体として得た:
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ 7.94(d,J=8.1Hz,1H),7.62(t,J=7.4Hz,1H),7.56-7.45(m,2H),6.75(s,1H),6.18(d,J=16.3Hz,2H),3.44(s,3H);LRMSm/z203[M+H]
+.
【0366】
ステップ2
N,N-ジメチルアセトアミド(4mL)中の1-メチル-2-(2-ニトロフェニル)-1H-ピロール(270mg、1.34mmol)及びPPh3(1.05g、4.00mmol)の磁気的に攪拌する溶液を180℃に20時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(50mL)と酢酸エチル(20mL)との間で分配させた。分離した水層をさらに酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、無水MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル;1:24v/vの酢酸エチル-ヘキサン;1:99~2:8v/vのジクロロメタン-ヘキサン勾配)により粗混合物を精製して、所望の化合物(98mg、43%)が黄色の結晶性固体として得られ、これを直ちにアミドカップリング条件にさらした。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.69(d,J=7.4Hz,1H),7.51(s,1H),7.36(d,J=7.8Hz,1H),7.12(p,J=7.0Hz,2H),6.73(d,J=3.0Hz,1H),6.05(d,J=2.6Hz,1H),4.00(s,3H);LRMSm/z171[M+H]+.
【0367】
一般的なアミド形成
実施例1.1に記載されるものと均等な条件をアミド形成のために使用した。
【0368】
実施例1.12 - 化合物35の合成
化合物35は、実施例1.11に記載される一般的合成に従って調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
1H NMR(300MHz,DMSO)δ 8.53(d,J=7.5Hz,1H),7.76(d,J=8.4Hz,1H),7.34-7.16(m,2H),7.04(d,J=2.9Hz,1H),6.21(d,J=3.0Hz,1H),3.97(s,3H),3.21-3.07(m,1H),2.03-1.17(m,10H);13C NMR(75MHz,DMSO)δ 174.5,139.3,128.5,126.8,123.4,123.2,123.0,119.8,117.5,116.1,95.0,43.2,34.9,28.6,25.5,25.0;HRMS(+ESI)m/z C18H20N2NaO[M+Na]+の計算値,303.14678;実測値303.14684;HPLC:100.0%,RT:30.4min。
【0369】
実施例1.13 - 一般的合成F
式(I)の化合物(式中、A1、A2、A3及びA4は、CHであり、Z1は、Oであり、Z2及びZ3は、CHである)は、以下のスキーム7に示される手順に従って調製され得る。
【0370】
スキーム7.A
1、A
2、A
3及びA
4がCHであり、Z
1がOであり、Z
2及びZ
3がCHである式(I)の化合物の一般的合成
【化26】
ステップ1
N,N-ジメチルアセトアミド(6mL)中の2-(2-ニトロフェニル)フラン(300mg、1.47mmol)の溶液をPPh
3(1.16g、4.41mmol)で処理してから、180℃に20時加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(50mL)と酢酸エチル(20mL)との間で分配させた。分離した水層をさらに酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、無水MgSO
4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル;1:9v/vの酢酸エチル-ヘキサン)により粗混合物を精製して、所望の生成物(166mg、72%)を白色固体として得た。
【0371】
一般的なアミド形成
実施例1.1に記載されるものと均等な条件をアミド形成のために使用した。
【0372】
実施例1.14 - 化合物44の合成
化合物44は、実施例1.13に記載される一般的合成に従って調製した。特徴付けデータは、実施例1.2に記載されるように取得した。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.82-7.68(m,1H),7.64(s,1H),7.55(d,J=2.1Hz,1H),7.46-7.36(m,1H),7.24-7.13(m,2H),6.59(d,J=2.1Hz,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 145.9,142.6,140.1,130.1,121.8,120.0,116.4,114.7,112.3,99.5.
【0373】
実施例1.15 - 置換された化合物の合成
化合物39及び40は、実施例1.1に記載されるものと類似の方法に従って調製し、実施例1.2に記載されるように特徴付けた。
【0374】
化合物39.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.65(t,J=7.1Hz,1H),7.42(d,J=1.7Hz,1H),7.33(dt,J=8.2,2.9Hz,1H),7.12(tt,J=9.2,2.5Hz,1H),4.17(s,3H),2.98(ddt,J=14.5,11.5,2.9Hz,1H),2.14-2.01(m,2H),1.93(dt,J=12.4,3.1Hz,2H),1.86-1.76(m,1H),1.67(qd,J=12.3,3.3Hz,2H),1.54-1.28(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 174.5,159.5(d,J=242.2Hz),139.2,134.2,129.6,131.9(d,J=343.1Hz),122.8,120.2(d,J=8.7Hz),117.6(d,J=9.9Hz),114.0(d,J=23.9Hz),104.3(d,J=25.5Hz),44.7,38.3,29.0,25.9,25.9;19F NMR(282MHz,CDCl3)δ-118.06;HPLC:98.96%,RT:28.41min.
【0375】
化合物40.
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.74-8.22(m,1H),7.60(dd,J=8.6,5.3Hz,1H),7.41(s,1H),7.08(td,J=8.7,2.4Hz,1H),4.18(s,3H),3.11-2.91(m,1H),2.16-2.01(m,2H),2.01-1.90(m,2H),1.90-1.76(m,1H),1.67(qd,J=12.4,3.0Hz,2H),1.56-1.26(m,3H).;13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 174.7,161.8(d,J=243.7Hz),143.4(d,J=12.7Hz),134.3,128.9,122.6,118.4(d,J=10.2Hz),113.6(d,J=2.2Hz),111.6(d,J=24.5Hz),106.9(d,J=29.2Hz)44.7,38.3,28.9,25.8,25.8;19F NMR(282MHz,CDCl3)δ-112.72;HPLC:99.18%,RT:28.66min.
【0376】
化合物41.
化合物41は、以下のように調製した。
【0377】
DMSO(20mL)中の1H-インドール-2-カルバルデヒド(363mg、2.50mmol)をLiOH(120mg、5.00mmol)で処理してから、ヨウ素(634mg、2.50mmol)で処理し、60℃で15分間攪拌した。フェニルヒドラジン(246μL、2.50mmol)及び次にLiOH(179mg、7.50mmol)を添加し、反応混合物を60℃でさらに15分間攪拌した。次に、CuI(48mg、0.25mol)及びL-プロリン(58mg、0.50mol)を茶色の反応溶液に添加し、得られた混合物を90℃で90分間加熱した。混合物をNH4Cl(100mLの飽和水溶液)と酢酸エチル(100mL)との間で分配させた。相を分離し、水相を酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル;1:9v/vの酢酸エチル-ヘキサン)により茶色の油性残渣を精製して、1-フェニル-1,4-ジヒドロピラゾロ[4,3-b]インドール(322mg、55%)をオフホワイトの固体として得た。
【0378】
1-フェニル-1,4-ジヒドロピラゾロ[4,3-b]インドールを、実施例1.1に記載される一般的なアミド合成条件にさらして、化合物41を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 8.74(d,J=8.5Hz,1H),7.89-7.78(m,2H),7.79-7.76(m,1H),7.75-7.69(m,1H),7.64-7.54(m,2H),7.51-7.38(m,2H),7.30(td,J=7.5,1.1Hz,1H),3.11(tt,J=11.5,3.3Hz,1H),2.21-2.07(m,2H),2.01-1.94(m,2H),1.88-1.65(m,3H),1.59-1.28(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 174.7,143.2,140.2,133.6,129.9,129.7,127.8,127.4,125.4,123.8,122.3,119.0,118.9,117.1,44.9,29.1,25.9,25.9;HPLC:95.31%,RT:33.01min.
【0379】
実施例2 - OTRの調節
Flp-In TREXシステム(Invitrogen)を用いて、化合物1~7、10、12~14、16、23、29、31~33、35、37及び42~43が、OTRが安定的にトランスフェクトされたHEK細胞においてオキシトシンにより刺激される細胞内IP1及びCa2+の増大を調節する能力を調べた。これらのアッセイは、製造業者のプロトコルに従い、市販のキット(CisbioからのIP1 HTRF及びInvitrogenからのFluo-4AM)を用いて実施した。
【0380】
10μMの化合物の存在下及び非存在下で、用量反応濃度範囲のオキシトシンに細胞を曝露して、オキシトシン用量反応曲線の左方向へのシフトを誘導する化合物を特定した。化合物1~6は、8つの群、すなわち化合物1~3(以下の表2の結果)、化合物4~6(以下の表3の結果)、化合物12、13及び23(以下の表4の結果)、化合物31~33(以下の表5の結果)、化合物42~43(以下の表6の結果)、化合物7、10、14、16、37(以下の表7の結果)、化合物29(以下の表8の結果)並びに化合物35(以下の表9の結果)において試験した。
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
【0385】
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
実施例3 - OTRのアロステリック調節パラメータ
種々の濃度の化合物3の存在下でOTによって誘導されるカルシウム(Ca
2+)流入を、実施例2に記載されるHEKアッセイで測定した。このアッセイは、用量反応を決定するために、6つの異なる濃度の化合物3(0、0.01、0.03、0.3、1及び10μM)を用いて実施した。結果は、表10及び
図3に示される。
【0390】
【0391】
これらの結果は、本発明の化合物が、用量依存的にOTの活性をプラス方向に調節できることを示す。
【0392】
実施例4 - 化合物1、2及び3によるトリチウム化OT置換
Eur J Med Chem 143:1644-1656に記載される方法に従って、化合物1、2及び3が、Kd濃度の3H-OTの結合を置換する能力も調べた。化合物1、2又は3は、いずれも10μMまでの濃度の3H-OTを置換しなかったことから、作用機序は、OTRにおけるアロステリック部位への結合によって媒介されることが示唆される。
【0393】
本開示の広範な一般的趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対する多数の変化形態及び/又は修正形態がなされ得ることが当業者により認識されるであろう。したがって、本発明の実施形態は、全ての点で説明的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。
【国際調査報告】