IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローバル・ハイドロジェン・ベンチャーズ・ピイティワイ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図1
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図2
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図3
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図4
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図5
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図6
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図7
  • 特表-ガスの貯蔵及び輸送のための装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(54)【発明の名称】ガスの貯蔵及び輸送のための装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20231208BHJP
【FI】
B63B25/16 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558916
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 CA2021051791
(87)【国際公開番号】W WO2022120500
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,325
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523222954
【氏名又は名称】グローバル・ハイドロジェン・ベンチャーズ・ピイティワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック,パトリック・ジョン
(57)【要約】
船こくと、船こく内に長手方向に受け入れられるタンクとを有するガス輸送船、及び船こく内にタンクを建造する方法。船は、水素又は他のガス及び液体等の流体を輸送するように設計される。タンクは、隣接層に接続されていない複数の層を有する。タンクは、上部及び底部で船に接触する。上部接続、例えば、甲板構造体への接続は、沈下を防止するようにタンクを支持する。タンクは、実質的に船の長さであり、前方隔壁と後方隔壁との間に位置し得る。2つのタンクは、互いに隣接して、長手方向隔壁によって隔てて置くことができる。各層は、複数の円錐台区分から建造される前方端部キャップと後方端部キャップとを有する。膨張を可能にするようにタンクの両側に空間が設けられる。タンクは、船構造体と一体であり、これにより、更なる強度を船にもたらす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体輸送船であって、前記流体輸送船は、
船こくと、
前記船こく内で長手方向に受け入れられるタンクであって、前記タンクは、複数の層を有し、前記複数の層は、外側層を備える、タンクと、
前記タンクの上の船構造体と
を備え、前記タンクの前記外側層は、前記船構造体によって支持される、流体輸送船。
【請求項2】
前記船構造体は、甲板を支持する、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項3】
前記船こく内の前方隔壁と、
前記船こく内の後方隔壁と
を更に備え、前記タンクは、前記前方隔壁と前記後方隔壁との間にある、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項4】
前記船こく内の長手方向隔壁であって、前記長手方向隔壁は、前記船こくを左舷船倉及び右舷船倉に隔てる、長手方向隔壁と、
前記左舷船倉及び前記右舷船倉の一方の中の第2のタンクと
を更に備え、前記タンクは、前記第2のタンクによって占有されない前記左舷船倉及び前記右舷船倉の一方の中にある、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項5】
前記複数の層は、両端を含む3層から10層の間のいくつかの層を備える、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項6】
前記複数の層は、内側層を更に備え、
前記内側層は、脆化に抵抗する材料から構成される、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項7】
前記複数の層は、内側層を備え、
前記内側層は、腐食に抵抗する材料から構成される、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項8】
前記複数の層は、内側層と、前記内側層と前記外側層との間の中間層とを更に備え、前記中間層は、前記タンクに更なる強度をもたらす、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項9】
前記複数の層の各層は、前方端部キャップと、後方端部キャップとを有し、
前記層のそれぞれの前記前方端部キャップ及び前記後方端部キャップは、複数の円錐台区分から建造される、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項10】
前記円錐台区分は、単一湾曲部を画定する、請求項9に記載の流体輸送船。
【請求項11】
前記複数の層の少なくとも1つの層は、前方端部と、後方端部と、上側半円筒形区間と、下側半円筒形区分とを有する本体区間を有し、前記上側半円筒形区分及び前記下側半円筒形区分は、左舷本体シーム溶接部及び右舷本体シーム溶接部で互いに固着され、
前方端部キャップは、前記本体区間の前記前方端部に隣接し、
後方端部キャップは、前記本体区間の前記後方端部に隣接する、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項12】
前記タンクの前記外側層は、上部と、底部と、左舷側と、右舷側とを有し、
前記タンクの前記上部は、船構造体に接触し、
前記タンクの前記底部は、船構造体に接触し、
前記タンクの膨張に適応するように、前記左舷側と前記船構造体との間、及び前記右舷側と前記船構造体との間に空間が設けられる、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項13】
前記タンクの前記複数の層のそれぞれは、前記タンクの隣接層に接続されていない、請求項1に記載の流体輸送船。
【請求項14】
流体搬送船であって、前記流体搬送船は、
船こくと、
前記船こく内で長手方向に受け入れられるタンクであって、前記タンクは、複数の層を有し、前記複数の層は、外側層を備える、タンクと
を備え、前記タンクの前記複数の層の各層は、複数の円錐台区間から建造される端部キャップを有する、流体搬送船。
【請求項15】
前記船は、前記タンクの上に構造体を含み、
前記タンクの前記外側層は、前記構造体によって支持される、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項16】
前記構造体は、甲板を支持する、請求項15に記載の流体輸送船。
【請求項17】
前記船こく内の前方隔壁と、
前記船こく内の後方隔壁と、
を更に備え、前記タンクは、前記前方隔壁と前記後方隔壁との間にある、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項18】
前記船こく内の長手方向隔壁であって、前記長手方向隔壁は、前記船こくを左舷船倉及び右舷船倉に隔てる、長手方向隔壁と、
前記左舷船倉及び前記右舷船倉の一方の中の第2のタンクと
を更に備え、前記タンクは、前記第2のタンクによって占有されない前記左舷船倉及び前記右舷船倉の一方の中にある、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項19】
前記複数の層は、両端を含む3層から10層の間のいくつかの層を備える、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項20】
前記複数の層は、内側層を更に備え、
前記内側層は、脆化に抵抗する材料から構成される、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項21】
前記複数の層は、内側層を更に備え、
前記内側層は、腐食に抵抗する材料から構成される、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項22】
前記複数の層は、内側層と、前記内側層と前記外側層との間の中間層とを更に備え、前記中間層は、前記タンクに更なる強度をもたらす、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項23】
前記円錐台区間は、単一湾曲部を画定する、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項24】
前記複数の層の少なくとも1つの層は、前方端部と、後方端部と、上側半円筒形区間と、下側半円筒形区間とを有する本体区間を有し、前記上側半円筒形区間及び前記下側半円筒形区間は、左舷本体シーム溶接部及び右舷本体シーム溶接部で互いに固着され、
前方端部キャップは、前記本体区間の前記前方端部に隣接し、
後方端部キャップは、前記本体区間の前記後方端部に隣接する、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項25】
前記タンクの前記外側層は、上部と、底部と、左舷側と、右舷側とを有し、
前記外側層の前記上部は、船構造体に接触し、
前記外側層の前記底部は、船構造体に接触し、
前記タンクの膨張に適応するように、前記左舷側と前記船構造体との間、及び前記右舷側と前記船構造体との間に空間が設けられる、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項26】
前記タンクの前記複数の層のそれぞれは、前記タンクの隣接層に接続されていない、請求項14に記載の流体輸送船。
【請求項27】
船の船こく内に複数の層のタンクを建造する方法であって、前記方法は、
前記船こく内に半円筒形外側下区分を設置し、前記外側下区分を前記船こくに固着するステップと、
前記外側下区分内に1つ又は複数の半円筒形下区分を設置するステップであって、前記半円筒形下区分は、内側下区分を備える、ステップと、
前記内側下区分上に半円筒形内側上区分を設置し、両側で前記内側上区分を前記内側下区分に溶接し、内側円筒体を形成するステップと、
1つ又は複数の半円筒形上区分を設置し、前記半円筒形下区分の相対物と対合させ、両側で各対合する対を溶接し、複数の入れ子円筒体を形成するステップと、
前記複数の入れ子円筒体のそれぞれに端部キャップを設置し、複数の入れ子タンクを形成するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
流体輸送船を補強する方法であって、前記方法は、
船の船こく内に複数の層のタンクを長手方向に配置するステップであって、前記複数の層のタンクは、上部及び底部を有する外側層を有する、ステップと、
前記複数の層のタンクの下の船構造体に前記外側層の前記底部を固定するステップと、
前記複数の層のタンクの上の船構造体に前記外側層の前記上部を固定するステップと
を含み、前記固定ステップは、前記複数の層のタンクを前記船構造体と一体化し、前記複数の層のタンクが前記船の一構造要素になることを可能にし、これにより、前記船に強度を追加する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月11日出願、「APPARATUS FOR GAS STORAGE AND TRANSPORT」という名称の米国仮特許出願第63/124,325号の優先権を主張するものであり、当該出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、船又ははしけによって輸送される流体、即ち水素及び天然ガス等のガス及び液体を貯蔵、輸送する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水素は、二酸化炭素の放出を低減するための重要な燃料になりつつある。水素が要求されている場所よりも、かなり低価格で水素を生成し得る場所がある。例えば、オーストラリアは、日本よりも低価格で水素を生成し得る。この、水域による低価格供給と需要との隔たりにより、水素を輸送可能な船が必要になる。海路での水素の大規模輸送は、ちょうど、船による天然ガスの輸送が既存の天然ガス・エコシステムの大部分であるように、将来の水素エコシステムの重要な部分であろう。
【0004】
水域を横断して天然ガスを輸送する公知の方法があり、これらの方法には、例えば、海中パイプラインを通じたもの、液化天然ガスのようなLNG船によるもの、又は圧縮天然ガス(CNG)のようなCNG船によるものを含む。ガスをガス水和物又はディーゼル様液体(GTL)に転換する、及び水和物又はGTLを船で輸送する等、他の公知の手段がある。現在、水域を横断するほぼ全ての天然ガスの輸送は、海中パイプライン又はLNG船のいずれかによって行われている。
【0005】
水素は、大規模な船輸送の場合、いくつかの固有の問題を呈する。水素は、極端に軽く、船輸送のために密度を増大させるための液化又は圧縮のいずれかを必要とする。液化には、水素を摂氏約-253度まで冷却する必要がある。この温度は、天然ガスの液化に必要な温度よりかなり冷たく、絶対ゼロ度(-273℃)に近い。この極低温は、費用のかかる液化工程及び費用のかかる収容システムを必要とする。水素圧縮は周知であり、大部分の水素は、液化ではなく圧縮ガスとして輸送される。圧縮水素のコンテナは、典型的には、鉄鋼又は複合材のいずれかである。鉄鋼コンテナは、比較的、複合材コンテナほど高額ではないが、複合材コンテナより著しく重い。道路輸送の場合、コンテナの重量は、決定的に重要であるが、船輸送の場合、鉄鋼の重量による損失は、それほど決定的ではない。鉄鋼を使用した圧縮水素の船輸送に関する主な問題の1つは、水素分子が鉄鋼構造体に入れるほど小さく、経時的に鉄鋼の延性を劣化させることである。この過程は、脆化として公知である。応力を低く保つ、又は水素脆化に耐性のある材料で鉄鋼を裏打ちする等、確立された脆化防止方法がある。
【0006】
トラックによる圧縮水素及び液化水素の地上輸送は、周知である。主に、専用の水素燃料商業車群のための既存の水素燃料ステーションがある。船による水素の大規模輸送は、いまだ確立されていないが、新興産業である。
【0007】
海路で圧縮水素を船輸送する大きな障害の1つは、船又ははしけでの輸送に適している適切な水素収容システムの費用である。したがって、圧縮水素(C-H2)船又ははしけの費用全体を低減するように、大量の水素を収容し、船及びはしけ上又は船及びはしけ内への設置に特に適している圧縮水素貯蔵システムの設計に対して継続したニーズがある。本発明の一目的は、圧縮水素及び他のガスを運搬するように設計された船又ははしけの費用を低減することである。
【0008】
費用対効果の高い水素運搬船は、大量の圧縮水素の船輸送に対する経済的な実現可能性を大幅に向上させるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に、非液化圧縮水素の海上ガス輸送に関するが、他のガスの輸送に使用し得る。本発明は、天然ガス、水素等の高純度ガス、又は液体であるより重い炭化水素と、天然リッチガスとの組合せ等の液体とガスとの組合せを運搬可能である。本発明は、オイルと天然ガスとの組合せ、例えば井戸流体等、液体とガスとの組合せも運搬し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態では、本出願の発明は、船又ははしけの船倉により収容される大規模貯蔵タンク(複数可)を具体化する。好ましい貯蔵システムは、ガスと液体との混合物を含む大量の圧縮流体の輸送に特に適合する。腐食性流体及びガス状水素による脆化から保護するのに必要な内面を最小化するように圧縮流体を大型タンク内に貯蔵することは、有益である。高圧流体の貯蔵のために使用されるタンクの壁は、タンクのサイズが増大するにつれて、厚さを増大しなければならない。また、大型の厚い壁のタンクは、船又ははしけの船こく内に支持、収容する必要がある。大型で重いタンクをはしけ又は船の上甲板上に取り付けるのは、安定性の問題を生じさせることがある。というのは、甲板に取り付けられた重いタンクは、システムの重心を上昇させるためである。したがって、本発明は、カーゴ・タンクを船又ははしけの船こく内に封入することを考慮する。高圧タンクは、典型的には、円筒体が同じ体積寸法の正方形又は長方形よりも最大応力が少ないため、断面が円筒形である。
【0011】
船内で最大限の円筒形タンクは、船の寸法によって拘束される。最大限のタンクを船のカーゴ領域内に収容可能にするため、横断隔壁はなくてよい。一枚の鋼板からそのような大きな直径の円筒体を建造するには、生成及び円筒形状への屈曲が非常に困難である板厚さを必要とする。したがって、解決しなければならない2つの主要な技術的問題は、
1.接続されていない薄板を使用して、かなり厚い壁のタンクをどのように設計、建造するか
2.加圧によって生じるタンクの膨張により船構造体に損害を与えないように、かなり重い大型タンク(複数可)をどのように効率的に船構造体内で支持するか
ということに関する。
【0012】
本出願の発明は、これらの技術的問題のそれぞれを新規な様式で解決する。以下、説明は、圧縮水素を搬送する船の適用例に焦点を当てる。しかし、本発明は、他のガス又はガスと液体との混合物の搬送にも採用し得る。本発明のタンクは、はしけ又は他の浮く構造体の船倉内でも展開し得る。
【0013】
好ましい実施形態では、船のカーゴ領域は、二重壁の長手方向隔壁によって隔てられる2つの細長いカーゴ領域に分割される。カーゴ領域内に横断隔壁はない。2つのカーゴ船倉のそれぞれに位置する1つの大きなカーゴ・タンクがある。別の実施形態では、単一のタンクは、単一船倉を画定する船こく内に収容される。
【0014】
タンクは、いくつかの非接続層、例えば、3から10個の層から建造される。本発明では、層の間に100%の金属-金属接触を保証する必要はない。層が、表面の大部分にわたり接触することだけが重要である。単に板を重ね合わせて置くことによって達成される接触量は、全ての層の応力が許容限界内にあることを保証するのに十分である。本出願の発明は、建造工程をかなり簡略化し、可塑-弾性材料特性に依拠し、全ての層が、内圧によって生じる応力に抵抗するように一緒に働くことを保証する。
【0015】
複数の個別層から作製されるタンクの1つの著しい更なる利点は、亀裂が1つの層内に生成された場合であっても、亀裂が隣接層を通じて自然に進行しないことである。このことは、単一の厚さの壁の同じサイズのタンクと比較してタンクの安全性を大幅に改善する。
【0016】
最内層は、水素脆化又は他のガスによって生じる腐食に抵抗するように設計される。この内側層の材料特性は、カーゴ・タンク内に収容される流体によって決定される。後続層は、建造可能性及び製造能力に基づき設計される。一例では、提案されるカーゴは水素である。したがって、例示的な第1の最内層は、水素脆化に抵抗可能なステンレス鋼、アルミニウム又はプラスチック層である。後続層は、高強度炭素鋼から作製し得る。
【0017】
そのような一連の入れ子の薄層を有する大型タンクを建造する際の1つの深刻な技術的問題は、これらの層が自重によって沈下する可能性があることである。一実施形態では、板の沈下は、船の上甲板ガーダ等の船の構造体に最外層を溶接することによって防止される。この溶接は、最外層を支持し、最外層の沈下を防止する。上層は沈下しないので、内側層は、変形、沈下することがない。というのは、内側層は、外側層内に入れ子になっており、外側層の形状は制限されているため、即ち、外側層が上甲板に取り付けられることによって沈下が防止されているためである。
【0018】
別の技術的問題は、タンクが加圧中に膨張した際にタンクが船こくに損害を与えないようにすることである。この問題を防止するため、間隙を船の船側外板とタンクとの間に残す。
【0019】
別の技術的問題は、容易に建造し得るタンクの端部又は頭部を開発することである。典型的には、圧力円筒体の頭部は、球状又は半球状のいずれかである。大きな直径のタンクの場合、そのような頭部の建造は、困難で、高額となるであろう。この問題を克服するため、タンクの端部又は頭部は、円錐区分により建造され、これにより、複数の層内で単一湾曲板を使用する端部又は頭部の建造を可能にする。このことは、建造を簡略化し、費用を低減する。
【0020】
以下で説明する好ましい実施形態は、カーゴ船倉を有する船であり、カーゴ船倉は、長手方向隔壁によって、左舷カーゴ区分及び右舷カーゴ区分に隔てられ、各カーゴ区分が単一のタンクを有する。より小型の船又ははしけの場合、単一カーゴ船倉が、長手方向隔壁によって隔てられず、1つのタンクがカーゴ船倉で収容されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】タンクを収容する船の概略側面図である。
図2】並んでいるタンクを示す、図1の船の概略上平面図である。
図3図2の線3-3に沿って取った、図1及び図2の船及びタンクの断面図である。
図4図1のタンクの前方端部の拡大側面図である。
図5】各層における溶接部を示す、図3の細部5で取った図1図4のタンクの壁の拡大側面図である。
図6図3の拡大代替断面図であり、タンクの上層は、甲板構造体に接続される。
図7】タンクの各側と船構造体との間の膨張空間を示す、図3の拡大代替断面図である。
図8】タンクが、甲板構造体とは別個の船構造体によって支持される一実施形態を示す、図3の拡大代替断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照すると、ガス輸送船10が示される。ガス輸送船10は、船こく20を含む船構造体から構成される。船こく20は、船底外板部分22と、右舷外板部分24と、左舷外板部分26とを含む。上甲板28は、右舷外板部分24と左舷外板部分26との間に広がる。前方隔壁30は、船こく20内に位置し、後方隔壁32は、船こく20内に位置する。
【0023】
船こく20は、長手方向隔壁34によって長さ方向に分割し得る。長手方向隔壁34は、左舷船倉36及び右舷船倉38を隔てる。左舷船倉36及び右舷船倉38は、前方隔壁30と後方隔壁32との間に位置する。右舷タンク40は、右舷船倉38に位置する。右舷タンク40は、複数の層から構成される。一実施形態では、右舷タンク40は、6つの層、即ち、外側層42、第2の層44、第3の層46、第4の層48、第5の層50、第6の層52、及びライナ層54から建造され(例えば図5を参照)、層42、44、46、48、50、52及び54のそれぞれは、以下の区間から構成される。他の数の層、例えば、3から10個の層を設けてよい。
【0024】
層42、44、46、48、50、52及び54のそれぞれは、本体区間40を含む(例えば、図4を参照)。本体区間60は、前方端部62と後方端部64とを有する。本体区間60は、上側半円筒形部分66及び下側半円筒形部分68から構成される。上側半円筒形部分66及び下側半円筒形部分68は、左舷本体シーム溶接部70及び右舷本体シーム溶接部72により互いに固着される。
【0025】
前方端部キャップ74は、本体区間60の前方端部62に固着される。前方端部キャップ74は、以下の円錐台区間及びキャップから構成される。ドーム構造等の他の構造も可能である。
【0026】
次に、図4を参照すると、層42、44、46、48、50、52、54のそれぞれは、第1の円錐台区分80を有し、第1の円錐台区分80は、第1の前方左舷シーム溶接部(図4では見えない)及び第1の前方右舷シーム溶接部88を介して互いに接続される上側部分82と下側部分84とを有する。上側部分82及び下側部分84は、好ましくは、建造の容易さを促進するように、円錐台の単一湾曲層である。第1の前方円錐台区間は、前方縁部90と後方縁部92とを有する。後方縁部92は、第1の前方円周溶接部94によって本体区間60の前方端部62に固着される。
【0027】
層42、44、46、48、50、52、54のそれぞれは、第2の前方円錐台区間100を画定し、第2の前方円錐台区間100は、第2の前方左舷シーム溶接部106及び第2の前方右舷シーム溶接部108を介して互いに接続される上側部分102と下側部分104とを有する。上側部分102及び下側部分104は、好ましくは、建造の容易さを促進するように、円錐台の単一湾曲層である。第2の前方円錐台区間100は、前方縁部110と後方縁部112とを有する。第2の前方円錐台区間100の後方縁部112は、第2の前方円周溶接部114を介して第1の円錐台区間80の前方縁部90に固着される。
【0028】
層42、44、46、48、50、52、54のそれぞれは、第3の前方円錐台区間120を有し、第3の前方円錐台区間120は、第3の前方左舷シーム溶接部126及び第3の前方右舷シーム溶接部128を介して互いに接続される上側部分122と下側部分124とを有する。上側部分122及び下側部分124は、好ましくは、建造の容易さを促進するように、円錐台の単一湾曲層である。第3の前方円錐台区間120は、前方縁部130と後方縁部132とを有する。第3の前方円錐台区間120の後方縁部132は、第3の前方円周溶接部134を介して第2の円錐台区間100の前方縁部110に固着される。
【0029】
層42、44、46、48、50、52、54のそれぞれは、前板140を画定し、前板140は、第4の円周溶接部142により第3の前方円錐台区間120の前方縁部130に固着される。
【0030】
後方端部キャップ(図4では見えない)は、本体60の後方端部64に固着される。後方端部キャップは、好ましくは、複数の層の円錐台区間、及び上記した前方端部キャップ74と同様の端部キャップから構成される。
【0031】
左舷タンク160は、左舷船倉36に位置する。左舷タンク160は、好ましくは、上記で説明した右舷タンク40の構造と同様の構造を有する。
【0032】
船10及びカーゴ収容システムは、ABS規則に従ったサイズで作製される。収容システムは、CNG船のためのABSガイドラインの限界状態規定に基づき設計される。
【0033】
一実施形態では、カーゴ・タンク40、160は、20メートルの直径であり、100mmの6つの層及び30mmの1つの内側層で構成される630mmの壁厚さを有する。設計条件、タンクのサイズ及びカーゴに応じて、他の壁厚さが可能である。例示的な壁厚さは、20mmから200mmまでの範囲に及び、全体的な厚さは、200mmから900mmまでの範囲に及ぶ。より詳細には、壁厚さはタンクのサイズ及び動作条件に依存するが、各層に対して企図される壁厚さは、20から200mm、より詳細には、70から150mm、及びより詳細には、100から120mmの範囲内である。全体的な厚さは、200から900mmまで、より詳細には、400から700mmまで、及びより詳細には、500mmから600mmまでの範囲に及ぶ。設計考慮事項に応じて、他の厚さが必要である場合がある。
【0034】
それぞれが例えば約100mmの壁厚さを有する、互いの内側に入れ子になっている複数の円筒体(図5の詳細Aを参照)は、十分な壁厚さを有する円筒体作製の容易さを促進し、亀裂成長に十分に可能な抵抗をもたらす。
【0035】
したがって、壁は、100mmの厚さのX80鉄鋼の6つの層、及び30mmの厚さのステンレス鋼ライナ54等の脆化に抵抗するライナ等、複数の層、例えば層42、44、46、48、50、52、54から構成される。ステンレス鋼ライナ54は、X80材料が水素脆化しないように設けられる。アルミニウム及びプラスチックを含め、脆化に抵抗する他の可能なライナ材料が可能である。図5に見えるのは、シーム溶接部、例えば、層42、44、46、48、50、52及び54のそれぞれのシーム溶接部72であり、図5に示されるシーム溶接部72及び72a~eと指定される。
【0036】
この入れ子の円筒体層は、亀裂先端における応力が減少するために単一円筒体内の亀裂成長が抑えられるため、破壊力学の問題に対して有益である。より重要なことには、連続性がないため、亀裂が隣接層への境界を跳び越えることがない。
【0037】
そのような高圧力下での巨大タンクの場合、貯蔵されるエネルギーは、かなり大きい。本発明のタンクは、耐疲労性を呈し得るが、亀裂が進展した場合でさえ、検査の間に亀裂の臨界長さを越えて進行できないことを保証する。
【0038】
本発明のいくつかの第2の利点は、設計曲げモーメントのために、船10内の甲板応力が、同等サイズのタンカであったであろう甲板応力の約3分の1程度まで落ちることである。このことは、船構造体における一部の鉄鋼重量の低減が可能であり得ることを意味する。これらの低減は、船の鉄鋼重量の当初見積りでは可能ではなかった。更に、(設計の波浪及び静水モーメントのために)20メートルの管状タンク40、160における長手方向応力は、せん断応力のようにわずかである。
【0039】
カーゴ収容の設計
収容設計は、(主に)2つの限界状態(limit state)によって支配される。即ち、サービスの限界状態(SLS)及び疲労の限界状態である。
【0040】
船10が荷積み-荷下ろしの完全なサイクルを5日ごとに有した場合、30年を超えると、このサイクルは、2,200サイクルに達する。
【0041】
アメリカ船級協会(ABS)は、S-N疲労曲線を使用して設計寿命を評価する際、係数10が適用されることを要求している。また、使用される曲線は、内輪に、(より標準である業界標準2とは反対に)平均故障線を下回る標準偏差3に基づかなければならない。
【0042】
250バールの場合、疲労式により24,000サイクルがもたらされ、これは、必要とされる22,000を超過する。
【0043】
船の主な詳細
例示的船10の主な特性は、以下のとおりである:
LOA 340m
水線 325m
最大幅 48m
主甲板までの深さ 26m
満載喫水 12.0m
自重喫水 11.8m
満載排水量 160,000トン
乾舷 14.0m
カーゴ重量 2,000トン
カーゴ体積 118,000m
船の鋼材 22,000トンのEH36鉄鋼
船対カーゴの体積比 2.9:1(平均的なタンカは1.5:1である)
GM 8.5m
横揺れ周期 11秒
船こくの慣性 4300m
船こくの引張り応力 330m
最大甲板応力 7ksi(許容量の約30%)
【0044】
例示的収容設計
250バール
降伏応力: 80ksi
OD: 20,000mm
壁厚さ: 630mm
250バールにおける名目上のフープ応力 56ksi
降伏に対する名目上の安全係数 1.4
長さ: 225m(201m+12m+12m)
合計パイプ重量 133,000トン
(127,000トンの80ksi鉄鋼に6000トンのステンレス鋼を足したもの)
【0045】
許容圧力の例示的計算
DNV海底パイプライン・システム規則OS-F101 条項D400に基づく安全クラス高の許容SLS設計圧力は、以下から得られる。この場合、作動圧力(MAOP)は、この値の95%である。
【0046】
サービス性(降伏)限界状態の許容設計圧力の式は、
設計圧力=2×tmin÷(OD-tmin)×α×f×2÷30.5÷γsc÷γ
であり、式中、
min=任意の点におけるパイプの最小壁厚さ、
OD=外径
=最小数が指定された降伏応力
α=材料強度係数に等しい又は0.96
γsc=安全クラス安全係数に等しい。この最高クラスの場合では、安全クラス安全係数は1.308である。
γ=材料安全係数に等しい。
【0047】
数値を上記式に入れると、以下がもたらされる:
250バール
設計圧力=2×24.8÷(787.4-24.8)×80,000×0.96×2÷1.732÷1.308÷1.15=3835psi。(264バール)
0.95を掛けると、3642psiのMAOPをもたらす(251バール)
【0048】
例示的疲労評価
ABSは、適切なS-N曲線により設計寿命を評価する際、係数10を使用することをガイドラインで示しており、この設計寿命は、内輪に、(より通常である業界標準2とは反対に)平均不良線を下回る標準偏差3に基づくものである。
【0049】
サイクル数と応力範囲との間の関係は、
Log(N)=Log(C)-cδ-mLog(Fsr
と書くことができ、式中、
N=応力範囲Fsr下における破断までの予測サイクル数
C=当該溶接部の平均S-N曲線に関係する定数
m=平均S-N曲線の逆勾配
c=平均を下回る標準偏差数
δ=Log(N)の標準偏差
【0050】
この式に数値を挿入すると、以下がもたらされる:
250バールのクラスC溶接
Log10(N)=14.034-3×0.204-3.5Log(384)=4.377
【0051】
この式から、Nは、104.377=24,000サイクルに等しい。
【0052】
一実施形態では、損傷時復原性要件は、主に、外側二重船かく側外板における水密隔壁30、32の一部が内側に連続することによって満たされ、水密隔壁30、32は、円筒体40及び/又は160と共に水密封止を行う。
【0053】
一実施形態では、貯蔵タンク40、160内の区画化は、必要な場合、隔壁を細長い円筒体に導入することにより達成される。
【0054】
一実施形態では、入れ子タンクは、最初に、外側下側円形区分、例えば、層42の68(例えば図4を参照)を設置することによって建造され、上位構造体に溶接される。次に、層44、46、48、50、52及び54の下側半円部分の入れ子は、重力下で据え付けられる。好ましくは、外板の間に溶接接続部はない。次に、上部内側半円形区分、例えば66を底部内側区分、例えば44、46、48、50、52及び54まで下げ、内側シーム溶接部、例えば70、72を両側から完成させる。次に、この溶接を、外側上区分66がシーム溶接部70、72を介してその相対物上にシーム溶接されるまで、片側の溶接部で継続する。上記図5、細部Aを参照。
【0055】
各区分の長さは、ヤードのクレーン使用能力に依存する。50メートルの区分は、約1400トンの重量がある。極めて高いD/t比の100mmの厚さの半円筒体は、バラスト用せん鉄、油圧及び温度手段の様々な組合せによって、シーム溶接のための容易な位置合せを可能にする。端部キャップ74、144は、形成及び組立てを支援するように、単一湾曲部で明確に設計される。
【0056】
LNG用モス・タンクは、赤道リングの支持を必要とする。この理由は、内部設計圧力がかなり低く、得られた外板が下から自己を支持できないためである。しかし、一実施形態では、出願人のタンク40、160は、例えば250バールの円筒体であり、モス・タンクの作動圧の約500倍以上の作動圧を有するため、下からの支持が容易である。この支持は、船の甲板28及び船底外板等の船構造体に曲げモーメントを伝達するせん断力伝達機構としても作用する。モス・タンクは、典型的には、船10と一体化されない。出願人のタンク40、160は、完全に一体化され、船構造体の部品の最も堅く、最も強固な部分である。タンク40、160の上部及び底部を甲板構造体等の船構造体に溶接することによって、タンク40、160は、船の主要な構造要素になり、これにより、船に強度を追加する。おそらく、最良の類似は、上側甲板が荷重支持部材ではなく付属物として取り付けられる第二次世界大戦の潜水艦である。タンク40、160の主要な支持は、水平ガーダ及び長手方向ガーダの両方から来る。横の支持は、横断ガーダ及び上記した水密隔壁30、32からのものである。長手方向ガーダ(上部及び底部)も、甲板28及びタンク外板へのせん断力伝達接続部として使用される。
【0057】
図6に示すように、タンク40の外側層42は、例えば支持体39に溶接することによって甲板28に接続し得る。支持体39は、甲板28の船構造体の一部として、図6及び図7に示される。しかし、支持体39は、甲板28とは別個の船構造体として、タンク40を支持するように設け得る(例えば図8を参照)。層42、44、46、48、50、52及び54の沈下は、支持体39、又は船10の上甲板28のガーダに最外層42を溶接することによって防止される。甲板28への接続により、最外層42を支持し、最外層42が沈下するのを防止する。上層42は沈下しないので、内側層44、46、48、50、52及び54が変形、沈下することがない。というのは、内側層44、46、48、50、52及び54は、形状が上甲板28への取付けによって制限されている外側層42内に入れ子になっているためである。
【0058】
図7に示すように、膨張空間43及び45は、タンク60と、船こく20の構造外板部分24との間、及びタンク40と長手方向隔壁34との間にそれぞれ設け得る。膨張間隙又は空間43及び45により、タンク40が加圧中に膨張するにつれて、タンク60が船こく20に損害を与えるのを防止する。
【0059】
好ましくは、入れ子タンクは、いかなる方法でも互いに接続されない。入れ子タンクは、管の内側に管がある。入れ子タンクに端部がなく、完全に建造された場合、入れ子タンクは、外に滑り落ちるであろう。自重下、ビームとして端から端まで広がる入れ子管は、単純な曲げモーメントをもたらすことを想像されたい。応力及びたわみは、管の慣性に基づく。管が近接し、間隙がない場合、管の全体的な慣性は、管が中実である場合と全く同じである。この入れ子管は、積み重なる複数の層の板を有することとは完全に異なる。入れ子管の慣性は、以下のように計算される:
慣性=π/64(D -D +D -D +D .........)=π/64(204-18.744)=1800m
【0060】
2つのタンクの場合、慣性は3600mである。一緒に作用する船かく及び円筒体の合計慣性は、4300mであるので、船の剛性の約80%は、カーゴ・タンク40、160からのものである。
【0061】
したがって、本発明は、目的の実行に良好に適合し、上述した目標及び利点、並びに本明細書に固有の目標及び利点を達成する。本発明の好ましい実施形態を本開示の目的で説明してきたが、多数の変更及び修正は、当業者には明らかであろう。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の範囲内に包含される。
【0062】
用語「含む」、「備える」、「からなる」及びこれらの文法的な変形体は、1つ又は複数の構成要素、特徴、ステップ若しくは整数の追加、又はこうした群を排除するものではなく、これらの用語は、構成要素、特徴、ステップ又は整数の指定として解釈すべきであることを理解されたい。
【0063】
明細書及び特許請求の範囲が「1つの更なる」要素に言及する場合、この要素は、更なる要素が2つ以上であることを排除するものではない。
【0064】
特許請求の範囲又は明細書が「1つの(a又はan)」要素に言及する場合、そのような言及は、唯一の当該要素があると解釈すべきではないことを理解されたい。
【0065】
明細書が、ある構成要素、特徴、構造又は特性を含み「得る(may、might、can又はcould)」と述べる場合、この特定の構成要素、特徴、構造又は特性を含める必要はないことを理解されたい。
【0066】
本発明の方法は、選択されたステップ又はタスクを、手作業、自動又はこれらの組合せで実施又は完了することによって実施し得る。
【0067】
用語「方法」は、所与のタスクを達成する様式、手段、技法及び手順を指すことができ、これらの様式、手段、技法及び手順は、限定はしないが、当業者に公知である様式、手段、技法及び手順、又は当業者によって公知の様式、手段、技法及び手順から容易に開発される様式、手段、技法及び手順を含む。
【0068】
その後に数字が続く用語「少なくとも」は、本明細書では、当該数字で始まる範囲の開始を示すために使用する(当該数字は、規定される変数に応じて上限を有する範囲であっても、上限を有さない範囲であってもよい)。例えば、「少なくとも1」は、1、又は1より多いことを意味する。その後に数字が続く用語「多くとも」は、本明細書では、当該数字で終了する範囲の終端を示すために使用する(当該数字は、規定される変数に応じて、下限として1又は0を有する範囲であっても、下限を有さない範囲であってもよい)。例えば、「多くとも4」は、4又は4より少ないことを意味し、「多くとも40%」は、40%、又は40%より少ないことを意味する。
【0069】
本文書において、範囲が「(第1の数字)から(第2の数字)まで」又は「(第1の数字)~(第2の数字)」として示される場合、このことは、下限が第1の数字であり、上限が第2の数字である範囲を意味する。例えば、25から100は、下限が25であり上限が100である範囲を意味すると解釈すべきである。更に、範囲が示される場合、全ての可能な下位範囲又は当該範囲内の区間も、文脈が別段に指示しない限り、具体的に意図されることに留意されたい。例えば、本明細書が25から100の範囲を示す場合、そのような範囲は、26~100、27~100等、25~99、25~98等の下位範囲、並びに述べられた範囲内のより下の値及びより上の値のあらゆる他の可能な組合せ、例えば、33~47、60~97、41~45、28~96等も含むことを意図する。整数範囲値は、この段落では、ただ説明のために使用されていることに留意されたい。小数及び分数値(例えば、46.7~91.3)も、明確に除外されない限り、可能な下位範囲端点として意図されると理解されたい。
【0070】
本明細書において、2つ以上の規定のステップを含む方法に言及する場合、規定のステップは、あらゆる順序で、又は同時に(文脈がその可能性を除外する場合を除いて)実行でき、方法は、規定のステップのいずれかの前、2つの規定のステップの間、又は全ての規定のステップの後に(文脈がその可能性を除外する場合を除いて)実行される1つ又は複数の他のステップも含み得ることに留意されたい。
【0071】
更に、近似値の用語(例えば、「約」、「実質的に」、「おおよそ」等)は、本明細書で別段に規定されていない限り、関連技術で使用されるこれらの通常の慣例的な意味に応じて解釈すべきであることに留意されたい。本開示内に特定の定義がなく、関連技術における通常の慣例的な使用がない場合、そのような用語は、基本値のプラス又はマイナス10%であると解釈されたい。
【0072】
したがって、本発明は、目的の実行に良好に適合し、上述した目標及び利点、並びに本明細書に固有の目標及び利点を達成する。本発明のデバイスは、本明細書に添付の図面に関連する特定の好ましい実施形態を参照して本明細書で説明し、例示してきたが、本明細書で図示又は示唆するものとは別に、本発明の概念の趣旨から逸脱することなく様々な変更及び更なる修正を当業者によって行うことができ、本発明の概念の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】