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特表2023-552511相補的スイッチングを用いたイン・メモリ抵抗変化型メモリのXOR論理
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  • 特表-相補的スイッチングを用いたイン・メモリ抵抗変化型メモリのXOR論理 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】相補的スイッチングを用いたイン・メモリ抵抗変化型メモリのXOR論理
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20231211BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20231211BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526217
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2021126145
(87)【国際公開番号】W WO2022127383
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/122,800
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
(72)【発明者】
【氏名】ゴング、ナンボ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ガイ、エム
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083PR21
5F083PR22
(57)【要約】
半導体構造体を使用又は形成する方法において、半導体構造体は、第1の電極及び第2の電極を有する抵抗変化型メモリ(RRAM)ゲートを含むことができる。RRAMゲートは、さらに、スイッチング層k値とスイッチング層熱伝導率とを有する誘電体材料を含むスイッチング層を含むことができる。RRAMゲートは、さらに、スイッチング層k値より小さいCSk値と、スイッチング層熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを有する材料を含む相補的スイッチング(CS)緩和層を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
誘電体材料を含むスイッチング層と、
前記スイッチング層のk値より小さいCSk値と前記スイッチング層の熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを有する材料を含む、相補的スイッチング(CS)緩和層と
を備える抵抗変化型メモリ(RRAM)ゲートを準備することと、
Vrest電圧パルスを印加することによって、前記RRAMゲートをリセットすることと、
前記第1の電極に第1のバイアスを印加し、前記第2の電極に第2のバイアスを印加することによって、論理動作を実行することであって、前記第1のバイアスは、ゼロ電圧及び正の相補的スイッチング電圧(Vset)からなる群からの選択を含み、前記第2のバイアスは、ゼロ電圧及び負のVsetからなる群からの選択を含む、前記実行することと、
Vsetより低い検知電圧を使用して前記RRAMゲートのバイアス状態を検知することであって、前記第1の電極のみ又は前記第2の電極のみからのVset電圧は、1に等しいバイアス状態を生じ、前記第1の電極及び前記第2の電極の両方からのVset電圧、又は前記第1の電極及び前記第2の電極からのゼロ電圧は、0に等しいバイアス状態を生じる、前記検知することと
を含む方法。
【請求項2】
前記論理動作を実行することと前記RRAMゲートの前記バイアス状態を検知することとの間に時間を待機することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リセット電圧は、(i)前記第1の電極に印加される前記RRAMゲートの前記Vsetの2倍の電圧、(ii)前記第2の電極に印加される前記RRAMゲートの前記Vsetの2倍の電圧、並びに、(iii)前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの1つに対する正のVsetと前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの残りに対する負のVsetとの組み合わせ、からなる群からの選択を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記論理動作を実行することは、前記スイッチング層内に導電性フィラメントを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記正のVset及び前記負のVsetの組み合わせは、酸素空孔(V 2+)欠乏領域の形成を促進する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素空孔欠乏領域は、前記第2の電極より前記第1の電極の近くに生じる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スイッチング層は、HfOx、TaOx、TiOx、NiOxからなる群から選択された材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記RRAMゲートの前記バイアス状態を検知した後でVreset電圧パルスを印加することによって、前記RRAMゲートをリセットすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の電極と、
第2の電極と、
スイッチング層k値とスイッチング層熱伝導率とを有する誘電体材料を含むスイッチング層と、
前記スイッチング層k値より小さいCSk値と前記スイッチング層熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを有する材料を含む、相補的スイッチング(CS)緩和層と
を備える抵抗変化型メモリ(RRAM)ゲート。
【請求項10】
前記CS緩和層は、前記第1の電極と前記スイッチング層との間に配置され、前記第1の電極は、正の相補的スイッチング電圧(Vset)を印加するように構成される、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項11】
前記第2の電極は、負のVsetを印加するように構成される、請求項10に記載のRRAMゲート。
【請求項12】
前記CS緩和層は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群からの選択を含む、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項13】
前記CS緩和層は、相補的スイッチングの実現性を高めるように調整された寸法特性を備える、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項14】
前記CS緩和層は、前記スイッチング層内のV 2+拡散を遅くするように調整された寸法特性を備える、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項15】
前記第1の電極に印加される電圧パルスは、前記スイッチング層及び前記CS緩和層を通して前記第2の電極に供給される、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項16】
前記スイッチング層は、HfOx、TaOx、TiOx、及びNiOxからなる群からの選択を含む、請求項9に記載のRRAMゲート。
【請求項17】
半導体構造体を形成する方法であって、
第1の電極を形成することと、
スイッチング層k値とスイッチング層熱伝導率とを有する誘電体材料を含むスイッチング層を形成することと、
前記スイッチング層k値より小さいCSk値と前記スイッチング層熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを有する材料を含む、相補的スイッチング(CS)緩和層を形成することと、
前記スイッチング層及び前記CS緩和層の前記第1の電極とは反対側に、第2の電極を形成することと
を含む方法。
【請求項18】
前記CS緩和層は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群からの選択を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
相補的スイッチングについての閾値電圧を上げるように、前記CS緩和層の寸法特性を調整することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記スイッチング層は、HfOx、TaOx、TiOx、及びNiOxからなる群からの選択を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、不揮発性メモリの分野に関し、具体的には、抵抗変化型メモリ(RRAM)内の単一デバイスを使用するXORゲートを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
RRAMデバイスにおいて、メモリ・セルは、2つの状態、すなわちセット状態及びリセット状態のうちの1つにプログラムすることができる。セット状態において、メモリ・セルは、「低」抵抗を有する。リセット状態において、メモリ・セルは、「高」抵抗を有する。メモリ・セルのセット状態及びリセット状態は、メモリ・セルを切り替えるために異なる閾値電圧を必要とする。リセット閾値電圧は、電流を流すフィラメントを切り離すために克服する必要がある、メモリ・セル全体にわたる電圧降下である。セット閾値電圧は、電流を流すフィラメントを再接続するために克服する必要がある、メモリ・セル全体にわたる電圧降下である。相補的スイッチングRRAMデバイスの場合、リセット状態にあるメモリ・セルの閾値電圧は、セット状態にあるメモリ・セルの閾値電圧よりも比較的高い。従って、メモリ・セルをセット状態には切り替えるがリセット状態には切り替えないプログラム電圧を印加することが可能であり、メモリ・セルをリセット状態には切り替えるがセット状態には切り替えないプログラム電圧を印加することが可能である。しかし、メモリを1つの状態から別の状態へ変化させ、さらにメモリを元に戻るように変化させる単一のプログラム電圧を印加することは不可能である。
【0003】
XORゲートは、2つの入力のうちの1つのみが真である場合にだけ、真(例えば、1、「高」)を出力し、両方の入力が真又は両方の入力が偽である場合に偽(例えば、0、「低」)を出力する論理ゲートである。XORゲートは、製造が可能な論理ゲート(即ち、XNORゲート、ANDゲート、ORゲート、又はNOTゲート)の組み合わせからしか構築することができない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態の態様は、抵抗変化型メモリ(RRAM)ゲートを開示する。RRAMゲートは、第1の電極と第2の電極とを含む。RRAMゲートは、さらに、スイッチング層k値とスイッチング層熱伝導率とを有する誘電体材料で作成されるスイッチング層を含む。RRAMゲートは、さらに、スイッチング層k値より低いCSk値とスイッチング層熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを備える相補的スイッチング(CS)緩和層を含む。
【0005】
本発明の一実施形態の態様は、さらに、上記の実施形態におけるRRAMゲートのような、RRAMゲートを動作させる方法を含む。本方法は、RRAMゲートを準備することと、Vrest電圧パルスを印加することによって、RRAMゲートをリセットすることとを含む。本方法は、さらに、第1の電極に第1のバイアスを印加し、第2の電極に第2のバイアスを印加することによって、論理動作を実行することを含むことができる。第1のバイアスは、ゼロ電圧及び正の相補的スイッチング電圧(Vset)からなる群からの選択を含むことができ、第2のバイアスは、ゼロ電圧及び負のVsetからなる群からの選択を含むことができる。本方法は、さらに、Vsetより低い検知電圧を使用してRRAMゲートのバイアス状態を検知することを含むことができる。第1の電極のみ又は第2の電極のみからのVset電圧は、1に等しいバイアス状態を生じることができ、第1の電極及び第2の電極の両方からのVset電圧、又は第1の電極及び第2の電極からのゼロ電圧は、0に等しいバイアス状態を生じる。
【0006】
本発明の一実施形態の態様は、さらに、半導体構造体を形成することを含むことができる。本形成方法は、第1の電極を形成することを含むことができる。本方法はさらに、スイッチング層k値とスイッチング層熱伝導率とを有する誘電体材料から作成されるスイッチング層を形成することを含むことができる。半導体構造体を形成することは、さらに、スイッチング層k値より低いCSk値とスイッチング層熱伝導率より高いCS熱伝導率とから作成される相補的スイッチング(CS)緩和層を形成することを含むことができる。半導体構造体を形成することは、さらに、スイッチング層及びCS緩和層の第1の電極とは反対側に、第2の電極を形成することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の1つの実施形態によるメモリ・システムの図を示す。
図2】本発明の1つの実施形態によるRRAMゲートの側断面図を示す。
図3】本発明の1つの実施形態による、RRAMデバイスの手順のフローチャートを示す。
図4】本発明の1つの実施形態による、RRAMデバイス内のセット状態及びリセット状態を可能にするようにRRAMゲート内に形成された導電性フィラメントの概略図を示す。
図5】本発明の1つの実施形態による、破断した導電性フィラメントを有するRRAMゲートの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で詳しく説明されるように、本発明の一態様は、複数のメモリ・セルを含む抵抗変化型メモリ(RRAM)デバイスを動作させ、プログラミングする方法である。個々のメモリ・セルは、XORゲートとして実行することができる、スイッチング層と相補的スイッチング(「CS」)層とを有するRRAMゲートを含む。一般に、XORゲートは、単一のゲート構造体で製造することはできない。スイッチング層とCS層とを組み合わせることで、2つの電極のうちの1つのみが「1」の信号を送るときの酸素空孔フィラメントの形成と、両方の電極が「1」の信号を送るときの酸素空孔欠乏領域の形成とによって、RRAMデバイスを論理XORゲートとして動作させることができる。酸素空孔欠乏領域は、1つの電極の正バイアスが正電荷を帯びた酸素空孔をドリフトさせ、酸素空孔フィラメントにギャップを残すときに生じる相補的スイッチングによって、形成される。動作の詳細は、以下で記述される図面に関連して説明される。
【0009】
図1は、本発明の1つの実施形態によるメモリ・システム100の図を示す。メモリ・システム100は、複数のメモリ・セル106を含むRRAMアレイ104を有する抵抗変化型メモリ(RRAM)デバイス102を含む。各々のメモリ・セル106は、XOR論理動作を行うために使用することができる。RRAMアレイ104は、各々のメモリ・セル106が1つの行線と1つの列線との交点である明確なメモリ・アドレスを有するように、行及び列に編成される。
【0010】
例示的な実施形態において、RRAMアレイ104は、書き込み回路108と対になっている。特定の実施形態において、書き込み回路108は、各々の行線若しくは列線又はその両方が対になった書き込み回路108を有するように、RRAMアレイ104に組み込むことができる。書き込み回路108は、電流パルスをメモリ・セル106に印加し、それによりメモリ・セル106をプログラムするように構成された1つ又は複数のパルス発生器を含むことができる。書き込み回路108によって印加される電流パルスは、ゼロ電圧、又は、供給されるRRAMゲート110のための相補的スイッチング電圧(「Vset」)の正若しくは負の方向に調整される。Vset電圧を印加することによって、適切なXOR論理動作を確実に実行することができるようになる。
【0011】
メモリ・セル106に印加される書き込み電流パルスの正又は負の方向は、メモリ・セル106の所望の状態に依存する。書き込み回路108は、RRAMゲート110の製造時に決定される相補的スイッチング特性に調整されたVsetパルスを生成する。RRAMゲート110の相補的スイッチング特性は、例えば、RRAMゲート110のサイズ及び形状、その材料の熱伝導率、誘電率、RRAMゲート110の酸素空孔濃度及び構成を含む。即ち、RRAMゲート110は、特定のVsetを有するように製造することができ、書き込み回路108は、この電圧を、1つの電極(即ち、行線又は列線)のための正の方向として、及び、他の電極(残りの行線又は列線)のための負の方向として、生成するように構成される。
【0012】
図2は、本発明の1つの実施形態による、RRAMゲート110の横断面図を示す。RRAMゲート110は、一実施形態において、Pd、Ti、Pt、Ir、Ru、Cu、Au、Ta、TaN、TiN、Al/Ti、Pt/Ti、及びW/Zrなどの導電性材料で形成された第1の電極202及び第2の電極204を含む。第1の電極202及び第2の電極204は、行線及び列線、並びに書き込み回路108に、電気的に接続される。前述のように、第1の電極202は、パルス発生器に電気的に接続することができ、一方、第2の電極204は、異なるパルス発生器に電気的に接続される。第1の電極202及び第2の電極204は、当該技術分野において知られている堆積技術を使用して形成することができる。例えば、第1の電極202及び第2の電極204は、原子層堆積(ALD)、物理気相堆積(PVD)、又は化学気相堆積(CVD)を使用して形成することができる。
【0013】
RRAMゲート110は、第1の電極202と第2の電極204との間に配置され、少なくとも1つの実施形態においては互いに直接接触する、CS緩和層206及びスイッチング層208を含む。図2は、単一のRRAMゲート110を示すが、実際には複数のこのようなRRAMゲート110を一緒に配置してRRAMアレイ104を形成することができる。RRAMアレイ104は、単一のRRAMゲート110の各々を上部及び下部電極のそれぞれの対を使用して個々にアドレス指定することができるように、RRAMアレイ104に接続された上部行電極及び下部列電極を含むことができる。
【0014】
スイッチング層208は、定められたk値(誘電率)と定められた熱伝導率とを有する材料で作成される。k値及び熱伝導率は、製造時に特定の材料特性及び寸法特性を選択することによって、決定される。スイッチング層208は、誘電体金属酸化物材料、例えば、ZrO、NiO、TiO、MnO、Al、ZnO、RuNCs、ZnO、HfO、HfO、TaO、HfO、Ta、TiONPs、TaO/、TaO/MgO、TiO2-x、a-ZnO、WO/Al、TiO2-x、HfO、TiO2-x、HfO、a-TiO、ZnTiO、Ta/TaO、HfO/AlO、TaO/TiO、TiO/HfO、MnO/Ta、HfO/、及びAgNPsなどを含むことができる。スイッチング層208は、さらに、当該技術分野において知られている技術を使用して形成することができる。具体的には、スイッチング層208は、ALD、PVD、又はCVDを使用して形成することができる。即ち、各々のRRAMゲート110について(又はRRAMアレイ104について)、基板又は他の半導体構造体にパターンが適用され、一連の堆積を経てRRAMゲートの層(第1の電極202、第2の電極204、スイッチング層208など)が順次形成される。
【0015】
CS緩和層206は、同様に、RRAMゲート110についてCSk値及びCS熱伝導率を定める材料で作成される。CSk値及びCS熱伝導率は、製造時に特定の材料特性及び寸法特性を選択することによって決定される。CS緩和層206は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素などの金属酸化物材料を含むスイッチング層208の材料に代わる材料を含むことができる。特定の実施形態において、CS緩和層206は、スイッチング層208の同じ実施形態において使用された材料とは異なる材料を含む。CS緩和層206の材料は、CSk値がスイッチング層のk値より小さく、CS熱伝導率がスイッチング層の熱伝導率より大きくなるように、選択することができる。スイッチング層のk値より小さいCSk値とスイッチング層の熱伝導率より大きいCS熱伝導率とを有するRRAMゲート110の実施形態は、相補的スイッチングの実現性を高める。相補的スイッチングの実現性が高められることによって、より効果的で正確なXOR論理動作が容易になる。CS緩和層206は、また、当該技術分野において知られている技術を使用して形成することができる。具体的には、CS緩和層206は、ALD、PVD、又はCVDを使用して形成することができる。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態による、RRAMデバイス102の動作のフローチャートを示す。RRAMデバイス102は、スイッチング層(例えば、図2に示されるスイッチング層208)及びCS緩和層(例えば、図2に示されるCS緩和層206)を有するRRAMゲート(例えば、図1及び図2のRRAMゲート110)を提供する(ブロック302)。提供されたRRAMゲートは、酸素空孔(V 2+)の導電性フィラメントの形成を利用して、スイッチング層208内のセット状態及びリセット状態(即ち、論理的「1」及び「0」)を可能にする。
【0017】
図4は、本発明の1つの実施形態による、RRAMデバイス(例えば、RRAMデバイス102)内のセット状態及びリセット状態を可能にするようにRRAMゲート110内に形成された導電性フィラメント412の概略図を示す。RRAMゲート110を提供する際に、RRAMデバイス102は(例えば、書き込み回路108を使用して)、第1の電極202と第2の電極204とにわたって電圧を印加し、RRAMゲート110内の酸素空孔及び酸素イオン(O2-)の移動を生じさせる。この移動によって、第1の電極202と第2の電極204との間の導電性フィラメント412の形成が可能になる。導電性フィラメントの形成は、高電圧パルスによる誘電体層414(即ち、RRAMゲート110内のスイッチング層208とCS緩和層206との組み合わせ)のソフト・ブレークダウンによって最初に引き起こされる。最初のブレークダウンは、酸素原子/イオンを誘電体層414の格子からから叩き出し、酸素空孔を誘電体層414内に残す。酸素イオンは、最終的に誘電体層414を離れ、酸素空孔が誘電体層414内の導電性フィラメント412を形成する。提供されたRRAMゲート110には、従って、低抵抗状態(即ち、論理的「1」)がもたらされる。
【0018】
一旦導電性フィラメント412が形成されると、RRAMデバイス102は、Vrest電圧パルスを印加することによって、RRAMゲート110をリセットする(ブロック304)。リセット・プロセスは、RRAMゲートがユニポーラ・スイッチングを利用するかバイポーラ・スイッチングを利用するかに応じて、異なるVrest電圧の大きさ若しくは異なるVrest電圧の極性又はその両方を含むことができる。Vrest電圧は、ジュール熱を生成する可能性があり、そのジュール熱は、酸素イオンが誘電体層414内に戻って酸素空孔と結合するか又は導電性フィラメント412を酸化して高抵抗状態を生成することを引き起こす。特定の実施形態において、酸素イオンの拡散は、ジュール熱電流を熱的に利用するだけで活性化される。付加的に又は代替的に、特定の実施形態は、酸素イオンを移動させるために逆電場を使用することができる。
【0019】
図3の方法に戻ると、RRAMデバイス102は、さらに、第1の電極202に第1のバイアスを印加し、第2の電極204に第2のバイアスを印加することによって、論理動作を実行する(ブロック306)。第1のバイアス及び第2のバイアスは、同時に印加することができる。第1のバイアスは、ゼロ電圧(論理的「0」)又は正のVset(論理的「1」)のうちの1つを含み、第2のバイアスは、ゼロ電圧(論理的「0」)又は負のVset(論理的「1」)のうちの1つを含む。
【0020】
両方のバイアスがゼロ電圧を印加する場合、RRAMデバイス102は、リセット・プロセスの結果である高抵抗状態(論理的「0」)に留まる。
【0021】
バイアスの両方ではなく、いずれかがVset(論理的「1」)を印加する場合、RRAMゲート110は、導電性フィラメント412をリフォームし、低抵抗状態(論理的「1」)になる。導電性フィラメント412は、誘電体層414内の酸素空孔の再構成によりリフォームし、第1の電極202と第2の電極204とに再接続する。
【0022】
両方のバイアスがVset(論理的「1」)を印加する場合、RRAMゲート110は、RRAMゲート110を高抵抗状態(論理的「0」)に維持する相補的スイッチングに駆動される。
【0023】
図5は、本発明の1つの実施形態による、破断した導電性フィラメント516を有するRRAMゲート110の概略図を示す。破断した導電性フィラメント516は、破断した導電性フィラメント516内に酸素空孔欠乏領域518を生じる相補的スイッチングの結果である。酸素空孔欠乏領域518は、酸素空孔のドリフトによって生じる。酸素空孔は正電荷を有するので、誘電体層414がVset電圧によるソフト・ブレークダウンを起こすと、第1の電極202の第1のバイアスの正極性が酸素空孔を反発させて、酸素空孔欠乏領域518を形成する。
【0024】
CS緩和層206は、正の第1のバイアスが酸素空孔欠乏領域418に及ぼす影響を抑制する若しくは緩和する又はその両方である。即ち、k値が小さいほど、正バイアスを妨害して酸素空孔をより効果的に反発させ、熱伝導率値が大きいほど、酸素空孔の移動が遅くなる。従って、CS緩和層206がなければ、RRAMゲート110は、セットとリセットとの間の十分な電圧ウィンドウを有することができない。
【0025】
図3の方法に戻ると、RRAMデバイス102は、さらに、Vsetより低い検知電圧を使用して、RRAMゲート110のバイアス状態を検知する(ブロック308)。上述のように、第1の電極202のみからのVset電圧(正)、又は第2の電極204のみからのVset電圧(負)は、RRAMデバイス102によって検知される1に等しいバイアス状態を生じる。さらに上述のように、RRAMデバイス102が、第1の電極202及び第2の電極204の両方からのVset電圧を印加するとき、又は、RRAMデバイス102が、第1の電極202及び第2の電極204にゼロ電圧バイアスを印加するとき、RRAMデバイス102は、0に等しいバイアス状態を検知する。
【0026】
本明細書で説明されるプログラムは、本発明の特定の実施形態においてそれらが実装される用途に基づいて識別される。しかし、本明細書のいずれの特定のプログラム命名法も、便宜上使用されているだけであり、従って、本発明は、それらの命名法によって識別される若しくは暗示される又はその両方のいずれかの特定の用途における使用のみに限定されるべきではないことを認識されたい。
【0027】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実施の、アーキテクチャ、機能性、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の中の各々のブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を表すことができる。さらに、幾つかの代替的実施において、ブロック内に記された機能は、図に記されたものとは異なる順序で行うことができる。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行することができ、或いは、ブロックは、関与する機能性に応じて、場合により逆の順序で実行することができる。さらに、ブロック図若しくはフローチャート図又はその両方の各々のブロック、及び、ブロック図若しくはフローチャート図又はその両方におけるブロックの組み合わせを、特定の機能又は動作を実行する専用ハードウェア・ベースのシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施することができることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】