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特表2023-552512ヘアスタイリング用の固定剤ポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング用の固定剤ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20231211BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/91 20060101ALI20231211BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231211BHJP
   C08F 222/10 20060101ALI20231211BHJP
   C08F 222/02 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
C08F230/08
A61Q5/06
A61K8/81
A61K8/91
A61K8/34
C08F222/10
C08F222/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526343
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021059303
(87)【国際公開番号】W WO2022108856
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/114,667
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイ、ルー
(72)【発明者】
【氏名】イン、リーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ツォン、ファンウェン
(72)【発明者】
【氏名】トス、ロザリンド
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ、ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】パホルスキ、マイケリーン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ナングオ
(72)【発明者】
【氏名】テルゲンホフ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラン、ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ジン、メン
(72)【発明者】
【氏名】グー、ビンホ
【テーマコード(参考)】
4C083
4J100
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC102
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC32
4C083DD08
4C083EE07
4C083EE21
4C083EE28
4C083FF01
4J100AJ02R
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL08T
4J100AL09S
4J100BA80T
4J100BA81T
4J100CA03
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA25
4J100DA29
4J100FA03
4J100FA21
4J100FA28
4J100JA57
(57)【要約】
【化1】

モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位とモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位と、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、を含み、式中、αは、0~3であり、dは、0又は1であり、Rは、水素、C1~10アルキル、アリール、-OSi(R又は-X-SiOSi(Rであり、R及びRは、水素又はC1~10アルキルであり、Rは、-OSi(CHOSi(CHであり、Yは式(II)、(III)、(IV)又は(V)であり、式中、R、R及びR10は、水素又はC1-4アルキルであり、X、R及びRは、二価の連結基であり、Rは、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である、固定剤ポリマーが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定剤ポリマーであって、
前記固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、
前記固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位と、
前記固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、
前記固定剤ポリマーの重量に基づいて、5~<30重量%の式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【化1】

式中、aは、0~3であり、dは、0又は1であり、各Rは、水素、C1~10アルキル基、アリール基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基からなる群から独立して選択され、各R及びRは、水素及びC1~10アルキル基からなる群から独立して選択され、各Rは、-OSi(CHOSi(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、(IV)及び(V)からなる群から選択され、
【化2】

式中、各R、R、及びR10は、水素、及びC1~4アルキル基からなる群から独立して選択され、各X、R及びRは独立して、二価の連結基であり、各Rは独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である、固定剤ポリマー。
【請求項2】
前記固定剤ポリマーが、56~225mg KOH/gの酸価を有する、請求項1に記載の固定剤ポリマー。
【請求項3】
前記固定剤ポリマーが、DSCによって測定した場合、≧25℃のガラス転移温度Tを有し、前記固定剤ポリマーが、≧10,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の固定剤ポリマー。
【請求項4】
前記固定剤ポリマーが、有機溶媒中で調製されたフリーラジカルポリマーであり、前記固定剤ポリマーが、前記固定剤ポリマーの重量に基づいて、<500質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する、請求項1に記載の固定剤ポリマー。
【請求項5】
請求項1に記載の固定剤ポリマーを含む、ヘアスタイリング配合物。
【請求項6】
担体を更に含み、前記担体が、水と、一価アルコール、多価アルコール、ケトン、エーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒との混和性混合物である、請求項5に記載のヘアスタイリング配合物。
【請求項7】
前記担体が、前記担体の重量に基づいて50~70重量%のエタノールと、前記担体の重量に基づいて30~50重量%の水との混和性混合物である、請求項6に記載のヘアスタイリング配合物。
【請求項8】
前記式(I)のカルボシロキサンモノマーが、
【化3】

及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載のヘアスタイリング配合物。
【請求項9】
前記ヘアスタイリング配合物が、前記ヘアスタイリング配合物の重量に基づいて<0.5重量%のC10~14分枝鎖炭化水素溶媒を含有する、請求項4に記載のヘアスタイリング配合物。
【請求項10】
毛髪をスタイリングし、疎水性を付与する方法であって、
請求項9に記載のヘアスタイリング配合物を提供することと、
前記毛髪をスタイリングすることと、
前記ヘアスタイリング配合物を前記毛髪に適用することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定剤ポリマーに関する。特に、本発明は、モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、モノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位と、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【0002】
【化1】

式中、aは、0~3であり、dは、0又は1であり、Rは、水素、C1~10アルキル、アリール、-OSi(R又は-X-SiOSi(Rであり、R及びRは、水素又はC1~10アルキルであり、Rは、-OSi(CHOSi(CHであり、Yは、式(II)、(III)、(IV)又は(V)であり、
【0003】
【化2】

式中、R、R及びR10は、水素又はC1~4アルキルであり、X、R及びRは、二価の連結基であり、Rは、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である、固定剤ポリマーに関する。
【背景技術】
【0004】
ヘアスプレー、スタイリングジェル、スプレージェル及びムースなどのヘアスタイリング組成物は、毛髪を特定の形状又は構成に保持するために毛髪に使用される。このような組成物は、典型的には、組成物に、最終的には組成物が適用される毛髪に所望の特性を付与するように設計されたポリマー樹脂、ガム、又は粘着剤を含有する。ポリマーは、例えば、毛髪保持、ボリュームの改善、及び望ましい感触特性の付与を含む様々な目的のために使用される。ヘアスタイリング組成物が毛髪を特定の形状に保持する能力の多くは、組成物中に使用される固定剤ポリマーに起因する。固定剤ポリマーは、塗布されると、隣接する毛髪繊維間の継ぎ目において、又は繊維が互いに交差する点において、毛髪上にポリマーの薄膜及び/又は溶着部を形成し、その結果、毛髪を特定の形状又は構成に保持する。
【0005】
ポリマーがヘアスタイリング組成物に好適であるためには、ポリマーは、例えば、ポリマーと組成物の他の成分との相溶性、十分な高湿度カール保持性、毛髪上での十分な剛性、毛髪に送達されるスプレーの均一なミストをもたらす容易なスプレー性を含む、望ましい性能属性の組み合わせを示すべきである。
【0006】
毛髪固定剤配合物の一例は、Changらにより米国特許第6,214,328号に開示されている。Changらは、(a)アクリル毛髪固定剤樹脂の総重量に基づいて、1~15重量パーセントの少なくとも1つのアクリル毛髪固定剤樹脂であって、重合単位として、(i)5~95重量パーセントの少なくとも1つの(C1~10)アルキル(メタ)アクリレート、(ii)2~26重量パーセントの少なくとも1つのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(iii)0~50重量パーセントの少なくとも1つのC3~8モノエチレン性不飽和モノカルボン酸モノマー、及び(iv)2~10重量パーセントの少なくとも1つのC4~8モノエチレン性不飽和ジカルボン酸モノマーを含むポリマーであるアクリル毛髪固定剤樹脂と、(b)少なくとも1つの中和剤と、を含む水性ヘアスタイリング組成物を提供する。
【0007】
それにもかかわらず、柔軟な毛髪感触を有する効果的な高湿度カール保持性を促進し、毛髪からの固定剤ポリマーのシャンプー除去を容易にする、毛髪固定剤ポリマー及び毛髪固定剤ポリマーを含むヘアスタイリング配合物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位と、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、固定剤ポリマーの重量に基づいて、5~<30重量%の式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【0009】
【化3】

式中、aは、0~3であり、dは、0又は1であり、各Rは、水素、C1~10アルキル基、アリール基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基からなる群から独立して選択され、各R及びRは、水素及びC1~10アルキル基からなる群から独立して選択され、各Rは、-OSi(CHOSi(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、(IV)及び(V)からなる群から選択され、
【0010】
【化4】

式中、各R、R、及びR10は、水素、及びC1~4アルキル基からなる群から独立して選択され、各X、R及びRは独立して、二価の連結基であり、各Rは独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である、固定剤ポリマーを提供する。
【0011】
本発明は、本発明の固定剤ポリマーを含むヘアスタイリング配合物を提供する。
【0012】
本発明は、毛髪をスタイリングする方法であって、本発明のヘアスタイリング配合物を提供することと、毛髪をスタイリングすることと、ヘアスタイリング配合物を毛髪に塗布することとを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、優れた耐水性及び耐皮脂性を示すと同時に、高い洗浄性(すなわち、シャンプーによる毛髪からの除去の容易さ)、効果的な高湿度カール保持性及び柔らかい毛髪感触(すなわち、低いカール圧縮)も有する独特の固定剤ポリマーを特定した。
【0014】
別段示されない限り、比率、百分率、部などは、重量によるものである。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「構造単位」という用語は、請求の範囲に記載されるポリマー中の指定されたモノマーの残りを指し、したがって、n-ブチルアクリレートの構造単位は、
【0016】
【化5】
【0017】
で示され、点線が、ポリマー骨格への結合点を表す。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する一般表現として機能することを意図している。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する一般表現として機能することを意図している。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる用語「化粧品として許容可能な」は、皮膚への局所的塗布に典型的に使用される成分を指し、スキンケア組成物中に典型的に見られる量で存在する場合に有毒な材料は、本発明の一部として企図されないことを強調することを意図する。
【0021】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位と、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位と、固定剤ポリマーの重量に基づいて、5~<30重量%(好ましくは、6~27.5重量%、より好ましくは、7~25重量%、最も好ましくは、8~22重量%)の式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位と、を含み、
【0022】
【化6】

式中、aは、0~3であり、dは、0又は1であり、各Rは、水素、C1~10アルキル基、アリール基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基からなる群から独立して選択され、各R及びRは、水素及びC1~10アルキル基からなる群から独立して選択され、各Rは、-OSi(CHOSi(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、(IV)及び(V)(好ましくは、(II)、(III)、及び(IV)、より好ましくは、(II)及び(IV)、最も好ましくは、(IV))からなる群から選択され、
【0023】
【化7】

式中、各R、R、及びR10は、水素、及びC1~4アルキル基からなる群から独立して選択され、各X、R及びRは独立して、二価の連結基であり、各Rは独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である。
【0024】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、C1~8アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。更により好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、C1~5アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。なおより好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、C1~4アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、40~80重量%(好ましくは、45~75重量%、より好ましくは、47.5~70重量%、最も好ましくは、49~65重量%)のモノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとの混合物である。
【0025】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは、12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位を含む。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは、12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、(対応する無水物、アミド及びエステルなどの)他の誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。更により好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは、12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。なおより好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは、12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、10~30重量%(好ましくは、12~28重量%、より好ましくは、15~25重量%、最も好ましくは、16~20重量%)のモノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーはメタクリル酸である。
【0026】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含む。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシ官能化C1~12アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。更により好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1-16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシ官能化C1-8アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。なおより好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシ官能化C1~4アルキル(メタ)アクリレートモノマーである。なお更により好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールモノアクリレート及びそれらの混合物からなる群から選択される。更になおより好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、>0~20重量%(好ましくは、1~17.5重量%、より好ましくは、5~15重量%、最も好ましくは、8~12重量%)のモノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーの構造単位を含み、モノエチレン性不飽和ヒドロキシ官能化C1~16アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0027】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、5~<30重量%(好ましくは、6~27.5重量%、より好ましくは、7~25重量%、最も好ましくは、8~22重量%)の式(I)のカルボシロキサンモノマーの構造単位を含み、式中、aは、0~3(好ましくは、0~2、より好ましくは、0~1、最も好ましくは、0)であり、dは、0又は1(好ましくは、0)であり、各Rは、水素、C1~10アルキル基、アリール基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基(好ましくは、水素、C1~10アルキル基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基、より好ましくは、水素、C1~4アルキル基、-OSi(R基及び-X-SiOSi(R基、最も好ましくは、メチル基、-OSi(CH基及び-CHCHSiOSi(CH基)からなる群から独立して選択され、各R及びRは、水素、及びC1~10アルキル基(好ましくは、水素、及びC1~5アルキル基、より好ましくは、水素及びC1~4アルキル基、更により好ましくは、水素及びメチル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から独立して選択され、各Rは、-OSi(CHOSi(CH基であり、Yは、式(II)、(III)、(IV)及び(V)(好ましくは、(II)、(III)、及び(IV)、より好ましくは、(II)及び(IV)、最も好ましくは、(IV))からなる群から選択され、式中、各R、R、及びR10は、水素、及びC1~4アルキル基(好ましくは、水素及びC1~3基、より好ましくは、水素及びC1~2アルキル基、最も好ましくは、メチル基)からなる群から独立して選択され、各X、R及びRは独立して、二価の連結基(好ましくは、C1~10アルキレン基、より好ましくは、C2~7アルキレン基、更により好ましくは、C2~5アルキレン基、最も好ましくは、-CHCH-又は-CHCHCH-基)であり、各Rは独立して、C1~10アルキル基であり、bは、0~4であり、cは、0又は1である。
【0028】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、5,000~250,000ダルトン(好ましくは、≧5,000ダルトン、より好ましくは、≧10,000ダルトン、更により好ましくは、≧20,000ダルトン、なおより好ましくは、≧25,000ダルトン、最も好ましくは、≧30,000ダルトン)(好ましくは、≦200,000ダルトン、より好ましくは、≦150,000ダルトン、更により好ましくは、≦100,000ダルトン、なおより好ましくは、≦75,000ダルトン、最も好ましくは、≦60,000ダルトン)の重量平均分子量を有する。
【0029】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、部分的に中和され、固定剤ポリマー中に含まれるカルボン酸含有構造単位の50~90モル%(好ましくは、>50~80モル%、より好ましくは、51~75モル%、最も好ましくは、55~65モル%)が、中和される。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、部分的に中和され、固定剤ポリマー中に含まれるカルボン酸含有構造単位の50~90モル%(好ましくは、>50~80モル%、より好ましくは、51~75モル%、最も好ましくは、55~65モル%)が、中和剤により中和される。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、部分的に中和され、固定剤ポリマー中に含まれるカルボン酸含有構造単位の50~90モル%(好ましくは、>50~80モル%、より好ましくは、51~75モル%、最も好ましくは、55~65モル%)が、中和剤により中和され、中和剤は、アミン含有中和剤(好ましくは、第一級アミン含有中和剤)(例えば、アミノメチルプロパノール)である。
【0030】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<1000質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<500質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。更により好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<100質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<50質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。
【0031】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、有機溶媒(好ましくはエタノール)中で調製されたフリーラジカルポリマーである。より好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、有機溶媒(好ましくはエタノール)中で調製されたフリーラジカルポリマーであり、固定剤ポリマー(好ましくは、有機溶媒中で重合され、精製されていない)は、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<500質量ppmの式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。最も好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、有機溶媒(好ましくはエタノール)中で調製されたフリーラジカルポリマーであり、固定剤ポリマー(好ましくは、有機溶媒中で重合され、精製されていない)は、固定剤ポリマーの重量に基づいて、<100質量ppm(好ましくは、<50質量ppm)の式(I)の残留カルボシロキサンモノマーを含有する。
【0032】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、固定剤ポリマーの任意の中和の前にポリマー溶媒として脱イオン水を使用してASTM D664-18に従って測定される場合、56~225mg KOH/gの酸価を有する。
【0033】
好ましくは、本発明の固定剤ポリマーは、示差走査熱量測定で測定した場合、ガラス転移温度Tが、≧25℃(好ましくは25~140℃、より好ましくは、50~140℃)である。
【0034】
好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、ヘアスプレー、毛髪固定剤、ヘアムース、ヘアジェル/クリーム、ヘアボリューム付与(hair volumizing)組成物、ヘアスムージングクリーム、ヘアローション、ヘア美容液、ヘアオイル及びヘアクレイからなる群から選択される。好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、毛髪を特定の形状に保持又は固定するために毛髪のスタイリングを容易にするように配合されている。
【0035】
好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマーを含む。より好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマー及び担体を含む。更により好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマー及び担体を含み、担体は、水と、一価アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブタノール及びsec-ブタノール)、多価アルコール(例えば、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン;1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール;キシリトール、ソルビトール;マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、スクロース;エリスリトール、グルコース、フルクトース、マルトース、キシリトロース(xylitolose)、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン)、ケトン、エーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒との混和性混合物である。なおより好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマー及び担体を含み、担体は、水と、エタノール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール;ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物からなる群から選択される溶媒との混和性混合物である。なお更により好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマー及び担体を含み、担体は、水とエタノールとの混和性混合物である。最も好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、本発明の固定剤ポリマー及び担体を含み、担体は、水とエタノールとの混和性混合物であり、担体は、担体の重量に基づいて50~70重量%(好ましくは、50~60重量%)のエタノールと、担体の重量に基づいて30~50重量%(好ましくは、40~50重量%)の水とを含む。
【0036】
本発明のヘアスタイリング配合物は、任意選択で、乳化剤、コンディショニング化合物、油、エアゾール噴射剤(例えば、プロパン、ブタン、及びイソブタン等の炭素原子3~4の液化低級炭化水素)、軟化剤、潤滑剤、浸透剤(例えば、ラノリン化合物)、タンパク質加水分解物、タンパク質誘導体、エチレン付加物、ポリオキシエチレンコレステロール、着色剤(例えば、染料、毛髪用染料、漂白剤、還元剤、pH調整剤、日焼け止め剤、防腐剤、増粘剤(例えば、キサンタンガム)及び香料からなる群から選択される追加成分を更に含む。
【0037】
好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、ヘアスタイリング配合物の重量に基づいて、<0.5重量%(好ましくは、<0.1重量%、より好ましくは、<0.01重量%、最も好ましくは、検出限界未満)のC10~14分岐鎖炭化水素溶媒を含む。より好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、ヘアスタイリング配合物の重量に基づいて、<0.5重量%(好ましくは、<0.1重量%、より好ましくは、<0.01重量%、最も好ましくは、検出限界未満)のC10~14分岐鎖炭化水素溶媒を含み、C10~14分岐鎖炭化水素溶媒は、沸点が105~260℃である。
【0038】
好ましくは、本発明のヘアスタイリング配合物は、未乳化ヘアスタイリング配合物である。
【0039】
好ましくは、本発明の毛髪をスタイリングする方法は、本発明のヘアスタイリング配合物を提供することと、毛髪をスタイリングすることと(例えば、毛髪をローラにかけること、毛髪をアイロンで巻くこと、毛髪をアイロンで平らにすること)と、ヘアスタイリング配合物を毛髪に塗布することと、を含む。より好ましくは、本発明の毛髪をスタイリングする方法は、本発明のヘアスタイリング配合物を提供することと、毛髪をスタイリングすること(例えば、毛髪をローラにかけること、毛髪をアイロンで巻くこと、毛髪をアイロンで平らにすること)と、ヘアスタイリング配合物を毛髪に塗布する間、スタイリングを保持すること(例えば、毛髪をローラに維持すること)と、を含む。
【0040】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【0041】
実施例で使用されるモノマーの略語を表1に記載する。
【0042】
【表1】
【0043】
カルボシロキサンモノマー(M3)の合成
初期有機ケイ素化合物(A1)(657.13g)を真空に接続された反応器に充填し、2つの塔頂受容器、蒸留塔、再沸器、及び冷却トラップ(ドライアイス)を固定した。次いで、反応器内容物を129℃まで加熱し、揮発性物質をストリッピング除去した(29.15g:ヘキサン/水)。次いで、反応器で真空を(10mmHgまで)引き、反応器内容物を135℃まで加熱し、更なる揮発性物質を除去した(塔頂から26.91g、冷却トラップから21.56g)。次いで、阻害剤(D1)を、反応器内容物に充填し、2つの塔頂受容器(各々0.410g)、冷却トラップ(0.3g)、及び蒸留塔の頂(0.50g)を含む4つの部分にした。次いで、パージ(7%のO/N、40sccm)を、再沸流体中で開始した。次いで、触媒(C1)(2.9g)及びMMA(298.77g)を反応器内に充填した。反応器の設定点を加熱して、64℃以下の塔頂温度で還流させ、揮発性物質を除去した。反応を6時間保持し、その最中、反応器内容物を真空下に保ち、還流及び103℃のポット温度を維持し、揮発性物質を回収した(35.4g)。反応器内容物を試験して(GC)、変換率を求めた(GC;変換率96.3%)。次いで、真空を535mmHgまで引き、反応器内容物を103℃まで加熱し、塔頂取り出しを40の還流比に設定し、2.5時間保持した。次いで、真空を10mmHgまで引き、反応器内容物を118℃まで加熱し、1時間維持しながら、揮発性物質を除去し(204.31g、冷却トラップ内に19.03g)、メタクリロキシ官能性有機ケイ素化合物を含む生成物(544.02g、メタクリロキシエステルへの変換率100%(GC)、物質収支97.2%)を、白色粉末が沈降している黄色で濁った材料として得た。アクリロキシ官能性有機ケイ素生成物は、以下の構造:
【0044】
【化8】

を有し、本明細書でカルボシロキサンモノマー(M3)と呼ぶ場合がある。
【0045】
実施例1:ポリマー合成
半月形のTeflon(登録商標)ブレードに接続されたガラス棒プロペラ、コンデンサ及び熱電対を備えた1リットル丸底フラスコをポリマー合成に使用した。プロペラはオーバーヘッドメカニカルスターラによって駆動された。熱電対をJ-KEM温度コントローラに接続し、空気式ポットリフタ(potlifter)に入力を提供して所望の温度を達成した。フラスコに最初にエタノール(200プルーフエタノール中に4.76%イソプロパノールを含有する132.39gのSDA 3-Cグレード)を入れ、温度コントローラを80℃に設定した。窒素雰囲気生成装置を適用して同伴空気を除去し、プロペラを100rpmに設定した。別の2リットルのガラスジャーにおいて、n-ブチルアクリレート(10g)、カルボシロキサンモノマー(M2)(40g)、メチルメタクリレート(94g)、氷メタクリル酸(36g)及びヒドロキシエチルメタクリレート(20g、ROCRYL 400LI、The Dow Chemical Companyから入手可能)を含むモノマー混合物を調製した。tert-アミルペルオキシピバレート(3.43g、Trigonox 125-C75、ミネラルスピリット中75%活性)をエタノール(86.99gのSDA 3-Cグレード)で希釈することによって、共供給開始剤(co-fed initiator)溶液を調製した。フラスコ内容物の温度が50℃に達したとき、モノマー混合物(10g)をフラスコ内に供給した。フラスコ内容物が78℃に達したとき、モノマー混合物の残り及び共供給開始剤溶液を、それぞれ1.06g/分及び0.50g/分の速度でフラスコに計量供給した。目標供給時間は180分であった。還流条件を維持するために適度な熱を加え続けた。温度は77.8℃から80.6℃まで徐々に上昇し、反応混合物はわずかに泡状になった。粘度はわずかに増加したようであり、撹拌速度は供給の50%で120rpmに上昇し、バッチの終わりまで同じままであった。モノマー供給が完了したら、エタノール(23.68g、SDA 3-Cグレード)をモノマー混合容器に添加し、フラスコ中にすすぎ入れた。フラスコ内容物を80℃で30分間保持した。次いで、エタノール(17.14g、SDA 3-Cグレード)中のtrigonox 125-C75(5.08g)の2回の化学追跡を、0.74g/分の速度で30分間にわたってフラスコに計量供給し、2回の追跡の間に30分間保持した。次に、バッチを更に90分間保持した後、空冷によって急冷した。エタノール(132.70g、SDA 3-Cグレード)を最終希釈として冷却中にフラスコ内容物に添加した。生成物ポリマー中の式(I)のモノマーの残留含有量を液体クロマトグラフィーによって測定し、結果を表2に示した。
【0046】
比較例C1及び実施例2~6:ポリマー合成
比較例C1及び実施例2~6のポリマーは、実質的に実施例1に記載されるように調製されたが、適切な変更は、表2に記載されるように使用されるモノマー混合物を反映して行われた。生成物ポリマー中の式(I)のモノマーの残留含有量を液体クロマトグラフィーによって測定し、結果を表2に示した。
【0047】
【表2】
【0048】
ポリマー特性
比較例C1及び実施例1~6に従って調製したポリマーを、固形分重量%、実験室条件下で#2スピンドルを12rpmで使用するブルックフィールド粘度、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によるガラス転移温度T、重量平均分子量M及び数平均分子量Mについて分析した。結果を、表3に提供する。
【0049】
【表3】
【0050】
比較例CF1~CF2及び実施例F1~F6:ヘアスタイリング配合物
比較例CF1~CF2及び実施例F1~F6のそれぞれにおいて、表4に記載された量の成分を組み合わせることによってヘアスタイリング配合物を調製した。相Aの成分を、混合しながら1つずつ容器に添加した。次いで、相C成分を容器に添加した。次いで、相B成分を容器にゆっくり添加し、添加と添加の間に内容物を透明にした。配合物を、それぞれスプレーノズルを備えた別々のボトルに入れた。
【0051】
【表4】
【0052】
実施例S:ヘアスタイリングプロセス
髪房(長さ8インチ、3g、International Hair Importersから入手可能なVirgin Brown)を、5.5L/分の流量の40℃の水道水で30秒間濡らし(1つずつ)、次いで、毛髪1グラム当たり0.6gのSuave Clarifying Shampooを、穏やかな垂直ストロークを使用して30秒間毛髪にマッサージし、次に、約5.5L/分の流量で40℃の水道水の下で1分間最終すすぎを行い、各房を、人差し指と中指で2回引くことにより、過剰な水を髪から除去し、コームでもつれを解き、次いで0.22mmの磁気硬質プラスチックローラの周りに巻きつけた。次いで、包まれた房を温度制御された部屋に一晩吊るして乾燥させた。翌日、その房を個別に、8インチの距離からヘアスタイリング配合物をカールの片側につき3回スプレーし、試験前に1時間空気乾燥させた。
【0053】
吸水試験
実施例Sのプロセスに従って比較例CF1~CF2及び実施例F1~F3のヘアスタイリング配合物で処理及びスタイリングした髪房を、各房上に5滴の水滴(各20μL)を付け、2滴の液滴が毛髪に吸収されるのにかかる時間を観察することによって、水吸収について3回試験した。平均結果を、表5に提供する。
【0054】
【表5】
【0055】
高湿度カール保持
実施例Sのプロセスに従って比較例CF1~CF2及び実施例F1~F3のヘアスタイリング配合物で処理及びスタイリングした髪房をローラから取り出し、25℃及び相対湿度70~80%の湿度チャンバ内に吊るし、ローラ内のカールの元の長さに対するカール保持率(%)を、開始時及び24時間にわたる複数のチェックポイントで測定した。様々なチェックポイントで測定されたカールの長さを表6に示す。高湿度カール保持試験は、カールの初期長さが全てのサンプル間で同じである場合、数時間後、実施例1及び3の本発明の固定剤ポリマーは、比較ポリマーと統計的に同等の性能を示し、実施例2の本発明の固定剤ポリマーは、優れた性能を示すことを示した。
【0056】
【表6】
【0057】
カール圧縮
実施例Sのプロセスに従って比較例CF1~CF2及び実施例F1~F3のヘアスタイリング配合物で処理及びスタイリングされた髪房をローラから取り出し、ヘアスタイリング配合物当たり6つの複製房で房当たり合計5サイクルを通してカール圧縮について評価した。ピーク力を、サイクル1の圧縮及びサイクル5の圧縮について全ての房にわたって比較した。サイクル1の圧縮及びサイクル5の圧縮について各ヘアスタイリング配合物の平均ピーク力を、剛性保持と共に表7に報告する。サイクル1及びサイクル5の圧縮からのデータは、比較例CF1の市販のポリマーによって示されるものよりも、実施例1~3の本発明の固定剤ポリマーについてより柔軟な保持を示し、これは、本発明の固定剤ポリマーで処理された房の剛性が、一般に、比較ポリマーよりも低かったことを意味する。より自然な感触及びスタイルを毛髪に提供するために、より少ない剛性保持が消費者によって考慮され得る。剛性保持率も全てのサンプルについて観察された。本発明の固定剤ポリマーはより柔軟な保持を示したが、本発明の配合物によって示される剛性保持のレベルは、比較ポリマーよりも良好であった。
【0058】
【表7】

撥水性及び撥皮脂性
ポリマーフィルムの撥水性及び撥皮脂性は、表面エネルギーによって強く影響を受ける。ヘアスタイリング用途には、高い撥水性及び撥皮脂性が望ましい。固定剤ポリマーの撥水性及び撥皮脂性は、固定剤ポリマーフィルム表面からの水接触角及び皮脂接触角を測定することによって評価され得る。具体的には、フィルムを、受け取ったままのポリマー溶液から、6ミル(0.1524mm)に設定されたギャップを有するドクターブレードフィルムアプリケータを使用して、表8に記載されたポリマーから黒色プラスチックチャート(Lenetaから入手可能)上にコーティングし、フィルムを環境制御室(72°F及び50%RH)内で少なくとも72時間空気乾燥させた。水又は皮脂の液滴を、液滴形状分析器(Kruss DSA100)を使用して基材上に堆積させた後、水接触角及び皮脂接触角の両方を、およそ4秒及び200秒で測定した(度)。皮脂接触角の測定のために、表9に記載される組成を有する人工皮脂溶液を調製した。水接触角及び皮脂接触角の測定の結果を、表8に示す。表8に報告される接触角保持率は、以下の式に従う。
保持率(%)=[(時間=200秒での接触角)/(時間=4秒での接触角)]100
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【国際調査報告】