IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オキュラス ブイアール,エルエルシーの特許一覧

特表2023-552518湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法
<>
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図1
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図2
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図3
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図4
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図5
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図6
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図7
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図8
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図9
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図10
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図11
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図12
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図13
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図14
  • 特表-湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】湾曲傾斜屈折率導波路およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20231211BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B6/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530561
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021062672
(87)【国際公開番号】W WO2022125813
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/123,853
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/180,608
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ウーダーカーク, アンドリュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イェ, ション
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, ティンリン
【テーマコード(参考)】
2H038
2H199
【Fターム(参考)】
2H038AA41
2H038BA01
2H038BA06
2H199CA12
2H199CA66
2H199CA82
2H199CA96
(57)【要約】
ポリマー導波路の幅および長さ寸法に沿って光を伝搬させるためのポリマー導波路が開示される。ポリマー導波路は、その一方の側に第1の湾曲面を有し、その反対側の第2の側に第2の湾曲面を有し、第1の湾曲面と第2の湾曲面との間でその厚さによって屈折率が空間的に変化する。ポリマー導波路は、幅および長さ寸法の少なくとも一方を含む断面において湾曲している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー導波路の幅および長さ寸法に沿って光を伝搬させるための前記ポリマー導波路であって、前記ポリマー導波路は、その一方の側に第1の湾曲面を有し、その反対側の第2の側に第2の湾曲面を有し、前記ポリマー導波路は、前記第1の湾曲面と前記第2の湾曲面との間でその厚さによって空間的に変化する屈折率を有し、前記ポリマー導波路は、前記幅および長さ寸法の少なくとも一方を含む断面において湾曲している、ポリマー導波路。
【請求項2】
前記第1の湾曲面が凹面であり、前記第2の湾曲面が凸面であり、前記屈折率が前記凹面から前記凸面に向かって単調に減少する、請求項1に記載のポリマー導波路。
【請求項3】
前記第1の湾曲面が凹面であり、前記第2の湾曲面が凸面であり、前記屈折率の空間プロファイルが、前記凹面から前記凸面に進む際に、ほぼ放物線状であり、
好ましくは、前記導波路が、前記凹面と前記凸面との間に湾曲した中央平面を有し、前記屈折率が、前記湾曲した中央平面と前記凹面および前記凸面の各々との間で減少し、
さらに好ましくは、前記凸面における前記屈折率が、前記凹面における前記屈折率よりも低い、請求項1または2に記載のポリマー導波路。
【請求項4】
前記第1の湾曲面および前記第2の湾曲面が単純な曲線に従う、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー導波路。
【請求項5】
前記第1の湾曲面および前記第2の湾曲面が複合曲線に従う、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー導波路。
【請求項6】
ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、それらの共重合体、およびこれらの混合物のうちの1つ以上を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー導波路。
【請求項7】
前記長さ方向に沿った長さおよび前記幅方向に沿った幅を有し、前記ポリマー導波路の前記長さと前記ポリマー導波路の前記厚さとの比、および前記ポリマー導波路の前記幅と前記湾曲導波路の前記厚さとの比が両方とも少なくとも10:1である、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー導波路。
【請求項8】
屈折率がポリマー導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する方法であって、
少なくとも第1の樹脂の層および第2の樹脂の層を含む積層構造を形成することであって、前記第1の樹脂は重合時に第1の屈折率を有し、前記第2の樹脂は重合時に前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する、形成することと、
前記積層構造の厚み方向において、前記複合樹脂中の前記第1の樹脂に対する前記第2の樹脂の割合が異なる複合樹脂構造を形成するために、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂とが互いに拡散することを可能にすることと、
前記複合樹脂構造を重合することと、
前記重合した複合樹脂構造を所定の湾曲形状に形成することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記積層構造を形成することは、
前記第1の樹脂を、拡散チャネルの第1の末端にある複数の入口のうちの第1の入口に流入させることであって、前記拡散チャネルが前記第1の末端とは反対側の第2の末端に出口を含み、チャネル長だけ前記複数の入口から分離されている、流入させることと、
前記第2の樹脂を前記複数の入口のうちの第2の入口に流入させることであって、前記第2の樹脂の流れが前記第1の樹脂の第1の外周に沿って導かれる、流入させることと、
を含み、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂が、前記複数の入口と前記出口との間の前記チャネル長にわたって互いに拡散する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂が、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、それらの共重合体、およびこれらの混合物からなる群から選択され、
好ましくは、前記所定の湾曲形状は、実質的に球体の一部および実質的に円筒の一部のうちの少なくとも一方を含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記積層構造において前記第1の樹脂が前記第2の樹脂と前記第1の樹脂との間に配置され、第3の樹脂が重合時に前記第1の屈折率とは異なる第3の屈折率を有するように、前記第1の外周の反対側の前記第1の樹脂の第2の外周に沿って前記第3の樹脂の層を形成することをさらに含み、
好ましくは、前記第1の屈折率が前記第3の屈折率よりも高く、前記第2の屈折率が前記第1の屈折率よりも低く、かつ前記第3の屈折率以下である、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
屈折率が湾曲導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を作製する方法であって、
堆積チャンバ内に基板を設けることと、
蒸気を含有するモノマーを前記堆積チャンバ内に導入し、前記蒸気を含有するモノマーからの材料を一定期間にわたって前記基板の表面上に堆積させることと、
前記基板上に堆積される前記材料の組成が一定期間にわたって変化するように、一定期間にわたって蒸気を含有する前記モノマー中の第1のモノマーの量と第2のモノマーの量との比を制御可能に変化させることと、
前記第1のモノマーが重合時に第1の屈折率を有し、前記第2のモノマーが重合時に第2の屈折率を有し、前記第2の屈折率が前記第1の屈折率とは異なり、
前記基板上に堆積された前記材料を重合させることと、
を含む方法。
【請求項13】
前記基板の前記表面が、実質的に球体の一部および実質的に円筒の一部の少なくとも一方を含む湾曲形状を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
蒸気を含有する前記モノマーが開始剤を含み、
好ましくは、蒸気を含有する前記モノマーからの材料を前記基板上に堆積させることは、ラジカルを形成するための前記開始剤を開始させるためのエネルギーを提供するために、化学線源および熱源の少なくとも一方を使用して前記開始剤を開始させることをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の前記表面が凸形状を有し、蒸気を含有する前記モノマー中の前記第2のモノマーの量に対する前記第1のモノマーの量の比が前記期間にわたって減少し、前記第1の屈折率が前記第2の屈折率よりも大きい、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月10日に出願された「Curved Graded-Index Waveguides and Methods of Making the Same」と題する米国仮出願第63/123,853号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、ディスプレイ装置に関する。より詳細には、本開示は、拡張現実(AR)眼鏡などのヘッドマウントディスプレイ装置用の導波路に関する。
【背景技術】
【0003】
人工現実システムは、一般に、コンテンツをユーザに提示するように構成されたニアアイディスプレイ(たとえば、ヘッドセットまたは眼鏡)を含むことができる。ニアアイディスプレイは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)応用のように、仮想物体を表示し得るか、または実物体の画像を仮想物体と組み合わせ得る。たとえば、ARシステムでは、ユーザは、表示光と環境光とがユーザの視野内で1つとして融合する物理的構造である「コンバイナ」構成要素を通して見ることによって、仮想オブジェクト(たとえば、コンピュータ生成画像(CGI))および周囲環境の両方の画像を見ることができる。ウェアラブルヘッドアップディスプレイのコンバイナは、典型的には環境光に対して透明であるが、表示光をユーザの視野内に向けるための何らかの光ルーティング光学系を含む。
【0004】
着用可能なヘッドアップディスプレイは、透明または半透明のコンバイナとしてライトガイドを使用することができる。ライトガイドは、典型的には、周囲の媒体よりも高い屈折率を有する透明材料のプレートからなる。プレートに入力された光は、プレートと周囲媒体との間の境界において臨界角を超える角度で入射し続ける限り、プレートの長さに沿って伝播する。ライトガイドは、ユーザに見える画像を生成するために、光が導波路に沿って特定の経路を辿り、次いで特定の位置で導波路を出ることを保証するために、イン結合素子およびアウト結合素子を使用する。ライトガイドは、表示される画像の歪みを防止するために、結合された光ビームの輝度の角度分布をユーザの目に正確に伝える必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、ポリマー導波路の幅および長さ寸法に沿って光を伝搬させるためのポリマー導波路が提供され、ポリマー導波路は、その一方の側に第1の湾曲面を有し、その反対側の第2の側に第2の湾曲面を有し、ポリマー導波路は、第1の湾曲面と第2の湾曲面との間でその厚さによって空間的に変化する屈折率を有し、ポリマー導波路は、幅または長さ寸法の少なくとも一方を含む断面において湾曲している。
【0006】
一実施形態では、第1の湾曲面が凹面であり、第2の湾曲面が凸面であり、屈折率が凹面から凸面に向かって単調に減少する。一実施形態では、第1の湾曲面が凹面であり、第2の湾曲面が凸面であり、屈折率の空間プロファイルが、凹面から凸面に進む際に、ほぼ放物線状である。一実施形態では、ポリマー導波路は、凹面と凸面との間に湾曲した中央面を有することができ、屈折率は、湾曲した中央平面と凹面および凸面の各々との間で減少する。一実施形態では、凸面における屈折率は、凹面における屈折率よりも低い。一実施形態では、第1の湾曲面および第2の湾曲面は、単純な曲線に従うことができる。一実施形態では、第1の湾曲面および第2の湾曲面は複合曲線に従うことができる。いくつかの実施形態では、ポリマー導波路は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、それらの共重合体、およびそれらの混合物のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態では、ポリマー導波路は、長さ方向に沿った長さおよび幅方向に沿った幅を有し、ポリマー導波路の長さとポリマー導波路の厚さとの比、およびポリマー導波路の幅と湾曲導波路の厚さとの比が両方とも少なくとも10:1である。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、屈折率がポリマー導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する方法が提供され、本方法は、少なくとも第1の樹脂の層および第2の樹脂の層を含む積層構造を形成することであって、第1の樹脂は重合時に第1の屈折率を有し、第2の樹脂は重合時に第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する、形成することと、積層構造の厚み方向において、複合樹脂中の第1の樹脂に対する第2の樹脂の割合が異なる複合樹脂構造を形成するために、第1の樹脂と第2の樹脂とが互いに拡散することを可能にすることと、複合樹脂構造を重合することと、重合した複合樹脂構造を所定の湾曲形状に形成することと、を含む。
【0008】
一実施形態では、積層構造を形成することは、第1の樹脂を、拡散チャネルの第1の末端にある複数の入口のうちの第1の入口に流入させることであって、拡散チャネルが第1の末端とは反対側の第2の末端に出口を含み、チャネル長だけ複数の入口から分離されている、流入させることと、第2の樹脂を複数の入口のうちの第2の入口に流入させることであって、第2の樹脂の流れが第1の樹脂の外周に沿って導かれる、流入させることと、を含む。一実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、複数の入口と出口との間のチャネル長にわたって互いに拡散する。いくつかの実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、それらの共重合体、およびそれらの混合物を含む群から選択されてもよい。一実施形態では、所定の湾曲形状は、実質的に球体の一部および実質的に円筒の一部の少なくとも一方を含む。一実施形態では、本方法は、第1の樹脂が積層構造内の第2の樹脂と第1の樹脂との間に配置されるように、第1の外周の反対側の第1の樹脂の第2の外周に沿って第3の樹脂の層を形成することをさらに含む。一例では、第3の樹脂は、重合されると、第1の屈折率とは異なる第3の屈折率を有する。一例では、第1の屈折率は第3の屈折率よりも高く、第2の屈折率は第1の屈折率よりも低く、また第3の屈折率以下である。一実施形態では、複合樹脂構造内の第1の樹脂に対する第2の樹脂の比の変化は、湾曲ポリマー導波路内に所定の屈折率プロファイルを生成するように、すなわち、重合複合樹脂構造が所定の湾曲形状に形成された後に選択される。
【0009】
本開示の第3の態様によれば、屈折率が湾曲導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を作製する方法が提供され、本方法は、堆積チャンバ内に基板を設けることと、モノマー含有蒸気を堆積チャンバ内に導入し、モノマー含有蒸気からの材料を一定期間にわたって基板の表面上に堆積させることと、基板上に堆積される材料の組成が一定期間にわたって変化するように、一定期間にわたってモノマー含有蒸気中の第1のモノマーの量と第2のモノマーの量との比を制御可能に変化させることと、第1のモノマーが重合時に第1の屈折率を有し、第2のモノマーが重合時に第2の屈折率を有し、第2の屈折率が第1の屈折率とは異なり、基板上に堆積された材料を重合させることと、を含む。
【0010】
一実施形態では、基板の表面は、実質的に球体の一部および実質的に円筒の一部の少なくとも一方を含む湾曲形状を有する。一実施形態では、モノマー含有蒸気は、開始剤を含む。一実施形態では、モノマー含有蒸気からの材料を基板上に堆積させることは、ラジカルを形成するための開始剤を開始させるためのエネルギーを提供するために、化学線源および熱源の少なくとも一方を使用して開始剤を開始させ、それによって堆積した材料を重合させることをさらに含む。一実施形態では、基板の表面は凸形状を有する。一実施形態では、モノマー含有蒸気中の第1のモノマーの量の第2のモノマーの量に対する比は、一定期間にわたって減少する。一実施形態では、第1の屈折率は第2の屈折率よりも大きい。
【0011】
屈折率が湾曲導波路の厚さにわたって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を作製する方法も記載され、本方法は、単一の屈折率を有するポリマー材料を含む湾曲体を製造することであって、湾曲体が、第1の主面と、第1の主面の反対側の第2の主面と、第1の主面と第2の主面との間の厚さと、を有する、製造することと、第1の主面および第2の主面の一方を保護することと、第1の主面および第2の主面のうちの他方を、開始剤と、重合されたときにポリマー材料の単一屈折率とは異なる屈折率を有するモノマーと、を含む溶液に曝すことと、ポリマー材料中のモノマーの濃度勾配が第1の主面と第2の主面との間の厚さの少なくとも一部内に形成されるように、モノマーをポリマー材料中に拡散させることと、ポリマー材料内で拡散モノマーを重合させることと、を含む。
【0012】
また、屈折率が湾曲導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を作製する方法も記載され、本方法は、湾曲基板を提供することと、基板上に重合されたときに第1の屈折率を有する第1の材料の第1の浸漬コーティング層を適用することと、第1の材料の層を重合することと、第1の材料の層上に重合されたときに第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の材料の第2の浸漬コーティング層を適用することと、第2の材料の層を重合することと、を含む。
【0013】
ここで、本開示を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路構造を示す断面図である。
図2】傾斜屈折率プロファイルを有する別の湾曲導波路構造を示す断面図である。
図3】傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を製造するための樹脂フローシステムを示す断面図である。
図4図3の樹脂フローシステムの第1の末端における第1および第2の樹脂の互いへの拡散を示す簡略図である。
図5図3のシステムの第2の末端内の第1および第2の樹脂の互いへのさらなる拡散を示す簡略図である。
図6】代替構成を有する樹脂フローシステムの入口領域の縦断面図である。
図7】別の代替構成を有する樹脂フローシステムの入口領域の縦断面図である。
図8】所望の形状へのその後の形成のためのライナ上への導波路シートの製造を示す等角図である。
図9】z方向に空間的に変化する屈折率を有する平面導波路構造の等角図である。
図10図9の平面導波路構造の断面図である。
図11】一次元傾斜屈折率導波路デバイスにおける光線束伝搬を示す図である。
図12】屈折率がポリマー導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する方法の簡略化されたフロー図である。
図13】傾斜屈折率を有する湾曲導波路を製造するための開始化学気相成長(iCVD)システムを示す簡略図である。
図14】屈折率がポリマー導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する別の方法の簡略化されたフロー図である。
図15】本開示の導波路を使用するニアアイディスプレイの平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本教示は様々な実施形態および例と併せて記載されているが、本教示がそのような実施形態および例に限定されることは意図されていない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるような様々な代替物および均等物を包含する。本開示の原理、態様、実施例、および実施形態を列挙する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、このような均等物には、現在知られている均等物と将来開発される均等物の両方、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発されたあらゆる要素が含まれることを意図している。
【0016】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書で使用される場合、連続した順序付けを意味するものではなく、明記されていない限り、ある要素と別の要素を区別するものである。同様に、方法ステップの連続した順序付けは、明記されていない限り、方法ステップの実行の連続した順序を意味するものではない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「樹脂」という用語は、ポリマーに変換可能な、典型的には合成起源であるが場合により植物起源の固体または粘性の流動性物質として定義される。樹脂は、以下の成分、すなわちモノマー、オリゴマー、開始剤、可塑剤、溶媒、他の適切な添加剤のいずれかまたはすべてを含んでもよい。「単純な曲線」という用語は、たとえば平板を曲げることまたは同様の簡単な操作によって容易に形成することができる曲線を示す。一例は、円筒状メニスカス形状である。「複合曲線」という用語は、たとえば、球形または非球形のメニスカス形状を意味すると解釈される。
【0018】
例示的な実施形態は、様々な視覚ディスプレイシステム、たとえば、たとえば拡張現実(AR)または仮想現実(VR)眼鏡などのウェアラブルヘッドアップディスプレイシステムで使用するための湾曲ポリマー導波路を提供する。顔装着型デバイスにおける湾曲導波路の使用は、異常な反射または煩雑な反射を低減し、眼科用レンズのより身近な外観をシミュレートすることによって、それらの社会的受容性を改善することができる。湾曲導波路の1つの欠点は、比較的小さな導波路曲率であっても、全内部反射によって光が進む方向に沿って波面誤差(すなわち、コリメーションの喪失)が増大することである。ビーム歪みを補正するための1つの解決策は、以下でより詳細に説明するように、湾曲した主面間の厚さによって空間的に変化する屈折率プロファイルを有する湾曲導波路を形成することである。
【0019】
湾曲傾斜屈折率(GRIN)導波路構造
図1は、傾斜屈折率(GRIN)プロファイルを有する例示的な湾曲導波路構造100を示す断面図である。湾曲GRIN導波路構造100は、第1の主面105および第2の主面110を有する。図1において、第1の主面105は凹面(目に面する面)であり、第2の主面110は凸面(世界に面する面)である。湾曲導波路構造100は、第1の主面105と第2の主面110との間に画定された厚さTと、長さ寸法(たとえば、図1のy方向)に沿って画定された長さと、幅寸法(たとえば、図1のx方向)に沿って画定された幅とを有する。図1に示すように、湾曲導波路構造100は、幅寸法および長さ寸法の少なくとも一方を含む断面において湾曲している。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路構造100は、(図1に示すように)YZ平面内および/または(図示しない)XZ平面内で単純な曲線に従う形状を有する。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路構造100は、YZ平面および/またはXZ平面において複合曲線に従う形状を有する。
【0020】
さらに図1を参照すると、第1の主面105と第2の主面110との間の屈折率の空間プロファイル115は、湾曲GRIN導波路100の曲率を少なくとも部分的に補償し、それにより、湾曲導波路構造100を伝搬する入射光120は、導波路曲率によって、すなわち、導波路構造100が平面平行板ではないことによってもたらされる歪みを実質的に伴わずに角度領域の画像を搬送する。厚さTにわたる屈折率変化は、湾曲した第1の主面105および第2の主面115に起因する画像歪みを減少させる入射光120の光線の屈曲を容易にするように選択される。屈折率は、湾曲面105および110に平行に延在する湾曲面に沿って、直交方向(x方向およびy方向)において実質的に一定のままであってもよい。いくつかの例では、厚さTはx方向およびy方向で一定のままである。
【0021】
図1に示す例では、屈折率は、第1の主面105と第2の主面110との間で変化する。屈折率は、単調または非単調に変化し得、傾斜屈折率(GRIN)プロファイルによって記述され得る。屈折率は、凹状の第1の面105から凸状の第2の面115に向かうにつれて減少してもよい。いくつかの例では、凹面(第1の主面105)から凸面(第2の主面110)に向かう際の屈折率の空間プロファイルは、非対称放物線を含むほぼ放物線状である。いくつかの例では、凹面(第1の主面105)に最も近い屈折率は、凸面(第2の主面110)に最も近い屈折率よりも、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.15、少なくとも0.2、または少なくとも0.3大きい。いくつかの例では、屈折率の空間的変動は少なくとも0.001/μm、少なくとも0.002/μm、少なくとも0.005/μm、または少なくとも0.01/μmである。いくつかの例では、長さ寸法(たとえば、図1のy方向)に沿った導波路100の長さと厚さTとの比、および幅寸法(たとえば、図1のx方向)に沿った導波路100の幅と厚さTとの比は、両方とも少なくとも10:1である。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路100の曲率半径は2メートル、1メートル、0.5メートル、0.25メートル、0.1メートル、または0.05メートル以下である。
【0022】
いくつかの例では、湾曲GRIN導波路100は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、他の光学的に透明なポリマー、それらのコポリマー、または1つ以上のポリマーもしくはコポリマーの混合物、または異なるポリマー、共重合体、およびそれらの混合物の層から製造される。
【0023】
いくつかの例では、多分散指数(Mw/Mn)は、10未満、または5未満、または2未満である。多分散指数は、数による平均分子量(Mn)に対する重量による平均分子量(Mw)の比によって決定される。一例では、分子量および数平均をサイズ排除クロマトグラフィーによって決定する。いくつかの例では、ポリマーは、モノマー1分子当たりの架橋数が約0.001、0.01、または0.1以上で架橋されている。
【0024】
湾曲GRIN導波路100の他の特徴は、そのような構成要素を製造するための異なるシステムおよび方法を参照してより詳細に説明され、これについては以下でさらに検討する。
【0025】
図2は、第1の主面205と第2の主面210との間に中央層225を有する湾曲導波路構造200の主要な特徴を示す断面図である。湾曲GRIN導波路構造200は、第1の主面205および第2の主面210を有する。図2において、第1の主面205は凹面(目に面する面)であり、第2の主面210は凸面(世界に面する面)である。湾曲導波路構造200は、第1の主面205と第2の主面210との間に画定された厚さTと、長さ寸法(たとえば、図2のy方向)に沿って画定された長さと、幅寸法(たとえば、図2のx方向)に沿って画定された幅とを有する。図2に示すように、湾曲導波路構造200は、幅寸法および長さ寸法の少なくとも一方を含む断面において湾曲している。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路構造200は、(図2に示すように)YZ平面内および/または(図示しない)XZ平面内で単純な曲線に従う形状を有する。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路200は、YZ平面および/またはXZ平面において複合曲線に従う形状を有する。
【0026】
引き続き図2を参照すると、第1の主面205と第2の主面210との間の屈折率の空間プロファイル215は、湾曲GRIN導波路200の曲率を補償し、それにより、導波路200を通って伝播する入射光220は、導波路曲率によって、すなわち、平面平行板ではない導波路構造200によって導入される歪みなしに角度領域で画像を担持する。屈折率は、湾曲面205,210に平行な面に沿う直交方向(x方向およびy方向)においてほぼ一定である。
【0027】
湾曲GRIN導波路200の中央層225は、第1の主面205と第2の主面210との中間に配置されてもよく、中央層225の屈折率は、第1の主面205に隣接する屈折率よりも高くてもよく、第2の主面210に隣接する屈折率よりも高い。傾斜屈折率プロファイルは、中央層225に関して非対称または対称であってもよい。いくつかの例では、中央層225における屈折率は、第1の主面205および/または第2の主面210に隣接する屈折率よりも少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.05、または少なくとも0.10高い。いくつかの例では、中央層225は、表面210よりも表面205に近くてもよい。
【0028】
いくつかの例では、長さ寸法(たとえば、図2におけるy方向)に沿った導波路200の長さと厚さTとの比、および幅寸法(たとえば、図2におけるx方向)に沿った導波路200の幅と厚さTとの比は、両方とも少なくとも10:1である。いくつかの例では、湾曲GRIN導波路200の曲率半径は2メートル、1メートル、0.5メートル、0.25メートル、0.1メートル、または0.05メートル以下である。
【0029】
いくつかの例では、湾曲GRIN導波路200は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、他の光学的に透明なポリマー、それらのコポリマー、または1つもしくは複数のポリマーもしくはコポリマーの混合物、または異なるポリマー、共重合体、およびそれらの混合物の層から製造される。
【0030】
いくつかの例では、多分散指数(Mw/Mn)は、10未満(または5未満または2未満)である。多分散指数は、数による平均分子量(Mn)に対する重量による平均分子量(Mw)の比によって決定される。一例では、分子量および数平均をサイズ排除クロマトグラフィーによって決定する。
【0031】
湾曲GRIN導波路200の他の特徴は、そのような構成要素を製造するための異なるシステムおよび方法を参照してより詳細に説明され、これについては以下でさらに検討する。
【0032】
湾曲GRIN導波路の作製
たとえばARまたはVRガラスなどのウェアラブルヘッドアップディスプレイシステムにおけるディスプレイの使用に適した湾曲GRIN導波路の製造は、1)中間導波路構造の製造とそれに続く所望の最終湾曲形状を得るための後続の成形ステップ、および2)所望の最終湾曲形状を有する導波路構造の直接製造の2つの広いカテゴリに分けることができる。一般に、中間導波路構造のその後の成形は、たとえば導波路材料の延伸および/または圧縮に起因して、最終的な導波路構造における屈折率勾配プロファイルに影響を及ぼし得る。いくつかの例では、中間導波路構造の組成は、中間導波路構造が最終的な所望の湾曲形状に成形された後に所望の屈折率プロファイルを生成するように製造される。
【0033】
以下に説明する製造方法は、複数の望ましい特性を示す湾曲GRIN導波路構造を製造することができる。たとえば、非限定的な例として、製造方法は、互いに平行であり、表面の欠陥または不規則性が実質的にない主要な湾曲面を有する湾曲GRIN導波路構造を生成することができる。別の非限定的な例として、製造方法は、屈折率プロファイルが主湾曲面に垂直な方向に沿って連続的または不連続的に変化し、屈折率が主湾曲面に平行に延在する湾曲面に沿って実質的に均一である湾曲導波路構造を生成することができる。
【実施例
【0034】
実施例1:樹脂共流動
ここで図3を参照すると、屈折率が導波路の厚さによって空間的に変化するGRINプロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する方法で使用するための樹脂フローシステム300の等角図が示されている。樹脂フローシステム300は、中央入口305、外側入口310a、および外側入口310bを含む、樹脂フローシステム300の第1の末端に配置された複数の入口を含む。出口320は、樹脂フローシステム300の第2の末端に配置されている。チャネル315は、入口305、310a、310bから出口320へと樹脂材料の流れを導くために、第1の末端と第2の末端との間に延在する。図3に示すように、チャネル315は、(x方向の)幅W、(z方向の)高さH、および(y方向の)長さLを有する。一例では、幅Wは高さHの少なくとも2倍である。別の例では、幅Wは高さHの少なくとも5倍である。さらに別の例では、幅Wは高さHの少なくとも10倍である。
【0035】
中央入口305は、第1の樹脂(たとえば、メチルメタクリレート)の(図示していない)供給源と流体連通しており、外側入口310aおよび310bは、第2の樹脂(たとえば、ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)の図示していない供給源と流体連通している。使用中、第1の樹脂は第1の入口305を介してチャネル315に導入され、第2の樹脂は外側入口310aおよび310bを介してチャネル315に導入される。入口305、310aおよび310bは、領域325において第1の樹脂および第2の樹脂を互いに接触させ、それによってチャネル315内に層状の樹脂流を作り出すように構成されている。第1の樹脂および第2の樹脂は、チャネル315の長さLに沿って流れる際に部分的に拡散または混合され、それによって出口320を介してシステム300を出る複合樹脂を生成してもよい。
【0036】
図4は、樹脂フローシステム300の第1の末端400における第1および第2の樹脂の互いへの拡散を示す簡略図である。第1の樹脂は、チャネル315のほぼ中間の高さで中央入口305を介して導入される。第2の樹脂は、外側入口310aおよび310bを介して導入され、領域325において第1の樹脂と接触し、チャネル315の壁と第1の樹脂の層との間の空間を満たす。入口305、310aおよび310bを介して追加の樹脂を導入すると、チャネル315内に流れが生じる。図4に示すように、第1の樹脂および第2の樹脂は、領域325と領域405との間を流れる間に互いに拡散し始める。
【0037】
図5は、樹脂フローシステム300の第2の末端500内の第1および第2の樹脂の互いへのさらなる拡散を示す簡略図である。より詳細には、図5は、図4の領域405の下流での第1の樹脂および第2の樹脂の互いへの拡散を示す。第2の樹脂は、第1の樹脂の両側に沿って別々の流れとして導入されるため、拡散は、チャネル315の中央高さで平面Pに関してほぼ対称的に生じる。開始剤、溶媒などの添加剤、チャネル315内の第1の樹脂および第2の樹脂の流速/滞留時間、チャネル315の寸法、第1の樹脂および第2の樹脂の加熱/照射などを含む第1の樹脂および第2の樹脂の組成物は、出口320に近接する領域505で所望の複合樹脂を生成するために、第1の樹脂および第2の樹脂の互いへの拡散に影響を与える。
【0038】
複合樹脂は、出口320を介してチャネル315から出て、基板上に堆積される(図8を参照してより詳細に説明される)。第1および第2の樹脂の相互への拡散は、各樹脂が十分に重合する点まで続く。チャネル315内で発生し、基板上に堆積された後の拡散の組合せは、湾曲GRIN導波路構造に所望の屈折率プロファイルを作り出す。所望の拡散の大部分がチャネル315内で生じる場合、好ましくは、チャネル315は約100cm以下である。あるいは、チャネル315は、約10cm以下である。さらに代替的に、チャネル315は、約1cm以下の幅である。チャネル315内の平均流量は、100cm/分未満であってもよい。あるいは、チャネル315内の平均流量は、20cm/分未満であってもよい。さらに、あるいは、チャネル315内の平均流量は、10cm/分未満であってもよい。
【0039】
いくつかの例では、重合されたときの複合樹脂は、一方の外面から他方の外面に向かって一定または空間的に変化する勾配を有する屈折率プロファイルを有し得る。いくつかの例では、複合樹脂は鏡面対称プロファイルを有する。重合されたときの複合樹脂の屈折率は、特定の非限定的な例として、一方の側で1.55から他方の側で1.5まで変化する屈折率を有し得る。もちろん、異なる用途は異なる屈折率を必要とし得る。
【0040】
ここで図6を参照すると、代替構成を有する樹脂フローシステム600の入口領域の縦断面図が示されている。システム600は、第1の樹脂の図示していない供給源と流体連通する第1の入口605と、第2の樹脂の図示していない供給源と流体連通する第2の入口610とを含む。図6に示すように、第1の入口605は第1の樹脂をチャネル615に導入し、第2の入口610は第2の樹脂をチャネル615に導入し、それにより、第1の樹脂と第2の樹脂は領域620で互いに接触し、図示しない出口に向かってチャネル615の長さに沿って一緒に流れる。第1の樹脂および第2の樹脂は、チャネル615の長さに沿って出口に向かって流れる間に、図6の両矢印で示されるように互いに拡散して、重合されたときに少なくとも一次元において複数の屈折率を有するプロファイルを有する複合樹脂を形成する。複合樹脂は、図示されていない出口を介してシステム600を出て、図5を参照して上述したように、基板上に堆積させられる。
【0041】
ここで図7を参照すると、別の代替構成を有する樹脂フローシステム700の入口領域の縦断面図が示されている。システム700は、第1の樹脂材料の図示されていない供給源と流体連通する中央入口705を含む。さらに、システム700は、第2の樹脂材料の図示されていない供給源と流体連通する外側入口710aおよび710bを含む。さらに、システム700は、第3の樹脂材料の図示されていない供給源と流体連通する中間入口715aおよび715bを含む。図7に示すように、中央入口705は、チャネル720のほぼ中間高さで第1の樹脂を導入し、中間入口715aおよび715bは、第1の樹脂と第3の樹脂とが領域725において互いに接触するように第3の樹脂をチャネル720に導入し、外側入口710aおよび710bは、第2の樹脂と第3の樹脂とが領域730aおよび730bにおいて互いに接触するように第2の樹脂をチャネル720に導入する。第1の樹脂、第2の樹脂および第3の樹脂は、チャネル720の長さに沿って、図示されていない出口に向かって一緒に流れる。図7の両矢印で示されるように、第1の樹脂および第3の樹脂は互いに拡散し、第2の樹脂および第3の樹脂もまた互いに拡散しながら、チャネル620の長さに沿って出口に向かって流れ、重合時に少なくとも一次元において複数の屈折率を有するプロファイルを有する複合樹脂を形成する。複合樹脂は、図示されていない出口を介してシステム700を出て、図5を参照して上述したように、基板上に堆積される。
【0042】
いくつかの例では、樹脂フローシステム700に入る樹脂は、ある範囲の屈折率を有する一組の樹脂であってもよい。たとえば、第1の樹脂材料は重合時の屈折率が高く、第2の樹脂材料は重合時の屈折率が低く、第3の樹脂材料は第1の樹脂材料と第2の樹脂材料との混合物であってもよい。あるいは、第3の樹脂材料は、第1の樹脂材料の重合時の屈折率と第2の樹脂材料の重合時の屈折率との中間の重合時の屈折率を有する他の樹脂材料であってもよい。
【0043】
特定の非限定的な例として、上記のシステムで使用される高屈折率樹脂は、重合されたときに少なくとも1.55の屈折率を有してもよく、低屈折率樹脂は、重合されたときに最大1.5の屈折率を有してもよい。あるいは、異なる屈折率を有する樹脂が、特定の用途のために所望されるように使用されてもよい。光導波路の所望の屈折率プロファイルは、流量、樹脂フローシステムに供給される樹脂の混合、重合前の拡散に許容される時間、および樹脂フローシステム全体の温度勾配などを含むがこれらに限定されないプロセスパラメータを制御することによって達成され得る。
【0044】
図8は、傾斜屈折率プロファイルを有する光導波路を製造するためのシステム800の等角図を示す。システム800は、樹脂フローシステム300、または任意選択的に樹脂フローシステム600もしくは700の一方、基板805、回転アセンブリ810、および照射システム815を含む。基板805は、たとえば、プラスチックシートの薄層とすることができる。適切な基板には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、およびポリイミドが含まれるが、これらに限定されない。基板の厚さは、好ましくは10から100ミクロンの間である。回転アセンブリ810は、基板805が第2の寸法および第3の寸法(たとえば、y次元およびz次元)に沿って移動するように、第1の寸法(たとえば、x次元の周りを回転する)を中心とした基板805の回転を実行する。照射システム815は、1つまたは複数の樹脂の混合物の少なくとも一部を重合する照明装置である。基板805の移動は、樹脂フローシステム300の出口上で基板805を摺動させることを含む他の手段によって、または並進ステージを使用して達成することもできる。あるいは、樹脂を樹脂フローシステム300から流出させて自由に懸濁した樹脂流を形成し、次いで樹脂を重合させて導波路を形成してもよい。
【0045】
図8において、樹脂フローシステム300は、回転アセンブリ810によって支持された基板805に、1つまたは複数の樹脂820、たとえば図3図5を参照して上述した複合樹脂を塗布する。樹脂820は、樹脂フローシステム300から基板805へと流れ、遷移部における混合がほとんどない領域825を形成する。いくつかの構成では、照射システム815は、化学線(たとえば、青色光、UV、または電子ビーム)、熱開始、または両方の組合せによって樹脂を重合する。2つ以上の樹脂は、異なる開始手法を使用してもよい。たとえば、樹脂フローシステム300の中央付近の樹脂に熱開始剤を使用してもよく、樹脂フローシステム300の壁付近または壁に対して樹脂に光開始剤を使用してもよい。樹脂は、樹脂フローシステム300を通過する間に部分的に重合されてもよく、部分的に重合された樹脂が樹脂フローシステム300の出口320を出た後に重合が完了してもよい。
【0046】
複合樹脂は、最初に平坦または平坦な中間導波路構造に形成することができる。図9および図10は、図8のシステム800を使用して製造された、傾斜屈折率プロファイルを有する平坦または平面中間導波路構造900の等角図および断面図をそれぞれ示す。中間導波路構造900は、前面905と、背面910と、面915aと、面915bとを有する。図9に示すように、面915aは、光線920および光線925の面915bを受け取り、面915bから光線930および光線935を透過させる。
【0047】
図9に示すように、中間導波路構造900は、z次元に沿った実質的に放物線状の屈折率プロファイル940と、x次元およびy次元に沿った固定値の屈折率とを有する。いくつかの構成では、x次元およびy次元に沿って屈折率のいくらかの変動があり得る。たとえば、中間導波路構造900の屈折率は、用途に応じて、所望のプロファイルに変調または形成することができる。一般に、x次元およびy次元の両方における中間導波路構造900の屈折率は、前面905および背面910に平行な平面に対して一定であり得る。一例では、z軸に沿った厚さに対するy軸に沿った中間導波路構造900の長さ、およびz軸に沿った厚さに対するx軸に沿った中間導波路構造900の長さの比は、両方とも少なくとも10:1である。中間導波路構造900は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、任意の他の光学的に透明なポリマーおよび/または共重合体、ならびにそれらの何らかの組合せを含むがこれらに限定されないポリマーから作製される。一例では、中間導波路構造900は、最大10の多分散指数に関連する第1の樹脂および第2の樹脂からなる。
【0048】
いくつかの例では、中間導波路構造900は、0.1/μm未満の変動を有するz次元に沿った傾斜屈折率プロファイルと、x次元およびy次元に沿った一定の屈折率とを有する透明な平面導波路である。中間導波路構造900は、前面905と背面910との間の中間点に位置する中央層(図示せず)を含み、中央層の屈折率は、前面905および背面910に隣接する領域の屈折率よりも少なくとも0.01高い。
【0049】
ここで図10を参照すると、断面図に示すように、中間導波路構造900は、z次元において傾斜屈折率940を有する。光線1000および光線1005は、中間導波路構造900を伝搬し、光線1000および1005が中間導波路構造900を伝搬するときに焦点1010および焦点1015に集束される。
【0050】
図11に示すように、導波路1105をXY平面で見た一次元傾斜屈折率導波路デバイス1100の上面図では、光線束1110は導波路1105に入り、この視点から導波路内を伝播する光線(右から左に向かう)は、例示的な光線1115によって示されるように、導波路内で屈折しない。光線束1110は、XY平面内を自由に伝搬しながら、Z方向、すなわち導波路1105の厚さ方向に誘導されたままである。
【0051】
次いで、中間導波路構造900のその後の形成を実行して、所望の湾曲形状を有する導波路デバイスを得ることができる。たとえば、図8に示すシステムを使用して生成された中間導波路構造900の重合樹脂は、湾曲した金型に適合させるか、または最終的な所望の湾曲形状を有するように適切に処理することができる。たとえば、重合された樹脂は、円柱または球体などに適合させることができる。任意選択的に、複合樹脂の層は、その後に最終的な所望の湾曲形態に形成されるときに、それらの光学特性のために配置される。様々な実施形態および例において、湾曲導波路デバイスの傾斜屈折率プロファイルは、単調関数、対称または非対称放物線関数、対称または非対称ガウス関数などによって説明することができる。複合樹脂は、部分的に重合または完全に重合され、その後に、少なくとも単純な曲線に続く形状または複合曲線に続く形状を含む所望の湾曲形状に形成することができる。特定の非限定的な例として、湾曲導波路は、図1に上で示した湾曲GRIN導波路100または図2に上で示した湾曲GRIN導波路200と同様に、すなわち、湾曲GRIN導波路100または200が、湾曲GRIN導波路100または200の幅寸法または長さ寸法の少なくとも一方をそれぞれ含む断面において湾曲するように成形することができる。
【0052】
ここで図12を参照すると、屈折率がポリマー導波路の厚さによって空間的に変化する傾斜屈折率プロファイルを有する湾曲ポリマー導波路を作製する方法の簡略化されたフロー図が示されている。ステップ1200において、第1の樹脂が拡散差によって入口から分離された第2の末端における出口を有する拡散チャネルの第1の末端の中央入口に流入する。ステップ1205において、第2の樹脂が、第1の樹脂の外周に沿って外側入口に流入する。1210において、第1の樹脂の一部および第2の樹脂の一部の拡散が拡散距離にわたって行われて、少なくとも一次元において複数の屈折率を有するプロファイルを有する複合樹脂を形成する。1215において、複合樹脂は、中間導波路構造を形成するために少なくとも部分的に硬化される。1220において、中間導波路構造は所望の湾曲形状に成形される。たとえば、中間導波路構造は、円筒状の型に適合されるか、または球形の型に適合される。任意選択的に、中間導波路構造は、所望の湾曲形状に成形される前に加熱される。
【0053】
実施例2:化学気相成長(CVD)
図13は、屈折率が導波路の厚さによって空間的に変化するGRINプロファイルを有する湾曲したポリマー導波路を作製する方法で使用するための化学蒸着(CVD)システムを示す簡略図である。特に、図13に示すシステム1300は、開始化学気相成長(iCVD)システムである。iCVDシステムでは、モノマーおよび開始剤は、活性化源を含む真空チャンバに流入する。活性化源は、開始剤をラジカルに分解させ、基板表面でモノマーのフリーラジカル重合を開始させる。気相中で溶液相フリーラジカル重合を再現することにより、多種多様な薄いポリマー膜を堆積させることができる。
【0054】
さらに図13を参照すると、システム1300は、開始剤源1305と、第1のモノマー源1310と、第2のモノマー源1315とを含む。第1のモノマー(高屈折率モノマーとも呼ばれる)は、重合して高屈折率ポリマーを形成するモノマーであってもよく、第2のモノマー(低屈折率モノマーとも呼ばれる)は、重合して低屈折率ポリマーを形成するモノマーであってもよい。「低」および「高」という用語は、一方が他方に対して相対的な用語であると理解される。いくつかの例では、低屈折率モノマーは、重合されたときに高屈折率モノマーよりも少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.05、少なくとも0.1、または少なくとも0.2低い屈折率を有し得る。
【0055】
供給源1305、1310および1315を加熱して、開始剤、第1のモノマーおよび第2のモノマーをそれぞれiCVDチャンバ1320内に押し込むための分圧を提供することができる。開始剤およびモノマー蒸気の流れは、たとえば、バルブ1325によって、または窒素もしくは不活性ガスなどの輸送材料によって制御することができる。開始剤、第1のモノマーおよび第2のモノマーは、マニホールド1350を介してiCVDチャンバ1320に入り、iCVDチャンバからの出口1355は、その過剰量を排出するために設けられる。
【0056】
動作中、開始剤は、熱または化学線源1330によってiCVDチャンバ1320内でラジカルを形成するように開始される。ラジカルおよびモノマーは、基板1335およびチャンバ環境の温度差に起因して基板1335に堆積され得る。基板1335の温度は、冷却プレート1340によって制御することができる。重合は、基板1335上で起こる。基板1335は、平坦であってもよく、図13に示すような単純な湾曲を有してもよく、または複合曲線を有してもよい。基板1335が平坦である場合、結果として得られる中間導波路構造に所望の湾曲形状を付与するために堆積後形成が必要とされる。基板1335は、たとえば、回転支持体1345を使用して回転させることができる。
【0057】
高屈折率モノマーと低屈折率モノマーとの比は、基板1335上に形成される導波路の厚さによって所望の屈折率プロファイルを生成するために、経時的に制御可能に変化してもよい。iCVDプロセスは、モノマー比を連続的に変化させることによって、連続的な傾斜屈折率変化プロファイルを作成することができる。iCVDプロセスはまた、モノマー比を段階的に制御することによってプロファイルを変更する段階屈折率を作成することができる。
【0058】
図14も参照すると、湾曲GRIN導波路を作製する方法は、最初に高屈折率モノマーを供給源1310からiCVD堆積チャンバ1320に流すステップ1400を含む。任意選択で、供給源1315からの低屈折率モノマーの一部も高屈折率モノマーと混合され、ステップ1400でiCVD堆積チャンバに導入されるか、または実質的に供給源1310からの高屈折率モノマーのみがステップ1400中に提供される。具体的かつ非限定的な例として、最初に100%の高屈折率モノマーがステップ1400の間にiCVDチャンバ1320内に供給され、いくつかの例では、最初に95%を超えるが100%未満の高屈折率モノマーを含有する混合物がステップ1400の間にiCVDチャンバ1320内に供給され、いくつかの例では、最初に90%を超えるが100%未満の高屈折率モノマーがステップ1400の間にiCVDチャンバ1320内に供給される。供給源1315からの低屈折率モノマー、または他の図示されていないモノマーもしくは添加剤は、iCVDチャンバ1320に供給される混合物の残りを構成する。もちろん、他の組成物が提供されてもよい。開始剤源1305からの開始剤もiCVDチャンバ1320内に提供される。活性化源1330は、ステップ1400の間に、気相中のモノマーと混合された開始剤を開始させるためのエネルギーを供給するために使用される。開始剤は、基板1335の表面でモノマーのフリーラジカル重合を開始するラジカルを形成する。このように、重合は、ステップ1400の間に基板1335上へのモノマーの堆積と同時に起こる。
【0059】
最初の堆積期間の後に、iCVDチャンバ1320内に供給されるモノマー混合物の組成は、供給源1315からの低屈折率モノマーの相対量が増加するように、ステップ1405において経時的に制御可能に変化する。いくつかの例では、低屈折率モノマーの相対量は、高屈折率モノマーの相対量の付随する連続的な減少と共に連続的に増加し、その結果、堆積プロセスの最後に堆積される最終層は、大部分が低屈折率モノマーである組成を有する。具体的かつ非限定的な例として、100%の低屈折率モノマーが、ステップ1405の堆積プロセスの最後にiCVDチャンバ1320内に供給され、いくつかの例では、95%を超えるが100%未満の低屈折率モノマーを含有する混合物が、ステップ1405の堆積プロセスの最後にiCVDチャンバ1320内に供給され、いくつかの例では、90%を超えるが100%未満の低屈折率モノマーが、ステップ1405の堆積プロセスの最後にiCVDチャンバ1320内に供給される。供給源1310からの高屈折率モノマー、または他の図示されていないモノマーもしくは添加剤は、iCVDチャンバ1320に供給される混合物の残りを構成する。もちろん、他の組成物が提供されてもよい。ここでも、開始剤源1305からの開始剤もiCVDチャンバ1320内に供給される。活性化源1330は、ステップ1405の間に、気相中のモノマーと混合された開始剤を開始させるためのエネルギーを供給するために使用される。開始剤は、基板1335の表面でモノマーのフリーラジカル重合を開始するラジカルを形成する。したがって、重合は、モノマーの基板1335上への堆積と同時に起こり、ステップ1405の間に任意選択的に完了する。
【0060】
任意選択のステップ1410(図14の破線のボックス)において、基板1335上に堆積された重合材料は、堆積された材料が完全に重合され、および/または所望の物理的特性を有することを確実にするために追加の処理に供されてもよい。一例では、堆積された材料は、iCVDチャンバ1320内で追加の処理を受ける。たとえば、活性化源1330または別個のエネルギー源(図示せず)を使用して、堆積ステップ1405が完了した後に、堆積した材料の追加の重合および/または硬化を引き起こすエネルギーを供給する。代替的または追加的に、外部エネルギー源(図示せず)を使用して、基板1335から堆積材料を除去する前または後のいずれかに、iCVDチャンバ1320の外部で堆積材料の追加の処理を実行する。
【0061】
いくつかの例では、厚さ軸(連続する層の堆積方向)に沿った屈折率の変化が少なくとも0.001/μm、少なくとも0.002/μm、少なくとも0.005/μm、少なくとも0.01/μm、少なくとも0.05/μm、または少なくとも0.1/μmであるGRINプロファイルを有する湾曲導波路が得られる。
【0062】
いくつかの例では、GRINプロファイルを有する湾曲導波路が得られ、その長さ寸法に沿った導波路の長さとその厚さとの比、およびその幅寸法に沿った導波路の幅とその厚さとの比は、両方とも少なくとも10:1である。
【0063】
前の段落では、得られた導波路構造が単調に変化する屈折率プロファイルを有するiCVD堆積方法について説明した。たとえば、屈折率は、その厚さ寸法に沿って得られた湾曲導波路構造の主面間で連続的に増減し、厚さ寸法は隣接する層の堆積方向に沿っている。屈折率プロファイルは、線形関係、放物線関係、双曲線関係、ガウス関係、または他の何らかの関係に従うことができる。特定の非限定的な例として、屈折率は、第1の主面(たとえば、凹側)での1.68から第2の主面(たとえば、凸側)での1.60まで減少してもよい。
【0064】
いくつかの例では、最初に供給源1310からの高屈折率モノマーが上述のようにiCVDチャンバ1320内に供給され、モノマー混合物の組成は、供給源1315からの低屈折率モノマーがほとんど堆積されるまで変化する。その後に、さらなる堆積を継続することができ、その間、iCVDチャンバ1320内に供給されるモノマー混合物の組成は、ステップ1405における堆積プロセスの終わりに堆積される最終層が大部分が高屈折率モノマーである組成を有するように、高屈折率モノマーの相対量の付随する連続的な増加と共に、供給源1315からの低屈折率モノマーの相対量が再び減少するように制御可能に変化する。結果として得られる導波路構造は、その第1および第2の主面の間に中央層を有してもよく、中央層の屈折率は、第1の主面および第2の主面に隣接する屈折率よりも低い。傾斜屈折率プロファイルは、中央層に関して非対称または対称であってもよい。いくつかの例では、中央層での屈折率は、第1の主面および/または第2の主面に隣接する屈折率よりも少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.05、または少なくとも0.10低い。
【0065】
図13に示すシステムは、数ミクロンから数mmの最終厚さを有する導波路を製造するために使用され得る。いくつかの例では、基板1335は、導波路の内部歪みを低減するために堆積中に加熱されてもよい。あるいは、内部応力を低減するために、形成後に導波路を加熱してもよい。
【0066】
図13において、供給源1310は、たとえば、ポリカーボネート、適切なグリコールと共にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、チオエーテル、スルホン、環状チオフェン、チアジアゾール、およびチアントレンを含む硫黄基を有するポリマー、臭素およびヨウ素を含むハロゲン基、ホスホネートおよびホスファゼン、またはナノコンポジット、ならびにそれらの混合物および共重合体を作製するために使用されるポリマー前駆体である高屈折率モノマーを含有してもよい。いくつかの例では、供給源1310は、たとえば、ポリ(ペンタブロモフェニルメタクリレート)(PPBPMA)、ポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルメタクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、ポリ(2,4,6メタクリル酸トリブロモフェニル)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)、ポリ(1-ナフチルメタクリレート)、ポリ(2-ビニルチオフェン)、ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、ポリ(N-ビニルフタルイミド)、ポリ(2-クロロスチレン)、およびポリ(ペンタクロロフェニルメタクリレート)を製造するために使用されるポリマー前駆体である高屈折率モノマーを含有してもよい。
【0067】
図13において、供給源1315は、アクリレート、フルオロアクリレート、およびフッ素、シリコーンを含有する他のモノマーを含む低屈折率モノマーを含有してもよい。低屈折率モノマーは、たとえば、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート)(PHFIA)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4ヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3,4,4,4ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3ペンタフルオロプロピルアクリレート)、ポリ(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート)、ポリ(2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(2,2,3,3,3ペンタフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(2,2,2トリフルオロエチルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート)、ポリ(2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート)、およびポリ(2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート)を製造するために使用されるポリマー前駆体であってもよい。
【0068】
好ましくは、図13に示す系と共に使用されるモノマーは、共重合されたときに相分離しない。たとえば、単なる具体例として、低屈折率モノマーには1H、1H、5H-オクタフルオロペンチルメタクリレートなどのフルオロアクリレートモノマーを使用し、高屈折率モノマーには2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、ベンジルメタクリレート、または2-((1,3-ジチオラン-2-イル)メチルチオ)エチルメタクリレートを使用することが望ましい場合がある。
【0069】
図13に示すシステムでは、供給源1310および1315からのモノマー蒸気は、それぞれのモノマーの蒸気圧により、マニホールド1350を介してiCVDチャンバ1320に制御可能に移送されてもよく、任意選択的に、それぞれのモノマーの蒸気圧は、加熱によって、またはモノマーの表面の上または下を通過するガスを含むキャリアガスを使用して増加してもよい。
【0070】
図13は、開始化学気相成長システムを具体的に示しているが、たとえば、非開始CVD(伝統的なCVD)またはプラズマCVDなどの他の適切な堆積方法を代わりに使用してもよい。
【0071】
開始されていない(伝統的な)CVDは、CVDチャンバの内部または外部で重合を開始して実施することができる。開始剤、第1のモノマー、第2のモノマーを適当な割合で気化混合し、目標屈折率とする。蒸気混合物は、基板(平坦または湾曲)上に堆積される。堆積した混合物を化学線源に曝露して、基板上に形成された薄層を重合させることができる。第1の層が重合された後に、開始剤、異なる屈折率を目標とする異なる比を有する第1のモノマーおよび第2のモノマーの混合物が堆積され、第2の層として化学線源によって重合される。異なる目標屈折率を有するさらなる層は、堆積および重合ステップを繰り返すことによって構築することができる。各層の第1および第2のモノマーの比を制御可能に変化させることにより、完成した構成要素内で所望の屈折率プロファイルが達成される。従来のCVDプロセスは、異なる層内のモノマー比を制御することによって段階的に屈折率プロファイルを変化させる段階屈折率を生成することができる。
【0072】
第1のモノマーおよび第2のモノマーを蒸発させ、堆積プロセスの各段階で目標屈折率に適切な比率で混合して、プラズマCVDを実施することができる。モノマー蒸気混合物は、プラズマ照射によって開始される。モノマー蒸気混合物は、堆積チャンバ内の基板(平坦または湾曲)上に堆積され、モノマーは重合される。プラズマCVDプロセスは、モノマー比を連続的に変化させることによって、連続的な勾配屈折率プロファイルを作成することができる。プラズマCVDプロセスはまた、モノマー比を段階的に制御することによってプロファイルを変化させる段階屈折率を生成することができる。
【0073】
実施例3:片側からの拡散
いくつかの例では、均一な屈折率を有する湾曲導波路は、モールドまたは熱硬化によって最初に製造されてもよい。最初に形成された湾曲導波路の片側は、環境への曝露から保護されてもよい。次いで、保護された導波路は、最初に形成された導波路の均一な屈折率よりも低いまたは高い異なる屈折率のモノマーを含むモノマー/開始剤浴に浸漬されてもよい。次いで、モノマーおよび開始剤を、湾曲導波路の保護されていない側から導波路の内側に向かって拡散させる。このプロセス中に生じる拡散勾配のために、保護された導波路を浴から除去し、それを化学線源に曝露してモノマーを重合させ、屈折率プロファイルをロックダウンすると、屈折率の勾配が最終的な湾曲導波路に形成され得る。
【0074】
実施例4:浸漬コート
傾斜屈折率プロファイルを有する層を構築するために、層ごとの浸漬コーティングまたはスプレーコーティング手法を実行することもできる。適切なコーティング溶液は、溶媒を含むポリマー、溶媒を含むモノマー/開始剤、または溶媒なしのモノマー/開始剤を含む。各コーティングの後に、塗布された場合、高温によって溶媒を除去する。モノマーが関与する場合、コーティングは、熱または化学線源の曝露によってさらに重合されてもよい。1つの層を乾燥させた後に、異なる屈折率を達成するために、同じ製品を異なるコーティング溶液で繰り返すことによって第2の層を塗布することができる。
【0075】
実施例5:ポリマー共押出
代替例では、基板は、共押出された少なくとも第1および第2のポリマーを支持して、第1および第2のポリマーのガラス転移温度以上に加熱されたポリマーシートの少なくとも3つの交互層のスタックを形成する。ポリマーのスタックを互いに拡散させることができ、スタックが所望の屈折率プロファイルに達するまで基板を加熱することができる。第1および第2のポリマーは、実質的に同様の溶解度パラメータを有し得る。
【0076】
別の例では、拡散を促進するために、低分子量溶媒または可塑剤を第1および第2の樹脂に添加することができる。たとえば、ポリマーのスタックは、スタックに吸収される有機または無機材料の存在下で加熱されてもよい。拡散が完了した後に、溶媒または可塑剤をスタックから除去することができる。一例では、第1および第2のポリマーは、ポリアクリレート(たとえば、ポリメチルメタクリレートおよびポリ(2,2,2トリフルオロエチルメタクリレート))、ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリ(2,6-エチレンナフタレート)、イソフタレート共重合体)、およびポリカーボネート、ポリシリコーン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフルオロカーボン、およびそれらのいくつかの組合せのファミリーからのいくつかの他の混和性ポリマー樹脂を含む。
【0077】
ここで図15を参照すると、ニアアイ拡張現実(AR)ディスプレイ1500は、一対の眼鏡のフォームファクタを有するフレーム1505を含む。フレーム1505は、各目に対して、プロジェクタ1510、プロジェクタ1510に光学的に結合された瞳複製導波路1515、視線追跡カメラ1520、および複数の照明器1525を支持する。瞳複製導波路1515は、本明細書に開示する導波路のいずれかを含むことができる。照明器1525は、アイボックス1530を照明するために瞳複製導波路1515によって支持されてもよい。プロジェクタ1510は、ユーザの目に投影される角度領域の画像を搬送する光ビームのファンを提供する。瞳複製導波路1515は、光ビームのファンを受け取り、光ビームのファンの各ビームの複数の横方向にオフセットされた平行なコピーを提供し、それによって投影された画像をアイボックス1530上に拡張する。AR用途では、瞳複製導波路1515は、ユーザが各目に投影され、外界ビューと重ね合わされた画像と共に外界を見ることを可能にするために透明または半透明であり得る。各目に投影された画像は、現実世界のビューに没入しているように見えるように、シミュレートされた視差で配置されたオブジェクトを含むことができる。
【0078】
視線追跡カメラ1520の目的は、ユーザの両眼の位置および/または向きを決定することである。ユーザの目の位置および向きが分かると、視線収束距離および方向を決定することができる。プロジェクタ1510によって表示される画像は、ユーザの視線を考慮し、表示された拡張現実風景へのユーザの没入のより良好な忠実度のために、および/または拡張現実との対話の特定の機能を提供するために動的に調整することができる。動作中、照明器1525は、対応するアイボックス1530で目を照明して、視線追跡カメラが目の画像を取得することを可能にすると共に、基準反射、すなわちグリントを提供する。グリントは、キャプチャされた目の画像内の基準点として機能することができ、グリント画像に対する瞳孔画像の位置を決定することによって視線方向の決定を容易にする。照明光でユーザの注意をそらすことを回避するために、照明光はユーザに見えないようにすることができる。たとえば、アイボックス1530を照明するために赤外光が使用されてもよい。
【0079】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムと組み合わせて実装され得る。人工現実システムは、視覚情報、音声、触覚(体性感覚)情報、加速度、バランスなどの感覚から得られる外界についての感覚情報を、ユーザに提示する前に何らかの方法で調整する。非限定的な例として、人工現実には、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/もしくは派生物が含まれ得る。人工現実コンテンツには、完全に生成されたコンテンツ、または補足された(たとえば、実世界の)コンテンツと組み合わせて生成されたコンテンツが含まれ得る。人工現実コンテンツには、映像、音声、体性または触覚的フィードバック、またはそれらの組合せが含まれ得る。このコンテンツはいずれも、視聴者に3次元効果をもたらすステレオ映像など、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態において、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するために使用される、かつ/または人工現実において他の方法で使用される(たとえば、アクティビティを実行する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMDなどのウェアラブルディスプレイ、スタンドアロンHMD、眼鏡のフォームファクタを有するニアアイディスプレイ、モバイルデバイスもしくはモバイルコンピューティングシステム、または1人以上の視聴者に人工現実コンテンツを提供できる任意の他のハードウェアプラットフォームを含む様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0080】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」および「含む(contain)」という単語、ならびにこれらの単語の変形、たとえば「備える(comprising)」および「備える(comprises)」などは、「含むが、これらに限定されない」ことを意味し、他の構成要素を排除することを意図せず、また排除するものではない。
【0081】
本開示の前述の実施形態に対する変形は、依然として本開示の範囲内にありながら行うことができることが理解されよう。本明細書で開示される各特徴は、別段に記載されていない限り、同じ、等価なまたは同様の目的を果たす代替特徴によって置き換えられ得る。したがって、別段に記載されていない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の等価なまたは同様の特徴の一例にすぎない。
【0082】
本明細書で開示される特徴のすべては、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくともいくつかが相互排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせられ得る。特に、本開示の好ましい特徴は、本開示のすべての態様に適用可能であり、任意の組合せで使用することができる。同様に、本質的でない組合せで説明される特徴は、別々に(組み合わせずに)使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】