(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】搾乳機器を洗浄するためのシステム、及び洗剤容器
(51)【国際特許分類】
A01J 7/02 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
A01J7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531587
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 SE2021051221
(87)【国際公開番号】W WO2022124971
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521499848
【氏名又は名称】デラバル ホールディング アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストレメッキ、トマシュ
(57)【要約】
搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)を洗浄するように構成されたシステム(100)、及び洗剤を含む洗剤容器(110)であって、システム(100)が、洗剤及び水を使用して混合物を生成し、搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)を洗浄する洗浄ユニット(130)と、洗剤を洗浄ユニット(130)に供給する投入デバイス(108a、108b、410)と、洗剤容器(110a、110b)における構成タグ(111a、111b)であって、構成タグ(111a、111b)のメモリデバイス(520)が洗剤への参照を含む、構成タグ(111a、111b)と、構成タグ(111a、111b)と無線で通信し、メモリデバイス(520)から参照を取り出すように構成された無線通信機(112a、112b)と、制御ユニット(120)であって、メモリデバイス(520)から無線通信機(112a、112b)を介して洗剤の参照を取得し、取得された参照に基づいて洗浄パラメータを設定するように構成された制御ユニット(120)と、を備える、システム(100)及び洗剤容器(110)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業環境内の搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)を洗浄するように構成されたシステム(100)であって、
洗剤を含む洗剤容器(110a、110b)と、
前記洗剤容器(110a、110b)の洗剤、及び水を利用して混合物を生成し、前記混合物で、洗浄セッション中に前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)を洗浄するように構成された、洗浄ユニット(130)と、
前記洗剤容器(110a、110b)からの前記洗剤を前記洗浄ユニット(130)に供給するように構成された投入デバイス(108a、108b、410)と、
を備える、システム(100)において、
前記洗剤容器(110a、110b)に関連付けられた構成タグ(111a、111b)であって、前記構成タグ(111a、111b)のメモリデバイス(520)が前記洗剤容器(110a、110b)の前記洗剤への参照を含む、構成タグ(111a、111b)と、
無線通信機(112a、112b)であって、前記構成タグ(111a、111b)が前記無線通信機(112a、112b)から通信距離(d)以内に配置されているとき、前記構成タグ(111a、111b)と無線で通信し、前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)から前記洗剤への前記参照を取り出すように構成された、無線通信機(112a、112b)と、
制御ユニット(120)であって、
前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)から前記無線通信機(112a、112b)を介して前記洗剤への前記参照を取得し、
前記取得された参照に基づいて、前記洗浄セッションのための前記洗浄ユニット(130)の少なくとも1つのパラメータを設定するように構成された、制御ユニット(120)と、
洗剤が前記投入デバイス(108a、108b、410)を介して前記洗剤容器(110a、110b)から前記洗浄デバイス(130)へ抽出される間に前記洗浄ユニット(130)が起動され、前記洗剤容器(110a、110b)に関連付けられた構成タグ(111a、111b)が前記無線通信機(112a、112b)によって検出されないときにのみ、前記制御ユニット(120)が、前記洗浄デバイス(130)のための予めプログラムされた洗浄セッションプログラムの遂行を可能にするように構成されていることと、
を特徴とする、システム(100)。
【請求項2】
前記制御ユニット(120)が、前記洗浄セッション中に保たれる温度、洗剤濃度、前記洗浄セッションの洗浄時間、又はこれらの組み合わせに関する情報を取得するように構成されている、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記制御ユニット(120)が、前記洗剤容器(110a、110b)内の洗剤量及び/又は前記洗剤の有効期限に関する情報を取得するように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)が前記情報を含み、前記制御ユニット(120)が、前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)から前記無線通信機(112a、112b)を介して前記情報を取得するように構成されている、請求項2又は3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記洗剤容器(110a、110b)内に含まれている前記洗剤への前記参照に関連付けられた前記情報を含むデータベース(125、165)を備え、前記制御ユニット(120)が、
前記無線通信機(112a、112b)を介して前記構成タグ(111a、111b)から前記洗剤への前記参照を取得し、
前記取得された参照を前記データベース(125、165)に提供し、
前記データベース(125、165)から前記参照に関連付けられた前記情報を取り出す、
ように構成されている、請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項6】
通信ネットワーク(170)を通じて前記データベース(125、165)と通信するように構成された通信デバイス(160)を備え、
前記制御ユニット(120)が、前記通信デバイス(160)を介して前記データベース(125、165)から前記情報を取得するように構成されている、請求項5に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記洗浄セッションのために前記制御ユニット(120)によって設定される前記洗浄ユニット(130)の前記パラメータが、
前記洗浄セッションの洗浄時間、
前記洗浄セッション中に前記洗浄ユニット(130)によって保たれる温度、
前記洗剤の濃度、及び/又は
前記混合物と、洗浄される前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)の内面との間の接触面時間、
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記取得された情報が前記洗剤容器(110a、110b)内の洗剤量を含み、前記制御ユニット(120)が、
前記洗浄セッション中に前記洗浄ユニット(130)によって使用された洗剤量を推定し、
前記推定された使用された洗剤量を、前記取得された洗剤量から減算することによって、前記洗浄セッション後の前記洗剤容器(110a、110b)内の洗剤残量を算出し、
前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)内に記憶された前記洗剤容器(110a、110b)内の前記洗剤量を含む前記情報を更新するために、前記無線通信機(112a、112b)を介して前記洗剤残量に関する情報を前記構成タグ(111a、111b)へ伝送するように構成されている、請求項2から7のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項9】
警報発信デバイス(530)を備え、前記取得された情報が前記洗剤容器(110a、110b)内の洗剤量を含み、前記制御ユニット(120)が、
前記取得された洗剤量を閾値限界と比較し、
前記洗剤容器(110a、110b)内の前記洗剤量が前記閾値限界よりも低いとき、前記警報発信デバイス(530)上で出力される警報を発し、前記洗剤容器(110a、110b)の交換を気付かせるように構成されている、請求項2から8のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記取得された情報が前記洗剤容器(110a、110b)内の前記洗剤の有効期限を含み、前記制御ユニット(120)が、
前記洗剤の前記取得された有効期限を前記現在の日付と比較し、
前記有効期限が前記現在の日付よりも古いとき、前記洗浄ユニット(130)内の前記洗剤の使用を防止するためのアクションを遂行するように構成されている、請求項2から9のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記制御ユニット(120)が、
前記洗剤容器(110a、110b)からの1回目の洗剤抽出を検出し、
前記洗剤容器(110a、110b)の前記1回目の洗剤抽出が検出された時点を決定し、
前記無線通信機(112a、112b)を介して、前記決定された時点を前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)に伝送し、前記メモリデバイス(520)内に記憶するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記制御ユニット(120)が、
前記無線通信機(112a、112b)を介して、前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)内に記憶された1回目の洗剤抽出の前記時点を取り出し、
現在の時点と前記1回目の洗剤抽出の前記時点との間の時間差が所定の制限時間を超えるかどうかをチェックし、
前記所定の制限時間を超えたとき、前記洗剤容器(110a、110b)からの洗剤抽出を防止するためのアクションを遂行するように構成されている、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
複数の洗剤容器(110a、110b)と、
各々のものが、洗剤が1つの別個の洗剤容器(110a、110b)から前記洗浄ユニット(130)へ流れることを可能にするように構成された、複数の投入デバイス(108a、108b、410)と、
各々のものがそれぞれの洗剤容器(110a、110b)に関連付けられた、複数の構成タグ(111a、111b)であって、各構成タグ(111a、111b)のそれぞれのメモリデバイス(520)が、前記それぞれ関連付けられた洗剤容器(110a、110b)の前記洗剤へのそれぞれの参照を含む、複数の構成タグ(111a、111b)と、
各々のものが特定の投入デバイス(108a、108b、410)の専用である、複数の無線通信機(112a、112b)と、
を備え、前記制御ユニット(120)が、
前記それぞれの無線通信機(112a、112b)を介して、前記それぞれの洗剤容器(110a、110b)の前記構成タグ(111a、111b)の前記メモリデバイス(520)から取得された、前記取得された参照に基づいて、前記洗浄セッション中に前記洗浄ユニット(130)によって使用される前記洗剤を選択する、
ように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項14】
洗浄される前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)内に配置されたセンサ(26a、26b)であって、前記洗浄セッション中に、前記洗剤の特徴を測定するように構成されている、センサ(26a、26b)を備え、前記制御ユニット(120)が、
前記適用された洗剤に関連する、前記センサ(26a、26b)からの測定値を取得し、
前記センサ(26a、26b)の前記取得された測定値を前記洗剤特徴の期待値と比較し、
前記取得された測定値が前記洗剤の特徴の前記期待値と一致しないとき、前記洗剤容器(110a、110b)からの洗剤抽出を防止するためのアクションを遂行する、
ように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項15】
洗浄される前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)がミルクライン(140a、140b、140c)を含み、前記システム(100)が、
前記ミルクライン(140a、140b、140c)に作用するスラグを生成するために前記混合物を含むガスを前記ミルクライン(140a、140b、140c)に入れるように構成された制御可能弁(10)と、
洗浄される前記ミルクライン(140a、140b、140c)内に過小圧力を発生するように構成された真空ポンプ(20)と、
を備え、
前記制御ユニット(120)が、前記混合物のスラグの形成を確実にし、期間中は前記スラグと前記ミルクライン(140a、140b、140c)の内面との間の接触が確立されていることを確実にすることによって前記ミルクライン(140a、140b、140c)を洗浄するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項16】
洗浄される前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)がミルクライン(140a、140b、140c)を含み、前記システム(100)が、
過剰圧力を発生し、前記ミルクライン(140a、140b、140c)の断面が前記混合物で満たされるよう、前記ミルクライン(140a、140b、140c)を通して前記混合物を圧送するように構成されたポンプ(8)を備え、
前記制御ユニット(120)が、期間中は前記混合物と前記ミルクライン(140a、140b、140c)の内面との間の接触が確立されていることを確実にするよう前記ポンプ(8)を制御するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項17】
洗浄される前記搾乳機器(102、105、140a、140b、140c、150)がミルクタンク(150)を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項18】
洗剤を含む洗剤容器(110)であって、前記洗剤容器(110)が構成タグ(111)に関連付けられており、前記洗剤が、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム(100)の洗浄ユニット(130)によって使用されるためのものであり、前記構成タグ(111)のメモリデバイス(520)が、前記洗剤容器(110)内に含まれている前記洗剤の参照を記憶し、前記構成タグ(111)が、前記構成タグ(111)が前記無線通信機(112)から通信距離(d)以内に配置されているとき、前記洗剤容器(110)の外部の無線通信機(112)と無線で通信するように構成されている、洗剤容器(110)。
【請求項19】
前記メモリデバイス(520)が、前記洗浄セッション中に保たれる温度、洗剤濃度、前記洗浄セッションの洗浄時間、又はこれらの組み合わせに関する情報を含む、請求項18に記載の洗剤容器(110)。
【請求項20】
前記メモリデバイス(520)が、前記洗剤容器(110a、110b)内の洗剤量及び/又は前記洗剤の有効期限に関する情報を含む、請求項18又は19に記載の洗剤容器(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステム、及び構成タグに関連付けられた、洗剤を含む洗剤容器を開示する。洗剤は、システムの洗浄ユニットによって使用されるためのものであり、構成タグから取得された洗剤への参照に基づいて洗浄ユニットの少なくとも1つのパラメータが設定される。
【背景技術】
【0002】
酪農場において、抽出されたミルクを維持する、輸送する、又は他の様態でそれと接触するあらゆる機器の衛生の課題は、さもなければ、ミルクは汚染され、食用にふさわしくなくなり得るため、非常に重要である。この理由のために、ミルク輸送パイプライン、ミルクタンク、搾乳ステーションなどの様々な搾乳機器の内面の洗浄は、かなり頻繁に行われなければならない。
【0003】
洗剤及び水を混合する洗浄ユニット/洗浄機がこの目的でしばしば用いられる。洗浄ユニットは、なんらかの有機汚染、ミルク及び水のプラーク、並びに他の望ましくない粒子を除去するために、洗剤及び水の混合物を加熱して提供し、ミルクのために用いられるパイプライン及び容器の内面を洗浄し得る。洗剤及び水の混合物は、ある期間にわたって搾乳機器内を循環しすることができ、その後、水によるすすぎが行われ得る。
【0004】
洗浄プロセス中は、搾乳を行うことができないであろう。洗浄プロセスは、通例、24時間当たり何回か繰り返されなければならないため、洗浄プロセス中の時間使用は、長期的にみると搾乳機器のまとまった停止時間を生じさせることになる。この理由のために、洗浄のために必要な分よりも多くの時間を使用しないことが望ましい。
【0005】
搾乳機器は、洗浄中に相当な洗剤量を消費する、長さが数百メートルあるミルクパイプラインを含み得る。使用された洗剤が最終的に自然へ到達した際に、富栄養化を増すため、必要な分よりも多くの洗剤を使用しないことが望ましい。過剰なエネルギー消費も(エネルギー源に応じて)環境に悪影響を及ぼし得る。
【0006】
洗浄プロセス中の水/洗剤混合物(又はすすぎ水)の加熱は相当な量のエネルギーを消費し、これにより、コストがかさむ。それゆえ、洗浄要求を満たすために必要な分よりも多くの水/洗剤混合物又はすすぎ水を加熱しないことが望ましい。
【0007】
異なるカテゴリの洗剤が、異なる目的で、及び異なる時間間隔で使用されてもよい。アルカリ性洗剤は洗浄/消毒目的で毎日のように使用されてもよく、酸性洗剤は、パイプライン内に形成されたスケールを溶解するために、よりまばらな時間間隔で使用され得る。時には、消毒液も洗剤に追加され得る。必要とされる時に適切な洗剤を選択し、選択された洗剤に応じて洗浄ユニットのパラメータを調整することが望ましい。
【0008】
洗剤は、異なるカテゴリのものであること以外に、異なる品質のものでもあり得る。の一部の洗剤は、例えば、他の洗剤よりも高い濃度、及び/又は高い洗浄温度、及び/又は長い循環時間を必要とし得る。全てのパラメータ設定は手動で行われ、通常、新たな洗剤が使用される際に、調整されるか、又は少なくとも注意深くチェックされなければならない。しかし、洗浄プロセスを最適化するよう洗浄ユニットのパラメータを調整することは極めて複雑な作業である。資源の無駄をもたらすか、又は搾乳機器が洗浄後に汚染されたままになり、その結果、ミルクが処分されなければならなくなる洗浄パラメータが選択される明白な危険がある。
【0009】
農場が洗剤を使い切った場合には、搾乳機器の洗浄を遂行することができなくなるであろう。これは、洗剤が交換され、洗浄が完了されるまで、搾乳を行うことができなくなるであろうことを意味する。
【0010】
資源を無駄にすることなく搾乳機器の適切な衛生レベルを確実にするために洗浄セッションを最適化することは、困難で相当に複雑な仕事であり、これは、異なる洗剤、ミルクライン及び他の機器の寸法/長さ、エネルギー及び水の価格、農場がロボット搾乳を使用しているのか、ピットを用いた固定搾乳を使用しているのか、回転搾乳パーラーを使用しているのか、それともつなぎ搾乳を使用しているのかなどの間で大きく異なることになる。洗浄ユニットのパラメータを設定する際のわずかな人的過誤が、ミルクの無駄又は資源の無駄のいずれかをもたらし得る。
【0011】
酪農場における人員は、多くの場合、動物の福祉及び快適性の監督及び維持を含む他の任務で忙しい。それゆえ、洗浄プロセスのうちのできるだけ多くを自動化し、これにより、搾乳機器の洗浄セッションのための適切なパラメータを算出し、設定するという上述の複雑な負担から人員を解放することが望ましいであろう。
【0012】
文書、国際公開第2014193232(A1)号は、動物を処置するための動物処置システムに関する。システムは、接続された包含する処置液の処置液を動物に供給するための供給手段を備える。要約書及び請求項1を参照されたい。容器は、容器の識別情報を含むバーコードで標識される。
図2を参照されたい。システムは、容器上の識別情報を記録するための、スキャナなどの光学式記録手段を備える。システムはまた、光学式記録手段によって記録された識別情報を受信するためのプロセッサを備える。プロセッサは、受信された記録された識別情報、及び既定の基準に基づいて、処置液を容器から放出するか否かを目的として供給手段を制御するように構成されている。
【0013】
文書、国際公開第2014193232(A1)号において提供されるソリューションの不利点は、それが、容器の液体の使用を可能にするか、又は可能にしないかのどちらかの、非常に単純な2値の状況のみに関することである。搾乳システムを洗浄するときには、アルカリ性及び酸性洗浄剤などの異なるカテゴリの多くの液体が存在し、それらは、それ自体で洗浄のために使用されてよいことになっている。異なる供給者の液体は、異なる量及び/若しくは種類又は組み合わせの化学物質を含む。これは、必ずしも、それらを全く使用することができないことを意味するわけではなく、むしろ、満足な結果を達成するために、洗浄時間、洗浄中の適用温度、液体の濃度などの1つ又はいくつかのパラメータを調整する必要があることを意味する。これらのパラメータは従来、農業従事者によって完全に手動で設定されているが、これは時間がかかり、面倒であり、人的ミスが容易に起きる。
【0014】
農業従事者の時間を節減するため、(洗浄に起因する)搾乳システムの停止時間をできるだけ短く保ち、それでもなお、適切な洗浄を保証し、人的ミスを回避し、及び洗浄中に過剰な量の資源を適用しないことによってエネルギー/水/洗剤を節減するために、特定の液体の適切な洗浄パラメータを自動的に設定することが望ましい。
【0015】
文書、米国特許第6089242(A)号は、洗浄パラメータを受信及び記憶し、洗浄条件を監視し、監視された洗浄条件を洗浄パラメータと比較し、洗浄パラメータに適合するように洗浄条件を制御するためのユーザ対話式データプロセッサを含む、ダイアリ(diary)採収設備洗浄サイクルを監視及び制御するための乳製品パイプライン洗浄システムに関する。要約書を参照されたい。
【0016】
文書、米国特許第6089242(A)号は、農場における従来の搾乳システム、及び農業従事者によって行われる、その洗浄システムの手動構成を記載しており、洗浄パラメータの手動構成の多数の問題及び不利点を示していると見なすことができるであろう。
【0017】
文書、米国特許出願公開第2011082595(A1)号は、製品情報の電子通信を介して達成される製品吐出システムの吐出パラメータの自動較正を記載している。要約書を参照されたい。詳細には、本文書は、化学製品容器を備える化学製品吐出システムに関する。段落1を参照されたい。化学製品容器は、容器内の化学製品に関する情報を伝えることができる、電気的可読ラベルを含む。
【0018】
文書、独国実用新案第202020105834U(U1)号は、コーヒーメーカなどの、飲料用装置の洗浄に関する。要約書及び請求項1を参照されたい。
【0019】
農場の人員が洗浄ユニットを構成するのを支援するためのソリューションを見出すことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明は、上述の問題のうちの少なくとも一部を解決し、酪農場における人員が、搾乳機器の洗浄セッションを遂行する際に洗浄ユニットのパラメータを設定することを容易にすることを目的とする。
【0021】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムによって達成される。システムは、洗剤を含む洗剤容器を備える。システムはまた、洗剤容器の洗剤、及び水を利用して混合物を生成し、洗浄セッション中に混合物で搾乳機器を洗浄するように構成された洗浄ユニットを備える。加えて、システムはまた、洗剤容器からの洗剤を洗浄ユニットに供給するように構成された投入デバイスを備える。更に、システムは、洗剤容器に関連付けられた構成タグを備えており、構成タグのメモリデバイスは洗剤容器の洗剤への参照を含む。加えて、システムは、無線通信機を備え、無線通信機は、構成タグが無線通信機から通信距離以内に配置されているとき、構成タグと無線で通信し、構成タグのメモリデバイスから洗剤への参照を取り出すように構成されている。システムは更にまた、制御ユニットを備える。制御ユニットは、構成タグのメモリデバイスから無線通信機を介して洗剤への参照を取得するように構成されている。制御ユニットはまた、取得された参照に基づいて、洗浄セッションのための洗浄ユニットの少なくとも1つのパラメータを設定するように構成されている。
【0022】
これにより、洗浄ユニットの構成は根本的に単純化され、資源管理が、選択された洗剤のために最適化されるため、時間、費用、及び農業従事者の労力を節減する。また、パラメータを設定する際の人的過誤のリスクが取り除かれる。
【0023】
第1の態様に係るシステムの第1の実装形態では、制御ユニットは、洗浄セッション中の温度、洗剤濃度、洗浄セッションの洗浄時間、又はこれらの組み合わせに関する情報を取得するように構成されている。取得された情報は、いくつかの実施形態では、また、追加の情報が獲得され得る、IP(Internet Protocol(インターネットプロトコル))アドレスなどのネットワークの場所の参照を含む。
【0024】
これにより、制御ユニットは、人間の操作者からの介入あるいは手動修正及び入力を必要とすることなく、自動的に、洗浄セッション中にどのパラメータ設定を課すべきかを決定するための情報を取得し得、操作者が農場での他の作業に集中することを可能にする。これにより、搾乳機器の適切な衛生レベルを確実にしつつ、時間及び費用が節減される。
【0025】
第1の態様に係るシステムの第2の実装形態では、又はその第1の実装形態によれば、制御ユニットは、洗剤容器内の洗剤量及び/又は洗剤の有効期限に関する情報を取得するように構成されている。
【0026】
これにより、制御ユニットは、洗剤容器を替える時機、及び/又は交換用洗剤容器を購入する時機である時点を決定し得る。有効な洗剤が常に利用可能であることを確実にすることによって、搾乳機器の洗浄が保証され、農場における洗剤を使い切るリスクが回避される。
【0027】
第1の態様に係るシステムの第3の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、構成タグのメモリデバイスは、参照に関連付けられた上述の情報を含む。制御ユニットは、構成タグのメモリデバイスから無線通信機を介して情報を取得するように構成されている。
【0028】
情報、おそらく、特に、洗剤容器内の洗剤量及び/又は洗剤の有効期限に関する情報を構成タグのメモリデバイス内に保持することによって、農業従事者は、例えば、以前の漏れのせいで他の洗剤が利用可能でない緊急事態において、洗剤容器を農場における別の洗浄ユニットへ移動させることができ、それでもなお、(その洗浄ユニットの)制御ユニットが洗剤容器内の洗剤量を追跡することが可能となる。
【0029】
第1の態様に係るシステムの第4の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムはまた、洗剤容器内に含まれている洗剤への参照に関連付けられた情報を含むデータベースを備える。制御ユニットは、無線通信機を介して構成タグから洗剤への参照を取得し、取得された参照をデータベースに提供し、データベースから参照に関連付けられた情報を取り出すように構成され得る。
【0030】
洗剤に関連付けられた情報のうちの少なくとも一部の記憶のための、ローカル及び/又はリモートのデータベースを用いることによって、低容量メモリデバイスのみが構成タグ内で必要とされ、これにより、コストが削減される。また、ローカル又はリモートデータベースは、パラメータ設定の最適化に影響を及ぼす農場における局所条件、例えば、搾乳ラインの長さ及び/又は寸法、スラグ洗浄中の接触時間、洗浄セッションにおける混合物と搾乳機器との間の接触時間などに関する更なる情報を含み得る。農場における搾乳機器のデジタルツインをデータベース内に作成することによって、農場における洗浄セッションのシミュレーションが、制御ユニットによって、又は農場外部サービス提供者において、のいずれかで行われることができ、これにより、農場における洗浄セッションのパラメータ設定を更に最適化する、かつ/又は改善する。
【0031】
第1の態様に係るシステムの第5の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムはまた、通信ネットワークを通じてデータベースと通信するように構成された通信デバイスを備える。制御ユニットは、通信デバイスを介してデータベースから情報を取得するように構成されている。
【0032】
洗剤に関連付けられた情報のうちの少なくとも一部を取得するためのリモートデータベース、例えば、洗剤の生産者、又はサービス提供者によって運営されるデータベースとの通信を可能にすることによって、洗剤のための推奨洗浄温度、時間、濃度、すすぎなどに関する新たな更新、及び最近の研究からの他の知見にアクセスし、農場において直ちに実施することができるであろう。また、いくつかの実施形態では、農場のローカルパラメータ、及び/又は農場の搾乳機器におけるセンサのパラメータ値がリモートサービス提供者に提供されてもよく、リモートサービス提供者は、それらのパラメータ値に基づいて、その後の洗浄セッションのために洗浄ユニットによって適用される最適パラメータをサブスクリプションサービスとして算出し得る。これにより、農場で利用可能な計算リソースがごく限られているときにも、局所条件、及び/又はセンサによって感知されたとおりの以前の洗浄セッションの成果を考慮して、洗浄セッションが最適化される。
【0033】
第1の態様に係るシステムの第6の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、洗浄セッションのために制御ユニットによって設定される洗浄ユニットのパラメータは、洗浄セッションの洗浄時間、洗浄セッション中に洗浄ユニットによって用いられる温度、洗剤の濃度、及び/又は混合物と、洗浄される搾乳機器の内面との間の接触面時間を含む。
【0034】
これにより、洗浄セッションのどのパラメータ又パラメータ群を制御ユニットによって設定するべきかが明らかにされる。これらのパラメータのうちのいくつかが設定されるとき、それは、時として、プログラム設定とも称される。
【0035】
第1の態様に係るシステムの第7の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、取得された情報は洗剤容器内の洗剤量を含む。また、制御ユニットは、洗浄セッション中に洗浄ユニットによって使用された洗剤量を推定するように構成されている。制御ユニットは、推定された使用洗剤量を、取得された洗剤量から減算することによって、洗浄セッション後の洗剤容器内の洗剤残量を算出し、構成タグのメモリデバイス内に記憶された洗剤容器内の洗剤量を含む情報を更新するために、無線通信機を介して洗剤残量に関する情報を構成タグへ伝送するように構成されている。
【0036】
これにより、洗浄ユニットのための農場における洗剤残量を継続的に追跡することが可能になる。洗剤残量に関する情報を洗剤容器の構成タグ内に記憶することによって、洗剤残量の認識を依然として可能にしつつ、洗剤容器が移動させられ、農場における(又は更に、別の農場における)別の洗浄ユニットによって使用されることが可能になるであろう。
【0037】
第1の態様に係るシステムの第8の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムは警報発信デバイスを備える。取得された情報は洗剤容器内の洗剤量を含む。制御ユニットは、取得された洗剤量を閾値限界と比較するように構成されている。更に、制御ユニットは、洗剤容器内の洗剤量が閾値限界よりも低いとき、警報発信デバイス上で出力されることになる警報を発し、洗剤容器の交換を気付かせるように構成されている。
【0038】
各洗浄セッション中に使用される洗剤量及び洗浄セッションの周期性は推定及び予測が可能である。現在の洗剤残量の知識によって、洗剤を使い切ってしまわないよう、交換用洗剤がいつ購入され、入手されるべきであるのかを算出することができるであろう。これにより、農場における洗剤を使い切るリスクが回避される。
【0039】
第1の態様に係るシステムの第9の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、取得された情報は洗剤容器内の洗剤の有効期限を含む。制御ユニットは、洗剤の取得された有効期限を現在の日付と比較し、活動有効期限が現在の日付よりも古いとき、洗浄ユニット内の洗剤の使用を防止するためのアクションを遂行するように構成されている。
【0040】
全てではなくとも、ほとんどの化学物質は経時的に劣化することになり、それらの特性は変化することがあり、これが洗浄結果に影響を及ぼし得る。洗剤の有効期限を監視することによって、劣化した洗剤が洗浄セッション中に使用されることが回避され、搾乳機器の適切な衛生レベルを確実にする。
【0041】
第1の態様に係るシステムの第10の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、制御ユニットは、洗剤容器からの1回目の洗剤抽出を検出するように構成されている。制御ユニットはまた、洗剤容器の1回目の洗剤抽出が検出された時点を決定するように構成されている。制御ユニットは、無線通信機を介して、決定された時点を構成タグのメモリデバイスに伝送し、メモリデバイス内に記憶するように更に構成されている。
【0042】
一部の化学物質は、制限時間を超える期間にわたって酸素にさらされたとき、酸素と反応し、その結果、劣化することがあり、これが洗浄結果に影響を及ぼし得る。洗剤容器の封が破られ、空気が洗剤と接触させられた時である、洗剤の1回目の洗剤抽出日を監視することによって、劣化した洗剤が洗浄セッション中に使用されることが回避される。
【0043】
第1の態様に係るシステムの第11の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、制御ユニットは、無線通信機を介して、構成タグのメモリデバイス内に記憶された1回目の洗剤抽出の時点を取り出すように構成されている。制御ユニットは、現在の時点と1回目の洗剤抽出の時点との間の時間差が所定の制限時間を超えるかどうかをチェックするように構成されている。加えて、制御ユニットは、所定の制限時間を超えたとき、洗剤容器からの洗剤抽出を防止するためのアクションを遂行するように構成されている。
【0044】
構成タグ内の参照によって参照される洗剤の元の特性を有しない可能性のある洗剤による、洗剤容器の再充填が行われたことが検出され得る。これにより、洗浄セッションの成功性が確実にされる。
【0045】
第1の態様に係るシステムの第12の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムは複数の洗剤容器を備える。システムはまた、各々のものが、洗剤が1つの別個の洗剤容器から洗浄ユニットへ流れることを可能にするように構成された、複数の投入デバイスを備える。加えて、システムは、各々のものがそれぞれの洗剤容器に関連付けられた、複数の構成タグを備え、各構成タグのそれぞれのメモリデバイスが、それぞれ関連付けられた洗剤容器の洗剤へのそれぞれの参照を含む。システムは、各々のものが特定の構成タグの専用である、複数の無線通信機を更に備える。更に、制御ユニットは、それぞれの無線通信機を介して、それぞれの洗剤容器の構成タグのメモリデバイスから取得された、取得された参照に基づいて、洗浄セッション中に洗浄ユニットによって使用される洗剤を選択するように構成されている。
【0046】
制御ユニットは、取得された情報に基づいて、後続の洗浄セッションのためにどの洗剤容器が使用されるかを決定し、これにより、人間の相互作用を必要とすることなく洗浄セッションの連続シーケンスを整え得る。これにより、農業従事者は、洗浄セッションに関連付けられた作業の多くから解放される。酸性洗剤を用いた中間洗浄セッションを忘れるリスクが効果的に取り除かれる。
【0047】
第1の態様に係るシステムの第13の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムは、洗浄される搾乳機器内に配置されたセンサを備え、センサは、洗浄セッション中に、混合物の特徴を測定するように構成されている。更に、制御ユニットは、適用された洗剤に関連する、センサからの測定値を取得するように構成されている。また、制御ユニットは、センサの取得された測定値を洗剤の特徴の期待値と比較するように構成されている。制御ユニットは、取得された測定値が洗剤の特徴の期待値と一致しないとき、洗剤容器からの後続の洗剤抽出を防止するためのアクションを遂行するように構成されている。
【0048】
センサによって、洗浄の成果/結果を測定し、評価することによって、洗浄の成果のフィードバックが達成され、例えば、洗浄ユニットによって用いられる洗浄パラメータのレベルを微調整するため、又は洗剤が劣化したこと、不良であること、若しくは低級の洗剤と交換されたことを検出するために用いられ得る。これにより、洗浄セッションの結果は更に改善される。
【0049】
第1の態様に係るシステムの第14の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、システムは、洗剤が弁デバイスを介して洗剤容器から洗浄デバイスへ抽出される間に洗浄ユニットが起動され、洗剤容器に関連付けられた構成タグが無線通信機によって検出されないときにのみ、制御ユニットが、洗浄デバイスのための予めプログラムされた洗浄セッションプログラムの遂行を可能にするように構成されていることを含む。
【0050】
予めプログラムされた洗浄セッションプログラムは、追加的に延長された循環時間、より高い洗浄温度、及び/又は増大した洗剤濃度を含み得、これにより、搾乳機器の不十分な洗浄を回避するための余裕を取るため、(構成タグを有しない)未許可の洗剤の使用に起因する不十分な洗浄が回避される。
【0051】
第1の態様に係るシステムの第15の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、洗浄される搾乳機器はミルクラインを含み、システムは、ミルクラインに作用するスラグを生成するために混合物を含むガスをミルクライン内に入れるように構成された制御可能弁を備える。システムはまた、洗浄されるミルクライン内に過小圧力を発生するように構成された真空ポンプを備える。制御ユニットは、混合物を含む液体のスラグの形成を確実にし、例えば、真空ポンプ及び/又は制御可能弁への制御シグナリングを介して、期間中はスラグとミルクラインの内面との間の接触が確立されていることを確実にすることによってミルクラインを洗浄するように構成されている。
【0052】
これにより、洗浄セッションは更に最適化される。
【0053】
第1の態様に係るシステムの第16の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、洗浄される搾乳機器はミルクラインを含み、システムは、過剰圧力を発生し、ミルクラインの断面が混合物で満たされるよう、ミルクラインを通して混合物を圧送するように構成されたポンプを備える。更に、制御ユニットは、制御ユニットが、期間中は混合物とミルクラインの内面との間の接触が確立されていることを確実にするようポンプを制御するように構成されている。
【0054】
これにより、洗浄セッションは更に最適化される。
【0055】
第1の態様に係るシステムの第17の実装形態では、又は以前に開示されたその任意の実装形態によれば、洗浄される搾乳機器はミルクタンクを含む。
【0056】
これにより、洗浄セッションは、ミルクタンクの洗浄を含むとき、更に最適化される。
【0057】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、洗剤を含む洗剤容器によって達成される。洗剤容器は構成タグに関連付けられており、この洗剤は、第1の態様、又はその任意の実装形態に係るシステムの洗浄ユニットによって使用されるためのものである。構成タグのメモリデバイスは、洗剤容器内に含まれている洗剤の参照を記憶する。構成タグは、構成タグが無線通信機から通信距離以内に配置されているとき、洗剤容器の外部の無線通信機と無線で通信するように構成されている。
【0058】
構成タグ内の洗剤への一意的参照のおかげで、洗剤容器の洗剤は一意的に識別され、洗剤が洗浄セッションのために適用されることになる洗浄ユニットの制御ユニットによって洗剤の特性が取得され得る。これにより、洗浄セッション中に用いられる洗浄ユニットのパラメータが、人間の相互作用を要することなく、自動的に設定され得る。これにより、洗浄セッションは最適化され得、資源の節減をもたらし、その一方で、農業従事者の作業負荷を低減する。
【0059】
第2の態様に係る洗剤容器の第1の実装形態では、メモリデバイスは、洗浄セッション中の温度、洗剤濃度、洗浄セッションの洗浄時間、又はこれらの組み合わせに関する情報を含む。
【0060】
第2の態様に係る洗剤容器の第2の実装形態、又はその第1の実装形態では、メモリデバイスは、洗剤容器内の洗剤量及び/又は洗剤の有効期限に関する情報を含む。
【0061】
これにより、洗浄ユニットの構成データを事前に記憶し、維持することによって、洗浄セッションは更に最適化され得る。洗浄ユニット/洗浄セッションの管理に関連付けられたコスト、保守、及び農業従事者の作業強度が最小限に抑えられるか、又は少なくとも低減される。
【0062】
次の詳細な説明から、他の利点及び更なる新規の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0063】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
【
図1】農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムの一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムを示す図である。
【
図3】一実施形態に係る、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムを示す図である。
【
図4A】一実施形態に係る、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムの詳細を示す図である。
【
図4B】一実施形態に係る、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムの詳細を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る、農業環境内の搾乳機器を洗浄するように構成されたシステムの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本明細書において説明される発明の実施形態は、後述される実施形態において実施され得る、システム及び洗剤容器として定義される。しかし、これらの実施形態は多くの異なる形態で例示されて実現されることができ、本明細書において説明される例に限定されてはならない。むしろ、実施形態のこれらの例示的な例は、本開示が徹底的で完全になるように提供されている。
【0065】
更に他の目的及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明から明らかになり得る。しかし、図面は例示の目的のためにのみ設計されており、添付の請求項が参照されることになる、本明細書において開示される実施形態の限定の定義として設計されていないことを理解されたい。更に、図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、別途記載のない限り、それらは、単に、本明細書において説明される構造及び手順を概念的に例示することが意図されているにすぎない。
【0066】
図1は、いくつかの搾乳ステーションを含む固定パーラー内で動物が搾乳される、酪農場における酪農動物の群れに含まれ得る動物の搾乳のためのシステム100を有するシナリオを示す。
【0067】
図2に、システム100がロボット搾乳を含む代替的実施形態が示されており、
図3に、システム100がミルクタンクの洗浄を含む実施形態が示されている。
図4A~
図4B及び
図5は、ソリューションの特定の実施の詳細を示す。
【0068】
「動物」は、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラクダ、酪農スイギュウ、ロバ、ヤクなどの、あらゆる任意の種類の家畜化された雌の泌乳哺乳動物であり得る。
【0069】
動物のミルクは、
図1に概略的に示される、ミルク抽出機構によって抽出され得る。ミルク抽出機構は、ミルクライン140b、及びミルクライン140bに接続された複数のミルクステーション102a、102b、102cを含む。各ミルクステーション102a、102b、102cはミルク抽出のための搾乳機器を含む。
【0070】
搾乳装置は、ミルクライン140bに接続されて、ミルクライン140bを介してミルクステーション102a、102b、102cから受け器105へ輸送されたミルクを受けるように構成された受け器105を更に含む。
【0071】
また、受け器105を介してミルクライン140b内に真空を供給するように構成された真空システムが設けられている。真空システムは、真空ポンプ5、及びガス、好ましくは、大気を、受け器105を真空ポンプ5と接続するライン内に導入するように構成された制御可能弁6を含む。真空システムによって供給される真空は、真空ポンプ5の効果並びに/又は制御可能弁6の開閉を制御することによって制御され得る。真空システムはまた、直列に配置された、サニタリートラップ7及びバッファタンク8を含み、それらを介して真空ポンプ5は受け器105に接続されている。真空システムは、搾乳中に真空をミルクライン140bに供給するために用いられる。しかし、後述されるように、真空システムはまた、洗浄セッションを制御するためにも用いられる。
【0072】
洗浄ユニット130が、洗剤を含む1つ又はいくつかの洗剤容器110a、110bに接続されている。洗剤は、配管109a、109b、及び洗剤容器110a、110bからの洗剤を洗浄ユニット130に供給するように構成された投入デバイス108a、108bを介して洗浄ユニット130に提供され得る。洗浄ユニット130は、次に、洗剤容器110a、110bの洗剤、及び水を利用して混合物を生成し、その混合物で洗浄セッション中に搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150を洗浄することができる。
【0073】
また、ある量のガス、好ましくは、大気をミルクライン140b内に導入し、かくして、洗浄ユニット130からの混合物のスラグを引き起こし、ミルクライン140b内を前進させる一時的な圧力の増大をその内部に生み出すように構成された、制御可能弁10、又は注入器が設けられている。洗浄ユニット130は、配管140a及び制御可能弁12を介して注入器10の近傍でミルクライン140bに接続されている。搾乳ステーション102a、102b、102cの機器もまた、配管140a及び制御可能弁13を介して洗浄ユニット130に、それ自体が公知の仕方で接続可能である。洗浄セッション中にミルクライン140bに入り、その少なくとも部分を占有する混合物の流れを測定するために、注入器10に接続した、及びミルクステーション102a、102b、102cに接続した流量計14、15、16、17が設けられてもよい。
【0074】
混合物が受け器105から洗浄ユニット130へ圧送されるポンプ20が設けられている。図示された特定の実施形態では、ポンプ20はまた、搾乳中にはミルクを受け器105からミルクタンク150へ圧送するように構成されている。図示された実施形態では、上記ポンプ20によって圧送された混合物は、ポンプ20とミルクタンク150との間に配置されたフィルタ22及び熱交換器23を介して洗浄ユニット130へ圧送される。圧送された混合物をミルクタンク150にではなく洗浄ユニット130に向けて誘導するための制御可能弁25が設けられている。洗浄中、上記制御可能弁25はミルクタンク150内への混合物の流れを防止する。
【0075】
搾乳装置は、注入器11、真空システムの真空ポンプ5及び制御可能弁6の動作を制御するように構成された制御ユニット120を更に含む。制御ユニット120は、真空ポンプ5及び制御可能弁6のうちの少なくとも一方を制御することによって真空システムによって供給される真空レベルを制御するように構成されている。これにより、制御システムは、真空ポンプ5のrpm及び制御可能弁6の開放時間を制御するように構成されている。真空ポンプ5を受け器105と接続するライン内に圧力センサが設けられてもよく、制御ユニット120は、上記圧力センサからの入力に基づいて真空システムを制御するように構成されてよい。
【0076】
制御ユニット120はまた、制御可能注入器10を介して導入される時間単位当たりのガス量を制御することによってスラグ特性を制御するように構成されている。制御可能注入器10は、制御可能可変断面を有するチャネルを呈し、制御ユニット120は、制御可能注入器10を介して導入される時間単位当たりのガス量を制御するためにチャネルの上記可変断面を制御するように構成され得る。これにより、制御ユニット120によって制御されるスラグ特性は個々のスラグのスラグ速度及び個々のスラグの長さを含む。
【0077】
制御ユニット120はまた、制御可能弁12、13の動作を制御するように構成されており、これにより洗浄液源9からの洗浄液が、注入器10を介して、又はミルクステーション102a、102b、102cの搾乳機器を介して、ミルクライン140bに入ることを可能にされる。制御ユニット120はまた、混合物が受け器105から洗浄ユニット130へ圧送されるポンプ20の動作を制御するように構成されている。
【0078】
制御ユニット120は、ここでは、プロセッサ及び可読メモリを含む局所的に配置されたユニットによって例示されている。また、クラウドベースのソリューションなどの代替的実施形態、即ち、制御ユニット120は遠隔に配置されているが、電気通信ネットワークを介して上述のエンティティに通信で接続されている、代替的実施形態も想定可能である。更にいくつかの実施形態では、制御ユニット120は分散されて、上述のアクションのうちの一部を遂行する局所的に配置されたユニットと、これに加えて、一部の他のアクションを遂行する遠隔に配置され通信で接続された制御ユニットとを含み得る。
【0079】
洗浄ユニット130はミルクライン140bに接続されている。洗浄ユニット130はまた、必要とされるときに、洗剤が洗剤容器110a、110bから洗浄ユニット130へ流れることを可能にするように構成された、それぞれの配管109a、109b及び投入デバイス108a、108bを介して、1つ又はいくつかの洗剤容器110a、110bに接続されている。
【0080】
洗剤容器110a、110bは、いくつかの実施形態では、洗浄ユニット130と同じ区域内に、かつ比較的接近して配置され得る。しかし、多くの場合、洗剤容器110a、110bと洗浄ユニット130とを個別の部屋内に保持することが望ましく、濃縮した洗剤は腐食などの損傷を引き起こし得る。洗剤容器110a、110bを(例えば、個別の入口を有する)個別の部屋内に保持することはまた、洗剤容器110a、110bの取り替えを単純化し得る。それらの実施形態では、配管109a、109bは2つの個別のそれぞれの部屋の間の壁を通過し得る。後者の実施形態は、
図4A及び
図4Bにおいて更に説明されている。
【0081】
制御ユニット120は投入デバイス108a、108bに通信可能に接続されてもよく、これにより、制御ユニット120が、それぞれ、対応する洗剤容器110a、110bから洗浄ユニット130に洗剤を提供すること、及び/又はそれを防止することを可能にする。これにより、制御ユニット120は、洗剤管理を整えることを可能にすることであり、構成タグ111a、111b上の参照/情報に基づいて決定されたとおりの、適切な洗剤を適切な時点で洗浄ユニット130に提供する。また、例えば、ポンプがこの目的で制御ユニット120に通信可能に接続され、制御ユニット120によって制御され得る。
【0082】
洗浄ユニット130は、異なる時間間隔で、異なる目的のために別個の種類の洗剤を使用し得る。アルカリ性洗剤は(1日1回又は数回の)頻繁な洗浄/消毒のために使用され、その一方で、酸性洗剤は、搾乳機器内に経時的に形成されたスケールを溶解するために間欠的に適用され得る。いくつかの実施形態では、専用消毒剤が洗剤に追加して使用されるか、又は洗剤とは別に使用され得る。
【0083】
洗剤容器110a、110bは、洗剤容器110a、110bに関連付けられた構成タグ111a、111bを含んでおり、構成タグ111a、111bのメモリデバイスは洗剤容器110a、110bの洗剤への参照を含む。
【0084】
参照は、洗剤の、名称、文字、コード、番号、幾何学的形状、色、文字列などの、洗剤容器110a、110bの洗剤を一意的に識別する情報を含み得る。
【0085】
システム100はまた、1つ又はいくつかの無線通信機112a、112bを備えており、1つ又はいくつかの無線通信機112a、112bは、構成タグ111a、111bが無線通信機112a、112bから通信距離以内に配置されているとき、構成タグ111a、111bと無線で通信し、構成タグ111a、111bのメモリデバイスから洗剤への参照を取り出すように構成されている。
【0086】
無線通信機112a、112bと構成タグ111a、111bとの間の通信は、例えば、近距離無線通信(NFC、Near Field Communication)又は無線周波数識別(RFID、Radio-frequency identification)などの、短距離無線通信によって行われ得る。
【0087】
NFCは、例えば、4~20センチメートルなどの、最大数センチメートルの距離にわたる2つの電子デバイスの間の通信のための通信プロトコルのセットである。
【0088】
RFIDの実装形態では、無線通信機112a、112bは電磁問い合わせパルスを伝送し、電磁問い合わせパルスは、洗剤を一意的に識別する参照などの、デジタルデータを無線通信機112a、112bへ返送するよう構成タグ111a、111bの無線トランスポンダをトリガし、活性化する。
【0089】
異なる洗剤は、同じ一般種別(アルカリ性/酸性)のものであるときにも、異なる品質、化学組成、濃度、及び洗浄ユニット130の洗浄セッションに影響を及ぼす他の特性を有し得る。それゆえ、洗浄ユニット130の洗浄パラメータの設定は、洗剤の各入れ替えの合間に変更されるか、又は少なくともチェックされる必要があり得る。
【0090】
制御ユニット120は、いくつかの実施形態では、取得された参照に基づいて、洗浄ユニット130のパラメータを設定するために洗剤に関する情報を抽出し得る。情報は、構成タグ111a、111bのメモリデバイスから、並びに/又はローカルデータベース125から、並びに/又は電気通信ネットワーク170及び/若しくは無線トランシーバ160を介してアクセス可能であり得るリモートデータベース165から抽出され得る。
【0091】
抽出された情報は、例えば、洗剤容器110a、110bの特定の洗剤のために、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150の洗浄セッション中に洗浄ユニット130によって用いられる所定の洗浄プログラムへの参照を含み得る。
【0092】
非限定例:取得された、洗剤「α」への参照は洗浄プログラム「0」に関連付けられることができ、その一方で、洗剤「β」は洗浄プログラム「1」に関連付けられることができる。それぞれの洗浄プログラムの詳細(時間、濃度、温度など)もまた、例えば、ローカルデータベース125内に記憶され、洗浄ユニット130に提供され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、抽出された追加情報は、洗浄プログラムへの参照、洗浄セッション中に保たれる温度、洗剤濃度、洗浄セッションの洗浄時間、又はこれらの組み合わせを含み得る。他の実施形態では、抽出された追加情報は、例えば、(非塩素系洗剤が使用される場合に)追加の洗剤を追加するための情報を含み得る。更にいくつかの実施形態では、抽出された情報は洗剤容器110a、110b内の洗剤量及び/又は洗剤の有効期限に関し得る。
【0094】
情報、又はそのいくらかの部分は、いくつかの実施形態では、洗剤容器110a、110bの構成タグ111a、111bのメモリ内に含まれ得る。代替的に、又は加えて、情報、又はそのいくらかの部分は、ローカルデータベース125及び/又はリモートデータベース165内に含まれ得る。
【0095】
洗剤容器110a、110bの洗剤に関連付けられた情報を抽出し、この情報に基づいて洗浄ユニット130のパラメータを設定することによって、プロセスが自動化されるため、洗浄ユニット130のためのパラメータの面倒な手動設定/選択が省かれる。これにより、農業従事者の時間が節減され、農業従事者は、代わりに、動物の一団の健康及び快適性に集中することができるであろう。また、洗浄ユニット130のパラメータを入力する際の人的過誤/誤植のリスクが取り除かれる。
【0096】
上述のソリューションの別の利点は、特定の洗剤のための不適切な洗浄パラメータを入力するリスク、又は洗剤を変更する際に洗浄パラメータを変更することを忘れるリスクが解消されることである。
【0097】
洗浄パラメータは、異なる注目対象を念頭に置いて設定することができるであろう。ミルクを収集するダイアリ(diary)の国内法/衛生規制(異なる法律において異なり得る)及び/又は衛生規則が洗浄プログラムによって満たされなければならず、さもなければ、ミルクは廃棄されなければならないか、又は少なくとも、食用のために使用されなくなる場合がある。これは、各洗浄セッション中に満たされなければならない衛生の最低要件を成す。
【0098】
一部の生産者は、ミルク品質に影響を及ぼし得る洗浄プロセスにおける妥協を受け入れない、更なる衛生レベルを自分たちの農場において保つことを望むことがあり、これは、最初に言及した事例と比べて、より高い温度、洗浄プログラムのためのより長い循環時間、洗剤/水混合物中の洗剤のより高い濃度などを含むパラメータ設定をもたらし得る。
【0099】
しかし、他の生産者は、洗浄セッション中に使用される時間を最小限に抑えることを重視することがある。上述されたように、搾乳機器は洗浄セッション中は使用することができず、そのため、洗浄セッションはミルク生産を保留させる。これは、最初に言及した事例と比べて、洗剤/水混合物中の洗剤のより高い温度及び/若しくはより高い濃度を含むパラメータ設定、並びに/又はより効率の良い化学組成を有する洗剤の選択をもたらし得る。
【0100】
また、他の生産者も存在し、上述の衛生規制をなおも満たしつつ、洗浄セッションのコストを最小限に抑えることを重視し得る。洗浄セッションのコストは、例えば、選択された洗剤、(混合物を洗浄温度に加熱するための)エネルギー価格に応じて変化することになる。コストはまた、ミルクラインの長さ及び/又は直径、ミルクラインが熱絶縁されているか否か、及び異なる農場で異なり得る同様の因子などの、ローカルパラメータにも依存する。
【0101】
加えて、例えば、用いられる温度を低下させ、その一方で、洗浄時間を延長する、かつ/又は混合物中の洗剤の濃度を低減することによって、洗浄セッションの気候への影響、及び洗剤の富栄養化を最小限に抑えることを重視する生産者も存在し得る。
【0102】
提供されるソリューションのおかげで、洗浄ユニット130のパラメータは生産者の努力目標に従って制御ユニット120によって設定されることができ、これにより、国内法/衛生規制が満たされることだけでなく、生産者の所望の目標が努力されることも確実にする。
【0103】
いくつかの実施形態では、制御ユニット120は、例えば、例として、適用された洗剤容器110a、110bの洗剤の生産者などのサービス提供者180によって提供される、リモートデータベース165に接続され得る。これにより、農場は、特定の洗剤の、(例えば、最適洗浄温度/濃度などに関する)洗剤生産者180の研究部門の新開発に即座に参加し得る。これにより、洗浄セッションは更に最適化され得る。
【0104】
更なるいくつかの実施形態では、システム100は、洗浄される搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150内、又はそれに配置された1つ又はいくつかのセンサ26a、26bを備え得る。センサ26a、26bは、例えば、温度センサ、液体流量センサ、接続性センサなどの、同じ種類であっても又は異なる種類のものであってもよい。センサ26a、26bは、いくつかの実施形態では、センサ26a、26bからのフィードバックに従って洗浄セッションを適応させ得る、制御ユニット120と通信可能に接続され得る。
【0105】
代替的実施形態では、制御ユニット120は、センサ26a、26bの捕捉されたセンサ検出を、洗剤使用最適化サービス提供者180、例えば、洗剤の生産者に提供してもよく、洗剤使用最適化サービス提供者180は、提供されたセンサ検出に基づいて、それらに基づいて、場合によっては、また、特定の農場に固有のものである、搾乳ラインの長さなどを含む他の既知の情報に基づいて、推奨洗浄プログラム、及び/又は洗浄ユニット130の設定を調整し得る。この修正された推奨パラメータ設定が実施のために農場における制御ユニット120に返され得る。これにより、洗浄セッションの最適化は更に改善され得る。
【0106】
次に、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150の実施される洗浄セッションの一例が簡単に説明される。洗浄セッションは、この場合には、アルカリ性洗剤を使用することによって行われ、畜群の搾乳イベント後に遂行され得る。洗浄セッションは、前すすぎ段階、主洗浄段階、及び後すすぎ段階を含み得る。しかし、他のプログラムは、例えば、消毒段階、酸性洗剤段階、及び/又は追加の後すすぎ段階を含み得る。
【0107】
前すすぎ段階の最中は、ミルク残留物を除去するために、ぬるま湯が、示唆的には循環を行うことなく、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150を通して流される。
【0108】
前すすぎ段階の後に主洗浄段階が行われる。主洗浄段階において、洗浄ユニット130は洗剤を水と混合して混合物を作り、混合物は、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150を洗浄するために、(例えば、50°~90°に)加熱される。主洗浄段階の最中は、洗剤及び水の混合物は、特定の期間にわたって、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150内を繰り返し循環していてもよい。循環中には、上述されたように、スラグが発生され得、搾乳ライン140bの内部断面積をいっぱいに満たす。
【0109】
主洗浄段階の後に、洗剤の残存物を搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150から除去するために、後すすぎ段階が遂行される。後すすぎは、水道水を、循環を行うことなく搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150に通してすすぐことによって行われ得る。
【0110】
いくつかの洗浄プログラムでは、搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150内の細菌増殖/カビなどを抑止するために、消毒手段が後すすぎ段階後に搾乳機器102、105、140a、140b、140c、150内に入れられ得る。
【0111】
任意選択的な消毒ステップの後、次に、上述の後すすぎ段階と同様の、第2の後すすぎ段階が行われ得る。
【0112】
図2は、ロボット搾乳が適用された農場における搾乳システム100を説明する。
【0113】
搾乳システム100は、複数の搾乳ステーション102、ミルクタンク150、搾乳ステーション102からミルクタンク150へ延びるミルクライン140bを備える。
【0114】
搾乳ステーション102は、それぞれの搾乳ステーション102に入った動物を自動的に搾乳するように構成された搾乳ロボットを含む。ミルクタンク150は冷却タンクであり、搾乳システム100におけるミルクの採収に関連して大量のミルクがこれに集められる。冷却タンク150は、例えば、ミルクローリによって、定期的に空にされる。
【0115】
ミルクライン140bは、搾乳ステーション102に接続されている。ミルクライン140bは、搾乳ステーション102が接続されたループ140a、及びループ140aからタンク150へ延びる部分140bを含む。ループ140aは約100メートル以上の長さを有し得、その一方で、更なる部分140bは相当に短く、例えば、10メートルであり得る(非限定例)。弁機構4、5が、搾乳ステーション102からミルクタンク150へのミルクの流れを制御するように構成されている。図面では、2つの弁4、5のみが設けられているが、他の実施形態では、より少ない又はより多い弁が弁機構に関わり得る。
【0116】
弁4、5は、搾乳システム100の動作を制御するよう制御ユニット120によって制御され得る。
【0117】
搾乳システム100はまた、洗剤及び水の混合物をミルクライン140b内に導入し、混合物を、ミルクライン140bの少なくとも大部分を通して輸送するように構成された洗浄ユニット130を備える。洗浄ユニット130は、混合物をミルクライン140b内に送達するように構成された送達機構を含み得る。洗浄ユニット130は、ミルクライン140bと共に回路を形成し得る。洗浄機構130は、ミルクライン140bを通して混合物を圧送するためのポンプ8、例えば、遠心ポンプを更に含み得る。
【0118】
洗浄ユニット130はまた、必要とされるときに、洗剤が洗剤容器110a、110bから洗浄ユニット130へ流れることを可能にするように構成された、それぞれの配管109a、109b及び投入デバイス108a、108bを介して、1つ又はいくつかの洗剤容器110a、110bに接続されている。
【0119】
洗剤容器110a、110bの各々は、構成タグ111a、111bを含んでおり、構成タグ111a、111bのメモリデバイスは洗剤容器110a、110bの洗剤への参照を含む。無線通信機112a、112bが、構成タグ111a、111bが無線通信機112a、112bから通信距離d以内に配置されているとき、即ち、例えば洗剤室内の洗剤容器110a、110bの専用位置に配置されているとき、構成タグ111a、111bと無線で通信し、構成タグ111a、111bのメモリデバイスから洗剤への参照を取り出すように構成されている。
【0120】
制御ユニット120は、次に、上述されたように、無線通信機112a、112bを介して洗剤への参照を取得し、取得された参照に基づいて、洗浄セッションのための洗浄ユニット130のパラメータを設定し得る。
【0121】
混合物の伝搬は、
図2に示される実施形態では、
図1における上述の実施形態とは異なって行われる。混合物のスラグを生成する代わりに、ミルクライン140bの断面が液体で満たされるようミルクライン140bを通して洗剤を含む液体を圧送するように構成されたポンプ8によって発生された過剰圧力によって、水/洗剤混合物の柱がミルクライン140b内を押し通される。
【0122】
洗浄ユニット130は、いくつかの実施形態では、洗剤及び水が、第1の導管11を介してポンプ8へ導かれる前に混合されるトレイ12を含み得る。制御ユニット120は、投入デバイス108a、108bを制御することによって洗剤及び水の混合を開始し、動作するように構成されている。洗浄セッションのために送達される水/洗剤混合物の量は所定の洗浄プログラムに従って事前に設定され得る。
【0123】
制御ユニット120は、ミルクライン140bの適切な洗浄を確実にするために、期間中は循環のためのループ内で混合物とミルクライン140bの内面との間の接触が確立されていることを確実にするようポンプ8を制御するように構成され得る。
【0124】
他の点では、洗浄セッションのプログラムは、上述されたのと同じ要素、即ち、前すすぎ段階、主洗浄段階、及び後すすぎ段階を含み得る。
【0125】
図3は、ミルクタンク150が洗浄ユニット130によって洗浄される一実施形態を示す。ミルクタンク150は、各搾乳セッションの抽出されたミルクを維持しており、通常、冷蔵庫におおよそ対応する、約1°~8℃の温度に冷やされている。それゆえ、ミルクタンク150の洗浄はミルクライン及び特定の他の搾乳機器の洗浄と同じ頻度で行われなくてもよい。代わりに、ミルクタンク150は、ミルクローリがミルクを収集し、ミルクタンク150が空になっている時に洗浄されてよく、これは1週間に数日であり得る。
【0126】
洗浄ユニット130は、必要とされるときに、洗剤が洗剤容器110a、110bから洗浄ユニット130へ流れることを可能にするように構成された、それぞれの配管109a、109b及び投入デバイス108a、108bを介して、1つ又はいくつかの洗剤容器110a、110bに接続されている。
【0127】
洗剤容器110a、110bは、洗剤容器110a、110bの洗剤への参照を含む構成タグ111a、111bを含むか、又はそれに関連付けられている。
【0128】
システム100はまた、制御ユニット120と通信可能に接続された、無線通信機112a、112bを備える。無線通信機112a、112bは、構成タグ111a、111bが無線通信機112a、112bから通信距離以内に配置されているとき、構成タグ111a、111bと無線で通信し、構成タグ111a、111bのメモリデバイスから洗剤への参照を取り出すように構成されている。
【0129】
次に、制御ユニット120は、無線通信機112a、112bを介して洗剤への参照を取得し、取得された参照に基づいて、洗浄セッションのための洗浄ユニット130の少なくとも1つのパラメータを設定し得る。
【0130】
ミルクタンク150の洗浄セッションは、上述されたように、前すすぎ段階、主洗浄段階、及び後すすぎ段階を含み得る。
【0131】
ポンプ320aが、液体、すすぎ段階中の水、並びに/又は主洗浄段階中の水及び洗剤の混合物のどちらかを、回転ノズル310、又はミルクタンク150の内部の何らかの対応する機構へ前進させ得る。その後、混合物はミルクタンク150の内壁を通じて排出され得る。
【0132】
前/後すすぎ段階中に使用された液体はミルクタンク150の底部における栓から廃棄され得、その一方で、主洗浄段階中に使用された混合物は、例えば、混合物を洗浄ユニット130へ戻すための別のポンプ320bによって、循環させられ得る。
【0133】
図4Aは、側面図から見たときの、洗剤容器110が、洗浄ユニット130を含む部屋とは隔てられた個別の部屋内に配置されている一実施形態を示す。
図4Bは、同じ機構を上から見たときの図を示す。
【0134】
洗剤容器110は、洗浄ユニット130を含む他方の部屋430から隔てられた、個別の部屋420内に配置され得る。図示の実施形態では、洗剤容器110は、壁440によって洗浄ユニット130から隔てられている。
【0135】
洗剤容器110は、洗剤容器110の洗剤への参照を含む、洗剤容器110に関連付けられた構成タグ111を含む。
【0136】
無線通信機112から通信距離d以内に配置されているときに洗剤容器110の構成タグ111と無線で通信するように構成された、無線通信機112。制御ユニット120によって制御される投入デバイス410が配管109を介して洗剤容器110から洗浄ユニット130に洗剤を提供することを可能にするために洗剤容器110が正しく配置されたときにのみ、構成タグ111が検出され、通信され得るよう、無線通信機112は洗剤容器のための個別の部屋420内の位置に配置され得る。投入デバイス410はポンプを含んでもよく、例えば、ホースポンプを含んでもよい。
【0137】
洗剤容器110を個別の部屋420内に維持することによって、洗剤容器110の漏れた洗剤が隣接機器への腐食などの損傷を引き起こし得る可能性が回避される。
【0138】
図5に示される実施形態に示されるように、構成タグ111は、洗剤容器110の洗剤への参照を含むメモリデバイス520、及び無線通信機112との無線通信のために構成された、無線トランシーバ510を含む。
【0139】
システム100は、いくつかの実施形態では、警報発信デバイス530を備え得る。制御ユニット120は、洗剤容器110の洗剤の検出された異常に関する様々な情報、例えば、洗剤を替える/再充填する時機が来たこと、洗剤の有効期限が過ぎたこと、洗剤容器110が再充填されたこと、洗剤容器110内に漏れが存在し得ること、センサ26a、26bのフィードバック情報の分析が、洗剤が劣化したか、又は交換されたことを指示することなどを警報発信デバイス530へ発し得る。
【0140】
警報発信デバイス530は、農業従事者の携帯電話、スクリーン、サイレン/大音響発生デバイス、触知デバイス、又はこれらの特徴のうちの少なくともいくつかの組み合わせであり得る。
【0141】
洗剤パラメータの期待値(参照値)と、対応する洗剤関連測定値の結果との間に、閾値限界を超えるずれが検出されたとき、警報が警報発信デバイス530へ出力され得る。警報は、例えば、結果において検出されたずれの理由を更に調査するよう農業従事者に促す、視覚情報、音声メッセージ、触知信号、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の人が畜群に携わっている場合には、複数の農業従事者、及び彼らのそれぞれの関連警報発信デバイス530へ一斉同報が行われてもよい。
【0142】
これにより、農業経営者/農業従事者の作業は更に円滑なものとなる。
【0143】
図1、
図2、
図3、
図4A、
図4B、及び/又は
図5に示される、実施形態、又はそれらの部分は、有利に、更なる恩恵を達成するために互いに組み合わせられ得る。
【0144】
添付の図面に示されるとおりの実施形態の説明において使用される専門用語は、上述のシステム100、制御ユニット120、洗剤容器110a、110b、洗浄ユニット130、投入デバイス108a、108b、410、構成タグ111a、111b、及び無線通信機112a、112bの限定であることを意図されていない。添付の請求項によって定義されるとおりの発明の実施形態から逸脱することなく、様々な変更、置換及び/又は、改変が行われ得る。
【0145】
本明細書で使用する時、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。用語「又は」は、本明細書で使用する時、特に明記しない限り、数学的な排他的OR(XOR)としてではなく、数学的なORとして、即ち、両立的選言として解釈されるべきである。加えて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」として解釈されるべきであり、それゆえ、場合により、同じ種類の複数の実体も含む。更に、用語「含む(includes)」、「備える(comprises)」、「含む(including)」、及び/又は「備える(comprising)」は、記述される特徴、アクション、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、アクション、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外しないことが理解されるであろう。例えば、プロセッサなどの、単一のユニットが、請求項に記載されているいくつかの項目の機能を果たし得る。特定の方策又は特徴は、相互に異なる従属請求項に記載されているか、異なる図に示されているか、又は異なる実施形態に関連して説明されているという事実のみをもって、これらの方策又は特徴の組み合わせを有利に用いることができないことが示されるわけではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又はその一部として提供される、光学記憶媒体又は固体媒体などの、好適な媒体上に記憶され/配付されてもよいが、また、インターネット又はその他の有線若しくは無線通信システムを介するなど、他の形態で配付されてもよい。
【国際調査報告】