(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】LEDパッケージデバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20231211BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20231211BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/54
H01L23/28 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532112
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2021078822
(87)【国際公開番号】W WO2022183393
(87)【国際公開日】2022-09-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520374807
【氏名又は名称】泉州三安半導体科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】陳 順意
(72)【発明者】
【氏名】黄 森鵬
(72)【発明者】
【氏名】李 達誠
(72)【発明者】
【氏名】時 軍朋
(72)【発明者】
【氏名】余 長治
(72)【発明者】
【氏名】徐 宸科
【テーマコード(参考)】
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4M109AA04
4M109DA03
4M109EA00
5F142AA58
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD32
5F142CD44
5F142CD47
5F142CG03
5F142CG22
5F142CG32
(57)【要約】
本願はLEDパッケージデバイス及びその製造方法を開示する。当該パッケージデバイスはパッケージ基板、LEDチップ及びパッケージ層を含み、LEDチップはパッケージ基板のダイボンドエリアに設けられ、かつパッケージ層とパッケージ基板との間に位置し、LEDチップ周辺のパッケージ層に段差構造が配置され、段差構造における段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義され、各段差はいずれも段差面及び縦面を含み、第1段差の縦面とLEDチップとの間の最大水平距離は第n段差の縦面とLEDチップとの間の水平距離より小さい。本願はLEDチップ周辺のパッケージ層を段差構造に配置し、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さを減少し、それによってパッケージ層の応力放出を減少し、当該パッケージデバイスの信頼性を向上させる。同時に、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さが減少されるため、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層はLEDチップの出射光に対する吸収を減少することができ、LEDチップの光出射輝度を高める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDパッケージデバイスであって、
1つの実装面を含み、前記実装面にダイボンドエリア及び非ダイボンドエリアが配置されているパッケージ基板と、
前記パッケージ基板のダイボンドエリアに設けられるLEDチップと、
前記パッケージ基板のダイボンドエリア及び非ダイボンドエリアを覆うパッケージ層と、を含み、前記LEDチップは前記パッケージ層と前記パッケージ基板との間に位置し、前記LEDチップ周辺の前記パッケージ層に段差構造が配置されており、前記段差構造における段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義され、各前記段差はいずれも1つの段差面及び1つの縦面を含み、前記第1段差の縦面とLEDチップとの間の最大水平距離は前記第n段差の縦面とLEDチップとの間の水平距離より小さい、
ことを特徴とするLEDパッケージデバイス。
【請求項2】
前記段差構造は複数の段差を含み、複数の前記段差はパッケージ基板の高さ方向に沿ってレイアウトされる、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項3】
前記縦面の粗さは100μmより大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項4】
前記第1段差の段差面とLEDチップとの間の最小垂直距離は第1厚さであり、前記第1段差の縦面とLEDチップとの間の最小水平距離は第2厚さであり、前記第1厚さと前記第2厚さとの比は1:5~3:1の間にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項5】
前記第n段差の段差面とパッケージ基板の実装面との間の垂直距離は第3厚さであり、前記第1厚さと前記第3厚さとの比は1:4~3:1の間にある、
ことを特徴とする請求項4に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項6】
前記第2厚さと前記第3厚さとの比は1:4~5:1の間にある、
ことを特徴とする請求項5に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項7】
前記LEDチップの厚さが200~400μmの間にある時、前記第1厚さと前記第2厚さとの比は1:5~2:1の間にあり、前記第1厚さと前記第3厚さとの比は1:2~2:1の間にあり、前記第2厚さと前記第3厚さとの比は1:2~5:1の間にある、
ことを特徴とする請求項6に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項8】
前記LEDチップの厚さが400~700μmの間にある時、前記第1厚さと前記第2厚さとの比は1:5~3:1の間にあり、前記第1厚さと前記第3厚さとの比は1:4~3:1の間にあり、前記第2厚さと前記第3厚さとの比は1:4~5:1の間にある、
ことを特徴とする請求項6に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項9】
第n段差以外の全ての段差の縦面と隣接する段差面との間の角度は90°~120°の間にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項10】
第n段差以外の全ての段差の縦面と隣接する段差面との間の角度は90°である、
ことを特徴とする請求項9に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項11】
前記パッケージ基板に凹部領域が配置されており、前記凹部領域は前記LEDチップの周辺を取り囲む、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項12】
前記凹部領域は前記LEDチップの周方向に沿って間欠的にレイアウトされ、又は、前記凹部領域は前記LEDチップの周方向に沿って連続的にレイアウトされる、
ことを特徴とする請求項11に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項13】
前記LEDチップの波長は400nm未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項14】
前記パッケージ層の材料はフッ素含有材料である、
ことを特徴とする請求項1に記載のLEDパッケージデバイス。
【請求項15】
前記LEDチップを前記パッケージ基板に固定するステップと、
前記LEDチップのパッケージ基板から離れる表面、側壁、及び前記パッケージ基板の前記LEDチップ以外の領域に前記パッケージ層を形成するステップと、
前記LEDチップの周辺に位置する前記パッケージ層に対してプリカット処理を行い、それによって前記段差構造を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のLEDパッケージデバイスの製造方法。
【請求項16】
複数の前記LEDチップを前記パッケージ基板に固定するステップと、
各前記LEDチップのパッケージ基板から離れる表面、側壁、及び前記パッケージ基板の前記LEDチップ以外の領域に前記パッケージ層を形成するステップと、
各前記LEDチップの周辺に位置する前記パッケージ層に対してプリカット処理を行い、それによって前記段差構造を形成するステップと、
隣接するLEDチップの間の前記段差構造を切断し、前記LEDパッケージデバイスを形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のLEDパッケージデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はLEDパッケージの関連技術分野に関し、特にLEDパッケージデバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDコストの低減と効率の向上により、LEDは様々な分野に幅広く応用されている。従来のLEDパッケージ構造は主にガラスパッケージ構造、シリカゲルパッケージ構造又は特殊樹脂フィルムのパッケージ構造であり、生産コスト及び大規模量産の実現可能性を考慮すると、特殊樹脂フィルムのパッケージ構造は現在最も優位性を有するLEDパッケージ構造である。しかしながら、従来の特殊樹脂フィルムのパッケージ構造は長時間の老化過程で応力を放出し、特殊樹脂フィルム層とパッケージ基板との間の粘着力が低く、特殊樹脂フィルムとパッケージ基板との層剥離現象を引き起こしやすく、LEDパッケージ構造の信頼性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の目的はLEDパッケージデバイスを提供することであり、それは従来のLEDパッケージデバイスにおいて、パッケージ層とパッケージ基板との間の粘着力が低いことによるパッケージ層がパッケージ基板から脱落しやすく、パッケージデバイスの信頼性が低いという問題を改善することができる。
【0004】
別の目的はLEDパッケージデバイスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、本願の実施例はLEDパッケージデバイスを提供し、
1つの実装面を含み、当該実装面にダイボンドエリア及び非ダイボンドエリアが配置されているパッケージ基板と、
パッケージ基板のダイボンドエリアに設けられるLEDチップと、
パッケージ基板のダイボンドエリア及び非ダイボンドエリアを覆うパッケージ層と、を含み、LEDチップはパッケージ層とパッケージ基板との間に位置し、LEDチップの周辺のパッケージ層に段差構造が配置されており、段差構造における段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義され、各段差はいずれも1つの段差面及び1つの縦面を含み、第1段差の縦面とLEDチップとの間の最大水平距離は第n段差の縦面とLEDチップとの間の水平距離より小さい。
【0006】
上記実現過程において、LEDチップの周辺のパッケージ層を段差構造に配置し、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さを減少させ、さらにパッケージ層の応力放出を減少させ、LEDパッケージデバイスの信頼性を向上させる。同時に、LEDパッケージデバイスの信頼性を保証する上で、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さが減少されるため、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層はLEDチップの出射光に対する吸収を減少することができ、LEDチップの光出射輝度を高める。
【0007】
可能な一実施形態において、段差構造は複数の段差を含み、複数の段差はパッケージ基板の高さ方向に沿ってレイアウトされる。
【0008】
上記実現過程において、段差の数を調整することによりLEDチップの側壁周辺のパッケージ層の厚さを調整し、それによってLEDチップの光出射角度を調整する。
【0009】
可能な一実施形態において、縦面の粗さは100μmより大きい。
【0010】
上記実現過程において、縦面を100μmより大きい粗さの粗面に配置し、すなわち縦面を粗大化し、LEDチップの光出射輝度を高めることができる。
【0011】
可能な一実施形態において、第1段差の段差面とLEDチップとの間の最小垂直距離は第1厚さであり、第1段差の縦面とLEDチップとの間の最小水平距離は第2厚さであり、第1厚さと第2厚さとの比は1:5~3:1の間にある。
【0012】
可能な一実施形態において、第n段差の段差面とパッケージ基板の実装面との間の垂直距離は第3厚さであり、第1厚さと第3厚さとの比は1:4~3:1の間にある。
【0013】
可能な一実施形態において、第2厚さと第3厚さとの比は1:4~5:1の間にある。
【0014】
可能な一実施形態において、LEDチップの厚さが200~400μmの間にある時、第1厚さと第2厚さとの比は1:5~2:1の間にあり、第1厚さと第3厚さとの比は1:2~2:1の間にあり、第2厚さと第3厚さとの比は1:2~5:1の間にある。
【0015】
可能な一実施形態において、LEDチップの厚さが400~700μmの間にある時、第1厚さと第2厚さとの比は1:5~3:1の間にあり、第1厚さと第3厚さとの比は1:4~3:1の間にあり、第2厚さと第3厚さとの比は1:4~5:1の間にある。
【0016】
可能な一実施形態において、第n段差以外の全ての段差の縦面と隣接する段差面との間の角度は90°~120°の間にある。
【0017】
可能な一実施形態において、第n段差以外の全ての段差の縦面と隣接する段差面との間の角度は90°である。
【0018】
可能な一実施形態において、パッケージ基板に凹部領域が配置されており、凹部領域はLEDチップの周辺を取り囲む。
【0019】
可能な一実施形態において、凹部領域はLEDチップの周方向に沿って間欠的にレイアウトされ、又は、凹部領域はLEDチップの周方向に沿って連続的にレイアウトされる。
【0020】
可能な一実施形態において、LEDチップの波長は400nm未満である。
【0021】
可能な一実施形態において、パッケージ層の材料はフッ素含有材料である。
【0022】
第2の態様によれば、本願の実施例は上記LEDパッケージデバイスの製造方法を提供し、
LEDチップをパッケージ基板に固定するステップと、
LEDチップのパッケージ基板から離れる表面、側壁、及びパッケージ基板のLEDチップ以外の領域にパッケージ層を形成するステップと、
LEDチップの周辺に位置するパッケージ層に対してプリカット処理を行い、それによって段差構造を形成するステップと、を含む。
【0023】
第3の態様によれば、本願の実施例は上記LEDパッケージデバイスの製造方法を提供し、
複数のLEDチップをパッケージ基板に固定するステップと、
各LEDチップのパッケージ基板から離れる表面、側壁、及びパッケージ基板のLEDチップ以外の領域にパッケージ層を形成するステップと、
各LEDチップの周辺に位置するパッケージ層に対してプリカット処理を行い、それによって段差構造を形成するステップと、
隣接するLEDチップの間の段差構造を切断し、LEDパッケージデバイスを形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
従来技術に比べ、本願は少なくとも以下の有益な効果を有する。
1)LEDチップ周辺のパッケージ層を段差構造に配置し、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さを減少させ、さらにパッケージ層の応力放出を減少させ、LEDパッケージデバイスの信頼性を向上させる。同時に、LEDパッケージデバイスの信頼性を保証する上で、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層の厚さが減少されるため、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層はLEDチップの出射光に対する吸収を減少することができ、LEDチップの光出射輝度を高める。
2)段差構造は複数の段差を含み、段差の数を調整することによってLEDチップの側壁周辺のパッケージ層の厚さを調整し、それによってLEDチップの光出射角度を調整する。
3)縦面を100μmより大きい粗さの粗面に配置し、すなわち縦面を粗大化することにより、LEDチップの光出射輝度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、理解すべきものとして、以下の図面は本願のいくつかの実施例のみを示し、したがって範囲を限定するものと見なすべきではなく、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の関連する図面を取得することができる。
【
図1】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図2】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図3】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図4】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図5】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図6】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図7】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの断面概略図である。
【
図8】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスの製造方法の概略図である。
【
図9a】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスが異なる製造過程にある断面概略図である。
【
図9b】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスが異なる製造過程にある断面概略図である。
【
図9c】本願の実施例に基づいて示されるLEDパッケージデバイスが異なる製造過程にある断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下は特定の具体的な実施例によって本願の実施形態を説明し、当業者は本明細書に開示された内容から本願の他の利点と効果を容易に理解することができる。本願はさらに他の異なる具体的な実施形態によって実施又は営業することができ、本願における各詳細は異なる観点及び応用に基づき、本願の精神から逸脱することなく様々な修正又は変更を行うことができる。
【0027】
本願の説明において、説明すべきものとして、用語「上方」、「下方」、「水平」及び「垂直」等で指示された方位又は位置関係は図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、又は当該出願製品を使用する時に常に配置された方位又は位置関係であり、単に本願を説明しやすく及び説明を簡略化するためであり、指された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作しなければならないことを指示又は示唆するものではなく、そのため本願を限定するものと理解できない。また、用語「第1」及び「第2」等は区別して説明するためだけに用いられ、相対的な重要性を指示又は示唆するものと理解できない。
【0028】
後端パッチの使用を容易にするために、厚さが200~700umの間にあるLEDチップにパッケージ製造プロセスを行う必要がある。LEDチップのパッケージ製造プロセスにおいて、フッ素含有材料はフィルム圧着方式でLEDチップをパッケージし、且つLEDチップの発光面頂部の平坦さを保証する。フッ素含有材料はフィルム圧着過程において高温過程を経る必要があるため、これはフッ素含有材料がフィルム圧着過程の後に比較的大きな熱応力を放出することを引き起こしやすく、それによりフッ素含有材料と基板との間の層剥離を引き起こし、より深刻なのは、LEDチップに対して金抜きの影響を与える。したがって、本願は新型のLEDパッケージデバイスを提供し、LEDチップの側壁部におけるパッケージ層(フッ素含有材料)の厚さを減少させ、パッケージ層の熱応力放出を効果的に低減させ、同時にLEDチップの側壁部におけるパッケージ層のLEDチップの出射光に対する吸収を減少させ、LEDパッケージデバイス全体の光出射輝度を高める。
【0029】
本願の一態様によれば、LEDパッケージデバイスが提供される。
図1~
図7を参照すると、当該LEDパッケージデバイスはパッケージ基板100、LEDチップ500及びパッケージ層300を含む。パッケージ基板100は1つの実装面を含み、当該実装面にはダイボンドエリア210及び非ダイボンドエリア220が配置されており、当該実装面はパッケージ基板100の上面である。LEDチップ500はパッケージ基板100のダイボンドエリア210に設けられる。パッケージ層300はパッケージ基板100のダイボンドエリア210及び非ダイボンドエリア230を覆い、LEDチップ500はパッケージ層300とパッケージ基板100との間に位置する。LEDチップ500周辺のパッケージ層300に段差構造400が配置されており、段差構造400における段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義され、そのうちnは段差構造400における段差の数であり、第1段差はパッケージ基板100から離れる側に位置し、第n段差はパッケージ基板100に近い側に位置する。各段差はいずれも1つの段差面410及び1つの縦面420を含み、第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最大水平距離は第n段差の縦面420とLEDチップ500との間の水平距離より小さい。
【0030】
ここで、LEDチップ500の波長は400nm未満である。パッケージ層300の材料はフッ素含有材料である。
【0031】
本願の動作過程及び動作原理は以下のとおりである。
本願はLEDチップ500の周辺のパッケージ層300を段差構造400に配置することにより、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300の厚さを減少させ、さらにパッケージ層300の応力放出を減少させ、LEDパッケージデバイスの信頼性を向上させる。同時に、LEDパッケージデバイスの信頼性を保証する上で、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300の厚さが減少されるため、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300はLEDチップ500の出射光に対する吸収を減少することができ、LEDチップ500の光出射輝度を高める。
【0032】
以下、LEDパッケージデバイスの具体的な実施構造について説明する。
実施例1
図1を参照すると、LEDパッケージデバイスはパッケージ基板100、LEDチップ500及びパッケージ層300を含む。パッケージ基板100の実装面はダイボンドエリア210を形成するために用いられ且つダイボンドエリア210以外の非ダイボンドエリア220に位置する金属層200を含み、当該非ダイボンドエリア220とダイボンドエリア210との間に隔離溝230が設けられており、当該隔離溝230はダイボンドエリア210と非ダイボンドエリア220を電気的に隔離するために用いられる。LEDチップ500はダイボンドエリア210に設けられる。パッケージ層300はLEDチップ500の上面、側壁及び金属層200を覆う。LEDチップ500周辺のパッケージ層300に段差構造400が配置されている。金属層200の厚さは50μm~200μmであり、本実施例において、金属層200の厚さは80μmであることが好ましい。
【0033】
当該段差構造400において2つの段差を含み、2つの段差はパッケージ基板100の高さ方向に沿ってレイアウトされ、且つ上から下へ順に第1段差及び第2段差と定義される。各段差はいずれも1つの段差面410及び1つの縦面420を含み、第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最大水平距離D2は第2段差の縦面420とLEDチップ500との間の水平距離D4より小さい。
【0034】
一実施形態において、縦面420は100μmより大きい粗さの粗面である。縦面420を粗面に配置し、すなわち、縦面420を粗大化し、LEDチップ500の光出射輝度を高めることができる。本実施例において、粗大化されていない縦面420と比較して、粗大化された縦面420は少なくとも5%の光出射輝度を高めることができる。
【0035】
第1段差における縦面420と隣接する段差面410との間の角度は90°~120°の間にある。
【0036】
好ましくは、
図1を参照すると、第1段差における縦面420と隣接する段差面410との間の角度は90°を選択してもよく、それはLEDチップ500のコーナー部のパッケージ層300にクラックが発生しやすいという問題を回避することができ、LEDパッケージデバイスの信頼性を向上させる。
図2を参照すると、第1段差における縦面420と隣接する段差面410との間の角度は120°を選択してもよい。
【0037】
好ましくは、
図3を参照すると、第1段差における縦面420と隣接する段差面410との間の接続角はいずれも弧状面取りである。
【0038】
一実施形態において、
図1を参照すると、第1段差の段差面410とLEDチップ500との間の最小垂直距離は第1厚さD
1である。第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最小水平距離は第2厚さD
2’であり、第2厚さD
2’はLEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層の厚さである。第2段差の段差面410とパッケージ基板100の実装面(特に、金属層200を含むパッケージ基板100の実装面を指す)との間の垂直距離は第3厚さD
3であり、当該第3厚さD
3はパッケージ層300の当該段差における厚さである。
【0039】
LEDチップ500の厚さが200μm~700μmの間にある時、第1厚さD1と第2厚さD2’との比は1:5~3:1の間にあり、第1厚さD1と第3厚さD3との比は1:4~3:1の間にあり、第2厚さD2’と第3厚さD3との比は1:4~5:1の間にある。例えば、第1厚さD1は100μm~300μmの間にあり、第2厚さD2’は100μm~500μmの間にあり、第3厚さD3は100μm~400μmの間にある。
【0040】
好ましくは、LEDチップ500の厚さが200~400μmの間にある時、第1厚さD1と第2厚さD2’との比は1:5~2:1の間にあり、第1厚さD1と第3厚さD3との比は1:2~2:1の間にあり、第2厚さD2’と第3厚さD3との比は1:2~5:1の間にある。例えば、第1厚さD1は100μm~200μmの間にあり、第2厚さD2’は100μm~500μmの間にあり、第3厚さD3は100μm~200μmの間にある。
【0041】
好ましくは、LEDチップ500の厚さが400~700μmの間にある時、第1厚さD1と第2厚さD2’との比は1:5~3:1の間にあり、第1厚さD1と第3厚さD3との比は1:4~3:1の間にあり、第2厚さD2’と第3厚さD3との比は1:4~5:1の間にある。例えば、第1厚さD1は100μm~300μmの間にあり、第2厚さD2’は100μm~500μmの間にあり、第3厚さD3は100μm~400μmの間にある。
【0042】
好ましくは、第1厚さD1は第2厚さD2’以下であり、第1厚さD1と第2厚さD2’を上記関係に設置し、LEDチップ500の上面のパッケージ層300が小さい厚さを有するようにし、LEDチップ500の光出射効果を高める。第2厚さD2’が第1厚さD1より大きいため、第1厚さD1が小さい時、LEDチップ500のコーナー部のパッケージ層300の厚さが減少されることによるパッケージ層300に接着剤クラックが発生しやすい状況を回避する。
【0043】
一実施形態において、パッケージ基板100はセラミックパッケージ基板、樹脂系パッケージ基板、アルミパッケージ基板などのパッケージ基板を含み、好ましくは、パッケージ基板100はセラミックパッケージ基板である。
【0044】
一実施形態において、
図1を参照すると、ダイボンドエリア210は分離して設けられた第1ダイボンドエリア及び第2ダイボンドエリアを含み、そのうち、第1ダイボンドエリアはLEDチップ500における第1導電層に接続され、第2ダイボンドエリアはLEDチップ500における第2導電層に接続される。第1ダイボンドエリアの極性はそれに接続された第1導電層の極性によって決定され、第2ダイボンドエリアの極性はそれに接続された第2導電層の極性によって決定される。第1ダイボンドエリアと第2ダイボンドエリアとの間に隙間が残され、当該隙間及び隔離溝230はパッケージ層300によって充填される。
【0045】
一実施形態において、
図1を参照すると、パッケージ基板100が実装面と対向する表面にパッド600が設けられており、パッケージ基板100にはビアホール110が設けられており、パッド600は当該ビアホール110を介してLEDチップ500に電気的に接続されている。パッド600は第1パッド及び第2パッドを含み、LEDチップ500における第1導電層は第1パッドに電気的に接続され、第2導電層は第2パッドに電気的に接続される。
【0046】
実施例2
本実施例は実施例1と複数の同一の特徴を有し、本実施例と実施例1との相違点は、段差構造400が2つ以上の段差を含むことにある。ここで、同一の特徴については一々述べず、相違点についてのみ述べる。
【0047】
図4を参照すると、段差構造400は2つ以上の段差を含み、2つ以上の段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義される。2つ以上の段差を有する段差構造400は450μmより大きい厚さのLEDチップに適用する。ここで、各段差の縦面420とLEDチップ500との間の最小水平距離はLEDチップ500の高さ方向において下から上へ漸減する傾向を呈し、第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最小水平距離は第2厚さD
2’である。
【0048】
第n段差以外の全ての段差の縦面420と隣接する段差面410との間の角度は90°~120°の間にある。好ましくは、第n段差以外の全ての段差の縦面420と隣接する段差面410との間の角度は90°を選択してもよい。又は、第n段差以外の全ての段差の縦面420と隣接する段差面410との間の角度は120°を選択してもよい。
【0049】
本実施形態において、段差構造400における段差の数を調整することによってLEDチップ500の側壁周辺のパッケージ層300の厚さを調整し、それによってLEDチップ500の光出射角度を調整する。例えば、段差の数を増やすことにより、LEDチップ500の側壁周辺のパッケージ層300の厚さにLEDチップ500の高さ方向に下から上へ漸減する傾向を呈させ、それによってLEDチップ500の光出射角度を調整する。
【0050】
実施例3
本実施例は実施例1又は実施例2と複数の同一の特徴を有し、本実施例と実施例1又は実施例2との相違点は、パッケージ基板100に凹部領域700が配置されており、当該凹部領域700がLEDチップ500の周囲を取り囲むことである。ここで、同一の特徴については一々述べず、相違点についてのみ述べる。
【0051】
図5~
図7を参照すると、パッケージ基板100にLEDチップ500の周辺を取り囲む凹部領域700が配置されている。当該凹部領域700はパッケージ基板100の実装面における非ダイボンドエリア220の上面から非ダイボンドエリア220の内部まで延伸してもよい(
図5を参照)。又は、当該凹部領域700はパッケージ基板100の上面からパッケージ基板100の内部まで延伸してもよい(
図6を参照)。又は、パッケージ基板100の実装面は上記非ダイボンドエリア220を含まず、当該凹部領域700はパッケージ基板100の上面からパッケージ基板100の内部まで延伸してもよい(
図7を参照)。凹部領域700はLEDチップ500の周方向に沿って間欠的にレイアウトされ、又は、凹部領域700はLEDチップ500の周方向に沿って連続的にレイアウトされる。
【0052】
パッケージ基板100に凹部領域700が配置されることにより、さらにLEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300の厚さを減少することができ、かつパッケージ層300は当該凹部領域700を介してパッケージ基板100に接続され、パッケージ層300とパッケージ基板100との結合力を増加させ、外部気流がLEDチップ500に入る経路を減少させ、LEDパッケージデバイスの信頼性を高める。
【0053】
本願の一態様によれば、上記実施例におけるLEDパッケージデバイスの製造方法を提供する。
図8を参照すると、当該製造方法は、ステップS1~S4を含む。
【0054】
S1において、複数のLEDチップ500をパッケージ基板100に固定する。
【0055】
一実施形態において、
図9aを参照すると、複数のLEDチップ500をパッケージ基板100に等間隔にレイアウトする。パッケージ基板100はセラミックパッケージ基板、シリコンパッケージ基板、アルミパッケージ基板などのパッケージ基板を含み、本実施例において、パッケージ基板100はセラミックパッケージ基板である。
【0056】
好ましくは、パッケージ基板100はダイボンドエリア210、ダイボンドエリア210の外に位置する非ダイボンドエリア220及び隔離溝230を形成するための金属層200をさらに含み、LEDチップ500はダイボンドエリア210に固定されている。
【0057】
好ましくは、LEDチップ500の波長は400nm未満であり、LEDチップ500の厚さは200~700μmの間にある。
【0058】
S2において、各LEDチップ500のパッケージ基板100から離れる表面、側壁、及びパッケージ基板100のLEDチップ500以外の領域にパッケージ層300を形成する。
【0059】
一実施形態において、
図9bを参照すると、各LEDチップ500の上面、側壁及びパッケージ基板100のLEDチップ500以外の領域にパッケージ層300を形成し、当該パッケージ層300は各LEDチップ500をパッケージする。パッケージ層300の材料はフッ素含有材料である。パッケージ層300はLEDチップ500の上方にある厚さが200μm未満であり、隣接するLEDチップ500の間のパッケージ基板の上方に位置するパッケージ層の厚さは300μm~500μmの間にある。
【0060】
隣接するLEDチップ500の間のパッケージ基板の上方に位置するパッケージ層の厚さはLEDチップ500の厚さに応じて調整することができる。例えば、LEDチップ500の厚さが250μmである時、隣接するLEDチップ500の間のパッケージ基板の上方に位置するパッケージ層の厚さは300μmであり、LEDチップ500の厚さが430μmである時、隣接するLEDチップ500の間のパッケージ基板の上方に位置するパッケージ層の厚さが500μmである。
【0061】
S3において、各LEDチップ500の周辺に位置するパッケージ層300に対してプリカット処理を行い、それによって段差構造400を形成する。
【0062】
一実施形態において、
図9cを参照すると、各LEDチップ500の周辺に位置するパッケージ層300に対してプリカット処理を行うことによって段差構造400を形成し、段差構造400における段差は上から下へ順に第1段差、第2段差、第n段差と定義される。当該段差構造400はLEDチップ500の外周を取り囲み、LEDチップ500の側壁のパッケージ層300の厚さを減少することができ、且つLEDチップ500の光出射輝度を高める。
【0063】
好ましくは、第1段差の段差面とLEDチップ500との間の最小垂直距離は第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最小水平距離以下である。
【0064】
プリカット処理では、各段差の縦面420はいずれも粗面に配置され、且つ当該粗面の粗さは100μmより大きく、これは少なくともLEDチップの5%の発光輝度を高めることができる。
【0065】
一実施形態において、
図9cを参照すると、当該段差構造400において複数の段差を含み、複数の段差はパッケージ基板100の高さ方向に沿ってレイアウトされる。各段差はいずれも1つの段差面410及び1つの縦面420を含み、第1段差の縦面420とLEDチップ500との間の最大水平距離は第n段差の縦面420とLEDチップ500との間の水平距離より小さい。段差構造400における段差の数を調整することによってLEDチップ500の側壁周辺のパッケージ層300の厚さを調整し、それによってLEDチップ500の光出射角度を調整する。
【0066】
S4において、隣接するLEDチップ500の間の段差構造400を切断し、LEDパッケージデバイスを形成する。
【0067】
本願の一態様によれば、上記実施例におけるLEDパッケージデバイスの製造方法を提供する。当該製造方法はステップL1~L3を含む。
【0068】
L1において、LEDチップ500をパッケージ基板100に固定する。LEDチップ500の数は1つである。
【0069】
L2において、LEDチップ500のパッケージ基板100から離れる表面、側壁、及びパッケージ基板100のLEDチップ500以外の領域にパッケージ層300を形成する。
【0070】
L3において、LEDチップ500の周辺に位置するパッケージ層300に対してプリカット処理を行い、それによって段差構造400を形成する。
【0071】
以上の技術的解決手段から分かるように、本願はLEDチップ500の周辺のパッケージ層300を段差構造400に配置し、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300の厚さを減少し、さらにパッケージ層300の応力放出を低減させ、LEDパッケージデバイスの信頼性を向上させる。同時に、LEDパッケージデバイスの信頼性を保証する上で、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300の厚さが減少されるため、LEDチップ500の側壁部におけるパッケージ層300はLEDチップ500の出射光に対する吸収を減少させ、LEDチップ500の光出射輝度を高める。
【0072】
さらに、段差構造400は複数の段差を含み、段差の数を調整することによってLEDチップ500の側壁周辺のパッケージ層300の厚さを調整し、さらにLEDチップ500の光出射角度を調整する。
【0073】
さらに、縦面420を100μmより大きい粗さの粗面に配置し、すなわち、縦面420を粗大化し、LEDチップ500の光出射輝度を高めることができる。
【0074】
以上は本願の好ましい実施形態に過ぎず、指摘すべきことは、本技術分野の当業者にとって、本願の技術的原理から逸脱しない前提で、さらにいくつかの改善及び置換を行うことができ、これらの改善及び置換も本願の保護範囲と見なされるべきであることである。
【符号の説明】
【0075】
100…パッケージ基板、110…ビアホール、200…金属層、210…ダイボンドエリア、220…非ダイボンドエリア、230…隔離溝、300…パッケージ層、400…段差構造、410…段差面、420…縦面、500…LEDチップ、600…ランド、700…凹部領域。
【国際調査報告】