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特表2023-552545ペットフードのための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ペットフードのための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/42 20160101AFI20231211BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20231211BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20231211BHJP
【FI】
A23K50/42
A23K10/30
A23K20/163
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533979
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2021060571
(87)【国際公開番号】W WO2022123358
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,224
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】シー, マンジュアン ジェニー
(72)【発明者】
【氏名】アッシー, イサーク
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B150AA06
2B150AB04
2B150AE05
2B150CE04
2B150DC13
2B150DD42
2B150DD56
(57)【要約】
本発明は、コンパニオンアニマル用のキブルに関する組成物及び方法に関し、該キブルは、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を含み、該可塑剤は、加水分解大麦麦芽を含む。ソフトドライキブルを製造する方法は、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を混合して混合物を形成するステップと、前記混合物を加工して前記ソフトドライキブルを形成するステップと、を含み、前記可塑剤が、加水分解大麦麦芽を含む、方法である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を含むコンパニオンアニマル用のキブルであって、前記可塑剤が、加水分解大麦麦芽を含む、キブル。
【請求項2】
前記加水分解大麦麦芽が、約14重量%~約21重量%の量で組成物中に存在する、請求項1に記載のキブル。
【請求項3】
前記加水分解大麦麦芽が、少なくとも20重量%の量のグルコース及び10重量%未満の量のマルトースを有する、請求項1に記載のキブル。
【請求項4】
前記キブルが、約5重量%~約15重量%の含水量を有する、請求項1に記載のキブル。
【請求項5】
前記キブルが、約10,000重量グラム(gf)~約15,000gfの柔らかさを有する、請求項1に記載のキブル。
【請求項6】
前記キブルが、約1~2の傾斜(セグメント、0.25mm~1mm)の柔らかさを有する、請求項1に記載のキブル。
【請求項7】
前記タンパク質が前記キブル中に約5%~約60%の量で存在し、前記炭水化物が前記キブル中に約10%~約60%の量で存在し、前記脂肪が前記キブル中に約5%~約40%の量で存在する、請求項1に記載のキブル。
【請求項8】
前記キブルが、イヌ科動物又はネコ科動物用に配合されている、請求項1に記載のキブル。
【請求項9】
前記コンパニオンアニマルが、イヌ科動物である、請求項1に記載のキブル。
【請求項10】
請求項1に記載のキブルを含む、ペットフード組成物。
【請求項11】
ソフトドライキブルを製造する方法であって、
タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を混合して混合物を形成するステップと、前記混合物を加工して前記ソフトドライキブルを形成するステップと、を含み、
前記可塑剤が、加水分解大麦麦芽を含む、方法。
【請求項12】
前記加工が、前記混合物を押し出して前記キブルを形成するステップと、前記キブルを更に乾燥させるステップとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キブルが、5重量%~15重量%の含水量を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記キブルが、約10,000gf~15,000gfの柔らかさを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記キブルが、約1~2の傾斜(セグメント、0.25mm~1mm)の柔らかさを有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年12月11日に出願された米国特許仮出願第63/124,224号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ペットフードを含む加工フード(加工食品)は、貯蔵寿命を延ばすために乾燥形態で提供され得る。例えば、組成物の約20重量%未満の水分レベルを有するフード製品では、フード製品を腐敗させ得る微生物の増殖が抑止され得る。ドライフードはまた、いくつかの点で、使用前の数ヶ月又は数年の期間にわたってフードの味、テクスチャー、又は外観を変化させ得る、酸化又は他の化学的プロセスに対する感受性が低くなり得る。
【0003】
[0003]残念ながら、ドライフードは、ざらざらしている、粉っぽい、又は乾燥しているものに見える場合があり、したがって、食欲をそそるものではない場合がある。ドライフードは、あまり乾燥していないフードよりも硬く、ザクザク感があり、又は密度が高いと知覚され得る。更に、水分の不足は、セミモイスト又はウェットフードと比較して、製品が摂食されたときの口当たりに悪影響を与えることがある。
【0004】
[0004]そのため、より噛み応えがあり、美味なフード製品として知覚され得る、ソフトドライタイプのフードが望まれる場合がある。そのようなソフトドライペットフードは、プロピレングリコール及びグリセロールを含有することが多い。プロピレングリコールは、保存目的のために使用され、グリセロールは、望ましい噛み応えがあり肉様のテクスチャーである押出製品を作製するために、可塑剤として使用される。しかしながら、そのような添加剤は、消費者には望ましくないと考えられることがある。
【0005】
[0005]味、テクスチャー、外観、利便性、及び栄養素含有量に対する競合する要求を満たす、ソフトドライフード、特にペットフードが依然として必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
[0006]本開示は、広義には、ソフトドライペットフードを提供するための方法及び組成物に関する。
【0007】
[0007]一実施形態では、コンパニオンアニマル用のキブルには、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を含めることができ、可塑剤は、加水分解大麦麦芽を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、ソフトドライキブルを製造する方法には、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を混合して混合物を形成するステップと、混合物を加工してソフトドライキブルを形成するステップとを含めることができ、可塑剤は、加水分解大麦麦芽を含む。
【0009】
[0009]更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、下記の「発明を実施するための形態」から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
[0010]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「可塑剤」又は「該可塑剤」についての言及は、2つ以上の可塑剤を含む。「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈すべきである。本明細書で使用する場合、「例」及び「例えば」という用語は、特に用語の列挙が続くときには、単に例示的及び図示的に用いられるものであり、排他的又は包括的なものでない。
【0011】
[0011]用語「コンパニオンアニマル」は、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどの家畜を意味する。一態様では、コンパニオンアニマルは、イヌ科動物であり得る。別の態様では、コンパニオンアニマルは、ネコ科動物であり得る。
【0012】
[0012]本明細書で使用する「約」は、数値範囲内の数を指すものと理解され、例えば、参照する数字の-10%から+10%の範囲、-5%から+5%の範囲内、又は一態様では参照する数字の-1%から+1%の範囲内、具体的態様では参照する数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指す。更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数(integers)、整数(whole)又は分数、を含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0013】
[0013]本明細書に記載の全てのパーセンテージは、特に断りのない限り、食品組成物の総重量によるものである。pHについての参照がなされる場合には、値は標準的な装置により25℃にて測定されるpHに相当する。「量」は、参照された成分の、組成物1回分当たりの総量若しくは組成物の別個の単位当たりの総量であってよく、及び/又は参照された成分の、乾燥重量による重量%であり得る。更に、「量」は、ゼロを含み;例えば、化合物の量の記述は、ゼロを除外する範囲を伴わない限り、化合物が存在することを必ずしも意味しない。
【0014】
[0014]用語「ペットフード」、「ペットフード製品」及び「ペットフード組成物」とは、動物に少なくとも1種の栄養素を供給する、イヌ科動物又はネコ科動物による摂取を意図した製品又は組成物を意味する。更にこの点について、これらの用語は、製品又は組成物が即時に摂取できる形態であって、摂取可能な製品又は組成物を製造するための単なる中間体ではないことを意味するが、いくつかの実施形態では、ダイエタリーサプリメントなどの他の食品組成物を添加することもできる。用語「ペットフード」とは、イヌ科動物又はネコ科動物に摂取されることを意図した任意の食品組成物を意味する。
【0015】
[0015]「ソフト」という用語は、定量化可能なパラメータを指し、以下の手順を使用して、Instron Universal Tester、5965Bモデルを使用して、圧縮後のペットフードの戻り高さでペットフード製品又はキブルを50%圧縮するのに必要な比力測定値として定義される:
ペットフード製品を、1インチの直径の円形の金属製ディスクプローブの中央の下に置く、プローブを、製品の元の高さの50%が圧縮されるまで、120mm/分で移動させる、この圧縮中、0.25~1mmの圧縮のピーク(最大)力及び傾斜を記録する、製品を元の高さの50%圧縮で5秒間保持する、次いで、プローブを製品から離し(開始位置まで300mm/分で移動)、更に5秒間保持し、次いで戻して、製品の戻り高さを測定する(戻りでは120mm/分で移動)。一次パラメータは、以下を含む:
試験タイプ:圧縮、
予荷重/試験開始:10gf、圧縮速度:120mm/分、圧縮距離:試験片高さの50%、圧縮保持時間:5秒、圧縮解放速度:300mm/分、圧縮後の解放保持時間:5秒、高さ測定での圧縮後速度:120mm/分、結果:最大力、試験片高さ、傾斜(セグメント、0.25-1mmの圧縮)、戻り高さ、元の高さの%。
【0016】
[0016]相対的な用語である「改善する(improve)」、「増加させる(increase)」、「高める/増強する(enhance)」、「減少させる(decrease)」などは、組成物成分などの量がより少ないか又は含まない以外は同一である組成物と比較した、本明細書に開示される組成物(加水分解大麦麦芽を含む組成物)の効果を指す。
【0017】
[0017]「ブレンドされた」組成物は、少なくとも1つの互いに異なる特性を有する少なくとも2種の成分を単に有するものである。一態様では、含水率と水分活性とは、本開示の文脈で異なり得る。この点において、「ブレンドされた」組成物についての記載は、ブレンドされた組成物が、「ブレンド」と称されることがある加工を受けたこと、つまりはそれぞれの成分を区別できなくなるように混合する加工を受けたことを意味するものではなく、一態様では、ある成分を他の成分と混合してブレンドされた組成物を形成する際(例えば、ドライ成分をウェット成分又はセミモイスト成分と混合する際)、このような加工は回避される。更に、この点に関して、ブレンドされた組成物において、少なくとも1つの互いに異なる特性を有する少なくとも2種の成分の各々は、それらの別個の同一性及び外観を保持し得る。
【0018】
[0018]「ウェットフード」とは、含水率が約50%~約90%、一態様では約70%~約90%であるペットフードを意味する。「ドライフード」とは、含水率が約20%未満、一態様では約15%未満、特定の態様では約10%未満であるペットフードを意味する。「セミモイストフード」とは、含水率が約20%~約50%、一態様では約25%~約35%のペットフードを意味する。
【0019】
[0019]「キブル」は本明細書では「チャンク」と同義的に使用され、いずれの用語もペレット形状又は他の任意の形状を有し得るドライ又はセミモイストのペットフード片を意味し、食品組成物を個別の片にスライスすることで作ることができる。キブルの非限定例としては、粒子状のもの;ペレット;ペットフード、脱水肉、肉類似物、野菜、及びこれらの組み合わせの小塊;並びに肉若しくは野菜のジャーキー、ローハイド、及びビスケットなどのペットスナックが挙げられる。「肉類似物」とは、外観、質感及び物理的構造の点で天然の肉片に類似している肉エマルジョン製品である。
【0020】
[0020]用語「完全かつバランスのとれた」は、食品組成物について言及する場合、動物栄養学の分野で認められた権威の推奨に基づき、既知の必要な栄養素の全てを、適切な量及び割合で含有しており、したがって、栄養補給源を追加せずとも、生命を維持し、又は生産を促進するための食餌摂取の唯一の供給源としての役割を果たすことができる食品組成物を意味する。
【0021】
栄養バランスのとれたペットフード及び動物用フード組成物、例えば、米国飼料検査官協会(AAFCO)によって規定された2020年1月1日時点の基準に従って配合された完全かつバランスのとれたフード組成物は、当技術分野において広く知られており、広く使用されている。
【0022】
[0021]本明細書で開示される組成物には、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「を含む(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「を含む」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「を本質的に含む」実施形態、及び特定されている工程「を含む」実施形態の開示を含む。別途記載のない限り及び直接的に明言のない限り、本明細書に開示される任意の実施形態を、本明細書に開示される任意の他の実施形態と組み合わせることもできる。
【0023】
[0022]実施形態、態様、実施例などの本議論は、それらが全ての方法及び組成物に適用し得るという点で独立している。例えば、食品組成物に用いられる初乳を、動物のアレルギーを予防又は治療する方法に使用することもでき、その逆の場合も同様である。
【0024】
実施形態
[0023]本発明者らは、加水分解大麦麦芽を使用して、ソフトドライキブルを製造できることを発見した。本組成物及び方法は、大麦麦芽を加水分解するステップと、加水分解大麦麦芽を使用して押出キブルを形成するステップと、を含み、該キブルを用いてペットフードを製造することを含む。
【0025】
[0024]一実施形態では、コンパニオンアニマル用のキブルには、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を含めることができ、可塑剤は、加水分解大麦麦芽を含む。
【0026】
[0025]別の実施形態では、ソフトドライキブルを製造する方法には、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を混合して混合物を形成するステップと、混合物を加工してソフトドライキブルを形成するステップと、を含めることができ、可塑剤は、加水分解大麦麦芽を含む。
【0027】
[0026]概して、加水分解大麦麦芽は、得られる押出キブルをソフトにするように存在させることができる。一実施形態では、加水分解大麦麦芽は、組成物中に約14重量%~約21重量%の量で存在する。他の実施形態では、加水分解大麦麦芽は、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、又は更に20重量%から、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、又は更に21重量%までの量で存在させることができる。
【0028】
[0027]一実施形態では、加水分解大麦麦芽は、少なくとも20重量%の量のグルコース含有量を有し得る。他の態様では、グルコース含有量は、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約45重量%、又は更に約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、若しくは40重量%から、約30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、若しくは50重量%までであり得る。
【0029】
[0028]一実施形態では、加水分解大麦麦芽は、10重量%未満の量のマルトース含有量を有することができる。他の態様では、マルトース含有量は、約0.01重量%~30重量%、0.01重量%~20重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~5重量%、1重量%~5重量%、又は更に約0.01重量%、0.1重量%、若しくは1重量%から、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、若しくは20重量%までであり得る。
【0030】
[0029]概ね、加水分解大麦麦芽の含水量は、少なくとも20重量%であり得る。一実施形態では、含水量は、約25重量%~約45重量%、約25重量%~約40重量%、約30重量%~約40重量%、又は更には約20重量%~約50重量%であり得る。
【0031】
[0030]概して、キブルは、製品形態及び所望のテクスチャー、堅さに見合った含水量を有することができる。一実施形態では、キブルは、約5重量%~約15重量%の含水量を有することができる。他の実施形態では、含水量は、約2重量%~約10重量%、約5重量%~約15重量%、又は更には約5重量%~約20重量%であり得る。一実施形態では、総含水量は、サプリメントの5重量%未満であり得る。同様に、ダイエタリーサプリメントは、0.20~0.75の範囲の水分活性を有することができる。一態様では、水分活性は0.60未満であり得る。
【0032】
[0031]概して、本発明の加水分解大麦麦芽は、本明細書で考察されるように所望の柔らかさが得られるようにキブルに添加することができる。かかる柔らかさは、本明細書で考察されるように定量的に測定することができる。一実施形態では、キブルは、約10,000重量グラム(gram-force、gf)~約15,000gfの柔らかさを有することができる。他の実施形態では、柔らかさは、約11,000gf~約14,000gf、約12,000gf~約14,000gf、約12,500gf~約13,500gf、又は更にこれらに含まれる部分範囲であり得る。別の実施形態では、柔らかさは、約1~約2の傾斜(セグメント、0.25mm~1mm)として測定することができる。
【0033】
[0032]本明細書で考察されるように、キブルはペットフード組成物の一部であり得る。かかる組成物は、主たる食事のペットフード、完全でバランスのとれたペットフード、又はトリートであってもよい。いくつかの態様では、そのような組成物はブレンド組成物であり得る。
【0034】
[0033]本明細書で考察されるように、キブルを作製する加工工程は、全般に、タンパク質、炭水化物、脂肪、及び可塑剤を混合して混合物を形成するステップと、混合物を加工してソフトドライキブルを形成するステップと、を含む。一態様では、加工は、混合物を押出してキブルを形成するステップと、キブルを更に乾燥させるステップと、を含む。そのような加工は、キブルが形成及び/又は乾燥された後に、プレコンディショナーを使用するステップ、及び/又はコーティング工程を使用するステップを含み得る。一例では、動物性消化物フレーバー及び獣脂食用w/ビタミンE(これら2つはコーティング工程のための成分である)以外の成分を、単一押出機のプレコンディショナーに添加することができる。加水分解大麦麦芽液及び加工水/蒸気も同様に、プレコンディショナーに添加することができる。押出調理後、キブルを形成し、押出機の末端で切断する。次に、キブルを乾燥機に送って水分を5~15%まで減少させる。乾燥工程の後、コーティング工程では、キブル表面上に、動物性消化物フレーバー及び獣脂食用w/ビタミンEを添加することができる。
【0035】
[0034]更に、本明細書に開示される組成物は、他の成分を含有することができる。一実施形態では、組成物は、プロバイオティクス及び/又はプレバイオティクスを含むことができる。典型的なプロバイオティクスとしては、ラクトバチルス属(Lactobacilli)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacteria)、又はエンテロコッカス属(Enterococci)、例えば、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteii)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、及びビフィドバクテリウム属の種、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、及びエンテロコッカス属の種から選択されるプロバイオティクス株が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プロバイオティクス株は、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2581;CNCM I-2448)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2592;CNCM I-2450)、ラクトバチルス・ラムノーサス(NCC2583;CNCM I-2449)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2603;CNCM I-2451)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCC2613;CNCM I-2452)、ラクトバチルス・アシドフィルス(NCC2628;CNCM I-2453)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)(例えば、NCC2627)、ビフィドバクテリウム属の種NCC2657又はエンテロコッカス・フェシウムSF68(NCIMB 10415)からなる群から選択することができる。概ね、フード組成物は、約10~約1012cfu/個体/日、一態様では、10~約1011cfu/個体/日、及び特定の一態様では、10~1010cfu/個体/日を供給するのに十分な量でプロバイオティクスを含有し得る。プロバイオティクスが殺菌又は不活化されている場合でも、前記量の、殺菌若しくは不活化されたプロバイオティクス又はその構成要素は、当該微生物の生菌と同様の有益な効果を生じるはずである。多くのこのようなプロバイオティクス及びそれらの効果は当業者に既知であり、例えば、欧州特許第1213970(B1)号、欧州特許第1143806(B1)号、米国特許第7189390号、欧州特許第1482811(B1)号、欧州特許第1296565(B1)号、及び米国特許第6929793号に既知である。一実施形態では、プロバイオティクスは、エンテロコッカス・フェシウムSF68(NCIMB 10415)であり得る。別の実施形態では、プロバイオティクスは、当業者にとって既知である方法及び材料を使用して担体内に封入することができる。
【0036】
[0035]プレバイオティクスは、微生物の増殖のための基質を提供することによって胃腸管のミクロフローラの組成を変化させる任意の物質を含む。プレバイオティクスとしては、天然及び合成オリゴ糖、可溶性繊維、難消化性デンプン、及びガムが挙げられるが、これらに限定されない。オリゴ糖は、直鎖状又は分枝状であり得る。プレバイオティクスは、保管容器中又は動物の胃腸管中でのプロバイオティクスの生存を増強するその能力に応じて具体的に選択することができる。プレバイオティクスはまた、動物におけるプロバイオティクスの働きを増強するか、又はプロバイオティクスの利益を補完するその能力に応じて具体的に選択することができる。概して、プレバイオティクスは、腸内の健康なミクロフローラを積極的に刺激し、これらの「善玉」細菌を繁殖させるのに十分な量で投与される。典型的な量は、1食当たり約1グラム~約10グラム、又は動物用に推奨される1日当たりの食物繊維の約5%~約40%である。
【0037】
[0036]本明細書で考察されるように、本組成物には、動物消化物を含めることができる。本発明において有用な動物消化物は、液体動物消化物及び乾燥動物消化物を含む、当業者に公知の任意の動物消化物であり得る。かかる消化物は、清浄で分解されていない動物組織の化学的及び/又は酵素的加水分解から生じる任意の材料を含む。更に、当業者に公知の任意の乾燥醸造酵母、例えば醸造産業の副産物である乾燥不活性物質である乾燥醸造酵母が、本発明において有用であり得る。動物消化物及び乾燥醸造酵母は、ダイエタリーサプリメント及び食品組成物などの組成物の嗜好性を高めることが見出されている。動物消化物は、かかる組成物中に存在させる場合、組成物の約1重量%~約90重量%を構成し、乾燥醸造酵母は組成物の約1重量%~約30重量%を構成する。
【0038】
[0037]本発明の組成物には、ミネラル、ビタミン、塩、タンパク質、アミノ酸、繊維、調味料、着色剤、及び防腐剤などの追加の物質を含めることができる。ミネラル類の非限定例としては、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、及びセレニウムなど、並びにそれらの様々な塩などが挙げられる。ビタミンの非限定的な例としては、ビタミンA、種々のビタミンB類、例えば、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、及びビタミンKが挙げられる。組成物はまた、カロテノイド、例えば、α-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、及びβ-クリプトキサンチンを含んでもよい。追加の成分、例えばイヌリン、及びアミノ酸なども含めてもよい。
【0039】
[0038]他の実施形態では、本発明の組成物は、約5%~約60%の粗製タンパク質を更に含んでもよい。一実施形態では、組成物は、約40%~約55%の粗製タンパク質を含む。粗製タンパク質材料は、大豆、トウモロコシ、米、綿実、及びピーナッツなどの植物性タンパク質、又はカゼイン、アルブミン、及び肉タンパク質などの動物性タンパク質を含み得る。本明細書で有用な肉タンパク質の非限定的な例としては、豚肉、子羊、ウマ、家禽、魚、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
[0039]組成物には、約5%~約40%の脂質を更に含めることができる。一実施形態では、組成物は、約15%~約30%の脂質を含み得る。組成物は、炭水化物源を更に含み得る。組成物は、約10%~約60%の炭水化物を含み得る。かかる炭水化物の非限定的な例としては、米、トウモロコシ、ミロ、ソルガム、アルファルファ、大麦、大豆、キャノーラ、オート麦、小麦、及びこれらの混合物などの穀物又は穀草類が挙げられる。組成物はまた、乾燥乳清及び他の乳製品副産物などの他の材料を任意に含み得る。
【0041】
[0040]組成物にはまた、少なくとも1つの繊維源を更に含めることもできる。組成物は、約0.5%~約5%の繊維を含んでもよい。当業者に既知のように、様々な可溶性又は不溶性の繊維を使用することができる。繊維源は、ビートパルプ(サトウダイコン由来)、アラビアゴム、タルハゴム(gum talha)、サイリウム、米ぬか、イナゴマメゴム、柑橘系パルプ、ペクチン、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、ダイズ繊維、ルピナス繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であり得る。繊維源は、上記で列挙したものの多くと同様に、発酵性繊維であり得る。発酵性繊維は、コンパニオンアニマルの免疫系に有益であることが以前から報告されている。腸内でのプロバイオティクスの増殖を増強することができるプレバイオティクスの組成を提供する、当業者に知られている発酵性繊維又は他の組成物もまた、動物の免疫系、胃腸系、及び全体的な健康状態に対する、本発明によってもたらされる効果の増強を助けるために、組成物に組み込むことができる。
【0042】
[0041]組成物は、イヌ又はネコなどの特定の動物用に特別に製剤化することができる。同様に、組成物は、若齢、成体、又は高齢の動物のために特別に製剤化されてもよい。一態様では、動物は、高齢のネコであり得る。別の態様では、動物は、老齢のネコであり得る。概して、特殊な配合物は、特定の動物及び異なる発育段階若しくは年齢の特定の動物に適したエネルギー及び栄養要求量、又は疾患状態に関連する特定の栄養要求量を満たす成分を含む。
【0043】
[0042]一実施形態では、キブル及びペットフード組成物は、コンパニオンアニマル用に配合することができる。一態様では、組成物はイヌ用に配合することができる。別の態様では、組成物はネコ用に配合することができる。
【0044】
[0043]当業者は、所与の配合物に添加される成分の適切な量を決定することができる。考慮され得るかかる要素としては、異なる動物による特定のタイプの組成物の平均摂取、ダイエタリーサプリメントを摂取することが意図される動物が、任意の特定の健康、ウェルネス、若しくは栄養要求を有するか、又は特定の疾患若しくは障害に罹患しているかどうか、動物の年齢、性別、サイズ、若しくは血統、及び組成物が調製される製造条件が挙げられる。組成物に添加すべき成分の濃度は、動物のエネルギー必要量及び栄養所要量に基づいて計算することができる。
【0045】
[0044]本明細書で考察されるように、様々な実施形態では、本組成物はペットフード組成物であり得る。様々な実施形態では、ペットフード組成物は、セミモイストフード又はドライフードであり得る。一実施形態では、ペットフード組成物又はキブルは、ブレンドされた組成物の1つ以上の成分である。
【0046】
[0045]本明細書に開示されるペットフード組成物は、イヌ科動物又はネコ科動物による摂取のために製剤化された任意の食品であり得る。一実施形態では、ペットフード組成物は、完全でバランスのとれたペットフードとなり得るものであり、すなわち、イヌ科動物又はネコ科動物のための米国飼料検査官協会(AAFCO、2020年1月1日)によって定義される完全栄養を提供する。
【0047】
[0046]本明細書に開示されるペットフード組成物は、植物油、風味剤、着色剤及び水を含み得る。好適な植物油としては、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、キャノーラ油、落花生油、紅花油等が挙げられる。好適な風味剤の例としては、酵母、獣脂、レンダリングされた動物肉(例えば、家禽肉、牛肉、ラム肉、豚肉)、風味抽出物又はブレンド(例えば、グリルした牛肉)、及び動物消化物などが挙げられる。好適な着色剤としては、青色1号、青色2号、緑色3号、赤色3号、赤色40号、黄色5号、黄色6号等のFD&C着色剤、カラメル色素、アナトー、クロロフィリン、コチニール、ベタニン、ウコン、サフラン、パプリカ、リコピン、ニワトコジュース、パンダン、及びチョウマメなどの天然着色剤;二酸化チタン;並びに当業者に既知の任意の好適な食品着色料が挙げられる。
【0048】
[0047]本明細書に開示されるペットフード組成物は、保湿剤、防腐剤、ポリオール、塩、又はこれらの組合せなどの追加成分を任意に含むことができる。好適な湿潤剤としては、塩、糖類、プロピレングリコール、並びにグリセリン及びソルビトール等の多価グリコール等が挙げられる。好適な保存料の非限定例としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、メチルパラヒドロキシ安息香酸ナトリウム(sodium methyl para-hydroxybenzoate)、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
[0048]本明細書で開示されるペットフード組成物におけるそれぞれの追加の成分の具体的な量は、第1の食材及び任意の第2の食材に含まれる成分;動物の種;動物の年齢、体重、健康状態、性別、及び食生活;動物による飲食速度;フード製品を動物に投与する目的などの様々な因子に応じたものとなる。
【実施例
【0050】
[0049]以下の非限定的な実施例は、本開示の実施形態の例示である。
【0051】
実施例1-加水分解大麦麦芽の試験
[0050]以下のプロセスを使用して、大麦麦芽液を加水分解した後、それを押出機に添加して、ソフトドライキブルを形成した。原料としては、BRIESS Malt&Ingredients Co.から市販されている大麦麦芽液を用いた。2段階酵素加水分解プロセスを使用して、以下に記載されるように市販の大麦麦芽液を加水分解した。使用した主要な処理装置には、一定の撹拌、ジャケット加熱、及び温度を制御する能力を有する調理ケトル(バッチサイズ800~1000 Lbs/バッチ)を装備した。
【0052】
表1に、使用した配合を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
[0051]表1の最初の4つの成分は酵素であり、それらの全ては市販されている。段階的なプロセス条件を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
[0052]上記加水分解処理中に、酵素は、大麦麦芽中の大きな分子量の多糖類及びオリゴ糖類を徐々に分解して、顕著な量の小分子(単糖類)を放出する。以下の表3は単糖(主にグルコース)の量が加水分解プロセスによって顕著に増加した糖プロファイルを示す。
【0057】
【表3】
【0058】
[0053]加水分解プロセス後、加水分解大麦麦芽を、ソフトドライキブル製造のための機能性成分として押出機に添加した。15%大麦麦芽液から加水分解された19%加水分解大麦麦芽を、標準的なドッグフード押出プロセスに添加した。加水分解大麦麦芽を除いて、全ての成分は、標準的なドライペットフード製造成分である。表4は、所定の範囲の成分を有する配合を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
[0054]押出されたキブルはわずかな乾燥プロセスを経て、ドラムコーティング後に11.6%の水分を有する最終製品を得た。比較のために、15%大麦麦芽液を含む別の配合(他の全ての成分は同じである)を、同じ押出機及び加工条件で実施した。表5は、所定の範囲の成分を有する比較配合を示す。
【0061】
【表5】
【0062】
[0055]押出された比較キブルは、同様の乾燥プロセスを経て、ドラムコーティング後に11.3%の水分を有する同等の最終製品を得た。
【0063】
[0056]嗜好性の2ボウル比較試験を、上記2つの配合からの最終製品を用いて20匹のイヌに対して行った。表6は嗜好性試験の結果を示す。
【0064】
【表6】
【0065】
[0057]表6に示すように、本加水分解プロセスを使用した試験製品は、キブルの嗜好性を改善し、キブルをイヌにとってより嗜好性の高いものにした。
【0066】
[0058]テクスチャープロファイル分析(TPA)を行って、上記の2つの配合からの最終製品の柔らかさを、一般的な可塑剤であるグリセリンを含有するキブルと比較した。TPAは、Instron 5965B Texture Analyzerによって行った。使用した試験方法は、固定%高さへのキブル圧縮を伴った。圧縮を行うために、1インチの円形ディスク形状の金属プローブを選択した。最大荷重(ピーク力と同じ)を50%圧縮について記録した。30片のキブルを各組成物について試験した。次いで、個々の片のデータを平均して、平均最大荷重/ピーク力及び平均傾斜を決定した。表7にTPAの結果を示す。
【0067】
【表7】
【0068】
[0059]加水分解プロセスは、大麦麦芽液に可塑剤機能をもたらした。加水分解大麦麦芽液は、押出乾燥キブルの柔らかさを増加させるための有効な可塑剤として使用することができる。注目すべきことに、19%加水分解大麦麦芽液は、押出ペットフードキブルのための周知の良好な可塑剤である9%グリセリンと同等の可塑剤効果を達成した。実際に、加水分解液大麦は、グリセリンキブルよりも良好な平均傾斜測定値を有していた。
【0069】
[0060]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【国際調査報告】