(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】持ち上げおよび押圧のための臀部外骨格構造体
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534130
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062081
(87)【国際公開番号】W WO2022125476
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507243142
【氏名又は名称】アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】シュガー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】キニー,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ホランダー,ケビン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707AS38
3C707XK02
3C707XK03
3C707XK06
3C707XK16
3C707XK24
3C707XK42
3C707XK63
3C707XK75
(57)【要約】
着用可能なロボットデバイスは、臀部装着型パワード外骨格と、外骨格に結合される調節可能なベストと、外骨格に電力供給するための電源と、ロボットデバイスを制御し、パワード外骨格をいつ作動させるべきかを決定するためのコンピューティングデバイスと、を含む。外骨格は、外骨格がユーザの臀部を伸展することを支援する第1のパワードモードと、ユーザが臀部を自由に伸展または収縮させることができる第2の自由モードとの間で構成可能である一対のモータ装置を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臀部装着型パワード外骨格と、
前記パワード外骨格に結合される調節可能なベストと、
前記パワード外骨格に電力供給するための電源と、
前記ロボットデバイスを制御し、前記パワード外骨格をいつ作動させるべきかを決定するためのコンピューティングデバイスと
を備える、
持ち上げおよび押圧のための着用可能なロボットデバイス。
【請求項2】
前記パワード外骨格は、臀部の伸展を支援するために一方向の推力を提供するように構成される、
請求項1に記載のロボットデバイス。
【請求項3】
前記パワード外骨格は、ユーザの臀部の伸展運動の一部分に対する一方向の推力を提供するようにさらに構成される、
請求項2に記載のロボットデバイス。
【請求項4】
前記パワード外骨格は、第1および第2の側部骨盤プレートを備える、
請求項3に記載のロボットデバイス。
【請求項5】
前記調節可能なベストは、前記パワード外骨格の作動中、各側部骨盤プレートの回転を低減するように構成される1つまたは複数のストラップを備える、
請求項4に記載のロボットデバイス。
【請求項6】
前記調節可能なベストは、第1の側部骨盤プレートの第1の上端と第2の側部骨盤プレートの第2の上端との間に水平に延びる第1のストラップを備える、
請求項4に記載のロボットデバイス。
【請求項7】
前記調節可能なベストは、第1の側部骨盤プレートの第1の下端と第2の側部骨盤プレートの第2の下端との間に水平に延びる第2のストラップをさらに備える、
請求項6に記載のロボットデバイス。
【請求項8】
前記調節可能なベストは、一対の調節可能な肩ストラップをさらに備える、
請求項7に記載のロボットデバイス。
【請求項9】
第1および第2の側部骨盤プレートと、
各側部骨盤プレートの回転を低減するように構成され、前記背面支持デバイスのユーザの腰部を支持するように構成される少なくとも1つのストラップと
を備える、
背面支持デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのストラップに結合される調節可能なベストをさらに備える、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項11】
調節可能なベストを形成する複数のストラップをさらに備える、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項12】
各側部骨盤プレートは、物体を持ち上げることにおいて前記背面支持デバイスのユーザを支援するためにモータの使用を支持するように構成される、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項13】
各側部骨盤プレートは、物体を押圧することにおいて前記背面支持デバイスのユーザを支援するためにモータの使用を支持するように構成される、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項14】
各側部骨盤プレートは、受動的外骨格に結合されるように構成される、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項15】
前記第1および第2の側部骨盤プレートに結合される準受動的外骨格をさらに備え、
前記準受動的外骨格は、アクティブ化または非アクティブ化され得る電源を備える、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項16】
前記第1および第2の側部骨盤プレートに結合されるパワード外骨格をさらに備え、
前記パワード外骨格は、電源および電動アクチュエータを備える、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項17】
前記第1および第2の側部骨盤プレートにそれぞれ結合される第1および第2のモータ装置をさらに備え、
各モータ装置は、
フレームと、
前記フレームに装着されるモータと、
前記フレームに回転可能に装着されるねじと、
前記ねじにねじ切り結合される並進ブロックと、
前記フレームに枢動可能に結合されるレバーアームと
を備え、
前記並進ブロックは、旋回軸の周りで前記レバーアームを回転させるために前記レバーアームに接触するように構成される、
請求項9に記載の背面支持デバイス。
【請求項18】
前記並進ブロックは、前記並進ブロックが前記レバーアームに係合する第1のモードから、前記レバーアームが前記旋回軸の周りを自由に回転することができる第2のモードへ移動するように構成される、
請求項17に記載の背面支持デバイス。
【請求項19】
前記レバーアームに結合される下肢装具をさらに備え、
前記下肢装具は、前記旋回軸の周りを前記レバーアームと共に回転するように構成される、
請求項17に記載の背面支持デバイス。
【請求項20】
第1の側部骨盤プレートをユーザの臀部の第1の側面に位置付けることと、
第2の側部骨盤プレートを前記ユーザの臀部の第2の側面に位置付けることと、
前記第1の側部骨盤プレートの第1の上端と前記第2の側部骨盤プレートの第2の上端との間に水平に延びるように第1のストラップを位置付けることであって、前記第1のストラップは、ユーザのウエストを横切って延びることと、
前記第1のストラップの長さを調節することと、
前記第1の側部骨盤プレートの第1の下端と前記第2の側部骨盤プレートの第2の下端との間に水平に延びるように第2のストラップを位置付けることであって、前記第2のストラップは、ユーザの臀部を横切って延びることと、
前記第2のストラップの長さを調節することと、
ユーザの臀部を収縮させることと、
前記着用可能なロボットデバイスの支持のもとに前記ユーザの臀部を伸展することと
を含む、
着用可能なロボットデバイスを使用するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2020年12月7日に出願された、「HIP EXOSKELETON STRUCTURE FOR LIFTING AND PUSHING」という名称の米国特許仮出願第63/122,022号に対する優先権およびその利益を主張するものであり、その全体が、あらゆる目的のために本参照により本明細書に組み込まれる(任意の主題放棄または否認を除き、本明細書内に以後具体的に登場する部分を含むが、これらに限定されず、また、組み込まれた資料が本明細書内の明確な開示と一致しない範囲を除くものとし、このような場合、本開示における言語が支配する)。
【0002】
[0002]本開示は、ロボットシステム、および特に、人間の能力を向上させることに関連した使用のための外骨格に関する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
[0003]本発明は、空軍科学研究局によって授与されたFA8606-19-C-0018の下に政府支援を受けてなされたものである。政府は、本発明において特定の権限を有する。
【背景技術】
【0003】
[0004]様々な状況において、普通の人は、しばしば、歩行するとき、および荷物を運ぶときに、かなり多くのエネルギーを消費する。身体障害者または高齢者の歩行を支援するための筋力の強化、病気を患う人のためのリハビリテーション治療、ならびに兵士または工場労働者のための重い荷物の持ち上げおよび運搬など、様々な用途のために着用可能なロボットに対する研究が積極的に行われている。したがって、改善された着用可能なロボットおよび/または補助器具が、依然として望まれている。
【発明の概要】
【0004】
[0005]例示的な実施形態において、ロボットデバイスは、臀部装着型パワード外骨格と、パワード外骨格に結合される調節可能なベストと、パワード外骨格に電力供給するための電源と、ロボットデバイスを制御し、パワード外骨格をいつ作動させるべきかを決定するためのコンピューティングデバイスと、を含む。
【0005】
[0006]様々な実施形態において、パワード外骨格は、臀部の伸展を支援するために一方向の推力を提供するように構成される。様々な実施形態において、パワード外骨格は、ユーザの臀部の伸展運動の一部分に対して一方向の推力を提供する。様々な実施形態において、パワード外骨格は、第1および第2の側部骨盤プレートを備える。様々な実施形態において、調節可能なベストは、パワード外骨格の作動中、各側部骨盤プレートの回転を低減するように構成される1つまたは複数のストラップを備える。様々な実施形態において、調節可能なベストは、第1の側部骨盤プレートの第1の上端と第2の側部骨盤プレートの第2の上端との間に水平に延びる第1のストラップを備える。様々な実施形態において、調節可能なベストは、第1の側部骨盤プレートの第1の下端と第2の側部骨盤プレートの第2の下端との間に水平に延びる第2のストラップをさらに備える。様々な実施形態において、調節可能なベストは、一対の調節可能な肩ストラップをさらに備える。
【0006】
[0007]別の例示的な実施形態において、背面支持デバイスは、第1および第2の側部骨盤プレートと、各側部骨盤プレートの回転を低減し、こうして背面支持デバイスのユーザの腰部を支持するように構成される少なくとも1つのストラップとを備える。
【0007】
[0008]様々な実施形態において、背面支持デバイスは、少なくとも1つのストラップに結合される調節可能なベストをさらに備える。様々な実施形態において、背面支持デバイスは、調節可能なベストを形成する複数のストラップをさらに備える。様々な実施形態において、第1および第2の側部骨盤プレートは、物体を持ち上げることにおいて背面支持デバイスのユーザを支援するためにモータの使用を支持するように構成される。様々な実施形態において、各側部骨盤プレートは、物体を押圧することにおいて背面支持デバイスのユーザを支援するためにモータの使用を支持するように構成される。様々な実施形態において、各側部骨盤プレートは、受動的外骨格に結合されるように構成される。様々な実施形態において、背面支持デバイスは、第1および第2の側部骨盤プレートに結合される準受動的外骨格をさらに備え、準受動的外骨格は、アクティブ化または非アクティブ化され得る電源を備える。
【0008】
[0009]様々な実施形態において、背面支持デバイスは、第1および第2の側部骨盤プレートに結合されるパワード外骨格をさらに備え、パワード外骨格は、電源および電動アクチュエータを備える。様々な実施形態において、背面支持デバイスは、第1および第2の側部骨盤プレートにそれぞれ結合される一対のモータ装置をさらに備える。各モータ装置は、フレームと、フレームに装着されるモータと、フレームに回転可能に装着されるねじと、ねじにねじ切り結合される並進ブロックと、フレームに枢動可能に結合されるレバーアームとを備える。並進ブロックは、旋回軸の周りでレバーアームを回転させるためにレバーアームに接触するように構成される。様々な実施形態において、並進ブロックは、並進ブロックがレバーアームに係合する第1のモードから、レバーアームが旋回軸の周りを自由に回転することができる第2のモードへ移動するように構成される。様々な実施形態において、背面支持デバイスは、レバーアームに結合される下肢装具をさらに備え、下肢装具は、旋回軸の周りをレバーアームと共に回転するように構成される。
【0009】
[0010]別の例示的な実施形態において、着用可能なロボットデバイスを使用するための方法は、第1の側部骨盤プレートをユーザの臀部の第1の側面に位置付けるステップと、第2の側部骨盤プレートをユーザの臀部の第2の側面に位置付けるステップと、第1の側部骨盤プレートの第1の上端と第2の側部骨盤プレートの第2の上端との間に水平に延びるように第1のストラップを位置付けるステップであって、第1のストラップは、ユーザのウエストを横切って延びる、ステップと、第1のストラップの長さを調節するステップと、第1の側部骨盤プレートの第1の下端と第2の側部骨盤プレートの第2の下端との間に水平に延びるように第2のストラップを位置付けるステップであって、第2のストラップは、ユーザの臀部を横切って延びる、ステップと、第2のストラップの長さを調節するステップと、ユーザの臀部を収縮させるステップと、着用可能なロボットデバイスの支持のもとにユーザの臀部を伸展するステップと、を含む。
【0010】
[0011]先述の特徴および要素は、本明細書に別のことが明示的に示されない限り、排他性なしに様々な組み合わせで組み合わされ得る。これらの特徴および要素ならびに開示された実施形態の動作は、以下の説明および添付の図面を踏まえてさらに明白になるものとする。
【0011】
[0012]本開示の主題は、本明細書の結びの部分において、特定的に指摘され、明確に主張される。しかしながら、本開示のより完全な理解は、図面と併せて検討されるときに、発明を実施するための形態およびクレームを参照することによって得られることが最良であり得、同様の番号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】[0013]様々な例示的な実施形態による例示的な臀部外骨格の構成要素を例証する図である。
【
図1B】様々な例示的な実施形態による例示的な臀部外骨格の構成要素を例証する図である。
【
図1C】様々な例示的な実施形態による例示的な臀部外骨格の構成要素を例証する図である。
【
図2A】[0014]様々な例示的な実施形態によるユーザ上の例示的な臀部外骨格システムの前面図である。
【
図2B】[0015]様々な例示的な実施形態によるユーザ上の例示的な臀部外骨格システムの側面図である。
【
図2C】[0016]様々な例示的な実施形態によるユーザ上の例示的な臀部外骨格システムの背面図である。
【
図2D】[0017]様々な例示的な実施形態による例示的な臀部外骨格システムのモータ装置の側面図である。
【
図3】[0018]様々な例示的な実施形態による持ち上げおよび押圧のための例示的な臀部外骨格構造体の構成要素を例証する図である。
【
図4】[0019]
図4Aは、様々な実施形態による例示的な臀部外骨格システム内の側部骨盤プレートを示す図である。
図4Bは、様々な実施形態による例示的な臀部外骨格システム内の側部骨盤プレートを示す図である。
図4Cは、様々な実施形態による例示的な臀部外骨格システム内の側部骨盤プレートを示す図である。
図4Dは、様々な実施形態による例示的な臀部外骨格システム内の側部骨盤プレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0020]以下の説明は、単に様々な例示的な実施形態のものであり、本開示の範囲、適用性、または構成をいかようにも制限することは意図されない。むしろ、以下の説明は、ベストモードを含む様々な実施形態を実装するための簡便な例証を提供することが意図される。今後明らかになるように、様々な変更が、本開示の原則から逸脱することなく、これらの実施形態に説明される要素の機能および配置においてなされ得る。
【0014】
[0021]簡単にするために、着用可能なロボットシステムのための従来の技術および構成要素は、本明細書内では詳細に説明されない場合がある。さらには、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、様々な要素の間の例示的な機能的関係性および/または物理的結合を表すことが意図される。多くの代替的または追加的な機能的関係性または物理的接続が、例示的な臀部外骨格システムおよび/またはそれらの構成要素に存在し得るということに留意されたい。
【0015】
[0022]本開示の原則は、2021年2月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2021/017406号、「Hip Exoskeleton for Lifting and Pushing」という名称で現在公開されているWO2021163153と適合し、またこれを補完するものであり得、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる(任意の主題放棄または否認を除き、また、本出願の開示との任意の対立の範囲を除くものとし、このような場合、本開示における言語が支配する)。
【0016】
[0023]着用可能なロボットシステムは、労働者が、より少ない疲労で、重い物体を押圧および持ち上げること、パレタイズすること、ならびにタスクを実施することを支援する。残念ながら、現在利用可能な若年労働者のプールには限りがあり、既存の労働力は、年齢が高く、高齢化している。故に、労働者人間工学を改善し、医療費を低減するために怪我を防ぎ、労働者の健康を改善することが望ましい。例えば、より多くの米国医療費は、他の大抵の疾患よりも背中および首の痛みの治療に費やされている。
【0017】
[0024]着用可能なロボットシステムに対する先行技術の手法は、限られた性能改善をもたらし、過度に大きいか、扱いにくいか、重いものであった。さらには、大半の外骨格デバイスは、自由運動を許さず、歩き方および走り方を妨げる。従来の外骨格デバイスを着用しているときには、スイミングプールの中で歩いているような感じがする。対照的に、本開示の原則によると、例示的な臀部外骨格は、例えば、しゃがんだ姿勢で物体を持ち上げるとき、または物体を押圧するとき、いずれの場合においても臀部の伸展を支援することによって、人間の動作を支援することができる。持ち上げおよび押圧のときにのみ臀部の伸展を支援するように構成されるシステムを提供することによって、例示的なシステムは、他のタスクにおける自由運動を可能にし、ユーザ体験を改善する。
【0018】
[0025]これより
図1A~
図4Dを参照すると、様々な例示的な実施形態において、例示的なシステム100(本明細書では着用可能なロボットデバイスおよび/または背面支持デバイスとも称される)は、固有、軽量、および快適な設計のために硬い構成要素および柔らかい構成要素を使用する腰背部システムのための臀部外骨格構造体を備える。本明細書で使用される場合、「外骨格」は、動きまたは身体活動を増進する、可能にする、または強化する構造体からなる着用可能なデバイスを意味し、「受動的外骨格」は、動きまたは身体活動を増進する、可能にする、または強化する受動的構造体からなる着用可能なデバイスを意味し、「準受動的外骨格」は、動きまたは身体活動を増進する、可能にする、または強化する、重力に対する運動に基づいてエネルギーを貯蔵および放出するように調節される(把握される、係止される、など)受動的構造体からなる着用可能なデバイスを意味し、「準能動的外骨格」は、動きまたは身体活動を増進する、可能にする、または強化する、追加のエネルギーを貯蔵し、エネルギーを放出するように調節される(引っ張られる、電力供給される、など)受動的構造体からなる着用可能なデバイスを意味し、「能動的外骨格」は、動きまたは身体活動を増進する、可能にする、または強化する、エネルギーを貯蔵、伝達、および放出するように調節される(引っ張られる、電力供給される、など)能動的構造体からなる着用可能なデバイスを意味する。
【0019】
[0026]先行技術の外骨格構造体は、概して、臀部モータトルクに抵抗するには柔らかすぎるか、または大きく、硬く、重すぎるか、のいずれかであった。複数の設計が開発されており、いくつかにおいて、側部骨盤プレートからなるシステムが、臀部トルクに快適に抵抗するために使用された。本システムは、人間の中心部を安定させる胴体の側面を拘束する。人がしゃがむ動きを行うとき、腰背部が安定化され、良いフォームが達成される。
【0020】
[0027]様々な例示的な実施形態において、例示的な固有の設計は、臀部における剛性の装具を除去し、それを、より快適かつ直感的なバックタイプ型のストラップ(例えば、
図2A~
図2Cを参照)と置き換えた。側面図は、モータ装置150(本明細書では電動アクチュエータとも称される)を適所に保持する、硬い、側部の、垂直支柱110(本明細書では「側部骨盤プレート」とも称される)を示す。垂直支柱110は、複数の付着点を含み、これにより、複数の柔らかいストラップ120がそこに接続されて、垂直支柱110をユーザに固定する。これらのプレート110は、平面、凹面、凸面、湾曲、鞍状(すなわち、複数の湾曲を有する)、および/または同様のものであり得る。様々な例示的な実施形態において、側部骨盤プレート110は、
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dに見られるように構成され得る。先行技術デバイスからの硬いプラスチック装具を置き換えることによって、よりカスタマイズされた適合度が達成され得る。ストラップ120はまた、デバイスの全体的な重量を減少させ、これは、重要な設計構成要素である。加えて、垂直支柱112は、側部骨盤プレート内へ統合された。大きい臀部装具は、側部骨盤プレート110およびストラップ120と置き換えられた。下肢の周りの支柱は、ストラップ120と置き換えられた。肩掛けのバックパックストラップ120もまた、垂直移動を防ぐために追加された。垂直移動は元々、よりきつく締まった水平ストラップによって達成されたものであり、長期間の使用にわたって不快感を生じる。望ましくは、側方の骨盤プレート110が、ユーザが良いフォームでしゃがんで持ち上げることを要求するために、腰背部を真っすぐに保つ。他の設計は、良いフォームを要求するために脊柱に沿って硬いプラスチックプレートを使用しようとした。しかしながら、前かがみになると、背中が丸まり、脊柱に沿った垂直構造体に触れて不快感を生じる。したがって、システム100の固有の設計および構成は、快適な設計において腰背部を拘束する。
【0021】
[0028]第1および第2の側部骨盤プレート110は、各側部骨盤プレート110が物体を持ち上げることにおいて背面支持デバイスのユーザを支援するために専用モータの使用を支持するように構成されて提供され得る。システム100において、側部骨盤プレート110は、胴体を拘束および保持し、身体の中心部を安定させるということを理解されたい。先行技術の手法は、快適ではない脊柱に沿った硬い構造体を使用する。加えて、先行技術の手法と比較して、システム100は、軽量であり、快適であり、ユーザが汗をかいたり過度に熱を発したりすることを引き起こし得る腰背部の被覆を伴わず、ユーザが、持ち上げおよび押圧のときに良い姿勢を有することを確実にするように設計され、容易に調節される。
【0022】
[0029]システム100は、ユーザの下肢の少なくとも一部分を囲むように構成される硬い下肢装具130をさらに含む。この例証された実施形態において、下肢装具130は、ユーザの大腿部の前半分を包み込む。下肢装具130は、垂直アーム132を含む。垂直アーム132は、1つの単一部材として下肢装具130内へ統合され得る。垂直アーム132は、ユーザの臀部と同じ軸(矢状面)を中心に回転するように構成され得る。
【0023】
[0030]システム100は、モータ装置150に電力供給するための、バッテリなどの電源102をさらに含む。電源102は、ストラップ120によってユーザの背中において支持され得る。電源102は、ユーザによってアクティブ化または非アクティブ化され得る。
【0024】
[0031]これより
図2Dを参照すると、様々な実施形態による、モータ装置150の分離図が例示される。モータ装置150は、電動モータ152および並進ブロック154を含み得る。並進ブロック154は、ねじ156にねじ切り結合され得、ねじ156は、その長手方向軸の周りを回転するように構成される。モータ152は、ねじ156を回転(rotateまたはspin)させ得、そして、ねじ156の回転が、並進ブロック154をねじ156の長手方向軸に沿って並進させ得る。並進ブロック154が並進する方向は、ねじ156が回転する回転方向に依存する。例えば、第1の方向におけるねじ156の回転は、並進ブロック154を第1の方向(例えば、
図2D内の左)に並進させ得るが、第2の反対方向におけるねじ156の回転は、並進ブロック154を第2の方向(例えば、
図2D内の右)に並進させ得る。ねじ156は、フレーム158に枢動可能に装着され得る。モータ152は、フレーム158に装着され得る。モータ152は、コンピューティングデバイス104によって制御され得る。
【0025】
[0032]モータ装置150は、フレーム158に枢動可能に結合されるレバーアーム160をさらに含む。レバーアーム160は、旋回軸163から延び、かつ垂直アーム132(
図2Bを参照)に付着されるように構成される、第1のアーム161を含み得る。様々な実施形態において、垂直アーム132および第1のアーム161は、別個の片として製造され、取り外し可能または取り外し不可能に互いに結合される。様々な実施形態において、垂直アーム132および第1のアーム161は、単一片として一体的に形成される。レバーアーム160は、旋回軸163から延びる第2のアーム162をさらに含む。第1のアーム161および第2のアーム162は、互いから旋回軸163の反対側に配設され得る。並進ブロック154は、第2のアーム162に接触または係合するように構成され得、そして第2のアーム162が、レバーアーム160を旋回軸163の周りで回転させる。この様式では、力は、例えば、しゃがんだ姿勢の回復および/または押圧操作においてユーザを支援するために、ユーザの下肢に付与され得る。並進ブロック154は、ユーザの臀部の伸展運動の一部分にわたってレバーアーム160に電動推力を提供し得る。並進ブロック154は、様々な実施形態において、レバーアーム160に30~70度の電動推力を、様々な実施形態において、レバーアーム160に40~70度の電動推力を、および様々な実施形態において、レバーアーム160に約67度の電動推力を提供し得る。並進ブロック154は、ユーザの臀部の伸展を支援するために一方向の推力を提供し得る。
【0026】
[0033]並進ブロック154を第2のアーム162に隣接して置くことによって、並進ブロックは、使用していないとき邪魔にならない所に(すなわち、
図2D内の右へ)移動され得、並進ブロック154がユーザの動きにとって「見えない」状態にする(すなわち、並進ブロックは、ユーザが歩くときおよび/または動き回るとき(すなわち、ユーザが下肢を前後に動かすとき)に第2のアームが行ったり来たり回転する際、第2のアーム162と物理的に接触しない。この点に関して、並進ブロック154は、並進ブロック154が第2のアーム162に係合する第1のモードから、並進ブロック154が第2のアームから離脱され、レバーアーム160が旋回軸163の周りを自由に回転することができる第2のモードへ移動され得る。例えば、第2の(自由)モードでは(例えば、モータは自由モードではオフにされる)、ユーザは、膝で押すこと、大股および交差歩行を行うこと、臀部を回転させること、ならびに這うことができる。
【0027】
[0034]これより
図2A~
図2Dを組み合わせて参照すると、システム100は、1つまたは複数の制御器(例えば、プロセッサ)、およびデジタルまたはプログラム論理を実装することができる1つまたは複数の有形の非一時的なメモリを含む、コンピューティングデバイス104をさらに含む。様々な実施形態において、例えば、1つまたは複数の制御器は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲート、トランジスタ論理、または離散ハードウェア構成要素、またはそれらの任意の様々な組み合わせなどのうちの1つまたは複数である。様々な実施形態において、コンピューティングデバイス104は、システム100の少なくとも様々な部分、およびシステム100の様々な構成要素の動作を制御する。例えば、コンピューティングデバイス104は、モータ152の動作など、システム100の様々なパラメータを制御する。コンピューティングデバイス104は、パワード外骨格をいつ作動させるべきかを決定し得る(例えば、モータ152により並進ブロック154を選択的に位置付けることによって)。
【0028】
[0035]様々な実施形態において、コンピューティングデバイス104は、異なる運動活動を可能にするために制御スキームを実施し得る。きちんと実行されていないシステムは、誤った動きの間にシステムを動かす傾向があり得、怪我を引き起こす可能性がある。システム100を制御するために、冗長的な活動認識アルゴリズムが、基本モデルおよび/またはAI訓練モデルと共に実装され得る。両方のモデルは、システムが、持ち上げおよび押圧が発生していることが確かであるときにのみ作動する、ホワイトリスト原則で動作し得る。すべての他の場合、システムは、様々な実施形態において、関与しない。コンピューティングデバイス104は、臀部における(例えば、それぞれの側に1つ)制御チップ内にはめ込まれる1つまたは複数の慣性計測装置(IMU)、および回転軸の周り(例えば、それぞれの側に1つ)の回転センサを利用して、外骨格をいつ作動させるべきかを検出および/または決定する(例えば、しゃがむ、座る、押す、歩く、ゆっくり走る、階段を上る、車両への出入りなどの特徴を識別する)。センサフィードバックを使用して、コンピューティングデバイス104は、モータ装置150を、臀部の伸展を支援するために一方向の推力を提供するための第1のモード、またはユーザが臀部を自由に伸展もしくは収縮させることを可能にするための第2のモードで選択的に動作させ得る。
【0029】
[0036]これより
図3を参照すると、様々な例示的な実施形態において、システム100は、柔らかい調節可能なストラップ120のシステムを含む。ストラップ120は、調節可能なベストに結合され得、代替的に、ストラップは、調節可能なベストを備え得る。トルクがモータによって外骨格内の大腿部に印加されるとき、側部骨盤プレート110は回転しなければならない。調節可能なストラップO-PおよびC-Dは、プレートが回転しないように特異的に置かれる。調節可能なストラップO-P(本明細書では第1のストラップとも称される)は、垂直支柱112の上端の間に水平に、およびユーザのウエストの周りまたは肋骨の真下に延び得る。調節可能なストラップC-D(本明細書では第2のストラップとも称される)は、側部骨盤プレート110の下端の間に水平に、およびユーザの臀部の周りに延び得る。この構成(すなわち、ウエスト下部における背中のストラップおよび胸骨近くの前のストラップ)は、側部骨盤プレイス110を所望の位置に保持するための望ましい結合を作成するということを理解されたい。異なる言い方をすると、ストラップ120は、パワード外骨格の作動中、各側部骨盤プレート110の回転を低減するように構成される。柔らかいストラップ120は、システムが様々なサイズの個人に容易に装着され得るように調節可能である。
【0030】
[0037]ストラップI*およびJ*、ならびにEおよびFは、肩ストラップが調節されることを可能にする。肩ストラップは、外骨格が垂直に移動しないようにする。ストラップGおよびHは、臀部ベルトが調節されることを可能にする。ストラップAおよびBは、胸ストラップが調節されることを可能にする。柔らかいストラップのサイズ:例示的な実施形態におけるストラップの長さは、表1に示される。
【0031】
【0032】
[0038]本開示の原則が様々な実施形態において示されているが、特定の環境および動作要件に具体的に適合される、実際に使用される構造、配置、割合、要素、材料、および構成要素の多くの修正は、本開示の原則および範囲から逸脱することなく使用され得る。これらおよび他の変更および修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0033】
[0039]本開示は、様々な実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者は、様々な修正および変更が本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解する。したがって、本明細書は、制限的意味というよりも例証的意味であると見なされるものとし、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、利益、他の利点、および問題に対する解決策は、様々な実施形態に関して上に説明されている。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、および任意の利益、利点、または問題に対する解決策を発生させ得る、またはより顕著にさせ得る任意の要素は、極めて重要な、必要とされる、または必要不可欠な特徴または要素と解釈されるべきではない。
【0034】
[0040]本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えること」、またはそれらの任意の他の変異形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素だけを含むのではなく、明示的に列挙されない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の、他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図される。また、本明細書で使用される場合、用語「結合される」、「結合すること」、またはそれらの任意の他の変異形は、物理的接続、電気的接続、磁気接続、光接続、通信接続、機能的接続、および/または任意の他の接続を網羅することが意図される。「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、または「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」に類似した言語が本明細書またはクレームにおいて使用されるとき、この表現は、以下のうちのいずれかを意味することが意図される:(1)Aの少なくとも1つ、(2)Bの少なくとも1つ、(3)Cの少なくとも1つ、(4)Aの少なくとも1つおよびBの少なくとも1つ、(5)Bの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、(6)Aの少なくとも1つおよびCの少なくとも1つ、または(7)Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ。
【国際調査報告】