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特表2023-552578生物学的流体からアンモニアを除去するための体外デバイス及びマトリックス並びにその方法及び使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】生物学的流体からアンモニアを除去するための体外デバイス及びマトリックス並びにその方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20231211BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61M1/36 165
B01D15/00 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534976
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 IL2021051473
(87)【国際公開番号】W WO2022123575
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/123,851
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520276969
【氏名又は名称】プラス-フリー リミテッド
【住所又は居所原語表記】Wadi El Haj 13, Nazareth, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドバシ ジーブ
(72)【発明者】
【氏名】ヒジャージ ヌハ
【テーマコード(参考)】
4C077
4D017
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077BB03
4C077CC06
4C077DD13
4C077EE01
4C077KK13
4C077MM04
4C077NN03
4C077NN20
4D017AA11
4D017BA04
4D017BA11
4D017CA13
4D017CA14
4D017CB01
4D017DA01
4D017EA05
(57)【要約】
本発明は、コンジュゲートを含むデバイス、及び体液から少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアを枯渇させる際のその使用に関する。本開示は、システム、装置、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、及び方法を更に提供する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み(式I)、式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。一部の任意選択的な実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートのリンカーは、直鎖アルカン、及びm個のカルボニル基を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え、
-前記ハウジングが、少なくとも1つのチャンバを含み、前記少なくとも1つのチャンバが、前記少なくとも1つの流体入口ポート及び前記少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定し、
前記対照容積が、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又は前記コンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの少なくとも1つを収容し、前記コンジュゲートが、式Iの構造を有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化1】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである、デバイス。
【請求項2】
前記リンカーが、直鎖アルカン、及びm個のカルボニル基を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記直鎖アルカンが、飽和又は不飽和である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記直鎖アルカンが、不飽和である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記直鎖が、1~3個の二重結合を含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アミンが、アンモニアである、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記リンカーは、m番目のカルボニルが直鎖結合
【化2】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化3】
を通して結合されるように、前記捕捉剤に共有結合され、式中、Xが、1~3の範囲内の整数である、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記捕捉剤が、アンモニアを捕捉することができる強酸である、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記強酸が、硫酸又はその任意の誘導体である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記直鎖アルカンの長さ(n)が、15である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含み、前記コンジュゲートが、構造式IIを有し、
【化4】
式中、xが、0~3である、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、前記コンジュゲートが、構造式IIIを有し、
【化5】
式中、xが、0~3である、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記粒子及び前記リンカーが、共有結合しており、前記結合が、式IVに提示されるアミノ基を介した共有結合である、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【化6】
【請求項14】
構造式Vを有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化7】
式中、mが、5~10の整数である、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記粒子が、樹脂ビーズであり、前記樹脂ビーズが、任意選択的に少なくとも4%のアガロースを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記樹脂ビーズのサイズが、40~170μmの範囲である、請求項1~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスが、前記対照容積を介して互いに長手方向に離間された第1のバリア部材及び第2のバリア部材を備え、前記第1のバリア部材及び前記第2のバリア部材が、各々、それぞれの前記バリア部材を通る一方向の流体の流れを可能にするように、かつそれぞれの前記バリア部材を通る反対方向の流体の流れを遮断するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1のバリア部材及び前記第2のバリア部材が、前記少なくとも1つの流体入口ポートから前記少なくとも1つの流体出口ポートへの前記デバイスを通る流体の流れを可能にするように、かつ、同時に、前記流体出口ポートから前記流体入口ポートへの流体の流れを遮断するように、前記デバイス内に設置されている、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1のバリア部材及び前記第2のバリア部材の各々が、好適な材料から作製された膜を備える、請求項17又は18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記ハウジングが、外側ケーシングと、入口端部キャップと、出口端部キャップと、を備え、前記外側ケーシングが、前記外側ケーシングの入口端部と出口端部との間で長手方向に延在する外壁を備え、前記入口端部キャップが、前記入口端部に密封装着されるように構成されており、前記出口端部キャップが、前記出口端部に密封装着されるように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
入口端部キャップ、前記出口端部キャップ、及び前記外側ケーシングが、各々、好適な医学的に適合性のある材料から作製されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記入口端部キャップが、前記外側ケーシングに対して自己係止キャップとして構成されており、かつ前記入口端部キャップが前記外側ケーシングに対して所定の位置に密封係止されることを可能にするように構成されている、請求項20又は21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記外側ケーシングに対して前記入口端部キャップの自己係止を可能にするように構成された第1の自己係止装置を備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の自己係止装置が、複数の第1のくさび要素と、第1のフランジ装置と、を備え、前記第1のくさび要素が、前記入口端部キャップ内に設けられ、前記第1のフランジ装置が、前記入口端部から第1の間隔だけ長手方向に離間されて、前記外側ケーシング内に設けられ、前記第1のくさび要素が、第1のフランジ停止装置と協働して、前記ハウジングに対して前記入口端部キャップの自己係止を提供するように構成されている、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
各前記第1のくさび要素が、前記第1の端部キャップの自由端から離れて長手方向に突出している、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第1の間隔が、前記入口端部キャップが前記外側ケーシングと完全に係合したときに、前記入口端部キャップの前記それぞれの前記自由端が前記第1のフランジ装置と当接接触することを確実にするのに十分である、請求項24又は25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第1のフランジ停止装置が、前記複数の第1のくさび要素に対応する複数の第1の停止要素を備え、各前記第1の停止要素が、それぞれの前記第1のくさび要素が前記外側ケーシングと当接接触しているときに、前記外側ケーシングからの前記入口端部キャップの係合解除を防止するように動作する、請求項24~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1のフランジ停止装置が、前記第1のくさび要素に対応する複数の第1の切り欠きを含む第1のフランジを備え、各前記第1の切り欠きが、係止構成において、前記それぞれの第1のくさび要素をその中に収容することを可能にするのに十分な周方向の長さ及び軸方向の深さを有する、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記出口端部キャップが、前記外側ケーシングに対して自己係止キャップとして構成されており、かつ前記出口端部キャップが前記外側ケーシングに対して所定の位置に密封係止されることを可能にするように構成されている、請求項20~28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記外側ケーシングに対する前記出口端部キャップの自己係止を可能にするように構成された第2の自己係止装置を備える、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記第2の自己係止装置が、複数の第2のくさび要素と、第2のフランジ装置と、を備え、前記第2のくさび要素が、前記出口端部キャップ内に設けられ、前記第2のフランジ装置が、前記出口端部から第2の間隔だけ長手方向に離間されて、前記外側ケーシング内に設けられ、前記第2のくさび要素が、第2のフランジ停止装置と協働して、前記ハウジングに対する前記出口端部キャップの自己係止を提供するように構成されている、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
各前記第2のくさび要素が、前記第2の端部キャップの自由端から離れて長手方向に突出している、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記第2の間隔は、前記出口端部キャップが前記外側ケーシングと完全に係合されたときに、前記出口端部キャップのそれぞれの前記自由端が前記第2のフランジ装置と当接接触することを確実にするのに十分である、請求項31又は32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記第2のフランジ停止装置が、前記複数の第2のくさび要素に対応する複数の第2の停止要素を備え、各前記第2の停止要素が、それぞれの前記第2のくさび要素が前記外側ケーシングと当接接触しているときに、前記外側ケーシングからの前記出口端部キャップの係合解除を防止するように動作する、請求項31~33のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項35】
前記第2のフランジ停止装置が、前記第2のくさび要素に対応する複数の第2の切り欠きを含む第2のフランジを備え、各前記第2の切り欠きが、係止構成において、それぞれの前記第2のくさび要素をその中に収容することを可能にするのに十分な周方向の長さ及び軸方向の深さを有する、請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記対照容積が、約250ml~約350mlである、請求項1~35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のための、請求項1~36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
前記アミンが、アンモニアである、請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記液体物質が、哺乳類の体液であり、前記デバイスが、哺乳類の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記コンジュゲートが、構造式Vを有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化8】
式中、mが、5~10の整数である、請求項1~39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
システムであって、
-請求項1~40のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイスと、
-アフェレーシス機械と、
-血液混合リザーバと、
-導管システムと、を備える、システム。
【請求項42】
前記導管システムが、前記アフェレーシス機械と、それを必要とする対象の身体との間に選択的な流体連通を提供し、それによって、血液が、それを必要とする対象の前記身体から前記アフェレーシス機械に流れることを可能にするように構成された第1の導管を備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記導管システムが、前記アフェレーシス機械の血漿出口及び前記少なくとも1つのデバイスからの流体連通を提供し、それによって、前記アフェレーシス機械によって血液から分離された血漿が、前記少なくとも1つのデバイスの中へ流れることを可能にするように構成された第2の導管を備える、請求項41又は42に記載のシステム。
【請求項44】
前記導管システムが、前記少なくとも1つのデバイスから前記血液混合リザーバへの流体連通を提供し、それによって、前記少なくとも1つのデバイスによって処置された処理済み血漿が前記血液混合リザーバの中へ流れることを可能にするように構成された第3の導管を備える、請求項41~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記導管システムが、前記アフェレーシス機械の血液製剤出口から前記血液混合リザーバへの流体連通を提供し、それによって前記アフェレーシス機械によって血液から分離された他の血液製剤が前記血液混合リザーバの中へ流れることを可能にするように構成された第4の導管を備える、請求項41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記導管システムが、前記血液混合リザーバと、それを必要とする対象の前記身体との間に選択的な流体連通を提供し、それによって、処置済み血液が前記血液混合リザーバからそれを必要とする対象の前記身体に流れることを可能にするように構成された第5の導管を備える、請求項41~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
互いに直列に相互接続された複数の前記デバイスを備える、請求項41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
各流体入口ポートに結合された入口マニホールドを介して、かつ各流体出口ポートに結合された出口マニホールドを介して互いに対して並列に相互接続された複数の前記デバイスを備える、請求項41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記デバイスの第1の複数のグループを備え、前記グループが、各流体入口ポートに結合された入口マニホールドを介して、かつ各流体出口ポートに結合された出口マニホールドを介して、互いに対して並列に相互接続され、各前記グループが、それぞれの前記グループ内で互いに対して直列に相互接続されたそれぞれの第2の複数の前記デバイスを備える、請求項41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
請求項1~40のいずれか一項に記載の複数のデバイスを含む、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのバッテリ。
【請求項51】
少なくとも1つのコンジュゲート、若しくは前記コンジュゲートを含む少なくとも1つのデバイスを含むか、又は前記少なくとも1つのデバイス若しくはデバイスのバッテリに接続された体外装置であって、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化9】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つであり、前記デバイスが、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え、
-前記ハウジングが、少なくとも1つのチャンバを含み、前記少なくとも1つのチャンバが、前記少なくとも1つの流体入口ポート及び前記少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定し、
前記対照容積が、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又は前記コンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの前記少なくとも1つを収容する、体外装置。
【請求項52】
前記デバイスが、請求項1~40のいずれか一項に記載のデバイスであり、前記バッテリが、請求項50に記載のバッテリである、請求項51に記載の体外装置。
【請求項53】
哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のための、請求項51又は52に記載の体外装置。
【請求項54】
構造式Iを有するコンジュゲートであって、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化10】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである、コンジュゲート。
【請求項55】
前記リンカーが、直鎖アルカン、及びm個のカルボニル基を含む、請求項54に記載のコンジュゲート。
【請求項56】
前記直鎖アルカンが、飽和又は不飽和である、請求項55に記載のコンジュゲート。
【請求項57】
前記直鎖アルカンが、不飽和である、請求項56に記載のコンジュゲート。
【請求項58】
前記直鎖が、1~3個の二重結合を含む、請求項57に記載のコンジュゲート。
【請求項59】
前記アミンが、アンモニアである、請求項54~58のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項60】
前記リンカーは、m番目のカルボニルが直鎖結合
【化11】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化12】
を通して結合されるように、前記捕捉剤に共有結合され、式中、Xが、1~3の範囲内の整数である、請求項54~59のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項61】
前記捕捉剤が、アンモニアを捕捉することができる強酸である、請求項54~60のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項62】
前記強酸が、硫酸又はその任意の誘導体である、請求項61に記載のコンジュゲート。
【請求項63】
前記直鎖アルカンの長さ(n)が、15である、請求項62に記載のコンジュゲート。
【請求項64】
5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含み、前記コンジュゲートが、構造式IIを有し、
【化13】
式中、xが、0~3である、請求項54~63のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項65】
5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、前記コンジュゲートが、構造式IIIを有し、
【化14】
式中、xが、0~3である、請求項54~64のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項66】
前記粒子及び前記リンカーが、共有結合しており、前記結合が、式IVに提示されるアミノ基を介した共有結合である、請求項54~62のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【化15】
【請求項67】
構造式Vを有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化16】
式中、mが、5~10の整数である、請求項54~65のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項68】
前記粒子が、樹脂ビーズであり、前記樹脂ビーズが、任意選択的に少なくとも4%のアガロースを含む、請求項54~67のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項69】
前記樹脂ビーズのサイズが、40~170μmの範囲である、請求項54~68のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項70】
複数のコンジュゲート又は前記複数のコンジュゲートを含む任意の組成物であって、各コンジュゲートが、粒子、少なくとも1つのリンカー及び少なくとも1つの捕捉剤A、又はその任意の誘導体若しくは類似体を含み、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化17】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである、複数のコンジュゲート又は前記複数のコンジュゲートを含む任意の組成物。
【請求項71】
前記コンジュゲートが、請求項54~69のいずれか一項に定義される通りである、請求項70に記載の複数のコンジュゲート。
【請求項72】
少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のための、請求項70又は71に記載の複数のコンジュゲート。
【請求項73】
前記アミンが、アンモニアである、請求項72に記載の複数のコンジュゲート。
【請求項74】
前記液体物質が、哺乳類の体液であり、前記複数のコンジュゲートが、哺乳類の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである、請求項73に記載の複数のコンジュゲート。
【請求項75】
液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法であって、前記方法が、
(i)前記液体物質を、前記少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供するステップと、
(ii)ステップ(i)で取得された前記少なくとも1つのアミンが枯渇した液体を回収するステップと、を含み、
前記親和性枯渇手順が、前記液体物質を、有効量の少なくとも1つのコンジュゲート、複数のコンジュゲートと、又は前記コンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む組成物と接触させること、あるいは前記液体物質を、前記コンジュゲートを含むデバイス、バッテリ、若しくは体外装置に適用すること、を含み、各コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化18】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、前記アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項76】
前記液体物質が、哺乳類の体液又はその任意の産物である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記少なくとも1つのアミンが、アンモニアであり、前記方法が哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記コンジュゲートが、請求項54~69のいずれか一項に定義される通りであり、前記複数のコンジュゲート又は組成物が、請求項70~74のいずれか一項に定義される通りであり、前記デバイスが、請求項1~40のいずれか一項に定義される通りであり、前記システムが、請求項41~49のいずれか一項によって定義され、前記バッテリが、請求項50によって定義される通りであり、前記装置が、請求項51~53のいずれか一項によって定義される通りである、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項79】
体外手順によって、それを必要とする対象の体液から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法であって、前記方法が、
(i)前記対象の体液を体外装置に移送するステップと、
(ii)前記体液を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供するステップであって、前記枯渇は、血液が前記装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、少なくとも1つのアミンが枯渇した前記対象の体外体液を取得する、ステップと、
(iii)ステップ(ii)で取得された前記体液を前記対象に再導入するか、又は戻すステップと、を含み、
前記親和性枯渇手順が、前記体液を、前記体外装置内又は前記体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はそれらの組成物と接触させること、を含み、各コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化19】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、前記アミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項80】
前記コンジュゲートが、請求項54~69のいずれか一項に定義される通りであり、前記複数のコンジュゲート又は組成物が、請求項70~74のいずれか一項に定義される通りであり、前記デバイスが、請求項1~40のいずれか一項に定義される通りであり、前記システムが、請求項41~49のいずれか一項によって定義され、前記バッテリが、請求項50によって定義される通りであり、前記装置が、請求項51~53のいずれか一項によって定義される通りである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記コンジュゲートが、構造式Vを有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化20】
式中、mが、5~10の整数である、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
体外手順によって、それを必要とする対象の体液からアンモニアを枯渇させることによる、それを必要とする対象における血中アンモニア濃度の上昇と関連する障害又はそれと関連する病態の治療、防止、予防、改善、阻害のための方法であって、前記方法が、
a.前記対象の体液を体外装置に移送するステップと、
b.前記体液を、前記アンモニアに特異的な親和性枯渇手順に供するステップであって、前記枯渇は、血液が前記装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、アンモニアが枯渇した前記対象の体外体液を取得する、ステップと、
c.ステップ(b)で取得された前記体液を前記対象に再導入するか、又は戻すステップと、を含み、
前記親和性枯渇手順が、前記体液を、前記体外装置内又は前記体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はそれらの組成物と接触させること、を含み、各コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化21】
式中、nが、5~15の範囲内の整数であり、mが、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aが、アンモニアを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする、方法。
【請求項83】
前記コンジュゲートが、請求項54~69のいずれか一項に定義される通りであり、前記複数のコンジュゲート又は組成物が、請求項70~74のいずれか一項に定義される通りであり、前記デバイスが、請求項1~40のいずれか一項に定義される通りであり、前記システムが、請求項41~49のいずれか一項によって定義され、前記バッテリが、請求項50によって定義される通りであり、前記装置が、請求項51~53のいずれか一項によって定義される通りである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記コンジュゲートが、構造式Vを有し、前記コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化22】
式中、mが、5~10の整数である、請求項82又は83に記載の方法。
【請求項85】
血中アンモニア濃度の上昇と関連する前記障害が、慢性肝臓若しくは肺状態及び/又は認知低下、並びに/あるいは高アンモニア血症及び関連状態である、請求項82~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記肝臓状態が、肝性脳症及び任意の関連する状態である、請求項85に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血漿交換の分野に関する。より具体的には、本発明は、生物学的流体からアンモニアを枯渇させるための特定のデバイス及びマトリックス、アンモニアを含まない結果として得られる生物学的流体、並びにその方法及び使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に挙げる。
【0003】
本明細書における下記の参考文献の認識は、これらが現在開示されている主題の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【0004】
肝性脳症は、認知機能、行動、及び人格の変化、並びに急性及び慢性肝不全と関連する一過性の神経症状及び特徴的な脳波パターンを特徴とする、潜在的に可逆的又は進行性の神経精神医学的症候群である。肝性脳症は、重度の肝不全と関連して通常観察される肝硬変の頻繁な合併症である。その特徴的な症状は、意識レベルの急激な低下を伴う急性脳症の発症であり、錯乱又は昏睡として現れる。しばしば、誘発因子を同定することができる。エピソードの治療は、誘発因子の補正を対象とする。誘発状態が消散すると、脳症も典型的には消失し、患者は以前の状態に回復する。しかしながら、肝機能の予備能が低い患者では、肝性脳症は慢性状態であり得る。予備力が低いと、患者は突発性肝性脳症を発症しやすくなる。HEの病態生理に対して再び考えられる主な粒子の1つは、アンモニアである。
【0005】
窒素含有化合物の代謝の副産物であるアンモニアは、高濃度において神経毒性である。肝臓は、門脈アンモニアのほとんど全てを除去し、それをグルタミン及び尿素に変換し、体循環への進入を防止する。しかしながら、グルタミンは、ミトコンドリア中で代謝されてグルタミン酸塩及びアンモニアを生じ、グルタミン由来のアンモニアは、ミトコンドリアの機能を妨害してアストロサイトの機能不全をもたらす可能性がある。進行した肝疾患における血中アンモニアの増加は、肝機能障害及び肝臓周辺の血液の短絡の結果である。筋肉は肝外アンモニア除去のための重要な部位であるため、これらの患者によく見られる筋肉の衰えも寄与し得る。直接的な神経毒性に加えて、低度のアストロサイトの腫脹が脳機能障害に寄与している可能性がある。酵素グルタミン合成酵素(アストロサイトの小胞体に存在する)は、アンモニアをグルタミンに変換する役割を担っている。グルタミンはオスモライトとして作用するため、水がアストロサイト内を移動して、軽度の脳浮腫を引き起こし、神経抑制状態(すなわち、精神プロセスの緩徐化)が優勢になることが、慢性肝疾患と関連するHEの病徴である。
【0006】
人工肝臓補助(ALS:artificial liver support)及び血液透析濾過(HDF:hemodiafiltration)の組み合わせによる脳症の処置がこれまでに実証されている(非特許文献1)。
【0007】
Steffen Rら(非特許文献2)は、分子吸着剤再循環システム(MARS:molecular adsorbent recirculating system)が、アルブミン結合物質の選択的除去のための無細胞体外肝臓補助方法を表すことを実証している。更に、それは、内蔵された透析ステップを介して過剰の水及び水溶性物質の除去を可能にする。
【0008】
なお更に、Evansら(非特許文献3)は、アンモニウムイオンで荷電されたカルボン酸イオン交換樹脂の導入を含む方法を使用する無尿症の処置を、経口及び保持浣腸の両方で実証している。カリウムイオンとの交換がうまくいき、血清カリウム濃度が明らかに低下したことが報告されている。
【0009】
イオン交換樹脂、特に20%のジビニルベンゼン結合を有する英国の樹脂ZK.225の使用が有効であると報告された(非特許文献4)。動脈から直接オートクレーブ処理した樹脂カラムを通して静脈に通した場合、顕著な量のアンモニアが、顕著な高アンモニアを伴ってイヌの血液から除去された。
【0010】
高カリウム血症は、心不整脈エピソード及び突然死のリスクを増加させることが最近実証されている(非特許文献5)。したがって、カリウム上昇の制御は、この集団における死亡率を低減させるために不可欠である。
【0011】
Fujitaらは、血液製剤からのアンモニアの除去に対するカリウム吸着フィルタの効果を実証している(非特許文献6)。この公開は、充填赤血球(RBC:red blood cell)溶液からカリウムイオンを除去するためのベッドサイドでの使用に利用可能なカリウム吸着フィルタ(PAF:potassium adsorption filter)を示している。開示された方法は、迅速で大量の輸血を必要とする患者に適用可能であり、アンモニアの濃度を低減させることができると報告されている。
【0012】
エック瘻(Eck-fistula)イヌにおける血中アンモニアを低下させるためのカリウム-サイクル交換樹脂の使用が、これまでに報告されている(非特許文献7)。開示された樹脂は、カリウムイオンをアンモニウム及びナトリウムイオンと交換するという利点を有する。
【0013】
米国特許第4183811(A)号(特許文献1)は、毒性代謝産物及び尿中に通常存在する代謝産物を血液から除去するための膜ユニット及び装置を開示している。
【0014】
国際公開第2014079681(A2)号(特許文献2)は、肝不全を患う患者に血液透析を行うための肝臓透析デバイスを含む、肝臓置換及び/又は補助のための人工体外システムを開示している。そこで開示されたシステムは、膜壁を越えて本質的な量のアルブミンを通過させず、患者の血液で灌流される第1の標準的な中空糸膜透析器と、膜壁を越えて本質的であるが規定された量のアルブミンを通過させ、第1の標準的な血液透析器の血液を受容する第2の中空糸膜透析器と、を備えることを特徴とする。濾液空間は、中空繊維の内腔空間から閉鎖されており、1つ以上の異なる吸着剤を含むことができる吸着剤材料によって占められている。
【0015】
国際公開第2016205221(A1)号(特許文献3)は、血液の細胞成分から限外濾過液を分離するための体外濾過及び解毒システム及び方法を開示している。方法は、再循環回路において細胞成分とは独立して限外濾過液を処置すること、処置された限外濾過液と細胞成分とを再混合すること、及び全血を患者に戻すことを含む。
【0016】
国際公開第2004014315(A2)号(特許文献4)は、患者の血液及び/又は特定の血漿から、特定の分子量範囲内の物質を含有する画分を除去するための方法を実証している。
【0017】
米国特許第3963613(A)号(特許文献5)は、処置される患者の血液が、患者の血流に接続する外部回路の周りに導かれ、フマル酸溶液と直接又は間接的に接触させられる、血液浄化手段を開示している。血液は、フマル酸及びアンモニアからのL-アスパラギン酸形成の反応を触媒する、好適にはアスパルターゼ調製物である酵素調製物と更に接触させられる。浄化手段は、患者の血液中の不要な物質を非毒性物質とアンモニアに分解し、その後アスパラギン酸に変換することができる1つ以上の予備段階を更に含むことができ、生成されたアスパラギン酸が患者の血流中に再び入るのを防止する低分子ふるい手段を含むこともできる。
【0018】
出願公開第2008093244(A)号(特許文献6)は、シリカゲルを使用することによって血液又は血漿などの液体中に含有されるアンモニアを効率的に除去することができる方法を開示している。しかしながら、この公開によって開示されるフィルタは、アンモニアに対して特異的ではなく、リポ多糖類などの他の小粒子も枯渇させ得ることに留意されたい。更に、現在入手可能なレーズンのほとんどは、血漿からアンモニアを除去することができるイオン交換材料に基づいているが、アンモニアのみに特異的ではない。アンモニアは生理学的pHにおいてカチオン性であるため、アンモニアのみに特異的ではない任意のカチオン交換体によって結合され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明によって開示されるような、血漿からアンモニアのみを除去するように特に設計された樹脂が必要である。
【0019】
中国特許第100486651(C)号(特許文献7)は、本体と、外部血液回路と、血漿分離-吸着回路と、アルブミン回路と、透析液回路と、供給回路と、オペレーティングシステムとによって形成される多臓器機能支援システムを実証している。この公開は、多臓器機能障害複合症状(multiple organ function obstacle complex symptom、MODS)に罹患している患者の体液から炎症媒体、毒素及び小分子物質(例えば、血中アンモニア)を排除するためのシステムを更に開示している。この公開は、肺の空気交換機能を置換する肺膜酸素発生器、及び反転呼気排出におけるその使用を開示している。
【0020】
中国特許第109692372(A)号(特許文献8)は、5層の血液灌流デバイス及び血液灌流方法を開示している。より具体的には、ゲルマイクロボールの抗凝固剤層、β2-ミクログロブリン吸着層、尿素分解層、アンモニア吸着層、及び活性炭吸着層が、灌流デバイスオントロジ内の血液の流れの方向に沿って連続的に配設される。そこに提供される血液灌流方法は、血液から7000μgまでのアンモニアを精製することに関する。しかしながら、極めて多量のアンモニアを除去することが必要である。
【0021】
したがって、当該技術分野では、体液からアンモニアを枯渇させるための有効な手段及び方法に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Treatment of hepatic encephalopathy by on-line hemodiafiltration:a case series study,Shinju Arata,Katsuaki Tanaka,Kazuhisa Takayama,Yoshihiro Moriwaki,Noriyuki Suzuki,Mitsugi Sugiyama&Kazuo Aoyagi,May 21th,2010
【非特許文献2】Extracorporeal Detoxification Using the Molecular Adsorbent Recirculating System for Critically Ill Patients with Liver Failure Steffen R.Mitzner,Jan Stange,Sebastian Klammt,Piotr Peszynski,Reinhardt Schmidt and Gabriele Noldge-Schomburg Jasn February 2001,12(suppl 1)S75-S82
【非特許文献3】Ion-exchange resins in the treatment of anuria b.m.evans.et al Lancet 1953
【非特許文献4】Extracorporeal methods of reducing high blood ammonia levels H.D.Ritchie,D.M.Davies,J.M.Godfrey,P.Fan,R.G.S.Johns,and J.Perrin,Gut,1962
【非特許文献5】Hyperkalemia in chronic kidney disease,Renato Watanabe-Rev.Assoc.Med.Bras.vol.66 supl.1 Sao Paulo 2020 Epub Jan 13,2020
【非特許文献6】Effects of potassium adsorption filters on the removal of ammonia from blood products Hiroshi Fujita,kYoko Shiotani,et al,March 2018
【非特許文献7】Blood Ammonia Reduction by Potassium Exchange Resin Experimentation in Eck-Fistula Dogs,GEORGE D.ZUIDEMA et al.1963
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】Membrane unit and device for cleansing blood,US4183811A
【特許文献2】Liver support system,WO2014079681A2
【特許文献3】System and method for extracorporeal blood treatment,WO2016205221A1
【特許文献4】WO2004014315A2
【特許文献5】US3963613A
【特許文献6】JP2008093244A
【特許文献7】CN100486651C
【特許文献8】CN109692372A
【発明の概要】
【0024】
本発明の第1の態様は、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え、
-ハウジングは、少なくとも1つのチャンバを含み、当該少なくとも1つのチャンバは、少なくとも1つの流体入口ポート及び少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定するデバイスに関する。一部の実施形態では、対照容積は、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの少なくとも1つを収容する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化1】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。一部の任意選択的な実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0025】
一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートのリンカーは、直鎖アルカン、及びm個のカルボニル基を含む。
【0026】
一部の更なる実施形態では、直鎖アルカンは、飽和又は不飽和である。
【0027】
なお更に、一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートの直鎖アルカンは、不飽和である。
【0028】
ある特定の実施形態では、直鎖は、1~3個の二重結合を含む。
【0029】
なお更に、開示されるデバイスの一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0030】
更に一部の更なる実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートのリンカーは、m番目のカルボニルが直鎖結合
【化2】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化3】
を通して結合されるように、捕捉剤に共有結合され、式中、Xは、1~3の範囲内の整数である。
【0031】
一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートの捕捉剤は、アンモニアを捕捉することができる強酸である。
【0032】
なお更に、一部の実施形態では、強酸は、硫酸又はその任意の誘導体である。
【0033】
更に一部の更なる実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、15である。
【0034】
ある特定の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートは、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含み、コンジュゲートは、構造式IIを有し、
【化4】
式中、xは、0~3である。
【0035】
なお更に、一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートは、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合された粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、コンジュゲートは、構造式IIIを有し、
【化5】
式中、xは、0~3である。
【0036】
一部の実施形態では、粒子及びリンカーは、共有結合され、結合は、式IVに提示されるアミノ基を介した共有結合である。
【化6】
【0037】
ある特定の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートは、構造式Vを有する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化7】
式中、mは、5~10の整数である。
【0038】
一部の実施形態では、粒子は、樹脂ビーズである。一部の実施形態では、粒子はアガロースビーズであり得、したがって、樹脂ビーズは、一部の実施形態では、約2%~10%のアガロースを含み得るアガロース樹脂である。なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、3%~9%のアガロースを含み得、なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、4%~8%のアガロースを含み得る。更なる特定の任意の非限定的な実施形態によれば、樹脂ビーズは、任意選択的に、少なくとも4%のアガロースを含む。
【0039】
更に一部の更なる実施形態では、樹脂ビーズサイズは、40~170μmの範囲である。
【0040】
更に一部の更なる実施形態では、デバイスは、当該対照容積を介して互いに長手方向に離間された第1のバリア部材及び第2のバリア部材を備え、第1のバリア部材及び第2のバリア部材は、各々、それぞれのバリア部材を通る一方向の流体の流れを可能にするように、かつそれぞれのバリア部材を通る反対方向の流体の流れを遮断するように構成されている。
【0041】
一部の実施形態では、第1のバリア部材及び第2のバリア部材は、少なくとも1つの流体入口ポートから少なくとも1つの流体出口ポートへのデバイスを通した流体流動を可能にするように、かつ、同時に、流体出口ポートから流体入口ポートへの流体流動を遮断するように、デバイス内に設置される。
【0042】
開示されるデバイスの更に一部の更なる実施形態では、第1のバリア部材及び第2のバリア部材の各々は、好適な材料から作製された膜を備える。
【0043】
なお更に、ハウジングは、外側ケーシングと、入口端部キャップと、出口端部キャップと、を備え、外側ケーシングは、外側ケーシングの入口端部と出口端部との間で長手方向に延在する外壁を備える。入口端部キャップは、入口端部に密封装着されるように構成され、出口端部キャップは、出口端部に密封装着されるように構成される。
【0044】
本開示によるデバイスの更に一部の更なる実施形態では、入口端部キャップ、出口端部キャップ、及び外側ケーシングは、各々、好適な医学的に適合性のある材料から作製される。
【0045】
ある特定の実施形態では、入口端部キャップは、外側ケーシングに対して自己係止キャップとして構成されており、かつ入口端部キャップが外側ケーシングに対して所定の位置に密封係止されることを可能にするように構成される。
【0046】
なお更に、一部の実施形態では、開示されるデバイスは、外側ケーシングに対する入口端部キャップの自己係止を可能にするように構成された第1の自己係止装置を備える。
【0047】
一部の実施形態では、第1の自己係止装置は、複数の第1のくさび要素及び第1のフランジ装置を備える。なお更に、第1のくさび要素は、入口端部キャップ内に設けられ、第1のフランジ装置は、入口端部から第1の間隔だけ長手方向に離間されて、外側ケーシング内に設けられ、第1のくさび要素は、第1のフランジ停止装置と協働して、ハウジングに対する入口端部キャップの自己係止を提供するように構成される。
【0048】
開示されるデバイスの更に一部の更なる実施形態では、第1のくさび要素の各々は、第1の端部キャップの自由端から離れて長手方向に突出している。
【0049】
一部の実施形態では、第1の間隔は、入口端部キャップが外側ケーシングと完全に係合したときに、入口端部キャップのそれぞれの自由端が第1のフランジ装置と当接接触することを確実にするのに十分である。
【0050】
開示されるデバイスの一部の実施形態では、第1のフランジ停止装置は、複数の第1のくさび要素に対応する複数の第1の停止要素を含む。なお更に、第1の停止要素の各々は、それぞれの第1のくさび要素が外側ケーシングと当接接触しているときに、外側ケーシングからの入口端部キャップの係合解除を防止するように動作する。
【0051】
開示されるデバイスの一部の実施形態では、第1のフランジ停止装置は、第1のくさび要素に対応する複数の第1の切り欠きを含む第1のフランジを備える。なお更に、各当該第1の切り欠きは、係止構成において、それぞれの第1のくさび要素をその中に収容することを可能にするのに十分な周方向の長さ及び軸方向の深さを有する。
【0052】
一部の実施形態では、出口端部キャップは、外側ケーシングに対して自己係止キャップとして構成されており、かつ出口端部キャップが外側ケーシングに対して定位置に密封係止されることを可能にするように構成される。
【0053】
一部の実施形態では、本開示のデバイスは、外側ケーシングに対する出口端部キャップの自己係止を可能にするように構成された第2の自己係止装置を備える。
【0054】
開示されるデバイスのより具体的な実施形態では、第2の自己係止装置は、複数の第2のくさび要素と、第2のフランジ装置と、を備える。第2のくさび要素は、出口端部キャップ内に設けられ、第2のフランジ装置は、出口端部から第2の間隔だけ長手方向に離間して外側ケーシング内に設けられる。なお更に、第2のくさび要素は、第2のフランジ停止装置と協働して、ハウジングに対する出口端部キャップの自動係止を提供するように構成される。
【0055】
一部の実施形態では、第2のくさび要素の各々は、第2の端部キャップの自由端から離れて長手方向に突出している。
【0056】
開示されるデバイスの一部の更なる実施形態では、第2の間隔は、出口端部キャップが外側ケーシングと完全に係合したときに、出口端部キャップのそれぞれの自由端が第2のフランジ装置と当接接触することを確実にするのに十分である。
【0057】
一部の更なる実施形態では、第2のフランジ停止装置は、複数の第2のくさび要素に対応する複数の第2の停止要素を備える。なお更に、第2の停止要素の各々は、それぞれの第2のくさび要素が外側ケーシングと当接接触しているときに、外側ケーシングからの出口端部キャップの係合解除を防止するように動作する。
【0058】
一部の実施形態では、第2のフランジ停止装置は、第2のくさび要素に対応する複数の第2の切り欠きを含む第2のフランジを備える。なお更に、各当該第2の切り欠きは、係止構成において、それぞれの第2のくさび要素をその中に収容することを可能にするのに十分な周方向の長さ及び軸方向の深さを有する。
【0059】
開示されるデバイスの一部の実施形態では、対照容積は、約250ml~約350mlである。更に一部の更なる実施形態では、対照容積は、約250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350mlである。なお更に、一部の実施形態では、対照容積は、約257ml~約326mlである。
【0060】
一部の実施形態では、本開示のデバイスは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際に使用するために構成される。
【0061】
一部の特定の実施形態では、開示されるデバイスによって枯渇されるアミンは、アンモニアである。
【0062】
更に一部の更なる実施形態では、本発明のデバイスは、哺乳動物の体液であり得る液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるために構成される。したがって、一部の実施形態では、デバイスは、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである。
【0063】
一部の特定の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化8】
式中、mは5~10の整数である。
【0064】
本開示の更なる態様は、
-本開示によって定義される少なくとも1つのデバイスと、
-アフェレーシス機械と、
-血液混合リザーバと、
-導管システムと、を備える、システムに関する。
【0065】
一部の実施形態では、導管システムは、アフェレーシス機械と、それを必要とする対象の身体との間に選択的な流体連通を提供し、それによって、血液が、それを必要とする対象の身体からアフェレーシス機械に流れることを可能にするように構成された第1の導管を備える。
【0066】
一部の実施形態では、導管システムは、アフェレーシス機械の血漿出口及び少なくとも1つのデバイスからの流体連通を提供し、それによって、アフェレーシス機械によって血液から分離された血漿が、少なくとも1つのデバイスの中へ流れることを可能にするように構成された第2の導管を備える。
【0067】
なお更に、一部の実施形態では、導管システムは、少なくとも1つのデバイスから血液混合リザーバへの流体連通を提供し、それによって、少なくとも1つのデバイスによって処置された処理済み血漿が血液混合リザーバの中へ流れることを可能にするように構成された第3の導管を備える。
【0068】
ある特定の実施形態では、導管システムは、アフェレーシス機械の血液製剤出口から血液混合リザーバへの流体連通を提供し、それによってアフェレーシス機械によって血液から分離された他の血液製剤が血液混合リザーバの中へ流れることを可能にするように構成された第4の導管を備える。
【0069】
更に一部の更なる実施形態では、導管システムは、血液混合リザーバと、それを必要とする対象の身体との間に選択的な流体連通を提供し、それによって、処置済み血液が血液混合リザーバからそれを必要とする対象の身体に流れることを可能にするように構成された第5の導管を備える。
【0070】
開示されるシステムの一部の実施形態では、それを必要とする対象は、血中アンモニア濃度の上昇と関連する少なくとも1つの障害に罹患している対象であることに留意されたい。具体的には、本発明の他の態様に関連して考察される障害のいずれかである。
【0071】
一部の実施形態では、開示されるシステムは、互いに対して直列に相互接続される、本明細書に開示される複数のデバイスを備える。
【0072】
更に一部の更なる実施形態では、開示されるシステムは、各流体入口ポートに結合された入口マニホールドを介して、かつ各流体出口ポートに結合された出口マニホールドを介して互いに対して並列に相互接続された複数の当該デバイスを備える。
【0073】
一部の更なる実施形態では、開示されるシステムは、デバイスの第1の複数のグループを備え、グループは、各流体入口ポートに結合された入口マニホールドを介して、かつ各流体出口ポートに結合された出口マニホールドを介して、互いに対して並列に相互接続され、グループの各々は、それぞれのグループ内で互いに対して直列に相互接続されたそれぞれの第2の複数のデバイスを備える。
【0074】
本開示の更なる態様は、本開示によって定義される複数のデバイスを含む、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのバッテリに関する。
【0075】
本開示によって提供される更なる態様は、本開示によって定義される複数のデバイスを含む、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのバッテリに関する。
【0076】
本開示の更なる態様は、少なくとも1つのコンジュゲート、又はコンジュゲートを含む少なくとも1つのデバイスを含むか、又は少なくとも1つのデバイス若しくはデバイスのバッテリに接続された体外装置に関する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化9】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。なお更に、デバイスは、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え、
-ハウジングは、少なくとも1つのチャンバを含み、少なくとも1つのチャンバは、少なくとも1つの流体入口ポート及び少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定し、
対照容積は、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの当該少なくとも1つを収容する。
【0077】
更なる態様は、少なくとも1つのコンジュゲートを含む体外装置、又はコンジュゲートを含む少なくとも1つのデバイスに関する。一部の実施形態では、体外装置は、かかる少なくとも1つのデバイス又はデバイスのバッテリに接続され得る。より具体的な実施形態では、本開示の体外装置のコンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み得、
【化10】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数である。より具体的には、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。更に一部の更なる実施形態では、体外装置内に含まれるか又は体外装置に接続されたデバイスは、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え得、
-ハウジングは、少なくとも1つのチャンバを含み、当該少なくとも1つのチャンバは、少なくとも1つの流体入口ポート及び少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定する。対照容積は、少なくとも1つのコンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物を収容する。
【0078】
本開示の体外装置の一部の実施形態では、デバイスは、本開示によって定義される通りであり、バッテリは、本開示によって定義される通りである。一部の実施形態では、体外装置に使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス及びバッテリは、本開示によって定義される通りである。
【0079】
一部の実施形態では、本開示の体外装置は、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用に適用可能である。
【0080】
本開示の更なる態様は、構造式Iを有するコンジュゲートに関する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化11】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。なお更に、一部の実施形態では、捕捉する能力を有するとは、少なくとも1つのアミンを結合及び/又は捕捉することを意味する。
【0081】
一部の実施形態では、開示されるコンジュゲートのリンカーは、直鎖アルカン、及びm個のカルボニル基を含む。
【0082】
なお更に、一部の実施形態では、開示されるコンジュゲートの直鎖アルカンは、飽和又は不飽和である。
【0083】
一部の実施形態では、直鎖アルカンは、不飽和である。
【0084】
更に一部の更なる実施形態では、直鎖は、1~3個の二重結合を含む。
【0085】
なお更に、一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートの捕捉剤Aは、少なくとも1つのアミンを捕捉及び/又は結合する能力を有しており、具体的には、アミンは、アンモニアである。
【0086】
開示されるコンジュゲートの更に一部の更なる実施形態では、リンカーは、m番目のカルボニルが、直鎖結合
【化12】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化13】
を通して結合されるように、捕捉剤に共有結合され、式中、Xは、1~3の範囲内の整数である。
【0087】
なお更に、一部の実施形態では、開示されるコンジュゲートの捕捉剤は、アンモニアを捕捉することができる強酸である。
【0088】
一部の更なる実施形態では、強酸は、硫酸又はその任意の誘導体である。
【0089】
一部の実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、15である。
【0090】
なお更に、一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含み、コンジュゲートは、構造式IIを有し、
【化14】
式中、xは、0~3である。
【0091】
更に一部の更なる実施形態では、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、コンジュゲートは構造式IIIを有し、
【化15】
式中、xは、0~3である。
【0092】
本明細書中に開示されるコンジュゲートの一部の実施形態では、粒子及びリンカーは、共有結合され、結合は、式IVに提示されるようなアミノ基を介する共有結合である。
【化16】
【0093】
なお更に、一部の実施形態では、本開示によって開示されるコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化17】
式中、mは5~10の整数である。
【0094】
一部の実施形態では、粒子は、樹脂ビーズである。一部の実施形態では、粒子はアガロースビーズであり得、したがって、樹脂ビーズは、一部の実施形態では、約2%~10%のアガロースを含み得るアガロース樹脂である。なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、3%~9%のアガロースを含み得、なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、4%~8%のアガロースを含み得る。一部の更なる実施形態では、開示されるコンジュゲートの粒子は、樹脂ビーズである。なお更に、樹脂ビーズは、任意選択的に、少なくとも4%のアガロースを含む。
【0095】
開示されるコンジュゲートの一部の実施形態では、樹脂ビーズサイズは、40~170μmの範囲である。
【0096】
本開示の更なる態様は、複数のコンジュゲート又は当該複数のコンジュゲートを含む任意の組成物に関する。各コンジュゲートは、粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤A、又はその任意の誘導体若しくは類似体を含み、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化18】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0097】
一部の実施形態では、複数のコンジュゲートのコンジュゲートは、本開示によって開示されるコンジュゲートのいずれかである。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に開示される複数のコンジュゲートは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のためのものである。
【0099】
開示される複数のコンジュゲートの一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0100】
一部の実施形態では、液体物質は、哺乳動物の体液である。
【0101】
なお更に、一部の他の実施形態では、複数のコンジュゲートは、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際に使用するためのものである。
【0102】
本開示の更なる態様は、液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法に関する。より具体的には、本方法は、以下のステップを含む。第1のステップ(i)において、液体物質を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供する。次のステップ(ii)は、ステップ(i)で取得された少なくとも1つのアミンが枯渇した液体を回収することを含む。一部の実施形態では、親和性枯渇手順は、液体物質を、有効量の少なくとも1つのコンジュゲート、複数のコンジュゲートと、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む組成物と接触させること、又は本開示のコンジュゲートを含むデバイス、バッテリ、若しくは体外装置上に液体物質を適用すること、を含む。より具体的な実施形態では、各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化19】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0103】
一部の実施形態では、本開示の方法で使用される液体物質は、哺乳動物の体液又はその任意の産物である。
【0104】
更に一部の更なる実施形態では、本発明の方法は、任意の液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるために使用される。一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。したがって、一部の実施形態では、本開示の方法は、哺乳類の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書で考察される方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス及び/又はバッテリ及び/又は装置のいずれも、本発明によって定義されるものであることに留意すべきである。
【0106】
本発明の更なる態様は、それを必要とする対象の体液から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法に関する。より具体的には、本方法は、体液を、有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート若しくはその組成物と、又はコンジュゲートを含むデバイス若しくはバッテリ内で、あるいは代替的に、本明細書に記載されるコンジュゲート若しくはデバイスを含むか、又は本明細書に開示されるコンジュゲート若しくはデバイスに接続された体外装置と接触させることを含み得る。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含むことに留意すべきであり、
【化20】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。次のステップは、アミンを含まない体液を回収すること、及び任意選択的に、必要とする対象にこの体液を再導入することを含む。
【0107】
更に一部の更なる特定の非限定的な実施形態では、本方法は、体外手順の使用を含み得る。より具体的には、かかる方法は、以下のステップを含み得る。
まず、ステップ(i)において、対象の体液を体外装置に移送する。
次のステップ(ii)は、体液を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供することを含み、当該枯渇は、血液が当該装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、少なくとも1つのアミンが枯渇した当該対象の体外体液を取得する。
次のステップ(iii)は、ステップ(ii)で取得された当該体液を対象に再導入するか、又は戻すことを含む。上記のように、親和性枯渇手順は、対象の体液を、当該体外装置内に、又は体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はその組成物と接触させることを含む。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化21】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、当該アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0108】
一部の実施形態では、本発明の方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス、バッテリ及び装置は、本開示によって開示されるもののいずれかである。
【0109】
一部の実施形態では、本開示の方法によって使用されるコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化22】
式中、mは、5~10の整数である。
【0110】
本開示の更なる態様は、それを必要とする対象の体液からアンモニアを枯渇させることによる、それを必要とする対象における血中アンモニア濃度の上昇に関連する障害又はそれと関連する病的状態の処置、防止、予防、改善、阻害のための方法に関する。
【0111】
より具体的には、本明細書中に開示される治療方法は、処置される対象の体液を、有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート若しくはその組成物と、又はコンジュゲートを含むデバイス若しくはバッテリ内で、あるいは代替的に、本明細書に記載されるコンジュゲート若しくはデバイスを含むか、又は本明細書に開示されるコンジュゲート若しくはデバイスに接続された体外装置と接触させることを含み得る。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含むことに留意すべきであり、
【化23】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。次のステップは、アミンを含まない体液を回収すること、及び任意選択的に、この体液を処置された対象に再導入することを含む。
【0112】
更に一部の更なる具体的かつ非限定的な実施形態では、本方法は、体外手順の使用を含み得る。より具体的には、かかる方法は、以下のステップを含み得る。
まず、ステップ(i)において、対象の体液を体外装置に移送する。
次のステップ(ii)は、体液を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供することを含み、当該枯渇は、血液が当該装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、少なくとも1つのアミンが枯渇した、処置された対象の体外体液を取得する。
次のステップ(iii)は、ステップ(ii)で取得された当該体液を対象に再導入するか、又は戻すことを含む。上記のように、親和性枯渇手順は、対象の体液を、当該体外装置内に、又は体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はその組成物と接触させることを含む。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化24】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、当該アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0113】
一部の実施形態では、本発明の治療方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス、バッテリ及び装置は、本開示によって開示されるもののいずれかである。
【0114】
一部の実施形態では、本開示の治療方法によって使用されるコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化25】
式中、mは、5~10の整数である。
【0115】
一部の実施形態では、本開示の方法は、血中アンモニア濃度の上昇と関連する任意の障害であってよく、慢性の肝臓若しくは肺の状態及び/若しくは認知低下、並びに/又は高アンモニア血症及び関連する状態である。
【0116】
一部の具体的な実施形態では、肝臓の状態は、肝性脳症及び任意の関連する状態である。
【0117】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の開示を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0118】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例証するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【0119】
図1】本開示の主題の一実施形態によるデバイスの等角及び部分破断図である。
図2図1の実施形態の等角分解図である。
図3図3(a)は、図1の実施形態の外側ケーシングの側面図である。図3(b)は、図3(a)の実施形態の正面図である。図3(c)は、図3(b)の実施形態のB-Bに沿った側断面図である。
図4-1】図4(a)は、図1の実施形態の入口キャップの側面図である。図4(b)は、A-Aに沿った図4(a)の実施形態の断面側面図である。
図4-2】図4(c)は、図4(a)の実施形態の背面等角図である。図4(d)は、図4(a)の実施形態の正面等角図である。
図5-1】図5(a)は、図1の実施形態の出口キャップの側面図である。図5(b)は、A’-A’に沿った図5(a)の実施形態の断面側面図である。
図5-2】図5(c)は、図5(a)の実施形態の背面等角図である。図5(d)は、図5(a)の実施形態の正面等角図である。
図6図1の実施形態の第1の自己係止装置の部分等角分解図である。
図7図1の実施形態の第2の自己係止装置の部分等角分解図である。
図8図1の実施形態の第1のバリア部材アセンブリの断面側面図である。
図9図1の実施形態の第2のバリア部材アセンブリの断面側面図である。
図10】本開示の主題の一実施形態によるシステムの概略例解図である。
図11図10の実施形態の代替的な変形例によるシステムの概略例解図である。
図12図10の実施形態の別の代替的な変形例によるシステムの概略例解図である。
図13図10の実施形態の別の代替的な変形例によるシステムの概略例解図である。
図14図10の実施形態の別の代替的な変形例によるシステムの概略例解図である。
図15】(スルホン酸とのコンジュゲート) 本図は、スルホン酸とのコンジュゲートの調製のための化学反応の概略図を示す。
図16】(アンモニア標準曲線) アンモニア濃度の計算のための標準曲線を表すグラフである。
図17】(ブタにおける高アンモニアモデルの確立) 図17Aは、麻酔し、キシラジン及びケタミンを中心静脈注入したブタの例を示す。 図17Bは、手順の前後に30分ごとに監視されたアンモニア濃度を示すヒストグラムを示す。
図18】(アンモニア枯渇手順) 本図は、ヒト血漿単位からアンモニアを枯渇させる手順を示す。血漿バッグは、本開示のアンモニア枯渇デバイスに接続される。流量調節器は、デバイスへの血漿の流れを調節し、クランプは、漏れの場合に流れを止めるために使用される。次いで、濾過された血液製剤は、バッグに収集される。
図19】(ヒト血漿におけるアンモニア枯渇手順) ヒト血漿バッグ(アンモニア富化)を、ルアー係止接続によって本開示のデバイス(本明細書ではAAPC-300フィルタと称する)に接続した。血漿は、150mL/分の調節された速度(図18に示される流量調節器によって調節される)でデバイスを通って流れた。血漿を200mLチューブに回収した。アンモニア枯渇の速度を評価するために、濾過した血漿をElisaリーダーに供した。統計は、スチューデントのt検定(両側分布等分散)を使用して計算した。データは平均±SDとして表される。
【発明を実施するための形態】
【0120】
本開示は、その最も広い態様によれば、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、複数のコンジュゲートを含む組成物を提供し、各コンジュゲートは一般式(I’)のものであり、
X-Y-Z (I’)
式中、
Xは、固体支持体部分、例えば粒子であり、
Yは、部分X及びZを結合する化学反応性部分であり、
Zは、捕捉剤、その誘導体又はその類似体のうちの少なくとも1つを含む部分であり、
各「-」は、相互作用/会合、例えば、スペーサ又は選択性指向部分として機能する1つ以上の介在原子を任意選択的に含有する化学結合を示す。したがって、第1の態様では、本発明は、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え、
-ハウジングは、少なくとも1つのチャンバを含み、当該少なくとも1つのチャンバは、少なくとも1つの流体入口ポート及び少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定し、
当該対照容積は、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの少なくとも1つを収容する、デバイスを提供する。一部の特定の実施形態では、本明細書中に開示されるデバイスのコンジュゲートは、構造式Iを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化26】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数である。一部の実施形態では、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。上記のように、一部の実施形態では、リンカーは、5~15個の炭素を含む。一部の実施形態では、1つの炭素原子の長さは約1.5オングストロームであるため、したがって、一部の実施形態では、リンカーの長さは、7.5オングストローム以下~22.5オングストローム以上の範囲であり得る。更に一部の更なる実施形態では、一部の実施形態では、リンカーは、5~10個のカルボニルを更に含む。各カルボニルは、約1.3オングストロームの長さであり得るため、この長さは、約6.5オングストローム以下~約13オングストローム以上の範囲であり得る。
【0121】
換言すれば、本開示は、3つの部分、すなわち
-粒子と、
-リンカーと、
-捕捉剤と、を含むコンジュゲートを含むデバイスを提供する。
【0122】
3つの部分は、リンカーが粒子と捕捉剤とを接続するように互いに結合される。
【0123】
本発明のリンカーは、概して2つの基を含み、第1の基は、n個の炭素原子を含む直鎖アルカンと、m個の共有結合したカルボニル基の基と、を含む。
【0124】
一部の実施形態では、本開示のデバイスのコンジュゲートのリンカーの直鎖アルカンは、飽和又は不飽和である。
【0125】
一部の実施形態では、直鎖アルカン基は、飽和であり得、他の実施形態では、基は、不飽和であり得る。
【0126】
直鎖アルカン基が不飽和である実施形態では、鎖は、1~3個の二重結合を含有し得る。
【0127】
本明細書中でAとして示される捕捉剤部分は、アミンを「捕捉」又は結合する能力を有する任意の薬剤を含み得る。
【0128】
本明細書の開示の文脈において、アミンという用語は、少なくとも1つの孤立電子対を有する少なくとも1つの塩基性窒素原子を含有する任意の化合物又は官能基に関する。本開示によるアミンとしては、少なくとも17~最大70ダルトンの分子量(molecular weight、MW)を有する任意の一級、二級、及び三級アミンを挙げることができる。
【0129】
一部の実施形態では、アミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンであり、かかるアミンのMWは、17~70ダルトンである。
【0130】
一部の他の実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンから選択される。
【0131】
特定の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0132】
本発明のリンカーは、m番目のカルボニルが、直鎖結合
【化27】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化28】
を介して結合されるように、捕捉剤に共有結合され、式中、Xは、1~3の範囲内の整数である。
【0133】
一部の実施形態では、捕捉剤は、任意のイオン交換材料であり得る。より具体的には、アンモニアは生理的pHにおいてカチオン性であるため、カチオン交換体に結合し得る。本発明に包含される他の代替物としては、NHS及びエポキシが挙げられる。
【0134】
一部の実施形態では、捕捉剤は、酸である。
【0135】
一部の実施形態では、酸は、アミンを捕捉することができる強酸である。
【0136】
一部の実施形態では、アミンは上記で定義された通りである。
【0137】
一部の他の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0138】
本明細書に提供される開示の文脈において、「強酸」という用語は、1未満のpKa値を有する任意の酸である。
【0139】
時には、pKaは0よりも低く、時には(-1)よりも低く、時には(-2)よりも低く、時には(-3)よりも低く、時には(-4)よりも低く、時には(-5)よりも低く、時には(-6)よりも低く、時には(-7)よりも低く、時には(-8)よりも低く、時には(-9)よりも低い。
【0140】
一部の特定の実施形態では、酸は、塩素酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、ヨウ化水素酸、それらの類似体及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0141】
特定の実施形態では、酸は硫酸又はその誘導体である。
【0142】
スルホン酸の誘導体は、以下の一般式を有する任意の分子であり得る:
【化29】
式中、Rは、有機アルキル又はアリール基である。
【0143】
実施形態では、スルホン酸誘導体は、タウリン、PFOS、p-トルエンスルホン酸及び補酵素Mから選択される。
【0144】
一部の実施形態では、Rは、-Hである。
【0145】
最も一般的な用語において、直鎖アルカンの長さは、コンジュゲートの特異性を決定する。長すぎるリンカーは、(それらがアミノ基を含むため)タンパク質及びアミノ酸などの非特異的/望ましくない分子を捕捉する。短いリンカーは、アンモニア及びアンモニウムカチオンを捕捉するコンジュゲートの能力を減少させる。
【0146】
したがって、実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、5~20個の炭素原子、具体的には、5~19、5~18、5~17、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、6~20、7~20、8~20、9~20、10~20、1~20、12~20、13~20、14~20、15~20である。更に一部の更なる実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、時には10~15、時には12~15、時には13~15、時には14~15である。一部の特定の実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、5以下、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ超である。特定の非限定的な実施形態では、nは、15である。
【0147】
理論又は機構に束縛されることを望むものではないが、カルボニル部分は、コンジュゲートの酸部分へのアミノ酸及びペプチドの結合を防止する好適な嵩高さを提供する。本開示の発明者らは、驚くべきことに、一緒に結合された5~10個のカルボニルの基は、より大きな分子がコンジュゲートの酸性部分によって捕捉されることを防止する好適な嵩高さを提供することを発見した。
【0148】
本発明の他の実施形態では、デバイスが提供され、開示されるデバイスのコンジュゲートは、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含み、コンジュゲートは、構造式IIを有し、
【化30】
式中、xは、0~3である。
【0149】
xが0である場合、m番目のカルボニルは、酸に直接結合している。
【0150】
一部の更なる実施形態では、本発明は、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含むコンジュゲートを含むデバイスを提供し、コンジュゲートは、構造式IIIを有し、
【化31】
式中、xは、0~3である。
【0151】
一部の実施形態では、xは、0~2、時には0~1である。時にはxは、1であり、時にはxは、0である。
【0152】
xが0である場合、m番目のカルボニルは、酸に直接結合している。
【0153】
一部の実施形態では、本開示のデバイスのコンジュゲートは、アミンの中和反応を示すアミントラップとして作用するように構成される。より具体的な実施形態では、アミンは、アンモニウムである。
【0154】
なお更に、一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートのリンカー部分は、粒子を直鎖アルカンに接続することを可能にする任意の好適な官能基を介して粒子に接続される。
【0155】
理論又は反応機構に束縛されることなく、本発明のコンジュゲートは、以下の様式で、各酸捕捉剤について上で定義されるような1つのアミンの中和反応を示すアミントラップとして作用し、
【化32】
式中、-Hは、酸の遊離水素原子であり、(:)は、アミンの自由電子である。
【0156】
酸がスルホン酸であり、アミンがアンモニアである実施形態では、プロトン(H)は、
【化33】
共役酸と共役塩基との間にイオン結合を生成するようにアンモニアの2つの自由電子に供与される。
【0157】
本明細書の開示のリンカー部分は、粒子を直鎖アルカンに結合することを可能にする、当該技術分野で既知の任意の基を介して粒子に結合され得る。
【0158】
1つの可能な実施形態では、粒子及びリンカーは、共有結合される。
【0159】
別の任意選択的な実施形態では、結合は、式IVに提示されるようなアミノ基を介した共有結合である。
【化34】
【0160】
更に一部の他の実施形態では、本発明は、構造式Vを有する少なくとも1つのコンジュゲートを含むデバイスを意図し、nは、15であり、mは、5~10の整数であり、xは、0であり、Aは、スルホン酸である。
【化35】
【0161】
本発明は、少なくとも1つのコンジュゲートを含む少なくとも1つのデバイスを提供する。本明細書で使用されるコンジュゲートは、少なくとも1つの粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤、具体的には、一部の実施形態では、スルホン酸又はその任意の誘導体若しくはその類似体であり得る、アンモニアの捕捉剤を含む、一部の要素(成分)から構築された化合物を指し、これらは全てそれに会合している。本出願は「少なくとも1つの粒子」に言及するが、特許請求される複数のコンジュゲートに適用可能な任意の固体支持体が本明細書に包含されることに留意すべきである。
【0162】
本発明の本開示のデバイスのコンジュゲートのいずれか1つ、又はその任意の組成物はまた、物質の組成物と称され得る。最も一般的な用語では、「コンジュゲート」と同様に「物質の組成物」は、両方とも交換可能に使用され、少なくとも1つの粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤、その誘導体又はその類似体の会合を指し、以下に詳述されるように、物質の組成物(又はコンジュゲート)全体に起因し得るが、それらの別個の状態におけるコンジュゲートの成分のいずれか1つに起因しない特性をもたらす。
【0163】
一部の実施形態では、本開示のデバイスのコンジュゲートのいずれか1つは、少なくとも1つの粒子とリンカーである少なくとも1つの化学反応性部分との会合、及び少なくとも1つのリンカーと少なくとも1つの捕捉剤、具体的には、スルホン酸及びその誘導体又はその類似体との会合を包含し、その結果、リンカーは、粒子と捕捉剤、その誘導体又はその類似体との間に位置し、したがって、一端で(1つのアームで)粒子に会合し、他端で(第2の異なるアームで)捕捉剤、その誘導体又はその類似体に会合する。
【0164】
一部の実施形態では、捕捉剤、具体的にはスルホン酸及びその誘導体は、特定の標的、この場合は少なくとも1つのアミン、例えばアンモニアに特異的かつ選択的に結合し、液体物質、具体的には体液からのアンモニアの効果的な捕捉、固定化、分配及び除去を可能にする。
【0165】
本明細書中で使用される場合、「会合」という用語又はその任意の言語学的変形は、2つの実体(例えば、粒子及びリンカー)を一緒に保持する化学的力又は物理的力をいう。かかる力は、当業者に知られている任意のタイプの化学的又は物理的結合相互作用であり得る。
【0166】
かかる会合相互作用の非限定的な例は、共有結合、イオン結合、配位結合、錯体形成、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性-親水性相互作用などである。したがって、リンカーと少なくとも1つの粒子との会合/コンジュゲーション、及びリンカーと捕捉剤との会合/コンジュゲーションは、共有結合、静電相互作用、酸塩基相互作用、ファンデルワールス相互作用などを含む任意の化学結合を介するものであり得る。理解されるように、粒子とリンカーとの会合、及びリンカーと捕捉剤、その誘導体又はその類似体との会合は、以下に更に詳述するように、同じ又は異なり得る。
【0167】
本発明の粒子は、本発明のリンカーに結合することができる任意のポリマー粒子を含み得る。
【0168】
一部の実施形態では、開示されるデバイスの粒子は、樹脂ビーズである。
【0169】
本明細書で使用される粒子という用語は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介して結合され得る化学的又は生物学的化合物、小分子又は大分子に結合され得る表面を有する物質の一部を指す。粒子は、多孔質材料を含み得る。粒子は、例えば、「球状」(概して、実質的に(ほぼ)丸いボール形状を指す)又は「非球状」(形状が「細長い」ものであり、定義された長軸及び短軸を有する)であり得る。粒子の非限定的な例として、多糖ビーズ、ガラスビーズ、綿ビーズ、プラスチックビーズ、ナイロンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、常磁性ビーズ、超常磁性ビーズ、デンプンビーズなど、シリコンビーズ、PTFEビーズ、ポリスチレンビーズ、ガリウムヒ素ビーズ、金ビーズ、又は銀ビーズのうちの少なくとも1つなどのビーズが挙げられる。一部の実施形態では、粒子は、アガロースビーズ、任意選択的に、材料(アガロース)の異なる%で異なる架橋度を含むビーズである。
【0170】
したがって、アガロースビーズは、種々の架橋度のアガロースを含むビーズ、例えばセファロースビーズと称されるビーズを包含する。一部の実施形態では、ビーズは、アガロースビーズを含む。一部の実施形態では、ビーズは、セファロースビーズを含む。一部の実施形態では、複数のコンジュゲートは、アガロースビーズ及びセファロースビーズを含む粒子の組み合わせを含む。本開示によれば、アガロースビーズ及びセファロースビーズのいずれかである粒子は、異なる粒子を有する2つの異なるコンジュゲートとみなされることに留意すべきである。
【0171】
セファロースは、海藻から抽出された多糖ポリマー材料であるアガロースの架橋ビーズ形態の商品名である。その商標名は、Separation-Pharmacia-Agaroseに由来する。セファロースは、GE Healthcare(旧:Pharmacia、Pharmacia LKB Biotechnology、Pharmacia Biotech、Amersham Pharmacia Biotech、及びAmersham Biosciences)の登録商標である。セファロースの種々のグレード及び化学が利用可能である。
【0172】
本明細書に記載のデバイスの粒子、具体的にはビーズは、本明細書ではリンカーと称される化学反応性部分に会合され得る。本明細書で使用されるリンカーは、一部の実施形態によれば、一端で粒子に、他端で少なくとも1つの捕捉剤、その誘導体又はその類似体に結合することができる、任意の長さのオリゴマー鎖及びポリマー鎖を含む、原子の任意の集合体から構成される任意の化学的実体であり得る。
【0173】
一部の実施形態では、ビーズは、ビーズ上に存在するスペーサ又はコーティングを介してリンカーに会合され得る。したがって、ビーズは、スペーサ/コーティングへの会合によって最初に活性化され(「活性化ビーズ」)、次いでリンカーと反応する。時には、スペーサ/コーティングが少なくとも1つの捕捉剤に直接結合する場合、リンカーは更に必要とされない場合があることに留意すべきである。時には、ビーズはリンカーに結合することができる官能基を有さず、スペーサ又はコーティングを使用することができる。
【0174】
活性化ビーズは、ビーズ並びにリンカー及び/又は捕捉剤への結合を可能にする活性部分を有する好適な材料でビーズをプレコーティングすることによって取得される。換言すれば、ビーズは、リンカー又は捕捉剤のいずれかへの共有結合を可能にする反応基を含むようにプレコーティングされる。
【0175】
一部の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートのビーズは、例えば、任意のコーティング材料でプレコーティングすることによって活性化され得る。かかる材料の非限定的な例としては、例えば、アミノ酸、タンパク質、エポキシ、トシル、カルボン酸、カルボキシル化ポリビニルアルコールが挙げられる。「プレコーティング」に言及する場合、ビーズとスルホン酸との共有結合(すなわち、直接)又は少なくとも1つのリンカーを介した共有結合を可能にする活性物質によるビーズのコーティングをもたらす予備ステップとして理解されるべきである。一部の実施形態では、開示されているデバイスのコンジュゲートのビーズは、アミノ酸、ペプチド又はそれらの任意の誘導体でプレコーティングされている。プレコーティングされた磁気ビーズは、例えば、活性基として、一級アミン(-NH2)、カルボキシル(-COOH)、スルフヒドリル(-SH)又はカルボニル(-CHO)を含み得る。一部の実施形態では、開示されているデバイスのコンジュゲートのビーズは、一級又は二級アミノ基と反応し得る部分を含むようにプレコーティングされている。一部の他の実施形態では、磁気ビーズは、ポリリジンでコーティングされる。
【0176】
本明細書中で使用される場合、「リンカー」という用語は、ビーズ上に存在する任意のスペーサ又はプレコーティングを包含する。
【0177】
一部の実施形態では、リンカーは、原子の鎖、例えば、直鎖を含むか、又はそれである。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1個の原子、少なくとも4個の原子、時には5個の原子、時には10個の原子、時には20個の原子、時には30個の原子、時には40個の原子を含む。一部の実施形態では、リンカーは、1~40個の原子の直鎖であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、リンカーは、1個の原子の直鎖であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、リンカーは、5個の原子を含む直鎖である。一部の実施形態では、リンカーは、15個の原子を含む直鎖である。
【0178】
一部の実施形態では、粒子は、樹脂ビーズである。一部の実施形態では、粒子は、アガロースビーズであり得、したがって、樹脂ビーズは、一部の実施形態では、約2%~10%のアガロースを含み得るアガロース樹脂である。なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、3%~9%のアガロースを含み得、なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、4%~8%のアガロースを含み得る。更なる特定の任意の非限定的な実施形態によれば、樹脂ビーズは、少なくとも4%のアガロースを含む。一部の他の実施形態では、開示されるデバイスのコンジュゲートの粒子中のアガロースの量は、少なくとも5%、時には少なくとも6%である。
【0179】
一部の実施形態では、本開示のデバイスのコンジュゲートは、約10μm以下~約500μm以上の平均粒径を有する粒子を含む。具体的には、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm以上である。一部の特定の実施形態では、複数のコンジュゲートは、少なくとも70μm以下、時には少なくとも80μm、時には少なくとも90μm、時には少なくとも100μm、時には少なくとも110μm、時には少なくとも120μm、時には少なくとも130μm、時には少なくとも140μm、時には少なくとも150μmの平均粒径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、開示されるデバイスの複数のコンジュゲートは、約40μm以下~約170μm以上の平均粒径を示す。
【0180】
「平均サイズ」又は「平均直径」又は「平均サイズ」という用語は、測定された直径の算術平均を指し、直径は平均の±25%の範囲である。粒子の平均サイズは、当該技術分野で知られている任意の方法によって測定することができる。ある特定の実施形態では、樹脂ビーズのサイズは40~170μmであり、平均サイズは約80~約100μmである。時には、平均サイズは90μmである。
【0181】
上述したように、本態様によると、本発明は、特に、生物学的流体からアンモニアを枯渇させることを可能にする際に使用するためのデバイス及びシステムに関する。
【0182】
図1及び図2を参照すると、概して100と指定される、本開示の主題の第1の実施形態によるかかるデバイスは、ハウジング200と、その中に収容された活性材料300と、を備える。
【0183】
ハウジング200は、外側ケーシング230と、入口端部キャップ222と、出口端部キャップ224と、を備える。ハウジング200は、長手方向軸LAを画定する。
【0184】
外側ケーシング230は、入口端部212と出口端部214との間で長手方向に延在する。少なくともこの例では、ケーシングは概ね円筒形である。
【0185】
チャンバ250は、外側ケーシング230と、入口端部212と、出口端部214との間に画定され、チャンバ250は、活性材料300で充填可能な対照容積CVを提供する。
【0186】
少なくともこの例では、入口端部キャップ222は、入口端部212に密封装着されるように構成され、出口端部キャップ224は、出口端部214に密封装着されるように構成される。
【0187】
少なくともこの例では、入口端部キャップ222、出口端部キャップ224、及びハウジング230は各々、好適な医療適合性材料、例えば、Ineosによって提供されるTerlux HD 2802、又はCovestroによって提供されるMakrolon 2458から作製される。
【0188】
少なくともこの例では、特に図3(a)、図4(a)~図4(d)を参照すると、入口端部キャップ222は、それぞれの拡大部分222Aを備え、この拡大部分222Aは、それぞれの拡大部分222Aが入口端部212でそれぞれの係合部分212Aと重なる関係で係合されることを可能にするのに十分な内径を有する。それぞれの拡大部分222Aの自由端222Bは、略環状の平坦面222Cを備える。
【0189】
同様に、少なくともこの例では、特に図3(a)、図5(a)~図5(d)を参照すると、出口端部キャップ224は、それぞれの拡大部分224Aを備え、この拡大部分224Aは、それぞれの拡大部分224Aが出口端部214でそれぞれの係合部分214Aと重なる関係で係合されることを可能にするのに十分な内径を有する。それぞれの拡大部分224Aの自由端224Bは、略環状の平坦面224Cを備える。
【0190】
少なくともこの例では、特に図3(a)、図4(b)、図4(d)、図5(b)及び図5(d)を参照すると、それぞれ、入口端部キャップ222及び出口端部キャップ224は、各々、それぞれ、入口端部212及び出口端部214に設けられたそれぞれの雄ねじ付き壁232、234と相補的であるそれぞれの雌ねじ付き壁222X、224Xを含む。任意選択的に、それぞれの入口端部キャップ222及び/又は出口端部キャップ224とハウジング230との間の追加の密封のために、外部密封テープ及び/又は内部Oリング(図示せず)を設けることができる。
【0191】
更に、少なくともこの例では、入口端部キャップ222及び出口端部キャップ224は各々、外側ケーシング230に対して自己係止端部キャップとして構成されており、かつそれぞれの入口端部キャップ222及び/又は出口端部キャップ224がケーシング230に対して所定の位置に密封係止されることを可能にする。
【0192】
この目的のために、少なくともこの例では、図6及び図7も参照すると、デバイス100、特にハウジング200は、外側ケーシング230に対する入口端部キャップ222の自己係止を可能にするように構成された第1の自己係止装置280と、外側ケーシング230に対する出口端部キャップ224の自己係止を可能にするように構成された第2の自己係止装置290と、を備える。
【0193】
再び図6を参照すると、第1の自己係止装置280は、第1のフランジ停止装置260と協働して外側ケーシング230に対する入口端部キャップ222の自己係止を提供する、入口端部キャップ222に設けられた複数の第1のくさび要素282を備える。この実施形態では、入口端部キャップ222は、2つの第1のくさび要素282を備えるが、この例の代替的な変形例では、入口端部キャップ222は、1つ又は3つ以上の第1のくさび要素を含むことができる。
【0194】
各第1のくさび要素282は、それぞれの環状平坦面222Cから離れて長手方向に突出しており、更に、第1のくさび要素282は、それぞれの環状平坦面222Cに沿って周方向に互いに等間隔に配置されている。
【0195】
少なくともこの例では、各第1のくさび要素282は、直角くさびの形態であり、それぞれのくさび頂点285で交わるそれぞれの第1のくさび縁部283及びそれぞれの第2のくさび縁部284を備える。くさび頂点285は、環状平坦面222Cに対して第1のくさび高さWH1にある。各第1のくさび要素はまた、環状平坦面222Cにおいて第1のベース寸法BD1を有する。
【0196】
第1のくさび縁部283は、それぞれの環状平坦面222Cに対して鋭角αで傾斜している。少なくともこの例では、角度αは、90°よりも著しく小さく、例えば、約5°~約30°の範囲にあり、例えば、約20°である。
【0197】
第2のくさび縁部284は、それぞれの環状の平坦な表面222Cに対して概ね直角に傾斜している。本明細書でより明確になるように、第2のくさび縁部284は、第1のフランジ停止装置260と協働して、入口端部キャップ222を外側ケーシング230に対して自己係止することを可能にする。
【0198】
第1のフランジ停止装置260は、外側ケーシング230の外面232上に設けられ、入口端部212から第1の間隔X1だけ長手方向に離間された第1の環状フランジ262を含む。第1の環状フランジは、それぞれの第1の環状面263と、対向するそれぞれの第2の環状面264とを有する。第1の環状面263は、入口端部212に向かう方向に面しており、したがって、第1の環状面263は、入口端部212から第1の間隔X1だけ離間している。
【0199】
第1の間隔X1は、入口端部キャップ222が(少なくともこの例では、入口端部キャップ222を外側ケーシング230に対してねじ込むことによって)外側ケーシング230と完全に係合したときに、それぞれの自由端部222Bにおけるそれぞれの環状平坦面222Cが環状面263と当接接触することを確実にするのに十分である。
【0200】
第1のフランジ停止装置260は、複数の第1のくさび要素282に対応する複数の第1の停止要素268を更に備える。したがって、少なくともこの例では、第1のフランジ停止装置260は、2つの第1のくさび要素282に対応する2つの第1の停止要素268を備える。
【0201】
少なくともこの実施形態では、各第1の停止要素268は、第1の環状フランジ262に設けられたそれぞれの当接面268Aの形態である。したがって、第1の環状フランジ262は、第1のくさび要素282に対応する切り欠き267を備え、各切り欠き267は、それぞれの第1のくさび要素282をその中に収容することを可能にするために、それぞれ、各第1のくさび要素282の第1のベース寸法BD1及び第1のくさび高さWH1に少なくとも等しい周方向長さ及び軸方向深さと、それぞれの第2のくさび縁部284に対して当接するためのそれぞれの当接面268Aとを有する。
【0202】
したがって、入口端部キャップ222が外側ケーシング230の第1の入口端部212に係合回転方向にねじ込まれると、最終的に第1のくさび要素282が第1の環状面263に当接する。入口端部キャップ222が外側ケーシング230の第1の入口端部212上に更にねじ込まれるにつれて、第1のくさび要素282及び/又はそれと接触する第1の環状フランジ262の部分は、それぞれの第1のくさび要素282がそれぞれの第1のくさび縁部283を介してそれぞれの切り欠き267内にスナップ嵌めされるまでわずかに変形する。その後、それぞれの第2のくさび縁部284は、それぞれの当接面268Aと当接接触し、入口端部キャップ222と外側ケーシング230との間の係合解除方向への相対回転を防止する。
【0203】
この実施形態の代替的な変形例では、第1のフランジ停止装置260は、異なる形態とすることができ、例えば、第1のフランジ262は、例えば、各々が外側ケーシング230から半径方向に突出するボスを含む複数の機械的停止部と置き換えることができる。かかる各機械的停止部は、当該第1のくさび282のうちの異なる1つに対応し、入口キャップ222が所定の位置に完全にねじ込まれたときのそれぞれの第1のくさび要素282の位置に対応するそれぞれの位置で外側ケーシング230の外面上に位置する。かかるボスの各々は、それぞれの第2のくさび縁部284に対して当接するためのそれぞれの当接面を備える。
【0204】
再び図7を参照すると、第2の自己係止装置290は、第2のフランジ停止装置270と協働して外側ケーシング230に対する出口端部キャップ224の自己係止を提供する、出口端部キャップ224内に設けられた複数の第2のくさび要素292を備える。この実施形態では、出口端部キャップ224は、2つの第2のくさび要素292を備えるが、この例の代替的な変形例では、出口端部キャップ224は、1つ又は3つ以上の第2のくさび要素を含むことができる。
【0205】
各第2のくさび要素292は、それぞれの環状平坦面224Cから離れて長手方向に突出しており、更に、第2のくさび要素284は、それぞれの環状平坦面224Cに沿って周方向に互いに等間隔に配置されている。
【0206】
少なくともこの例では、各第2のくさび要素292は、直角くさびの形態であり、それぞれのくさび頂点295で交わるそれぞれの第1のくさび縁部293及びそれぞれの第2のくさび縁部294を備える。くさび頂点295は、環状平坦面224Cに対して第2のくさび高さWH2にある。各第2のくさび要素292はまた、環状平坦面224Cにおいて第2のベース寸法BD2を有する。
【0207】
それぞれの第1のくさび縁部293は、それぞれの環状平坦面224Cに対して鋭角βで傾斜している。少なくともこの例では、角度βは、90°よりも著しく小さく、例えば、約5°~約30°の範囲にあり、例えば、約20°である。
【0208】
それぞれの第2のくさび縁部294は、それぞれの環状平坦面224Cに対してほぼ直角に傾斜している。本明細書でより明確になるように、第2のくさび縁部294は、第2のフランジ停止装置270と協働して、出口端部キャップ224を外側ケーシング230に対して自己係止することを可能にする。
【0209】
第2のフランジ停止装置270は、外側ケーシング230の外面232上に設けられ、出口端部214から第2の間隔X2だけ長手方向に離間されたそれぞれの第1の環状フランジ272を備える。第2の環状フランジ272は、それぞれの第1の環状面273と、反対側に面するそれぞれの第2の環状面274とを有する。第1の環状面273は、出口端部214に向かう方向に面しており、したがって、それぞれの第1の環状面273は、第2の間隔X2だけ出口端部214から離間している。
【0210】
第2の間隔X2は、出口端部キャップ224が(少なくともこの例では、出口端部キャップ224を外側ケーシング230に対してねじ込むことによって)外側ケーシング230と完全に係合したときに、それぞれの自由端部224Bにおけるそれぞれの環状平坦面224Cが環状面273と当接接触することを確実にするのに十分である。
【0211】
第2のフランジ停止装置270は、複数の第2のくさび要素292に対応する複数の第2の停止要素278を更に備える。したがって、少なくともこの例では、第2のフランジ停止装置270は、2つの第2のくさび要素292に対応する2つの第2の停止要素278を備える。
【0212】
少なくともこの実施形態では、各第2の停止要素278は、第2の環状フランジ272に設けられたそれぞれの当接面278Aの形態である。したがって、第2の環状フランジ272は、第2のくさび要素292に対応する切り欠き277を備え、各切り欠き277は、それぞれの第2のくさび要素292をその中に収容することを可能にするために、それぞれ、各第2のくさび要素292の第2のベース寸法BD2及び第2のくさび高さWH2に少なくとも等しい周方向長さ及び軸方向深さと、それぞれの第2のくさび縁部294に対して当接するためのそれぞれの当接面278Aとを有する。
【0213】
したがって、出口端部キャップ224が外側ケーシング230の出口端部214上に係合回転方向にねじ込まれると、最終的に第2のくさび要素292がそれぞれの第1の環状面273に当接する。出口端部キャップ224が外側ケーシング230の出口端部214上に更にねじ込まれるにつれて、第2のくさび要素292及び/又はそれと接触する第2の環状フランジ272の部分は、それぞれの第2のくさび要素292がそれぞれの第1のくさび縁部293を介してそれぞれの切り欠き277内にスナップ嵌めされるまでわずかに変形する。その後、それぞれの第2のくさび縁部294は、それぞれの当接面278Aと当接接触し、出口端部キャップ224と外側ケーシング230との間の係合解除方向への相対回転を防止する。
【0214】
この実施形態の代替的な変形例では、第2のフランジ停止装置270は、異なる形態とすることができ、例えば、第2の環状フランジ272は、例えば、各々が外側ケーシング230から半径方向に突出するボスを含む複数の機械的停止部と置き換えることができる。かかる機械的停止部の各々は、当該第2のくさび要素292のうちの異なる1つに対応し、出口キャップ224が所定の位置に完全にねじ込まれたときのそれぞれの第2のくさび要素292の位置に対応するそれぞれの位置で外側ケーシング230の外面上に位置する。かかるボスの各々は、それぞれの第2のくさび縁部294に対して当接するためのそれぞれの当接面を備える。
【0215】
しかしながら、この例の代替的な変形例では、入口端部キャップ222及び/又は出口端部キャップ224をケーシング230に密封装着するために、異なる構成を提供することができる。
【0216】
したがって、少なくともこの実施形態による入口端部キャップ222及び/又は出口端部キャップ224は、対照容積CVを活性材料300で充填するプロセスを容易にする。入口端部キャップ222及び出口端部キャップ224の一方は、ケーシング230に密封装着され、それぞれ、他方の出口端部214又は入口端部212を開放したままにする。次いで、チャンバ250は、開いた出口端部214又は入口端部212を介して、所望の量の活性材料300で充填され得る。その後、チャンバ250は、それぞれ、出口端部キャップ224又は入口端部キャップ222を開放出口端部214又は入口端部212に密封装着することによって閉鎖することができ、これは、典型的には、手動で、特殊機器を必要とせず、又は対照容積CV内の活性材料300を妨害若しくは損傷しない、単純な様式でドーム状とすることができる。
【0217】
特に図1を参照すると、少なくともこの実施形態では、デバイス100は、流体入口ポート210、流体出口ポート220を備える。しかしながら、この実施形態の代替的な変形例では、それぞれのデバイスは、2つ以上の流体入口ポート及び/又は2つ以上の流体出口ポートを有することができる。いずれの場合も、流体入口ポート210及び流体出口ポート220は、チャンバと流体連通している。
【0218】
少なくともこの例では、流体入口ポート210は、入口端部キャップ222に設けられ、流体出口ポート220は、出口端部キャップ224に設けられる。
【0219】
再び図2を参照すると、少なくともこの例では、デバイスは、入口端部212に第1のバリア部材310を、出口端部214に第2のバリア部材320を更に備える。
【0220】
第1のバリア部材310及び第2のバリア部材320の各々は、それぞれのバリア部材を通る一方向の流体の流れ、特に液体血漿の流れを可能にするが、それぞれのバリア部材を通る反対方向の流体の流れ、特に液体血漿の流れを遮断するように構成される。したがって、第1のバリア部材310及び第2のバリア部材320の各々は、それぞれの一方向弁として動作する。
【0221】
第1のバリア部材310及び第2のバリア部材320は、流体入口ポート210から流体出口ポート220へのデバイス100を通る方向の流体の流れ、特に液体血漿の流れを可能にするように、かつ、同時に、流体出口ポート220から流体入口ポート210へのデバイス100を通る逆流を遮断するように、デバイス100内で配向される。
【0222】
特に図2及び図8を参照すると、少なくともこの例では、第1のバリア部材310は、第1のバリア部材アセンブリ319内に設けられ、例えば15μmの孔径、例えば145.7μmの厚さ、約44.5mmの直径を有する、例えばポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)材料などの好適な医学的に適合性のある材料から作製されたディスクの形態の膜部材312を備える。第1のバリア部材アセンブリ319において、膜部材312は、それぞれの第1のリング313とそれぞれの第2のリング314との間に固定してクランプされ、U字形状の断面を有する環状ガスケット部材315内に収容される。図4(b)も参照すると、拡大部分222Aは、それぞれの雌ねじ付き壁222Xと流体入口ポート210との間に位置する内部肩部222Dを含み、その中に第1のバリア部材アセンブリ319が装着される。
【0223】
同様に、特に図2及び図9を参照すると、少なくともこの例では、第2のバリア部材320は、第2のバリア部材アセンブリ329内に設けられ、例えば15μmの孔径、例えば145.7μmの厚さ、約44.5mmの直径を有する、例えばポリエーテルスルホン(PES)材料などの好適な医学的に適合性のある材料からの、ディスクの形態の膜部材322を備える。第2のバリア部材アセンブリ329において、膜部材322は、それぞれの第1のリング323とそれぞれの第2のリング324との間に固定してクランプされ、U字形状の断面を有する環状ガスケット部材325内に収容される。図5(b)も参照すると、拡大部分224Aは、それぞれの雌ねじ付き壁224Xと流体出口ポート220との間に位置する内部肩部224Dを含み、その中に第2のバリア部材アセンブリ329が装着される。
【0224】
この例及び他の例の代替的な変形例では、バリア部材は、例えば、リガンドがコンジュゲートされている繊維又はプラスチック基材を含むフィルタを含むことができ、リガンドは、繊維又はプラスチック基材にコンジュゲートされており、又は、例えば、他の好適な膜、例えば、膜を通って一方向に体液が流れることを可能にするが反対方向に流れることを可能にしない一方向膜を含むことができる。
【0225】
特に図3(c)を参照すると、対照容積CVは、第1のバリア部材310と、第2のバリア部材320と、ハウジング外側ケーシング230の内面235とによって囲まれ、境界付けられる。
【0226】
少なくともこの例では、特に図3(a)を参照すると、ハウジング200は、約200mm~約210mm、例えば205mmの長手方向長さL1を有する。
【0227】
少なくともこの例では、ハウジング200は、約40mm~約50mm、例えば48.8mmの外径D1を有する。
【0228】
図3(c)を参照すると、少なくともこの例では、チャンバ250、特に対照容積CVは、約200mm~約210mm、例えば205mmの長手方向の長さL2と、約40mm~約45mm、例えば42.8mmの直径D2とを有する。
【0229】
少なくともこの例では、チャンバ250は、活性物質300を収容するための約257ml~326ml、例えば306mlの対照容積CVを有する。
【0230】
本開示の主題のこの態様によれば、図10を参照すると、少なくとも1つのデバイス100と、アフェレーシス機械900(プール又は血液混合リザーバ890と、例えば遠心分離機及びポンプを含む分離システム870と、を含む)と、導管システム800と、を備える、生物学的流体からアンモニアを枯渇させることを可能にするためのシステム700も提供される。
【0231】
アフェレーシス機械900は、導管システム800を介して、それを必要とする対象の身体(本明細書ではBDと称される)から血液を受容し、受容した血液をその種々の成分、すなわち血漿、血小板、白血球、及び赤血球に分離するように構成される。市販のアフェレーシス機械の多くの例が知られており、例えば、Terumo BCTによるSpectra Optia Apheresis Systemがある。アフェレーシス機械900はまた、デバイス100を介した処置後に、導管システム800を介して、処置済み血液を、それを必要とする対象の身体BDに戻すように構成される。
【0232】
少なくともこの例ではアフェレーシス機械900と一体である血液混合リザーバ890は、デバイス100によって処置された血漿と、アフェレーシス機械900の分離システム870によって血漿から分離された血液製剤(例えば、血小板、白血球、及び赤血球、並びに一部の元の血漿)とを受容するように構成される。血液混合リザーバ890はまた、受容した処置済み血漿と血液製剤とを混合して、処置済み血液を提供することを可能にするように構成される。
【0233】
導管システム800は、アフェレーシス機械900と、それを必要とする対象の身体BDとの間の選択的な流体連通を提供する第1の導管810を含み、血液がそれを必要とする対象の身体BDからアフェレーシス機械900に流れることを可能にする。
【0234】
導管システム800は、アフェレーシス機械900の血漿出口910からデバイス100の流体入口ポート210への流体連通を提供し、アフェレーシス機械900によって血液から分離された血漿がデバイス100の中へ流れることを可能にする第2の導管820を備える。
【0235】
導管システム800は、ポート920を介して、デバイス100の流体出口ポート220からアフェレーシス機械900の血液混合リザーバ890への流体連通を提供する第3の導管830を備え、デバイス100によって処置された処理済み血漿が血液混合リザーバ890の中へ流れることを可能にする。
【0236】
導管システム800は、アフェレーシス機械900の分離システム870の血液製剤出口から血液混合リザーバ890への流体連通を提供する(アフェレーシス機械900内の)第4の導管840を備え、アフェレーシス機械900の分離システム870によって血漿から分離された他の製剤が血液混合リザーバ890の中へ流れることを可能にする。
【0237】
導管システム800は、アフェレーシス機械900の血液混合リザーバ890と、それを必要とする対象の身体BDとの間に選択的な流体連通を提供する第5の導管850を備え、処置済み血液がアフェレーシス機械900の血液混合リザーバ890からそれを必要とする対象の身体BDに流れることを可能にする。
【0238】
したがって、システム700の動作中、システム700は、導管システム800を介して、特に第1の導管810及び第5の導管850を介して、それを必要とする対象の身体BDに結合される。
【0239】
システム700を、それを必要とする対象の身体BDにカップリングする前に、システム700を好適な流体、例えば生理食塩水でプライミングするために、好適なプライミング手順が使用される。
【0240】
アフェレーシス機械900は、それを必要とする対象の身体BDからの流入血液を血漿と血液製剤とに分離するように操作され、血漿は、第2の導管820を介してデバイス100に送られ、アフェレーシス機械900によって分離された他の血液製剤は、第4の導管840を介してその血液混合リザーバ890に送られる。
【0241】
血漿は、デバイス100内で処置され、処置済み血漿は、第3の導管830を介して、アフェレーシス機械900の血液混合リザーバ890の中に送られる。
【0242】
その後、処置済み血液は、アフェレーシス機械900の血液混合リザーバ890から、第5の導管850を介して、それを必要とする対象の身体に送られる。
【0243】
本実施形態の代替的な変形例では、例えば、図11を参照すると、血液混合リザーバ890は、アフェレーシス機械900と別個であって、血液混合リザーバ890は、各々、別個の第4の導管840、第3の導管830、及び第5の導管850を介して、アフェレーシス機械900、デバイス100、及び身体BDに接続される。
【0244】
これらの実施形態の代替的な変形例では、それぞれのシステム700は、それぞれのアフェレーシス機械900、血液混合リザーバ890、及び導管システム800に結合される、複数のかかるデバイス100、例えば、かかるデバイス100のバッテリを含むことができることに留意されたい。
【0245】
例えば、一部のかかる例では、図12を参照すると、かかる複数のデバイス100(例えば、かかるデバイスのバッテリ100A)は、第1のデバイスの流体出口ポート220が、次のデバイス100の流体入口ポート210に(直接又は管類を介して)結合され、類似のカップリングが、直列に配設されたデバイス100に沿って提供されるように、相互に対して直列に接続されることができ、最後のデバイス100の流体出口ポート220は、個別の第3の導管830を介して血液混合リザーバ890に結合される。かかる構成は、処置済み血漿を、それぞれの第5の導管850を介して、それを必要とする対象の身体に戻す前に、血漿に更なる処置を提供することができる。
【0246】
例えば、一部の他のかかる例では、図13を参照すると、かかる複数の(例えば、かかるデバイスのバッテリ100B内の)デバイス100は、第1の導管810が、例えば、第1のマニホールド825を介して、全てのデバイスの流体入口ポート210に同時に結合されるように、互いに対して並列に接続されることができる。同様に、全てのデバイス100の流体出口ポート220は、第3の導管830に、したがって、例えば、第2のマニホールド835を介して、血液混合リザーバ890に同時に結合される。かかる構成は、より大きな容積流量の血液が同時に処置されることを可能にすることができる。
【0247】
例えば、更に一部の他の例では、図14を参照すると、かかる複数の(例えば、かかるデバイスのバッテリ100C内の)デバイス100は、並列及び直列の両方で相互接続されることができ、すなわち、デバイスは、グループ100Gに分割され、各グループ100G内のデバイス100は、互いに直列に結合され、グループ100Gは、ともに並列に結合される。各グループ100Gは、各上流デバイスの流体出口ポート220が次のデバイス100の流体入口ポート210に(直接又は管類を介して)結合されるように、直列に結合される1つ、2つ、3つ、又は3つを上回るデバイスを含むことができる。
【0248】
少なくともこの例では、活性物質300は、コンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物のうちの少なくとも1つを含む。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化36】
-式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤は、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。一部の任意選択的な実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0249】
それを必要とする対象の身体は、本明細書において図10~14においてBDとも称されるように、かかる処置を必要とする任意の哺乳動物対象を指すことが理解されるべきである。一部の実施形態では、この対象(一部の実施形態では、本明細書で患者とも称され得る)は、血中アンモニア濃度の上昇を有するか、若しくは示す対象、並びに/又は血中アンモニア濃度の上昇と関連する障害及び/若しくは状態のいずれか、例えば、高アンモニア血症、並びに他の態様に関連して本開示によって開示される状態及び障害のいずれかに罹患している対象である。
【0250】
一部の実施形態では、本開示のデバイスは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるために使用され得る。
【0251】
更に一部の更なる特定の実施形態では、本開示のデバイスによって枯渇されるアミンは、アンモニアである。一部の更なる実施形態では、液体物質は、哺乳動物の体液である。したがって、本開示のデバイスは、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させるために使用される。
【0252】
一部の実施形態では、デバイス内に含まれるコンジュゲートは、本開示によって定義されるコンジュゲートのいずれかである。
【0253】
一部の特定の実施形態では、本発明のデバイスのコンジュゲートは、構造式Vを有する。より具体的には、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個又はそれ超の炭素原子、具体的には15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化37】
式中、mは、5~10の整数である。一部の実施形態では、ライナーは、5~10個のカルボニル基、具体的には、5、6、7、8、9、10個以上のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む。
【0254】
更に一部の更なる実施形態では、本開示のデバイスは、少なくとも約50ml~約500mlの容積の本明細書に開示されるコンジュゲート、又は任意の複数のコンジュゲート若しくはその組成物、具体的には、約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500mlを収容するために構成される。更に一部の更なる実施形態では、本開示のデバイスは、少なくとも約250~350ml、具体的には270~300mlの容積の本明細書に開示されているコンジュゲートを収容するように構成されている。
【0255】
本明細書でより明確になるように、デバイスは、哺乳動物の体液を処置する一例として、哺乳動物の体液(例えば、ヒト血漿及び/又はヒト全血及び/又は他の哺乳動物血漿及び/又は他の哺乳動物全血)から少なくとも1つのアンモニアを枯渇させるように構成される。より具体的には、本明細書に開示されるデバイスは、体液からアンモニアを枯渇させ、低減させ、分配するために構成される。
【0256】
標的化合物、具体的には少なくとも1つのアミン、より具体的にはアンモニアに関する「分配」という用語は、液体物質の残り、具体的には血液流体からアンモニアを分離して、アンモニアを含まない体液又は任意の他の液体物質を提供することを指す。したがって、「分配」という用語は、液体物質、具体的には体液からの少なくとも1つのアミン、より具体的にはアンモニアの枯渇及び除去を包含する。本明細書で使用される「枯渇させる」又は「枯渇」という用語は、アンモニアが枯渇した、又は低減した液体物質、具体的には体液を取得するような程度まで、液体物質、具体的には体液からアンモニアを除去することと定義される。より具体的には、少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアの分配又は捕捉のいずれかによる、本明細書で使用される「除去」又は「枯渇」という用語は、液体基質又は体液中の少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアの量の、少なくとも約1%~100%、約5%~95%、約10%~90%、約15%~85%、約20%~80%、約25%~75%、約30%~70%、約35%~65%、約40%~60%又は約45%~55%の制限、低減、減少、又は低下を意味する。液体物質、具体的には体液中の少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアの量の当該制限、遅延、低減、減少、又は低下はまた、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は約100%である。
【0257】
更に一部の更なる実施形態では、本開示のデバイスは、任意の容積の少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアを枯渇させ、除去し、低減させるように適合される。より具体的には、一部の実施形態では、開示されるデバイスは、少なくとも約100mlの体液から少なくとも約10リットルの体液まで、詳細には、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000ml以上、具体的には、体液の5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10リットルからアンモニアを枯渇させるために特に適合される。
【0258】
本開示によって提供される更なる態様は、本開示によって定義される複数のデバイスを含む、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのバッテリに関する。
【0259】
更なる態様は、少なくとも1つのコンジュゲートを含む体外装置、又はコンジュゲートを含む少なくとも1つのデバイスに関する。一部の実施形態では、体外装置は、かかる少なくとも1つのデバイス又はデバイスのバッテリに接続され得る。より具体的な実施形態では、本開示の体外装置のコンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み得、
【化38】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数である。より具体的には、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とし、任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。更に一部の更なる実施形態では、体外装置内に含まれるか又は体外装置に接続されたデバイスは、
-少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、を有する、ハウジングを備え得、
-ハウジングは、少なくとも1つのチャンバを含み、当該少なくとも1つのチャンバは、少なくとも1つの流体入口ポート及び少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する対照容積を画定する。対照容積は、少なくとも1つのコンジュゲート、複数のコンジュゲート、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む少なくとも1つの組成物を収容する。
【0260】
一部の実施形態では、体外装置に使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス及びバッテリは、本開示によって定義される通りである。
【0261】
一部の実施形態では、本開示の体外装置は、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用に適用可能である。
【0262】
更に一部の更なる実施形態では、本開示の体外装置は、任意の容積の少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアを枯渇させ、除去し、低減させるように適合される。より具体的には、一部の実施形態では、開示される体外装置は、少なくとも約100mlの体液から少なくとも約10リットルの体液、具体的には、約2リットル~3リットルの体液までアンモニアを枯渇させるために特に適合される。
【0263】
更なる態様において、本発明は、構造式Iを有するコンジュゲートであって、コンジュゲートが、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化39】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数である。一部の実施形態では、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。上記のように、一部の実施形態では、リンカーは、5~15個の炭素を含む。一部の実施形態では、1つの炭素原子の長さは約1.5オングストロームであるため、したがって、一部の実施形態では、リンカーの長さは、7.5オングストローム以下~22.5オングストローム以上の範囲であり得る。更に一部の更なる実施形態では、一部の実施形態では、リンカーは、5~10個のカルボニルを更に含む。各カルボニルは、約1.3オングストロームの長さであり得るため、この長さは、約6.5オングストローム以下~約13オングストローム以上の範囲であり得る。
【0264】
換言すれば、本開示は、3つの部分、すなわち
-粒子と、
-リンカーと、
-捕捉剤と、を含むコンジュゲートを提供する。
【0265】
3つの部分は、リンカーが粒子と捕捉剤とを接続するように互いに結合される。
【0266】
本発明のリンカーは、概して2つの基を含み、第1の基は、n個の炭素原子を含む直鎖アルカンと、m個の共有結合したカルボニル基の基と、を含む。
【0267】
一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートのリンカーの直鎖アルカンは、飽和又は不飽和である。
【0268】
一部の実施形態では、直鎖アルカン基は、飽和であり得、他の実施形態では、基は、不飽和であり得る。
【0269】
直鎖アルカン基が不飽和である実施形態では、鎖は、1~3個の二重結合を含有し得る。
【0270】
本明細書中でAとして示される捕捉剤部分は、アミンを「捕捉」又は結合する能力を有する任意の薬剤を含み得る。
【0271】
本明細書の開示の文脈において、アミンという用語は、少なくとも1つの孤立電子対を有する少なくとも1つの塩基性窒素原子を含有する任意の化合物又は官能基に関する。本開示によるアミンとしては、少なくとも17~最大70ダルトンの分子量(MW)を有する任意の一級、二級、及び三級アミンを挙げることができる。
【0272】
一部の実施形態では、アミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン又はトリアルキルアミンであり、かかるアミンのMWは、17~70ダルトンである。
【0273】
一部の他の実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンから選択される。
【0274】
特定の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0275】
本発明のリンカーは、m番目のカルボニルが、直鎖結合
【化40】
を介して、又は別の短いアルカン鎖
【化41】
を介して結合されるように、捕捉剤に共有結合され、式中、Xは、1~3の範囲内の整数である。
【0276】
一部の実施形態では、捕捉剤は、任意のイオン交換材料であり得る。より具体的には、アンモニアは生理的pHにおいてカチオン性であるため、カチオン交換体に結合し得る。本発明に包含される他の代替物としては、NHS及びエポキシが挙げられる。
【0277】
一部の実施形態では、捕捉剤は、酸である。
【0278】
一部の実施形態では、酸は、アミンを捕捉することができる強酸である。
【0279】
一部の実施形態では、アミンは、上記で定義された通りである。
【0280】
一部の他の実施形態では、アミンは、アンモニアである。
【0281】
本明細書に提供される開示の文脈において、「強酸」という用語は、1未満のpKa値を有する任意の酸である。
【0282】
時には、pKaは0よりも低く、時には(-1)よりも低く、時には(-2)よりも低く、時には(-3)よりも低く、時には(-4)よりも低く、時には(-5)よりも低く、時には(-6)よりも低く、時には(-7)よりも低く、時には(-8)よりも低く、時には(-9)よりも低い。
【0283】
一部の特定の実施形態では、酸は、塩素酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、ヨウ化水素酸、それらの類似体及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
【0284】
特定の実施形態では、酸は、硫酸又はその誘導体である。
【0285】
スルホン酸の誘導体は、以下の一般式を有する任意の分子であり得、
【化42】
式中、Rは、有機アルキル又はアリール基である。
【0286】
実施形態では、スルホン酸誘導体は、タウリン、PFOS、p-トルエンスルホン酸及び補酵素Mから選択される。
【0287】
一部の実施形態では、Rは、-Hである。
【0288】
最も一般的な用語において、直鎖アルカンの長さは、コンジュゲートの特異性を決定する。長すぎるリンカーは、(それらがアミノ基を含むため)タンパク質及びアミノ酸などの非特異的/望ましくない分子を捕捉する。短いリンカーは、アンモニア及びアンモニウムカチオンを捕捉するコンジュゲートの能力を減少させる。
【0289】
したがって、実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、5~20個の炭素原子、具体的には、5~19、5~18、5~17、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、6~20、7~20、8~20、9~20、10~20、1~20、12~20、13~20、14~20、15~20である。更に一部の更なる実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、時には10~15、時には12~15、時には13~15、時には14~15である。一部の特定の実施形態では、直鎖アルカンの長さ(n)は、5以下、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれ超である。特定の非限定的な実施形態では、nは、15である。
【0290】
理論又は機構に束縛されることを望むものではないが、カルボニル部分は、コンジュゲートの酸部分へのアミノ酸及びペプチドの結合を防止する好適な嵩高さを提供する。本開示の発明者らは、驚くべきことに、一緒に結合された5~10個のカルボニルの基が、より大きな分子がコンジュゲートの酸性部分によって捕捉されることを防止する好適な嵩高さを提供することを発見した。
【0291】
したがって、実施形態では、本開示のコンジュゲート(本明細書において、開示される全ての式、及び開示される全ての態様において言及される)は、約5~10個のカルボニル基(m)、具体的には、5~10個、5~9個、5~8個、5~7個、5~6個、6~10個、6~9個、6~8個、6~7個、7~10個、7~9個、7~8個、5~10個、8~9個を含む。より具体的には、5、6、7、8、9、又は10個のカルボニル基である。特定の非限定的な実施形態では、mは、5であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、5番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。特定の非限定的な実施形態では、mは、6であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、6番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。特定の非限定的な実施形態では、mは、7であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、7番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。特定の非限定的な実施形態では、mは、8であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、8番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。特定の非限定的な実施形態では、mは、9であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、9番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。特定の非限定的な実施形態では、mは、10であり、かかる実施形態によれば、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸は、10番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を意味する。
【0292】
ある特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、任意の個数(m)のカルボニル基と任意の個数の直鎖アルカン(n)との任意の結合を含み得ることが理解されるべきである。
【0293】
本発明の他の実施形態では、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した酸Aと、を含むコンジュゲートが提供され、コンジュゲートは、構造式IIを有し、
【化43】
式中、xは、0~3である。
【0294】
xが0である場合、m番目のカルボニルは、酸に直接結合している。
【0295】
一部の更なる実施形態では、本発明は、5~10個のカルボニル基(m)に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子を含むコンジュゲート、及びm番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸を提供し、コンジュゲートは、構造式IIIを有し、
【化44】
式中、xは、0~3である。
【0296】
一部の実施形態では、xは、0~2、時には0~1である。時にはxは、1であり、時にはxは、0である。
【0297】
xが0である場合、m番目のカルボニルは、酸に直接結合している。
【0298】
一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、アミントラップとして作用するように構成され、アミンの中和反応を示す。より具体的な実施形態では、アミンは、アンモニウムである。
【0299】
なお更に、一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートのリンカー部分は、粒子を直鎖アルカンに接続することを可能にする任意の好適な官能基を介して粒子に接続される。
【0300】
理論又は反応機構に束縛されることなく、本発明のコンジュゲートは、以下の様式で、各酸捕捉剤について上で定義されるような1つのアミンの中和反応を示すアミントラップとして作用し、
【化45】
式中、-Hは、酸の遊離水素原子であり、(:)は、アミンの自由電子である。
【0301】
酸がスルホン酸であり、アミンがアンモニアである実施形態では、プロトン(H)は、
【化46】
共役酸と共役塩基との間にイオン結合を生成するようにアンモニアの2つの自由電子に供与される。
【0302】
本明細書の開示のリンカー部分は、粒子を直鎖アルカンに結合することを可能にする、当該技術分野で既知の任意の基を介して粒子に結合され得る。
【0303】
1つの可能な実施形態では、粒子及びリンカーは、共有結合される。
【0304】
別の任意選択的な実施形態では、結合は、式IVに提示されるようなアミノ基を介した共有結合である。
【化47】
【0305】
更に一部の他の実施形態では、本発明は、構造式Vを有するコンジュゲートを意図し、nは、15であり、mは、5~10の整数であり、xは、0であり、Aは、スルホン酸である。
【化48】
【0306】
本発明は、少なくとも1つのコンジュゲートを提供する。本明細書で使用されるコンジュゲートは、少なくとも1つの粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤、具体的には、一部の実施形態では、スルホン酸又はその任意の誘導体若しくはその類似体であり得る、アンモニアの捕捉剤を含む、一部の要素(成分)から構築された化合物を指し、これらは全てそれに会合している。本出願は「少なくとも1つの粒子」に言及するが、特許請求される複数のコンジュゲートに適用可能な任意の固体支持体が本明細書に包含されることに留意すべきである。
【0307】
本開示の主題のコンジュゲートのいずれか1つ又はその任意の組成物は、組成物とも称され得る。最も一般的な用語では、「コンジュゲート」と同様に「物質の組成物」は、両方とも交換可能に使用され、少なくとも1つの粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤、その誘導体又はその類似体の会合を指し、以下に詳述されるように、物質の組成物(又はコンジュゲート)全体に起因し得るが、それらの別個の状態におけるコンジュゲートの成分のいずれか1つに起因しない特性をもたらす。
【0308】
一部の実施形態では、本開示の主題のコンジュゲートのいずれか1つは、少なくとも1つの粒子とリンカーである少なくとも1つの化学反応性部分との会合、及び少なくとも1つのリンカーと少なくとも1つの捕捉剤、具体的には、スルホン酸及びその誘導体又はその類似体との会合を包含し、その結果、リンカーは、粒子と捕捉剤、その誘導体又はその類似体との間に位置し、したがって、一端で(1つのアームで)粒子に会合し、他端で(第2の異なるアームで)捕捉剤、その誘導体又はその類似体に会合する。
【0309】
一部の実施形態では、捕捉剤、具体的にはスルホン酸及びその誘導体は、特定の標的、この場合は少なくとも1つのアミン、例えばアンモニアに特異的かつ選択的に結合し、液体物質、具体的には体液からのアンモニアの効果的な捕捉、固定化、分配及び除去を可能にする。
【0310】
本明細書中で使用される場合、「会合」という用語又はその任意の言語学的変形は、2つの実体(例えば、粒子及びリンカー)を一緒に保持する化学的力又は物理的力をいう。かかる力は、当業者に知られている任意のタイプの化学的又は物理的結合相互作用であり得る。
【0311】
かかる会合相互作用の非限定的な例は、共有結合、イオン結合、配位結合、錯体形成、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性-親水性相互作用などである。したがって、リンカーと少なくとも1つの粒子との会合/コンジュゲーション、及びリンカーと捕捉剤との会合/コンジュゲーションは、共有結合、静電相互作用、酸塩基相互作用、ファンデルワールス相互作用などを含む任意の化学結合を介するものであり得る。理解されるように、粒子とリンカーとの会合、及びリンカーと捕捉剤、その誘導体又はその類似体との会合は、以下に更に詳述するように、同じ又は異なり得る。
【0312】
本発明の粒子は、本発明のリンカーに結合することができる任意のポリマー粒子を含み得る。
【0313】
一部の実施形態では、粒子は、樹脂ビーズである。
【0314】
本明細書で使用される粒子という用語は、共有結合又は非共有結合のいずれかを介して結合され得る化学的又は生物学的化合物、小分子又は大分子に結合され得る表面を有する物質の一部を指す。粒子は、多孔質材料を含み得る。粒子は、例えば、「球状」(概して、実質的に(ほぼ)丸いボール形状を指す)又は「非球状」(形状が「細長い」ものであり、定義された長軸及び短軸を有する)であり得る。粒子の非限定的な例として、多糖ビーズ、ガラスビーズ、綿ビーズ、プラスチックビーズ、ナイロンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、常磁性ビーズ、超常磁性ビーズ、デンプンビーズなど、シリコンビーズ、PTFEビーズ、ポリスチレンビーズ、ガリウムヒ素ビーズ、金ビーズ、又は銀ビーズのうちの少なくとも1つなどのビーズが挙げられる。一部の実施形態では、粒子は、アガロースビーズ、任意選択的に、材料(アガロース)の異なる%で異なる架橋度を含むビーズである。
【0315】
したがって、アガロースビーズは、種々の架橋度のアガロースを含むビーズ、例えばセファロースビーズと称されるビーズを包含する。一部の実施形態では、ビーズは、アガロースビーズを含む。一部の実施形態では、ビーズは、セファロースビーズを含む。一部の実施形態では、複数のコンジュゲートは、アガロースビーズ及びセファロースビーズを含む粒子の組み合わせを含む。本開示によれば、アガロースビーズ及びセファロースビーズのいずれかである粒子は、異なる粒子を有する2つの異なるコンジュゲートとみなされることに留意すべきである。
【0316】
本明細書に記載される粒子、具体的にはビーズは、本明細書ではリンカーと称される化学反応性部分に会合され得る。本明細書で使用されるリンカーは、一部の実施形態によれば、一端で粒子に、他端で少なくとも1つの捕捉剤、その誘導体又はその類似体に結合することができる、任意の長さのオリゴマー鎖及びポリマー鎖を含む、原子の任意の集合体から構成される任意の化学的実体であり得る。
【0317】
一部の実施形態では、ビーズは、ビーズ上に存在するスペーサ又はコーティングを介してリンカーに会合され得る。したがって、ビーズは、スペーサ/コーティングへの会合によって最初に活性化され(「活性化ビーズ」)、次いでリンカーと反応する。時には、スペーサ/コーティングが少なくとも1つの捕捉剤に直接結合する場合、リンカーは更に必要とされない場合があることに留意すべきである。時には、ビーズはリンカーに結合することができる官能基を有さず、スペーサ又はコーティングを使用することができる。
【0318】
活性化ビーズは、ビーズ並びにリンカー及び/又は捕捉剤への結合を可能にする活性部分を有する好適な材料でビーズをプレコーティングすることによって取得される。換言すれば、ビーズは、リンカー又は捕捉剤のいずれかへの共有結合を可能にする反応基を含むようにプレコーティングされる。
【0319】
一部の実施形態では、ビーズは、例えば、任意のコーティング材料でプレコーティングすることによって活性化され得る。かかる材料の非限定的な例としては、例えば、アミノ酸、タンパク質、エポキシ、トシル、カルボン酸、カルボキシル化ポリビニルアルコールが挙げられる。「プレコーティング」に言及する場合、ビーズとスルホン酸との共有結合(すなわち、直接)又は少なくとも1つのリンカーを介した共有結合を可能にする活性物質によるビーズのコーティングをもたらす予備ステップとして理解されるべきである。一部の実施形態では、ビーズは、アミノ酸、ペプチド又はそれらの任意の誘導体でプレコーティングされている。プレコーティングされた磁気ビーズは、例えば、活性基として、一級アミン(-NH2)、カルボキシル(-COOH)、スルフヒドリル(-SH)又はカルボニル(-CHO)を含み得る。一部の実施形態では、ビーズは、一級又は二級アミノ基と反応し得る部分を含むようにプレコーティングされている。一部の他の実施形態では、磁気ビーズは、ポリリジンでコーティングされる。
【0320】
本明細書中で使用される場合、「リンカー」という用語は、ビーズ上に存在する任意のスペーサ又はプレコーティングを包含する。
【0321】
一部の実施形態では、リンカーは、原子の鎖、例えば、直鎖を含むか、又はそれである。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1個の原子、少なくとも4個の原子、時には5個の原子、時には10個の原子、時には20個の原子、時には30個の原子、時には40個の原子を含む。一部の実施形態では、リンカーは、1~40個の原子の直鎖であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、リンカーは、1個の原子の直鎖であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、リンカーは、5個の原子を含む直鎖である。一部の実施形態では、リンカーは、15個の原子を含む直鎖である。
【0322】
一部の実施形態では、粒子は、樹脂ビーズである。一部の実施形態では、粒子はアガロースビーズであり得、したがって、樹脂ビーズは、一部の実施形態では、約2%~10%のアガロースを含み得るアガロース樹脂である。なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、3%~9%のアガロースを含み得、なお更に、一部の実施形態では、樹脂ビーズは、4%~8%のアガロースを含み得る。一部の実施形態では、樹脂ビーズは、少なくとも4%のアガロースを含む。
【0323】
一部の他の実施形態では、粒子中のアガロースの量は、少なくとも5%、時には少なくとも6%である。
【0324】
一部の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、約10μm以下~約500μm以上の平均粒径を有する粒子を含む。具体的には、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm以上である。一部の特定の実施形態では、複数のコンジュゲートは、少なくとも70μm以下、時には少なくとも80μm、時には少なくとも90μm、時には少なくとも100μm、時には少なくとも110μm、時には少なくとも120μm、時には少なくとも130μm、時には少なくとも140μm、時には少なくとも150μmの平均粒径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、複数のコンジュゲートは、約40μm以下~約170μm以上の平均粒径を示す。
【0325】
「平均サイズ」又は「平均直径」又は「平均サイズ」という用語は、測定された直径の算術平均を指し、直径は平均の±25%の範囲である。粒子の平均サイズは、当該技術分野で知られている任意の方法によって測定することができる。ある特定の実施形態では、樹脂ビーズのサイズは40~170μmであり、平均サイズは80~100μmである。時には、平均サイズは90μmである。
【0326】
一部の実施形態では、本開示による複数のコンジュゲートは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のために特に適用可能であり得る。
【0327】
更に一部の更なる実施形態では、本開示による複数のコンジュゲートのうちのコンジュゲートの捕捉剤Aは、少なくとも1つのアミンを捕捉するように特に構成されている。一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。更に一部の更なる実施形態では、液体物質は、哺乳動物の体液である。したがって、一部の実施形態では、本開示によって提供される複数のコンジュゲートは、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用に特に適用可能である。
【0328】
一部の実施形態では、本開示による複数のコンジュゲートは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のために特に適用可能であり得る。
【0329】
本開示の更なる態様は、複数のコンジュゲート又は複数のコンジュゲートを含む任意の組成物に関する。より具体的な実施形態では、各コンジュゲートは、粒子、少なくとも1つのリンカー、及び少なくとも1つの捕捉剤A、又はその任意の誘導体若しくは類似体を含む。より具体的には、本開示のコンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化49】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数である。一部の実施形態では、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0330】
一部の実施形態では、本発明によって開示される複数のコンジュゲートのうちのコンジュゲート又は任意の組成物中のコンジュゲートは、本開示によって定義される通りである。
【0331】
一部の実施形態では、本開示による複数のコンジュゲートは、少なくとも1つの液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させる際の使用のために特に適用可能であり得る。
【0332】
更に一部の更なる実施形態では、本開示による複数のコンジュゲートのうちのコンジュゲートの捕捉剤Aは、少なくとも1つのアミンを捕捉するように特に構成されている。一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。更に一部の更なる実施形態では、液体物質は、哺乳動物の体液である。したがって、一部の実施形態では、本開示によって提供される複数のコンジュゲートは、哺乳動物の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用に特に適用可能である。
【0333】
本開示の更なる態様は、液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法に関する。より具体的には、本方法は、以下のステップを含む。第1のステップ(i)において、液体物質を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供する。次のステップ(ii)は、ステップ(i)で取得された少なくとも1つのアミンが枯渇した液体を回収することを含む。一部の実施形態では、親和性枯渇手順は、液体物質を、有効量の少なくとも1つのコンジュゲート、複数のコンジュゲートと、又はコンジュゲート若しくは複数のコンジュゲートを含む組成物と接触させること、又は本開示のコンジュゲートを含むデバイス、バッテリ、若しくは体外装置上に液体物質を適用すること、を含む。より具体的な実施形態では、各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化50】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0334】
ある特定の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、任意の個数(m)のカルボニル基と任意の個数の直鎖アルカン(n)との任意の結合を含み得ることが理解されるべきである。したがって、一部の実施形態では、本明細書で考察される複数のコンジュゲートは、5~15個の直鎖アルカンを5~10個のカルボニル基と結合した任意のコンジュゲートの任意の混合又は結合を含み得る。
【0335】
一部の実施形態では、本開示の方法で使用される液体物質は、哺乳動物の体液又はその任意の産物である。
【0336】
更に一部の更なる実施形態では、本発明の方法は、任意の液体物質から少なくとも1つのアミンを枯渇させるために使用される。一部の実施形態では、アミンは、アンモニアである。したがって、一部の実施形態では、本開示の方法は、哺乳類の体液からアンモニアを枯渇させる際の使用のためのものである。上記のように、本開示の方法は、少なくとも約0.5リットル~約10リットルの体液、具体的には、約2~3リットルの体液からアンモニアを枯渇及び低減させるために適合される。
【0337】
一部の実施形態では、本明細書で考察される方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス及び/又はバッテリのいずれも、本発明によって定義される通りであることに留意すべきである。
【0338】
上記のように、本発明の方法は、体外手順を含む。一部の実施形態では、体外装置は、心肺バイパス機械(CPB:cardiopulmonary bypass machine)であり、体外装置は、血漿交換機械である。
【0339】
「体外」という用語は、体外で実施される医療手順をいう。例えば、かかる体外手順は、循環手順、すなわち、血液が患者の循環から採取され、血液が循環に戻される前に血液にプロセスが適用される手順に関連し得る。体外に血液を運ぶ全ての装置は、体外回路と称される。かかる循環手順としては、例えば、アフェレーシス、自己輸血、血液透析、血液濾過、血漿交換、体外二酸化炭素除去、体外心肺蘇生、体外式膜型人工肺(ECMO:Extracorporeal membrane oxygenation)及び開心術中の心肺バイパスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0340】
心肺バイパス(CPB)は、手術中に心臓及び肺の機能を一時的に引き継ぎ、患者の身体の血液の循環及び酸素含有量を維持する技術である。CPBポンプ自体は、しばしば、人工心肺装置又は「ポンプ」と称される。心肺バイパスポンプは、灌流技師によって操作される。CPBは、体外循環の一形態である。体外式膜型人工肺は、概して長期間の処置に使用される。
【0341】
アフェレーシス機械は、それを必要とする対象の体から除去された血液を受容し、それをその種々の成分、すなわち血漿、血小板、白血球及び赤血球に分離するデバイスである。
【0342】
本発明の更なる態様は、それを必要とする対象の体液から少なくとも1つのアミンを枯渇させるための方法に関する。より具体的には、本方法は、体液を、有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート若しくはその組成物と、又はコンジュゲートを含むデバイス若しくはバッテリ内で、あるいは代替的に、本明細書に記載されるコンジュゲート若しくはデバイスを含むか、又は本明細書に開示されるコンジュゲート若しくはデバイスに接続された体外装置と接触させることを含み得る。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含むことに留意すべきであり、
【化51】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。次のステップは、アミンを含まない体液を回収すること、及び任意選択的に、必要とする対象にこの体液を再導入することを含む。
【0343】
更に一部の更なる特定の非限定的な実施形態では、本方法は、体外手順の使用を含み得る。より具体的には、かかる方法は、以下のステップを含み得る。
まず、ステップ(i)において、対象の体液を体外装置に移送する。
次のステップ(ii)は、体液を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供することを含み、当該枯渇は、血液が当該装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、少なくとも1つのアミンが枯渇した当該対象の体外体液を取得する。
次のステップ(iii)は、ステップ(ii)で取得された当該体液を対象に再導入するか、又は戻すことを含む。上記のように、親和性枯渇手順は、対象の体液を、当該体外装置内に、又は体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はその組成物と接触させることを含む。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化52】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、当該アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0344】
一部の実施形態では、本発明の方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス、バッテリ及び装置は、本開示によって開示されるもののいずれかである。
【0345】
一部の実施形態では、本開示の方法によって使用されるコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化53】
式中、mは、5~10の整数である。
【0346】
一部の実施形態では、本開示の主題の方法は、任意の液体材料又は物質から、具体的には体液からアンモニアを枯渇させるために適用可能であり得る。体液、身体の流体、又は生物流体は、本明細書で使用される場合、哺乳動物の体内、具体的にはヒトの体内の液体である。この用語は、一部の実施形態では、血液、血漿、唾液、膣液、精液、尿、粘膜などを含む、任意の体液を指し得るが、本開示の文脈では、以下で考察されるように、血液及び血漿を指す。平均総体水分は、総体重の約60%(60~67%)であり、これは通常、女性ではわずかに低い(52~55%)。体重に対する体液の正確な割合は、体脂肪の割合に反比例する。水の全体は、細胞内流体(ICF:intracellular fluid)区画(空間又は容積とも呼ばれる)と細胞外流体(ECF:extracellular fluid)区画(空間、容積)との間の流体区画に、2対1の比で分割され、28(28~32)リットルが内側細胞であり、14(14~15)リットルが外側細胞である。ECF区画は、細胞と血管の両方の外側の流体である間質液の容積と、血管の内側の流体である血管内容積(血管容積及び血漿容積とも呼ばれる)に3対1の比率で分割され、間質液の容積は約12リットル、血管の容積は約4リットルである。
【0347】
一部の実施形態では、本明細書で言及される体液は、血漿である。血漿は、血液細胞から遊離された血液の液体成分であるが、懸濁液中の全血のタンパク質及び他の成分を保持する。それは、身体の全血液量の約55%を構成する。これは、上で考察されたように細胞外流体の血管内部分である。血漿は、大部分が水(95体積%まで)から構成され、重要な溶解タンパク質(6~8%)(例えば、血清アルブミン、グロブリン、及びフィブリノーゲン)、グルコース、凝固因子、電解質(Na、Ca2+、Mg2+、HCO 、Clなど)、ホルモン、二酸化炭素、及び酸素を含む。血漿は、約1025kg/m、又は1.025g/mlの密度を有する。なお更に、一部の実施形態では、本開示で有用な体液は、凝固因子を含まない血清、すなわち本明細書で考察される血漿であり得る。
【0348】
一部の実施形態では、本開示の主題の方法は、全血、血漿、又は血液由来産物のうちの少なくとも1つであり得る体液からアンモニアを枯渇させるために適用可能であり得る。
【0349】
一部の特定の実施形態では、かかる血液由来産物は、全血、血漿、新鮮凍結血漿(FFP:fresh frozen plasma)、多血小板血漿(PRP:platelet rich plasma)、及びクリオプレシピテートのうちの少なくとも1つであり得る。
【0350】
一部の実施形態では、本開示の主題の方法は、エクスビボ又はインビトロで実施され得ることを理解されたい。より具体的には、もはや人体の一部ではない体液中である。
【0351】
本開示は、体液からアンモニアを枯渇させ、それによってアンモニアが低減した、アンモニアが枯渇した体液を得るためのコンジュゲート、デバイス及び方法を提供する。本明細書で使用される「アンモニアが枯渇した、又は低減した体液」又は「アンモニアを含まない体液」は、本開示の主題の製剤(一部の実施形態によれば、血液、血漿又は血液製剤などの体液をアンモニア結合剤、具体的には、本発明によって開示されるデバイス及びコンジュゲートで処置することによって調製されている)が、未処置の血液又は血液製剤と比較して、約50%~100%の低減した、減少した、減衰した量のアンモニアを示すことを意味する。より具体的には、特に未処置の血液又は血液製剤と比較した場合に、本明細書に開示される方法、デバイス及びコンジュゲートを使用して枯渇させる前の体液、具体的には血液又は血液製剤中に最初に又は通常存在するアンモニアの少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%が、本開示の主題の製剤から除去される。換言すれば、本開示の主題の製剤は、他の製剤又は未処置の血液若しくは血液製剤、具体的には、本開示のコンジュゲート、デバイス及び方法に供されなかった血液、血漿、又は血液製剤中のアンモニアの量の約0.01%~約50%の量のアンモニアを含み得る。具体的には、未処置の血液又は血液製剤と比較して、約0.01%以下、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%以下の量のアンモニアである。
【0352】
上記のように、本開示の主題の方法によって処置された体液、血液、血漿又は血液製剤は、低減又は減少又は枯渇した量のアンモニアを示す。本明細書で言及される「低減した」又は「減少した」という用語は、アンモニアを含む血液、血漿又は血液製剤などの体液、本開示の主題のコンジュゲートで処置されなかった血液又は血液製剤、高濃度のアンモニアと関連する状態に罹患している対象の血液、及び一部の実施形態では、正常な血液若しくは血液製剤又は市販の血液製剤と比較して、約1%~99.9%、具体的には、約1%~約5%、約5%~10%、約10%~15%、約15%~20%、約20%~25%、約25%~30%、約30%~35%、約35%~40%、約40%~45%、約45%~50%、約50%~55%、約55%~60%、約60%~65%、約65%~70%、約75%~80%、約80%~85%、約85%~90%、約90%~95%、約95%~99%、又は約99%~99.9%のいずれか1つ、又は更には100%の、少なくとも1つのアミン、具体的にはアンモニアの量の減少又は低減に関することを理解されたい。換言すれば、これらの製剤は、アンモニアを示さないか、又は未処置の血液、血漿若しくは血液製剤又は任意の他の体液のアンモニアの量と比較して、アンモニアの量の多くとも最小限の低減した量、具体的には約0.01%以下、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%以下のアンモニアを示す。一部の実施形態では、上で定義されたようなアンモニアの低減を示すか又はアンモニアを示さない、本開示の主題によって提供される方法、コンジュゲート、組成物、並びにデバイス、バッテリ、キット又はシステムによって処置された体液、血液、血漿又は血液製剤は、本明細書中で後に考察されるように、本開示の主題によって開示される任意の治療的適用のために使用され得る。
【0353】
更に一部の他の特定の実施形態では、本開示の主題の方法は、それを必要とする対象の体液から及び/又は対象において少なくとも1つのアンモニアを枯渇させるためにインビボ/エクスビボで使用され得る。
【0354】
本開示の更なる態様は、それを必要とする対象の体液からアンモニアを枯渇させることによる、それを必要とする対象における血中アンモニア濃度の上昇に関連する障害又はそれと関連する病的状態の処置、防止、予防、改善、阻害のための方法に関する。
【0355】
より具体的には、本明細書中に開示される治療方法は、処置される対象の体液を、有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート若しくはその組成物と、又はコンジュゲートを含むデバイス若しくはバッテリ内で、あるいは代替的に、本明細書に記載されるコンジュゲート及び/若しくはデバイスを含むか、又は本明細書に開示されるコンジュゲート若しくはデバイスに接続された体外装置と接触させることを含み得る。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含むことに留意すべきであり、
【化54】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。次のステップは、アミンを含まない体液を回収すること、及び任意選択的に、この体液を処置された対象に再導入することを含む。
【0356】
更に一部の更なる具体的かつ非限定的な実施形態では、本方法は、体外手順の使用を含み得る。より具体的には、かかる方法は、以下のステップを含み得る。
まず、ステップ(i)において、対象の体液を体外装置に移送する。
次のステップ(ii)は、体液を、少なくとも1つのアミンに特異的な親和性枯渇手順に供することを含み、当該枯渇は、血液が当該装置の内外に移送される前、その間、又はその後に行われ、それによって、少なくとも1つのアミンが枯渇した、処置された対象の体外体液を取得する。
次のステップ(iii)は、ステップ(ii)で取得された当該体液を対象に再導入するか、又は戻すことを含む。上記のように、親和性枯渇手順は、対象の体液を、当該体外装置内に、又は体外装置に接続されたデバイス若しくはバッテリ内に含まれる有効量のコンジュゲート、複数のコンジュゲート又はその組成物と接触させることを含む。各コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合したn個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合した少なくとも1つの捕捉剤Aと、を含み、
【化55】
式中、nは、5~15の範囲内の整数であり、mは、5~10の範囲内の整数であり、捕捉剤Aは、アミンを捕捉又は結合する能力を有することを特徴とする。任意選択的に、当該アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、又はトリメチルアミンのうちの少なくとも1つである。
【0357】
一部の実施形態では、本発明の治療方法によって使用されるコンジュゲート、複数のコンジュゲート又は組成物、デバイス、バッテリ及び装置は、本開示によって開示されるもののいずれかである。
【0358】
一部の実施形態では、本開示の治療方法によって使用されるコンジュゲートは、構造式Vを有し、コンジュゲートは、m個のカルボニル基に共有結合した15個の炭素原子の鎖を含む少なくとも1つのリンカーに共有結合した粒子と、m番目のカルボニル基に共有結合したスルホン酸と、を含み、
【化56】
式中、mは、5~10の整数である。
【0359】
一部の実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、血中アンモニア濃度の上昇と関連する任意の障害、慢性若しくは急性肝臓状態、及び/又は慢性若しくは急性肺状態、認知低下、並びにニューロン及び/又は神経学的損傷と関連する任意の他の障害、並びに高アンモニア血症及び関連する状態に適用可能であり得る。
【0360】
一部の具体的な実施形態では、肝臓の状態は、肝性脳症及び任意の関連する状態である。肝性脳症は、重篤な肝疾患の結果として起こる脳機能の低下である。この状態では、肝臓は、対象の血液から毒素を適切に除去することができない。これは、血流中の毒素の蓄積を引き起こし、これは、脳損傷をもたらし得る。
【0361】
肝性脳症は、急性(短期)又は慢性(長期)であり得る。場合によっては、肝性脳症を有する人は、無応答性になり、昏睡に陥ることがある。
【0362】
急性肝性脳症はまた、末期肝不全の徴候であり得る。慢性肝性脳症は、永続的又は再発性であり得る。
【0363】
なお更に、肝性脳症は、肝硬変を有する患者において通常観察される症候群である。肝性脳症は、脳疾患を排除した後の、肝機能障害を有する患者における神経精神医学的異常のスペクトルとして定義される。肝性脳症は、人格変化、知的障害、及び意識レベル低下を特徴とする。この症候群の重要な前提条件は、門脈体循環側副血管を介した体循環への門脈血の迂回である。肝性脳症はまた、自然発生的な又は外科的に作製された門脈体静脈シャントのいずれかを有する肝硬変を有さない患者においてもみられる。肝性脳症の発症は、肝硬変及び門脈圧亢進症の状況で起こる神経毒性物質の作用によってある程度説明される。
【0364】
一部の実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、高アンモニア血症と関連する任意の状態、症状又は障害に適用可能であり得る。本明細書で使用される場合、高アンモニア血症は、血液中のアンモニアの病的蓄積であり、これは、多くの異なる臨床状況で起こり得る。成人において最も一般的には、高アンモニア血症は、肝機能障害に続発して起こる。しかし、他の病状、手術、及び薬物療法と関連することも知られている。それほど一般的ではないが、高アンモニア血症は、稀であるが一貫した固形臓器移植の合併症として説明されている。肺移植は、この状態の発症の固有の危険因子としてますます認識されており、これは、長期の神経学的続発症及び更には死亡を含む深刻な健康リスクをもたらし得る。多様な病因がこの状態に起因している。ますます多くの症例研究及び調査は、ウレアプラズマ(Ureaplasma)又はマイコプラズマ(Mycoplasma)種による散在性日和見感染が、肺移植レシピエントにおけるこの代謝障害を駆動し得ることを示唆している。病因にかかわらず、高アンモニア血症は、75%もの高い報告された死亡率を有する重篤な臨床的問題を提示する。生存している患者は、しばしば、認識障害のような有意な長期の神経学的続発症に悩まされる。したがって、本開示の方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、特に固形臓器移植後の高アンモニア血症の処置及び防止に適用可能であり得ることが理解される。一部の実施形態では、本開示の開示される方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、肺移植を受けている患者に適用可能である。
【0365】
なお更に、アンモニア(NH3)は、人体における通常の代謝産物であるが、体循環において超生理学的レベルになると、深刻な神経学的損傷をもたらし、死に至る可能性がある。
【0366】
小児において、それは、尿素サイクル酵素及び輸送体に関する先天性代謝異常と古典的と関連しており、集合的に尿素サイクル障害(UCD:urea cycle disorder)と称される。したがって、一部の実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、UCDを処置及び/又は改善するために適用可能であり得ることが理解される。
【0367】
なお更に、一部の実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、装置及びコンジュゲートは、慢性腎疾患、出血性ショック、及び文献において十分に理解及び報告されている任意の高アンモニア血症関連障害に適用可能であり得る。
【0368】
なお更に、高アンモニア血症の全ての場合において、病因にかかわらず、中枢神経系に対するアンモニアの効果の機構は、同じであることが理解されるべきである。体循環に入ると、NH3は、気体拡散、膜チャネルを介したその可溶性形態での受動拡散、及びカリウムチャネルを介した競合的拡散を含む複数の機構を介して、血液脳関門を通過することができる。脳では、NH3はアストロサイトによって取り込まれ、グルタミン合成酵素(GS:glutamine synthetase)の作用によってグルタミンに変換される。これは、一連の有害事象をもたらす。顕著に上昇したGlnは浸透圧を増加させ、アクアポリンの破壊を引き起こし、最終的には高アンモニア血症に特徴的な脳浮腫及び高血圧をもたらす。同時に、アストロサイトは、組織壊死因子アルファ(TNF-α:tissue necrosis factor alpha)などの種々の炎症促進性サイトカインを放出する。アストロサイト障害及びその後のそれらのグルタミン酸受容体のダウンレギュレーションは、隣接するシナプスにおける過剰なグルタミン酸作動性活性を誘発し、高アンモニア血症において概して見られる脳症及び発作をもたらす興奮毒性をもたらし得る。
【0369】
増加したGABA作動性トーンの同様の生理学的変化は、小脳のプルキンエ細胞において起こり、これは、この代謝障害とともにまた見られる運動失調及びミオクローヌスの原因になっていると思われる。認識及び好適な管理の遅延は、不応性てんかん重積持続状態、運動及び認知障害、脳性麻痺、並びに死亡を含む、有意な長期罹患率につながり得る。したがって、一部の実施形態では、本開示の方法、システム、デバイス、装置、及びコンジュゲートは、開示される神経障害のうちのいずれか、及び任意の関連症状に適用可能である。成人では、例えば、かかる状態は、精神状態の変化、嗜眠、気分及び人格の障害、運動失調、嘔吐、発作、意識消失、並びに潜在的に死亡を更に特徴とし得る。
【0370】
上記のように、本開示の主題は、高濃度のアンモニアと関連する障害及びそれと関連する任意の状態の処置のための方法を提供する。本明細書中で使用される場合、「疾患」、「障害」、「状態」などは、それらが対象の健康に関する場合、交換可能に使用され、かかる用語の各々及び全てに帰する意味を有する。
【0371】
互換的に使用される「関連する(associated)」及び「関連する(related)」という用語は、本明細書において病態に言及する場合、原因を共有すること、同時発生よりも高い頻度で共存すること、又は少なくとも1つの疾患、障害、状態若しくは病態が第2の疾患、障害、状態若しくは病態を引き起こすことのうちの少なくとも1つである疾患、障害、状態又は任意の病態を意味することが理解される。
【0372】
上記のように、本開示の主題は、上記で指定された障害を処置するための方法を提供する。「処置」という用語とは、本明細書中で使用される場合、疾患と関連する所望されない症状を改善するために、かかる症状の発現をそれらが起こる前に防止するために、疾患の進行を遅延させるために、症状の悪化を遅延させるために、寛解期間の開始を増強するために、疾患の進行性慢性段階において引き起こされる不可逆的損傷を遅延させるために、当該進行性段階の開始を遅延させるために、疾患の重篤度を低下させるか若しくは治癒させるために、生存率若しくはより迅速な回復を改善するために、又は疾患の発生を防止するために、あるいは上記のうちの2つ以上の組み合わせのために有効である、本開示の主題の組成物の治療量を投与することを指す。処置は、止血状態が最初に発症したときに行われ得るか、又は上記の治療効果を達成するために、例えば、1日当たり1回より多く、1日~7日ごとに、7日~15日ごとに、15日~30日ごとに、1ヶ月~2ヶ月ごとに、2ヶ月~6ヶ月ごとに、又はそれ超の投与による連続投与であり得る。
【0373】
「予防」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって、組織、系、動物又はヒトにおいて防止されることが求められる、生物学的又は医学的事象の発生、具体的には、高濃度のアンモニアと関連する障害と関連する障害の発生又は再発のリスクの防止又は低減を指し、「予防有効量」という用語は、この目標を達成する医薬組成物の量を意味することが意図される。したがって、特定の実施形態では、本開示の主題の方法は、予防、すなわち、高レベルのアンモニア障害と関連する障害と関連する状態の防止に特に有効である。したがって、当該組成物を投与された対象は、アンモニア障害のレベルの上昇と関連する当該障害と関連する症状を経験する可能性が低く、過去にそれらを既に経験した対象において再発する可能性も低い。
【0374】
本明細書で言及される「改善」という用語は、本開示の主題による組成物及び方法によってもたらされる症状の減少及び対象の状態の改善に関し、当該改善は、本明細書に記載のアンモニア障害のレベルの上昇と関連する障害と関連する病理学的プロセスの阻害、それらの規模の有意な低減、又は罹患した対象の生理学的状態の改善の形態で現れ得る。
【0375】
「阻害する」という用語及びこの用語の全ての変形は、病理学的症状又は病理学的プロセスの進行の進行及び増悪の制限又は禁止を包含することが意図され、当該病理学的プロセスの症状又はプロセスと関連している。
【0376】
「排除する」という用語は、任意選択的に、以下に記載される本開示の主題の方法による、病理学的症状及びおそらく病理学的病因の実質的な根絶又は除去に関する。
【0377】
「遅延(delay)」、「発症を遅延」、「遅延(retard)」という用語、及びそれらの全ての変形は、アンモニアの上昇した濃度と関連する障害の進行及び/又は増悪の遅延、並びに本開示の主題に従う処置の不在下よりも遅く現れるように、それらの進行、更なる増悪又は発症を遅延させるそれらの症状を包含することが意図される。
【0378】
上記のように、処置又は防止は、疾患の発症の防止若しくは延期、症状の発症の防止若しくは延期、及び/又は発症するか若しくは発症すると予測されるかかる症状の重篤度の低減を含む。これらは、既存の症状を改善すること、更なる症状を防止すること、及び症状の根底にある代謝的原因を改善又は防止すること、を更に含む。本明細書で言及される「阻害」、「緩和」、「低減」又は「減衰」という用語は、プロセス、特に高レベルのアンモニア障害と関連する障害の、約1%~99.9%、特に約1%~約5%、約5%~10%、約10%~15%、約15%~20%、約20%~25%、約25%~30%、約30%~35%、約35%~40%、約40%~45%、約45%~50%、約50%~55%、約55%~60%、約60%~65%、約65%~70%、約75%~80%、約80%~85%、約85%~90%、約90%~95%、約95%~99%、又は約99%~99.9%のいずれか1つの遅延、抑制又は低減に関することを理解されたい。
【0379】
毎日、毎週又は毎月のスケジュールでの単回又は複数回の投与は、処置する医師によって選択される用量レベル及びパターンで実施され得る。より具体的な実施形態は、典型的には1週間当たり2~3回の用量の使用に関する。
【0380】
本開示の主題は、それを必要とする対象又は患者の処置に関する。「患者」又は「必要とする対象」とは、ヒト、家畜及び非家畜哺乳動物、例えばイヌ及びネコ対象、ウシ、サル、ウマ及びマウス対象、齧歯類、家畜鳥類、水産養殖、魚類及び外来の観賞魚を含む、上記の病原体に感染している可能性があり、本明細書に記載の防止及び予防製品、キット及び方法が望まれる任意の生物を意味する。処置される対象はまた、任意の爬虫類又は動物園の動物であり得ることが理解されるべきである。
【0381】
「哺乳動物対象」とは、ヒト、ウマ、イヌ、及びネコ対象、最も具体的にはヒトを含む、提案された治療が所望される任意の哺乳動物を意味する。特に非ヒト対象の場合、本開示の主題の方法は、注射(静脈内(intra venous、IV)、動脈内(intra-arterial、IA)、筋肉内(intramuscular、IM)又は皮下(subcutaneous、SC))、飲料水、飼料、噴霧、経口洗浄による投与、及びそれを必要とする対象の消化管への直接投与を使用して実施され得ることに留意されたい。
【0382】
本明細書で考察される方法は、有効量の使用を指す。本発明の方法によって使用される「有効量」又は「十分な量」という用語は、選択された結果を達成するために必要な量を意味することが理解されるべきである。より具体的には、本明細書に開示される特定のコンジュゲートの量は、体液から少なくとも1つのアミンの濃度を枯渇させ、かつ/又は除去し、かつ/又は低減させる、具体的には、体液からアンモニアを枯渇させ、又は少なくとも低減させるのに十分である。更に、かかる有効量は、正常及び/又は非毒性レベルのアンモニアを含む体液を提供するのに十分である。本明細書で使用される「有効処置量」は、防止又は治療目的、投与経路及び患者の全身状態(年齢、性別、体重及び主治医に知られている他の考慮事項)と併せて疾患の重症度によって決定される。本発明の文脈において、それは、上で考察されたように、上昇したアンモニア濃度と関連する任意の状態を処置、防止、回避及び改善するために、体液中のアンモニア濃度を枯渇及び/又は除去及び/又は低減させるために必要とされる、本明細書中に開示されるデバイス、システム、装置及び方法によって使用される、本発明のコンジュゲートの有効量を指す。
【0383】
本明細書中で使用される全ての科学用語及び技術用語は、別途指定されない限り、当該技術分野で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0384】
本明細書で定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献中の定義、及び/又は定義された用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0385】
本明細書で使用される「約」という用語は、言及された値よりも最大で1%、より具体的には5%、より具体的には10%、より具体的には15%、場合によっては最大で20%高い又は低い偏差であり得る値を示し、偏差範囲は、整数値を含み、該当する場合、非整数値も同様に含み、連続範囲を構成する。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0386】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、そうでないことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という単数形は、別途内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0387】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「及び/又は」という句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が、具体的に特定されたそれらの要素に関連するか関連しないかにかかわらず、任意選択的に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0388】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「又は」は、上で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、複数の要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択的に、追加の列挙されていない項目を含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つのみ」若しくは「~のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲において使用される場合、「~からなる」などの、それとは反対に明確に示される用語のみが、複数の要素又は要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「本質的に~からなる」は、排他性の用語が先行する場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈され、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0389】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的に列挙されたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含むとは限らず、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するとは限らないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つの」という句が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定されたそれらの要素に関連するか関連しないかにかかわらず、任意選択的に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択的に、2つ以上のAを含み、Bが存在しない(任意選択的に、B以外の要素を含む)場合、別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択的に2つ以上のBを含み、Aは存在しない(任意選択的にA以外の要素を含む)場合、更に別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択的に2つ以上を含むA、及び少なくとも1つの、任意選択的に2つ以上を含むB(及び任意選択的に他の要素を含む)場合などを指すことができる。
【0390】
また、そうではないと明確に示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求される任意の方法では、方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、方法のステップ又は行為が列挙される順序に限定されないことを理解されたい。
【0391】
本明細書並びに以下の実施例及び特許請求の範囲を通して、文脈上別様に理解されることを必要しない限り、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「構成される(composed of)」などの全ての移行句は、オープンエンドであること、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。United States Patent Office Manual of Patent Examining Proceduresに記載されているように、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズド又はセミクローズドの移行句であるものとする。より具体的には、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの活用形は、「含むが限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。「からなる(consisting of)」という用語は、「含み、限定される(including and limited to)」ことを意味する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法又は構造が、追加の成分、ステップ及び/又は部分を含み得るが、追加の成分、ステップ及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合のみであることを意味する。
【0392】
この本開示の主題の種々の実施形態は、範囲形式で提示され得ることに留意されたい。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、本開示の主題の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された全ての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示しているとみなされるべきである。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。数値範囲が本明細書に示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことが意味される。第1の示された数と第2の示された数「の間の範囲(ranging/ranges between)」及び第1の示された数「から」第2の示された数「までの範囲(ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1及び第2の示された数並びにその間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0393】
本明細書中で使用される場合、「方法」という用語とは、所定のタスクを達成するための様式、手段、技術及び手順(化学的、薬理学的、生物学的、生化学的及び医学的分野の実施者に既知であるか、又は既知の様式、手段、技術及び手順から容易に開発されるかのいずれかの様式、手段、技術及び手順が挙げられるが、これらに限定されない)を指す。
【0394】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される、本開示の主題のある特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される、本開示の主題の種々の特徴はまた、別個に、又は任意の好適な下位組み合わせで、又は本開示の主題の任意の他の説明される実施形態において好適であるように提供され得る。種々の実施形態の文脈において説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0395】
本明細書において上記で描写され、以下の特許請求の範囲の項において特許請求される本開示の主題の種々の実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的な裏付けを見出す。
【0396】
開示及び記載されるように、本開示の主題は、本明細書に開示される特定の例、方法ステップ、及び組成物に限定されず、かかる方法ステップ及び組成物は、いくらか変動し得ることを理解されたい。本開示の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0397】
以下の実施例は、本開示の主題の態様を実施する際に本発明者らによって用いられる技術を代表するものである。これらの技術は、本開示の主題の実践のための好ましい実施形態の例示であるが、当業者は、本開示に照らして、本開示の主題の趣旨及び意図される範囲から逸脱することなく、多数の修正を行うことができることを認識するであろうことを理解されたい。
【実施例
【0398】
実験手順
4%アガロースビーズへのカップリングのためのリンカーの調製
樹脂活性基:-COOH基
・カップリングされる基:-NH2基
・45~165μmの粒径範囲、平均90μm
・球状の架橋アガロース
・カップリング条件:4℃~25℃、pH:4.5~6で1.5~24時間、カップリングは有機溶媒中で行うことができる。
・カップリング反応後にブロッキング反応を必要としない
・保存:2~8℃
プロトコル:
カップリングされるリンカーをカップリング溶液(pH:4.5~6)に溶解する
リガンドのカップリングのための樹脂の調製
適量の樹脂を蒸留水(pH4.5~6)で5回洗浄する
1.リンカー溶液をアガロースビーズに1:0.5~1:1の比で添加し、穏やかに混合して懸濁液を作製する。
2.カルボジイミド溶液を懸濁液に添加して、最終濃度を0.1Mにする。
3.懸濁液を4℃-RTで4時間回転させる
4.反応の最初の1時間の間、0.1M NaOHで反応混合物のpHを調整する。
5.樹脂を、0.5M NaClを含む0.1M酢酸緩衝液(pH4)で洗浄し、続いて、0.5M NaClを含む0.1M Tris-HCl緩衝液(pH8)で洗浄する。
6.ステップ5を2回繰り返す
7.カップリングに有機溶媒を使用しなかった場合は、5~10樹脂容量の蒸留水で樹脂を洗浄する
8.これに続いて、スルフェン酸の添加をステップ1~7に従って行う
【0399】
血漿中のアンモニアの測定
血漿からアンモニアを枯渇させるために、血漿は、振盪しながら1時間、1:10の比で樹脂とともにインキュベートすべきであり、インキュベーション中のアンモニア粒子は衝突し、樹脂によって特異的に捕捉される。対照及びインキュベートした血漿中のアンモニア濃度及び枯渇率、すなわち100-(インキュベートした血漿濃度/対照血漿濃度)を検出することによって、インキュベーションプロセスの有効性を調べた。
【0400】
アンモニア濃度は、アンモニアアッセイキット(カタログ番号:KA0810、製造業者:Abnova)を使用して検出することができる。アンモニア又はアンモニウムは、OxiRedプローブと反応してプレートリーダーによって容易に定量され得る色(OD 570nm)を生成する産物に変換される。キットは、1nmol(約20μM)のアンモニア又はアンモニウムを検出することができる。
【0401】
ブタにおける急性肝不全モデルの確立
剣状突起から恥骨まで正中切開を行った。門脈を、肝門から脾静脈の合流点まで、周囲組織及びリンパ節を含まないように切開した。腎静脈のすぐ頭側の下大静脈を清浄にし、エクスクルージョンクランプでクランプし、1.5cmの縦切開を行った。次いで、門脈をクランプし、転位させ、連続的なオーバーアンドオーバー(over-and-over)ポリプロピレン5-0縫合糸を使用して、下大静脈に対して端から端まで吻合した。門脈閉塞の全期間は11~15分であった。この間及び更に10分間、1000mlの0.9%NaClを各動物に注入して動脈圧を維持した。肝十二指腸靱帯中の構造の切開を注意深く実施して、肝臓への動脈血供給も完全に遮断されることを確実にした。実験の終わりに、動物を安楽死させる。
【0402】
実施例1
コンジュゲート合成及びデバイスアセンブリ
アガロースビーズ、リンカー及び硫酸を含むコンジュゲートを、実験手順に示されるように調製した。より具体的には、6%アガロースビーズを、15個の炭素原子及びスルホン酸のリンカーに結合した。図15は、コンジュゲートの概略図を示す。体液中のアンモニアの量を、図17に示す標準曲線に基づいて計算した。
【0403】
図1は、血液系からアンモニアを吸収するためのアフェレーシス機構に関連して使用するための、本発明のコンジュゲートを含むフィルタデバイスの非限定的な例を表す。フィルタは、化学リンカーを有する樹脂と、ハウジング(プラスチック)と、フィルタをアフェレーシス機構に接続する汎用接続チューブと、を含む。
【0404】
実施例2
ブタ体液からのアンモニウムの枯渇
前臨床試験を第1の段階で実施する。動物実験は、ブタ(swine)を使用して行った。ブタは、実験前に少なくとも2日間、動物室で飼育した。動物室内の条件は制御される(21℃、相対湿度30~40%及び12:12時間の明暗サイクル)。動物には定期的に給餌する。2日後、全ての動物を一晩絶食させ、水は自由に摂取させた。動物は、獣医ケアサービスによって監視され、一般的な健康状態は、実験前に連続的にモニタされる。アンモニア濃度の増加を引き起こす急性肝不全(ALF:Acute liver failure)を、端側門脈シャント、続いて肝動脈の結紮により誘導し、全ての動物に、実験手順により記載されるように、生理食塩水、グルコース、及びアルブミンをIV投与する。ALFが開始されると、アンモニア濃度が監視される。図17Aは、この研究で使用したブタの例を示す。図17Bのヒストグラムは、ハイパーアンモニアモデルにおける経時的なアンモニア濃度の上昇を示す。図に示されるように、150分以内にアンモニア濃度は227マイクロモル/リットルまで劇的に増加した。
【0405】
並行実験において、上記のようなALF誘導後、動物を、血漿交換中にアンモニアを濾過するための本開示のコンジュゲートを含む、本明細書においてAAPC-300(AMMONIA ADSORPTION PLASMA COLUMN(AAPC-300)、PlasFreeのアンモニア吸収剤)と称される本開示のデバイスを有する血漿交換システムに接続した。血液濾過の各サイクルの終わりに、アンモニアの濃度をモニタし、記録する。予備的結果は、227マイクロモル/リットル~65マイクロモル/リットルへのアンモニア濃度の有意な低減を示し、それによって、対象のアンモニアのインビボ/エクスビボ枯渇のための開示された方法の実現可能性を確立した。
【0406】
実施例3
ヒト血漿からのアンモニウムの枯渇
次に、本発明者らは、本開示のコンジュゲート及びデバイスの、アンモニウム富化ヒト血漿のユニットからアンモニウムを枯渇させる能力を評価した。図18の例解的なスキームによって示されるように、ヒト血漿バッグは、流量調節器を介して、約270~300mlの本明細書に開示されるコンジュゲート(AAPC-300とも称される)を含有する本開示のデバイスに接続されている。図によって示されるように、フィルタ血漿をバッグに集めた。図19によって提示されるように、ELISAによる濾過バッグ中のアンモニア濃度の測定は、1リットル当たり約120マイクロモルの量から1リットル当たり約20マイクロモル(6倍の低減)へのアンモニア濃度の有意な減少を示した。
【0407】
したがって、これらの結果は、既製のアンモニアを含まない、又はアンモニアが低減した血液製剤を調製するために、開示される方法及びデバイスを使用することの実現可能性を確立するものである。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】