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特表2023-5526063段式ターボ分子ポンプおよびブースターポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置
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  • 特表-3段式ターボ分子ポンプおよびブースターポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】3段式ターボ分子ポンプおよびブースターポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20231211BHJP
   H01J 49/24 20060101ALI20231211BHJP
   F04D 19/04 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G01M3/20 E
H01J49/24
F04D19/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535465
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021075897
(87)【国際公開番号】W WO2022122206
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020132896.6
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】デッカー・シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ミツォタキス・シモン
【テーマコード(参考)】
2G067
3H131
【Fターム(参考)】
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB25
2G067CC13
2G067DD17
3H131AA02
3H131BA03
3H131BA05
3H131CA37
(57)【要約】
【課題】オフセットエラーを生じない多段ブースターポンプおよびターボ分子ポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る装置は、試料の漏れを検知する装置であって、質量分析計12と、前記質量分析計12に接続される少なくとも3段のターボ分子ポンプ14と、少なくとも2段のブースターポンプ44と、前記ターボ分子ポンプ14の出力ポンプ段24の出口20に接続されたプレバキュームポンプ22とを備え、前記ブースターポンプの中間ガス出口54が、第1の接続枝管62を介して前記ターボ分子ポンプ14の第1の中間ガス入口36にガス導通可能に接続されていることと、前記ブースターポンプ44の出力ポンプ段48の出口56が、第2の接続枝管64を介して前記ターボ分子ポンプ14の第2の中間ガス入口42にガス導通可能に接続されていることとを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の漏れを検知する装置であって、
質量分析計(12)と、
前記質量分析計(12)に接続される入力段と、入力ポンプ段(18)と中間ポンプ段(26)との間に配置された第1の中間ガス入口(36)と、中間ポンプ段(26)と出力ポンプ段(24)との間に配置された第2の中間ガス入口(42)とを有する少なくとも3段のターボ分子ポンプ(14)と、
分析する試料に接続可能な入力ポンプ段(46)と、前記入力ポンプ段(46)と出力ポンプ段(48)との間に配置された中間ガス出口(54)とを有する少なくとも2段のブースターポンプ(44)と、
前記ターボ分子ポンプ(14)の前記出力ポンプ段(24)の出口(20)に接続され、前記ターボ分子ポンプ(14)の前記出口(20)に50mbar未満の予備真空圧を発生させて大気圧に対して真空排気するように構成されたプレバキュームポンプ(22)とを備え、
前記ブースターポンプの前記中間ガス出口(54)が、第1の接続枝管(62)を介して前記ターボ分子ポンプ(14)の前記第1の中間ガス入口(36)にガス導通可能に接続されていることと、
前記ブースターポンプ(44)の前記出力ポンプ段(48)の出口(56)が、第2の接続枝管(64)を介して前記ターボ分子ポンプ(14)の前記第2の中間ガス入口(42)にガス導通可能に接続されていることとを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記第1の接続枝管(62)および/または前記第2の接続枝管(64)が、接続枝管を閉じるための、独立して制御可能なバルブ(66、68)を有することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、前記ブースターポンプ(44)の前記入力ポンプ段(46)の入口が、バイパス枝管(74)を介して前記プレバキュームポンプ(22)の入口にガス導通可能に接続されており、前記バイパス枝管(74)が、前記バイパス枝管(74)を閉じるための、独立して制御可能なバルブ(78)を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置において、前記第1の接続枝管(62)と、前記第2の接続枝管(64)が、橋枝管(70)によってガス導通可能に互いに接続されており、前記橋枝管(70)が、前記橋枝管(70)を閉じるための、独立して制御可能なバルブ(72)を有することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置において、前記ターボ分子ポンプ(14)の前記出力ポンプ段(24)の出力を前記プレバキュームポンプ(22)の入口に接続するガス導通路(28)が、前記ガス導通路を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ(30)を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置において、前記ブースターポンプ(44)の前記入力ポンプ段(46)が回転式バキュームポンプであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置において、前記ブースターポンプ(44)の前記出力ポンプ段(48)が、分子ポンプ段、特にホルベック段であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置において、前記ブースターポンプが2段式バキュームポンプであることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置において、前記ターボ分子ポンプ(14)の前記入力段および前記中間段が、2段式ターボ分子ポンプ(14)を形成することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置において、前記ターボ分子ポンプ(14)の前記出力ポンプ段(24)がホルベック段であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置において、前記ターボ分子ポンプ(14)が、3段式バキュームポンプであることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置において、前記ブースターポンプの前記ポンプ段(46、48)が共通のシャフトに配置され、および/または前記ターボ分子ポンプ(14)の前記ポンプ段(18、24、26)が共通のシャフトに配置されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置において、前記プレバキュームポンプが、前記ブースターポンプおよび前記ターボ分子ポンプ(14)とは独立した別体のバキュームポンプであることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3段式ターボ分子ポンプおよびブースターポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析計を多段式ターボ分子ポンプで排気し、ターボ分子ポンプの出口がプレバキュームポンプを介して大気圧に対して排気される質量分析計の漏洩検知装置が知られている。
【0003】
本内容において、例えば、ドイツ国特許出願公開第102014223841号明細書(特許文献1)から、分析する試料を別体のブースターポンプを介して排出し、ブースターポンプの出口が質量分析計用ターボ分子ポンプのプレバキュームポンプを介して排気されることが知られている。その際、プレバキュームポンプにより、質量分析計用ターボ分子ポンプおよびブースターポンプのための予備真空が生成される。ブースターポンプは、2つのポンプ段の間に配置された中間ガス出口を有する2段式であり、この中間ガス出口は多段式(例えば3段式)ターボ分子ポンプの中間ガス入口にガス導通可能に接続されている。漏洩検知において、ブースターポンプとターボ分子ポンプとの間の接続枝管を介して部分的な流れが分岐し、ターボ分子ポンプの入力段を経由して、逆流して質量分析計に供給される。
【0004】
その際、プレバキュームポンプの吐出能力が試験ガスの排気に十分でない場合、試験ガス(通常はヘリウム)がブースターポンプの出口に蓄積され得る。これにより、ブースターポンプの出口に蓄積した試験ガスは、ブースターポンプの出力ポンプ段および接続枝管を通過して質量分析計のターボ分子ポンプの中間ガス入口に入り、そこからターボ分子ポンプの入力段を通って質量分析計に入り、そこで試験ガスはオフセットエラーという形でバックグラウンド信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第102014223841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、改良した多段ブースターポンプおよびターボ分子ポンプを備えた質量分析計用漏洩検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の装置は、請求項1により定義される。したがって、質量分析計とプレバキュームポンプとの間に配置された質量分析計用ターボ分子ポンプは、少なくとも3段のバキュームポンプとして構成され、入力ポンプ段と中間ポンプ段との間に第1の中間ガス入口が形成され、中間ポンプ段と出力ポンプ段との間に第2の中間ガス入口が形成される。第1の中間ガス入口は、第1の接続枝管を介して少なくとも2段のブースターポンプの2つのポンプ段の間の中間ガス出口に接続され、ブースターポンプの出口、すなわち出力ポンプ段の出口は、第2の接続枝管を介して質量分析計用ターボ分子ポンプの第2の中間ガス入口に接続されている。
【0008】
その結果、ブースターポンプの出口は、プレバキュームポンプだけでなく、プレバキュームポンプと直列に接続されている質量分析計用ターボ分子ポンプの出力ポンプ段によっても排気される。この結果、ブースターポンプの入力段とプレバキュームポンプの入口との間の試験ガス分圧差が大きくなり、試験ガス(例えばヘリウム)がより効率的に排気される。これにより、第1の接続枝管を介して質量分析計に逆流する試験ガスが蓄積することによるオフセットエラーの可能性を低減または回避することができる。
【0009】
好ましくは、第1の接続枝管および/または第2の接続枝管はそれぞれ、各接続枝管を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブを有する。
【発明の効果】
【0010】
第1の接続枝管と第2の接続枝管とは、橋枝管を介して互いにガス導通可能に接続される。また、橋枝管は、橋枝管を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブを有する。橋枝管のおかげで、ブースターポンプの出口を、第1の中間ガス入口、中間ポンプ段、およびターボ分子ポンプの出力ポンプ段を介して、下流のプレバキュームポンプで排気することが可能である。
【0011】
ブースターポンプの入口には、試料用ポートが設けられている。ブースターポンプの入口は、バイパス枝管を介して、プレバキュームポンプの入口および質量分析計用ターボ分子ポンプの出口に接続することができ、また、バイパス枝管は、バイパス枝管を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブを有する。バイパス枝管を介して、試料は、ブースターポンプまたはターボ分子ポンプが試料を排気することなく、プレバキュームポンプを介して直接的かつ排他的に大気中へ排気され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する。図面は、本発明に係る装置の例示的な実施形態を示している。
図1】本発明に係る質量分析計用漏洩検知装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
質量分析計12は、3段式ターボ分子ポンプ14によって排気され、質量分析計12は、ターボ分子ポンプの入力ポンプ段18の入口16にガス導通可能に接続されている。プレバキュームポンプ22は、ターボ分子ポンプ14の出口にガス導通可能に接続されている。ターボ分子ポンプ14の出口は、出力ポンプ段24の出力20によって形成される。中間ポンプ段26は、質量分析計用ターボ分子ポンプ14の入力ポンプ段18と出力ポンプ段24との間に設けられる。
【0014】
ターボ分子ポンプの出口とプレバキュームポンプ22とを接続するガス導通路28には、ガス導通路28を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ30が設けられる。
【0015】
第1のポンプ段18の出口32および中間ポンプ段26の入口34は、ターボ分子ポンプ14の第1中間ガス入口36にガス導通可能に接続される。
これと対応する形で、中間ポンプ段26の出口38と出力ポンプ段24の入口40は、第2の中間ガス入口42にガス導通可能に接続される。
【0016】
2段式ブースターポンプ44は、入力ポンプ段46と出力ポンプ段48とを備え、入力ポンプ段46の出口50と出力ポンプ段48の入口52は、ブースターポンプ44の中間ガス出口54にガス導通可能に接続されている。出力ポンプ段48の出口56は、ブースターポンプ44の出口を形成する。
【0017】
入力ポンプ段46の入口58は、ブースターポンプ44の入口を形成し、分析する試料を接続するためのポート60にガス導電可能に接続される。
【0018】
中間ガス出口54と第1の中間ガス入口36とは、第1の接続枝管62によってガス導通可能に接続されている。
【0019】
出口56と第2の中間ガス入口42とは、第2接続枝管64によってガス導通可能に接続されている。
【0020】
第1の接続枝管62は、第1の接続枝管62を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ66を有している。第2の接続枝管64は、第2の接続枝管64を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ68を有する。
【0021】
第1の接続枝管62と第2の接続枝管64とは、橋枝管70によって互いにガス導通可能に接続されている。橋枝管70は、橋枝管70を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ72を有する。
【0022】
試料ポート60およびブースターポンプ44の入口58は、プレバキュームポンプ22の入口76および質量分析計用ターボ分子ポンプ14の出口20にバイパス枝管74を介してガス導通可能に接続される。バイパス枝管74は、バイパス枝管74を選択的に閉じるための、独立して制御可能なバルブ78を有する。
【0023】
入力ポンプ段46の出口50と出力ポンプ段48の入口52とを接続するガス導通路80には、出力ポンプ段48の入口52の領域に配置された流量絞り53が設けられている。
【0024】
ブースターポンプ44の2つのポンプ段46,48は共通のシャフトに配置され、入力ポンプ段46はターボ分子ポンプ段であり、出力ポンプ段48はホルベック段である。
【0025】
質量分析計用ターボ分子ポンプ14のポンプ段18、26、24は、共通のシャフトに配置されていても良い。入力ポンプ段18および中間ポンプ段26は、2つのポンプ段18、26が共通のロータシャフトに配置され、それによって共通のターボ分子ポンプ段を形成する2段式ターボ分子ポンプの一部となり得る。出力ポンプ段24は、ホルベック段とすることができる。出力ポンプ段24は、2つのターボ分子ポンプ段18、26と同じシャフトに配置することができる。
【0026】
プレバキュームポンプ22は、好ましくは、質量分析計用ターボ分子ポンプ14およびブースターポンプ44とは別体に形成され、また、ブースターポンプ44とローターシャフトを共有していない。しかしながら、プレバキュームポンプ22が、ターボ分子ポンプ14および/またはブースターポンプ44の1つまたは複数のポンプ段と同じロータシャフトに配置されることは考えられる。
【0027】
まず、バルブ66,68,30を閉じた状態で、バイパス枝管74のバルブ78を開くと、試料ポート60に接続された試料がバイパス枝管74を介してプレバキュームポンプ22から排気される。さらに、試料ポート60で十分な圧力が得られると、ガス導通路28のバルブ30が開かれて、ターボ分子ポンプ14およびプレバキュームポンプ22を介して質量分析計12が排気される。「グロス」と呼ばれるこの動作状態において、質量分析計12では、大きな漏れを検知することが既に可能である。
【0028】
実際の漏れを検知するために、試料または試料ポート60において、それぞれ十分な真空圧に達すると、すぐにバイパス枝管74のバルブ78が閉じられ、接続枝管62,64のバルブ66,68が開かれる。その結果、ブースターポンプ44が作動しているとき、ガスは試料ポート60から接続枝管62,64を通ってターボ分子ポンプ14に流れ、試験ガスの一部、例えばヘリウムまたは水素が入力ポンプ段18を通って質量分析計12に逆流し、ガスの主要部分は中間ポンプ段26、出力ポンプ段24およびプレバキュームポンプ22を介して大気中に排気される。
図1
【国際調査報告】