(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ヘキサポッドアセンブリを有するタイヤ試験スタンド
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
G01M17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535594
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021083945
(87)【国際公開番号】W WO2022122540
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020215617.4
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ドヴォリンスキー
(57)【要約】
タイヤ試験スタンド(1)は、フレームと、タイヤ(15)を取り付けることができるタイヤホルダ(3)と、6つのリニア駆動要素(9)を有するヘキサポッドアセンブリ(5)と、転動面(21)を有する転動面ユニット(7)とを備える。6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分(25)の方向に配向されるように、配置され、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が接線力成分(27)の方向に配向されるように、配置され、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が径方向力成分(29)の方向に配向されるように、配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ試験スタンド(1)であって、
フレームと、
トレッド(17)を有するタイヤ(15)を、その回転軸(19)を中心に回転可能に取り付けることができるタイヤホルダ(3)と、
6つのリニア駆動要素(9)を有するヘキサポッドアセンブリ(5)であって、前記6つのリニア駆動要素(9)の各々は、第1端部(11)で前記フレームに取り付けられ、第2端部(13)で前記タイヤホルダ(3)に取り付けられている、ヘキサポッドアセンブリ(5)と、
前記フレームに対して移動させることができる転動面(21)を有する転動面ユニット(7)と、を備えるタイヤ試験スタンド(1)において、
前記タイヤ(15)が前記タイヤホルダ(3)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ(15)を、前記ヘキサポッドアセンブリ(5)の前記リニア駆動要素(9)の調整によって接触位置にすることができて、前記接触位置では、前記タイヤ(15)の前記トレッド(17)および前記転動面(21)が接触し、
前記トレッド(17)および前記転動面(21)が接触して、前記転動面(21)が前記タイヤ(15)に対して移動されるとき、前記タイヤ(15)は前記転動面(21)の上を転動し、
初期構成において、前記回転軸(19)に平行な前記トレッド(17)の上の接平面および前記転動面(21)の上の接平面は、同一であり、前記トレッド(17)の接線速度および前記転動面(21)の接線速度は、前記トレッド(17)と前記転動面(21)との間の接触点(23)において同一であり、前記タイヤ(15)に作用する各力は、前記接平面において前記回転軸(19)に平行にはしる横力成分(25)、前記接平面において前記横力成分(25)に垂直にはしる接線力成分(27)、および前記接平面に垂直にはしる径方向力成分(29)に分割することができ、
前記6つのリニア駆動要素(9)は、前記初期構成において以下のように配置され、すなわち、
前記6つのリニア駆動要素(9)の少なくとも1つのリニア駆動要素(9)は、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)が前記タイヤ(15)に力を及ぼすとき、前記力の最大力成分が前記横力成分(25)の方向に配向されるように、配置され、
前記6つのリニア駆動要素(9)の少なくとも1つのリニア駆動要素(9)は、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)が前記タイヤ(15)に力をおよぼすとき、前記力の最大力成分が前記接線力成分(27)の方向に配向されるように、配置され、
前記6つのリニア駆動要素(9)の少なくとも1つのリニア駆動要素(9)は、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)が前記タイヤ(15)に力を及ぼすとき、前記力の最大力成分が前記径方向力成分(29)の方向に配向されるように、配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ(15)が前記タイヤホルダ(3)に回転可能に取り付けられ、前記タイヤが前記接触位置にあるとき、少なくとも1つのリニア駆動要素(9)は、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)が前記タイヤ(15)に力を及ぼすとき、前記力の最大力成分が前記横力成分(25)の方向に配向されるように、前記径方向力成分(29)の方向に平行にはしる方向に配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記6つのリニア駆動要素(9)の2つのリニア駆動要素(9)は、前記2つのリニア駆動要素(9)が前記タイヤ(15)に力を及ぼすときに、前記力の最大力成分が径方向力成分(29)の方向に配向されるように、各々配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ(15)が前記タイヤホルダ(3)に回転可能に取り付けられており、前記タイヤ(15)が2つのリニア駆動要素(9)の間の接触位置に配置されるとき、前記2つのリニア駆動要素(9)は、前記2つのリニア駆動要素の各々が前記タイヤ(15)に力を及ぼすとき、前記力の最大力成分が前記径方向力成分(29)の方向に配向されるように、各々配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項5】
請求項3または4に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記2つのリニア駆動要素(9)は各々、前記2つのリニア駆動要素(9)が各々前記タイヤ(15)に力を及ぼすとき、前記力の各々の最大力成分が前記径方向力成分(29)の方向に配向されるように、初期構成において回転軸の方向に互いにオフセットされて配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記6つのリニア駆動要素(9)の少なくとも1つのリニア駆動要素(9)は、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)の調整によって前記タイヤ(15)を初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、前記初期構成において配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記6つのリニア駆動要素(9)の2つのリニア駆動要素(9)は各々、前記2つのリニア駆動要素(9)の調整によって前記タイヤ(15)を初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、前記初期構成において配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項8】
請求項6または7に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤホルダ(3)は、前記フレームに旋回可能に取り付けられた第1ピボットアーム(39)を備え、前記第1ピボットアーム(39)には、前記少なくとも1つのリニア駆動要素(9)の第1リニア駆動要素(9)の第2端部(13)が旋回可能に取り付けられ、前記第1ピボットアームは、前記リニア駆動要素(9)の調整によって前記タイヤ(15)を初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、前記初期構成において配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項9】
請求項6~8の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤホルダ(3)は、前記フレームに旋回可能に取り付けられた第2ピボットアーム(41)を備え、前記第2ピボットアーム(41)には、少なくとも1つのリニア駆動要素(9)の第2リニア駆動要素(9)の第2端部(13)が旋回可能に取り付けられ、前記第2ピボットアームは、前記リニア駆動要素(9)の調整によって前記タイヤ(15)を初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、前記初期構成において配置される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤホルダ(3)は、前記フレームに固定されたフレーム部分(47)と、前記タイヤ(15)が回転可能に取り付けられたタイヤ部分(49)と、を備え、前記フレーム部分(47)および前記タイヤ部分(49)は、力測定ユニット(51)を介して接続され、前記力測定ユニット(51)は、前記タイヤ試験スタンド(1)が初期構成にあるとき、前記横力成分(25)の方向に延在する少なくとも1つの横力測定要素(53)と、前記接線力成分(27)の方向に延在する少なくとも1つの接線力測定要素と、前記径方向力成分(29)の方向に延在する少なくとも1つの径方向力測定要素と、を備える、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記ヘキサポッドアセンブリ(5)の前記リニア駆動要素(9)の少なくとも1つは、油圧シリンダとして設計される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記ヘキサポッドアセンブリ(5)の前記リニア駆動要素(9)の少なくとも1つは、電気機械式リニア駆動装置として設計される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ試験スタンド(1)はタイヤ駆動ユニットを備え、前記タイヤ(15)が前記タイヤホルダ(3)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ駆動ユニットが前記タイヤをタイヤ回転方向(Re)に駆動することができる、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ試験スタンドはタイヤ制動ユニットを備え、前記タイヤ(15)が前記タイヤホルダ(3)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ制動ユニットが、前記タイヤをタイヤ回転方向(Re)に制動することができる、タイヤ試験スタンド(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ試験スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ試験スタンドは、先行技術から既知である。このタイヤ試験スタンドは、通常、フレームおよびタイヤホルダを備える。トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、フレームに対して異なる位置に移動させることができる。
【0003】
先行技術から既知のタイヤ試験スタンドは、フレームに対して移動させることができる転動面を有する転動面ユニットを提供する。転動面ユニットの転動面は、代替道路とも称することが可能であり、道路上の状態を近似的にシミュレートすることを目的とする。
【0004】
タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、タイヤのトレッドおよび転動面が接触する接触位置にすることができる。タイヤおよび転動面が接触して、転動面がタイヤに対して移動されると、タイヤは、転動面の上を転動することができる。
【0005】
一般に、そこでタイヤを試験中に移動させることができて、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスが特に良好にシミュレートされる、タイヤ試験用の最適な可動空間を有する、堅牢で、材料節約型かつ資源保全型のタイヤ試験スタンドを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、そこでタイヤを試験中に移動させることができて、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスが特に良好にシミュレートされる、タイヤ試験用の最適な可動空間を有する、堅牢で、材料節約型かつ資源保全型のタイヤ試験スタンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の目的は、請求項1の特徴を有するタイヤ試験スタンドによって達成される。タイヤ試験スタンドはフレームを備える。タイヤ試験スタンドはタイヤホルダを更に備える。トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。タイヤ試験スタンドは、6つのリニア駆動要素を有するヘキサポッドアセンブリを更に備える。6つのリニア駆動要素の各々は、第1端部でフレームに取り付けられ、また第2端部でタイヤホルダに取り付けられている。タイヤ試験スタンドは、転動面を有する転動面ユニットを備える。転動面は、フレームに対して移動させることができる。さらに、タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。接触位置では、タイヤのトレッドおよび転動面が接触する。さらに、トレッドおよび転動面が接触して、転動面がタイヤに対して移動されると、タイヤは転動面の上を転動する。初期構成において、回転軸に平行なトレッドの上の接平面および転動面の上の接平面は、同一である。さらに、この初期構成において、トレッドの接線速度および転動面の接線速度は、トレッドと転動面との間の接触点において同一である。さらに、タイヤに作用する各力は、接平面において回転軸に平行にはしる横力成分、接平面において横力成分に垂直にはしる接線力成分、および接平面に垂直にはしる径方向力成分に分割することができる。さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置され、すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分の方向に配向されるように、配置される。さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置され、すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が接線力成分の方向に配向されるように、配置される。さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置され、すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、配置される。
【0008】
タイヤ試験スタンドはフレームを備える。例えば、6つのリニア駆動要素の各々の第1端部などの、タイヤ試験スタンドの様々な構成要素を、フレームに取り付けることができる。さらに、タイヤ試験スタンドのオペレータがタイヤ試験スタンドを操作するための操作要素を、様々な構成部品の一つとして、タイヤ試験スタンドのフレームに取り付けることができる。
【0009】
タイヤ試験スタンドは、タイヤホルダを更に備える。トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。したがって、タイヤホルダには、タイヤが、取り付けられていてもよく、タイヤが取り付けられていなくてもよい。特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダを、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができるという事実の結果として、タイヤホルダに取り付けられたタイヤを、リニア駆動要素の調整によって、フレームに対して移動させて、異なる位置にすることができる。
【0010】
タイヤ試験スタンドは、6つのリニア駆動要素を有するヘキサポッドアセンブリを更に備える。特に、6つのリニア駆動要素の各リニア駆動要素の長さを調整することができる。ヘキサポッドアセンブリは、パラレルキネマティクスと称することができる。ヘキサポッドアセンブリの利点の1つは、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、比較的小さなスペースしか必要とせずに、高いレベルの剛性を有することができることである。ヘキサポッドアセンブリには、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、高いレベルの調整精度があるという利点もある。特に、ヘキサポッドアセンブリを使用して、タイヤを、接触位置などの異なる位置に、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、高精度で移動させることができる。本発明に関連して、驚くべきことに、ヘキサポッドアセンブリは、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドよりも良好に、試験環境において車両の実際のシャーシのキネマティクスをシミュレートできることが判明した。
【0011】
6つのリニア駆動要素の各々は、第1端部でフレームに取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに取り付けられている。6つのリニア駆動要素は、フレームとタイヤホルダとの間で、互いに平行に作用するものとして説明することができる。したがって、ヘキサポッドアセンブリは、パラレルキネマティクスとして説明することができる。特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダをフレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができる。好適には、6つのリニア駆動要素の各リニア駆動要素は、第1端部でフレームに旋回可能に取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。その結果、各リニア駆動要素は、リニア駆動要素の調整ならびにフレームおよびタイヤホルダに対する旋回によって、異なる配向をとることができる。
【0012】
タイヤ試験スタンドは、転動面を有する転動面ユニットを更に備える。転動面は、ベルトの平坦な部分によって形成することができる。このベルトは、フレームの上に回転可能に取り付けられた2つのベルトに部分的に巻き付いている。好適には、タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられて、タイヤのトレッドおよび平坦なベルト部分が接触しているとき、接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に沿って、平坦なベルト部分が延在する。ベルト部分が平坦であることによって、タイヤが平坦な転動面の上を転動できることが保証される。平坦なベルト部分によって形成された平坦な転動面は、特に、ドラムの周方向外面によって湾曲されて形成された転動面と比較して有利である。なぜなら、平坦なベルト部分は、現実の道路を、特にその平坦な形状を、特にドラムの周方向外面によって形成された転動面を有するような先行技術から既知のタイヤ試験スタンドよりも、良好にシミュレートできるためである。特に、平坦なベルト部分の上を転動する際のタイヤの転がり抵抗を、湾曲された転動面に比べて、大幅に低減できたことが判明した。さらに、ベルトと偏向プーリとの組み合わせによって、曲率を低減するためにサイズが大きいドラムの転動面と比較して、スペースを節約する転動面が提供される。代替的に、転動面は、フレームの上に回転可能に取り付けられたドラムの内周面によって形成された湾曲された転動面であってもよい。ドラムは、好適には、転動面駆動ユニットの助けによって、回転可能に駆動可能である。更なる代替例として、転動面は、フレームに回転可能に取り付けられたドラムの周方向外面によって形成された湾曲された転動面であってもよい。このドラムも、好適には、転動面駆動ユニットの助けによって回転可能に駆動することもできる。回転可能に取り付けられたドラムの回転面を転動面として使用することによって、少なくとも1つのリニア駆動要素のために、特に横方向駆動要素のために、特に大きなスペースの提供を確保することができる。少なくとも1つのリニア駆動要素のために特に大きなスペースを提供することによって、今度は、少なくとも1つのリニア駆動要素を堅牢な設計にするための十分な設置スペースの提供を保証することができる。
【0013】
転動面は、フレームに対して移動させることができる。このために、転動面を、転動面駆動ユニットの助けによって駆動することができる。
【0014】
さらに、タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤは、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。すでに説明したように、特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダを、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができるという事実の結果として、タイヤホルダに取り付けられたタイヤを、リニア駆動要素の調整によって、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができる。特に、タイヤは、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。
【0015】
接触位置では、タイヤのトレッドおよび転動面が接触する。好適には、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって、この接触位置に加えて、更なる接触位置にすることができる。その結果、例えば、タイヤのキャンバ、タイヤの斜行、タイヤのタイヤ荷重を、特に接触点がトレッドと転動面との間に存在する転動面における接平面に対して垂直に、および/または転動面に対するタイヤの位置を、特に接触点がトレッドと転動面との間に存在する転動面における接平面に対して平行に、ならびに転動面の領域において転動面の回転方向に対して垂直に、および/または転動面の領域において転動面の回転方向に対して平行に、調整することができる。
【0016】
さらに、トレッドおよび転動面が接触して、転動面がタイヤに対して移動されると、タイヤが転動面の上を転動する。転動面は、好適には、タイヤがその上で転動できる平坦な転動面を形成する。代替的に、好適には、転動面は湾曲された転動面も形成することができる。すでに説明したように、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって、この接触位置に加えて、更なる接触位置にすることができる。次いで、タイヤが転動面の上を転動すると、タイヤを、転動時に異なる負荷状態にさせることができる。例えば、タイヤが転動面の上を転動する際に、タイヤのキャンバ、タイヤの斜行、タイヤのタイヤ荷重を、特に接触点がトレッドと転動面の間に存在する転動面における接平面に対して垂直に、および/または転動面に対するタイヤの位置を、特に接触点がトレッドと転動面との間に存在する転動面における接平面に対して平行に、ならびに転動面の領域において転動面の回転方向に対して垂直に、および/または転動面の領域において転動面の回転方向に対して平行に、調整することができる。
【0017】
初期構成において、回転軸に平行なトレッドの上の接平面および転動面の上の接平面は、同一である。さらに、この初期構成において、トレッドの接線速度および転動面の接線速度は、トレッドと転動面との間の接触点において同一である。好適には、この初期構成において、ステアリング角はゼロであり、キャンバ角もゼロである。特に、ステアリング角がゼロに等しくなく、キャンバ角がゼロに等しい、回転軸に平行なトレッドの上の接平面および転動面の上の接平面は、同一であり続ける。しかしながら、好適には、ステアリング角がゼロに等しくなく、キャンバ角がゼロに等しい場合、トレッドの接線速度および転動面の接線速度は、トレッドと転動面との間の接触点において同一でない。特に、ステアリング角がゼロに等しくなく、キャンバ角がゼロに等しい場合、タイヤ試験スタンドは、初期構成に対応しない構成をとる。さらに、特に、キャンバ角がゼロに等しくなく、ステアリング角がゼロに等しい場合、回転軸に平行なトレッドの上の接平面および転動面の上の接平面は、同一でない。しかしながら、好適には、キャンバ角がゼロに等しくなく、ステアリング角がゼロに等しい場合、トレッドの接線速度および転動面の接線速度は、トレッドと転動面との間の接触点において同一である。特に、キャンバ角がゼロに等しくなく、ステアリング角がゼロに等しい場合、タイヤ試験スタンドは、初期構成に対応しない構成をとる。トレッドと転動面との間の接触点は、車輪接触点とも称される。
【0018】
さらに、タイヤに作用する各力は、接線面において回転軸に平行にはしる横力成分、接線面において横力成分に垂直にはしる接線力成分、および接線面に垂直にはしる径方向力成分に分割することができる。特に、横力成分、接線力成分、および径方向力成分は、互いに垂直に配向される。
【0019】
さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置される。すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分の方向に配向されるように、配置される。6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素であって、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が横力成分の方向に配向されるように配置される、少なくとも1つのリニア駆動要素は、横方向駆動要素と称することもできる。6つのリニア駆動要素は、好適には、横方向駆動要素を備える。
【0020】
さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置される。すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が接線力成分の方向に配向されるように、配置される。6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素であって、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が接線力成分の方向に配向されるように配置される、少なくとも1つのリニア駆動要素は、接線方向駆動要素と称することもできる。6つのリニア駆動要素は、好適には、接線方向駆動要素を備える。
【0021】
好適には、横方向駆動要素および接線方向駆動要素は、横方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第1直線と、接線方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。好適には、横方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第1直線および接線方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第2直線は、90°の角度で交差する。好適には、取り付け点が、転動面の幅よりも小さく、トレッドと平坦なベルト部分との間の接触点から転動面の回転方向に垂直に配置されるように、横方向駆動要素および接線方向駆動要素がタイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。
【0022】
さらに、6つのリニア駆動要素は、初期構成において以下のように配置される。すなわち、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、この少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、配置される。6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素であって、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力をおよぼすとき、この力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように配置される、少なくとも1つのリニア駆動要素は、径方向駆動要素と称することもできる。
【0023】
したがって、要約すると、タイヤ試験スタンドは、少なくとも1つの横方向駆動要素と、少なくとも1つの接線方向駆動要素と、少なくとも1つの径方向駆動要素と、を備えるといえる。これらのリニア駆動要素の各々は、横力成分、接線力成分、および径方向力成分に関して、特に他のリニア駆動要素とは異なる特定の機能を果たすように構成される。つまり、横方向駆動要素は、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分の方向に配向されるように、構成され、接線方向駆動要素は、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が接線方向力成分の方向に配向されるように、構成され、そして径方向駆動要素は、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、構成される。
【0024】
先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリの場合、特にこのヘキサポッドアセンブリの対称構造によって、6つのリニア駆動要素は、6つのリニア駆動要素の3つのリニア駆動要素の各々が、特に、横力成分、接線力成分、および径方向力成分に関して、3つのリニア駆動要素の他のリニア駆動要素の機能とは異なる特定の機能を果たすことができるようには、構成されていない。先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリは、例えば同じ長さを有し、互いに対称に配置され、互いに同じ角度を形成し、同じ力に対して構成される同一設計のリニア駆動要素を備える。原則的に、先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリも、タイヤ試験スタンドにおいて使用することができる。なぜなら、これらによっても、タイヤホルダの上下移動、横移動、および角度のついた移動が可能なためである。しかしながら、先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリは、試験中にタイヤホルダの上のタイヤに同じ力を及ぼすことができるようにするために、本発明によるタイヤ試験スタンドよりも堅牢である必要がある。したがって、少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの半径方向駆動要素を使用することによって、特に材料節約型かつ資源保全型のタイヤ試験スタンドが可能になる。少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの径方向駆動要素の使用によって、横方向駆動要素、接線方向駆動要素、および径方向駆動要素を異なって構成することが可能である。例えば、タイヤの位置決めにどの調整長さが望まれるかに応じて、少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの径方向駆動要素の調整長さが、異なることができる。したがって、例えば、本発明によるヘキサポッドアセンブリは、斜行調整がキャンバ調整より大きくなるように、またはホイール送り込みが横方向調整または接線方向調整より大きくなるように構成することができる。したがって、そこでタイヤを試験中に移動させることができる、タイヤ試験用の最適な可動空間を有するタイヤ試験スタンドを提供することができる。さらに、少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの径方向駆動要素を、タイヤ試験時に予想される横力成分、接線力成分、および径方向力成分に対して構成することができる。これによって、特に材料節約型かつ資源保全型のタイヤ試験スタンドが可能になる。
【0025】
特に、本発明に関連して、少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの径方向駆動要素の組み合わせによって、特に先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリの可能な使用における可動空間と比較して、タイヤが試験中に移動できる可動空間を大幅に拡大できることが判明した。その際、リニア駆動要素の調整によってもタイヤホルダの所望の動きがもたらされない動きの特異点(シンギュラリティ:singularitaten/singularities)に、ヘキサポッドアセンブリが陥ることがない。したがって、堅牢なタイヤ試験スタンドが提供される。
【0026】
さらに、本発明に関連して、少なくとも1つの横方向駆動要素、少なくとも1つの接線方向駆動要素、および少なくとも1つの径方向駆動要素の組み合わせによって、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスを特に良好にシミュレートできることも判明した。
【0027】
したがって、要約すると、本発明は、そこでタイヤを試験中に移動させることができて、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスが特に良好にシミュレートされる、タイヤ試験用の最適な可動空間を有する、堅牢で、材料節約型かつ資源保全型のタイヤ試験スタンドを提供するということができる。
【0028】
一実施形態において、タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられ、このタイヤが接触位置にあるとき、少なくとも1つのリニア駆動要素は、少なくとも1つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分の方向に配向されるように、径方向力成分の方向に平行にはしる方向に配置される。したがって、特に、横方向駆動要素は、径方向力成分の方向に平行にはしる方向に配置される。横方向駆動要素を、径方向力成分の方向と平行にはしる方向に配置することによって、横方向駆動要素をトレッドと転動面との接触点の近傍に配置することができる。横方向駆動要素をトレッドと転動面との間の接触点の近傍に配置することによって、特に自動二輪車のタイヤをテストする場合に、横方向駆動要素の最適かつ直接的なパワーフローが確保されるため、特にキャンバ角が大きい場合に有利である。
【0029】
一実施形態において、6つのリニア駆動要素の2つのリニア駆動要素は、これら2つのリニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすときに、この力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、各々配置される。したがって、好適には、6つのリニア駆動要素は、2つの径方向駆動要素を備える。特に、径方向駆動要素は、タイヤが径方向駆動要素間の中央に配置されるように、配置される。好適には、2つの径方向駆動要素は、トレッドと転動面との間の接触点に対して対称に配置される。特に、トレッドと転動面との間の接触点に対して2つの径方向駆動要素を対称に配置することによって、径方向力成分によって生じる曲げモーメントを低減する、または完全に回避することさえできる。好適には、径方向駆動要素の各々は、その第1端部でフレームに旋回可能に取り付けられている。この場合、好適には、2つの旋回軸は、接触点も配置される同じ直線に沿ってはしる。その結果、タイヤが異なる接触位置に調整されるとき、径方向駆動要素に沿ってはしるタイヤ荷重ベクトルは、接触点から同じ距離をほぼ維持することができる。さらに、径方向駆動要素は、第2端部でタイヤホルダに旋回可能に取り付けられており、2つの旋回軸は同じ直線に沿ってはしる。好適には、初期構成において、2つの径方向駆動要素は、接線面に対して垂直に揃えられ、かつ互いに平行に揃えられている。更に好適には、初期構成において、2つの径方向駆動要素は、タイヤホルダの部分から接平面に向かって互いに対して角度をつけて延在する。2つの径方向駆動要素間の距離は、タイヤホルダの部分から接平面に向かって増加する。2つの径方向駆動要素が初期構成においてタイヤホルダの部分から接平面に向かって互いに対して角度をつけて延在し、2つの径方向駆動要素間の距離がタイヤホルダの部分から接平面に向かって増加する場合、タイヤ試験スタンドは、特に剛性が高く設計される。
【0030】
一実施形態において、タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられており、タイヤが2つのリニア駆動要素の間の接触位置に配置されるとき、2つのリニア駆動要素は、2つのリニア駆動要素の各々がタイヤに力を及ぼすとき、これらの力の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、各々配置される。したがって、接触位置において、好適には、タイヤは2つの径方向駆動要素間に配置される。特に、径方向駆動要素は、タイヤが径方向駆動要素間の中央に配置されるように、配置される。好適には、2つの径方向駆動要素は、トレッドと転動面との間の接触点に対して対称に配置される。特に、トレッドと転動面との間の接触点に対して2つの径方向駆動要素を対称に配置することによって、径方向力成分によって生じる曲げモーメントを低減する、または完全に回避することさえできる。
【0031】
一実施形態において、2つのリニア駆動要素は各々、2つのリニア駆動要素が各々タイヤに力を及ぼすとき、これら力の各々の最大力成分が径方向力成分の方向に配向されるように、初期構成において回転軸の方向に互いにオフセットされて配置される。初期構成において回転軸の方向(初期構成におけるタイヤの回転軸の方向)に径方向駆動要素をオフセットさせて配置することは、特に、タイヤ試験スタンドが水平に配置される場合に、すなわち、タイヤホルダが転動面ユニットの隣に水平に配置される場合に、有利である。初期構成において径方向駆動要素が回転軸の方向に互いにオフセットされるという事実によって、タイヤを、例えば、上方からタイヤホルダに向かって移動させ、そこから上方に遠ざけるように移動させることができる。初期構成において径方向駆動要素を回転軸の方向に互いにオフセットさせることができるため、特に、重いタイヤを、クレーンを使用してタイヤ試験スタンドに取り付けること、またタイヤ試験スタンドから取り外すことができる。
【0032】
一実施形態において、6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素は、少なくとも1つのリニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、初期構成において配置される。6つのリニア駆動要素の少なくとも1つのリニア駆動要素であって、少なくとも1つのリニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、初期構成において配置される、少なくとも1つのリニア駆動要素は、ステアリング/キャンバ駆動要素と称することもできる。好適には、ステアリング/キャンバ駆動要素は、第1端部でフレームに旋回可能に取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。好適には、少なくとも1つのステアリング/キャンバ駆動要素は、以下のようにタイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。すなわち、その取り付け点は、横方向駆動要素および接線方向駆動要素の取り付け点よりも、トレッドと転動面との間の接触点から更に離れており、特に、初期構成における少なくとも1つの径方向駆動要素の長さよりも、トレッドと転動面との間の接触点から離れている。タイヤホルダの上の少なくとも1つのステアリング/キャンバ駆動要素の取り付け点が、トレッドと転動面との間の接触点から離れて配置されることによって、タイヤを水平軸および垂直軸を中心に旋回させるために、少なくとも1つのステアリング/キャンバ駆動要素によって比較的小さな力をタイヤに加えればよいことが保証される。
【0033】
一実施形態において、6つのリニア駆動要素の2つのリニア駆動要素は各々、2つのリニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、初期構成において配置される。6つのリニア駆動要素の2つのリニア駆動要素であって、2つのリニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように配置される、2つのリニア駆動要素は、ステアリング/キャンバ駆動要素と称することもできる。
【0034】
一実施形態において、タイヤホルダは、フレームに旋回可能に取り付けられた第1ピボットアームを備える。第1ピボットアームには、少なくとも1つのリニア駆動要素の第1リニア駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられている。第1ピボットアームは、リニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、初期構成において配置される。したがって、タイヤホルダは、フレームに旋回可能に取り付けられ、第1ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられている第1ピボットアームを備える。タイヤホルダが、フレームに旋回可能に取り付けられている第1ピボットアームを備え、第1ピボットアームに第1ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられているという事実によって、第1ステアリング/キャンバ駆動要素をより短くすることができる。なぜなら、タイヤを水平軸および垂直軸を中心に旋回させるためには、第1ピボットアームを使用して、第1ステアリング/キャンバ駆動要素によって比較的小さな力をタイヤに加えればよいことが保証されるためである。好適には、タイヤホルダは、第1ピボットアームに旋回可能に取り付けられた第1連結ロッドを備える。特に、第1連結ロッドは、タイヤホルダの一部分に旋回可能に取り付けることができる。好適には、第1ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部は、第1ピボットアームに旋回可能に取り付けられている。
【0035】
一実施形態において、タイヤホルダは、フレームに旋回可能に取り付けられた第2ピボットアームを備える。第2ピボットアームには、少なくとも1つのリニア駆動要素の第2リニア駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられている。第2ピボットアームは、リニア駆動要素の調整によってタイヤを初期構成におけるその配向から水平軸および垂直軸を中心に旋回させることができるように、初期構成において配置される。したがって、タイヤホルダは、フレームに旋回可能に取り付けられ、第2ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられている第2ピボットアームを備える。タイヤホルダが、フレームに旋回可能に取り付けられている第2ピボットアームを備え、第2ピボットアームに第2ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部が旋回可能に取り付けられているという事実によって、第2ステアリング/キャンバ駆動要素をより短くすることができる。なぜなら、タイヤを水平軸および垂直軸を中心に旋回させるためには、第2ピボットアームを使用して、第2ステアリング/キャンバ駆動要素によって比較的小さな力をタイヤに加えればよいことが保証されるためである。好適には、タイヤホルダは、第2ピボットアームに旋回可能に取り付けられた第2連結ロッドを備える。特に、第2連結ロッドは、タイヤホルダの一部分に旋回可能に取り付けることができる。好適には、第2ステアリング/キャンバ駆動要素の第2端部は、第2ピボットアームに旋回可能に取り付けられている。
【0036】
好適には、第1連結ロッドおよび第2の連結ロッドは、互いに平行に配置される。特に好適には、第1連結ロッドおよび第2連結ロッドは、タイヤホルダの部分から第1ピボットアームまたは第2ピボットアームに向かって、互いに対して角度をつけて延在する。第1連結ロッドと第2連結ロッドとの間の距離は、タイヤホルダの部分から第1ピボットアームまたは第2ピボットアームに向かって増加する。第1連結ロッドと第2連結ロッドが互いに対して角度をつけて延在することによって、特に剛性の高いタイヤ試験スタンドが提供される。
【0037】
好適には、第1径方向駆動要素および第1連結ロッドは、第1径方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第1連結ロッドの主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。更に好適には、第2径方向駆動要素および第2連結ロッドは、第2径方向駆動要素の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第2連結ロッドの主延在方向に沿って配向された第2直線が交差するように、タイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。これによって、タイヤ調整の作動範囲が比較的より広く、より安定する。
【0038】
一実施形態において、タイヤホルダは、フレームに固定されたフレーム部分と、タイヤが回転可能に取り付けられたタイヤ部分と、を備える。フレーム部分およびタイヤ部分は、力測定ユニットを介して接続される。力測定ユニットは、タイヤ試験スタンドが初期構成にあるとき、横力成分の方向に延在する少なくとも1つの横力測定要素と、接線力成分の方向に延在する少なくとも1つの接線力測定要素と、径方向力成分の方向に延在する少なくとも1つの径方向力測定要素と、を備える。少なくとも1つの横力測定要素が横力成分の方向に延在し、少なくとも1つの接線力測定要素が接線力成分の方向に延在し、また少なくとも1つの径方向力測定要素が径方向力成分の方向に延在することによって、異なる力の成分を、好適には互いに独立して正確に検出することが保証される。
【0039】
一実施形態において、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つは、油圧シリンダとして設計される。ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、比較的高い力を伝達できることが保証される。さらに、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、均一かつ正確な調整動作が保証される。特に、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、ヘキサポッドアセンブリの位置決め精度を向上させることができる。特に好適には、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の各々が、油圧シリンダとして設計される。少なくとも1つのリニア駆動要素について述べた利点は、対応して、リニア駆動要素の各々に対して適用される。
【0040】
一実施形態において、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つは、電気機械式リニア駆動装置として設計される。ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、リニア駆動要素を調整するための比較的高い調整速度および高い調整加速度が保証される。さらに、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、均一かつ正確な調整動作が保証される。特に、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、ヘキサポッドアセンブリの位置決め精度を向上させることができる。特に好適には、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の各々が、電気機械式リニア駆動装置として設計される。少なくとも1つのリニア駆動要素について述べた利点は、対応して、リニア駆動要素の各々に対して適用される。
【0041】
一実施形態において、タイヤ試験スタンドはタイヤ駆動ユニットを備える。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤ駆動ユニットが、タイヤをタイヤ回転方向に駆動することができる。タイヤ駆動ユニットの助けによって、タイヤを、タイヤ回転方向に駆動することができ、したがって、その回転軸を中心に回転運動させることができる。さらに、タイヤ駆動ユニットの助けによって、平坦なベルト部分の上で転動する際に、タイヤをタイヤ回転方向に加速させ、その結果、タイヤを更なる負荷状態にすることができる。タイヤ試験スタンドがベルト駆動ユニットを備えていない場合、タイヤをタイヤ回転方向に駆動して、トレッドと平坦なベルト部分とを接触させることによって、ベルトをベルト回転方向に駆動することができる。
【0042】
一実施形態において、タイヤ試験スタンドはタイヤ制動ユニットを備える。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤ制動ユニットが、タイヤをタイヤ回転方向に制動することができる。タイヤ制動ユニットの助けによって、タイヤを、タイヤ回転方向に制動することができ、したがって、その回転軸を中心とする回転運動を減速させることができる。タイヤの回転速度は、タイヤ制動ユニットの助けによって、タイヤ回転方向に低減させることができる。さらに、タイヤ制動ユニットの助けによって、平坦なベルト部分の上で転動する際に、タイヤをタイヤの回転方向に制動して、タイヤを更なる負荷状態にすることができる。
【0043】
本発明の更なる特徴、利点および使用の可能性は、例示的な実施形態の以下の説明および図面から明らかになる。説明および/または図示されるすべて特徴は、それ自体で、および任意の組み合わせで、また個々の請求項におけるそれらの構成またはその従属請求項とは無関係に、本発明の主題を形成する。図において、同じ参照符号は、同じまたは類似の物体を引き続き表す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明によるタイヤ試験スタンドの第1実施形態の概略図である。
【
図2】本発明によるタイヤ試験スタンドの第1実施形態の概略図である。
【
図3】本発明によるタイヤ試験スタンドの第1実施形態のフレーム部分、タイヤ部分、および力測定ユニットの2つの概略図である。
【
図4】本発明によるタイヤ試験スタンドの第2実施形態の概略図である。
【
図5】本発明によるタイヤ試験スタンドの第2実施形態の概略図である。
【
図6】本発明によるタイヤ試験スタンドの第3実施形態の概略図である。
【
図7】本発明によるタイヤ試験スタンドの第3実施形態の概略図である。
【
図8】本発明によるタイヤ試験スタンドの第4実施形態の2つの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1および
図2は各々、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態の概略図を示す。タイヤ試験スタンド1は、
図1および
図2には示されていないフレームと、タイヤホルダ3と、ヘキサポッドアセンブリ5と、転動面ユニット7と、を備える。タイヤ試験スタンド1は、
図1および
図2には示されていないタイヤ駆動ユニットと、同様に
図1および
図2には示されていないタイヤ制動ユニットと、同様に
図1および
図2には示されていない転動面駆動ユニットと、を備える。
【0046】
ヘキサポッドアセンブリ5は、6つのリニア駆動要素9を備える。6つのリニア駆動要素9の各々は、第1端部11および第2端部13を備える。6つのリニア駆動要素9の各々は、第1端部11でフレームに取り付けられ、第2端部13でタイヤホルダ3に取り付けられている。
図1および
図2に示される本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態において、ヘキサポッドアセンブリ5の6つのリニア駆動要素9の各々は、電気機械式リニア駆動装置として設計されている。代替的に、ヘキサポッドアセンブリ5の6つのリニア駆動要素9の各々を、後付けによる油圧シリンダとして設計することもできる。
【0047】
さらに、
図1および
図2は、トレッド17を有するタイヤ15を示す。タイヤ15は、その回転軸19を中心に回転可能にタイヤホルダ3に取り付けられている。タイヤ駆動ユニットは、タイヤホルダ3に回転可能に取り付けられたタイヤ15を、タイヤ回転方向Reで駆動することができる。タイヤ制動ユニットは、タイヤホルダ3に回転可能に取り付けられたタイヤ15を、タイヤ回転方向Reで制動することができる、すなわち、タイヤ15のタイヤ回転方向Reの回転速度を低減させることができる。
【0048】
すでに述べたように、タイヤ試験スタンド1は、転動面ユニット7を備える。転動面ユニット7は、平坦な転動面21を備える。転動面21は、フレームに対して移動させることができる。タイヤホルダ3に回転可能に取り付けられたタイヤ15を、ヘキサポッドアセンブリ5のリニア駆動要素9の調整によって、
図1および
図2に示される接触位置にすることができる。接触位置では、タイヤ15のトレッド17および転動面21が接触する。
【0049】
すでに説明したように、タイヤ試験スタンド1はタイヤ駆動ユニットを備える。タイヤ駆動ユニットは、タイヤホルダ3に回転可能に取り付けられたタイヤ15を、タイヤ回転方向Reに駆動することができる。転動面駆動ユニットは、転動面21を、転動面回転方向Abに駆動することができる。トレッド17および転動面21が接触して、転動面21がタイヤ15に対して移動されるとき、タイヤ15は転動面21の上を転動する。
【0050】
図1および
図2に示される第1実施形態において、タイヤ15を、ヘキサポッドアセンブリ5を使用して、転動面21に対して位置決めすることができる。特に、ヘキサポッドアセンブリ5のリニア駆動要素9の調整によって、タイヤ15を、タイヤのトレッド17が転動面21と接触する接触位置にすることができる。さらに、ヘキサポッドアセンブリ5のリニア駆動要素9の調整によって、タイヤ15を、
図1および
図2に示される接触位置に加えて、タイヤ15のトレッド17が同様に転動面21と接触する更なる接触位置にすることができる。次いで、タイヤ15が転動面21の上を転動すると、タイヤ15を、転動時に異なる負荷状態にさせることができる。タイヤ15が転動面21の上を転動する際のリニア駆動要素9の調整によって、例えば、タイヤ15のキャンバ、タイヤ15の斜行、タイヤ15のタイヤ荷重、および/または転動面21に対するタイヤ15の位置を、調整することができる。加えて、タイヤ15を、タイヤ駆動ユニットによってタイヤ回転方向Reに駆動すること、またはタイヤ制動ユニットによってタイヤ回転方向Reに制動することができる。その結果、タイヤ15を、転動時に異なる負荷状態にさせることができる。
【0051】
図1および
図2は、初期構成のタイヤ試験スタンド1を示す。この初期構成において、回転軸19に平行なトレッド17の上の接平面および転動面21の上の接平面は、同一である。特に、両方の接平面において、トレッド17と転動面21との間に接触点23が存在する。さらに、初期構成において、トレッド17の接線速度および転動面21の接線速度は、トレッド17と転動面21との接触点23において同一である。タイヤ15に作用する各力は、横力成分25、接線力成分27、および径方向力成分29に分割することができる。横力成分25は、接平面において回転軸19に平行にはしる。接線力成分27は、接平面において横力成分25に垂直にはしる。径方向力成分29は、接平面に垂直にはしる。
【0052】
本発明は、6つのリニア駆動要素9が先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリのように互いに対称に配置されていないため、特に6つのリニア駆動要素9の構成によって、先行技術と比較して有利である。
【0053】
図1および
図2に示される初期構成において、6つのリニア駆動要素9は以下のように配置されている。すなわち、6つのリニア駆動要素9の1つのリニア駆動要素9は、この1つのリニア駆動要素9がタイヤ15に力を及ぼすとき、この力の最大力成分が横力成分25の方向に配向されるように、配置されている。このリニア駆動要素9は、横方向駆動要素31とも称することができる。
【0054】
さらに、
図1および
図2に示される初期構成において、6つのリニア駆動要素9は以下のように配置されている。すなわち、6つのリニア駆動要素9の1つのリニア駆動要素9は、この1つのリニア駆動要素がタイヤ15に力を及ぼすとき、この力の最大力成分が接線力成分27の方向に配向されるように、配置されている。このリニア駆動要素9は、接線方向駆動要素33とも称することができる。
【0055】
さらに、
図1および
図2に示される初期構成において、6つのリニア駆動要素9は以下のように配置されている。すなわち、6つのリニア駆動要素9の2つのリニア駆動要素9は、この2つのリニア駆動要素がタイヤ15に力をおよぼすとき、これらの力の最大力成分が径方向力成分29の方向に配向されるように、各々配置されている。これらのリニア駆動要素9は、径方向駆動要素35とも称することができる。径方向駆動要素35は、タイヤ15が径方向駆動要素35間の中央に配置されるように、配置されている。径方向駆動要素35は各々、その第1端部11でフレームに旋回可能に取り付けられている。2つの旋回軸は、その上に接触点23も配置されている直線に沿って延在する。さらに、径方向駆動要素35は、第2端部13でタイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。2つの旋回軸は同一の直線に沿ってはしる。
【0056】
さらに、
図1および
図2に示される初期構成において、6つのリニア駆動要素は以下のように配置されている。すなわち、6つのリニア駆動要素9の2つのリニア駆動要素9は各々、初期構成において、この2つのリニア駆動要素9の調整によって、タイヤ15が、初期構成におけるその配向から、
図1および
図2において接平面において接線力成分27に平行にはしる水平軸を中心に、また
図1および
図2において径方向力成分29に沿ってはしる垂直軸を中心に、旋回可能であるように配置されている。前出の2つのリニア駆動要素9は、ステアリング/キャンバ駆動要素37とも称することができる。タイヤホルダ3は、フレームに旋回可能に取り付けられた第1ピボットアーム39と、フレームに旋回可能に取り付けられた第2ピボットアーム41と、を備える。さらに、タイヤホルダ3は、第1ピボットアーム39に旋回可能に取り付けられた第1連結ロッド43と、第2ピボットアーム41に旋回可能に取り付けられた第2連結ロッド45と、を備える。第1連結ロッド43および第2連結ロッド45は各々、タイヤホルダ3の一部分に旋回可能に取り付けられている。2つのステアリング/キャンバ駆動要素37の第1ステアリング/キャンバ駆動要素37の第2端部13は、第1ピボットアーム39に旋回可能に取り付けられている。2つのステアリング/キャンバ駆動要素37の第2ステアリング/キャンバ駆動要素37の第2端部13は、第2ピボットアーム41に旋回可能に取り付けられている。
【0057】
図1および
図2に示されるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態において、2つの径方向駆動要素35は、接平面に対して垂直に揃えられておらず、かつ互いに平行に揃えられていない。むしろ、2つの径方向駆動要素35は、タイヤホルダ3の部分から接平面に向かって、互いに対して角度をつけて延在する。2つの径方向駆動要素35の間の距離は、タイヤホルダ3の部分から接平面に向かって増加する。
【0058】
さらに、
図1および
図2に示されるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態において、第1連結ロッド43および第2連結ロッド45は、互いに平行に配置されていない。むしろ、第1連結ロッド43および第2連結ロッド45は、タイヤホルダ3の部分から第1ピボットアーム39または第2ピボットアーム41に向かって、互いに対して角度をつけて延在する。第1連結ロッドと第2連結ロッド45との間の距離は、タイヤホルダの部分から第1ピボットアーム39または第2ピボットアーム41に向かって増加する。
【0059】
さらに、横方向駆動要素31および接線方向駆動要素33は、横方向駆動要素31の主延在方向に沿って配向された第1直線と、接線方向駆動要素33の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。
【0060】
加えて、第1径方向駆動要素35および第1連結ロッド43は、第1径方向駆動要素35の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第1連結ロッド43の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。
【0061】
さらに、第2径方向駆動要素35および第2連結ロッド45は、第2径方向駆動要素35の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第2連結ロッド45の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。
【0062】
図3は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態のタイヤホルダ3の、フレーム部分47、タイヤ部分49、および力測定ユニット51を示す。フレーム部分47はフレームに固定される。
図1および
図2に示されるように、タイヤ15はタイヤ部分49に回転可能に取り付けられている。フレーム部分47およびタイヤ部分49は、力測定ユニット51を介して互いに接続されている。力測定ユニット51は、横力成分25の方向に延在する3つの横力測定要素53を備える(
図1および2を参照)。さらに、力測定ユニット51は、接線力成分27の方向に延在する2つの接線力測定要素55を備える(
図1および
図2を参照)。さらに、力測定ユニット51は、径方向力成分29の方向に延在する径方向力測定要素57を備える(
図1および2を参照)。
【0063】
図4および
図5は各々、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第2実施形態の概略図を示す。本発明によるタイヤ試験スタンド1の第2実施形態は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態に実質的に対応する。しかしながら、第2実施形態のタイヤホルダ3は、第1ピボットアーム39、第2ピボットアーム41、第1連結ロッド43、および第2連結ロッド45を備えない。むしろ、2つのステアリング/キャンバ駆動要素37は各々、第1端部11でフレームに旋回可能に取り付けられ、第2端部13でタイヤホルダ3に、特にタイヤホルダ3の部分に旋回可能に取り付けられている。さらに、タイヤ試験スタンド1の第2実施形態において、2つの径方向駆動要素35は、接平面に垂直に揃えられ、かつ互いに平行に揃えられている。さらに、タイヤ試験スタンド1の第2実施形態において、2つのステアリング/キャンバ駆動要素37は、互いに平行に配置されている。さらに、第1径方向駆動要素35および第1ステアリング/キャンバ駆動要素37は、第1径方向駆動要素35の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第1ステアリング/キャンバ駆動要素37の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。さらに、第2径方向駆動要素35および第2ステアリング/キャンバ駆動要素37は、第2径方向駆動要素35の主延在方向に沿って配向された第1直線と、第2ステアリング/キャンバ駆動要素37の主延在方向に沿って配向された第2直線と、が交差するように、タイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。さらに、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第2実施形態のタイヤホルダ3は、
図3に示される第1実施形態に関連して説明されたフレーム部分47と、タイヤ部分49と、力測定ユニット51と、を備える。
【0064】
本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態に関連して説明された特徴、技術的効果、および/または利点は、少なくとも同様に、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第2実施形態にも適用される。したがって、ここでは、対応する繰り返しが省略される。
【0065】
図6および
図7は各々、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第3実施形態の概略図を示す。本発明によるタイヤ試験スタンド1の第3の実施形態は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態に実質的に対応する。しかしながら、第3実施形態において、転動面ユニット7は、湾曲された転動面21を備える。湾曲された転動面21は、ドラムの内周面によって形成されている。ドラムは、フレームに回転可能に取り付けられ、転動面駆動ユニットの助けによって回転可能に駆動可能である。さらに、第3実施形態の横方向駆動要素31は、径方向力成分29の方向に平行にはしる方向に配置されている(
図1および
図4を参照)。横方向駆動要素31は、
図6および
図7において、タイヤ15の下および転動面21の下に配置されている。横方向駆動要素31を径方向力成分29の方向と平行にはしる方向に配置することによって、タイヤ試験スタンド1の、特に省スペースのバリエーションが提供される。回転可能に取り付けられたドラムの回転面を転動面として使用することは、これに関連して、特に有利である。なぜなら、これによって、横方向駆動要素31のために特に大きなスペースが提供されるためである。したがって、横方向駆動要素31を、対応して、堅牢な設計にすることができる。さらに、径方向駆動要素35は、タイヤ15が径方向駆動要素35間の中央に配置されるように、配置されている。径方向駆動要素35は各々、その第1端部11でフレームに旋回可能に取り付けられている。2つの旋回軸は、同一の直線に沿って延在するが、その直線上には接触点23が配置されていない。第3実施形態において、接触点23は、接平面に配置されている。2つの旋回軸が沿ってはしる直線は、接平面に平行にはしり、回転軸19の方向に接平面から離間している。さらに、径方向駆動要素35は、第2端部13でタイヤホルダ3に旋回可能に取り付けられている。2つの旋回軸は、同一の直線に沿ってはしる。さらに、タイヤ試験スタンド1の第3実施形態において、2つの径方向駆動要素35は、接平面に対して垂直に揃えられ、かつ互いに平行に揃えられている。さらに、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第3実施形態のタイヤホルダ3は、
図3に示される第1実施形態に関連して説明されたフレーム部分47と、タイヤ部分49と、力測定ユニット51と、を備える。
【0066】
本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態に関連して説明された特徴、技術的効果、および/または利点は、少なくとも同様に、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第3実施形態にも適用される。したがって、ここでは、対応する繰り返しが省略される。
【0067】
図8は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第4実施形態の2つの概略図を示す。本発明によるタイヤ試験スタンド1の第4実施形態は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態に実質的に対応する。
図8に示されるタイヤ試験スタンド1の配置は、水平配置とも称することができる。しかしながら、第4実施形態において、転動面ユニット7は、湾曲された転動面21を備える。湾曲された転動面21は、ドラムの外周面によって形成されている。ドラムは、フレームに回転可能に取り付けられ、転動面駆動ユニットの助けによって回転可能に駆動可能である。第4実施形態において、径方向駆動要素35は、初期構成において回転軸19の方向(回転軸方向)に互いにオフセットされている。その結果、例えば、
図8の左側の概略図にあるように、タイヤ15を、上方からタイヤホルダ3に近づけること、またタイヤホルダ3から上方に遠ざけることができる。初期構成において径方向駆動要素35が回転軸19の方向に互いにオフセットされていることによって、特に、重いタイヤ15を、クレーンを使用してタイヤ試験スタンド1に取り付けること、またタイヤ試験スタンド1から取り外すことができる。
【0068】
本発明によるタイヤ試験スタンド1の第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態に関連して説明された特徴、技術的効果、および/または利点は、少なくとも同様に、本発明によるタイヤ試験スタンド1の第4実施形態にも適用される。したがって、ここでは、対応する繰り返しが省略される。
【0069】
加えて、「備える(aufweisend/comprising)」は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞の単数、「ein/a」または「eine/an」は、複数を除外しないことが指摘されるべきである。さらに、上記の例示的な実施形態の1つを参照して説明された特徴は、上記で説明された他の例示的な実施形態の他の特徴と組み合わせて使用することもできることに、留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0070】
1 タイヤ試験スタンド
3 タイヤホルダ
5 ヘキサポッドアセンブリ
7 転動面ユニット
9 リニア駆動要素
11 リニア駆動要素の第1端部
13 リニア駆動要素の第2端部
15 タイヤ
17 トレッド
19 回転軸
21 転動面
23 接触点
25 横力成分
27 接線力成分
29 径方向力成分
31 横方向駆動要素
33 接線方向駆動要素
35 径方向駆動要素
37 ステアリング/キャンバ駆動要素
39 第1ピボットアーム
41 第2ピボットアーム
43 第1連結ロッド
45 第2連結ロッド
47 フレーム部分
49 タイヤ部分
51 力測定ユニット
53 横力測定要素
55 接線力測定要素
57 径方向力測定要素
Re タイヤ回転方向
Ab 転動面の回転方向
【国際調査報告】