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特表2023-552626ヘキサポッドアセンブリおよびベルトを有するタイヤ試験スタンド
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  • 特表-ヘキサポッドアセンブリおよびベルトを有するタイヤ試験スタンド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ヘキサポッドアセンブリおよびベルトを有するタイヤ試験スタンド
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20231211BHJP
   B60B 30/08 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
G01M17/02
B60B30/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535595
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2021083943
(87)【国際公開番号】W WO2022122538
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020215612.3
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】イェンス エイゼンベイス
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ボスル
(57)【要約】
タイヤ試験スタンド(1)は、フレーム(5)と、タイヤホルダ(7)と、6つのリニア駆動要素(21)を有するヘキサポッドアセンブリ(9)と、を備える。6つのリニア駆動要素は、第1端部(23)でフレームに取り付けられ、第2端部(25)でタイヤホルダに取り付けられる。タイヤ(27)は、回転軸(31)を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けられる。タイヤ試験スタンドは、ベルト(11)と、2つの偏向プーリ(13)とを備える。偏向プーリは、ベルトが偏向プーリの間に平坦なベルト部分(33)を形成するように、ベルトに巻き付かれている。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられるとき、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。接触位置では、タイヤのトレッド(29)および平坦なベルト部分が接触する。ベルトがタイヤに対して移動されると、タイヤがベルト部分上を転動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ試験スタンド(1)であって、
フレーム(5)と、
タイヤホルダ(7)と、
6つのリニア駆動要素(21)を有するヘキサポッドアセンブリ(9)であって、前記6つのリニア駆動要素(21)の各々は、第1端部(23)で前記フレーム(5)に取り付けられ、第2端部(25)で前記タイヤホルダ(7)に取り付けられている、ヘキサポッドアセンブリ(9)と、を備え、
トレッド(29)を有するタイヤ(27)は、その回転軸(31)を中心に回転可能に前記タイヤホルダ(7)に取り付けることができ、
前記タイヤ試験スタンド(1)は、ベルト(11)と、
回転可能に取り付けられた2つの偏向プーリ(13)と、を備え、前記偏向プーリ(13)は、前記ベルト(11)が前記偏向プーリ(13)の間に平坦なベルト部分(33)を形成するように、前記ベルト(11)に部分的に巻き付かれており、
前記タイヤ(27)が前記タイヤホルダ(7)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ(27)を、前記ヘキサポッドアセンブリ(9)の前記リニア駆動要素(21)の調整によって接触位置にすることができ、前記接触位置では、前記タイヤ(27)の前記トレッド(29)および前記平坦なベルト部分(33)が接触し、また、
前記タイヤ(27)および前記平坦なベルト部分(33)が接触して、前記ベルト(11)が前記タイヤ(27)に対して移動されると、前記タイヤ(27)が前記平坦なベルト部分(33)の上を転動する、タイヤ試験スタンド。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記ヘキサポッドアセンブリ(9)の前記リニア駆動要素(21)の少なくとも1つは、油圧シリンダとして設計される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項3】
請求項1に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記ヘキサポッドアセンブリ(9)の前記リニア駆動要素(21)の少なくとも1つは、電気機械式リニア駆動装置として設計される、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ試験スタンド(1)はタイヤ駆動ユニット(15)を備え、前記タイヤ(27)が前記タイヤホルダ(7)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ駆動ユニット(15)が前記タイヤをタイヤ回転方向(Re)に駆動することができる、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ試験スタンドはタイヤ制動ユニット(17)を備え、前記タイヤ(27)が前記タイヤホルダ(7)に回転可能に取り付けられているとき、前記タイヤ制動ユニット(17)が、前記タイヤをタイヤ回転方向(Re)に制動することができる、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記タイヤ試験スタンド(1)は、前記ベルト(11)をベルト回転方向(Ri)に駆動することができるベルト駆動ユニット(19)を備える、タイヤ試験スタンド(1)。
【請求項7】
請求項6に記載のタイヤ試験スタンド(1)であって、前記ベルト駆動ユニット(19)は、前記偏向プーリ(13)の1つの偏向プーリ(13)と連結され、前記偏向プーリ(13)を介して前記ベルト(11)をベルト回転方向に駆動する、タイヤ試験スタンド(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ試験スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ試験スタンドは、先行技術から既知である。このタイヤ試験スタンドは、通常、フレームおよびタイヤホルダを備える。トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、フレームに対して異なる位置に移動させることができる。
【0003】
先行技術から既知のタイヤ試験スタンドは、フレームに対して移動させることができる転動面を有する転動面ユニットを提供する。転動面ユニットの転動面は、代替道路とも称することが可能であり、道路上の状態を近似的にシミュレートすることを目的とする。転動面ユニットは、例えば、タイヤ試験スタンドの、回転可能に取り付けられたドラムによって形成することができる。転動面は、ドラムの周方向外面によって形成することができる。
【0004】
タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、タイヤのトレッドおよびドラムの周方向外面が接触する接触位置にすることができる。タイヤおよびドラムの周方向外面が接触して、周方向外面がタイヤに対して移動されると、タイヤは、周方向外面の上を転動することができる。
【0005】
一般に、道路走行時の、タイヤの異なる負荷状態に対するタイヤの反応およびシャーシのキネマティクスを、タイヤ試験スタンドで特に良好にシミュレートできることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、道路走行時の、タイヤの異なる負荷状態に対するタイヤの反応およびシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の目的は、請求項1の特徴を有するタイヤ試験スタンドによって達成される。タイヤ試験スタンドはフレームを備える。タイヤ試験スタンドはタイヤホルダを更に備える。タイヤ試験スタンドは、6つのリニア駆動要素を有するヘキサポッドアセンブリを更に備える。6つのリニア駆動要素の各々は、第1端部でフレームに取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに取り付けられている。トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。加えて、タイヤ試験スタンドはベルトを備える。タイヤ試験スタンドは、回転可能に取り付けられた2つの偏向プーリを更に備える。ベルトは、偏向プーリに部分的に巻き付いている。したがって、ベルトが偏向プーリの間に平坦なベルト部分を形成する。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。接触位置では、タイヤのトレッドおよび平坦なベルト部分が接触する。さらに、タイヤおよび平坦なベルト部分が接触して、ベルトがタイヤに対して移動されると、タイヤは平坦なベルト部分の上を転動する。
【0008】
タイヤ試験スタンドは、フレームを有する。例えば、6つのリニア駆動要素の各々の第1端部などの、タイヤ試験スタンドの様々な構成要素を、フレームに取り付けることができる。フレームに取り付けることができるタイヤ試験スタンドの更なる構成要素は、回転可能に取り付けられた2つの偏向プーリである。さらに、タイヤ試験スタンドのオペレータがタイヤ試験スタンドを操作するための操作要素を、様々な構成要素の一つとして、タイヤ試験スタンドのフレームに取り付けることができる。
【0009】
タイヤ試験スタンドは、タイヤホルダを更に備える。タイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。
【0010】
タイヤ試験スタンドは、6つのリニア駆動要素を有するヘキサポッドアセンブリを更に備える。特に、6つのリニア駆動要素の各リニア駆動要素の長さを調整することができる。ヘキサポッドアセンブリは、パラレルキネマティクスと称することができる。ヘキサポッドアセンブリの利点の1つは、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、比較的小さなスペースしか必要とせずに、高いレベルの剛性を有することができることである。ヘキサポッドアセンブリには、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、高いレベルの調整精度があるという利点もある。特に、ヘキサポッドアセンブリを使用して、タイヤを、接触位置などの異なる位置に、シリアルキネマティクスとして設計された従来の調整ユニットと比較して、高精度で移動させることができる。本発明に関連して、驚くべきことに、ヘキサポッドアセンブリは、特に平坦なベルト部分と組み合わせて、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドよりも良好に、試験環境において車両の実際のシャーシのキネマティクスをシミュレートできることが判明した。
【0011】
6つのリニア駆動要素の各々は、第1端部でフレームに取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに取り付けられている。6つのリニア駆動要素は、フレームとタイヤホルダとの間で、互いに平行に作用するものとして説明することができる。したがって、ヘキサポッドアセンブリは、パラレルキネマティクスとして説明することができる。特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダをフレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができる。好適には、6つのリニア駆動要素の各リニア駆動要素は、第1端部でフレームに旋回可能に取り付けられ、第2端部でタイヤホルダに旋回可能に取り付けられている。その結果、各リニア駆動要素は、リニア駆動要素の調整ならびにフレームおよびタイヤホルダに対する旋回によって、異なる配向をとることができる。
【0012】
トレッドを有するタイヤは、その回転軸を中心に回転可能にタイヤホルダに取り付けることができる。したがって、タイヤホルダには、タイヤが取り付けられていてもよく、タイヤが取り付けられていなくてもよい。特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダを、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができるという事実の結果として、タイヤホルダに取り付けられたタイヤを、リニア駆動要素の調整によって、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができる。
【0013】
加えて、タイヤ試験スタンドはベルトを備える。ベルトはまた、エンドレスバンドまたはストラップと称することもできる。ベルトは、好適には、張力を伝達するように設計されている。特に、ベルトはその長手方向で閉じられている。その結果、ベルトの長手方向に配置されたベルトの端部は、互いに接続されている、または互いに1つになる。
【0014】
タイヤ試験スタンドは、回転可能に取り付けられた2つの偏向プーリを更に備える。2つの偏向プーリは、フレームに回転可能に取り付けることができる。
【0015】
ベルトは、偏向プーリに部分的に巻き付いている。したがって、ベルトが偏向プーリの間に平坦なベルト部分を形成する。ベルトは、第1ストランドおよび第2ストランドを形成することができる。第1ストランドは、ワーキングストランドと称することができて、偏向プーリの第1偏向プーリから偏向プーリの第2偏向プーリまで延在することができる。第2ストランドは、スラックストランドと称することができて、偏向プーリの第1偏向プーリから偏向プーリの第2偏向プーリまで延在することができる。平坦なベルト部分は、第1ストランドの一部分を形成することができる。平坦なベルト部分が形成されるように、ベルトは、第1ストランドの領域において、ベルトの回転方向に直線運動を行うことができる。平坦なベルト部分は、平坦である。好適には、タイヤタイヤホルダに回転可能に取り付けられて、タイヤのトレッドおよび平坦なベルト部分が接触しているとき、接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に沿って、平坦なベルト部分が延在する。ベルト部分が平坦であることによって、タイヤが平坦な転動面の上を転動できることが保証される。平坦なベルト部分によって形成された平坦な転動面は、特に、ドラムの周方向外面によって湾曲されて形成された転動面と比較して有利である。なぜならば、平坦なベルト部分は、現実の道路を、特にその平坦な形状を、特にドラムの周方向外面によって形成された転動面を有するような先行技術から既知のタイヤ試験スタンドよりも、良好にシミュレートできるためである。特に、平坦なベルト部分の上を転動する際のタイヤの転がり抵抗を、湾曲された転動面に比べて、大幅に低減できたことが判明した。さらに、ベルトと偏向プーリとの組み合わせによって、曲率を低減するためにサイズが大きいドラムの転動面と比較して、スペースを節約する転動面が提供される。
【0016】
タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤは、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。すでに説明したように、特に、リニア駆動要素の調整によって、タイヤホルダを、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができるという事実の結果として、タイヤホルダに取り付けられたタイヤを、リニア駆動要素の調整によって、フレームに対して移動させることができて、異なる位置にすることができる。特に、タイヤは、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって接触位置にすることができる。接触位置では、タイヤのトレッドおよび平坦なベルト部分が接触する。好適には、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって、この接触位置に加えて、更なる接触位置にすることができる。その結果、例えば、タイヤのキャンバ、タイヤの斜行、タイヤのタイヤ荷重を、特に接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に対して垂直に、および/または平坦なベルト部分に対するタイヤの位置を、特に接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に対して平行に、ならびに平坦なベルト部分の領域においてベルト回転方向に対して垂直に、および/または平坦なベルト部分の領域においてベルト回転方向に対して平行に、調整することができる。
【0017】
さらに、タイヤおよび平坦なベルト部分が接触して、ベルトがタイヤに対して移動されると、タイヤが平坦なベルト部分の上を転動する。平坦なベルト部分は、好適には、タイヤがその上で転動できる平坦な転動面を形成する。すでに説明したように、タイヤを、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の調整によって、この接触位置に加えて、更なる接触位置にすることができる。次いで、タイヤが平坦なベルト部分の上を転動すると、タイヤを、転動時に異なる負荷状態にさせることができる。例えば、タイヤが平坦なベルト部分の上を転動する際に、タイヤのキャンバ、タイヤの斜行、タイヤのタイヤ荷重を、特に接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に対して垂直に、および/または平坦なベルト部分に対するタイヤの位置を、特に接触点がトレッドと平坦なベルト部分との間に存在するベルトにおける接平面に対して平行に、ならびに平坦なベルト部分の領域においてベルト回転方向に対して垂直に、および/または平坦なベルト部分の領域においてベルト回転方向に対して平行に、調整することができる。
【0018】
タイヤ試験スタンドに関連して、当業者が、技術的な見地から平坦な転動面の使用を控えるであろうことが分かった。なぜならば、タイヤの異なる負荷状態によってベルトに作用する力が極めて複雑であり、例えばベルトの移動の際に、特にベルトの回転方向に対して垂直に作用する力に起因して、技術的に複雑で費用のかかる予防措置が講じられないかぎり、ベルトが偏向プーリから外れる危険性があるため、当業者はベルトを使用しないであろう。したがって、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドは、湾曲された転動面を有するドラムに関する。しかしながら、本発明に関連して、ヘキサポッドアセンブリと平坦なベルト部分との組み合わせによって、技術的な複雑性およびコストが高まることが正当化されることが分かった。なぜならば、この組み合わせによって、驚くべきことに、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートできるためである。
【0019】
さらに、タイヤ試験スタンドに関連して、当業者が、技術的見地からヘキサポッドアセンブリの使用を控えるであろうことが分かった。なぜならば、例えば、先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリは、その対称構造のために、転動時に異なる負荷状態になるタイヤの試験にとって不利な方向で剛性が低い。そのため、タイヤの異なる負荷状態に対する反応としてタイヤの反力を測定する際に、ヘキサポッドアセンブリの低い剛性および好ましくない変形を考慮し、例えばそれらを除外しなければならないためである。例えば、先行技術から既知のヘキサポッドアセンブリの対称構造によっては、以下のことは不可能である。すなわち、3つのリニア駆動要素の第1リニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が3つの空間方向の第1空間方向に配向され、3つのリニア駆動要素の第2リニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が3つの空間方向の第2空間方向に配向され、3つのリニア駆動要素の第3リニア駆動要素がタイヤに力を及ぼすとき、この力の最大力成分が3つの空間方向の第3空間方向に配向されるように、6つのリニア駆動要素の少なくとも3つのリニア駆動要素を配置することは、不可能である。したがって、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドは、タイヤに作用する力の方向を、比較的簡単な技術的手段を用いて、比較的低コストで、3つの空間方向すべてにおいて実現することができる、シリアルキネマティクスに関する。しかしながら、本発明に関連して、ヘキサポッドアセンブリと平坦なベルト部分との組み合わせによって、技術的な複雑性およびコストが高まることが正当化されることが分かった。なぜならば、この組み合わせによって、驚くべきことに、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートできるためである。
【0020】
本発明に関連して、タイヤの異なる負荷状態に対する反応としてタイヤの反力を測定する際に、驚くべきことに、ヘキサポッドアセンブリを使用して、タイヤが平坦なベルト部分の上を転動する際に、ヘキサポッドアセンブリおよび平坦なベルト部分による異なる負荷状態に対するタイヤの反力が、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドの場合のものよりも、実際の道路上で使用される際のタイヤの反力に、より良好に対応することが判明した。特に、ヘキサポッドアセンブリと平坦なベルト部分との組み合わせによって、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートできることが判明した。
【0021】
したがって、要約すると、タイヤ試験スタンドは、道路走行時の、タイヤの異なる負荷状態に対するタイヤの反応およびシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートできると明言できる。
【0022】
一実施形態において、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つは、油圧シリンダとして設計される。ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、比較的高い力を伝達できることが保証される。さらに、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、均一かつ正確な調整動作が保証される。特に、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを油圧シリンダとして設計することによって、ヘキサポッドアセンブリの位置決め精度を向上させることができる。特に好適には、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の各々が、油圧シリンダとして設計される。少なくとも1つのリニア駆動要素について述べた利点は、対応して、リニア駆動要素の各々に対して適用される。
【0023】
一実施形態において、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つは、電気機械式リニア駆動装置として設計される。ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、リニア駆動要素を調整するための比較的高い調整速度および高い調整加速度が保証される。さらに、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、均一かつ正確な調整動作が保証される。特に、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の少なくとも1つを電気機械式リニア駆動装置として設計することによって、ヘキサポッドアセンブリの位置決め精度を向上させることができる。特に好適には、ヘキサポッドアセンブリのリニア駆動要素の各々が、電気機械式リニア駆動装置として設計される。少なくとも1つのリニア駆動要素について述べた利点は、対応して、リニア駆動要素の各々に対して適用される。
【0024】
一実施形態において、タイヤ試験スタンドはタイヤ駆動ユニットを備える。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤ駆動ユニットが、タイヤをタイヤ回転方向に駆動することができる。タイヤ駆動ユニットの助けによって、タイヤを、タイヤ回転方向に駆動することができ、したがって、その回転軸を中心に回転運動させることができる。さらに、タイヤ駆動ユニットの助けによって、平坦なベルト部分の上で転動する際に、タイヤをタイヤ回転方向に加速させ、その結果、タイヤを更なる負荷状態にすることができる。タイヤ試験スタンドがベルト駆動ユニットを備えていない場合、タイヤをタイヤ回転方向に駆動して、トレッドと平坦なベルト部分とを接触させることによって、ベルトをベルト回転方向に駆動することができる。
【0025】
一実施形態において、タイヤ試験スタンドはタイヤ制動ユニットを備える。タイヤがタイヤホルダに回転可能に取り付けられているとき、タイヤ制動ユニットが、タイヤをタイヤ回転方向に制動することができる。タイヤ制動ユニットの助けによって、タイヤを、タイヤ回転方向に制動することができ、したがって、その回転軸を中心とする回転運動を減速させることができる。タイヤの回転速度は、タイヤ制動ユニットの助けによって、タイヤ回転方向に低減させることができる。さらに、タイヤ制動ユニットの助けによって、平坦なベルト部分の上で転動する際に、タイヤをタイヤの回転方向に制動して、タイヤを更なる負荷状態にすることができる。
【0026】
一実施形態において、タイヤ試験スタンドは、ベルトをベルト回転方向に駆動することができるベルト駆動ユニットを備える。ベルト駆動ユニットの助けによって、ベルトを、ベルト回転方向に駆動することができる。タイヤ試験スタンドがタイヤ駆動ユニットを備えていない場合、ベルトをベルト回転方向に駆動して、トレッドと平坦なベルト部分とを接触させることによって、タイヤをタイヤ回転方向に駆動することができる。
【0027】
一実施形態において、ベルト駆動ユニットは、偏向プーリの1つの偏向プーリと連結され、この偏向プーリを介してベルトをベルト回転方向に駆動する。ベルト駆動ユニットを偏向プーリの1つの偏向プーリと連結させて、この偏向プーリを介してベルトをベルト回転方向に駆動することによって、ベルト駆動ユニットをベルトと連結するための追加の構成要素を省くことができる。そのため、ベルト用に技術的に単純で費用効果の高い駆動装置が提供される。好適には、ベルト駆動ユニットは、偏向プーリの2つの偏向プーリと連結され、これらの偏向プーリを介してベルトをベルト回転方向に駆動する。ベルト駆動ユニットを偏向プーリの2つの偏向プーリと連結させて、これらの偏向プーリを介してベルトをベルト回転方向に駆動することによって、ベルトを駆動するためのベルトへの力の導入が複数のポイントで提供されるため、ベルトへの機械的負荷が低減可能であることが保証される。
【0028】
本発明の更なる利点、特徴および使用の可能性は、例示的な実施形態の以下の説明および図面から明らかになる。説明および/または図示されるすべて特徴は、それ自体で、および任意の組み合わせで、また個々の請求項におけるそれらの構成またはその従属請求項とは無関係に、本発明の主題を形成する。図において、同じ参照符号は、同じまたは類似の物体を引き続き表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明によるタイヤ試験スタンドの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明によるタイヤ試験スタンド1の実施形態の概略図を示す。図1は、タイヤ試験スタンド1のオペレータ3を更に示す。
【0031】
タイヤ試験スタンド1は、フレーム5と、タイヤホルダ7と、ヘキサポッドアセンブリ9と、ベルト11と、2つの偏向プーリ13と、を備える。タイヤ試験スタンド1は、タイヤ駆動ユニット15と、タイヤ制動ユニット17と、ベルト駆動ユニット19と、を更に備える。
【0032】
ヘキサポッドアセンブリ9は、6つのリニア駆動要素21を備える。6つのリニア駆動要素21の各々は、第1端部23および第2端部25を備える。6つのリニア駆動要素21の各々は、第1端部23でフレーム5に取り付けられ、第2端部25でタイヤホルダ7に取り付けられている。フレーム5の一部分は、図1の後方に延び、図1に見えるフレーム5の部分によって隠されている。6つのリニア駆動要素21の3つは、第1端部23で、図1に見えるフレーム5の部分に取り付けられている。6つのリニア駆動要素21の更なる3つは、第1端部23で、図1で隠されているフレーム5の部分に取り付けられている。6つのリニア駆動要素21の各々は、リニア駆動要素21が汚れることを防ぐために、蛇腹によって包まれている。図1に示される本発明によるタイヤ試験スタンド1の実施形態において、ヘキサポッドアセンブリ9の6つのリニア駆動要素21の各々は、電気機械式リニア駆動装置として設計されている。代替的に、ヘキサポッドアセンブリ9の6つのリニア駆動要素21の各々を、後付けによる油圧シリンダとして設計することもできる。
【0033】
さらに、図1は、トレッド29を有するタイヤ27を示す。タイヤ27は、その回転軸31を中心に回転可能にタイヤホルダ7に取り付けられている。タイヤ駆動ユニット15は、タイヤホルダ7に回転可能に取り付けられたタイヤ27を、タイヤ回転方向Reに駆動することができる。タイヤ制動ユニット17は、タイヤホルダ7に回転可能に取り付けられたタイヤ27を、タイヤ回転方向Reに制動することができる、すなわち、タイヤ27のタイヤ回転方向Reの回転速度を低減させることができる。
【0034】
すでに述べたように、タイヤ試験スタンド1は、ベルト11と、2つの偏向プーリ13と、を備える。2つの偏向プーリ13は、回転可能に取り付けられている。ベルト11は、ベルト11が偏向プーリ13の間に平坦なベルト部分33を形成するように、偏向プーリ13に部分的に巻き付いている。タイヤホルダ7に回転可能に取り付けられたタイヤ27を、ヘキサポッドアセンブリ9のリニア駆動要素21の調整によって、図1に示される、タイヤ27のトレッド29および平坦なベルト部分33が接触する接触位置にすることができる。
【0035】
すでに説明したように、タイヤ試験スタンド1は、ベルト駆動ユニット19を備える。ベルト駆動ユニット19は、ベルト11をベルト回転方向Riに駆動することができる。図1に示される本発明によるタイヤ試験スタンド1の実施形態において、ベルト駆動ユニット19は、図1の左側に示される偏向プーリ13と連結されて、この偏向プーリ13を介して、ベルト11をベルト回転方向Riに駆動する。そして、タイヤ27および平坦なベルト部分33が接触して、ベルト11がタイヤ27に対して移動されると、タイヤ27は平坦なベルト部分33の上を転動する。
【0036】
図1に示される例示的な実施形態において、タイヤ27を、ヘキサポッドアセンブリ9を使用して、平坦なベルト部分33に対して位置決めすることができる。特に、タイヤ27を、ヘキサポッドアセンブリ9のリニア駆動要素21の調整によって、タイヤ27のトレッド29が平坦なベルト部分33と接触する接触位置にすることができる。さらに、タイヤ27を、ヘキサポッドアセンブリ9のリニア駆動要素21の調整によって、この接触位置に加えて、タイヤ27のトレッド29が同様に平坦なベルト部分33と接触する更なる接触位置にすることができる。次いで、タイヤ27が平坦なベルト部分33の上を転動すると、タイヤ27は、転動時に異なる負荷状態に至らされる。タイヤ27が平坦なベルト部分33の上を転動するときのリニア駆動要素21の調整によって、タイヤ27のキャンバ、タイヤ27の斜行、タイヤ27のタイヤ荷重、および/または平坦なベルト部分33に対するタイヤ27の位置を、調整することができる。加えて、タイヤ27を、タイヤ駆動ユニット15によってタイヤ回転方向Reに駆動すること、またはタイヤ制動ユニット17によってタイヤ回転方向Reに制動することができる。その結果、タイヤ27を、転動時に異なる負荷状態に至らすことができる。
【0037】
本発明に関連して、タイヤ27の異なる負荷状態に対する反応としてタイヤ27の反力を測定する際に、驚くべきことに、以下のことが判明した。すなわち、タイヤ27が平坦なベルト部分33の上で転動する際に、ヘキサポッドアセンブリ9を使用すると、ヘキサポッドアセンブリ9および平坦なベルト部分33を介する異なる負荷状態に対するタイヤ27の反応は、先行技術から既知のタイヤ試験スタンドを使用する場合のものよりも、実際の道路上でタイヤが使用される際のタイヤの反応に、より良好に対応するのである。特に、ヘキサポッドアセンブリ9と平坦なベルト部分33との組み合わせによって、道路走行時の実際のシャーシのキネマティクスを、特に良好にシミュレートできることが判明した。
【0038】
加えて、「備える(aufweisend/英語:comprising)」は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞の単数、「ein/英語:a」または「eine/英語:an」は、複数を除外しないことが指摘されるべきである。さらに、上記の例示的な実施形態の1つを参照して説明された特徴は、上記で説明された他の例示的な実施形態の他の特徴と組み合わせて使用することもできることに、留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0039】
1 タイヤ試験スタンド
3 オペレータ
5 フレーム
7 タイヤホルダ
9 ヘキサポッドアセンブリ
11 ベルト
13 偏向プーリ
15 タイヤ駆動ユニット
17 タイヤ制動ユニット
19 ベルト駆動ユニット
21 リニア駆動要素
23 リニア駆動要素の第1端部
25 リニア駆動要素の第2端部
27 タイヤ
29 トレッド
31 回転軸
33 平坦なベルト部分
Re タイヤ回転方向
Ri ベルト回転方向
図1
【国際調査報告】