(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】高温用途のための特定のフタロニトリル樹脂から得られる熱硬化性材料
(51)【国際特許分類】
C08G 73/06 20060101AFI20231211BHJP
【FI】
C08G73/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535757
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 FR2021052245
(87)【国際公開番号】W WO2022123179
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ブラント
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル・ショソワ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・ジェラール
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043PA02
4J043QC22
4J043RA33
4J043RA47
4J043SA14
4J043SA71
4J043SB01
4J043XA03
4J043XA19
4J043ZA12
4J043ZB51
4J043ZB58
(57)【要約】
本発明は、そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のフタロニトリル化合物の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる樹脂の熱処理による硬化から得られる、熱硬化性材料に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のフタロニトリル化合物の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる樹脂の、熱処理による硬化から得られる、熱硬化性材料。
【請求項2】
ヒドロキシル基が、ニトリル基のうちの1つに対してオルト位にある、請求項1に記載の熱硬化性材料。
【請求項3】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ又は複数の置換基を更に有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性材料。
【請求項4】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、2つの-OH基を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項5】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、-CHO基を有する-O-フェニル基及び1つの-OH基を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項6】
フタロニトリル化合物が、下記式(I):
【化1】
[式中、Rは、H、-OH、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従う、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項7】
フタロニトリル化合物が、下記式(II):
【化2】
に従う、請求項1、2、4及び6のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項8】
フタロニトリル化合物が、下記式(III):
【化3】
に従う、請求項1、2、3、5及び6のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項9】
フタロニトリル化合物が、下記式(IV):
【化4】
に従う、請求項8に記載の熱硬化性材料。
【請求項10】
樹脂が、請求項1から9のいずれか一項で定義したフタロニトリル化合物の単一種を重縮合することによって得られる、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項11】
フタロニトリル化合物が、請求項7で定義した式(II)、又は請求項8若しくは9でそれぞれ定義した式(III)若しくは(IV)に従う、請求項10に記載の熱硬化性材料。
【請求項12】
樹脂が、請求項1から9のいずれか一項で定義したフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物を重縮合することによって得られ、
前記他の化合物が、そのベンゼン環上にCN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよい、ベンゼン化合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項13】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、-CHO基を有するフェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を有する、請求項12に記載の熱硬化性材料。
【請求項14】
ベンゼン化合物が、下記式(V):
【化5】
[式中、nは、0から5の範囲の整数であり、該当する場合、1つのR
1又は同一の若しくは異なる複数のR
1は、-OH基、NH
2基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基を表す]
に従う、請求項12又は13に記載の熱硬化性材料。
【請求項15】
ベンゼン化合物が、フェノール、レゾルシノール、フロログリシノール又は2-ヒドロキシメチルフェノールである、請求項12から14のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項16】
樹脂が、請求項1から9のいずれか一項で定義されたフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物を重縮合することによって得られ、
前記他の化合物が、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-CHO基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよい、ベンゼン化合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項17】
フタロニトリル化合物がそのベンゼン環上に2つの-OH基を有する、請求項16に記載の熱硬化性材料。
【請求項18】
ベンゼン化合物が、下記式(VI):
【化6】
[式中、R
2は、-CHO、-CN、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従う、請求項16又は17に記載の熱硬化性材料。
【請求項19】
ベンゼン化合物が、テレフタルアルデヒド又は4,4'-オキシジベンズアルデヒドである、請求項16から18のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項20】
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物であって、前記他の化合物が、そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、若しくはヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を有していてよい、ベンゼン化合物である、少なくとも1種のフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物;又は
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、かつ、そのベンゼン環上にフェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、若しくは-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を更に有する、単一種のフタロニトリル化合物
の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる、樹脂。
【請求項21】
請求項20に記載の樹脂を製造する方法であって、
請求項20で定義された少なくとも1種のフタロニトリル化合物と少なくとも1種の塩基とを接触させる工程と、
続いて前記少なくとも1種のフタロニトリル化合物の重縮合を達成するために好適な温度に加熱する工程と、
前記加熱工程の後、一旦室温に戻された後の、蒸留工程と
を含む、方法。
【請求項22】
使用される塩基が、アミン基を含む有機塩基、例えばトリエチルアミン、又は、アミジン基を含む有機塩基、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
塩基が、最初に存在するフタロニトリル化合物のモル数に対して、5から100モル%の範囲の含有量で存在する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
加熱工程の前に、
- そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、若しくはヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物;又は
- そのベンゼン環上に少なくとも1つの-CHO基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、若しくは-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物
である少なくとも1種の他の化合物を添加する工程を含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
他の化合物が、0.25から1の範囲のモル比(他の化合物/フタロニトリル化合物)に従って使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項20に記載の樹脂の製造に有用な中間体化合物であって、下記式(III):
【化7】
[式中、-CHO基は、フェニル基の置換可能な炭素原子の1つに位置する]
の化合物である、中間体化合物。
【請求項27】
下記式(IV):
【化8】
に従う化合物である、請求項26に記載の中間体化合物。
【請求項28】
請求項1から19のいずれか一項に記載の熱硬化性材料のマトリックスからなる複合材料であって、前記マトリックスが、1種又は複数の充填材を捕捉している、複合材料。
【請求項29】
充填材が、炭素繊維からなる、請求項28に記載の複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のフタロニトリル樹脂の硬化から得られる熱硬化性材料、特定のフタロニトリル樹脂、複合材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフェノプラスト樹脂としても公知の従来のフェノール樹脂は、フェノール化合物(従来、フェノール)及びアルデヒド化合物(従来、ホルムアルデヒド、ホルモールとも称される)の重縮合から生じ、水分子の形成を伴うものであり、この重縮合は、メチレン基を介して互いに結合した芳香環の鎖を含むオリゴマー又は縮合物をもたらし、これらのオリゴマーは、その後、熱重縮合によって、触媒の任意の存在下で、三次元格子に変換することができ、非常に強力な硬化材料を生じさせる。この強度のために、これらの材料は、航空宇宙産業の場合、特にロケットノズル、大気圏再突入に耐性のある部品、熱保護コーティング、特に熱シールドの設計の場合のように、極端な温度及び摩擦の条件に耐性のある材料(特にアブレーション材料)の使用を必要とする産業において用途を見出すことができる。より具体的には、これらの材料は、従来、炭素繊維、ガラス繊維等の充填材を捕捉するポリマーマトリックスを形成する複合材料の組成物に使用されている。
【0003】
ただし、従来のフェノール樹脂は、有利にはレゾール形態で硬化前に使用され、遊離ホルムアルデヒド及びフェノールを更に含む(すなわち未だ縮合していない)。しかしながら、ホルムアルデヒドは分類Ibの発がん性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)化合物であり、2026年からREACH規則を通じて附属書XIVに含まれることになるが、これは換言すれば、0.1%を超えるホルムアルデヒド含有量を含むすべての製品の販売の禁止である。
【0004】
更に、このCMR分類により、将来のREACH規則から、ホルムアルデヒド含有量を低減した、又はホルムアルデヒドを完全に含まないフェノール樹脂又はその代替物を提供することが真に必要とされており、特に、同等又は優れた分解特性を有しながら、この製品に関連する毒性の問題を最小化又は排除することが必要とされている。
【0005】
フェノール樹脂代替物として、熱処理によって、求電子触媒(例えば、ブレンステッド酸若しくはルイス酸)、又は求核触媒(例えば、フェノール化合物、芳香族アミン化合物)の存在下で、フタロニトリル化合物(すなわち、相互にオルト位にある2つのニトリル基を有するベンゼン化合物)の重縮合からもたらされるフタロニトリル樹脂が提示されており、ここで、ニトリル基は、重縮合機構を介して反応し、イソインドリン、トリアジン及びフタロシアニンを形成する。これは、Liuら(Polymer 2018、143、28~39)によって記載されるように、以下に示す反応式で示される。
【0006】
【0007】
より具体的には、2つのフタロニトリル樹脂の世代がすでに出現している。
【0008】
第1の世代は、ビスフェノール塩(A、F、S、A6F等)及び4-ニトロフタロニトリルから合成され、樹脂の硬化(又は架橋)は芳香族ジアミンの存在下で行われた。ただし、これらのモノマーは、融点が高く(185~230℃)、加工可能性のウィンドウが小さいため、その使用が制限されている。このため、第2の世代では、融点が低く使用の領域が幅広いモノマーの開発が目指された。このために、US 2017/0002146に記載されているように、エーテル結合の組み込み、玉継ぎ手の導入、又はより複雑なモノマーの使用等、さまざまな戦略が採用された。この研究は、特に、特定樹脂である「PEEK様フタロニトリル」の開発につながった。しかし、この樹脂の合成に使用されるモノマーは約200℃の融点を有し、ジアミンを添加する必要性と相関し、これにより、不可避的にポリマーの多孔性の形成がもたらされ、最終的に(最大で400℃までの)長時間で高温の硬化時間が必要とされる。
【0009】
更に、フタロニトリル樹脂の開発の鍵は、間違いなく自己触媒系と組み合わせた低融点モノマーの合成である。これらの自己触媒系のうち、WO 2017/105890に記載されているように、フタロニトリル由来のポリベンゾオキサジンが実施されている。得られたポリマーは、Td5%>450℃及び約70%の炭素収率の有利な性能を有する。
【0010】
更に、出発試薬として、ノボラック化合物及びフタロニトリル化合物を含む混合物を使用することが想定されており、後者(フタロニトリル化合物)は、J. Applied. Polym. Sci. 2012、125(1)、649~656に記載されているように、ノボラック化合物の芳香族-OH単位のすべて又は一部と反応する。しかし、これらの樹脂は、特にノボラック化合物を形成するためにホルムアルデヒドの使用を必要とし、それが作業者に健康上の問題を引き起こし得る。樹脂の硬化(又は架橋)は、非置換芳香族ヒドロキシルによって自己触媒され、特に芳香族ヒドロキシル単位の数が多いほど重合温度が低くなる一方、フタロニトリル化合物の割合を増やすと重合温度が高くなることが実証されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US 2017/0002146
【特許文献2】WO 2017/105890
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Liuら(Polymer 2018、143、28~39)
【非特許文献2】J. Applied. Polym. Sci. 2012、125(1)、649~656
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の従来技術及び欠点を考慮して、本発明の著者らは、樹脂から得られる新規な熱硬化性材料であって、その硬化が自己触媒され、その出発試薬が、(ノボラック型又はビスフェノール型モノマーと比較して)低分子量モノマーであり、硬化前は、室温で液体形態又は低融点のガラス状固体を示し、前記熱硬化性材料が、高温に耐性があり、950℃を超える熱分解後に60%を超える炭素収率、及び400℃を超える5%分解温度を有する、熱硬化性材料を提供するという目的を設定する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のフタロニトリル化合物の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる樹脂の、熱処理による硬化から得られる、熱硬化性材料に関する。
【0015】
本発明による熱硬化性材料に使用される樹脂は、以下の利点を有する。
- 出発試薬(この場合、前述のフタロニトリル化合物)が、(ビスフェノール試薬等の従来技術で使用されているものと比較して)低分子量試薬である。
- フタロニトリル化合物上の少なくとも1つのヒドロキシル基の存在が、樹脂のその後の硬化(又は架橋)中に触媒として作用し、樹脂を高温に耐性のある熱硬化性材料にする。
- フタロニトリル化合物の出発試薬としての使用は、樹脂の硬化後に、優れた機械的特性を提供する。
【0016】
本発明による熱硬化性材料は、高温に耐性のある材料であり、特に、950℃を超える熱分解後の60%を超える炭素収率、及び400℃を超える5%分解温度を有する。
【0017】
上述のように、樹脂は、そのベンゼン環上に、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のフタロニトリル化合物の重縮合によって得ることができる。
【0018】
フタロニトリル化合物は、従来、相互にオルト位にある2つのニトリル基を有するベンゼン環からなる化合物であり、この環は、本発明の範囲内であり、また、少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、このヒドロキシル基は、好ましくはニトリル基のうちの1つに対してオルト位にあり、該当する場合、ヒドロキシル基又は2つのニトリル基に結合していないこの環の他の遊離炭素(free carbon:置換可能な炭素)は、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる置換基に任意選択で結合してもよい。換言すれば、そのベンゼン環上にフェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ又は複数の置換基を更に含む。
【0019】
より具体的には、フタロニトリル化合物は、そのベンゼン環上に2つの-OH基を含むことができ、有利には(明らかに、フタロニトリル化合物の2つのニトリル基以外の)他の置換基を伴わないか、あるいは、フタロニトリル化合物は、そのベンゼン環上にただ1つの-OH基と-CHO基を有する-O-フェニル基とを含むことができ、有利には(明らかに、フタロニトリル化合物の2つのニトリル基以外の)他の置換基を伴わず、-OH基と-CHO基を有する-O-フェニル基とは、例えば相互にパラ位にある。
【0020】
特に、フタロニトリル化合物は、下記式(I):
【0021】
【0022】
[式中、Rは、H、-OH、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表し、好ましくは、Rは、-OH、-CHO基を有するフェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従うことができる。
【0023】
より具体的には、フタロニトリル化合物は、Rが-OH基である化合物であり得、その場合、下記式(II):
【0024】
【0025】
に従い、この化合物は、2,3-ジシアノヒドロキノンとも呼ばれる。
【0026】
フタロニトリル化合物は、Rが、-CHO基を有するO-フェニル基を表す化合物でもあり得、その場合、下記式(III):
【0027】
【0028】
に従い、-CHO基は、ベンゼン環の遊離(置換可能な)炭素原子の1つを占め、好ましくは、この-CHO基が、パラ位を占め、それにより、この化合物は下記式(IV):
【0029】
【0030】
に従い、この化合物は、3-(4-ホルミルフェノキシ)-6-ヒドロキシフタロニトリルと呼ばれる。
【0031】
第1の実施形態によれば、本発明による樹脂は、有利には、上記で定義した単一種のフタロニトリル化合物の重縮合によって得ることができ、この樹脂は、したがって、単一種のフタロニトリル化合物の縮合物を含み、より具体的には、
- フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に2つの-OH基を含み、有利には、上記で定義した式(II)の化合物のように、前記環上に他の置換基を伴わない場合、又は
- フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、-OH基以外に、-CHO基を有するフェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を含み、有利には、上記で定義した式(III)又は(IV)の化合物のように、前記環上に他の置換基を伴わない場合である。
【0032】
本発明による、第1の実施形態の特異性を満たす有利な樹脂は、上記の式(II)の化合物又は上記の式(IV)の化合物の塩基性媒体中での重縮合から生じる樹脂である。
【0033】
第2の実施形態によれば、本発明による樹脂は、上記で定義したフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物の重縮合によって得ることができ、この他の化合物は、以下であり得る:
- 第1の変形によれば、-CN基を有しないベンゼン環であって、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を含み、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に1つ又は複数の置換基、例えばアミン基、ヒドロキシル基を有するアルキレン基を含むベンゼン環。この第1の変形は、フタロニトリル化合物がそのベンゼン環上に、-CHO基を有するフェニル基又は-CHO基を有する-O-フェニル基を含み、有利には、上記で定義した式(III)又は(IV)の化合物のように、前記環上に他の置換基を伴わない(明らかに、フタロニトリル化合物のニトリル基又はヒドロキシル基は別として)場合に特に好適である;
- 第2の変形によれば、そのベンゼン環上に、少なくとも1つの-CHO基を含み、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に、1つ又は複数の置換基、例えば、-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物。この第2の変形は、フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、2つの-OH基を含み、有利には、上記で定義した式(II)の化合物のように、前記環上に(明らかに、フタロニトリル化合物の2つのニトリル基は別として)他の置換基を伴わない場合に特に好適である。
【0034】
より具体的には、上記で定義した第1の変形のベンゼン化合物は、下記式(V):
【0035】
【0036】
[式中、nは、0~5の範囲の整数であり、好ましくは、0~2の範囲であり、該当する場合、1つのR1又は同一の若しくは異なる複数のR1は、-OH基、NH2基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基を表す]
に従うことができる。
【0037】
明確にするために、nが0に等しい場合、これは、式上に存在する-OH基は別として、ベンゼン化合物が置換されていないことを意味する(換言すれば、ベンゼン化合物はしたがってフェノールに一致する)。nが1~5の範囲の整数である場合、これは、ベンゼン化合物が、-OH基に加えて、-OH、NH2、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1~5個の置換基によって置換されることを意味する。
【0038】
第1の変形の特異性を満たす有利なベンゼン化合物は、フェノール、レゾルシノール、フロログリシノール(又はベンゼン-1,3,5-トリオール)、2-ヒドロキシメチルフェノールである。
【0039】
第2の実施形態の第1の変形の特異性を満たす有利な樹脂は、上記で定義した式(IV)のフタロニトリル化合物及び上記で定義した式(V)の化合物(例えばフェノール、レゾルシノール、フロログルシノール、2-ヒドロメチル-フェノール)の、塩基性媒体中での重縮合から生じる樹脂であり、これらの樹脂の取得を下記の反応スキームで概略的に表すことが可能である。
【0040】
【0041】
第2の変形に関して、上記で定義したベンゼン化合物は、下記式(VI):
【0042】
【0043】
[式中、R2は、-CHO、-CN、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表し、有利には、-CHO、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従うことができる。
【0044】
第2の変形の特異性を満たす有利なベンゼン化合物は、下記の各式(VII)及び(VIII):
【0045】
【0046】
のテレフタルアルデヒド又は4,4'-オキシジベンズアルデヒドである。
【0047】
第2の実施形態の第2の変形の特異性を満たす有利な樹脂は、上記で定義した式(II)のフタロニトリル化合物及び上記で定義した式(VI)の化合物(特に、上記で定義した式(VII)又は式(VIII)の化合物)の塩基性媒体中での重縮合から生じる樹脂であり、これらの樹脂の取得を下記の反応スキームで概略的に表すことができる。
【0048】
【0049】
[R2は、上記で定義した通りである]
【0050】
特に、樹脂は、上記で定義した1種又は複数のフタロニトリル化合物、及び、任意選択の、上記で定義した1種又は複数の化合物の重縮合によってのみ得られる樹脂(すなわち、重縮合反応自体に関与する他の成分を伴わない樹脂)であり得る。
【0051】
本発明による熱硬化性材料を得る方法は、慣例的に、本発明による樹脂を硬化温度、例えば150℃~350℃の範囲の温度、例えば350℃の温度に加熱することによって硬化させる工程を含み、ここで、熱処理は、好ましくは、不活性雰囲気中、例えば、N2雰囲気中で行われ、前記温度は、1つ又は複数の加熱サイクルの間に達成され得る。
【0052】
本発明による熱硬化性材料に使用される樹脂の中で、一部は新規であり、本発明の主題を形成しており、これらの樹脂は、
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物であって、他の化合物が、そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を含み、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、若しくはヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物である、少なくとも1つのフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物;又は
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、かつ、そのベンゼン環上にフェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、若しくは-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を更に含む、単一種のフタロニトリル化合物、
の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる樹脂である。
【0053】
本発明による熱硬化性材料に使用される樹脂について言及された特徴は、これらの樹脂自体に対して妥当であれば、ここで繰り返すことができる。
【0054】
本発明はまた、上記で定義した少なくとも1種のフタロニトリル化合物と少なくとも1種の塩基とを接触させる工程と、続いて、好適な温度に加熱して、前記少なくとも1種のフタロニトリル化合物の重縮合を達成する工程と、を含む、本発明による樹脂を製造する方法に関する。
【0055】
本発明による樹脂(本方法によって得ることができる樹脂として定義される)に関する上述のフタロニトリル化合物の特異性はまた、本発明による方法に対して妥当である。
【0056】
より具体的には、本発明による方法の範囲内で使用される塩基は、有機塩基、特に、アミン基、例えばトリエチルアミン、又は、アミジン基、例えば下記式(IX):
【0057】
【0058】
の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、を含む有機塩基であり得る。
【0059】
塩基は、好ましくは、最初に存在する(すなわち、重縮合反応が開始する前の)フタロニトリル化合物のモル数に対して5~100モル%の範囲の含有量で存在する。
【0060】
より具体的には、塩基は、最初に存在する(すなわち、重縮合反応が開始する前の)フタロニトリル化合物のモル数に対して50~100モル%の割合で存在することができ、更により具体的には、50モル%の割合で存在することができる。
【0061】
フタロニトリル化合物、及び該当する場合には以下に定義される他の化合物の、重縮合を達成するための好適な温度は、有利には、80℃以上の値に設定することができ、より具体的には、80℃~130℃の範囲とすることができ、少なくとも1時間、より具体的には、1時間~24時間の間温度を維持することが可能である。
【0062】
塩基と接触させる前に、フタロニトリル化合物を有機溶媒、例えばエタノール等のアルコール溶媒、アセトニトリル等のニトリル溶媒、又はジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒に可溶化することができ、溶媒の選択は、明らかに、本発明による方法で使用されるフタロニトリル化合物に依存する。
【0063】
更に、求められている樹脂に応じて、加熱工程の前に、フタロニトリル化合物及び塩基に加えて、少なくとも1種の他の化合物、例えば:
- 第1の変形によれば、そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を含み、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に1つ又は複数の置換基、例えばアミン基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基を含んでいてよい、ベンゼン化合物;この第1の変形は、フタロニトリル化合物がそのベンゼン環上に、-CHO基を有するフェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を含み、有利には、上記で定義した式(III)又は(IV)の化合物のように、前記環上に他の置換基(明らかに、フタロニトリル化合物のニトリル基及びヒドロキシル基は別として)を伴わない場合に特に好適である;
- 第2の変形によれば、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-CHO基を含み、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に1つ又は複数の置換基、例えば、-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を含んでいてよい、ベンゼン化合物;この第2の変形は、フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、2つの-OH基を含み、有利には、上記で定義した式(II)の化合物のように、前記環上に他の置換基(明らかに、フタロニトリル化合物の2つのニトリル基は別として)を伴わない場合に特に好適である、
を添加することが可能であり、
この添加は、好適な温度に加熱して、フタロニトリル化合物及び上記で定義した他の化合物の重縮合を達成する工程の前に実施される。
【0064】
樹脂自体の説明部分において上記で提供された第1の変形及び第2の変形の化合物の具体例は、方法自体の説明部分に対しても妥当である。
【0065】
使用する他の化合物に応じて、この添加は、フタロニトリル化合物及び塩基が接触した後に実施することができ(例えば、フタロニトリル化合物が式(II)に従い、他の化合物が一般式(VI)に従う場合であり得る)、塩基との接触と同時に実施することができ(例えば、フタロニトリル化合物が一般式(III)に従い、他の化合物がフェノール、レゾルシノール、フロログルシノールである場合)又は、フタロニトリル化合物とともに実施して混合物を形成することができ、これに塩基が添加される(例えば、フタロニトリル化合物が一般式(III)に従い、他の化合物が2-ヒドロキシメチルフェノール又は2-アミノフェノールである場合)。
【0066】
他の化合物の性質に応じて、フタロニトリル化合物及び塩基と他の化合物とを接触させる前に、他の化合物を溶融することを目的とした加熱操作、又は均一な混合物を得るための、他の化合物とフタロニトリル化合物との還流加熱操作がある場合がある。
【0067】
より具体的には、接触工程及び加熱工程は、上記で定義した1種又は複数のフタロニトリル化合物、任意選択の上記で定義した1種又は複数の他の化合物、1種又は複数の有機溶媒、及び上記で定義した1種又は複数の塩基、のみの存在下で実行される(換言すれば、他の成分を必要としないことを意味する)。
【0068】
他の化合物は、存在する場合、0.25~1の範囲のモル比(他の化合物/フタロニトリル化合物)に従って使用され得る。
【0069】
本発明による方法の加熱工程の後、温度は、慣例的に、室温に戻される。
【0070】
本発明による方法の加熱工程の後、一旦室温に戻された後に、本発明による方法は、樹脂を蒸留する工程を含むことができ、この蒸留は、特に有機溶媒を除去することを可能にする。
【0071】
上記に言及され、本発明の範囲内での使用に好適な他の化合物のうち、いくつかは新規であり、本発明の主題を形成しており、これらの化合物は、本発明による樹脂の製造に有用な中間体化合物であり、下記式(III):
【0072】
【0073】
に従い、-CHO基が、フェニル基の遊離炭素原子(置換可能な炭素原子)の1つを占め、具体例は、-CHO基がパラ位を占める化合物であり、この化合物は下記式(IV):
【0074】
【0075】
に従い、この化合物は、3-(4-ホルミルフェノキシ)-6-ヒドロキシフタロニトリルと呼ばれる。
【0076】
式(IV)の化合物は、塩基性媒体(例えば、炭酸カリウム)中で、2,3-ジシアノヒドロキノンを-CHO基及び求核基、例えばハロゲン原子(より具体的には、フッ素原子)を有するベンゼン化合物と反応させる工程を含む方法で得ることができ、この反応は、下記の反応スキームで表すことができる芳香族求核置換反応である。
【0077】
【0078】
[Xは、求核基(nucleofuge group)を表す]
【0079】
本発明による方法の後、得られた樹脂は、フタロニトリル化合物の縮合物、並びに該当する場合には、フタロニトリル化合物及び上記で定義した他の化合物の縮合物を含む樹脂である。
【0080】
本発明はまた、上記で定義した熱硬化性材料のマトリックスからなる複合材料であって、前記マトリックスが、1種又は複数の充填材を捕捉する、複合材料に関する。
【0081】
本発明による複合材料を得る方法は、慣例的に、以下の一連の工程を含む:
- 1種又は複数の充填材を好適な樹脂に添加する工程;
- 1種又は複数の充填材を含む樹脂を、硬化温度、例えば150℃~350℃の範囲の温度、例えば350℃の温度に加熱することによって硬化させる工程であって、樹脂とマトリックス中に分散した充填材との硬化から生じるマトリックスを含む複合材料が得られ、前記温度が、1つ又は複数の加熱サイクル中に達成され得る、工程。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明のさらなる特徴及び利点は、特定の実施形態を参照して、以下の補足説明から明らかになるであろう。
【0083】
明らかに、この補足説明は、単に発明の例示のために与えられており、決して制限するものではない。
【実施例1】
【0084】
この実施例では、2,3-ジシアノヒドロキノン(本実施例及び以下の例では、略称2,3-DCNHQで表す)に対応する、下記式(II):
【0085】
【0086】
のフタロニトリル化合物の重縮合から得られる樹脂の調製を示し、重縮合は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(本実施例及び以下の例では、略称DBUで表す)を使用して塩基性媒体中で実施する。
【0087】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ(single-neck round-bottom flask)中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでDBU(0.76g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで褐色の樹脂(3.51g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例2】
【0088】
この実施例は、フタロニトリル化合物である2,3-DCNHQの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミン(Et3N)を使用して塩基性媒体中で実施する。
【0089】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでトリエチルアミン(0.51g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで170℃の融点を有する溶融性の黒色固体(2.48g)が得られるまで、40℃の真空中で蒸留する。
【実施例3】
【0090】
この実施例は、フタロニトリル化合物である2,3-DCNHQ及びテレフタルアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合はDBUを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0091】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでDBU(0.76g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、テレフタルアルデヒド(0.67g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで橙色の樹脂(2.96g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例4】
【0092】
この実施例は、フタロニトリル化合物である2,3-DCNHQ及びテレフタルアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合はトリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0093】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでトリエチルアミン(0.51g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、テレフタルアルデヒド(0.67g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで褐色の樹脂(2.96g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例5】
【0094】
この実施例は、フタロニトリル化合物である2,3-DCNHQ及び4,4'-オキシジベンズアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合はDBUを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0095】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでDBU(0.76g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、4,4'-オキシジベンズアルデヒド(1.18g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで褐色の樹脂(4.51g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例6】
【0096】
この実施例は、フタロニトリル化合物である2,3-DCNHQ及び4,4'-オキシジベンズアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合はトリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0097】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2,3-DCNHQ(1.63g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでトリエチルアミン(0.51g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、4,4'-オキシジベンズアルデヒド(1.18g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで褐色の樹脂(4.20g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【0098】
比較例1
この例は、ヒドロキノン、テレフタルアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示す、本発明によらない例であり、この重縮合はDBUを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0099】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、ヒドロキノン(1.12g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでDBU(0.76g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、テレフタルアルデヒド(0.67g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで黒色の樹脂(3.73g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【0100】
比較例2
この例は、ヒドロキノン、テレフタルアルデヒドの重縮合から得られる樹脂の調製を示す、本発明によらない例であり、この重縮合はトリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0101】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、ヒドロキノン(1.12g、0.01mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでトリエチルアミン(0.51g、0.005mol)を添加する。均一な混合物が得られたら、テレフタルアルデヒド(0.67g、0.005mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで黒色の樹脂(5.92g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例7】
【0102】
この実施例は、本発明による樹脂の調製のための中間生成物の調製を示すものであり、この中間生成物は下記式(IV):
【0103】
【0104】
に従い、この中間生成物は、3-(4-ホルミルフェノキシ)-6-ヒドロキシフタロニトリルに対応し、以下、本実施例及び以下の例では、FPHPで表す。
【0105】
この目的のために、窒素下で250mL一口丸底フラスコ内に、2,3-ジシアノヒドロキノン(8.60g、0.053mol)、ジメチルスルホキシドDMSO(50mL)及び4-フルオロベンズアルデヒド(7.99g、0.063mol)を導入する。混合物を撹拌し、均一になったら、炭酸カリウム(21.81g、0.158mol)を添加し、次いで媒体を110℃に4時間加熱する。反応の最後に、加熱を停止し、過剰の4-フルオロベンズアルデヒド及びDMSOの一部を除去するために、混合物を75℃及び5mbarの真空中で蒸留する。残留物を三角フラスコに移し、水500mLを添加し、HCl(1M)溶液を使用してpHを約5に戻す。次いで、有機相を酢酸エチルで3回抽出し、次いで有機相を回収し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。得られた粉末を、次いで50℃及び1mBarの真空中で12時間保持する。次いで、3-(4-ホルミルフェノキシ)-6-ヒドロキシフタロニトリルを得る(m=11.94g、収率=85%)。生成物はそのまま使用し、追加の精製は伴わない。
【実施例8】
【0106】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物の重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、DBUを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0107】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、FPHP(0.81g、0.003mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでDBU(0.23g、0.0015mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで黒色の樹脂(3.73g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例9】
【0108】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物の重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0109】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、FPHP(1.07g、0.004mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでトリエチルアミン(0.20g、0.002mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、室温で沈殿物を形成するが、加熱中に再吸収される橙色の樹脂(1.69g)を得るまで次いで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例10】
【0110】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物及びフェノールの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0111】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、FPHP(1.20g、0.0045mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでフェノール(0.285g、0.003mol)及びトリエチルアミン(0.152g、0.0015mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで黄色の樹脂(2.94g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例11】
【0112】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物及びレゾルシノールの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0113】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、FPHP(1.20g、0.0045mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでレゾルシノール(0.330g、0.003mol)及びトリエチルアミン(0.152g、0.0015mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、次いで橙色の樹脂(2.76g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例12】
【0114】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物及びフロログルシノールの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0115】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、FPHP(1.20g、0.0045mol)をアセトニトリル(10mL)に予め可溶化し、次いでフロログルシノール(0.382g、0.003mol)及びトリエチルアミン(0.152g、0.0015mol)を添加する。得られた混合物を機械的に撹拌し、90℃に24時間加熱する。次いで、混合物を室温に戻し、褐色のガラス状固体(2.81g)を得る。
【実施例13】
【0116】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物及び2-ヒドロキシメチルフェノール(2-HMP)の重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、DBUを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0117】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中で、2-HMP(0.627g、0.005mol)を130℃で溶融させ、次いでFPHP(1.34g、0.005mol)を極少量のエタノールとともに導入して均一な媒体を得る。最後に、DBU(0.038g、0.25mmol)を添加して、媒体を機械的撹拌下で冷却剤なしで130℃にて30分間保持する。次いで、褐色の樹脂(3.71g)を取り出す。
【実施例14】
【0118】
本実施例は、上記の実施例7で調製したFPHP化合物及び2-アミノフェノールの重縮合から得られる樹脂の調製を示すものであり、この重縮合は、トリエチルアミンを使用して塩基性媒体中で実施する。
【0119】
この目的のために、50mL一口丸底フラスコ中に、FPHP(1.34g、0.005mol)、2-アミノフェノール(0.55g、0.005mol)及びエタノール(10mL)を導入する。媒体を1時間加熱還流し、次いでトリエチルアミン(0.256g、2.5mmol)を添加し、24時間加熱を継続する。次いで、加熱を停止し、媒体を室温に戻し、赤色の樹脂(3.82g)が得られるまで40℃の真空中で蒸留する。
【実施例15】
【0120】
先行する実施例で得られた樹脂を不活性雰囲気中で熱処理によって硬化させ、この熱処理は、350℃の温度に達するまで連続する2つのサイクルを含み、第1サイクルは、65℃で40時間、80℃で40時間、95℃で21時間、120℃で8時間、150℃で5時間及び175℃で36時間の操作を含み、第2サイクルは、200℃で1時間、250℃で1時間、300℃で1時間及び350℃で1時間の操作を含む。
【0121】
第1サイクル及び第2サイクルの終わりに得た生成物は、TA Instruments社が提供するTGA-Q500装置を使用して実行した熱重量分析によって分析し、この分析は、最大1000℃まで20℃/分でアルゴン中のランプで構成され、この処理の終わりに得られた残留物は、炭素収率(%C)、及び5%質量分解(Td5%)での温度によって認定した。
【0122】
以下のTable 1(表1)は、第1サイクルの終わりに得た生成物についての結果を示す。
【0123】
【0124】
以下のTable 2(表2)は、第2サイクルの終わりに得た生成物についての結果を示す。
【0125】
【0126】
実施例7のFHPHは、最大175℃までのサイクルでは、そのサイクルが約220℃であるその融点未満の温度を有するため、特徴付けられなかった。
【0127】
比較例1及び比較例2の比較樹脂は、DSCにより、最大175℃までのサイクル後に残留発熱が観察されないため、350℃で硬化しなかった。更に、350℃で、それらは分解し始めた。これは、フタロニトリル単位を挿入することで、特に材料の熱安定性を高めることが可能となることを示している。
【0128】
更に、本発明による樹脂からの最大350℃までの熱硬化性材料は、950℃を超える熱分解後の60%を超える炭素収率、及び400℃を超える5%分解温度を有し、これは、材料が高温に耐性があることを実証している。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のフタロニトリル化合物の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる樹脂の、熱処理による硬化から得られる、熱硬化性材料。
【請求項2】
ヒドロキシル基が、ニトリル基のうちの1つに対してオルト位にある、請求項1に記載の熱硬化性材料。
【請求項3】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、
- フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ又は複数の更なる置換基、及び/又は、
- 2つの-OH基、又は、-CHO基を有する-O-フェニル基及び1つの-OH基
を有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性材料。
【請求項4】
フタロニトリル化合物が、下記式(I):
【化1】
[式中、Rは、H、-OH、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従う、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項5】
フタロニトリル化合物が、下記式(II)
又は下記式(III):
【化2】
に従う、請求項1
から4のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項6】
フタロニトリル化合物が、下記式(IV):
【化3】
に従う、請求項
5に記載の熱硬化性材料。
【請求項7】
樹脂が、請求項1から
6のいずれか一項で定義したフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物を重縮合することによって得られ、
前記他の化合物が、そのベンゼン環上にCN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよい、ベンゼン化合物である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項8】
フタロニトリル化合物が、そのベンゼン環上に、-CHO基を有するフェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を有する、請求項
7に記載の熱硬化性材料。
【請求項9】
ベンゼン化合物が、下記式(V):
【化4】
[式中、nは、0から5の範囲の整数であり、該当する場合、1つのR
1又は同一の若しくは異なる複数のR
1は、-OH基、NH
2基、又はヒドロキシル基を有するアルキレン基を表す]
に従う、請求項
7又は
8に記載の熱硬化性材料。
【請求項10】
ベンゼン化合物が、フェノール、レゾルシノール、フロログリシノール又は2-ヒドロキシメチルフェノールである、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項11】
樹脂が、請求項1から
6のいずれか一項で定義したフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物を重縮合することによって得られ、
前記他の化合物が、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-CHO基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ又は複数の置換基を有していてもよい、ベンゼン化合物である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項12】
フタロニトリル化合物がそのベンゼン環上に2つの-OH基を有する、請求項
11に記載の熱硬化性材料。
【請求項13】
ベンゼン化合物が、下記式(VI):
【化5】
[式中、R
2は、-CHO、-CN、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、又は-CHO基を有する-O-フェニル基を表す]
に従う、請求項
11又は
12に記載の熱硬化性材料。
【請求項14】
ベンゼン化合物が、テレフタルアルデヒド又は4,4'-オキシジベンズアルデヒドである、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の熱硬化性材料。
【請求項15】
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物であって、前記他の化合物が、そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、若しくはヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を有していてよい、ベンゼン化合物である、少なくとも1種のフタロニトリル化合物及び少なくとも1種の他の化合物;又は
- そのベンゼン環上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有し、かつ、そのベンゼン環上にフェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、若しくは-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を更に有する、単一種のフタロニトリル化合物
の塩基性媒体中での重縮合によって得ることができる、樹脂。
【請求項16】
請求項
15に記載の樹脂を製造する方法であって、
請求項
15で定義した少なくとも1種のフタロニトリル化合物と少なくとも1種の塩基とを接触させる工程と、
続いて前記少なくとも1種のフタロニトリル化合物の重縮合を達成するために好適な温度に加熱する工程と、
前記加熱工程の後、一旦室温に戻された後の、蒸留工程と
を含む、方法。
【請求項17】
塩基が、最初に存在するフタロニトリル化合物のモル数に対して、5から100モル%の範囲の含有量で存在する、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
加熱工程の前に、
- そのベンゼン環上に-CN基を有さず、そのベンゼン環上に少なくとも1つの-OH基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上にアミン基、若しくはヒドロキシル基を有するアルキレン基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物;又は
- そのベンゼン環上に少なくとも1つの-CHO基を有し、かつ、任意選択で、そのベンゼン環上に-CN基、フェニル基、-CHO基を有するフェニル基、-O-フェニル基、若しくは-CHO基を有する-O-フェニル基から選ばれる1つ若しくは複数の置換基を含んでいてもよい、ベンゼン化合物
である少なくとも1種の他の化合物を添加する工程を含む、請求項
16又は17に記載の方法。
【請求項19】
請求項
15に記載の樹脂の製造に有用な中間体化合物であって、下記式(III):
【化6】
[式中、-CHO基は、フェニル基の置換可能な炭素原子の1つに位置する]
の化合物である、中間体化合物。
【請求項20】
下記式(IV):
【化7】
に従う化合物である、請求項
19に記載の中間体化合物。
【請求項21】
請求項1から
14のいずれか一項に記載の熱硬化性材料のマトリックスからなる複合材料であって、前記マトリックスが、1種又は複数の充填材を捕捉している、複合材料。
【請求項22】
充填材が、炭素繊維からなる、請求項
21に記載の複合材料。
【国際調査報告】