(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(54)【発明の名称】ケラチン材料をコーティングするためのプロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231211BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20231211BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231211BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20231211BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231211BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231211BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231211BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20231211BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/06
A61K8/9789
A61K8/60
A61K8/73
A61K8/39
A61K8/86
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535760
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2021084222
(87)【国際公開番号】W WO2022128540
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・イレクティ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・プロ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB232
4C083AC011
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC182
4C083AC332
4C083AC421
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4C083AC841
4C083AD041
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4C083AD112
4C083AD191
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4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、ケラチン材料をコーティングするためのプロセスに関し、このプロセスは、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、前述のポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって形成されたコーティング剤を前述の材料に適用することからなる。より具体的には、このプロセスは、ケラチン材料をメイクアップすることを目的としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための方法であって、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、前記ポリフェノールXの前記フェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によってその場で形成されたコーティング剤を前記材料に適用することからなる方法。
【請求項2】
前記ポリフェノールXは、カテキンタンニンから選択される、特にガロタンニン及びエラジタンニンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリフェノールXは、エピガロカテキン、特に緑茶抽出物であり、特に前記抽出物の質量に対して少なくとも45質量%のエピガロカテキンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリフェノールXは、プロシアニジン又はプロシアニジンの混合物、特に、海岸松樹皮の抽出物であり、特に前記抽出物の総質量に対して少なくとも65質量%のプロシアニジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリフェノールXは、タンニン酸である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリフェノールXは、それ(それら)を含む前記組成物の総質量に対して、0.8質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より具体的には2.0質量%以上の含有量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリフェノールXは、それ(それら)を含む前記組成物の総質量に対して、1.0~30.0質量%、より具体的には2.0~30%の含有量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物Yは、それ(それら)を含む前記組成物の媒体において、その(それらの)構造にいかなるアニオン基も含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
化合物Yは、ヒドロキシル、酸無水物、アミン、アミド、カルバメート、ウレタン、カルバミド、尿素、チオール、グリセリル、アクリレート、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、ビニルアミン、ビニルホルムアミド、及びそれらの混合物から選択される、同一であり得る又は異なり得る、少なくとも2つの官能基Gyを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物Yは、果物又は野菜から得られる糖、特にグルコース、サッカロース、スクロース、フルクトース及びソルビトールなどのリンゴ抽出物から生成される単糖とは異なる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物Yは、非イオン性であり、好ましくは、プルラン、セチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース、改質グアーガム、特にヒドロキシプロピルグアー、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、特にポリグリセリル-10カプレート及びポリグリセリル-10ラウレート、PEG-180などのポリエチレングリコール、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリソルベート、特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化(120OE)ホホバワックスなどのポリオキシアルキレン化エステルワックス、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物Yは、それ(それら)を含む前記組成物の総質量に対して、0.8質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より具体的には2.0質量%以上の含有量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物Yは、それ(それら)を含む前記組成物の総質量に対して、1.0~30.0質量%、より具体的には2.0~30%の含有量で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリフェノールXの反応性ヒドロキシル基(OH)と、化合物Yの反応性官能基Gyとのモル比は、1/3~20、より優先的には1/2~15、より具体的には3/4~3の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ケラチン材料に、
a)特に生理学的に許容可能な媒体に、請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリフェノールXを含む少なくとも1つの組成物(A)、及び
b)特に生理学的に許容可能な媒体に、請求項1又は請求項8~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物Yを含む少なくとも1つの組成物(B)を適用することからなり、
前記組成物(A)及び(B)は、前記ケラチン材料に、i)同時に、又はii)使用時に即座の混合物の形態で、又はiii)適用の順序に関係なく、連続して、適用される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
組成物(A)及び/又は組成物(B)は、少なくとも1つの水性相を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
水は、組成物(A)又は(B)の総質量に対して、30質量%超、又は更には40質量%超、より優先的には30%~85%の範囲の濃度で存在する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組成物(A)及び/又は組成物(B)のpHは、8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
組成物(A)及び/又は組成物(B)は、油性相を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
組成物(A)及び/又は組成物(B)は、無水であり、好ましくは油性相を含み、より具体的には少なくとも1つの揮発性炭化水素系油、より具体的にはイソドデカンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記油性相濃度は、組成物(A)又は(B)の総質量に対して、10質量%超、又は更には20質量%超、より具体的には30質量%~75質量%の範囲である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための化粧用キットであって、少なくとも、a)請求項15~21のいずれか一項に記載の第1の組成物(A)と、b)請求項15~21のいずれか一項に記載の第2の組成物(B)と、を含み、前記組成物(A)及び(B)は別々に包装されている、化粧用キット。
【請求項23】
特に生理学的に許容可能な媒体に、請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリフェノールXの、請求項1又は8~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって事前に形成された少なくとも1つのコーティング剤を含む少なくとも1つの組成物(C)を前記ケラチン材料に適用することからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
特に生理学的に許容可能な媒体に、
a)請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリフェノールXと、
b)請求項1又は8~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物Yと、
c)少なくとも1つの水素結合阻害剤と、を含む少なくとも1つの組成物(D)を前記ケラチン材料に適用することからなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
組成物(C)は、組成物(C)の総質量に対して、1質量%~60質量%の範囲、より優先的には2質量%~40質量%の範囲、好ましくは10質量%~40質量%の範囲の含有量で前記事前形成されたコーティング剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
組成物(C)又は(D)は、少なくとも1つの水性相を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記水は、組成物(C)又は(D)の総質量に対して、30質量%超、又は更には40質量%超、より優先的には30%~75%の範囲の濃度で存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
組成物(C)又は(D)のpHは、8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
組成物(C)又は(D)は、油性相を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
組成物(C)又は(D)は、無水である、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
組成物(C)又は(D)は、油性相を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記油性相濃度は、組成物(C)又は(D)の総質量に対して、10質量%超、又は更には20質量%超、より具体的には30質量%~75質量%の範囲である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
組成物(C)又は(D)の前記油性相は、少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
組成物(C)又は(D)は、少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油性相を含み、特に水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、多重エマルジョン又はワックスの水性分散液の形態である、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
組成物(C)又は(D)は、少なくとも1つのワックスを含む、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
組成物(D)は、2~8の炭素原子を含む少なくとも1つのモノアルコール、より具体的にはエタノールを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記モノアルコールは、組成物(D)の総質量に対して、10質量%超、又は更には30質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲の含有量で存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記水素結合阻害剤は、無機塩基及び有機塩基から選択される、請求項24、26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記水素結合阻害剤は、水素結合を切断することができる有機溶媒から選択され、特に2~8の炭素原子を含むモノアルコール、より具体的にはエタノールから選択される、請求項24及び26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
水素結合を切断することができる前記有機溶媒は、組成物(D)の総質量に対して、10質量%超、又は更には30質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲の含有量で存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ケラチン材料をメイクアップするための方法であり、前記ポリフェノールX及び/又は前記化合物Y又はそれらの間の水素結合相互作用によって事前に形成された前記コーティング剤は、少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を有する組成物中にある、請求項1~40のいずれか一項に記載の美容的方法。
【請求項42】
組成物(A)、(B)、(C)又は(D)は、特に、コーティングされた又はコーティングされていない顔料、水溶性染料、脂溶性染料、及びそれらの混合物から選択される、合成、天然又は天然由来の少なくとも1つの染料を含む、請求項15~41のいずれか一項に記載のケラチン材料をメイクアップするための美容的方法。
【請求項43】
請求項15~21のいずれか一項に記載のケラチン材料をメイクアップするための美容的方法であって、前記材料に:
a)請求項15~21のいずれか一項に記載の方法に従って組成物(A)及び(B)を用いて形成された第1のコート、及び
b)前記第1のコートに対する、少なくとも1つの染料を含むメイクアップ組成物(M)を用いた第2のコートを、連続して適用することからなる、美容的方法。
【請求項44】
請求項15~21のいずれか一項に記載のケラチン材料をメイクアップするための美容的方法であって、前記材料に:
a)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなる第1のコート、及び
b)前記第1の着色されたコートに対する、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法に従って少なくとも組成物(A)及び(B)を用いて形成された第2のコートを、連続して適用することからなる、美容的方法。
【請求項45】
前記材料に:
a)請求項23又は25~35のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組成物(C)或いは請求項24又は26~40のいずれか一項に記載の組成物(D)を用いた第1のコート、及び
b)前記第1のコートに対する、少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)を用いた第2のコートを、連続して適用することからなる、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記材料に:
a)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)を用いた第1のコート、及び
b)前記第1の着色されたコートに対する、請求項23又は25~35のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組成物(C)或いは請求項24又は26~40のいずれか一項に記載の組成物(D)を用いた第2のコートを、連続して適用することからなる、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン材料をコーティングする分野、特にケア及び/又はメイクアップ、より具体的にはメイクアップの分野に関し、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのためのプロセスを提案することを対象とし、これは、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって形成されたコーティング剤を前述の材料に適用することからなる。
【背景技術】
【0002】
現在、ケラチン材料のケアとメイクアップのために市場に出回っている多くの製品は、水、皮脂、機械的摩擦などの外的要因に耐え、1日を通して持続すると訴求している(防水加工したマスカラ、耐食品(food-proof)リップスティック、長持ちするファンデーション)。家庭で使用できる唇、睫毛、眉毛、又は顔用の長持ちする製品は、主に有機溶媒の存在下での合成コーティングポリマーを基本としている。唇をメイクアップすることにおいて及び顔をメイクアップするための組成物において、コーティング剤としてシリコーン樹脂を含む組成物、例えば、INCI名:Trimethylsiloxysilicateを有する化合物又はINCI名:Polypropylsilsesquioxaneを有する化合物など、また或いはINCI名:Acrylates/polytrimethylsiloxymethacrylate copolymerを有する製品などのシリコーンアクリレートコポリマーなどが、知られている。睫毛及び/又は眉毛(マスカラ、アイライナー)のための長持ちするメイクアップ製品は、それらの一部において、ラテックスタイプ(即ち、スチレン/アクリレートコポリマー)の水性懸濁液中のワックス又は皮膜形成ポリマー粒子を使用する。
【0003】
これらの長持ちする製品に加えて、現在の傾向は、半永久的なメイクアップに向かっている。具体的には、近年、従来のメイクアップ製品は、プロのサロンでの半永久的なメイクアップの市場と競合している。これは、目元(半永久的なマスカラ、永久的な睫毛のメイクアップ、睫毛エクステなど)における、眉毛(マイクロブレードとして知られる半色素沈着(semi-pigmentation))における、顔貌(そばかす、ほくろ又は顔全体、輝く又は健康的な顔色効果)における、或いは唇(半永久的な刺青)におけるメイクアップの分野で見られる。この新しい傾向により、消費者は実用性を高めるために(毎日メイクアップをする及びメイクアップを落とす必要性を省くこと、目覚めた直後の健康的な顔色効果など)ますます長時間の持続性を求めるようになってきている。
【0004】
しかしながら、それらの化粧用製品の組成に関して厳しい要求をしている消費者は、環境への影響がほとんど又はまったくない成分及び/又は多数のパッケージング(packaging)と適合性のある成分を有する、天然成分など、十分に許容される成分を有する製品を使用することも求めている。
【0005】
本発明の目的は、期待される美容的効果、特に、一日の終わりのメイク落としを含む、1日から数日に渡る持続性まで及ぶことができる、ケラチン材料(皮膚、唇、爪、髪、睫毛、眉毛)におけるメイクアップの色の優れた持続性を提供する組成物を提案することであり、この持続性は、機械的摩擦、水、汗及び発汗、皮脂、油、クレンジング製品、例えば、シャワージェル、シャンプー、二相製品及び特定のミセル水などに耐久性がある。
【0006】
加えて、本発明の目的は、期待される美容的効果、特にケラチン材料におけるメイクアップの色の持続性を、特にシリコーン樹脂に基づく従来のシステムと比較して、良好なレベルの快適さと組み合わせて提供する組成物を提案することである。「快適さ」という用語は、粘着性がないことを意味する。
【0007】
その研究の過程で、出願人は、予想外に、前述で定義された目的が、特にケア及び/又はメイクアップ、より具体的にはメイクアップのためにケラチン材料をコーティングするプロセスで達成されたことを発見し、このプロセスは、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノールと少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基を含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって形成されるコーティング剤を前述の材料に適用することからなる。
【0008】
本発明者らは、予想外に、ケラチン材料の上層に堆積され、室温及び大気圧で、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用から生じたコーティング剤が、一日の終わりのメイク落としを含む、1日から数日に渡る持続性まで及ぶことができる、ケラチン材料(皮膚、唇、爪、髪、睫毛、眉毛)における期待される美容的効果の優れた持続性を可能にし、この持続性は、機械的摩擦、水、皮脂、油、クレンジング製品、例えば、シャワージェル、シャンプー、二相製品及び特定のミセル水などに耐久性があることを見出した。
【0009】
本発明者らはまた、本発明に従って得られたコーティング剤により、良好なレベルの快適さ、及び特に粘着効果の欠如を得ることができることを見出した。
【0010】
更に、前述のコーティング剤は、前述のポリフェノールと水素結合を形成することができる天然化合物又は天然由来の化合物を用いて得ることができる。
【0011】
この発見は、本発明の基礎をなす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、その態様の1つによれば、本発明は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのためのプロセスに関し、このプロセスは、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって形成されたコーティング剤を前述の材料に適用することからなる。
【0013】
本発明の第2の主題は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための美容的方法であり、このプロセスは、前述のケラチン材料に以下を適用することからなる:
a)特に生理学的に許容可能な媒体に、少なくとも2つの異なる基を含む少なくとも1つのポリフェノールXを含む少なくとも1つの組成物(A)、及び
b)特に生理学的に許容可能な媒体に、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yを含む少なくとも1つの組成物(B)、
前述の組成物(A)及び(B)は、ケラチン材料に、i)同時に、又はii)使用時に即座の(extemporaneous)混合物の形態で、又はiii)適用の順序に関係なく、連続して、適用される。
【0014】
本発明の別の主題は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための化粧用キットであり、これは、少なくとも、
a)前述で定義された第1の組成物(A)と、
b)前述で定義された第2の組成物(B)と、を含み、前述の組成物(A)及び(B)は、別々に包装される。
【0015】
本発明の別の主題は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための美容的方法であり、このプロセスは、特に生理学的に許容可能な媒体に、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって事前に形成された少なくとも1つのコーティング剤を含む少なくとも1つの組成物(C)を、前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0016】
本発明の別の主題は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための美容的方法であり、このプロセスは、特に生理学的に許容可能な媒体に、
a)少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXと、
b)同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yと、
c)少なくとも1つの水素結合阻害剤と、を含む少なくとも1つの組成物(D)を前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0017】
本発明の別の主題は、ポリフェノールX及び/又は化合物Y又はそれらの間の水素結合相互作用によって事前に形成されたコーティング剤が、少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を有する組成物中にある、ケラチン材料をメイクアップするための美容的方法である。
【0018】
定義
本発明の文脈において、「ケラチン材料」という用語は、特に、顔、体、手、目の周りの領域、唇などの皮膚、頭髪、睫毛、眉毛、体毛及び爪などのケラチン繊維を意味する。本発明の目的のために、「ケラチン材料」というこの用語は、人工のつけ睫毛及びつけ眉毛、及びつけ爪にも及ぶ。
【0019】
「生理学的に許容可能な」という用語は、心地よい色、匂い、及び感触を有し、消費者がこの組成物の使用を止めたくなるような許容できない不快感(刺痛感又は突張り感)をなんら引き起こすことなく、皮膚及び/又はその外皮に適合可能であることを意味する。
【0020】
本発明の目的において、「水素結合相互作用」という用語は、2つの試薬のうちの1つの水素原子と、酸素、窒素、硫黄及びフッ素などの他の試薬の電気陰性ヘテロ原子とが関与する相互作用を意味する。本発明の文脈において、水素結合は、ポリフェノールXの反応性フェノール基のヒドロキシル官能基(OH)と、これらの電気陰性ヘテロ原子を含み、ポリフェノールXの前述のフェノール基との水素結合を形成することができる化合物Yの反応性官能基Gyとの間に形成される。
【0021】
「少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの化合物Yとの水素結合による相互作用によって形成されるコーティング剤」とは、2つの試薬間で反応を行うことができるように条件が満たされていることを意味し、特に:
i)ポリフェノールXの量は、それを含む組成物において十分であり、
ii)化合物Yは、それを含む組成物の媒体において別の溶媒によって可溶性、混和性であり、又は可溶化され、
iii)化合物Yは、ポリフェノールXのフェノール基と反応するのに十分な数の水素結合受容体基を有し、及びそれを含む組成物の媒体において、並びに
iv)化合物Yは、それを含む組成物の媒体において、例えば、1つ以上の陰イオン基などの、ポリフェノールXの反応性フェノール基の官能基との水素結合の形成を可能にしない任意の基をその構造に含まないことを意味する。
【0022】
「室温」という用語は、25℃を意味する。
【0023】
「大気圧」という用語は、760mmHg、即ち105パスカルを意味する。
【0024】
「天然化合物」という用語は、化学修飾を受けることなく、植物から直接誘導された任意の化合物を指す。
【0025】
「合成化合物」という用語は、天然には存在せず、天然由来の化合物の誘導体でもない任意の化合物を指す。
【0026】
「天然由来の化合物」という用語は、植物から得られた任意の化合物を指し、これは、天然化合物の特性が改質されていない状態で、例えば、有機合成反応によって、1つ以上の化学的改質を受けている。
【0027】
「コーティング剤」という用語は、ケラチン材料を覆うように、ケラチン材料の表面に堆積物を形成することができる任意の化合物を指す。
【0028】
「水素結合阻害剤」という用語は、ポリフェノールXと化合物Yとの間の水素結合相互作用を防止することができる、及び/又は水素結合を切断することによって前述の相互作用によって形成された複合体を解離することができる任意の化合物を指す。
【0029】
ポリフェノールX
本発明に従って使用することができるポリフェノールは、それらの構造に少なくとも2つの異なるフェノール基を含む。
【0030】
「ポリフェノール」という用語は、その化学構造に少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのフェノール基を含む任意の化合物を指す。
【0031】
「フェノール基」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシル基(OH)を含む、芳香環、好ましくはベンゼン環を含む任意の基を指す。
【0032】
「異なるフェノール基」という用語は、化学的に異なるフェノール基を指す。
【0033】
本発明に従って使用され得るポリフェノールXは、合成又は天然であり得る。それらは、単離された形態であり得、又は混合物に含まれ得、特に植物抽出物に含まれ得る。ポリフェノールは、芳香環において異なって置換された少なくとも2つのフェノール基を含むフェノールである。
【0034】
ポリフェノールには、フラボノイドと非フラボノイドの2つの部類がある。
【0035】
挙げることができるフラボノイドの例には、フロレチン、フロリジン、アスパラチン又はネオヘスペリジンなどのカルコン、カテキン、フィセチン、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン、ルチン、プロシアニジン、プロアントシアニジン、ピロアントシアニジン、テアフラビン又はテアルビジン(又はテアルブリン)などのフラバノール、アスティルビン、ジヒドロケルセチン(タキシフォリン)又はシリビニンなどのジヒドロフラボノール、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンゲニン又はナリンギンなどのフラバノン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペオニジン又はペチュニジンなどのアントシアニン、タンニン酸などのカテキンタンニン、ダイゼイン又はゲニステインなどのイソフラボノイド、ネオフラボノイド、ピロソルシノールなどのリグナン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0036】
本発明に従って使用することができる天然ポリフェノールの中では、リグニンも挙げることができる。
【0037】
挙げることができる非フラボノイドの例には、クルクミン又はテトラヒドロクルクミンなどのクルクミノイド、アストリンギン、レスベラトロール又はラポンチシンなどのスチルベノイド、アウレウシジンなどのオーロン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0038】
本発明に従って使用できるポリフェノールとして、クロロゲン酸、ベルバスコシド、フェノールで置換されたクマリンも挙げることができる。
【0039】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリフェノールXは、タンニン酸から選択されるガロタンニンなどのカテキンタンニン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、カスタラギン、ベスカラギン、ベスカリン、カスタリン、カスアリクチン、カスタノプシニン、エクスコエカリニン、グランジニン、グラジニン、ロブリン、プテロカリニン、アクチシミン、テリマグランジン、サングイイン、ポテンチリン、ペドゥンクラギン、ゲラニイン、ケブラギン酸、レパンジシン酸、アスコルゲラニン、スタキリン、カスアリニン、カスアリイン、プニカコルテイン、コリアリイン、カメリアタンニン、イソデスヒドロジガロイル、デヒドロジガロイル、ヘリノイル、プニカラギン及びロイプテレアニンなどのエラジタンニンから選択される。
【0040】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリフェノールXは、エピガロカテキン、特にINCI名Green Tea Extractを有する緑茶抽出物であり、特に前述の抽出物の総質量に対して少なくとも45%のエピガロカテキンを含み、例えば、Dermofeel Phenon 90M-C(登録商標)の名称でEvonik Nutrition&Care社によって販売されている市販の製品であり、又はTea Polyphenols Green Tea Extract(登録商標)の名称でTayo Green Power社によって販売されている市販の製品である。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、ポリフェノールXは、プロシアニジン又はプロシアニジンの混合物、特に、INCI名Pinus pinaster Bark/Bud Extractを有する海岸松樹皮の抽出物であり、特に前述の抽出物の総質量に対して少なくとも65質量%のプロシアニジンを含み、例えばPycnogenol(登録商標)の名称でBiolandes Aroemes社によって販売されている市販の製品である。
【0042】
タンニン酸は、より具体的にはポリフェノールXとして使用される。
【0043】
特定の実施形態によれば、本発明によるポリフェノールXは、それ(それら)を含む組成物の総質量に対して、0.8質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より具体的には2.0質量%以上の含有量で存在する。
【0044】
特定の実施形態によれば、本発明によるポリフェノールXは、それ(それら)を含む組成物の総質量に対して、1.0~30.0質量%、より具体的には2.0~30%の含有量で存在する。
【0045】
化合物Y
本発明に従って使用することができる化合物Yは、それらの化学構造に、同一であり得る又は異なり得る、少なくとも2つの異なるフェノールを含むポリフェノールXのフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む。
【0046】
本発明に従って使用することができる化合物Yは、ヒドロキシル(OH)、酸無水物(R-CO-O-CO-R)、エーテル(R1-O-R2)、アミノ(NHR1R2R3)、アミド(ROCNR’R”)、カルバメート、ウレタン(R-HN-(C=O)O-R’)、カルバミド、尿素(CO(NH2)2)、チオール(RSH)、グリセリル、アクリレート、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、ビニルアミン、ビニルホルムアミド、及びそれらの混合物から選択される、同一であり得る又は異なり得る、少なくとも2つの官能基を含む。好ましい実施形態では、化合物Yのモル質量は、200g/モル超、又は更には350g/モル超である。
【0047】
特定の実施形態によれば、化合物Yは、それ(それら)を含む組成物の媒体において、その(それらの)構造にアニオン基を含まない。
【0048】
特定の実施形態によれば、本発明による化合物Yは、果物又は野菜から得られる糖、特にグルコース、サッカロース、スクロース、フルクトース及びソルビトールなどのリンゴ抽出物から生成される単糖とは異なる。
【0049】
先に示したものなどのポリフェノールXと反応することができる化合物Yの例として、以下を挙げることができる。
【0050】
(1)グリセリルラウリルエーテルなどのグリセロール化アルキルエーテル。
【0051】
(2)好ましくは非イオン性である改質又は非改質多糖。本発明での使用に適した多糖は、フルクタン、グルカン、ガラクタン及びマンナンなどのホモ多糖、又はヘミセルロースなどのヘテロ多糖であり得る。それらは、天然デンプン又は改質デンプンなどのデンプン性多糖であり得る。非デンプン性多糖は、微生物によって産生された多糖、藻類から単離された多糖、及び同種多糖、特にセルロース及びその誘導体又はフルクトースなどの高等植物多糖、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びペクチンなどの異種多糖、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物から選択することができる。特に、多糖は、フルクタン、グルカン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、プルラン、デキストラン、セルロース及びその誘導体、特にメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース、マンナン、キシラン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、アラビノガラクタン、寒天、カラヤガム(約40%の酸)、ローカストビーンガム、グアーガム及びその非イオン性誘導体、特にヒドロキシプロピルグアー、及び微生物由来のバイオ多糖ガム、特にスクレログルカンガムから選択できる。それらは、特に、セチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース、ヒドロキシプロピルグアー、アガロースなどの特に改質されたグアーガム、プルラン、イヌリン及びデンプンから選択される。
【0052】
(3)特にポリグリセリル-2オレイルエーテル及びポリグリセリル-4オレイルエーテルから選択されるポリグリセロール化アルキルエーテル非イオン性界面活性剤。
【0053】
(4)任意選択的にポリヒドロキシル化される、特に、ポリグリセリル-3ポリリシノレート、ポリグリセリル-2ジイソステアレート、ポリグリセリル-4ジイソステアレート、ポリグリセリル-4カプレート、ポリグリセリル-2ステアレート、ポリグリセリル-3ジシトレート/ステアレート、ポリグリセリル-10ジオレエート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、ポリグリセリル-2トリイソステアレート、ポリグリセリル-10ラウレート、グリセリルステアレートシトレート及びポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレートから選択される脂肪酸のグリセロール又はポリグリセロールエステル。
【0054】
(5)特に、ポリオキシエチレン化(120OE)ホホバワックス(INCI名:Jojoba Wax PEG-120 Esters)、PEG-8蜜蝋、PEG-60ラノリン、PEG-75ラノリン、PPG-12-PEG-50ラノリン及びポリグリセリル-3蜜蝋などのポリオキシエチレン化エステルワックスから選択される、ポリオキシエチレン化又はポリグリセロール化ワックス。
【0055】
(6)H(O-CH2-CH2)n-OH型のポリエチレングリコール。特に、PEG-6、PEG-8、PEG-14M、PEG-20、PEG-45M、PEG-90、PEG-90M、PEG-150、PEG-180及びPEG-220から選択される。
【0056】
(7)特に、ポロキサマー124(登録商標)、ポロキサマー184(登録商標)、ポロキサマー338(登録商標)及びポロキサマー338(登録商標)から選択されるHO-(CH2-CH2-O)n-(CHCH3-CH2-O)O-(CH2-CH2-O)p-H型のポロキサマー。
【0057】
(8)CnH2n+1-(O-C(CH3)H-CH2)o-(O-CH2-CH2)p-OH型のポリプロピレングリコールアルキルエーテル。特に、PPG-26-ブテス-26、PPG-5-セテス-20及びPPG-6-デシルテトラデセス-30から選択される。
【0058】
(9)H(O-C(CnH2n+1)-CH2)o-(CH2-CH2-O)p-(CH2-C(CqH2q+1)H-O)rH型の化合物、特にPEG-45/ドデシルグリコールコポリマー。
【0059】
(10)CnH2n+1-(O-CH2-CH2)o-O-CH2-C(CpH2p+1)HOH型の化合物、特にセテアレス-60ミリスチルグリコール。
【0060】
(11)ポリオキシエチレン化グリセロール、特に26OEでオキシエチレン化されたグリセロール(グリセレス-26)。
【0061】
(12)CnH2n+1-(O-CH2-CH2)o-OH型のアルキルポリエチレングリコール、特に、セテス-2、セテス-10、セテス-20、セテス-25、イソセテス-20、ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4、ラウレス-12、ラウレス-23、オレス-2、オレス-5、オレス-10、オレス-20、オレス-25、デセス-3、デセス-5、ベヘネス-10、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-100、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-20、セテアレス-25、セテアレス-30、セテアレス-33、コセス-7及びトリデセス-12から選択される。
【0062】
(13)CH3-(CH2)n-(CH=CH)o-(CH)p-N((CH2-CH2-O)H)q((CH2-CH2-O)rH)型のポリオキシエチレン化アルキルアミン、特にPEG-2-オレアミン。
【0063】
(14)CnH2n+1-(CH=CH2)o-CpH2p-CO-(O-CH2-CH2)n-OH又は
CnH2n+1-(CH=CH)o-CpH2p-CO-(O-CH2-CH2)q-O-CO-CrH2r+1又は
CnH2n+1-(CH=CH)o-CO-(O-CH2-CH2)q-O-CnH2n+1又は
CnH2n+1-O-CH(アルキル)-(CH2)p-(O-CH2-CH2)q-O-CO-CrH2r+1型のポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、
特に、PEG-6イソステアレート、PEG-6ステアレート、PEG-8ステアレート、PEG-8イソステアレート、PEG-20ステアレート、PEG-30ステアレート、PEG-32ステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-75ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-8ジステアレート、PEG-150ジステアレート、メレス-3ミリステート、PEG-4オリベート、プロピレングリコールセテス-3アセテート及びPEG-30ジポリヒドロキシステアレートから選択される。
【0064】
(15)CnH2n+1-(O-CH2-CH2)o-COOH型のポリオキシエチレン化カルボン酸、特に、PEG-7カプリン酸、PEG-6カプリル酸、PEG-7カプリル酸、ラウレス-5カルボン酸、ラウレス-11カルボン酸及びラウレス-12カルボン酸から選択される。
【0065】
(16)ポリオキシエチレン化アルキルグリセリド、特に、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-60アーモンドグリセリド、PEG-10オリーブグリセリド及びPEG-45パーム核グリセリド(Palm Kernel Glyceride)から選択される。
【0066】
(17)ポリオキシエチレン化アルキルグルコース、特に、メチルグルセス-10及びメチルグルセス-20から選択される。
【0067】
(18)PEG-120メチルグルコースジオレエート又はPEG-20メチルグルコースセスキステアレートなどのポリオキシエチレン化糖エステル。
【0068】
(19)PPG-1-PEG-9ラウリルグリコールエーテルなどのポリオキシアルキレン化アルキルグリコールエーテル。
【0069】
(20)ポリオキシエチレン化又はポリグリセロール化ペンタエリスリトールエステル及びエーテル、特にPEG-150ペンタエリスリチルテトラステアレートから選択される。
【0070】
(21)ポリソルベート、特に、ポリソルベート-20、ポリソルベート-21、ポリソルベート-60、ポリソルベート-61、ポリソルベート-80及びポリソルベート-85から選択される。
【0071】
(22)ポリオキシエチレン化ポリアミン、特にPEG-15ココポリアミン。
【0072】
(23)以下の構造のポリオキシエチレン化ジヒドロコレステリルエステル:
【化1】
特にジヒドロコレス-30。
【0073】
(24)ポリオキシエチレン化(200OE)パームグリセリドと、ポリオキシエチレン化(7OE)ココナッツ核油、PEG-7グリセリルココエート、PEG-30グリセリルココエート、PEG-40硬化ヒマシ油、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-30グリセリルステアレート、PEG-200グリセリルステアレート、PEG-20グリセリルトリイソステアレート、PEG-55プロピレングリコールオレエート、PEG-70マンゴーグリセリド、硬化パーム/パーム核油PEG-6エステル、PEG-200硬化グリセリルパルミテート及びPEG-7グリセリルココエートとの混合物から選択されるポリオキシエチレン化成分。
【0074】
(25)ポリオキシエチレン化バター、特にポリオキシエチレン化シアバター。
【0075】
(26)ポリオキシアルキレン化又はポリグリセロール化シリコーン、特に、PEG/PPG-17/18ジメチコーン、PEG/PPG-18/18ジメチコーン、トリデセス-9PG-アモジメチコーン及びPEG/PPG-22/24ジメチコーンから選択される。
【0076】
(27)ポリオキシアルキレン化又はポリグリセロール化シラン、特に、ビス-PEG-18メチルエーテルジメチルシラン及びビス-PEG-18メチルエーテルジメチルシランから選択される。
【0077】
(28)ポリオキシエチレン化又はポリグリセロール化アクリレートコポリマー、特にINCI名:Acrylate/Palmeth-25 Acrylate Copolymerを有するコポリマー。
【0078】
(29)タンパク質、特に、シルクタンパク質、ケラチン、大豆タンパク質、小麦タンパク質、トウモロコシタンパク質、ルピナス(lupin)タンパク質、ヘーゼルナッツタンパク質、コンキオリンタンパク質、エンバクタンパク質、米タンパク質及びスイートアーモンドタンパク質などの植物由来の改質又は非改質の、場合により加水分解されたタンパク質。
【0079】
(30)PEG-8カプリリルグリコールなどのポリオキシアルキレン化アルカンジオール。
【0080】
(31)ポリオキシエチレン化ナタネアミド及びステロール、特に、PEG-4レイプシード(Rapeseed)アミド及びPEG-5レイプシードステロールから選択される。
【0081】
(32)ラネス-15などのポリオキシエチレン化ラノリン。
【0082】
(33)PEG-40ソルビタンペロレエートなどのソルビトールのポリオキシエチレン化脂肪酸エステル。
【0083】
(34)グリセレス-25PCAイソステアレートなどのポリオキシエチレン化グリセロール化エステル。
【0084】
(35)以下のINCI名を有するものなどのポリビニルアルコール:Allyl Stearate/Vinyl Alcohol Copolymer、Ethylene/Vinyl Alcohol Copolymer、Polyvinyl Alcohol、Vinyl Alcohol/Crotonates Copolymer、Vinyl Alcohol/Crotonates/Vinyl Neodecanoate Copolymer。
【0085】
(36)以下のINCI名を有するものなどのビニルピロリドンコポリマー:Polyvinyl Pyrrolidone/Vinyl Alcohol、Vinyl Pyrrolidone/Eicosene Copolymer、Vinyl Pyrrolidone/Hexadecene Copolymer、Vinyl Pyrrolidone/Dimethylaminopropylacrylamide Acrylates Copolymer、Hydrolysed Wheat Protein/Vinyl Pyrrolidone Crosspolymer、Vinyl Pyrrolidone/Methacrylamide/Vinyl Imidazole Copolymer、Vinyl Pyrrolidone/Acrylates/Lauryl Methacrylate Copolymer、Vinyl Caprolactam/VP/Dimethylaminoethyl Methacrylate Copolymer、Vinyl Pyrrolidone/Dimethylaminoethylmethacrylate Copolymer、Vinyl Pyrrolidone/Polycarbamyl Polyglycol Ester。
【0086】
(37)ポリビニルカプロラクタムなどのカプロラクタムポリマー及びコポリマー、ポリマーはINCI名:Vinyl Caprolactam/Vinyl Pyrrolidone/Dimethylaminoethyl Methacrylate Copolymerを有する。
【0087】
(38)CnH2n+1-(O-CH2-CH2)o-O-CH2-CO-NH-(CH2-CH2-O)pH型のポリオキシエチレン化アミド化合物、特にトリデセス-2-カルボキサミドMEA。
【0088】
(39)それらの混合物。
【0089】
好ましい実施形態によれば、化合物Yは、非イオン性化合物から選択される。
【0090】
好ましい実施形態によれば、化合物Yは、プルラン、セチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース、改質グアーガム、特にヒドロキシプロピルグアー、ポリグリセロールの脂肪酸エステル、特にポリグリセリル-10カプレート及びポリグリセリル-10ラウレート、PEG-180などのポリエチレングリコール、PEG-40硬化ヒマシ油、ポリソルベート、特にポリソルベート80、ポリオキシエチレン化(120OE)ホホバワックスなどのポリオキシアルキレン化エステルワックス、並びにそれらの混合物から選択される。
【0091】
特定の実施形態によれば、本発明による化合物Yは、それ(それら)を含む組成物の総質量に対して、0.8質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より具体的には2.0質量%以上の含有量で存在する。
【0092】
特定の実施形態によれば、本発明による化合物Yは、それ(それら)を含む組成物の総質量に対して、1.0~30.0質量%、より具体的には2.0~30%の含有量で存在する。
【0093】
本発明の優先的な実施形態によれば、ポリフェノールXの反応性ヒドロキシル基(OH)と、前述のヒドロキシル基と反応する化合物Yの官能基Gyとのモル比は、優先的には1/3~20、より優先的には1/2~15、より具体的には3/4~3の範囲である。
【0094】
ケラチン材料をコーティングするための2段階プロセス
特定の実施形態によれば、本発明は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための美容的方法であり、このプロセスは、少なくとも:
a)特に生理学的に許容可能な媒体に、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXを含む第1の組成物(A)と、
b)特に生理学的に許容可能な媒体に、同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yを含む第2の組成物(B)とを含み、
前述の組成物(A)及び(B)は、
i)同時に、又はii)使用時に即座の混合物の形態で、又はiii)適用の順序に関係なく、連続して、ケラチン材料に適用される。
【0095】
特定の実施形態によれば、本発明は、ケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための化粧用キットに関し、この化粧用キットは、少なくとも:
a)前述で定義された第1の組成物(A)と
b)前述で定義された第2の組成物(B)と、を含み、前述の組成物(A)及び(B)は、別々に包装される。
【0096】
ポリフェノールXを含む組成物(A)
本発明の特定の実施形態によれば、ポリフェノールXを含む組成物(A)は、少なくとも1つの水性相を含む。
【0097】
「水性相」という用語は、水と、また任意選択的に全ての水溶性又は水混和性の溶媒及び成分(25℃で水との混和性が50質量%を超える)とを含む相を意味し、例えば、エタノール又はイソプロパノールなどの2~5の炭素原子を含む低級モノアルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、グリセロール、及びジプロピレングリコールなどの3~8の炭素原子を含むポリオール、C3~C4ケトン及びC2~C4アルデヒドを意味する。
【0098】
水性相は、脱イオン水、又は代替的にフローラルウォーター、例えばコーンフラワーウォーター、及び/又は鉱水、例えばVittel水、Lucas水、又はLa Roche Posay水、及び/又は湧水を含み得る。
【0099】
水の量は、組成物(A)の総質量に対して、好ましくは30質量%超、又は更には40質量%超、より優先的には30%~85%の範囲である。
【0100】
水性相の量は、組成物(A)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より優先的には20%~90%の範囲である。
【0101】
水性組成物(A)のpHは、好ましくは8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である。
【0102】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物(A)は、油性相を含む。
【0103】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物(A)は、無水である。
【0104】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物(A)は、無水であり、少なくとも1つの油性相を含む。
【0105】
「無水組成物」という用語は、組成物の総質量に対して、5質量%未満の水、又は更には2質量%未満の水、又は更には1質量%未満の水を含む任意の組成物、或いは更には水を含まない任意の組成物を指す。
【0106】
「油性相」という用語は、室温及び大気圧で液体であり、油、ワックス又はペースト状物質などの少なくとも1つの脂肪物質、及びまた任意選択的に全ての有機溶媒及び前述の相に溶解又は混和する成分を含む相を指す。
【0107】
油は、鉱物油、動物油、植物油又は合成油、特に、揮発性又は不揮発性の炭化水素系油及び/又はシリコーン油及び/又はフルオロ油、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0108】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg即ち105Pa)で液体の脂肪性物質を指す。油は、揮発性又は非揮発性であり得る。
【0109】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油、より具体的にはオルガノポリシロキサンを意味する。
【0110】
「フルオロ油」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
【0111】
「炭化水素系油」という用語は、炭素原子及び水素原子を主に含み、場合により、ヒドロキシル、エステル、エーテル及びカルボキシル官能基から選択される1つ以上の官能基を含む油を指す。
【0112】
本発明の目的において、「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で皮膚との接触時に1時間未満で蒸発可能な任意の油を指す。揮発性油は、揮発性化粧用化合物であり、室温で液体であり、特に室温及び大気圧でゼロでない蒸気圧を有し、特に蒸気圧が2.66Pa~40000Paの範囲、特に2.66Pa~13000Pa、より具体的には2.66Pa~1300Paの範囲である。
【0113】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で皮膚又はケラチン繊維に少なくとも数時間留まり、特に蒸気圧が2.66Pa未満、好ましくは0.13Pa未満である油を指す。一例として、蒸気圧は、蒸気圧に応じて、静的方法に従って、又は等温質量測定(isothermal gravimetry)による浸出方法(effusion method)によって測定することができる(標準OCDE 104)。
【0114】
揮発性炭化水素系油
本発明で使用することができる揮発性炭化水素系油の例として、8~16の炭素原子、特に石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)を含む炭化水素系油、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン及びイソヘキサデカン、例えば、商標名Isopar(登録商標)又はPermethyl(登録商標)の商標名で販売されている油、分岐状C8~C16エステル及びイソヘキシル ネオペンタノエート、並びにそれらの混合物を挙げることができる。他の揮発性炭化水素系油、例えば石油蒸留物、特にShell社によってShell Solt(登録商標)の名称で販売されているものも使用することができ、Cognis社の特許出願独国特許出願公開第102008012457号明細書に記載されているものなどの揮発性直鎖状アルカンである。
【0115】
不揮発性炭化水素系油
本発明で使用することができる不揮発性炭化水素系油の例として、以下を挙げることができる:
-動物由来の炭化水素系油、例えば、パーヒドロスクアレン、
-流動パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ポリブテン又はポリイソブテンなどの鉱物由来又は合成由来の直鎖状又は分岐状炭化水素、これらは、パールリーム(Parleam)、又はスクアランのように任意選択的に水素化されている、
-10~40の炭素原子を含む合成エーテル、例えばジカプリリルエーテル、
-グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、特に、脂肪酸がC4~C36、特に、C18~C36の範囲の鎖長を有し得るもの、これらの油は、場合により、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和であり、これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油(820.6g/モル)、トウモロコシ油、杏仁油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロー油、クロフサスグリ油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ油、トケイソウ油又はジャコウバラ油、シア油、或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社によって販売されるもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されるものであり得る、
-式RCOOR’の直鎖状脂肪族炭化水素系エステル(式中、RCOOは、2~40の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R’は、1~40の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表す)、例えば、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート又はイソプロピルパルミテートなどのイソプロピルアルコールエステル、エチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソプロピルステアレート又はイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、ジイソプロピルアジペート、ヘプタノエート、特にイソステアリルヘプタノエート、アルコール又はポリアルコールオクタノエート、デカンエート又はリシノールエート、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート及びパルミテート、アルキルベンゾエート、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えば、イソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート及び2-オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えば、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート及びオクチルイソノナノエート、オレイルエルケート、イソプロピルラウロイルサルコシネート、ジイソプロピルセバケート、イソセチルステアレート、イソデシルネオペンタノエート及びイソステアリルベヘネート、
-不飽和脂肪酸二量体及び/又は三量体とジオールとの縮合により得られるポリエステル、例えば特許出願仏国特許出願公開第0853634号明細書に記載されているもの、特にジリノール酸及び1,4-ブタンジオールの縮合により得られるものなど。この点に関して、BiosynthisによりViscoplast 14436H(登録商標)(INCI名:Dilinoleic acid/butanediol copolymer)の名称で販売されているポリマー、又はポリオールと二酸二量体とのコポリマー、及びHailuscent ISDA(登録商標)などのそのエステルを特に挙げることができ、
-ジアルキルカーボネート、2つのアルキル鎖は、場合により同一であり又は異なり、例えば、CognisによりCetiol CC(登録商標)の名称で販売されているジカプリリルカーボネート、
-35~70の範囲の総炭素数を有する直鎖状脂肪酸エステル、例えばペンタエリスリチルテトラペラルゴネート、
-トリデシルトリメリテートC12~C15アルコールベンゾエート、安息香酸の2-フェニルエチルエステル、及びブチルオクチルサリシレートなどの芳香族エステル、
-ジオール二量体及びモノカルボン酸又はジカルボン酸のエステル及びポリエステル、例えば、ジオール二量体と脂肪酸のエステル、及びジオール二量体とジカルボン酸二量体のエステル、例えば、Nippon Fine Chemical社により販売されており、その内容は参照により本出願に組み込まれている、特許出願米国特許出願公開第2004-175338号明細書に記載されているLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)、12~26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール、
-ジアルキルカーボネート、その2つのアルキル鎖は、場合により同一であり又は異なり、例えば、CognisによりCetiol CC(登録商標)の名称で販売されているジカプリリルカーボネート、
-並びにそれらの混合物を特に挙げることができる。
【0116】
不揮発性シリコーン油
不揮発性シリコーン油の中で、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、ジフェニルジメチコーン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコーン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコーン、及びまたそれらの混合物などのフェニルシリコーンなどのシリコーン油を挙げることができる。
【0117】
直鎖状又は環状揮発性シリコーン油
挙げることができる直鎖状揮発性シリコーン油には、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0118】
挙げることができる環状揮発性シリコーン油には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0119】
組成物(A)が無水である場合、油性相は、好ましくは少なくとも1つの揮発性炭化水素系油、より優先的には石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソヘキサデカン及びイソデカン、より具体的にはイソドデカンなどから選択される少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む。
【0120】
組成物(A)が無水である場合、本発明の組成物の油性相濃度は、組成物(A)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より具体的には30質量%~75質量%の範囲である。
【0121】
化合物Yを含む組成物(B)
本発明の特定の実施形態によれば、化合物Yを含む組成物(B)は、少なくとも1つの水性相を含む。
【0122】
水の量は、組成物(B)の総質量に対して、好ましくは30質量%超、又は更には40質量%超、より優先的には65%超である。
【0123】
水性相の量は、組成物(B)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より優先的には20%~90%の範囲である。
【0124】
水性組成物(B)のpHは、好ましくは8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である。
【0125】
別の特定の実施形態によれば、組成物(B)は、前述で定義された少なくとも1つの油性相を含み得る。
【0126】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(B)は、無水である。
【0127】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(B)は、無水であり、前述で定義された少なくとも1つの油性相を含む。
【0128】
組成物(B)が無水である場合、油性相は、好ましくは少なくとも1つの揮発性炭化水素系油、より優先的には石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソヘキサデカン及びイソデカン、より具体的にはイソドデカンなどから選択される少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む。
【0129】
組成物(B)が無水である場合、本発明の組成物の油性相濃度は、組成物(B)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より具体的には30質量%~75質量%の範囲である。
【0130】
言うまでもなく、当業者は、組成物(A)及び(B)が相溶性であり混合することができるように組成物(A)及び(B)を選択するように、且つ、得られた混合物中で、ポリフェノールXと化合物Yの水素結合相互作用によるコーティング剤の形成を得るための量を選択するように注意するであろう。
【0131】
ケラチン材料をコーティングするための一段階プロセス
本発明によるケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、具体的にはメイクアップのための美容的方法は、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXの、同一であり得る又は異なり得、前述のポリフェノールXと水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yとの水素結合相互作用によって事前に形成された少なくとも1つのコーティング剤を含む少なくとも1つの組成物(C)を前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0132】
本発明によるケラチン材料をコーティングするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための別の美容的方法は、特に生理学的に許容可能な媒体に、
a)少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXと、
b)同一であり得る又は異なり得る、ポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yと、
c)少なくとも1つの水素結合阻害剤と、を含む少なくとも1つの組成物(D)を前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0133】
事前形成されたコーティング剤
本発明の組成物に存在するコーティング剤は、室温及び大気圧で、少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXを、同一であり得る又は異なり得る、前述のポリフェノールXの前述のフェノール基と少なくとも2つの水素結合を形成することができる、少なくとも2つの官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yと、水素結合相互作用により反応させることによって得られる。
【0134】
コーティング剤の調整プロセス
反応媒体は、水性、親水性又は無水であり得る。理想的には、持続剤の調製物が調製される溶媒は、容易に蒸発可能であり、特に、それは、優先的に水中又は先に示したものなどの揮発性油、好ましくはイソドデカン中で合成され得る。
【0135】
水素結合により複合体を形成することができるポリフェノールX及び化合物Yは、理想的には、優先的には1/3~20、より優先的には1/2~15、より具体的には3/4~3の範囲での、ポリフェノールXの反応性ヒドロキシル基対化合物Yの前述のヒドロキシル基と反応する官能基Gyのモル比で反応媒体に導入される。
【0136】
導入の順序は、重要ではない。接触時間は非常に短い場合もあれば、攪拌しながら(数時間)混合物をインキュベートする場合もある。
【0137】
コーティング剤に相当する得られた沈殿物は、溶媒の濾過、又は遠心分離、又は溶媒の蒸発によって回収される。
【0138】
次いで、沈殿物の形成に関与しなかった最初の試薬を除去するために、沈殿物を数回洗浄する。洗浄溶媒は、ポリフェノール及び/又は会合化合物にとって良好な溶媒であるように選択される。理想的には、洗浄溶媒は、水である。
【0139】
洗浄回数は、洗浄水中に回収されたポリフェノールをアッセイすることによって決定することができる。含有量が少ない場合は、余分な試薬が除去されたと考えられ得る。沈殿物中に存在する溶媒の量は、沈殿物の質量に対して40%未満、又は更には沈殿物の質量に対して35%未満である。
【0140】
次に、沈殿物を、特に屋外で、加熱された雰囲気で、真空下で又は凍結乾燥させて乾燥させることができる。
【0141】
事前形成されたコーティング剤を含む組成物(C)
特定の実施形態によれば、組成物(C)は、組成物(C)の総質量に対して、1質量%~60質量%の範囲、より優先的には2質量%~40質量%の範囲、好ましくは10質量%~40質量%の範囲の含有量で事前形成されたコーティング剤を含む。
【0142】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(C)は、少なくとも1つの水性相を含む。
【0143】
別の特定の実施形態によれば、組成物(C)は、前述で定義されたものなどの少なくとも1つの油性相を含み得る。
【0144】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(C)は、無水である。
【0145】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物(C)は、無水であり、前述で定義された少なくとも1つの油性相を含む。
【0146】
別の特定の実施形態によれば、組成物(C)は、多相組成物であり得、特に少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油性相を含み得、特に水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、多重エマルジョン又はワックスの水性分散液の形態であり得る。
【0147】
それは、水中油型エマルジョン(巨視的に均一な混合物を得るために油性相が液滴の形態で分散している連続水性相)又は油中水型エマルジョン(巨視的に均一な混合物を得るために水性相が液滴の形態で分散している連続油性相)の形態であり得る。
【0148】
水性組成物(C)の性質に応じて、水の量は、組成物(C)の総質量に対して、好ましくは30質量%超、又は更には40質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲である。
【0149】
水性相の量は、組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より優先的には20%~90%の範囲である。
【0150】
組成物(C)が水性である場合、pHは、好ましくは8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である。
【0151】
組成物(C)が油性相を含む場合、前述の相は、少なくとも1つの油を含む。
【0152】
組成物(C)が無水であり、油性相を含む場合、油性相濃度は、組成物(C)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より優先的には30%~75%の範囲である。
【0153】
組成物(C)がエマルジョンである場合、1つ以上の乳化性界面活性剤を含むことができる。
【0154】
本発明の目的のために、「乳化性界面活性剤」という用語は、両親媒性界面活性剤化合物、即ち異なる極性の2つの部分を有するものを指す。一般に、一方は、親油性(油性相中に溶解又は分散可能)である。他方は、親水性(水中に溶解又は分散可能)である。乳化性界面活性剤は、HLB(親水性-親油性バランス)値によって特徴付けられ、HLBは、分子中の親水性部分と親油性部分の間の比である。HLBは分子の親水性部分及び親油性部分の間の比である。「HLB」という用語は、当業者によく知られており、例えば「The HLB system.A time-saving guide to Emulsifier Selection」(ICI Americas Inc発行(1984))に説明されている。一般に、W/O型エマルジョンを調製するための乳化性界面活性剤のHLBは、3~8の範囲である。O/Wエマルジョンの調製では、HLBは8を超える。本発明に従って使用される界面活性剤のHLBは、グリフィン法又はデイビス法により決定できる。
【0155】
本発明の好ましい形態によれば、組成物(C)が無水である場合、組成物(C)の油性相は、少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含み、好ましくは8~16の炭素原子を含む炭化水素系油、特に石油由来のC8~-C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン及びイソヘキサデカン、特にイソドデカンなどから選択される少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む。
【0156】
揮発性炭化水素系油の量は、前述の組成物(C)の総質量に対して、好ましくは20質量%~80質量%、更により優先的には30質量%~70質量%の範囲であり得る。
【0157】
本発明の特定の形態によれば、組成物(C)は、ワックスを含むことができる。
【0158】
「ワックス」という用語は、変形可能な又は変形可能でない親油性化合物を意味し、これは、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を伴い、120℃までであり得る、40℃以上の融点を有する。特に、本発明での使用に適したワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0159】
「親油性化合物」という用語は、150mgKOH/g未満の酸価及びヒドロキシル価を有する化合物を指す。
【0160】
本発明の目的において、融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(DSC)により観測される最も高い(most)吸熱ピークの温度に対応する。ワックスの融点は、例えば、TA Instruments社からMDSC 2920(登録商標)の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を使用して測定することができる。
【0161】
測定手順は次の通りである:
るつぼに入れられたワックスの試料5mgを、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇に曝し、次いで、それを、10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇に曝す。第2の温度上昇の間、空のるつぼによって、そしてワックスの試料を含むるつぼによって吸収される力(power)の差の変動を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数として、吸収される力における差異の変動を表す曲線のピークのトップに対応する温度値である。
【0162】
ワックスは、炭化水素系ワックス、シリコーンワックス及び/又はフルオロワックスであり得、植物、鉱物、動物及び/又は合成由来のものであり得る。
【0163】
ワックスは、組成物の総質量に対して、好ましくは少なくとも5質量%の含有量で、より優先的には5質量%~45質量%の範囲の含有量で、組成物(C)の総質量に対して、より好ましくは8質量%~40質量%、更により好ましくは10質量%~40質量%の範囲の含有量で存在する。
【0164】
特に使用できるワックスには、蜜蝋、ラノリンワックスなどの炭化水素系ワックス、ライスワックス、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリキュリーワックス、木蝋、ベリーワックス、シェラックワックス及びスーマックワックス、モンタンワックスが含まれる。
【0165】
直鎖状又は分岐状C8~C32脂肪鎖を含む動物油又は植物油の接触水素化によって得られるワックスも挙げることができる。
【0166】
これらのワックスの中で、特に、硬化ホホバ油、硬化パーム油、硬化ヒマワリ油、硬化ヒマシ油、硬化ココナッツ核油、硬化ラノリン油、及びHeterene社によりHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、及びHeterene社によりHest 2T-4B(登録商標)の名称で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネートを挙げることができる。
【0167】
また、Phytowax Olive 18L57(登録商標)の名称で販売されている、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化によって得られるワックス、又はSophim社によりPhytowax Ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)の名称で販売されている、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化によって得られるワックスを使用することができる。このようなワックスは、特許出願仏国特許出願公開第A-2792190号明細書に記載されている。
【0168】
また、C
20~C
40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20~40の炭素原子を含むアルキル基)を単独で、又は混合物として使用することができ、特に、式(I)
【化2】
(式中、nは18~38の範囲の整数である)のC
20~C
40アルキル12-(12’-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート、又は式(I)の化合物の混合物を使用することができる。このような粘着性ワックスは、特に、Koster Keunen社によりKester Wax K82P(登録商標)及びKester Wax K80P(登録商標)の名称で販売されている。
【0169】
マイクロクリスタリンワックス、パラフィン及びオゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ合成によって得られるワックス、及びワックス状コポリマー及びまたそれらのエステル、シリコーンワックス及びフルオロワックスを挙げることができる。
【0170】
以下の式(1)の直鎖状脂肪酸モノエステルを挙げることができる:
[化学式3]
R3-O-R4(1)
(式中、R3とR4は、直鎖状であり飽和しており、互いに独立して20以上の数の炭素原子を有し、R3は、アシル基を表し、R4は、アルキル基を表す)。
【0171】
特に、本発明による脂肪酸モノエステルは、アラキジルアラキデート及びベヘニルベヘネート、より具体的にはベヘニルベヘネートから選択される。
【0172】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物(C)におけるコーティング剤の均一な分散性を改善するために、増粘系(ポリマー、ワックス又はペースト状物質)、特にラメラ相タイプの懸濁剤又は乳化系が追加されることができる。
【0173】
組成物(D)
本発明による組成物(D)は、特に生理学的に許容可能な媒体に、
a)少なくとも2つの異なるフェノール基を含む少なくとも1つのポリフェノールXと、
b)前述のポリフェノールXと水素結合を形成することができる少なくとも2つの同一又は異なる官能基Gyを含む少なくとも1つの化合物Yと、
c)少なくとも1つの水素結合阻害剤と、を含む。
【0174】
ポリフェノールX及び前述の化合物Yは、好ましくは、前述のヒドロキシル基と反応する化合物Yの官能基Gyに対するポリフェノールXの反応性ヒドロキシル基のモル比が優先的には1/3~20、より優先的には1/2~15、より具体的には3/4~3の範囲で組成物(D)に存在する。
【0175】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(D)は、少なくとも1つの水性相を含む。
【0176】
別の特定の実施形態によれば、組成物(D)は、組成物(C)について前述で定義された少なくとも1つの油性相を含み得る。
【0177】
別の特定の実施形態によれば、組成物(D)は、無水である。
【0178】
別の特定の実施形態によれば、組成物(D)は、無水であり、前述で定義された油性相を含む。
【0179】
組成物(D)が無水であり、少なくとも1つの油性相を含む場合、油性相濃度は、組成物(D)の総質量に対して、好ましくは10質量%超、又は更には20質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲である。
【0180】
本発明の特定の形態によれば、組成物(D)が無水であり、油性相を含む場合、前述の油性相は、少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含み、好ましくは8~16の炭素原子を含む炭化水素系油、特に石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン及びイソヘキサデカン、特にイソドデカンなどから選択される少なくとも1つの揮発性炭化水素系油を含む。
【0181】
揮発性炭化水素系油の量は、前述の組成物(D)の総質量に対して、好ましくは20質量%~80質量%、更により優先的には30質量%~70質量%の範囲であり得る。
【0182】
別の特定の実施形態によれば、組成物(D)は、多相組成物であり得、特に少なくとも1つの水性相及び少なくとも1つの油性相を含むことができ、特に水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、多重エマルジョン又はワックスの水性分散液の形態であり得る。
【0183】
それは、水中油型エマルジョン(巨視的に均一な混合物を得るために油性相が液滴の形態で分散している連続水性相)又は油中水型エマルジョン(巨視的に均一な混合物を得るために水性相が液滴の形態で分散している連続油性相)の形態であり得る。
【0184】
組成物(D)がエマルジョンである場合、1つ以上の乳化性界面活性剤を含むことができる。
【0185】
水性組成物(D)の性質に応じて、水の量は、組成物(D)の総質量に対して、好ましくは40質量%未満、又は更には30質量%未満、より優先的には20質量%未満である。
【0186】
特定の実施形態によれば、組成物(D)は、水性であり、そのpHは、8.0未満、より優先的には7.0未満、より具体的には2~6の範囲である。
【0187】
好ましい実施形態によれば、組成物は、無水であり、エタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノール、及びそれらの混合物、より具体的にはエタノールなど、2~8の炭素原子、特に2~6の炭素原子、特に2~4の炭素原子を含む少なくとも1つのモノアルコールを含む。
【0188】
2~8の炭素原子を含むモノアルコールは、好ましくは、組成物(D)の総質量に対して、10質量%超、又は更には30質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲の含有量で存在する。
【0189】
本発明の特定の形態によれば、組成物(D)は、前述で定義されたワックスを含み得る。
【0190】
水素結合阻害剤
組成物(D)が水性である場合、水素結合阻害剤は、無機塩基、有機塩基、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0191】
有機塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)又は水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ金属水酸化物及びアンモニア(NH3)から選択することができる。
【0192】
有機塩基は、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン又はアミノメチルプロパンなどのアルカノールアミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(トロメタミンとしても知られる)及びアミノメチルプロパンジオールなどの1級(ポリ)ヒドロキシアルキルアミン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0193】
特定の実施形態によれば、有機塩基は、1級(ポリ)ヒドロキシアルキルアミンである。
【0194】
「1級(ポリ)ヒドロキシアルキルアミン」という用語は、特に1級ジヒドロキシアルキルアミンを意味し、「1級」という用語は、1級アミン官能基、即ち-NH2を意味し、アルキル基は、直鎖状又は分岐状C1~C8、好ましくは分岐状C4炭化水素系鎖、例えば1,3-ジヒドロキシ-2-メチルプロピルであることが理解される。1級(ポリ)ヒドロキシアルキルアミンは、優先的に1,3-ジヒドロキシ-2-メチル-2-プロピルアミン(アミノメチルプロパンジオール又はAMPDとしても知られる)である。
【0195】
本発明の特定の実施形態によれば、有機塩基は、アミノメチルプロパンジオールである。本発明での使用に適したこのようなアミノメチルプロパンジオールは、例えば、Angus社(Dow Corning)によって販売されているAMPD Ultra PC(登録商標)である。
【0196】
水素結合阻害剤は、水素結合を切断することができる有機溶媒から選択することができる。
【0197】
これらの有機溶媒の中で、エタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノール、及びそれらの混合物、より具体的にはエタノールなど、2~8の炭素原子、特に2~6の炭素原子、特に2~4の炭素原子を含むモノアルコールを挙げることができる。
【0198】
水素結合を切断することができる有機溶媒は、好ましくは、組成物(D)の総質量に対して、10質量%超、又は更には30質量%超、より優先的には30質量%~75質量%の範囲の含有量で存在する。
【0199】
ケラチン材料をメイクアップするためのプロセス
特定の実施形態によれば、本発明のコーティングプロセスは、ポリフェノールX及び/又は化合物Y又はそれらの間の水素結合相互作用によって事前に形成されたコーティング剤が、少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を有する組成物中にあるケラチン材料をメイクアップするためのプロセスである。
【0200】
染料
本発明の特定の実施形態によれば、組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、合成、天然又は天然由来の少なくとも1つの染料を含む。
【0201】
染料は、コーティングされた又はコーティングされていない顔料、水溶性染料、脂溶性染料、及びそれらの混合物から選択されることができ、好ましくは、コーティングされた又はコーティングされていない顔料から選択されることができる。
【0202】
顔料
「顔料」という用語は、水性媒体に不溶であり、得られる組成物及び/又は堆積物を着色及び/又は不透明にすることを意図する、白色又は有色の無機又は有機粒子を意味する。
【0203】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0204】
「無機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopaediaの無機顔料の章の定義を満たすあらゆる顔料を意味する。本発明に有用な無機顔料の中でも、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムに加えて、酸化亜鉛、酸化鉄(黒酸化鉄、黄酸化鉄又は赤酸化鉄)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー(ferric blue)、二酸化チタン並びに金属粉(例えば、アルミニウム粉及び銅粉)を挙げることができる。以下の無機顔料も使用できる:Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnS。
【0205】
本発明に関連して有用な顔料の径は、一般に100nm超であり、10μmまでの、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であり得る。
【0206】
本発明の特定の形態によれば、顔料の径は、D[50]が100nm超、場合により10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であることを特徴とする。
【0207】
この径は、Malvernの市販のMasterSizer 3000(登録商標)粒径解析装置を用いて静的光散乱により測定され、0.01μm~1000μmの範囲に及ぶ可能性のある幅広い範囲の全ての粒子の粒径分布を決定することが可能である。データは、標準のMie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、サブミクロン~数ミクロンの範囲の粒径分布に最も適しており、それにより「有効」粒子径を決定することが可能である。この理論は、Van de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物にて特に説明されている。
【0208】
D[50]は、50体積%の粒子が有する径の最大値を表す。
【0209】
本発明に関連する無機顔料は、より具体的には、酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。より具体的に挙げることができる例としては、例えば、Miyoshi Kasei社によりNAI(登録商標)の参照名で販売されている、アルミニウムステアロイルグルタメートでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられる。
【0210】
本発明に使用することができる無機顔料として、真珠層を挙げることができる。
【0211】
「真珠層」という用語は、虹色光彩であってもなくてもよく、特にある特定の軟体動物の外殻で産生されるか又は代替的に合成され、光干渉を介して色効果を有する、任意の形態の着色粒子を意味するものと理解すべきである。
【0212】
真珠層は、真珠層顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタン雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機染料でコーティングされたチタン雲母及び更にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠層顔料から選択され得る。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機色素の少なくとも2つの連続層が重ね合わされているマイカ粒子でもあり得る。
【0213】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0214】
真珠層の例として、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母も挙げることができる。
【0215】
真珠層は、より具体的には、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色の色又は色合いを有し得る。
【0216】
本発明に従って使用できる顔料の中には、単純な従来の着色効果とは異なる光学的効果、即ち、従来の染料、例えば、単色顔料によって生成されるような統一され安定化された効果を有するものも挙げることができる。本発明の目的において、「安定化された」という用語は、観察角度による、又は温度変化に応じた色の変動の影響がないことを意味する。
【0217】
例えば、この材料は、金属の色合い、ゴニオクロマチック(goniochromatic)着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、蛍光増白剤、及びまた繊維、特に干渉繊維を有する粒子から選択することができる。言うまでもなく、これらの様々な材料を、2つの効果を同時に示すように、また更に本発明に従って新規な効果さえ示すように組み合わせることができる。
【0218】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、少なくとも1つのコーティングされていない顔料を含む。
【0219】
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、少なくとも1つの親油性又は疎水性化合物でコーティングされた少なくとも1つの顔料を含む。
【0220】
このタイプの顔料が、特に有利である。それらが疎水性化合物で処理されている限り、それらは、油性相に対して優勢な親和性を示し、次いで油性相は、それらを移送することができる。
【0221】
コーティングは、少なくとも1つの追加の非親油性化合物も含むことができる。
【0222】
本発明の目的において、本発明による顔料の「コーティング」は、一般に、前述の顔料に吸収、吸着又はグラフトされた表面処理剤による顔料の全体的又は部分的な表面処理を意味する。
【0223】
表面処理された顔料は、当業者に周知の化学的、電気的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技術に従って調製することができる。市販品を使用することも可能である。
【0224】
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合の生成により顔料表面に吸収、吸着又はグラフトさせることができる。
【0225】
一変形形態によれば、表面処理は、顔料をコーティングすることからなる。
【0226】
コーティングは、コーティングされる顔料の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、特に0.5質量%~5質量%を占め得る。
【0227】
コーティングは、メイクアップ用又はケア用組成物の他の原料に粒子を添加する前に、例えば固体粒子と液体表面処理剤とを攪拌しながら、任意選択で加熱を行い、単純に混合することによって前述の液体表面処理剤を個体粒子表面に吸着させることにより生成されることができる。
【0228】
コーティングは、例えば、表面処理剤を固体顔料粒子の表面と化学的に反応させ、表面処理剤と粒子との間に共有結合を生成することにより生成されることができる。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0229】
化学的表面処理は、表面処理剤を揮発性溶媒で希釈することと、この混合物中に顔料を分散させること、及び次いで揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させることからなり得、それにより表面処理剤が顔料表面に堆積する。
【0230】
顔料が親油性又は疎水性のコーティングを含む場合、それは、好ましくは本発明による組成物の脂肪相に存在する。
【0231】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明に従い、顔料を、シリコーン系表面処理剤、フッ素系表面処理剤、フルオロシリコーン系表面処理剤、金属石鹸、N-アシルアミノ酸又はその塩、レシチン及びその誘導体、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、イソステアリルセバケート、天然の植物系又は動物系ワックス、極性を有する合成ワックス、脂肪酸エステル、リン脂質、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物でコーティングすることができる。
【0232】
本発明の特定の実施形態によれば、顔料を親水性化合物でコーティングすることができる。
【0233】
特定の実施形態によれば、染料は、合成、天然、又は天然由来の有機顔料である。
【0234】
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopaediaの有機顔料に関する章の定義を満たすいずれの顔料も指す。有機顔料は、特にニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0235】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color IndexにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160の記号で分類されている青色顔料、Color IndexにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005の記号で分類されている黄色顔料、Color IndexにおいてCI 61565、61570及び74260の記号で分類されている緑色顔料、Color IndexにおいてCI 11725、15510、45370及び71105の記号で分類されている橙色顔料、Color IndexにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470の記号で分類されている赤色顔料、並びに特許仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0236】
顔料はまた、特許欧州特許第1184426号明細書に記載されている複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的に被覆された無機コア、及び有機顔料を無機コアに固定するための少なくとも1つのバインダーを含む粒子から構成され得る。
【0237】
顔料は、レーキであり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子に吸着された不溶化された染料を意味し、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性のままである。
【0238】
染料を吸着させる無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0239】
有機染料の中で、コチニールカルミンが言及され得る。以下の名称で知られている製品を挙げることができる:D&C Red21(CI45 380)、D&C Orange5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090)。
【0240】
挙げることができるレーキの例は、D&C Red 7(CI 15 850:1)という名称で知られている製品である。
【0241】
顔料は、好ましくは、組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)に、組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)の総質量に対して、60質量%未満、又は更には50質量%未満、より具体的には2質量%~50質量%、更により好ましくは3質量%~45質量%の範囲の含有量で存在する。
【0242】
本発明の特定の実施形態によれば、染料は、水溶性染料又は脂溶性染料である。
【0243】
本発明の目的において、「水溶性染料」という用語は、水性相又は水混和性溶媒に可溶であり、色を与えることが可能な、任意の天然又は合成の、一般に有機化合物を意味する。
【0244】
本発明の目的において、「脂溶性染料」という用語は、油性相に又は油性相と混和する溶媒に可溶であり、色を与えることができる任意の天然又は合成の、一般に有機化合物を意味する。
【0245】
本発明での使用に適した水溶性染料として、特に、合成又は天然の水溶性染料、例えば、FDC Red 4、DC Red 6、DC Red 22、DC Red 28、DC Red 30、DC Red 33、DC Orange 4、DC Yellow 5、DC Yellow 6、DC Yellow 8、FDC Green 3、DC Green 5、及びFDC Blue 1を挙げることができる。
【0246】
天然水溶性染料の中では、アントシアニンを挙げることができる。
【0247】
本発明での使用に適した脂溶性染料として、特に、脂溶性染料、例えば、DC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudanレッド及びSudanブラウンを挙げることができる。
【0248】
天然の脂溶性染料の例として、特にカロテン、例えば、β-カロテン、α-カロテン及びリコペン、キノリンイエロー、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアトキサンチン、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、サイフォナキサンチン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチンなどのキサントフィル、アナトー、クルクミン、キニザリン(セレスグリーンBB、D&CグリーンNo.6、CI 61565、1,4-ジ-p-トルイジノアントラキノン、グリーンNo.202、キナジングリーンSS)及びクロロフィルを挙げることができる。
【0249】
水溶性又は脂溶性染料は、好ましくは、組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)の総質量に対して、4質量%未満、又は更には2質量%未満、より優先的には0.01質量%~2質量%、更により好ましくは0.02質量%~1.5質量%の範囲の含有量で組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)に存在する。
【0250】
特定の実施形態によれば、本発明は、適用の順序に関係なく、前述のケラチン材料に、以下を連続して適用することからなる、ケラチン材料をメイクアップするための美容的方法に関する:
a)前述で定義された少なくとも1つの組成物(A)、及び
b)前述で定義された少なくとも1つの組成物(B)、
少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を含む組成物(A)及び/又は組成物(B)。
【0251】
変形形態1
第1の変形形態によれば、以下が、ケラチン材料に連続して適用される:
a)少なくとも1つの染料を含む前述で定義された組成物(A)(ベースコート)を用いたケラチン材料に対するメイクアップの第1のコート、及び次いで、
b)着色されたケラチン材料に対する、前述で定義された組成物(B)を用いた第2の後処理コート(トップコート)。
特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(A)は、水性であり、後処理組成物(B)は、水性である。
【0252】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(A)は、水性であり、後処理組成物(B)は、無水である。
【0253】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(A)は、無水であり、後処理組成物(B)は、水性である。
【0254】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(A)は、無水であり、後処理組成物(B)は、無水である。
【0255】
変形形態2
第2の変形形態によれば、以下が、ケラチン材料に連続して適用される:
a)少なくとも1つの染料を含む前述で定義された組成物(B)を用いたメイクアップの第1のコート(ベースコート)、及び次いで
b)着色されたケラチン材料に対する、前述で定義された後処理組成物(A)を用いた第2の後処理コート(トップコート)。
【0256】
特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(B)は、水性であり、後処理組成物(A)は、水性である。
【0257】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(B)は、水性であり、後処理組成物(A)は、無水である。
【0258】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(B)は、無水であり、後処理組成物(A)は、水性である。
【0259】
別の特定の実施形態によれば、前述のメイクアップ組成物(B)は、無水であり、後処理組成物(A)は、無水である。
【0260】
変形形態3
第3の変形形態によれば、以下が、ケラチン材料に連続して適用される:
a)前述で定義された組成物(A)を用いてケラチン材料を前処理するための第1のコート(ベースコート)、及び次いで
b)前述のコートにおける、少なくとも1つの化合物Yと少なくとも1つの染料とを含む前述で定義された組成物(B)を用いた第2のケラチン材料のメイクアップコート(トップコート)。
【0261】
特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(A)は、水性であり、メイクアップ組成物(B)は、水性である。
【0262】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(A)は、水性であり、メイクアップ組成物(B)は、無水である。
【0263】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(A)は、無水であり、メイクアップ組成物(B)は、水性である。
【0264】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(A)は、無水であり、メイクアップ組成物(B)は、無水である。
【0265】
変形形態4
第4の変形形態によれば、以下が、ケラチン材料に連続して適用される:
a)前述で定義された組成物(B)を用いてケラチン材料を前処理するための第1のコート(ベースコート)、及び次いで
b)前述のコートにおける、少なくとも1つの染料を含む前述で定義された組成物(A)を用いた第2のケラチン材料のメイクアップコート(トップコート)。
【0266】
特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(B)は、水性であり、メイクアップ組成物(A)は、水性である。
【0267】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(B)は、水性であり、メイクアップ組成物(A)は、無水である。
【0268】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(B)は、無水であり、メイクアップ組成物(A)は、水性である。
【0269】
別の特定の実施形態によれば、前述の前処理組成物(B)は、無水であり、メイクアップ組成物(A)は、無水である。
【0270】
前述で定義された変形形態1~4の中で、メイクアップの第1のコートが前述の染料を含む組成物(A)又は組成物(B)を用いて適用される変形形態1及び2を使用することが好ましい。
【0271】
組成物(A)及び/又はメイクアップ組成物(B)が油性相を含む無水支持体を含む場合、1つ以上の顔料を染料として使用することが好ましい。
【0272】
前述で定義された変形形態1~4の中で、染料が前述で定義された組成物(A)中にある変形形態1及び4をより具体的には使用する。
【0273】
特に好ましい実施形態によれば、以下が、ケラチン材料に連続して適用される:
a)少なくとも1つの染料、好ましくは顔料を含む前述で定義された無水組成物(B)を用いたメイクアップの第1のコート(ベースコート)、及び次いで
b)着色されたケラチン材料に対する、前述で定義された水性組成物(A)を用いた第2の後処理コート(トップコート)。
【0274】
本発明によるケラチン材料をメイクアップするための別の美容的方法は、少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を含む前述で定義された少なくとも1つの組成物(C)を前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0275】
本発明によるケラチン材料をメイクアップするための別の美容的方法は、少なくとも1つの染料、好ましくは少なくとも1つの顔料を含む少なくとも1つの組成物(D)を前述のケラチン材料に適用することからなる。
【0276】
別の主題によれば、本発明は、ケラチン材料をメイクアップするためのプロセスであって、以下の順序とは無関係に、以下を前述の材料に連続して適用することからなるプロセスに関する:
a)以下をi)同時に、又はii)使用時に即座の混合物の形態で、又はiii)適用の順序に関係なく、連続してケラチン材料に適用することにより形成されるコート:
1)前述で定義された少なくとも1つの組成物(A)、及び
2)前述で定義された少なくとも1つの組成物(B)、
b)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなるコート。
【0277】
特定の形態によれば、ケラチン材料をメイクアップするための前述のプロセスは、以下を前述の材料に連続して適用することからなる:
a)前述で定義された少なくとも組成物(A)及び(B)を用いて形成された第1のコート、及び
b)第1のコートに対する、少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなる第2のコート。
【0278】
別の特定の形態によれば、ケラチン材料をメイクアップするための前述のプロセスは、以下を前述の材料に連続して適用することからなる:
a)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなる第1のコート、及び
b)第1の着色されたコートに対する、前述で定義された少なくとも組成物(A)及び(B)を用いて形成された第2のコート。
【0279】
本発明の別の主題は、ケラチン材料をメイクアップするための、特にケア及び/又はメイクアップのための、より具体的にはメイクアップのための化粧用キットであり、これは、少なくとも:
a)前述で定義された第1の組成物(A)と、
b)前述で定義された第2の組成物(B)と、
c)前述で定義された第3のメイクアップ組成物(M)とを含み、前述の組成物(A)、(B)及び(M)は、別々に包装されている。
【0280】
本発明によるケラチン材料をメイクアップするための別のプロセスは、適用の順序に関係なく、以下を前述のケラチン材料に連続して適用することからなる:
a)前述で定義された少なくとも1つの組成物(C)又は1つの組成物(D)からなるコート、及び
b)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなるコート。
【0281】
本発明によるケラチン材料をメイクアップするための別のプロセスは、適用の順序に関係なく、以下を前述のケラチン材料に連続して適用することからなる:
a)少なくとも1つの染料を含む少なくとも1つのメイクアップ組成物(M)からなるコート、及び
b)第1の着色されたコートに対する、前述で定義された少なくとも1つの組成物(C)又は1つの組成物(D)からなる第2のコート。
【0282】
メイクアップ組成物(M)
メイクアップ組成物(M)は、前述で定義されたものから選択される少なくとも1つの染料を含む。
【0283】
本発明によるメイクアップ組成物(M)は、皮膚、顔、頬又は目の周りの領域のためのメイクアップ製品であり得、特にファンデーション、アイシャドウ及びフェイスパウダー、リップスティック、マスカラ、眉毛メイクアップ製品及びアイライナーから選択することができる。
【0284】
本発明によるファンデーション(M)は、好ましくは、ゲル、クリーム、ミルク又はローションである。それらは、水性分散液、油性無水組成物、又は水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、或いは二相又は三相組成物などの多相組成物であり得る。
【0285】
本発明によるファンデーション(M)は、有機溶媒、揮発性油、不揮発性油、ワックス、樹脂、増粘剤、ゲル化剤、界面活性剤、皮膜形成ポリマー、フィラー、ビタミン、UV日焼け止め剤、又は保湿剤などの化粧用活性剤など、このタイプの製品に一般的に使用される1つ以上の成分を含むことができる。使用される染料は、好ましくは顔料であり、特に疎水性のコーティングされた顔料である。
【0286】
増粘クリームなどの高粘度組成物の場合、25℃、大気圧で測定した粘度は、せん断速度200s-1で4.5Pa.s以上であり、4番スピンドルを備えたBrookfield Rheomat RM180粘度計を使用して50Pa.s以下であり、測定は、回転速度及び粘度を安定させるためにスピンドルを10分間回転させた後に行った。
【0287】
流体組成物の場合、25℃、大気圧で測定した粘度は、せん断速度200s-1で4.5Pa.s以下、特に1mPa.s~4.5Pa.sであり、4番スピンドルを備えたBrookfield Rheomat RM180粘度計を使用して50Pa.s以下であり、測定は、回転速度及び粘度を安定させるためにスピンドルを10分間回転させた後に行った。
【0288】
ファンデーション組成物はまた、ホットキャスト固体形態であり得る。
【0289】
アイシャドウ又はフェイスパウダーの形態の本発明によるメイクアップ組成物(M)は、好ましくはルース又はコンパクトパウダーの形態である。使用される染料は、優先的には顔料であり、特に疎水性のコーティングされた顔料である。
【0290】
「コンパクトパウダー」という用語は、製造中に圧縮することによって少なくとも部分的に凝集がもたらされる生成物の塊を意味する。特に、これらの粉末は、Zwickデュロメータを使用して測定されたショアA硬度を有し、検討中の(under consideration)着色の強度に応じて、12~50°ショアA、好ましくは15~25°ショアAの範囲であることがより具体的に理解されるべきである。
【0291】
「ルースパウダー」という用語は、自重で崩壊する可能性のある製品の塊を意味し、このような塊は、主に孤立しており、互いに相対的に移動する粒子によって形成される。
【0292】
ルース又はコンパクトパウダー形態の本発明によるメイクアップ組成物(M)は、一般的に、少なくとも1つのフィラーを含む少なくとも1つの粉末相を含む。組成物は、組成物の総質量に対して50質量%以上の量で粉末相を含むことができる。フィラーは、一般的に、組成物が製造される温度に関係なく、組成物の媒体に不溶である又は分散する、任意の形状の無色又は白色の粒子である。無機又は有機、天然又は合成の性質のこれらのフィラーは、組成物に柔らかさを与え、皮膚につや消し効果及び均一性を与える。フィラーは、層状(又は小板状(platelet))、球形(又は球状)又は繊維状の形態、或いはこれらの定義された形態の間の中間の形態であり得る。フィラーの量は、組成物の総質量に対して40質量%以上であり得る。組成物は、一般的に無水である。本発明の粉末はまた、油性相を含み得る。それらはまた、特に、皮膜形成ポリマー、活性剤、日焼け止め剤、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、芳香剤、界面活性剤、増粘剤、殺菌剤、臭気吸収剤、活性物質(即ち、保湿剤、ビタミンなど)、及びそれらの混合物から選択される一般的な化粧用添加物を含み得る。
【0293】
本発明によるメイクアップ組成物(M)は、リップメイクアップ製品、特にリップスティック、リップグロス又はリップバームであり得る。
【0294】
リップスティック組成物(M)は、棒などの固体形態、又は皿状物(dish)形態又は液体形態の製品であり得る。それらは、無水又は水性、特に油中水型又は水中油型エマルジョンであり得る。支持体と表示形態に応じて、それらは、有機溶媒、揮発性油、不揮発性油、ワックス、皮膜形成ポリマー、フィラー、ビタミン、UV日焼け止め剤、又は保湿剤などの化粧用活性剤など、このタイプの製品に一般的に使用される1つ以上の成分を含むことができる。使用される染料は、顔料、水溶性染料、脂溶性染料、及びそれらの混合物である。
【0295】
本発明によるメイクアップ組成物(M)は、特に、マスカラ及びアイライナーから選択される、睫毛及び/又は眉毛用のメイクアップ製品であり得る。
【0296】
本発明によるマスカラ(M)は、好ましくは、特に粒子分散物(ラテックス)の形態での、ワックス、アルキルホスフェート、脂肪酸塩などのアニオン性乳化界面活性剤、ポリオキシエチレン化脂肪アルコールなどの非イオン性界面活性剤、又は皮膜形成ポリマーとの、水中油型エマルジョンである。また、それらは、フィラー、増粘剤、ゲル化剤、ビタミン、アミノ酸、又は保湿剤などの化粧用活性剤などの一般的な添加物を含むことができる。使用される染料は、顔料、水溶性染料、脂溶性染料、及びそれらの混合物から選択される。
【0297】
アイライナーは、好ましくは、特に粒子分散物(ラテックス)の形態での、皮膜形成ポリマーを有する水性組成物である。それらは、ワックス、界面活性剤、フィラー、増粘剤、ゲル化剤、ビタミン、アミノ酸又は保湿剤などの化粧用活性剤、及びそれらの混合物から選択される一般的な成分を含み得る。
【0298】
化粧用添加物
本発明の組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、化粧品に一般的な添加物を含むことができる。特に、酸化防止剤、防腐剤、中和剤、ゲル化剤又は増粘剤、界面活性剤、化粧用活性剤、例えば、皮膚軟化剤、保湿剤又はビタミン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0299】
酸化防止剤
特に、酸化防止剤は、ポリフェノールXの酸化を防止するために使用される。それらは、アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸、亜硫酸(sulfite)及びピロ亜硫酸(metabisulfite)、並びにチオール型の還元剤、特にシステインから選択されることができる。脂溶性染料としても作用するカロテン及びリコペンも挙げることができる。
【0300】
これらの添加物は、組成物の総質量に対して0.01%~15.0%の範囲の含有量で、組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)に存在し得る。
【0301】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)の有利な特性が、想定される追加によって悪影響を受けないように又は大幅に受けないように、任意の追加の添加物及び/又はその量を選択するように注意するであろう。
【0302】
組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、化粧分野で一般的に使用される既知のプロセスによって製造することができる。
【0303】
本発明に従って使用される組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、皮膚、目の周りの領域、唇、髪、睫毛、眉毛及び爪などのケラチン材料のためのケア製品であり得る。
【0304】
本発明に従って使用される組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、皮膚、目の周りの領域、唇、睫毛、眉毛及び爪などのケラチン材料のためのメイクアップ製品、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、リップスティック、マスカラ、アイライナー、マニキュア、プライマー又はフィニッシャーなどであり得る。
【0305】
本発明に従って使用される組成物(A)、(B)、(C)及び/又は(D)は、ハイブリッド製品、即ち、皮膚、目の周りの領域、唇、睫毛、眉毛、及び爪などのケラチン材料をケア及びメイクアップするための製品、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、リップスティック、マスカラ、アイライナー及びマニキュアなどであり得る。
【0306】
包装及びアプリケーター
本発明による組成物(A)、(B)、(C)、(D)及び/又は(M)は、それぞれ、前述の組成物を含む少なくとも1つのコンパートメントを境界設定する容器に包装されることができ、前述の容器は、閉鎖部材によって閉鎖されている。
【0307】
容器は、任意の適切な形態であり得る。それは特に、ボトル、チューブ、ジャー、又はケースの形態であり得る。
【0308】
閉鎖部材は、取り外し可能なストッパー、蓋、又はカバーの形態であり得、特に、容器に固定された本体、及び本体に連結されたキャップを含むタイプの形態であり得る。それはまた、容器を選択的に閉鎖するための部材、特にポンプ、バルブ又はフラップバルブの形態であり得る。
【0309】
容器は、特に撚られたワイヤーによって維持されるブラシの毛の配列を含むブラシの形態のアプリケーターと組み合わせることができる。このような撚られたブラシは、特に米国特許第4887622号明細書に記載されている。それはまた、特に成形によって得られる、複数の適用部材を含む櫛の形態であり得る。このような櫛は、例えば、仏国特許出願公開第2796529号明細書に記載されている。アプリケーターは、例えば、仏国特許出願公開第2722380号明細書に記載されているように、細いブラシの形態であり得る。アプリケーターは、発泡体の又はエラストマーのブロックの形態であり得る。アプリケーターは、例えば、特許米国特許第5492426号明細書に記載されているように、制約のない状態(スポンジ(sponge))であり得る、又は閉鎖部材によって支えられたロッドにしっかり固定されていることができる。アプリケーターは、例えば、仏国特許出願公開第2761959号明細書に記載されているように、容器にしっかり固定されていることができる。
【0310】
製品は、容器に直接、又は間接的に含まれることができる。
【0311】
閉鎖部材は、ねじ止めによって容器に結合することができる。或いは、閉鎖部材と容器の間の結合は、ねじ止めによる以外に、特に差し込み(bayonet)機構を介して、クリック固定又は把持によって行われる。「クリック固定(click-fastening)」という用語は、特に、一部(portion)の、特に閉鎖部材の弾性変形による材料のビード又はコードの交差、それに続くビード又はコードが交差した後、前述の一部の弾性的に拘束されていない位置への復帰を伴う任意のシステムを意味する。
【0312】
容器は、少なくとも部分的に熱可塑性材料からなり得る。挙げることができる熱可塑性材料の例には、ポリプロピレン及びポリエチレンが含まれる。
【0313】
容器は、特にチューブ又はチューブボトルの形態の、剛性又は変形可能な壁を有し得る。
【0314】
容器は、組成物の分配をもたらす又は容易にすることを意図した手段を含み得る。例として、容器は、変形可能な壁を有して容器内の過剰圧力に応答して組成物を流出させることができ、この過剰圧力は、容器の壁の弾性的(又は非弾性的)圧搾によってもたらされる。
【0315】
容器は、容器の開口部の近くに配置された水切り器を備えていることができる。このような水切り器は、アプリケーターと、場合によりアプリケーターがしっかり固定されていることができるロッドを拭くことを可能にする。このような水切り器は、例えば、特許仏国特許出願公開第2792618号明細書に記載されている。
【0316】
特許請求の範囲を含む説明を通して、「含む」という用語は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。
【0317】
「…~…の間」及び「…~…の範囲」という表現は、特に明記されていない限り、限界点が含まれることを意味するものと理解すべきである。
【0318】
以下に示す実施例及び図面により、本発明をより詳細に例示する。特段の指定がない限り、ここに示す量は、質量百分率で表す。
【実施例】
【0319】
I/一段階メイクアッププロセス
a)ポリフェノールXと、水素結合により相互作用することができる化合物Yと、水素結合阻害剤(エタノール)とを含む組成物(D)を適用するプロセス
顔料を有する水性組成物の実施例1~4(本発明)及び例1a~4a及び4b(本発明外)
以下の組成物を調製した:
【0320】
【0321】
調製方法
相A及びBを、均一な溶液が得られるまで攪拌しながら室温でこれらの相のそれぞれの成分を混合することにより調製した。次に、相A、B及びCを、均一な組成物が得られるまでビーカー中で混合した。
【0322】
評価プロトコル:
一辺の長さが6cmの透明なPETプレートを切り出した。
【0323】
適用領域を制御及び境界設定するために、内側の円の直径が22mmの粘着ディスク(Monaderm(登録商標)ref.PA22/36両面ディスク、直径22/36)を適用した。従って、単位面積あたり同じ量の生成物を適用した。
【0324】
0.15gの試料生成物がこの円に置かれた。
【0325】
試料を室温で12時間放置して乾燥させた。
【0326】
次に、プレートを攪拌しながら水600mlに2分間浸漬した。
【0327】
次いで、Haze(登録商標)Guard i machine(Byk)を使用して測定される光透過率を測定することによって、プレート上に残っている生成物の量を特性評価した。
【0328】
この試験では、試験された組成物の耐水性を特性評価した。
【0329】
結果
【0330】
【0331】
タンニン酸(ポリフェノールX)と水素結合化合物Yとを含む本発明による実施例1~4は、低い透過率値をもたらし、支持体上にかなりの量の堆積物が残っていたということを反映した:これらの堆積物の耐水性及び持続性が改善された。
【0332】
一方、タンニン酸を含まない本発明外の例1a~4a及び水素結合化合物Yを含まない本発明外の例4bは、高い透過率値を示した。これは、PETプレートにもはや何も残っていないことを示した:その耐水性は低すぎた。
【0333】
顔料を有する水性組成物の実施例5~9(本発明)及び例5a~10a(本発明外)
以下の組成物を調製した。
【0334】
【0335】
調製方法
実施例5~9及び例5a~10aは、前と同じ条件で調製した。
【0336】
評価プロトコル:
前と同じ条件で同じ耐水試験を行った。
【0337】
結果
【0338】
【0339】
プロシアニジン(ポリフェノールX)に富む緑茶抽出物又は海岸松樹皮抽出物及び水素結合化合物Yを含む本発明による実施例5~9は、低い透過率値をもたらし、支持体上にかなりの量の堆積物が残っていたということを反映した:これらの堆積物の耐水性と持続性が改善された。
【0340】
一方、ポリフェノールを含まない本発明外の例5a~8a、及び水素結合化合物Yを含まない本発明外の例9a及び10aでは、透過率値が非常に高くなった。これは、PETプレートの堆積量が減少したことを示した:その耐水性は低すぎた。
【0341】
染料を有する水性組成物の実施例10~14(本発明)及び例1b~5b(本発明外)
以下の組成物を調製した。
【0342】
【0343】
調製方法
相A及びBを、均一な溶液が得られるまで攪拌しながら室温でこれらの相の各成分を混合することにより調製した。次に、相A、B及びCをビーカー中で混合した。均一な赤色組成物が得られた。
【0344】
評価
直径43mmの15mlジャーに適した白色ポリプロピレン製の完全に平らな表面を備えたねじ蓋のシーリングディスクを回収した。
【0345】
0.15gの生成物をシーリングディスクの1つに入れた。
【0346】
試料を12時間放置して乾燥させた。
【0347】
次に、2分間攪拌しながらプレートを40mlの水に浸漬した。
【0348】
次いで、白いプレートに残っている色を特性評価した。
【0349】
結果
【0350】
【0351】
タンニン酸(ポリフェノールX)と水素結合化合物Yとを含む本発明による実施例10~14では、シーリングディスクの表面における赤色堆積物の持続性をもたらした。これらの堆積物の耐水性及び持続性が改善された。
【0352】
これに対し、タンニン酸(ポリフェノールX)を含まない本発明外の例1b~4b、及び水素結合化合物Yを含まない本発明外の例5bでは、水溶性染料が完全に拡散し、シーリングディスクの表面が白色になった。これらの堆積物の耐水性及び持続性は劣っていた。
【0353】
無水組成物の実施例15~17(本発明)及び例1c(本発明外):
下記の組成を有する無水液体リップスティックを調製した。
【0354】
液体リップスティックの例R1(本発明外)
下記の組成を有する液体リップスティックR1を調製した。
【0355】
【0356】
調製方法
相Aを、透明な均一相が得られるまでこの相の成分を室温で混合することにより調製した。
【0357】
相Eの成分を溶融パンに入れ、均一な混合物が得られるまで95℃の温度で混合した。次いで、相Aを添加し、続いて相Bを添加し、最後に相Cを添加した。混合物が均一になったら、攪拌しながら室温まで冷却した。
【0358】
【0359】
調製方法
相Bを、透明な均一相が得られるまでこの相の成分を混合することにより調製した。次に、均一な相が得られるまで、相A及びBを混合した。
【0360】
評価
一辺の長さが6cmの透明なPETプレートを切り出した。
【0361】
内側の円の直径が22mmの粘着ディスク(Monaderm(登録商標)ref.PA22/36両面ディスク、直径22/36)を適用し、適用領域の制御及び境界設定を可能にした。従って、単位面積あたり同じ量の生成物を適用した。0.15gの各例の組成物をこの円の中に入れた。各試料を室温で12時間放置して乾燥させた。次いで粘着ディスクを取り除いた。次いで、この赤色堆積物で覆われたプレートを、30秒間撹拌しながら100mlのイソドデカンに浸した。次いで、プレートを取り出し、着色された面を下にしてペーパータオル(Kimberly-ClarkのWypall L40(登録商標))上に置いた。37mm×50mmの長方形の領域に渡り分散された2kgの質量が適用された。この操作を同じ試料に対して連続して8回繰り返した。次いで、吸収紙に残った赤いマークと、PETプレートに残った生成物の量を評価した。この試験では、油の存在下での組成物の耐移り性を特性評価した。
【0362】
結果:
本発明外の組成物R1を使用して得られた堆積物は、7サイクル後に完全に移された。換言すれば、7サイクル後、PETプレートに着色された堆積物はもはや残っていなかった。本発明による組成物15は、8サイクル後にタオルに移ったが、PETプレートの堆積物の量は、R1と比較してかなりの量のままであった。組成物16は、組成物15よりわずかに多く移され、8サイクル後にPETプレートに残った堆積物の量は、組成物R1のものより著しく多かった。組成物17は、8サイクルまでほとんど色移りせず、残った堆積物の量は、組成物R1より著しく多かった。
【0363】
本発明外の組成物1cは、不均一であった:それは相分離を受けた。
【0364】
b)ポリフェノールXと水素結合により相互作用可能な化合物Yとの相互作用により得られた事前形成されたコーティング剤を含む組成物(C)を適用するプロセス
コーティング剤P1
以下の組成よりコーティング剤P1を調製した。
【0365】
【0366】
調製方法
透明で均一な組成物が得られるように、相A及び相Bを別々に調製した。次いで、相A及びBを混合し、一緒に反応させて沈殿物を形成した。次いで、沈殿物を濾過により単離し、続いて水で洗浄した。
【0367】
コーティング剤P2
コーティング剤P2は、前と同じ調製条件で以下の組成より調製した。
【0368】
【0369】
実施例18及び19(本発明):無水液体リップスティック
以下の組成を有する無水液体リップスティックを調製した。
【0370】
前述のリップスティックR1を使用した。
【0371】
【0372】
調製方法
事前形成された処理剤P1又はP2を、液体リップスティック組成物R1に導入し、均一な混合物が得られるまで撹拌した。
【0373】
評価
実施例15~17について前述と同じ耐移り性試験を実施した。
【0374】
結果:
組成物R1を使用して得られた堆積物は、7サイクル後に完全に移された。換言すれば、7サイクル後、PETプレートに着色された堆積物はもはや残っていなかった。
【0375】
タンニン酸(ポリフェノールX)と水素結合化合物Yとを含む本発明の組成物18及び19は、8サイクルまでタオルにわずかに移り、PETプレートの堆積量は、組成物R1と比較して非常に多いままであった。
【0376】
実施例20及び21(本発明)並びに例20a、20b、20c及び20d(本発明外)
以下の配合物を調製した:
【0377】
【0378】
適用
一辺の長さが6cmの透明なPETプレートを切り出した。
【0379】
内側の円の直径が22mmの粘着ディスク(Monaderm(登録商標)ref.PA22/36両面ディスク、直径22/36)を適用し、適用領域の制御及び境界設定を可能にした。従って、単位面積あたり同じ量の生成物を適用した。次いで、0.1gの上記配合物を、1)ベースコート及び2)トップコートの重ね合わせとして混合せずにPET支持体に適用し、トップコートを適用する前にベースコートを乾燥させた。
【0380】
持続性試験
このようにして得られた堆積物の光透過率を、Haze Guard i machine(Byk)を使用して測定した。
【0381】
次いで、堆積物を1分間撹拌しながら50mlの脱イオン水に浸漬し、続いて1分間撹拌しながらイソドデカンに浸漬した。
【0382】
乾燥後、同じ条件で抵抗性堆積物の光透過率を測定した。
【0383】
次いで、堆積物を1分間攪拌しながら50mlのイソドデカンに浸漬した。
【0384】
透過率の変化は、浸漬前に測定した透過率に対する増加率として表した。この増加が大きいほど、堆積物の耐水性が低くなり、得られる皮膜の劣化が大きくなる。
【0385】
結果は、以下の表で照合される。
【0386】
【0387】
値は、以下を示している:
-ポリフェノールタンニン酸と、水素結合化合物ポリソルベート-80と、エタノールとを含む本発明による無水組成物20は、耐水性の高い堆積物をもたらした、
-ポリフェノールタンニン酸と、水素結合化合物ポリソルベート-80と、イソドデカンとを含む本発明による無水組成物21は、耐水性の高い堆積物をもたらした、
-水素結合化合物ポリソルベート-80を含まない組成物20及び20cは、耐水性ではなかった、
-ポリフェノールタンニン酸を含まない組成物20b及び20dは、耐水性ではなかった。
【0388】
II/二段階メイクアッププロセス
a)1)ポリフェノールX(タンニン酸)を含む組成物(A)の第1のコート(ベースコート)の適用、及び2)水素結合によりポリフェノールと相互作用することができる化合物Yを含む組成物(B)の第2のコート(トップコート)の適用による2段階メイクアッププロセス
以下の配合物を調製した:
ベースコート組成物A1及びA2
【0389】
【0390】
トップコート組成物B1~B10
【0391】
【0392】
適用
次いで、0.1gの上記配合物を、1)ベースコート及び2)トップコートの重ね合わせとして混合せずにPET支持体に適用し、トップコートを適用する前にベースコートを乾燥させた。
【0393】
持続性試験
このようにして得られた堆積物の光透過率を、Haze Guard i machine(Byk)を使用して測定した。次いで、堆積物を、1分間撹拌しながら50mlの脱イオン水に浸漬した。乾燥後、同じ条件で抵抗性堆積物の光透過率を測定した。透過率の変動は、浸漬前に測定した透過率に対する増加率として表した。この増加が大きいほど、堆積物の水に対する抵抗が低くなる。結果は、以下の表で照合される。
【0394】
【0395】
ポリフェノールタンニン酸のみ又は水素結合受容体化合物Yのみを使用する本発明外の2段階メイクアッププロセスと対照的に、タンニン酸を有する第1のコートと水素結合受容体化合物Yを有する第2のコートの重ね合わせを使用した本発明による2段階メイクアッププロセスにより、耐水性が大幅に向上した。
【0396】
b)1)メイクアップ組成物R1の第1のコート(ベースコート)の適用、及び2)ポリフェノールXと、水素結合によってポリフェノールと相互作用することができる化合物Yと、水素結合阻害剤(エタノール)とを含む組成物(D)の第2のコート(トップコート)の適用による2段階メイクアッププロセス
本発明による実施例22~24:第2のコート(トップコート)組成物
第1のコート(ベースコート)メイクアップ組成物:
前述で定義されたリップスティックR1を第1のコートとして使用する。
第2のコート(トップコート)コーティング組成物:
以下の第2のコート(トップコート)組成物を調製した。
【0397】
【0398】
調製方法
透明で均一な混合物が得られるまで、相Aの成分を混合した。
【0399】
メイクアッププロセス
リップスティックR1の第1のコートを、以下に定義する粘着ディスクに適用し、続いて、第2のコートとして、本発明による組成物22~24の1つを前述の第1のメイクアップコートに適用した。
【0400】
基準プロセスとして、前述で定義されたリップスティックR1のコートの1つのみを適用した。
【0401】
評価
一辺の長さが6cmの透明なPETプレートを切り出した。
【0402】
内側の円の直径が22mmの粘着ディスク(Monaderm(登録商標)ref.PA22/36両面ディスク、直径22/36)を適用し、適用領域の制御及び境界設定を可能にした。従って、単位面積あたり同じ量の生成物を適用した。
【0403】
0.15gのメイクアップ組成物R1の第1のコートをこの円の中に入れた。
【0404】
第1のコートを、室温で6時間放置して乾燥させた。
【0405】
次いで、0.15gの本発明による各トップコート組成物15、16又は17を第1のコートに堆積させた。
【0406】
第2のコートを、室温で12時間放置して乾燥させた。
【0407】
次いで粘着ディスクを取り除いた。次いで、この赤色堆積物で被覆されたプレートを、30秒間撹拌しながら100mlのイソドデカンに浸した。次いで、プレートを取り出し、着色された面を下にしてペーパータオル(Kimberly-ClarkのWypall L40(登録商標))上に置いた。37mm×50mmの長方形の領域に渡り分散された2kgの質量が適用された。この操作を同じ試料に対して連続して8回繰り返した。
【0408】
次いで、吸収紙に残った赤いマークと、PETプレートに残った生成物の量を評価した。
【0409】
この試験では、油の存在下における組成物の耐移り性を特性評価した。
【0410】
結果:
組成物R1を1回だけコートして得られた堆積物は、7サイクル後に完全に移された:着色された堆積物は、PETプレートにもはや残っていなかった。
【0411】
組成物R1と本発明によるトップコート組成物22、23及び24のうちの1つとの重ね合わせでは移りは観察されなかった。
【0412】
タンニン酸(ポリフェノールX)と水素結合化合物Yとを含む本発明によるトップコート組成物22、23及び24は、油の存在下における耐移り性を著しく改善した。
【0413】
本発明による実施例25:第2のコート(トップコート)組成物
第1のコート(ベースコート)メイクアップ組成物:
下記で定義されるマスカラ組成物M1を第1のコートとして使用する。
実施例M1(本発明外):マスカラ
【0414】
【0415】
調製方法
アクリル皮膜形成ポリマー(Daitosol 5000 AD(登録商標))を除く上記の全ての成分を、室温でタンク内の全水の20%に相当する体積の水に導入した。
【0416】
得られた混合物を20分間攪拌しながら95℃で加熱した。次いで、残りの水を加え、混合物を均一化し、この温度で機械的攪拌(インペラー+ターボミキサー)をしながら15分間乳化した。次いで混合物を撹拌しながら40℃に冷却した。次いで、アクリル皮膜形成ポリマー(Daitosol 5000 AD(登録商標))を添加した。最終混合物をインペラーで均一化し、20℃まで放冷した。
【0417】
第2のコート(トップコート)メイクアップ組成物:
本発明による以下の第2のコート組成物(トップコート)を調製した。
【0418】
【0419】
調製方法
透明で均一な混合物が得られるまで、相Aの成分を混合した。
【0420】
配合物M1及び25は、LancoemeのHypnose(登録商標)パックに包装された。つけ睫毛の試験片に生成物を適用した。マスカラM1は、15回のブラシストロークを2回適用することによってつけ睫毛の試験片に適用される。マスカラをつけ睫毛の試験片に6時間放置して乾燥させた。
【0421】
次に、1つの試験片において、15回のブラシストロークを2回したマスカラM1を、15回のブラシストロークを2回したトップコート組成物25と重ね合わせ、組成物25を適用する前に組成物M1を乾燥させた。全体を6時間放置して乾燥させた。
【0422】
次いで、これらの試験片を600mlの水を含むビーカー中で攪拌しながら浸す。10分後、試験片を取り出し、試験片に残っているマスカラの量を記録する。こうしてマスカラの耐水性を評価する。
【0423】
試験片の黒い残りの量は、試験片の写真を用いて黒いピクセルの数を評価することによって評価した。
【0424】
20メガピクセルの解像度に設定されたNikon D800カメラを使用して、メイクアップをしていない試験片、メイクアップをした試験片、及び水に10分間浸漬した後の試験片の写真を撮る。次いで、メイクアップをしていない試験片による黒いピクセルの数を差し引き、メイクアップ後のマスカラ堆積物の黒いピクセルの数と、浸漬後の睫毛に残っている堆積物の黒いピクセルの数を決定した。
【0425】
この測定を2回繰り返して、浸漬後に試験片に残っている黒いピクセルのパーセントの平均を得る。
【0426】
【0427】
上の表は、マスカラ組成物M1では、その最初の堆積物の23.9%しか残っていなかったが、マスカラM1とトップコート組成物25との重ね合わせによって得られた試料では、最初の堆積物の100%が残ったことを示している。従って、ポリフェノールXと化合物Yとの組み合わせから得られる薬剤を含む本発明による実施例25とのマスカラ組成物の重ね合わせは、睫毛に残る堆積物の量、及び従って堆積物の耐水性を著しく増加させる。
【国際調査報告】