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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】制御システムと充放電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20231212BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20231212BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H02J7/04 K
H01M10/44 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558357
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022089621
(87)【国際公開番号】W WO2023082557
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202122738747.5
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】王 佳
(72)【発明者】
【氏名】王 志輝
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB04
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF31
5H030FF42
(57)【要約】
本出願の実施例は、電源制御の技術分野に関し、制御システム及び充放電制御システムを開示する。この制御システムは、制御回路と中位機とを含み、前記制御回路は、圧力センサと、ピエゾバルブと、コントローラとを含む。前記圧力センサは、圧力情報を収集するために用いられ、前記コントローラは、圧力センサにより収集された圧力情報を受信し、前記圧力情報を中位機に送信するために用いられ、前記中位機は、前記圧力情報を上位機に送信し、前記圧力情報に基づいて上位機が生成した圧力設定値を受信し、前記圧力設定値をコントローラに送信するために用いられ、前記コントローラはさらに、前記圧力設定値に基づいて前記ピエゾバルブを制御するために用いられる。上記方式によって、本出願の実施例は、充放電の安全性を向上できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路と中位機とを含む制御システムであって、
前記制御回路は、圧力センサと、ピエゾバルブと、コントローラとを含み、
前記圧力センサは、圧力情報を収集するために用いられ、
前記コントローラは、前記圧力センサにより収集された圧力情報を受信し、前記圧力情報を前記中位機に送信するために用いられ、
前記中位機は、前記圧力情報を上位機に送信し、前記圧力情報に基づいて前記上位機が生成した圧力設定値を受信し、前記圧力設定値を前記コントローラに送信するために用いられ、
前記コントローラはさらに、前記圧力設定値に基づいて前記ピエゾバルブを制御するために用いられる、ことを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記中位機はさらに、前記上位機により送信される圧力保護範囲を受信するために用いられ、
前記圧力情報が前記圧力保護範囲を超えた場合、前記制御回路に制御命令を送信し、前記制御回路に前記ピエゾバルブを閉弁させる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記圧力情報を受信し、前記圧力情報をデジタル信号に変換するための変換ユニットをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記コントローラに電気的に接続され、圧力情報を表示するための圧力表示ゲージをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記システムは、上位機をさらに含み、
前記上位機は、前記中位機に電気的に接続され、前記中位機により報告される制御回路状態情報を受信するために用いられ、
前記上位機は、前記制御回路状態情報に基づいて前記中位機に制御命令を送信する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記システムは、前記中位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記制御回路を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記システムは、前記上位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記中位機を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
充放電制御システムであって、
電源と、請求項1から7のいずれか1項に記載の制御システムとを含み、
前記制御システムは、前記電源の充放電を制御するために用いられる、ことを特徴とする充放電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、電源制御の技術分野に関し、具体的に、制御システムと充放電制御システムに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月09日に提出された名称が「制御システムと充放電制御システム」である中国特許出願202122738747.5の優先権を主張しており、この出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
省エネ・排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵であり、電気自動車は、その省エネ・環境保護の優位性から、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分となっている。電気自動車にとって、バッテリー技術は、その発展に関わる重要な要素である。
【0004】
現在、リチウムイオンバッテリーのさらなる広範な応用に伴い、バッテリーの充電は、ますます重要になり、どのようにバッテリーの充電を迅速且つ安全に完了するかは、電気自動車を普及させる鍵となっている。本出願の発明者は、従来のバッテリー充放電システムの効率が比較的に低く、負荷が比較的に大きく、バッテリーの充放電を効果的に制御することが困難であることを発見した。
【発明の概要】
【0005】
上記問題に鑑みて、本出願の実施例は、従来技術における上記問題を解決するための制御システムと充放電制御システムを提供する。
【0006】
一局面によれば、本出願の実施例は、制御回路と中位機とを含み、制御回路は、圧力センサと、ピエゾバルブと、コントローラとを含み、圧力センサは、圧力情報を収集するために用いられ、コントローラは、圧力センサにより収集された圧力情報を受信し、圧力情報を中位機に送信するために用いられ、中位機は、圧力情報を上位機に送信し、前記圧力情報に基づいて上位機が生成した圧力設定値を受信し、圧力設定値をコントローラに送信するために用いられ、コントローラはさらに、圧力設定値に基づいてピエゾバルブを制御するために用いられる制御システムを提供する。
【0007】
本出願の実施例による制御システムによって、上位機の負荷を低減し、データ交換の効率を大幅に向上させる一方、制御回路が圧力センサとピエゾバルブとコントローラとを集積しているので、PLC端のAI/AO出力モジュールをなくし、素子による空間占有を低減し、システムコストを低減できる。そして、中位機によるシステム保護は、システムのサンプリング及び応答速度を向上させ、上位機のオフラインによる影響を回避し、システムの安全性を大幅に向上できる。
【0008】
いくつかの実施例では、中位機はさらに、上位機により送信される圧力保護範囲を受信し、圧力情報が圧力保護範囲を超えた場合、制御回路に制御命令を送信し、制御回路に前記ピエゾバルブを閉弁させるために用いられる。
【0009】
このような方式によって、中位機は、圧力情報と圧力保護範囲に基づいてピエゾバルブを直接制御し、制御回路の安全保護を上位機から中位機に移行させて行うことができ、安全保護の効率を向上させ、中位機による制御に起因する遅延を回避することができる一方、上位機の負荷を大幅に低減できる。
【0010】
いくつかの実施例では、制御回路は、圧力情報を受信し、圧力情報をデジタル信号に変換するための変換ユニットをさらに含む。
【0011】
変換ユニットと制御回路とを集積することによって、制御回路の集積度を向上させるとともに、圧力情報を収集する効率を向上できる。
【0012】
いくつかの実施例では、制御回路は、コントローラに電気的に接続され、圧力情報を表示するための圧力表示ゲージをさらに含む。
【0013】
圧力表示ゲージによって圧力情報をより直感的に表示し、ピエゾバルブに対する圧力制御の正確性と利便性を向上させることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、この制御システムは、上位機をさらに含み、上位機は、中位機に電気的に接続され、中位機により報告される制御回路状態情報を受信するために用いられ、上位機は、制御回路状態情報に基づいて中位機に制御命令を送信する。
【0015】
中位機によって上位機にピエゾバルブの状態情報を周期的に報告することにより、上位機にピエゾバルブ状態を把握させるとともに、ピエゾバルブ状態の取得にかかる負担を低減できる。
【0016】
いくつかの実施例では、この制御システムは、中位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の制御回路を含む。制御回路の集積化程度を向上させることによって、制御回路と中位機との直接通信を実現させ、中位機は、ピエゾバルブを直接制御することができ、バッテリー充放電に対するシステムの制御能力を向上できる。
【0017】
いくつかの実施例では、この制御システムは、上位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の中位機を含む。このような方式によって上位機の負荷を低減し、データ交換の効率を大幅に向上させた。
【0018】
別の局面によれば、本出願の実施例はさらに、電源と、上記実施例による制御システムとを含み、この制御システムは、電源の充放電を制御するために用いられる充放電制御システムを提案した。
【0019】
本出願の実施例による制御システムと充放電制御システムによって、上位機の負荷を低減し、データ交換の効率を大幅に向上させる一方、制御回路が圧力センサとピエゾバルブとコントローラとを集積しているので、PLC端のAI/AO出力モジュールをなくし、素子による空間占有を低減し、システムコストを低減できる。そして、中位機によるシステム保護は、システムのサンプリング及び応答速度を向上させ、上位機のオフラインによる影響を回避し、システムの安全性を大幅に向上できる。
【0020】
上記説明は、本出願の実施例の技術案の概略の説明にすぎず、本出願の実施例の技術手段をより明確に理解し、明細書の内容に従って実施可能とするために、且つ本出願の実施例の上記及び他の目的、特徴と利点をより明確に分かりやすくするために、以下、本出願の具体的な実施の形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下の好適な実施の形態に対する詳細な記述を読むことによって、様々な他の利点及び有益な点が当業者に明らかになるであろう。添付図面は、好適な実施の形態を示すためにのみ使用され、本出願に対する限定と考えるべきではない。また、全ての添付図面では、共通する添付図面の符号で同じ部品を示す。添付図面において、
図1図1は本出願の実施例による制御システムの構造概略図を示す。
図2図2は本出願の実施例による制御システムの回路図を示す。
図3図3は本出願の実施例による充放電制御システムの構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面と結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用されるため、例示に過ぎず、これによって本出願の保護範囲を限定すべきではない。
【0023】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者が一般的に理解している意味と同じであり、本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を限定することを意図するものではない。本出願の明細書と請求項及び上記添付図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。
【0024】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「第一の」「第二の」などは、異なる対象を区別するためにのみ使用され、相対的な重要性を指示又は示唆し、又は指示された技術特徴の数、特定の順序又は主従関係を非明示的に指示すると理解できない。本出願の実施例の記述において、「複数」とは、明確かつ具体的に限定されない限り、二つ以上を意味する。
【0025】
本明細書で言及される「実施例」とは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合せ可能であると明示的且つ非明示的に理解している。
【0026】
本出願の実施例の記述において、用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、Aが存在するケース、AとBとが同時に存在するケース、Bが存在するケースの3つのケースを表してもよい。また、本明細書におけるキャラクタである「/」は、一般的にはその前後にある関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0027】
本出願の実施例の記述において、用語である「複数」とは、二つ以上(二つを含む)であり、同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)であり、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)である。
【0028】
本出願の実施例の記述において、技術用語である「中心」「縦方向」「横方向」「長さ」「幅」「厚さ」「上」「下」「前」「後ろ」「左」「右」「鉛直」「水平」「頂」「底」「内」「外」「時計回り」「反時計回り」「軸方向」「径方向」「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、添付図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本出願の実施例を記述し、記述を簡略化することを容易にするためだけのものであり、指定された装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願の実施例に対する限定と理解すべきではない。
【0029】
本出願の実施例の記述において、特に明確に規定又は限定しない限り、技術用語である「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続でもよく、取り外し可能な接続でもよく、又は一体でもよく、機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、直接に繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、二つの要素内部の連通又は二つの要素の相互作用の関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0030】
現在、市場情勢の発展からみると、バッテリーの応用は、ますます広くなっている。バッテリーは、水力、火力、風力と太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電源システムに用いられるだけでなく、且つ電動自転車、電動バイク、電気自動車などの電気交通手段、及び軍備と航空宇宙などの複数の分野に広く用いられる。バッテリーの応用分野の絶えない拡大に伴い、その市場の需要量も絶えず拡大している。
【0031】
バッテリー技術の発展に伴い、バッテリーの充電に対する市場の需要も日増しに増加している。現在、バッテリーを充放電する際に、往々にしてセキュリティリスクが存在し、特に大電力の充放電を行う際に、バッテリーの過熱が起こりやすく、温度が高すぎると、バッテリーの発火、ひいては爆発を引き起こすおそれがある。このため、バッテリーの充電過程において、充電過程をリアルタイムでモニタリングし、バッテリーの状態に基づいて充電過程をリアルタイムで制御することは、非常に重要である。
【0032】
バッテリー充放電の制御システムには、通常、上位機と、中位機と、電源システムと、充電対象のバッテリーに接続される制御回路とが含まれる。上位機は、中位機に接続され、中位機により送信される情報を受信し、中位機により送信される情報に基づいて中位機に制御命令を送信するために用いられ、中位機は、制御システム及び電源システムに接続され、バッテリーの充放電過程を監視し制御するために用いられ、電源システムは、バッテリーに電源を提供するために用いられ、制御システムは、バッテリーの充放電過程をモニタリングし、モニタリング情報を中位機又は上位機に送信するために用いられ、中位機又は上位機は、モニタリング情報に基づいて制御システムに制御命令を送信し、バッテリーの充放電過程を制御する。
【0033】
そのうち、上位機とは、通常、操作制御命令を直接発することができるコンピュータであり、主にバッテリー充放電システムの全体的な状況をモニタリングしスケジューリングするために用いられる。上位機は、様々な信号変化(液圧、水位、温度など)をスクリーンに表示することによって、システム稼働の全体的な状況を示す。
【0034】
中位機は、機器を直接制御して機器の状況を取得するコンピュータであり、一般的に、マイクロプロセッサなどであり、応答速度が速い特徴を有し、機器の状態をタイムリーに取得し、機器の状態を分析した後、機器に制御命令を発することができる。通常の場合、上位機が発する命令は、まず中位機に送信され、中位機は、この命令に基づいて該当するシーケンス信号として解釈して該当する機器を直接制御する。上位機は、中位機によって機器の状態を周期的に取得し、中位機は、機器の状態情報を適時に取得し、機器の状態情報を上位機に送信する必要がある。場合によって、中位機は、上位機を介さずに機器を直接制御することもできる。
【0035】
概念上、上位機と中位機は、相対的な概念であり、一般的に、制御者とサービス提供者は、上位機であり、被制御者と被サービス者は、下位機であり、ホストとスレーブとの関係と理解されてもよいが、上位機と下位機は、変換可能である。
【0036】
電源システムは、充電対象のバッテリーにエネルギーを提供するために用いられ、電源システムは、商用電力系統であってもよく、エネルギー貯蔵システムであってもよく、外部に電源を提供すればよく、ここでは限定しない。
【0037】
制御回路は、上位機、中位機及び電源システムに接続され、充電対象のバッテリーに電源を提供するように電源システムを制御するために用いられ、電源の充放電を制御する過程において、制御回路は、バッテリーの温度、圧力及び電流耐量の変化などを含むバッテリーの状態をモニタリングして、上記変化を上位機と中位機にフィードバックすることにより、上位機と中位機により充電過程を制御する。
【0038】
ピエゾバルブは、新型のピエゾ制御装置である。通常の圧力弁、流量弁及び方向弁には、既存の制御部分に代えて、比例電磁石を用いて、入力された電気信号に応じてガスの圧力、流量又は方向を連続的に、且つ比例的に遠隔制御する。ピエゾバルブは、一般的に圧力補償性能を有し、出力圧力と流量は、負荷変化の影響を受けない。本出願の実施例による制御システムにおいて、制御回路は、ピエゾバルブを用いてバッテリーの充放電過程を制御する。
【0039】
本出願の発明者は、以下のことを発見した。すなわち、従来ではバッテリーを充放電する過程において、専用のPLC(プログラマブルコントローラ)によってバッテリーの充放電過程を制御し、上位機は、PLCのメッセージをリアルタイムで取得することによってバッテリーの圧力情報を取得し、圧力情報に基づいてピエゾバルブを制御し、さらに充放電過程に対して圧力保護を行う必要があり、上位機の負荷が非常に大きくなってしまう。また、上位機間は通常、TCP/IPプロトコルによって通信するため、通信遅延が比較的に深刻になり、上位機のネットワークケーブルが緩まると、充放電過程の圧力保護が効かなくなる。同時に、PLCがバッテリーの圧力値を取得する際に、専用のAI/AOモジュールを配置する必要があり、配置が比較的に複雑であり、バッテリーの充放電過程を効果的に制御することができない。
【0040】
本出願の実施例は、制御システムを提案する。圧力センサ140とピエゾバルブ131とコントローラ120とを集積して一体的な制御回路100として設置し、中位機200との間に通信接続を確立し、元々は上位機に送信していた圧力情報を中位機200に送信することによって、上位機の負荷を解放できる。そして、PLCのAI/AOモジュールをなくして、ハードウェアコストを大幅に低減した。中位機200によってピエゾバルブ131を直接制御するので、本出願の実施例は、安全制御をタイムリーで行うことができ、セキュリティリスクを解消できる。
【0041】
本出願の実施例による制御システムは、図1に示すように、制御回路100と、中位機200とを含み、制御回路100は、圧力センサ140と、ピエゾバルブ131と、コントローラ120とを含み、圧力センサ140は、圧力情報を収集するために用いられ、コントローラ120は、圧力センサ140により収集された圧力情報を受信し、圧力情報を中位機200に送信するために用いられ、中位機200は、圧力情報を上位機に送信し、圧力情報に基づいて上位機が生成した圧力設定値を受信し、圧力設定値をコントローラに送信するために用いられ、コントローラ120はさらに、圧力設定値に基づいてピエゾバルブ131を制御するために用いられる。
【0042】
バッテリーを充放電する過程において、圧力センサ140は、バッテリーの圧力を収集し、バッテリーの圧力情報を取得し、圧力情報をコントローラ120に送信する役割を果たす。コントローラ120は、圧力センサ140により送信される圧力情報を受信した後、圧力情報をデジタル信号に変換して中位機200に送信する。
【0043】
中位機200と制御回路100との間はRS485バス又はCANバスを介して接続され、制御回路100は、圧力情報をRS485メッセージ又はCANメッセージに直接書き込んで中位機200に送信し、追加の情報オーバヘッドを増やす必要がない。そして、中位機200は、RS485バス又はCANバスを介して、制御回路100により送信される圧力情報を受信することにより、情報取得のタイムリー性を確保することができ、情報遅延の問題を解決できる。
【0044】
システム起動時、中位機は、上位機により送信される制御命令を取得し、この制御命令は、圧力設定値と圧力保護範囲などを含む。中位機は、圧力設定値を制御回路に送信することにより、制御回路は、圧力設定値に基づいてピエゾバルブを制御する。それと同時に、中位機はさらに、圧力保護範囲に基づいて制御回路を保護して、システム圧力が設定された閾値を超えたり下回ったりした場合、ピエゾバルブをタイムリーで閉弁させて、システムを保護する。
【0045】
制御システムの稼働中、中位機200は、圧力情報を受信した後、圧力情報を判断し、ピエゾバルブ131を制御する必要があるか否かを決定し、圧力値が圧力保護範囲を超えた場合、中位機は、コントローラによってピエゾバルブを直接閉弁させる。圧力情報が圧力保護範囲内である場合、何ら処理を行う必要がなく、圧力情報を上位機に送信して、上位機により処理する。
【0046】
ピエゾバルブ131は、コントローラ120の制御でバッテリー内部の圧力を制御し、バッテリー内部の圧力を調節するために用いられる。圧力センサにより取得された圧力情報が圧力設定値を超えた場合、コントローラは、ピエゾバルブ131に制御情報を送信し、ピエゾバルブのバルブ開度を制御することによって、バッテリー内部の圧力を調節する。ピエゾバルブ131は、複数であってもよく、コントローラ120は、複数のピエゾバルブ131にそれぞれ接続され、異なるバッテリー又はバッテリーの異なる位置の圧力をそれぞれ制御する。
【0047】
図2は、本出願の実施例による制御システムの回路図を示す。コントローラ120は、STM32F103マイクロプロセッサを採用してもよく、他の型番のマイクロプロセッサを採用してもよい。このマイクロプロセッサは、メインプロセッサユニットと、SPI通信インターフェースユニットと、配置ストレージと、測定ストレージと、汎用入出力インターフェースユニットとを含む。測定ストレージは、圧力センサ140により取得された圧力情報を取得し、圧力情報をSPI通信インターフェースを介してメインプロセッサに送信するために用いられ、メインプロセッサは、圧力情報をRS485インターフェースを介して中位機200に送信する。配置ストレージは、デジタル制御回路によってピエゾバルブ131制御スイッチを制御し、さらにピエゾバルブ131の開閉を制御し、バッテリーの圧力を調節するために用いられる。
【0048】
本出願の実施例は、ピエゾバルブ131に対する制御過程において、中位機200によって制御回路100と通信し、制御回路は、コントローラによって圧力値に基づいてピエゾバルブを直接調節することができ、PLCによって制御する必要がなく、上位機は、ピエゾバルブ131の圧力の情報をリアルタイムで取得する必要もなく、中位機200は、上位機にピエゾバルブ131の状態情報を周期的にフィードバックするだけでよい。このような方式によって、上位機の負荷を低減し、上位機のソフトウェア負荷を40%程度低減させる。従来技術において、一台の上位機は、3000個の電源チャンネルを持つことができ、最適化された制御システムにおいて、上位機は、4500個の電源チャンネルを持つことができ、データ交換の効率を大幅に向上させた。同時に、制御回路100が圧力センサ140とピエゾバルブ131とコントローラ120とを集積しているので、PLC端のAI/AO出力モジュールをなくし、素子による空間占有を低減し、システムコストを低減した。そして、中位機200によるシステムの圧力保護は、システムのサンプリング及び応答速度を向上させ、上位機のオフラインによる影響を回避し、システムの安全性を大幅に向上させた。
【0049】
いくつかの実施例では、中位機はさらに、上位機により送信される圧力保護範囲を受信し、圧力情報が圧力保護範囲を超えた場合、制御回路に制御命令を送信し、制御回路にピエゾバルブを閉弁させるために用いられる。
【0050】
システム起動時、上位機から中位機に送信される制御情報には、圧力保護範囲が含まれ、圧力保護範囲とは、システムにおいて許容される圧力範囲であり、許容可能な圧力最大値と圧力最小値とを含む。内部圧力が圧力最大値を超えた場合、圧力が大きすぎて、セキュリティリスクが発生しやすいことを意味し、内部圧力が圧力最小値よりも小さい場合、回線の詰りが発生した可能性があることを意味する。この二つの場合は、いずれも安全上の問題が発生するおそれがある。この場合、中位機は、問題が発生しないように、制御システムに制御命令を直接送信してピエゾバルブを閉弁させる。
【0051】
このような方式によって、中位機は、圧力情報と圧力保護範囲に基づいてピエゾバルブを直接制御し、制御回路の安全保護を上位機から中位機に移行させて行うことができ、安全保護の効率を向上させることができ、中位機による制御に起因する遅延を回避することができる一方、上位機の負荷を大幅に低減できる。
【0052】
いくつかの実施例では、図2に示すように、制御回路100は、圧力情報を受信し、圧力情報をデジタル信号に変換してコントローラ120に送信するための変換ユニットを含む。通常、圧力センサ140は、圧力情報をアナログ信号として取得し、変換ユニットによって圧力センサ140により取得されたアナログ信号はデジタル信号に変換され、コントローラ120で処理される。この変換ユニットは、型番がAD7656である変換チップを採用してもよく、他の型番のチップを採用してもよく、ここでは限定しない。変換ユニットを制御回路100に集積することによって、制御回路100の集積度を向上させ、圧力情報の収集の効率を向上できる。
【0053】
いくつかの実施例では、制御回路100は、コントローラ120に電気的に接続され、圧力情報を表示するための圧力表示ゲージ110をさらに含む。圧力表示ゲージ110は、圧力情報をより直感的に表示し、ピエゾバルブ131に対する圧力制御の正確性と利便性を向上させることができる。
【0054】
いくつかの実施例では、この制御システムは、上位機300をさらに含み、この上位機300は、この上位機300に制御回路状態情報を報告するために用いられる中位機200に電気的に接続され、上位機300は、制御回路状態情報に基づいて中位機200に制御命令を送信する。
【0055】
中位機200は、上位機300にピエゾバルブ131の状態情報を周期的に報告して、上位機300にピエゾバルブ131の状態を把握させるとともに、ピエゾバルブ131の状態の取得にかかる負担を低減させる。また、ピエゾバルブ131に対する制御を中位機200に移行させることによって、上位機300の負担を大幅に低減し、電源チャンネルに対する上位機300の制御能力を向上できる。
【0056】
いくつかの実施例では、図3に示すように、この制御システムは、中位機200にそれぞれ電気的に接続されている複数の制御回路100を含み、各制御回路100は、一つ又は複数のバッテリーの充放電を制御することができる。制御回路100と中位機200との間はRS485バス又はCANバスを介して接続されることにより、通信の効率とリアルタイム性を大幅に向上させることができる。
【0057】
本出願の実施例は、制御回路100の集積化程度を向上させることによって、制御回路100と中位機200との直接通信を実現させ、中位機200は、ピエゾバルブ131を直接制御することができ、バッテリー充放電に対するシステムの制御能力を向上させた。
【0058】
いくつかの実施例では、図3に示すように、制御システムは、上位機300にそれぞれ電気的に接続されている複数の中位機200を含む。このような方式によって、上位機300の負荷を低減し、上位機300のソフトウェア負荷を40%程度低減させた。従来技術において、一台の上位機300は、3000個の電源チャンネルを持つことができ、最適化された制御システムにおいて、上位機300は、4500個の電源チャンネルを持つことができ、データ交換の効率を大幅に向上できる。
【0059】
本出願はさらに、電源と、上記実施例による制御システムとを含み、制御システムは、電源の充放電を制御するために用いられる充放電制御システムを提案する。制御システムによる電源の充放電に対する制御ロジックは、上記実施例と同じである。
【0060】
本出願の実施例による制御システムと充放電制御システムによって、上位機の負荷を低減し、データ交換の効率を大幅に向上させる一方、制御回路が圧力センサとピエゾバルブとコントローラとを集積しているので、PLC端のAI/AO出力モジュールをなくし、素子による空間占有を低減し、システムコストを低減できる。そして、中位機によるシステム保護は、システムのサンプリング及び応答速度を向上させ、上位機のオフラインによる影響を回避し、システムの安全性を大幅に向上できる。
【0061】
最後に説明すべきことは、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためにのみ使用されるが、それに限定されるものではないことである。前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正するか、又はその一部の技術特徴に均等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させるものではないことは理解すべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路と中位機とを含む制御システムであって、
前記制御回路は、圧力センサと、ピエゾバルブと、コントローラとを含み、
前記圧力センサは、圧力情報を収集するために用いられ、
前記コントローラは、前記圧力センサにより収集された圧力情報を受信し、前記圧力情報を前記中位機に送信するために用いられ、
前記中位機は、前記圧力情報を上位機に送信し、前記圧力情報に基づいて前記上位機が生成した圧力設定値を受信し、前記圧力設定値を前記コントローラに送信するために用いられ、
前記コントローラはさらに、前記圧力設定値に基づいて前記ピエゾバルブを制御するために用いられる、ことを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記中位機はさらに、前記上位機により送信される圧力保護範囲を受信するために用いられ、
前記圧力情報が前記圧力保護範囲を超えた場合、前記制御回路に制御命令を送信し、前記制御回路に前記ピエゾバルブを閉弁させる、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記圧力情報を受信し、前記圧力情報をデジタル信号に変換するための変換ユニットをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記コントローラに電気的に接続され、圧力情報を表示するための圧力表示ゲージをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御システムは、上位機をさらに含み、
前記上位機は、前記中位機に電気的に接続され、前記中位機により報告される制御回路状態情報を受信するために用いられ、
前記上位機は、前記制御回路状態情報に基づいて前記中位機に制御命令を送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記中位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記制御回路を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御システムは、前記上位機にそれぞれ電気的に接続されている複数の前記中位機を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
充放電制御システムであって、
電源と、請求項1から7のいずれか1項に記載の制御システムとを含み、
前記制御システムは、前記電源の充放電を制御するために用いられる、ことを特徴とする充放電制御システム。
【国際調査報告】