IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドレイサム (ベイジン) メディカル テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2023-552676導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法
<>
  • 特表-導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法 図1
  • 特表-導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法 図2
  • 特表-導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/52 20140101AFI20231212BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20231212BHJP
   B22F 1/0545 20220101ALI20231212BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20231212BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20231212BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20231212BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20231212BHJP
   B82Y 15/00 20110101ALI20231212BHJP
【FI】
C09D11/52 ZNM
C09D11/322
B22F1/0545
B22F1/102
B22F1/00 K
B22F1/00 L
B22F1/00 M
B22F1/00 N
B22F1/00 P
B22F1/00 R
B22F9/00 B
B82Y40/00
B82Y15/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528334
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2021132855
(87)【国際公開番号】W WO2022116880
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】202011382176.X
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011385579.X
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522381007
【氏名又は名称】ドレイサム (ベイジン) メディカル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DREISAM (BEIJING) MEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】101, Floor 1, Building 9, District 1, No. 7, Liangshuihe 1st Street, Beijing Economic and Technological Development Area (Beijing Pilot Free Trade Zone High-end Industrial Zone Yizhuang Group), Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ ペン
【テーマコード(参考)】
4J039
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4J039BA31
4J039BA32
4J039BA33
4J039BA34
4J039BA36
4J039BA38
4J039BA39
4J039BC09
4J039BC59
4J039BE01
4J039BE12
4J039CA07
4J039EA24
4J039EA46
4J039FA07
4J039GA11
4J039GA16
4J039GA24
4K017AA02
4K017AA08
4K017BA01
4K017BA02
4K017BA03
4K017BA04
4K017BA05
4K017CA08
4K017DA01
4K017DA07
4K018BA01
4K018BA02
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA09
4K018BA10
4K018BA20
4K018BB05
4K018BD04
4K018BD10
4K018KA33
(57)【要約】
導電性インク用機能化材料及びその製造方法を提供する。該導電性インク用機能化材料は表面が機能化された金属ナノ粒子であり、該ナノ金属粒子の表面には電子媒体を有する分子が共有結合を介して接続されている。機能化導電性インク及びその製造方法において、該インクは導電性インク用機能化材料を用いて製造される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される構造を特徴とする、表面が機能化された金属ナノ粒子である、導電性インク用機能化材料。
【化1】
(ここで、
【化2】
はナノ金属粒子であり、
【化3】
は媒体構造であり、
【化4】
は保護剤であり、RはC、N、O、Hからなる有機構造である。)
【請求項2】
前記媒体構造は鉄の有機錯体であり、前記Rは直鎖/分岐/環状の炭化水素基、エステル類/エーテル類/アミド/第四級アンモニウム基/ポリエチレングリコール含有有機構造、及び前記炭化水素基と有機構造の任意の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1に記載の導電性インク用機能化材料。
【請求項3】
前記媒体構造はフェロセン又はその誘導体であり、その構造が下記構造式で示されることを特徴とする請求項2に記載の導電性インク用機能化材料。
【化5】
(式中、X、X、X、X、X’、X’、X’、X’、X’は、それぞれ独立して、以下の基から選択される1種である。)
【化6】
(ここで、R、R、R、RはH、直鎖/分岐/環状炭化水素基、エステル類/エーテル類含有基からなる構造である。)
【請求項4】
前記Rは以下の構造又は以下の構造の間の任意の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項2に記載の導電性インク用機能化材料。
【化7】
(ここで、n=1~10であり、R、RはH又は直鎖/分岐/環状炭化水素基である。)
【請求項5】
前記金属はAg、Au、Cu、Zn、Ni、Co、Pd、Pt、Zr、Cr、Ru、Os、Ir、Sn、Pb、Al、Mo、Wのうちの1種であり、
前記保護剤は以下の構造を含有する高分子重合体のうちの1種であり、分子量が500~1000000であることを特徴とする請求項1に記載の導電性インク用機能化材料。
【化8】
(ここで、RはH、直鎖/分岐/環状炭化水素基、エステル類/エーテル類含有基からなる構造である。)
【請求項6】
前記金属はAg、Au、Pd又はPtであり、
前記保護剤はポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールのうちの1種であり、分子量が1000~10000であることを特徴とする請求項5に記載の導電性インク用機能化材料。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の導電性インク用機能化材料を用いて製造されることを特徴とする機能化導電性インク。
【請求項8】
ナノ金属粒子を溶解し、溶液に表面機能化分子
【化9】
を加えて、室温で撹拌して反応させ、反応終了後、固液相を高速で遠心分離し、得た固相を洗浄して真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得ることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の導電性インク用機能化材料の製造方法。
反応スキーム
【化10】
【請求項9】
ナノ金属粒子を溶媒に加えて超音波処理し、十分に溶解した後、ナノ金属粒子と
【化11】
との質量比が1000:1~1:10となるように表面機能化分子
【化12】
を加え、室温で撹拌して反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を遠心分離し、得た固相を3回洗浄した後に真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得ることを特徴とする請求項8に記載の導電性インク用機能化材料の製造方法。
【請求項10】
ナノ金属粒子と
【化13】
との質量比は10:1~1:10であり、
室温で撹拌して8時間反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を1~5分間遠心分離することを特徴とする請求項9に記載の導電性インク用機能化材料の製造方法。
【請求項11】
前記ナノ金属粒子の製造方法は、質量比が10:1~1:1000の金属塩と保護剤をそれぞれ溶媒に溶解し、保護剤溶液を120℃に加熱し、撹拌しながら金属塩溶液を滴下し、滴下終了後、さらに120℃で撹拌して6時間反応させ、室温に冷却し、反応後の溶液を3回洗浄し、沈殿物を40℃で12時間乾燥し、ナノ金属粒子を得ることであることを特徴とする請求項9~10のいずれか1項に記載の導電性インク用機能化材料の製造方法。
【請求項12】
導電性インク用機能化材料と水を混合して超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を5~200CPSに調整し、導電性インク用機能化材料の濃度が5質量%~40質量%の機能化導電性インクを得て、濾過して保存することを特徴とする請求項7に記載の機能化導電性インクの製造方法。
【請求項13】
バイオセンサにおける、請求項7に記載の機能化導電性インクの使用。
【請求項14】
第1に一般的な導電性インクでバイオセンサの電極をプリントし、インクジェットプリント又はマイクロドリップ方法によって前記機能化導電性インクで1つの電極を完全に被覆し、乾燥後、加熱硬化又はNIR光硬化を行い、次に、この電極の表面にグルコースオキシダーゼを含有する溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成することを特徴とする請求項13に記載の機能化導電性インクの使用。
【請求項15】
前記加熱硬化の温度は70~100℃であり、前記NIR光硬化の条件は800~1200nm、0.1~2mW/mであることを特徴とする請求項14に記載の機能化導電性インクの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサの分野に属し、特に導電性インク用機能化材料、その使用及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高精度・高集積化へのニーズに伴い、インクジェットプリント技術は印刷電子分野で注目されてきた。インクジェットプリント技術を利用した導電配線の製造方法は、従来のプリント回路基板の導電配線の製造方法と比較して、製造速度が速く、環境にやさしく、プロセスが簡単で、コストが低く、機能が多様であるという特徴を有する。フレキシブル回路基板上に導電回路を製造することで、製品の生産性を大幅に向上させることができ、肝心なのはやはりインクジェットプリント機器及び最終製品のニーズに合致する導電性インクを開発することである。ナノ金属粒子はサイズが小さく、凝集しにくく、融点が低いなどの優れた利点があるため、導電性インクの研究と生産に広く用いられている。インクジェット印刷電子工学では、主にプリンタ、インク及び基材導電性インクが使用されており、これらは、RF識別(RFID)、有機発光ダイオード(OLED)、プリント回路基板(PCB)、フレキシブルセンサなどに応用することができる。インクジェット用導電性インクの材料は、RFIDアンテナ、PCB配線基板や表示電極アセンブリなどの分野において応用が期待でき、薄膜印刷電子材料の代表的な発展方向となっている。現在、導電性インクの材料の選択には、主に導電率、酸化安定性、コスト及び必要な電磁性能などのいくつかの要素が考慮されており、導電性インクの材料の特定の機能化に対する研究はまだ十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の課題を解決するために、本発明は、ナノ金属粒子の表面には電子媒体を含有する分子が共有結合を介して接続されている導電性インク用機能化材料を開示し、この導電性インク用機能化材料を用いて導電層をプリントし、バイオセンサの電極を製造した場合、電子媒体層の作用により、バイオセンサの作用電極における酵素反応で生じた電子が電極の表面に直接輸送される。これによって、電極はより低い作動電圧で生物物質を検出することになり、干渉物質に対するバイオセンサの感度が低下する。また、この導電性インク用機能化材料を用いて製造される生体電極では、電子輸送効率がより高く、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になる。
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明はまた、表面が機能化された金属ナノ粒子を導電性インク用機能化材料として溶解した機能化導電性インクを開示し、この機能化導電性インクを用いて生体電極をプリントした場合、電子輸送効率がより高くなり、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に対して、本発明は、式Iで示される構造を有する、表面が機能化された金属ナノ粒子である、導電性インク用機能化材料を提案している。
【化1】
(ここで、
【化2】
はナノ金属粒子であり、
【化3】
は媒体構造であり、
【化4】
は保護剤であり、RはC、N、O、Hからなる有機構造である。)
【0006】
さらに、前記媒体構造は鉄の有機錯体であり、前記Rは直鎖/分岐/環状の炭化水素基、エステル類/エーテル類/アミド/第四級アンモニウム基/ポリエチレングリコール含有有機構造、又は前記炭化水素基と有機構造の任意の組み合わせから選択される。
【0007】
さらに、前記媒体構造はフェロセン又はその誘導体であり、その構造は下記構造式で示される。
【化5】
(式中、X、X、X、X、X’、X’、X’、X’、X’は、それぞれ独立して、以下の基から選択される1種であり、*は前記媒体構造以外の導電性インク用機能化材料構造を表す。
【化6】
ここで、R、R、R、Rは、H、直鎖/分岐/環状炭化水素基、エステル類/エーテル類含有基からなる構造であり、*は基のうち所定の基以外の構造を表す。)
【0008】
さらに、前記Rは以下の構造又は以下の構造の間の任意の組み合わせから選択される。
【化7】
(ここで、n=1~10であり、R、RはH又は直鎖/分岐/環状炭化水素基であり、*は所定のR構造以外の導電性インク用機能化材料構造を表す。)
【0009】
さらに、前記金属はAg、Au、Cu、Zn、Ni、Co、Pd、Pt、Zr、Cr、Ru、Os、Ir、Sn、Pb、Al、Mo、Wのうちの1種であり、前記保護剤は以下の構造を含有する高分子重合体のうちの1種であり、分子量が500~1000000である。
【化8】
(ここで、RはH、直鎖/分岐/環状炭化水素基、エステル類/エーテル類含有基からなる構造であり、*は前記保護剤以外の導電性インク用機能化材料構造を表す。)
【0010】
さらに、前記金属はAg、Au、Pd又はPtであり、前記保護剤はポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールのうちの1種であり、分子量が1000~10000である。
【0011】
本発明はまた、前述の導電性インク用機能化材料を用いて製造され、バイオセンサに適用できる機能化導電性インクを提供する。
【0012】
ナノ金属粒子を溶解し、溶液に表面機能化分子
【化9】
を加えて、室温で撹拌して反応させ、反応終了後、固液相を高速で遠心分離し、得た固相を洗浄して真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得る導電性インク用機能化材料の製造方法。
反応スキーム:
【化10】
【0013】
さらに、ナノ金属粒子を溶媒に加えて超音波処理し、十分に溶解した後、ナノ金属粒子と
【化11】
との質量比が1000:1~1:10となるように表面機能化分子
【化12】
を加え、室温で撹拌して反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を遠心分離し、得た固相を3回洗浄した後に真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得る。
【0014】
さらに、ナノ金属粒子と
【化13】
との質量比は10:1~1:10であり、
室温で撹拌して8時間反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を1~5分間遠心分離する。
【0015】
さらに、前記ナノ金属粒子の製造方法は、質量比が10:1~1:1000の金属塩と保護剤をそれぞれ溶媒に溶解し、保護剤溶液を120℃に加熱し、撹拌しながら金属塩溶液を滴下し、滴下終了後、さらに120℃で撹拌して6時間反応させ、室温に冷却し、反応後の溶液を3回洗浄し、沈殿物を40℃で12時間乾燥し、ナノ金属粒子を得ることである。
【0016】
さらに、導電性インク用機能化材料と水を混合して超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を5~200CPSに調整し、導電性インク用機能化材料の濃度が5質量%~40質量%の機能化導電性インクを得て、濾過して保存する。
【0017】
さらに、前記機能化導電性インクを使用する際には、まず、一般的な導電性インクでバイオセンサの電極をプリントし、インクジェットプリント又はマイクロドリップ方法によって前記機能化導電性インクで1つの電極を完全に被覆し、乾燥後、加熱硬化又はNIR光硬化を行い、次に、この電極の表面にグルコースオキシダーゼを含有する溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成する。
【0018】
さらに、前記加熱硬化の温度は70~100℃であり、前記NIR光硬化条件は800~1200nm、0.1~2mW/mである。
【発明の効果】
【0019】
本発明はナノ金属粒子の表面には電子媒体を含有する分子が共有結合を介して接続されている導電性インク用機能化材料及びその製造方法を開示し、この導電性インク用機能化材料を用いて導電性インクを調製し、導電層をプリントし、バイオセンサの電極を製造した場合、導電層の表面に直接固定された媒体層により、バイオセンサの作用電極における酵素反応で生じた電子が電極の表面に直接輸送され、これによって、電極はより低い作動電圧で生物物質を検出することになり、干渉物質に対するバイオセンサの感度が低下し、また、この導電性インク用機能化材料を用いて製造された生体電極では、電子輸送効率がより高く、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になり、これによって、バイオセンサの明らかな小型化が図られる。さらに、本発明は機能化導電性インク及びその使用を開示し、該機能化導電性インクは表面が機能化された金属ナノ粒子を導電性インク用機能化材料として溶解したものであり、ナノ金属粒子の表面には電子媒体を有する分子が共有結合を介して接続されているので、当該表面が機能化され、このため、この導電性インク用機能化材料を用いて製造された導電性インクで導電層をプリントし、導電層の表面に生体酵素を付着させてバイオセンサの電極を製造する場合、電極の表面に直接固定された電子媒体層により、バイオセンサの作用電極における酵素反応で生じた電子が電極の表面に直接輸送され、これによって、電極はより低い作動電圧で生物物質を検出することになり、干渉物質に対するセンサの感度が低下し、また、この導電性インクを用いて製造された生体電極では、電子輸送効率がより高く、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になり、これによって、バイオセンサの明らかな小型化が図られる。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は後の明細書において説明され、かつ、その一部は明細書により明らかになったり、本発明を実施することにより把握されたりする。本発明の目的及び他の利点は明細書、特許請求の範囲及び図面に示される構造によって実現、取得され得る。
【0021】
本発明の実施例又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る導電性インク用機能化材料を用いて製造された導電性インク、及び表面が機能化されていない銀ナノ粒子で製造された導電性インクを用いて製造されたグルコース用バイオセンサのグルコース溶液におけるサイクリックボルタンメトリー曲線の比較図である。
図2】本発明に係る導電性インク用機能化材料を用いて製造された導電性インク、及び表面が機能化されていない銀ナノ粒子で製造された導電性インクを用いて製造されたグルコース用バイオセンサのグルコース溶液における作動電流の比較図である。
図3】バイオセンサの電極の製造方法の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る他の全ての実施例は本発明の特許範囲に属する。
【0024】
本発明の実施例1:導電性インク用機能化材料の製造方法
(1)ナノ金属粒子の合成
硝酸銀1.0gと保護剤であるポリビニルピロリドン(PVP)(分子量3000)10.0gをそれぞれエチレングリコール50.0mLに溶解し、ポリビニルピロリドン溶液を120℃に加熱し、安定的になった後、よく撹拌しながら硝酸銀溶液をポリビニルピロリドン溶液に緩やかに1滴ずつ滴下し、滴下終了後、さらに120℃で撹拌して6時間反応させ、反応終了後、室温に冷却した。得た溶液をエタノール100mlに注入し、よく撹拌した後、10000rpmの回転数で高速遠心分離し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、ナノ銀粒子沈殿物を得た。得た沈殿物を40℃で12時間乾燥し、ナノ銀粒子を得た。
【0025】
(2)導電性インク用機能化材料の製造
ステップ(1)で得たナノ銀粒子0.4gをエタノール5.0mLに加えて超音波処理し、安定的な懸濁液を得て、濃度0.02g/mLのメルカプト-ポリエチレングリコール-フェロセン
【化14】
のアルコール溶液5mLを懸濁液に加え、室温で撹拌して8時間反応させた後、10000rpmの回転数で固液相を遠心分離した。得た固相をエタノール5mLに加えて十分に混合し、得た懸濁液を10000rpmの回転数で遠心分離して、液相を除去し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、得た固体を室温の環境で真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得た。
【0026】
実施例2:導電性インク用機能化材料の製造方法
ナノ金粒子1.0gをブタノール12.5mLに加えて超音波処理し、安定的な懸濁液を得て、濃度0.1g/mLの
【化15】
のブタノール:テトラヒドロフラン(1:1)溶液5mLを懸濁液に加え、室温で撹拌して8時間反応させた後、10000rpmの回転数で固液相を遠心分離した。固相をブタノール:テトラヒドロフラン(1:1)混合溶媒10mLに加えて十分に混合し、得た懸濁液を10000rpmの回転数で遠心分離して、液相を除去し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、得た固体を室温の環境で真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得た。
【0027】
実施例3:導電性インク用機能化材料の製造方法
ナノ金粒子0.4gをプロパノール5.0mLに加えて超音波処理し、安定的な懸濁液を得て、濃度が0.2g/mLの
【化16】
のプロパノール溶液20mLを懸濁液に加え、室温で撹拌して8時間反応させた後、10000rpmの回転数で固液相を遠心分離した。固相をプロパノール5mLに加えて十分に混合し、得た懸濁液を10000rpmの回転数で遠心分離して、液相を除去し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、得た固体を室温の環境で真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得た。
【0028】
実施例4:導電性インク用機能化材料の製造方法
ナノ白金粒子0.4gをエタノール10.0mLに加えて溶解し、安定的な懸濁液を得て、濃度が0.2g/mLの
【化17】
のブタノール:テトラヒドロフラン(1:1)溶液20mLを懸濁液に加え、室温で撹拌して8時間反応させた後、固液相を高速で遠心分離した。固相をブタノール:テトラヒドロフラン(1:1)10mLに加えて十分に混合し、得た懸濁液を高速で遠心分離して、液相を除去し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、得た固体を室温の環境で真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得た。
【0029】
実施例5:導電性インク用機能化材料の製造方法
ナノパラジウム粒子0.1gをエタノール5.0mLに加えて溶解し、安定的な懸濁液を得て、濃度が0.02g/mLの
【化18】
のアルコール溶液0.5mLを懸濁液に加え、室温で撹拌して反応させ、反応終了後、10000rpmの回転数で固液相を遠心分離した。固相をエタノール250mLに加えて十分に混合し、得た懸濁液を10000rpmの回転数で遠心分離して、液相を除去し、洗浄を完了し、以上の洗浄を3回繰り返し、得た固体を室温の環境で真空乾燥し、導電性インク用機能化材料を得た。
【0030】
本発明の効果を検証するために、本発明者らは製品の性能について比較試験を行い、すなわち、比較用の導電性インク用機能化材料を製造し、上記の実施例1で製造される導電性インク用機能化材料とともに、導電性インクをそれぞれ製造し、その後、バイオセンサを製造して、性能比較を行った。
【0031】
実験例
バイオセンサの性能比較実験
1、実験材料
実施例1で得られた銀含有導電性インク用機能化材料に0.1g/4mLの配合比で水を加えて混合し、氷水浴の条件で超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を12CPSに調整し、表面張力を32dyn/cmとし、機能化導電性インクを得て、濾過後、7℃で使用時まで保存した。
【0032】
まず、機能化されていない導電性インクを用いて、PET基材上にバイオセンサの3電極構造をプリントし、これらのうち1つの電極にAg/AgCl基準電極材料を置いた。その後、本発明の銀含有導電性インク用機能化材料で製造された機能化導電性インクをDMP-2831プリンタのインクカートリッジに注入し、2番目の電極の表面に作用電極を製造し、プリント後、温度80℃のオーブンに4時間放置して硬化させ、次に、グルコースオキシダーゼの水溶液を作用電極の表面に滴下し、乾燥後、センサをグルタルアルデヒドの蒸気環境に置いて、グルコースオキシダーゼを架橋すると、作用電極を製造した。残りのダミー電極を対電極として、スロットコーティング法によって、乾燥後の厚さが2μmとなるようにバイオセンサの表面に親水性ポリウレタン(HPU)膜を塗布した。
【0033】
比較例
表面が機能化されていない銀含有導電性インク材料で導電性インクを製造し、その後、上記の方法によってグルコース用バイオセンサを製造した。
【0034】
比較実験用の2つのバイオセンサは、導電層の厚さ及び表面粗さが略同じであり、作用電極における酵素の使用量や酵素層の形態寸法が一致し、PU膜の厚さが同じである。
【0035】
2、バイオセンサの作動電圧の比較実験
2つのバイオセンサを100mg/dLのグルコース溶液に入れて、そのサイクリックボルタンメトリー曲線を測定し、結果を図1に示す。
【0036】
図から分かるように、表面が機能化されていない銀含有導電性インク材料で製造されたグルコース用バイオセンサ(比較系)では、680mVの作動電圧で最大電流値が得られ、一方、表面が機能化された銀含有導電性インク用機能化材料で製造されたセンサは、比較系の作動電圧よりもはるかに低い320mVで最大電流値が得られた。作動電圧がさらに低下することは反応に関与する干渉物質が減少することを示し、よって、表面が機能化された銀含有導電性インク用機能化材料で製造されたグルコースセンサは抗干渉能力がより高い。
【0037】
また、図1から分かるように、同じ濃度のグルコース溶液では、表面が機能化された銀含有導電性インク用機能化材料で製造されたグルコースセンサにより測定された最大電流が比較系の120nAの4倍以上でもある550nAであることから、作動電圧を下げるとともに、酵素電極の電荷輸送効率を顕著に高め、すなわち、センサの感度を向上できることが示された。
【0038】
また、バイオセンサは、生成させる電流の大きさを測定することで生物物質を検出し、図1のデータから、電極の面積が略同じであり、電極の表面粗さが略同じ(つまり、総表面積が略同じ)である場合、導電性インク用機能化材料を用いると、550nA÷120nA≒4.6倍の電気量が得られ、すなわち、導電性インク用機能化材料を用いて電極を製造すれば、表面が機能化されていない導電性インク材料を用いて製造された電極の4.6分の一の電極面積だけで、同程度の電流強度が得られた。
【0039】
3、バイオセンサの作動電流の比較実験
2つのバイオセンサを順に50、100及び200mg/dLのグルコース溶液に入れて、2つのバイオセンサの電流信号を測定した。実験においては、表面が機能化された銀含有導電性インク用機能化材料で製造されたバイオセンサの作動電圧を320mV、比較系の作動電圧を680mVに設定し、結果を図2に示す。
【0040】
図から分かるように、2つのバイオセンサはいずれも溶液中のグルコース濃度の変化に応答することができるが、各々の濃度では、表面が機能化された銀含有導電性インク用機能化材料で製造されたバイオセンサにより測定された電流値はすべて比較系のそれよりもはるかに高く、センサの感度を向上できることが示された。
【0041】
4、結論
以上の実験により、本発明の導電性インク用機能化材料で製造された導電性インクを用いて製造された生体電極では、電子輸送効率がより高く、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になり、これによって、バイオセンサの明らかな小型化が図られ、また、得られたバイオセンサはより低い作動電圧で生物物質を検出できることが明らかとなっている。
【0042】
本発明の実施例においては、機能化導電性インクの実施例について説明する。
【0043】
本発明の実施例6:機能化導電性インク
機能化導電性インクは導電性インク用機能化材料、即ち表面が機能化された銀ナノ粒子
【化19】
水、ジエチレングリコール及びグリセロールで製造されたものであり、
【化20】
は分子量Mn=3000g/molのポリビニルピロリドンである。
【0044】
上記の導電性インク用機能化材料の製造方法は、具体的には、以下のとおりである。銀ナノ粒子を溶媒に加えて超音波処理し、十分に溶解した後、銀ナノ粒子と
【化21】
との質量比が1000:1となるように表面機能化分子
【化22】
を加え、室温で撹拌して8時間反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を5分間遠心分離した。得た固相を3回洗浄した後に真空乾燥すると、導電性インク用機能化材料を得た。
【0045】
実施例7:機能化導電性インク
機能化導電性インクは導電性インク用機能化材料、即ち表面が機能化された金ナノ粒子
【化23】
水、ジエチレングリコール及びグリセロールで製造されたものであり、
【化24】
は分子量Mn=1000g/molのポリアクリル酸である。
【0046】
実施例8:機能化導電性インク
機能化導電性インクは導電性インク用機能化材料、即ち表面が機能化されたパラジウムナノ粒子
【化25】
水、ジエチレングリコール及びグリセロールで製造されたものであり、
【化26】
は分子量Mn=60000g/molのポリエチレングリコールである。
【0047】
上記の導電性インク用機能化材料の製造方法は、具体的には、以下のとおりである。パラジウムナノ粒子を溶媒に加えて超音波処理し、十分に溶解した後、パラジウムナノ粒子と
【化27】
との質量比が1:10となるように表面機能化分子
【化28】
を加え、室温で撹拌して8時間反応させ、反応終了後、10000rpmで固液相を1分間遠心分離した。得た固相を3回洗浄した後に真空乾燥すると、導電性インク用機能化材料を得た。
【0048】
実施例9:機能化導電性インク
機能化導電性インクは導電性インク用機能化材料、即ち表面が機能化された金ナノ粒子
【化29】
水、ジエチレングリコール及びグリセロールで製造されたものであり、
【化30】
は分子量Mn=800000g/molのポリアクリル酸メチルである。
【0049】
実施例10:機能化導電性インク
機能化導電性インクは導電性インク用機能化材料、即ち表面が機能化された白金ナノ粒子
【化31】
水、ジエチレングリコール及びグリセロールで製造されたものであり、
【化32】
は分子量Mn=150000g/molのポリウレタンアクリル酸共重合体である。
【0050】
実施例11:実施例6の機能化導電性インクの製造
銀含有導電性インク用機能化材料
【化33】
に0.1g/mLの配合比で水を加えて混合し、氷水浴の条件で超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を12CPSに調整し、濾過して保存した。
【0051】
実施例12:実施例7の機能化導電性インクの製造
金含有導電性インク用機能化材料
【化34】
に0.25g/mLの配合比で水を加えて混合し、超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を20CPSに調整し、濾過して保存した。
【0052】
実施例13:実施例8の機能化導電性インクの製造
パラジウム導電性インク用機能化材料
【化35】
に0.40g/mLの配合比で水を加えて混合し、超音波処理し、ジエチレングリコールとグリセロールを加えて粘度を200CPSに調整し、濾過して保存した。
【0053】
実施例14:図3に示す実施例6の機能化導電性インクのバイオセンサにおける使用
まず、一般的な導電性インクを用いてバイオセンサの3つの電極をプリントし、左側の電極にAg/AgCl基準電極材料を置き、インクジェットプリント法によって実施例1の機能化導電性インクで中間電極を完全に被覆し、乾燥後、温度100℃のオーブンに1時間放置して加熱硬化を行い、次に、この電極の表面に濃度5質量%のグルコースオキシダーゼ溶液を滴下し、乾燥後、センサをグルタルアルデヒドの蒸気環境に入れてグルコースオキシダーゼを架橋し、作用電極を製造した。別のダミー電極を対電極とした。
【0054】
実施例15:実施例7の機能化導電性インクのバイオセンサにおける使用
一般的な導電性インクを用いてバイオセンサを被覆する回路構造をプリントし、バイオセンサの回路を製造した。次に、機能化導電性インクをDMP-2831プリンタのインクカートリッジに注入し、バイオセンサの回路上に電極を製造し、乾燥後、温度80℃のオーブンに2時間放置して加熱硬化を行い、次に、電極の表面に濃度5質量%のグルコースオキシダーゼ溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成した。
【0055】
実施例16:実施例8の機能化導電性インクのバイオセンサにおける使用
まず、一般的な導電性インクを用いてバイオセンサの電極をプリントし、次に、マイクロドリップ法によって機能化導電性インクで1つの電極を完全に被覆し、乾燥後、温度70℃のオーブンに4時間放置して加熱硬化を行い、次に、この電極の表面にグルコースオキシダーゼを含有する溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成した。
【0056】
実施例17:図3に示す実施例9の機能化導電性インクのバイオセンサにおける使用
まず、一般的な導電性インクを用いてバイオセンサの3つの電極をプリントし、左側電極にAg/AgCl基準電極材料を置き、次に、マイクロドリップ法によって機能化導電性インクで中間電極を完全に被覆し、乾燥後、NIR光硬化(800nm~1200nm、1mW/m、30s)を行い、次に、この電極の表面にグルコースオキシダーゼを含有する溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成する。
【0057】
実施例18:実施例10の機能化導電性インクのバイオセンサにおける使用
まず、一般的な導電性インクを用いてバイオセンサの電極をプリントし、次に、インクジェットプリントによって機能化導電性インクで1つの電極を完全に被覆し、乾燥後、NIR光硬化(800~1200nm、0.1mW/m、60s)を行い、次に、この電極の表面に濃度5質量%のグルコースオキシダーゼの溶液を滴下し、乾燥して、作用電極を形成する。
【0058】
本発明の効果を検証するために、本発明者らは製品の性能について比較試験を行い、すなわち、比較用の導電性インクを製造し、上記の実施例1で製造される導電性インクとともに、バイオセンサをそれぞれ製造して、性能比較を行った。
【0059】
実験例:
バイオセンサの性能比較実験
【0060】
1、実験材料
実施例1の機能化導電性インクでプリントされたバイオセンサ
比較例:表面が機能化されていない銀含有導電性インク材料を用いて導電性インクを製造し、次に、この導電性インクでプリントしたグルコース用バイオセンサ
比較実験用の2つのバイオセンサは、導電層の厚さ及び表面粗さが略同じであり、作用電極における酵素の使用量や酵素層の形態寸法が一致し、HPU膜の厚さが同じである。
【0061】
2、バイオセンサの作動電圧の比較実験
2つのバイオセンサを100mg/dLのグルコース溶液に入れて、そのサイクリックボルタンメトリー曲線を測定し、結果を図1に示す。
【0062】
図から分かるように、機能化されていない銀含有導電性インクで製造されたグルコース用バイオセンサ(比較系)では、680mVの作動電圧で最大電流値が得られ、一方、機能化された銀含有導電性インクで製造されたセンサでは、比較系の作動電圧よりもはるかに低い320mVで最大電流値が得られた。作動電圧がさらに低下することは反応に関与する干渉物質が減少することを示し、よって、機能化された銀含有導電性インクで製造されたグルコースセンサは、抗干渉能力がより高い。
【0063】
また、図1から分かるように、同じ濃度のグルコース溶液では、機能化された銀含有導電性インクで製造されたグルコースセンサにより測定された最大電流が比較系の120nAの4倍以上でもある550nAであることから、作動電圧を下げるとともに、酵素電極の電荷輸送効率を顕著に高め、すなわち、センサの感度を向上できることが示された。
【0064】
また、バイオセンサは、生成させる電流の大きさを測定することで生物物質を検出し、図1のデータから、電極の面積が略同じであり、電極の表面粗さが略同じ(つまり、総表面積が略同じ)である場合、機能化導電性インクを用いると、550nA÷120nA≒4.6倍の電気量が得られ、すなわち、機能化導電性インクを用いて電極を製造すれば、機能化されていない導電性インクで製造された電極の4.6分の一の電極面積だけで、同程度の電流強度が得られた。
【0065】
3、バイオセンサの作動電流の比較実験
2つのバイオセンサを順に50、100及び200mg/dLのグルコース溶液に入れて、2つのバイオセンサの電流信号を測定した。実験においては、機能化された銀含有導電性インクで製造されたバイオセンサの作動電圧を320mV、比較系の作動電圧を680mVに設定し、結果を図2に示す。
【0066】
図から分かるように、2つのバイオセンサはいずれも溶液中のグルコース濃度の変化に応答することができるが、各々の濃度では、機能化された銀含有導電性インクで製造されたバイオセンサにより測定された電流値はすべて比較系のそれよりもはるかに高く、センサの感度を向上できることが示された。
【0067】
4、結論
以上の実験により、本発明の機能化導電性インクで製造された生体電極では、電子輸送効率がより高く、信号強度を低下させることなく電極の面積を大幅に減少させることが可能になり、これによって、バイオセンサの明らかな小型化が図られ、また、得られたバイオセンサはより低い作動電圧で生物物質を検出できることが明らかとなっている。
【0068】
本発明は前述実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者にとって自明なように、前述の各実施例に記載の技術的解決手段に対する修正、又はこの技術的特徴の一部の均等な置換が可能であり、これらの修正又は置換により、対応する技術的解決手段の趣旨は本発明の各実施例の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱することはない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】