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特表2023-552689患者が物質を呼吸して吸入するための呼吸システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】患者が物質を呼吸して吸入するための呼吸システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/12 20060101AFI20231212BHJP
   A61M 16/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61M16/12
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528959
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021081753
(87)【国際公開番号】W WO2022101491
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2017957.8
(32)【優先日】2020-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523177919
【氏名又は名称】インスパイアード ベンチレーション エルティディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーウッド,アラステア ルパート ジョゼフ
(57)【要約】
患者が物質を吸入するための呼吸システムであって、患者に装着可能な患者気道インターフェース(10)であって、患者気道インターフェースを介して呼吸が生じるように装着可能な患者気道インターフェース(10)と、ガスの吸入を可能にするために患者気道インターフェースに接続されるか又は接続可能である気道(12)であって、気道から空気を吸入することができる、気道(12)と、液体物質を気道内のガスに添加するための添加手段(14;30、33)であって、物質の気化が促進される、添加手段(14;30、33)と、ユーザ制御部(18)と、制御手段(16)であって、ユーザ制御部が、制御手段に入力を提供するように制御手段に結合されており、添加手段を制御するように構成されている、制御手段(16)と、を備える、呼吸システム。制御手段は、受信した入力の時間及び/又は添加された物質の量を示す情報を記憶し、かつユーザ制御部から受信した直近に受信した入力と、以前に受信した入力の時間及び/又は以前に受信した入力に更に添加された物質の量を示す、記憶された情報と、に少なくとも依存して、添加手段を制御するように構成され得る。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質を吸入するための呼吸システムであって、
前記患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、前記患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、
吸入されるガスに前記物質を添加するための添加手段であって、前記物質が液体又は粉末形態で提供され、前記物質を前記ガスに気化させるための気化手段を備える、添加手段と、
前記患者によって操作可能なユーザ制御部と、
制御手段であって、前記ユーザ制御部が、前記患者による前記ユーザ制御部の操作に応答して、前記制御手段に入力を提供するように前記制御手段に結合されている、制御手段と、を備え、
前記制御手段が、受信した入力の時間及び/又は添加された前記物質の量を示す情報を記憶し、かつ前記添加手段によって、
前記ユーザ制御部から受信した、直近に受信した入力と、
以前に受信した入力の時間及び/又は前記以前に受信した入力に更に添加された前記物質の量を示す、前記記憶された情報と、に少なくとも依存して、前記添加を制御するように構成されている、呼吸システム。
【請求項2】
前記制御手段が、
前記記憶された情報及び前記直近に受信した入力に依存して、前記ガスに添加される前記物質の量を増加又は減少させることを決定することと、
それに応じて、前記添加ユニットを制御することと、を行うように構成されている、請求項1に記載の呼吸システム。
【請求項3】
前記制御手段が、所定の第1の時間期間にわたる前記入力の頻度が第1の閾値を超える場合に、前記ガスに添加される前記物質の量を増加させるように、かつ/又は所定の第2の時間期間にわたる前記入力の頻度が第2の閾値未満である場合に、前記ガスに添加される前記物質の量を減少させるように構成されている、請求項2に記載の呼吸システム。
【請求項4】
前記制御手段が、アラート手段に結合されており、前記制御手段が、アラート条件を決定し、かつ以下のルール、
-前記ユーザ制御部からの入力が所定の期間内に受信されないことと、
-前記制御手段で受信された入力の速度が閾値速度を超えることと、
-前記制御手段が、前記物質が所定の最大速度を超える速度で添加されることを決定することと、
-前記制御手段で受信された入力の速度が、パターンの突然の変化を示すことと、
-所定の最大量の前記物質が前記ガスに添加されていることと、のうちの少なくとも1つが満たされることに依存して、前記患者及び/又はオペレータへの前記アラート条件の通信を引き起こすように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項5】
前記気化手段が、前記物質を拡散させ、その表面積を増加させ、それによって前記物質の蒸発を促進するように配置されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項6】
前記気化手段が、ガスが材料上又は前記材料を通って流れるように位置する前記材料を含み、前記物質が前記材料から蒸発することができ、前記気化手段が、前記材料上及び/又は前記材料を通って、前記物質を分散させるように構成されている、請求項5に記載の呼吸システム。
【請求項7】
前記材料が、前記物質のリザーバから前記物質を吸い上げ、それによって前記物質が前記材料を通って分散するようなものである、請求項6に記載の呼吸システム。
【請求項8】
前記気化手段が、前記物質を前記材料上に噴霧するための噴霧デバイスを更に備える、請求項6に記載の呼吸システム。
【請求項9】
前記添加手段が、前記物質を前記材料上に又は前記材料内にポンプで送り込むためのポンプ手段を備える、請求項6又は7に記載の呼吸システム。
【請求項10】
前記ポンプ手段が、前記材料上で又は前記材料を通る複数の間隔をあけた場所で開口する複数のチューブを備え、前記ポンプ手段が、前記物質を前記チューブを通してポンプで送り込んで、前記物質を前記間隔をあけた場所に堆積させるように構成されている、請求項6、7、又は9に記載の呼吸システム。
【請求項11】
前記気化手段が、前記物質を加熱して、前記気化を引き起こすか、又は促進するためのヒーターを備える、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項12】
ガスの取り入れのための開口部を含む、前記患者気道インターフェースに結合された気道を更に備え、吸入により、前記気道への前記ガスの取り入れが引き起こされ、前記添加手段が、前記気道内の前記ガスに前記物質を添加するように配置されている、請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項13】
前記添加手段が、前記物質を有する前記ガスが前記気化手段から前記患者気道インターフェース内に流れることを防止又は許可し、かつ前記物質を有さないガスが前記患者気道インターフェース内に流れることを許可又は防止するように構成された流れ制御部を更に備え、前記制御手段が、前記流れ制御部に結合されており、かつ前記流れ制御部を制御するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項14】
前記流れ制御部が、少なくとも1つのゲートで構成されており、前記少なくとも1つのゲートを含む前記流れ制御部が、気化チャンバからの流れが防止され、かつ前記気道からの流れが許可される、第1の構成と、前記気化チャンバからの流れが許可され、かつ前記気道からの流れが防止される、第2の構成と、を有し、前記流れ制御部が、前記第1の構成と前記第2の構成との間で前記流れ制御部を移動させるように制御可能である、請求項13に記載の呼吸システム。
【請求項15】
前記気化手段の取り入れが、前記気化チャンバ内のガスが前記気道から引き込まれるように、前記気道に結合される、請求項12に記載の呼吸システム。
【請求項16】
前記制御手段に結合された前記患者に刺激を提供するための刺激提供手段を更に備え、前記制御手段が、前記刺激に応答して前記ユーザによる入力にも依存して、前記添加手段による前記添加を制御するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項17】
前記流れ制御部及び/又は前記制御手段が、前記気道からの流れの増加又は減少に反比例して、前記気化手段を介して、ガス流を増加又は減少させるように構成されている、請求項15又は16に記載の呼吸システム。
【請求項18】
前記患者気道インターフェースが、前記呼吸システムの残りの部分の少なくともいくつかとは別に提供され、前記患者気道インターフェースが、第1のコネクタを含み、前記呼吸システムの前記残りの部分が、前記コネクタから前記患者気道インターフェースへのガス流を可能にするために前記第1のコネクタに接続可能である、第2のコネクタを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項19】
前記気化手段、添加手段、及び前記制御手段のうちの少なくとも1つが、前記患者の顔に装着可能であるように、前記患者気道インターフェースに装着されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項20】
前記制御手段が、前記添加ユニットを制御して、少なくともバックグラウンド速度で前記物質をガスに添加するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項21】
患者が鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質を吸入するための呼吸システムにおける方法であって、前記呼吸システムが、
前記患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、前記患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、
吸入されるガスに前記物質を添加するための添加手段であって、前記物質が液体又は粉末形態で提供され、前記物質を前記ガスに気化させるための気化手段を備える、添加手段と、
前記患者によって操作可能なユーザ制御部と、
制御手段であって、前記ユーザ制御部が、前記患者による前記ユーザ制御部の操作に応答して、前記制御手段に入力を提供するように前記制御手段に結合されている、制御手段と、を備え、
前記制御手段が、受信した入力の時間及び/又は添加された前記物質の量を示す情報を記憶するように構成されており、前記方法が、
前記ユーザ制御部から受信した、直近に受信した入力と、
以前に受信した入力の時間及び/又は前記以前に受信した入力に更に添加された前記物質の量を示す、前記記憶された情報と、に少なくとも依存して、前記添加手段による前記添加を制御することを含む、方法。
【請求項22】
呼吸システム内の空気中への鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質の添加を制御するコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムコードを含む場合に、処理装置によって実行されたときに、前記コンピュータプログラムコードが、
患者によって操作可能なユーザ制御部から受信された入力の時間、及び/又は添加された前記物質の量を示す、情報を記憶することと、
前記ユーザ制御部から受信した、直近に受信した入力と、
以前に受信した入力の時間及び/又は前記以前に受信した入力に更に添加された前記物質の量を示す、前記記憶された情報と、に少なくとも依存して、前記添加手段による前記添加を制御することと、を実施する、コンピュータプログラム製品。
【請求項23】
患者が鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質を吸入するための呼吸システムであって、
前記患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、前記患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、
吸入されるガスに前記物質を添加するための添加手段であって、前記物質が液体又は粉末形態で提供され、前記物質を前記ガスに気化させるための気化手段を備え、前記気化手段が、前記患者の顔に装着可能であるように、前記患者気道インターフェース内又は上に装着されている、添加手段と、
前記患者によって操作可能なユーザ制御部と、
制御手段であって、前記ユーザ制御部が、前記患者による前記ユーザ制御部の操作に応答して、前記制御手段に入力を提供するように前記制御手段に結合されており、前記制御手段が、前記入力に少なくとも依存する前記気化手段を使用して、前記添加手段による添加を制御するように構成されている、制御手段と、を備える、呼吸システム。
【請求項24】
前記気化手段が、ガスが材料上又は前記材料を通って流れるように位置する前記材料を含み、前記物質が前記材料から蒸発することができ、前記添加手段が、前記材料上及び/又は前記材料を通って、前記物質を位置させるように構成されている、請求項23に記載の呼吸システム。
【請求項25】
前記患者の前記顔に装着可能であるように、前記患者気道インターフェース上又は内に装着されたハウジングを更に備え、前記ハウジングが、前記材料を保持し、かつ前記材料を通って又は前記材料上の吸入経路を提供する、請求項24に記載の呼吸システム。
【請求項26】
前記材料が、平面であり、前記呼吸システムが、前記患者の前記顔の近位に前記材料を装着するように構成されており、前記吸入経路が、前記材料の前記平面に対して垂直に通過する、請求項25に記載の呼吸システム。
【請求項27】
前記添加手段が、前記患者の顔に装着可能であるように、前記患者気道インターフェース上又は内に装着されている、請求項23~26のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項28】
前記気化手段が、物質取り入れポートを含み、前記添加手段が、前記物質取り入れポートを通して前記物質を前記材料にポンプで送り込むためのポンピング手段を備える、請求項23~27のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項29】
前記ポンピング手段が、前記患者気道インターフェースから物理的に間隔をあけて位置し、前記ユーザ制御部に任意に結合されており、かつ前記ユーザ制御部とともに位置し、前記物質取り入れポートに結合されている、請求項23~28のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項30】
前記制御手段が、前記ユーザ制御部に結合されており、かつ前記ユーザ制御部と少なくとも部分的にともに位置する、請求項23~29のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項31】
前記制御手段が、前記患者の顔に装着可能であるように、前記患者気道インターフェース上又は内に少なくとも部分的に装着されている、請求項23~29のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が呼吸システムを介して呼吸しなければならないように患者に装着するための、特に、物質が患者に鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有する場合、呼吸システムを介して吸入されるガスに物質を添加するための呼吸システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アヘン剤などの鎮痛剤の静脈内投与は、投与が患者によって部分的に制御される場合に知られている。投与システムは、連続的なバックグラウンド速度で薬物を静脈内にバックグラウンド注入を提供するためのシリンジドライバを含み得る。患者に提供されるボタンは、悪化する痛みに対処するための薬物ボーラスを提供するために患者によって押され得る。このボーラスの投与後、投与システムは、バックグラウンド速度で薬物の提供に戻ってもよい。投与システムはまた、所定の期間にわたって複数のボーラス投与を防止することによって過剰摂取のリスクを低減又は防止するソフトウェア実装制御を含み得る。そのような投与システムは、過剰摂取のリスクが管理されている間、患者が薬物の投与に対してある程度の制御を行うことを可能にする。
【0003】
吸入鎮痛は、有利には、静脈内アクセスの必要性を回避する。例えば、シンメルブッシュマスクは、麻酔剤を送達するための開いた呼吸システムである。このデバイスは、数層のガーゼで覆われ、患者の顔の口及び鼻の上に塗布されるワイヤーフレームで構成されている。次いで、ジエチルエーテル又はハロタン及び歴史的にクロロホルムなどの高揮発性麻酔薬をその上に滴下し、患者が蒸発した麻酔薬及び空気の混合物を吸入することを可能にする。
【0004】
いくつかの呼吸システムでは、患者は、亜酸化窒素ガスの投与を制御することができる。この場合、患者は、痛みを感じたときに手持ち式レギュレータを介してガスを吸入し、滴定して良好な効果を得ることができる。あまりにも多く消費された場合、鎮痛及び催眠作用により継続的な消費が妨げられる。これらの影響が生じた場合、低減したとき、患者は更なる亜酸化窒素ガスの吸入を再開し得る。亜酸化窒素ガスは、キャニスター内で圧縮された形態で提供され、輸送及び使用に煩雑である。メトキシフルラン吸入器などの代替物は、既知の特許文献US3565071Aに記載されるように、同様の方法で使用され得る。本文献は、揮発性麻酔剤を、布製芯を含む気化ユニット内に配置することを説明する。芯は、マウスピース及び一方向バルブを備えた円筒形のチューブ内に存在する。使用中、患者はチューブをつかみ、マウスピースを介して吸入し、気化ユニットを介して肺に空気を吸い込み、それによって薬剤を自己投与する。患者制御鎮痛へのより簡単なアプローチがまた知られており、ここにおいて、患者は、アヘン剤を含有するロリポップを口腔内で自己投与することができる。
【0005】
鎮痛剤の自己投与に対する上述のアプローチには、いくつかの欠点が生じる。ストレス又はトラウマの多いシナリオでは、患者に自己投与する方法を伝えることはしばしば困難である。これは、投与システムの不十分な使用をもたらし、鎮痛作用を低減させる可能性がある。更に、上述のアプローチは、例えば、制御デバイス又はロリポップを保持するためにある程度の手動の器用さを必要としてもよい。これは、外傷が重大である場合、又は患者が意識を低減させている場合には不可能である可能性がある。連続的な薬物投与又は筋肉内デポ注射は、投与の複雑さ及び過剰摂取のリスクのために最適ではない。
【0006】
本発明の目的は、上述のアプローチを改良することである。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、患者が物質を吸入するための呼吸システムが提供されており、呼吸システムは、患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、吸入されるガスに物質を添加するための添加手段であって、物質が液体又は粉末形態で提供され、ガスへの物質の気化が促進される、添加手段と、ユーザ制御部と、制御手段であって、ユーザ制御部が、ユーザ制御部の操作に応答して、制御手段に入力(例えば、トリガ信号)を提供するように制御手段に結合されている、制御手段と、を備える。
【0008】
呼吸システムは、上述の欠点を克服する。
【0009】
制御手段は、受信した入力の時間及び/又は添加された物質の量を示す情報を記憶し、かつユーザ制御部から受信した直近の入力と、以前に受信した入力の時間及び/又は以前に受信した入力に更に添加された物質の量を示す、記憶された情報と、に少なくとも依存して、添加手段を制御するように構成され得る。
【0010】
制御手段は、その記憶された情報及び直近に受信した入力に依存して、ガスに添加される物質の量を増加又は減少させることを決定することと、それに応じて、添加ユニットを制御することと、を行うように構成され得る。
【0011】
制御手段は、所定の第1の時間期間にわたる入力の頻度が第1の閾値を超える場合に、ガスに添加される物質の量を増加させるように、かつ/又は所定の第2の時間期間にわたる入力の頻度が第2の閾値未満である場合に、ガスに添加される物質の量を減少させるように構成され得る。
【0012】
制御手段は、アラート手段に結合されており、制御手段は、アラート条件を決定し、かつ少なくとも1つのルールが満たされることに依存して、患者及び/又はオペレータへのアラート条件の通信を引き起こすように構成されている。
【0013】
少なくとも1つのルールは、ユーザ制御部からの入力が所定の期間内に受信されないことを要求し得る。少なくとも1つのルールは、制御手段で受信された入力の速度が閾値速度を超えることを要求し得る。少なくとも1つのルールは、制御手段が、物質が所定の最大速度を超える速度で添加されることを決定することを要求し得る。少なくとも1つのルールは、所定の最大量の物質がガスに添加されていることを要求し得る。最後に、少なくとも1つのルールは、ユーザ制御部からの入力が入力の異常なパターンであることを要求し得、異常なパターンは、統計的技術を使用して決定される。統計的技術は、ベースラインの決定、ベースラインとの比較を含み得、異常パターンの決定は、比較の結果に依存し得る。
【0014】
添加手段は、物質を気化させるための気化手段を備え得る。
【0015】
呼吸システムは、吸入ガスが気化手段を通過することを防止し、かつ物質が入った気化手段からのガスが気化手段を通過することを許可するように位置し、かつ構成された第1のバルブを含み得る。呼吸システムは、吐き出されたガスが環境に通過することを可能にし、かつ環境空気が呼吸システムに入ることを防止するように位置し、かつ構成された第2のバルブを含み得る。
【0016】
気化手段は、物質を拡散させ、その表面積を増加させ、それによって物質の蒸発を促進するように配置され得る。
【0017】
気化手段は、ガスが材料上又は材料を通って流れるように位置する材料を含み得、物質は、材料から蒸発することができる。気化手段は、材料上及び/又は材料を通って、物質を分散させるように構成され得る。あるいは、例えば、格納式カバーを使用して、ガス流に曝露される材料の量を増加又は減少させる。
【0018】
材料は、物質のリザーバから物質を吸い上げ、それによって物質が材料を通って分散するようなものであり得る。
【0019】
気化手段は、物質を材料上に噴霧するための噴霧デバイスを更に備え得る。
【0020】
添加手段は、物質を材料上にポンプで送り込むためのポンプ手段を備え得る。例えば、ポンプは、蠕動ポンプ、圧電ポンプ、又はベンチュリノズルを備えたポンプであり得る。ポンプは、物質のリザーバに結合され得る。
【0021】
ポンプ手段は、材料上で又は材料を通る複数の間隔をあけた場所で開口する複数のチューブを備え得る。ポンプ手段は、物質をチューブを通してポンプで送り込んで、物質をその間隔をあけた場所に堆積させるように構成され得る。
【0022】
気化手段は、物質を加熱して、気化を引き起こすか、又は促進するためのヒーターを備え得る。
【0023】
呼吸システムは、ガス(例えば、空気)の取り入れのための開口部を含む、患者気道インターフェースに結合された気道を更に備え得、吸入により、気道へのそのガスの取り入れが引き起こされ、添加手段は、気道内のガスに物質を添加するように配置されている。
【0024】
添加手段は、物質を有するガスが気化手段から患者気道インターフェース内に流れることを防止又は許可し、かつ物質を有さないガスが患者気道インターフェース内に流れることを許可又は防止するように構成された流れ制御部を更に備え得る。制御手段は、流れ制御部に結合されており、かつ流れ制御部を制御するように構成され得る。
【0025】
流れ制御部は、少なくとも1つのゲートで構成され得る。少なくとも1つのゲートは、気化チャンバからの流れが防止され、かつ気道からの流れが許可される、第1の構成と、気化チャンバからの流れが許可され、かつ気道からの流れが防止される、第2の構成と、を有し得る。流れ制御部は、第1の構成と第2の構成との間で流れ制御部を移動させるように制御可能であり得る。
【0026】
少なくとも1つのゲートは、流れ制御部が第1の構成にある第1の位置と流れ制御部が第2の構成にある第2の位置との間で流れ制御部によってヒンジ式に装着され、かつ移動可能であり得る。
【0027】
少なくとも1つのゲートは、気化チャンバからのガスの流れを制御するように操作可能な第1のゲートと、気道からのガスの流れを制御するように操作可能な第2のゲートと、を備え得る。
【0028】
気化手段の取り入れは、気化チャンバ内のガスが気道から引き込まれるように、気道に結合され得る。
【0029】
添加手段は、第1の構成に向かって付勢する手段を更に含み得る。
【0030】
流れ制御部は、少なくとも1つのゲートを移動させるように制御可能な少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。制御手段は、少なくとも1つのアクチュエータに結合されて、少なくとも1つのゲートの移動を制御することができる。
【0031】
流れ制御部及び/又は制御手段は、気道からの流れの増加又は減少に反比例して、気化手段を介して、ガス流を増加又は減少させるように構成され得る。
【0032】
患者気道インターフェースは、呼吸システムの残りの部分の少なくともいくつかとは別に提供され得る。患者気道インターフェースは、第1のコネクタを含み得、呼吸システムの残りの部分は、コネクタから患者気道インターフェースへのガス流を可能にするために第1のコネクタに接続可能である、第2のコネクタを含み得る。
【0033】
物質は、患者に対する鎮痛、麻酔、及び/又は鎮静作用のためのものであり得る。例えば、物質は、メトキシフルラン、アドレナリン、サルブタモール、又はケタミンであり得る。
【0034】
添加手段及び/若しくはその1つ以上の部分(例えば、気化手段、又は気化手段の一部(例えば、材料、ポンピング手段及び/又は物質リザーバなど))、並びに/又は制御手段は、患者気道インターフェースに対して固定的に配設されるように、患者気道インターフェース上に、又は患者気道インターフェース内に装着され得る。呼吸システムが使用されている場合、したがって、呼吸システムは患者の顔に装着され得る。一例では、添加手段(例えば、材料)及び任意選択で制御手段の少なくともいくつかの部分は、マスクの形態で患者気道インターフェースに含まれる。患者気道インターフェースは、添加手段及び制御手段の重量を担持することが可能であり得る。
【0035】
材料は平面であり得る。吸入経路は、材料の平面に対して垂直に通過し得る。材料は、患者の顔の近位に装着され得る。呼吸システムは、材料を保持するためのハウジングを含み得る。
【0036】
気化手段は、ハウジングとともに形成され得る物質取り入れポートを含み得る。ポンピング手段は、物質取り入れポートに結合されて、物質取り入れポートを介して物質を材料に押し込み得る。
【0037】
この場合、ポンピング手段は、患者気道インターフェースから物理的に間隔を置いて位置し、チューブで物質取り入れポートに結合され得る。例えば、ポンピング手段は、ともに位置し、ユーザ制御部に物理的に結合され得る。制御手段は、患者気道インターフェースから物理的に間隔を置いて位置し、チューブで物質取り入れポートに結合され得る。
【0038】
添加手段及び/又はその1つ以上の部分が患者気道インターフェース上又は患者気道インターフェース内に装着されている場合、制御手段は、ユーザ制御部内に部分的に位置し、かつ患者気道インターフェース上又は患者気道インターフェース内に部分的に位置し得る。したがって、制御手段は、ユーザ制御部から機械的入力(例えば、空気入力)を受信し、それに応答して添加手段による添加を制御するように構成され得る。この場合、ハウジングは、機械的入力を受信するための入力ポートを含み得る。
【0039】
制御手段は、添加ユニットを制御して、受信された入力がない場合に、物質をバックグラウンド速度でガスに添加するように構成され得る。
【0040】
ユーザ制御部は、患者がユーザアクションでユーザ制御部を操作することができ、それによって、物質が必要とされていることを示す情報を制御手段に送信することができるように、患者に固定可能であり得る。
【0041】
呼吸システムは、患者の状態を検出し、かつ状態を示すセンサ情報を制御手段に提供するための少なくとも1つのセンサデバイスを更に備え得、制御手段は、センサ情報にも依存する添加手段を制御するように構成されている。
【0042】
状態は、心拍数、血圧、酸素飽和度レベル、呼吸数、及び患者の意識レベルのうちの1つであり得る。
【0043】
制御手段は、処理手段と、その上に記憶されたコンピュータプログラムコードを有するメモリ手段とを含み得、処理手段は、メモリ手段及びコードとともに、上記の機能を提供する。時間及び/又は量を示す情報は、メモリ手段に記憶され得る。
【0044】
制御手段は、物質の添加を引き起こすように拡張することができる手段(例えば、ベローズ)を含み得る。この場合、ユーザ制御部は、拡張可能手段内で圧力の増加を引き起こすように操作可能であり、それによって拡張を引き起こす。付勢手段は、拡張可能手段を収縮状態に向かって付勢する。制御手段はまた、付勢手段が拡張可能手段をその収縮状態に戻すことを可能にする拡張可能手段内からの空気の排出を許可するように構成されたバルブを含み得る。制御手段は、空気の排出速度を制御するためにバルブを動作するための手段を含み得る。
【0045】
呼吸システムは、亜酸化窒素などの別個のガスの流れを調節するように構成された添加手段を含み得る。添加手段は、ユーザ制御部に従って、呼吸ガスストリーム内へのガスの流れを増加又は減少させる。
【0046】
呼吸システムは、制御手段に結合された、患者に刺激を提供するための刺激提供手段を含み得る。刺激提供手段は、患者に見える聴覚刺激、触覚刺激、及び光刺激のうちの1つ以上を提供するためのものであり得る。制御手段は、刺激に応答してユーザによる入力に依存して、添加手段による添加を制御するように構成されている。刺激が光刺激である場合、刺激は、光をオンにして、また光をオフにする可能性がある。
【0047】
患者は、システムを使用する前に、患者がユーザ制御部の所定の操作で刺激に応答するべきであることを通知され得る。
【0048】
装着手段は、患者気道インターフェース、例えば、マスク、又は鼻クリップを備え得る。
【0049】
応答を監視するように構成される制御手段は、所定の期間内にユーザ制御部から応答を受信したかどうかを決定するように構成されることを含む。
【0050】
制御ユニットは、結果に応じて患者への物質の投与を制御するように構成され得る。制御手段は、刺激を提供することと応答を受信することとの間の時間を測定することと、時間に基づいて物質の投与を制御することと、を行うように更に構成され得る。
【0051】
本発明の第2の態様によれば、患者が鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質を吸入するための呼吸システムにおける方法が提供されており、呼吸システムは、患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、吸入されるガスに物質を添加するための添加手段であって、物質が液体又は粉末形態で提供され、物質をガスに気化させるための気化手段を備える、添加手段と、患者によって操作可能なユーザ制御部と、制御手段であって、ユーザ制御部が、患者によるユーザ制御部の操作に応答して、制御手段に入力を提供するように制御手段に結合されている、制御手段と、を備え、制御手段は、受信した入力の時間及び/又は添加された物質の量を示す情報を記憶するように構成されており、方法は、ユーザ制御部から受信した、直近に受信した入力と、以前に受信した入力の時間及び/又は以前に受信した入力に更に添加された物質の量を示す、記憶された情報と、に少なくとも依存して、添加手段による添加を制御することを含む。
【0052】
本発明の第3の態様によれば、呼吸システム内の空気中への鎮痛物質、麻酔物質、及び/又は鎮静物質の添加を制御するコンピュータプログラム製品が提供されており、コンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラムコードを含む場合に、処理装置によって実行されたときに、コンピュータプログラムコードが、患者によって操作可能なユーザ制御部から受信された入力の時間、及び/又は添加された物質の量を示す、情報を記憶することと、ユーザ制御部から受信した、直近に受信した入力と、以前に受信した入力の時間及び/又は以前に受信した入力に更に添加された物質の量を示す、記憶された情報と、に少なくとも依存して、添加手段による添加を制御することと、を実施する。
【0053】
第2及び第3の態様の発明は、第1の態様の任意の/好ましい特徴及び/又はステップのうちのいずれかを実装し得る。
【0054】
本発明の第4の態様によれば、患者が物質を吸入するための呼吸システムが提供されており、呼吸システムは、患者に装着可能な患者気道インターフェースであって、患者気道インターフェースを介して吸入及び吐き出しが生じるように装着可能な患者気道インターフェースと、吸入されるガスに物質を添加するための添加手段であって、物質が液体又は粉末形態で提供され、物質をガスに気化させるための気化手段を備え、気化手段が、患者の顔に装着可能であるように、患者気道インターフェース内又は上に装着されている、添加手段と、患者によって操作可能なユーザ制御部と、制御手段であって、ユーザ制御部が、患者によるユーザ制御部の操作に応答して、制御手段に入力を提供するように制御手段に結合されており、制御手段が、入力に少なくとも依存する気化手段を使用して、添加手段による添加を制御するように構成されている、制御手段と、を備える。患者気道インターフェースは、1つ以上のストラップで顔に装着可能であり得る。
【0055】
気化手段は、ガスが材料上又は材料を通って流れるように位置する材料を含み得、物質は材料から蒸発することができ、添加手段は、材料上及び/又は材料を通って、物質を位置させるように構成されている。
【0056】
呼吸システムは、患者の顔に装着可能であるように、患者気道インターフェース上又は内に装着されたハウジングを更に備え得、ハウジングは、材料を保持し、かつ材料を通って又は材料上の吸入経路を提供する。
【0057】
材料は平面であり得る。呼吸システムは、患者の顔の近位に材料を装着するように構成され得る。吸入経路は、材料の平面に対して垂直に通過し得る。
【0058】
添加手段は、患者の顔に装着可能であるように、患者気道インターフェース上又は内に装着され得る。
【0059】
気化手段は、物質取り入れポートを含み得、添加手段は、物質取り入れポートを通して物質を材料にポンプで送り込むためのポンピング手段を備え得る。
【0060】
ポンピング手段は、患者気道インターフェースから物理的に間隔をあけて位置し、ユーザ制御部に任意に結合されており、かつユーザ制御部とともに位置し、物質取り入れポートに結合され得る。
【0061】
制御手段は、ユーザ制御部に結合されており、かつユーザ制御部と少なくとも部分的にともに位置し得る。あるいは、制御手段は、患者の顔に装着可能であるように、患者気道インターフェース上又は内に少なくとも部分的に装着されている。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、刺激提供手段と、刺激提供手段を患者の顔上に装着するための手段と、患者によって操作可能なユーザ制御部と、制御手段と、を備える、システムが提供されており、ユーザ制御部は、ユーザ制御部の操作に応答して制御手段に入力を提供するために制御手段に結合されており、刺激提供手段は、制御手段に動作可能に結合されており、制御手段は、刺激提供手段に患者に刺激を提供させることと、ユーザ制御部からの応答を監視することと、を行うように構成されている。
【0063】
刺激提供手段は、患者に見える聴覚刺激、触覚刺激、及び光刺激のうちの1つ以上を提供するためのものであり得る。制御ユニット手段は、時間期間で応答が受信された後に刺激を除去し得る。
【0064】
患者は、システムを使用する前に、患者がユーザ制御部の所定の操作で刺激に応答するべきであることを通知され得る。物質は、患者に対する鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有し得る。
【0065】
装着手段は、患者気道インターフェース、例えば、マスク、又は鼻クリップを備え得る。
【0066】
刺激が光刺激である場合、刺激は、光をオンにして、また光をオフにする可能性がある。
【0067】
応答を監視するように構成される制御手段は、所定の期間内にユーザ制御部から応答を受信したかどうかを決定するように構成されることを含む。
【0068】
制御ユニットは、結果に応じて患者への物質の投与を制御するように構成され得る。所定の期間内に応答が受信されない場合、投与される物質の量は低減し得る。
【0069】
制御手段は、刺激を提供することと応答を受信することとの間の時間を測定することと、時間に基づいて物質の投与を制御することと、を行うように更に構成され得る。
【0070】
本発明の第6の態様によれば、刺激提供手段と、患者によって操作可能なユーザ制御部と、制御手段と、を備える、物質投与システムが提供されており、ユーザ制御部は、ユーザ制御部の操作に応答して制御手段に入力を提供するために制御手段に結合されており、刺激提供手段は、制御手段に動作可能に結合されており、制御手段は、刺激提供手段に患者に刺激を提供させることと、ユーザ制御部からの応答における入力を監視することと、応答に少なくとも部分的に依存して、患者への物質の投与を制御することと、を行うように構成されている。
【0071】
刺激提供手段は、患者に見える聴覚刺激、触覚刺激、及び光刺激のうちの1つ以上を提供するためのものであり得る。制御ユニット手段は、刺激に応答して、時間期間内に入力が受信された後に、刺激を除去し得る。刺激が光刺激である場合、刺激は、光をオンにして、また光をオフにする可能性がある。
【0072】
患者は、システムを使用する前に、患者がユーザ制御部の所定の操作で刺激に応答するべきであることを通知され得る。物質は、患者に対する鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有し得る。
【0073】
応答における入力を監視するように構成されている制御手段は、所定の期間内にユーザ制御部から応答を受信したかどうかを決定するように構成されることを含む。
【0074】
制御ユニットは、結果に応じて患者への物質の投与を制御するように構成され得る。所定の期間内に応答が受信されない場合、投与される物質の量は低減し得る。
【0075】
制御手段は、刺激を提供することと応答を受信することとの間の時間を測定することと、時間に基づいて物質の投与を制御することと、を行うように更に構成され得る。
【0076】
制御手段は、ユーザによる入力が刺激に応答しない場合に、投与される物質の量を増加させるように構成され得る。例えば、入力は、次の刺激が提供される前の応答における入力の後であり得る。
【0077】
本発明の第7の態様によれば、患者に鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有する物質を投与するためのシステムが提供されており、システムは、物質を患者に送達するための手段(例えば、患者気道インターフェース又は静脈内送達装置)と、投与される物質の量を制御するための添加手段と、患者によって操作可能なユーザ制御部と、制御手段であって、ユーザ制御部が、患者によるユーザ制御部の操作に応答して、制御手段に入力を提供するように制御手段に結合されている、制御手段がまた、添加手段による物質の添加を制御するように構成されている、制御手段と、刺激提供手段と、を備え、制御手段は、ユーザによる入力に応じて添加速度を決定することであって、入力の速度が、患者が快適であることを示す場合に、添加速度を更に決定する、決定することと、刺激提供手段を制御して、ユーザからの入力を促し、かつそれらの入力に基づいて患者の意識レベルを監視することと、意識レベルの低下を示す監視に基づいて、添加速度を低減するかを決定することと、を行うように構成されている。
【0078】
本発明の第8の態様によれば、患者に鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有する物質を投与するための方法が提供されており、方法は、制御手段において、ユーザ制御部を使用してユーザによる入力の速度に依存して、物質が投与されるべき添加速度の第1の値を決定することであって、入力の速度が患者が快適であることを示す場合に、第1の値を更に決定する、決定することと、刺激提供手段を制御して、ユーザからの入力を促し、かつそれらの入力に基づいて患者の意識レベルを監視することと、意識レベルの低下を示す監視に基づいて、添加速度を低減するかを決定することと、それに応じて添加速度を低減することと、を含む。その方法を実施するために、処理手段によって実行可能なコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品がまた提供されている。
【0079】
制御手段は、ユーザ入力に応答して添加速度を上げることと、ユーザ入力がない場合に添加速度を下げることと、ユーザ入力の速度が所定の期間にわたって所定の速度に対応することを決定することと、その期間にわたって1つ以上の添加速度に基づいて快適性値を決定することと、によって、第1の値を決定するように構成されている。刺激提供手段は、本発明の他の態様について説明されるようにしてもよい。第1の値は、患者が快適である添加速度を表す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
以下、本発明の実施形態について、添付の図を参照しながら、例示的に説明する。
図1】本発明の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図2】添加ユニットが一緒に操作可能なゲートを含む、実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図3A図2の呼吸システムの例示的な図である。
図3B図3Aに示される呼吸システムを使用する遮断部材の例示的な図である。
図4-5】図3の呼吸システムを通る例示的な空気流。
図6】呼吸システムのユーザ制御部の例示的な図である。
図7】添加ユニットが個別に操作可能である一対のゲートを含む、別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図8】別の実施形態による呼吸システムの例示的な図であり、添加ユニットは、ヒンジ付きゲートを備える。
図9】部品が一緒に組み立てられたときの例示の呼吸システムの例示的な斜視図である。
図10】少なくとも部分的に空気圧制御ユニット及びユーザ制御部を有する、別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図11】噴霧デバイスを含む、別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図12】噴霧デバイスの例示的な図である。
図13】ポンプを含む別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図14図13の呼吸システムの例示的な斜視図である。
図15】ポンプ及び複数のチューブを含む別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図16】部品が一緒に組み立てられたときの例示の呼吸システムの例示的な斜視図である。
図17A-17E】物質の投与を制御するステップを示す流れ図である。
図18A-18B】別の実施形態による呼吸システムの例示的な図である。
図18C図18A及び図18Bの呼吸システムの分解図である。
図18D】呼吸システムの断面図である。
図18E】呼吸システムを通る吸入及び吐き出し経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
ここで実施形態に従って患者に装着するための呼吸システムを、図1を参照して説明する。呼吸システムは、患者気道インターフェース(PAI)10、気道12、添加ユニット14、制御ユニット16、及びユーザ制御部18を備える。呼吸システムは、吸入される空気に物質を添加し、その物質を患者に投与するためのものである。実施形態に必須ではないが、物質は、鎮静剤、鎮痛剤、又は麻酔剤であり得る。例えば、物質は、メトキシフルラン、アドレナリン若しくはサルブタモール、ケタミン、又は任意の他の吸入可能な薬物化合物若しくは揮発性麻酔剤若しくはガスであり得る。
【0082】
PAI10は、マスク10の形態である。マスク10は、気道12の第1の端部が固定的かつ密封的に接続されている開口部(図示せず、11に示される場所)を有し、その結果、空気は、気道12を通ってマスク10に吸入され、次に患者の肺に吸入され得る。マスク10はまた、患者の口及び鼻の周りにマスク10を装着するためのストラップ20を有する。
【0083】
気道12の第2の端部は、環境への開口部17を形成し、環境からの空気の取り込みを可能にする。添加ユニット14は、開口部11、17の間の呼吸システム内のガスに物質を添加するように位置する。
【0084】
本明細書では、一般に、「空気」は、環境から呼吸システムに引き込まれるガスと呼ばれ、一方で、「ガス」という用語は、呼吸システムから吸入されるガスが空気のみである場合でも、呼吸システム内のガスを指すために使用される。「添加速度」という用語は、本明細書において、添加ユニットが吸入されるガスに物質を添加する、速度を指すように使用される。異なる実施形態では、添加速度は、物質を含むガスを吸入することを可能にする1つ以上のバルブの動作によって、及び/又は物質が気化する速度によって変更され得る。「投与速度」は、物質が添加されたガスを吸入するためのタイムラグと密接に対応することが理解されるであろう。
【0085】
いくつかの変形実施形態では、呼吸システムは、環境以外の供給源からのガス、例えば、酸素又は酸素化された空気を吸入することができるように、気道12に接続された入口ポート26を含む。供給源は、入口ポート26を接続することができる、病院に一般的に見られる種類のキャニスター又は壁コンセントであり得る。入口ポート26は、実施形態に必須ではない。クロージャ26aは、ポートが使用されていないときのために設けられる。変形例では、複数のそのような入口気道が提供され得、それらの供給源からのガスが吸入され得るように、各々が異なる複数のガス源、例えば、亜酸化窒素及び酸素の接続を可能にする。
【0086】
そのような変形実施形態では、制御ユニット16は、1つ以上の他の供給源からのガスの流れを調節する1つ以上のレギュレータに接続可能であり得る。制御ユニット16は、そのような1つ以上の他の供給源からの流量を制御するように構成され得る。制御ユニット16はまた、開口部17で呼吸システムへの空気の流れを調節するレギュレータに接続されていてもよい。例えば、制御ユニット16は、呼吸システムに取り込まれる環境空気、酸素、及び/又は亜酸化窒素の相対量を制御するように構成され得る。これにより、鎮痛及び酸素の要件が確実に満たされるようになる。別の変形例では、気道12は、開口部17で環境に開放されなくてもよく、環境空気以外のガス源に排他的に接続されてもよい。例えば、気道12の第2の端部は、キャニスター又はそのような壁出口に接続してもよい。
【0087】
呼吸システムは、患者がそれを介して呼吸し、連続して、かつ繰り返し吸入すること及び吐き出すことを可能にするようなものである。マスク10は、呼気バルブ21及び吸気バルブ22を含む。吸気バルブ22は、添加ユニット14を介した吐き出された空気の流れを防止するが、気道12からマスク10への流れを許可するために、マスク10内に位置する一方向バルブである。呼気バルブ21は、吐き出されたガスがマスク10を環境に出ることを可能にする一方向バルブであるが、周囲の空気が呼吸システムに入ることを防止する。気道12はまた、気道12の第2の端部と、物質が添加される気道12の領域との間に位置する、一方向バルブ15を含み、それにより、物質が入っている気道12内のガスが開口部17を通って呼吸システムから出ることを防止するが、空気の浸入を可能にする。いくつかの実施形態では、吸気バルブ22は、一方向バルブ15を考慮すると不必要であり得る。吸気バルブ21及び呼気バルブ22は、例えば、単方向シリコーンゴムフラップ(キノコバルブ)としてそれぞれ提供され得る。吸気バルブ21及び呼気バルブ22は、単一のバルブアセンブリとしてマスク10内に組み込まれてもよい。吸気バルブ21及び呼気バルブ22の機能を提供する様々なバルブ設計は、当該技術分野で既知であり、実施形態は、任意の特定の設計に限定されない。呼吸システムはまた、任意の物質が周囲の空気中に通過して拡散することを防止するために、呼気バルブ21の上にフィルタを含み得る。
【0088】
変形実施形態では、吸気バルブは、マスク10の一部であるのではなく、気道12を横切って位置し得る。この場合、呼気バルブは、マスク10と吸気バルブ22との間の気道の領域内の気道12に含まれてもよい。他の変形実施形態では、呼気バルブ21及び一方向バルブ15は存在していなくてもよく、そのような実施形態では、吐き出された空気は、気道12を通って呼吸システムを出てもよい。これは、吐き出されたガスが濾過を必要とする物質を含まない実施形態で適切であり得る。
【0089】
変形実施形態では、マスク10は、別のタイプのPAIに置き換えられてもよい。PAIは、例えば、鼻腔マスク又は声門上気道などの侵襲的デバイスの形態であり得る。鼻マスクは、特に歯科分野で使用され得る。口からの呼吸は、現場で知られている手段によって防止され得る。本発明の実施形態は、吸入され、かつ吐き出される全ての呼吸ガスの導管として機能するPAIの任意の特定の形態に限定されない。呼吸システム全体として、患者が呼吸システムを介して繰り返し吸入すること及び吐き出すことを可能にし、かつ要求する。
【0090】
添加ユニット14は、特に蒸発を介して気化することによって、呼吸システム内のガスに物質を添加するように構成されている。いくつかの実施形態では、添加ユニット14は、物質の表面積を増加し、それによってガスへの蒸発を促進するために、物質がその上又はそれを通って分散される材料、例えば、綿を含む。
【0091】
実施形態は、任意の特定の種類の添加ユニット14に限定されない。以下に説明する実施形態では、添加ユニット14の異なる例を示す。添加ユニット14は、気道12内のガスに物質を添加するように配置されてもよく、それにより、取り込まれたガスは、物質が通過する際に物質を収集するか、又は添加ユニット14は、気道12の外側のガスに物質を添加し、かつ物質のないガスが気道12から吸入されるかどうか、若しくは物質が気道12の外側に添加された場所で物質を含むガスが吸入されるかどうか、若しくは混合物が吸入されるかどうかを制御するための流れ制御部を含み得る。物質を含むガスは、物質を含まないガスと同じ開口部11を介してマスク10に流入してもよく、又は代替の実施形態では、ガスは、マスク10のそれぞれの開口部を通ってそれぞれ流入してもよい。物質が気道12の外側のガスに添加される実施形態では、物質が添加されるガスは、開口部17とは異なる吸気口を通って流入し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、添加ユニット14は、例えば、物質が蒸発する面積、並びに/又は物質の温度及び/若しくは物質が材料上に位置する速度を制御することによって、蒸発の速度を制御するように制御され得る。しかしながら、添加される物質の最大量は、合計で及び/又は特定の期間にわたって、過剰摂取を防止するために慎重に制御される必要があるかもしれないが、十分に投与されることを確実にするための量の正確な制御は、患者が、適切な場合、より多くを投与するためにユーザ制御部を操作し得るため、それほど重要ではないことに留意されたい。
【0093】
制御ユニット16は、添加ユニット14に結合されて、添加ユニット14を制御する。制御ユニット16はまた、ユーザ制御部18からの入力を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、入力は、電気トリガ信号の形態であってもよく、他の実施形態では、機械的又は空気圧トリガ入力であり得る。制御ユニット16が添加ユニット14を電子的に制御する場合、制御ユニット16は、添加ユニット14に制御信号を提供する。これらの信号は、流れ制御部の動作がバイナリである実施形態では、アクチュエータがバルブを開閉するための開始及び停止信号であり得る。これらの信号は、添加の速度が非バイナリ方式で制御可能である場合に、添加速度を設定及び更新することができる。
【0094】
ユーザ制御部18は、患者によって操作可能であり、入力を制御ユニット16に提供する。患者は、患者がより多くの物質を投与することを望むときに、ユーザ制御部18を操作する。例えば、物質が鎮痛剤である場合、入力は、痛みを軽減したいという欲求を示すことができる。実施形態は、患者がユーザ制御部18を制御する場合に限定されず、アテンダントオペレータが、例えば、ユーザ制御部18を制御してもよい。
【0095】
本発明の実施形態は、ユーザ制御部18が任意の特定の形態であることに限定されない。いくつかの実施形態では、ユーザ制御部18は、患者によって容易に使用可能である。ユーザ制御部18は、患者の指のアクションによって操作可能であり得る。ユーザ制御部18は、例えば、ストラップを用いて患者の手に、又は患者の指に装着可能であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザ制御部18は、制御ユニット16から物理的に離間されているが、他の実施形態では、ユーザ制御部18は、制御ユニットと一緒に位置している。例として図6を参照すると、ユーザ制御部18は、感圧ボタン19が位置しているリングである。ユーザ制御部18は、ケーブル13によって制御ユニット16に結合される。
【0096】
いくつかの実施形態では、マスク10以外の呼吸システムの少なくとも1つの部分は、マスク10と物理的に分離されて提供され得る。例えば、マスク10以外の全ての部分が別々に提供される場合、気道12の第1の端部は、開口部11の周りのマスク10に密封方式で取り付けられてもよく、それにより、気道12を通って引き込まれるガスは、環境に排出されることなく、開口部を通ってマスク10内に通過することができる。複数のマスク10は、各々が気道12に取り付け可能な、異なるサイズで提供されてもよい。したがって、適切なサイズのマスク10は、特定の患者に対して有利に選択され得る。
【0097】
そのような代替的な実施形態では、取り付けを可能にするために、マスク10は、第1のコネクタ片24を含み、気道12は、第2のコネクタ片25を含む。これらは、いくつかの実施形態では存在し得るが、他の実施形態では存在し得ないことを示すために、図1の破線を使用して示される。第1のコネクタ片24は、マスク10への開口部にあり、第2のコネクタ片25は、気道12の第1の端部に位置する。第1及び第2のコネクタ片24、25は、相対的なねじれアクションで接続可能であるように環状でねじ切られている。変形実施形態では、第1及び第2のコネクタ片20、24は、そうでなければ、マスク10及び第1の気道22を密封方法で接続するように構成されており、その結果、ガスが環境に排出されることなく流れ制御部14から引き込まれ得る。
【0098】
制御ユニット16は、ユーザ制御部18からの入力に依存して、添加ユニット14を制御するように構成されている。入力は個別であり、制御ユニット16は、ユーザ制御部16からの入力に応答して、ある量の物質を気道12の空気に添加させるように構成され得る。代替的に、入力は、例えば、患者によるボタンの継続的な押下によって連続的に提供され得る。
【0099】
制御ユニット16は、添加ユニット14に、物質をガスに添加させてバックグラウンド速度で吸入させるように構成されてもよく、バックグラウンド速度は、患者に安全に投与することができる最大量と比較して低い。バックグラウンド速度は、患者によって引き起こされる入力に関係なく投与される最小速度である。
【0100】
制御ユニット16が電子制御ユニットである実施形態では、制御ユニット16は、バッテリ及びマイクロコントローラを備える。マイクロコントローラは、プロセッサ、メモリ、クロック、及びバスによって動作可能に接続された入力/出力インターフェースを備える。制御ユニットは、追加の構成要素を有してもよい。動作アルゴリズムを含むコンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行されると、マイクロコントローラが本明細書に記載のステップを実施することをもたらすメモリに記憶される。あるいは、制御ユニット16の機能は、専用のハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの混合物で実装され得る。ユーザデバイス18は、そのような実施形態では、電子トリガ信号として入力を制御ユニット16に提供するように構成されて、添加ユニット14は、電子的に制御されるように構成される。制御ユニットは、記憶されたアルゴリズムに従って受信されたトリガ信号を受信して処理し、それに応じて添加ユニット14を制御するように構成されている。トリガ信号は、より多くの物質が患者によって必要とされていることを示すものである。実施形態は、信号がとり得る任意の特定のフォーマットに限定されない。代替の実施形態では、入力は機械式又は空気式であり得、制御ユニットは、1つ以上のセンサ(例えば、制御ユニット74)から受信した情報に応じて添加された量を制御し得る。
【0101】
制御ユニット16はまた、特に、より多くの物質が吸入されるべきであることを信号するために、患者がユーザ制御部18を頻繁に操作することに起因して、過剰な量の物質が吸入されることを防止するように構成されている。アルゴリズムには、これを防止するルールが含まれている。例えば、超過できない最大速度を構成してもよい。代替的に、最大投与時間間隔が強制され得る。
【0102】
本発明の実施形態は、任意の特定の長さ、縦方向の形状、又は断面サイズ若しくは形状を有する、気道12に限定されないが、ただし、寸法が空気流を可能にし、実施形態が別途要求しない限り、この限りではない。
【0103】
動作中、呼吸システムは、患者がそれを通して呼吸することを可能にし、また物質を投与する。第1に、マスク10は、患者に取り付けられ、鼻及び口を覆う。代替的な実施形態では、別のタイプのPAIが適合される。次いで、患者は呼吸システムを介して呼吸を強いられ、繰り返しの吸入及び吐き出しが行われる。オペレータは、呼吸システムをオンにする必要がある場合がある。制御ユニット10は、物質がバックグラウンド速度で患者に投与されるように、添加ユニット14を制御して、気道12内の空気に物質を添加してもよい。患者は、ユーザ制御部18を操作して、制御ユニット16に入力を提供し得る。そのような入力が制御ユニット16によって受信されると、制御ユニット16は、添加ユニット14に、取り込まれたガスに物質を更に添加させる。
【0104】
以下に記載される実施形態は、上述される一般化された実施形態の可能な実装形態であるとみなすことができる。以下のような部分は、同様の参照番号で表記することができるが、必ずしもそうではない。図1に関して説明されたものとは異なるが、同じ又は類似の機能を実行する部分は、100又はそれらの倍数で増分された同じ参照番号を与えられてもよいが、必ずしもそうではない。
【0105】
図2を参照すると、一実施形態では、添加ユニット14は、流れ制御部30、第1のコネクタ気道31、第2のコネクタ気道32、及び気化ユニット33を備える。気化ユニット33は、第1のコネクタ気道31によって気道12に接続される。この実施形態では、一方向バルブ115は、第1のコネクタ気道31内に位置し、通常はその中に物質が入っている気化ユニット33内のガスが気道12に逆流することを防止する。あるいは、一方向バルブ115は、気化ユニット33の一部であり得る。第2のコネクタ気道32は、気化ユニット33を流れ制御部30に接続し、その結果、ガスは、気化ユニット33から流れ制御部30に流れることができる。当業者が理解するように、第1及び第2のコネクタ気道31、32は、短くてもよく、実際には気化ユニット33への吸気口及び排気口であり得る。また、変形実施形態では、第1のコネクタ気道31は、気道12に接続していなくてもよく、代わりに環境に開放して、環境空気を取り込むことができる。
【0106】
制御ユニット16は、流れ制御部30に結合されて、その動作を制御する。流れ制御部30は、ゲートを有する気道12内の空気流接合部を提供する。いくつかの実施形態では、ゲートは、第1の構成又は第2の構成のいずれかである(2つの構成の間ではない)ように制御可能である。第1の構成では、第2のコネクタ気道32の端部を横切る第1のゲートが閉じられ、気化ユニット33からのガス流が完全に遮断され、気道12を横切る第2のゲートが開放されているため、環境からの空気のみがマスク10内に引き込まれ得る。第2の構成では、第1のゲートは開放され、気化ユニット33からのガス流を可能にし、第2のゲートは閉じられ、気道12を通る空気の流れを防止する。そのような実施形態は、空気流のバイナリ制御を許可する。他の実施形態では、第1のゲート及び第2のゲートの両方は、気化ユニット33を通過した空気が、気化ユニット33を通過していない空気と混合されるように、部分的に開放されてもよく、完全に開放されてもよく、又は閉鎖され得る。全ての実施形態にとって必須ではないが、流れ制御部30は、(バイナリ又は非バイナリの実施形態では)2つの空気流路の一方からの空気流が2つの空気流路の他方で許容される程度に反比例して空気流を低減させるように構成又は制御可能であり得る。これにより、呼吸システムを介して呼吸するときの吸入抵抗は、呼吸システムを介した空気の経路に関係なく実質的に変化しないままになる。
【0107】
流れ制御部30は、流れ制御部30をその第1の構成に付勢する付勢手段を含む。したがって、物理的な障害が発生した場合、流れ制御部30は、気化ユニット12からの物質の添加なしに、環境からの空気の中断されない流れを可能にするように構成されている。
【0108】
気化ユニット33は、物質の注入又は吹き込むことを可能にするポートを含む。気化ユニット33はまた、リザーバを提供する物質が注がれるか、又は噴出される気化チャンバ35を画定してもよい。そのようなポートは、それを閉じるための蓋を含み、それによって、気化ユニット33は、物質の蒸発又は流出を防止するために密封され得る。
【0109】
変形実施形態では、気化ユニットは、ポートを介してリザーバを含むカプセルの挿入又は取り付けを可能にするように構成され得る。この場合、カプセルは、気化性物質が流出することを可能にするために開放可能である。一実施形態では、カプセルは、蓋でポートを閉じるアクションで、ポートの蓋の一部分によって破れて開放されるクロージャを備えた開口部を含み得る。
【0110】
実施形態は、気化ユニットの任意の特定の設計、又は気化可能な物質が気化可能ユニット35に提供される任意の特定の方法に限定されない。いくつかの実施形態では、気化可能ユニット33は、新しい物質の供給を許可しなくてもよく、代わりに、製造中にその中に配置された一定量の物質とともに使用するためだけであり得る。この場合、気化ユニットは、呼吸システム内で交換可能であってもよく、又は呼吸システム全体が使用後に廃棄され得る。
【0111】
呼吸システムの動作において、制御ユニット16は、吸入される気化ユニット33を通過するガスの量を制御するために、流れ制御部30を制御する。変形実施形態では、制御ユニット16はまた、気化ユニット33に結合されてもよく、気化ユニットは、物質の蒸発速度が制御可能であるようなものである。
【0112】
また、図2を参照して説明される実施形態の例である図3Aを参照すると、気化ユニット33は、気化チャンバ35を備え、材料は、気化チャンバ35内の芯36を含む。芯36は、例えば、ラビリンス構造又は多孔質構造を有することによって、芯の体積を考慮して、大きな表面積を通過するガスに曝露するように構成された構造を有し、それによって物質の蒸発を促進する。芯36は、それを通って物質を分散させるように構成されている。蓋37は、上述のように、物質を注入又は吹き込むことによってチャンバ35に添加することができるポートのための閉鎖を提供する。
【0113】
流れ制御部30は、アクチュエータアセンブリ、気道遮断部材38、及びハウジング40を備える。アクチュエータアセンブリは、アクチュエータ42と、弾性部材44、例えば、ばねの形態の付勢手段と、を備える。アクチュエータ42は、制御ユニット16に結合されている。気道12及び第2の気道コネクタ32は各々、その中に対向する一対の開口を有し、これらは全て整列されている。ハウジング40は、気道12の開口のうちの第1の開口の上に第1の気道突起46を含む。第1の気道突起46は、気道12の内部から延在する第1の凹部を提供する。ハウジング40はまた、第2の気道コネクタ32の開口の第1の開口の上に第2の気道突起49を含む。第2の気道突起49は、第2の気道コネクタ32の内部から延在する第2の凹部を提供する。ハウジング40はまた、気道12内の第2の開口と、第2のコネクタ気道32内の第2の開口とを接続する、接続チャネル50を提供する。第1及び第2の凹部と接続チャネル50とは整列されている。第1の気道コネクタ31は、この実施形態では、気道12から気化チャンバ35への入口であり、一方向バルブ34は、入口に設けられている。
【0114】
遮断部材38は、ハウジング40内に配設され、第1及び第2の凹部並びに接続チャネル50で、かつ気道12及び第2の気道コネクタ32を横切って、第1の位置と第2の位置との間で摺動可能である。制御ユニット16は、遮断部材38の位置を制御するように配置されている。第1の位置では、気化ユニット33からのガス流が完全に遮断され、気道12に沿ってマスク10への空気の流れが許可される。第2の位置では、気化ユニット33を通るガス流が許可され、気道12を通る流れが遮断される。第1及び第2の気道突起46、49、並びに接続チャネル50を提供するハウジング40の一部分は、それぞれ、気道12及び第1の気道コネクタ31内の第1の開口、並びに第2の開口を密封して、呼吸システムからのガスの排出を防止する。遮断部材38が第1の位置と第2の位置との間に配設されるとき、気道12を通って、かつまた気化ユニット33を通って、両方のガスを取り込むことができる。
【0115】
より詳細には、図3Bも参照すると、遮断部材38は、第1のゲート51と、第2のゲート52と、第1のゲート51及び第2のゲート52を接続する、ブリッジ53と、を備える。遮断部材38が第1の位置にあるとき、第1のゲート51は、第1の凹部に位置し、第2のゲート52は、第2のコネクタ気道32を通るガスの流れを遮断する。遮断部材38が第2の位置にあるとき、第1のゲート51は、気道12を遮断し、第2のゲート52は、第2の凹部に位置する。ブリッジは、接続チャネル50内で縦方向に移動可能であると同時に、チャネル50内のガス流を防止するためにチャネル50をまた密封する。
【0116】
変形設計では、気道12及び第2のコネクタ気道32は、接続チャネル50が第2のコネクタ気道32と気道12との間の開口部であるように、壁を共有し得る。
【0117】
アクチュエータ42は、遮断部材38を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように制御可能である。アクチュエータ40は、ピストン及びシリンダ型アクチュエータである。そのピストン48は、第2の気道突起46の開口を通って延在し、また、ガスの噴出を防止するために開口を密封する。ピストン48の遠位端は、遮断部材38に固定されて、遮断部材38の位置を制御する。弾性部材44は、遮断部材38を第1の位置に付勢するように配設される。遮断部材38、第1及び第2の凹部、並びに接続チャネル50は、気道12を通るガス流が防止される限り、気化ユニット33を介した空気流が許可され、その逆も可能であるように成形される。したがって、吸入に対する耐性は、遮断部材38の位置にかかわらず、実質的に同一である。
【0118】
流れ制御部30は、遮断部材38が第1及び第2の位置にあるときに、第1及び第2の構成にある。図4の矢印は、流れ制御部30が第1の構成にあるときの吸入中の空気流を示す。図5の別の矢印は、流れ制御部が第2の構成にあるときの吸入中の空気流を示す。
【0119】
使用中、制御ユニット16は、受信したトリガ信号及び記憶されたアルゴリズムに依存して、遮断部材38の位置を制御するように作動アセンブリを制御する。物質はまた、各吸入の少なくともバックグラウンド速度で患者に投与されてもよく、流れ制御部14は、気道12及び気化ユニット33の両方を通るいくつかの流れが許可されるように、遮断部材38の位置を制御してもよい。
【0120】
本発明の実施形態は、流れ制御部30が実装される任意の特定の様式に限定されない。図7を参照すると、別の実施形態では、流れ制御部30は、気道12及び気化ユニット33を通るガス流を制御するために、第1及び第2のゲート151、152をそれぞれ移動させるように構成された第1及び第2のアクチュエータアセンブリを含む。また、この実施形態において、第1のコネクタ気道132は、環境空気に対して開放される。変形実施形態では、第1のコネクタ気道132は、気道12と接合し得、上述の開口部17のような環境への単一の開口部を含み得る。
【0121】
アクチュエータアセンブリの各々は、図3Aを参照して説明されるアクチュエータアセンブリと同じ方法で構成され、したがって、ハウジング40、ピストン48を含むアクチュエータ42、及び弾性部材44を含む。各アクチュエータアセンブリは、それぞれのケーブル45によって制御ユニット16に結合される。
【0122】
第1のゲート151は、第1のゲート151が気道12から延在する第1の気道突起146の凹部に位置する第1の位置と、ゲート151が気道12を遮断する第2の位置との間で、第1のアクチュエータアセンブリによって移動可能である。
【0123】
第2のゲート152は、第2のゲート152が第1のコネクタ気道132を遮断し、それによって空気が気化チャンバ35に入ることを防止する第1の位置と、第2のゲート152が環境空気を気化チャンバ35に引き込むことを許可する第2の位置との間で、第2のアクチュエータアセンブリによって移動可能である。特に、第2のゲート151は、気化ユニット12からのガスの排出が遮断される図3A図3B図4、及び図5に示される実施形態とは対照的に、気化ユニット12に空気が入ることを遮断するように構成されている。図3A図3B図4、及び図5に示される実施形態とは異なり、第1のゲート151及び第2のゲート152は、互いに独立して移動することができる。
【0124】
図8を参照すると、別の実施形態による呼吸システムでは、流れ制御部30は、ヒンジ59の周りの第1の位置又は第2の位置の間で移動することができるゲート60を備える。図8に例示される第1の位置では、吸入中に気化ユニット33の気化チャンバ35を通って空気が流れなければならず、気道12を通る空気の流れが遮断される。図8の破線で示される第2の位置では、ゲート60は、気化ユニット3を通る空気の流れを防止し、代わりに空気は気道12を通過しなければならない。必須ではないが、この呼吸システムの気道12及び気化ユニットは、それらを分割する共有壁を含み、ヒンジ59は、共有壁58の端部に位置する。
【0125】
この実施形態では、マスク10は、気道12の第1の端部及び第2のコネクタ気道32にそれぞれ密封的に接続するための別個の開口部11a、11bを含む。呼吸システムは、呼気バルブ21を含まない。吸気バルブ22、すなわち、一方向バルブ22は、吐き出された空気が気化ユニット33に入ることを防止するために、第2のコネクタ気道32に位置する。吐き出された空気流は、気道12を通って流れて、呼吸システムを出る。ゲート60は、閉じている場合に、気道12内の吐き出された空気に起因する圧力が気道12の遠位部分の圧力を超えるときに、持ち上がるように装着される。次いで、呼気は、気道12を介して装置を出ることができる。代替の実施形態において、マスク10は、吐き出されたガスが通過するための呼気バルブ21を含む。この場合、気道12は、好ましくは、吐き出された空気が通過することを防止するための一方向バルブ(図示せず)を含む。
【0126】
実施形態は、任意の特定の形態のゲートに限定されない。例えば、ゲートは、カメラの電子的に作動可能なシャッター又はアイリスのように、気道12及び/又は第2のコネクタ気道32を狭めるか又は閉じるように構成され得る。
【0127】
図10を参照すると、別の実施形態では、気化チャンバ35は、環境空気の取り入れのための入口を有する。図8を参照して説明された実施形態と同様に、ゲート60は、ヒンジ59の周りで第1の位置から第2の位置に枢動することができる。図10に例示される第2の位置では、吸入中に気化ユニット33を通って空気が流れなければならず、気道12を通る空気の流れが遮断される。図10の破線で示される第1の位置では、ゲート60は、気化ユニット33を通る空気の流れを防止し、代わりに空気は気道12を通過しなければならない。
【0128】
本実施形態における制御ユニット116及びユーザ制御部18は、電気式ではなく、空気式である。制御ユニット116は、ハウジング140、ベローズ61、チェックバルブ62、シリンダ63、チューブ64、及びリリースバルブ65を備える。流れ制御部130は、アクチュエータロッド66と、弾性部材67、例えば、ばねの形態の付勢手段と、を備える。
【0129】
ユーザ制御部118は、中空の圧縮可能な球根部分68を備える。チューブ64は、球根部分68の内部及びチューブの内部が流体連通し、かつ環境に対して密封されるように、その第1の端部で球根部分68に接続される。ユーザ制御部118はまた、球根部分68内の圧力が環境圧力よりも低いときに環境からの空気が球根部分68に入ることができるように配置された球根部分68の壁に一方向バルブ69を含む。
【0130】
チューブ64は、シリンダ63の内部及びチューブ64の内部が環境に対して密封されるように、その第2の端部でシリンダ63への開口部に接続される。チェックバルブ62は、チューブ64内の空気圧がシリンダ63内の空気圧を閾値圧力で超えると、チェックバルブ62が、チューブ64内の空気がシリンダ63内に通過することを許可するように配置される。
【0131】
チェックバルブ62は、ボール70、ばねの形態の弾性部材71、及びシリンダ63内の開口の周りのゴム72の環状片を備える。ボール70は、弾性部材71によってゴム片72を通る開口に付勢され、それによって、開口を閉じ、シリンダ68の内部とチューブ64の内部との間の空気の移動を遮断する。チューブ64内の空気圧がシリンダ63内の空気圧を閾値圧力よりも大きく超えるとき、ボール70は、弾性部材71に対してゴム片72から離れて押し出され、チューブ64の内部からシリンダ63内への空気の通過を可能にする。圧力差が閾値圧力を下回ると、弾性部材71は、ボール70をゴム片の開口に押し戻す。変形実施形態は、他の種類のチェックバルブを超える、この特定のタイプのチェックバルブ62の使用を必要としない。チェックバルブ62は、代わりに、閾値圧力が非常に低い一方向バルブとして提供され得る。
【0132】
ハウジング140内に位置するベローズ61は、シリンダ63の内部に接続された内部空間を提供する。ベローズ61からの出口73は、リリースバルブ65に接続されている。それ以外の場合、ベローズ63の内部は、環境に対して密封されている。アクチュエータロッド66は、ハウジング140内の穴を通って延在して、ハウジング140から部分的に突出する。アクチュエータロッド66の第1の端部は、ベローズ61に固定され、その第2の端部は、ゲート60に固定される。ベローズ61は、アクチュエータロッド66の長さの方向にハウジング140内で拡張可能であり、ハウジング140からアクチュエータロッド66を更に突出させる。弾性部材67は、ハウジング140とベローズ61との間に位置し、ベローズ61の拡張に対して偏向し、したがってベローズ61の収縮を促す。ベローズ61の収縮は、アクチュエータロッド66をハウジング140内に更に引き込む。
【0133】
アクチュエータロッド66の延長は、ゲート60の位置を決定する。アクチュエータロッド66は、ゲート60が気道12を遮断する最大伸長位置まで伸長可能であり、ゲート60が第2のコネクタ気道32を閉じる最小伸長位置まで後退可能である。
【0134】
リリースバルブ65は、ベローズ61の内部からの空気の放出速度を制御するための制御、例えば、タップ又はゲートを含む。制御は、ベローズから空気がバルブ65を通って流れる速度を調節するために手動で調節可能であり得る。これは、患者から更なるポンプを送ることなく、気化ユニット30からガスを吸い込むことができる時間の長さを制御する。
【0135】
必須ではないが、いくつかの実施形態では、制御ユニット116はまた、マイクロコントローラ及びバッテリ、並びに位置センサ74を含む。位置センサ74は、ゲート60が開閉されたときに監視し、そのような情報を制御ユニット116に提供するように配置されている。位置センサは、ゲート60上の電気接点を含んでもよく、これは、ゲート60が開いているときに別の電気接点に接触し、ゲート60が閉じているときに更に別の電気接点に接触し、回路を作動させて遮断する。制御ユニット16は、ゲート60が開いている時間の長さに応じて、薬物添加量を推定するように構成されている。更に、制御ユニットは、その自動動作(すなわち、そのタップ又はゲートを制御する)のために、リリースバルブ65の制御に結合され得る。制御ユニットは、ベローズ61の内部からのより速い流れを可能にして、吸入される空気に添加される物質の量を低減させるように制御部を動作させるように構成されている。バルブ65が十分に開いている場合、更なる物質は添加されない。制御ユニットは、ベローズ61の内部からのより遅い流れを可能にして、吸入される空気に添加される物質の量を増加させるように制御部を動作させるように構成されている。
【0136】
制御ユニット116は、他の実施形態では、制御ユニット16が1つ以上のアクチュエータを制御し得る方法と同様の方法で、添加された物質の量を制御するためにバルブ65を制御するように構成されている。
【0137】
図11を参照すると、別の実施形態による呼吸システムは、気道12を横切って提供される代替の気化ユニット135を有する代替の添加ユニット114を備える。空気は、単一の経路でのみ呼吸システムに取り込まれ得る。気化ユニット130は、材料92及び噴霧デバイス94の一部を含む。気道12のセクションは、気道12の残りの部分に対して拡大され、このセクションは、気化ユニット130のハウジング90として機能する。材料92は、ハウジング90の内部にまたがる。呼吸システムは、患者が吸入すると、空気がハウジング90の開口部を通って引き込まれ、材料92を通って気道12内に、次いでマスク10内に、かつ患者内に通過するように配置される。呼吸システムは、吐き出された空気が呼気バルブ122を介して呼吸システムから出るように配置される。噴霧デバイス94は、物質を含有するリザーバ(図示せず)、材料92に向かうように方向付けされたノズル100、及びノズル100を通って材料92上に物質を推進するための手段を含む。制御ユニット16は、材料92上に噴霧された物質のタイミング及び量を制御するために物質を推進するための手段に結合されている。量は、それが噴霧される時間の長さによって制御され得る。あるいは、実施形態では、噴霧デバイス94は、噴霧速度が制御可能であるように構成されてもよく、この場合、量は、追加的に又は代替的に時間の長さに対して速度を制御することによって制御され得る。物質は液滴として噴霧される。液滴は、材料92を通過する開口部15を通って引き込まれる空気中に蒸発する。
【0138】
材料92は、好ましくは吸収性であるが、これは、全ての実施形態に不可欠である。材料92は、ハウジング90の断面にまたがって配置され、その結果、取り込まれたガスが材料92を通過しなければならず、吸入に対する抵抗も低くなる。材料92は、ハウジング90全体にまたがってもよく、又は部分的にのみでまたがってもよい。実施形態は、ハウジング90内の材料92の任意の特定の性質に限定されず、効果的な投与のために物質の通過する空気中への十分な蒸発が行われ、吸入が患者にとって困難ではない。材料92は、例えば、ガーゼ又は布(例えば、綿)パッドの片の形態であり得る。実施形態は、任意の特定の形態に限定されない。
【0139】
使用中、制御ユニット16は、噴霧デバイス94に制御信号を提供する。そのような信号に応答して、噴霧デバイスは、物質のボーラスを材料92に噴霧する。制御ユニット16は、ユーザ制御部18からのトリガ信号を更に受信するために、かつ/又はバックグラウンド速度で物質の量が添加されることを決定する制御ユニット16に応答して、制御信号を送信することができる。患者が吸入すると、空気は、開口部を通って、一方向バルブ98を介して、ハウジング90及び材料92を通って、マスク10内に、かつそこから患者の肺内に取り込まれ、そこで物質が吸収され得る。噴霧デバイス94の動作がない場合、呼吸は、最終的には空気のみが呼吸されるように、蒸発によって材料92から物質を徐々に除去する。
【0140】
実施形態は、噴霧デバイス94の任意の特定の形態に限定されない。図12を参照すると、そのような噴霧デバイスがどのように機能し得るかの例が説明される。109で示されるリザーバ、及びノズル100を含むだけでなく、噴霧デバイス94は、伸長可能及び後退可能なピストン104、ベローズ106、弾性部材107の形態の付勢手段、例えば、ばね、並びに第1及び第2のチャネル108、110を含む、作動ユニット102を含む。第1のチャネル108は、密封方式でリザーバをベローズ106の内部に接続する。一方向バルブ117は、逆流を防止するために第2のチャネル110内に位置する。第2のチャネル110は、ベローズの内部をノズル100に接続する。アクチュエータユニット102は、制御ユニット16に結合される。作動ユニット102は、ピストン104を伸長又は後退させることによって、制御ユニット16からの制御信号に応答するように配置されている。ピストン104の遠隔端は、ベローズ106に固定される。ベローズ106は、ピストン104の後退及び伸長によって、最大拡張位置と最小拡張位置との間で拡張及び圧縮され得る。弾性部材107は、ベローズ106を最大拡張位置に付勢するように配置されている。使用中、作動ユニット102が制御ユニット16から制御信号を受信すると、作動ユニット102は、ピストン104を延長する。ピストン104の延長は、ベローズ106を圧縮し、物質をベローズの内部から第2のチャネル110を通ってノズル100に向かって押し込む。既に述べたように、ノズル100は、加圧された物質を材料92上に噴霧するように配置されている。ピストン104の後退は、弾性部材107及び/又は作動ユニット102の作用によるかどうかにかかわらず、物質をリザーバ99から第1のチャネル108を介してベローズ106の内部に引き込む。
【0141】
噴霧デバイスのこの例は、代替の実施形態では変化し得る。制御ユニット16によって作動可能な噴霧デバイスを実装する様々な適切な方法は、当業者に利用可能であろう。例えば、圧電素子などの超音波トランスデューサを使用して、液体薬剤を霧状化することができる。そのような空気中の粒子は、気化が生じ得ることによって、気道を下って移動し、材料92で滞留し得る。
【0142】
代替の実施形態では、図11の噴霧デバイスは、電子的に作動させるのではなく、空気圧で(又は機械的に)作動させるように修正され得る。この目的のために、図11の噴霧デバイスは、作動ロッド66がゲート66にではなくベローズ106に固定されるように、図10の制御ユニット116及びユーザデバイス118を含むように修正され得る。
【0143】
図13及び図14を参照すると、別の実施形態による呼吸システムは、図11に関して説明された呼吸システムのようなものであるが、添加ユニット14は、代替気化ユニット235を有する。気化ユニット235は、材料192、物質を含むリザーバ209、蠕動ポンプ120、及びチューブ122を含む。チューブ122は、材料192上に開口するように位置付けられている。材料192は、材料192上で吸収され、かつ分散されるように、毛細管作用によってその上に堆積した物質をチューブ122から吸い上げるようなものである。蠕動ポンプ120は、制御ユニット16からの制御信号に応答して、チューブ122内の物質の流れを駆動するように操作可能である。材料192は、例えば、ガーゼ又は布(例えば、綿)パッドの片の形態であり得る。材料190は、メッシュワークであり得る。
【0144】
実施形態は、材料192の任意の特定の形態に限定されず、空気はそれを通過し、物質はそれから空気中に蒸発することができる。材料192は、本質的に平坦であってもよく、ハウジング90を横切って延在してもよく、又は代替的に、ハウジング90内で縦方向に延在してもよい。材料192は、材料92を通る物質の分散が材料192の材料の特性に起因して生じるように、上述の芯36(例えば、綿)と同じであり得る。
【0145】
ポンプ120の動作がない場合、呼吸は、最終的には空気のみが呼吸されるように、蒸発によって材料92から物質を徐々に除去する。
【0146】
図14を参照すると、図13に関して説明された実施形態に従って機能する呼吸システムが、修正された部品の形状を有する組み立てられた形態で示される。
【0147】
変形実施形態では、気化ユニット235は、複数のチューブ122を含んでもよく、蠕動ポンプ120は、チューブ122内の物質の流れを駆動するように配置され得る。チューブ122は、材料192上の又は材料192内の異なる場所に各々物質を堆積させるように位置する。場所は、流れの方向及び/又は長手方向に対して横方向に離間され得る。
【0148】
代替的な実施形態では、1つ以上のチューブ122内の流体の流れを駆動するために、蠕動ポンプ120の代わりに別のタイプのポンプを使用してもよい。例えば、ピエゾ電気ポンプは、流れを駆動し得る。他の例として、流体を分配するためのベンチュリノズルを含むポンプが提供され得る。実施形態は、任意の特定のタイプのポンプに限定されない。
【0149】
図15を参照すると、図13及び図14に関して上述した実施形態に従って機能するが、複数のチューブ122が存在する、呼吸システムが示されている。この実施形態では、気化ユニット235のハウジングは、マスク110と一体的に形成される。マスク110は、例えば、その縁に接着剤を用いて、材料192を装着することができる開口部11の上に格子110aを含み得る。代替として、材料192が十分な構造剛性を有する場合、材料192は、格子110aを必要とせずに開口部11にわたって位置し得る。
【0150】
図16を参照すると、図15に関して説明された実施形態に従って機能する呼吸システムが、修正された部品の形状を有する組み立てられた形態で示される。
【0151】
上述の実施形態、その変形例、及びそれらへの改変は、物質が蒸発によって空気(又は別のガス)に添加され得る異なる方法を開示する。本発明の実施形態は、物質が呼吸システムを通過する空気(又は他のガス)に添加される任意の特定の方法に限定されない。
【0152】
物質は、揮発性液体剤であり得る。あるいは、物質は、吸入粉末の形態であってもよく、気化ユニットは、制御可能な量の吸入粉末を通過するガスに提供するために動作可能な手段を含む。例えば、吸入粉末は、圧縮ガス又はメカトロニック機構から生成されるエアロゾル化ミストとして通過するガスに添加され得る。
【0153】
ここで実施形態による呼吸システムの例示的な設計を、図18A図18Eを参照して説明する。この例示的な設計は、上述の実施形態の多くを実装し得るか、又は上述の実施形態に容易に修正され得る。呼吸システムは、マスク310の形態のPAI、第1のハウジング部分301、添加ユニットの一部である材料392、第2のハウジング部分303、吸気バルブ312、第3のハウジング部分314、及びカバー316を含む。
【0154】
マスク310は、例えば、シリコーンから形成され、患者の顔に対して口及び鼻の上に密封的に装着するように成形される。マスク310は、口から離れた端部に開口部335を有する。第1及び第2のハウジング部分301、303は、マスク310の内面に適合するように成形された外面317、318を有し、マスク310内に位置する。
【0155】
第1のハウジング部分301は、第1のハウジング部分301がマスク310内に適合するときに、口から間隔を置かれ、かつ口に近接して位置する、第1の格子319を含む。材料392(これは、機能的には材料192又はその任意の変形体である)は、例えば、綿で形成され、平面であり、口から離れたその側にある第1の格子319に適合する。第2のハウジング部分303及び第1のハウジング部分301は一緒に取り付けられる。これを起こすために、第1のハウジング部分301は、第2のハウジング部分303内の対応する凹部(1つは図18Dで見え、他のものは見えない)に係合するように配置された突起337a~cを含む。第1及び第2のハウジング部分301、303は、材料392が位置するそれらの間の空間を提供する。第2のハウジング部分303は、空気が通過するための第2の格子341を含む。
【0156】
第3のハウジング部分314は、マスク310の開口部335に位置される。第3のハウジング部分312は、空気が通過するための第3の格子449を含む。第3のハウジング部分312はまた、患者の口に向かって使用中に突出する壁445を含む。壁445は、吸気バルブ312を受容するように成形されている。第3のハウジング部分314は、吸気バルブ312の穴を貫通して、それを所定の位置に固定する、3つの突起443を含む。
【0157】
カバー316は、物体、汚れ、ハエなどの意図しない侵入を防止するために、第3のハウジング部分314に取り付けられている。カバー316は、第3のハウジング部分303から延在する突起347a~cを受容するように構成された円筒形突起部分151を含む。これにより、カバー316が第3のハウジング部分314から離間され、空気の流入を可能にする。
【0158】
第3のハウジング部分314は、マスク310の外側に延在する取り付け部分353a~dを含む。ストラップは、患者の頭部の周りに取り付けるために、取り付け部分353a~dに取り付けられ得る。
【0159】
図18Dに最もよく見られるように、第2のハウジング部分303は、吐き出しポート330と、終末呼気CO2監視ポート332と、ライトポート334と、物質添加ポート336と、酸素ポート338と、を含む、突起部分329を有する。マスク310は、突起部分329が位置する穴340を有し、その結果、ポート330、332、334、336、338は各々、アテンダント/オペレータにアクセス可能である。吐き出しポート330は、吐き出されたガスの流出を可能にする。図には示されていないが、ポート332を介して終末呼気二酸化炭素監視を可能にするための二酸化炭素レベルセンサ。酸素ポート338は、酸素供給の接続を可能にするので、吸入されるために酸素を空気に添加することができる。
【0160】
材料392に物質を添加するために必要とされる制御ユニット(図示せず)及び添加ユニットの一部は、実施形態では、マスク310の外側に位置してもよく、必ずしもPAIに対して固定的に配設されていない。それらは、例えば、ユーザ制御部18のためのハウジング内に位置し得る。添加ユニットの部分は、物質添加ポート338に接続されてもよく、物質が材料392に制御可能に添加されることを可能にする。代替の実施形態では、添加ユニットのそのような部分は、第2のハウジング部分303に含まれてもよい(マスクは、それに応じて容易に適合され得る)。変形例では、リザーバは、外部に位置し得、例えば、ユーザ制御部18と同じ場所に位置し、ポンプは、内部に位置し、リザーバは、物質添加ポート338に接続され、ポンプは、第2のハウジング部分303に位置し、物質を材料392に引き込み、かつ物質を分配するように構成されている。追加的又は代替的に、制御ユニット16は、第2のハウジング部分303内に位置してもよい。
【0161】
示されていないが、制御ユニット16は、マスク内に位置しているか、又は外部に位置しているかにかかわらず、上述のユーザ制御部18、118に操作可能に結合されている。入力は、図18A図18Eの呼吸システムとともに上述の方法のいずれかを使用して、ユーザ制御部18、118を使用して、ユーザによって制御ユニットに提供され得る。
【0162】
第1のハウジング部分301、材料392、第2のハウジング部分303、吸気バルブ312、及び第3のハウジング部分314は、全て一緒に、及びマスク310の内面に対して適合して、材料392を通過しなければならない吸入空気のための吸入経路を提供する。これらの部分は、適切な場合、互いに対して、及びマスク310に対して密封される。吸入経路は、第1、第2、及び第3の格子を介するものである。吐き出し経路は、物質が周囲の空気中を通過して拡散することを防止するために、吐き出しポート330を通ってフィルタ(図示せず)に通過する。
【0163】
呼吸システムを組み立てるために、吸気バルブ312は、第3のハウジング部分314に取り付けられ、部分314は、マスク310の開口部に位置する。材料392を有する第2のハウジング部分303は、マスク310内に位置する。第1のハウジング部分301、材料392、第2のハウジング部分303は、部分314に対してマスク310内に位置する。その後、カバーが設置される。
【0164】
意識は、ユーザ制御表示の形態で患者からの確認を義務付ける方法で評価され得る。確認が提供されない場合、コントローラは、意識が損なわれていると推定し、例えば、与えられる薬物の量を減少させることによって、適切に行動し得る。ここで説明した特徴は、これを可能にするが、他の実施形態では省略され得る。
【0165】
第2のハウジング部分303は、2つの光エミッタ355、例えば、LEDを含む。マスク310は、光エミッタ355の各々が位置する、対応する開口357を有する。あるいは、マスク310は、エミッタ355がマスク310の外側で見えるように成形された、これらの開口の代わりにシースルー材料を含み得る。エミッタ355は、呼吸システムを使用して患者によって容易に見ることができるように位置付けられている。これらの光エミッタ355は、各々が患者のそれぞれの鼻孔に近接するように位置する。
【0166】
光エミッタ355は、制御ユニット16に動作可能に接続されている。制御ユニットがマスクの外部にある場合、ライトは、ライトポート334に配線され、そこから制御ユニットに接続される。
【0167】
制御ユニット16は、意識の表示を提供する光エミッタ355の状態に応じて、患者がユーザ制御部を操作するための命令に従うことができるかどうかにも依存して、添加ユニットによる物質の添加を制御するように構成されている。制御ユニット16は、光エミッタ355の状態(例えば、特性を変化させることにより)を所定の変化させるように構成されており、例えば、光エミッタ355を点灯させたり、光エミッタ355の色を変化させたりする。
【0168】
実施形態は、意識が監視される任意の特定の方法に限定されない。例として、意識をチェックするために、制御ユニット16は、意識が低すぎる場合、意識を監視し、添加速度を低減させるように構成され得る。これは、タイマーを設定して、かつ光エミッタをオンにし355、命令に従ってユーザからの応答を監視することによって達成され得る。応答は、ユーザ制御部におけるユーザ入力から、又は別個のユーザ制御部のユーザによるユーザ入力から導出され得る。応答を受信した場合、制御手段はライトをオフにしてもよい。所定の期間内に応答が受信されない場合、制御ユニットは、意識レベルが低いと決定し得る。制御手段は、次いで、患者への物質の添加を制御してもよく、制御ユニット16は、患者が無意識であるか、若しくは意識レベルが低い場合、投与される物質の量を下向きに調整し、かつ/又は患者が意識の程度が高い場合、上向きにその量を調整してもよい。監視では、このような手順を繰り返し実施する必要がある。
【0169】
いくつかの実施形態では、制御手段は、放射された光に所定の変更を加えることと、応答を受信することとの間の時間を測定するように更に構成されている。この場合、意識レベルの決定は、測定された時間に依存し得る。
【0170】
光エミッタ355がマスク310に装着されている間、光エミッタ355は、他の実施形態では、光エミッタ355が患者によって可視である限り、他のタイプのPAIとともに使用され得る。
【0171】
代替的な実施形態では、光エミッタ355の代わりに、患者に刺激を提供するための他の手段が使用され得る。そのような代替の実施形態では、聴覚フィードバック又は触覚フィードバックが使用され得る。刺激が聴覚である場合、呼吸システムは、制御ユニット16に結合されたスピーカシステムを含む。刺激が触覚である場合、呼吸システムは、制御ユニット16に結合された触覚フィードバックシステムを含む。
【0172】
変形実施形態では、刺激を提供する手段がマスク310又は他のPAIに取り付けられることは必須ではない。そのような手段は、PAIから物理的に離間され、制御手段16に無線又は他の方法で接続され得る。決定された意識に依存する物質の投与の自動制御は、本明細書に記載される実施形態に限定されず、より広範な適用を見出すことができる。
【0173】
上述のように、制御ユニット16への入力が電子的に提供される場合、ユーザ制御部18は、ケーブル13で制御ユニット16に取り付けられる。変形実施形態では、ユーザ制御部18は、代替的に、制御ユニット18に無線で結合され得る。この場合、ユーザ制御部18及び制御ユニット16は、各々、ユーザ制御部18から制御ユニット16に信号を送信することを可能にするトランシーバ回路を含む。信号は、Bluetooth(登録商標)、ANT、又は任意の代替の適切な通信技術を使用して送信されてもよい。好ましくは、通信技術は、用量の投与における第三者の干渉の可能性を防止するための安全な技術である。
【0174】
上述のように、ユーザ制御部18は、指で装着されてもよい。変形実施形態では、ユーザ制御部18は、ブレスレット、ネックレス、又は指先に装着可能なデバイスに位置してもよく、又はそれらに取り付けられてもよい。代替的に、ユーザ制御部18は、患者による咬合操作のために1つ以上の歯に装着可能であり得る。ユーザ制御部は、接着パッチに統合されたスイッチを含んでもよく、接着パッチは、患者の皮膚に接着可能であり、かつ押し下げること、又はそうでなければ変形させることによって患者によって操作することができる。例えば、パッチの圧力又は下にある皮膚の動きは、スイッチを操作してもよい。他の変形実施形態のユーザ制御部18と同様に、パッチは、有線又は無線の方法で制御ユニット16に結合され得る。
【0175】
ユーザ制御部18から制御ユニット16に送信されるトリガ信号は、ユーザ制御部18が動作していることのみを示し得る。上記の実施形態では、トリガ信号は、より多くの物質が投与されることを示すように制御ユニット16によって処理される。変形実施形態では、トリガ信号は、より多くの情報を含み得、例えば、トリガ信号は、ユーザ制御部18内の感圧スイッチが押される時間の長さを示すことができ、又は押下の圧力に依存する可能性のある値の範囲から圧力バルブを示すことができる。変形実施形態では、ユーザ制御部18は、2つ以上の感圧スイッチを含んでよい。この場合、スイッチは、異なる操作が生じることを示す(例えば、1つは、より少ない量の物質が必要であり、他方は、より大きい量の物質が必要であることを示す)異なる信号を制御ユニット18にそれぞれ送信するように構成されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、ユーザ制御部18は、それが容易に置き忘れられないように十分に大きくてかさばることができる。このようなユーザ制御部18は、例えば、幼児などの意識又は成熟度が低下した患者にとって有用であり得る。この場合、スイッチは、例えば、玩具の圧縮アクションでの動作のために位置する感圧スイッチを備えた圧縮可能な玩具内に組み込まれてもよい。
【0177】
他の実施形態では、ユーザ制御部18は、トリガ信号を制御ユニット16に送信するための感圧スイッチ以外で操作可能であり得る。一実施形態では、ユーザ制御部18は、マイクロフォンなどの音声検出ユニットを含み得る。音声検出ユニットは、マスク10に直接的又は間接的に装着され、マスク10によって担持されることが好ましい。例えば、音声検出ユニットは、気化ユニット12に装着されてもよい。この場合、制御ユニット16は、音声検出ユニットからの信号に応答するように構成されており、その信号は、患者からの所定の音声信号の検出に応答して送信される。所定の音声信号は、患者からの、又は解釈された発話からの痛み又は苦痛の音に対応し得る。そのような音声検出ユニットはまた、適切な伝送回路がまた存在する患者通信のために使用されてもよく、これは、騒々しい環境で有用であり得、かつ/又は患者によって話された単語及び患者によってなされた騒音を記録するために有用であり得る。音声検出ユニットはまた、装置の誤動作を示す所定の音、特に装置内から外部へのガス漏れを検出するために使用され得る。
【0178】
ユーザ制御部18が感圧スイッチではない別の実施形態では、ユーザ制御部18は、代わりにデジタルカメラの形態である。使用中、デジタルカメラは、患者の顔に方向付けられる。この場合、制御ユニット18は、患者が実施することができる1つ以上の所定の顔の動き、例えば、目の閉鎖を決定するように構成されている。そのような顔の動き、又は2回の点滅などの最大期間にわたる一連のそのような顔の動きは、より多くの物質の放出が望まれる信号として使用され得る。有利なことに、これは実施する意識を必要とする。
【0179】
上述の実施形態のいずれかによる呼吸システムは、その変形例では、バイタルサインなどの1つ以上の患者の状態を監視するための1つ以上のセンサデバイスを含むことができる。1つ以上のセンサデバイスは、心拍数、血圧、酸素飽和レベル、呼吸数、及び/又は患者意識レベルなどのパラメータを監視し、かつ監視されたパラメータの値を示す信号を出力するように構成され得る。制御ユニット16は、1つ以上のパラメータに依存して添加ユニット14を制御するように構成されている。一般に、アルゴリズムは、1つ以上のパラメータを考慮して、物質の患者への更なる投与が患者に悪影響を及ぼし得るかどうかを決定し、そうである場合、気道12内の空気に物質を添加しないか、又はその量を低減させないように構成され得る。更なる実施形態では、吸入されたガス中の薬剤の濃度を検出するように構成されたセンサは、制御ユニットに信号を出力し得る。この信号は、投与量を更に最適化するために追加的に使用され得る。例えば、薬物リザーバが減少すると、補償するために、増加した添加ユニット動作が必要とされ得る。
【0180】
一実施形態では、患者の意識レベルを監視するためのセンサデバイスは、脳活動を監視するように構成されたEEG(脳波)センサデバイスであり得る。制御ユニット16は、EEGセンサデバイスから受信した信号に基づいて意識のレベルを決定するように構成されている。
【0181】
呼吸システムは、制御ユニット16に接続されたデジタルカメラを含み得る。制御ユニット16は、例えば、顔プレチスモグラフィーを使用してパルスを決定するように構成され得る。パルスオキシメータなどの1つ以上の他のセンサを制御ユニット16に接続して、制御ユニット16にパルス速度及び/又は酸素飽和レベルの表示を提供し得る。アルゴリズムは、そのような適応に基づいて患者に投与する物質の量を決定するように構成され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、呼吸システムは、気化ユニット内の温度を監視するために、気化ユニット内の温度センサを含む。温度センサは、制御ユニット16に結合されて、リアルタイムの温度値を制御ユニット16に提供する。この場合、制御ユニット16のアルゴリズムは、温度にも依存して添加ユニット14を制御するように構成されている。これは、温度が物質の蒸発速度に影響を与えるため、かつ/又は物質の蒸発が冷却効果を有する可能性があるためである。
【0183】
呼吸システムはまた、制御ユニット16に操作可能に結合された(ユーザ制御部18以外の)ユーザインターフェースを備えてもよい。ユーザインターフェースは、オペレータによる情報の入力を可能にする1つ以上のオペレータ制御部、並びに/又は患者及び/若しくはオペレータに情報を伝達するための手段を含み得る。1つ以上のオペレータ制御部は、例えば、ダイヤル又はキーボードの形態であり得る。オペレータ制御部のうちの1つは、呼吸システムのオン/オフスイッチを含み得る。
【0184】
オペレータ制御部は、オペレータが患者の体重(又は推定される体重)を入力することを可能にし得、例えば、オペレータ制御部は、これを可能にするダイヤルの形態であり得る。制御ユニット16は、入力重みに依存するバックグラウンド速度を決定するように構成され得る。代替的に、オペレータ制御部は、バックグラウンド速度を示す情報の入力を直接的に可能にし得る。
【0185】
追加的又は代替的に、オペレータ制御部は、オペレータが患者の身長(又は推定される身長)を入力することを可能にし得る。追加的又は代替的に、物質が痛み緩和のために投与される場合、オペレータ制御部は、オペレータが経験しているように患者が見える痛みレベルを示す情報をオペレータが入力することを可能にし得る。制御ユニット14は、そのような重量、身長及び/又は痛みレベル情報を使用して、ユーザによるユーザ制御部18の操作に続くバックグラウンド速度及び/又は添加速度を決定するように構成され得る。
【0186】
情報をオペレータ及び/又は患者に伝達するための手段は、ディスプレイを含み得、制御ユニット16は、ディスプレイ上に情報を表示するように構成され得る。追加的又は代替的に、そのような手段は、1つ以上のライト及び/又はスピーカを含み得、制御ユニット16は、1つ以上のライト及び/又はスピーカを制御するように構成されている。制御ユニット16は、患者の安全及び/又は快適性に関してオペレータ及び/又は患者に警告するために、ディスプレイ、1つ以上のライト、及び/又は1つ以上のスピーカを制御してもよい。
【0187】
図9を参照すると、図10の実施形態に従って機能する呼吸システムが、組み立てられた形態で示される。オペレータ制御部55aの第1のものは、呼吸システムをオン及びオフに切り替えることを可能にする。第2のオペレータ制御部55bは、患者の体重(又は推定される体重)を入力することを可能にする。
【0188】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの揮発性液体物質は、気化ユニット内で気化するために位置し得る。他の実施形態では、呼吸は、吸入されるガスに添加するためのそれぞれの物質を各々が含有する2つ以上の気化ユニットを含んでもよく、上述の実施形態は、実施形態に応じて、2つ以上の気化ユニットが気道12に直列又は並列に接続されていることで、これに適応可能である。例えば、気化ユニットのうちの1つは、鎮痛剤の形態の物質を通過するガスに添加するように制御可能であり得、別のものは、外傷性ショックによって引き起こされる低血圧を治療するために物質を添加するように制御可能であり得る。そのような場合、患者に投与される各物質の量は、トリガ信号及び所定のアルゴリズムに依存して、制御ユニット16によって独立して制御され得る。他の実施形態では、添加される各物質の量は、互いに依存してもよい。この場合、患者は、両方の薬剤の投与を制御するために、単一のユーザ制御部のみを操作する必要がある。
【0189】
上述の流れ制御部30、130、230では、ゲートは、延長可能なピストンを含むアクチュエータアセンブリによって移動可能である。変形実施形態では、1つ以上のゲートは、そうでなければ作動され得る。実施形態は、アクチュエータの任意の特定の設計に限定される。例えば、1つ以上のゲートは、アクチュエータによって引き起こされる電磁誘導を通して移動可能であるように構成され得る。この場合、電流が除去されると、それぞれの付勢手段は、ゲートを、気化ユニット33を通る空気流が防止される初期位置に戻させる。
【0190】
実施形態では、気化ユニットはまた、蒸発を促進するために加熱要素を含み得る。このような気化ユニットは、メトキシフルランの蒸発及び他の薬物の蒸発に使用され得る。制御ユニット16は、例えば、加熱の程度及び/又は加熱の持続時間を制御することによって気化された物質の量を制御するように加熱要素を制御するように構成され得る。加熱要素は、加熱コイルを備え得る。気化した物質の量を制御する他の方法は、当業者に既知であってもよく、気化の分野で既知のいくつかの方法が使用され得る。加熱がある場合、物質は受動気化ユニットで使用される物質ほど容易に蒸発する必要はない。液体、粉末、又は別の固体から蒸気に変換することができる任意の物質を加熱することができるが、いくつかの麻酔剤は可燃性であり、これらの加熱要素の提供に関連して望ましくない場合があることに留意されたい。
【0191】
制御プロセス
制御ユニット16は、電子トリガ信号の受信に応答するように構成されてもよく、まず、最大速度を超えないことを決定し、そうでない場合、吸入されるガスに物質が添加される添加速度を増加させる。添加ユニット14は、添加速度に応じた制御命令を提供することにより、制御ユニット16によって制御される。制御ユニット16は、添加ユニットを制御して、受信したトリガ信号がない場合に添加速度を徐々に減少させるように構成され得る。
【0192】
制御ユニット16は、制御ループを定義するアルゴリズムを使用して、動作モードで実施するように構成されている。制御ユニット16は、制御ループのうちの1つ以上の動作によって動的に調整可能である、記憶された変数で構成されている。実施形態は、ユーザ制御部18からのトリガ信号に応じて、制御ユニット16が添加ユニット14による添加を制御する任意の特定の方法に限定されない。当業者によって理解されるように、実施形態の態様を有用に実装することができる多くの制御アーキテクチャがある。
【0193】
制御ユニット16は、添加速度減少値の形態の変数のうちの1つで構成され、添加速度をバックグラウンド速度に徐々に(又は、バックグラウンド速度が構成されていない場合はゼロに)低減させる。制御ユニット16は、添加速度減少値に応じて、例えば0.5秒ごとに、時間間隔で添加速度を減少させるように構成されている。例えば、添加速度減少値は、その時間間隔で添加速度から減算され得る。
【0194】
別の変数は、添加速度増加値の形態である。この値は、所定の最大添加速度を超えない限り、トリガ信号を受信した後に添加速度が更に増加する量である。
【0195】
添加速度増加値は、制御ユニット16が、患者が高頻度の受信したトリガ信号に起因して物質に対する高い欲求を有すると推定する場合に、添加速度増加値を上方調整してもよいように調整可能である。このような状況では、制御ユニット16はまた、添加速度がよりゆっくりと減少するように、添加速度減少値を減少させてもよい。
【0196】
ここで、制御ユニット16が電子である任意の実施形態の制御ユニット16について、制御ユニット16がどのように動作し得るかの例を、図17A図17Eを参照して説明する。
【0197】
まず、制御ユニット16は、バックグラウンド速度を決定する。これは、例えば、患者の体重などのオペレータ制御部の操作によるバックグラウンド速度を示す情報の入力に更になり得る。あるいは、バックグラウンド速度は、事前に構成され、変更不可能であり得る。
【0198】
制御ユニット16は、添加速度を動的に決定し、かつ制御命令を送信するように構成されている。実施形態は、任意の特定の時間間隔で決定される添加速度に限定されない。制御ループは、呼吸速度に対して小さい任意の所定の時間間隔で実施され得、制御ユニット16のプロセッサのクロック速度の規則性で実施され得る。
【0199】
患者は、ユーザ制御部18の使用を開始する前に、痛みが発生した場合に、例えば、ボタンを押すことによって、患者がユーザ制御部16に入力を提供するべきであることを知らされる。図17Aを参照すると、制御ループにおいて、制御ユニット16は、定期的に、例えば、0.5秒ごとに、所定の間隔で、ステップ1000で添加速度を取得する。そして、制御ユニット16は、ステップ1002において、添加速度で物質を添加するための制御命令を添加ユニット14に提供する。
【0200】
図17Bを参照すると、制御ループにおいて、制御ユニット16は、定期的に、例えば、0.5秒ごとに、所定の間隔で、ステップ1004で添加速度減少値を取得し、かつ添加速度減少値に基づいて低減された添加速度を計算する。例えば、制御ユニット16は、添加速度減少値によって添加速度を低減させて、低減された添加速度を計算してもよい。次に、制御ユニット16は、ステップ1005で、計算された低減された添加速度がバックグラウンド速度よりも低いかどうかを決定する。そうでない場合、制御ユニット16は、ステップ1006で決定された低減された添加速度値で添加速度を更新する。さもなければ、制御ユニット16は、ステップ1007で、添加速度をバックグラウンド速度で更新する(又は、添加速度が既にバックグラウンド速度である場合、更新を行わない)。
【0201】
図17Cを参照すると、制御ループにおいて、制御ユニット16は、定期的に、例えば、0.5秒ごとに、所定の間隔で、トリガ信号が受信されたかどうかに応じて、添加速度値を更新する。ステップ1008で、制御ユニット16は、新しいトリガ信号が受信されたことを決定する。次に、ステップ1010において、制御ユニット16は、添加速度増加値だけ添加速度を増加させる。次に、ステップ1012で、制御ユニット16は、所定の最大添加速度を超えているかどうかを決定する。そうであれば、制御ユニット16は、ステップ1016で、添加速度値を最大添加速度に更新する。それ以外の場合、ステップ114で、制御ユニット16は、添加速度値を増加した添加速度に更新する。
【0202】
変形実施形態では、最大添加速度はまた、制御ユニット16が、結合されたオペレータ制御部を介してオペレータから受信した入力、患者の監視された状態、例えば、患者の意識レベル、脈拍数、呼吸速度などに基づいて、制御ループで更新するように構成された変数であり得る。例えば、制御ユニット16が、患者に有害な影響が生じていない、かつ/又は患者が意識を維持しているという監視された状態に基づいて、決定した場合に、最大添加速度は、増加されてもよい。
【0203】
図17Dを参照すると、ステップ1018で、トリガ信号が受信される。ステップ1020で、トリガ信号の受信時間が記憶される。
【0204】
図17Eを参照すると、制御ループにおいて、制御ユニット16は、物質に対する患者の欲求の推論に基づいて添加速度増加値を更新する。ステップ1022で、制御ユニット16は、所定の前の期間にわたって受信されたトリガ信号の数を決定する。所定の期間は、例えば、前の10秒であり得る。次に、制御ユニット16は、ステップ1024において、トリガ信号の数に応じた添加速度増加値を決定する。例えば、トリガ信号の数が1である場合、制御ユニット16は、第1の添加速度値で添加速度増加値を更新又は維持する。数トリガ信号が1より大きい場合、制御ユニット16は、添加速度増加値を、第1の添加速度増加値より大きい第2の添加速度値に更新する。トリガ信号がない場合、制御ユニット16は、第1及び第2の値よりも低い第3の添加速度増加値で添加速度増加値を維持又は更新することを決定する。
【0205】
図17Eの変形制御ループでは、患者がユーザ制御部16を操作させることが意図される所定の時間期間にわたる数が、定義されるか、又はその数は変数の1つである。数が変数である場合、数は、ユーザインターフェースを介してオペレータによって設定可能であり得る。制御ユニット18は、所定の前の時間期間にわたるトリガ信号の数を決定するのではなく、制御ユニット18は、所定の時間期間にわたる数を決定する。この数は、「特許相互作用頻度数(PIFN、patent interaction frequency number)」と呼ばれている。例えば、PIFNは、1分間に3つに設定され得る。入力の数がPIFNを超えると、添加速度増加値が増加し、かつ/又は添加速度減少値が減少する。入力の数がPIFNよりも少ない場合、添加速度減少値が増加し、かつ/又は添加速度増加値が減少する。その結果、制御ユニット16は、患者による入力の数がPIFNに向かって移動するように、添加速度を変更するように構成される。いくつかの実施形態では、バックグラウンド速度は必要なく、バックグラウンド速度に関連するステップは省略され得る。
【0206】
PIFNが設定されている他の実施形態では、上述の刺激を提供するための手段がまた含まれ得、制御プロセスが変更され得る。そのような実施形態では、患者は、痛みを経験するときにユーザ制御部18に入力を提供するだけでなく、刺激が何であるかを判断し、かつユーザ制御部18に入力を提供することによってもそれに応答するように指示される。これは、患者が眠くなったり意識不明になったりするような物質の患者への投与を防止するためである。
【0207】
使用中、まず、制御ユニット16は、患者がPIFNに対応する速度で入力を定期的に提供するまで動作する。したがって、制御ユニット16は、入力の速度が、PIFNが毎分決定される所定の期間、例えば、3分間にわたって対応するかどうかを監視する。入力の速度が一定である場合、平均添加速度は、患者が快適であるレベルを表す。したがって、制御ユニット16は、平均速度を決定する。制御ユニット16が、速度とPIFNとが対応すると決定した場合、制御ユニット16は、動作モードを変更すると決定する。その後の他の動作モードでは、制御ユニット16は、添加速度増加及び減少値を使用して、添加速度の値の修正を中止する。あるいは、安全のために、制御ユニット16は、平均値が平均値よりわずかに低くなるように平均値を修正するように構成され得る。実施形態は、平均速度を決定する制御ユニット16に限定されない。他のモードでの使用のための添加速度は、別の方法で、前の期間にわたる瞬間添加速度及び/又は添加速度に基づいて決定され得る。
【0208】
次に、制御ユニット16は、定期的な時間間隔で刺激を患者に提供し、それに応じた患者からの入力を監視する。制御ユニット16はまた、添加ユニットを引き続き制御して、決定された平均速度で物質を添加する。監視は、タイマーの設定及び刺激の提供によって実施される。入力を受信する前にタイマーが期限切れになると、添加速度は、ゼロ又は大幅に低い速度に低減する。これは、患者が、意識レベルが低いか、又は無意識であると仮定されているためである。この場合、制御ユニットはまた、元の動作モードに戻ってもよい。オプションで、アラート/アラームがトリガされる。タイマーが期限切れになる前に応答が受信された場合、プロセスは継続し、刺激は次の時間間隔で提供される。
【0209】
刺激は、図18A図18Eに関して説明された光エミッタ、又は上述された他の形態の刺激をオンにし、応答が受信されたときにそれらをオフにする形態であり得る。実施形態は、任意の特定の形態の刺激の使用に限定されない。
【0210】
この他のモードでは、制御ユニット16はまた、刺激への応答以外で、例えば、刺激に応答した後だが新たな刺激が提供される前に、入力が受信されたかどうかを決定する。これが生じた場合、添加速度が低すぎることを示しているため、制御ユニット16は元の動作モードに戻ってもよい。このような場合、患者による物質の必要性は変化している可能性がある。
【0211】
変形実施形態では、タイマーが患者からの入力なしで期限切れになると、制御ユニット16は、より強い形態の刺激の提供を引き起こす。例えば、刺激が光エミッタである場合、明るさ又は色が変化し得る。刺激が聴覚的である場合、音量を増加させ、かつ/又は言語(言語が出力される場合)をより強くすることができる。刺激が触覚的である場合、振動のレベルが上昇することがある。いくつかの実施形態では、複数の形態の刺激が、呼吸システムの一部として提供されてもよく、追加の又は代替の形態が、追加の強度のための刺激を提供するために使用され得る。より強力な形態の刺激を提供することで、別のタイマーが開始される。任意選択で、添加速度がまた、例えば、50%などの所定の割合だけ減少する。
【0212】
制御ユニット16は、ユーザからの応答を取得するために、より強い形態の刺激の使用の定期的な必要性を監視するように構成され得る。この場合、制御ユニット16は、添加速度を低減させてもよい。
【0213】
他のタイマーが期限切れになる前にユーザからの入力が受信されない場合、添加速度は、ゼロ又は大幅に低い速度に低減する。オプションで、アラート/アラームがトリガされる。制御ユニット16はまた、元の動作モードに戻ってもよい。入力を受信した場合、添加速度を維持してもよい。
【0214】
そのような実施形態は、物質がガスに添加される呼吸システムにおいて実装される必要はない。そのような実施形態は、物質が患者に投与される他のシステムに実装され得る。そのようなシステムにおいて、物質は、例えば、静脈内に投与され得る。投与される物質の量は、刺激に対する応答(又は非応答)に少なくとも依存して制御され得る。そのような物質は、患者に対する鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有し得る。
【0215】
図17Eの同じ制御ループはまた、所定の時間期間が長く、かつ呼吸システムの動作の開始からであり得る場合に、実行され得る。あるいは、図17Eの制御ループはまた、複数の構成で同時に実行され得る。例えば、一方の構成では、所定の時間期間が長く、他方の構成では、時間期間が短くなる。各制御ループ構成の出力は、差分的に重み付けされ得る。例えば、長い時間期間構成は、短い時間期間構成からの出力と比較して、重み付けが少ない場合がある。制御ユニット16は、添加ユニットを動作させるために、両方の制御ループからの重み付け出力を統合する。このようにして、呼吸システムの長期使用は、変数のベースラインセットを確立する。変数は、例えば、物質に対する突然の有意な欲求の例において、短期的に摂動され得る。しかしながら、突然の短期的な望みが過ぎ、薬物投与の欲求がベースラインに戻ったとき、変数は急速に確立されたベースラインに戻る。
【0216】
上述の本発明のいくつかの実施形態では、添加ユニットの操作は、バイナリ方式で制御可能であり得る。このような場合、当業者には明らかとなるように、代替の制御ループが使用され得る。あるいは、速度は、1つの構成と他の構成との間で繰り返し切り替えることにより制御され得る。
【0217】
アラート
上述のように、制御ユニット16は、患者の安全性及び/又は快適性に関してオペレータ及び/又は患者に警告し得、アルゴリズムは、この点でアラート機能を含む。アラート機能を使用する場合、制御ユニット16は、アラート条件が満たされていると決定し、制御ユニット16は、アラートを、ユーザインターフェースを介して、オペレータ及び/又は患者に伝達させる。
【0218】
制御ユニット16は、所定の前の期間にわたって受信されたトリガ信号の数が閾値数を超えているかどうかを決定するように構成され得る。その場合、制御ユニット16は、アラート条件が満たされていると決定するように構成されている。物質が鎮痛剤である場合、これは不十分な鎮痛を示す可能性がある。制御ユニット16は、新しいトリガ信号の受信に応答して、この決定を実施してもよい。
【0219】
制御ユニット16は、添加速度が最大速度であるかどうかを決定するように構成されてもよく、そうであれば、アラート条件が満たされていることを決定するように構成され得る。
【0220】
制御ユニット16は、任意のトリガ信号が所定の時間期間、例えば、10分以内に受信されたかどうかを確認するように構成され得る。何も受信されない場合、制御ユニット16は、アラート条件が満たされていることを決定するように構成されている。これは、意識レベルの低さを示している場合がある。
【0221】
更に、制御ユニット16は、呼吸システムの動作の開始以来添加された物質の量を監視するように構成され得る。量が、動作の長さに依存し得る最大量を超える場合、制御ユニットは、アラート条件が満たされていると決定し得る。
【0222】
アラートは、添加ユニットの制御とは無関係に機能する場合がある。例えば、簡易スイッチ操作バイナリ添加ユニットでは、スイッチ操作に応じて、添加ユニットを無制限に操作することができる。コントローラは、ユーザ制御入力のタイミング及びパターンを記録し、かつ添加ユニットに影響を与えることなく適切なアラームを提供し得る。この実施例では、アラームが発生した場合、担当の臨床医が問題を評価し、かつ適切に行動する必要がある。
【0223】
上述の制御ループでは、トリガ信号は離散的であり、単純な「want」信号であると想定される。変形実施形態では、トリガ信号は、スイッチが操作される時間期間(例えば、圧力スイッチが押し下げられた時間期間)にわたって連続的に送信されてもよく、時間期間の長さは、必要とされる物質の量を示してもよい。制御ループは、当業者には明らかとなるように、これを考慮に入れるように修正され得る。本明細書における「入力」という用語は、そのようなトリガ信号を包含するように解釈されるべきである。トリガ信号は、更なる物質が患者によって必要とされていることのみを示し、物質の量を示すものではないと更に仮定される。変形実施形態では、ユーザ制御部18は、例えば、高圧がより高い量が必要であることを示す圧力スイッチに及ぼされる圧力に依存して、量を示すように構成され得る。別の実施例として、ユーザ制御部は、複数のスイッチを含んでもよく、特定のスイッチの選択は、より高い又はより少ない量を望むことに対応してもよい。再び、制御ループは、当業者には明らかとなるように、これを考慮に入れるように修正され得る。
【0224】
温度センサが提供される実施形態では、添加速度はまた、決定された温度に依存し得る。
【0225】
変形実施形態では、添加ユニットは、上述の空気流制御部30、130、230を含んでもよく、気化ユニットの代わりに、ガス源は、空気と混合するために空気流制御部にガスを供給するために提供される。ガスは、患者に対する鎮静作用、麻酔作用、及び/又は鎮痛作用を有する。ガスは、一酸化窒素であり得る。
【0226】
上述の実施形態による呼吸システムの製造のための製造プロセスは、当業者には明らかであろう。例えば、マスクは、硬質プラスチック材料又はシリコーン、及び硬質プラスチック材料の気道から形成され得る。実施形態は、特定の材料の使用に限定されない。
【0227】
上述の実施形態に対する様々な修正は、当業者に明らかになるであろう。
【0228】
本明細書及び特許請求の範囲において使用するとき、用語「備える(含む)」及び「備えている(含んでいる)」、並びにその変形表現は、特定の特徴、工程又は整数値が含まれていることを意味する。この用語は、他の特徴、工程、又は構成要素の存在を排除するように解釈されないこととする。
【0229】
別段の記載がない限り、本明細書に記載されている全ての実施形態の全ての個々の特徴及び/又は工程は、そのような特徴若しくは工程、又は特徴及び/若しくは工程の組み合わせが当業者の技術常識という観点から、本仕様書全般に基づいて実施することができる範囲において、そのような特徴若しくは工程、又は特徴及び/若しくは工程の組み合わせが、本明細書に開示される何らかの問題を解決するかどうかに関係なく、単独で開示され、またそのような特徴を2つ以上任意に組み合わせた形でも開示されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
【国際調査報告】