(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのバイオマーカーおよびその用途
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20231212BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231212BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20231212BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20231212BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231212BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C12M1/34 Z ZNA
G01N33/53 M
G01N33/574 A
C12Q1/68
C12N15/12
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 T
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528973
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 KR2021016785
(87)【国際公開番号】W WO2022103242
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0152567
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523178145
【氏名又は名称】イミューンオンシア セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ソク キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン クク
(72)【発明者】
【氏名】パク,チ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒ ウク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,スン カン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029AA23
4B029BB20
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4C084AA17
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4C085BB01
(57)【要約】
本発明はがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測する方法、治療反応性の予測用組成物および治療反応性の予測用キットに関し、これを通じて免疫抗がん剤の効果がある患者群と効果がない患者群を事前に区分できるので、免疫抗がん剤を利用した抗がん治療の効率を大きく向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定できる製剤を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための組成物。
【請求項2】
前記一つ以上の遺伝子は、OPNを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一つ以上の遺伝子は、OPNおよびPOSTNを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記一つ以上の遺伝子は、OPN、POSTNおよびIGFBP-3を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫抗がん剤は、PD-L1とPD-1間の結合を抑制するものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記免疫抗がん剤は、抗PD-L1抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗PD-L1抗体は、配列番号3に記載されたアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む軽鎖を含むものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記mRNAの発現水準を測定できる製剤は、前記遺伝子に相補的に結合するアンチセンスヌクレオチド、プライマーまたはプローブである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記タンパク質の発現水準を測定できる製剤は、前記遺伝子のタンパク質に特異的に結合する抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記がんは、固形がんである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記がんは、胆管がん、結腸がん、腺がん、直腸がん、乳がん、滑膜肉腫、軟骨肉腫、甲状腺がん、胃がん、胸腺がん、子宮頸がん、神経膠腫、脳がん、黒色腫、肺がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、腎臓がん、肝臓がん、大腸がん、すい臓がん、卵巣がん、リンパ腫、子宮がん、口腔がん、気管支がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、皮膚がん、血液がん、副甲状腺がんおよび尿管がんからなる群から選択される一つ以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載された組成物を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのキット。
【請求項13】
がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階;および
前記測定されたmRNAまたはタンパク質発現水準に基づいて前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための情報を提供する方法。
【請求項14】
前記一つ以上の遺伝子は、OPNを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記一つ以上の遺伝子は、OPNおよびPOSTNを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記一つ以上の遺伝子は、OPN、POSTNおよびIGFBP-3を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫抗がん剤は、PD-L1とPD-1の間の結合を抑制するものである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記免疫抗がん剤は、抗PD-L1抗体である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性の判断により、前記患者を免疫抗がん剤で治療するかどうか、またはその免疫抗がん剤での治療を継続するかどうかを決定する段階を追加で含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前、投与後、または投与前および投与後に測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前および投与後に測定され、前記遺伝子がOPNまたはPOSTNであるとき、前記測定された発現水準が免疫抗がん剤の投与前に比べて投与後に有意に高くなる場合に前記患者の治療反応性が低いと評価する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前に測定され、前記遺伝子がOPNまたはPOSTNであるとき、前記測定された発現水準が他の対照がん患者の免疫抗がん剤投与前の発現水準に比べて有意に高い場合に、前記患者の治療反応性が低いと評価する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前および投与後に測定され、前記遺伝子がIGFBP-3であるとき、前記測定された発現水準が免疫抗がん剤の投与前に比べて投与後に有意に低くなる場合に、前記患者の治療反応性が低いと評価する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前に測定され、前記遺伝子がIGFBP-3であるとき、前記測定された発現水準が他の対照がん患者の免疫抗がん剤投与前の発現水準に比べて有意に低い場合に、前記患者の治療反応性が低いと評価する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記mRNAの発現水準は、in situ混成化(in situ hybridization)、逆転写酵素重合酵素連鎖反応(RT-PCR)、競争的逆転写酵素重合酵素連鎖反応(competitive RT-PCR)、リアルタイム逆転写酵素重合酵素連鎖反応(real-time RT-PCR)、RNase保護分析法(RNase protection assay;RPA)、マイクロアレイ(microarray)、およびノーザンブロッティング(northern blotting)からなる群から選択される一つ以上の方法で測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記タンパク質の発現水準は、
ウェスタンブロッティング(western blotting)、放射線免疫分析法(radioimmunoassay;RIA)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、酵素免疫分析法(ELISA)、免疫沈降法(immunoprecipitation)、フローサイトメトリー(flow cytometry)、免疫蛍光染色法(immunofluorescence)、オクタロニー(Ouchterlony)、補体固定分析法(complement fixation assay)、およびタンパク質チップ(protein chip)からなる群から選択される一つ以上の方法で測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
(i)免疫抗がん剤をがん患者に投与する段階;および
(ii)前記免疫抗がん剤の投与前、投与後、または投与前後に、前記がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性に基づいてがんを治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのバイオマーカーおよびこの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のがん治療は、手術、放射線療法、および化学療法で可能な限りがん細胞を患者から除去する方法であった。しかし、手術および放射線療法は、比較的初期がんであって、転移されていない状況で完全にがん細胞を除去した時に遂行しないと治療効果がなく、化学療法は広範囲にがん治療に使うことができるものの、殆どの固形がんで治療率が悪く、多様な副作用が出る短所があった。このような従来の問題点を改善するために、最近では免疫抗がん剤を利用した免疫治療が台頭している。
【0003】
代表的な免疫抗がん剤のうち、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体などのようにPD-1/PD-L1経路を遮断する抗体がある。これは高度の不応性がんを有した患者の相当数において優秀な体内持続性を示し、よい臨床効果を示した。ただし、相当数のがん患者がPD-1/PD-L1経路を遮断する治療による抗がん効果を示すが、多数の患者においては臨床効果が全く示されない問題がある。したがって、効果のない患者の場合、抗PD-1/PD-L1免疫抗がん剤治療に対する費用と時間を損失しているのが実情である。
【0004】
したがって、免疫抗がん剤治療に対する腫瘍の反応の有無をよく予測し、特定の治療法に効果的な患者群を選別できる方法が要求されており、このような方法の開発は患者の生存率と治療効率を高めるのに大いに寄与するものと期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決することをその目的とする。
【0006】
本発明は、免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測できるバイオマーカー、組成物、キット(kit)および情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明者らは免疫抗がん剤、例えば抗PD-L1抗体、抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体のような免疫チェックポイント阻害剤、好ましくは抗PD-L1抗体に対する治療反応性を予測できるバイオマーカー(biomarker)を開発するために鋭意努力した結果、免疫抗がん剤の投与によるがん治療効果の有無または程度によって発現水準で差を見せるバイオマーカーを確認して本発明を完成した。
【0008】
本発明の一態様によると、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準のがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための用途が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によると、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定できる製剤を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための組成物が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の態様によると、前記組成物を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのキットが提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によると、がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階;および前記測定されたmRNAまたはタンパク質発現水準に基づいて前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための情報を提供する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の態様によると、(i)免疫抗がん剤をがん患者に投与する段階;および(ii)前記免疫抗がん剤の投与前、投与後、または投与前後に、前記がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性に基づいてがんを治療する方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明者らは、多様ながん患者を対象に免疫抗がん剤投与の前後に患者から分離した生物学的試料中の可溶性因子の水準を分析した結果、血清内のPOSTN、OPNおよびIGFBP-3の発現水準が免疫抗がん剤に対する治療反応性の予測に有意な指標となることを確認した。
本発明に係る免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのバイオマーカーを利用すれば、免疫抗がん剤の効果がある患者群と効果がない患者群を事前にまたは治療の初期に区分することができるので、免疫抗がん剤を利用した抗がん治療の効率を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一具現例に係る抗PD-L1抗体を利用した治療前後の患者の血清サンプルでペリオスチン(POSTN)の水準を示したものである(ノンパラメトリック(nonparametric)t検定;*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.005;****、p<0.001)。
【
図2】各患者の血清サンプルでPOSTNの水準を表示したものである。
【
図3】本発明の一具現例に係る抗PD-L1抗体を利用した治療前後の患者の血清サンプルでのオステオポンチン(OPN)の水準を示したものである(ノンパラメトリックt検定;*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.005;****、p<0.001)。
【
図4】各患者の血清サンプルでOPNの水準を表示したものである。
【
図5】本発明の一具現例に係る抗PD-L1抗体を利用した治療前後の患者の血清サンプルでのIGFBP-3の水準を示したものである(ノンパラメトリックt検定;*、p<0.05;**、p<0.01;***、p<0.005)。
【
図6a】実施例3.1.1および実施例3.2.1に関連したC57BL/6マウスのMC38-hPD-L1腫瘍(大腸がん)に対する腫瘍の成長曲線を示したものである。
【
図6b】実施例3.1.2に関連したIMC-001を投与したグループで21日目に収集された血清内のOPN水準と相対的腫瘍体積間の相関関係を示したものである。この時、V0は0日目(薬物投与前)の腫瘍体積を示し、Vtは(最初の薬物投与後)21日目の腫瘍体積を示す。
【
図6c】実施例3.1.2に関連したIMC-001を投与したグループで21日目に収集された血清内のOPN水準を示したものである。この時、OPN水準は相対的腫瘍体積を基準として二つのグループに分けて測定された値である。
【
図7a】実施例3.1.3および実施例3.2.3に関連したBALB/cマウスのCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍(大腸がん)に対する腫瘍の成長曲線を示したものである。
【
図7b】実施例3.1.4に関連したIMC-001を投与したグループで28日目に収集された血清内のOPN水準と相対的腫瘍体積間の相関関係を示したものである。この時、V0は0日目(薬物投与前)の腫瘍体積を示し、Vtは28日目(最初の薬物投与後)の腫瘍体積を示す。
【
図7c】実施例3.1.4に関連したIMC-001を投与したグループで28日目に収集された血清内のOPN水準を示したものである。この時、OPN水準は相対的腫瘍体積を基準として二つのグループに分けて測定された値である。
【
図8a】実施例3.2.2に関連したIMC-001を投与したグループで21日目に収集された血清内のIGFBP-3水準と相対的腫瘍体積間の相関関係を示したものである。この時、V0は0日目(薬物投与前)の腫瘍体積を示し、Vtは21日目(最初の薬物投与後)の腫瘍体積を示す。
【
図8b】実施例3.2.2に関連したIMC-001を投与したグループで21日目に収集された血清内のIGFBP-3水準を示したものである。この時、IGFBP-3水準は相対的腫瘍体積を基準として二つのグループに分けて測定された値である。
【
図9a】実施例3.2.4に関連したIMC-001を投与したグループで28日目に収集された血清内のIGFBP-3水準と相対的腫瘍体積間の相関関係を示したものである。この時、V0は0日目(薬物投与前)の腫瘍体積を示し、Vtは(最初の薬物投与後)28日目の腫瘍体積を示す。
【
図9b】実施例3.2.4に関連したIMC-001を投与したグループで28日目に収集された血清内のIGFBP-3水準を示したものである。この時、IGFBP-3水準は相対的腫瘍体積を基準として二つのグループに分けて測定された値である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の一態様によると、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定できる製剤を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための組成物が提供される。
【0017】
本発明で「がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測」するとは、がん患者が免疫抗がん剤に対して選好的にまたは非選好的に反応するかどうかを予測すること、免疫抗がん剤に対する耐性の危険性を予測すること、免疫治療後の患者の予後すなわち、再発、転移、生存などを予測することを意味する。本発明に係る組成物は、がん患者に対する最も適切な免疫治療方式を選択するようにするための情報を提供することができる。より具体的には、本発明に係る組成物は、免疫抗がん剤が患者に選好的にまたは非選好的に反応するかどうかを予測して免疫抗がん剤の選択を容易にし、治療反応性を高めるための情報を提供することができる。
【0018】
本明細書で使われる用語「OPN(osteopontin)」は、33kDaの大きさで免疫システムでサイトカインの分泌調節または細胞の移動などに作用できる分泌性の接着性糖タンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を意味する。また、OPNは多くの固形がん細胞種で過剰発現されるものと明かされているところ、多様ながん腫の診断用マーカーであり得る。本発明でOPNは、免疫抗がん剤の治療反応性予測用バイオマーカーであり得る。例えば、前記OPN遺伝子はNCBI Gene ID 6696であり得、4番染色体に属する遺伝子であって多様な腫に存在し得る。具体的には、前記OPN遺伝子はNCBI Reference Sequence NM_001040058.2の塩基配列からなるポリヌクレオチドであり得る。
【0019】
本明細書で使われる用語「POSTN(periostin)」は、細胞付着および細胞外基質の相互作用を調節する90kDaの大きさのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を意味する。POSTNは卵巣がんおよび乳がんのような多様な上皮性がん腫で過剰発現するタンパク質であって、多様ながん腫の診断用マーカーであり得る。本発明でPOSTNは免疫抗がん剤の治療反応性予測用バイオマーカーであり得る。例えば、前記POSTN遺伝子はNCBI Gene ID 10631であり得、13番染色体に属する遺伝子であって多様な腫に存在し得る。具体的には、前記POSTN遺伝子はNCBI Reference Sequence NM_006475.3の塩基配列からなるポリヌクレオチドであり得る。
【0020】
本発明で使われる用語「IGFBP-3(insulin-like growth factor binding protein-3)」は、インスリン様成長因子(IGF)-1および-2と結合する種々のタンパク質のうち一つまたはこれを暗号化する遺伝子を意味する。残りのタンパク質とは異なり、IGFBP-3はIGF-1またはIGF-2の結合後に酸不安定性サブユニット(ALS)と会合する独特の特性を有する。また、IGFBP-3はIGFとは無関係に乳がん、前立腺がんなどの成長を抑制するものと知られており、多様ながん腫の診断用マーカーであり得る。本発明でIGFBP-3は免疫抗がん剤の治療反応性予測用バイオマーカーであり得る。例えば、前記IGFBP-3遺伝子はNCBI Gene ID:3486であり得、7番染色体に属する遺伝子であって多様な腫に存在し得る。具体的には、前記IGFBP-3遺伝子はNCBI Reference Sequence NM_001013398.2の塩基配列からなるポリヌクレオチドであり得る。
【0021】
一具現例において、前記一つ以上の遺伝子はOPNを含むことができる。
【0022】
一具現例において、前記一つ以上の遺伝子はOPNおよびPOSTNを含むことができる。
【0023】
一具現例において、前記一つ以上の遺伝子はOPN、POSTNおよびIGFBP-3を含むことができる。
【0024】
本発明で、前記免疫抗がん剤は抗がん免疫療法に使われ得る任意の免疫抗がん剤、例えば免疫チェックポイント阻害剤であり得る。
【0025】
一具現例において、前記免疫抗がん剤はPD-L1とPD-1の間の結合を抑制するものであり得る。
【0026】
一具現例において、前記免疫抗がん剤は抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体であり得る。好ましくは、前記免疫抗がん剤は抗PD-L1抗体であり得る。より好ましくは、前記抗PD-L1抗体に関する内容は国際公開公報WO2017/0132562に開示された内容を参照することができる。例えば、前記抗PD-L1抗体は配列番号1に記載されたアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、配列番号2に記載されたアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含むことができる。また、前記抗PD-L1抗体は配列番号5、6および7に記載されたアミノ酸配列の重鎖相補性決定領域(Complementarity Determining Regions;CDRs)を含み、配列番号8、9および10に記載されたアミノ酸配列の軽鎖CDRsを含むことができる。また、前記抗PD-L1抗体は配列番号1に記載されたアミノ酸配列の重鎖可変ドメインを含み、配列番号2に記載されたアミノ酸配列の軽鎖可変ドメインを含むことができる。また、前記抗PD-L1抗体は配列番号3に記載されたアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む軽鎖を含むものであり得る。
一具現例において、前記mRNAの発現水準を測定できる製剤は、前記遺伝子のmRNAに相補的に結合するアンチセンスヌクレオチド、プライマーまたはプローブであり得るが、これに制限されない。
【0027】
本明細書で使われる用語「アンチセンスヌクレオチド」は、ターゲットとする遺伝子またはポリヌクレオチドに対する相補的な配列を有しているのでターゲット遺伝子またはポリヌクレオチドと二量体を形成できる核酸基盤の分子を意味し、ターゲット遺伝子の検出に使われ得る。前記アンチセンスポリヌクレオチドは検出特異性を増加させるために適切な長さを有することができる。
【0028】
本明細書で使われる用語「プライマー」は試料内の遺伝子またはポリヌクレオチドの相補的なテンプレート(template)と塩基対(base pair)を形成することができ、テンプレートストランド複製のための開始地点として機能する核酸配列を意味する。プライマーの配列は必ずしもテンプレートの配列と正確に同じである必要はなく、十分に相補的であるのでテンプレートと混成化され得るのであればよい。プライマーは適切な緩衝溶液および温度で重合反応のための製剤および異なる4つのヌクレオシド三リン酸(nucleoside triphosphate)の存在下でDNA合成を開始することができる。PCR条件、センスおよびアンチセンスプライマーの長さは当業界で公示になっているものに基づいて変形することができる。
【0029】
本明細書で使われる用語「プローブ」は試料内の検出しようとする遺伝子またはポリヌクレオチドと特異的に結合できる物質であって、前記結合を通じて特異的に試料内の遺伝子またはポリヌクレオチドの存在を確認できる物質を意味する。プローブはオリゴヌクレオチドプローブ、単鎖DNAプローブ、二重鎖DNAプローブ、RNAプローブなどの形態で製作され得る。適当なプローブの選択および混成化条件は当業界で公示になっているものに基づいて変形することができる。
【0030】
前記アンチセンスヌクレオチド、プライマーまたはプローブは検出しようとする遺伝子またはポリヌクレオチドにより当業界に知られている公知になっている知識および技術を使って好ましくデザインされ得る。
【0031】
一具現例において、前記タンパク質の発現水準を測定できる製剤は、前記タンパク質に特異的に結合するオリゴペプチド、抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ(chimeric)抗体など)、リガンド、PNA(Peptide nucleic acid)またはアプタマー(aptamer)であり得る。
【0032】
好ましくは、前記タンパク質の発現水準を測定できる製剤は、前記遺伝子からコーディングされるタンパク質に特異的に結合する抗体であり得るが、これに制限されない。
【0033】
本明細書で使われる用語「抗体」は当業界で知られている意味と同一の意味を有し、抗原性部位に対して誘導された特異的なタンパク質分子を指称し得る。本発明で、抗体はその形態が特に制限されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体または抗原結合性を有する限りその一部も含まれ、すべての免疫グロブリン抗体も含まれ、また、ヒト化抗体のような特殊抗体も含まれ得る。例えば、抗体は2個の全体の長さの軽鎖および2個の全体の長さの重鎖を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片も含むことができる。抗体分子の機能的な断片は少なくとも抗原-結合機能を保有している断片を意味し、例えば、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fvなどであり得るが、これに制限されない。
【0034】
一具現例において、前記がんは固形がんであり得る。前記がんは胆管がん、結腸がん、腺がん、直腸がん、乳がん、滑膜肉腫、軟骨肉腫、甲状腺がん、胃がん、胸腺がん、子宮頸がん、神経膠腫、脳がん、黒色腫、肺がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、腎臓がん、肝臓がん、大腸がん、すい臓がん、卵巣がん、リンパ腫、子宮がん、口腔がん、気管支がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、皮膚がん、血液がん、副甲状腺がんおよび尿管がんからなる群から選択される一つ以上であり得るが、これに制限されない。また、前記がんは大腸がんであり得る。
【0035】
本発明の他の態様によると、前記組成物を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するためのキットが提供される。前記キットにおいて、「がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測」および「がん」については前述した通りである。
【0036】
具体的には、前記キットは分析方法に適合な一種類またはそれ以上の他の構成成分組成物、溶液または装置で構成される。
【0037】
一具現例において、前記キットは前記遺伝子のmRNA発現水準を測定するためのキットであり得、例えばRT-PCRを遂行するために必須の要素を含むキットであり得る。前記キットは例えば、RT-PCRを遂行するために必要なものであると当業界で知られている他の試薬を含むことができる。
【0038】
一具現例において、前記キットは前記タンパク質の発現水準を測定するためのキットであり得、例えばELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)キットであり得る。前記キットは抗体の免疫学的検出のために必要なものであり、当業界で知られている他の試薬を含むことができる。
【0039】
本発明のさらに他の態様によると、がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階;および前記測定されたmRNAまたはタンパク質発現水準に基づいて前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を予測するための情報を提供する方法が提供される。前記方法において、遺伝子のmRNA発現水準の測定、タンパク質発現水準の測定、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性の予測については前述した通りである。
【0040】
本明細書で使われる用語「生物学的試料」とは、個体から得た任意の生物学的標本であって、例えば、免疫抗がん剤の治療反応性を確認しようとする個体、例えば、がん患者から得た血液、血清、血漿、リンパ液、唾液または小便のような試料などを含むが、これに制限されない。
一具現例において、前記方法は前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性の判断により、前記患者を免疫抗がん剤で治療するかどうか、またはその免疫抗がん剤での治療を継続するかどうかを決定する段階を追加で含むことができる。
【0041】
一具現例において、前記方法は前記患者に前記免疫抗がん剤を投与する段階を追加で含むことができる。前記投与段階は一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階の前、後、または前後の両方に遂行され得る。例えば、前記発現水準は免疫抗がん剤の投与直前に測定され、免疫抗がん剤の初投与から20日~60日.25日~50日、30日~45日、または35日~43日後に測定され得る。例えば、がん患者から血液サンプルを採取して、OPN、POSTNおよびIGFBP-3のうち一つ以上の遺伝子の発現水準を測定し、免疫抗がん剤治療を始めてから40日後に再び同一遺伝子の発現水準を測定して、免疫抗がん剤治療前後の発現水準を比較することによって、免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価することができる。この時、発現水準の増減により治療反応性を評価することができるが、これの様相は各遺伝子またはこれから発現されるタンパク質により異なる。
【0042】
また、前記測定されたmRNAまたはタンパク質の発現水準に基づいて前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価する段階は、前記がん患者の免疫抗がん剤投与前(および/または後)の発現水準を他の対照がん患者の免疫抗がん剤投与前(および/または後)の発現水準と比較することを含む。前記他の対照がん患者の免疫抗がん剤投与前および/または後の発現水準は免疫抗がん剤に対する治療反応性があると確認されるか、治療反応性がないと確認された複数の対照がん患者の免疫抗がん剤投与前および/または後に得た生物学的試料で確認された平均発現水準であり得る。
【0043】
一具現例において、前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前および投与後に測定され、前記遺伝子がOPNまたはPOSTNであるとき、前記測定された発現水準が免疫抗がん剤の投与前に比べて投与後に有意に高くなる場合に前記患者の治療反応性が低いと評価することができる。例えば、OPNの場合に、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の1.1倍~2倍、1.2倍~2倍、または1.5倍~1.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性は低いと評価することができる。また、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の0.4倍~1倍、0.4倍~0.9倍、または0.5倍~0.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性が高いと評価することができる。例えば、POSTNの場合に、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の1.1倍~2倍、1.2倍~2倍、または1.5倍~1.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性は低いと評価することができる。また、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の0.4倍~1倍または0.5倍~0.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性が高いと評価することができる。
一具現例において、前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前または投与後に測定され、前記遺伝子がOPNまたはPOSTNであるとき、前記測定された発現水準が他の対照がん患者(例えば、治療反応性が高いと評価された患者)の免疫抗がん剤投与前または後の発現水準に比べて有意に高い場合に、前記患者の治療反応性が低いと評価することができる。
【0044】
一具現例において、前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前および投与後に測定され、前記遺伝子がIGFBP-3であるとき、前記測定された発現水準が免疫抗がん剤の投与前に比べて投与後に有意に低くなる場合に前記患者の治療反応性が低いと評価することができる。例えば、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の0.4倍~1倍、0.4倍~0.9倍、または0.5倍~0.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性は低いと評価することができる。例えば、免疫抗がん剤の投与後に測定された発現水準が免疫抗がん剤投与前に測定された水準の1.1倍~2倍、1.2倍~2倍、または1.5倍~1.8倍に測定される時、そのがん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性が高いと評価することができる。
【0045】
一具現例において、前記発現水準が免疫抗がん剤の投与前または後に測定され、前記遺伝子がIGFBP-3であるとき、前記測定された発現水準が他の対照がん患者(例えば、治療反応性が高いと評価された患者)の免疫抗がん剤投与前または後に測定された発現水準に比べて有意に低い場合に、前記患者の治療反応性が低いと評価することができる。
【0046】
一具現例において、前記mRNAの発現水準はin situ混成化(in situ hybridization)、逆転写酵素重合酵素連鎖反応(RT-PCR)、競争的逆転写酵素重合酵素連鎖反応(competitive RT-PCR)、リアルタイム逆転写酵素重合酵素連鎖反応(real-time RT-PCR)、RNase保護分析法(RNase protection assay;RPA)、マイクロアレイ(microarray)、およびノーザンブロッティング(northern blotting)からなる群から選択される一つ以上の方法で測定され得るが、これに制限されない。
【0047】
一具現例において、前記タンパク質の発現水準はウェスタンブロッティング(western blotting)、放射線免疫分析法(radioimmunoassay;RIA)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、酵素免疫分析法(ELISA)、免疫沈降法(immunoprecipitation)、フローサイトメトリー(flow cytometry)、免疫蛍光染色法(immunofluorescence)、オクタロニー(Ouchterlony)、補体固定分析法(complement fixation assay)、およびタンパク質チップ(protein chip)からなる群から選択される一つ以上の方法で測定され得るが、これに制限されない。
【0048】
本発明のさらに他の態様によると、(i)免疫抗がん剤をがん患者に投与する段階;および(ii)前記免疫抗がん剤の投与前、投与後、または投与前後に、前記がん患者から得た生物学的試料から、OPN、POSTNおよびIGFBP-3からなる群から選択される一つ以上の遺伝子のmRNAまたはこれのタンパク質の発現水準を測定する段階を含む、がん患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性に基づいてがんを治療する方法が提供される。
【0049】
一具現例において、前記方法は前記測定されたmRNAまたはタンパク質発現水準に基づいて前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性を評価する段階を追加で含むことができる。
【0050】
一具現例において、前記方法は前記患者の免疫抗がん剤に対する治療反応性評価により前記患者を免疫抗がん剤で治療するかどうか、またはその免疫抗がん剤での治療を継続するかどうかを決定する段階を追加で含むことができる。
【0051】
前記方法と関連して、免疫抗がん剤、遺伝子、がん、生物学的試料、mRNA発現水準の測定、タンパク質発現水準の測定、治療反応性の評価などについては前述した通りである。
【発明の実施のための形態】
【0052】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
材料および方法
[実施例1.1]患者群情報およびサンプルの収集
転移性固形がんまたは局部的に進行された固形がんがある患者に、抗PD-L1抗体(配列番号3に記載されたアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗PD-L1抗体(IMC-001))を利用した免疫抗がん治療を遂行し、これらから血液サンプルを収得した。
【0054】
具体的には、疾病が進行されるか許容できない毒性が現れるまで標準3+3容量増量設計により2週ごとにIMC-001抗体を静脈投与した。総15人の患者(男性8人、女性7人、平均年齢58才)が5個の容量増量コホート(2、5、10、15、20mg/kg)に含まれた。
【0055】
前記患者の血液サンプルは投薬開始前(Day 1)、投薬後3日目および8日目(Day 3およびDay 8)、および投薬後15日目および43日目(Day 15およびDay 43)に収集した。血清サンプルは遠心分離で分離した後に収集し、すべてのサンプルは直ちに分離、凍結して使用前まで-80℃で保管された。収集日付による血液サンプルのがんの類型とBOR情報は下記の表1に示した通りである。
【0056】
【表1】
BOR(best overall response):投与開始時から疾病の進行/再発があるまで記録した最大総合反応。SD(stable disease):安定病変、PD(progressive disease):進行病変、PR(partial response):部分反応、NE(not evaluable):評価不可能。総患者数は15人で、SDは4人、PRは1人、PDは9人、NEは1人である。
[実施例1.2]多重分析法
自動化されたビーズ基盤技術を利用した定量的多重化された免疫アッセイであるLuminexのxMAP技術を利用して血清標本を分析することによって、55個の可溶性因子それぞれに対して前記患者群の血液サンプルをスクリーニングした(表2参照)。
【0057】
【表2】
フレックスパネル製作のためのヒト事前混合多重分析キットはR&D Systemsで購入した(カタログ番号LXSAHM-06、10、18、21)。xMAP血清分析はコマバイオテック(KOMA BIOTECH; ソウル、大韓民国)のLuminex 100を使って遂行された。実験データはMasterPlex QT 2010ソフトウェアの5個の媒介変数曲線フィッティングを使って分析された。
【実施例2】
【0058】
免疫抗がん剤の投与前後の可溶性因子の分析結果
前記実施例1.2の分析結果をコマバイオテックから受け取って55個の因子の血清水準を分析してSD群とPD群を比較した。55個の可溶性因子を分析した結果、免疫抗がん剤の治療反応性を確認できる有意な実験結果が導き出された因子はPOSTN、OPNおよびIGFBP-3として確認された。
[実施例2.1]POSTNおよびOPNはSDグループでベースラインおよび抗PD-L1抗体治療後にいずれも低い水準を示した。
【0059】
POSTNとOPN分析結果を
図1~
図4に図示した。ペリオスチン(POSTN)は接着分子であり、オステオポンチン(OPN)は細胞内で分泌される糖タンパク質である。
【0060】
分析結果、PDグループのPOSTN水準はベースラインでSDグループより高かったし、43日まで有意に増加した反面、SDグループのPOSTN水準は試験期間中に継続して低い水準を維持した(SDグループの平均POSTN水準範囲:153316.0-158397.3pg/mL、
図1参照)。
【0061】
SDグループでOPNは43日まで徐々に減少したが、PDグループではOPNがSDグループよりベースラインから高く維持されたし、時間が経過しても大きく変わらなかった(SDグループのOPN水準の平均範囲:27687-41942.3pg/mL、
図3参照)。
【0062】
BORがSDからPRに変更された患者のサンプルの場合には、POSTNおよびOPNの水準が43日まで次第に減少して、43日目に最も低かった(
図2および
図4参照)。
【0063】
したがって、がん患者群でPOSTNおよびOPNの比較的低いベースライン水準を示したり、免疫抗がん剤の処理前に比べて処理後に低くなったOPNの水準が導き出される場合、免疫抗がん剤の治療に適合な患者群として選別することができる。
[実施例2.2]PDグループは抗PD-L1抗体投与後43日目に低い水準のIGFBP-3を示した。
【0064】
IGFBP-3水準は、ベースラインでSDグループとPDグループ間に有意な差がなかった。しかし、抗PD-L1抗体を利用した治療過程でIGFBP-3の水準が有意に変化した(
図5)。抗PD-L1抗体投与後のPDグループ患者の血清ではIGFBP-3が減少した反面、治療前後のSDグループの血清ではIGFBP-3の水準が若干増加した。
【0065】
このような結果は、抗PD-L1抗体投与後にIGFBP3の水準が低い場合、患者がその抗体に対する反応がないことを示すバイオマーカーであり得ることを示唆する。
【実施例3】
【0066】
大腸がんマウスモデルを利用した動物実験
大腸がんマウスモデルを利用した動物実験はBiocytogenとGempharmatechに依頼して遂行した。C57BL/6マウスとMC38-hPD-L1腫瘍細胞を使った大腸がんマウスモデルはBiocytogenで製作され、BALB/cマウスとCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍細胞を使った大腸がんマウスモデルはGempharmatechで製作された。
[実施例3.1]IMC-001投与による治療反応性(バイオマーカー:OPN)
[実施例3.1.1]MC38-hPD-L1腫瘍モデルでIMC-001投与後の腫瘍体積の変化
大腸がんモデルとして、C57BL/6マウスのMC38-hPD-L1腫瘍治療でIMC-001の生体内効能を評価した。
【0067】
腫瘍の発達のためにC57BL/6マウスの右前のわき腹に0.1mL PBSに懸濁された5×105個のMC38-hPD-L1腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍大きさが約100mm3に到達した腫瘍保有マウスをhIgG1 20mg/kgグループ、IMC-001 3mg/kgグループ、IMC-001 10mg/kgグループ(各グループは8匹のマウスで構成される)に無作為で登録した。すべての試験物質は3週の間毎週3回の頻度で腫瘍保有マウスに腹腔内投与した。
【0068】
21日目にマウスを犠牲にした。GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って腫瘍体積のグラフを示し、グループ間の比較はDunnettの多重比較テストとともに二元ANOVAを使って遂行した(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図6a)。
[実施例3.1.2]ELISAによるマウスOPN血清濃度の決定
実施例3.1.1でなされたマウス犠牲時にすべての血清サンプルを収集して分析時まで-80℃で保管した。
【0069】
マウス血清OPNはマウスOPN duoset ELISAキット(DY411、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリス所在のR&D Systems)を利用した酵素結合免疫吸着分析 (ELISA)で測定し、前記過程は該当キットの製造業者の指針に従って遂行した。
すべてのサンプルは標準曲線範囲内でDuoset Ancillary Reagent kit 2(DY008、R&D Systems)の1X Reagent diluent concentrate 2を使って1:8,000の比で希釈した。すべてのサンプルは二重で実行した。
【0070】
GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って可変データを示した後、Pearson相関分析を利用して二つの媒介変数(血清内のOPNおよび相対的腫瘍体積)間の相関関係を確認した(
図6b)。引き続き、unpaired t-testを利用して両グループ間の差の比較を遂行したし、0.05未満のp‐値が統計的に有意なものと見なされた(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図6c)。
図6cでは、IMC-001を投与した全体個体16匹の中で相対的腫瘍体積を基準としてマウスを8匹ずつ二つのグループ、すなわち、腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ(Vt/V0>15)、n=8)および腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ(Vt/V0<15)、n=8)に分けてOPNを測定した。
[実施例3.1.3]CT26-hPD-L1/hCD47腫瘍モデルでIMC-001投与後の腫瘍体積の変化
大腸がんモデルとして、BALB/cマウスのCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍の治療でIMC-001の生体内効能を評価した。
【0071】
腫瘍の発達のためにBALB/cマウスの右前のわき腹に0.1mL PBSに懸濁された2×106個のCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍大きさが約100mm3に到達した腫瘍保有マウスをhIgG1 21.4mg/kgグループ、IMC-001 2.1mg/kgグループ、IMC-001 10.7mg/kgグループ(各グループは8匹のマウスで構成される)に無作為で登録した。すべての試験物質は最初の2週の間は毎週2回の頻度で腫瘍保有マウスに腹腔内投与し、腫瘍体積の測定は2週さらに測定した。
【0072】
IMC-001初投与後28日目にマウスを犠牲にした。GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って腫瘍体積グラフを示し、グループ間の比較はDunnettの多重比較テストとともに二元ANOVAを使って遂行した(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図7a)。
[実施例3.1.4]ELISAによるマウスOPN血清濃度の決定
実施例3.1.3でなされたマウス犠牲時にすべての血清サンプルを収集して分析時まで-80℃で保管した。
【0073】
マウス血清OPNはマウスOPN duoset ELISAキット(DY411、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリス所在のR&D Systems)を利用した酵素結合免疫吸着分析(ELISA)で測定し、前記過程は該当キットの製造業者の指針に従って遂行した。すべてのサンプルは標準曲線範囲内でDuoset Ancillary Reagent kit 2(DY008、R&D Systems)の1X Reagent diluent concentrate 2を使って1:8,000の比で希釈した。すべてのサンプルは二重で実行した。
【0074】
GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って可変データを示した後、Pearson相関分析を利用して二つの媒介変数(血清内のOPNおよび相対的腫瘍体積)間の相関関係を確認した(
図7b)。引き続き、unpaired t-testを利用して両グループ間の差の比較を遂行したし、0.05未満のp‐値が統計的に有意なものと見なされた(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図7c)。
図7cでは、IMC-001を投与した全体個体16匹の中で相対的腫瘍体積を基準としてマウスを8匹ずつ二つのグループ、すなわち、腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ(Vt/V0>13)、n=8)および腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ(Vt/V0<13)、n=8)に分けてOPNを測定した。
[実施例3.1.5]結果
実施例3.1.1~実施例3.1.4で使われた二つの大腸がんマウスモデル(MC38およびCT26)でそれぞれの対照群(hIgG1)対比IMC-001投与グループで腫瘍の成長が抑制された(
図6aおよび
図7a)。
【0075】
また、
図6c(Vt/V0>15のOPN平均値:1294.8ng/mL(SEM値:184.3);Vt/V0<15のOPN平均値:409.8ng/mL(SEM値:44.8))と
図7c(Vt/V0>13のOPN平均値:1836.6ng/mL(SEM値:214.4);Vt/V0<13のOPN平均値:319.5ng/mL(SEM値:121.7))に示した通り、IMC-001投与グループ(n=16)の中で腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ、n=8)より腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ、n=8)で血清OPN水準が有意に低かった。
【0076】
このような結果から、IMC-001投与グループで相対的腫瘍体積が小さいほどOPN水準が低かったので、OPNはIMC-001のような抗PD-L1抗体が治療効果を発揮するのかを予測するためのバイオマーカーとして使用され得ることが確認される。
[実施例3.2]IMC-001投与による治療反応性(バイオマーカー:IGFBP-3)
[実施例3.2.1]MC38-hPD-L1腫瘍モデルでのIMC-001投与後の腫瘍体積の変化
大腸がんモデルとして、C57BL/6マウスのMC38-hPD-L1腫瘍の治療でIMC-001の生体内効能を評価した。
【0077】
腫瘍の発達のためにC57BL/6マウスの右前のわき腹に0.1mL PBSに懸濁された5×105個のMC38-hPD-L1腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍大きさが約100mm3に到達した腫瘍保有マウスをhIgG1 20mg/kgグループ、IMC-001 3mg/kgグループ、IMC-001 10mg/kgグループ(各グループは8匹のマウスで構成される)に無作為で登録した。すべての試験物質は3週の間毎週3回の頻度で腫瘍保有マウスに腹腔内投与した。
【0078】
21日目にマウスを犠牲にした。GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って腫瘍体積グラフを示し、グループ間の比較はDunnettの多重比較テストとともに二元ANOVAを使って遂行した(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図8a)。
[実施例3.2.2]ELISAによるマウスIGFBP-3血清濃度の決定
実施例3.2.1でなされたマウス犠牲時にすべての血清サンプルを収集して分析時まで-80℃で保管した。
【0079】
マウス血清IGFBP-3はマウスIGFBP-3 duoset ELISAキット(DY775、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリス所在のR&D Systems)を利用した酵素結合免疫吸着分析(ELISA)で測定し、前記過程は該当キットの製造業者の指針に従って遂行した。すべてのサンプルは標準曲線範囲内でDuoset Ancillary Reagent kit 3(DY009、R&D Systems)の1X Reagent diluent concentrate 3を使って1:2,000の比で希釈した。具体的には、2%熱不活性化された正常ヤギ血清(DY005、Reagent Additive 1、R&D Systems)が含まれた1X Reagent diluent concentrate 3を使って製造業者の勧告に沿って検出抗体を希釈した。すべてのサンプルは二重で実行した。
【0080】
GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って可変データを示した。Pearson相関分析を利用して二つの媒介変数(血清内のIGFBP-3および相対的腫瘍体積)間の相関関係を確認した(
図8a)。unpaired t-testを利用して両グループ間の差の比較を遂行したし、0.05未満のp‐値が統計的に有意なものと見なされた(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図8b)。
図8bでは、IMC-001を投与した全体個体16匹の中で相対的腫瘍体積を基準としてマウスを8匹ずつ二つのグループ、すなわち、腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ(Vt/V0>15)、n=8)および腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ(Vt/V0<15)、n=8)に分けてIGFBP-3を測定した。
[実施例3.2.3]CT26-hPD-L1/hCD47腫瘍モデルでIMC-001投与後の腫瘍体積の変化
大腸がんモデルとして、BALB/cマウスのCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍の治療でIMC-001の生体内効能を評価した。
腫瘍の発達のためにBALB/cマウスの右前のわき腹に0.1mL PBSに懸濁された2×10
6個のCT26-hPD-L1/hCD47腫瘍細胞を皮下注射した。平均腫瘍大きさが約100mm
3に到達した腫瘍保有マウスをhIgG1 21.4mg/kgグループ、IMC-001 2.1mg/kgグループ、IMC-001 10.7mg/kgグループ(各グループは8匹のマウスで構成される)に無作為で登録した。すべての試験物質は4週の間毎週2回の頻度で腫瘍保有マウスに腹腔内投与した。
【0081】
IMC-001初投与後28日目にマウスを犠牲にした。GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って腫瘍体積グラフを示し、グループ間の比較はDunnettの多重比較テストとともに二元ANOVAを使って遂行した(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図8a)。
[実施例3.2.4]ELISAによるマウスIGFBP-3血清濃度の決定
実施例3.2.3でなされたマウス犠牲時にすべての血清サンプルを収集して分析時まで-80℃で保管した。
【0082】
マウス血清IGFBP-3はマウスIGFBP-3 duoset ELISAキット(DY775、アメリカ、ミネソタ州ミネアポリス所在のR&D Systems)を利用した酵素結合免疫吸着分析(ELISA)で測定し、前記過程は該当キットの製造業者の指針に従って遂行した。すべてのサンプルは標準曲線範囲内でDuoset Ancillary Reagent kit 3(DY009、R&D Systems)の1X Reagent diluent concentrate 3を使って1:2,000の比で希釈した。具体的には、2%熱不活性化された正常ヤギ血清(DY005、Reagent Additive 1、R&D Systems)が含まれた1X Reagent diluent concentrate 3を使って製造業者の勧告に沿って検出抗体を希釈した。すべてのサンプルは二重で実行した。
【0083】
GraphPad Prism 8ソフトウェアを使って可変データを示した。Pearson相関分析を利用して二つの媒介変数(血清内のIGFBP-3および相対的腫瘍体積)間の相関関係を確認した(
図9a)。unpaired t-testを利用して両グループ間の差の比較を遂行したし、0.05未満のp‐値が統計的に有意なものと見なされた(p‐値;*<0.05、**<0.01、***<0.001、****<0.0001)(
図9b)。
図9bでは、IMC-001を投与した全体個体16匹の中で相対的腫瘍体積を基準としてマウスを8匹ずつ二つのグループ、すなわち、腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ(Vt/V0>13)、n=8)および腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ(Vt/V0<13)、n=8)に分けてIGFBP-3を測定した。
[実施例3.2.5]結果
実施例3.2.1~実施例3.2.4で使われた二つの大腸がんマウスモデル(MC38およびCT26)でそれぞれの対照群(hIgG1)対比IMC-001投与グループで腫瘍の成長が抑制された(
図8aおよび
図9a)。
【0084】
また、
図8b(Vt/V0>15のIGFBP-3平均値:900.1ng/mL(SEM値:56.6);Vt/V0<15のIGFBP-3平均値:1031.6ng/mL(SEM値:64.2))および
図9b(Vt/V0>13のIGFBP-3平均値:713.1ng/mL(SEM値:46.3);Vt/V0<13のIGFBP-3平均値:880.6ng/mL(SEM値:33.7))に示した通り、IMC-001投与グループ(n=16)の中で腫瘍の成長が大きいグループ(反応性が悪いグループ、n=8)より腫瘍の成長が小さいグループ(反応性がよいグループ、n=8)で血清IGFBP-3水準が高かったし、特にCT26モデルで有意に高かった。
【0085】
このような結果から、IMC-001投与グループで相対的腫瘍体積が小さいほどIGFBP-3水準が高かったので、IGFBP-3はIMC-001のような抗PD-L1抗体が治療効果を発揮するのかを予測するためのバイオマーカーとして使用され得ることが確認される。
【0086】
[配列目録フリーテキスト]
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<210> 1
<211> 121
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
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<223> heavy chain(VH)variable domain of anti-PD-L1 antibody
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Gln Met Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Ala Tyr Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Gly Ile Ile Pro Ser Phe Gly Thr Ala Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Gly Pro Ile Val Ala Thr Ile Thr Pro Leu Asp Tyr Trp Gly
100 105 110
Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> light chain(VL)variable domain of anti-PD-L1 antibody
<400> 2
Ser Tyr Val Leu Thr Gln Pro Pro Ser Val Ser Val Ala Pro Gly Lys
1 5 10 15
Thr Ala Thr Ile Ala Cys Gly Gly Glu Asn Ile Gly Arg Lys Thr Val
20 25 30
His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Val Leu Val Ile Tyr
35 40 45
Tyr Asp Ser Asp Arg Pro Ser Gly Ile Pro Glu Arg Phe Ser Gly Ser
50 55 60
Asn Ser Gly Asn Thr Ala Thr Leu Thr Ile Ser Arg Val Glu Ala Gly
65 70 75 80
Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Leu Val Trp Asp Ser Ser Ser Asp His
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Arg Ile Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> heavy chain of anti-PD-L1 antibody
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1 5 10 15
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20 25 30
Pro Gly Ser Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe
35 40 45
Ser Ser Tyr Ala Tyr Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu
50 55 60
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65 70 75 80
Gln Lys Phe Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser
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Thr Ala Tyr Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val
100 105 110
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115 120 125
Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys
130 135 140
Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly
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Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro
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Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr
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195 200 205
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245 250 255
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275 280 285
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355 360 365
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370 375 380
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435 440 445
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450 455 460
Ser Leu Ser Pro Gly Lys
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<212> PRT
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Ser Ser Asp His Arg Ile Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu
115 120 125
Gly Gln Pro Lys Ala Ala Pro Ser Val Thr Leu Phe Pro Pro Ser Ser
130 135 140
Glu Glu Leu Gln Ala Asn Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu Ile Ser Asp
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1 5 10
【配列表】
【国際調査報告】