(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ラッパーを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20231212BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20231212BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D1/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023530563
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2021083424
(87)【国際公開番号】W WO2022112573
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ベッソ クレメント
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー フレデリク ユリス
(72)【発明者】
【氏名】ローエンシュタイン シュテファン
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB11
(57)【要約】
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品。エアロゾル発生物品は、乾燥重量基準で、少なくとも約5パーセントのエアロゾル形成体含有量を含むエアロゾル発生基体のロッド、およびエアロゾル発生物品の周りに巻かれたラッパーを備える。ラッパーは、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体のロッドであって、乾燥重量基準で少なくとも約5パーセントのエアロゾル形成体含有量を含む、エアロゾル発生基体のロッドと、
前記エアロゾル発生物品の少なくとも一部分の周りに巻かれたラッパーであって、前記ラッパーが、少なくとも前記エアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を含み、前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、前記ロッドの長さの少なくとも80%に沿って前記エアロゾル発生基体のロッドを囲む、ラッパーと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記エアロゾル形成体が、少なくとも約10重量パーセントのグリセリン含有量を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、耐水性ラッパーである、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、前記エアロゾル発生基体のロッドを直接的に囲む、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エンボス加工された部分が、前記ロッドの周囲の周りで前記エアロゾル発生基体のロッドを完全に囲む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エンボス加工された部分が、前記ロッドの長さの少なくとも90パーセントに沿って、より好ましくは前記ロッドの前記長さの100パーセントに沿って、前記エアロゾル発生基体のロッドを囲む、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、エンボス加工された外表面およびデボス加工された内表面を有する、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、1平方メートル当たり50グラム~1平方メートル当たり100グラム、好ましくは1平方メートル当たり60グラム~1平方メートル当たり90グラム、最も好ましくは1平方メートル当たり75グラム~1平方メートル当たり80グラムの坪量を有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、複数のエンボス加工を有する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、90度において3センチニュートンセンチメートル~8センチニュートンセンチメートル、好ましくは4センチニュートンセンチメートル~7センチニュートンセンチメートル、より好ましくは5センチニュートンセンチメートル~6センチニュートンセンチメートルの曲げモーメントを有する、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記ラッパーの前記エンボス加工された部分が、90度曲げた後に10度~40度、好ましくは15度~35度、より好ましくは20度~30度の角度メモリを有する、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生基体のロッドがゲル組成物を含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記ゲル組成物が、少なくとも一つのゲル化剤、およびアルカロイド化合物とカンナビノイド化合物のうちの少なくとも一つを含む、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記ゲル組成物が、前記エアロゾル形成体を含む、請求項12または請求項13に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記エアロゾル発生基体のロッドを通って長軸方向に延びる細長いサセプタ要素をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッパーを有するエアロゾル発生物品に関する。本発明は、エアロゾル発生基体を含み、かつ加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するように適合された、エアロゾル発生物品に特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこなどの可燃性エアロゾル発生物品は通常、ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーの円筒形のロッドと、巻かれたたばこロッドと端と端を当接させた関係で軸方向に整列された円筒形のフィルターとを備える。円筒形のフィルターは通常、プラグラップによって囲まれている濾過材料を含む。巻かれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長およびたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は、紙材料で形成されるチッピングラッパーの帯により結合される。紙巻たばこは、その一方の端に点火し、細かく切られたたばこロッドを燃焼することによって、消費者によって使用される。次に喫煙者は紙巻たばこの口側の端またはフィルター側の端で吸い込むことにより、主流煙をその口に受け入れる。
【0003】
タバコ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当技術分野で公知である。典型的に、こうした加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生し、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0004】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が挙げられる。例えば、エアロゾル発生基体に挿入されるように適合された内部ヒーターブレードを備える、電気加熱式のエアロゾル発生装置が提案されている。代替として、エアロゾル発生基体と、エアロゾル発生基体内に配置されたサセプタ要素と、を含む、誘導性発熱性エアロゾル発生物品が、WO2015/176898によって提案されている。
【0005】
一般的に、エアロゾル発生基体をラッパーに包むことが公知である。ラッパーは、エアロゾル発生基体を定位置に維持するのに役立ち得る。ラッパーはまた、エアロゾル発生基体とユーザーとの間に障壁を提供することもできる。一般的に、より厚いラッパーは、これらの機能を実行する上でより効果的であり得ることが知られている。しかしながら、より厚いラッパーは、エアロゾル発生物品の製造および組立に関して困難を呈することがある。
【0006】
したがって、エアロゾル発生基体を所定の位置に保持するのに十分である一方で、高速製造にも適したラッパーを提供することが望ましい。現在、こうした目的のために使用され得るラッパーの材料および特性の範囲には限度がある。また、ラッパーとエアロゾル発生基体との間の相互作用を最小化することが、次いでユーザーとエアロゾル発生基体との間の相互作用を最小化することになるために望ましい。
【0007】
本開示は、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを含み得る。エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル形成体を含み得る。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分の周りに巻かれたラッパーをさらに備え得る。ラッパーは、エンボス加工された部分を含み得る。エンボス加工された部分は、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲み得る。
【0008】
本発明によれば、加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品が提供され、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成体を含むエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分に巻かれるラッパーと、を備える。ラッパーは、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を含む。
【0009】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において、エアロゾル発生基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルを生成して消費者に送達する物品を意味するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0010】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当て、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と、紙巻タバコを通して引き出された空気中の酸素とによってもたらされた局在化した熱は、紙巻タバコの端を点火させ、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは風味発生基体(タバコなど)を加熱することによって発生される。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱伝達によってエアロゾルが発生するエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えばEP0822670に記載されている。
【0011】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0012】
本明細書で使用される「坪量」という用語は、1平方メートル当たりの、単位面積当たりのグラムの質量の尺度である。言い換えれば、坪量は、面密度の尺度である。坪量はまた、坪量(grammage)とも呼ばれ得る。
【0013】
本発明に関連して本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形または楕円形の断面の一般的に円柱状の要素を示すために使用される。
【0014】
「遠位」「上流」「近位」および「下流」という用語は、エアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明によるエアロゾル発生システムは、使用時にユーザーに送達するためにエアロゾルがシステムを抜け出る近位端と、対向する遠位端と、を有する。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端と呼ばれることもある。使用時に、エアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生物品の近位端を吸い込む。上流および下流という用語は、ユーザーが近位端を吸い込んだ時のエアロゾル発生物品を通るエアロゾルの移動の方向に関連する。
【0015】
本明細書で使用される「長手方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要長手方向軸に対応する方向を指す。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に関してエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0016】
使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長手方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長手方向軸に対して直角をなす方向を指す。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への任意の言及は、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0017】
「長さ」という用語は、長手方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素の寸法を意味する。例えば、長手方向におけるロッドまたは細長い管状要素の寸法を意味するために使用されてもよい。
【0018】
「ラッパー」または「紙ラッパー」という用語は、互換性があり、エアロゾル発生基体の形状を維持するためにエアロゾル発生基体を囲むラッピング材料を指し、紙または他の材料と任意の充填材で形成される。
【0019】
ラッパーに関連して本明細書で使用される場合、ラッパーの表面を記述する際の用語「内側」および「外側」は、エアロゾル発生物品に対するラッパーの向きを指す。ラッパーは、ラッパーの内表面がエアロゾル発生物品に面し、外表面がエアロゾル発生物品から離れる方向に面するように包装され得る。
【0020】
用語「エンボス加工」は、本明細書では、ラッパーの表面に形成された突出部を指すのに使用される。これらの突出部は、ラッパーに彫刻、成形、またはスタンプ加工され得る。こうしたエンボス加工を伴うラッパーの一部分を、エンボス加工されていると言う。エンボス加工を形成せず、ラッパーから突出しないラッパーのセクションは、本明細書では「デボス加工」と称される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「耐水性」は、耐湿性特性を呈するラッパーを指す。これを決定するための一つの有用なやり方は、水接触角を測定することである。「水接触角」は、従来的に液体を通して測定された角度であり、液体/蒸気界面が固体表面と交わる所である。これは液体による固体表面の湿潤性を、ヤングの式を介して定量化する。疎水性または水接触角は、TAPPI T558試験方法を利用することによって決定されてもよく、また結果は界面接触角として表されて「度」で報告され、ほぼ0からほぼ180度の範囲にわたることができる。
【0022】
本発明のラッパーは、エアロゾル発生物品のための改善された構成要素を提供する。少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を有するラッパーを提供することによって、ラッパーの内表面とエアロゾル発生基体のロッドとの間の相互作用を低減することができる。例えば、エンボス加工された部分は、ラッパーの内表面とエアロゾル発生基体のロッドとの間の接触量を低減し得る。これは、有利なことに、エアロゾル発生基体のロッドとラッパーとの間に水分が伝達され得る程度を低減するのにも役立ち得る。これはまた、有利なことに、エアロゾル発生基体のロッドとラッパーとの間に熱が伝達され得る程度を低減するのにも役立ち得る。
【0023】
本発明のラッパー構成はまた、有利には、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生物品とともに使用されるエアロゾル発生装置との間に熱が伝達され得る程度を低減するのにも役立ち得る。これは、エアロゾル発生基体が、サセプタ要素および加熱ブレードのうちの一方または両方などのエアロゾル発生基体内の熱源によって加熱される場合、およびエアロゾル発生装置の少なくとも一部分が、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品の一部分を囲む場合に、特に有利である。こうした利点はまた、エアロゾル発生基体のロッドが、エアロゾル発生基体の上流の発熱体によって加熱される場合に望ましい場合がある。
【0024】
ラッパーのエンボス加工された部分の断熱特性は、例えば、エアロゾル発生物品からの望ましくない熱の損失を防止することによって、エネルギー効率の観点から有利であり得る。
【0025】
少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を有するラッパーを提供することによって、エアロゾル発生基体のロッドの周りにより厚く高坪量のラッパーを巻くことが可能である一方で、なおもエアロゾル発生物品を高速で製造することが可能である。これは、ラッパーのエンボス加工が、従来のラッパーのものと類似した曲げ特性およびカーリング特性を厚いラッパーに付与し得るためである。
【0026】
エアロゾル発生基体のロッドの周りにより厚いラッパーを提供することによって、エアロゾル発生物品の構造的完全性を維持することができる。これは、より厚いラッパーは、エアロゾル発生基体の加熱されたロッドに由来する水分および熱のうちの一方または両方に対して、より耐性があり得るためである。したがって、エアロゾル発生物品は、使用中に変形する可能性が低くなる。
【0027】
さらに、エンボス加工された部分を有するラッパーを提供することにより、エアロゾル発生物品の構造的完全性がさらに改善され得る。これは、上述のように、エアロゾル発生基体とラッパーとの間の相互作用の低減により、使用中にエアロゾル発生物品が変形する可能性がさらに低減されるためである。
【0028】
ラッパーとエアロゾル発生物品のロッドとの間の相互作用が減少することは、エアロゾル発生基体からエアロゾル発生物品の外部に水分および熱の一方または両方が移動する可能性を低減するのにも役立つと考えられる。
【0029】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分の周りに巻かれた紙ラッパーを有し得る。ラッパーは、当技術分野で一般的に公知のエアロゾル発生物品のための従来的なラッパーの坪量よりも大きな坪量を有してもよい。高坪量のラッパーは、ラッパーの一方の表面とラッパーの他方の表面との間の改善されたバリアとして作用し得る。高坪量のラッパーは、ラッパーを通した水分および熱のうちの一方または両方の伝達を遅くまたは低減させ得る。これは、ラッパーおよびエアロゾル発生物品の構造的完全性を維持するのに役立ち得る。紙ラッパーは、1平方メートル当たり50グラム~1平方メートル当たり100グラムの坪量を有してもよい。
【0030】
エアロゾル発生物品は、複数のセグメントまたは構成要素を備え得る。複数のセグメントまたは構成要素は、長軸方向に一緒に組み立てられてもよい。複数のセグメントは、ロッドの形態に組み立てられてもよい。複数のセグメントは、エアロゾル発生基体のロッドを含んでもよい。複数のセグメントは、各々以下に詳述される以下の構成要素:上流要素、マウスピース要素、支持要素、およびエアロゾル冷却要素のうちの一つ以上を含み得る。複数のセグメントは、空洞およびフィルターセグメントのうちの一方または両方を含み得る。フィルターセグメントは、セルロースアセテートなどの繊維質濾過材料のプラグであってもよい。フィルターセグメントは、中空アセテート管などの繊維質の濾過材料の中空管であってもよい。
【0031】
上述のように、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の少なくとも一部分の周りに巻かれた紙ラッパーを含んでもよい。したがって、紙ラッパーは、エアロゾル形成基体のロッド、上流要素、マウスピース要素、支持要素、エアロゾル冷却要素、フィルターセグメント、および空洞のうちの一つ以上など、エアロゾル発生物品の一つ以上のセグメントまたは構成要素の周りに巻かれてもよい。一部の実施形態では、紙ラッパーは、エアロゾル発生物品のすべてのセグメントの周りに巻かれる。一部の実施形態では、紙ラッパーは、エアロゾル発生物品のセグメントの一部のみの周りに巻かれる。紙ラッパーは、エアロゾル発生物品の少なくとも二つのセグメントの周りに巻かれることが好ましい。紙ラッパーは、エアロゾル形成基体のロッドおよびエアロゾル発生物品の少なくとも一つの他のセグメントの周りに巻かれることが好ましい。
【0032】
上述のように、ラッパーは、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を含み得る。エンボス加工された部分は、エアロゾル発生基体のロッドのみを囲み得る。エンボス加工された部分は、エアロゾル発生基体のロッド、ならびにエアロゾル発生基体のロッドに隣接しているエアロゾル発生物品の一つ以上の他の部分などの、エアロゾル発生物品の一つ以上の他の部分を囲み得る。エアロゾル発生物品のこれらの他の部分または構成要素は、以下でより詳細に説明され、上流要素、およびマウスピース要素、支持要素、およびエアロゾル冷却要素を含む下流セクションの構成要素を含むが、これらに限定されない。
【0033】
ラッパーのエンボス加工された部分は、耐水性ラッパーであってもよい。耐水性ラッパーは、エアロゾル発生基体のロッドからの水分に対する追加のバリアを提供し得る。エンボス加工された部分は、耐水性の内表面を有してもよい。ラッパーのエンボス加工された部分の内表面が耐水性である場合、エアロゾル発生基体のロッドからの水分がラッパー内に浸透することが防止され得る。これは、ラッパーの膨張、目に見える染色、および物理的弱化のうちの一つ以上を低減するのに役立ち得る。これはまた、エアロゾル発生物品の構造的完全性を維持するのにも役立ち得る。エアロゾル発生物品の膨張を低減または防止することは、エアロゾル発生物品を損傷するリスクが低減された、エアロゾル発生物品の確実な挿入および加熱装置からの取り外しを可能にすることにより、エアロゾル発生物品の有用性を改善し得る。
【0034】
ラッパーの耐水性特性を判定する一つの有用な方法は、水接触角を測定することである。「水接触角」は、従来的に液体を通して測定された角度であり、液体/蒸気界面が固体表面と交わる所である。これは液体による固体表面の湿潤性を、ヤングの式を介して定量化する。疎水性または水接触角は、TAPPI T558試験方法を利用することによって決定されてもよく、また結果は界面接触角として表されて「度」で報告され、ほぼ0からほぼ180度の範囲にわたることができる。ラッパーのエンボス加工された部分の耐水性の内表面は、少なくとも30度の水接触角を有してもよい。好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分の耐水性の内表面は、少なくとも40度の水接触角を有する。より好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分の耐水性の内表面は、少なくとも45度の水接触角を有する。
【0035】
ラッパーのエンボス加工された部分は、エアロゾル発生基体のロッドを直接囲み得る。ラッパーのエンボス加工された部分がエアロゾル発生基体のロッドを直接囲む場合、ラッパーのエンボス加工された部分はエアロゾル発生物品のロッドに直接接触する。
【0036】
ラッパーのエンボス加工された部分は、エアロゾル発生基体のロッドを非直接的に囲み得る。ラッパーのエンボス加工された部分がエアロゾル発生基体のロッドを間接的に囲む場合、ラッパーのエンボス加工された部分とエアロゾル発生基体のロッドの間に一つ以上の追加の層が堆積され得る。一つ以上の追加の層は、一つ以上の追加のラッパーによって形成されてもよい。
【0037】
ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの周囲の周りでエアロゾル発生基体のロッドを完全に囲み得る。
【0038】
ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの周囲の一部分のみの周りでエアロゾル発生基体のロッドを囲み得る。ラッパーのエンボス加工された部分がロッドの周囲の一部分のみの周りでエアロゾル発生基体のロッドを囲む場合、ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの周囲の80パーセント以下の周りでエアロゾル発生基体のロッドを囲み得る。ラッパーのエンボス加工された部分がロッドの周囲の一部分のみの周りでエアロゾル発生基体のロッドを囲む場合、ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの周囲の少なくとも20パーセントの周りでエアロゾル発生基体のロッドを囲み得る。
【0039】
ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの長さの少なくとも80パーセントに沿ってエアロゾル発生基体のロッドを囲んでもよい。好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの長さの少なくとも90パーセントに沿ってエアロゾル発生基体のロッドを囲む。より好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、ロッドの長さの100パーセントに沿ってエアロゾル発生基体のロッドを囲む。
【0040】
ラッパーのエンボス加工された部分は、ラッパーの全長に沿って延びてもよい。ラッパーのエンボス加工された部分は、ラッパーの一部分のみに沿って延びてもよい。エンボス加工された部分がラッパーの一部分のみに沿って延びる場合、エンボス加工された部分は、ラッパーの長さの80パーセント以下に沿って延びてもよい。エンボス加工された部分がラッパーの一部分のみに沿って延びる場合、エンボス加工された部分は、ラッパーの長さの少なくとも20パーセントに沿って延びてもよい。
【0041】
ラッパーのエンボス加工された部分は、エンボス加工された外表面およびデボス加工された内表面を有してもよい。エンボス加工された外表面は、ラッパーの平面から突出し、かつ離間した一つ以上のエンボス加工によって特徴付けられ得る。したがって、エアロゾル発生基体のロッドと接触する、ラッパーのエンボス加工された部分の表面積が低減される。これは、エアロゾル発生基体からの水分および熱のうちの一方または両方に対する改善された抵抗を提供するのに役立ち得る。デボス加工された内表面は、ラッパーがエンボス加工されていない領域または複数の領域に対応する一つ以上のデボス加工によって特徴付けられ得る。これらのデボス加工は、ラッパーと同じ平面にある。内表面上のデボス加工は、エアロゾル発生物品のロッドと直接的または間接的に接触し得る。ラッパーの平面は、ラッパーが巻き出された状態にあるときに得られる。
【0042】
ラッパーのエンボス加工された部分は、当技術分野で一般的に公知のエアロゾル発生物品のための従来的なラッパーよりも大きな坪量を有してもよい。厚いラッパーは、ラッパーを通した水分および熱のうちの一方または両方の伝達を遅くまたは低減させ得る。これは、エアロゾル発生物品の構造的完全性を維持し、エアロゾル発生基体のロッドからの水分および熱のうちの一方または両方に対するラッパーの抵抗をさらに改善するのに役立ち得る。ラッパーのエンボス加工された部分は、1平方メートル当たり50グラム~1平方メートル当たり100グラムの坪量を有してもよい。好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、1平方メートル当たり60グラム~1平方メートル当たり90グラムの坪量を有する。より好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、1平方メートル当たり75グラム~1平方メートル当たり80グラムの坪量を有する。
【0043】
ラッパーのエンボス加工された部分は、複数のエンボス加工を有してもよい。
【0044】
ラッパーのエンボス加工された部分が複数のエンボスを有する場合、各エンボス加工は、0.07ミリメートル~0.21ミリメートル、好ましくは0.10ミリメートル~0.18ミリメートル、より好ましくは0.12ミリメートル~0.16ミリメートルの深さを有してもよい。各エンボス加工はまた、0.2ミリメートル~0.4ミリメートル、好ましくは0.25ミリメートル~0.35ミリメートル、より好ましくは0.275ミリメートル~0.325ミリメートルのピッチを有してもよい。
【0045】
エンボス加工は、球状ドームの形状であってもよい。各エンボス加工が球状ドームである場合、球状ドームに対する接線と水平ラップ線に対するインターセプションとの間の角度は、30度~60度であってもよい。複数のエンボス加工は、反復パターンで離間してもよい。実質的に同じ深さ、ピッチ、およびプロファイルを有する、この離間した反復パターンのエンボス加工は、ラッパーのエンボス加工された部分の表面に沿った均一な耐水性および耐熱性特性を確保するのに役立ち得る。
【0046】
ラッパーのエンボス加工された部分は、90度において3センチニュートンセンチメートル~8センチニュートンセンチメートルの曲げモーメントを有してもよい。好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、90度において4センチニュートンセンチメートル~7センチニュートンセンチメートルの曲げモーメントを有する。より好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、90度において4センチニュートンセンチメートル~6センチニュートンセンチメートルの曲げモーメントを有する。
【0047】
ラッパーのエンボス加工された部分は、90度曲げた後に10度~40度の角度メモリを有し得る。好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、90度曲げた後に15度~35度の角度メモリを有する。より好ましくは、ラッパーのエンボス加工された部分は、90度曲げた後に20度~30度の角度メモリを有する。
【0048】
ラッパーの曲げモーメントおよび角度メモリは、例えば、Frank Prufgerate Gmbhによって提供される適切な曲げ強度試験装置を用いて、DIN 53864(1978年8月)規格に従うSchlenkerによる曲げ剛性試験に従って測定される。この規格DIN 53864の意味における曲げモーメントは、ある特定のクランプ長さ(20ミリメートル)においてある特定の角度(90度)で試験サンプル(紙材料)を曲げるのに必要なトルクである。この規格DIN 53864の意味における角度メモリは、曲げモーメント試験が実施された後の試験サンプルの残角度である。大きな角度は、サンプルが良好なデッドフォールド特性を有することを示す。
【0049】
上述の曲げ特性およびカーリング特性は、従来のラッパーのものと類似し得る。上記に定義した曲げたり巻いたりする特性を有するラッパーのエンボス加工された部分を有することによって、エアロゾル発生基体のためのロッドに厚いラッパーを巻くことが可能になり、エアロゾル発生物品を高速で製造することが可能となり得る。
【0050】
本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを備え得る。エアロゾル発生基体のロッドは、ゲル組成物を含み得る。ゲル組成物は、少なくとも一つのゲル化剤と、アルカロイド化合物とカンナビノイド化合物のうちの少なくとも一つと、エアロゾル形成体と、を含み得る。エアロゾル発生基体は、ニコチンを含むゲル組成物を含んでもよい。
【0051】
エアロゾル発生基体のロッドは、一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。揮発に伴い、エアロゾル形成体は、エアロゾル中のニコチンおよび風味剤などの、加熱に伴いエアロゾル発生基体のロッドから放出される他の気化した化合物を搬送することができる。エアロゾル発生基体のロッドに含めるのに好適なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセロールなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテート)、およびモノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸およびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0052】
エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも15パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも40パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも50パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも60パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも70パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも80パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、少なくとも90パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。
【0053】
エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセント、例えば乾燥重量基準で約10重量パーセント~約25重量パーセント、または乾燥重量基準で、約15重量パーセント~約20重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することができる。
【0054】
例えば、基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を含み得ることが好ましい。基体が発熱体を有する電気的に作動するエアロゾル発生システムのためのエアロゾル発生物品での使用が意図されている場合、エアロゾル形成体はグリセロールであることが好ましい。
【0055】
エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で、約1パーセント~約5重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有し得る。例えば、基体が、エアロゾル形成体が基体から分離された貯蔵部内に保持されるエアロゾル発生物品での使用を意図される場合、基体は、1パーセントよりも大きく、約5パーセントよりも小さいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。こうした実施形態では、エアロゾル形成体は加熱に伴い揮発し、エアロゾル形成体の流れは、エアロゾル中のエアロゾル発生基体からの風味を混入するようにエアロゾル発生基体と接触する。
【0056】
エアロゾル発生基体は、約30重量パーセント~約45重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。この比較的高レベルのエアロゾル形成体は、摂氏275度未満の温度で加熱されることを意図したエアロゾル発生基体に特に好適である。こうした実施形態では、エアロゾル発生基体は、好ましくは、乾燥重量基準で、約2重量パーセント~約10重量パーセントのセルロースエーテルと、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約50重量パーセントの追加のセルロースとを更に含む。セルロースエーテルおよび追加のセルロースの組み合わせの使用は、30重量パーセント~45重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有するエアロゾル発生基体において使用される場合、特に効果的なエアロゾルの送達をもたらすことが見出された。
【0057】
好ましくは、ゲル組成物は、アルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはアルカロイド化合物およびカンナビノイド化合物の両方、エアロゾル形成体、ならびに少なくとも一つのゲル化剤を含む。好ましくは、少なくとも一つのゲル化剤は、固体媒体を形成し、グリセロールは、固体媒体中に分散し、アルカロイドまたはカンナビノイドはグリセロール中に分散する。ゲル組成物は、安定ゲル相であることが好ましい。
【0058】
有利なことに、ニコチンを含む安定なゲル組成物は、保管の際に、または製造から消費者への移行の際に、予測可能な組成物形態を提供する。ニコチンを含む安定なゲル組成物は、その形状を実質的に維持する。ニコチンを含む安定なゲル組成物は、保管の際に、または製造から消費者への移行の際に、液相を実質的に放出しない。ニコチンを含む安定なゲル組成物は、単純な消耗品設計を提供する場合がある。この消耗品は、液体を収容するように設計される必要がない場合があり、それ故に、より広い範囲の材料および容器構造が企図されてもよい。
【0059】
本明細書に記載のゲル組成物は、ニコチンエアロゾルを、従来の喫煙方法の吸入速度または気流速度内の吸入速度または気流速度にて肺に提供するために、エアロゾル発生装置と組み合わせられてもよい。エアロゾル発生装置は、ゲル組成物を連続的に加熱し得る。消費者は、各々の「吸煙」がニコチンエアロゾルの量を送達する複数の吸入または「吸煙」を摂ることができる。ゲル組成物は、加熱時、好ましくは連続的な方法で、高ニコチン/低粒子状物質総量(TPM)エアロゾルを消費者に送達することができる。
【0060】
「安定ゲル相」または「安定ゲル」という語句は、様々な環境条件に曝露された時にその形状および質量を実質的に維持するゲルを指す。安定ゲルは、相対湿度を約10パーセント~約60パーセントに変化させながら、標準的な温度および圧力に晒された場合、実質的に水(汗)を放出または吸収し得ない。例えば、安定ゲルは、相対湿度を約10パーセント~約60パーセントに変化させながら、標準的な温度および圧力に晒された場合、その形状および質量を実質的に維持し得る。
【0061】
ゲル組成物は、アルカロイド化合物、またはカンナビノイド化合物、またはアルカロイド化合物およびカンナビノイド化合物の両方を含む。ゲル組成物は、一つ以上のアルカロイドを含み得る。ゲル組成物は、一つ以上のカンナビノイドを含み得る。ゲル組成物は、一つ以上のアルカロイドと一つ以上のカンナビノイドの組み合わせを含み得る。
【0062】
「アルカロイド化合物」という用語は、一つ以上の塩基性窒素原子を含む自然発生的有機化合物の任意の一つのクラスを意味する。一般的に、アルカロイドは、アミンタイプ構造にある少なくとも一つの窒素原子を含有する。アルカロイド化合物の分子内のこの窒素原子または別の窒素原子は、酸塩基反応における塩基として活性であることができる。大半のアルカロイド化合物は、例えば複素環などの環状系の一部として、その窒素原子のうちの一つ以上を有する。自然界において、アルカロイド化合物は主に植物に見られ、ある特定の科の顕花植物において特に一般的である。しかしながら、一部のアルカロイド化合物は動物種および真菌に見られる。本開示において、「アルカロイド化合物」という用語は、天然由来のアルカロイド化合物と、合成的に製造されたアルカロイド化合物との両方を指す。
【0063】
ゲル組成物は、好ましくは、ニコチン、アナタビン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカロイド化合物を含む。
【0064】
好ましくは、ゲル組成物はニコチンを含む。
【0065】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を指す。
【0066】
「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)のカンナビス植物の一部に見られる天然の化合物の任意の一つの種類を意味する。カンナビノイド化合物は雌の頭状花で特に濃縮される。カンナビス植物において自然発生するカンナビノイド化合物は、カンナビジオール(CBD)およびテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。本開示では、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を記載するために使用される。
【0067】
ゲルは、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびその組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含み得る。
【0068】
ゲル組成物は、好ましくは、カンナビジオール(CBD)、THC(テトラヒドロカンナビノール)およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含み得る。
【0069】
ゲルは、好ましくはカンナビジオール(CBD)を含む。
【0070】
ゲル組成物は、ニコチンおよびカンナビジオール(CBD)を含み得る。
【0071】
ゲル組成物はニコチン、カンナビジオール(CBD)、およびTHC(テトラヒドロカンナビノール)を含み得る。
【0072】
ゲル組成物は、エアロゾル形成体をさらに含む。理想的には、エアロゾル形成体は、関連付けられたエアロゾル発生装置の作動温度で熱劣化に対して実質的に耐性がある。好適なエアロゾル形成体としては、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。多価アルコールまたはその混合物は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよび、グリセリン(グリセロールもしくはプロパン-1,2,3-トリオール)またはポリエチレングリコールのうちの一つ以上であり得る。エアロゾル形成体は、好ましくはグリセロールである。
【0073】
ゲル組成物はエアロゾル形成体の大部分を含む。ゲル組成物は、水とエアロゾル形成体の混合物を含み得、エアロゾル形成体はゲル組成物の大部分(重量で)を形成する。エアロゾル形成体は、少なくとも約50重量パーセントのゲル組成物を形成し得る。エアロゾル形成体は、ゲル組成物の少なくとも約60重量パーセント、または少なくとも約65重量パーセント、または少なくとも約70重量パーセントを形成し得る。エアロゾル形成体は、ゲル組成物の約70重量パーセント~約80重量パーセントを形成し得る。エアロゾル形成体は、ゲル組成物の約70重量パーセント~約75重量パーセントを形成し得る。
【0074】
ゲル組成物は、グリセロールの大部分を含み得る。ゲル組成物は、水とグリセロールの混合物を含み得、グリセロールはゲル組成物の大部分(重量で)を形成し得る。グリセロールは、少なくとも約50重量パーセントのゲル組成物を形成し得る。グリセロールは、ゲル組成物の少なくとも約60重量パーセント、または少なくとも約65重量パーセント、または少なくとも約70重量パーセントを形成し得る。グリセロールは、ゲル組成物の約70重量パーセント~約80重量パーセントを形成し得る。グリセロールは、ゲル組成物の約70重量パーセント~約75重量パーセントを形成し得る。
【0075】
ゲル組成物は、少なくとも一つのゲル化剤をさらに含む。
【0076】
「ゲル化剤」という用語は、均質的に、50重量パーセントの水/50重量パーセントのグリセロールの混合物に約0.3重量パーセントの量で加えられた時、固体媒体または支持マトリクスを形成させてゲルへと導く化合物を指す。ゲル化剤としては、限定するものではないが、水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤が挙げられる。
【0077】
ゲル化剤は、一つ以上のバイオポリマーを含んでもよい。バイオポリマーは多糖類で形成されてもよい。
【0078】
好ましくは、ゲル組成物は、少なくとも約0.2重量パーセントの水素結合架橋ゲル化剤を含む。別の方法として、または追加的に、ゲル組成物は、少なくとも約0.2重量パーセントのイオン架橋ゲル化剤を含むことが好ましい。最も好ましくは、ゲル組成物は、少なくとも約0.2重量パーセントの水素結合架橋ゲル化剤、および少なくとも約0.2重量パーセントのイオン架橋ゲル化剤を含む。ゲル組成物は、約0.5重量パーセント~約3重量パーセントの水素結合架橋ゲル化剤、および約0.5重量パーセント~約3重量パーセントのイオン架橋ゲル化剤、または約1重量パーセント~約2重量パーセントの水素結合架橋ゲル化剤、および約1重量パーセント~約2重量パーセントのイオン架橋ゲル化剤を含み得る。水素結合架橋ゲル化剤、およびイオン架橋ゲル化剤は、実質的に等量のゲル組成物中に存在し得る。
【0079】
「水素結合架橋ゲル化剤」という用語は、水素結合を介した非共有架橋結合または物理的架橋結合を形成するゲル化剤を指す。水素結合は、水素原子への共有結合ではなく、分子間の静電気的な双極子-双極子引力の一タイプである。これは、N、O、またはF原子などの極度の電気陰性原子に共有結合された水素原子と別の極度の電気陰性原子との間の引力からもたらされる。
【0080】
水素結合架橋ゲル化剤は、ガラクトマンナン、ゼラチン、アガロース、またはコンニャクガム、または寒天のうちの一つ以上を含んでもよい。水素結合架橋ゲル化剤は、寒天を含むことが好ましい。
【0081】
ゲル組成物は、約0.3重量パーセント~約5重量パーセントの範囲で水素結合架橋ゲル化剤を含むことが好ましい。
【0082】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でガラクトマンナンを含み得る。
【0083】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でゼラチンを含み得る。
【0084】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でアガロースを含み得る。
【0085】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でコンニャクガムを含み得る。
【0086】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲の寒天を含み得る。
【0087】
「イオン架橋ゲル化剤」という用語は、イオン結合を介した非共有架橋結合または物理的架橋結合を形成するゲル化剤を指す。イオン架橋は、非共有相互作用によるポリマー鎖の会合を伴う。反対の電荷を有する多価分子が静電気的に互いに引かれる時に、架橋ポリマーネットワークを生じさせると、架橋ネットワークが形成される。
【0088】
イオン架橋ゲル化剤は、低アシルジェラン、ペクチン、カッパカラゲナン、イオタカラゲナンまたはアルギネートを含んでもよい。イオン架橋ゲル化剤は、低アシルジェランを含むことが好ましい。
【0089】
ゲル組成物は、約0.3重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でイオン架橋ゲル化剤を含み得る。
【0090】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲で低アシルジェランを含み得る。
【0091】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でペクチンを含み得る。
【0092】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でカッパカラゲナンを含み得る。
【0093】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でイオタカラゲナンを含み得る。
【0094】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でアルギネートを含み得る。
【0095】
ゲル組成物は、約3:1~約1:3の比率で、水素結合架橋ゲル化剤とイオン架橋ゲル化剤を含み得る。
【0096】
ゲル組成物は増粘剤をさらに含んでもよい。水素結合架橋ゲル化剤とイオン架橋ゲル化剤と組み合わせられた増粘剤は、驚くべきことに、固体培体を支持し、ゲル組成物が高レベルのグリセロールを含む時でさえもゲル組成物を維持するらしい。
【0097】
「増粘剤」という用語は、25℃の50重量パーセントの水/50重量パーセントのグリセロールの混合物の中に0.3重量パーセントの量で均一に添加された時に、ゲルの形成をもたらすことなく粘度を増加させ、混合物が流体の状態に留まる、または流体のままになる化合物を指す。
【0098】
本明細書に挙げた粘度値は、ブルックフィールドRVT粘度計を使用し、ディスクタイプRV#2スピンドルを25℃で6回転/分(rpm)の速度で回転させながら測定し得る。
【0099】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲の増粘剤を含むことが好ましい。
【0100】
増粘剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、ラムダカラゲナン、またはデンプンのうちの一つ以上を含んでもよい。増粘剤はキサンタンガムを含み得ることが好ましい。
【0101】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でキサンタンガムを含み得る。
【0102】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でカルボキシメチルセルロースを含み得る。
【0103】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲で微結晶セルロースを含み得る。
【0104】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でメチルセルロースを含み得る。
【0105】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でアラビアガムを含み得る。
【0106】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でグアーガムを含み得る。
【0107】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でラムダカラゲナンを含み得る。
【0108】
ゲル組成物は、約0.2重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でデンプンを含み得る。
【0109】
ゲル組成物は二価カチオンをさらに含み得る。好ましくは、二価カチオンは、溶液中の乳酸カルシウムなどのカルシウムイオンを含む。二価カチオン(カルシウムイオンなど)は、例えばイオン架橋ゲル化剤などのゲル化剤を含む組成物のゲル形成を補助し得る。イオン効果はゲル形成を補助する場合がある。二価カチオンは、約0.1~約1重量パーセント、または約0.5重量パーセント~約1重量パーセントの範囲でゲル組成物中に存在し得る。
【0110】
ゲル組成物は酸をさらに含んでもよい。酸はカルボン酸を含み得る。カルボン酸はケトン基を含み得る。好ましくは、カルボン酸は、レブリン酸または乳酸などの約10個未満の炭素原子、または約6個未満の炭素原子または約4個未満の炭酸原子を有するケトン基を含む。好ましくは、このカルボン酸は三つの炭素原子(乳酸など)を有する。乳酸は驚くべきことに、類似のカルボン酸をも上回るほどにゲル組成物の安定性を改善する。カルボン酸は、ゲル形成を補助し得る。カルボン酸は、保管中のゲル組成物内のアルカロイド化合物濃度、またはカンナビノイド化合物濃度、またはアルカロイド化合物濃度とカンナビノイド化合物濃度の両方の変化を低減させ得る。カルボン酸は、保管中のゲル組成物内のニコチン濃度の変化を低減させ得る。
【0111】
ゲル組成物は、約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でカルボン酸を含み得る。
【0112】
ゲル組成物は、約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの範囲で乳酸を含み得る。
【0113】
ゲル組成物は、約0.1重量パーセント~約5重量パーセントの範囲でレブリン酸を含み得る。
【0114】
ゲル組成物は、好ましくはいくらかの水を含む。組成物がいくらかの水を含む場合、ゲル組成物はより安定である。ゲル組成物は、少なくとも約1重量パーセント、または少なくとも約2重量パーセント、または少なくとも約5重量パーセントの水を含むことが好ましい。ゲル組成物は、少なくとも約10重量パーセントまたは少なくとも約15重量パーセントの水を含むことが好ましい。
【0115】
ゲル組成物は、約8重量パーセント~約32重量パーセントの水を含むことが好ましい。ゲル組成物は、約15重量パーセント~約25重量パーセントの水を含むことが好ましい。ゲル組成物は、約18重量パーセント~約22重量パーセントの水を含むことが好ましい。ゲル組成物は、約20重量パーセントの水を含むことが好ましい。
【0116】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、約150mg~約350mgのゲル組成物を含む。
【0117】
好ましくは、エアロゾル発生基体は、ゲル組成物が装填された多孔性媒体を含む。ゲル組成物が装填された多孔性媒体の利点は、ゲル組成物が多孔性媒体内に保持されることであり、これはゲル組成物の製造、保管、または輸送を補助し得る。これは、特に製造、輸送、または使用中に、ゲル組成物の所望の形状を維持するのに役立ち得る。
【0118】
「多孔質」という用語は本明細書において、材料を通した空気の通過を可能にする複数の細孔または開口部を提供する材料を指すために使用される。
【0119】
多孔性媒体は、ゲル組成物を保持(hold)または保持(retain)することができる任意の適切な多孔性材料であってもよい。理想的には、多孔性媒体は、ゲル組成物がその中で移動することを可能にすることができる。多孔性媒体は、天然材料、合成、もしくは半合成、またはそれらの組み合わせを含み得る。多孔性媒体は、シート材料、発泡体、もしくは繊維、例えば、ばらの繊維、またはそれらの組み合わせを含み得る。多孔性媒体は、織布、不織布、または押出材、またはそれらの組み合わせを含み得る。多孔性媒体は、綿、紙、ビスコース、PLA、もしくは酢酸セルロース、またはそれらの組み合わせを含むことが好ましい。多孔性媒体は、シート材料、例えば、綿または酢酸セルロースを含むことが好ましい。多孔性媒体は、綿繊維から作製されたシートを含み得ることが好ましい。
【0120】
多孔性媒体は、捲縮または細断されてもよい。好ましくは、多孔性媒体は、捲縮される。別の方法として、多孔性媒体は、細断された多孔性媒体を含む。捲縮または細断プロセスは、ゲル組成物を装填する前であっても後であってもよい。
【0121】
シート材料の捲縮は、構造を改良して構造を通り抜ける通路を可能にするという利点を有する。捲縮したシート材料を通る通路は、ゲルの装填、ゲルの保持、および流体が捲縮したシート材料を通過するのを支援する。したがって、多孔性媒体として捲縮したシート材料を使用する利点がある。
【0122】
細断は、媒体に対して高い表面積対体積比を与えるため、ゲルを容易に吸収することができる。
【0123】
シート材料は、複合材料であってもよい。シート材料は多孔性であることが好ましい。シート材料は、ゲルを含む管状要素の製造を補助し得る。シート材料は、ゲルを含む管状要素に活性剤を導入するのを補助し得る。シート材料は、ゲルを含む管状要素の構造を安定化するのに役立つ場合がある。シート材料は、ゲルの輸送または保管を補助し得る。シート材料を使用することで、例えば、シート材料の捲縮によって多孔性媒体に構造を追加することを可能にするか、または補助する。
【0124】
多孔性媒体は、スレッドであり得る。スレッドは、例えば、綿、紙またはアセテートトウを含み得る。スレッドはまた、任意の他の多孔性媒体のようにゲルを装填されてもよい。多孔性媒体としてスレッドを使用する利点は、それが製造の容易さを補助し得ることである。
【0125】
スレッドは、任意の公知の手段によってゲルを装填されてもよい。スレッドは、ゲルで単純に被覆されてもよく、またはスレッドはゲルで含浸されてもよい。製造では、スレッドにゲルを含浸させて、管状要素のアセンブリに含まれるように、すぐに使用できるように保存してもよい。
【0126】
ゲル組成物を装填された多孔性媒体は、エアロゾル発生物品の一部を形成する管状要素内に提供されることが好ましい。理想的には、管状要素は幅よりも長手方向の長さが長いが、その幅よりもその長手方向の長さが長くなる複数構成要素アイテムの一部であり得るため、必ずしもその必要はない。典型的には、管状要素は円筒形であるが、必ずしもそうである必要はない。例えば、管状要素は、楕円形、三角形もしくは長方形のような多角形、または不規則な断面を有し得る。
【0127】
管状要素は、第一の長手方向通路を含むことが好ましい。管状要素は、第一の長手方向通路を画定するラッパーから形成されることが好ましい。ラッパーは、耐水性のラッパーであることが好ましい。ラッパーのこの耐水性特性は、耐水材料を使用することによって、またはラッパーの材料を処理することによって、達成することができる。これは、ラッパーの片側または両側を処置することによって達成され得る。耐水性であることは、構造、硬度、または剛性を失わないことを支援し得る。これはまた、特に流体構造のゲルを使用した場合に、ゲルまたは液体の漏出を防止するのにも役立ち得る。
【0128】
エアロゾル発生物品には、エアロゾル発生基体のロッドの上流に上流要素が提供されてもよい。上流要素は、エアロゾル発生基体のロッドの上流端に当接し得る。
【0129】
エアロゾル発生物品には、エアロゾル発生基体のロッドの下流に配設され、かつエアロゾル発生基体のロッドと軸方向に整列した、下流セクションが設けられてもよい。下流セクションは、一つ以上の下流要素を含み得る。
【0130】
エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体の中に挿入されるように適合された、電気加熱式のエアロゾル発生装置内の内部加熱ブレードによって加熱されてもよい。エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生基体内に配設されたサセプタ要素によって誘導加熱可能であってもよい。
【0131】
上流要素の提供は、有利なことに、エアロゾル発生基体のロッドを保護し、エアロゾル発生基体のロッド内のゲル組成物と、存在する場合のサセプタ要素との物理的接触を防止し得る。上流要素は、ラッパーのエンボス加工された部分によってまた囲まれ得る、エアロゾル発生基体のロッドに隣接した部分であってもよい。
【0132】
下流セクションはマウスピース要素を備える。マウスピース要素は、エアロゾル発生物品の口側端部まで全面的に延在し得る。マウスピース要素は、同じくラッパーのエンボス加工された部分によって囲まれ得る、エアロゾル発生基体のロッドに隣接した部分であってもよい。下流セクションは、マウスピース要素とエアロゾル発生基体のロッドとの間に中間中空セクションをさらに備え得る。中間中空セクションは、エアロゾル冷却要素を備え得る。エアロゾル冷却要素は、中空管状セグメントを備え得る。中間中空セクションは、中空管状セグメントを含み得る支持要素を含んでもよい。中間中空セクションは、エアロゾル冷却要素および支持要素を含み得る。支持要素は、エアロゾル冷却要素の上流に配置されてもよい。中間中空セクションは、同じくラッパーのエンボス加工された部分によって囲まれ得る、エアロゾル発生基体のロッドに隣接した部分であってもよい。
【0133】
本明細書で使用される場合、「中空管状セグメント」という用語は、一般に、その長手方向軸に沿った内腔または気流通路を画定する細長い要素を意味するために使用される。特に、「管状」という用語は以下において、実質的に円筒状の断面を有し、かつ管状要素の上流端と管状要素の下流端との間に途切れることのない流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する、管状要素に関して使用される。しかし、当然のことながら、管状セグメントの代替の形状(例えば、代替の断面形状)が可能である場合がある。
【0134】
本明細書で使用される場合、「細長い」という用語は、例えば、その幅寸法もしくはその直径寸法の二倍以上など、要素が、その幅寸法もしくはその直径寸法よりも大きい長さ寸法を有することを意味する。
【0135】
本開示の文脈では、中空管状セグメントは、無制限の流れチャネルを提供する。これは、中空管状セグメントが、無視できるレベルの引き出し抵抗(RTD)を提供することを意味する。したがって、流れチャネルは、長手方向の空気の流れを妨害するであろういかなる構成要素も含むべきではない。好ましくは、流れチャネルは、実質的に空である。
【0136】
エアロゾル発生物品は、下流セクションに沿った場所に通気ゾーンを備え得る。より詳細には、エアロゾル発生物品は、エアロゾル冷却要素に沿った場所に通気ゾーンを備え得る。エアロゾル冷却要素は、中空管状セグメントを含むか、または中空管状セグメントの形態であってもよく、通気ゾーンは、エアロゾル冷却要素の中空管状セグメントに沿った場所に提供される。
【0137】
発明者らは、エアロゾル発生基体の加熱に伴い発生された、かつそのようなエアロゾル冷却要素の一つを介して引き出されたエアロゾルの流れの満足のいく冷却は、中空管状セグメントに沿った場所に通気ゾーンを提供することによって達成されることを見出した。さらに、発明者らは、以下により詳細に記載されるように、エアロゾル冷却要素の長さに沿って正確に画定された位置に通気ゾーンを配置することによって、かつ好ましくは、所定の周辺壁厚または内部体積を有する中空管状セグメントを利用することによって、通気空気が物品内へ入ることによって引き起こされる増加したエアロゾル希釈の影響に対抗することが可能であり得ることを発見した。
【0138】
エアロゾル発生基体のロッドは、サセプタ要素をさらに含んでもよい。サセプタ要素は細長いサセプタ要素であってもよい。好ましくは、サセプタ要素は、エアロゾル発生基体内で長軸方向に延びる。
【0139】
エアロゾル発生物品のこれらの要素については下記により詳細に説明する。
【0140】
上述のように、本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを備える。エアロゾル発生基体は固体エアロゾル発生基体であり得る。
【0141】
細長いサセプタ要素は、エアロゾル発生基体のロッド内に実質的に長軸方向に配設されてもよく、かつエアロゾル発生基体と熱的に接触してもよい。
【0142】
本発明に関して本明細書で使用される場合、「サセプタ要素」という用語は、電磁エネルギーを熱へと変換することができる材料を指す。変動電磁場内に位置する場合、サセプタ要素中の誘導された渦電流はサセプタ要素の加熱を引き起こす。細長いサセプタ要素がエアロゾル発生基体と熱的に接触して位置する場合、エアロゾル発生基体は、サセプタ要素によって加熱される。
【0143】
サセプタ要素を説明するために使用される場合、「細長い」という用語は、サセプタ要素が、その幅寸法またはその厚さ寸法よりも大きい、例えば、その幅寸法またはその厚さ寸法の二倍より大きい、長さ寸法を有することを意味する。
【0144】
サセプタ要素はロッド内に実質的に長手方向に配置される。これは、細長いサセプタ要素の長さ寸法が、ロッドの長手方向とほぼ平行に、例えばロッドの長手方向に平行から±10度以内に配置されることを意味する。細長いサセプタ要素は、ロッド内の半径方向中心位置に位置付けられてもよく、ロッドの長軸方向軸に沿って延びてもよい。
【0145】
好ましくは、サセプタ要素は、エアロゾル発生物品のロッドの下流端まで全面的に延在する。サセプタ要素は、エアロゾル発生物品のロッドの上流端まで全面的に延びてもよい。サセプタ要素は、エアロゾル発生基体のロッドと実質的に同じ長さを有してもよく、ロッドの上流端からロッドの下流端まで延びる。
【0146】
サセプタ要素は、ピン、ロッド、細片、またはブレードの形態であり得ることが好ましい。
【0147】
サセプタ要素は、例えば、約6ミリメートル~約12ミリメートル、または約8ミリメートル~約10ミリメートルなどの、約5ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有し得ることが好ましい。
【0148】
サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、約0.2~約0.35とし得る。
【0149】
好ましくは、サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、少なくとも約0.22であり、より好ましくは、少なくとも約0.24、さらにより好ましくは、少なくとも約0.26である。サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、好ましくは、約0.34未満、より好ましくは、約0.32未満、さらにより好ましくは、約0.3未満である。
【0150】
サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、好ましくは、約0.22~約0.34、より好ましくは、約0.24~約0.34、さらにより好ましくは、約0.26~約0.34である。サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、好ましくは、約0.22~約0.32、より好ましくは、約0.24~約0.32、さらにより好ましくは、約0.26~約0.32である。サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、好ましくは、約0.22~約0.3、より好ましくは、約0.24~約0.3、さらにより好ましくは、約0.26~約0.3である。
【0151】
サセプタ要素の長さとエアロゾル発生物品基体の全長との間の比は、約0.27であってもよい。
【0152】
サセプタ要素は、約1ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0153】
サセプタ要素は、一般に、約0.01ミリメートル~約2ミリメートル、例えば、約0.5ミリメートル~約2ミリメートルの厚さを有し得る。サセプタ要素は、好ましくは、約10マイクロメートル~約500マイクロメートル、より好ましくは、約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの厚さを有する。
【0154】
サセプタ要素が、一定の断面、例えば円形断面を有する場合、それは約1ミリメートル~約5ミリメートルの好ましい幅または直径を有する。
【0155】
サセプタ要素が細片またはブレードの形態を有する場合、細片またはブレードは、好ましくは約2ミリメートル~約8ミリメートル、より好ましくは約3ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有する、長方形形状を好ましくは有する。一例として、ブレードの細片の形態のサセプタ要素は、約4ミリメートルの幅を有してもよい。
【0156】
サセプタ要素が細片またはブレードの形態を有する場合、細片またはブレードは、好ましくは長方形形状を有し、かつ約0.03ミリメートル~約0.15ミリメートルの厚さを有し、より好ましくは約0.05ミリメートル~約0.09ミリメートルの厚さを有する。一例として、ブレードの細片の形態のサセプタ要素は、約0.07ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0157】
細長いサセプタ要素は、細片またはブレードの形態であり、好ましくは長方形形状を有し、約55マイクロメートル~約65マイクロメートルの厚さを有する。
【0158】
より好ましくは、細長いサセプタ要素は、約57マイクロメートル~約63マイクロメートルの厚さを有してもよい。さらにより好ましくは、細長いサセプタ要素は、約58マイクロメートル~約62マイクロメートルの厚さを有する。細長いサセプタ要素は、約60マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0159】
細長いサセプタ要素は、エアロゾル発生基体の長さと同じであるかまたはそれよりも短い長さを有し得ることが好ましい。細長いサセプタ要素は、エアロゾル発生基体と同じ長さを有することが好ましい。
【0160】
サセプタ要素は、エアロゾル発生基体からエアロゾルを発生させるために十分な温度へと誘導加熱することができる任意の材料から形成され得る。好ましいサセプタ要素は、金属または炭素を含み得る。
【0161】
好ましいサセプタ要素は、例えば強磁性合金、フェライト鉄、または強磁性鋼、またはステンレス鋼などの強磁性材料を含んでもよく、または強磁性材料から成ってもよい。適切なサセプタ要素はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。好ましいサセプタ要素は、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス鋼から形成されてもよい。異なる材料は、類似の値の周波数および磁界強度を有する電磁場内に位置付けられた時に、異なる量のエネルギーを散逸させる。
【0162】
こうして、材料のタイプ、長さ、幅、および厚さなどのサセプタ要素のパラメータはどれも、公知の電磁場内で所望の電力分散を提供するように変化させ得る。好ましいサセプタ要素は摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0163】
適切なサセプタ要素は、金属層、例えばセラミックコアの表面に形成される金属帯が配置された非金属コアを備え得る。サセプタ要素は、そのサセプタ要素を封入する保護用外部層、例えば保護用セラミック層または保護用ガラス層を有してよい。サセプタ要素は、サセプタ要素材料のコアの上に形成された、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成された保護被覆を備え得る。
【0164】
サセプタ要素は、エアロゾル発生基体と熱的に接触して配置されている。こうして、サセプタ要素の温度が高くなると、エアロゾル発生基体は加熱され、エアロゾルが形成される。サセプタ要素は、例えばエアロゾル発生基体内で、エアロゾル発生基体と物理的に直接的に接触して配置されていることが好ましい。
【0165】
サセプタ要素は、多材料サセプタ要素であってもよく、第一のサセプタ要素材料および第二のサセプタ要素材料を備え得る。第一のサセプタ要素材料は第二のサセプタ要素材料と物理的に密着して配設されている。第二のサセプタ要素材料は摂氏500度より低いキュリー温度を有することが好ましい。第一のサセプタ要素材料は、サセプタ要素が変動する電磁場内に置かれた時に、サセプタ要素を加熱するために主に使用されることが好ましい。任意の好適な材料が使用されてもよい。例えば、第一のサセプタ要素材料はアルミニウムであってもよく、またはステンレス鋼などの鉄系材料であり得る。第二のサセプタ要素材料は、サセプタ要素が、第二のサセプタ要素材料のキュリー温度である特定の温度に達した時を主に示すために使用されることが好ましい。動作中にサセプタ要素全体の温度を調節するために、第二のサセプタ要素材料のキュリー温度を使用することができる。それ故に、第二のサセプタ要素材料のキュリー温度はエアロゾル発生基体の発火点を下回るべきである。第二のサセプタ要素材料のために好適な材料は、ニッケルおよびある特定のニッケル合金を含んでもよい。
【0166】
少なくとも第一および第二のサセプタ要素材料を有するサセプタ要素に、キュリー温度を有する第二のサセプタ要素材料とキュリー温度を有しない第一のサセプタ要素材料とを提供するか、または互いに異なる第一のキュリー温度と第二のキュリー温度を有する第一および第二のサセプタ要素材料を提供することによって、エアロゾル発生基体の加熱とその加熱の温度制御が分離され得る。第一のサセプタ要素材料は、摂氏500度を超えるキュリー温度を有する磁性材料であることが好ましい。加熱効率の観点から、第一のサセプタ要素材料のキュリー温度は、サセプタ要素が加熱されることができる任意の最大温度を超えることが望ましい。第二のキュリー温度は、好ましくは摂氏400度よりも低く、好ましくは摂氏380度よりも低く、または摂氏360度よりも低くなるように選択される。第二のサセプタ要素材料は、所望の最大加熱温度と実質的に同じである第二のキュリー温度を有するように選択された磁性材料であることが好ましい。すなわち、第二のキュリー温度は、エアロゾル発生基体からエアロゾルを発生させるためにサセプタ要素が加熱されるべき温度とほぼ同じであることが好ましい。第二のキュリー温度は、例えば、摂氏200度~摂氏400度の範囲内、または摂氏250度~摂氏360度の範囲内であり得る。第二のサセプタ要素材料の第二のキュリー温度は、例えば第二のキュリー温度と等しい温度であるサセプタ要素によって加熱された際に、エアロゾル発生基体の全体的な平均温度が摂氏240度を超えないように選択されてもよい。
【0167】
エアロゾル発生物品は、通気ゾーンを備え得る。エアロゾル発生物品は、少なくとも約5パーセントの通気レベルを有してもよい。
【0168】
「通気レベル」という用語は本明細書全体を通して、通気ゾーン(通気気流)を介してエアロゾル発生物品の中に入る気流と、エアロゾル気流および通気気流の合計との容積比を意味するために使用される。通気レベルが大きいほど、消費者に送達されるエアロゾル流の希釈が高くなる。
【0169】
エアロゾル発生物品は典型的に、少なくとも約10パーセント、好ましくは少なくとも約15パーセント、より好ましくは少なくとも約20パーセントの通気レベルを有してもよい。
【0170】
エアロゾル発生物品は、少なくとも約25パーセントの通気レベルを有してもよい。エアロゾル発生物品は、約60パーセント未満の通気レベルを有することが好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品は、約45パーセント以下の通気レベルを有することが好ましい。より好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品は、より好ましくは約40パーセント以下、さらにより好ましくは約35パーセント以下の通気レベルを有する。
【0171】
エアロゾル発生物品は、約30パーセントの通気レベルを有してもよい。エアロゾル発生物品は、約20パーセント~約60パーセント、好ましくは約20パーセント~約45パーセント、より好ましくは約20パーセント~約40パーセントの通気レベルを有してもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、約25パーセント~約60パーセント、好ましくは約25パーセント~約45パーセント、より好ましくは約25パーセント~約40パーセントの通気レベルを有してもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、約30パーセント~約60パーセント、好ましくは約30パーセント~約45パーセント、より好ましくは約30パーセント~約40パーセントの通気レベルを有してもよい。
【0172】
エアロゾル発生物品は、約28パーセント~約42パーセントの通気レベルを有してもよい。エアロゾル発生物品は、約30パーセントの通気レベルを有してもよい。
【0173】
様々な化学種を含有する気体状混合物からのエアロゾルの形成は、蒸気濃度、温度および速度場の変化を説明する、核形成と、蒸発と、凝縮と、さらには融合との間の繊細な相互作用に依存する。いわゆる古典的な核形成理論は、気相中の分子の一部が、十分な確率で(例えば、二分の一の確率など)長時間にわたりコヒーレントなままであるように十分に大きいという想定に基づいている。これらの分子は、一時的な分子凝集体の中のある種類の臨界の、閾値分子クラスターを表し、これは、より小さい分子クラスターが概して、やや迅速にガス相へと分解しやすく、一方でより大きいクラスターが概して、成長しやすいことを意味している。こうした臨界クラスターは、蒸気からの分子の凝縮に起因して液滴が成長することが期待される、主要な核形成コアとして特定される。核形成されたばかりの未処理の液滴は、ある特定の本来の直径を有して出現し、その後、数桁で成長する場合があると想定される。これは、凝縮を誘起する、周囲の蒸気の急速な冷却によって促進され、かつ強化される場合がある。この点について、蒸発および凝縮は、一つの同一のメカニズム、すなわち気液の物質移動の二つの側面であることを念頭に置くことが役立つ。蒸発は液滴から気相への正味の物質移動に関連し、凝縮は気相から液滴相への正味物質移動である。蒸発(または凝縮)によって、液滴が縮小(または成長)するが、液滴の数は変化しない。
【0174】
このシナリオにおいて(シナリオは融合現象によってさらに複雑である場合)、冷却の温度および速度は、システムがどのように応答するかを決定する上で重要な役割を果たす場合がある。一般に、核形成プロセスが典型的に非線形であるため、異なる冷却速度は、液相(液滴)の形成に関して、著しく異なる温度挙動につながる場合がある。理論に束縛されることを望むものではないが、冷却は液滴の凝縮数の急速な増加を生じさせることができ、その後、この成長の短期間の強力な増加が続く(核形成バースト)と仮定される。この核形成バーストは、より低い温度にて、より著しいと思われる。さらに、より速い冷却速度は、早期の核形成の開始に有利に働く場合があると思われる。対照的に、冷却速度の減少は、エアロゾル液滴が最終的に到達する最終的なサイズに有利な効果を及ぼすと思われる。
【0175】
発明者らは驚くべきことに、エアロゾルに対する希釈効果(特に、エアロゾル発生基体に含まれるエアロゾル形成体(グリセロールなど)の送達に対する効果を測定することによって評価され得る)が、上述の範囲内の通気レベルの時に有利に最小化されることを見出した。特に、25パーセント~50パーセント、さらにより好ましくは28~42パーセントの通気レベルが、特に満足のいくグリセリン送達の値につながることが見出された。同時に、核生成の程度、および結果として、ニコチンおよびエアロゾル形成体(例えば、グリセロール)の送達が強化される。
【0176】
発明者らは驚くべきことに、物品への通気空気の導入によって誘発される急速冷却によって促進される強化された核形成の好ましい効果が、希釈化の望ましくない効果に著しく対抗することができることを見出した。したがって、エアロゾル送達の満足できる値は、本発明にしたがって、エアロゾル発生物品によって一貫して達成される。
【0177】
これは、エアロゾル発生基体のロッドの長さが約40ミリメートル未満、好ましくは25ミリメートル未満、なおより好ましくは20ミリメートル未満である、またはエアロゾル発生物品の全長が約70ミリメートル未満、好ましくは約60ミリメートル未満、なおより好ましくは50ミリメートル未満であるなどの、「短い」エアロゾル発生物品に特に有利である。理解される通り、こうしたエアロゾル発生物品において、エアロゾル形成のための時間および空間、およびエアロゾルの粒子相が消費者への送達のために利用可能となるための時間および空間がほとんどない。
【0178】
本発明によるエアロゾル発生物品は、約35ミリメートル~約100ミリメートルの長さを有し得る。
【0179】
本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、少なくとも約38ミリメートルであることが好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、少なくとも約40ミリメートルであることがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、少なくとも約42ミリメートルであることがさらにより好ましい。
【0180】
本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、70ミリメートル以下であることが好ましい。より好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、60ミリメートル以下であることが好ましい。さらにより好ましくは、本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、50ミリメートル以下であることが好ましい。
【0181】
エアロゾル発生物品の全長は、約38ミリメートル~約70ミリメートルであることが好ましく、約40ミリメートル~約70ミリメートルであることがより好ましく、約42ミリメートル~約70ミリメートルであることがさらにより好ましい。エアロゾル発生物品の全長は、約38ミリメートル~約60ミリメートルであることが好ましく、約40ミリメートル~約60ミリメートルであることがより好ましく、約42ミリメートル~約60ミリメートルであることがさらにより好ましい。エアロゾル発生物品の全長は、約38ミリメートル~約50ミリメートルであることが好ましく、約40ミリメートル~約50ミリメートルであることがより好ましく、約42ミリメートル~約50ミリメートルであることがさらにより好ましい。エアロゾル発生物品の全長は、約45ミリメートルであることが好ましい。
【0182】
エアロゾル発生物品は、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。好ましくは、エアロゾル発生物品は、少なくとも6ミリメートルの外径を有する。エアロゾル発生物品は、少なくとも7ミリメートルの外径を有することがより好ましい。
【0183】
エアロゾル発生物品は、約12ミリメートル以下の外径を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、約10ミリメートル以下の外径を有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、約8ミリメートル以下の外径を有することがさらにより好ましい。
【0184】
エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートル、好ましくは約6ミリメートル~約12ミリメートル、より好ましくは約7ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約10ミリメートル、好ましくは約6ミリメートル~約10ミリメートル、より好ましくは約7ミリメートル~約10ミリメートルの外径を有してもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約8ミリメートル、好ましくは約6ミリメートル~約8ミリメートル、より好ましくは約7ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。
【0185】
口側端でのエアロゾル発生物品の直径(DME)は、遠位端でのエアロゾル発生物品の直径(DDE)よりも大きいことが好ましい。より詳細には、口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、(好ましくは)少なくとも約1.005である。
【0186】
好ましくは、口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比 (DME/DDE)は、少なくとも約1.01である。より好ましくは、口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、少なくとも約1.02である。さらにより好ましくは、口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、少なくとも約1.05である。
【0187】
口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.30以下であることが好ましい。より好ましくは、口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.25以下である。さらにより好ましくは、口側端部でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端部でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.20以下である。好ましくは、口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、1.15または1.10以下である。
【0188】
口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比 (DME/DDE)は、約1.01~1.30、より好ましくは1.02~1.30、さらにより好ましくは1.05~1.30である。
【0189】
別の方法として、口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.01~1.25、より好ましくは1.02~1.25、さらにより好ましくは1.05~1.25である。別の方法では、口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.01~1.20、より好ましくは1.02~1.20、さらにより好ましくは1.05~1.20である。別の方法では、口側端でのエアロゾル発生物品の直径と遠位端でのエアロゾル発生物品の直径との間の比(DME/DDE)は、約1.01~1.15、より好ましくは1.02~1.15、さらにより好ましくは1.05~1.15であってもよい。
【0190】
一例として、物品の外径は、エアロゾル発生物品の遠位端部から少なくとも約5ミリメートルまたは少なくとも約10ミリメートル延在している物品の遠位端部にわたって実質的に一定であり得る。代替として、物品の外径は、遠位端部から少なくとも約5ミリメートルまたは少なくとも約10ミリメートル延在している物品の遠位部分にわたってテーパ状であり得る。
【0191】
上述の通り、エアロゾル発生物品の要素は、エアロゾル発生物品の質量の中心が、下流端からエアロゾル発生物品の長さに沿って少なくとも約60パーセントにあるように配設され得る。より好ましくは、エアロゾル発生物品の要素は、エアロゾル発生物品の質量の中心が、下流端からエアロゾル発生物品の長さに沿って少なくとも約62パーセント、より好ましくは、下流端からエアロゾル発生物品の長さに沿って少なくとも約65パーセントになるように配置される。
【0192】
質量の中心は、好ましくは、下流端からのエアロゾル発生物品の長さに沿って約70パーセント以下になる。
【0193】
下流端よりも上流端に近い質量の中心を与える要素の配設を提供することにより、重い上流端を有する重量不均衡を有するエアロゾル発生物品がもたらされ得る。この重量不均衡は、消費者に触覚フィードバックを有利に提供して、消費者が上流端と下流端を区別できるようにし、正しい端部をエアロゾル発生装置に挿入することができるようにし得る。
【0194】
本発明によるエアロゾル発生物品は、線形の連続配設で、上流要素と、上流要素のすぐ下流に位置するエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル発生基体のロッドのすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素と、エアロゾル冷却要素のすぐ下流に位置するマウスピース要素と、上流要素、支持要素、エアロゾル冷却要素、およびマウスピース要素を囲む外側ラッパーと、を備え得る。
【0195】
より詳細には、エアロゾル発生基体のロッドは、上流要素に当接してもよい。支持要素は、エアロゾル発生基体のロッドに当接してもよい。エアロゾル冷却要素は、支持要素に当接してもよい。マウスピース要素は、エアロゾル冷却要素に当接してもよい。
【0196】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒形の形状、および約7.25ミリメートルの外径を有してもよい。
【0197】
上流要素は、約5ミリメートルの長さを有してもよく、エアロゾル発生物品のロッドは、約12ミリメートルの長さを有してもよく、支持要素は、約8ミリメートルの長さを有してもよく、マウスピース要素は、約12ミリメートルの長さを有してもよい。したがって、エアロゾル発生物品の全長は、約45ミリメートルであってもよい。
【0198】
上流要素は、硬いプラグラップに巻かれたセルロースアセテートのプラグの形態であってもよい。
【0199】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッド内に実質的に長軸方向に配設され、かつエアロゾル発生基体と熱的に接触し得る、細長いサセプタ要素を備え得る。サセプタ要素は、細片またはブレードの形態であってもよく、エアロゾル発生基体のロッドの長さと実質的に等しい長さ、および約60マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0200】
支持要素は、中空セルロースアセテート管の形態であってもよく、約1.9ミリメートルの内径を有してもよい。したがって、支持要素の周辺壁の厚さは、約2.675ミリメートルであってもよい。
【0201】
エアロゾル冷却要素は、より微細な中空セルロースアセテート管の形態であってもよく、約3.25ミリメートルの内径を有してもよい。したがって、エアロゾル冷却要素の周辺壁の厚さは、約2ミリメートルであってもよい。
【0202】
マウスピース要素は、低密度のセルロースアセテートフィルターセグメントの形態であってもよい。
【0203】
エアロゾル発生基体のロッドは、ゲル組成物を含むエアロゾル発生基体を備え得る。
【0204】
一実施例または一実施形態に関して説明される特徴はまた、その他の実施例および実施形態にも適用可能であり得る。
【実施例】
【0205】
以下に、非限定的な実施例の非網羅的なリストが提供される。これらの実施例の特徴のうちの任意の一つ以上は、本明細書に記述される別の実施例、実施形態、または態様のうちの任意の一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0206】
実施例1.
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体のロッドであって、乾燥重量基準で少なくとも約5パーセントのエアロゾル形成体含有量を随意に含む、エアロゾル発生基体のロッドと、
エアロゾル発生物品の少なくとも一部分の周りに巻かれるラッパーであって、ラッパーが、少なくともエアロゾル発生基体のロッドを囲むエンボス加工された部分を含む、ラッパーと、を備える、エアロゾル発生物品。
実施例2.
エアロゾル形成体が、少なくとも約10重量パーセントのグリセリン含有量を有する、実施例1に記載のエアロゾル発生物品。
実施例3.
ラッパーのエンボス加工された部分が、耐水性ラッパーである、実施例1または2に記載のエアロゾル発生物品。
実施例4.
ラッパーのエンボス加工された部分が、エアロゾル発生基体のロッドを直接的に囲む、実施例1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例5.
エンボス加工された部分が、ロッドの周囲の周りでエアロゾル発生基体のロッドを完全に囲む、実施例1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例6.
エンボス加工された部分が、ロッドの長さの少なくとも80パーセントに沿って、好ましくはロッドの長さの少なくとも90パーセントに沿って、より好ましくはロッドの長さの100パーセントに沿って、エアロゾル発生基体のロッドを囲む、実施例1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例7.
ラッパーのエンボス加工された部分が、エンボス加工された外表面およびデボス加工された内表面を有する、実施例1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例8.
ラッパーのエンボス加工された部分が、1平方メートル当たり50グラム~1平方メートル当たり100グラム、好ましくは1平方メートル当たり60グラム~1平方メートル当たり90グラム、最も好ましくは1平方メートル当たり75グラム~1平方メートル当たり80グラムの坪量を有する、実施例1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例9.
ラッパーのエンボス加工された部分が、複数のエンボス加工を有する、実施例1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例10.
各エンボス加工が、0.07ミリメートル~0.21ミリメートルの深さを有する、実施例9に記載のエアロゾル発生物品。
実施例11.
各エンボス加工が、0.2ミリメートル~0.4ミリメートルのピッチを有する、実施例9または10に記載のエアロゾル発生物品。
実施例12.
各エンボス加工が、球状ドームである、実施例9~11のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例13.
球状ドームに対する接線と水平ラップ線に対するインターセプションとの間の角度が、30度~60度である、実施例12に記載のエアロゾル発生物品。
実施例14.
複数のエンボス加工が、離間した反復パターンで提供される、実施例9~13のいずれか一つに記載のエアロゾル発生物品。
実施例15.
ラッパーのエンボス加工された部分が、90度において3センチニュートンセンチメートル~8ニュートンセンチメートル、好ましくは4ニュートンセンチメートル~7ニュートンセンチメートル、より好ましくは5ニュートンセンチメートル~6ニュートンセンチメートルの曲げモーメントを有する、実施例1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例16.
ラッパーのエンボス加工された部分が、90度曲げた後に10度~40度、好ましくは15度~35度、より好ましくは20度~30度の角度メモリを有する、実施例1~15に記載のエアロゾル発生物品。
実施例17.
エアロゾル発生基体のロッドが、ゲル組成物を含む、実施例1~16のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例18.
ゲル組成物が、少なくとも一つのゲル化剤、アルカロイド化合物とカンナビノイド化合物のうちの少なくとも一つを含む、実施例17に記載のエアロゾル発生物品。
実施例19.
ゲル組成物が、エアロゾル形成体を含む、実施例17または18に記載のエアロゾル発生物品。
実施例20.
エアロゾル発生基体のロッドが、ゲル組成物が装填された多孔性媒体のプラグを含む、実施例1~19のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例21.
多孔性媒体が、捲縮したシートの形態である、実施例20に記載のエアロゾル発生物品。
実施例22.
多孔性媒体が、綿繊維を含む、実施例20または21に記載のエアロゾル発生物品。
実施例23.
ゲル組成物が、少なくとも1重量パーセントのニコチンを含む、実施例20~22のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例24.
ゲル組成物が、酸をさらに含む、実施例16~22のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例25.
ゲル組成物が、1重量パーセント~6重量パーセントの少なくとも一つのゲル化剤を含む、実施例17~24のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例26.
エアロゾル発生基体のロッドを通って長軸方向に延びる細長いサセプタ要素をさらに備える、実施例1~26のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例27.
エアロゾル発生基体のロッドの上流に提供され、かつエアロゾル発生基体のロッドの上流端に当接する上流要素をさらに備える、実施例1~26のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例28.
エアロゾル発生基体のロッドの下流に配設され、かつエアロゾル発生基体のロッドと軸方向に整列している下流セクションであって、一つ以上の下流要素を含む、下流セクションをさらに含む、実施例1~27のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例29.
上流要素が、繊維質濾過材料のプラグを含む、実施例27または28に記載のエアロゾル発生物品。
実施例30.
上流要素の引き出し抵抗が、少なくとも20ミリメートルH2Oである、実施例27~28のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例31.
下流セクションが、繊維質の濾過材料から形成されるマウスピースフィルターセグメントを含むマウスピース要素を備える、実施例28~30のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
実施例32.
上流要素の引き出し抵抗が、マウスピース要素の引き出し抵抗の少なくとも1.5倍である、実施例31に記載のエアロゾル発生物品。
実施例33.
下流セクションが、エアロゾル発生基体のロッドとマウスピース要素との間に中間中空セクションをさらに含み、中間中空セクションが、マウスピース要素の上流端に当接するエアロゾル冷却要素を含み、エアロゾル冷却要素が、無制限の流れチャネルを提供する長軸方向の空洞を画定する中空管状セグメントを含む、実施例31または32に記載のエアロゾル発生物品。
実施例34.
中間中空セクションが、エアロゾル冷却要素とエアロゾル発生基体のロッドとの間の支持要素であって、無制限の流れチャネルを提供する長軸方向の空洞を画定する中空管状セグメントを含む、支持要素をさらに含む、実施例33に記載のエアロゾル発生物品。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態のエアロゾル発生物品とともに使用されるラッパーのエンボス加工された部分上のエンボス加工のパターンの俯瞰図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態のエアロゾル発生物品とともに使用されるラッパーのエンボス加工された部分上のエンボス加工のパターンの概略側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0208】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【0209】
図1は本発明の第一の実施形態に従うエアロゾル発生物品1物品を示している。エアロゾル発生物品1は、エアロゾル発生基体112のロッド111と、エアロゾル発生基体112のロッド111の下流の場所に下流セクション114とを備える。さらに、エアロゾル発生物品1は、エアロゾル発生基体112のロッド111の上流の場所に上流セクション16を備える。したがって、エアロゾル発生物品1は、上流または遠位端18から下流または口側端20まで延在し得る。
【0210】
エアロゾル発生物品は、約45ミリメートルの全長を有する。
【0211】
下流セクション114は、エアロゾル発生基体112のロッド111のすぐ下流に位置する管状要素100を含み、管状要素100は、エアロゾル発生基体112のロッド111と長軸方向に整列している。
図1の実施形態では、管状要素100の上流端は、エアロゾル発生基体12のロッド111の下流端、特にロッド111の下流端に当接する。
【0212】
ロッド111は、上記に定義されるゲル組成物を装填された多孔性媒体を含むエアロゾル発生基体112を含む。好適なゲル組成物の例を以下の表1に示す。
【表1】
【0213】
さらに、下流セクション114は、管状要素100の下流の位置にマウスピース要素42を含む。より詳細には、マウスピース要素42は、管状要素100のすぐ下流に位置付けられる。
図1に示されるように、マウスピース要素42の上流端は、管状要素100の下流端40に当接する。
【0214】
マウスピース要素42は、低密度セルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供されている。マウスピース要素42は、約12ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。マウスピース要素42のRTDは、約12ミリメートルH2Oである。
【0215】
エアロゾル発生物品1は、管状要素100に沿った位置に設置された通気ゾーン60を備える。より詳細には、通気ゾーンは、管状要素100の下流端から約4ミリメートルのところに設けられる。エアロゾル発生物品1の通気レベルは、約40パーセントである。
【0216】
ロッド111は、上述のタイプのうちの一つのエアロゾル発生基体112を含む。エアロゾル発生基体112は、ロッド111の構造および寸法を実質的に画定し得る。エアロゾル発生基体を含むロッド111は、約7.25ミリメートルの外径、および約12ミリメートルの長さを有する。
【0217】
エアロゾル発生物品1は、エアロゾル発生基体112のロッド111を囲むエンボス加工された部分113を有するラッパー10をさらに備える。
図1の実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分113は、ロッド111の周囲の周りにエアロゾル発生基体のロッド111を完全に囲む。この実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分113は、エロッド111の全長に沿ってエアロゾル発生基体のロッド11を囲む。
【0218】
この実施形態では、ラッパー10は、エアロゾル発生物品1の全長に沿って、上流端18から下流端20まで延びる。ラッパー10は、上流要素46、エアロゾル発生基体112のロッド111、管状要素100、およびマウスピース42をそれらの周囲の周りに完全に囲む。ラッパー10は、エアロゾル発生物品1の外表面を画定する。
【0219】
図1のエンボス加工された部分113の表示は、図示目的に過ぎず、したがって、エンボス加工自体、またはエンボス加工された部分113上のそれらの配設は示していない。エンボス加工された部分113は、
図4および5に関して以下でより詳細に説明される。
【0220】
エアロゾル発生基体112のロッド111はまた、エアロゾル発生基体112内に細長いサセプタ要素44を含む。より詳細には、サセプタ要素44は、ロッド111の長手方向に対してほぼ平行になるように、エアロゾル発生基体112内に実質的に長手方向に配置されている。
図1の図面に示されるように、サセプタ要素44は、ロッド内の半径方向で中央の位置に位置付けられており、ロッド111の長手方向軸に沿って効果的に延びる。
【0221】
サセプタ要素44は、ロッド111の上流端から下流端まで全面に延びる。実際には、サセプタ要素44は、エアロゾル発生基体112を含むロッド111と実質的に同じ長さを有する。
【0222】
図1の実施形態では、サセプタ要素44は、細片の形態で提供されており、約12ミリメートルの長さ、約60マイクロメートルの厚さ、および約4ミリメートルの幅を有する。
【0223】
上流セクション16は、エアロゾル発生基体112のロッド111のすぐ上流に位置する上流要素46を含み、上流要素46は、エアロゾル発生基体112のロッド111と長軸方向に整列している。
図1の実施形態では、上流要素46の下流端は、ロッド111の上流端、特にエアロゾル発生基体112の上流端に当接する。これにより、有利なことに、サセプタ要素44が外れることを防止する。さらに、これにより、消費者が使用後に加熱されたサセプタ要素44に偶発的に接触し得ないことを確実にする。
【0224】
上流要素46は、硬質ラッパー10によって囲まれたセルロースアセテートの円筒形プラグの形態で提供される。上流空洞要素46は、約5ミリメートルの長さを有する。上流要素46のRTDは、約30ミリメートルH2Oである。
【0225】
管状要素100は、管状体103の第一の端101から管状体103の第二の端102まで延びる空洞106を画定する管状体103を備える。管状要素100はまた、管状体103の第一の端101で第一の端壁104を形成する折り畳まれた端部分を備える。第一の端壁104は、空洞106と管状要素100の外部との間の気流を可能にする開口部105を画定する。特に、
図1の実施形態は、エアロゾル発生基体112のロッド111から開口部105を通って空洞106内にエアロゾルが流れ得るように構成されている。
【0226】
管状体103の空洞106は、実質的に空であり、したがって、実質的に無制限の気流が空洞106に沿って可能になる。結果として、管状要素100のRTDは、管状要素100の特定の長手方向位置、すなわち第一の端壁104で局在化されることができ、第一の端壁104およびその対応する開口部105の選択された構成を通して制御されることができる。
図1の実施形態では、管状要素100のRTD(本質的に第一の端壁104のRTDである)は、実質的に10ミリメートルH
2Oである。
図1の実施形態では、管状要素100は、約16ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約6.5ミリメートルの内径(D
FTS)を有する。したがって、管状体103の周壁の厚さは、約0.75ミリメートルである。
【0227】
図1に示すように、第一の端壁104は、エアロゾル発生物品1の長軸方向および管状要素100の長軸方向に対して実質的に横断方向に延びる。開口部105は、第一の端壁104の唯一の開口部であり、開口部105は管状要素100の概して半径方向の中心位置に位置付けられる。したがって、第一の端壁104は概して環状形状である。
【0228】
第一の端壁104およびその対応する開口部105の組み合わせは、エアロゾル発生基体の移動を制限し得る効果的なバリア配設を提供する一方で、空気およびエアロゾルのうちの一方または両方がエアロゾル発生基体112のロッド111から開口部105を通って空洞106へと流れることも可能にする。開口部105は概して、エアロゾル発生基体112のロッド111のサセプタ要素44の半径方向中心位置と整列している。これは、第一の端壁105とサセプタとの間の距離を保つのに役立つため有利であり、それによって第一の端壁105の望ましくない加熱を軽減するのに役立ち得る。これはまた、サセプタ要素44に近接する、エアロゾル発生基体の部分によって生成されるエアロゾルの直接の妨げられていない下流流を提供することができるので有利であり得る。
【0229】
第一の端壁104は、管状要素100の端部分を折り畳み点を中心に折り畳むことによって形成される。折り畳み点は、概して、管状要素100の管状体103の第一の端に対応する。
【0230】
図2は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品2を示す。エアロゾル発生物品2は、概して、
図1の本発明の第一の実施形態のエアロゾル発生物品1と類似しており、適切な場合、同様の参照番号が使用される。しかしながら、
図2のエアロゾル発生物品2は管状要素を備えない。特に、
図1のエアロゾル発生物品1とは対照的に、
図2のエアロゾル発生物品2は、第一の要素100とマウスピース要素42との間に管状要素100を含まない。代わりに、
図2のエアロゾル発生物品2は、第一の要素100とマウスピース要素42との間に二つの中空アセテート管を含む。これらは、エアロゾル発生基体212のロッド211のすぐ下流にこれと長軸方向に整列して位置する第一の中空アセテート管280と、第一の中空アセテート管280のすぐ下流に位置する第二の中空アセテート管290である。
【0231】
第一の中空アセテート管280および第二の中空アセテート管290は、管状体203の第一の上流端201から管状体203の第二の下流端202まで延びる空洞206を有する管状体203を画定する。
【0232】
第一の中空アセテート管280は、支持要素を画定する。第一の中空アセテート管の第一の上流端は、エアロゾル発生基体212のロッド211の下流端に当接する。
【0233】
第二の中空アセテート管290は、第一の中空アセテート管280の下流端に当接するエアロゾル冷却要素を画定する。
【0234】
第一の中空アセテート管280および第二の中空アセテート管290によって画定される管状体203の内部空洞206は、実質的に空であり、したがって実質的に無制限の気流が空洞206に沿って可能になる。
【0235】
全体として、管状体203は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しない。全体としての管状体203のRTDは、実質的に0ミリメートルH2Oである。
【0236】
第一の中空アセテート管280は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約1.9ミリメートルの内径(DFTS)を有する。したがって、第一の中空アセテート管280の周辺壁の厚さは、約2.67ミリメートルである。
【0237】
第二の中空アセテート管290は、約8ミリメートルの長さ、約7.25ミリメートルの外径、および約3.25ミリメートルの内径(DSTS)を有する。したがって、第二の中空アセテート管290の周辺壁の厚さは、約2ミリメートルである。したがって、第一の中空アセテート管280の内径(DFTS)と第二の中空アセテート管290の内径(DSTS)との間の比は、約0.75である。
【0238】
エアロゾル発生物品2は、第二の中空アセテート管290に沿った場所に提供された通気ゾーン60を備える。より詳細には、通気ゾーンは、第二の中空アセテート管290の上流端から約2ミリメートルに提供される。エアロゾル発生物品10の通気レベルは、約25パーセントである。
【0239】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル発生基体212のロッド211を囲むエンボス加工された部分13を有するラッパー10をさらに備える。
図1のこの実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分213は、ロッド211の周囲の周りでエアロゾル発生基体212のロッド211を囲む。この実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分213は、ロッド211の長さの一部分のみに沿ってエアロゾル発生基体212のロッド211を囲む。
【0240】
この実施形態では、ラッパー10は、エアロゾル発生物品2の全長に沿って、上流端18から下流端20まで延びる。ラッパー10は、上流要素46、エアロゾル発生基体212のロッド211、第一の中空アセテート管280、第二の中空アセテート管290、およびマウスピース42をそれらの周囲の周りで完全に囲む。ラッパー10は、エアロゾル発生物品2の外表面を画定する。
【0241】
図2のエンボス加工された部分213の表示は、図示目的に過ぎず、したがって、エンボス加工自体、またはエンボス加工された部分213上のそれらの配設は示していない。エンボス加工された部分213は、
図4および5に関して以下でより詳細に説明される。
【0242】
図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生物品3を示す。
図1および2の実施形態とは異なり、第三の実施形態のエアロゾル発生物品3は、エアロゾル発生基体312のロッド311の上流にいかなる形態の上流要素46も備えない。したがって、エアロゾル発生物品3の上流または遠位端318は、エアロゾル発生基体312のロッド311によって画定される。さらに、本発明の第三の実施形態では、エアロゾル発生基体312のロッド311は、エアロゾル発生基体312内に位置するサセプタ要素44を含まない。かかるエアロゾル発生物品3は、エアロゾル発生装置のヒーターブレードを備えるように構成されたものであってもよい。ヒーターブレードは、エアロゾル発生物品3の上流端318を通ってエアロゾル発生基体312に挿入されてもよい。
【0243】
第三の実施形態のエアロゾル発生物品3は、第二の実施形態のエアロゾル発生物品2の第一の中空アセテート管280と実質的に同じ中空アセテート管380を有する。この中空アセテート管380は支持要素を画定し、中空アセテート管380の上流端から中空アセテート管380の下流端まで延びる空洞306を有する。
【0244】
中空アセテート管380の空洞306は、実質的に空であり、したがって、実質的に制限のない気流が空洞306に沿って可能になる。
【0245】
中空アセテート管380は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しない。全体としての中間中空セクション250のRTDは、実質的に0ミリメートルH2Oである。
【0246】
第三の実施形態のエアロゾル発生物品3は、中空アセテート管380のすぐ下流に位置するエアロゾル冷却要素370を備え、エアロゾル冷却要素370は、エアロゾル発生基体312のロッド311および中空アセテート管380と長軸方向に整列している。より詳細には、エアロゾル冷却要素370の上流端は、中空アセテート管380の下流端に当接する。
【0247】
第二の実施形態のエアロゾル発生装置2のエアロゾル冷却要素(中空アセテート管290)とは対照的に、エアロゾル冷却要素370は、ロッドを通る空気の通過に対して低いかまたは実質的に無効の抵抗を提供する複数の長軸方向に延びるチャネルを含む。より詳細には、エアロゾル冷却要素370は、好ましくは、金属箔、高分子シート、および実質的に無孔の紙または厚紙を含む群から選択される無孔のシート材料から形成される。特に、
図3に図示した実施形態では、エアロゾル冷却要素370は、ポリ乳酸(PLA)の捲縮したシートおよびシートの集合体の形態で提供される。エアロゾル冷却要素370は、約8ミリメートルの長さ、および約7.25ミリメートルの外径を有する。
【0248】
エアロゾル発生物品3は、エアロゾル発生基体312のロッド311を囲むエンボス加工された部分313を有するラッパー10をさらに備える。
図3のこの実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分313は、ロッド311の周囲の一部分のみの周りでエアロゾル発生基体のロッド311を囲む。この実施形態では、ラッパー10のエンボス加工された部分313は、エアロゾル発生物品3の全長に沿ってエアロゾル発生基体のロッド311を囲む。
【0249】
この実施形態では、紙ラッパー10は、エアロゾル発生物品3の全長に沿って、上流端18から下流端20まで延びる。紙ラッパー10は、エアロゾル発生基体312のロッド311、中空アセテート管380、エアロゾル冷却要素370、およびマウスピース42をそれらの周囲の周りに完全に囲む。紙ラッパー10は、エアロゾル発生物品3の外表面を画定する。
【0250】
図3のエンボス加工された部分313の表示は、図示目的に過ぎず、したがって、エンボス加工自体、またはエンボス加工された部分313上のそれらの配設は示していない。エンボス加工された部分313は、
図4および5に関して以下でより詳細に説明される。
【0251】
図4および5は、本発明の実施形態のエアロゾル発生物品で使用される、ラッパーのエンボス加工された部分上のエンボス加工のパターンの俯瞰図および側面断面図をそれぞれ示す。
図4および5の両方に示されるエンボス加工された部分13は、巻かれていない状態である。エンボス加工された部分13は、反復パターンで離間した複数のエンボス加工4を有する。デボス加工5は、ラッパー10がエンボス加工されていない、各エンボス加工間の空間によって画定される。各エンボス加工は球状ドームである。エンボス加工された部分13は、エンボス加工4のピッチ6によってさらに画定される。このピッチ6は、二つの隣接するエンボス加工4の中心間の距離によって画定される。エンボス加工4はまた、その深さ7によって画定される。エンボス加工の深さ7は、エンボス加工されていないラッパー10の厚さに、エンボス加工4の突出部の高さを加えたものと等しい。各エンボス加工は、実質的に同じ深さ、ピッチ、およびプロファイルを有する。エンボス加工された部分13は、組み立てられた時にエアロゾル発生物品と直接的または間接的に接触する内表面401を有する。エアロゾル発生物品と直接的または間接的に接触しているのはデボス加工5である。エンボス加工4の内表面は、エアロゾル発生物品から離間している。エンボス加工された部分はまた、外表面402を有する。
【国際調査報告】