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特表2023-552718カプセル及び当該カプセルを製造するための製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】カプセル及び当該カプセルを製造するための製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20231212BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B65D85/804
A47J31/36 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530824
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021082805
(87)【国際公開番号】W WO2022112320
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20210284.4
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】リチャード, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ガーボーレット, アーノード
(72)【発明者】
【氏名】ベーマン, ヴェイス
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA16
4B104AA20
4B104EA30
(57)【要約】
本発明は、カプセルの内部空間の周りに延びる周方向側壁を有する本体であって、内部空間が飲料調製用の飲料原材料で充填される、本体と、側壁の第1の端部において内部空間を覆う基部壁と、基部壁と反対側の側壁の第2の端部においてカプセルの開口面の周りに周方向に配置されたフランジと、基部壁と第2の端部において内部空間とカプセルの開口面とを覆い、カプセルを閉鎖する蓋であって、フランジに取り外し可能に取り付けられる、蓋と、原材料と蓋との間で内部空間内に配置されたフィルタ要素と、蓋とフィルタとの間で内部空間内に設けられたキャリアディスクであって、カプセルが飲料調製デバイス内で使用されるときに、飲料を内部空間から外側に排出する予め形成された出口開口部を備える、キャリアディスクと、を備え、カプセルは、フランジと側壁との接合部又はその近傍において機械的変形部を備え、機械的変形部は、ディスクを内部空間内に保持する。
【選択図】 図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を調製するためのカプセルであって、
前記カプセルの内部空間の周りに延びる周方向側壁を有する実質的に剛性のカプセル本体であって、前記内部空間は、前記飲料を調製するのに適した飲料原材料で少なくとも部分的に充填される、カプセル本体と、
前記側壁の第1の端部において前記内部空間を覆う基部壁と、
前記基部壁と反対側の前記基部本体の前記側壁の第2の端部において前記カプセルの開口面の周りに周方向に配置されたフランジと、
前記基部壁と反対側の前記側壁の前記第2の端部において前記内部空間と前記カプセルの前記開口面とを覆い、前記カプセルをしっかりと閉鎖する蓋であって、前記カプセルの前記フランジに取り外し可能に取り付けられる、蓋と、
前記飲料原材料と前記蓋との間で前記カプセルの前記内部空間内に配置されたフィルタ要素と、
前記蓋と前記フィルタとの間で前記カプセルの前記内部空間内に設けられたキャリアディスクであって、前記カプセルが飲料調製デバイス内で使用されるときに、調製された前記飲料を前記内部空間から前記カプセルの外側に排出するのに適した予め形成された複数の出口開口部を備える、キャリアディスクと、を備えるカプセルにおいて、
前記カプセルは、前記カプセルの前記フランジと前記側壁との接合部又は前記接合部の近傍において少なくとも1つの機械的変形部を備え、前記機械的変形部は、前記キャリアディスクを前記カプセルの前記内部空間内に保持することを特徴とする、
飲料を調製するためのカプセル。
【請求項2】
前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部における前記少なくとも1つの機械的変形部が、前記カプセルの前記開口面の、前記基部壁と反対側の側面に位置する、請求項1に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項3】
前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部における前記少なくとも1つの機械的変形部が、前記カプセルの前記開口面と反対側の前記カプセルの側面に位置する、請求項1に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項4】
前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部における前記少なくとも1つの機械的変形部が、クリンプによる変形部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項5】
前記機械的変形部の数が、少なくとも2点、好ましくは3~10点である、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項6】
前記機械的変形部が、前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部において角度的に分布している、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項7】
前記機械的変形部が、前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部において均等に分布している、請求項6に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項8】
前記機械的変形部が、丸みを帯びたクリンプインプリントを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項9】
前記カプセル本体、前記蓋、及び前記キャリアディスクが、それぞれ主にアルミニウムから作られる、請求項1~8のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項10】
前記蓋が、前記蓋から突出する自由なプルタブを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料を調製するためのカプセル。
【請求項11】
飲料を調製するのに適したカプセル、特に請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法であって、前記方法が、
前記飲料を調製するのに適した飲料原材料で少なくとも部分的に充填される内部空間の周りに延びる周方向側壁と、前記周方向壁の第1の端部において前記内部空間を覆う基部壁と、前記基部壁と反対側の前記基部本体の前記側壁の第2の端部において前記カプセルの開口面の周りに周方向に配置されたフランジと、を有する実質的に剛性のカプセル本体を用意するステップと、
前記基部壁と反対側の前記カプセル本体の前記開口面を通して、ある量の前記飲料原材料で前記内部空間を充填するステップと、
前記飲料原材料で前記内部空間を充填した後に、前記カプセル本体の前記開口面を通して前記内部空間内にフィルタを挿入するステップと、
前記カプセル本体の前記開口面を通して前記内部空間内の前記フィルタの上にキャリアディスクを挿入するステップであって、任意選択で、前記フィルタ及びキャリアディスクが前記カプセルの前記内部空間内に同時に挿入され、前記キャリアディスクが、使用時に調製された飲料が前記カプセルから流出し得る複数の出口開口部を備える、ステップと、
プルタブを備え、前記開口面の上に延びる蓋を前記カプセルフランジに取り付けることによって、前記カプセルの前記開口面を閉鎖するステップであって、前記蓋が前記カプセルをしっかりと閉鎖する、ステップと、を含む方法において、
前記製造する方法が、前記カプセルの前記フランジと前記側壁との接合部又は前記接合部の前記近傍において前記カプセルを機械的に変形させるステップを更に含み、機械的変形部が、前記キャリアディスクを前記カプセルの前記内部空間内に保持する、ことを特徴とする、
カプセルを製造する方法。
【請求項12】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、前記カプセルの前記開口面を蓋で閉鎖する前記ステップの前に行われる、請求項11に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項13】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、前記カプセルの前記開口面を蓋で閉鎖する前記ステップの後に行われる、請求項11に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項14】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、前記カプセルの前記開口面の、前記基部壁と反対側の側面で行われる、請求項11~13のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項15】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、前記カプセルの前記開口面と反対側の前記カプセルの側面で行われる、請求項11~13のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項16】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、クリンプ方法を使用して行われる、請求項11~15のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項17】
前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップが、少なくとも1つのクリンプピンを使用して行われる、請求項11~16のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのクリンプピンが、丸みを帯びた端部形状を有する、請求項17に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項19】
前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部において前記カプセルを機械的に変形させる前記ステップ中に、前記カプセルが、少なくとも2点、好ましくは3~10点で変形される、請求項11~18のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項20】
前記機械的変形部が、前記カプセルの前記フランジと前記側壁との前記接合部において角度的に分布し、好ましくは均等に分布している、請求項19に記載のカプセルを製造する方法。
【請求項21】
請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセルの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、好ましくはクレマのないコーヒー、茶、ミルク又はチョコレートベースの飲料を調製するための、フィルタ要素を一体化したカプセルに関する。
【0002】
カプセルは、コーヒーなどの飲料を調製するための飲料原材料で少なくとも部分的に充填されるカプセルの内部空間の周りに延びる周方向側壁を有する実質的に剛性のカプセル本体と、側壁の第1の端部において内部空間を覆う基部壁と、基部壁の反対側の側壁の第2の端部において内部空間を覆う蓋と、を備える。カプセルは、その内部空間にフィルタと、開口部を備えるアルミニウムディスクとを一体化しており、蓋はカプセルに取り外し可能に取り付けられている。
【0003】
本発明はまた、当該カプセルを製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0004】
飲料調製デバイス内で飲料を調製するためのカプセルであって、当該特徴を示すカプセルは、先行技術から一般的に知られている。飲料調製デバイスは、カプセルが配置される淹出チャンバを備える。飲料調製デバイスからの液体は、カプセル内に注入されて、抽出可能な原材料、通常は焙煎され挽かれたコーヒー若しくは茶から飲料を抽出する、又はカプセルの内部空間内に収容された可溶性原材料、通常はインスタントコーヒー、インスタント茶若しくはインスタントミルク、又はチョコレートベースの製品から飲料を調製する。
【0005】
現在市販されているカプセルの多くの場合、保管中に飲料原材料の鮮度を維持又は延ばすために、飲料調製デバイス内で使用される前に、カプセルの内部空間は環境から密閉又は液密に閉鎖される。
【0006】
これに関して、カプセルは、多くの場合、内部空間の周りに延びる周方向側壁を有する実質的に剛性のカプセル本体と、側壁の第1の端部において内部空間を覆う基部壁と、を備える。基部壁と反対側の側壁の第2の端部において、カプセル本体は、開口充填側を有する。流体及びガスを通さない蓋、例えばアルミニウム蓋が、内部空間を覆うためにカプセル本体の開口充填側の上に設けられる。使用時に、カプセルは、好ましくは基部壁及び/又は蓋において穿孔されて、熱湯などの液体を注入するための注入開口部を形成してもよく、及び/又は調製された飲料がカプセルから出ることを可能にする出口開口部を形成してもよい。
【0007】
既知のカプセルは、より具体的には、高圧熱水を送り出す飲料調製デバイスを使用してエスプレッソタイプの飲料を調製するために考案されており、カプセル内への加圧熱水の注入は、コーヒー飲料原材料からの物質の抽出をもたらし、高圧淹出を使用する既知のピストンタイプのエスプレッソマシンで得られるようなクレマ層を有するエスプレッソ飲料に対応する泡を、飲料上に形成する。
【0008】
クレマのないコーヒー飲料、例えば、フィルタコーヒーとも呼ばれる泡のないコーヒー飲料の場合、通常、飲料原材料と水との混合物の非加圧濾過によって飲料が調製される特定の装置が使用される。
【0009】
クレマのないコーヒーの調製のために、加圧飲料デバイスで使用されるいくつかのカプセルが提案されている。
【0010】
欧州特許第2952125(A1)号は、カプセルの内部空間に収容された抽出可能な製品を使用して飲料を調製するためのカプセルを開示している。カプセルは、周方向の第1の壁と、第1の端部において周方向の第1の壁を閉鎖する第2の壁と、第2の壁と反対側の第2の開口端部において周方向の第1の壁を閉鎖する可撓性のシート状の穿孔及び/又は多孔性の第3の壁とを備え、それによって当該内部空間を形成する。第3の壁は、カプセルの軸方向においてカプセルの最も外側の境界を形成し、フィルタ紙などの織布又は不織布フィルタ材料を含む。
【0011】
国際公開第2019/013623(A1)号は、飲料原材料が充填された内部空間を境界付ける周方向壁及び基部壁を有する剛性のカプセル本体を備えるカプセルを提案している。基部壁と反対側の周方向壁の端部におけるカプセルの開口充填側は、液密材料の蓋で覆われる。蓋は、カプセルが飲料調製デバイス内で使用されるときに、調製された飲料を内部空間から排出するのに適した予め形成された出口開口部を備えている。出口開口部は、蓋の少なくとも一部の上に延びる取り外し可能なカバー要素によって液密に閉鎖される。
【0012】
しかしながら、これらの解決策は、カプセルの構造、消費者によるその人間工学的使用、及びカップ内の結果に関して、完全に満足できるものではない。
【0013】
したがって、提案された本発明の目的は、ドリップコーヒーマシンで作られるフィルタコーヒーの全ての特性を有し、消費者によって期待されるカップ内での期待される感覚的結果に適合する、クレマのないフィルタタイプのコーヒー飲料を製造するための単純な構造のカプセル及び対応する製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
この点において、本発明は、請求項1に記載され、本明細書に記載されるような、クレマのないコーヒー、茶、ミルク又はチョコレートベースの飲料を提供するためのカプセルを提供する。
【0015】
請求項に記載のカプセルは、飲料を調製するために意図されており、
カプセルの内部空間の周りに延びる周方向側壁を有する実質的に剛性のカプセル本体であって、当該内部空間は、飲料を調製するのに適した飲料原材料で少なくとも部分的に充填される、カプセル本体と、
カプセル本体と一体の剛性の基部壁であって、基部壁は、側壁の第1の端部において内部空間を覆う、剛性の基部壁と、
基部壁と反対側の基部本体の側壁の第2の端部においてカプセルの開口面の周りに周方向に配置されたフランジと、
基部壁と反対側の側壁の第2の端部において内部空間とカプセルの開口面とを覆い、カプセルをしっかりと閉鎖する蓋であって、カプセルのフランジに取り外し可能に取り付けられる、蓋と、
飲料原材料と蓋との間でカプセルの内部空間内に配置されたフィルタ要素と、
蓋とフィルタとの間でカプセルの内部空間内に設けられたキャリアディスクであって、カプセルが飲料調製デバイス内で使用されるときに、調製された飲料を内部空間からカプセルの外側に排出するのに適した予め形成された複数の出口開口部を備える、キャリアディスクと、を備える
本発明によれば、カプセルは、カプセルのフランジと側壁との接合部又は接合部の近傍において少なくとも1つの機械的変形部を備え、当該機械的変形部は、キャリアディスクをカプセルの内部空間内に保持する。
【0016】
飲料原材料として焙煎され挽かれたコーヒーを含むカプセルの例において、カプセルの特定の構造により、蓋の取り外し後にカプセルが飲料調製内で抽出されるときに、泡及びクリームの形成が制限されたコーヒーを得ることが可能になる。
【0017】
この淹れたてコーヒーは、クレマが少なく、すぐに消えてカップの周りにクレマの冠のみを残す、フィルタのようなコーヒーの主な特性を有する。このカップ内の結果は、香りがよく、柔らかく、滑らかで、甘みがありながら、ボディが軽く、酸味が少なく、苦みが少なく、刺激味のないコーヒーである。
【0018】
その特定の構造のおかげで、キャリアディスク及び同時にフィルタは、カプセルの抽出のために蓋が取り外されるときにカプセル内に保持される。同様に、飲料調製マシン内でのカプセルの抽出中及び抽出後(蓋が取り外されると)、カプセルの完全性が保たれ、コーヒー(湿潤コーヒー)粉末がカプセルから漏れ出ることはない。
【0019】
提案された発明のおかげで、請求項に記載のカプセルにおいて、キャリアディスクは、カプセルの内側に配置され、蓋から0.1mm~2mmの距離に保たれる。これにより、コーヒー床容積が抽出中に膨張するときに、キャリアディスクと飲料調製デバイスの抽出プレートの引き裂き面との間で起こり得る相互作用を回避することができる。
【0020】
実際に、カプセルは、飲料原材料の抽出が、8バール未満、より好ましくは5バール未満の圧力で行われる抽出プロセスを持続すべきである。
【0021】
この提案されたカプセル構造では、フィルタ要素は、コーヒードレインが通過するのを防止し、クレマ層の形成を低減するように適合された不織布材料の層を備える。
【0022】
現在想定されている解決策では、フィルタは、キャリアディスク上に配置される。これにより、カプセルの組み立てプロセスにおける容易な処理が可能になる。更に、フィルタはキャリアディスク上に固定されてもよい。
【0023】
カプセルの蓋は、蓋から突出する自由なプルタブを備える。プルタブは蓋と一体であり、蓋全体を取り外すことを可能にする。そして、この取り扱い及び開封は、より容易である。
【0024】
提案された実施形態では、蓋は、カプセル内のコーヒーのより良好な貯蔵寿命を確実するために、少なくともアルミニウム層を含む。
【0025】
加えて、蓋は、カプセルのフランジ上に蓋を封止するための食品グレード適合性を確実にするために、プラスチック層及び/又はヒートシール層を更に含んでもよい。
【0026】
好ましくは、キャリアディスクはアルミニウム製であり、カプセルがアルミニウムでできている場合、従来のアルミニウム流れでの容易なリサイクルを可能にする。
【0027】
好ましくは、カプセル本体、蓋、及びキャリアディスクは、それぞれ主にアルミニウムから作られる。アルミニウムの使用は、より良好なコーヒーの保護及びより長い貯蔵寿命を確実にする。更に、カプセルの寿命の終わりがより容易であり、リサイクルがより容易である。
【0028】
代替的な方法では、カプセル本体、蓋、及びキャリアディスクはそれぞれ、プラスチック、又は積層された若しくは多層のプラスチック要素で作られてもよい。
【0029】
提案されたカプセルは、飲料原材料を含む。飲料原材料は、好ましくは少なくとも4g、好ましくは4.5g~15gの量の挽かれたコーヒーである。
【0030】
本発明の提案された実施形態では、少なくとも1つの機械的変形部は、カプセルのフランジと側壁との接合部又は接合部の近傍において、基部壁と反対側の、カプセルの開口面の側面に設けられる。
【0031】
本発明の別の提案された実施形態では、少なくとも1つの機械的変形部は、カプセルのフランジと側壁との接合部又は接合部の近傍において、カプセルの開口面と反対側のカプセルの側面に設けられる。
【0032】
本発明によれば、カプセルのフランジと側壁との接合部における少なくとも1つの機械的変形部は、クリンプによる変形である。(カプセルの開口面の開口部の)直径を減少させることによるこのクリンプ変形は、(延性材料で作られた)カプセルを変形させることによってキャリアディスクをカプセルの内側に保持することを可能にする。
【0033】
カプセル内のキャリアディスクの十分かつ効率的な保持を提供するために、クリンプ点とも呼ばれる機械的変形部の数は、2~10個である。
【0034】
機械的変形部は、カプセルのフランジと側壁との接合部において角度的に分布し、好ましくは、機械的変形部は、カプセルのフランジと側壁との接合部において均等に分布している。
【0035】
機械的変形部は、カプセルのアルミニウム層への孔の形成を回避するために、丸みを帯びたクリンプインプリント(又は形状)を有する。
【0036】
本発明は更に、請求項に記載の飲料を調製するのに適したカプセルを製造する方法を提供する。
【0037】
提案された製造する方法は、
飲料を調製するのに適した飲料原材料で少なくとも部分的に充填される内部空間の周りに延びる周方向側壁と、カプセル本体と一体の剛性の基部壁であって、周方向壁の第1の端部において内部空間を覆う、基部壁と、基部壁と反対側の基部本体の側壁の第2の端部においてカプセルの開口面の周りに周方向に配置されたフランジと、を有する実質的に剛性のカプセル本体を用意するステップと、
基部壁と反対側のカプセル本体の開口面を通して、ある量の飲料原材料で内部空間を充填するステップと、
飲料原材料で内部空間を充填した後に、カプセル本体の開口面を通して内部空間にフィルタを挿入するステップと、
カプセル本体の開口面を通して内部空間内のフィルタの上にキャリアディスクを挿入するステップであって、任意選択で、フィルタ及びキャリアディスクがカプセルの内部空間内に同時に挿入され、キャリアディスクが、使用時に調製された飲料がカプセルから流出し得る複数の出口開口部を備える、ステップと、
プルタブを備え、開口面の上に延びる蓋をカプセルフランジのフランジに取り付けることによって、カプセルの開口面を閉鎖するステップであって、蓋がカプセルをしっかりと閉鎖する、ステップと、を含む。
【0038】
本発明によれば、製造する方法は、カプセルのフランジと側壁との接合部又は接合部の近傍においてカプセルを機械的に変形させるステップを更に含み、当該機械的変形部が、キャリアディスクをカプセルの内部空間内に保持する。
【0039】
提案された製造プロセスは、フィルタ及びキャリアディスクを挿入し、カプセルをクリンプするための新しいマシン又はモジュールを挿入すること以外に大きな変更はなく、従来のカプセル製造ラインにおいて容易に実施することができる。
【0040】
フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、カプセルの開口面を蓋で閉鎖するステップの前に行われる。このプロセスでは、クリンプ中に蓋を穿孔する危険性がなく、蓋が組み立てられると、製品の密封性が完全に保たれる。
【0041】
代替実施形態では、フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、カプセルの開口面を蓋で閉鎖するステップの後に行われる。
【0042】
フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、カプセルの開口面の、基部壁と反対側の側面で行われる。
【0043】
代替実施形態では、フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、カプセルの開口面と反対のカプセルの側面で実行される。
【0044】
フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、クリンプ方法を使用して行われる。この方法の利点は、開口部/穿孔領域の形成なしで側壁が変形されることである。
【0045】
フランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップは、少なくとも1つのクリンプピンを使用して行われる。
【0046】
少なくとも1つのクリンプピンは、カプセルの側壁を穿孔することを回避するために、丸みを帯びた端部形状を有する
本発明によれば、カプセルのフランジと側壁との接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップ中に、カプセルは、少なくとも2点、好ましくは3~10点で変形される。8つのクリンプ点を有する解決策を、ディスクの本当に良好な固定と、容易に製造することができるクリンプ工具とのバランスとして試験し、検証した。
【0047】
機械的変形部は、カプセルのフランジと側壁との接合部において角度的に分布し、好ましくは均等に分布している。保持力を等しく分割するために、ディスク表面全体を均等に覆うことが有利である。これにより、カプセル内のディスクの最良の固定効果が与えられる。
【0048】
本発明の特定の実施形態は、以下の詳細な説明において記載される。これらの目的は、本発明、すなわちカプセル、システム及びカプセル製造方法によって達成される。
【0049】
本発明は、本発明の一部を形成する以下の実施例及び図面を参照して更に説明される。図面は、明確かつ明示的に示されない限り、いかなる意味でも本発明の範囲の限定を反映するものではない。請求項に記載の本発明は、形はどうあれ、これらの実施形態及び図によって限定されることを意図するものではないことが理解されよう。
【0050】
図は、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の概略図にすぎないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例として説明する。
図1a】本発明による、飲料調製デバイス内で使用する前にしっかりと閉鎖されたカプセルの斜視側面図である。
図1b】本発明による、蓋が部分的に取り外されたカプセルの斜視側面図である。
図1c】本発明による、蓋が取り外され、飲料調製デバイス内で使用される準備ができているカプセルの斜視側面図である。
図2a】本発明の第1の実施形態によるカプセルの概略断面図である。
図2b図2aのカプセルの特定された底部の拡大図である。
図2c】カプセル内に組み立てられる前の図2aのカプセルのキャリアディスクの図である。
図3a】本発明の第2の実施形態によるカプセルの概略断面図である。
図3b図3aのカプセルの特定された底部の拡大図である。
図4a】第1の提案された実施形態による、4つのクリンプ点を有するカプセル内に組み立てられた後の図2aのカプセルのキャリアディスクの概略図である。
図4b】第1の提案された実施形態による、8つのクリンプ点を有するカプセル内に組み立てられた後の図2aのカプセルのキャリアディスクの概略図である。
図5a】第1及び第2の提案された実施形態による、カプセル内にキャリアディスクを組み立てるための提案されたプロセスの概略図である。
図5b】第1及び第2の提案された実施形態による、カプセル内にキャリアディスクを組み立てるための提案されたプロセスの概略図である。
図6a】本発明の第3の実施形態による、カプセルの特定された底部の拡大図である。
図6b】第3の提案された実施形態による、カプセル内にキャリアディスクを組み立てるための提案されたプロセスの概略図である。
図7】追加の提案された実施形態による、カプセル内にキャリアディスクを組み立てるための提案されたプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。言い換えれば、それらは、「含む」であるが「限定するものではない」との意味を意図するものである。
【0053】
本明細書における先行技術文献へのいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものとみなされるべきではない。
【0054】
図1aは、保管状態として定義される、飲料調製デバイス内で使用する前の本発明によるカプセル1を示す。図2の参照を使用すると、図1aのカプセル1は、剛性のカプセル本体2を備える。本体2は、本体の内部空間の周りに周方向に延びる円錐台形の側壁2aを備える。カプセルは、カプセル本体2の側壁の第1の端部において内部空間を閉鎖する、カプセル本体2と一体の基部壁3を更に備える。フランジ4は、カプセル本体の側壁2aの第2の端部から半径方向外向きに延びる。側壁の第2の端部において、カプセル本体2は、開口充填側を有する。
【0055】
通常通り、カプセル本体2は、食品グレードになるように加工され、ほとんどの場合、カプセル本体の内側に塗布されたラッカー層又はポリマーフィルム層(図9bにおいて2bとして特定された)を含む。
【0056】
カプセルは、カプセル本体のフランジ4に取り付けられ、それによってカプセルを密閉する蓋5を更に含む。蓋5は、プルタブ6を引っ張ることによってカプセルから手動で取り外されてもよい。この場合、プルタブ6は蓋5と一体であるが、代替的な解決策が利用可能である。
【0057】
蓋5は、封止側に任意選択のラッカー層又はポリマー層を有するアルミニウム製の可撓性シート状の箔である。
【0058】
蓋5がその封止側にラッカー層を含む場合、ラッカー層の厚さは0.003mm~0.03mmであってもよい。蓋5が封止側にポリマー層を含む場合、ポリマー層の厚さは0.01mm~0.05mmであってもよい。
【0059】
プルタブを使用して取り外されることが意図される蓋5は、接着層を使用してフランジ4に取り付けられる。接着材料は、接着材料の層の形態で適用され、例えば、ヒートシールラッカー層又はポリマーフィルム層であってもよい。
【0060】
一例として、接着材料を形成する封止層は、0.003mm~0.03mmの層であってもよい。
【0061】
接着材料の層は、カプセル1に損傷を与えることなく、カプセルのフランジ4に対する蓋5の取り外しを可能にする。
【0062】
カプセルの内部空間は、カプセルが閉鎖される前に飲料原材料で充填される。この場合、カプセルは、焙煎され挽かれたコーヒーの新鮮さを維持するために、カプセルが蓋5でしっかりと閉鎖される前に焙煎され挽かれたコーヒーのコーヒー床で充填される。コーヒーの重量は、カプセルのサイズに応じて4g~15gの範囲である。しかしながら、茶、ミルク又はチョコレート原材料が想定され得る。
【0063】
図1bのカプセルは、プルタブ6を引き裂くことによって蓋5が部分的に取り外された図1aのカプセルを示し、図1cでは、蓋5が完全に取り外された同じカプセルを示す。見て分かるように、カプセルの第2の端部(充填側)は、もはや閉鎖されておらず、カプセルの内側に、キャリアディスク7として画定される膜を示す。キャリアディスク7は、飲料調製デバイス内で調製される飲料(ここではコーヒー)のための、予め形成された複数の出口開口部8を備える。カプセルはまた、キャリアディスク7をカプセルの内部空間内に保持する、側壁2aとフランジ4との間の接合部で行われる機械的変形部11a、11b、11c...を備える。4つの機械的変形部11が、図1bに見られる。これらの機械的変形部11a、11b、11c...は、図1cのカプセル上にも見られ、実際に8つの機械的変形部を観察することができる。それらの機能及びそれらが実行される方法は、図2a及び以下に関連して説明される。
【0064】
キャリアディスク7の予め形成された出口開口部8は、カプセルの蓋5によって覆われ、それによってカプセルを閉鎖して、保管中にカプセル内の飲料原材料の鮮度を確実にするためにカプセルの内部空間の気密封止を維持する。
【0065】
本発明のカプセルの様々な実施形態の断面図(例えば図2a参照)に見られるように、カプセルは、コーヒー床とキャリアディスク7との間に配置されたフィルタ要素9をカプセルの内部空間に更に備える。フィルタ要素9は、飲料原材料の固体粒子、例えばコーヒー粒子又は茶葉が、抽出中にカプセルから最終消費者カップ内に流出することを防止する。
【0066】
提案された発明では、カプセル本体2及び蓋5は、それぞれ主にアルミニウムから作られる。
【0067】
しかしながら、カプセル本体及び蓋のために、他の材料が想定されてもよい。
【0068】
例えば、カプセル本体及び蓋は、プラスチックポリマー材料で作られてもよく、又はカプセル本体及び蓋は、紙ベースの材料で作られてもよい。
【0069】
理解されるように、本発明のカプセルは、従来のNespresso(登録商標)コーヒーカプセルと互換性のある従来の高圧飲料調製デバイスを使用して抽出される。飲料調製デバイスは、ある量の水などの流体を0.1バール~20バールの圧力でカプセルに供給することができる流体分配デバイスと、カプセルを保持するための第1の部分及び淹出チャンバを閉鎖するための第2の部分を備える淹出チャンバと、を備え、淹出チャンバの第2の部分は、カプセルの基部壁と反対側の第2の端部においてカプセルと係合するための引き裂き面を示す抽出プレートを備える。
【0070】
飲料調製デバイスにおける、閉鎖されたカプセルの従来の抽出プロセスを要約すると、カプセルは、飲料調製デバイスの淹出チャンバ内に挿入される。流体分配デバイスは、コーヒーを浸出させ、次いで抽出するために、カプセル内の基部壁3を通してカプセルにある量の水などの流体を供給する。カプセル内の圧力が上昇すると、カプセルの蓋が抽出プレートの引き裂き面と接触し、蓋が当該引き裂き面によって変更されて、コーヒーがカプセルから流出することができる開口部の形成につながる。
【0071】
コーヒーを流出させるために蓋と引き裂き面との相互作用によって蓋の表面に出口開口部を形成することは、調製プロセスにおける泡及びクリームの形成に関与する。
【0072】
従来のカプセル(閉鎖されたカプセル)を上述のプロセスと共に使用することにより、8バール~20バールの圧力でのコーヒーの抽出につながる。
【0073】
本発明のカプセルの抽出プロセスでは、カプセルの蓋は、飲料調製デバイスの淹出チャンバ内にカプセルを挿入する前に取り外される。流体分配デバイスは、コーヒーを浸出させ、次いで抽出するために、カプセル内の基部壁3を通してカプセルにある量の水などの流体を供給する。抽出されたコーヒーは、フィルタ要素9を通過し、次いで、キャリアディスク7の出口開口部を通って流出する。抽出中、(カプセルのフランジからある距離にある)キャリアディスク7は、飲料調製デバイスの抽出プレートの引き裂き面と接触しないので、キャリアディスク7は、カプセルの抽出中の引き裂きによって変更されない。
【0074】
(従来の飲料調製デバイス内での)本発明のカプセルの使用により、カプセル内のコーヒーの量及びフィルタ要素構造に応じて、0.1バール~8バールの圧力でのコーヒーの抽出につながる。
【0075】
蓋が、飲料調製デバイス内での使用前にカプセルから取り外され、キャリアディスクがカプセル内に配置される(例えば図2a参照)という事実により、キャリアディスク7と抽出プレートの引き裂き面との間に相互作用はない。
【0076】
より詳細には、飲料調製デバイス内で本発明のカプセル1を使用してコーヒーを調製するとき、ユーザは、カプセルを飲料調製マシンに挿入する前にプルタブ6を引き裂くことによって蓋5を取り外す。カプセル本体2の基部壁3は、コーヒー飲料の調製のために圧力下で水をカプセル内に供給するための飲料調製デバイスの穿孔手段によって更に穿孔され、開封される。
【0077】
飲料調製デバイス内で使用されるときにカプセルが閉鎖されていない(蓋5が取り外され、出口開口部がアクセス可能である)という事実により、カプセル内で上昇する抽出圧力が制限され(0.1~6バール)、抽出中の泡及びクリームの形成が制限される。
【0078】
したがって、コーヒー/蓋/開口要素(複数可)と飲料調製デバイスの抽出プレートの引き裂き面との間の相互作用において、(従来のカプセルの使用と同様に)圧力上昇及び急激な圧力低下が生じないので、結果として得られるカップ内のコーヒーは、クレマがほとんどない、又は全くない。
【0079】
本発明のカプセルにより、カプセル内の飲料原材料に応じて、クレマのないコーヒー、茶、ミルク又はチョコレートを調製することが可能になる。
【0080】
図2aは、本発明のカプセルの第1の実施形態を示す。開示されるように、カプセルは、予め形成された複数の出口開口部8を備えるキャリアディスク7を内部空間内に備える。
【0081】
図2aの特定された底部部分の拡大された断面図である図2bに示されるように、キャリアディスク7は、蓋5から0.1mm~2mmの距離でカプセル内に配置され、蓋5は、フランジ4上に封止される。
【0082】
カプセル蓋5(したがって、抽出のために蓋が取り外された後のフランジ4)とキャリアディスク7との間のこの間隙は、飲料調製デバイスの抽出プレートの引き裂き面がキャリアディスク7、したがってカプセル内のコーヒーに接触することなくカプセルの内側に突出するための凹部を提供する。
【0083】
キャリアディスク7は、図2cに示されるように実質的に円形の材料であり、その直径は、キャリアディスク7が組み立てプロセスに応じて配置される/挿入される/維持される場所におけるカプセルの内径にほぼ等しい。
【0084】
したがって、提案された実施形態では、キャリアディスク7の直径は、約29.5~30.5mmである。
【0085】
提案された実施形態では、キャリアディスクはアルミニウム製である。その厚さは約0.3mmであるが、0.1mm~1mmの間で変化してもよい。
【0086】
提示された解決策では、キャリアディスク7は、カプセル1の側壁2aとフランジ4との間の接合部においてカプセル上に作られた局所的な機械的変形部11のおかげで、カプセルの内側に維持される。図2bの詳細な断面図では、1つの機械的変形部11が見られる。機械的変形部は、クリンプ点11の形態であり、カプセルの開口面の、基部壁3と反対側の側面に位置する。
【0087】
カプセルは延性材料、好ましくはアルミニウムで作られているので、クリンプによる機械的変形部により、直径が減少し、それによってキャリアディスク7(及びフィルタ)をカプセルの内側に保持することが可能になる。キャリアディスクは、カプセル1内に保持される。
【0088】
ここで、製造プロセス中、蓋5でカプセルを閉鎖する前に、クリンプ点11につながるフランジ4と側壁2aとの接合部においてカプセルを機械的に変形させるステップが、カプセルに対して行われる。
【0089】
2~10個のクリンプ点であるクリンプ点11(図1cでも見られる)は、カプセルのフランジと側壁との接合部において、カプセルの開口面の周囲に角度的に分布している。
【0090】
クリンプ点を作製するために使用される工具を考慮して、クリンプ点11は、好ましくは、カプセルの開口面の周囲に均等に分布している。
【0091】
加えて、クリンプ点11は、使用されるクリンプ工具に従って丸みを帯びたクリンプインプリントを有してもよい。
【0092】
代替的方法において、キャリアディスク7は、プラスチックで、又は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、若しくは任意の他の半結晶性ポリマーなどのポリオレフィンを含む積層膜で作られてもよい。キャリアディスク7は、コート紙、ラミネート紙、又は成形紙のような、紙ベースの材料で作られてもよい。
【0093】
図2cに見られるように、予め形成された出口開口部9は、キャリアディスクの表面上に均一に分布した円形の開口部である。出口開口部のこの均一な分布は、カプセル1から流出するコーヒーの均一な流れを確実にする。これはまた、カプセル内の飲料(コーヒー床)によるチャネルの生成を回避するのに役立つ。
【0094】
開口部は、約0.75mm~1mmに設定された直径を有するが、直径は、0.4mm~3mmの間、最も好ましくは0.5mm~1.3mmの間で変化してもよい。
【0095】
予め形成された出口開口部の数は、カプセルのサイズ及びどれだけ速いコーヒーの送り出しが望まれるかに応じて変化してもよい。開示された実施形態では、キャリアディスク7は、50~150個、好ましくは約90個、示された実施形態では92個の開口部を備える。
【0096】
代替的な実施形態では、予め形成された出口開口部は、楕円形であってもよい。
【0097】
提示されるように、カプセルは、可能な組み立てプロセス中に、カプセルの充填後に原材料床(例えばコーヒー床)上に配置されるフィルタ要素9を更に備え、キャリアディスク7は、フィルタ要素と蓋5との間に配置される。
【0098】
カプセルが逆さまにされ、図2bの拡大図に示されるように、フィルタ要素9がキャリアディスク7上に位置する。次に、フィルタ要素は、カプセル内のキャリアディスク7によって支持される。フィルタは、カプセル内で平坦に維持され、抽出中に飲料調製デバイスの抽出プレートの引き裂き面に接触することはない。
【0099】
ツーピース設計の使用は、封止不可能なフィルタ材料の使用を可能にし得、これは、持続可能性のための利点であり得る。
【0100】
この実施形態で提案されるように、フィルタ要素9は、キャリアディスク7の直径よりも小さい直径、すなわち28mm~30.5mm、一般にディスクキャリアよりも0.1mmn小さい直径を有する円形(ディスク形状)である。
【0101】
しかしながら、代替的な実施形態において、フィルタ要素9の直径は、キャリアディスク7の直径と同様であり得る。
【0102】
フィルタ要素9は、クレマ層の生成を回避する目的で、かつコーヒードレインがディスクキャリアを通過してカップに直接進むことを回避する目的で、飲料の抽出中にコーヒードレインが過度に遅く又は過度に速く通過することを防止/抑制するように適合された不織布材料で作られる。
【0103】
フィルタは、好ましくは堆肥化可能及び/又は生分解可能な材料で作られ、以下の技術的特徴を有するセルロースベースの材料で作られてもよい。それは、例えば紙ベースのフィルタ要素であってもよい。
【0104】
提案された実施形態のフィルタ要素9は、20~300ミクロンの厚さ、ISO9237による100~5000l/m2/sの範囲の空気透過率、及び5~600g/m2の範囲の重量を備える。それは、例えば紙ベースのフィルタ要素であってもよい。
【0105】
フィルタ要素は、任意の既知の手段によって別のフィルタリング層に接続された不織布材料の層を含んでもよい。
【0106】
図2a~図2cの提案された実施形態では、フィルタ要素9及びキャリアディスク7は、互いの上に配置された独立した要素である。しかしながら、それらは、例えば接着によって一緒に組み立てられてもよい。これにより、フィルタ及びキャリアディスクの挿入が1つのステップで行われるので、カプセル内の組み立てプロセスが変更される。
【0107】
提案された円形のキャリアディスク7は、円錐台形状を有するカプセルに嵌合(圧力嵌め)するように、キャリアディスク7の周囲にテーパ形状を有してもよい。しかしながら、カプセル内のキャリアディスクの他の代替的な形状及び配置が想定されてもよい。
【0108】
飲料調製マシンにおいて、蓋5が取り外され、カプセル1が抽出されたときに、キャリアディスク7及びフィルタ要素9がカプセル内の定位置にとどまることが重要である。いくつかの組み立てプロセスが考慮されてもよく、本発明によるカプセルの提案された実施形態に関連して後に開示される。
【0109】
図3a及び図3bに示される本発明の第1の実施形態の更に発展した解決策(図3aの詳細)では、例えば不織布材料で作られた第2のフィルタがカプセルの内側に追加される。第2のフィルタ要素は、蓋に面する側(飲料調製デバイスのピラミッドプレートに直接面するコーヒーの反対側)で、キャリアディスク上に配置され、蓋に接触することなくキャリアディスクに固定され得る。
【0110】
この第2のフィルタ10の目的は、穿孔が切頂ピラミッドの平坦な上面と一致する場合にコーヒーの横方向の流れを可能にすることである。
【0111】
上述したように、第2のフィルタ要素は不織布材料で作られるが、必要な機能に適合する任意の適切な要素で作ることができる。
【0112】
第2のフィルタ要素は、28mm~30.5mmの、以下の寸法を有することができる。
【0113】
提案された実施形態では、第2のフィルタ要素は、キャリアディスク7よりもわずかに小さい直径を有する実質的に円形である。
【0114】
図2a~図2cに関連して提案された組み立てプロセス及び構成は、この更に発展した解決策に依然として適用することができる。
【0115】
図4a及び図4bは、図2aのカプセルにキャリアディスク7が挿入され、蓋を取り付けることによってカプセルの開口面を閉鎖する前に、それぞれ4つ及び8つのクリンプ点でカプセル内に組み立てられた状態の、図2aのカプセル(カプセルの開口面から見た図)を表す。
【0116】
クリンプ点(機械的変形部)の数は、キャリアディスク7(及びキャリアディスクによって支持されるフィルタ要素9)をカプセル1内に十分かつ効率的に保持することを可能にするために、2~10個の間で変化してもよい。
【0117】
クリンプ点11は、カプセルの側壁2aとフランジ4との間の接合部において、カプセルの開口面周囲の周りに角度的に分布している。好ましくは、本明細書に提示されるように、クリンプ点は、カプセルの開口面の周囲に沿って均等に分布している。
【0118】
カプセルを機械的に変形させるステップ中に現在使用されている工具細工は、実質的に丸みを帯びたクリンプインプリントを有するクリンプ点を有することを可能にする丸い端部形状を有する。
【0119】
図5a及び図5bは、図2aによるカプセルの機械的変形がどのように行われ得るかを概略的に示す。
【0120】
図5aは、キャリアディスク7が挿入されたカプセル1を(断面で)示す。それぞれが丸みを帯びた端部形状19を有する2つのクリンプピン18aを備えるクリンプ工具(クランプ工具とも呼ばれる)18が見られ、このクリンプ工具は、カプセル本体の局所的な変形を引き起こすために、カプセルの開口面から、側壁2aとフランジ4との間の接合部においてカプセル上に押圧する準備ができた位置にある。
【0121】
図5bは、クリンプ工具18によって側壁2aとフランジ4との間の接合部を機械的に変形させた後の同じカプセルを示す。見て分かるように、この特定の位置におけるカプセル上の機械的変形部は、クリンプ点11を誘発し、各機械的変形部に対して(材料の物理的移動により)ビード20を生成している。
【0122】
飲料原材料、フィルタ要素9及びキャリアディスク7は、カプセルの機械的変形のステップ中にカプセル内にとどまるべきであるので、このステップは、カプセルがその開口面を上向きに位置している間に行われる。
【0123】
この構成では、形成されるビード20(バリと呼ぶこともできる)は、キャリアディスク7の上方に位置する。
【0124】
図2a及び図2bのカプセルを考慮すると、ビード20はキャリアディスク7の下に位置し、したがってキャリアディスク7をカプセル内に保持することを可能にする。
【0125】
カプセル上で行われるクリンプ点11の数に応じて、クリンプ工具18は、2~10個のクリンプピン18aを備える。したがって、クリンプ工具は、角度的に分布したクリンプピン18aを有する。
【0126】
図5a及び図5bでは、封止手段21がカプセル上に存在する。これらの封止手段は、例えば欧州特許第1654966(B1)号に開示されているように、飲料調製マシンのカプセル係合部材の封止プロファイルとの流体封止係合を提供する。
【0127】
図から明らかなように、カプセルの機械的変形中に封止手段21が損傷することはなく、封止手段によって提供される封止機能は維持される。
【0128】
例えば、欧州特許第2303077(B1)号又は同第2387922(B1)号に開示されているように、カプセルのフランジ上の突起及び/又はフランジの変形によって作られた封止手段の封止機能は、機械的変形部の特定の位置のおかげで保持される。
【0129】
完全な製造プロセスをより良く理解するために、図2aによるカプセルに至るこのプロセスのステップを以下に示す。
【0130】
まず、飲料を調製するのに適した飲料原材料で少なくとも部分的に充填される内部空間の周りに延びる周方向側壁2aを有する実質的に剛性のカプセル本体2が提供される。このカプセル本体の製造は、アルミニウム箔の深絞りによって行うことができるが、カプセル本体の材料に応じて他の技術が存在する。
【0131】
前述したように、カプセル本体2は、側壁2aと、底壁3と、底壁と反対側のカプセルの開口面におけるフランジ4と、を備える。
【0132】
次いで、内部空間は、カプセルの開口面を通してある量の飲料原材料で充填される。飲料原材料の量は、飲料、コーヒー、茶などのタイプに依存するが、飲料が行われる範囲(ルンゴなど)にも依存する。
【0133】
カプセルが飲料原材料で充填されると、フィルタ要素9は、カプセル本体の開口面を通して内部空間に挿入される。したがって、図5aの構成(カプセルの開口面が上方に向けられている)では、フィルタ要素は、飲料原材料の上部のカプセル内に挿入される。
【0134】
続いて、キャリアディスク7は、カプセル本体の開口面を通して、内部空間内のフィルタ要素9の上に挿入される。
【0135】
既に詳述したように、キャリアディスク7は、使用時に調製された飲料がカプセルから流出し得る複数の出口開口部8を備える
オプションとして、フィルタ要素9及びキャリアディスク7は、カプセルの内部空間に同時に挿入されてもよい。両方の要素は、一緒に挿入されるときに一緒に取り付けられてもよく、又は取り付けられなくてもよい。
【0136】
次いで、先に説明したように、キャリアディスクをカプセルの内部空間内に保持することを提供するために、フランジと側壁との接合部又は接合部の近傍においてカプセルを機械的に変形させる(クリンプとも定義される)ステップが行われる。クリンプは、いくつかの点で同時に行われてもよく、上で開示された特定のクリンプ工具18により2~10個のクリンプ点で行われてもよい。好ましくは、クリンプ点は、フランジとカプセルの側壁との接合部において、カプセルの開口面の周囲に沿って均等に分布している。
【0137】
カプセルの開口面は更に、蓋5を取り付けることによって閉鎖される。蓋の材料に応じて、様々な技術を使用してもよい。アルミニウムリード(lakerを含む)の場合、ヒートシールが使用されることがある。
【0138】
提案されたカプセルによれば、蓋5はプルタブ6を備える。
【0139】
カプセルの密閉を行う蓋は、飲料調製デバイス内でカプセルを使用する前にカプセルから取り外されてもよい
次いで、カプセルは製造ラインから取り外され、使用の準備が整う。
【0140】
クリンプステップ中に封止手段21が損傷することはなく、したがって、それらの関連する封止機能は完全に維持されることに留意されたい。
【0141】
上記の開示では、カプセルを機械的に変形させるステップは、カプセルの開口面を蓋で閉鎖するステップの前に行われるが、変形ステップは、カプセルの開口面を蓋で閉鎖した後に行われることが想定され得る。
【0142】
図6a及び図6bに示されるように、キャリアディスク7をカプセル本体内に維持することを目的とする少なくとも1つの局所的な機械的変形は、カプセルの開口面と反対側のカプセルの側面から、フランジの縁部の位置、すなわち、側壁2aとフランジ4との間の接合部において行われる。ここで、機械的変形は、カプセル本体2の側壁2aの側面に直接適用される。
【0143】
同様に、図5a及び図5bの説明のように、キャリアディスク7をカプセル内に保持するために、少なくとも1つのクリンプピン18aを備えるクリンプ工具18を使用して、カプセルの特定の位置で機械的変形部を提供する。
【0144】
この変形例は、蓋5がカプセルに配置及び/又は封止される前又は後に行うことができる。この変形例が使用される場合、キャリアディスク7とカプセル本体のフランジとの間の距離は、局所的変形がカプセル本体の側壁上で行われるときの距離よりも小さくなる(ただし、抽出中にキャリアディスクと飲料デバイスのピラミッドの場所との相互作用を避けるには十分である)(図6b)。
【0145】
図7は、カプセルの外側からのカプセルの局所的な変形によって、カプセルのキャリアディスク7がカプセル本体内にクランプされる組み立てプロセス中に、カプセルを機械的に変形させる図を提案する。
【0146】
図7の組み立てプロセスでは、キャリアディスク7(又はキャリアディスク7とフィルタ要素9)がカプセル本体7内に挿入されると、キャリアディスク7がカプセルの内部空間内に配置されたときのキャリアディスク7のレベルのすぐ上で、カプセルのフランジと側壁との接合部の近くで外側から、クリンプ工具18がカプセル本体を押圧して、カプセル本体の局所的な変形11を引き起こす。この局所的な変形のおかげで、キャリアディスク7はカプセル内の所定の位置に維持される。
【0147】
外側からのカプセル本体の外側の局所的な変形は、その周上で、例えば90°ごとに行われる。これは、キャリアディスク7の効率的な保持を確実にするのに十分である。
【0148】
提示されるように、フランジと側壁との接合部において局所的にカプセルを機械的に変形させるステップは、クリンプ方法を使用して行われるが、この特定の位置においてカプセルを機械的に変形させるための他の方法、例えばスタンピング、金属引き抜き、エンボス加工などが使用されてもよい。
【0149】
カプセル本体2内でのキャリアディスク7(フィルタ要素9の有無にかかわらず)の保持を改善するために、キャリアディスク並びに製造及び組み立てプロセスのための示された実施形態は、必要かつ可能なときはいつでも組み合わせることができる。
【0150】
示されたカプセルは、カプセルと飲料製造マシンの注入部との間の液密性を確実にする、カプセルのフランジ上に位置する封止手段と関連付けられてもよい。例えば、封止手段は、フランジの基部及びカプセル本体の側壁上に適用されたシリコンリング、又はフランジ上に形成された(及びフランジと一体の)1つ以上の突起若しくはブリッジであってもよい。このような封止手段(図示せず)は、飲料製造マシンとの液密構成に関与する。
【0151】
本発明を例として説明してきたが、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び改変を加えることができることが理解されるべきである。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】