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特表2023-552748細胞表面タンパク質を提示する生物学的小胞及びそれに関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】細胞表面タンパク質を提示する生物学的小胞及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20231212BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/66 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/37 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/48 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/42 20060101ALI20231212BHJP
   C12N 1/02 20060101ALI20231212BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 D
G01N33/53 S
C12Q1/02
C12Q1/66
C12N5/10
C12N7/01
C12Q1/37
C12Q1/48 Z
C12Q1/42
C12N1/02
C12Q1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533300
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021061120
(87)【国際公開番号】W WO2022119805
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/227,039
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/120,167
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,021
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-マーティン, ナディア
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ショーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】カオ, シェンヤ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045DA36
2G045FB01
2G045FB03
2G045FB12
4B063QA05
4B063QA08
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QQ13
4B063QQ22
4B063QQ27
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4B063QQ36
4B063QQ43
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QR07
4B063QR13
4B063QR16
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4B065AA93Y
4B065AA95X
4B065AA97Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065BD14
4B065CA24
4B065CA46
(57)【要約】
細胞表面タンパク質を提示する生物学的小胞、並びにそのような小胞を使用してタンパク質-タンパク質相互作用を同定及び特徴付ける方法が本明細書で提供される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質-タンパク質相互作用を同定するための方法であって、
(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供することと、
(b)異種膜結合タンパク質と前記標的ポリペプチドの少なくとも1つとの結合を可能にする条件下で、工程(a)の前記集合体を、前記異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることであって、前記異種膜結合タンパク質が、前記BVの表面上に閾値レベル以上で発現される、工程(a)の前記集合体を、前記異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることと、
(c)前記異種膜結合タンパク質と少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それによりタンパク質-タンパク質相互作用を同定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記標的ポリペプチドの1つ以上が、前記1つ以上の固体表面上の別個の位置に固定化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
相互作用を検出することが、前記固体表面上の位置で、閾値レベルを超えるシグナルを検出することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜出芽物質が、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膜出芽物質が検出可能なマーカーを更に含み、相互作用を検出することが、前記固体表面上の位置で、閾値レベルを超える前記検出可能なマーカーのレベルを検出することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記検出可能なマーカーが、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素がウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)であり、前記基質がRluc基質である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記BVが膜マーカーを含み、相互作用を検出することが、前記固体表面上の位置で、閾値レベルを超える前記膜マーカーのレベルを検出することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記膜マーカーがコレステロールマーカーである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コレステロールマーカーがAMPLEXTMRedである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記相互作用が一過性の相互作用である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記相互作用が低親和性相互作用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記異種膜結合タンパク質が完全長タンパク質である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記異種膜結合タンパク質が、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アンカーが、前記タンパク質フラグメントをBVの膜の表面に繋ぎ止める、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アンカーが、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記タグを、直接的又は間接的に視覚化することができる、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記タグが、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記タグが、糖タンパク質D(gD)ポリペプチドである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記異種膜結合タンパク質の発現レベルが、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイを使用して決定される、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記タグがgDポリペプチドであり、前記異種膜結合タンパク質の発現が、抗gD抗体を使用して検出され、前記閾値レベルが、30℃で前記BLIアッセイを使用して測定した場合に、1.5nmのシフトである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記タグが蛍光タンパク質を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記異種膜結合タンパク質が、膜貫通受容体又はそのフラグメントである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記受容体が1回膜貫通(STM)受容体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質フラグメントが細胞外ドメインである、請求項14~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
標的ポリペプチドの前記集合体の各メンバーがFcタグ付き細胞外ドメインであり、前記固体表面がプロテインAでコーティングされている、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも25%の前記細胞外ドメインを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも50%の前記細胞外ドメインを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも75%の前記細胞外ドメインを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも90%の前記細胞外ドメインを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の全ての前記タンパク質の前記細胞外ドメインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む、異種膜結合タンパク質であって、前記BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含む、BV。
【請求項33】
BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含む異種膜関連タンパク質であって、前記BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含み、前記BVが、(i)前記異種膜結合タンパク質及び前記膜出芽物質を発現するように改変された親細胞を提供すること、並びに(ii)前記親細胞から前記BVを単離すること、を含む方法によって生成される、BV。
【請求項34】
前記膜出芽物質が、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される、請求項32又は33に記載のBV。
【請求項35】
前記アンカーが、前記タンパク質フラグメントをBVの脂質膜の表面に繋ぎ止める、請求項32~34のいずれか一項に記載のBV。
【請求項36】
前記アンカーが、GPIポリペプチドである、請求項32~35のいずれか一項に記載のBV。
【請求項37】
前記タグを、直接的又は間接的に視覚化することができる、請求項32~36のいずれか一項に記載のBV。
【請求項38】
前記タグが、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含む、請求項37に記載のBV。
【請求項39】
前記タグが、gDポリペプチドである、請求項37又は38に記載のBV。
【請求項40】
前記タグが蛍光タンパク質を含む、請求項37に記載のBV。
【請求項41】
前記タンパク質フラグメントが、膜貫通受容体の細胞外ドメインである、請求項32~40のいずれか一項に記載のBV。
【請求項42】
前記膜貫通受容体がSTM受容体である、請求項41に記載のBV。
【請求項43】
前記BVが、BLIアッセイを使用して測定した場合に、前記タグに対する抗体と接触したときに閾値レベル以上のシフトを生じる、請求項32~42のいずれか一項に記載のBV。
【請求項44】
前記タグがgDポリペプチドであり、前記抗体が抗gD抗体であり、前記閾値レベルが、30℃で前記BLIアッセイを使用して測定した場合に、1.5nmのシフトである、請求項43に記載のBV。
【請求項45】
前記膜出芽物質が検出可能なマーカーを含む、請求項32~44のいずれか一項に記載のBV。
【請求項46】
前記検出可能なマーカーが、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である、請求項45に記載のBV。
【請求項47】
前記酵素がRlucであり、前記基質がRluc基質である、請求項46に記載のBV。
【請求項48】
前記BVが膜マーカーを含む、請求項32~47のいずれか一項に記載のBV。
【請求項49】
前記膜マーカーがコレステロールマーカーである、請求項48に記載のBV。
【請求項50】
前記コレステロールマーカーがAMPLEXTMRedである、請求項49に記載のBV。
【請求項51】
前記BVが哺乳動物親細胞によって生成される、請求項32~50のいずれか一項に記載のBV。
【請求項52】
前記BVが細胞外小胞(EV)である、請求項51に記載のBV。
【請求項53】
前記BVがエキソソーム又は微小胞である、請求項51に記載のBV。
【請求項54】
前記BVがウイルス様粒子(VLP)である、請求項51に記載のBV。
【請求項55】
前記親細胞が、前記異種膜結合タンパク質をコードするプラスミド、及び前記膜出芽物質をコードするプラスミドでトランスフェクトされている、請求項33~54のいずれか一項に記載のBV。
【請求項56】
表1のタンパク質と表2のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1の前記タンパク質を表2の前記タンパク質と接触させることであって、表1の前記タンパク質及び表2の前記タンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表1の前記タンパク質を表2の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表1の前記タンパク質の表2の前記タンパク質への前記結合を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、前記候補モジュレーターを、表1の前記タンパク質と表2の前記タンパク質との間の前記相互作用のモジュレーターとして同定する、表1の前記タンパク質の表2の前記タンパク質への前記結合を測定することと
を含む、方法。
【請求項57】
表1のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1の前記タンパク質を表2の前記タンパク質と接触させることであって、表1の前記タンパク質及び表2の前記タンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表1の前記タンパク質を表2の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表1の前記タンパク質の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、表1の前記タンパク質の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、表1の前記タンパク質の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項58】
表2のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表2のタンパク質の表1のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表2の前記タンパク質を表1の前記タンパク質と接触させることであって、表1の前記タンパク質及び表2の前記タンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表2の前記タンパク質を表1の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表2の前記タンパク質の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、表2の前記タンパク質の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、表2の前記タンパク質の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項59】
結合の前記増加又は減少が、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、BLIアッセイ、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも70%である、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記モジュレーターが、表1又は表2の前記タンパク質の前記下流活性の阻害剤である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項61】
前記モジュレーターが、表1又は表2の前記タンパク質の前記下流活性の活性剤である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項62】
前記下流活性の前記変化が、前記下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項63】
前記下流活性の前記変化が、前記下流活性の量、強度、又は持続時間の増加である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項64】
前記モジュレーターが、小分子、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記抗原結合フラグメントが、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、ScFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、表1の前記タンパク質に結合する、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項67】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、表2の前記タンパク質に結合する、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項68】
表1の前記タンパク質がLRRC15である、請求項56~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
表2の前記タンパク質がTEM1である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記下流活性が腫瘍成長である、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
腫瘍成長が、前記モジュレーターの存在下で減少する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
腫瘍成長が、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記モジュレーターが、LRRC15を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記モジュレーターが、TEM1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、LRRC15をTEM1と接触させることと、
(c)LRRC15のTEM1への前記結合を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、前記候補モジュレーターを、LRRC15とTEM1との間の前記相互作用のモジュレーターとして同定する、LRRC15のTEM1への前記結合を測定することと
を含む、方法。
【請求項76】
LRRC15の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、LRRC15をTEM1と接触させることと、
(c)LRRC15の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、LRRC15の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、LRRC15の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項77】
TEM1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)TEM1のLRRC15への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、TEM1をLRRC15と接触させることと、
(c)TEM1の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、TEM1の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、TEM1の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項78】
結合の前記増加又は減少が、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記下流活性が腫瘍成長である、請求項76又は77に記載の方法。
【請求項80】
腫瘍成長が、前記モジュレーターの存在下で減少する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
腫瘍成長が、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
変化した結合プロファイルを有する生物学的小胞(BV)を同定するための方法であって、
(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供することと、
(b)工程(a)の前記集合体を目的のBVと接触させることと、
(c)前記目的のBVと少なくとも1つの前記標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それによって相互作用プロファイルを同定することと、
(d)前記目的のBVの前記相互作用プロファイルを対照BVの前記相互作用プロファイルと比較することであって、前記目的のBVの前記相互作用プロファイルと前記対照BVの前記相互作用プロファイルとの間の差により、前記目的のBVを、変化した結合プロファイルを有するものとして同定する、前記目的のBVの前記相互作用プロファイルを対照BVの前記相互作用プロファイルと比較することと
を含む、方法。
【請求項83】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも50%の前記細胞外ドメインを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも75%の前記細胞外ドメインを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも90%の前記細胞外ドメインを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の全ての前記タンパク質の前記細胞外ドメインを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記目的のBVが操作されたBVである、請求項82~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記目的のBVが対象からの試料に由来する、請求項82~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記目的のBV及び前記対照BVが、異なる組織又は異なる細胞型に由来する、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記目的のBVが疾患組織に由来し、前記対照BVが健康な組織に由来する、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5の前記タンパク質を表6の前記タンパク質と接触させることであって、表5の前記タンパク質及び表6の前記タンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5の前記タンパク質を表6の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表5の前記タンパク質の表6の前記タンパク質への結合を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、前記候補モジュレーターを、表5の前記タンパク質と表6の前記タンパク質との間の前記相互作用のモジュレーターとして同定する、表5の前記タンパク質の表6の前記タンパク質への結合を測定することと
を含む、方法。
【請求項93】
表5のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5の前記タンパク質を表6の前記タンパク質と接触させることであって、表5の前記タンパク質及び表6の前記タンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5の前記タンパク質を表6の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表5のタンパク質の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、表5の前記タンパク質の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、表5のタンパク質の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項94】
表6のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)表6のタンパク質の表5のタンパク質への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表6の前記タンパク質を表5の前記タンパク質と接触させることであって、表5の前記タンパク質及び表6の前記タンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表6の前記タンパク質を表5の前記タンパク質と接触させることと、
(c)表6の前記タンパク質の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、表6の前記タンパク質の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、表6の前記タンパク質の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項95】
結合の前記増加又は減少が、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、BLIアッセイ、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも70%である、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記モジュレーターが、表5又は表6の前記タンパク質の前記下流活性の阻害剤である、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項97】
前記モジュレーターが、表5又は表6の前記タンパク質の前記下流活性の活性化剤である、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項98】
前記下流活性の前記変化が、前記下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項99】
前記下流活性の前記変化が、前記下流活性の量、強度、又は持続時間の増加である、請求項93又は94に記載の方法。
【請求項100】
前記モジュレーターが、小分子、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記抗原結合フラグメントが、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、ScFab、VHドメイン、又はVHHドメインである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、表5の前記タンパク質に結合する、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項103】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、表6の前記タンパク質に結合する、請求項100又は101に記載の方法。
【請求項104】
表5の前記タンパク質がADGRB1である、請求項92~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
表6の前記タンパク質がPD-L1である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記下流活性が腫瘍成長である、請求項104又は105に記載の方法。
【請求項107】
腫瘍成長が、前記モジュレーターの存在下で減少する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
腫瘍成長が、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記モジュレーターが、PD-L1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項104~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
表6の前記タンパク質がICOSLGである、請求項104に記載の方法。
【請求項111】
前記下流活性がT細胞活性化である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
T細胞活性化が前記モジュレーターの存在下で増加する、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
T細胞活性化が少なくとも20%増加する、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記モジュレーターが、ICOSLGを標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項110~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記モジュレーターが、ADGRB1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項104~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
PD-L1とADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、PD-L1をADGRB1と接触させることと、
(c)PD-L1のADGRB1への前記結合を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、前記候補モジュレーターを、PD-L1とADGRB1との間の前記相互作用のモジュレーターとして同定する、PD-L1のADGRB1への前記結合を測定することと
を含む、方法。
【請求項117】
PD-L1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、PD-L1をADGRB1と接触させることと、
(c)PD-L1の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、PD-L1の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、PD-L1の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項118】
ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)ADGRB1のPD-L1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、ADGRB1をPD-L1と接触させることと、
(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、ADGRB1の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項119】
結合の前記増加又は減少が、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記下流活性が腫瘍成長である、請求項117又は118に記載の方法。
【請求項121】
腫瘍成長が、前記モジュレーターの存在下で減少する、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
腫瘍成長が、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
ICOSLGとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、ICOSLGをADGRB1と接触させることと、
(c)ICOSLGのADGRB1への前記結合を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、前記候補モジュレーターを、ICOSLGとADGRB1との間の前記相互作用のモジュレーターとして同定する、ICOSLGのADGRB1への前記結合を測定することと
を含む、方法。
【請求項124】
ICOSLGの下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、ICOSLGをADGRB1と接触させることと、
(c)ICOSLGの下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、ICOSLGの前記下流活性のモジュレーターとして同定する、ICOSLGの下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項125】
ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)候補モジュレーターを提供することと、
(b)ADGRB1のICOSLGへの結合を可能にする条件下で、前記候補モジュレーターの存在下又は非存在下で、ADGRB1をICOSLGと接触させることと、
(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、前記候補モジュレーターの非存在下での前記下流活性と比較した、前記候補モジュレーターの存在下での前記下流活性の変化により、前記候補モジュレーターを、ADGRB1の前記下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと
を含む、方法。
【請求項126】
結合の前記増加又は減少が、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
前記下流活性がT細胞活性化である、請求項124又は125に記載の方法。
【請求項128】
T細胞活性化が前記モジュレーターの存在下で減少する、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
T細胞活性化が少なくとも20%増加する、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、
(a)前記細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、
(b)前記細胞株によって生成された生物学的小胞(BV)の相互作用プロファイルを特徴付けることと
を含む、方法。
【請求項131】
膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを含む、方法。
【請求項132】
細胞株の前記相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、
(a)前記細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、
(b)第1の時点において、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(c)第2の時点において、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(d)前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することであって、前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルとの間の差により、前記細胞株の前記相互作用プロファイルの変化を同定する、前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することと
を含む、方法。
【請求項133】
膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、
(a)第1の時点において、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(b)第2の時点において、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(c)前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することであって、前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルとの間の差により、前記細胞株の前記相互作用プロファイルの変化を同定する、前記第1の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の時点で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することと
を含む、方法。
【請求項134】
前記細胞株が哺乳動物細胞株である、請求項130~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記哺乳動物細胞株が、免疫細胞株、神経細胞株、又は線維芽細胞株である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記免疫細胞株が、T細胞、B細胞、又は単球のうちの1つ以上を含む、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記方法が、前記第1の時点の後かつ前記第2の時点の前に、前記細胞株を刺激に曝露することを含む、請求項132~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記刺激が、シグナル伝達を誘導する条件又は作用因子である、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記刺激が、疾患関連状態を誘発する条件又は作用因子である、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記細胞株が免疫細胞株であり、前記疾患関連状態が免疫疲弊である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記刺激が分化を誘導する条件又は作用因子である、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
前記方法が、1つ以上の追加の時点において、前記細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを更に含む、請求項132~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、
(a)前記細胞株の各々を、膜出芽物質を含むように改変することと、
(b)第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(c)第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(d)前記第1の細胞株で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することであって、前記第1の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、前記第1の細胞株で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することと
を含む、方法。
【請求項144】
膜出芽物質を含むように改変された2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、
(a)第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(b)第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、
(c)前記第1の細胞株で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することであって、前記第1の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、前記第1の細胞株で生成された前記BVの前記相互作用プロファイルを、前記第2の細胞株によって生成された前記BVの前記相互作用プロファイルと比較することと
を含む、方法。
【請求項145】
前記膜出芽物質の発現が誘導性である、請求項130~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記BVの前記相互作用プロファイルを特徴付けることが、前記BV上の1つ以上の目的の膜結合タンパク質のレベルを決定することを含む、請求項130~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記BVの前記相互作用プロファイルを特徴付けることが、前記BV上の1つ以上の目的の受容体のレベルを決定することを含む、請求項130~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記BVの前記相互作用プロファイルを特徴付けることが、
(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供することと、
(b)工程(a)における標的ポリペプチドの前記集合体を前記BVと接触させることと、
(c)前記BVと、前記標的ポリペプチドの前記集合体の少なくとも1つの前記標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それにより、相互作用プロファイルを同定することと
を含む方法を使用して行われる、請求項130~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む、請求項148に記載の方法。
【請求項150】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも50%の前記細胞外ドメインを含む、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも75%の前記細胞外ドメインを含む、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の前記タンパク質の少なくとも90%の前記細胞外ドメインを含む、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
標的ポリペプチドの前記集合体が、表4の全ての前記タンパク質の前記細胞外ドメインを含む、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記方法が、前記BVの細胞質タンパク質プロファイルを特徴付けることを更に含む、請求項130~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記膜出芽物質が、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される、請求項130~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
異種膜出芽物質を含むBVであって、(i)誘導可能な制御下で前記膜出芽物質を発現するように改変された親細胞株を提供することと、(ii)前記膜出芽物質の発現を誘導することと、(iii)前記親細胞株から前記BVを単離することと、を含む方法によって生成される、BV。
【請求項157】
前記膜出芽物質が、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される、請求項156に記載のBV。
【請求項158】
前記親細胞株が哺乳動物細胞株である、請求項156又は157に記載のBV。
【請求項159】
前記BVが細胞外小胞(EV)である、請求項158に記載のBV。
【請求項160】
膜結合タンパク質の酵素活性を評価するための方法であって、前記タンパク質を含むBVに対する酵素活性についてのアッセイを行うことを含む、方法。
【請求項161】
前記膜結合タンパク質がペプチダーゼであり、酵素活性についての前記アッセイがペプチダーゼ活性についてのアッセイである、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記膜結合タンパク質がプロテアーゼであり、酵素活性についての前記アッセイがプロテアーゼ活性についてのアッセイである、請求項160に記載の方法。
【請求項163】
前記膜結合タンパク質がキナーゼであり、酵素活性についての前記アッセイがキナーゼ活性についてのアッセイである、請求項160に記載の方法。
【請求項164】
前記膜結合タンパク質がホスファターゼであり、酵素活性についての前記アッセイがホスファターゼ活性についてのアッセイである、請求項160に記載の方法。
【請求項165】
前記膜結合タンパク質が、前記BVが由来する親細胞に対して内因性である、請求項160~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
前記膜結合タンパク質が、前記BVが由来する親細胞に対して異種である、請求項160~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記異種膜結合タンパク質が完全長タンパク質である、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
前記異種膜結合タンパク質が、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む、請求項166に記載の方法。
【請求項169】
前記アンカーが、前記タンパク質フラグメントを前記BVの膜の前記表面に繋ぎ止める、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記アンカーがグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである、請求項168又は169に記載の方法。
【請求項171】
培養培地又は対象由来の試料からBVを精製する方法であって、BVを表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上を含む固体表面と接触させることを含む、方法。
【請求項172】
前記対象からの前記試料が、尿試料、血液試料、又は消化組織試料である、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記固体表面が、プロテインA官能化ビーズを含むカラムであり、前記方法が、表8又は表9の前記タンパク質のうちの前記1つ以上を含む馴化培地を前記カラムに流すことを含み、表8又は表9の1つ以上のタンパク質がFc領域を含むように改変されている、請求項171又は172に記載の方法。
【請求項174】
前記方法が、前記BVを含む前記培養培地を前記カラムに流すことを更に含む、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記方法が、前記BVを溶出することを更に含む、請求項174に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月1日に出願された米国特許出願第63/120,167号、2021年6月17日に出願された米国特許出願第63/212,021号;及び2021年7月29日に出願された米国特許出願第63/227,039号の優先権を主張し、それらの各々の全内容が、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年11月29日に作成された当該ASCIIコピーの名称は50474-231WO4_Sequence_Listing_11_29_21_ST25であり、サイズは4,713バイトである。
【0003】
発明の分野
細胞表面タンパク質を提示する生物学的小胞、並びにそのような小胞を使用してタンパク質-タンパク質相互作用を同定及び特徴付ける方法が本明細書で提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
原形質膜発現タンパク質及びそれらの相互作用因子は、細胞の細胞質ゾルへのシグナル伝達の開始において顕著な役割を果たし、したがって、ほとんどの生物学的経路の重要な調節因子である。証拠の増加は、受容体が、それらの生物学的機能に直接影響を及ぼす細胞外環境における相互作用パートナーの複雑なランドスケープを有することを実証している。結果として、受容体-リガンドのクロストークの調節不全が、しばしば病態及び疾患の進行の根底にある。しかしながら、膜タンパク質をそれらの天然の立体配座タンパク質に維持することに関連する生化学的課題及び典型的には受容体間の弱い相互作用のために、受容体相互作用ネットワークは依然として解明されていない。
【0005】
このように、細胞表面タンパク質間の相互作用の同定のための方法及び組成物、並びにそのような相互作用の新規モジュレーター及びそれを使用する方法に対する満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、タンパク質-タンパク質相互作用を同定する方法であって、(a)1つ以上の固体表面に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供することと、(b)工程(a)の集合体を、異種膜結合タンパク質と標的ポリペプチドの少なくとも1つとの結合を可能にする条件下で、異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることであって、異種膜結合タンパク質がBVの表面上に閾値レベル以上で発現される、異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることと、(c)異種膜結合タンパク質と少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それによりタンパク質-タンパク質相互作用を同定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0007】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの1つ以上は、1つ位以上の固体表面上の別個の位置に固定化される。
【0008】
いくつかの態様では、相互作用を検出することは、固体表面上の位置で、閾値レベルを上回るシグナルを検出することを含む。
【0009】
いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。
【0010】
いくつかの態様では、膜出芽物質は検出可能なマーカーを更に含み、相互作用を検出することは、固体表面上の位置で、閾値レベルを超える検出可能なマーカーのレベルを検出することを含む。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である。いくつかの態様では、酵素はウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)であり、基質はRluc基質である。
【0011】
いくつかの態様では、BVは膜マーカーを含み、相互作用を検出することが、固体表面上の位置で、閾値レベルを超える膜マーカーのレベルを検出することを含む。いくつかの態様では、膜マーカーはコレステロールマーカーである。いくつかの態様では、コレステロールマーカーはAMPLEX(商標)Redである。
【0012】
いくつかの態様では、相互作用は一過性の相互作用である。
【0013】
いくつかの態様では、相互作用は低親和性相互作用である。
【0014】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は完全長タンパク質である。
【0015】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む。
【0016】
いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質フラグメントをBVの膜の表面に繋ぎ止める。いくつかの態様では、アンカーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである。
【0017】
いくつかの態様では、タグは直接的又は間接的に視覚化することができる。いくつかの態様では、タグは、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含む。いくつかの態様では、タグは糖タンパク質D(gD)ポリペプチドである。
【0018】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質の発現レベルは、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイを使用して決定される。
【0019】
いくつかの態様では、タグはgDポリペプチドであり、異種膜結合タンパク質の発現は、抗gD抗体を使用して検出され、閾値レベルは、30℃でBLIアッセイを使用して測定した場合に、1.5nmのシフトである。
【0020】
いくつかの態様では、タグは蛍光タンパク質を含む。
【0021】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は、膜貫通受容体又はそのフラグメントである。いくつかの態様では、受容体は1回膜貫通(STM)受容体である。
【0022】
いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは細胞外ドメインである。
【0023】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体の各メンバーはFcタグ付き細胞外ドメインであり、固体表面はプロテインAで被覆されている。
【0024】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0025】
別の態様では、本開示は、BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む、異種膜結合タンパク質であって、BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含む、BVを特徴とする。
【0026】
別の態様では、本開示は、BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含む異種膜結合タンパク質であって、BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含み、BVが、(i)異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を発現するように改変された親細胞を提供すること、並びに(ii)親細胞からBVを単離すること、を含む方法によって生成される、BVを特徴とする。
【0027】
いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。
【0028】
いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質フラグメントをBVの脂質膜の表面に繋ぎ止める。いくつかの態様では、アンカーはGPIポリペプチドである。
【0029】
いくつかの態様では、タグは直接的又は間接的に視覚化することができる。いくつかの態様では、タグは、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含む。いくつかの態様では、タグはgDポリペプチドである。
【0030】
いくつかの態様では、タグは蛍光タンパク質を含む。
【0031】
いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは膜貫通受容体の細胞外ドメインである。いくつかの態様では、膜貫通受容体はSTM受容体である。
【0032】
いくつかの態様では、BVは、BLIアッセイを使用して測定した場合に、タグに対する抗体と接触したときに閾値レベル以上のシフトを生じる。
【0033】
いくつかの態様では、タグはgDポリペプチドであり、抗体は抗gD抗体であり、閾値レベルは、30℃でBLIアッセイを使用して測定した場合に、1.5nmのシフトである。
【0034】
いくつかの態様では、膜出芽物質は検出可能なマーカーを含む。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である。いくつかの態様では、酵素はRlucであり、基質はRluc基質である。
【0035】
いくつかの態様では、BVは膜マーカーを含む。いくつかの態様では、膜マーカーはコレステロールマーカーである。いくつかの態様では、コレステロールマーカーはAMPLEX(商標)Redである。
【0036】
いくつかの態様では、BVは哺乳動物親細胞によって産生される。いくつかの態様では、BVは細胞外小胞(EV)である。いくつかの態様では、BVはエキソソーム又は微小胞である。いくつかの態様では、BVはウイルス様粒子(VLP)である。
【0037】
いくつかの態様では、親細胞は、異種膜結合タンパク質をコードするプラスミド、及び膜出芽物質をコードするプラスミドでトランスフェクトされている。
【0038】
別の態様では、本開示は、表1のタンパク質と表2のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることと、(c)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、候補モジュレーターを、表1のタンパク質と表2のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0039】
別の態様では、本開示は、表1のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることと、(c)表1のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表1のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表1のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法。
【0040】
別の態様では、本開示は、表2のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表2のタンパク質の表1のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表2のタンパク質を表1のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表2のタンパク質を表1のタンパク質と接触させることと、(c)表2のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表2のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表2のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法。
【0041】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、BLIアッセイ、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0042】
いくつかの態様では、モジュレーターは、表1又は表2のタンパク質の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、モジュレーターは、表1又は表2のタンパク質の下流活性の活性剤である。
【0043】
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の増加である。
【0044】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0045】
いくつかの態様では、抗原結合フラグメントは、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0046】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表1のタンパク質に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表2のタンパク質に結合する。
【0047】
いくつかの態様では、表1のタンパク質はLRRC15である。いくつかの態様では、表2のタンパク質はTEM1である。いくつかの態様では、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、腫瘍成長は、モジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する。
【0048】
いくつかの態様では、モジュレーターは、LRRC15を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0049】
いくつかの態様では、モジュレーターは、TEM1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0050】
別の態様では、本開示は、LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でLRRC15をTEM1と接触させることと、(c)LRRC15のTEM1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、LRRC15のTEM1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0051】
別の態様では、本開示は、LRRC15の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でLRRC15をTEM1と接触させることと、(c)LRRC15の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、LRRC15の下流活性のモジュレーターとして同定する、LRRC15の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0052】
別の態様では、本開示は、TEM1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)TEM1のLRRC15への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でTEM1をLRRC15と接触させることと、(c)TEM1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、TEM1の下流活性のモジュレーターとして同定する、TEM1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0053】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0054】
いくつかの態様では、下流活性は腫瘍成長である。
【0055】
いくつかの態様では、腫瘍成長は、モジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する。
【0056】
別の態様では、本開示は、変化した結合プロファイルを有する生物学的小胞(BV)を同定する方法であって、(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供ことと、(b)工程(a)の集合物を目的のBVと接触させることと、(c)目的のBVと少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それにより、相互作用プロファイルを同定することと、(d)目的BVの相互作用プロファイルを対照BVの相互作用プロファイルと比較することであって、目的BVの相互作用プロファイルと対照BVの相互作用プロファイルとの間の差により、目的のBVを、変化した結合プロファイルを有するものとして同定する、目的BVの相互作用プロファイルを対照BVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0057】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0058】
いくつかの態様では、目的のBVは、操作されたBVである。
【0059】
いくつかの態様では、目的のBVは、対象からの試料に由来する。いくつかの態様では、目的のBV及び対照BVは、異なる組織又は異なる細胞型に由来する。いくつかの態様では、目的のBVは疾患組織に由来し、対照BVは健康な組織に由来する。
【0060】
別の態様では、本開示は、(a)異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含むBVと、(b)標的ポリペプチドとを含むタンパク質複合体であって、異種膜結合タンパク質と標的ポリペプチドとが互いに結合している、タンパク質複合体を特徴とする。
【0061】
別の態様では、本開示は、表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることと、(c)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した、候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、候補モジュレーターを、表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を測定することと、を含む、方法。
【0062】
別の態様では、本開示は、表5のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることと、(c)表5のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表5のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表5のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0063】
別の態様では、本開示は、表6のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)表6のタンパク質の表5のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表6のタンパク質を表5のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることと、(c)表6のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表6のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表6のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0064】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、BLIアッセイ、又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0065】
いくつかの態様では、モジュレーターは、表5又は表6のタンパク質の下流活性の阻害剤である。
【0066】
いくつかの態様では、モジュレーターは、表5又は表6のタンパク質の下流活性の活性剤である。
【0067】
いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の増加である。
【0068】
いくつかの態様では、モジュレーターは、小分子、抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0069】
いくつかの態様では、抗原結合フラグメントは、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。
【0070】
いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表5のタンパク質に結合する。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表6のタンパク質に結合する。
【0071】
いくつかの態様では、表5のタンパク質はADGRB1である。
【0072】
いくつかの態様では、表6のタンパク質はPD-L1である。
【0073】
いくつかの態様では、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、腫瘍成長は、モジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する。
【0074】
いくつかの態様では、モジュレーターは、PD-L1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0075】
いくつかの態様では、表6のタンパク質はICOSLGである。
【0076】
いくつかの態様では、下流活性はT細胞活性化である。いくつかの態様では、T細胞活性化はモジュレーターの存在下で増加する。いくつかの態様では、T細胞活性化は少なくとも20%増加する。
【0077】
いくつかの態様では、モジュレーターは、ICOSLGを標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0078】
いくつかの態様では、モジュレーターは、ADGRB1を標的とする抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0079】
別の態様では、本開示は、PD-L1とADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でPD-L1をADGRB1と接触させることと、(c)PD-L1のADGRB1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、PD-L1とADGRB1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、PD-L1のADGRB1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0080】
別の態様では、本開示は、PD-L1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でPD-L1をADGRB1と接触させることと、(c)PD-L1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、PD-L1の下流活性のモジュレーターとして同定する、PD-L1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0081】
別の態様では、本開示は、ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ADGRB1のPD-L1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でADGRB1をPD-L1と接触させることと、(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ADGRB1の下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0082】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0083】
いくつかの態様では、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、腫瘍成長は、モジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、少なくとも20%減少する。
【0084】
別の態様では、本開示は、ICOSLGとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でICOSLGをADGRB1と接触させることと、(c)ICOSLGのADGRB1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、ICOSLGとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、ICOSLGのADGRB1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0085】
別の態様では、本開示は、ICOSLGの下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でICOSLGをADGRB1と接触させることと、(c)ICOSLGの下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ICOSLGの下流活性のモジュレーターとして同定する、ICOSLGの下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0086】
別の態様では、本開示は、ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ADGRB1のICOSLGへの結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でADGRB1をICOSLGと接触させることと、(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ADGRB1の下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0087】
いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、SPRアッセイ、BLIアッセイ、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0088】
いくつかの態様では、下流活性はT細胞活性化である。いくつかの態様では、T細胞活性化はモジュレーターの存在下で減少する。いくつかの態様では、T細胞活性化は少なくとも20%増加する。
【0089】
別の態様では、本開示は、細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、(a)細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)細胞株によって生成された生物学的小胞(BV)の相互作用プロファイルを特徴付けることと、を含む、方法を特徴とする。
【0090】
別の態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを含む、方を特徴とする。
【0091】
別の態様では、本開示は、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、(a)細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(d)第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルとの間の差により、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定する、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0092】
別の態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、(a)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(b)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルとの間の差により、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定する、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0093】
いくつかの態様では、細胞株は哺乳動物細胞株である。いくつかの態様では、哺乳動物細胞株は、免疫細胞株、ニューロン細胞株、又は線維芽細胞株である。いくつかの態様では、免疫細胞株は、T細胞、B細胞、又は単球のうちの1つ以上を含む。
【0094】
いくつかの態様では、本方法は、第1の時点の後かつ第2の時点の前に、細胞株を刺激に曝露することを含む。
【0095】
いくつかの態様では、刺激は、シグナル伝達を誘導する条件又は作用因子である。いくつかの態様では、刺激は、疾患関連状態を誘導する条件又は作用因子である。いくつかの態様では、細胞株は免疫細胞株であり、疾患関連状態は免疫疲弊である。
【0096】
いくつかの態様では、刺激は、分化を誘導する条件又は作用因子である。
【0097】
いくつかの態様では、本方法は、1つ以上の追加の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを更に含む。
【0098】
別の態様では、本開示は、2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、(a)細胞株の各々を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(d)第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0099】
別の態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、(a)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(b)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0100】
いくつかの態様では、膜出芽物質の発現は誘導可能である。
【0101】
いくつかの態様では、BVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、BV上の1つ以上の目的の膜結合タンパク質のレベルを決定することを含む。
【0102】
いくつかの態様では、BVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、BV上の1つ以上の目的の受容体のレベルを決定することを含む。
【0103】
いくつかの態様では、BVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供ことと、(b)工程(a)の集合物を目的のBVと接触させることと、(c)BVと標的ポリペプチドの集合体の少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それにより相互作用プロファイルを同定することと、を含む方法によって実施される。
【0104】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0105】
いくつかの態様では、本方法は、BVの細胞質タンパク質プロファイルを特徴付けることを更に含む。
【0106】
いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。
【0107】
別の態様では、本開示は、異種膜出芽物質を含むBVであって、(i)誘導可能な制御下で膜出芽物質を発現するように改変された親細胞株を提供することと、(ii)膜出芽物質の発現を誘導することと、(iii)親細胞株からBVを単離することと、を含む方法によって生成される、BVを特徴とする。
【0108】
いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。
【0109】
いくつかの態様では、細胞株は親細胞株である。
【0110】
いくつかの態様では、BVは細胞外小胞(EV)である。
【0111】
別の態様では、本開示は、膜結合タンパク質の酵素活性を評価するための方法であって、タンパク質を含むBVに対する酵素活性についてのアッセイを行うことを含む、方法を特徴とする。
【0112】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はペプチダーゼであり、酵素活性についてのアッセイはペプチダーゼ活性についてのアッセイである。
【0113】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はプロテアーゼであり、酵素活性のアッセイについてはプロテアーゼ活性のアッセイである。
【0114】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はキナーゼであり、酵素活性についてのアッセイはキナーゼ活性についてのアッセイである。
【0115】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はホスファターゼであり、酵素活性についてのアッセイはホスファターゼ活性についてのアッセイである。
【0116】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質は、BVが由来する親細胞に対して内因性である。
【0117】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質は、BVが由来する親細胞に対して異種である。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は完全長タンパク質である。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む。いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質フラグメントをBVの膜の表面に繋ぎ止める。いくつかの態様では、アンカーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである。
【0118】
別の態様では、本開示は、培養培地又は対照由来の試料からBVを精製する方法であって、BVを表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上を含む固体表面と接触させることを含み、表8又は表9の1つ以上のタンパク質がFc領域を含むように改変されている方法を特徴とする。
【0119】
いくつかの態様では、対象からの試料は、尿試料、血液試料、又は消化組織試料である。
【0120】
いくつかの態様では、固体表面はプロテインA官能化ビーズを含むカラムであり、本方法は、表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上を含む馴化培地をカラムに流すことを含む。
【0121】
いくつかの態様では、本方法は、BVを含む培養培地をカラムに流すことを更に含む。
【0122】
いくつかの態様では、本方法は、BVを溶出することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0123】
図1A図1Aは、細胞培養物からの受容体発現細胞外小胞(EV)の単離を示す概略図である。EXPI293F(商標)細胞を、目的の受容体をコードするプラスミド及びウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)に融合したHIV gagタンパク質をコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトした。遠心分離及び濾過によって細胞及び残屑をEV含有上清から分離した。50%スクロース緩衝液を使用して小タンパク質凝集体を除去し、小型小胞を単離した。
図1B図1Bは、スクロースクッションステップを用いて(右パネル)及び用いずに(左パネル)調製したEVを示す陰性染色電子顕微鏡写真のセットである。EV調製物を、電子顕微鏡検査の前に同じタンパク質濃度に希釈した。矢印は、試料中の代表的なEVを指す。
図1C図1Cは、ナノ粒子追跡分析を使用して測定した場合に、全長(FL)PVRタンパク質(左パネル)又はPVR外部ドメイン、糖タンパク質D(gD)タグ、及びグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)リンカー(gD-GPI)を含むタンパク質(右パネル)を担持するEVのサイズ分布(nm単位)を示す一対のグラフである。5つの複製物を各グラフに示す。黒線は平均を表す;灰色の線は、平均の標準誤差を表す。EVは、一貫して約120nmのサイズである。
図2A図2Aは、細胞の原形質膜及びEV膜に埋め込まれた膜貫通タンパク質を示す図である。
図2B図2Bは、EV発現受容体の2つの実験設定を示す図である。左:細胞の膜及びEV膜に埋め込まれたHIV gagタンパク質及び完全長膜貫通受容体。右:HIV gagタンパク質及び細胞の膜及びEV膜に埋め込まれたgD-GPIタグを含む脂質アンカー型外部ドメイン。
図2C図2Cは、ナノ粒子追跡分析を使用して測定した場合に、HIV gagタンパク質で形質転換された親細胞(Gagあり)及び対照非形質転換細胞(Gagなし)によって産生された20~500nmサイズ範囲のEVの粒子数を示すグラフである。
図2D図2Dは、Rlucに融合したHIV gagタンパク質をコードするプラスミドで形質転換した親細胞から産生されたEV調製物の3倍希釈系列におけるRlucの発光シグナルを示すグラフである。
図2E図2Eは、PVRリガンドを発現する哺乳動物細胞の表面に結合した完全長PVRを発現するEVを示す概略図であり、示された完全長PVRリガンドを発現する細胞の表面に結合したEVを示す顕微鏡写真のセットである。EVはgag-NeonGreenを含み、緑色はEVからの直接蛍光を表す。哺乳動物細胞のDNAを青色で示す。
図2F図2Fは、PVRリガンドを発現する哺乳動物細胞の表面に結合したgD-GPIタグを有するPVR外部ドメインを発現するEVを示す概略図であり、示された完全長PVRリガンドを発現する細胞の表面に結合したEVを示す顕微鏡写真のセットである。EVはgag-NeonGreenを含み、緑色はEVからの直接蛍光を表す。哺乳動物細胞のDNAを青色で示す。スケールバーは20μmである。
図2G図2Gは、バイオレイヤー干渉法(BLI)実験の設計及び結果を示す概略図及びグラフである。CD226-Fc又は対照のヒトIgGをセンサに取り付けた。センサを、完全長(FL)PVR又はgD-GPI PVR外部ドメイン又は単量体PVRタンパク質(PVR単量体)を発現するEVを含む溶液に浸し、BLIシグナル(nm単位)を測定した。右側のパネルは、0nmを超えるシグナルのズームである。
図3A図3Aは、RDIMIS(eceptor-isplay embranes nteraction creen)プロトコルのワークフローを示す概略図である。EVは、gag-lucと共に目的の受容体を発現する細胞の馴化培地から単離される。Fcタグ付き外部ドメイン(ECD-Fc)として発現される1回膜貫通(STM)タンパク質のライブラリをプレートに固定化する。受容体-EVは、半自動化されたワークフローを使用して、プレートに結合したSTMタンパク質の集合体に対してスクリーニングされる。ライブラリ中の相互作用する外部ドメインへのEV結合は、ルミネセンスを使用して検出される。
図3B図3Bは、PVR gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についての2つの独立したRDIMISスクリーニング(反復1及び反復2)試験の結果を示す散布図である。
図3C図3Cは、PVR gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験(図3Bの反復2)、及び完全長(FL)PVR EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。
図4A図4Aは、完全長タグなし受容体PD1、PD-L1、EPHA3、CD248、LRRC15、PVR又はPVRL1を発現し、受容体に特異的な抗体で染色された全細胞溶解物(細胞)又はEVのウエスタンブロットを示す顕微鏡写真のセットである。抗チューブリン(α-Tub)及び抗アクチン(α-アクチン)染色を対照として提供する。
図4B図4Bは、示されたgD-GPIタグ付き受容体外部ドメインを発現し、gDタグに特異的な抗体(α-gD)で染色した全細胞溶解物又はEVのウエスタンブロットを示す顕微鏡写真のセットである。抗チューブリン(α-Tub)及び抗アクチン(α-アクチン)染色を対照として提供する。
図4C図4Cは、gD-GPI発現小胞の選択的抗gD免疫金標識を示す陰性染色電気顕微鏡写真のセットである。
図4D図4Dは、バイオレイヤー干渉法実験の設計及び結果を示すグラフである。抗gD抗体をセンサに付着させた。センサを、示されたgD-GPI外部ドメインを発現するEVとインキュベートし、BLIシグナル(nm単位)を測定した。
図5A図5Aは、PVR gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験、及びPD-L1 gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。スクリーニングは、受容体特異的ヒット(いずれかの軸の近く)をスクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤と区別するために互いにプロットされる。個々のスクリーニングごとにシグナルが98%分位点を上回り、特定のスクリーニングに対して少なくとも4倍の濃縮が存在するヒットが標識される。他のヒットは、スクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤として同定される。
図5B図5Bは、CD80 gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験、及びCD276 gD-GPI EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。受容体特異的ヒットは、軸の近くに位置する。個々のスクリーニングごとにシグナルが98%分位点を上回り、特定のスクリーニングに対して少なくとも4倍の濃縮が存在するヒットが標識される。他のヒットは、スクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤として同定される。
図5C図5Cは、本研究においてPVR、PD-L1、CD80及びCD276について同定された結合パートナーと、STRING、Bioplex及びBiogridデータベースに列挙された相互作用との間の重複を示す図のセットである。PD-L1/CD274の場合、STMライブラリのメンバーとの相互作用はBioplexデータベースに存在しなかった。実験的に検証された相互作用はCD276/B7-H3についてSTRINGに列挙されていない。
図6A図6Aは、LRRC15外部ドメイン五量体とSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのAVEXISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。LRRC15五量体結合は、CD248外部ドメインを含有するウェル(強調)においてバックグラウンドより上では観察されなかった。灰色のドットは、各プレート上の陽性対照ウェルを示し、ここではストック五量体を添加したが、洗い流さなかった。
図6B図6Bは、EV中のLRRC15完全長(FL)又はgD-GPI外部ドメインを使用して本明細書で同定されたヒットと、Bioplex及びBiogridデータベースに表されたヒットとの比較を示す図のセットである。ライブラリ中のLRRC15とSTMタンパク質との間の実験的証拠との相互作用はSTRINGデータベースに示されなかった。
図7A図7Aは、LRRC15 gD-GPI-EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。結果を図3Cに示すPVRスクリーニング結果と比較する。個々のスクリーニングごとにシグナルが98%分位点を上回り、特定のスクリーニングに対して少なくとも4倍の濃縮が存在するヒットが標識される。他のヒットは、スクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤として同定される。
図7B図7Bは、LRRC15完全長EVとSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのRDIMISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。結果を図3Cに示すPVRスクリーニング結果と比較する。個々のスクリーニングごとにシグナルが98%分位点を上回り、特定のスクリーニングに対して少なくとも4倍の濃縮が存在するヒットが標識される。他のヒットは、スクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤として同定される。
図8A図8Aは、頭頸部扁平上皮癌についてのLRRC15(x軸)及びCD248(y軸)のバルクRNA-seq発現レベル(transcripts per million(TPM))を示す散布図である。各点は、単一の患者試料を表す。Spearmanの順位相関係数及び有意値を右上に示す。
図8B図8Bは、乳房浸潤癌についてのLRRC15(x軸)及びCD248(y軸)のバルクRNA-seq発現レベル(transcripts per million(TPM))を示す散布図である。各点は、単一の患者試料を表す。Spearmanの順位相関係数及び有意値を右上に示す。
図8C図8Cは、頭頸部癌患者の単一細胞RNA-seqデータからの非腫瘍細胞を示す一対の均一マニホールド近似投影(UMAP)次元削減プロットである。細胞を、示されたマーカー遺伝子(左;LRRC15;右:CD248)の発現レベルによって網掛けする。
図9A図9Aは、膵管腺癌についてのLRRC15(x軸)及びCD248(y軸)のバルクRNA-seq発現レベル(transcripts per million(TPM))を示す散布図である(癌ゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas:TCGA)データ)。
図9B図9Bは、尿路上皮膀胱癌についてのLRRC15(x軸)及びCD248(y軸)のバルクRNA-seq発現レベル(transcripts per million(TPM))を示す散布図である(癌ゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas:TCGA)データ)。
図9C図9Cは、頭頸部癌患者の単一細胞RNA-seqデータからの非腫瘍細胞を示す一対のUMAP次元削減プロットである。細胞を、示されたマーカー遺伝子(左;DCN癌関連線維芽細胞;右:RGS5癌関連周皮細胞マーカー)の発現レベルによって網掛けする。
図10A図10Aは、CD248外部ドメイン五量体とSTMタンパク質ライブラリとの間の相互作用についてのAVEXISスクリーニング試験の結果を示す散布図である。CD248五量体結合は、LRRC15外部ドメインを含有するウェル(強調)においてバックグラウンドより上では観察されなかった。灰色のドットは、各プレート上の陽性対照ウェルを示し、ここではストック五量体を添加したが、洗い流さなかった。
図10B図10Bは、LRRC15-FcをSPRチップ上のプロテインAによって捕捉し、示された分析物を添加した表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイの結果を示すグラフである。LRRC15を5μg/mL(赤色及び緑色の線)又は50μg/mLの濃度でロードした。分析物を400 nMの濃度でロードした。
図11A図11Aは、BLI実験の設計及び結果を示す概略図及びグラフである。CD248を組換えタンパク質として発現させ、センサに固定化した。センサを、LRRC15-Fc(500nM)を含む溶液又はLRRC15完全長若しくはgD-GPI LRRC15(0.25mg/ml)を含むEVと接触させ、BLIシグナル(nm単位)を測定した。
図11B図11Bは、完全長CD248又はgD-GPI CD248を一過性に発現する細胞への、gag-NeonGreen及び完全長(FL)LRRC15、gD-GPI LRRC15(LRRC15-gD)、又は空ベクター対照を含むEVの結合を示す概略図及び顕微鏡写真のセットである。
図11C図11Cは、完全長LRRC15又はgD-GPI LRRC15を一過性に発現する細胞への、CD248(四量体化組換え外部ドメインとして)又は空ベクター対照の結合を示す概略図及び顕微鏡写真のセットである。スケールバーは20μmを表す。
図11D図11Dは、NeonGreenシグナルレベル(3回の独立した反復の平均±標準誤差)に基づく図11BのEV結合の定量化を示す棒グラフである。
図12A図12Aは、gag-RlucでトランスフェクトされたEXPI293F(商標)細胞又はトランスフェクトされていない細胞から回収されたPD-L1及びPVR gD-GPI EVの希釈系列の読み出しとしてAMPLEX(商標)Red Cholesterol Assay Kit(Thermo Fisher)(コレステロール)を使用して検出されたウミシイタケルシフェラーゼ蛍光とコレステロールの蛍光との比較を示す散布図である。
図12B図12Bは、列挙した遺伝子をウェルに固定し、PD-L1 gD-GPI EVを使用してプローブした小規模RDIMISスクリーニングで観察されたウミシイタケルシフェラーゼ及びAMPLEX(商標)Red Cholesterol Assay Kit(Thermo Fisher)からの相対シグナルレベルを示す棒グラフである。両方の読み出しの結果をそれぞれのPDCD1シグナルに対して正規化する。
図12C】12Cは、gag-Rlucを発現するEV(x軸)又は非トランスフェクト細胞から採取した小胞(y軸)に対して読み出しとしてコレステロールを使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図13A図13Aは、gDタグに特異的な抗体(α-gD)で染色した、受容体PVR、PD-L1、CD276、CD80、及びLRRC15の完全長(FL)又はgD-GPIタグ付き外部ドメインを発現するEVのウエスタンブロットを示す顕微鏡写真のセットである。α-アクチン、α-PVR及びα-LRRC15の染色も示す。
図13B図13Bは、BLI実験の設計及び結果を示す概略図及びグラフである。ビオチン化PD-L1をストレプトアビジンBLIバイオセンサとインキュベートした。次いで、これを完全長又はgD-GPI LRTM1を発現するEV又はベクター対照とインキュベートし、BLIシグナル(nm単位)を測定した。
図13C図13Cは、完全長又はgD-GPIタグ付きPD-L1を一過性に発現する細胞の表面に結合したEVを示す顕微鏡写真のセットである。EVは、完全長又はgD-GPI LRTM1又はベクター対照を含んでいた。EVはgag-NeonGreenを含み、緑色はEVからの直接蛍光を表す。哺乳動物細胞のDNAを青色で示す。
図13D図13Dは、BLI実験の設計及び結果を示す概略図及びグラフである。ビオチン化PD-L1をストレプトアビジンBLIバイオセンサとインキュベートした。次いで、これを、異なる濃度のFcタグPD1外部ドメイン、又はヒトIgG対照の存在下若しくは非存在下で、完全長若しくはgD-GPI LRTM1を発現するEV、又はベクター対照とインキュベートし、BLIシグナル(nm単位)を測定した。
図14A図14Aは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、PVR gD-GPIを含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図14B図14Bは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、PD-L1 gD-GPIを含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図14C図14Cは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、CD80 gD-GPIを含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図14D図14Dは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、CD276 gD-GPIを含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図14E図14Eは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、LRRC15 gD-GPIを含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMISスクリーニングの結果を示す散布図である。
図14F図14Fは、ベクター対照(X軸)でトランスフェクトした細胞に由来する「空の」EVと比較した、完全長LRRC15を含むEV(Y軸)を使用して実施したRDIMIスクリーニングの結果を示す散布図である。
図15図15は、潜在的な相互作用パートナーを同定するためのIgSFインタラクトームの高信頼性相互作用のリスト(1)(青色のエッジ)、及びSTRINGからの相互作用の実験的及びデータベースのリスト(2)(赤色のエッジ)と統合された、本明細書で同定された包括的小胞結合剤(緑色のボックス)を示すネットワーク図である。ボックスの高さは、EV親細胞、したがってEV自体における潜在的な結合パートナーの発現を推定するためのThe Cell Atlas(3)からのHEK293細胞における正規化された発現値を表す。
図16A図16Aは、実施されたRDIMISスクリーニングの各々に対する相関及び相関係数を示す散布図のセットである。スクリーニングをいくつかのバッチで行った:1)PVR gD-GPI反復1、2)PVR gD-GPI反復2及びPD-L1 gD-GPI、3)CD80 gD-GPI及びCD26 gD-GPI、4)LRRC15 gD-GPI、LRRC15 FL及びPVR FL、5)目的の受容体が過剰発現していないEVである小胞対照。
図16B図16Bは、CD80 gD-GPIスクリーニングとPVR-FLスクリーニングとの間の相関を示す一組の散布図である。包括的小胞結合剤の2つの集団が示されている。下部パネル:x軸の拡大図。右パネル:除去された包括的小胞結合剤との相関。
図17A図17Aは、コレステロール結合剤Filipin IIIで膜を破壊したBLI実験の結果を示すグラフである。CD248単量体をNiNTAバイオセンサにロードし、filipin IIIで室温にて30分間前処理したLRRC15 gD-GPI EVとインキュベートした。空の小胞又はfilipin IIIを陰性対照として示す。
図17B図17Bは、コレステロール結合剤Filipin IIIで膜を破壊したBLI実験の結果を示すグラフである。CD248単量体をNiNTAバイオセンサにロードし、室温で30分間、filipin IIIで前処理した完全長LRRC15 EVとインキュベートした。空の小胞又はfilipin IIIを陰性対照として示す。
図17C図17Cは、図17AのEVの抗gD抗体への結合を示すグラフである。
図17D図17Dは、メチル-ベータ-シクロデキストリン(MβCD)で膜を破壊したBLI実験の結果を示すグラフである。CD248単量体をNiNTAバイオセンサにロードし、filipin IIIで室温にて30分間前処理したLRRC15 gD-GPI EVとインキュベートした。空の小胞又はfilipin IIIを陰性対照として示す。
図17E図17Eは、MβCDで膜を破壊したBLI実験の結果を示すグラフである。CD248単量体をNiNTAバイオセンサにロードし、室温で30分間、filipin IIIで前処理した完全長LRRC15 EVとインキュベートした。空の小胞又はfilipin IIIを陰性対照として示す。
図17F図17Fは、図17DのEVの抗gD抗体への結合を示すグラフである。
図18A図18Aは、抗体表面染色レベル(a.u.)細胞上に発現された>500個の多重膜貫通受容体を示す散布図、並びに低発現受容体(DRD2)及び高発現受容体(S1PR1)についての代表的な細胞表面染色を示す一対の顕微鏡写真である。バックグラウンド染色を線で示す。
図18B図18Bは、N末端FLAGタグ及びC末端Venusで操作された>400Gタンパク質共役受容体(GPCR)に対して抗FLAG抗体及びVenusタグの蛍光(X軸;全受容体(a.u.))を使用する、表面染色のレベル(a.u.)を示す散布図である。挿入画像は、低発現受容体(DRD2)、高発現受容体(S1PR1)、及び非常に高発現の単一膜貫通受容体(EGFR)についての代表的な細胞表面染色(マゼンタ)及びVenus蛍光(緑色)を示す顕微鏡写真である。バックグラウンド染色は、トランスフェクトされていない細胞上のシグナルの平均によって決定され、線で示される。
図18C図18Cは、多重膜貫通(MTMR)受容体ライブラリの1791個のメンバーの特徴を示す円グラフである。500を超えるメンバーのみが細胞外HISタグを有し、それらの受容体の約半分のみがバックグラウンドを超える染色を示す。
図18D図18Dは、低、中、及び高FLAG染色発現レベルを有する図18BのGPCRの割合を示す円グラフである。「中」受容体発現を、バックグラウンドシグナルの10倍と定義した。
図19A図19Aは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへのEGF-647の結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。EGF-647は、トランスフェクション対照として各プレートに印刷されたEGFRのみに結合した。挿入パネルは、蛍光リガンドを示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図19B図19Bは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへのRSPO3の結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。RSPO3はLGR4及びLGR5に結合した。撮像アーチファクトは、Xで示されている。挿入パネルは、蛍光リガンドを示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図19C図19Cは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへのPVRの結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。PVRは、陽性対照として添加した1回膜貫通受容体であるCD226に結合した。挿入パネルは、蛍光リガンドを示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図19D図19Dは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへのPD-L1の結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。PD-L1は、PVR、接着性Gタンパク質共役受容体B1(ADGRB1)、並びに陽性対照として添加した1回膜貫通受容体PD1、PDL2、CD80及びEPHA3に結合した。挿入パネルは、蛍光リガンドを示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図20A図20Aは、タグ付きの複数回膜貫通受容体を含む細胞外小胞(EV)を示す概略図である。受容体の細胞外領域はEVの外側にあり、細胞内領域はEVの内腔にある。FLAGタグ及び蛍光タグ(Luc)の位置を示す。
図20B図20Bは、EVを示す陰性染色電子顕微鏡画像である。
図20C図20Cは、NanoSight粒子追跡を使用して測定した場合に、PVR及びGAGでトランスフェクトした;PVRのみでトランスフェクトした;又は、トランスフェクトされていない(対照)細胞からのEVのサイズ分布(nm)及び濃度(10粒子/mL)を示すグラフである。
図20D図20Dは、図20CのEVの平均サイズ(nm)を示す棒グラフである。
図20E図20Eは、PVR及びGAG;PVRのみをトランスフェクトした細胞に由来するEV、又はトランスフェクトされていない細胞からのEVに対する抗gD抗体の結合を評価するBLI実験の結果を示すグラフである。
図20F図20Fは、PVR及びGAG;PVRのみをトランスフェクトした細胞に由来するEV、又はトランスフェクトされていない細胞からのEVに対するPVRリガンドTIGIT(TIGIT Fc)の結合を評価するBLI実験の結果を示すグラフである。
図20G図20Gは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)ADGRB1、LGR4及びLGR5を含むEVへの抗FLAG抗体の結合を評価するBLI実験の結果を示すグラフである。GPCRは、N末端FLAGタグを含んでいた。
図21A図21Aは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへの及び陽性対照へのPVRを含むEVの結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。PVRは陽性対照に結合した。撮像アーチファクトは、Xで示されている。挿入パネルは、GAG-neonGreen融合物からの小胞蛍光を示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図21B図21Bは、多重膜貫通受容体ライブラリのメンバーへの及び陽性対照へのPD-L1を含むEVの結合(a.u.)についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。PVRは陽性対照及びADGRB1に結合した。撮像アーチファクトは、Xで示されている。挿入パネルは、GAG-neonGreen融合物からの小胞蛍光を示す顕微鏡写真である。DAPI染色を示す。
図21C図21Cは、結合のためのスクリーニング(a.u.)Fc融合単一膜貫通受容体(STMR)の細胞外ドメインを含むライブラリのメンバーへのADGRB1の結合を示す散布図である。RTN4R及びPD-L1との相互作用が確認され、新しい相互作用が明らかになった。
図22A図22Aは、ADGRB1又はLGR4を含むEVへの組換えタンパク質PD-L1-Fc、ICOSLG-Fc及びRTN4R-Fc(それぞれプロテインAプレートにコンジュゲート)の結合の定量化を示す棒グラフである。
図22B図22Bは、Venusに融合したADGRB1を発現するHEK細胞への組換えタンパク質PD-L1-Fc、ICOSLG-Fc、及びRTN4R-Fcの結合についてのアッセイの結果を示す顕微鏡写真のセットである。合成画像では、DAPIを青色で示し、ADGRB1融合タンパク質からのVenusシグナルを緑色で示し、Fcタグを染色するためのシグナルをマゼンタで示す。共局在化された緑色シグナル及びマゼンタシグナルが白色で示されている。
図23図23は、GPCRスクリーニングプラットフォームの設計を示す概略図である。包括的なライブラリを384ウェルプレート形式で収集する。過剰発現プラスミドの包括的な集合体を384ウェルイメージングプレート上に印刷する。細胞を逆トランスフェクトし、次いで蛍光リガンドで処理し、ハイスループット、ハイコンテンツイメージャで分析する
図24A図24Aは、Venusに融合したADGRB1を発現するHEK細胞への組換えタンパク質PD-L1-Fcの結合についてのアッセイの結果を示す顕微鏡写真のセットである。合成画像では、DAPIを青色で示し、ADGRB1融合タンパク質からのVenusシグナルを緑色で示し、Fcタグを染色するためのシグナルをマゼンタで示す。共局在化された緑色シグナル及びマゼンタシグナルが白色で示されている。全てのコントラスト及び輝度設定は、図22Bと一致する。
図24B図24Bは、Venusに融合したADGRB1を発現するHEK細胞への組換えタンパク質ICOSLG-Fcの結合についてのアッセイの結果を示す顕微鏡写真のセットである。合成画像では、DAPIを青色で示し、ADGRB1融合タンパク質からのVenusシグナルを緑色で示し、Fcタグを染色するためのシグナルをマゼンタで示す。共局在化された緑色シグナル及びマゼンタシグナルが白色で示されている。全てのコントラスト及び輝度設定は、図22Bと一致する。
図24C図24Cは、Venusに融合したADGRB1を発現するHEK細胞への組換えタンパク質RTN4R-Fcの結合についてのアッセイの結果を示す顕微鏡写真のセットである。合成画像では、DAPIを青色で示し、ADGRB1融合タンパク質からのVenusシグナルを緑色で示し、Fcタグを染色するためのシグナルをマゼンタで示す。共局在化された緑色シグナル及びマゼンタシグナルが白色で示されている。全てのコントラスト及び輝度設定は、図22Bと一致する。
図25A図25Aは、HEK細胞におけるβ-アレスチン及びSH2動員についての生物発光エネルギー移動(BRET)アッセイの結果を示すグラフである。PD-L1に応答してADGRB1又はEphA3の活性化は観察されなかった。
図25B図25Bは、HEK細胞の処理後のカルシウム感知(GCaMP6s蛍光)を示すグラフである。PD-L1に応答してADGRB1又はEphA3の下流で応答は観察されなかった。
図25C図25Cは、HEK細胞の処置後のcAMP刺激(GLOSENSOR(商標)によって評価される)を示すグラフである。応答は観察されなかった。
図25D図25Dは、HEK細胞の処理後のcAMP阻害を示すグラフである。応答は観察されなかった。
図26A図26Aは、ADGRB1を含むEVの分泌タンパク質Fcライブラリのメンバーへの結合についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。陽性対照(抗FLAG抗体)を標識する。
図26B図26Bは、Fcに融合した単一膜貫通受容体の細胞外ドメインを含むライブラリ(STMライブラリ)のメンバーへの、ADGRB1を含むEVの結合についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。RTN4R及びPD-L1への結合が確認され、新たな相互作用が同定された。新規ヒットは標識されている。
図26C図26Cは、LGR4を含むEVの分泌タンパク質Fcライブラリのメンバーへの結合についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。陽性対照(抗FLAG抗体)を標識する。
図26D図26Dは、LGR4を含むEVのSTMライブラリのメンバーへの結合のスクリーニングの結果を示す散布図である。陽性対照(RSPO3)を標識する。新規ヒットを緑色で示す。
図26E図26Eは、LGR5を含むEVの分泌タンパク質Fcライブラリのメンバーへの結合についてのスクリーニングの結果を示す散布図である。陽性対照(抗FLAG抗体)を標識する。新規ヒットを緑色で示す。
図26F図26Fは、LGR5を含むEVのSTMライブラリのメンバーへの結合のスクリーニングの結果を示す散布図である。陽性対照(抗FLAG抗体)を標識する。新規ヒットを緑色で示す。共有LGR4及びLGR5のヒットは青色で示されている。
図27図27は、カルボキシペプチダーゼM(CPM)活性アッセイの結果を示す棒グラフである。CPM-FL:小胞は完全長CPMを含んでいた。CPMgD:小胞はgD-GPI(gD)CPMを含んでいた。pRK EV:ベクター対照;PBSのみ:緩衝液対照。
図28図28は、完全長EPHA3(EPHA3-FL)及びPDL1-Fc、EPHA3-Fc、EPHA3リガンドEFNA1-Fc及びEFNA5-Fc、並びに完全長PDL1を含むEVにおいて検出された総EPHA3種及びリン酸化EPHA3種(pEPHA2/3/4及びpEPHA3/4/5)のレベルを示す一対のウエスタンブロットを示す一対の顕微鏡写真である。pRK EV:ベクター対照。
【発明を実施するための形態】
【0124】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書で使用される場合、「生物学的小胞」又は「BV」という用語は、親細胞、例えば哺乳動物細胞から天然に分泌される脂質二重層で区切られた粒子を指す。BVは、例えば、細胞外小胞(EV;ナノメートルサイズの粒子、例えば組換え細胞外小胞(rEV))、エキソソーム、微小胞、又はウイルス様粒子(VLP)であり得る。VLPは、例えば、Titeca et al.,Nature Protocols,12(5):881-898,2017)に記載されている。BV組成物又は調製物は、EV、エキソソーム、微小胞、又はVLPの1つのみを含み得るか、又はEV、エキソソーム、微小胞、及びVLPの2つ、3つ、又は4つ全ての混合物を含み得る。BVは、折り畳まれ、親細胞の内因性機構を使用してそれらの天然膜に挿入されたタンパク質を含む。いくつかの態様では、BVは、親細胞に天然ではないタンパク質、例えば、親細胞が発現するように改変されているタンパク質(例えば、異種膜結合タンパク質、例えば、タンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含む異種膜結合タンパク質)を含む。親細胞によるBVの産生は、親細胞を膜出芽物質と接触させること(例えば、膜出芽物質、例えばHIV gagタンパク質で細胞を形質転換すること)、及び/又はBVの形成を促進する条件に細胞を曝露することによって増加され得る。いくつかの態様では、BVは親細胞(例えば、親細胞を含む培養培地から精製される)から精製される。
【0125】
本明細書で使用される場合、「膜出芽物質」という用語は、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる作用因子を指す。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性、例えば、配列番号1に対して91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。いくつかの態様では、親細胞を膜出芽物質で形質転換する。細胞は、追加的又は代替的に、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる条件(例えば、培養条件)に曝露され得る。膜出芽物質の更なる例としては、自己集合性VLP(例えば、MLGag、AARDC1(例えば、hAARDC1)及びAcyl.Hrs);エキソソーム又は腫瘍経路などの内因性小胞形成経路を増強する作用因子(例えば、RhoA.F3OL、ARF6.Q67L、VPS4a、HAS3、CD9、CD63及びCD81);及びアポトーシス小体に関連する因子(例えば、構成的に活性なROCK1)が挙げられる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書中の値又はパラメータに関する「約」の言及は、その値又はパラメータそれ自体に向けられる態様を含む(及び記述する)。
【0127】
本明細書で使用される場合、「単一膜貫通受容体」、「1回膜貫通受容体」、又は「STM受容体」という用語は、単一膜貫通ドメインを有するタンパク質を指す。いくつかの態様では、STM受容体は細胞表面上に発現される。例示的なSTM受容体は、表4、並びにPCT/US 2020/025471、Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018、及びClark et al.,Genome Res,13:2265-2270,2003に提供されており、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、STMタンパク質は、UniProt注釈の「ロイシンリッチ」、「システインリッチ」、「ITIM/ITAM」(免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ/免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ)、「TNFR」(腫瘍壊死因子受容体)、「TLR/ILR」(Toll様受容体/インターロイキン受容体)、「セマフォリン」、「キナーゼ様」、「Ig様」(免疫グロブリン様)、「フィブロネクチン」、「エフリン」、「EGF」、「サイトカインR」、又は「カドヘリン」を有する。STM受容体は、例えば、アミノ酸配列中のシグナルペプチド又は予測される膜貫通領域の存在に基づいて同定され得る。いくつかの態様では、STM受容体は細胞外ドメインとして発現される。
【0128】
本明細書で使用される場合、「細胞外ドメイン」又は「ECD」という用語は、細胞の外側の原形質膜の外側に局在すると予測されるタンパク質ドメインを指す。いくつかの例では、ECDは、受容体、例えばSTM受容体のECDである。いくつかの態様では、ECDはIgSFタンパク質のECDである。いくつかの態様では、ECDはPDPNのECDである。いくつかの態様では、細胞外ドメインの境界は、タンパク質が原形質膜を通過することを示すドメイン、例えば、膜貫通ドメイン(例えば、膜貫通ヘリックス)の予測によって同定され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインの存在は、タンパク質が原形質膜に輸送されることを示すドメイン、配列、又はモチーフ、例えば、シグナル配列又はグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合部位の存在によって予測され得る。いくつかの態様では、ECDの境界はUniProt注釈に従って決定される。いくつかの態様では、ECDは可溶性である。いくつかの態様では、細胞外ドメインは、完全長タンパク質との関連において発現される。他の態様では、細胞外ドメインは、単離された細胞外ドメイン、例えば、細胞外であると予測されるタンパク質のアミノ酸残基のみを含むアミノ酸残基の配列として発現される。
【0129】
いくつかの態様では、単離されたECDは融合タンパク質に含まれる。いくつかの態様では、融合タンパク質に含まれることは、溶解性、発現の容易さ、捕捉の容易さ(例えば、プロテインAでコーティングされたプレート上)、多量体化、又はECDの他の望ましい特性を増加させる。いくつかの態様では、ECD又はECD融合タンパク質は単量体である。他の態様では、ECD又はECD融合タンパク質は、多量体、例えば四量体又は五量体である。いくつかの態様では、ECDはヒトIgGに融合される。いくつかの態様では、ECDはヒトFcタグに融合される。いくつかの態様では、ECDはAvidity AVITAG(商標)(Aviタグ)に融合される。いくつかの態様では、ECDはポリヒスチジン(His)タグに融合される。いくつかの態様では、ECDは、糖タンパク質D(gD)タグ及びグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)リンカー、例えばgD-GPIタグに融合される。他の態様では、ECDは、例えばBushell et al.,Genome Res,18:622-630,2008に記載されているように、ラット軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質(COMP)の五量体化ドメイン及びβ-ラクタマーゼタンパク質に融合される。いくつかの態様では、ECD融合タンパク質は、1つ以上のドメインの除去を可能にするために、切断配列、例えば、TEV切断配列を更に含む。いくつかの例では、切断配列で切断可能なAviタグ及びFcタグを有するECD融合タンパク質を更に処理して、Fcタグを除去し、Aviタグをビオチン化し、ビオチン化ECD融合タンパク質を蛍光ストレプトアビジン(SA)に融合させ、例えば、四量体化ECD融合タンパク質を形成する。いくつかの例では、単離されたECD又はECD融合タンパク質は精製される。
【0130】
本明細書で使用される場合、「モジュレーター」は、所与の生物学的活性、例えば、相互作用又は相互作用から生じる下流活性を調節する(例えば、増加させる、減少させる、活性化する、又は阻害する)薬剤である。モジュレーター又は候補モジュレーターは、例えば、小分子、抗体、抗原結合フラグメント(例えば、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、ScFab、VHドメイン、又はVHHドメイン)、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、又は低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。
【0131】
「増加させる」又は「活性化する」とは、例えば、20%以上、50%以上、又は75%、85%、90%、又は95%以上の全体的な増加を引き起こす能力を意味する。特定の態様では、増加させる又は活性化するとは、タンパク質-タンパク質相互作用の下流活性を指すことができる。
【0132】
「減少させる」又は「阻害する」とは、例えば、20%以上、50%以上、又は75%、85%、90%、95%以上の全体的減少を引き起こす能力を意味する。特定の態様では、減少させる又は阻害するとは、タンパク質-タンパク質相互作用の下流活性を指すことができる。
【0133】
「親和性」は、分子(例えば、受容体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、リガンド)との間の非共有相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、特に明記しない限り、結合対(例えば、受容体及びリガンド)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。
【0134】
本明細書で使用される場合、「複合体」又は「複合体型」は、ペプチド結合ではない結合及び/又は力(例えば、ファンデルワールス、疎水性、親水性力)を介して互いに相互作用する2つ以上の分子の会合を指す。一態様では、複合体はヘテロ多量体である。本明細書で使用される場合、「タンパク質複合体」又は「ポリペプチド複合体」という用語は、タンパク質複合体中のタンパク質にコンジュゲートした非タンパク質実体(例えば、限定しないが、毒素又は検出剤などの化学分子を含む)を有する複合体が含まれることを理解するべきである。
【0135】
「親細胞」という用語は、BVが産生される細胞を指す。親細胞には、外因性核酸が導入された細胞が含まれ、そのような細胞の子孫を含む。親細胞には、「トランスフェクトされた細胞」、「形質転換された細胞」、及び「形質転換体」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同じでなくてもよく、変異を含んでもよい。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされるか若しくは選択されるのと同じ機能、又は生物活性を有する突然変異体の後代が本発明に含まれる。いくつかの態様では、親細胞は外因性核酸で安定に形質転換される。他の態様では、親細胞は、外因性核酸で一過性に形質転換される。
【0136】
本明細書で使用される場合、「ロイシンリッチリピート含有タンパク質15」又は「LRRC15」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源由来の任意の天然LRRC15を広く指す。この用語は、完全長LRRC15及びLRRC15の単離された領域又はドメイン、例えばLRRC15 ECDを包含する。この用語は、天然に存在するLRRC15のバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトLRRC15のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q8TF66の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にLRRC15の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないLRRC15の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0137】
本明細書で使用される場合、「プログラム細胞死1リガンド1」又は「PD-L1」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然PD-L1を広く指す。PD-L1はCD274とも呼ばれる。この用語は、完全長PD-L1及びPD-L1の単離された領域又はドメイン、例えばPD-L1 ECDを包含する。この用語は、天然に存在するPD-L1のバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPD-L1のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q9NZQ7の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にPD-L1の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないPD-L1の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0138】
本明細書で使用される場合、「ポリオウイルス受容体」又は「PVR」は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然PVRを広く指す。この用語は、完全長PVR及びPVRの単離された領域又はドメイン、例えばPVR ECDを包含する。この用語は、PVRの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPVRのアミノ酸配列は、UniProt受入番号A0A0C4DG49の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にPVRの機能及び/又は活性に影響を及ぼさないPVRの保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0139】
本明細書で使用される場合、「CD80」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然CD80を広く指す。CD80は、B7-1とも呼ばれる。この用語は、完全長CD80及びCD80の単離された領域又はドメイン、例えばCD80 ECDを包含する。この用語は、CD80の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCD80のアミノ酸配列は、UniProt受入番号P33681の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にCD80の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないCD80の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0140】
本明細書で使用される場合、「CD276」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然CD276を広く指す。CD276は、B7-H3とも呼ばれる。この用語は、完全長CD276及びCD276の単離された領域又はドメイン、例えばCD276 ECDを包含する。この用語は、CD276の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCD276のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q5ZPR3の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にCD276の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないCD276の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0141】
本明細書で使用される場合、「TEM1」、「CD248」及び「エンドシアリン」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然TEM1を広く指す。この用語は、完全長TEM1及びTEM1の単離された領域又はドメイン、例えばTEM1 ECDを包含する。この用語は、TEM1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトTEM1のアミノ酸配列は、UniProt受入番号Q9HCU0の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にTEM1の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないTEM1の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0142】
本明細書で使用される場合、「ADGRB1」、「接着GPCR B1」及び「接着Gタンパク質共役受容体B1」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然ADGRB1を広く指す。この用語は、完全長ADGRB1及びADGRB1の単離された領域又はドメイン、例えばADGRB1 ECDを包含する。この用語は、ADGRB1の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトADGRB1のアミノ酸配列は、UniProt受入番号O14514の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にTEM1の機能及び/又は活性に影響を及ぼさないTEM1の保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0143】
本明細書で使用される場合、「ICOSLG」、「誘導性T細胞共刺激リガンド」及び「ICOSリガンド」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む任意の哺乳動物源からの任意の天然ICOSLGを広く指す。この用語は、完全長ICOSLG及びICOSLGの単離された領域又はドメイン、例えばICOSLG ECDを包含する。この用語は、ICOSLGの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトICOSLGのアミノ酸配列は、UniProt受入番号O75144の下に示されている。軽微な配列バリエーション、特にICOSLGの機能及び/又は活性に影響を及ぼさないICOSLGの保存的アミノ酸置換もまた、本発明により意図される。
【0144】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然タンパク質を指す。この用語は、「完全長」の未処理のタンパク質と、細胞内での処理から生じるあらゆる形態のタンパク質を包含する。この用語はまた、タンパク質の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアント、例えば、アミノ酸置換変異又はアミノ酸欠失変異を包含する。この用語はまた、タンパク質の単離された領域又はドメイン、例えば、細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0145】
「単離された」タンパク質又はペプチドは、その自然環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様では、タンパク質又はペプチドは、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定されるように、95%又は99%を超える純度まで精製される。
【0146】
「単離された」核酸とは、自然環境の構成要素から切り離されている核酸分子のことである。単離核酸は、元々その核酸分子を含む細胞に含まれているが、その核酸分子が、染色体外に存在するか、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する核酸分子を含む。
【0147】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、及びベクターが導入された宿主細胞のゲノム内へと組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
【0148】
「抗体」という用語は、本明細書では最も広い意味で用いられ、限定はしないが、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメント(例えば、bis-Fab)を含めた、様々な抗体構造を包含する。
【0149】
「抗原結合フラグメント」又は「抗体フラグメント」とは、インタクトな抗体以外の分子であって、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む分子を指す。抗原結合フラグメントの例としては、限定されないが、bis-Fab;Fv;Fab;Fab、Fab’-SH;F(ab’);ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv、ScFab);及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0150】
「単一ドメイン抗体」は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部、あるいは軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体フラグメントを指す。特定の態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号B1を参照)。単一ドメイン抗体の例には、VHHが含まれるが、これに限定されない。
【0151】
「Fab」フラグメントは、抗体のパパイン消化によって生成される抗原結合フラグメントであり、L鎖全体と、H鎖の可変領域ドメイン(VH)及び1本の重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。抗体のパパイン消化により、2つの同一のFabフラグメントを生成する。抗体のペプシン処理により単一の大きなF(ab’)フラグメントが生じ、これは二価の抗原結合活性を有するジスルフィドで連結された2つのFabフラグメントにほぼ対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に追加のいくつかの残基を有している点でFabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’の本明細書での命名である。F(ab’)抗体フラグメントは、元来、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として産生されたものであった。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも既知である。
【0152】
本明細書において「Fc領域」という用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226の位置のアミノ酸残基から又はPro230からそのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって取り除かれ得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全てのLys447残基が除かれた抗体集団、Lys447残基が除かれていない抗体集団、及びLys447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。
【0153】
「Fv」は、1つの重鎖及び1つの軽鎖可変領域ドメインが、堅固な非共有結合をなした二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、かつ抗原結合特異性を抗体に与える6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖から各3つのループ)が生じる。ただし、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性であることが多いものの、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0154】
「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、ネイティブ抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、又は本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0155】
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖中に接続するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含み、これは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。scFvのレビューについては、Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994);Malmborg et al.,J.Immunol.Methods 183:7-13,1995を参照されたい。
【0156】
「小分子」という用語はとは、分子量約2000ダルトン以下、例えば約1000ダルトン以下の任意の分子を指す。いくつかの態様では、小分子は小さな有機分子である。
【0157】
本明細書で使用される場合、「模倣物」、「ペプチド模倣物」、「ポリペプチド模倣物」又は「分子模倣物」という用語は、コンホメーション及び/又は結合能力において、所与のポリペプチドに対して又は当該ポリペプチドの結合パートナーに結合するための当該ポリペプチドの部分に対して十分な類似性(例えば、二次構造、三次構造)を有するポリペプチドを指す。模倣物は、それが模倣するポリペプチドと等しい、より少ない、又はより大きな親和性で結合パートナーと結合し得る。分子模倣物は、それが模倣するポリペプチドと明らかなアミノ酸配列類似性を有していても、有していなくてもよい。模倣物は、自然に発生することもあれば、操作されることもある。いくつかの態様では、模倣物は表1のタンパク質の模倣物である。他の態様では、模倣物は表2のタンパク質の模倣物である。更に別の態様では、模倣物は、表1のタンパク質又は表2のタンパク質に結合する別のタンパク質の模倣物である。いくつかの態様では、模倣物は表5のタンパク質の模倣物である。他の態様では、模倣物は表6のタンパク質の模倣物である。更に別の態様では、模倣物は、表5のタンパク質又は表6のタンパク質に結合する別のタンパク質の模倣物である。いくつかの態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行し得る。他の態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行するわけではない。
【0158】
本明細書で使用される場合、2つ以上のタンパク質(例えば、表1のタンパク質及び表2のタンパク質、又は表5のタンパク質及び表6のタンパク質)の相互の「結合を可能にする条件」という用語は、2つ以上のタンパク質がモジュレーター又は候補モジュレーターの非存在下で相互作用するであろう条件(例えば、タンパク質濃度、温度、pH、塩濃度)を指す。結合を可能にする条件は個々のタンパク質によって異なり、タンパク質-タンパク質相互作用アッセイ(例えば、表面プラズモン共鳴アッセイ、バイオレイヤー干渉法、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、細胞外相互作用アッセイ、及び細胞表面相互作用アッセイ)の間で異なる可能性がある。
【0159】
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、基準ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある様々な方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して得ることができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを得るのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
【0160】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
この場合、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0161】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴付けられ及び/又は同定される細胞及び/又は他の分子実体を含有する、目的の対象及び/又は個体から得られるか、又はそれに由来する組成物を指す。例えば、「疾患試料」という語句及びその変形は、特徴付けられるべき細胞及び/又は分子実体を含有することが期待されるか又は含有することが知られている、目的の対象から得られた任意の試料を指す。試料は、限定されないが、組織試料、初代若しくは培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳汁、全血、血漿、血清、血液由来細胞、尿、脳脊髄液、唾液、頬スワブ、痰、涙液、発汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、ホモジナイズした組織等の組織抽出物、腫瘍組織、細胞抽出物、及びそれらの組み合わせを含む。試料は、保存試料、新鮮な試料、又は凍結試料であり得る。いくつかの態様では、試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織試料である。
【0162】
II.タンパク質を提示する生物学的小胞
膜結合タンパク質(例えば、受容体-リガンド相互作用)を含む相互作用の研究は、細胞外環境で起こる細胞コミュニケーションを理解するのに役立つ。しかしながら、これらの相互作用の同定及び理解の進歩は、一部には受容体-リガンド相互作用が膜内で起こるため、細胞質タンパク質に関するものよりも遅れている。生理学的膜は、脂質、ステロール、タンパク質及びグリカンの複雑な混合物を含み、それらは全て相互作用に関与することができる。さらに、膜は、弱いタンパク質-タンパク質相互作用を強化する受容体のクラスター化、配向及び折り畳みを助ける。タンパク質-タンパク質相互作用を評価するための標準的な方法は、典型的には、細胞膜の非存在又は細胞膜からの抽出を必要とする。結果として、これらの一般的に利用される方法論は、受容体-リガンド相互作用を十分に表していない。
【0163】
本開示は、生物学的小胞(BV)、例えば細胞外小胞(EV)の表面に提示されるタンパク質(例えば、膜貫通受容体)を特徴とする。いくつかの態様では、本開示は、BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む、異種膜結合タンパク質であって、BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含む、BVを特徴とする。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。
【0164】
いくつかの態様では、本開示は、BVであって、(a)タンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含む異種膜結合タンパク質であって、BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質と、(b)膜出芽物質とを含み、膜出芽物質がHIV gagタンパク質であり、BVが、(i)異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を発現するように改変された親細胞を提供すること、並びに(ii)親細胞からBVを単離すること、を含む方法によって生成される、BVを特徴とする。
【0165】
A.タンパク質フラグメント
いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは、膜貫通受容体、例えば1回膜貫通(STM)受容体又は複数回膜貫通受容体(多重膜貫通;MTMR)、例えばGタンパク質共役受容体(GPCR)の細胞外ドメインである。例示的なSTM受容体は、本明細書のセクションIIIに記載されており、表2及び表4に提供されている。
【0166】
B.アンカー
いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質フラグメントをBVの脂質膜の表面に繋ぎ止める。いくつかの態様では、アンカーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである。いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質の脂質化に使用される部分、例えば、システインパルミトイル化、グリシンミリストイル化、リジン脂肪アシル化、コレステロールエステル化、システインプレニル化、又はセリン脂肪アシル化に使用される部分である。
【0167】
C.タグ
いくつかの態様では、タグは、直接的又は間接的に視覚化され得るか、又は別の方法で検出され得る。例えば、タグは、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含み得、例えば、糖タンパク質D(gD)ポリペプチドであり得る。いくつかの態様では、タグは蛍光タンパク質を含む。いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは、gDタグ及びGPIアンカーを含むgD-GPIコンストラクトに(例えば、融合)コンジュゲートされる。
【0168】
D.膜出芽物質
BVは、親細胞内に存在する場合に、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる膜出芽物質を更に含み得る。親細胞は膜出芽物質でトランスフェクトされ得、膜出芽物質は、例えば膜出芽プロセス中にBVによって継承され得る。
【0169】
いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性、例えば、配列番号1に対して91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。いくつかの態様では、膜出芽物質(例えば、HIV gagタンパク質)は、直接的若しくは間接的に可視化され得るか、又はそうでなければ検出され得るマーカーを含む。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは蛍光タンパク質である。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは、基質、例えばウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である。更なる膜出芽物質は、下記のセクションIII(Cに記載される。
【0170】
細胞は、追加的又は代替的に、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる条件(例えば、培養条件)に曝露され得る。膜出芽物質を含むEVは、組換えEV(rEV)と呼ばれることがある。
【0171】
BV産生を増加させる膜出芽物質及び/又は作用因子若しくは条件は、親細胞によるBV産生を、例えば、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、又は4倍超増加させ得る(例えば、1.5~2.5倍、2.5~3.5倍、又は3.5~4.5倍)。いくつかの態様では、膜出芽物質(例えば、HIV gagタンパク質)は、親細胞によるBV産生を約4倍増加させる。
【0172】
E.親細胞及び単離方法
生物学的小胞(BV)は、親細胞に由来する(例えば、以下によって生成され、以下から分離される)任意の適切な脂質小胞構造を含む。いくつかの態様では、BVは哺乳動物細胞によって産生される。細胞は、例えば、EXPI293F(商標)細胞であり得る。いくつかの態様では、BVは、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞、又はウイルス様粒子(VLP)である。いくつかの態様では、BV調製物又は組成物は、EV、エキソソーム、微小胞、及び/又はVLPの混合物を含む。BVは、例えば遠心分離(例えば、超遠心分離)を使用して、親細胞及び/又は大型EV及びタンパク質凝集体から分離され得る(例えば、親細胞の培養培地から分離され得る)。
【0173】
いくつかの態様では、親細胞は、異種膜結合タンパク質をコードするプラスミド、及び膜出芽物質をコードするプラスミドでトランスフェクトされている。異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質は、単一のプラスミドによってコードされ得るか、又は別々のプラスミドによってコードされ得る。
【0174】
親細胞の表面上及び/又はBVの表面上の異種膜結合タンパク質及び/又は膜出芽物質の発現レベルが評価され得る。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質の発現レベルは、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して評価され、BVは、異種膜結合タンパク質に関連するタグに対する抗体と接触した場合に閾値レベル以上の少なくとも1つのシフトを生じる。いくつかの態様では、タグはgDポリペプチドであり、抗体は抗gD抗体であり、BLIアッセイを30℃で実施した場合、シフトは少なくとも1.5nmである。他の態様では、BVを異種膜結合タンパク質に特異的な抗体と接触させる。
【0175】
いくつかの態様では、BVは、BVの直接的又は間接的な可視化を可能にするマーカー、例えば膜マーカー(例えば、蛍光膜マーカー)を含む。いくつかの態様では、膜マーカーはコレステロールマーカー、例えばAMPLEX(商標)Redである。
【0176】
III.タンパク質-タンパク質相互作用を同定する方法
生物学的小胞(BV)は、結合コンピテント受容体を得るためのタンパク質精製のない方法を提供する。次いで、受容体を有するBVを、受容体のリガンド(例えば、リガンドのライブラリ)との相互作用について試験し、したがってタンパク質-タンパク質相互作用を同定及び評価する方法を提供し得る。
【0177】
いくつかの態様では、本開示は、タンパク質-タンパク質相互作用を同定する方法であって、(a)標的ポリペプチドの集合体を提供することであって、任意に、標的ポリペプチドの集合体が1つ以上の固体表面に固定化される、標的ポリペプチドの集合体を提供することと、(b)異種膜結合タンパク質と標的ポリペプチドの少なくとも1つとの結合を可能にする条件下で、工程(a)の集合体を、異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることであって、膜出芽物質がHIV gagタンパク質であり、異種膜結合タンパク質がBVの表面上に閾値レベル以上で発現される、工程(a)の集合体を、異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含む生物学的小胞(BV)と接触させることと、(c)異種膜結合タンパク質と少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それによりタンパク質-タンパク質相互作用を同定することを含む、方法を特徴とする。
【0178】
A.異種膜結合タンパク質
異種膜結合タンパク質は、EVに組み込むことができる任意のタンパク質若しくはポリペプチド又はそのフラグメントであり得る。
【0179】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は完全長タンパク質である。他の態様では、異種膜結合タンパク質は、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカーを含む。タンパク質フラグメントは、例えば、細胞外ドメイン(例えば、目的のタンパク質の細胞外ドメイン、例えば、膜貫通受容体)であり得る。ECDは、細胞の原形質膜の外側に局在すると予測されるタンパク質のドメインである。したがって、タンパク質のこのドメインは、細胞外環境と相互作用するために利用可能であり、例えば、可溶性タンパク質及び細胞上又は隣接する細胞上の他のタンパク質のECDと相互作用する。タンパク質の1つ以上のECDは、バイオインフォマティクス分析、例えばUniProt注釈の分析によって同定され得る。例えば、ECDの境界は、隣接する予測される膜貫通領域、例えば、膜貫通ヘリックスの境界に対して同定され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインの存在は、タンパク質が原形質膜に輸送されることを示すドメイン、配列、又はモチーフ、例えば、シグナル配列又はグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合部位の存在によって予測され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインは、完全長タンパク質との関連において発現される。他の態様では、細胞外ドメインは、単離された細胞外ドメイン、例えば、細胞外であると予測されるタンパク質のアミノ酸残基のみを含むアミノ酸残基の配列として発現される。いくつかの態様では、単離された細胞外ドメインは融合タンパク質で発現される。
【0180】
異種膜結合タンパク質がタンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含むいくつかの態様では、アンカーは、タンパク質フラグメントをBVの脂質膜の表面に繋ぎ止める。いくつかの態様では、アンカーは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチドである。いくつかの態様では、アンカーは、タンパク質の脂質化に使用される部分、例えば、システインパルミトイル化、グリシンミリストイル化、リジン脂肪アシル化、コレステロールエステル化、システインプレニル化、又はセリン脂肪アシル化に使用される部分である。
【0181】
異種膜結合タンパク質がタンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含むいくつかの態様では、タグは、直接的又は間接的に可視化され得るか、そうでなければ検出され得る。例えば、タグは、抗体又は抗体フラグメントを使用して検出することができる部分を含み得、例えば、糖タンパク質D(gD)ポリペプチドであり得る。いくつかの態様では、タグは蛍光タンパク質を含む。いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは、gDタグ及びGPIアンカーを含むgD-GPIコンストラクトに(例えば、融合)コンジュゲートされる。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は、以下の表1に提供されるタンパク質(例えば、gD-GPIコンストラクトにコンジュゲートされた表1に提供されるタンパク質のECD)又は表5に提供されるタンパク質である。
【表1】
【0182】
B.BV及び親細胞
生物学的小胞(BV)は、本明細書のセクションII(E)に記載されているように、親細胞に由来する(例えば、以下によって生成され、以下から分離される)任意の適切な脂質小胞構造を含む。
【0183】
いくつかの態様では、親細胞は、異種膜結合タンパク質をコードするプラスミド、及び膜出芽物質をコードするプラスミドでトランスフェクトされている。異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質は、単一のプラスミドによってコードされ得るか、又は別々のプラスミドによってコードされ得る。
【0184】
親細胞の表面上及び/又はBVの表面上の異種膜結合タンパク質及び/又は膜出芽物質の発現レベルが評価され得る。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質の発現レベルは、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して評価され、BVは、異種膜結合タンパク質に関連するタグに対する抗体と接触した場合に閾値レベル以上の少なくとも1つのシフトを生じる。いくつかの態様では、タグはgDポリペプチドであり、抗体は抗gD抗体であり、閾値レベルは、BLIアッセイを30℃で実施した場合の少なくとも1.5nmのシフトである。他の態様では、BVを異種膜結合タンパク質に特異的な抗体と接触させる。
【0185】
いくつかの態様では、BVは、BVの直接的又は間接的な可視化を可能にするマーカー、例えば膜マーカー(例えば、蛍光膜マーカー)を含む。いくつかの態様では、膜マーカーはコレステロールマーカー、例えばAMPLEX(商標)Redである。
【0186】
C.膜出芽物質
BVは、本明細書のセクションII(D)に記載されているように、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる膜出芽物質を更に含み得る。
【0187】
いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。いくつかの態様では、HIV gagタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性、例えば、配列番号1に対して91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。
【0188】
更なる例示的な膜出芽物質としては、自己集合性VLP(例えば、MLGag、AARDC1(例えば、hAARDC1)及びAcyl.Hrs);エキソソーム又は腫瘍経路などの内因性小胞形成経路を増強する作用因子(例えば、RhoA.F3OL、ARF6.Q67L、VPS4a、HAS3、CD9、CD63及びCD81);及びアポトーシス小体に関連する因子(例えば、構成的に活性なROCK1)が挙げられる。
【0189】
いくつかの態様では、膜出芽物質は、MLGag、Acyl.Hrs、ARRDC1(例えば、hAARDC1)、ARF6(例えば、ARF6Q67L)、RhoA(例えば、RhoA.F30L)、又はそれらの組合せである。
【0190】
いくつかの態様では、膜出芽物質はGagタンパク質、例えばキメラGagタンパク質(例えば、Hammarstedt et al.,J Virol.78(11):5686-97,2004又はChen et al.,Proc Natl Acad Sci USA,98(26):15239-44,2001で検討されるキメラGagタンパク質)である。いくつかの態様では、キメラGagタンパク質は、HIV Gagの一部と、異なるレトロウイルス由来のGagの一部とを含む。例えば、限定するものではないが、キメラGagは、HIV Gagを含み、その局在を指示することが知られているHIV Gagの領域が、マウスレトロウイルスであるモロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来の機能的に相同な領域で置換されている。特定の実施形態では、HIV Gagの置換領域は、マトリックスドメイン(MA)であり、したがって本明細書でMLGagと称されるキメラGagを生成する。特定の実施形態では、キメラGagタンパク質及び完全長Gagタンパク質を、例えば、Stocking et al.,Cell Mol.Life Sci.,65(21):3383-3398,2008に記載される、任意の種に由来する内因性レトロウイルス(ERV)配列から生成することができる。特定の実施形態では、小胞因子はMLGagである。
【0191】
特定の実施形態では、小胞因子は、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)である。特定の実施形態では、小胞因子はマウスARRDC1(mARRDC1)である。特定の実施形態では、小胞因子はヒトARRDC1(hARRDC1)である。ARRDC1は、アクセサリータンパク質のテトラペプチドPSAPモチーフであり、EV形成を誘導する宿主タンパク質である。ARRDC 1の過剰発現により、微小胞(MV)形成が促進されることが示されている。このような効果は、PSAP/PTAPペプチドを介したTsg 101の動員によって媒介される。ATPアーゼVP S4aの過剰発現は、MV形成の更なる増強をもたらす(Nabhan et al.,Proc Natl Acad Sci U S A,109(11):4146-51,2012)。特定の実施形態では、小胞因子はADPリボシル化因子-6(ARF6)である。ARF6は、ERK依存的様式で腫瘍細胞における微小胞形成を駆動するRho GTPアーゼであることが示されているMuralidharan-Chari et al.,Curr Biol.,19(22):1875-85,2009).特定の実施形態では、小胞因子は構成的に活性な形態のARF6である。例えば、限定するものではないが、構成的に活性な形態のARF6は、ARF6.Q67Lである(例えば、Peters et al.,J.Cell Biol,128(6):1003-1017,1995を参照)
【0192】
特定の実施形態では、小胞因子は、腫瘍細胞における微小胞形成も駆動することができる変異RhoA/ROCK1である(Li et al.,Oncogene,31(45):4740-9,2012)。特定の実施形態では、小胞因子は、構成的に活性な形態のRhoAである。例えば、限定するものではないが、構成的に活性な形態のRhoAは、RhoA.F3OLである(例えば、Lin et al.,JBC,274(33):23633-23641,1999を参照)。
【0193】
特定の実施形態では、小胞因子は、原形質膜(PM)結合ドメイン、自己組織化ドメイン、及び輸送に必要なエンドソーム選別複合体(ESCRT)動員ドメインを含む。EV形成の設計原理は、EV因子/カーゴの迅速な生成を可能にすることである。PMターゲティング及び高次オリゴマー化がEV組込みを推進することが示されている(Fang et al.,PLoS Biol.,5(6):e158,2007)。特定の実施形態では、小胞因子は、アシル化タグのPM結合ドメイン、及びコイルドコイルの自己組織化ドメインからなる肝細胞増殖因子調節チロシンキナーゼ基質(Hrs)のC末端ドメイン、並びにESCRT動員ドメインを含む、Acyl.Hrsである。特定の実施形態では、小胞因子は、マトリックスのPM結合ドメイン、カプシドの自己組織化ドメイン、及びp6のESCRT動員ドメインを含む、MLGagである。特定の実施形態では、小胞因子は、自己組織化ドメインとESCRT動員ドメインとを含む。特定の実施形態では、小胞因子は、アレスチンドメインの自己組織化ドメインとESCRT動員ドメインとを含むARRDC1である。
【0194】
追加の小胞因子は、当技術分野で知られている任意の方法によって同定することができる。例えば、限定するものではないが、全てのタンパク質、例えばヒトタンパク質のcDNAライブラリのスクリーニングを実施して、EVの産生を増加させる単一の遺伝子又は遺伝子の組合せを同定することができる。代替的又は追加的に、CRISPR又はRNAiのスクリーニングを実施して、EVの産生を阻害する単一の遺伝子又は遺伝子の組合せを同定することができる。
【0195】
いくつかの態様では、膜出芽物質(例えば、HIV gagタンパク質)は、直接的若しくは間接的に可視化され得るか、又はそうでなければ検出され得るマーカーを含む。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素であり、例えば、酵素はウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)であり、基質はRluc基質である。
【0196】
細胞は、追加的又は代替的に、親細胞によるBV(例えば、細胞外小胞(EV)、エキソソーム、微小胞及び/又はウイルス様粒子(VLP))の産生を増加させる条件(例えば、培養条件)に曝露され得る。
【0197】
BV産生を増加させる膜出芽物質及び/又は作用因子若しくは条件は、親細胞によるBV産生を、例えば、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、又は4倍超増加させ得る(例えば、1.5~2.5倍、2.5~3.5倍、又は3.5~4.5倍)。いくつかの態様では、膜出芽物質(例えば、HIV gagタンパク質)は、親細胞によるBV産生を約4倍増加させる。
【0198】
D.標的ポリペプチドの集合体
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、膜貫通受容体又はそのフラグメントの集合体である。いくつかの態様では、受容体は1回膜貫通(STM)受容体である。STM受容体タンパク質は、原形質膜を通過する単一ドメインを有する膜結合受容体の大きなカテゴリである。多くのSTM受容体は細胞表面に発現しているため、細胞外インタラクトームに関与している可能性がある。例示的なSTM受容体が、表2及び表4、並びにMartinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018及びClark et al.,Genome Res,13:2265-2270,2003。
【0199】
いくつかの態様では、タンパク質フラグメントは、細胞外ドメイン(ECD)、例えば上記のように同定されたECDである。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体の各メンバーはFcタグ付き細胞外ドメインであり、固体表面はプロテインAで被覆されている。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの1つ以上は、1つ位以上の固体表面上の別個の位置に固定化される。他の態様では、1つ以上の標的ポリペプチドは表面に固定化されていない。
【表2】
【表3】
【表4】
【0200】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%、例えば、表4のタンパク質のうちの5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~455、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%又は95%~100%の細胞外ドメインを含む。
【0201】
いくつかの態様では、ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1050、少なくとも1100、少なくとも1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含み、例えば、表4のポリペプチドのうちの100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1050、1050~1100、1100~1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含む。
【0202】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0203】
他の態様では、受容体は、多重膜貫通受容体(MTMR)、例えばGPCRスーパーファミリーのメンバーである。
【0204】
E.相互作用のためのアッセイ
タンパク質-タンパク質相互作用アッセイを実施するために、標的ポリペプチド(例えば、表面に固定化された標的ポリペプチド、例えば、プレートのウェルに固定化された標的ポリペプチド)の集合体を、異種膜結合タンパク質(例えば、精製BVを含む溶液と接触させる)を含むBVと接触させる。次いで、アッセイをインキュベートし、1回以上洗浄して非結合BVを除去してもよい。
【0205】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質と少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用は、閾値レベルを超える固体表面上の位置でシグナルを検出することによって同定される。検出されるシグナルは、以下のように、BVの1つ以上の可視化可能な成分からのものであってもよい。
【0206】
いくつかの態様では、膜出芽物質(例えば、HIV gagタンパク質)は検出可能なマーカーを更に含み(例えば、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ)、相互作用を検出することは、閾値レベルを超える固体表面上の位置で検出可能なマーカーのレベルを検出することを含む。いくつかの態様では、検出可能なマーカーは、基質の存在下で蛍光シグナルを生成する酵素である。いくつかの態様では、酵素はウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)であり、アッセイは、Rluc基質を添加し、したがって相互作用が生じた固体表面上の位置で蛍光シグナルを生成することを更に含む。
【0207】
いくつかの態様では、BVは膜マーカーを含み、相互作用を検出することが、固体表面上の位置で、閾値レベルを超える膜マーカーのレベルを検出することを含む。いくつかの態様では、膜マーカーはコレステロールマーカーである。いくつかの態様では、コレステロールマーカーはAMPLEX(商標)Redである。
【0208】
いくつかの態様では、相互作用は一過性の相互作用である。
【0209】
いくつかの態様では、相互作用は低親和性相互作用である。
【0210】
いくつかの態様では、表1に提供されるタンパク質及び表4に提供されるSTMタンパク質は、上記のタンパク質-タンパク質相互作用アッセイにおける相互作用について試験される。
【0211】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイは、表3に提供される相互作用を同定し得る。
【0212】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイは、LRRC15と、TEM1/CD248/エンドシアリン、PLXDC2、PTPRD、SARAF、ASGR1、BMP10、CPM、LDLR、PILRA及び/又はPRRG2との間における相互作用を同定し得る。
【0213】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイは、PD-L1/CD274と、C6orf72、LRTM1、CDHR2、IGF2R、NCR3及び/又はSUSD3との間の相互作用を同定し得る。
【0214】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイは、PVRと、CLEC17A及び/又はPVRL4との間の相互作用を同定し得る。
【0215】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイは、CD80/B7-1と、BTNL3、CDHR2、GLT8D2、KIAA1467、及び/又はRNF152との間の相互作用を同定し得る。
【0216】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイは、CD276/B7-H3と、LRFN1、MXRA5、PVRL1、LRIT2、PLA2R1及び/又はSLITRK4との間における相互作用を同定し得る。いくつかの態様では、1つ以上の多重膜貫通受容体(MTMR)、例えば、GPCRスーパーファミリーのメンバーが、上記で記載されるようなタンパク質-タンパク質相互作用アッセイにおける相互作用について試験される。
【0217】
いくつかの態様では、表5に提供されるタンパク質及び表6に提供されるタンパク質は、上記のタンパク質-タンパク質相互作用アッセイにおける相互作用について試験される。
【0218】
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイは、表7に提供される相互作用を同定し得る。
【表5】
【表6】
【表7】
【0219】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイは、ADGRB1と、PD-L1、ICOSLG、DNER及び/又はCNTN6との間の相互作用を同定し得る。
【0220】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイは、LGR4と、CLPS、EDIL3、IZUMO4、IZUMO1、BTNL3、CD93、CEACAM16、IL-6、LRRC4C、SCARF1、及び/又はTRILとの間の相互作用を同定し得る。
【0221】
いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイは、LGR5と、CLPS、EDIL3、IZUMO4、CD93、GPR125、IL6-R及び/又はTRILとの間の相互作用を同定し得る。
【0222】
F.BV-タンパク質複合体
別の態様では、本開示は、(a)異種膜結合タンパク質及び膜出芽物質を含むBVと、(b)標的ポリペプチドとを含むタンパク質複合体であって、異種膜結合タンパク質と標的ポリペプチドとが互いに結合している、タンパク質複合体を特徴とする。例示的な異種膜結合タンパク質及び標的ポリペプチドは、それぞれセクションIIIA及びIIIDに記載されている。いくつかの態様では、標的ポリペプチドは表面に固定化され、複合体は表面に局在化する。
【0223】
IV.タンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーターを同定する方法
A.相互作用の調節に関するアッセイ
i.表1及び表2のタンパク質
いくつかの態様では、本開示は、表1のタンパク質と表2のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載されている候補モジュレーター)を提供することと、(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質は、表3において相互作用することが報告されている、表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることと、(c)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、候補モジュレーターを、表1のタンパク質と表2のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0224】
ii.TEM1及びLRRC15
いくつかの態様では、本開示は、LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でLRRC15をTEM1と接触させることと、(c)LRRC15のTEM1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、LRRC15のTEM1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0225】
iii.表5及び表6のタンパク質
いくつかの態様では、本開示は、表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載されている候補モジュレーター)を提供することと、(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質は、表7において相互作用することが報告されている、表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることと、(c)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での結合と比較した候補モジュレーターの存在下での結合の増加又は減少により、候補モジュレーターを、表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0226】
iv.PD-L1及びADGRB1
いくつかの態様では、本開示は、PD-LとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でPD-L1をADGRB1と接触させることと、(c)PD-L1のADGRB1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、PD-L1とADGRB1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、PD-L1のADGRB1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0227】
v.ICOSLG及びADGRB1
いくつかの態様では、本開示は、ICOSLGとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でICOSLGをADGRB1と接触させることと、(c)ICOSLGのADGRB1への結合を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の増加又は減少により、候補モジュレーターを、ICOSLGとADGRB1との間の相互作用のモジュレーターとして同定する、ICOSLGのADGRB1への結合を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0228】
vi.相互作用の調節に関するアッセイ
いくつかの態様では、候補モジュレーターは、細胞(例えば、哺乳動物細胞)に、細胞培養培地に、馴化培地に、表1のタンパク質(例えば、BV上で発現されるタンパク質1の形態)及び/又は表2のタンパク質の精製された形態に、及び/又は表5のタンパク質(例えば、BV上に発現されるタンパク質5の形態)及び/又は表6のタンパク質の精製された形態に提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、少なくとも0.1nM、0.5nM、1nM、10nM、50nM、100nM、250nM、500nM、750nM、1μM、2μM、3μM、5μM、又は10μMの濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、0.1nM~10μMの濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、溶液中、例えば、可溶性の形態で提供される。
【0229】
いくつかの態様では、(例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に)結合の増加が少なくとも70%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)である。いくつかの態様では、結合の増加は少なくとも70%である。
【0230】
いくつかの態様では、(例えば、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定した場合に)結合の減少が少なくとも70%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、結合の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)である。いくつかの態様では、結合の減少は少なくとも70%である。タンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーター、並びにそのような相互作用を調節し得る薬剤を同定するための例示的な方法は、以下及び参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2020/025471に記載されている。
【0231】
表1のタンパク質と表2のタンパク質との間、又は表5のタンパク質と表6のタンパク質との間の相互作用の調節は、モジュレーターの非存在下でのタンパク質-タンパク質相互作用と比較して、モジュレーターの存在下でのタンパク質-タンパク質相互作用の増加、例えば、タンパク質-タンパク質相互作用の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)の増加として同定され得る。あるいは、調節は、モジュレーターの非存在下でのタンパク質-タンパク質相互作用と比較した、モジュレーターの存在下でのタンパク質-タンパク質相互作用の減少、例えば、タンパク質-タンパク質相互作用の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、80%、90%、95%、又は100%(例えば、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)の減少として同定され得る。タンパク質-タンパク質相互作用のためのアッセイは、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、細胞外相互作用アッセイ、又は細胞表面相互作用アッセイであり得る。
【0232】
タンパク質-タンパク質相互作用の調節のためのSPRアッセイ
いくつかの態様では、タンパク質-タンパク質相互作用のアッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイである。いくつかの態様では、表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合、又は表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合の調節は、モジュレーターの非存在下と比較したその存在下でのSPRシグナル応答単位(RU)の差として測定される。
【0233】
タンパク質-タンパク質相互作用の調節のためのBLIアッセイ
いくつかの態様では、タンパク質-タンパク質相互作用についてのアッセイは、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイである。いくつかの態様では、BLIアッセイは、単離された細胞外ドメイン(ECD)を使用して行われる。いくつかの態様では、表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合、又は表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合の調節は、モジュレーターの非存在下と比較したその存在下でのバイオセンサチップで測定された波長シフト(Δλ)の差として測定される。
【0234】
タンパク質-タンパク質相互作用の調節のためのELISA
いくつかの態様では、タンパク質-タンパク質相互作用についてのアッセイは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)である。いくつかの態様では、第1のタンパク質はプレートに結合され(例えば、プレートに直接結合されるか、又はプレートに結合された抗体によって認識される親和性タグを介してプレートに結合される)、第2のタンパク質は可溶性形態で提供され、例えば、単離されたECDとして提供される。第1のタンパク質と第2のタンパク質との間の相互作用は、第2のタンパク質又はその親和性タグに結合する抗体を提供することによって検出され得、ここで、抗体はその抗体の存在についてのアッセイにおいて検出され、例えば視覚化され得る。
【0235】
タンパク質-タンパク質相互作用の調節のための他のアッセイ
いくつかの態様では、アッセイは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2020/025471に記載されるような細胞外相互作用アッセイである。いくつかの態様では、アッセイは、例えば、PCT/US2020/025471に記載されるような細胞表面相互作用アッセイである。いくつかの態様では、アッセイは、等温滴定熱量測定(ITC)アッセイ、免疫沈降を含むアッセイ、又はALPHASCREEN(商標)技術を含むアッセイである。
【0236】
B.下流活性における変化のアッセイ
i.表1及び表2のタンパク質
いくつかの態様では、本開示は、表1のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載の候補モジュレーター)を提供することと、(b)表1のタンパク質の表2のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表1のタンパク質を表2のタンパク質と接触させることと、(c)表1のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表1のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表1のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0237】
いくつかの態様では、本開示は、表2のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載の候補モジュレーター)を提供することと、(b)表2のタンパク質の表1のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表2のタンパク質を表1のタンパク質と接触させることであって、表1のタンパク質及び表2のタンパク質が、表3において相互作用することが報告されている、表2のタンパク質を表1のタンパク質と接触させることと、(c)表2のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表2のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表2のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0238】
ii.TEM1及びLRRC15
いくつかの態様では、本開示は、LRRC15の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)LRRC15のTEM1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でLRRC15をTEM1と接触させることと、(c)LRRC15の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、LRRC15の下流活性のモジュレーターとして同定する、LRRC15の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0239】
いくつかの態様では、本開示は、TEM1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)TEM1のLRRC15への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でTEM1をLRRC15と接触させることと、(c)TEM1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、TEM1の下流活性のモジュレーターとして同定する、TEM1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0240】
iii.表5及び表6のタンパク質
いくつかの態様では、本開示は、表5のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載の候補モジュレーター)を提供することと、(b)表5のタンパク質の表6のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表5のタンパク質を表6のタンパク質と接触させることと、(c)表5のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表5のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表5のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0241】
いくつかの態様では、本開示は、表6のタンパク質の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーター(例えば、本明細書のセクションIVに記載の候補モジュレーター)を提供することと、(b)表6のタンパク質の表5のタンパク質への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下で表6のタンパク質を表5のタンパク質と接触させることであって、表5のタンパク質及び表6のタンパク質が、表7において相互作用することが報告されている、表6のタンパク質を表5のタンパク質と接触させることと、(c)表6のタンパク質の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、表6のタンパク質の下流活性のモジュレーターとして同定する、表6のタンパク質の下流活性を測定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0242】
iv.PD-L1及びADGRB1
いくつかの態様では、本開示は、PD-L1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)PD-L1のADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でPD-L1をADGRB1と接触させることと、(c)PD-L1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、PD-L1の下流活性のモジュレーターとして同定する、PD-L1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0243】
いくつかの態様では、本開示は、ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ADGRB1のPD-L1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でADGRB1をPD-L1と接触させることと、(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ADGRB1の下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0244】
v.ICOSLG及びADGRB1
いくつかの態様では、本開示は、ICOSLGの下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ICOSLGのADGRB1への結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でICOSLGをADGRB1と接触させることと、(c)ICOSLGの下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ICOSLGの下流活性のモジュレーターとして同定する、ICOSLGの下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。
【0245】
いくつかの態様では、本開示は、ADGRB1の下流活性のモジュレーターを同定する方法であって、(a)候補モジュレーターを提供することと、(b)ADGRB1のICOSLGへの結合を可能にする条件下で、候補モジュレーターの存在下又は非存在下でADGRB1をICOSLGと接触させることと、(c)ADGRB1の下流活性を測定することであって、候補モジュレーターの非存在下での下流活性と比較した、候補モジュレーターの存在下での下流活性の変化により、候補モジュレーターを、ADGRB1の下流活性のモジュレーターとして同定する、ADGRB1の下流活性を測定することと、を含む、方法特徴とする。いくつかの態様では、結合の増加又は減少は、表面プラズモン共鳴、バイオレイヤー干渉法、又はELISAによって測定した場合に、少なくとも70%である。
【0246】
vi.下流活性における変化のアッセイ
いくつかの態様では、候補モジュレーターは、少なくとも0.1 nM、0.5 nM、1 nM、10 nM、50 nM、100 nM、250 nM、500 nM、750 nM、1μM、2μM、3μM、5μM、又は10μMの濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、0.1 nM~10μMの濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、例えば、図4Fのように、ある範囲の濃度で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、溶液中で、例えば可溶性の形態で提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、表1のタンパク質と表2のタンパク質を含む生物に、表1のタンパク質と表2のタンパク質を含む組織に、細胞(例えば、哺乳動物細胞)に、細胞培養培地に、馴化培地に、及び/又は表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の精製された形態に提供される。いくつかの態様では、候補モジュレーターは、表5のタンパク質と表6のタンパク質を含む生物に、表5のタンパク質と表6のタンパク質を含む組織に、細胞(例えば、哺乳動物細胞)に、細胞培養培地に、馴化培地に、及び/又は表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の精製された形態に提供される。
【0247】
いくつかの態様では、モジュレーターは、表1又は表2のタンパク質の下流活性の活性剤である。いくつかの態様では、表1のタンパク質又は表2のタンパク質の下流活性の増加が少なくとも30%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、モジュレーターは、表5又は表6のタンパク質の下流活性の活性剤である。いくつかの態様では、表5のタンパク質又は表6のタンパク質の下流活性の増加が少なくとも30%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、下流活性の増加は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、又は100%超(例えば、少なくとも5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)である。いくつかの態様では、下流活性の増加は少なくとも30%である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の増加である。
【0248】
いくつかの態様では、モジュレーターは、表1又は表2のタンパク質の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、表1のタンパク質又は表2のタンパク質の下流活性の減少が少なくとも30%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、モジュレーターは、表5又は表6のタンパク質の下流活性の阻害剤である。いくつかの態様では、表5のタンパク質又は表6のタンパク質の下流活性の減少が少なくとも30%である場合、候補モジュレーターはモジュレーターとして同定される。いくつかの態様では、下流活性の減少は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、少なくとも5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)である。いくつかの態様では、下流活性の減少は少なくとも30%である。いくつかの態様では、下流活性の変化は、下流活性の量、強度、又は持続時間の減少である。
【0249】
いくつかの態様では、表1のタンパク質又は表2のタンパク質の下流活性は、1つ以上のアッセイにおいて評価される。いくつかの態様では、表5のタンパク質又は表6のタンパク質の下流活性は、1つ以上のアッセイにおいて評価される。
【0250】
いくつかの態様では、下流活性は、疾患、例えば癌の発症又は進行に関連する活性である。
【0251】
いくつかの態様では、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、表1のタンパク質はLRRC15であり、表2のタンパク質はTEM1であり、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、モジュレーターの存在下で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、少なくとも10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイにおいて測定した場合に、モジュレーターの存在下において少なくとも20%減少する。
【0252】
いくつかの態様では、表5のタンパク質はADGRBであり、表2のタンパク質はPD-L1であり、下流活性は腫瘍成長である。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイで測定した場合に、モジュレーターの存在下で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、少なくとも10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する。いくつかの態様では、腫瘍成長は、腫瘍成長アッセイにおいて測定した場合に、モジュレーターの存在下において少なくとも20%減少する。
【0253】
いくつかの態様では、表5のタンパク質はADGRBであり、表2のタンパク質はPD-L1であり、下流活性は細菌細胞又はアポトーシス細胞の貪食である。いくつかの態様では、貪食の速度は、モジュレーターの存在下で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、少なくとも10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)増加する。
【0254】
いくつかの態様では、表5のタンパク質はADGRBであり、表2のタンパク質はICOSLGであり、下流活性はT細胞活性化である。いくつかの態様では、T細胞活性化は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%(例えば、少なくとも10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)増加する。いくつかの態様では、T細胞活性化は、モジュレーターの存在下で少なくとも20%増加する。
【0255】
C.小分子
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは小分子である。小分子は、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質、又は表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質に、好ましくは特異的に結合し得る、本明細書で定義される結合ポリペプチド又は抗体以外の分子である。結合する小分子は、既知の方法論を使用して同定され、化学的に合成され得る(例えば、PCT公開番号WO00/00823及びWO00/39585を参照)。結合する小分子のサイズは、通常約2000ダルトン未満(例えば、サイズが約2000、1500、750、500、250又は200ダルトン未満)であり、ここで、本明細書に記載のポリペプチドに好ましくは特異的に結合することができるそのような有機小分子は、既知の技術を使用して、過度の実験をすることなく同定され得る。この点については、ポリペプチド標的に結合することができる分子について小分子ライブラリをスクリーニングするための技術が当技術分野で周知であることに留意されたい(例えば、PCT公開番号WO00/00823及びWO00/39585を参照)。結合小分子は、例えば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N-置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カーボネート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、アリールハロゲン化物、アリールスルホネート、アルキルハロゲン化物、アルキルスルホネート、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、スルホニルクロリド、ジアゾ化合物、酸塩化物等であり得る。
【0256】
いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、小分子の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、小分子の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0257】
いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、小分子の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、小分子の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、小分子の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0258】
D.抗体及び抗原結合フラグメント
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様では、抗原結合フラグメントは、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表1のタンパク質に結合する。他の態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表2のタンパク質に結合する。
【0259】
いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性(例えば、本明細書のセクションIIIBに記載されている下流活性、例えば、CAF収縮性、免疫チェックポイント阻害、細胞増殖の抑制、標的リン酸化の調節、細胞遊走の阻害、腫瘍形成の抑制、細胞浸潤の抑制、マクロファージ極性化、食作用の調節、破骨細胞分化、シグナル伝達経路の活性化、又は糸状仮足の形成)は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性(例えば、本明細書のセクションIIIBに記載されている下流活性)は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0260】
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様では、抗原結合フラグメントは、bis-Fab、Fv、Fab、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、scFv、scFab、VHドメイン、又はVHHドメインである。いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表5のタンパク質に結合する。他の態様では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、表6のタンパク質に結合する。
【0261】
いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性(例えば、本明細書のセクションIIIBに記載されている下流活性、例えば、CAF収縮性、免疫チェックポイント阻害、細胞増殖の抑制、標的リン酸化の調節、細胞遊走の阻害、腫瘍形成の抑制、細胞浸潤の抑制、マクロファージ極性化、食作用の調節、破骨細胞分化、シグナル伝達経路の活性化、又は糸状仮足の形成)は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性(例えば、本明細書のセクションIIIBに記載されている下流活性)は、抗体又は抗原結合フラグメントの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0262】
E.ペプチド
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質に結合するペプチドである。ペプチドは、天然に存在するペプチドであり得るか、又は操作され得るペプチドであり得る。いくつかの態様では、ペプチドは、表1のタンパク質、表2のタンパク質、又は表1のタンパク質若しくは表2のタンパク質に結合する別のタンパク質のフラグメントである。ペプチドは、完全長タンパク質と等しい、より少ない、又はより大きな親和性で結合パートナーと結合し得る。いくつかの態様では、ペプチドは完全長タンパク質の全ての機能を実行する。他の態様では、ペプチドは完全長タンパク質の全ての機能を実行するわけではない。
【0263】
いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、ペプチドの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、ペプチドの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0264】
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質に結合するペプチドである。ペプチドは、天然に存在するペプチドであり得るか、又は操作され得るペプチドであり得る。いくつかの態様では、ペプチドは、表5のタンパク質、表6のタンパク質、又は表5のタンパク質若しくは表6のタンパク質に結合する別のタンパク質のフラグメントである。ペプチドは、完全長タンパク質と等しい、より少ない、又はより大きな親和性で結合パートナーと結合し得る。いくつかの態様では、ペプチドは完全長タンパク質の全ての機能を実行する。他の態様では、ペプチドは完全長タンパク質の全ての機能を実行するわけではない。
【0265】
いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、ペプチドの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、ペプチドの存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、ペプチドの存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0266】
F.模倣物
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質に結合する模倣物、例えば、分子模倣物である。模倣物は、表1のタンパク質、表2のタンパク質、又は表1のタンパク質若しくは表2のタンパク質に結合する別のタンパク質の分子模倣物であり得る。いくつかの態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行し得る。他の態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行するわけではない。
【0267】
いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質と表2のタンパク質との結合は、模倣物の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表1のタンパク質及び/又は表2のタンパク質の下流活性は、模倣物の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0268】
いくつかの態様では、モジュレーター又は候補モジュレーターは、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質に結合する模倣物、例えば、分子模倣物である。模倣物は、表5のタンパク質、表6のタンパク質、又は表5のタンパク質若しくは表6のタンパク質に結合する別のタンパク質の分子模倣物であり得る。いくつかの態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行し得る。他の態様では、模倣物は、模倣されたポリペプチドの全ての機能を実行するわけではない。
【0269】
いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質と表6のタンパク質との結合は、模倣物の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、模倣物の存在下で減少する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%)減少する)。いくつかの態様では、表5のタンパク質及び/又は表6のタンパク質の下流活性は、模倣物の存在下で増加する(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又は100%超(例えば、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、90%~100%、又は100%超)増加する)。
【0270】
V.同定されたタンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーターを含む処置方法
いくつかの態様では、本明細書に記載されるタンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーターは、病的状態、疾患、障害、又は症状、例えば、癌を処置する又はその進行を遅延させるために使用される。
【0271】
いくつかの態様では、モジュレーターは、モジュレーターが投与された個体におけるタンパク質-タンパク質相互作用の下流活性、例えば腫瘍形成又は腫瘍成長の量、強度又は持続時間を増加又は減少させる。
【0272】
A.癌
いくつかの態様では、本明細書に記載のタンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーター(例えば、LRRC15とTEM1との間の相互作用のモジュレーター;PD-L1とADGRB1との間の相互作用のモジュレーター;又はADGRB1とICOSLGとの間の相互作用のモジュレーター)、例えば、小分子、抗体、抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はsiRNAを使用して、それを必要とする対象の癌を処置するか、又は癌の進行を遅延させる。いくつかの態様では、対象はヒトである。癌は、固形腫瘍癌又は非固形腫瘍癌であり得る。固形癌腫瘍には、限定されないが、膀胱癌、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、若しくは前立腺癌、又はそれらの転移型が含まれる。いくつかの態様では、癌は膀胱癌である。膀胱癌の更なる態様には、尿路上皮癌、筋肉浸潤性膀胱癌(MIBC)、又は筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)が含まれる。いくつかの態様では、膀胱癌は転移性尿路上皮癌(mUC)である。いくつかの態様では、癌は乳癌である。乳癌の更なる態様には、ホルモン受容体陽性(HR+)乳癌、例えば、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌、プロゲステロン受容体陽性(PR+)乳癌、又はER+/PR+乳癌が含まれる。乳癌の他の態様には、HER2陽性(HER2+)乳癌が含まれる。乳癌の更に他の態様には、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)が含まれる。いくつかの態様では、乳癌は早期乳癌である。いくつかの態様では、癌は肺癌である。肺癌の更なる態様には、上皮成長因子受容体陽性(EGFR+)肺癌が含まれる。肺癌の他の態様には、上皮成長因子受容体陰性(EGFR-)肺癌が含まれる。肺癌の更に他の態様には、非小細胞肺癌、例えば、扁平上皮肺癌又は非扁平上皮肺癌が含まれる。肺癌の他の態様には、小細胞肺癌が含まれる。いくつかの態様では、癌は頭頸部癌である。頭頸部癌の更なる態様は、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)が含まれる。いくつかの態様では、癌は腎臓癌である。腎臓癌の更なる態様には、腎細胞癌(RCC)が含まれる。いくつかの態様では、癌は肝癌である。肝癌の更なる態様には、肝細胞癌が含まれる。いくつかの態様では、癌は前立腺癌である。前立腺癌の更なる態様には、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)が含まれる。いくつかの態様では、癌は固形腫瘍の転移型である。いくつかの態様では、固形腫瘍の転移型は、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌、又は前立腺癌の転移型である。いくつかの態様では、癌は転移性尿路上皮癌(mUC)である。いくつかの態様では、癌は非固形腫瘍癌である。非固形腫瘍癌には、限定されないが、B細胞リンパ腫が含まれる。B細胞リンパ腫の更なる態様には、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、又は菌状息肉症(MF)が含まれる。
【0273】
B.併用療法
上記の処置及び予防方法のいくつかの態様では、本方法は、個体に少なくとも1つの追加の治療(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又は4つを超える追加の療法)を投与することを含む。モジュレーターは、少なくとも1つの追加の治療の前、同時に、又は後に個体に投与され得る。
【0274】
C.送達方法
本明細書に記載の方法において利用される組成物(例えば、本明細書に記載のタンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーター、例えば、小分子、抗体、抗原結合フラグメント、ペプチド、模倣物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はsiRNA)は任意の適切な方法で投与することができ、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経皮的、動脈内、腹腔内、病変内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所的、腫瘍内、腹膜、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼内、眼窩内、経口的、経皮的、硝子体内(例えば、硝子体内注射による)、点眼による、吸入による、注射による、移植による、注入による、連続的注入による、局所灌流浴標的細胞により直接、カテーテルによる、灌流による、クリーム中、又は脂質組成物中が含まれる。本明細書に記載の方法で利用される組成物はまた、全身的又は局所的に投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び処置される症状、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化し得る。いくつかの態様では、タンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーターは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所に、経口で、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。投薬は、その投与が短期か又は長期かに部分的に依存して、任意の適切な経路、例えば、静脈内又は皮下注射等の注射により行うことができる。本明細書では、単回投与又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、パルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与スケジュールが企図される。
【0275】
本明細書に記載されるタンパク質-タンパク質相互作用のモジュレーター(及び任意の追加の治療剤)は、良好な医学的実践と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与され得る。この文脈で考慮すべき要因としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床的症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に公知である他の要因が挙げられる。モジュレーターは、必要ではないが、任意に、問題の障害を予防又は処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化され、及び/又は同時に投与される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するモジュレーターの量、障害又は処置のタイプ、及び上述の他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同投与量及び投与経路によって、又は本明細書に記載の投与量の約1~99%、又は適切であると経験的/臨床的に判断される任意の投与量及び任意の経路で使用される。
【0276】
VI.変化した結合プロファイルを有する生物学的小胞を同定する方法
いくつかの態様では、本開示は、変化した結合プロファイルを有する生物学的小胞(BV)を同定する方法であって、(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供ことと、(b)工程(a)の集合物を目的のBVと接触させることと、(c)目的のBVと少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それにより、相互作用プロファイルを同定することと、(d)目的BVの相互作用プロファイルを対照BVの相互作用プロファイルと比較することであって、目的BVの相互作用プロファイルと対照BVの相互作用プロファイルとの間の差により、目的のBVを、変化した結合プロファイルを有するものとして同定する、目的BVの相互作用プロファイルを対照BVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0277】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%、例えば、表4のタンパク質のうちの5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~455、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%又は95%~100%の細胞外ドメインを含む。
【0278】
いくつかの態様では、ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1050、少なくとも1100、少なくとも1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含み、例えば、表4のポリペプチドのうちの100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1050、1050~1100、1100~1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含む。
【0279】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0280】
いくつかの態様では、プレイタンパク質(例えば、STMタンパク質)の細胞外ドメインは、天然のコンホメーション、例えば、野生型タンパク質において観察されるコンホメーションを有する。いくつかの態様では、プレイタンパク質(例えば、STMタンパク質)の細胞外ドメインは、天然の翻訳後修飾を含む。
【0281】
いくつかの態様では、目的のBVは、操作されたBV、例えば、改変された親細胞(例えば、異種タンパク質、例えば受容体を発現するように改変されたもの)に由来するBVである。対照BVは、例えば、対照プロセスによって産生されたBV又は未改変の親細胞に由来するBVであり得る。
【0282】
いくつかの態様では、BVは薬物送達ビヒクルとして使用するためのBVである。対照BVは、例えば、薬物送達ビヒクルの所望の特性を有するBVであり得る。いくつかの態様では、本方法は、例えばEVの結合プロファイルの予想外の変化(例えば、標的受容体の過剰発現、治療薬の添加、又はEVを生成する細胞の改変から生じる変化)を検出するための品質管理に使用される。
【0283】
いくつかの態様では、目的のBVは、対象からの試料に由来する。いくつかの態様では、本方法は、対象からの試料からのEVの受容体の不偏プロファイリングに使用される(例えば、異なる組織、細胞型、腫瘍細胞株、又は免疫細胞によって産生されたEVの比較に使用される)。いくつかの態様では、目的のBV及び対照BVは、異なる組織又は異なる細胞型に由来する。いくつかの態様では、目的のBVは疾患組織(例えば、腫瘍組織)に由来し、対照BVは健康な組織に由来する。
【0284】
VII.細胞株の相互作用プロファイルを特徴付ける方法
A.細胞株の相互作用プロファイルを特徴付ける方法
いくつかの態様では、本開示は、細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、(a)細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)細胞株によって生成された生物学的小胞(BV)の相互作用プロファイルを特徴付けることと、を含む、方法を特徴とする。
【0285】
いくつかの態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルを特徴付けるための方法であって、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを含む、方を特徴とする。
【0286】
いくつかの態様では、細胞株は哺乳動物細胞株であり得る。いくつかの態様では、哺乳動物細胞株は、ニューロン細胞株、線維芽細胞株、又は免疫細胞株である。いくつかの態様では、免疫細胞株は、T細胞、B細胞、又は単球(例えば、T細胞からなる、又はB細胞からなる、又は単球からなる)のうちの1つ以上を含み、例えばT細胞株、B細胞株、又は単球細胞株である。
【0287】
いくつかの態様では、細胞株は、目的の組織型(例えば、疾患組織型又は健康な組織型)若しくは目的の細胞型を表す(例えば、それに由来する)哺乳動物細胞株、又は目的の腫瘍を表す(例えば、それに由来する)細胞株(例えば、腫瘍細胞株)である。いくつかの態様では、細胞株(例えば、哺乳動物細胞株)は、対象、例えば疾患を有する対象からの試料に由来する。
【0288】
例示的な膜出芽物質は、本明細書のセクションIII(C)に提供されている。いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、細胞株における膜出芽物質の発現は誘導可能である。細胞株に導入され得る膜出芽物質の誘導性発現のための例示的なコンストラクトとしては、(a)小分子(例えば、細胞透過性小分子)、例えばT-REX(商標)システムの添加後に膜出芽物質の発現を緩和又は抑制する誘導性プロモーター;(b)誘導時に速やかに分解される小分子誘導分解システム(例えば、TIR1オーキシン誘導性デグロン(AID)システム);及び(c)膜出芽物質が分解ドメインを含み、タンパク質が誘導時に分解から保護される、小分子誘導安定化システム(例えば、Shield-1-FKBPシステム)が挙げられる。コンストラクトの統合は、例えばCRISPR-Cas9又はゲノム工学技術を使用してコンストラクトをセーフハーバー遺伝子座に挿入することによって行うことができる。あるいは、PiggyBacトランスポゾンシステム(SBI)などのランダム積分の方法を使用することができる。細胞株における膜出芽物質の発現は、任意の所望の時点で誘導され得るため、細胞株でのBVの産生は、任意の時点で誘導され得る。
【0289】
いくつかの態様では、BVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、BV上の1つ以上の目的の膜結合タンパク質(例えば、1つ以上の目的の受容体)のレベルを決定することを含む。
【0290】
いくつかの態様では、BVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、(a)1つ以上の固体表面上に固定化された標的ポリペプチドの集合体を提供ことと、(b)工程(a)の集合物を目的のBVと接触させることと、(c)BVと標的ポリペプチドの集合体の少なくとも1つの標的ポリペプチドとの間の相互作用を検出し、それにより相互作用プロファイルを同定することと、を含む方法によって実施される。
【0291】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%、例えば、表4のタンパク質のうちの5%~15%、15%~25%、25%~35%、35%~45%、45%~55%、55%~65%、65%~75%、75%~85%、85%~95%又は95%~100%の細胞外ドメインを含む。
【0292】
いくつかの態様では、ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質のうちの少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850、少なくとも900、少なくとも950、少なくとも1000、少なくとも1050、少なくとも1100、少なくとも1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含み、例えば、表4のポリペプチドのうちの100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、550~600、600~650、650~700、750~800、800~850、850~900、900~950、950~1000、1000~1050、1050~1100、1100~1150、又は1195個全ての細胞外ドメインを含む。
【0293】
いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも25%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも50%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも75%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の少なくとも90%の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様では、標的ポリペプチドの集合体は、表4のタンパク質の全ての細胞外ドメインを含む。
【0294】
いくつかの態様では、プレイタンパク質(例えば、STMタンパク質)の細胞外ドメインは、天然のコンホメーション、例えば、野生型タンパク質において観察されるコンホメーションを有する。いくつかの態様では、プレイタンパク質(例えば、STMタンパク質)の細胞外ドメインは、天然の翻訳後修飾を含む。
【0295】
いくつかの態様では、本方法は、BVの細胞質タンパク質プロファイルを特徴付けることを更に含む(例えば、BVの内腔に存在するタンパク質を特徴付けることを含む)。
【0296】
B.細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定する方法
いくつかの態様では、本開示は、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、(a)細胞株を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(d)第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルとの間の差により、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定する、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0297】
いくつかの態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定するための方法であって、(a)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(b)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルとの間の差により、細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定する、第1の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の時点で生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0298】
いくつかの態様では、本方法は、第1の時点の後かつ第2の時点の前に細胞株を刺激に曝露することを含み、したがって、この方法を使用して、刺激への曝露の結果として生じる細胞株の相互作用プロファイルの変化を同定することができる。刺激は、例えば、シグナル伝達を誘導する条件若しくは作用因子、疾患関連状態を誘導する条件若しくは作用因子、及び/又は分化を誘導する条件若しくは作用因子であり得る。いくつかの態様では、細胞株は免疫細胞株であり、疾患関連状態は免疫疲弊である。
【0299】
他の態様では、本方法は、細胞株を刺激に曝露することを含まない。例えば、いくつかの態様では、第1の時点及び第2の時点は、細胞株の分化中に異なる段階にあるように選択されるか、又は第1の時点及び第2の時点で産生されたBVを評価して、細胞株が時点間で分化したかどうかを判定する。
【0300】
いくつかの態様では、本方法は、1つ以上の追加の時点、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は10を超える追加の時点で細胞株によって産生されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることを更に含む。いくつかの態様では、方法は、第2の時点の後に細胞株を刺激に曝露すること、例えば、1つ以上の追加の時点の前に細胞株を刺激に曝露することを含む。
【0301】
細胞株は哺乳動物細胞株であり得る。いくつかの態様では、哺乳動物細胞株は、ニューロン細胞株、線維芽細胞株、又は免疫細胞株である。いくつかの態様では、免疫細胞株は、1つ以上のT細胞、B細胞、又は単球(例えば、T細胞からなる、又はB細胞からなる、又は単球からなる)のうちの1つ以上を含み、例えばT細胞株、B細胞株、又は単球細胞株である。
【0302】
いくつかの態様では、細胞株は、目的の組織型(例えば、疾患組織型又は健康な組織型)若しくは目的の細胞型を表す(例えば、それに由来する)哺乳動物細胞株、又は目的の腫瘍を表す(例えば、それに由来する)細胞株(例えば、腫瘍細胞株)である。いくつかの態様では、細胞株(例えば、哺乳動物細胞株)は、対象、例えば疾患を有する対象からの試料に由来する。
【0303】
例示的な膜出芽物質は、本明細書のセクションIII(C)に提供されている。いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、細胞株における膜出芽物質の発現は誘導可能である。例示的な膜出芽物質は、本明細書のセクションIII(C)に提供され、例示的な誘導性コンストラクトは、上記のセクションVII(A)に記載されている。親細胞株における膜出芽物質の発現、したがって親細胞株によるBVの産生は、任意の所望の時点で誘導され得る。例えば、いくつかの態様では、膜出芽物質の発現は、第1の時点、第2の時点、及び任意に1つ以上の追加の時点で誘導される。いくつかの態様では、膜出芽物質の発現は、第1の時点と第2の時点との間の区間において誘導されず、例えば、膜出芽物質は、第1の時点と第2の時点との間の区間において発現されない。
【0304】
いくつかの態様では、第1の時点で細胞株によって産生されたBV及び第2の時点で細胞株によって産生されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、上記のセクションVII(A)に記載されているように、各BV上の1つ以上の目的の膜結合タンパク質(例えば、1つ以上の目的の受容体)のレベルを決定することを含む。
【0305】
いくつかの態様では、本方法は、第1の時点で細胞株によって産生されたBV及び第2の時点で細胞株によって産生されたBVの細胞質タンパク質プロファイルを特徴付けることを更に含む(例えば、第1の時点で細胞株によって産生されたBV及び第2の時点で細胞株によって産生されたBVの内腔に存在するタンパク質を特徴付けることを含む)。
【0306】
C.細胞株の相互作用プロファイルを比較する方法
いくつかの態様では、本開示は、2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、(a)細胞株の各々を、膜出芽物質を含むように改変することと、(b)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(d)第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0307】
いくつかの態様では、本開示は、膜出芽物質を含むように改変された2つの細胞株の相互作用プロファイルの差を同定するための方法であって、(a)第1の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(b)第2の時点において、細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることと、(c)第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することであって、第1の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルとの差により、2つの細胞株の表面タンパク質プロファイルの差を同定する、第1の細胞株で生成されたBVの相互作用プロファイルを、第2の細胞株によって生成されたBVの相互作用プロファイルと比較することと、を含む、方法を特徴とする。
【0308】
いくつかの態様では、第1の細胞株及び第2の細胞株は哺乳動物細胞株である。いくつかの態様では、第1の細胞株によって産生されるBV及び第2の細胞株によって産生されるBVは、異なる組織又は異なる細胞型に由来する。いくつかの態様では、第1の細胞株によって産生されるBVは疾患組織(例えば、腫瘍組織)に由来し、第2の細胞株によって産生されるBVは健康な組織に由来する。
【0309】
例示的な膜出芽物質は、本明細書のセクションIII(C)に提供されている。いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、細胞株における膜出芽物質の発現は誘導可能である。例示的な膜出芽物質は、本明細書のセクションIII(C)に提供され、例示的な誘導性コンストラクトは、上記のセクションVII(A)に記載されている。
【0310】
いくつかの態様では、第1の時点で細胞株によって産生されたBV及び第2の時点で細胞株によって産生されたBVの相互作用プロファイルを特徴付けることは、上記のセクションVII(A)に記載されているように、各BV上の1つ以上の目的の膜結合タンパク質(例えば、1つ以上の目的の受容体)のレベルを決定することを含む。
【0311】
いくつかの態様では、本方法は、第1の時点で細胞株によって産生されたBV及び第2の時点で細胞株によって産生されたBVの細胞質タンパク質プロファイルを特徴付けることを更に含む。
【0312】
別の態様では、本開示は、異種膜出芽物質を含むBVであって、(i)誘導可能な制御下で膜出芽物質を発現するように改変された親細胞株を提供することと、(ii)膜出芽物質の発現を誘導することと、(iii)親細胞株からBVを単離することと、を含む方法によって生成される、BVを特徴とする。いくつかの態様では、膜出芽物質は、HIV gagタンパク質、Acyl.Hrs、ARRDC1、及びARF6からなる群から選択される。いくつかの態様では、膜出芽物質はHIV gagタンパク質である。いくつかの態様では、細胞株は親細胞株である。いくつかの態様では、BVは細胞外小胞(EV)である。
【0313】
VIII.生物学的小胞を使用して膜タンパク質活性を評価する方法
いくつかの態様では、本開示は、膜結合タンパク質の酵素活性を評価するための方法であって、タンパク質を含む生物学的小胞(BV)に対する酵素活性についてのアッセイを行うことを含む、方法を特徴とする。
【0314】
例示的なBVは、本明細書のセクションIII(B)に記載されている。いくつかの態様では、膜結合タンパク質は、BV及び/又はその親細胞に対して内因性であり、すなわち、内因性膜結合タンパク質の酵素活性は、本方法を使用して評価される。
【0315】
他の態様では、BV膜結合タンパク質は、BVの外面に存在する異種膜結合タンパク質であり、すなわち、異種膜結合タンパク質の酵素活性は、本方法を使用して評価される。異種膜結合タンパク質を含むBVは、本明細書のセクションIIに記載されている。
【0316】
いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は完全長タンパク質である。他の態様では、異種膜結合タンパク質はタンパク質フラグメントである。いくつかの態様では、異種膜結合タンパク質は、タンパク質フラグメント、タグ、及びアンカー(例えば、タンパク質フラグメントをBVの膜の表面に繋ぎ止めるアンカー、例えばグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ポリペプチド)を含む。
【0317】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はペプチダーゼであり、酵素活性についてのアッセイは、ペプチダーゼ活性についてのアッセイ、例えば、ペプチダーゼの1つ以上の公知の又は推定される基質の分解についてのアッセイである。
【0318】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はプロテアーゼであり、酵素活性についてのアッセイは、プロテアーゼ活性についてのアッセイ、例えば、プロテアーゼの1つ以上の公知の又は推定される基質の分解についてのアッセイである。
【0319】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はキナーゼであり、酵素活性についてのアッセイは、キナーゼ活性についてのアッセイ、例えば、キナーゼの1つ以上の公知の又は推定される基質の分解についてのアッセイである。
【0320】
いくつかの態様では、膜結合タンパク質はホスファターゼであり、酵素活性についてのアッセイは、ホスファターゼ活性についてのアッセイ、例えば、ホスファターゼの1つ以上の公知の又は推定される基質の分解についてのアッセイである。
【0321】
IX.生物学的小胞の精製方法
いくつかの態様では、本開示は、培養培地(例えば、液体培地)又は対象からの試料(例えば、液体試料、例えば、尿試料、血液試料、又は消化組織試料)から生物学的小胞(BV)を精製する方法であって、BV(例えば、培養培地中のBV)を、表8又は表9の包括的小胞結合剤タンパク質のうちの1つ以上を含む固体表面と接触させることを含む方法を特徴とする。
【表8】
【表9】
【0322】
例示的なBVは、本明細書のセクションIII(B)に記載されている。BVは、本明細書のセクションIIに記載されているように、未改変BVであってもよく、又は外因性タンパク質(例えば、異種膜結合タンパク質、例えば、完全長異種膜結合タンパク質、又はタンパク質フラグメント、タグ及びアンカーを含む異種膜結合タンパク質)を含み得る。いくつかの態様では、BVは膜出芽物質を含み、(i)膜出芽物質を発現するように改変された親細胞を提供することと、(ii)親細胞からBVを単離することと、を含む方法によって産生される。
【0323】
固体表面は、親和性精製に適した任意の固定表面、例えば、カラム(例えば、プロテインA官能化ビーズを含むカラム)、ビーズ、平面又はプレートであり得る。
【0324】
固体表面は、任意の適切な方法を使用して、表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上を含むように修飾され得る。いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9の1つ以上のタンパク質に対して親和性を有する部分を含み、固体表面は、表8又は表9の1つ以上のタンパク質と接触し(例えば、それによって洗浄され)、したがって、表8又は表9の1つ以上のタンパク質を固体表面上に固定化する。表8又は表9の1つ以上のタンパク質は、部分(例えば、タグ)を含むように修飾されてもよく、固体表面に含まれる部分の親和性は、その部分又はタグに対するものであってもよい。例えば、一態様では、固体表面はプロテインAを含み、表8又は表9の1つ以上のタンパク質はFc領域を含むように改変されている。
【0325】
いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9の単一タンパク質を含む。いくつかの態様では、固体表面は、HAVCR1、MAG、TIMD4、SIGLEC7、CD300LF、SIRPA、SIGLEC9、MRC1、SIGLEC8、又はCD300LGを含む。いくつかの態様では、固体表面は、HAVCR1を含む。いくつかの態様では、固体表面はMAGを含む。いくつかの態様では、固体表面はSIGLEC7を含む。いくつかの態様では、固体表面はCD300LFを含む。いくつかの態様では、固体表面は、HAVCR1、MAG、TIMD4、SIGLEC7、CD300LF、SIRPA、SIGLEC9、MRC1、SIGLEC8及びCD300LGの2、3、4、5、6、7、8、9又は10個全てを含む。
【0326】
いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25又は25個を超えるタンパク質を含み、例えば、表8又は表9のタンパク質のうちの2~5、5~10、10~15、15~20又は20~25個を含む。いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9のタンパク質のうちの2個を含む。いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9のタンパク質のうちの3個を含む。いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9のタンパク質のうちの4個を含む。いくつかの態様では、固体表面は、表8又は表9のタンパク質のうちの5個を含む。
【0327】
いくつかの態様では、表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上はヒトタンパク質である。いくつかの態様では、BVはヒト細胞に由来する。
【0328】
いくつかの態様では、BVを固体表面と接触させることは、固体表面にBVを含む培養培地又は対象からの試料(例えば、液体試料、例えば、尿試料、血液試料、又は消化組織試料)を流すことを含む。いくつかの態様では、培養培地は馴化培地である。いくつかの態様では、培養培地又は試料は、BVが産生された1つ以上の親細胞を含む。他の態様では、培養培地又は試料は親細胞を含まず、例えば、親細胞を除去するように処理されている。
【0329】
いくつかの態様では、方法は、固体表面からBVを脱離すること(例えば、溶出)を更に含む。BVは、固体表面からBVを脱離するのに適した任意の方法を使用して溶出され得る。例えば、洗浄(例えば、過酷な洗浄、例えば高塩洗浄)及び/又は適切なリガンドを使用してEVを脱離してもよい。例えば、いくつかの態様では、表8又は表9の1つ以上のタンパク質は、タンパク質のSIGLECファミリーのメンバーを含み、1つ以上のシアロ糖鎖が溶出に使用される。
【0330】
いくつかの態様では、固体表面はプロテインA官能化ビーズを含むカラムであり、本方法は、表8又は表9の1つ以上のタンパク質を含む馴化培地をカラムに流すことであって、表8又は表9のタンパク質のうちの1つ以上はFc領域(例えば、ヒトFc領域)を含むように改変されている、表8又は表9の1つ以上のタンパク質を含む馴化培地をカラムに流すことと、そのようにして表8又は表9の1つ以上のタンパク質を固定化することと、培養培地又はBVを含む対象からの試料をカラムに流すこと、及びにカラムからBVを溶出させることと、を含む。
【0331】
いくつかの態様では、本方法は、超遠心分離に基づく浄化工程を含む。他の態様では、本方法は超遠心分離を含まない。
【0332】
いくつかの態様では、本方法はBVの大規模精製に使用される。いくつかの態様では、本方法は、少なくとも10mLの試料体積を使用して行われ、すなわち、少なくとも10mLの培養培地又は対象からの試料が本方法に従って処理される。例えば、いくつかの態様では、本方法は、少なくとも15mL、20mL、25mL、30mL、35mL、40mL、45mL、50mL、55mL、60mL、65mL、70mL、75mL、80mL、85mL、90mL、95mL又は100mLの試料体積を用いて実施される(例えば、10~20mL、20~30mL、30~40mL、40~50mL、50~60mL、60~70mL、70~80mL、80~90mL又は90~100mLの試料体積を用いて実施される)。いくつかの態様では、本方法は、少なくとも50mLの試料体積を用いて実施される。いくつかの態様では、本方法は、少なくとも100mLの試料体積を用いて実施される。例えば、いくつかの態様では、本方法は、少なくとも150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL、500mL、550mL、600mL、650mL、700mL、750mL、800mL、850mL、900mL、950mL又は1Lの試料体積を用いて実施される(例えば、100~200mL、200~300mL、300~400mL、400~500mL、500~600mL、600~700mL、700~800mL、800~900mL又は900mL~1Lの試料体積を用いて実施される)。
【0333】
これらの方法に従って精製されたBVは、本明細書に記載の方法のいずれかで使用され得る。
【0334】
本明細書で引用された全ての特許、特許公報及び参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0335】
X.実施例
実施例1.膜における細胞外タンパク質-タンパク質相互作用を検出するための細胞外小胞ベースのスクリーニング
A.背景
膜タンパク質は、細胞外キューを細胞内応答に変換するのに不可欠な役割を果たす。それらの細胞表面曝露は、治療分子へのアクセス可能性を増加させ、細胞挙動を調整する能力は、それらを魅力的な薬物標的にする。したがって、それらがヒト遺伝子の約30%を占めるにすぎないが、それらが全ての薬物標的の60%超を占めることは驚くべきことではない(Santos et al.,Nat.Rev.Drug Discov.,16:9-34,2016.)。
【0336】
したがって、受容体-リガンド相互作用の同定は、細胞外環境で起こる細胞コミュニケーションを理解するのに役立つ。しかしながら、膜タンパク質及びそれらの相互作用パートナーの特性評価の進歩は、細胞質タンパク質のそれに大きく遅れをとっている。これは、一部には、膜タンパク質をそれらの天然の立体配座で発現させることが困難であること、及び膜タンパク質に一般的な弱い相互作用を検出するのに十分な感度を有する技術が欠如していることに起因する(Martinez-Martin,J.Immunol.Res,2017:2197615,2017;Wright,Mol.Biosyst.5:1405-1412,2009)。一般的なタンパク質-タンパク質相互作用の発見のために設計された方法は、ウェルフォールディング精製タンパク質(例えば、マイクロアレイ又はプレートベースのスクリーニング方法(Martinez-Martin,J.Immunol.Res,2017:2197615,2017;Wright et al.,Biochem.Soc.Trans,,38:919-922,2010))、又は膜からのタンパク質の抽出及び洗浄に耐えることができる強い相互作用(例えば、アフィニティー精製-質量分析(AP/MS)(Huttlin et al.,bioRxiv,doi:10.1101/2020.01.19.905109,2020))のいずれかを必要とする。いくつかのより新しいアプローチは、弱い相互作用を強化するために多量体化を使用することによって多くの膜タンパク質相互作用を捕捉することができたが(Bushell et al.,Genome Res.,18:622-630,2008;Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)、タンパク質はそれらの天然の膜状況から除去されるので、それらは依然として重要な相互作用を見逃す可能性がある。
【0337】
生理学的膜は、相互作用に関与することができる脂質、ステロール、タンパク質及びグリカンの複雑な混合物を含む(Gonii,Biochim.Biophys.Acta-Biomembr.,1838:1467-1476,2014)。さらに、膜は、クラスター化及び配向によって個々に弱いタンパク質-タンパク質相互作用を強化することができる(Banjade et al.,Elife,3:1-24,2014;Taylor et al.,Cell,169:108-119e.20,2017;Hu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,110:15283-15288,2013)。受容体-リガンド相互作用のこれらの膜依存的態様は、スクリーニング方法の開発における大きな障害のままである。最近の近接に基づく技術の進歩は、膜中の相互作用の検出を可能にし、一過性結合剤の研究に役立っている(Geri et al.,Science,367:1091-1097,2020;Li et al.,Cell,180:373-386.e15,2020,Gingras et al.,Curr.Opin.Chem.Biol.,48:55-54,2019)。しかしながら、これらの技術は、直接相互作用パートナーを近くのバイスタンダーと区別するのに苦労することが多く、典型的には、同じ細胞内の結合パートナー(イン-シス相互作用)に焦点を合わせ、ハイスループット研究とは適合しないことが多い。ナノディスク及びリポソーム粒子などの代替アプローチは、膜タンパク質の再構成を可能にし、困難な受容体を研究するために首尾よく使用されている(Rouck et al.,FEBS Lett.,591:2057-2088,2017;De Franceschi et al.,J.Cell Sci.,132:2019)。しかしながら、これらの方法は、天然の折畳みを破壊し得、潜在的なタンパク質又は非タンパク質補因子をほとんど説明し得ないタンパク質精製を必要とする。結果として、細胞外タンパク質クロストークは、既存のデータセットにおいて著しく過小表示されたままである(Wright et al.,Biochem.Soc.Trans.,38:919-922,2010;Bausch-Fluck et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2018)。これらの制限は、膜タンパク質の研究のために特別に設計された追加の技術の必要性を強調し、受容体インタラクトームの特徴付けのための十分なスループット及び感度を有する。
【0338】
膜内受容体ディスプレイ法の必要性は、エンベロープウイルスからの機構を利用して受容体を哺乳動物膜に組み込むいくつかの解決策を加速させた。例えば、異なる膜タンパク質を提示する単純ヘルペスビリオン(VirD)からなるマイクロアレイは、リガンド発見のためのGPCRライブラリとして首尾よく使用されているHu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,110:15283-15288,2013;Da Syu et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019.)。さらに、組換え細胞外小胞(rEV)と呼ばれるHIV gagタンパク質を含有する細胞外小胞は、免疫化及び抗体生成(Tucker et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,115:E4990-E4999,2018)、並びに抗体選択及びリガンド結合特性評価(Willis et al.,Biochemistry,47:6988-6990,2008)のための多重膜貫通タンパク質を提示するために使用されている。これらのrEVは、細胞コミュニケーション及び複数の疾患の病因において役割を果たす天然に存在するEVと同様の脂質及びタンパク質組成物を有する(Lavado-Garcia et al.,J.Proteome Res.,19:4516-4532,2020;Geeurickx et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019)。したがって、rEVのインタラクトームを定義することは、表示された目的の受容体の結合プロファイルと基本的なEV生物学の両方に洞察を提供することができる。
【0339】
これらの以前のアプローチの限界に対処するために、直接タンパク質-タンパク質相互作用スクリーニングのロバスト性と膜の状況での目的の標的の提示とを組み合わせたアッセイを、EV、例えば上記のrEVを使用して設計した。EVは、細胞から自然に分泌されるナノメートルサイズの脂質二重層で区切られた粒子である(Colombo et al.,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.,30:255-289,2014)。EVは、細胞の内因性機構を使用して折り畳まれ、それらの天然膜に挿入されたタンパク質を含む。本明細書では、EVは、結合適格受容体を得るためのタンパク質精製のない方法を提供することが示されている。これらの天然に分泌される粒子を利用するために、受容体-リガンド発見のための新しいプラットフォームであるRDIMIS(eceptor-isplay embranes nteraction creen)(EVEXIS(細胞外小胞(EV)ベースの細胞外相互作用スクリーニング)とも呼ばれる)が開発された。RDIMISは、EV上に発現された任意の目的のタンパク質をSTM外部ドメインの包括的な馴化培地ライブラリに対してスクリーニングすることによって、1回膜貫通(STM)タンパク質インタラクトームの迅速で偏りのない同定を可能にする(Czajkowsky et al.,EMBO Mol.Med.,4:1015-1028,2012;Martinez-Martin et al.,Cell,174:1158-1171.e19,2018)。
【0340】
RDIMISは、受容体非依存性であり、したがってEVに組み込まれ得るほとんどの目的の標的に適用可能な受容体-リガンド相互作用を解明するための時間効率の良い方法である。膜タンパク質のインタラクトームのプロファイリングは、その発現のためにプラスミドのみを必要とする。EV状況は、単純化されたプレートベースのシステムでタンパク質を研究する利点を保持しながら、時間がかかり不確実なタンパク質精製を回避する。EVは、内因性細胞機構を使用して、タンパク質を膜に翻訳し、折り畳んで挿入し、したがって、機能性タンパク質を発現する可能性が最適である。さらに、馴化培地から直接STMライブラリタンパク質を捕捉すると、全てのタンパク質精製工程が排除され、より高い処理量の研究が可能になり、タンパク質活性を損なうことなく資源消費精製工程が再び最小限に抑えられる(Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)。これにより、目的の膜タンパク質のインタラクトームの特徴付けを約1週間で行うことが可能になり、これは主に細胞がタンパク質及びEVを産生するのにかかる時間によって制限される。
【0341】
rEVベースのアプローチは、完全長非タグ付き受容体分子の使用を可能にするが、gD-GPIタグ付き外部ドメインの使用は、同様の結果を達成することができ、受容体取り込みを測定するための難解な高親和性抗体の必要性を回避することができる。gD-GPIタグは、受容体ファミリーにわたって作用し、BLIによる発現の直接的な定量的比較を可能にする。このタグ付け戦略はまた、外部ドメインと完全長タンパク質の相互作用プロファイルの直接比較を可能にし、膜貫通ドメイン又は細胞質ドメインが役割を果たし得る相互作用を迅速に同定する。最後に、gD-GPIタグは、非膜タンパク質を固定することができ、膜に近接した細胞外マトリックス又は分泌因子を研究する方法を提供する。
【0342】
rEVはまた、高次複合体形成において役割を果たすことができる細胞骨格要素を有する細胞質内腔空間を含む(Banjade et al.,Elife,3:1-24,2014;Keerthikumar et al.,J.Mol.Biol.,428:688-692,2016)。細胞膜の複雑さを捕捉することに加えて、rEV(Colombo and Raposo,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.,30:255-289,2014)の小さいサイズ及び安定性は、生理学的に関連する状況でのハイスループットスクリーニングのための非常に魅力的なビヒクルとなる。このように、この研究で実施されるアプローチは、高カバレッジの集合体から受容体ファミリー又はタンパク質疾患バリアントなどのより集中的なライブラリまで、選択された任意のライブラリに結合することができ、クエリタンパク質の質を最大化しながら、インタラクトームの高感度かつ比較的低リソース集中的な同定を可能にする。
【0343】
タンパク質インタラクトームの同定、及び複合体又は精製困難な標的の脱オーファン化を超えて、RDIMISアプローチは、受容体、膜及びヒトEV生物学の研究において広い用途を有する。RDIMISは、HEK細胞由来のヒトEVの集団について100個を超える小胞特異的結合剤を同定し、組換え及び内因的に生成されたEVのインタラクトームが著しく類似していることを示した。これは、rEV及び内因性EVのプロテオミクス組成物と脂質組成物との間の強い類似性を示す以前の研究と一致している(Lavado-Garcia et al.,J.Proteome Res.,19:4516-4532,2020;Geeurickx et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019)。したがって、これらの結合剤は、内因性EV向性及びシグナル伝達に光を当て得る。結果は、EVが免疫調節タンパク質(すなわち、SIGLECファミリー、LILRファミリー及びCD300ファミリー)、成長調節タンパク質(すなわち、成長因子受容体、例えば、FGFR4、FLT1及びNRPタンパク質並びにいくつかの受容体チロシンキナーゼ)、又はニューロンタンパク質(すなわち、APP及びCLSTNタンパク質)などの主要なシグナル伝達タンパク質と相互作用することを示しており、EVが細胞間コミュニケーションを媒介するという考えを裏付けている。この研究は、疾患特異的EV、組織特異的EV又は細胞特異的EV並びに細胞コミュニケーション又は免疫応答におけるそれらの役割に焦点を当てた将来の研究のための段階を設定する。スループット及び再現性を考慮すると、この方法は、地球規模でEVの品質を評価する方法を提供する。EVは薬物送達のための手段として研究されているため(Vader et al.,Adv.Drug Deliv.Rev,106:148-156,2016)、RDIMISは、EVの複雑さに関連する変動性、免疫原性及びオフターゲット効果に関する懸念に対処する方法を提供することができる。このプラットフォームは、分子レベルでEV機能に影響を与えるプレイヤーを解明するための独自のツールを提供するため、標的受容体の過剰発現、治療薬の添加、又はEVを生成する細胞の改変から生じるEVの結合プロファイルの予想外の変化を検出することができる。
【0344】
B.膜提示用の細胞外小胞
天然膜における受容体-リガンド発見のための方法は、いくつかの部分を必要とする。第1に、安定な細胞膜片を捕捉しなければならない。これは、ほとんどの細胞によって自然に生成されるEV、脂質二重層含有粒子を精製することによって達成することができる(図1A図1C)(Colombo et al.,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.,30:255-289,2014)。EVは、膜結合高分子(Keerthikumar et al.,J.Mol.Biol.,428:688-692,2016)の宿主を組み込み、それらを細胞膜環境の微小空間にする(図2A)。この環境は、しばしば膜タンパク質相互作用に関与し、EVをハイスループットプラットフォームにとって非常に魅力的な基礎とする。
【0345】
第2に、ハイスループットで高感度のスクリーニングには大量のEVが必要である可能性が高い。EV産生を最大化するために、タンパク質発現のための効率的な系を提供するEXPI293F(商標)細胞を選択した(Heath et al.,Sci.Rep.,8:1-12,2008;Arena et al.,MAbs,11:977-986,2019)。EXPI293F(商標)細胞を、150rpmで振盪しながらEXPI293(商標)発現培地中で培養した。全ての細胞を37℃、5%COで培養した。
【0346】
EV産生を更に促進するために(Geeurickx et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019;Cervera et al.,J.Biotechnol.,166:152-165,2013)、細胞をHIV gagコンストラクトでトランスフェクトした(図2B)。Gag発現は、20~500nm小胞の収率をほぼ4倍増加させた(図2C)。
【0347】
第3に、EVを検出するためにロバストで定量的な方法が必要である。細胞は、他の分子の複雑で可変のバックグラウンドも含む周囲の培地にEVを放出する。これらは、下流アッセイから再現可能な定量的データを得ることを困難にする。この問題に対処するために、一段階密度ベースのEV精製を最適化した。これにより、凝集体を含まない純粋で一貫したrEV集団が得られた(図1A及び1B)。最後に、ハイスループットスクリーニングは、必然的に各反応の規模を縮小させる。これは、結合EVのロバストで定量的な検出の課題をもたらす。したがって、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)をHIV gagコンストラクトに融合した。これにより、ほぼ3桁(図2D)にわたって小胞濃度に線形比例するロバストな発光シグナルが得られた。
【0348】
次に、EVが受容体ディスプレイのプラットフォームとして広く適用可能であるかどうかを決定するために、様々な全長のタグなしの受容体をgag-Rlucと共に細胞内で過剰発現させた。試験した全ての場合において、受容体は、受容体に特異的な抗体を使用してEVで容易に検出可能であった(図4A)。より大きな受容体セットを試験し、EVへのそれらの取り込みを測定するために、受容体特異的抗体に依存しない検出方法が必要であった。これに対処するために、無関係な受容体外部ドメインの集合体を糖タンパク質D(gD)-グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)タグに融合した。GPIは、膜中の外部ドメインを維持する脂質アンカーを提供し、一方、gDエピトープタグは、抗gD抗体を使用した外部ドメイン検出を可能にする。これらの受容体を小胞への組み込みについて試験した場合、アッセイした受容体のほとんどは、抗gD抗体を使用してEVで容易に検出可能であった(図4B図4C図13A)。したがって、gD-GPIタグ付け戦略は、EV中の様々なタンパク質の容易な検出を可能にする。
【0349】
C.膜タンパク質を発現する細胞外小胞の生成
HEK293T又はEXPI293(商標)細胞を、目的の受容体又は空のベクター対照(示されているように)、及びRluc(スクリーニング用)又はmNeonGreen(可視化用)のいずれかに融合したHIV gagを発現するプラスミドで一過性にトランスフェクトした。トランスフェクトした全てのプラスミドを発現ベクターpRK5(Genentech)にクローニングした。小胞採取のために、300×gで10分間回転させ、続いて2000×gで20分間清澄化する(発現<100mLの場合)か、又は濾別する(発現≧100mLの場合)ことによって細胞を除去した。全ライブラリスクリーニングのために、rEV発現を1Lスケールで行い、7日間成長させた。仕様書に従って、cOmplete(商標)EDTA非含有プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Roche)を添加した。錠剤を完全に溶解した後、馴化培地を12,000×gで40分間回転させて、残っている高密度微粒子及び微小胞を除去した。上清を70mLポリカーボネート超遠心管(Beckman Coulter)に管あたり約60mLの体積で移した。10mLの50%スクロースを、シリンジ及び長針を使用してチューブの底部から重層し、スクロースのクッションを形成した。試料をTi-45ローター中、100,000×gで90分間回転させた。小胞はスクロースの上に浮遊する。小胞層の上の培地を吸引した。二つのチューブに相当するクッションと小胞を合わせ、PBSを用いて新しい超遠心管で70mLに希釈した。試料を再び100,000×gで回転させ、得られたペレットをPBSに溶解した。HALT(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル(Thermo Fisher Scientific)を1×に添加した。全ての回転を4℃で行った。
【0350】
HEK293T細胞を使用して、過剰発現受容体及びgagタンパク質融合物が小胞において検出可能であることを確認した。HEK293Tを、10% FBS及びペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)が補充されたDMEM+GlutaMaxにおいて培養した。
【0351】
実施例2.PVRの結合パートナーの同定
A.EVを使用したPVRの結合パートナーの同定
EV上に発現される受容体がアクセス可能であり、結合適格であるかどうかを決定するために、受容体PVRを使用して概念実証研究を行った。
【0352】
目的の受容体に対する結合パートナーの同定は、rEVがそれらの表面上にアクセス可能な結合適格受容体を表示することを必要とする。ポリオウイルス受容体(PVR)を概念実証研究のために使用した。PVRは、様々な結合親和性を有する様々なよく特徴付けられた細胞表面発現受容体に結合することが知られているので、有用なベンチマークである(Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)。rEV上のPVRが活性であるかどうかを決定するために、完全長PVRを発現するrEVを単離し、細胞表面に発現するいくつかのPVR結合パートナーへの結合について試験した。PVR-rEVは、PVRリガンドを発現する細胞に選択的に結合し、試験した条件下でトランスフェクトされていない細胞ではバックグラウンドは無視できるほどであった(図2E)。
【0353】
次に、gD-GPI戦略が結合適格受容体ディスプレイをもたらすかどうかを決定するために、PVR外部ドメインをgD-GPIタグに融合した。抗マウスIgG Fc捕捉バイオセンサ(ForteBio)を用いて、10μg/mLのマウス抗gD抗体(Abcam)に対してPBS中0.1mg/mLの総タンパク質濃度で、gD-GPI小胞をBLIによって測定した。完全長PVRを発現するEVと同様に、PVR外部ドメインgD-GPI EVは、PVRリガンドを発現する細胞に選択的に結合し、タグ付き外部ドメインが結合に活性であることを示した(図1F)。gDタグはまた、電子顕微鏡法によるEV上のPVR受容体発現の検出を可能にした(図4C)。一般的な小胞染色のために、小胞の懸濁液を、ホルマール被覆及び炭素被覆TEMグリッドの表面に15分間吸着させた。蒸留水で短時間すすいだ後、試料を2%リンタングステン酸(PTA)で60秒間染色し、次いで風乾した。gDエピトープ検出のために、小胞を30分間吸着し、ヤギコンジュゲート用Aurionブロッキング溶液で30分間ブロッキングした。次いで、試料をブロッキング溶液中で1時間マウス抗gD(abcam)で染色し、ヤギ抗マウス12nm金コンジュゲートを使用して検出した。次いで、試料をPBSで15分間、水で1分間洗浄し、1%酢酸ウラニルで1分間染色した後、ブロットし、風乾した。JEOL JEM-1400透過型電子顕微鏡(TEM)及びGATAN ULTRASCAN(登録商標)1000 CCDカメラを用いて5,000倍~50,000倍の倍率で撮像を行った。
【0354】
B.EVベースのアッセイと組換えタンパク質を使用するアッセイとの比較
【0355】
次に、本発明者らは、rEVが洗浄工程及び本発明者らのハイスループットアッセイの取り扱い遅延に耐えるのに十分に強く結合することができるかどうかを決定した。この目的のために、本発明者らは、完全長PVR又はPVRのgD-GPIタグ付き外部ドメインのいずれかを示すrEV、及び既知のリガンドCD226に対する組換え単量体PVRの結合速度を決定した。非破壊的技術であるバイオレイヤー干渉法(BLI)を使用すると、大きなサイズのrEV(図2G、左パネル)を考えると予想されるように、強い負のBLIシグナルが両方のPVR rEV型について観察された。これは、PVR-rEVを対照としてのヒトIgGとインキュベートした場合には観察されず、これが特異的相互作用であることを示唆した(図2G、右パネル)。rEVは10分にわたって解離をほとんど示さず、ハイスループットスクリーニング(図2G、右パネル)に適していた。さらに、EVは、PVR単量体と比較してより速い会合及びより遅い解離を達成し、より高い親和性相互作用を示した(図2G、右パネル)。注目すべきことに、細胞ベースのアッセイ(図2E及び図2F)と一致して、gD-GPIタグ付きPVR EVは、完全長PVR EVと同様の結合プロファイルを示し、操作された受容体がイン-トランス結合パートナーの検出に適していることを更に示した。
【0356】
C.BLI法
【0357】
BLI測定を、8チャンネルOCTET(登録商標)REDシステム(ForteBio)を用いて行った。PVR rEV結合のために、CD226-Fc(R&D SYSTEMS(登録商標))又は天然ヒトIgG(abcam)を25nMで抗ヒトIgG Fc Capture Biosensors(ForteBio)にロードした。全ての組換えタンパク質を300秒間ロードした。全ての測定を30℃で行った。Octet(登録商標)System Data Analysisソフトウェア(ForteBio)で分析を行った。PBS緩衝液対照を差し引いて、機器のドリフトを説明した(PBS曲線が示されていない限り)。アラインメントをベースラインとし、Savitzky-Golayフィルタリングを行った。600秒にわたる2nmを超える会合値が推奨される。
【0358】
D.EV試料特性評価法
【0359】
EV試料の総タンパク質濃度を、試料1.5μLを148.5μLのQuick Start Bradford Protein Assay Reagent(Bio-Rad)と混合することによって測定した。濃度を滴定BSA曲線に対して計算した。この試薬は、膜を透過性にするメタノールを含有するため、洗浄剤は添加しなかった。EV粒子数及び濃度は、NanoSight NTA(Malvern Panalytical)を使用してナノ粒子追跡分析から計算した。0.1mg/mLの総タンパク質の小胞をPBSで1000倍希釈し、488nmレーザーを使用して1分間の記録を5回繰り返した。NTA 3.4ソフトウェアを使用してトレースを分析し、これにより、モル濃度を計算するために使用される粒子濃度を得た。
【0360】
E.考察
【0361】
この実施例は、研究中の受容体の完全長天然タンパク質及びgD-GPIタグ付き外部ドメインの両方がEVに組み込まれ、EVベースの結合研究に適していることを実証する。gD-GPIタグ付けを使用して外部ドメインをEVにアンカリングすると、RDIMISの能力が向上する。第1に、それは外部ドメインと完全長タンパク質の相互作用プロファイルの比較を可能にする。第2に、無関係な受容体を研究する場合、gD-GPIタグは、受容体にわたる発現及び局在化を比較するための共通の方法を提供し、しばしば利用できない受容体特異的抗体の必要性を回避する。最後に、gD-GPIタグは、非膜タンパク質を固定することができ、膜に近接した細胞外マトリックス又は分泌因子を研究する方法を提供する。
【0362】
EVにおける目的の標的のレベルは、主に親細胞における発現のレベルに依存するようである。したがって、低発現タンパク質の場合、結合パートナーの効率的な検出のための十分な発現を達成するために、実験条件の最適化が必要とされ得る。
【0363】
実施例3.RDIMISは、ハイスループットでのSTMタンパク質インタラクトームの同定を可能にする
A.タイスループットスクリーニングのためのEV及び外部ドメインライブラリの設計
次に、RDIMISシステムを、受容体-リガンド相互作用のハイスループット発見のために使用した(図3A)。
【0364】
偏りのない同定を達成するために、目的のタンパク質を発現するEVを、外部ドメイン-Fcタグ融合物(Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018)として発現されるほとんどのヒト1回膜貫通(STM)タンパク質からなる以前に開発された馴化培地ライブラリとの結合について評価した。ライブラリを作製するために、細胞を、外部ドメイン-Fcタグ融合物をコードするプラスミドでトランスフェクトして、成長培地中にFcタグ付き外部ドメインを発現及び分泌するように誘導した。次いで、培地をプロテインA被覆プレートに移し、プレートの各ウェルに異なるFcタグ付き外部ドメインを受容させた。これにより、ハイスループットスクリーニング(Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018)に適した固定化外部ドメインの集合体が得られた。
【0365】
並行して、EV産生のための細胞培養物を、目的の受容体及びgag-ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)をコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトした(図3A)。EVの迅速な大規模単離を可能にする最適化された精製プロトコルを使用して、受容体含有EVを単離した(図1A)。EVを単離した後、それらをSTMタンパク質ライブラリを含むプレートとインキュベートした。次いで、プレートを十分に洗浄して未結合EVを除去した。受容体含有EVとウェルに固定化されたSTMタンパク質との間の相互作用を検出するために、Rluc基質を添加し、したがって相互作用が起こったウェルで蛍光シグナルを生成した(図3A)。
【0366】
B.PVR EVのSTMインタラクトーム
RDIMISプラットフォームを使用して、PVR-EV(gD-GPIタグ付きPVR外部ドメインを保有する単離されたEV)のSTMインタラクトームを研究した。小胞上の受容体の表示を、BLIを使用し、ウエスタンブロットによって確認したところ、rEVのgD抗体へのロバストな結合が示された(図4D及び図13A)。注目すべきことに、RDIMISは、全ての予想されるPVR結合パートナー:CD96、CD226、KIR2DL5A、PVRL3、PVRL4及びTIGIT(図3B、青色)を、2つの独立したrEV及びSTMライブラリ調製物にわたって再現性よく同定した(相関係数0.90;図16A)。これらのスクリーニングは、2つの独立したPVR-EV調製物及び2つの独立したSTMライブラリ調製物を使用して実施し、試料の発現又は調製中の潜在的な変動性を制御した。さらに、重要なことに、完全長のタグなしのPVR(図3C)を担持するrEVを研究するためにRDIMISを利用した場合、全体的な相関係数は0.88(図16A)であり、ヒットは実質的に同一であった。まとめると、これらの結果は、rEV上のgD-GPIタグ付き受容体の発現が、関連するリガンドのイン-トランスの検出を可能にし、開発された自動化ワークフローと組み合わせて、偏りのない様式で、高親和性相互作用及び低親和性相互作用の検出に対する感度を高めた膜タンパク質インタラクトームのロバストな同定を可能にすることを更に実証する。
【0367】
C.B7ファミリータンパク質のSTMインタラクトーム
【0368】
この技術の感受性を更にベンチマークするために、チェックポイント阻害剤PD-L1を含む顕著な免疫受容体を含む免疫調節タンパク質のB7ファミリーの3つのメンバーを研究するためにプラットフォームを適用した。3つ全てのタンパク質をgD-GPI外部ドメイン融合物として発現させ、小胞中でのそれらの発現をモニターし、rEVを含有するPVR gD-GPIと直接比較することを可能にした。全てのrEVにおいて、タグ付き外部ドメインは、BLI(図4 D)又はウエスタンブロット(図13A)によってアッセイした場合、PVRに匹敵するレベルで抗gD抗体に結合した。
【0369】
a.PD-L1 EVのSTMインタラクトーム
RDIMISをPD-L1/CD274に適用した。PD-L1をgD-GPIタグ付き外部ドメインとして発現させて、上記のようにスクリーニング前のPD-L1 EVの特徴付けを可能にした。PD-L1 EVは、BLIによってgD抗体への容易に検出可能な結合を示した(図4D)。STMライブラリとの相互作用についてスクリーニングした場合、PD-L1 EVは、既知のPD-L1リガンドPDCD1(PD1)、EPHA3、CD80(B7.1)及びPDCD1LG2(PDL2)を高い信頼性で同定した。PD-L 1/PD-L 2相互作用の推定解離定数は約10μM(Lee et al.,Nat.Commun.,7:1-9,2016)であることから、この結果は、RDIMISが生化学的に困難な弱い相互作用を同定できることを更に実証している。さらに、多数の他の高得点ヒットが同定された(図5A)。IGF2Rは、関連のない実験において広範に粘着性であることが見出されており(Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)、したがって非特異的相互作用因子として標識されているが、他のヒットは、PD-L1についての新たな推定結合剤を表す。
【0370】
b.CD80及びCD276 EVのSTMインタラクトーム
最後に、RDIMISの広い適用性を更に確実にするために、新たなプラットフォームを2つの更なる膜発現受容体、CD80(B7-1)及びCD276(B7-H3)に適用した(図5B)。ここでも、関連する全てのパートナーが両方のタンパク質について検出され、細胞表面発現標的に対するこの方法論の広範な有用性が確認された。十分に記載されている結合剤CD28、CTLA4及びPD-L1、並びにより最近に記載された結合剤NGFRは、免疫受容体CD80に対する最高スコアヒットとして同定された。スクリーニング技術の進歩によりごく最近になって脱オーファン化されたB7-H3/CD276の場合(Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)、RDIMISは、最近記載されたインターアクターIL20RA並びにMXRA5を捕捉し、これは同じ研究で非特異的インターアクターであることが分かった(図5B)。特に、両方の場合において、既知の相互作用パートナーは最もスコアの高いヒットの中にあったが、文献に以前に記載されていないいくつかの追加の推定受容体特異的結合パートナーが同定され、この方法の感度を実証した。
【0371】
D.公開データベースとの比較
次に、これらの4つの顕著な免疫受容体について同定された相互作用のランドスケープの数の全体的な感覚を得るために、RDIMIS法を使用して同定された受容体特異的ヒットと、タンパク質相互作用の最も包括的なリポジトリのいくつかであるSTRING(Szklarczyk et al.,Nucleic Acids Res.,47:D607-D613,2019)、Bioplex(Huttlin et al.,bioRxiv,doi:10.1101/2020.01.19.905109,2020)及びBiogrid(Oughtred et al.,Nucleic Acids Res.,47:D529-D541,2019)データベース(図5C)に列挙された相互作用との間の重複を評価した。
【0372】
均一な比較のために、この研究で照会されたSTMライブラリに存在するタンパク質間の相互作用のみを検討した。STRINGデータベースについては、実験的証拠を有すると指定された相互作用のみを使用した。全てのスクリーニングについてヒットのストリンジェントなリストを生成するために、データの分布が正規分布から逸脱し、長い上部テールを有していたので、各スクリーニングについて98%分位点でカットオフを描いた。全てのスクリーニングにおいて、特定のスクリーニングのシグナルが他のスクリーニングのシグナルの少なくとも4倍である場合、受容体特異的ヒットが呼び出された。
【0373】
予想通り、十分に特徴付けられた相互作用のほとんどがデータベースの少なくとも1つで表され、STRINGの12の相互作用のうち11が本発明者らのデータセットと重複する実験的証拠を有するとして列挙された(図5C)。さらに、研究中の全ての免疫受容体について、RDIMISは、公的に利用可能なデータベースには示されていない推定相互作用を同定した(図5C)。これは、目的の受容体が原形質膜に関連して研究される場合、新しい相互作用の同定が促進され得ることを示唆する。
【0374】
CD80について、STRINGデータベースは、更なる結合パートナーであるCD86を示唆した。STRINGデータベースにおいてこの相互作用を支持して引用された論文を含む文献の更なる総説は、これらのタンパク質が相互作用するようには見えないことを示唆した。Bioplex及びBiogridは追加の推定パートナーを同定しているが、これらはほとんど検証されていない。
【0375】
E.RDIMISスクリーニング方法
小胞を、1×PBS+0.49mM MgCl+0.9mM CaCl(PCM)+1%BSA画分V(Sigma)中0.03~0.05mg/mL(Bradfordによって測定した場合)の最終濃度に希釈した。タンパク質-タンパク質相互作用のハイスループット分析を可能にするために、自動液体処理装置(プレートディスペンサ及びワッシャ)からなる統合ロボットシステムを使用して、ヒト受容体ライブラリの調製を行った。Fcタグ付き受容体ECDを含有する馴化培地を白色の384ウェルプロテインA被覆プレート(Thermo Fisher Scientific)に分注し、必要になるまで4℃で保存した。ECD-Fcの濃度は変動したが、平均159μg/mLであった。プレートをPCMで3回洗浄して、馴化培地の未結合成分を除去した。小胞をプレートに添加し、4℃で一晩静置した。プレートをPCMで3回洗浄して未結合小胞を除去した。乾燥を防ぐために、25μLのPCMをプレートに添加した。正規化に使用した陽性対照については、全ての洗浄工程後に、スクリーニングに使用した同じ小胞ストック25μLを各プレートの第1のカラムに添加した。これらは洗浄されないため、これらの陽性対照ウェルは入力値を表すが、自動化の限界により、100%結合のウェルと比較した場合、希釈される。PCM中の25μLの1μMセランテラジンh(Promega)をウェルに分注し、5分間インキュベートし、次いで0.1秒の発光読み取り時間を使用してTECANで読み取る。スクリーニングにおいてウェルの大部分は小胞のいずれにも結合しなかったため、追加の陰性対照ウェルは分析に使用せず、かわりに、シグナルを、ヒットを呼び出すために画面全体にわたる強度の分布に関して分析した。空のウェルは、分布の下半分に入り、非結合Fcシグナルを表さないECD-Fc馴化培地を受けたウェルよりも高いシグナルを有する傾向があった。
【0376】
F.膜染色を用いたEVの定量
コレステロールは、EVの脂質二重層の主成分である。EVをAMPLEX(商標)Red Cholesterol Assay Kit(Thermo Fisher)で標識し、したがって、タグ付けされていない標的及び/又は内因性EVを含むEVの検出を可能にした。ベクター対照でトランスフェクトされたがgag-Rlucを含有するrEV、又はトランスフェクトされていない細胞から回収されたEV(図12C)のいずれかを使用して、完全なRDIMISスクリーニングを実施した。両方のEV種が同様に挙動し(0.92の相関係数)、同じ細胞株からのrEV及び天然に生成されたEVが同様の結合プロファイルを有することを示した。
【0377】
EVを上記のように生成し、回収した。gag-Rlucを含有するPD-L1又はPVR gD-GPI EVを白色384ウェルプレートに連続希釈し、推奨プロトコルに従って、セレンテラジンh(RDIMISの場合のように)の添加によるRluc、又はAMPLEX(商標)Red Cholesterol Assay Kit(Thermo Fisher)の使用いずれかによりEV濃度を測定した。AMPLEX(商標)Red Cholesterol Assay Kitを使用してPD-L1 gD-GPI RDIMISを測定するために、EVを通常のRDIMISと同様に結合させた。次いで、プレートを吸引して乾燥させ、25μLのAMPLEX(商標)Red試薬を各ウェルに分注した。ストックEV溶液を各プレートの第1のカラムに添加して陽性対照とした。プレートを37℃で30分間インキュベートし、560+/1 10nmでの励起及び590+/-10nmでの蛍光検出を使用して、Tecan M 1000 InfiniteProで読み取った(図12A~12C)。
【0378】
全てのコレステロールエステルも確実に検出されるように、コレステロールエステラーゼを推奨量で含めた。小胞を、EVEXISスクリーニングと同様にFc-ECDタンパク質とインキュベートし、EVEXISと同様に洗浄した。セラントラジン-hを添加するのではなく、プレートを手ではじいて乾燥(flicked dry)させた。ルシフェラーゼシグナルに対する滴定のために、4つの3倍段階希釈を行った。20μLの0.5μMセラントラジンh(Promega)を添加し、5分間インキュベートし、Tecan M 1000 InfiniteProで読み取った。マニュアルに明記されているように、20μLのAmplex Red Cholesterol Assayミックスをウェルに添加し、1時間インキュベートし、読み取った。0.1秒の発光読み取り時間を使用して、Tecan M 1000 InfiniteProで発光を読み取った。蛍光を、560nmの励起及び590nmの発光波長を使用してTECANにおいて読み取った。PBS及びセラントラジンh及びAmplex Red Cholesterol Assayミックスのみを含むブランクウェルも測定し、値をシグナルから差し引いた。PD-L1 gD-GPI EV結合のために、ウェルをコエラントラジンhとAmplex Red Cholesterol Assayとの間ではじいて乾燥させた。ブランクのウェルを差し引くのではなく、Fcタグ付き種をトランスフェクトしなかったが、馴化培地を依然として添加したウェルを使用した。
【0379】
G.LRTM1の相互作用
【0380】
アッセイの感度を更に評価するために、低シグナルを有する新しいヒットの1つ、LRTM1を調査した。LRTM1について市販のタンパク質を見出すことができなかったため、rEV上に発現させたLRTM1を使用して相互作用を研究した。この研究は、PD-L1外部ドメインがrEV上のLRTM1に選択的に結合し、gD-GPIタグ付き外部ドメイン又は完全長タンパク質のいずれかとして提示されることを示した(図13B)。LRTM1 rEVはまた、ベクター対照(図13C)でトランスフェクトした細胞上の細胞上に発現したgD-GPIタグ付き又は完全長PD-L1に選択的に結合した。PD1(PDCD1)は、PD-L1の既知の相互作用パートナーであり、癌におけるチェックポイント遮断免疫療法の標的であるため、これらの相互作用が競合するかどうかを決定するために実験を行った。高濃度の組換えPD1-Fcタンパク質は、濃度依存的にLRTM1小胞結合を打ち負かすことができ(図13D)、タンパク質がPD-L1上の同様の領域に結合することを示唆した。
【0381】
実施例4.RDIMISは、包括的細胞外小胞結合剤の同定を可能にする
興味深いことに、全ての無関係なスクリーニングにより、予想される結合パートナーの間に散在する追加のヒットが明らかになった(表8)。rEVは複雑な混合物であるため、これらの新しい結合剤がrEV上に発現される受容体に特異的であるか、又は小胞自体に特異的であるかは明らかではなかった。これに対処するために、異なる受容体を示すrEVのスクリーニングを直接比較して、共通及び示差的な結合剤を同定した。バッチ一致スクリーニングを、互いに対して(図5A及び5B)、又は独立して行われる目的の受容体の代わりにベクター対照でトランスフェクトした細胞を用いたスクリーニングに対して(図14A~14F)プロットした。これにより、3つの異なる群が明らかになった:PVR特異的結合剤(青色)、PD-L1特異的結合剤(赤色)、及び特定のスクリーニングで濃縮されておらず、したがって受容体特異的ではなかったヒットの集団(図5A及び5B、グレーの網掛け影;表8及び9)。
【0382】
注目すべきことに、CLEC及びSIGLECのような糖結合剤だけでなく、LILR及びエフリン受容体のようなシグナル伝達受容体も含むいくつかのタンパク質ファミリーが包括的小胞結合剤リストにおいて濃縮された。任意の生物学的経路又は機能が過剰に表されているかどうかを決定するために、図5A及び5Bに示す4つのRDIMISスクリーニングで同定された一組の包括的小胞結合剤について遺伝子オントロジー(GO)濃縮分析を行った。表10は、PANTHER 15.0過剰提示試験(2020-03-23リリース)を用いて実施した、表8の包括的小胞結合剤のGO濃縮分析の結果を示す。表11は、PANTHER 16.0放出過剰提示試験(Mi et al.,Nucleic Acids Res,49:D394-D403,2021)を用いて行った、表9の包括的小胞結合剤のGO濃縮分析の結果を示す。有意に濃縮された分子機能には、炭水化物、硫黄及びアニオン結合が含まれ、全て小胞及び細胞膜への一般的な結合と一致していた。リストはまた、GO細胞成分分析による三次顆粒及び三次顆粒膜に関連するタンパク質が豊富であり(表12)、これらが一般的なEV結合剤であることを更に示唆した。GO生物学的プロセス分析も行ったが、有意な結果は見られなかった。したがって、このプラットフォームは、無関係な目的の標的についてはインタラクトーム(interactome)にわたって保存されている小胞特異的結合剤の同定を可能にし、EVについてはこれまで知られていない受容体を示唆する。
【表10】
【表11】
【表12】
【0383】
GO分析は、包括的小胞結合剤の多くが共通の細胞表面修飾を認識することを示唆したが、結合剤の多くはrEV中にタンパク質相互作用パートナーも有し得る。潜在的な結合剤のリストを作成するために、包括的小胞結合剤のリストを、公開されている免疫グロブリンスーパーファミリー受容体(Verschueren et al.,Cell,182:329-344.e19,2020)及び相互作用のSTRINGデータベース(Szklarczyk et al.,Nucleic Acids Res.,47:D607-D613,2019)と相互参照した。これらのデータを使用して、潜在的な相互作用のネットワークを生成した(図15)。各ノードは、包括的小胞結合剤(緑色)であるか、公開された研究及びデータベースから同定されたもの(青色)であるかによって色分けされた、ネットワーク中に見出されるタンパク質である。データのソースは、エッジにおいて色分けされる。これらのタンパク質が小胞に存在する可能性があるかどうかを理解するために、発現データを、Cell Atlas(Thul et al.,Science,356(6340),2017)を使用して、rEVを生成するための使用されるEXPI293(商標)細胞の親細胞株であるHEK293について相互参照した。rEVへのタンパク質の組み込みが典型的には細胞におけるその発現と相関するという知見に基づいて、高度に発現されたタンパク質が、検出された結合を担う可能性がより高いと推論された。発現は、図15の各タンパク質名を囲むボックスの高さとして示され、より高いボックスはより大きな発現を表す。このネットワークは、包括的小胞結合剤リスト中のタンパク質との既知の相互作用を有するいくつかの高発現タンパク質を示唆している。
【0384】
同時に実施されたスクリーニング(PVR gD-GPI反復2及びPD-L1 gD-GPI;CD276及びCD80 gD-GPI;LRRC15及びPVR FL)又は同じ受容体を発現する細胞間(PVR gD-GPI反復又はPVR-FL)で高い再現性が見られたが、スクリーニングの全てを互いにプロットした場合にいくらかの変動が観察された(図16A)。特に、より低い相関の一部は受容体特異的ヒット(すなわち、PVR gD-GPI対PD-L1 gD-GPI)によって引き起こされたが、最も悪い相関を有するスクリーニングはCD80 gD-GPI及びPVR FLスクリーニングであった。興味深いことに、これは包括的小胞結合剤の2つの分離可能な集団によって駆動され、一方はスクリーニング間で一貫しているように見え(図16B、空色ドット)、他方はCD80 gD-GPIスクリーニングで濃縮されていた(図16B、金色ドット)。しかしながら、これらのヒットはCD80 gD-GPIスクリーニングにおいて有意により濃縮されたため、両方の集団は依然としてCD80 gD-GPI特異的ヒットと区別することができた。これは、y軸付近にズームインすることによって(図16B)、又は全てのスクリーニング間で共通の包括的小胞結合剤のリストを除去することによって(図16B)見ることができた。これらの2つの集団の間にいくらかの違いがあるかどうかを決定するために、GO分子機能分析をこのスクリーニングで同定された2つの集団で行った(表13及び14)。興味深いことに、ヘパリン及びグリコサミノグリカン結合は、包括的小胞結合剤の第1の集団で濃縮され(表13)、シアル酸結合及び膜貫通シグナル伝達活性は、第2の集団で濃縮された(表14)。
【表13】
【表14】
【0385】
スクリーニングの個々の対ごとのリストを得るために、データの分布が正規分布から逸脱し、長い上部テールを有していたので、90%分位点でカットオフを描いた。これは各スクリーニングについて個別に行われ、最終リストは、スクリーニング特異的ヒットを除去した全てのスクリーニング間で共通の遺伝子のリストであった。遺伝子をランク付けするために、強度を全てのスクリーニングにわたって平均し、その平均によってソートした。遺伝子オントロジー分析は、包括的小胞結合剤のリストでPANTHER15.0放出過剰提示試験(2020-03-23リリース)又はPANTHER 16.0放出過剰提示試験(Mi et al.,Nucleic Acids Res,49:D394-D403,2021)を使用して行った。参照リストは、STMライブラリ中の全ての遺伝子のリストであった。GO分子機能完全、生物学的プロセス完全及び細胞成分完全アノテーションデータセットを、フィッシャーの正確検定を使用して分析した。
【0386】
したがって、RDIMISアプローチは、例えばヒトEV生物学の研究のための小胞特異的結合剤のプロファイリングを可能にする。HEK細胞由来のヒトEVについて100を超える結合剤が同定され、細胞とのEV相互作用を媒介し得る推定受容体、最適なツールの欠如のために依然として解明されていない小胞生物学の一態様を示唆した(Gonda et al.,Mol.Cancer Res.,17:337-347,2019)。本発明者らの結果は、EVが免疫調節タンパク質(例えば、SIGLECファミリー、LILRファミリー及びCD300ファミリー)、成長調節タンパク質(例えば、成長因子受容体、例えば、FGFR4、FLT1及びNRPタンパク質並びにいくつかの受容体チロシンキナーゼ)、及びニューロンタンパク質(例えば、APP及びCLSTNタンパク質)などの主要なシグナル伝達タンパク質と相互作用することを示しており、EVが細胞間コミュニケーションを媒介するという考えを裏付けている。スループット及び再現性を考慮すると、この方法は、地球規模でEVの品質を評価する方法を提供する。さらに、このプラットフォームは、分子レベルでEV機能に影響を与えるプレイヤーを解明するための独自のツールを提供し、したがって、標的受容体の過剰発現、治療薬の添加、又はEVを生成する細胞の改変から生じるEVの結合プロファイルの予想外の変化を検出するために使用することができる。
【0387】
実施例5.RDIMISは、オーファン癌関連受容体LRRC15の新規相互作用パートナーとしてCD248を同定する
上記の結果は、RDIMISが、他の生化学的スクリーニングアプローチに対して難治性の困難な標的の脱オーファン化を可能にし得ることを示唆した。一例として、RDIMISを使用して、癌関連線維芽細胞(CAF)受容体LRRC15を研究した。LRRC15は、大きな腫瘍に関連するCAFの特異的マーカーとして最近出現した(Dominguez et al.,Cancer Discov.,10(2):232-253,2020)。この生物学的重要性にもかかわらず、相互作用パートナーは同定されておらず、したがって、LRRC15生物学の基本的な態様は未定義のままである。LRRC15相互作用パートナーは、先に実施された技術である小型化されたAVEXIS(Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018;Bushell et al.,Genome Res.,18:622-630,2008)を使用して最初に検索された。この技術は、上記のSTMタンパク質ライブラリに対して五量体化LRRC15外部ドメインをスクリーニングする。この技術で以前に示された一過性相互作用の検出のためのAVEXISスクリーニングの高感度にもかかわらず、LRRC15について結合パートナーは同定されず(図6A)、LRRC15が最適な活性のためにより生理学的に関連する設定を必要とし得ることを示唆した。この仮説を試験するために、RDIMISを使用して、LRRC15をgD-GPI(図7A)及び完全長(図7B)受容体-rEVとしてスクリーニングした。注目すべきことに、これらの取り組みの両方が、利用可能なデータベースに記載されていないLRRC15についての推定相互作用物質の同様のセットを同定した(図6B)。
【0388】
CD248を、EZ-LINK(商標)Sulfo NHS-LC-LC-Biotin(Thermo Fisher)を使用してビオチン化し、7K MWCO(Thermo Fisher)を含むZeba脱塩カラムで浄化した。CD248をストレプトアビジン(SA)バイオセンサ上に25nMでロードした。LRRC15-Fcタンパク質(Genentech)を500nMで提供した。LRRC15 rEVを0.25mg/mLの総タンパク質(2.5~3.5nM)で提供した。
【0389】
CD248は両方のスクリーニングにおいて最高のスコアリングヒットであり、その発現は腫瘍間質においてアップレギュレートされ(Rouleau et al.,Clin.Cancer Res.,14:7223-7236,2008;Rouleau et al.,Int.J.Oncol.,39:73-89,2011;Teicher et al.,10:993-100,2019)、腫瘍成長を促進することが示唆されているため(Maia et al.,BMC Cancer,2:1-12,2011)、LRRC15-CD248相互作用を更なる特徴付けのために選択した。LRRC15及びCD248は、固形腫瘍においてアップレギュレートされることが独立して報告されているが(Rouleau et al.,Clin.Cancer Res.,14:7223-7236,2008;Purcell et al.,Cancer Res.,78:4059-4072,2018)、それらが同じ腫瘍試料において発現されたかどうかは不明であった。4つの異なる腫瘍適応症について、癌ゲノムアトラス(TCGA)からのバルクRNA-seqデータにおいて、CD248及びLRRC15(図8A、8B、9A、9B)の発現間の有意な相関が同定された。これらの相関は、CD248及びLRRC15が同じ細胞型上に見出されるか、又は共調節されることを示唆する。これらの2つの可能性を区別するために、頭頸部癌患者からの単一細胞RNA-seqデータを再分析して、LRRC15及びCD 248発現を強調した(Puram et al.,Cell,171:1611-1624e.24,2017)。この分析により、LRRC15及びCD248がCAFのサブセットで同時発現されることが明らかになり(同時生起スコア(オッズ比)=9.44)(図8C)、CD248は、DCN及びRGS5などのマーカーを使用して同定された全てのCAF及び癌関連周皮(CAP)細胞を包含するより広範な発現を示す(図9C)。
【0390】
まとめると、これらの結果は、組換えタンパク質発現に依存する他の技術に適合しない受容体のための新しい相互作用因子を同定するためのロバストな方法としてRDIMISを位置付ける。さらに、LRRC15とCD248との間の相互作用が同じ細胞上で起こるのか細胞間で起こるのかは不明であるが、上記の分析は、これらのタンパク質が患者の腫瘍において相互作用する十分な機会を有し、この相互作用が関連し得る潜在的な生物学的状況を提供することを示唆している。
【0391】
A.LRRC15-CD248相互作用は膜上のLRRC15発現を必要とする
生物物理学的及び生化学的方法を使用して、LRRC15-CD248相互作用を更に特徴付けた。最初に、小型AVEXISアッセイを、CD248五量体化外部ドメインを使用して行った。LRRC15(図6A)と同様に、CD248五量体化外部ドメインをSTMタンパク質ライブラリに対してスクリーニングした場合、高信頼性ヒットは同定されなかった(図10A)。この結果と一致して、相互作用をBLI又は表面プラズモン共鳴のいずれかによって分析した場合、検出の感度を最大にする実験条件を用いた場合でさえ、LRRC15組換えタンパク質とCD248組換えタンパク質との間に結合は観察されなかった(図10B及び11A)。LRRC15及びCD248の両方を組換え外部ドメインとして試験した場合、BLI分析により、検出可能な結合の欠如が確認された。対照的に、EV上にLRRC15が示された場合、相互作用は容易に検出可能であった(図11A)。同様に、この相互作用は、細胞の原形質膜上でも観察することができた。第1に、空のベクター対照でトランスフェクトされた細胞よりも10倍を超えて(図11B)細胞表面上に過剰発現されたCD248に結合したLRRC15を示すrEV(図11D)。第2に、LRRC15を細胞上に発現させ、蛍光標識ストレプトアビジンを使用してビオチン化及び四量体化したCD248組換えタンパク質と共にインキュベートした。結合は、LRRC15発現細胞では容易に検出可能であったが、対照タンパク質を発現する細胞では検出可能ではなかった(図11B~11D)。これらのアッセイは、この相互作用が膜を必要とするが、具体的にはrEVを必要としないという考えを強化する。
【0392】
この相互作用の膜依存性の根底にあるかもしれないものをよりよく理解するために、コレステロール超微細構造(図17A~17C)を形成するFilipin IIIを使用してrEV膜を破壊することによって、又はメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)(図17D~17F)で膜コレステロールを枯渇させることによって、rEV膜を変化させた(Petro et al.,Toxicon,48:1035-1045,2006)。細胞を100μMのFilipin III又は15mMのMβCDで処理すると、BLIによって示されるように、LRRC15 gD-GPI発現小胞のCD248単量体への結合が全て排除された。これらの薬剤は、抗gD抗体によるgDエピトープタグの検出にも影響を及ぼした。興味深いことに、100μMのFilipin IIIもCD248へのLRRC15 FL rEVの結合を劇的に減少させたが、MβCDではわずかな効果が観察された。
【0393】
LRRC15及びCD248は膜依存的に相互作用できることが示されたが、それらが同じ生理学的環境に存在するかどうかは知られていなかった。LRRC15及びCD248は、固形腫瘍においてアップレギュレートされることが独立して報告されているのに対し(Rouleau et al.,Clin.Cancer Res.,14:7223-7236,2008;Purcell et al.,Cancer Res.,78:4059-4072,2018)、それらが同じ腫瘍試料において発現されたかどうかは不明であった。4つの異なる腫瘍適応症についての癌ゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas:TCGA)からのバルクRNA-seqデータは、CD248の発現とLRRC15の発現との間に有意な相関を示した(図8A、8B、9A~9C)。この相関は、CD248及びLRRC15が同じ細胞型上に見出されるか、又はCD248及びLRRC15が共調節されることを示唆した。その疑問に答えるのを助けるために、頭頸部癌患者からの単一細胞RNA-seqデータを再分析して、LRRC15及びCD248の発現を強調した(Puram et al.,Cell,171:1611-1624.e24,2017)。これにより、LRRC15及びCD248がCAFのサブセットで同時発現されることが明らかになり(同時生起スコア(オッズ比)=9.44)(図8C)、CD248は、DCN及びRGS5などのマーカーを使用して同定された全てのCAF及び癌関連周皮細胞(CAP)を包含するより広範な発現を示す(図9C)。相互作用の膜依存性を説明し得るいくつかのモデルがある。最も単純なモデルは、LRRC 15外部ドメインが適切な折り畳みのために膜環境を必要とすることである。興味深いことに、完全長及びgD-GPIタグ付き外部ドメインの両方がこの相互作用を捕捉したので、この依存性を担う決定基は、膜貫通ドメイン内又は膜と外部ドメインとの間の正確な間隔内にない可能性がある。別の妥当な説明は、膜の存在が受容体の高度にクラスター化したアレイの形成を促進し、試験した五量体化を超えてタンパク質結合活性を増加させて相互作用を安定化することである。これは、Filipin III及びMβCDがこの相互作用を妨害し得るという証拠によって部分的に裏付けられる。特に、膜中のコレステロール(Bolard,BBA-Rev.Biomembr.,864:257-304,1986)のようなヒドロキシステロールに結合するが除去しないと考えられるFilipin IIIは、受容体がクラスター形成する能力を低下させる可能性がある。Filipin IIIは膜に一般的な破壊を引き起こし、したがって完全長及びgD-GPIタグ付き種の両方に影響を及ぼす可能性があるが、MβCDの効果は主にgD-GPIタグ付きLRRC15に対するものであった。これは、葉酸受容体のようなGPIアンカー型受容体がクラスター形成のために膜コレステロールに依存することを示唆する研究と一致している(Rothberg et al.,J.Cell Biol.,111:2931-2938,1990)。あるいは、LRRC15-CD248相互作用は、複合体を促進又は安定化するまだ未知の因子の動員に依存し得る。
【0394】
免疫蛍光アッセイのために、HEK293T細胞を、37℃で30分間、0.1mg/mLのポリ-D-リジン(Gibco)でコーティングした96ウェルSENSOPLATES(Greiner Bio-One)に分割した。製造業者の仕様に従ってLTX試薬(Thermo Fisher Scientific)を使用して細胞をトランスフェクトした。蛍光rEV実験のために、gag-mNeonGreen及び目的の受容体を一過性に同時トランスフェクトしたEXPI293F(商標)細胞からrEVを回収した。細胞及び残屑を除去するために、300×gで10分間のスピン及び3,000×gで1時間のスピン後、100,000×gで90分間の超遠心分離によってそれらを精製した。rEVをPBSに再懸濁し、4℃で30分間細胞とインキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、4%PFAを使用して10分間固定した。EZ-LINK(商標)Sulfo NHS-LC-LC-Biotin(Thermo Fisher Scientific)を用いてCD248タンパク質(R&D Systems)をビオチン化し、Zeba 7K MWCO脱塩カラムで精製し、ストレプトアビジン-APC(Agilent)を用いて四量体化した。DNAを10μg/mL Hoechst 33342(Tocris Bioscience)で染色した。
【0395】
全体として、これらの結果は、CD248がLRRC15の新しい相互作用パートナーであることを確認し、LRRC15-CD248相互作用が膜との関連で促進されることを示す。これらの知見は、膜タンパク質を伴う相互作用の検出のための性能の向上をもたらし、組換えタンパク質の使用を必要とする他の技術に対して抵抗性であるRDIMISの利点を強調している。
【0396】
タンパク質インタラクトームの同定を超えて、rEVベースの受容体ディスプレイは、膜における受容体挙動の定量的調査を提供することができる。例えば、BLIを使用して、膜(図11 A)中の受容体とそのリガンドとの結合動態を特徴付けることができる。
【0397】
実施例6.Gタンパク質共役受容体相互作用スクリーニングは、接着GPCR B1(ADGRB1)と呼ばれるPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)の新規受容体の発見を可能にする
A.背景
Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーは、ヒトゲノム中の細胞外タンパク質のほぼ20%を包含し、全てのFDA承認薬の1/3超の標的である。しかしながら、通常は細胞外タンパク質相互作用を破壊する2つの生物学的薬物のみがGPCRを標的とする。GPCRは、部分的には、GPCRの細胞外相互作用マッピングがヒトゲノムの残りの部分より遅れているため、生物学的薬物開発において遅れをとっている。したがって、癌における免疫療法の標的となる受容体の相互作用をマッピングするために、GPCRに焦点を当てた細胞外相互作用スクリーニングを実施した。接着GPCR B1(ADGRB1)と呼ばれるPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)の新規受容体が観察された。第2に、ADGRB1の相互作用をヒトゲノム中の単一膜貫通受容体の大部分に対してマッピングし、ICOSLG(誘導性T細胞共刺激リガンド)との新規な相互作用を観察した。これらのデータは、新しい生物学のマッピング及び癌における治療的介入のための新しい道の開発におけるGPCR相互作用スクリーニングの可能性を実証している。
【0398】
細胞のタンパク質/タンパク質相互作用を理解するために、「インタラクトミクス(interactomics)」と呼ばれることが多い相互作用マッピングの分野が開発された。1989年の酵母ツーハイブリッドスクリーニング(Young,Biology of Reproduction,58(2):302-311,1998)の開発から始まり、相互作用マッピングは、生理学的条件下及び疾患においてタンパク質相互作用ネットワークがどのように機能するかについて多くの洞察をもたらした。最近、インタラクトミクスの分野は、コンテキスト特異的タンパク質ネットワークの完全なマッピングで発展している(Go et al.,Nature,595:120-124,2021;Huttlin et al.,Cell,184(11):3022-3040,2021)。タンパク質/タンパク質相互作用のマッピングにおける主要な課題の1つは、細胞膜に埋め込まれたタンパク質を含むことである。システイン還元及びグリコシル化(Martinez-Martin,J.Immunol.Res,2017:2197615,2017)などの翻訳後修飾をしばしば伴う典型的には一過性の相互作用のために、細胞外空間における相互作用ネットワークを定義することは更に困難である。したがって、細胞外タンパク質相互作用マッピングは、この分野を前進させるために新しい技術が必要とされているため、インタラクトミクス分野において遅れをとっている。
【0399】
細胞外相互作用技術の開発への重要な洞察の1つは、アビディティーが一過性であるが生理学的に関連する細胞外タンパク質相互作用を解読するための重要な構成要素であるという認識であった(Gonzalez,Methods,57(4):448-458,2012)。ヒトゲノム中のほとんどの細胞外タンパク質にわたる相互作用をマッピングするために結合活性を利用するためのスクリーニングが開発されている。例えば、ポリオウイルスレセプター(PVR)がTIGIT(T細胞免疫グロブリン及びITIMドメイン)と相互作用するという発見は、潜在的なタンパク質をFcタグ付き二量体としてスクリーニングすることによってなされた(Yu et al.,Nature Immunology,10(1):48-57,2009)。マイクロビーズは、リガンドを多量体化し、タンパク質マイクロアレイに対してスクリーニングして、ヒトアデノウイルスの細胞外インタラクトームをマッピングするために使用されてきた(Martinez-Martin et al.,Nature Communications,7:11473,2016)。同様に、バキュロウイルスを、これらのタンパク質マイクロアレイに対するスクリーニングのための多量体化プローブとして受容体を提示する方法として使用した(Tom et al.,Analytical Biochemistry,479:1-5,2015)。Fcタグ付き細胞外タンパク質の大規模ライブラリは、マイクロビーズ(Husain et al.,Mol.Cell.Proteomics,18:2310-2323,2019)及びアビディティベースの細胞外相互作用スクリーニングのための遺伝子融合によって多量体化されたリガンド(Martinez-Martin et al.,Cell,174(5):1158-1171,2018;Verschueren et al.,Cell,182:329-344.e19,2020)を使用して相互作用をスクリーニングするために使用されてきた。しかしながら、これらの成功にもかかわらず、細胞外タンパク質の1つの主要なファミリー、多重膜貫通受容体(MTMR)が、インタラクトミクススクリーニングにおいて足間スクリーニングにおいて依然として扱いにくいままである。
【0400】
ヒトゲノムは、細胞外空間と相互作用する5,000を超える受容体及び分泌タンパク質をコードする。単一膜貫通受容体は、2,000を超えるこれらの細胞外タンパク質を包含するが、分泌タンパク質は600を超える(Uhlen et al.,Science Signaling,12(609),2019)。残りの2,000個未満の細胞外タンパク質はMTMRであり、そのうち800個超がGタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する。GPCRスーパーファミリーは、それに対して開発された成功した臨床治療薬の豊富な歴史を有しており、FDA承認された全薬物の1/3がこれらの800個のGPCRのうちのちょうど100個超を標的としている(Congreve et al.,Cell,181(1):81-91,2020)。GPCRスーパーファミリーの残りのメンバーには400を超える嗅覚受容体が含まれるが、これらの受容体はほとんどが嗅上皮での発現が制限されている。しかしながら、嗅覚受容体は、嗅覚受容体が嗅上皮の外側で発現される組織における疾患モデルにおいて生理学及び調節不全の重要なドライバーであることが示されているため(Pronin and Slepak,The Journal of Biological Chemistry,296:100475,2021)、嗅覚受容体は薬物開発の検討から除外されるべきではない。GPCRスーパーファミリーは、ほとんど全ての生理学的系において重要であり、受容体が原形質膜で発現されるが、それらの発現は比較的低く、特定の細胞型に限定されているので、そのような成功した薬物標的である。
【0401】
原形質膜局在化及びGPCRスーパーファミリーの低く制限された発現は、これらのタンパク質を薬物開発のための理想的な標的にするが、これらの同じ特性は、GPCR生物学を研究するための固有の課題を提示する。実際、重要な生理学的機能を制御する未知のリガンドを有するオーファンGPCRは依然として100を超える(Laschet et al.,Biochemical Pharmacology,153:62-74,2018)。さらに、GPCRの相互作用マッピングは、他の細胞外タンパク質に遅れをとっている(Dunn et al.,Pharmacological Reviews,71(4):503-519,2019)。GPCRはまた、生物学的薬物開発において過小評価されている。GPCRはFDA承認薬の30%超を包含するが、GPCRスーパーファミリーはFDA承認生物学的薬物の2%の標的にすぎない(Hutchings,Expert Opinion on Biological Therapy,20(8);925-935,2020)。生物学的薬物開発は、ロバストなタンパク質相互作用の破壊又は増強、組織標的化、及びコンジュゲート薬物送達を可能にする(Lu et al.,Journal of Biomedical Science,27(1):1,2020)。第2に、抗原として利用可能な事実上任意のアロステリック部位に対する複雑なファーマコフォアを開発することが可能であり、この可能性は、偏ったアゴニスト又はアロステリックモジュレーターなどの次世代GPCR薬物クラスの開発を促進する可能性がある。したがって、相互作用マッピング及び生物学的薬物特性評価を可能にするGPCRに焦点を当てたツールのセットを構築した。
【0402】
本明細書に記載の第1のGPCRに焦点を当てたプラットフォームは、リガンド多量体化を利用して細胞表面上のタンパク質/タンパク質相互作用を検出する細胞過剰発現系である。第2に、GPCRを組換え細胞外小胞(Geeurickx et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019)にパッケージングし、Fcタグ付き単一膜貫通受容体細胞外ドメイン(Verschueren et al.,Cell,182:329-344.e19,2020)の最近公開されたライブラリに対する相互作用についてスクリーニングした。これらの相補的アプローチを使用して、オーファンリガンドをヒトゲノム中の全てのGPCRにわたってスクリーニングすることができ、オーファンGPCRを細胞外空間中のほとんどのタンパク質に対してスクリーニングすることができる。
【0403】
B.包括的な細胞ベースの過剰発現相互作用スクリーニングの使用は、接着受容体B1(ADGRB1)がPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)の新規受容体であることを明らかにする
哺乳動物過剰発現ベクターにおける多重膜貫通受容体の包括的なライブラリを、ゲートウェイドナーベクターにおける多重膜貫通受容体のそれらの集合体をpT-Rex-DEST31プラスミド(Invitrogen)にクローニングするために、DNASUプラスミドリポジトリ(Seiler et al.,Nucleic Acids Research,42(Database issue),D1253-1260)と協力して開発した。これにより、細胞の表面上に検出されたN末端HISタグが作成された(図18A)。さらに、N末端FLAGタグ及びC末端Venusを有するGタンパク質共役受容体に焦点を当てたDNAライブラリを作成した。GPCR集合体により、低発現受容体(図18B)の検出が可能になった。全体として、HISタグ付きMTMR集合体は、ほとんどが標識されていない受容体が細胞表面で過剰発現されることを可能にし(図18C)、一方、GPCR-Venus集合体は、バックグラウンド染色を上回る低発現受容体の検出を可能にする(図18D)。
【0404】
この包括的ライブラリを使用して、ハイスループットトランスフェクション及びハイコンテンツイメージングを使用して、4つの蛍光標識ペプチドリガンドをスクリーニングした(図23)。EGF及びRSPO3は、よく特徴付けられた受容体を有することから選択された。PD-L1及びPVRは、受容体の免疫グロブリンスーパーファミリーの複雑なネットワークに結合し、多くの生物学的治療薬の標的である(Andrews et al.,Nat Immunol,20:1425-1434,2019)。EGF-647は、トランスフェクション対照(図19A)として各プレートに添加した対照EGFRのみに結合した。R-スポンジン3(RSPO3)をAvidity AVITAG(商標)(Aviタグ)に融合して、APC標識ストレプトアビジンによるビオチン化及び四量体化を可能にした。この四量体化RSPO3は、その既知のGタンパク質共役受容体、ロイシンリッチリピートGPCR(LGR)4及び5(図19B)に結合した。ポリオウイルス受容体(PVR)の細胞外ドメインを四量体化し、対照としてスクリーニングに加えられた対照の単一膜貫通受容体CD226にのみ結合することが見出された(図19C)。
【0405】
プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の細胞外ドメインを蛍光四量体としてスクリーニングした場合、それは対照及び接着GPCRB1(ADGRB1)にも結合した(図19D)。この予想外の発見に基づいて、潜在的な相互作用タンパク質のファミリーに対する1つのGPCRの完全な相互作用をマッピングするための方法が開発された。
【0406】
C.ADGRB 1及びロイシンリッチGPCRの小胞ベースの相互作用マップ
Gタンパク質共役受容体(GPCR)の相互作用をマッピングするために、組換え細胞外小胞(rEV)(Geeurickx et al.,Nat.Commun.,10:1-12,2019)を使用した。rEVは、実施例1に記載されるように、HIV由来のGAGタンパク質と共に目的の受容体を同時トランスフェクトすることによって生成される。GAGは、均一なパッケージング配向(図20 A)及びサイズ(図20B~20D)を有する微小胞及びエキソソーム(Geeurickx et al.,Nature Protocols,16:603-633,2021)の産生を刺激する。GAGコトランスフェクションは、受容体の小胞へのパッケージングを増強し(図20E及び20F)、GPCRは、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して示されるように、rEVに効率的に輸送された(図20G)。BLIは、会合曲線が反転している小胞の検出を可能にし(Cameron et al.,Octet(登録商標) Potency Assay:Development,Qualification and Validation Strategies.Satorius Application Note,2021)、会合が本発明者らのBLI読み出しにおいてrEVサイズの粒子との会合であるという確信的な決定を可能にする。
【0407】
ポリオウイルスレセプター(PVR)及びプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)を蛍光標識GAGと共に小胞にパッケージングし、これらのrEVを包括的多重膜貫通ライブラリに対してスクリーニングした。図18A~18Dに示す組換えタンパク質と同様に、rEVにパッケージングされたPVRは、対照単一膜貫通受容体(図21A)のみに結合し、PD-L1は対照受容体並びにADGRB1に結合した(図21B)。
【0408】
次に、最近公開された(Martinez-Martin et al.,Nature Communications,7:11473,2016;Verschueren et al.,Cell,182:329-344.e19,2020)アビディティベースのタンパク質の細胞外相互作用ライブラリを、rEVにパッケージングされたGPCRの相互作用をマッピングするように適合させた。簡潔には、ライブラリは、培地への分泌のためのシグナル配列を有する哺乳動物発現ベクター中のFcタグ付きタンパク質の大きな集合体を含む。トランスフェクション後、馴化培地をプロテインA被覆白色プレート上でインキュベートし、したがって上記のように培地からタンパク質を捕捉する。このスクリーニングのために、受容体-リガンド相互作用の迅速かつ高感度の検出を可能にするために、各GPCRをRluc8(Loening et al.,Protein Engineering,Design&Selection,19(9):391-400,2006)に融合した。タンパク質ライブラリのメンバーに結合するrEVにパッケージングされたGPCRを、ルシフェラーゼ産生光を使用して検出した。
【0409】
ADGRB1を、Fc(図21C)に融合された単一膜貫通受容体細胞外ドメイン(STMライブラリ)の集合体に対してスクリーニングした。ADGRB 1及びRTN 4 Rファミリーメンバー(Chong et al.,Genome Biology,19(1):205,2018)並びにPD-L1間の相互作用が確認された。PD-L1に関連するタンパク質であるICOSLG(表15;Greenwald et al.,Annual Review of Immunology,23:515-548,2005)を含むいくつかの新規相互作用も明らかになった。図26A~26Fは、ADGRB1、LGR4、又はLGR5を含むEVの、STMライブラリ又はFcに融合した分泌タンパク質のライブラリへの結合についてのスクリーニングの結果を示す。これらのスクリーニングで同定された新規相互作用を表15に示す。
【表15】
【0410】
D.組換えタンパク質は、見出されたADGRB1結合剤を確認する。
【0411】
組換えタンパク質を使用して、いくつかの相互作用を確認した(図22A)。Venusに融合したADGRB1を過剰発現する細胞(図22B)を、Fcタグに融合した組換えPD-L1、ICOSLG、又はRTN4Rで処理し、Fcタグに対する染色によってロバストな結合が観察された。この結合は、ADGRB 2又はADGRB 3では観察されなかった(図24A~24C)。
【0412】
E.考察
Gタンパク質共役受容体(GPCR)相互作用マッピングは、強力であるが未開発の研究分野である。この実施例では、2つの相互作用マッピングプラットフォームがGPCRに対応するように適合されている(図23)。第1は、オーファンリガンドに対する新規受容体を発見するために使用することができる細胞ベースのプラットフォームである。ここで、この細胞ベースのプラットフォームを使用して、接着GPCR B1(ADGRB1)と呼ばれるPD-L1のこれまでに認識されていない受容体を発見した。第2に、上記のように、組換え細胞外小胞(rEV)中のGPCRを使用して、アビディティベースの相互作用スクリーニングを実施した。このようにして、目的のGPCRを、潜在的な相互作用パートナーのライブラリに対してスクリーニングすることができる。この小胞ベースのプラットフォームを使用して、ADGRB 1がICOSLGに結合することが示された。
【0413】
ADGRB1は、顕著な長いN末端を共有する33個の接着GPCRのファミリーに属する。接着GPCRは、ゴルジ体内のこの長い細胞外ドメインを自己タンパク質分解するが、原形質膜で一緒に複合体化したままであると考えられている。リガンドが結合すると、プロテアーゼ活性化受容体ファミリーと同様に(Nijmeijer et al.,Biochemical Pharmacology,114:88-102,2016)、大きな細胞外ドメインが7回膜貫通ドメインから解離し、残りの短いストークが7回膜貫通ドメインを活性化する。接着GPCRは、Gタンパク質を活性化し、アレスチンも動員することが示されている(Kishore et al.,The Journal of Biological Chemistry,291(7):3385-3394)。ADGRB 1の大きな細胞外ドメインはリポ多糖及びホスファチジルセリンに結合し、受容体活性化は細菌細胞及びアポトーシス細胞の貪食を促進すると考えられている(Park et al.,Nature,450(7168):430-434,2007;Das et al.,The FASEB Journal,28(5):2214-2224)。マクロファージ上のADGRB 1発現は以前に実証されている(Park et al.,Nature,450(7168):430-434,2007)が、最近では、この観察に異議が唱えられている(Hsiao et al.,Frontiers in Immunology,10:962,2019)。ADGRB 1は、癌細胞においてダウンレギュレートされる腫瘍抑制遺伝子であることも知られている(Zhu et al.,Cancer Cell,33(6):1004-1016e15,2018)。
【0414】
T細胞活性化のための2つの古典的リガンド(PD-L1及びICOSLG)へのADGRB1結合が観察されたことに注目することは興味深い。しかしながら、これらのリガンドは、PD-L1がT細胞を阻害し、ICOSLGがそれらを活性化するT細胞活性化に対して反対の効果を有することが知られている(Greenwald et al.,Annual Review of Immunology,23:515-548,2005)。腫瘍がT細胞を回避する方法の1つは、PD-L1を過剰発現させることによるものであり、これはT細胞のサイレンシングを駆動し、したがって腫瘍が免疫系を回避することを可能にする。実際、PD-1/PD-L1は、T細胞サイレンシングを脱抑制する生物学的薬物によって標的化されており、癌のための証明された臨床的に有効な免疫療法である(Lee et al.,Scientific Reports,7(1):5532,2017)。ADGRB1と、PD-L1及びICOSLGとの相互作用は、PD-1/PD-L1遮断が無効であり得ることから(Lee et al.,Frontiers in Pharmacology,12:681320,2021)、薬物開発のための新しい道を提供し得る。
【0415】
1つの解明されていない疑問は、ADGRB1と、PD-L1及びICOSLGとの相互作用がシグナル伝達に及ぼす影響である。異種細胞株においてADGRB1ベースのシグナル伝達モデルを開発することは困難であった(図25A~25D)。最近、別の接着GPCRファミリーメンバーが、N末端結合に応答して、また7回膜貫通ドメインに直接結合するコレステロールでの処理によってGαiを活性化することが示された(Ping et al.,Nature,589(7843),620-626,2021)。以前の研究は、ADGRB 1がHEK細胞において切断されないこと(Arac et al.,The EMBO Journal,31(6):1364-1378,2012)、及びADGRB1がELMOと呼ばれる非標準エフェクターを介してシグナル伝達すること(Park et al.,Nature,450(7168):430-434,2007)を示している。ADGRB1の活性化は、関連する細胞株又はin vivoにおいてのみ可能であり得る。
【0416】
GPCRは、多くの薬物開発プログラムにとって重要な標的である。GPCRに対する多くの小分子剤が、診療所に首尾よく持ち込まれている。しかしながら、生物製剤などの新規な薬物モダリティは、GPCR薬物開発のための小分子に遅れを取っている。新規なモダリティ、特に抗体ベースの生物学的製剤は、細胞外タンパク質相互作用を標的とし、受容体活性化を調節するためのロバストな方法を提供する。ここでは、GPCR細胞外相互作用をマッピングするための方法が開発され、癌免疫療法に関連する新しい相互作用が見出された。
【0417】
F.材料及び方法
細胞培養
HEK 293T細胞及びCOS7細胞を、DMEM+10%FBS、10mM HEPES pH7.4及びペニシリン-ストレプトマイシン(100U/mL)中で維持した。EXPI293F(商標)細胞を、150RPMで振盪しているEXPI293(商標)発現培地中で培養した。
【0418】
多重膜貫通受容体ライブラリの作製
受容体を、pT-Rex-DEST31プラスミド(Invitrogen)又はpRKプラスミド(Genentech)のいずれかにクローニングし、配列を確認した。100ngの受容体DNA(10μL/ウェルに対して10ng/μL)を384ウェルブラックAurora Microplate(カタログ番号ABC2-312-1B-PDL)の各ウェルにプレーティングした。DNA印刷Auroraプレートを密封し、実験日まで-20℃で保存した。
【0419】
トランスフェクションの日に、DNA印刷Auroraプレートを室温で解凍し、スピンダウンした。1:0.0072に希釈したLIPOFECTAMINE(商標)LTX及び1:0.0024に希釈したPLUS(商標)試薬(Thermo Fisher、カタログ番号15338100)を含む20μLのOpti-MEM(商標)(Thermo Fisher、カタログ番号11058021)を384ウェルプレートの各ウェルに添加し、5%CO下、37℃で20分間インキュベートした。その後、DMEM+10%FBS、HEPES及びP/S中150,000細胞/mLで希釈したCOS7細胞20μLを各ウェルに添加し、5%COと共に37℃で48時間インキュベートした。
【0420】
受容体発現分析
48時間後、発現を受容体蛍光によって確認した。細胞をOpti-MEM(商標)+5%BSA中、37℃、5%COで45分間飢餓状態にした。次に、ウサギ抗HIS抗体(Cell Signaling、カタログ番号2365)又はマウス抗FLAG抗体(Sigma、カタログ番号F3165)をOpti-MEM(商標)+5%BSAで1:1000に希釈し、細胞上で4℃で45分間インキュベートした。次いで、細胞をPBS+Ca/Mgで洗浄し、室温で20分間、4%PFAで固定し、PBS+Ca/Mgで再度洗浄し、室温でOpti-MEM(商標)+5%BSAで1:1000に希釈したウサギ又はマウスAlexa-647二次抗体で染色した。次いで、細胞を洗浄し、次いで、室温で20分間、1μg/mLでDAPI染色(Thermo Fisher、カタログ番号62248)し、再び洗浄し、PBS+Ca/Mg中で4℃にて撮像日まで保存した。
【0421】
受容体発現を、DAPI、GFP及びCy5のための予め設定されたフィルタを備えたIN Cell Analyzer 6000(GE Healthcare)で10倍対物レンズを使用して2つの撮像視野を捕捉することによって評価した。IN Cell Analyzer 6000 Developmentソフトウェアを使用して、DAPI、GFP、及びCy5チャネルの対象領域を描画し、物体の総数並びに視野全体のピクセル密度をカウントした。全発現は、GFPチャネルを細胞の総数(DAPIカウント)で割ったものとして表される。表面発現は、抗体チャネル(Cy5)を細胞の総数で割ったものとして表される。
【0422】
細胞ベースの相互作用スクリーニング
受容体発現分析と同様に、Opti-MEM(商標+5%BSAにおけるトランスフェクションの48時間後に細胞をブロックした。一次抗体の代わりに、Opti-MEM(商標)+5%BSAで希釈した100nM四量化リガンドで細胞を4℃で45分間処理した。四量体を、以前に記載されたように(Verschueren et al.,Cell,182(2):329-344.e19,2020)、わずかな変更を加えて調製した。簡潔には、ストレプトアビジン-APC(Agilent、PJ27S)及び目的のビオチン化タンパク質(RSPO3及びPVRは社内で製造し、PD-L1はBio-Techneから購入した、カタログ番号AVI156)の総質量を計算した。必要とされるタンパク質の総体積を等分し、ストレプトアビジンの体積を、間に室温での10分間のインキュベーションを用いて四段階で加えた。最終添加及びインキュベーションの後、四量体をOpti-MEM(商標)+5%BSA中100nMの最終濃度に希釈した。EGF-647については、蛍光タンパク質をThermo Fisher(カタログ番号E35351)から購入し、Opti-MEM(商標)+5%BSAで100nMに希釈した。次いで、細胞をPBS+Ca/Mgで洗浄し、室温で20分間4%PFAに固定し、再び洗浄し、DAPI染色し(Thermo Fisher、カタログ番号62248)、画像化の日までPBS+Ca/Mg中4℃で保存した。
【0423】
小胞ベースの相互作用スクリーニングのために、四量化リガンドの代わりに小胞を添加し、GAGをNeon Greenに融合させた。
【0424】
受容体発現分析について上記のようにイメージングを行った。
【0425】
組換え細胞外小胞調製物
100mLのEXPI293F(商標)細胞に100μgのDNAをトランスフェクトし、50μgのGAG DNAと50μgの受容体を分割した。トランスフェクションの7日後、細胞をスピンダウンし、培地を0.2ミクロンフィルタに通して濾過した。プロテアーゼ阻害剤(Roche)を、フィルタにかけた培地に添加し、これを2,000×gの低速で30分間回転させた。次に、媒体を100,000×gで90分間回転させた。小胞ペレットをPBS+Ca/Mg中で再構成し、実験日まで保存した。
【0426】
電子顕微鏡法
電子顕微鏡法を本明細書に記載のように実施した。小胞の懸濁液を、ホルムバール及び炭素被覆TEMグリッドの表面に15分間吸着させた。蒸留水で少しすすいだ後、試料をEV分取用の2%リンタングステン酸(PTA)で60秒間染色し、次いで風乾した。次いで、試料をPBSで15分間、水で1分間洗浄し、1%酢酸ウラニルで1分間染色した後、ブロットし、風乾した。JEOL JEM-1400透過型電子顕微鏡(TEM)及びGATAN ULTRASCAN(登録商標)1000 CCDカメラを用いて5000倍~50000倍の倍率で撮像を行った。スケールバーを画像に示す。
【0427】
NanoSight
小胞を清浄なPBSで希釈し、NanoSight(Malvern Panalytical)データを収集し、清浄なPBSをベースラインとして使用して3回平均した。
【0428】
バイオレイヤー干渉法
小胞をPBSに希釈し、gD抗体(abcam、カタログ番号ab6507)及びFLAG抗体(Sigma、カタログ番号F3165)をPBSで1:10に希釈し、TIGIT-Fc(Bio-techneカタログ番号7898-TGB)を100μg/mLに希釈した。AMCチップ(Sartorius、カタログ番号18-5088)又はAHCチップ(カタログ番号18-5060)を使用して、抗体又はFcタグをそれぞれ捕捉した。
【0429】
小胞ベースの相互作用スクリーニング
小胞ベースの相互作用スクリーニングを上記のように行った。対照タンパク質及び追跡実験のため、組換えタンパク質及び抗体を白色の384ウェルプロテインA被覆プレート(Thermo Fisher、カタログ番号NCI15133)の空のウェルに添加し、4℃で少なくとも24時間インキュベートした。
【0430】
リガンド結合
リガンド結合のために、目的の受容体をリン酸カルシウムトランスフェクションを使用してHEK細胞で一過性に過剰発現させ、次いでAuroraイメージングプレートにプレーティングしたことを除いて、相互作用スクリーニングと同じプロトコルを使用した。四量体化リガンドの代わりに、Fc融合タンパク質(BIO-TECHNE(登録商標)、PD-L1 カタログ番号AVI156、ICOSLG カタログ番号AVI165、RTN4R カタログ番号1208-NG)を10μg/mL(各二量体につき約70nM)の濃度で細胞上でインキュベートした。その後、Alexa-647に融合した抗ヒトFcを二次抗体として用い、IN Cell Analyzer 6000で画像を撮影した。
【0431】
実施例7.異なる細胞株におけるrEVベースのRDIMISを使用した細胞状態プロファイリング
上記の実施例は、rEVを使用して、目的の受容体との相互作用を同定及び特徴付けることができることを実証している。さらに、一般にrEVと相互作用するいくつかの結合パートナーが同定された(例えば、実施例4を参照)。目的の受容体並びに多くの他の膜タンパク質及び細胞質タンパク質が、親細胞におけるそれらの発現レベルに比例するレベルでrEVに組み込まれているようであるため、これらの相互作用は、rEVについての起源細胞(親細胞)の状態のスナップショットを捕捉し得る。
【0432】
したがって、rEVは細胞表面タンパク質(例えば、所与の時点で細胞表面タンパク質の代表的な試料を捕捉することができる)を捕捉することができ、したがって、RDIMISを使用して、異なる細胞状態を有する細胞に関連する相互作用をプロファイリングすることができると仮定される。具体的には、rEVは、rEVの親細胞との細胞相互作用の代理として使用され得、例えば疾患特異的刺激、分化、及び細胞型の違いに起因して生じる重要な相互作用を捕捉し得る。このアプローチの1つの利点は、複合体及び複雑な相互作用ダイナミクスを含む細胞表面タンパク質の凝集体結合挙動だけでなく、グリコシル化マーク及び脂質のような非タンパク質成分に依存する相互作用も捕捉することである。
【0433】
方法
小胞出芽物質を発現する安定な細胞株及びRDIMISの読み出し(例えば、RDIMIS、例えば、gag-Renillaルシフェラーゼ(gag-RLuc)の読み出しに付着した小胞出芽因子)を、T細胞(JURKAT)、B細胞(BJAB)及び単球(THP 1)を表す免疫細胞株;ニューロン細胞株;及び線維芽細胞株を含むがこれらに限定されない細胞株のために作製する。実施例1に記載したように、これらの細胞株からrEVを作製する。
【0434】
細胞株及びそこから生成されたrEVを、以下について実施する:
1.異なる細胞型を代表する異なる細胞株からのrEVの相互作用プロファイルの違いの特徴づけ;及び
2.同じ細胞株由来のrEVの相互作用プロファイルの経時的な特徴づけ(例えば、刺激の添加の前後の時点、シグナル伝達の誘導の前後の時点、及び/又は疾患関連状態(例えば、免疫疲弊)の誘導の前後の時点、又は分化経路若しくはプロファイルの2つ以上の時点)。1つのアプローチでは、rEVは、例えば刺激が加えられた後の選択された時点で収集される。別のアプローチでは、出芽因子が選択された期間中にのみ存在する(例えば、発現される)ように細胞株を改変する。出芽因子の発現は、以下を使用して制御され得る:
(a)小分子(例えば、細胞透過性小分子)、例えばT-REX(商標)システムの添加後に出芽因子の発現を緩和又は抑制する誘導性プロモーター;
(b)タンパク質(例えば、出芽因子)が誘導時に急速に分解される小分子誘導分解システム(例えば、TIR1オーキシン誘導性デグロン(AID)システム);又は
(c)タンパク質(例えば、出芽因子)が分解ドメインを含み、タンパク質が誘導時に分解から保護される、小分子誘導安定化システム(例えば、Shield-1-FKBPシステム)。
【0435】
コンストラクトの統合は、例えばCRISPR-Cas 9又はゲノム工学技術を使用してコンストラクトをセーフハーバー遺伝子座に挿入することによって行うことができる。あるいは、PiggyBacトランスポゾンシステム(SBI)などのランダム積分の方法を使用することができる。
【0436】
実施例8.膜タンパク質関連酵素活性を測定するためのEVの使用
上記の実施例は、EVを使用して、膜の状況で膜タンパク質及び膜結合タンパク質を表示することができることを実証している。これには、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、及びホスファターゼなどの酵素活性を有するタンパク質が含まれる。そのようなタンパク質の活性をEV上で検出及びアッセイすることができ、したがって、組換えタンパク質のために通常設計されたアッセイを使用して、膜中又は膜上の膜タンパク質の酵素効果の生化学的特徴付けを可能にする。
【0437】
1つのアプローチでは、酵素活性を有するタンパク質を含むrEVが膜タンパク質の酵素アッセイに使用される。別のアプローチでは、酵素活性を有するタンパク質を含むrEVは、例えば分子粘着剤の創薬に使用され、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、及びキナーゼは、同じEV上の別の膜タンパク質に動員され得るか、又は特定の膜結合酵素活性を阻害することができる。
【0438】
ペプチダーゼ活性アッセイ
概念実証として、カルボキシペプチダーゼM(CPM)のペプチダーゼ活性を検出し、小胞でアッセイすることができるかどうかを試験した。完全長(FL)又はgD-GPI(gD)CPMのいずれかを小胞で発現させた。
【0439】
ペプチダーゼ活性のアッセイを以下のように行った。このアッセイは、組換えヒトカルボキシペプチダーゼMタンパク質(R&D SYSTEMS(登録商標))の使用のための製造業者によって提供されたプロトコルから修正された。
【0440】
1.EVを希釈した。アッセイ緩衝液200μLを添加し、以下に列挙するように更なる試薬を添加した。
【0441】
2.基質Bz-Ala-Arg-OH(50mMストック溶液)をアッセイ緩衝液(6300μLアッセイ緩衝液中126μL)で1mMに希釈した。
【0442】
3.150μLのEV及び150μLの1mM基質を混合した。150μLの1mM基質のみを含有する対照を調製した。
【0443】
4.反応物を室温で10分間インキュベートした。
【0444】
5.0.1%(v/v)2-メルカプトエタノールを含有する0.2M NaOH中の15mM o-PAを含有する溶液300μLを添加し、よく混合することによって反応を停止させた。(1260μLの2M NaOH+12.6μLのBme+507μLのo-PA+10.8mLの水)
【0445】
6.反応停止後、150μLのEVを対照に添加した。
【0446】
7.全ての試料を室温で10分間インキュベートした。
【0447】
8.195μLのインキュベートした試料をプレートに三連でロードした。
【0448】
9.残りのEV溶液もプレートに添加して、基質バックグラウンドがないことを確認した。
【0449】
10.エンドポイントモードで、それぞれ330nm及び450nmの励起波長及び発光波長で試料を読み取った(トップリード)。
【0450】
アッセイの結果を図27に示す。CPM発現EVに対するロバストなペプチダーゼ活性が検出された(図27)。この活性は、CPMを過剰発現していないEVで観察された活性よりも有意に高かった(pRK EV;ペプチダーゼ活性のバックグラウンドレベルを示すベクター対照)。この活性は、組換えタンパク質を使用して観察されたペプチダーゼ活性と比較して、より容易に検出可能であった。
【0451】
キナーゼ活性アッセイ
キナーゼ活性の徴候を小胞で検出できることも実証された:図28に示すように、EPHA3 EVとEPHA3リガンドEFNA1-Fc及びEFNA5-Fcとの同時発現は、小胞で検出されたEPHA3リン酸化種の量を増強した。EVを溶解し、試料緩衝液に入れ、アクリルアミド勾配ゲル上で泳動させてタンパク質種を分離した。次いで、それらをEPHA3、リン特異性、チューブリン抗体及び一次抗体でブロットし、蛍光タグ付き二次抗体(680及び800nmのLI-COR(登録商標)色素)又は抗ヒト抗体のいずれかで検出して、発現されている様々なタンパク質上のFc領域を検出した。次いで、ブロットをLI-COR(登録商標)装置で画像化した。同じ試料を、上下の画像に対応する2つの異なるゲルに別々にロードした。
【0452】
実施例9.小胞精製のための包括的EV結合剤の使用
今日までのEV精製のゴールドスタンダードは超遠心分離であり、これは長く面倒なプロセスである。特定のEVを精製するためのいくつかの親和性ベースの方法があるが、それらはあまりにも汚れているか、受容体特異的であるか、又はRDIMISスクリーニング及び大量のEVを必要とする他の用途に有用であるにはスケールが小さすぎるように設計されている。
【0453】
実施例4に記載されているように、包括的小胞結合剤が同定されている。これらの包括的小胞結合剤を使用して、馴化培地から直接EVを親和性精製することができる。包括的小胞結合剤は、本明細書に記載の純粋な組換えEVに結合する能力によってランク付けされており(表9)、一般にヒトEVを精製するために使用することができる。1つのアプローチでは、上記の実施例において記載される結合条件がカラムにおいて再現される。1つのアプローチでは、カラムはプロテインA官能化ビーズ(例えば、プロテインAセファロース(登録商標)カラムである)を含む。Fc領域(例えば、ヒトFc領域)を含むように改変された上位の包括的EV結合剤(表9)の1つ以上を含む馴化培地をカラムに流し、カラムを洗浄し、次いでEVを含む馴化培地をカラムに流す。次いで、適切な方法、例えば高塩のような過酷な洗浄及び/又はタンパク質のSIGLECファミリーのシアロ糖鎖のような特定のリガンドを使用してEVを溶出する。必要に応じて、迅速な超遠心分離に基づく浄化を行ってもよい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図26F
図27
図28
【配列表】
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【国際調査報告】