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特表2023-552751分光測定システム、方法、及びアプリケーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】分光測定システム、方法、及びアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/487 20060101AFI20231212BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231212BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20231212BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G01N33/487
A61B5/00 N
G01N21/05
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533313
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021061385
(87)【国際公開番号】W WO2022119910
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/120,025
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ゴームリー ウィリアム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】プリエト パオラ カルヴァッキ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G057
2G059
4C117
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB03
2G045CB30
2G045FA11
2G045FA13
2G045JA01
2G045JA07
2G057AA01
2G057AB02
2G057AB06
2G057AB08
2G057AC01
2G057BA01
2G057BA05
2G057BB06
2G057DA01
2G059AA05
2G059AA06
2G059BB04
2G059BB13
2G059EE01
2G059EE12
2G059FF03
2G059GG02
2G059HH01
2G059JJ06
2G059JJ11
2G059KK01
2G059MM01
2G059PP06
4C117XE04
4C117XE36
4C117XG23
(57)【要約】
細菌がコロニー形成(colonization)したカテーテルシステムや細菌感染したカテーテルシステムから、清潔なカテーテルシステムを検出して区別できる留置カテーテル監視システム。これは、留置カテーテルのドレナージチューブの外側に配置された顕微分光システムを使用して行われ、機械学習アルゴリズムを使用して分析が容易になる。このシステムは、患者のベッドサイドで液体生体サンプル中の細菌とバイオマーカの分析をリアルタイムで活用する機能に基づいており、モバイルで、継続的で、臨床現場で、使い捨てのコスト効率の高いソリューションを提供する。これは、留置カテーテルシステムにおける感染の問題を解決するための実現可能且つ拡張可能なシステムを示す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に配置された分光計を備える生体流体モニタリング装置であって、
前記分光計は、
カテーテルチューブ内のサンプルを照らすための光源と、
前記サンプルから返された光を検出する検出器と、
前記カテーテルチューブ内の前記サンプルに基づいて患者ステータスを提供するステータス信号インジケータと、
前記光源、前記検出器、及び前記ステータス信号インジケータと通信可能であって、前記サンプルから返された前記光に基づいてデータを収集及び処理して前記患者ステータスを判定し、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すコントローラと、
を備え、
前記ハウジングは、前記サンプルが前記カテーテルチューブ内の低い点に蓄積するように、前記低い点に取り付けられるように構成されており、
前記光源と前記検出器は、前記サンプルから前記データを取得するために前記低い点に向けられることを特徴とする生体流体モニタリング装置。
【請求項2】
前記分光計は、更に、電源を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電源は、更に、バッテリを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記カテーテルチューブの一部が前記分光計に隣接するように、前記カテーテルチューブが挿入されるスロットを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記分光計は、更に、前記光源からの前記光を前記サンプル内に集束させるためのコリメータを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コリメータは、レンズを備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記分光計は、更に、前記光源からの前記光を複数の構成波長に分割するモノクロメータを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記モノクロメータは、プリズムを備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記分光計は、更に、前記サンプルに導く特定の波長を選択するための波長セレクタを備え、
前記特定の波長は、識別される細菌株又は細菌産物のうちの少なくとも1つに基づいて選択されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記波長セレクタは、スリットを備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記検出器は、前記サンプルの照明に基づいて前記サンプルから返された前記光の1つ又は複数の波長を記録するフォトセルを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記検出器によって測定される前記サンプルから返される前記光は、吸光度情報を含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記分光計は、更に、前記分光計から情報を送信するための通信モジュールを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記通信モジュールは、無線送信を実行するためのBluetooth(登録商標)デバイス、携帯電話サービスデバイス、又はWiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む無線通信デバイスを備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスは、電子健康記録(Electronic Health Record)又はモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくとも1つを含むコンピューティングプラットフォームへの無線送信を実行することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、携帯電話、スマートフォン、ポケットベル(Pager)、又は電話のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記分光計からの情報は、テキストメッセージ、音声メッセージ、電子メール、又はデータファイルのうちの少なくとも1つとして送信されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、前記患者の身体システムの機能状態を示す1つ又は複数のバイオマーカを識別することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記患者の前記身体システムは、心臓系、呼吸器系、腎臓系、神経系、内分泌系、又は免疫系のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、細菌コロニー数、細菌コロニータイプ、又は細菌感染副産物のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの状況を識別することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ステータスインジケータは、前記患者ステータスの複数の状態のうちの少なくとも1つを示すように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記患者ステータスの状態は、前記サンプル中に細菌若しくは感染がないこと、前記サンプル中に細菌のコロニー形成(colonization)はあるが感染がないこと、又は前記サンプル中に細菌及び感染があることのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ステータスインジケータは、前記ハウジングに結合された少なくとも1つのライトを使用して前記患者ステータスを示すことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記カテーテルチューブの前記低い点は、前記カテーテルチューブの屈曲部を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記ハウジングは曲面を備え、前記カテーテルチューブの前記屈曲部は前記ハウジングの前記曲面に隣接するように位置することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記ハウジングは、更に、前記ハウジングに結合されたロードセルセンサを備え、
前記ロードセルセンサは、前記カテーテルチューブに流体的に結合された生体流体回収容器に結合され、
前記コントローラは前記ロードセルセンサに接続されており、前記コントローラは、
前記ロードセルセンサからデータを取得し、
前記ロードセルセンサから得られたデータに基づいて前記生体流体回収容器の重量変化を計算し、
前記計算された重量変化に基づいて、前記生体流体回収容器への前記サンプルの流量を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項29】
生体流体モニタリングの方法であって、
ハウジング内に配置された分光計を提供することを含み、
前記分光計は、
カテーテルチューブ内のサンプルを照らすための光源と、
前記サンプルから返された光を検出する検出器と、
前記カテーテルチューブ内の前記サンプルに基づいて患者ステータスを提供するステータス信号インジケータと、
前記光源、前記検出器、及び前記ステータス信号インジケータと通信可能に構成されたコントローラと、
を備え、
前記方法は、
前記コントローラを使用して、前記サンプルから返された前記光に基づいてデータを収集及び処理し、
前記コントローラを使用して、前記データの収集と処理に基づいて、前記患者ステータスを判断し、
前記コントローラを使用して、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示す
ことを含み、
前記ハウジングは、前記サンプルが前記カテーテルチューブ内の低い点に蓄積するように、前記低い点に取り付けられるように構成されており、
前記光源と前記検出器は、前記サンプルから前記データを取得するために前記低い点に向けられることを特徴とする方法。
【請求項30】
前記分光計は、更に、電源を備えることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記電源は、更に、バッテリを備えることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ハウジングは、前記カテーテルチューブの一部が前記分光計に隣接するように、前記カテーテルチューブが挿入されるスロットを備えることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記分光計は、更に、コリメータを備え、
前記方法は、更に、前記コリメータを使用して、前記光源からの光を前記サンプル内に集束させることを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記コリメータは、レンズを備えることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記分光計は、更に、モノクロメータを備え、
前記方法は、更に、前記モノクロメータを使用して、前記光源からの前記光を複数の構成波長に分割することを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記モノクロメータは、プリズムを備えることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記分光計は、更に、波長セレクタを備え、
前記方法は、更に、前記波長セレクタを使用して、前記サンプルに導く特定の波長を選択することを含み、
前記特定の波長は、識別される細菌株又は細菌産物のうちの少なくとも1つに基づいて選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記波長セレクタは、スリットを備えることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検出器は、更に、フォトセルを備え、
前記方法は、更に、前記フォトセルを使用して、前記サンプルの照明に基づいて前記サンプルから返された前記光の1つ又は複数の波長を記録することを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記検出器によって測定される前記サンプルから返される前記光は、吸光度情報を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記分光計は、更に、通信モジュールを備え、
前記方法は、更に、前記通信モジュールを使って、前記分光計から情報を送信することを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記通信モジュールは、無線送信を実行するためのBluetooth(登録商標)デバイス、携帯電話サービスデバイス、又はWiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む無線通信デバイスを備え、
前記通信モジュールを使って、前記分光計から情報を送信することは、更に、
前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスを使用して、前記分光計から無線で情報を送信する
ことを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスは、電子健康記録(Electronic Health Record)又はモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくとも1つを含むコンピューティングプラットフォームへの無線送信を実行することを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、携帯電話、スマートフォン、ポケットベル(Pager)、又は電話のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記分光計からの情報は、テキストメッセージ、音声メッセージ、電子メール、又はデータファイルのうちの少なくとも1つとして送信されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記患者ステータスを判断することは、更に、
前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断する
ことを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項47】
前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することは、更に、
前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して、患者の身体システムの機能状態を示す1つ又は複数のバイオマーカを識別する
ことを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記患者の前記身体システムは、心臓系、呼吸器系、腎臓系、神経系、内分泌系、又は免疫系のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、細菌コロニー数、細菌コロニータイプ、又は細菌感染副産物のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの状況を識別する
ことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することは、更に、
前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて、前記患者ステータスを判断する
ことを含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すことは、更に、
前記患者ステータスの複数の状態のうちの少なくとも1つを示す
ことを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項52】
前記患者ステータスの状態は、前記サンプル中に細菌若しくは感染がないこと、前記サンプル中に細菌のコロニー形成(colonization)はあるが感染がないこと、又は前記サンプル中に細菌及び感染があることのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すことは、更に、
前記ハウジングに結合された少なくとも1つのライトを使用して前記患者ステータスを示す
ことを含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記カテーテルチューブの前記低い点は、前記カテーテルチューブの屈曲部を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項55】
前記ハウジングは曲面を備え、前記カテーテルチューブの前記屈曲部は前記ハウジングの前記曲面に隣接するように位置することを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ハウジングは、更に、前記ハウジングに結合されたロードセルセンサを備え、
前記ロードセルセンサは、前記カテーテルチューブに流体的に結合された生体流体回収容器に結合され、
前記方法は、更に、
前記ロードセルセンサからデータを取得し、
前記ロードセルセンサからのデータの取得に基づいて前記生体流体回収容器の重量変化を計算し、
前記重量変化の計算に基づいて、前記生体流体回収容器への前記サンプルの流量を決定する
ことを含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年12月1日に出願された、米国仮特許出願第63/120,025の利益を主張し、その開示とそこで参照されている文献は、参照によりここに援用される。
【0002】
<連邦政府の支援による研究に関する言明>
該当なし。
【背景技術】
【0003】
医療従事者による感染は大きな問題である。これらには、病院や医療施設の両方での感染だけでなく、患者が自分で医療関連手順を管理することに関連した家庭環境での感染も含まれる。米国だけでも院内感染(Hospital Acquired Infections(HAI))の有病率は、年間170万件と測定されており、人的被害は9万9千人に相当する。米国における経済的損害は年間450億ドル近くに達すると測定されている。従って、これらの感染症がアメリカの医療システムに深刻な人的及び経済的コストをもたらしていることは明らかである。患者による在宅医療手順(Patient Delivered, Home Medical Care Procedures)に関連する感染症に関連する人的及び経済的コストは、あまり定量化されていなが、総額も数十億ドルに達すると推定されている。もちろん、これは米国に限定された問題ではなく、先進国及び発展途上国全体で見られる。
【0004】
HAIの例としては、最も一般的かつ最も重篤な形態の1つであるカテーテル関連尿路感染症(Catheter Associated Urinary Tract Infections(CAUTI))がある。これらは、年間250万人を超える患者が罹患する全HAIの約32%を占め、罹患率は高く、死亡率は年間約13,000人に達する。これらの感染症では、1件あたり13,731ドルの追加コストがかかると推定されている。カテーテル関連の尿路感染症に対する米国の医療システムのコストは、合計すると年間77億ドルに達する。これを考慮すると、このCAUTIに伴う経済的及び人的コストが多大であることは明らかである。
【0005】
患者による在宅医療手順に関連する感染症としては、末期腎疾患(End Stage Renal Disease(ESRD))の管理のために腹膜透析を利用している患者に関連する感染症が挙げられる。腹膜透析は、腹腔の内層である腹膜を自然の濾過装置として使用する方法である。これには、腹膜カテーテルを留置し、透析液と呼ばれる洗浄液の毎日の交換をサイクルで実行して、機能不全の腎臓では実行できない体液管理と毒素除去の目標を達成する必要がある。腹膜透析は、モダリティの切り替えや移植率の違いとは無関係に、透析療法の最初の2年間で血液透析よりも死亡率が48%低い事に関連があるようであり、ESRD患者にとっては血液透析よりも好ましい解決策であると広く考えられている。この事実にもかかわらず、腹膜透析を使用している患者には腹膜炎として知られる腹部感染症が生じるリスクがあるため、血液透析は依然としてESRDの管理における主要な手段である。PD(Peritoneal Dialysis、腹膜透析)関連腹膜炎は、PD患者の15%を超える直接的又は主要な死因となっている。
【0006】
これらの例と、体腔に留置カテーテルが設置されている他の例の両方において、これらの感染による人的及び経済的コストを回避するには、感染のモニタリングと早期発見の必要性が非常に重要である。
【0007】
HAIの特定に加えて、生体内及び継続的な分析を目的とした、既存の患者留置カテーテルを介した生体サンプルへのアクセスは、尿、腹膜液、創傷排液、腸内容物などを含むがこれらに限定されない、あらゆる人の体液中に存在するバイオマーカの同定に、病気の早期発見と治療指導にとっての大きな価値をもたらす。
【発明の概要】
【0008】
従って、HAI、特にCAUTI、及び患者による在宅医療手順に関連する感染症を監視する必要がある。
【0009】
開示される発明の様々な実施形態は、連続的、リアルタイム、カテーテル上、患者上、細菌コロニー形成(colonization)及び細菌感染産物の検出のための方法、装置、及びシステムを提供し、拡張する。この説明では、我々は、感染症、及び、心臓、腎臓、呼吸器、神経系、内分泌系、免疫系を含む複数の人間のシステムの機能状態に関連するバイオマーカの同定に関連する、患者の液体生体サンプルシステムの状態について、継続的なスクリーニング、検出、及び臨床従事者への警告を行うためのリアルタイムシステムを実証する。
【0010】
本発明は、1つ又は複数の目的の化合物の存在についてサンプルをスクリーニングする方法に関する。この方法では、NIR分光計を使用して流体を分析する。更に、液体やその他のバイオ製品内の様々な種類の細菌を分類及び識別するために、異なる機械学習アルゴリズムが作成された。
【0011】
本実施形態は、特定の装置設計を使用することにより、液体生体サンプルの流れを中断することなく連続的に液体生体サンプルをスクリーニングするためのシステムを含み、これによって、外部ブロッカーを適用せずに液体生体サンプルの流れを中断することなく、液体生体サンプルを試験に十分な時間流れなくすることができる。
【0012】
様々な実施形態において、生体流体モニタリング装置が提供されてもよい。前記装置は、ハウジング内に配置された分光計を備えてもよく、前記分光計は、カテーテルチューブ内のサンプルを照らすための光源と、前記サンプルから返された光を検出する検出器と、前記カテーテルチューブ内の前記サンプルに基づいて患者ステータスを提供するステータス信号インジケータと、前記光源、前記検出器、及び前記ステータス信号インジケータと通信可能であって、前記サンプルから返された前記光に基づいてデータを収集及び処理して前記患者ステータスを判定し、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すコントローラと、を備え、前記ハウジングは、前記サンプルが前記カテーテルチューブ内の低い点に蓄積するように、前記低い点に取り付けられるように構成されており、前記光源と前記検出器は、前記サンプルから前記データを取得するために前記低い点に向けられる。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記分光計は、更に、電源を備えてもよい。ある実施形態において、前記電源は、更に、バッテリを備えてもよい。
【0014】
様々な実施形態において、前記ハウジングは、前記カテーテルチューブの一部が前記分光計に隣接するように、前記カテーテルチューブが挿入されるスロットを備えてもよい。
【0015】
特定の実施形態において、前記分光計は、更に、前記光源からの前記光を前記サンプル内に集束させるためのコリメータを備えてもよい。幾つかの実施形態において、前記コリメータは、レンズを備えてもよい。
【0016】
ある実施形態において、前記分光計は、更に、前記光源からの前記光を複数の構成波長に分割するモノクロメータを備えてもよい。様々な実施形態において、前記モノクロメータは、プリズムを備えてもよい。特定の実施形態において、前記分光計は、更に、前記サンプルに導く特定の波長を選択するための波長セレクタを備えてもよく、前記特定の波長は、識別される細菌株又は細菌産物のうちの少なくとも1つに基づいて選択されてもよい。幾つかの実施形態において、前記波長セレクタは、スリットを備えてもよい。
【0017】
様々な実施形態において、前記検出器は、前記サンプルの照明に基づいて前記サンプルから返された前記光の1つ又は複数の波長を記録するフォトセルを備えてもよい。幾つかの実施形態において、前記検出器によって測定される前記サンプルから返される前記光は、吸光度情報を含んでもよい。
【0018】
ある実施形態において、前記分光計は、更に、前記分光計から情報を送信するための通信モジュールを備えてもよい。幾つかの実施形態において、前記通信モジュールは、無線送信を実行するためのBluetooth(登録商標)デバイス、携帯電話サービスデバイス、又はWiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む無線通信デバイスを備えてもよい。様々な実施形態において、前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスは、電子健康記録(Electronic Health Record)又はモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくとも1つを含むコンピューティングプラットフォームへの無線送信を実行してもよい。特定の実施形態において、前記モバイルコンピューティングデバイスは、携帯電話、スマートフォン、ポケットベル(Pager)、又は電話のうちの少なくとも1つを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記分光計からの情報は、テキストメッセージ、音声メッセージ、電子メール、又はデータファイルのうちの少なくとも1つとして送信されてもよい。
【0019】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。幾つかの実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、前記患者の身体システムの機能状態を示す1つ又は複数のバイオマーカを識別してもよい。様々な実施形態において、前記患者の前記身体システムは、心臓系、呼吸器系、腎臓系、神経系、内分泌系、又は免疫系のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、細菌コロニー数、細菌コロニータイプ、又は細菌感染副産物のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの状況を識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0020】
様々な実施形態において、前記ステータスインジケータは、前記患者ステータスの複数の状態のうちの少なくとも1つを示すように構成されてもよい。ある実施形態において、前記患者ステータスの状態は、前記サンプル中に細菌若しくは感染がないこと、前記サンプル中に細菌のコロニー形成(colonization)はあるが感染がないこと、又はサンプル中に細菌及び感染があることのうちの少なくとも1つを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記ステータスインジケータは、前記ハウジングに結合された少なくとも1つのライトを使用して前記患者ステータスを示してもよい。
【0021】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の心臓系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0022】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の呼吸器系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0023】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の腎系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0024】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の神経系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0025】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の内分泌系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0026】
特定の実施形態において、前記コントローラは、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断してもよい。ある実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、患者の免疫系の機能状態に関連するバイオマーカを識別してもよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスは、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて判断されてもよい。
【0027】
特定の実施形態において、前記カテーテルチューブの前記低い点は、前記カテーテルチューブの屈曲部を含んでもよい。様々な実施形態において、前記ハウジングは曲面を備え、前記カテーテルチューブの前記屈曲部は前記ハウジングの前記曲面に隣接するように位置してもよい。
【0028】
幾つかの実施形態において、前記装置は、更に、前記ハウジングに結合されたロードセルセンサを備えてもよく、前記ロードセルセンサは、前記カテーテルチューブに流体的に結合された生体流体回収容器に結合されてもよい。前記コントローラはロードセルセンサに接続されてよく、前記コントローラは、前記ロードセルセンサからデータを取得し、前記ロードセルセンサから得られたデータに基づいて前記生体流体回収容器の重量変化を計算し、前記計算された重量変化に基づいて、前記生体流体回収容器への前記サンプルの流量を決定してよい。
【0029】
様々な実施形態において、生体流体モニタリングの方法が提供されてもよい。前記方法は、ハウジング内に配置された分光計を提供することを含んでよく、前記分光計は、カテーテルチューブ内のサンプルを照らすための光源と、前記サンプルから返された光を検出する検出器と、前記カテーテルチューブ内の前記サンプルに基づいて患者ステータスを提供するステータス信号インジケータと、前記光源、前記検出器、及び前記ステータス信号インジケータと通信可能に構成されたコントローラと、を備えてよく、前記方法は、更に、前記コントローラを使用して、前記サンプルから返された前記光に基づいてデータを収集及び処理し、前記コントローラを使用して、前記データの収集と処理に基づいて、患者ステータスを判断し、前記コントローラを使用して、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すことを含んでもよく、前記ハウジングは、前記サンプルが前記カテーテルチューブ内の低い点に蓄積するように、前記低い点に取り付けられるように構成されてもよく、前記光源と前記検出器は、前記サンプルから前記データを取得するために前記低い点に向けられてもよい。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記分光計は、更に、電源を備えてもよい。ある実施形態において、前記電源は、更に、バッテリを備えてもよい。
【0031】
ある実施形態において、前記ハウジングは、前記カテーテルチューブの一部が前記分光計に隣接するように、前記カテーテルチューブが挿入されてもよいスロットを備えてもよい。
【0032】
特定の実施形態において、前記分光計は、更に、コリメータを備えてもよく、前記方法は、更に、前記コリメータを使用して、前記光源からの光を前記サンプル内に集束させることを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記コリメータは、レンズを備えてもよい。
【0033】
様々な実施形態において、前記分光計は、更に、モノクロメータを備えてもよく、前記方法は、更に、前記モノクロメータを使用して、前記光源からの前記光を複数の構成波長に分割することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記モノクロメータは、プリズムを備えてもよい。ある実施形態において前記分光計は、更に、波長セレクタを備えてもよく、前記方法は、更に、前記波長セレクタを使用して、前記サンプルに導く特定の波長を選択することを含んでもよく、前記特定の波長は、識別される細菌株又は細菌産物のうちの少なくとも1つに基づいて選択されてもよい。幾つかの実施形態において、前記波長セレクタは、スリットを備えてもよい。
【0034】
特定の実施形態において、前記検出器は、更に、フォトセルを備えてもよく、前記方法は、更に、前記フォトセルを使用して、前記サンプルの照明に基づいて前記サンプルから返された前記光の1つ又は複数の波長を記録することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記検出器によって測定される前記サンプルから返される前記光は、吸光度情報を含んでもよい。
【0035】
ある実施形態において、前記分光計は、更に、通信モジュールを備えてもよく、前記方法は、更に、前記通信モジュールを使って、前記分光計から情報を送信することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記通信モジュールは、無線送信を実行するためのBluetooth(登録商標)デバイス、携帯電話サービスデバイス、又はWiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む無線通信デバイスを備えてもよく、前記通信モジュールを使って、前記分光計から情報を送信することは、更に、前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスを使用して、前記分光計から無線で情報を送信することを含んでもよい。様々な実施形態において、前記Bluetooth(登録商標)デバイス、前記携帯電話サービスデバイス、又は前記WiFi(登録商標)デバイスのうちの少なくとも1つを含む前記無線通信デバイスは、電子健康記録(Electronic Health Record)又はモバイルコンピューティングデバイスのうちの少なくとも1つを含むコンピューティングプラットフォームへの無線送信を実行してもよい。特定の実施形態において、前記モバイルコンピューティングデバイスは、携帯電話、スマートフォン、ポケットベル(Pager)、又は電話のうちの少なくとも1つを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記分光計からの情報は、テキストメッセージ、音声メッセージ、電子メール、又はデータファイルのうちの少なくとも1つとして送信されてもよい。
【0036】
幾つかの実施形態において、前記患者ステータスを判断することは、更に、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することを含んでもよい。ある実施形態において、前記装置用に特別に訓練された1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することは、更に、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して、前記患者の身体システムの機能状態を示す1つ又は複数のバイオマーカを識別することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、前記患者の前記身体システムは、心臓系、呼吸器系、腎臓系、神経系、内分泌系、又は免疫系のうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムは、細菌コロニー数、細菌コロニータイプ、又は細菌感染副産物のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つの状況を識別してもよい。特定の実施形態において、前記1つ又は複数の機械学習アルゴリズムを使用して前記患者ステータスを判断することは、更に、前記識別された少なくとも1つの状況に基づいて、前記患者ステータスを判断することを含んでもよい。
【0037】
ある実施形態において、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すことは、更に、前記患者ステータスの複数の状態のうちの少なくとも1つを示すことを含んでよい。幾つかの実施形態において、前記患者ステータスの状態は、前記サンプル中に細菌若しくは感染がないこと、前記サンプル中に細菌のコロニー形成(colonization)はあるが感染がないこと、又はサンプル中に細菌及び感染があることのうちの少なくとも1つを含んでよい。特定の実施形態において、前記ステータスインジケータを使用して前記患者ステータスを示すことは、更に、前記ハウジングに結合された少なくとも1つのライトを使用して前記患者ステータスを示すことを含んでよい。
【0038】
幾つかの実施形態において、前記カテーテルチューブの前記低い点は、前記カテーテルチューブの屈曲部を含んでもよい。ある実施形態において、前記ハウジングは曲面を備え、前記カテーテルチューブの前記屈曲部は前記ハウジングの前記曲面に隣接するように位置してもよい。
【0039】
様々な実施形態において、この装置は、留置カテーテルを通過する生体流体の近似流量を計算し、これによって、任意の時点で患者から出る生体流体の量の実際の測定値を計算してもよい。ある実施形態において、流量は、生体流体リポジトリ(例えば、生体流体収集バッグ)内の重量の経時変化の測定を使用して計算されてもよい。特定の実施形態において、流量は、重量変化の測定値として連続的に計算されてもよく、装置の1つ又は複数の通信機構を使用してユーザに報告されてもよい。様々な実施形態において、計算された流量は、δ重量/δ時間の式に基づいて算出されてもよい。幾つかの実施形態において、アルゴリズムは、このデータを利用して、経時的な体積の計算を計算し、経時的な流量の近似値を算出してもよい。このデータは、デバイスの1つ又は複数の通信機構を介してユーザに継続的に報告されてもよい。
【0040】
従って、幾つかの実施形態では、ハウジングは、それに結合されたロードセルセンサを含んでもよく、ロードセルセンサは、カテーテルチューブに流体的に結合された生体流体回収容器に結合されてもよく、前記方法は、更に、ロードセルセンサからデータを取得し、ロードセルセンサからのデータの取得に基づいて生体流体回収容器の重量変化を計算し、重量変化の計算に基づいて、生体流体回収容器へのサンプルの流量を決定することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、ブロックの有無にかかわらず、オンカテーテル(on-catheter)装置の設計を示す。これは、デバイスとそのハウジング構造の設計により、カテーテルブロックデバイスの有無にかかわらず、液体生体サンプルのカラムの連続読み取りを実行できるようにカテーテルをどのように成形できるかを示す。
図2図2は、オンカテーテル装置の設計を拡大側面図で示している。これは、デバイス上の分光計がカテーテル及びその内部の液体生体サンプルの流れとどのように相互作用するかを示す。
図3A-B】図3A及び図3Bは、カテーテルマウントを備えた顕微分光計を含む別のオンカテーテル設計の詳細図を示す。
図3C図3Cは、カテーテルマウントを備えた顕微分光計を含む別のオンカテーテル設計の詳細図を示す。
図4図4は、組み込まれた尿分光分析スクリーニング、検出及び警告装置(センサC)を含む、尿道カテーテルが患者の自然な位置にある臨床設定全体を示す。これは、連続的なリアルタイムのオンカテーテル測定をどのように実行できるかについての方法の実施形態を示す。
図5図5は、構成要素に分解されている、オンカテーテル装置の図を示す。構成要素は、電源、顕微分光計、光源、コリメータ(レンズ)、モノクロメータ(プリズム)、波長セレクタ(スリット)、患者の液体生体サンプル、検出器(フォトセル)、コンピューティングプラットフォームへ(例えば、臨床医が結果を確認できる電子健康記録(Electronic Health Record)又はモバイルコンピューティングデバイスへ)送信するためのBluetooth(登録商標)デバイスプラットフォーム、及びオンデバイス信号を含み、臨床医が患者の環境から離れずに結果を視覚化できる。
図6図6は、どのように、デバイスの放射光のスペクトルが機械学習アルゴリズムによる分析のために計算プラットフォームに送信され、サンプル内で特定可能な、1)細菌コロニー数、2)細菌コロニーの種類、3)細菌感染副産物を含むサンプルの分子シグナルを返すかを示す。
図7図7は、本発明のある実施形態による臨床インターフェースを示す。
図8図8は、本発明のある実施形態による分光分析ワークフローを示す。
図9図9は、740nm~1100nmの波長範囲において微小NIR分光計で走査された大腸菌の吸光度スペクトルプロットを反映する生のデータと処理されたデータを示し、x軸は波長(nm)であり、y軸は吸光度(0.0から1.0に正規化)である。
図10図10は、図9で得られたデータの3次元主成分分析を示す。
図11A図11A及び11Bは、開発された分類モデル及び回帰モデルの両方のモデルタイプの結果を示す。モデルタイプは、1)ランダムフォレスト(Random Forest)、2)エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting)、3)線形モデルを近似して、データセット内で観測されたターゲットと線形近似によって予測されたターゲットの間の残差二乗和を最小化する、線形回帰(Linear Regression)、4)ラッソとリッジ回帰の組み合わせであるエラスティックネット(Elastic Net)、及び、5)ペナルティ付き最尤法を介して一般化線形モデルを近似する、ラッソ及びエラスティックネットの正規化された一般化線形モデルである。正則化パスは、正則化パラメーターラムダの値のグリッドでラッソ又はエラスティックネットワークペナルティに対して計算される。Rは決定係数とも呼ばれ、回帰スコア関数である。考えられる最良のRスコアは1.0であるが、マイナスになる場合もある。入力特徴を無視してyの期待値を常に予測する定数モデルのRスコアは0.0になる。RMSEは、モデルによって予測された値と観測された値の間の差異を測定する。MAEは、ターゲット変数と予測変数間の絶対差の合計であり、方向を考慮せずに、一連の予測における誤差の平均の大きさを測定する。図11Aは、5つの分類モデル、1)ロジスティック回帰(Logistic Regression(LR))、2)ランダムフォレスト(Random Forest(RF))、3)勾配ブースティング・マシン(Gradient Boosting Machine(GBM))、4)サポートベクターマシン(Support Vector Machine(SVM))、及び、5)エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting(XGB))の、二分法分析を含む分類モデル(メジアンROCスコア)を示す。
図11B図11Bは、1番及び2番目に優れたパフォーマンスのモデル、つまり、1)ランダムフォレスト(RF)、2)エクストリーム・グラディエント・ブースティング(XGB)のML回帰結果を示す。
図12図12は、細菌の不在(濃度10)又は存在(濃度10~10)として波形を分類するために訓練された様々な方法の受信者動作曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Curve(AUROC))特性の主成分分析を示す。図11A図11B図12、及び図13は、細菌種大腸菌に特有のデータを示しているが、それでも装置は複数の別個の細菌種を同定できることに留意されたい。これは、各細菌種が、検出に利用されるアルゴリズムによって識別できる特定の分光測定特徴を有する結果である。言い換えれば、この方法は異なる細菌種を区別することができる。
図13図13は、細菌(この例では大腸菌)についての、選択したすべてのメトリクスの非存在結果(濃度10)又は存在(濃度10~10)の場合についての、テストされた様々なアルゴリズムの中で最も正確なサポートベクターマシン(SVM)分析の結果を示す。
図14図14は、液体生体サンプル中の2つのバイオマーカに関する主成分分析AUROCを示す(硝酸塩(バイオマーカ1)及び白血球エステラーゼ(LE、バイオマーカ2))。グラフは、液体生体サンプル中の硝酸塩又はLEの不在又は存在として、細菌の不在(濃度10)又は存在(濃度10~10)として波形を分類するために訓練された様々な方法の受信者動作曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Curve(AUROC))を示し、以下の略語を使用する:LR、ロジスティック回帰(Logistic Regression);RF、ランダムフォレスト(Random Forest);GBM、勾配ブースティング・マシン(Gradient Boosting Machine);SVM、サポートベクターマシン(Support Vector Machine);XGB、エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting)。
図15図15は、液体生体サンプル中の2つのバイオマーカ(硝酸塩(バイオマーカ1)及び白血球エステラーゼ(LE、バイオマーカ2))についてのサポートベクターマシン(SVM)分析を示す。最もパフォーマンスの高い方法であるサポートベクターマシンの主成分分析パフォーマンスメトリクスが示されている。略語は以下の通りである。AUROC、受信者動作曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Curve);Sens、感度(Sensitivity);Spec、特異度(Specificity);F、F値(F-Score)。
図16図16は、生体流体が流動している最中において、カテーテルバッグ内の重量変化を時間の関数として測定することによって計算される流量の決定を示す。
図17図17は、開示された主題の幾つかの実施形態による、生体流体のモニタリング及び分析のためのシステムの一例を示す。
図18図18は、開示された主題の幾つかの実施形態によるコンピューティングデバイス及びサーバを実装するために使用できるハードウェアの例を示す。
図19図19は、開示された主題の幾つかの実施形態による生体流体モニタリングのプロセスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
医療の提供は、医療処置に一貫性がないことが多く、ケアの提供に必要な複雑さと注意のレベルに大きく依存しているという事実によって、複雑になっている。多くの場合、より複雑なタスクが、単純なタスクよりもはるかに高いレベルの効率で実行されることが判明するのは、やや驚くべきことである。これは、複雑なタスクはいわゆる認知過覚醒状態の一部であるのに対し、単純なタスクは不注意状態に追いやられるという事実の結果である。これが、医療機関が移植手術などの複雑なタスクに対処する際に高いレベルで成果を上げている一方で、投薬ミスや院内感染(Hospital Acquired Infections(HAI))の回避などの単純な失敗の排除に関しては非常に低い成果となっている理由の1つである。
【0043】
上で述べたように、院内感染は現代の医療における大きな問題である。これらのHAIの有病率は、米国だけでも年間170万人が感染し、人的被害は99,000人に相当すると測定されている。米国における経済的損害は年間450億ドル近くに達すると測定されている。従って、これらの感染症がアメリカの医療システムに深刻な人的及び経済的コストをもたらしていることは明らかである。もちろん、これは米国に限定された問題ではなく、先進国及び発展途上国全体で見られる。
【0044】
カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)は、HAIの最も一般的な形態の1つである。これらは、年間250万人を超える患者が罹患する全HAIの約32%を占め、罹患率は高く、死亡率は年間約13,000人に達する。これらの感染症では、1件あたり13,731ドルの追加コストがかかると推定されている。カテーテル関連の尿路感染症に対する米国の医療システムのコストは、合計すると年間77億ドルに達する。これを考慮すると、このCAUTIに伴う経済的及び人的コストが多大であることは明らかである。
【0045】
HAI、特にCAUTIの一見単純な問題を解決できない理由は、人的要因と技術的要因の両方にある。人的要因には、医学に広く普及している幾つかのヒューリスティックが含まれており、最も重要なものは「現状維持バイアス」である。我々は、これらの感染症はスタンダードの一部であると信じており、医療行為に伴う合併症を認識している。言い換えれば、我々は、これは「ビジネスを行うためのコスト」であり、従って、変更できないものであると考えている。技術的な問題は、これまで、カテーテルに関連する潜在的な感染症を監視するための、シンプルで効果的な、リアルタイム且つ継続的なシステムが存在しなかったことである。この人的要因と技術的欠陥の組み合わせにより、我々は、この真に重大な問題に対する真の解決策を誰も模索できない状況に陥っている。
【0046】
この問題を解決するには、人的課題と技術的課題を克服するものが必要であることは明らかである。現状では、CAUTIに対するリアルタイム・モニタリング・ソリューションはどれも非現実的であり、実装不可能である。なぜなら、それにはあまりにも多くの手順、あまりにも多くの人員、そして時間がかかりすぎて、最終的にはマイナスの結果を防ぐことができる実用的なデータを提供できないからである。言い換えれば、現在のソリューションはどれも、患者や医療提供者に利益をもたらすことなく、臨床システムに過大な認知負荷と操作負荷を課すことになる。この事実により、既存のツールを利用したソリューションを現実的に実装する可能性は非常に低くなる。
【0047】
同様に、このプロセスへの患者の積極的な参加に依存する、患者が搬送する在宅医療処置に関連するすべての感染症のモニタリング・ソリューションを作成することは不可能であろう。この状況では、患者に必要となるカテーテルや生体サンプルの操作は、感染のリスクを軽減するどころかむしろ増加させる可能性がある。
【0048】
この重大な健康問題を解決するために必要なのは、モバイル、継続的、ポイントオブケア、使い捨て、費用対効果の高いソリューションを実現するイノベーションであることは明らかである。求められているのは、意思決定支援と治療変更のための継続的なスクリーニングと診断を提供する非侵襲的なモニタである。このアプリケーションで説明されているソリューションは、患者のベッドサイドで液体生体サンプル中の細菌とバイオマーカをリアルタイムで分析することによってこれを可能にする。我々はこれを事実上追加の臨床作業負荷なしで実現し、ガイドラインに基づいた意思決定サポートを備えたリアルタイムの実用的なデータを提供することでテクノロジーの導入を改善する。このソリューションは事実上、医療チームから切望されていた認知及び運用帯域(Cognitive and Operational Bandwidth)を解放する。我々は、細菌を継続的にモニタし、特定の菌株とその濃度を特定し、活動性感染に関連するバイオマーカを特定し、これらの結果を明確なデータ主導型の意思決定サポートに変換することで、これを実現する。様々な実施形態において、特定の身体系(例えば、心臓、呼吸器、腎臓、神経系、内分泌系、又は免疫系のうちの1つ又は複数)の機能状態に関連する1つ又は複数のバイオマーカが特定されてもよく、患者ステータスがこれらのバイオマーカに基づいて判定されてもよい。幾つかの実施形態において、機械学習システムは、ユーザ(例えば臨床医)による患者ステータスの評価を支援するために、患者の1つ又は複数の身体システムの機能状態に関連するこれら及び他のバイオマーカを識別するように訓練されてもよい。(例えば、機械学習アルゴリズムを使用して)識別されたバイオマーカは、ユーザが患者の少なくとも1つの状態(例えば、患者の1つ又は複数の身体系についての状態)を識別するのを支援してもよく、患者ステータスは、識別された少なくとも1つの条件に基づいて決定されてもよい。
【0049】
従って、一実施形態では、本発明は、医療用チューブ(例えば、尿道カテーテル又は腹膜透析カテーテル)の排出チューブに取り付けられ、チューブ内の流体の流れを妨げることなく、連続的に測定値(IRでの吸光度の測定など)を取得する分光計を含む装置を含む。分光計からのデータは、細菌(大腸菌など)、白血球エステラーゼ(LE)、硝酸塩など、患者の液体生体サンプル中の1つ又は複数の物質を特定するために分析される。データは、波長の関数としての吸光度に関する情報を含んでもよく、主成分分析又は様々なAI分類モデルを使用して分析できる。
【0050】
1930年代に留置ドレナージカテーテルの開発と現代的な使用が始まって以来、これらのカテーテルの管理の性質に実質的な変化は見られなかった。従って、この技術を進歩させるために、本明細書に開示されるシステム及び方法は、非侵襲的分光分析技術に基づく新しいセンサを適用し、これを人工知能データ分析と組み合わせて、継続的な感染監視のための画期的な開発を提供する。サンプル自体と相互作用したり直接操作したりすることなく、液体生体サンプルなどの生体流体サンプル中の細菌の存在を検出できるこの能力は、現代の医療において非常に価値がある。このような能力により、現在患者を治療している臨床医のワークフローを変更したり追加したりすることなく、検体の継続的なサンプリングが可能になる。この受動的サンプリング方法のワークフローへの連続サンプリングの組み込みを考慮すると、尿道カテーテルなどの留置カテーテルにおける初期感染について患者が継続的にスクリーニングを受けることを保証できる。細菌のコロニー形成(colonization)と初期の細菌感染を検出するこの能力は、現在進行した感染症の存在後にのみ確認されている多くの感染症を排除するため、安全なケアの提供に大きく影響する。
【0051】
本明細書では、臨床現場で使用できる連続リアルタイムのカテーテル上の患者用装置の実施形態を開示する。開示されたオンカテーテル設計の実施形態は、臨床医及び介護者と直接通信し対話する機能を含む。
【0052】
以下のワークフロー及びハードウェア要素は、1つ又は複数の既知の生物生成物及び微生物の存在についての生体流体の連続的なオンカテーテルスクリーニングの様々な実施形態を実行するために使用されてもよい。
【0053】
システムのワークフローと実装
【0054】
様々な実施形態において、このシステムは、外部ドレナージを備えた既存又は新たに配置された留置患者用カテーテルのドレナージチューブに配置できる分光測定装置を含む。これは、以下の要素を含めることによって実現される(図1~4を参照)。
a.ゴム、シリコン、ラテックス、ポリ塩化ビニル(PVC)などのドレナージカテーテルに使用される一般的な材料で作られた標準的なドレナージカテーテルチューブの使用。これは、顕微分光計が機能する赤外スペクトルがこれらの材料の特性の影響を受けないためである。
b.図1~3に見られるように、そのハウジング/取り付け金具の内側の顕微分光計はドレナージカテーテルチューブの外側にクランプされている。
c.これは、カテーテル内に曲部を作成し、液体生体サンプルの自由な流れに対して2つの障害又はブロックを作成する方法で実現される。障害又はブロックは、曲部における点に作成された角部のそれぞれに位置する。
d.これらの障害やブロックがあると、チューブ全体が空気のない液体生体サンプルで満たされた、停滞している液体生体サンプルカラムの領域が作成され、流体は引き続きチューブ内を移動できるが、障害物やブロックがあるため、光学的測定を行うのに十分な量の流体が1つの場所に蓄積される。
e.この取り付けは、顕微分光計のサンプリング窓が、この形成された液体生体サンプルの停滞領域に正確に向けられるように構築されている。
f.生体サンプルは、顕微分光計でサンプルを照射することによって分析できる。この分析は、臨床的に関連すると考えられる任意の頻度で実行できる。顕微分光計が液体生体サンプルからデータを取得するのに必要な時間は1秒未満である。
【0055】
既存のカテーテルシステムを変更する必要はない。特に、非常に重要なことであるが、生体流体がデバイス試験システムの要素と接触する必要がないため、既存のカテーテルシステムへの侵入や侵害は行われない。分光分析システムは、その光の特性を利用して既存の排水システムのチューブを貫通し、チューブに含まれる生体流体を連続的に分析する。
【0056】
オンカテーテル装置
【0057】
図1及び図3に見られるように、オンカテーテル装置は、カテーテルシステムのチューブ内のサンプルの連続的な分光分析の実行を可能にしながら、システムを通る生体液の自由な流れを保証するように、ドレナージカテーテルシステムの外側にクランプされるハウジング内に封入されてもよい。
【0058】
(分光測定データセットを取得するために使用される一時的な非流動生体試料サンプルを作成する目的で、生体試料の流れに対するブロックを使用せずに分析が達成されうる)様々な実施形態において、分析は、ドレナージカテーテルチューブの自然な曲げ特性を利用して、重力によって、例えばチューブ内の低い点で流体サンプルを収集することによって達成されてもよい。尿道カテーテルからの液体は、点滴又は小さな滴となってチューブ内を移動する可能性があり、チューブの垂直部分では、安定した読み取り値が得られないほど早くIR吸光度センサを通過してしまう。従って、チューブ内に低い点(例えば、水平部分又は屈曲部)を作成すると、少量の流体が十分に長い時間(例えば、少なくとも数秒又は数十秒)保持され、吸光度の測定値を取得することを可能にする。
【0059】
チューブ材料は自然に非閉塞的な屈曲部を形成し、液体生体サンプルが垂直セグメントを通って規則的に流れ、湾曲又は水平セグメントに停滞する。この特性を利用して、図1及び図3に示す取り付け装置は、カテーテルチューブに緩やかな湾曲を形成し、生体試料の停滞又は蓄積の領域が作られてもよい。これにより、サンプルのテストにかかる時間は約1秒であるテスト期間中、分光計を使用して生体試料のサンプリングが可能になる。この実施形態では、分光計は、取付装置によって形成された屈曲の中心に配置され、サンプリング窓は取付装置によって生成された停滞した生体サンプルの領域に面する(例えば、図1の「Pトラップ」とラベル付けされたチューブの領域)。流体がまだ流れているものの、分光測定ができるほど十分に遅くなったり停滞したりする領域(例えば、屈曲部)をチューブ内に作成することにより、新鮮な生体サンプルのデータセットをデバイスでのテストに常に利用できるようにすることができる。これは、新しい流体材料が測定領域に入り続けるためである。サンプルの光学的読み取り値を得るのに十分な流体を蓄積するために1つ又は複数のブロックを使用するある従来のシステムとは対照的に、本発明は、流れをブロックすることなく、分析のために流体を収集するのにPトラップなどの屈曲部を使用する。これによって、装置の設計を改善し、患者のサンプルの連続測定を容易にする。分光計(以下により詳細に説明するように、光源及び検出器を含んでもよい)は、流体が蓄積するハウジング内の任意の位置に取り付けられてもよい。様々な実施形態に従って、2つの分光計取り付け可能位置が図1に垂直な楕円によって示されており、円は分光計測定値が得られる可能位置を示している。ある実施形態において、ハウジングは不透明であってもよく、これにより潜在的な背景光汚染が軽減され、分光計の測定が容易になる。透明な観察窓をハウジングの底部近くに配置して、チューブの挿入を容易にするだけでなく、ハウジングに関連付けられたチューブ内を流体が移動していることをユーザが確認できるようにすることもできる。幾つかの実施形態において、流体が蓄積するチューブの屈曲部は、Pトラップと呼ばれることがある。
【0060】
図2及び図3は、ある実施形態においてセンサがドレナージカテーテルチューブとどのように相互作用するかを示す拡大図を提供する。特に、図2の実施形態は、ドレナージカテーテルチューブ(A)と、センサに隣接する領域に蓄積された生体サンプル(例えば、液体生体サンプル(D))の領域とがどのように相互作用するかを示すラベルを提供する。図2の左側は、液体生体サンプルが流入する(B)カテーテルチューブ(F)のセグメントを示し、右側の挿入図は、チューブ内に蓄積された液体生体サンプル(D)及び信号プロセッサ(E)を示す。この実施形態では、ハウジングは、チューブとハウジングが密接に位置合わせされるように、チューブの屈曲部に隣接して位置する曲面を含み、これによって、光源からチューブ内のサンプルへの光の透過と、サンプルからハウジング内のセンサ又は検出器に戻る光の透過が最適化される。チューブのセグメントには、流路内に低い点を作成するように位置する屈曲部又はPトラップが含まれており、流体(液体生体サンプル、(D))が蓄積しているように示されている。
【0061】
Pトラップの下のチューブの外側には、流体が蓄積する低い点に隣接する位置でチューブに隣接して顕微分光計センサ(図2の要素C)が取り付けられる。赤外(IR)光がセンサデバイスからチューブ内に放射され、チューブに隣接するIRセンサがチューブ内のサンプルによって反射されたIR光を測定する。更に、顕微分光計センサ(C)は、サンプルからのIR範囲のスペクトル(吸光度スペクトルなど)を測定する。データ収集の頻度間隔と「連続」サンプリングとみなされるものは、特定の状況と患者に対する臨床ニーズによって決定され、システムはこれらの要件に調整されることができる。様々な実施形態において、連続サンプリングには、少なくとも1分に1回、30秒に1回、10秒に1回、1秒に1回、1秒に5回、又は特定の状況で必要とされる、他のおおよそ頻繁なサンプリング間隔を含んでもよい。
【0062】
図3A~3Cは、オンカテーテルセンサーシステム設計の実施形態を開示する。図3Aは、センサハウジングの斜視図(上面)及び(上面図のA-A’線に沿った)断面図を示し、センサの下の領域のカテーテルチューブ内に液体の生体サンプル(例えば、尿又は腹水)が蓄積していることを示す。図3Aのハウジングは、センサデバイスを挿入してもよい中央の楕円形の開口部を含む。図3Bは、センサ装置が上から楕円形の開口部に挿入された状態のセンサハウジングの側面図を示す。また、ハウジングは、カテーテルチューブを挿入してもよい側面の開口部を含み、挿入されたチューブは、ハウジング内を、一方から入ってもう一方から出るように、ほぼU字型の経路をたどり、液体生体サンプルが蓄積しモニタできる低い点を提供する。図3Bの側面図は、ハウジング及びセンサを示しており、カテーテルチューブの一部がハウジング内を通っている。チューブは左上からハウジングに入り、U字型の経路でハウジングを通って、右上からハウジングから出る。ハウジングから出ると、チューブはループを完成し、ハウジングの側面のクリップに取り付けられて(図3Cを参照)、チューブを安定させることができる。ハウジングは、液体生体サンプルから生じる光信号が、チューブの外側の近くの材料から生じる可能性のあるスプリアス信号によって汚染されることを最小限に抑えるか又は防止するために、ハウジングから出る光をブロックするライナ(例えば、テフロン製)を含んでもよい。様々な実施形態において、この設計は、カテーテルチューブの一部が分光計に隣接するようにカテーテルチューブを挿入できるスロットを含んでもよい(図3Bを参照)。
【0063】
ハウジングは、挿入されたセンサデバイスのインジケータと位置を合わせる側面に窓を備えていてもよい。ハウジング上の窓は、単なる開口部であってもよく、又は、センサデバイスからの光信号が見えるようにするための平面又は湾曲したレンズが含んでもよく、湾曲したレンズにより、センサデバイスからの光信号を幅広い角度で見ることができる。幾つかの実施形態において、ハウジングの側面の一部は、カテーテルチューブを側面からU字形トラックに挿入できるように(例えば、図3Bに示す点線の「分離線」に沿って)取り外し可能であってもよい。その後、側面部分を再取り付けして、チューブを所定の位置に保持し、分光計センサ付近に低光量又は光のない背景を維持することができる。このようにチューブを側面から取り付けることを可能にすることにより、チューブを外したり排液を中断したりする必要のない方法で、現在患者に接続されているカテーテルチューブにセンサハウジングを取り付けることができる。
【0064】
図3Cは、ハウジングの斜視図(上部パネル)、上面図(中央パネル)、及び側面図(下部パネル)を示す。これらの図は、安定性を高めるためにチューブを取り付けることができるクリップ(上部パネルと中央パネルの左側、下部パネルの右側)を示す。
【0065】
図4は、利用される生体サンプルが患者の膀胱又は腹腔から来る液体生体サンプルである場合における、図2の実施形態のようなシステムの図を提供する。図4の図は、フォーリーカテーテル(A)、カテーテル固定装置(B)、排水チューブ(D)の屈曲部に位置する(例えば、U字型の屈曲部として概略的に示されているが、図3に示されているようなハウジングに取り付けることができる)センサ(C)、及び排液回収バッグ(E)を示している。尿以外の他の生体サンプルの場合、配置は図4に示されるものと同様であるが、生体サンプルの発生部位に基づいて適切に適合されるであろう。その他の潜在的な生体サンプル源としては、腹膜透析を受けている患者の腹膜液、胆道系転換を受けている患者の胆液、経腸減圧術を受けている患者の経鼻/経口腸管、外科的創傷ドレーンを有する患者の外科的ドレナージが挙げられる。
【0066】
図5は、オンカテーテル装置の一実施形態の詳細図を提供する。この装置は、本明細書に開示される手順を実行するように構成及び適合され、装置用のカテーテルホルダを含む制御システムを含む。また、電源(例えば、モバイル設置用のバッテリ電源)も含まれ、1つの特定の実施形態では、デバイスは、再充電可能であり、最大14日間連続(一日24時間、毎日)使用するための充電を保持できるリチウムイオンバッテリを含んでもよい。別の実施形態では、リチウムイオン電池は再充電可能ではない場合があるが、それでも、最長14日間、一日24時間、毎日、使用できる充電を保持することができる。
【0067】
この装置は、デバイス上又はデバイス外(或いはその両方)で更なる分析を行うことができるデータを生成するための顕微分光計も含む。分光計は、データを取得するためにサンプル内に光を放射する発光ダイオード(LED)などの1つ又は複数の光源を含んでもよい。一実施形態では、分光計は、異なるLEDを使用して、特定の細菌株及び別個のバイオマーカを同定するための理想的な波形を選択することができる。LEDの数は、識別したい製品(細菌やバイオマーカなど)に応じて異なる。
【0068】
様々な実施形態において、分光計は、サンプルを照明する光源とともに、サンプル内に光を集中させるコリメータ(例えばレンズ)が含んでもよい。分光計は、光サンプルを構成波長に分割するためのモノクロメータ(例えば、プリズム)、及び選択された細菌株又はその他の目的のプロダクトに対して正しい波長を選択するための波長セレクタ(例えば、スリット)を含んでもよい。
【0069】
一般に、ドレナージカテーテルチューブの内側にあり、デバイスから完全に分離されており、デバイスの要素が生体サンプルと接触することがないという条件において、患者の液体生体サンプル(例えば、尿、腹膜液、創傷排液、腸内容物など)は常に残る。
【0070】
また、分光計は、各照明からサンプルから戻ってきた光の波長の結果(吸光度など)を記録する検出器(例えば、フォトセル)も含む。分光計は、データやその他の情報をコンピューティングプラットフォームなどのリモートデバイスにオプションとして送信するための通信モジュール(Bluetooth(登録商標)デバイスなど)を含んでもよく、コンピューティングプラットフォームは、臨床医が患者のステータスに関する結果と最新情報を確認できる、電子健康記録及び/又は固定若しくはモバイルのコンピューティングデバイスを含んでもよい。このデジタル結果は、患者のプライバシーに関する懸念を解消した任意の数の臨床医や管理者と共有して、患者の臨床ステータスを管理したり、施設上の懸念に関連する広範な感染制御問題を管理したりすることができる。
【0071】
これらのデジタル記録を共有する手順は、通常、患者をケアする管理チームによって決定されるが、様々な可能な手段の中でも、医療記録に投稿されたメッセージ、応答する臨床医や管理者への、テキストメッセージ、ポケットベル呼び出し(Pages)、及び電話の使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
このデバイスは、臨床医などのユーザが患者の環境を離れずに結果を視覚化できるように、オンデバイス(on-device)信号システムも含んでよい。信号伝達システムは、患者のベッドサイドに設置するかベッドサイドから見えるようにされてよく、患者の生体サンプルのステータスや、現地の治療チームによって決定された推奨管理パラダイムを含んでもよい。この管理のサンプルは、図5及び図7に見られるプロトコルを含んでもよく、これらは、1つ又は複数のステータスインジケータを含みうる単純な信号灯タイプの信号システムを示す。図5及び図7に示す例では、オンデバイス信号は、患者のステータスが良好であること(例えば、緑色のライト)、疑わしいこと(例えば、黄色のライト)、又は注目が必要である(例えば、赤色のライト)ことを示すために使用できる3つのインジケータライトを含んでもよい。これらの状況は、図7に関して以下に説明する状態1、状態2、及び状態3に関連してもよい。
【0073】
次いで、オンデバイスインジケータからのデータは、(単独で、又は他の情報とともに)リモートコンピューティングプラットフォーム(例えば、モバイル又はクラウドベースのコンピューティングプラットフォーム)に送信されて、スペクトル分析などの更なる分析を実行することができ、幾つかの実施形態では、これは、機械学習アルゴリズムを使用して分析されてよく、放出及び捕捉されるスペクトルの成分が検出されてもよい。
【0074】
リモートコンピューティングプラットフォームは、機械学習アルゴリズムを使用してデータを処理し、他の情報の中でも特に、サンプル内で特定可能な細菌コロニー数、細菌コロニータイプ、及び細菌感染副産物に関する結果を提供してもよい。図6に見られるように、各細菌種(更には各細菌種の濃度)及びバイオマーカは、分光計によって利用される化合物及び光の波長に関連する異なるスペクトル特性を有してもよい。例えば、図6の図は、大腸菌、クレブシエラ属細菌、及びプロテウス属細菌に対応する分光計から送信されるスペクトルデータを示す。
【0075】
様々な実施形態において、分析結果を組み合わせると、3つの臨床実体が得られる(図7参照):
【0076】
状態1:生体サンプルに細菌や感染症がない
【0077】
状態2:生物サンプル内に細菌がコロニー形成(colonization)しているが感染はない
【0078】
状態3:生体サンプル内の細菌と感染
【0079】
臨床医は、その経験と特定の診療パターンに従って、これらの異なる状態に対する臨床反応を決定する。
【0080】
MLアルゴリズム
【0081】
機械学習(ML)アルゴリズムは、装置とは独立してではなく、本明細書に開示される装置とともに特に使用されるように開発される。アルゴリズムはサンプル波形の分析を実行するために利用され、次のように構築される。
【0082】
すべてのサンプルには、330個のデータポイントで構成される波形が含まれている。機械学習を使用してデータ分析を実行する装置は以下で構成される:
【0083】
-分類用の1つのモジュール
【0084】
-感度分析用の1つのモジュール
【0085】
-組織化されたデータセットに基づいて最終結果を生成するように構成された教師なし学習モジュール
【0086】
分類モジュールは、次のうち1つ又は複数を実行してもよい:分光計ハードウェアを使用して患者のベッドサイドから継続的に実行されてもよい、データの抽出;抽出されたデータをデータセットにロード;及びサンプル内のコロニー形成単位(Colony Forming Units(CFU))に基づいて結果を生成。
【0087】
抽出されたデータは、次の分類方法のうち1つ又は複数を使用して分類されてもよい:勾配ブースティング・マシン(Gradient Boosting Machine)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、ランダムフォレスト(RF)、エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting)、ロジスティック回帰(Logistic Regression)、及び10-Fold交差検証(Cross-Validation(CV))のランダム・ハイパーパラメータ・チューニング(Random Hyperparameter Tuning)。
【0088】
MLアルゴリズムは、CFUに基づいて2つ又は3つのグループを作成し、サンプルをそれぞれのグループに割り当てる。MLアルゴリズムの出力には、10~10の範囲で表される細菌濃度が含まれる。10は細菌が存在しないことを意味し、10~10+はサンプル内に存在する細菌の濃度量を示す。MLアルゴリズムの予測パフォーマンスは、AUROC、精度(AP)、特異性、感度、及びFをそれぞれ決定することによって評価されてもよい。
【0089】
回帰には、10、10、10、10、10、及び10がそれぞれ0、1、2、3、4、及び5としてマークされる様々なデータセットを使用した細菌メトリクスの定量化が含まれており、連続的な結果を作成する。結果では、そのような波形を使用することにより、任意の濃度が予測される(0~5)。対象となる回帰モデルは、ランダムフォレスト、エクストリーム・グラディエント・ブースティング、線形回帰(Linear Regression)、エラスティックネット(Elasticnet)、ラッソ及びエラスティックネットの正規化された一般化線形モデル(Lasso and Elastic-Net Regularized Generalized Linear Models)を含む。10-Fold交差検証(cross-validation)のランダム・ハイパーパラメータ・チューニング(Random Hyperparameter Tuning)も、R二乗を大きくするために実行される。
【0090】
感度解析モジュール
【0091】
感度分析モジュールは、デバイスからのデータの連続ストリーム、つまり細菌濃度の考えられる結果に関するデータに基づいて、流体中の細菌の有無を判断するために使用されてもよい。デバイスの感度をテストするために、様々な細菌濃度を比較する様々なテストが実行された。これらの数値に基づいて、8つのデータベースが作成された。データセット番号1では、10は細菌が存在しないと考えられ、10、10、10、10、及び10は様々な濃度で細菌が存在すると考えられた。データセット番号2では、2つのグループが10対10、10、及び10に分割された。データセット番号3では、2つのグループは10対10、10、10、及び10に分割された。データセット番号4では、2つのグループは10対10に分割された。データセット番号5では、2つのグループが10対10に分割された。データセット番号6では、2つのグループが10対10に分割された。データセット番号7では、2つのグループが10対10に分割された。そして、データセット番号8では、2つのグループが10対10に分割された(図12)。
【0092】
教師なし学習モジュール
【0093】
以下に、取得した各データセットに対して実行されたすべての感度分析のパフォーマンスメトリクスのリストを示す。モデルはランダム・ハイパーパラメータ・チューニング、10-Fold CVを使用してトレーニングされ、分類モデルの観察結果の25%を含むテスト分割で検証された。回帰モデルでは、データセット番号1の観測値の100%を使用して10-Fold CVを実行した。
【0094】
一次分析では、SVMを使用して優れたパフォーマンスが達成された。非構造化データセットを複数のバージョンの組織化データセットに組み立てるように構成されている。モジュールは、組織化されたデータセットからトレーニングデータを作成するように構成され、教師あり学習モジュールは、トレーニングデータを使用して1つ又は複数のグループを生成するように構成されている。
【0095】
【0096】
以下は、機械学習アルゴリズムを使用してデータを収集しデータを処理する装置の構築及び使用の方法及び結果を含む、本発明の実施形態による非限定的な例の詳細を提供する。
【0097】
パートナーズヘルスケア(Partners HealthCare)治験審査委員会(Institutional Review Board)の承認の下、2018年9月から2019年1月にかけて、ハーバード大学医学部微生物研究所とブリガムアンドウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)で200のサンプルが分析された。統計分析は、Rバージョン4.0.0及びRStudioバージョン1.2.5019で実行された。
【0098】
細菌分析
【0099】
段階希釈サンプルは、大腸菌MG1655の培養物と合成尿(ピッカリングラボラトリーズ(Pickering Laboratories)1700-0600)を使用して調製された。実験の24時間前に、5mLのEZRDM培地(Teknova)に10μLの飽和大腸菌培養物を接種し、37℃、220回転/分(RPM)で一晩インキュベートした。500μLの培地を4.5mLの合成尿で希釈することによって希釈系列を作成し、5秒間ボルテックスし、次いで500μLを4.5mLの合成尿に移した。合計10の希釈に達するまで、同じプロトコルを使用して後続の各希釈を作成した。各グループの1つのサンプルは、対照として細菌を接種せずにそのまま残された。分光分析サンプルは、各希釈液4mLをパラフィルムで密封されたガラス分光計キュベットに移すことによって調製された。調製した合成尿サンプル中の細菌濃度の測定は、各サンプル100μLをLB寒天培地にプレーティングしてコロニー形成単位(CFU)を測定することによって実施された。各プレートを37℃で一晩インキュベートし、翌朝、このプロセスを自動化及び標準化する独自の機械学習アルゴリズムを使用してコロニーをカウントした。サンプル調製からサンプル分析までの時間の不一致を避けるために、分光測定と顕微鏡読み取りの両方を同時に実行した。
【0100】
3D印刷
【0101】
統合された分光計/液体生体サンプルホルダ(図3参照)は、ソリッドワークス(Solidworks、ダッソーシステムズ(Dassault Systemes)、フランス国ヴェリジー・ヴィラクブレー)で設計され、Objet30 3Dプリンタ(ストラタシス(Stratasys)、米国ミネソタ州エデン・プレイリー)を使用して、白色フォトポリマー樹脂(RGD835)から製造された。このデザインは、導尿カテーテルの外面に取り付けられるマウントをシミュレートするために作成された。バックグラウンド信号の汚染を軽減するために、キュベットホルダには一体化された(不透明な)蓋と、キュベット/カテーテルから出る光路をブロックする3mm厚のテフロンライナが備えられてた。
【0102】
それぞれ異なる濃度を有するすべてのサンプルを、本出願に記載の装置を使用して分析し、並行して、細菌コロニー数同定のゴールドスタンダード(Gold Standard)となる顕微鏡コロニー数分析も同時に実施した。
【0103】
このデバイスは、分光測定データの取得、化学分析の実行、及び細菌検出のためのキャリブレーションモデルの作成に使用された。両方の方法からのデータは別々のデータベースに記録され、適切なサンプル識別子と関連付けられた。分光学的評価からの生データが分析され、機械学習アルゴリズムに組み込まれ、ゴールドスタンダードの正確な結果の表現として微生物コロニー数が使用された。
【0104】
データ分析
【0105】
細菌濃度は、10~10の範囲で、指数はサンプル中の細菌CFUの数を示す。全ての細菌コロニー濃度には、サンプルの分析に使用されるCFUと波長の組み合わせによって決定される特徴的な形態学的波形サインがある。この特徴波形は、330個の別個のデータ点(図9参照、x軸に波長(nm)、y軸に吸光度を示す)及び主成分分析(図10)から作成される。図9は、生データから処理済みデータまでのデータ処理の結果を示す。このプロセスでは、740~1070nmの波長を選択し、データを処理して正規化した。
【0106】
処理:ランベルト・ベール(Beer-Lambert)モデルが有効であると仮定し、対数変換を実行し、ノイズとモデルからの偏差の結果を調整することにより、測定された信号を濃度に対して線形となるように変換する。
【数1】
【0107】
図10は、大規模な変数のセットを、主成分分析つまりPCA(Principal Component Analysis)の結果を示す。主成分分析とは、大規模なセット内のほとんどの情報を含む小さな変数のセットに変換することによって、大規模なデータセットの次元を削減するためによく使用される次元削減方法である。私たちの設定では、PCAアプローチは液体生体サンプル中の様々な濃度の細菌に関連する情報を取得し、CFUの数に基づいてそれらを分類した。これは、様々なCFU濃度を明確に定義されたクラスターにグループ化することを示すため、分析の探索ツールとして使用された。
【0108】
細菌の検出に加えて、尿路感染症(Urinary Tract Infection(UTI))に関連するバイオマーカの検出を追加すると、予測モデルの価値が更に高まると考えられた。これにより、以下の3つの個別の臨床状態の確立が可能になる:1)細菌も感染も存在しないカテーテル、2)細菌がコロニー形成(colonization)しているが感染の証拠がないカテーテル、3)細菌感染のあるカテーテル。この概念に基づいて、尿中硝酸塩と白血球エステラーゼ(Leukocyte Esterase(LE))を使用した2つの感度分析を実行して、これらのターゲット変数が各濃度のシグネチャ波形にどのような影響を与えるかを決定した。
【0109】
予測モデルは、分光計で検出できる細菌濃度の最小絶対量変化を特定するために、機械学習アルゴリズムを使用して作成された。モデル内の正確性と精度を高めるために、分類アルゴリズムに使用されるすべてのデータはランダムにサンプリングされ、データの75%がトレーニング用に指定され、25%がアルゴリズムのテスト用に指定された。
【0110】
モデルのトレーニングと検証
【0111】
関心のある結果に基づいて、10個の異なるモデル(分類モデルと回帰モデル)を使用してサンプルの分析を2つのグループに分割した。分類モデルは、異なる濃度間の濃度を予測するために使用され、一方、回帰モデルは、波形から得られる細菌の特定の濃度を予測するために使用された。
【0112】
全てのモデルは、予測を再現できるようにシードを使用してトレーニングされた。我々は、分類モデルをトレーニングする場合は受信者動作曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Curve(AUROC))が最大になることを目指し、回帰モデルに対処する場合はRが最大になることを目指して、10-Fold交差検証(Cross-Validation(CV))でランダム・ハイパーパラメータ・チューニング(Random Hyperparameter Tuning)を実行した。
【0113】
分類モデル
【0114】
我々は、このカテゴリでは、以下の5つの異なるモデルをトレーニングした:1)ロジスティック回帰(Logistic Regression)、2)ランダムフォレスト(Random Forest(RF))、3)勾配ブースティング・マシン(Gradient Boosting Machine(GBM))、4)サポートベクターマシン(Support Vector Machine(SVM))、及び5)エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting(XGB))。モデルは、各データセットの75%をトレーニング目的に使用し、25%を検証に使用して、最も最適にトレーニングされた分類モデルのパフォーマンスに対処した。
【0115】
回帰モデル
【0116】
我々は、以下の5つの異なるモデルを使用した:1)ランダムフォレスト(Random Forest)、2)エクストリーム・グラディエント・ブースティング(eXtreme Gradient Boosting)、3)ロジスティック回帰(Logistic Regression)、4)エラスティックネット(Elasticnet)、及び5)ラッソ及びエラスティックネット。これらのモデルは、様々な細菌濃度レベル(10から10まで)と様々な波形を使用したバイオマーカを予測するために、観察結果の100%を使用してトレーニングされた。
【0117】
結果
【0118】
図8及び図9は、微小NIR分光計を使用した尿サンプル中の細菌濃度のワークフロー(図8)及び生スペクトル及び前処理されたスペクトル(図9)を示す。NIR分光計はガラス製キュベットを通してスキャンした。文献に基づくスペクトルでは、740~1100nmの波長範囲に最も重要なピークが含まれていることがわかった。
【0119】
合成尿と5つの異なる細菌濃度を組み合わせて、メイン分析では合計200のサンプルが分析され、バイオマーカ分析では400のサンプルが分析された(硝酸塩について200サンプル、白血球エステラーゼ200個)。
【0120】
主成分分析-細菌のみ
【0121】
私たちの仮説を検証するために、大腸菌のCFUが各濃度の波形データにどのような影響を与えるかを観察する一連の実験が行われた。10個の機械学習モデルを使用して分類し、サンプル間のカットオフポイントを確立した。
【0122】
分類-細菌のみ
【0123】
5つの分類方法の中で、サポートベクターマシン(SVM)は、特異度が0.99、感度が1、精度が0.99、Fスコアが0.99、AUROCが1において、最高のパフォーマンスを達成した。分類感度分析の一部として評価された35の異なる分類モデルの測定基準が、図11A及び11Bに報告されている。細菌の不在(濃度10)又は存在(濃度10~10)として波形を分類するために訓練された様々な方法の受信者動作曲線下面積(Area Under the Receiver Operating Curve(AUROC))特性の主成分分析を図12に示す。最も正確なアルゴリズムのために選択された全ての測定基準に関する結果が図13に示されている。
【0124】
回帰-細菌のみ
【0125】
回帰モデルの予測パフォーマンスは、R、二乗平均平方根誤差(Root Mean Squared Error(RMSE))、及び平均絶対誤差(Mean Absolute Error(MAE))を使用して対処された。
【0126】
細菌濃度を回帰するための相互検証によって波形データを使用してテストされた5つの異なるモデルのうち、最高のパフォーマンスを示すモデルがランダムフォレスト法を使用して得られ、MAEが0.48、RMSEが0.45、Rが0.82であった。評価された5つの異なる回帰モデルの測定基準が図14に報告されている。
【0127】
感度分析-バイオマーカ
【0128】
3つの濃度の硝酸塩と1つの白血球エステラーゼを使用して感度分析の一部として訓練された様々なモデルのパフォーマンスメトリクスが、感度分析の一部として分析された。
【0129】
分類-バイオマーカ
【0130】
この研究ではバイオマーカが分類された。我々は、入手可能な多くのバイオマーカの中から2つを選択した。それらは、臨床現場で広く受け入れられており、広く採用され、入手可能であるためである。選択された2つのバイオマーカは硝酸塩と白血球エステラーゼ(Leukocyte Esterase(LE))であり、尿路感染症の診断におけるこれらの使用は広く受け入れられている。それにも関わらず、様々な実施形態において、このプロセスの使用を通じて任意のバイオマーカを特徴付けることができる。
【0131】
硝酸塩は尿中に存在するか存在しないかの2つのグループに分類され、200個のサンプルで評価された。全てのデータにおいて、各試験において100%に近い感度及び特異度、並びに、主にSVM、GBM、LRで高いAUROCを得た(図14及び15を参照)。
【0132】
一方、白血球エステラーゼは、3つの異なる濃度(0.45mg/1リットルの生理食塩水1mlと尿3ml、2mlの0.45mg/1リットルの生理食塩水と2mlの尿、及び3ml、0.45mg/1リットルの生理食塩水と1mlの尿)において合計200サンプルで測定された。他の感度分析では、サポートベクターマシンは、AUROCが0.99において最良のアルゴリズムであり、LRが0.98、精度が1、Fスコアが0.99、及びAUROCが0.99においてそれに続いた。感度及び特異性は、分析されたすべてのサンプルにおいて0.99であった(図14及び15を参照)。
【0133】
ある実施形態において、生体液の流量は、開示された装置を使用して決定されてもよい。このような実施形態では、オンカテーテルセンサーシステム(例えば、図3A図3Cのような)のハウジングは、ロードセルセンサに取り付けられる流体コレクションバッグ(図16では採尿バッグとして示されているが、この装置を使用して他の液体をモニタすることもできる)の重量及び/又は重量の変化をモニタするためのロードセルセンサ又は他の機構(図16)を含んでもよい。様々な実施形態において、この装置は、留置カテーテルを通過する生体液の近似流量を計算し、従って任意の時点で患者から出る生体液の量の実際の測定値を計算してもよい。ある実施形態において、流量は、生体流体リポジトリ(例えば、生体流体収集バッグ)内の重量の経時変化の測定を使用して計算されてもよい。特定の実施形態において、流量は、重量変化の尺度として連続的に計算されてよく、装置の1つ又は複数の通信機構を使用してユーザに報告されてもよい。様々な実施形態において、計算された流量は、以下の式に基づいて算出されてもよい:δ重量/δ時間。幾つかの実施形態において、アルゴリズムは、このデータを利用して、経時的な体積の計算を行い、経時的な流量の近似値を算出してもよい。このデータは、装置の1つ又は複数の通信メカニズムを介してユーザに継続的に報告されてもよい。生体液の流量及び生体液の総蓄積量に関する情報は、患者のステータスをモニタするために使用されてもよい。
【0134】
図17に移ると、開示された主題の幾つかの実施形態による、生体流体のモニタリング及び分析のためのシステム(例えば、データ収集及び処理システム)の例1700が示されている。幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス1710は、生体流体モニタリング及び分析のためのシステム1704の少なくとも一部を実行し、データ収集システム1702の1つ又は複数の構成要素、例えば、液体生体サンプルシステムに結合された分光計に制御信号を提供することができる。加えて又は代わりに、幾つかの実施形態では、コンピューティングデバイス1710は、通信ネットワーク1706を介してサーバ1720との間で制御信号に関する情報を通信することができ、サーバ1720は、生体流体モニタリング及び分析のためのシステム1704の少なくとも一部を実行することができる。幾つかのそのような実施形態では、サーバ1720は、生体流体モニタリング及び分析のためのシステム1704の制御信号に関連する情報をコンピューティングデバイス1710(及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイス)に返すことができる。この情報は、ユーザ(例えば、研究者、オペレータ、臨床医など)に送信及び/又は提示されてもよく、及び/又は(例えば、研究データベース又は被験者に関連する医療記録の一部として)保存されてもよい。
【0135】
幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス1710及び/又はサーバ1720は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、物理的なコンピューティングデバイスによって実行される仮想マシンなどの、任意の適切なコンピューティングデバイス又はデバイスの組み合わせでありうる。本明細書に記載されるように、生体流体モニタリング及び分析のためのシステム1704は、制御信号に関する情報をユーザ(例えば、研究者及び/又は医師)に提示することができる。幾つかの実施形態において、データ収集システム1702は、対象から得られたサンプルからデータを収集するための光源、検出器、及び/又は他の光学コンポーネントを含んでもよい。
【0136】
幾つかの実施形態において、通信ネットワーク1706は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせでありうる。例えば、通信ネットワーク1706は、WiFi(登録商標)ネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数のスイッチなどを含みうる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAX(登録商標)などの任意の適切な規格に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワーク、5Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含みうる。幾つかの実施形態において、通信ネットワーク1706は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、公衆ネットワーク(例えば、インターネット)、プライベート又はセミプライベートネットワーク(例えば、企業又は大学のイントラネット)、任意の他の適切なタイプのネットワーク、又はネットワークの任意の適切な組み合わせでありうる。図17に示される通信リンクはそれぞれ、有線リンク、光ファイバリンク、WiFi(登録商標)リンク、Bluetooth(登録商標)リンク、セルラーリンクなどの任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせでありうる。
【0137】
図18は、開示される主題の幾つかの実施形態に従ってコンピューティングデバイス1710及びサーバ1720を実装するために使用できるハードウェアの例1800を示す。図18に示されるように、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1710は、プロセッサ1802、ディスプレイ1804、1つ又は複数の入力1806、1つ又は複数の通信システム1808、及び/又はメモリ1810を含みうる。幾つかの実施形態において、プロセッサ1802は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせでありうる。幾つかの実施形態において、ディスプレイ1804は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示装置を含むことができる。幾つかの実施形態において、入力1806は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0138】
幾つかの実施形態において、通信システム1808は、通信ネットワーク1706及び/又は他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1808は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム1808は、WiFi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0139】
幾つかの実施形態において、メモリ1810は、例えばプロセッサ1802がディスプレイ1804を用いてコンテンツを提示したり、通信システム(1808)を介してサーバ1720と通信したりするために使用できる命令、値などを格納するために使用できる任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ1810は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1810は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、メモリ1810には、コンピューティングデバイス1710の動作を制御するためのコンピュータプログラムがエンコードされることができる。このような実施形態では、プロセッサ1802は、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行して、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、テーブルなど)を提示し、サーバ1720からコンテンツを受信し、サーバ1720に情報を送信するなどすることができる。
【0140】
幾つかの実施形態において、サーバ1720は、プロセッサ1812、ディスプレイ1814、1つ又は複数の入力1816、1つ又は複数の通信システム1818、及び/又はメモリ1820を含むことができる。幾つかの実施形態において、プロセッサ1812は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせでありうる。幾つかの実施形態において、ディスプレイ1814は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示装置を含むことができる。幾つかの実施形態において、入力1816は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0141】
幾つかの実施形態において、通信システム1818は、通信ネットワーク1706及び/又は他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1818は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム1818は、WiFi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0142】
幾つかの実施形態において、メモリ1820は、例えばプロセッサ1812がディスプレイ1814を用いてコンテンツを提示したり、1つ又は複数のコンピューティングデバイス1710と通信したりするために使用できる命令、値などを格納するために使用できる任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ1820は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1820は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、メモリ1820には、サーバ1720の動作を制御するためのサーバプログラムがエンコードされることができる。このような実施形態では、プロセッサ1812は、サーバプログラムの少なくとも一部を実行して、情報及び/又はコンテンツ(例えば、組織の識別及び/又は分類の結果、ユーザインターフェースなど)を1つ又は複数のコンピューティングデバイス1710に送信し、1つ又は複数のコンピューティングデバイス1710から情報及び/又はコンテンツを受信し、1つ又は複数のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)から命令を受信する。
【0143】
幾つかの実施形態において、本明細書で説明される機能及び/又はプロセスを実行するための命令を格納するために、任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は一時的又は非一時的でありうる。例えば、非一時的なコンピュータ可読メディアは、磁気メディア(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学メディア(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスクなど)、半導体メディア(RAM、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)など)、送信中に一時的ではない又は永続性の欠如がない適切な媒体、及び/又は任意の適切な有形媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、電線、導体、光ファイバ、回路、又は送信中に一時的又は永続性が欠如している適切な媒体、及び/又は任意の適切な無形媒体における、ネットワーク上の信号を含むことができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、機構という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の適切な組み合わせを包含することができることに留意されたい。
【0145】
図19は、開示された主題の幾つかの実施形態による生体流体モニタリングのためのプロセスの例1900を示す。図19に示されるように、1902において、プロセス1900は、ハウジング内に配置された分光計を提供することができ、前記分光計は、カテーテルチューブ内のサンプルを照らすための光源と、前記サンプルから返された光を検出する検出器と、前記カテーテルチューブ内の前記サンプルに基づいて患者ステータスを提供するステータス信号インジケータと、前記光源、前記検出器、及び前記ステータス信号インジケータと通信可能なコントローラと、を含んでもよい。1904において、プロセス1900は、サンプルから返された光に基づいてデータを収集及び処理することができ、収集及び処理はコントローラによって実行されてもよい。1906において、プロセス1900は、データの収集及び処理に基づいて患者のステータスを判定することができ、判定はコントローラによって実行されてもよい。最後に、1908で、プロセス1900は、ステータスインジケータを使用して患者のステータスを示すことができ、この表示はコントローラによって実行されてもよい。様々な実施形態において、ハウジングは、サンプルが低い点に蓄積し、光源及び検出器がサンプルからデータを取得するために低い点に向けられるように、カテーテルチューブ内の低い点に取り付けられるように構成されてもよい。
【0146】
図19のプロセスの上記のステップは、図に示し説明した順序及びシーケンスに限定されず、任意の順序又はシーケンスで実行又は行われることができることを理解されたい。また、図19のプロセスの上記のステップの幾つかは、待ち時間及び処理時間を短縮するために、必要に応じて実質的に同時に又は並行して実行又は行われることができる。
【0147】
従って、本発明を特定の実施形態及び実施例に関連して説明してきたが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、他の多くの実施形態、実施例、使用法、変形例、及び実施形態、実施例、及び使用法からの逸脱も本明細書に添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3A-B】
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】