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特表2023-552753マイクロ原子炉で使用するベリリウム系(Be、BeOまたはBe2C)スリーブに取り囲まれた燃料ペレット/コンパクト
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  • 特表-マイクロ原子炉で使用するベリリウム系(Be、BeOまたはBe2C)スリーブに取り囲まれた燃料ペレット/コンパクト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】マイクロ原子炉で使用するベリリウム系(Be、BeOまたはBe2C)スリーブに取り囲まれた燃料ペレット/コンパクト
(51)【国際特許分類】
   G21C 5/00 20060101AFI20231212BHJP
   G21C 15/257 20060101ALI20231212BHJP
   G21C 3/07 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G21C5/00 A
G21C5/00 C
G21C15/257
G21C3/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533322
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-16
(86)【国際出願番号】 US2021072638
(87)【国際公開番号】W WO2022120331
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/108,602
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】レビンスキー、アレックス
(57)【要約】
ある態様において、原子炉ユニットセル(202)を開示する。当該原子炉ユニットセルは、黒鉛減速材構造体(204)と、当該黒鉛減速材構造体内に配置されたヒートパイプ(208)と、当該黒鉛減速材構造体内に配置された燃料集合体(210)とを含む。当該燃料集合体は、酸化ベリリウム製スリーブ(212)と、当該酸化ベリリウム製スリーブ内に配置された原子燃料(214)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛減速材構造体と、
当該黒鉛減速材構造体内に配置されたヒートパイプと、
当該黒鉛減速材構造体内に配置された燃料集合体と
を備える原子炉ユニットセルであって、当該燃料集合体は、
酸化ベリリウム製スリーブと、
当該酸化ベリリウム製スリーブ内に配置された原子燃料と
を備えることを特徴とする原子炉ユニットセル。
【請求項2】
前記燃料集合体が、前記酸化ベリリウム製スリーブ内に配置された複数の酸化ベリリウムペレットをさらに含む、請求項1の原子炉ユニットセル。
【請求項3】
前記燃料集合体が、前記酸化ベリリウム製スリーブと結合可能な端部キャップをさらに備え、前記酸化ベリリウムペレットが当該端部キャップと前記原子燃料との間に配置される、請求項2の原子炉ユニットセル。
【請求項4】
前記原子燃料と前記酸化ベリリウム製スリーブとの間に半径方向の隙間が画定されている、請求項1の原子炉ユニットセル。
【請求項5】
前記半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、請求項4の原子炉ユニットセル。
【請求項6】
前記半径方向の隙間が約0.007cm~約0.01cmの範囲である、請求項4の原子炉ユニットセル。
【請求項7】
前記燃料集合体と前記黒鉛減速材構造体との間に半径方向の隙間が画定されている、請求項1の原子炉ユニットセル。
【請求項8】
前記半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、請求項7の原子炉ユニットセル。
【請求項9】
前記半径方向の隙間が約0.1cm~約0.2cmの範囲である、請求項7の原子炉ユニットセル。
【請求項10】
前記酸化ベリリウム製スリーブが、約0.15cm~約0.4cmの範囲の壁厚を有する、請求項1の原子炉ユニットセル。
【請求項11】
前記原子燃料がTRISO燃料を含む、請求項1の原子炉ユニットセル。
【請求項12】
黒鉛減速材基材と、
当該黒鉛減速材基材内に配置されたヒートパイプと、
当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体と
を備える原子炉ユニットセルであって、当該複数の燃料集合体が当該ヒートパイプを取り囲み、当該複数の燃料集合体のうちの少なくとも1つの燃料集合体が、
ベリリウム系材料で構成されたスリーブと、
当該スリーブ内に配置された原子燃料と
を備えることを特徴とする原子炉ユニットセル。
【請求項13】
前記少なくとも1つの燃料集合体が、ベリリウム系材料で構成された複数のペレットをさらに含み、当該ペレットが前記スリーブ内に配置されている、請求項12の原子炉ユニットセル。
【請求項14】
前記少なくとも1つの燃料集合体が、前記スリーブと結合可能な端部キャップをさらに備え、前記ペレットが当該端部キャップと前記原子燃料との間に配置されている、請求項13の原子炉ユニットセル。
【請求項15】
前記スリーブと前記黒鉛減速材基材との間に第1の半径方向の隙間が画定され、且つ前記原子燃料と前記スリーブとの間に第2の半径方向の隙間が画定されており、当該第1の半径方向の隙間が当該第2の半径方向の隙間とは異なる、請求項12の原子炉ユニットセル。
【請求項16】
前記第1の半径方向の隙間が約0.1cm~約0.2cmの範囲であり、前記第2の半径方向の隙間が約0.007cm~約0.1cmの範囲である、請求項15の原子炉ユニットセル。
【請求項17】
前記第1の半径方向の隙間および前記第2の半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、請求項15の原子炉ユニットセル。
【請求項18】
複数の原子炉ユニットセルを備える原子炉炉心であって、
当該原子炉ユニットセルの少なくとも1つは、
黒鉛減速材基材と、
当該黒鉛減速材基材内に配置された複数のヒートパイプと、
当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体と
を備え、当該複数の燃料集合体の少なくとも1体は、原子燃料を収容するように構成された酸化ベリリウム製スリーブを備えることを特徴とする原子炉炉心。
【請求項19】
前記少なくとも1体の燃料集合体と前記黒鉛減速材基材との間に半径方向の隙間が画定されている、請求項18の原子炉炉心。
【請求項20】
前記酸化ベリリウム製スリーブが、約0.15cm~約0.4cmの範囲の壁厚を有する、請求項18の原子炉炉心。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体が組み込まれる、2020年12月1日に出願された「FUELPELLETS/COMPACTS SURROUNDED BY BERYLIUM-BASED(Be or BeO or BeC)SLEEVEFOR USE IN A MICRO-REACTOR」と題する米国非仮特許出願第17/108,602号に基づく優先権を主張する。
政府支援
【0002】
本発明は、エネルギー省との契約第DE-NE0008853号に基づく政府支援の下でなされたものである。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有している。
【0003】
本発明は概して、小型モジュール炉(SMR)やマイクロ原子炉などの原子炉に関する。
【背景技術】
【0004】
電力市場は、集中型と分散型に分けることができる。集中型市場は、大型発電機(数百MWe規模)と大容量・高密度の送配電網を基盤としている。一方、分散型または送電網外の市場は、通常、小規模な地域配電網またはマイクログリッドに接続された小型発電機(15MWe未満)に依存している。現在、分散型市場の例として、遠隔地にある移動住宅のコミュニティ、遠隔地の鉱山、軍事基地、島嶼の地域社会などが挙げられる。現在、送電網外市場の電力は、主にディーゼル発電機で供給されている。このことは、電気料金の高騰、化石燃料への依存、負荷の制限、複雑な燃料供給ロジスティックス、インフラの老朽化などの原因となっている。送電網外市場に求められる厳しい要件として、手頃な価格、信頼性、柔軟性、回復力、持続可能性(クリーンエネルギー)、エネルギーセキュリティ、迅速な設置、最小限の保守作業などがある。これらの要件は全て、原子力エネルギーで対処することが可能である。
【0005】
マイクロ原子炉は、発電能力が10MWe未満で、遠隔地に適用可能な原子炉である。マイクロ原子炉は、比較的小型の容器に収めることが可能であり、人員の積極的な関与なしに運転でき、従来の原子力発電所よりも長期間にわたって燃料の補給・交換なしに運転することができる。
【0006】
そのようなマイクロ原子炉のひとつが、ウェスチングハウス・エレクトリック・カンパニーが設計したeVinciマイクロ原子炉システムである。マイクロ原子炉は、比較的小型の容器に収めることが可能であり、人員の積極的な関与なしに運転でき、従来の原子力発電所よりも長期間にわたって燃料の補給・交換なしに運転することができる。マイクロ原子炉の別の例が、「HIGHTEMPERATURE HYDRIDE MODERATOR ENABLING COMPACT AND HIGHER POWER DENSITY CORES INNUCLEAR MICRO-REACTORS」と題する共有の米国仮特許出願第62/984,591号、ならびに「MOBILE HEAT PIPE COOLED FASTREACTOR SYSTEM」と題する米国特許出願第14/773,405号(米国特許出願公開第2016/0027536号として公開)に記述されており、両出願ともその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0007】
図1は、例示的なマイクロ原子炉100の断面図である。マイクロ原子炉100には、燃料、減速材チャンネル、ヒートパイプ、および反応度制御チャンネル(運転停止棒)を収容する炉心102を含めることができる。燃料は炉心102に封入することができる。またヒートパイプは、燃料により発生した熱を抽出できるように、炉心102の外側でマイクロ原子炉100の二次側まで延ばすことができる。
【0008】
一態様において、炉心102は、軸方向反射体と半径方向反射体によって囲まれる。図1に示すように、半径方向反射体118には、6つの反応度制御ドラム106を埋め込むことができる。他の様々な実施形態において、炉心102は、6を超える個数の制御ドラム106(例えば12個の制御ドラム106)で囲まれる。制御ドラム106の各々には、反射部108と吸収部110を含めることができる。使用時に制御ドラム106は、制御ドラムの反射部108がモノリス型炉心102に面して炉心内の反応度を高める反射位置と、吸収部110が炉心102に面して炉心内の反応度を低下させる吸収位置との間で、回転することが可能である。これらの反射体は複数のハウジング内に収容することができ、当該複数のハウジングには、構造容器112、中性子吸収材容器122、および炭化ホウ素(ガンマ線・中性子遮蔽体)114を含めることができる。また、中性子吸収材容器122と炭化ホウ素遮蔽体114の間には、遮蔽体冷却とガンマ線遮蔽のために空隙116を設けることができる。これらの構成要素は全て、外側の構造キャニスター120の内部に配置してよい。
【0009】
技術上、業務上の観点から、炉心は複数の基準を満たすことが要求される。そのような基準の1つは、炉心が中性子に対して可撓性があり、様々な減速材を組み合わせて使用することが可能なことである。かかる減速材の例として、完全な黒鉛減速材や、参照によりその全体が本願に組み込まれる2020年10月26日出願の「ENHANCEDGRAPHITE NEUTRON REFLECTOR WITH BERYLLIUM OXIDE INCLUSIONS」と題する共有の米国特許出願第17/080,241号に記述された酸化ベリリウム(BeO)減速材ピンを有する黒鉛減速材や、YHまたはZrH減速材ピンを有する黒鉛減速材が挙げられる。また別の基準として、例えば、ヒートパイプが故障したときの熱除去量の低下を勘案した弾力性を有するなど、熱機械的な観点で炉心が自立していることが挙げられる。別の基準は、炉心が、利用可能な製造能力をサポートできることである。別の基準は、炉心が、制御ドラムのような半径方向反射体など他の炉心構成部品と一体化し、初期形状を維持したまま1ユニットとして輸送できるコンパクトな形態であることである。もう1つの基準は、炉心が可搬型、定置型、移動型の原子炉に使用できることである。
【0010】
上記の条件を満たすことに加え、用途によってはさらにコンパクトな炉心が必要となる。それと同時に、燃料の取り扱いや原子炉組み立ての簡略化も求められる。
【0011】
上記の事項に加え、一部の原子炉では、三重被覆(TRISO)燃料粒子を使用する。TRISO燃料を使用する場合、複数の金属同位体がヒートパイプから拡散過程を経て移動するが、その移動からTRISO燃料を保護することについて、懸念がある。そのような同位体、特にニッケルは、TRISO粒子中の炭化ケイ素層を損ない、それによりTRISO核から核分裂生成物およびガスが放出されるおそれがある。原子炉の設計を考える上で、上記の炉心設計の基準に加えて、燃料の量とそれに伴うコストの最小化が非常に重要である。
【0012】
したがって、上記の技術的な問題や要件の全てではないにしても一部を解決するのに役立ち、かつ開発されたユニットセルと炉心設計を保全できるような炉心改造を特定することが求められる。
【発明の概要】
【0013】
様々な実施形態において、黒鉛減速材構造体と、当該黒鉛減速材構造体内に配置されたヒートパイプと、当該黒鉛減速材構造体内に配置された燃料集合体とを含む原子炉ユニットセルが開示されている。当該燃料集合体は、酸化ベリリウム製スリーブと、当該酸化ベリリウム製スリーブ内に配置された原子燃料とを備える。
【0014】
様々な実施形態において、黒鉛減速材基材と、当該黒鉛減速材基材内に配置されたヒートパイプと、当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体とを含む原子炉ユニットセルが開示されている。当該複数の燃料集合体は、ヒートパイプを取り囲んでいる。当該複数の燃料集合体のうちの少なくとも1体は、ベリリウム系材料で構成されたスリーブと、当該スリーブ内に配置された原子燃料とを備える。
【0015】
様々な実施形態において、複数の原子炉ユニットセルを含む原子炉炉心が開示されている。少なくとも1つの原子炉ユニットセルは、黒鉛減速材基材と、当該黒鉛減速材基材内に配置されたヒートパイプと、当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体とを備える。当該複数の燃料集合体のうち少なくとも1体は、原子燃料を収容するように構成された酸化ベリリウム製スリーブを備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願に記載する実施形態の様々な特徴とその利点を、下記の添付図面を参照して以下に説明する。
【0017】
図1は、例示的なマイクロ原子炉を示す。
【0018】
図2は、本開示の少なくとも1つの態様による、機能強化された炉心の複数の原子炉ユニットセルを示す。
【0019】
図3は、本開示の少なくとも1つの態様による、原子燃料を収容するスリーブの側面図である。
【0020】
同一の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指している。本願に記載された実施例は、本発明の様々な実施形態の一形態を示すものであり、かかる例示は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定的に解釈するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願に記載され、添付の図面に例示されているような実施形態の全体的構造、機能、製造、および使用について綿密に理解できるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。本願に記載された実施形態が不明瞭なものとならないようにするため、よく知られた操作、構成部品、および要素については詳述しない。読者においては、本願で説明および図示する実施形態が非限定的な例であり、したがって、本願で開示する特定の構造および機能の詳細が代表的かつ例示的であり得ることを理解されたい。これらの実施形態は、本願の特許請求の範囲から逸脱することがなければ、変形・変更される可能性がある。
【0022】
ここで、本開示の少なくとも1つの態様による、機能強化された炉心200の一部を示す図2を参照する。炉心200には、炉心200内で互いに隣接して配置された複数の原子炉ユニットセル202を含めることが可能である。ある態様において、原子炉ユニットセル202は、参照により本願に組み込まれる米国仮特許出願第62/984,591号に記載の原子炉炉心ブロックに類似したものでもよい。説明のため5つの原子炉ユニットセル202を示しているが、炉心200内に任意の数の原子炉ユニットセル202を含めることが可能であることを理解されたい。
【0023】
様々な実施形態において、原子炉ユニットセル202の各々は黒鉛減速材構造体(基材)204を含んでよい。ある態様において、黒鉛減速材構造体204は単体構造であってもよい。別の態様では、黒鉛減速材構造体204は、複数のより小さな黒鉛支持構造体構成部品を組み合わせて形成されたものであってもよい。黒鉛減速材構造体204は、以下に詳述するように、複数のヒートパイプ208および複数の燃料集合体210を収容できるサイズの複数のチャネル206を画定することができる。図2は、チャネル206、ヒートパイプ208、および燃料集合体210のうちの一部のみを示している。
【0024】
図2に示すように、黒鉛支持構造体204のチャネル206は、1つのヒートパイプ208を複数の燃料集合体210が取り囲むように配置することができる。一例として、図2に示すように、1つのヒートパイプ208を6つの燃料集合体210が取り囲むようにチャネル206を配置することができる。他の実施形態として、1つのヒートパイプ208を6体を超える燃料集合体210(例えば8、10、または12体の燃料集合体210)が取り囲む構成が想定される。他の例示的な実施形態として、1つのヒートパイプ208を6体未満の燃料集合体210(例えば5、4、または3体の燃料集合体210)が取り囲む構成が想定される。ある例示的な実施形態では、図2に示すように、原子炉ユニットセルあたりの燃料集合体210の数とヒートパイプ208の数の比を、24:7とすることができる。他の例示的な実施形態として、燃料集合体210の数とヒートパイプ208の数の比が24:7よりも大きく、例えば約4:1、5:1、6:1、または7:1であるものが想定される。他の例示的な実施形態として、燃料集合体210の数とヒートパイプ208の数の比が24:7よりも小さく、例えば約3:1、2.5:1、または2:1であるものが想定される。複数のヒートパイプ208を複数の燃料集合体210が取り囲むようにチャネル206が配置される、例示的な実施形態も想定される。
【0025】
ここで図2および図3を参照すると、燃料集合体210の各々には、黒鉛減速材構造体204によって画定されたチャネル206内に配置できる円筒形スリーブ212を含めることが可能である。さらに、燃料集合体210の各々には、スリーブ212内に配置された原子燃料214を含めることが可能である。様々な実施形態において、スリーブ212の少なくとも一部がチャネル206によって半径方向に取り囲まれ、スリーブ212の別の部分がチャネル206によって半径方向に取り囲まれることがないように、スリーブ212がチャネル206内に配置される。換言すると、スリーブ212の少なくとも一部分が黒鉛支持構造体204内で半径方向に取り囲まれ、スリーブ212の別の部分が黒鉛支持構造体204の外に延びるように、スリーブ212をチャネル206内に配置することができる。図3に示すような他の様々な実施形態では、スリーブ212がチャネル206によって完全に半径方向に取り囲まれるように、スリーブ212をチャネル206内に配置することができる。
【0026】
様々な実施形態において、スリーブ212は、例えば酸化ベリリウム(BeO)や炭化ベリリウム(BeC)のようなベリリウム系材料で構成することができる。ベリリウム系スリーブ212を原子燃料214の周囲に配置することは、中性子工学の観点で非常に有益である。例えば、ベリリウム系材料は、原子燃料214に中性子減速の効果を及ぼすだけでなく、約1.8MeV以上のエネルギーを持つ中性子の(n、2n)反応によって反応度に部分的に寄与する。
【0027】
ある態様では、スリーブ212の側壁216の厚さは、原子燃料214にとって必要な減速、ならびに炉心200内の温度勾配および応力を勘案して定めることができる。いくつかの例示的な実施形態では、側壁216の厚さを約0.15cm~約0.4cmの範囲とすることができる。側壁216の厚さが0.4cmより大きい(例えば0.5cm、0.6cm、0.7cmなど)、他の様々な実施形態が想定される。側壁216の厚さが0.15cmより小さい(例えば0.125cm、0.1cm、0.075cmなど)、他の様々な実施形態も想定される。
【0028】
図3に最もよく示されているように、スリーブ212の側壁216と、スリーブ212が収容配置されている黒鉛支持構造体204のチャネル206の内縁220との間に、第1の半径方向の隙間218を画定することができる。ある態様では、第1の半径方向の隙間218のサイズを、照射下でのベリリウム系材料の膨張と黒鉛の収縮、ならびにベリリウム系材料と黒鉛の相対的な熱膨張を勘案して定めることができる。様々な実施形態において、第1の半径方向の隙間218は、約0.1cm~約0.2cmの範囲としてもよい。第1の半径方向の隙間218が0.2cmより大きい(例えば0.25cm、0.3cm、0.4cmなど)、他の様々な実施形態が想定される。第1の半径方向の隙間218が0.1cmより小さい(例えば0.75cm、0.5cm、0.25cmなど)、他の様々な実施形態も想定される。
【0029】
引き続き図2および図3を参照すると、前述のように、燃料集合体210には、スリーブ212内に配置された原子燃料214を含めることが可能である。様々な実施形態において、原子燃料214にはTRISO燃料を含めることが可能である。様々な実施形態において、原子燃料214には、例えばUNのようなウランベースの燃料など、原子炉で使用可能な他の任意の適切な原子燃料を含めることができる。図3に最もよく示されているように、スリーブ212の側壁216と原子燃料214の半径方向の縁部224との間に、第2の半径方向の隙間222を画定することができる。ある態様では、第2の半径方向の隙間222の大きさを、燃料の取り扱いおよび組み立てプロセス、ならびに照射下での燃料コンパクトの変化を勘案して定めることが可能である。様々な実施形態において、第2の半径方向の隙間222は、約0.007cm~約0.01cmの範囲であってよい。第2の半径方向の隙間222が0.01cmより大きい(例えば0.02cm、0.025cm、0.03cmなど)、他の様々な実施形態が想定される。第2の半径方向の隙間222が0.007cmより小さい(例えば0.006cm、0.005cm、0.004cmなど)、他の様々な実施形態も想定される。
【0030】
上述のように、第1の半径方向の隙間218は、スリーブ212の側壁216と黒鉛支持構造体204のチャネル216の内縁220との間に画定することができる。同様に上述のように、第2の半径方向の隙間222は、スリーブ212の側壁216と原子燃料214の半径方向の縁部224との間に画定することができる。ある態様では、第1の半径方向の隙間218と第2の半径方向の隙間222のサイズの比が、約10:1から約30:1の範囲となる場合がある。第1の半径方向の隙間218と第2の半径方向の隙間222のサイズの比が10:1より小さい(例えば9:1、7:1、5:1など)、他の様々な実施形態も想定される。第1の半径方向の隙間218と第2の半径方向の隙間222のサイズの比が30:1より大きい(例えば32:1、35:1、40:1など)、他の様々な実施形態も想定される。
【0031】
ある態様では、第1の半径方向の隙間218および第2の半径方向の隙間222を、各隙間の大きさを保つため、および、燃料集合体210の外への熱伝達を促進するために、ガスで充填することができる。ある例示的な実施形態においては、第1の半径方向の隙間218と第2の半径方向の隙間222を、ヘリウムガスで充填することが可能である。第1の半径方向の隙間218と第2の半径方向の隙間222を、燃料集合体210の外への熱伝達を促進できる任意の適切なガスで充填する、他の様々な実施形態も想定される。
【0032】
図3に示すように、燃料集合体210には、第1の端部キャップ226と第2の端部キャップ230をさらに含めることが可能である。第1の端部キャップ226と第2の端部キャップ230は、それぞれスリーブ212の第1の開端部228およびスリーブ212の第2の開端部232と接続することにより、スリーブ212内に原子燃料214を封入することができる。様々な実施形態において、第1および第2の端部キャップ226、230を、それぞれ第1および第2の開端部228、232に圧入して、スリーブ212内に原子燃料214を封入することができる。様々な実施形態において、第1および第2の端部キャップ226、230を、それぞれ第1および第2の開端部228、232に溶接して、スリーブ212内に原子燃料214を封入することができる。様々な実施形態において、第1および第2の端部キャップ226、230を、それぞれ第1および第2の開端部228、232に当てて保持し、ラッチ機構を用いて、スリーブ212内に原子燃料214を封入することができる。様々な実施形態において、第1および第2のエンドキャップ226、230を例えばBeOやBeCなどのベリリウム系材料で構成することにより、原子燃料214に対して軸方向にスリーブ212と同様の利点をもたらすことができる。
【0033】
また、燃料集合体210には、第1および第2の端部キャップ226、230と原子燃料214の軸方向の縁部236との間に配置可能な、軸方向の反射体ペレット234をさらに含めることが可能である。ある態様では、軸方向の反射体ペレット234を例えばBeOやBeCなどのベリリウム系材料で構成することにより、原子燃料214に対して軸方向にスリーブ212および端部キャップ226、230と同様の利点をもたらすことができる。
【0034】
本願に記載された上述のベリリウム系スリーブおよびその他の改良は、先行技術に比べて多くの利点をもたらし、原子炉設計および燃料の検討に関連する前述の要件の多くを満たすことがわかっている。従来、ベリリウム系材料は入手困難であり、そのためコストも高いことから、原子炉への応用が検討されることはなかった。また、ベリリウム系材料は、大型発電炉で見られる高い中性子束によって割れや形状変化が生じるため、原子炉への応用が検討されることはなかった。一方、中性子束が低めのマイクロ原子炉のような小型の発電炉には、ベリリウム系材料の使用が適している。
【0035】
先行技術に対する利点の一例として、上述の機能強化により、例えばTRISCO燃料などの燃料を約5%~12%削減できることが判明している。この削減は、燃料の有効長、炉心の長さ、および炉心とその周辺の構成部品の重量の削減につながる。さらに、ヒートパイプの物理的挙動を適切にモデル化した3次元熱機械解析を用いて、上記の機能強化により原子炉システムの許容可能な燃料温度範囲を満たせることも判明している。また、原子力システムの性能は、過渡状態での安全要件も満たしており、特に負の出力反応度係数に適合している。
【0036】
さらに、上述の機能強化により、ヒートパイプや、原子炉計装など原子炉内のその他の金属部品から起こり得る、ニッケルなどの金属同位体の移動からTRISO燃料などの原子燃料を保護することが可能になる。さらに、ベリリウム系スリーブにより、原子炉の各燃料チャンネル内に配置される原子燃料の「容器」が提供され、原子炉の組み立てが容易となる。他の多くの利点が、上記の開示に照らし、当業者にとって直ちに明白となるであろう。
【0037】
本願に記載された主題の様々な態様を、以下の実施例にて記載する。
【0038】
〔実施例1〕黒鉛減速材構造体と、当該黒鉛減速材構造体の中に配置されたヒートパイプと、当該黒鉛減速材構造体の中に配置された燃料集合体とを備える原子炉ユニットセルであって、当該燃料集合体が、酸化ベリリウム製スリーブと、当該酸化ベリリウム製スリーブの中に配置された原子燃料とを備える原子炉ユニットセル。
【0039】
[実施例2]前記燃料集合体が、前記酸化ベリリウム製スリーブ内に配置された複数の酸化ベリリウムペレットをさらに含む、実施例1の原子炉ユニットセル。
【0040】
〔実施例3〕前記燃料集合体が、前記酸化ベリリウム製スリーブと結合可能な端部キャップをさらに備え、前記酸化ベリリウムペレットが当該端部キャップと前記原子燃料との間に配置される、実施例2の原子炉ユニットセル。
【0041】
〔実施例4〕前記原子燃料と前記酸化ベリリウム製スリーブとの間に半径方向の隙間が画定されている、実施例1~3のいずれか1つの原子炉ユニットセル。
【0042】
〔実施例5〕前記半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、実施例4の原子炉ユニットセル。
【0043】
〔実施例6〕前記半径方向の隙間が約0.007cm~約0.01cmの範囲である、実施例4または5の原子炉ユニットセル。
【0044】
〔実施例7〕前記燃料集合体と前記黒鉛減速材構造体との間に半径方向の隙間が画定されている、実施例1~6のいずれか1つの原子炉ユニットセル。
【0045】
〔実施例8〕前記半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、実施例7の原子炉ユニットセル。
【0046】
〔実施例9〕前記半径方向の隙間が約0.1cm~約0.2cmの範囲である、実施例7または8の原子炉ユニットセル。
【0047】
〔実施例10〕前記酸化ベリリウム製スリーブが、約0.15cm~約0.4cmの範囲の壁厚を有する、実施例1~9のいずれか1つの原子炉ユニットセル。
【0048】
〔実施例11〕前記原子燃料がTRISO燃料を含む、実施例1~10のいずれか1つの原子炉ユニットセル。
【0049】
〔実施例12〕黒鉛減速材基材と、当該黒鉛減速材基材内に配置されたヒートパイプと、当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体とを備える原子炉ユニットセルであって、当該複数の燃料集合体が当該ヒートパイプを取り囲み、当該複数の燃料集合体のうちの少なくとも1つの燃料集合体が、ベリリウム系材料で構成されたスリーブと、当該スリーブ内に配置された原子燃料とを備えることを特徴とする原子炉ユニットセル。
【0050】
〔実施例13〕前記少なくとも1つの燃料集合体が、ベリリウム系材料で構成された複数のペレットをさらに含み、当該ペレットが前記スリーブ内に配置されている、実施例12の原子炉ユニットセル。
【0051】
〔実施例14〕前記少なくとも1つの燃料集合体が、前記スリーブと結合可能な端部キャップをさらに備え、前記ペレットが当該端部キャップと前記原子燃料との間に配置される、実施例13の原子炉ユニットセル。
【0052】
〔実施例15〕前記スリーブと前記黒鉛減速材基材との間に第1の半径方向の隙間が画定され、且つ前記原子燃料と前記スリーブとの間に第2の半径方向の隙間が画定されており、当該第1の半径方向の隙間が当該第2の半径方向の隙間とは異なる、実施例12~14のいずれか1つの原子炉ユニットセル。
【0053】
〔実施例16〕前記第1の半径方向の隙間が約0.1cm~約0.2cmの範囲であり、前記第2の半径方向の隙間が約0.007cm~約0.1cmの範囲である、実施例15の原子炉ユニットセル。
【0054】
〔実施例17〕前記第1の半径方向の隙間および前記第2の半径方向の隙間にヘリウムガスが含まれている、実施例15または16の原子炉ユニットセル。
【0055】
〔実施例18〕複数の原子炉ユニットセルを含む原子炉炉心であって、当該原子炉ユニットセルの少なくとも1つは、黒鉛減速材基材と、当該黒鉛減速材基材内に配置された複数のヒートパイプと、当該黒鉛減速材基材内に配置された複数の燃料集合体とを備え、当該複数の燃料集合体の少なくとも1体は、原子燃料を収容するように構成された酸化ベリリウム製スリーブを備えることを特徴とする原子炉炉心。
【0056】
〔実施例19〕前記少なくとも1体の燃料集合体と前記黒鉛減速材基材との間に半径方向の隙間が画定されている、実施例18の原子炉炉心。
【0057】
〔実施例20〕前記酸化ベリリウム製スリーブが、約0.15cm~約0.4cmの範囲の壁厚を有する、実施例18または19の原子炉炉心。
【0058】
前述の開示から明らかなように、特に指定がない限り、前述の開示全体を通じて、「処理(processing)」、「コンピュータの使用(computing)」、「計算(calculating)」、「決定(determining)」、「表示(displaying)」などの用語を用いた議論は、コンピュータシステムまたは同様の電子計算装置の動作およびプロセスを指し、その際に、当該コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理的(電子的)量として表されるデータが、当該コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他の情報記憶、伝送、表示装置内の物理的量として同様に表される他のデータに操作・変換されるということが理解される。
【0059】
本願において1つまたは複数の構成要素が、「~に構成される(configuredto)」、「~に構成可能である(configurable to)」、「~に操作可能である/操作される(operable/operative to)」、「適応された/適応可能な(adapted/adaptable)」、「~が可能である(ableto)」「~に適合可能である/適合した(conformable/conformed to)」等と称されることがある。当業者であれば、「~に構成される」という表現は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、一般的に活動状態の構成要素および/または非活動状態の構成要素および/または待機状態の構成要素を包含し得るということがわかるだろう。
【0060】
通常、本願において、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、一般に「非限定的(open)」な用語として意図されているということが、当業者であればわかるだろう(例えば、用語「含めて(including)」は「含めるがそれに限定しない」と解釈し、用語「有する(having)」は「少なくとも~を有する」と解釈し、用語「含む(includes)」は「含むがそれに限定しない」と解釈すべきである等)。さらに当業者は、請求項で導入される記載事項の数が具体的であることが意図される場合、そのような意図は当該請求項において明示的に記載されるものであり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないものと理解するであろう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項の導入のために、「少なくとも1つ(atleast one)」および「1つ以上(one or more)」という導入句を使用する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞によって請求項の記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「a」または「an」といった不定冠詞が共に含まれる場合であっても、かかる導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つだけ含む請求項に限定されることが示唆される、と解釈すべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである)。同じことが、定冠詞を用いて請求項の記載を導入する場合にも当てはまる。
【0061】
また、請求項で導入される記載事項の具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも当該記載された数であるの意味に解釈すべきことが、当業者であればわかるだろう(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載事項(tworecitations)」と記載されている場合、少なくとも2つの記載事項または2つ以上の記載事項という意味である)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなど有するシステムを含むが、それらに限定されない)。一般的に、2つ以上の選択的な用語を表す選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、文脈上他の意味で解釈すべき場合を除き、当該用語のうちの1つ、当該用語のいずれか、または当該用語の両方を含む可能性を企図するということを理解すべきであることも、当業者であればわかるであろう。例えば、句「AまたはB」は、一般的に「A」、「B」、または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0062】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載された動作は一般的に任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図はある順序で示されているが、様々な動作は、図示されている順序とは別の順序で実行されてもよいし、同時に実行されてもよいということを理解すべきである。そのような代替の順序付けの例として、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、重複した、挿入した、中断した、再順序付けした、増加した、予備的な、追加的な、同時発生の、逆の、またはその他様々な順序付けを含めてもよい。さらに、「~に応答する(responsiveto)」、「~に関連する(related to)」といった用語や他の過去時制の形容詞は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、一般にかかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0063】
「ある態様(one aspect)」、「1つの態様(an aspect)」、「1つの実施例(an exemplification)」、「ある実施例(one exemplification)」などへの参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴物、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは、特記に値する。したがって、本願の全体を通じて様々な箇所に見られる句「ある態様では(in one aspect)」、「1つの態様では(in an aspect)」、「1つの実施例では(in an exemplification)」、および「ある実施例では(in one exemplification)」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。さらに、特定の特徴物、構造、または特性は、1つ以上の態様において任意の適当な方式で組み合わせることができる。
【0064】
本願で参照され、かつ/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が本願と矛盾しない範囲で、参照により本願に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本願に明瞭に記載された開示内容は、それと矛盾する、参照により本願に組み込まれた資料に優先するものとする。参照により本願に組み込まれるとされているが、既存の定義、見解、または本願に記載されるその他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0065】
「備えている(comprise)」の語およびその派生語(「comprises」、「comprising」など)、「有する(have)」の語およびその派生語(「has」、「having」など)、「含む(include)」の語およびその派生語(「includes」、「including」など)、「包有する(contain)」の語およびその派生語(「contains」、「containing」など)は、非限定的な連結動詞である。すなわち、1つ以上の要素を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システムは、これらの1つ以上の要素を有しているが、これらの1つ以上の要素のみを有することに限定されるものではない。同様に、1つ以上の特徴物を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システム、装置、または機器の要素は、これらの1つ以上の特徴物を有しているが、これらの1つ以上の特徴物のみを有することに限定されるものではない。
【0066】
本開示で使用される「実質的に(substantially)」、「およそ(about)」、または「約(approximately)」という用語は、特に指定がない限り、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、これは値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存する。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、標準偏差の1、2、3、または4倍の範囲内を意味する。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、所定の値から50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内の範囲を意味する。
【0067】
要約すると、本願に記載された概念を採用することによって得られる多くの利点を記載してきた。1つ以上の形態に関する上述の記載は、例示と説明の目的で提示されているものであり、開示された正確な形態を網羅的または限定的に示すことを意図するものではない。上記の教示に照らして、改修または変形が可能である。当該1つ以上の形態は、原理および実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な改修例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択・説明したものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲によって、全体的な範囲が定義されることを意図している。
図1
図2
図3
【国際調査報告】