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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】使用済み印刷版のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20231212BHJP
   B29B 17/04 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B29B17/00
B29B17/04 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533934
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 US2022070286
(87)【国際公開番号】W WO2022165469
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/159,541
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスト、ライアン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA11
4F401AA27
4F401AD07
4F401CA14
4F401CA22
4F401CA42
4F401DC00
4F401FA08Z
(57)【要約】

フォトポリマー印刷版材料から粒状生成物を製造する方法。この方法は、(a)識別可能な特性に基づいてフォトポリマー印刷版材料を選別する工程であって、フォトポリマー印刷版材料は、1つ以上のフォトポリマー層を含む、工程と、(b)フォトポリマー印刷版材料を粒子に粉砕する工程と、(c)粒子をスクリーニングして特定のサイズを超える粒子を除去し、粒状生成物を生成する工程と、を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトポリマー印刷版材料から粒状生成物を製造する方法であって、
a)識別可能な特性に基づいて前記フォトポリマー印刷版材料を選別する工程と、
b)フォトポリマー印刷版材料を粒子に粉砕する工程と、
c)前記粒子をスクリーニングして特定のサイズを超える粒子を除去し、前記粒状生成物を製造する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
フォトポリマー印刷版材料が、支持層上に1つ以上の硬化したフォトポリマー層を含む使用済み光硬化した又は光重合したフレキソ印刷要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の硬化したフォトポリマー層が、スチレン-イソプレン-スチレン及びスチレン-ブタジエン-スチレンから選択されるバインダーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バインダーが、スチレン-ブタジエン-スチレンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記支持層が、前記粉砕工程の前に前記1つ以上のフォトポリマー層から除去されない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記識別可能な特性が、バインダーの種類、前記フォトポリマーのショアA硬度、印刷版ゲージ、及びこれらの1つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記粒状生成物が、20mm未満の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記粒状生成物が、10mm未満の粒径を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粒状生成物が、5mm未満の粒径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
粘着防止剤が、工程c)の後に前記粒状生成物に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記粘着防止剤が、ヒュームドシリカ、タルク、マイカ、粘土、炭酸塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸、液体潤滑剤、乳化ワックス、及びケイ酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の粒状生成物を含む、アスファルトシングル。
【請求項13】
前記アスファルトシングルが、約5体積%~約10体積%の前記粒状生成物及びアスファルトを含む、請求項12に記載のアスファルトシングル。
【請求項14】
請求項1に記載の粒状生成物をアスファルトとブレンドする工程を含む、アスファルトシングルを調製する方法。
【請求項15】
前記粒状生成物を前記アスファルトとブレンドする前記工程が、前記粒状生成物を前記アスファルトと約30~約60分間、約350~約400°Fの温度で混合することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、フレキソ印刷要素のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷要素は、典型的には、開口領域より上に隆起した画像要素を有するレリーフ版である。かかる版は、版の耐久性及び版を容易に作製することができることに主に基づいて、プリンタにいくつかの利点を提供する。
【0003】
製造元によって供給される典型的なフレキソ印刷ブランクは、典型的には、順に、バッキング又は支持層、1つ以上の未曝露光硬化性層、保護層又はスリップフィルム、及びカバーシートを含む多層物品である。処理されたフレキソレリーフ画像印刷要素は、印刷要素の表面上にレリーフ画像を含む。
【0004】
このレリーフ画像は、様々な方法で作成することができる。例えば、1つの一般的な方法では、フレキソ印刷要素は、光硬化性印刷ブランクに画像形成して印刷要素の表面上にレリーフ画像を生成することによって作製される。これは、概して、光硬化性材料を化学線に選択的に曝露することによって達成され、この曝露は、照射領域内の光硬化性材料を硬化又は架橋させるように作用する。光硬化性印刷ブランクは、連続的な(継ぎ目のない)スリーブの形態であり得るか、又はキャリア上に装着された平坦な平面版であり得る。
【0005】
印刷要素は、様々な方法で化学線に選択的に曝露され得る。例えば、透明領域及び実質的に不透明な領域を有する写真ネガを使用して、印刷版要素への化学線の透過を選択的に遮断する。あるいは、in situネガは、レーザーアブレーションの影響を受けやすい1つ以上のフォトポリマー層の上の化学線に(実質的に)不透過な層を選択的にレーザーアブレーションすることによって作製される。更に別の代替肢では、化学線の集束ビームを使用して、フォトポリマーを選択的に曝露する。フォトポリマーを化学線に選択的に曝露し、それによってフォトポリマーの部分を選択的に硬化させる能力を基準として、これらの代替的方法のいずれも許容可能である。
【0006】
また、液体フォトポリマーを使用して、フレキソ印刷要素を構築してもよく、液体フォトポリマーは、所望のレリーフ画像を作成するために選択的に架橋され、硬化される。
【0007】
その後、印刷要素のフォトポリマー層を現像して、フォトポリマー層の硬化部分を乱すことなく、フォトポリマーの未硬化(すなわち、非架橋)部分を除去して、レリーフ画像を生成する。現像工程は、水洗、溶媒洗浄、及び熱現像(ブロッティング)を含む様々な方法で達成することができる。
【0008】
レリーフ画像はまた、所望のレリーフ画像を生成するために、光硬化、光重合、又は加硫層を選択的にレーザー彫刻することによって形成され得る。
【0009】
レリーフ画像を作成する他の方法も当業者に知られている。
【0010】
フレキソ印刷要素に使用されるフォトポリマーは、一般に、1つ以上のバインダー、モノマー、可塑剤及び光開始剤を他の性能添加剤と共に含有する。好ましいバインダーとして、ポリスチレン-イソプレン-スチレン、及びポリスチレン-ブタジエン-スチレン、特にこれらのブロックコポリマーが挙げられる。このようなフォトポリマー組成物の例として、Robertsらの米国特許出願公開第2004/0146806号に記載されているものが挙げられ、その教示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
レリーフ画像印刷要素が準備されたら、フレキソ印刷要素を印刷シリンダーに取り付け、印刷を開始することができる。フレキソ印刷要素は、フィルム、箔、紙、段ボール、板紙などを含む様々な基材上への大量印刷作業に、高い印刷速度で使用することができる。
【0012】
印刷運転が完了すると、又は印刷版が使用により摩耗した場合、印刷版を廃棄しなければならない。印刷プレート廃棄物は、業界での重大な問題であり、企業は、より持続可能な材料、並びに焼却又は埋め立てに頼ることなく使用済み材料をリサイクルする方法をますます求めている。加えて、例えばエッジストリップを含む光重合性印刷版ブランクの製造で残された未露光材料を含む未使用のフォトポリマー材料、製造の開始及び停止による損失、並びに使用不可能な期限切れの未加工印刷版も廃棄物を構成する。
【0013】
リサイクルしない場合は廃棄すべきフレキソ印刷版及び未使用のフォトポリマー材料を、リサイクル及び/又は再使用する方法を開発することが望ましい。
【0014】
更に、架橋、硬化又は加硫された材料を、すぐに再加工、再形成、再利用又はリサイクルして元の組成物及び用途に戻すことが容易でないことは、認識されている問題である。エラストマーフォトポリマー組成物の架橋は、特に比較的厚いフレキソ印刷版先行体を形成する場合に、早すぎる設定、不完全な硬化、及び短い組成物ポットライフ(すなわち、早期架橋)を含む、製造の複雑さ及び困難さを引き起こし得る複雑な材料の配合を必要とする。
【0015】
上述したように、フレキソ印刷版は、一般に、光硬化材料の1つ以上の層と共にバッキング層からなり、光硬化材料のこれらの層は、互いに同じであっても異なっていてもよい。他の層としては、例えば、とりわけ、酸素バリア層、接着剤層、キャッピング層、及びハレーション防止層が挙げられる。
【0016】
長年にわたって、エラストマーフォトポリマー印刷要素をリサイクルする際の大きな難題の1つは、ポリエステルバッキングに加えてエラストマープレート材料が存在し、更に乾燥インクなどの印刷副生成物が存在する「サンドイッチ」に集中してきた。更に、フォトポリマーフレキソ印刷版は合成樹脂複合材料であるため、未露光及び露光フォトポリマーのリサイクルは困難であることが多い。従来は、そのようなフォトポリマーをリサイクルし得る前に、個々の合成樹脂の結合をまず溶解しなければならない。それに基づいて、使用済み印刷版材料を簡便かつ費用効果的な方法で再利用することができ、従来技術の欠点を克服するプロセスを開発する大きな市場ニーズが残っている。
【0017】
その主題が参照により全体が本明細書に組み込まれる、Kraskaらの米国特許第5,552,261号は、露光及び/又は未露光の光重合性記録層及び支持体を含有するフォトポリマーフレキソ印刷版をリサイクルするプロセスについて説明している。しかしながら、この方法では、まず記録層を支持層や他の層から分離する必要がある。
【0018】
その主題が参照により全体が本明細書に組み込まれる、Landry-Coltrainらの米国特許第8,920,692号は、使用済み及び未使用のレーザー彫刻可能なフレキソ印刷版先行体及びレーザー彫刻されたフレキソ印刷要素をリサイクルする方法について説明している。しかしながら、この方法もまた、まずレーザー彫刻可能な層又はレーザー彫刻された層を支持層や任意の他の層から物理的に分離する必要がある。更に、説明されたリサイクルプロセスの一部として、この方法は、レーザー彫刻可能な層又はレーザー彫刻された層を溶融する工程も必要とする。
【0019】
したがって、現在の方法は、支持体又は他の層ではなく、レーザー彫刻可能な層又はレーザー彫刻された層のみをリサイクル又は再利用する手段を提供することが分かる。そのため、現在の方法は、バッキング層又は支持層の処分に関連するかなりの廃棄物を依然として許容する。先行技術の欠点を克服する、フォトポリマー印刷版材料をリサイクルする改善されたプロセスが、当該技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、フレキソ印刷版先行体材料をリサイクルする方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、使用済み印刷版及び使用済み印刷スリーブを含む使用済みフレキソレリーフ画像印刷要素をリサイクルする方法を提供することである。
【0022】
本発明の更に別の目的は、処理中にバッキング層、基材層、又は他の中間層を除去する必要がない、フレキソ印刷要素及び材料をリサイクルする方法を提供することである。
【0023】
本発明の更に別の目的は、フレキソ印刷版構造体全体を簡便かつ費用効果的な方法でリサイクルすることを可能にする、リサイクル方法を提供することである。
【0024】
そのために、一実施形態では、本発明は、概して、フォトポリマー印刷版材料から粒状生成物を製造する方法に関し、本方法は、
a)識別可能な特性に基づいてフォトポリマー印刷版材料を選別する工程と、
b)フォトポリマー印刷版材料を粒子に粉砕する工程と、
c)粒子をスクリーニングして特定のサイズを超える粒子を除去し、粒状生成物を製造する工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載されているように、一実施形態では、本発明は、一般に、簡便で費用効率の高い方法でフォトポリマー印刷版材料をリサイクルし、粒状生成物を製造する方法に関する。この粒状生成物は、単独で、又は他の使用済み再生材料と組み合わせて、様々な製品に組み込むことができる。
【0026】
開示される実施形態は、様々な形態で具現化され得る本開示の単なる例解であることが理解されるべきである。したがって、例示的なアセンブリ/製造方法並びにアセンブリ及び使用の関連するプロセス/技法を参照して本明細書に開示される詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本開示の有利なアセンブリ/システムをどのように作製及び使用するかを当業者に教示するための基礎として解釈されるべきである。
【0027】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、単数及び複数の両方を指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値を意味し、具体的に列挙された値の、及びその値からの、+/-15%以下の変動、好ましくは+/-10%以下の変動、より好ましくは+/-5%以下の変動、更により好ましくは+/-1%以下の変動、なおもより好ましくは+/-0.1%以下の変動を、このような変動が本明細書に記載される本発明で実施するために適切である限り、含むことを意味する。更に、修飾語「約」が意味する値は、それ自体が本明細書に具体的に開示されていることも理解されたい。
【0029】
本明細書で使用するとき、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「前部(front)」、「後部(back)」のような空間的に相対的な用語は、別の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を説明するために使用される。「前部(front)」及び「後部(back)」という用語は、限定することを意図するものではなく、適切な場合に交換可能であることが意図されていることが更に理解される。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise(s))」及び/又は「含む(comprising)」とは、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しない。
【0031】
本発明の発明者らは、インク残留物を含有するフレキソレリーフ画像印刷版を含む印刷版に使用される様々なエラストマーフォトポリマーを、フォトポリマーの1つ以上の層、バッキング層、及び他のそのような層と共に加工して、様々な製品に使用可能な粒状生成物を製造できることを見出した。本発明の主な利点の1つは、印刷版の層のいずれかを分離する必要がないことであり、インク残留物、硬化したフォトポリマー層、バッキング層、及び任意の中間層を含む印刷版全体を、本明細書に記載される工程に供して、粒状生成物を製造することができる。
【0032】
そのために、一実施形態では、本発明は、概して、フォトポリマー印刷版材料から粒状生成物を製造する方法に関し、本方法は、
a)識別可能な特性に基づいてフォトポリマー印刷版材料を選別する工程であって、フォトポリマー印刷版材料は、1つ以上のフォトポリマー層を含む、工程と、
b)フォトポリマー印刷版材料を粉砕して、粒子又は顆粒を生成する工程と、
c)粒子又は顆粒をスクリーニングして、特定のサイズを超える粒子又は顆粒を除去する工程と、を含む。
【0033】
一実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、未使用の光硬化性又は感光性印刷ブランク並びに使用済みの光硬化した及び/又は光重合した印刷要素のうちの1つ以上を含む。好ましい一実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、使用済みの光硬化した及び/又は光重合した印刷要素を含むが、これは、本発明者らが、粒状生成物を製造するためにこれらの材料がより容易に粉砕されることを見出したためである。更に、本発明者らは、未硬化の印刷版材料がより有害であり、生成物を取り扱う作業者への刺激を引き起こし得ることを見出した。
【0034】
本明細書に記載されるように、本発明の工程の1つは、印刷版材料の特定の特性を識別して、そのような識別可能な特性に基づいて材料を選別又はスクリーニングすることを含む。これにより、粒状生成物に一貫性がありかつ再現性があることを可能にする。一実施形態では、材料を、バインダーの種類、フォトポリマー材料の融点、フォトポリマー材料のショアA硬度、又は他の識別可能な特性に基づいて選別することができる。したがって、重要なことは、得られる生成物が、エンドユーザ製品での使用に適した識別可能で一貫した特性を有するように、材料を選別することである。これにより、リサイクル不可能な望ましくない層を有さない材料を特定することも可能になる。
【0035】
一実施形態では、本発明の発明者らは、スチレンブロックコポリマー系のフォトポリマー印刷版材料が良好な結果をもたらすことを見出した。好ましい一実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)型フォトポリマー系である。別の実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)型フォトポリマー系である。他のタイプのフォトポリマーが知られており、本発明の実施において使用可能であるが、本発明の発明者らは、SBSタイプのフォトポリマー材料がより高い安定性を有し、したがって一貫した粒状生成物が製造されることを見出した。したがって、一実施形態では、印刷版材料は、SBSバインダーを含有する材料のみを含有するように選別される。
【0036】
あるいは、選別工程は、印刷版の種類(すなわち、液体又はシート状ポリマー)、厚いプレートか薄いプレートか、ショアA硬度などに基づき得る。一実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、約40を超えるショアA硬度を有する版から約40未満のショアA硬度を有する版を分離するように選別されてもよい。あるいは、フォトポリマー印刷版は、約0.107インチを超えるゲージを有する版から約0.107インチ未満のゲージを有する版を分離するように選別されてもよい。他の選別手段も、当業者に既知である。しかしながら、バインダーの種類に基づいてフォトポリマー印刷版材料を選別することが、好ましい選別方法である。
【0037】
典型的なバッキング層及び/又は支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルを含み、これらの材料は、フォトポリマー印刷版材料の光硬化性層又は光硬化した層と共にリサイクルするのに適している。したがって、これらのバッキング層及び/又は支持層は、フォトポリマー印刷版材料をリサイクルする前に除去する必要がない。加えて、カーボンブラック層及びその残留物も、フォトポリマー印刷版材料から除去する必要がなく、フォトポリマー印刷版材料をリサイクルする前に除去する必要もない。同様に、使用済み印刷版の表面上に残っているインク残留物は、使用済みフレキソ印刷版をリサイクルする前に除去する必要がない。しかしながら、フォトポリマー印刷版材料に含まれ得る特定の層は、リサイクルに適していないと考えられる場合があり、かつ/又は、特定の製品での使用に適した所望の特性を持たない粒状生成物がもたらされる場合があり、これらの特定の層は、粉砕工程の前に除去することができ、除去すべきである。
【0038】
材料が識別及び/又は選別されると、それらの選別された材料は、粉砕工程にかけられる。この粉砕工程は、単一又は複数工程のプロセスであってもよく、粉砕工程は、極低温又は非極低温で実施されてもよい。
【0039】
一実施形態では、フォトポリマー印刷版材料は、フォトポリマー印刷版材料を細断してフォトポリマー印刷版材料をより小さいチップ又は細片にする初期細断工程にかけられる。次いで、これらのチップ又は細片を造粒プロセスに供して、所望の粒径を有する粒子又は顆粒を製造することができる。
【0040】
非極低温粉砕では、初期細断工程が実施されると、仕上げミルが材料を所望の粒径に粉砕する。この工程は、所望の粒径が達成されるまで1回以上行ってもよい。各処理工程の後、材料を篩い分けスクリーン又は他の同様の手段によって分級してもよく、篩い分けスクリーン又は他の同様の手段により、更なる処理のために大きいサイズの片を造粒機又はミルに戻す。必要であれば、磁石を使用して金属汚染物質を除去してもよい。
【0041】
極低温処理は、粉砕の前に使用済み細片又はチップを凍結させるため、液体窒素又は他の材料/方法を使用する。本明細書に記載されるほとんどの光硬化性材料又は光硬化した材料は、約-80℃未満の温度で脆化、つまり「ガラス状」になる。極低温の使用は、粉砕の任意の段階で適用することができる。材料は、トンネル型チャンバ内で冷却されるか、液体窒素の「浴」に浸漬されるか、又は液体窒素を噴霧して、粒状生成物の温度を低下させることができる。冷却された粒子は、衝撃型粉砕ユニット、遠心分離機、又はハンマーミルで粉砕することができる。このプロセスは、フォトポリマー印刷版材料を粒状生成物まで小さくする。低温粉砕は、フォトポリマー印刷版材料の熱劣化を回避し、高収率の粒状生成物を生成する。
【0042】
湿式粉砕プロセスを使用して、粒状生成物を製造することもできる。湿式粉砕プロセスは、フォトポリマー印刷版材料のチップ又は細片を水と混合してスラリーを生成する。次に、このスラリーを粉砕及び分級装置に通す。所望のサイズが達成されると、スラリーは、大部分の水を除去した後に乾燥させるための装置に運ばれる。水の使用とは別に、周囲プロセスで使用される同じ基本原理が湿式粉砕プロセスで利用される。
【0043】
これらのプロセスの全てを使用して、フォトポリマー印刷版材料を粉砕し、粒状生成物を製造することができる。
【0044】
本明細書に記載されるように、粒状生成物は、特定のサイズを超える粒子を除去するために分粒又はスクリーニング工程に供される。この分粒又はスクリーニング工程は、粉砕工程の一部として形成されてもよく、又は粉砕工程後に実施される別個の工程であってもよい。
【0045】
所望の粒径は、好ましくは約20mm未満、より好ましくは約10mm未満、更により好ましくは約5mm未満の範囲内である。一実施形態では、粒子をスクリーニングして、約10mm超、より好ましくは約5mm超の直径を有する粒子を除去する。
【0046】
粒状生成物をスクリーニングした後、凝集を防止するために、粉砕粒子に粘着防止剤を添加してよい。例えば、粘着防止剤は、とりわけ、ヒュームドシリカ、充填剤、例えばタルク、マイカ、粘土、及び炭酸塩、ステアリン酸金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸、液体潤滑剤、乳化ワックス、及びケイ酸カルシウムからなる群から選択することができる。一実施形態では、粘着防止剤はヒュームドシリカを含む。
【0047】
粒状生成物を用いて、様々な建築材料及び他の製品において、使用済みリサイクル材料の全部又は一部を置き換えることができる。したがって、使用済みフレキソ印刷要素及び/又は未使用の光硬化性印刷ブランク材料を使用して、アスファルトシングルなどの建築材料中のPCRMを置き換えるための粒状生成物を製造することができる。
【0048】
一実施形態では、持続可能な製品は、屋根瓦又は屋根板であり、粉砕材料を他の材料と組み合わせて使用して、高濃度の粉砕再生材料を組み込んだ屋根瓦又は屋根板を製造する。他の材料としては、例として、アスファルト、舗装材料、及び合成木材を含む合成建築材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
実施例1:
フォトポリマー印刷版材料を評価し、選別して、スチレン-ブタジエン-スチレンバインダーを利用していない任意のフォトポリマー印刷版材料を除去して、スチレン-ブタジエン-スチレンフォトポリマーに基づき、ポリエチレンテレフタレート(PET)バッキング層を含むフォトポリマー印刷版材料のみを残した。これらのフォトポリマー印刷版材料を粉砕して粒状生成物を作製した。次いで、粒状生成物をスクリーニングして、10mmを超えるサイズの粒子を除去した。
【0050】
実施例2:
スロット付き垂直ヘッドを備えたSilverson Model L5M-A High Shearミキサーを使用して、実施例1で製造した粒状生成物をアスファルトと混合した。
【0051】
粒状生成物を舗装グレードのアスファルト(PG64-22)と混合した。PGグレードシステムは、舗装温度を表す2つの数によって定義される。最初の数字は高い舗装温度を摂氏で表し、2番目の数字は低い舗装温度を表す。高温は、わだち掘れの影響に関連し、低温は、低温割れ及び疲労クラックに関連する。
【0052】
粒状生成物を、375°Fの温度で60分間、アスファルトと混合した。
【0053】
アスファルト中の材料特性及び挙動、更に原料フラックスと比較した効力や増加率を決定するため、5重量%と7重量%の粒子をブレンドすることを出発点とした。
【0054】
材料は十分にブレンドされたが、材料の全てがアスファルトにブレンドしたわけではないことが観察された。粒状生成物の一部は、手動撹拌後に混合缶の内面に付着した。更に、材料は粘度スピンドル及び混合ヘッドにも付着した。
【0055】
ブレンド及び試験の結果は良好な結果をもたらし、粒状生成物のアスファルトとの効力及び適合性を明らかにした。加えて、ブレンド工程中に臭気は観察されなかった。
【0056】
実施例3:
実施例1の粒状生成物を評価して、生成物と他の使用済み再生材料(PCRM)及びポリマーとの適合性を試験した。
【0057】
通常、5%PCRM+3%ポリマー、及び3%PCRMに対する3%ポリマーからなる複合配合物を選択した。2.5%の5%PCRMを、2.5%の実施例1の粒状生成物で置き換えた。ブレンド結果は、粒状生成物が他のPCRM及び他の種類のポリマーと適合であることを明らかにした。試験結果が対照結果よりもわずかに良好であることも観察された。
【0058】
実施例4:
次のブレンドについては、5%PCRMを5%の実施例1の粒状生成物で完全に置き換えた。この材料を、充填及び非充填でブレンドした。これらの試験結果も、対照結果よりも良好であった。
【0059】
実施例は、本明細書に記載される粒状生成物が、アスファルト組成物中のPCRMの少なくとも一部を置換する実行可能な生成物であることを実証した。また、本明細書に記載の粒状生成物は、建築材料及びPCRMの一部を含有する他の製品において、PCRMの少なくとも一部を置き換えるために使用できることも企図される。
【0060】
最後に、以下の特許請求の範囲は、言語の問題が含まれ得るので、本明細書に記載の本発明の一般的かつ具体的な特色の全て、及び本発明の範囲の全ての記載を網羅することを意図することも理解されるべきである。
【国際調査報告】