(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】造影撮影のための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534171
(86)(22)【出願日】2021-11-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2021083265
(87)【国際公開番号】W WO2022122429
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シ ウィリアム タオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シイン
(72)【発明者】
【氏名】エリコ クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ロウパス タナシス
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレイ‐ダルヴォー シャルル
(72)【発明者】
【氏名】シーラン ポール
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ ジェフリー アール
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD14
4C601DE06
4C601EE11
4C601HH29
4C601JC08
4C601JC15
4C601JC26
4C601JC37
(57)【要約】
蓄積造影画像を生成できるフレームのシーケンスの最初及び最後のフレームを自動的に選択するための装置、システム及び方法が提供される。幾つかの例では、画像フレームのピクセル群の統計的分布を分析して、パラメトリックマップを生成できる。該パラメトリックマップを分析して、当該シーケンスの最初及び最後の画像フレームを選択することができる。幾つかの例では、閾値を超える値を持つパラメトリックマップに対応する画像フレームが、最初のフレームとして選択され得る。幾つかの例では、全てのパラメトリックマップのうちの最大値を有するパラメトリックマップに対応する画像フレームが、最後のフレームとして選択され得る。幾つかの例では、パラメトリックマップが、画像フレームから腫瘍等の特徴構造をセグメント化するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを有する超音波画像を処理するための装置であって、該少なくとも1つのプロセッサが、
複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームに対して、複数のパラメトリック値を、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームにおける対応する画像フレームの複数のピクセルグループのうちの対応するピクセルグループの統計的分布に少なくとも部分的に基づいて計算し、ここで、前記複数のピクセルグループは当該画像フレームにわたって平行移動される多ピクセルウィンドウ上で少なくとも部分的に定義され、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームはコントラスト強調超音波画像を有し、及び
前記複数のパラメトリック値を有する複数のパラメトリックマップを生成し、ここで、該複数のパラメトリックマップの個々のパラメトリックマップは前記複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームに対応する、
装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームから最初のフレームを、前記複数のパラメトリックマップのうちの閾値以上のパラメトリック値を有するパラメトリックマップを決定することに少なくとも部分的に基づいて選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサが、更に、
前記複数の時間的に隔てられた画像フレームから最後のフレームを、前記複数のパラメトリックマップのうちの最大のパラメトリック値を有する第2のパラメトリックマップを決定することに少なくとも部分的に基づいて選択し、
前記最初のフレーム、前記最後のフレーム、及び前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの前記最初のフレームと前記最後のフレームとの間にある何れかの画像フレームを結合して、蓄積画像を生成する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記最後のフレームが前記第2のパラメトリックマップに対応する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記蓄積画像が到達時間画像を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記到達時間画像の時間勾配又は符号化範囲のうちの少なくとも1つが、前記複数のパラメトリックマップに少なくとも部分的に基づく、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記最初のフレームが、前記複数のパラメトリックマップのうちの前記閾値以上のパラメトリック値を有するパラメトリックマップに対応する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のパラメトリックマップのうちの少なくとも1つは、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの造影剤の到達前に取得された画像フレームに対応し、
前記少なくとも1つのプロセッサが、更に、
前記複数のパラメトリックマップのうちの前記少なくとも1つにおける前記複数のパラメトリック値の最大値を決定し、
前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの前記造影剤の到達前に取得された画像フレームより後に取得された前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの画像フレームに対応する前記複数のパラメトリックマップのうちの残りのものを閾値処理する、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの前記造影剤の到達前に取得された画像フレームより後に取得された前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの少なくとも1つの画像フレームから特徴構造を、前記複数のパラメトリックマップの残りのパラメトリックマップのうちの対応する閾値処理されたものに少なくとも部分的に基づいてセグメント化する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
コントラスト強調超音波画像を有する複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームにわたって多ピクセルウィンドウを平行移動するステップと、
前記多ピクセルウィンドウの各平行移動に対して、
前記多ピクセルウィンドウに含まれる個々の画像フレームのピクセルの統計的分布を決定して複数の統計的分布を生成するステップと、
パラメトリック値を前記複数の統計的分布のうちの対応するものに少なくとも部分的に基づき計算して複数のパラメトリック値を生成するステップと、
前記複数のパラメトリック値から、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームに対応する複数のパラメトリックマップを生成するステップと
を有する、方法。
【請求項11】
前記パラメトリック値が、信号対雑音比、ナカガミ指数及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記多ピクセルウィンドウが正方形を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの第1のフレームを前記複数のパラメトリックマップのうちの閾値を超える第1のパラメトリック値を有する第1のパラメトリックマップに少なくとも部分的に基づいて選択するステップを更に有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記閾値が、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームに含まれる組織タイプに少なくとも部分的に基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの第2のフレームを、前記複数のパラメトリックマップのうちの前記複数のパラメトリック値における最大のパラメトリック値を有する第2のパラメトリックマップに少なくとも部分的に基づいて選択するステップを更に有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のフレーム及び前記第2のフレームが前記複数の時間的に隔てられた画像フレームの部分シーケンスを少なくとも部分的に定義し、当該方法が前記部分シーケンスを結合して蓄積画像を生成するステップを更に有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のパラメトリックマップのうちの第1のパラメトリックマップに対応する前記複数のパラメトリック値のうちの最大のパラメトリック値を決定するステップと、
前記複数のパラメトリックマップの残りのものに対応する前記複数のパラメトリック値を閾値処理して、前記複数のパラメトリック値のうちの前記最大のパラメトリック値を下回るパラメトリック値を除去するステップと
を更に有する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のパラメトリックマップのうちの残りのものの少なくとも1つに対応する前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの少なくとも1つをセグメント化するステップを更に有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記セグメント化するステップは前記複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの前記少なくとも1つの画像フレームのピクセルを特徴構造に割り当てるステップを有し、前記ピクセルが閾値以上のパラメトリック値に対応する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記多ピクセルウィンドウは、前記複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレーム内の関心領域にわたってのみ平行移動され、該関心領域が前記個々の画像フレームよりも小さい、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、コントラスト強調撮像に関する。より具体的には、本出願はコントラスト蓄積画像の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] コントラスト強調超音波(CEUS)は、臓器及び腫瘍血管系を撮像するため、並びに組織灌流を評価するために臨床的に利用されている。造影剤が、撮像されるべき領域又はボリュームに供給されて、関心領域又はボリュームからの一層高い信号強度もたらすようにし、又は高い造影剤濃度の領域又はボリュームからの信号を選択的に強調する。例えば、マイクロバブルを被験者の静脈内に供給でき、肝臓等の関心領域を超音波撮像システムにより画像化できる。関心領域におけるマイクロバブルの到達、蓄積及び/又は流出を、超音波撮像システムにより取得された超音波画像でキャプチャできる。
【0003】
[0003] コントラスト蓄積撮像は、複数のコントラスト強調画像(例えば、複数の画像フレーム)が、時間的シーケンスで取得され、幾つかの画像処理技術により前処理され、次いで、何らかの統計演算子(通常は、全フレームにわたるピクセルの最大値) により組み合わされて単一の画像(例えば、蓄積画像)を形成する、CEUS技術である。結果としての画像は、造影剤の進展をマッピングし、及び/又は血管のトポロジ及び明瞭さを向上させるために使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書では、蓄積画像を生成するための自動的フレーム選択のための装置、システム及び方法が開示される。
【0005】
コントラスト強調画像では、しばしば、組織信号が不完全に抑制されるため、グレースケール造影画像において造影剤エコーを組織信号から区別することは困難である。したがって、個々のピクセルのグレースケール強度の代わりに、各造影画像上の小さな移動ウィンドウ内の画像特徴構造を自動フレーム選択のために使用され得る。幾つかの例において、画像特徴構造は、各造影画像フレームにわたる多ピクセルウィンドウ内のグレースケール包絡線の統計的分布から抽出され得る。統計的分布の例は、これらに限定されるものではないが、例示的な一次特徴構造としての信号対雑音比(SNR)、例示的な二次特徴構造としてのナカガミ(Nakagami)指数(NI)、及び例示的な3次特徴構造としてのSNRとNIとの積(SNR×NI)を含む。上記移動ウィンドウ及び該ウィンドウ内のグレースケール包絡線統計的分布は、造影剤の到達時点(例えば、最初の画像フレーム)を予測するために使用でき、コントラスト強調は時間にわたり強度が増加する。幾つかの例では、ピーク強度を有するフレームが、最後の画像フレームとして使用され得る。本明細書に開示される装置、システム及び方法は、コントラスト蓄積画像を生成するための、一層高速で、一層一貫したフレーム選択を提供できる。
【0006】
[0005] 幾つかのアプリケーションにおいて、本明細書に開示される画像内のピクセルの統計的分布を分析するための装置、システム及び方法は、画像をセグメント化するために使用され得る。例えば、画像から腫瘍をセグメント化する。
【0007】
[0006] 本明細書に開示される少なくとも1つの例によれば、超音波画像を処理するための装置は少なくとも1つのプロセッサを含むことができ、該少なくとも1つのプロセッサは、複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々のものに対して、複数のパラメトリック値を複数の時間的に隔てられた画像フレームにおける対応する画像フレームの複数のピクセルグループのうちの対応するものの統計的分布に少なくとも部分的に基づいて計算し(複数のピクセルグループは当該画像フレームにわたって平行移動される多ピクセルウィンドウ上で少なくとも部分的に定義され、複数の時間的に隔てられた画像フレームはコントラスト強調超音波画像を有する)、及び複数のパラメトリック値を有する複数のパラメトリックマップを生成し、ここで、複数のパラメトリックマップの個々のものは複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々のものに対応する。
【0008】
[0007] 本明細書に開示される少なくとも1つの例によれば、方法は、コントラスト強調超音波画像を有する複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームにわたって多ピクセルウィンドウを平行移動するステップ;多ピクセルウィンドウの各平行移動に対して、多ピクセルウィンドウに含まれる個々の画像フレームのピクセルの統計的分布を決定して複数の統計的分布を生成するステップ、及びパラメトリック値を複数の統計的分布のうちの対応するものに少なくとも部分的に基づき計算して複数のパラメトリック値を生成するステップ;及び複数のパラメトリック値から、複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームに対応する複数のパラメトリックマップを生成するステップ;を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】[0008]
図1Aは、微小血管撮影(MVI)蓄積画像の一例である。
【
図1B】[0009]
図1Bは、到達時間(ToA)蓄積画像の一例である。
【
図2】[0010]
図2は、本開示の幾つかの例に従って構成された超音波撮像システムのブロック図である。
【
図3】[0011]
図3は、本開示の幾つかの例による例示的なプロセッサを示すブロック図である。
【
図4】[0012]
図4は、本開示の原理による画像フレームの分析を示す。
【
図5】[0013]
図5は、本開示の原理による画像フレームのシーケンスからの画像フレームの選択を示す。
【
図6A】[0014]
図6Aは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの一例である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図7B】
図7Bは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該フレームから生成されたパラメトリックマップの他の例である。
【
図10】[0015]
図10は、本開示の原理による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016] 特定の例に関する以下の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明又はその応用若しくは使用を限定することを決して意図するものではない。本発明の装置、システム及び方法の例の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、これら図面には、説明される装置、システム及び方法を実施できる特定の例が例示として示されている。これらの例は、当業者が現在開示されている装置、システム及び方法を実施できるように十分に詳細に説明されており、他の例が利用されてもよく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく構造的及び論理的変更がなされてもよいことを理解されたい。更に、明瞭化の目的で、特定のフィーチャの詳細な説明は、これらが当業者にとって明らかな場合、本システムの説明を曖昧にしないために説明されないであろう。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本システムの範囲は添付請求項の範囲によってのみ定義されるものである。
【0011】
[0017] 蓄積撮影の場合、ユーザは、被験者における関心領域(ROI)の画像を超音波撮像システムにより取得し始め、次いで、マイクロバブル等の造影剤を投与することができる。造影剤は、ボーラスとして、又は或る期間にわたる連続注入として投与され得る。ユーザは、投与後の或る期間にわたり、ROIにおける画像を取得し続けることができる。当該撮像システムは、取得された画像を時系列(時間シーケンス)として記憶できる。ユーザが画像の取得を完了した後、ユーザは記憶された時間シーケンスから画像フレームを選択して結合し、1以上の蓄積画像を生成することができる。
【0012】
[0018] 異なる診断情報を提供し得る蓄積撮像のための複数の技術が存在する。例えば、微小血管撮像(MVI)又は最大強度投影(MIP)等のコントラスト蓄積撮像は、複数の画像フレームを組み合わせて、関心領域(ROI)内のより小さな血管構造の視覚化を向上させることができる。MVI画像の一例が
図1Aに示されている。画像100は、血管化肝病変(腫瘍)102を含む肝臓の一部である。複数の超音波画像がMVIを使用して組み合わされて画像100を生成し、腫瘍102及び該腫瘍102を囲む血管系106内の大きな血管104及び小さな血管の両方が視覚化されるようにしている。MVIを実行するための適切な技術の例は、2019年11月21日に出願された米国仮出願62/938,554に見られ、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
[0019] 他の例は、到達時間(ToA)累積撮像と呼ばれる。ToAでは、造影剤が蓄積画像を生成するために使用される画像フレームのシーケンスにおいて特定の領域に何時現れたかに基づいて、該造影剤が画像の当該領域に何時到達したかを示すために、異なるカラー、グレースケール値及び/又はその他のコーディングが使用される。
図1Bは、ToA画像の一例を示す。画像110は、肝臓及び腫瘍102の同じ部分を示している。しかしながら、画像110内の異なる血管構造は、異なるシェードでコード化されている。図示されたように、より大きな血管104及び腫瘍102の中央領域は第1のシェードでコード化され、これらの領域に造影剤が最初に到達したことを示している。腫瘍102の周部及び周囲のより小さい血管系106は第2のシェードでコード化され、これらの領域には造影剤が後に到達したことを示している。ToA撮像を実行するための適切な技術の例は、2019年11月1日に出願された米国仮出願62/929,519号に見られ、該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
[0020] 一部のアプリケーションにおいて、蓄積画像を生成するために組み合わされる画像フレームを定義するために使用される初期フレーム及び/又は最終フレームの選択は、結果としての蓄積画像の診断価値を保証するために重要であり得る。例えば、ToA撮像用の蓄積画像を生成するためのシーケンスの初期フレームは、造影剤が最初に出現するフレームである。造影剤が最初に現れる前又は後に発生するシーケンス内の画像フレームが選択されると、組織の異なる領域に対する造影剤の見かけの相対的な到達を変化させ得る。計算されたToAのこの差異は、被験者間及び/又は同じ被験者の検査間でToA蓄積画像を比較することを困難にさせ得る。
【0015】
[0021] 他の例では、ToA及びMVIの両方において、最終フレームの誤った選択は、結果として微小血管系の劣った視覚化となり得る。例えば、最終フレームが当該シーケンスにおいて早過ぎる場合、造影剤は小さな血管において蓄積する時間がなく、結果として微小血管構造の視覚化が劣ることになり得る。一方、最終フレームが当該シーケンスにおいて遅過ぎる場合、造影剤は画像が飽和される程ROI内に蓄積してしまい、この場合も、結果として血管構造の視覚化が劣ることになる。
【0016】
[0022] 現在のところ、ユーザは、取得された時間シーケンスの画像フレームを手動で確認すると共に、蓄積画像に組み合わせるための該時間シーケンスからのフレームのシーケンスの最初及び最後のフレームを手動で選択する必要がある。手動によるフレームの確認及び選択は、特に高いフレームレートが使用された場合及び/又は画像フレームが長い期間にわたって取得された場合、ユーザにとり時間が掛かるものである。更に、最初及び最後の画像フレームの手動による決定は人的ミスを生じ易く、選択に一貫性がなくなり得る。このことは、結果として得られる蓄積画像の診断価値を低下させ得る。したがって、より一貫したフレーム選択を提供する自動技術が望ましい。
【0017】
[0023] 取得された画像フレームのグレースケール強度分布に基づく自動選択方法は不十分である。CEUS画像は、不完全な組織抑圧により引き起こされるアーティファクトを被る。残留組織信号は、介在する組織層内での多重反射、組織界面(例えば、大きな血管壁、腹膜)からの強い反射、及び/又は造影剤を刺激するために使用される送信パルス間の相違から生じ得る。更に、残留組織信号は、一般的に、組織の動き及び音響信号の非干渉性のため、簡単なフレーム減算では除去できない。
【0018】
[0024] 本開示は、各造影画像フレームにわたり多ピクセルウィンドウ内のグレースケール包絡線統計的分布から画像特徴構造を抽出するための装置、システム及び方法を対象とするものである。すなわち、特徴構造抽出のために、個々のピクセルのグレースケール値(例えば、強度)というより、ピクセル群の統計的特徴構造が分析される。統計的分布からの特徴構造の抽出は、蓄積画像を生成するためのシーケンスの最初及び/又は最後のフレームを選択するための造影画像フレームの分析を可能にし得る。グレースケール包絡線統計的分布を、シーケンスにおける造影剤が現れる(例えば、到達時間)最初のフレームを選択するために使用できる。時間の経過に伴いコントラスト強調が増加するにつれ、コントラストは画像フレームの1つにおいて強度がピークに達し、このことは、画像フレームにおけるグレースケール包絡線統計的分布によっても検出され得る。幾つかの例においては、ピーク強度を有するフレーム(例えば、ピーク強度に達する最初のフレーム)を、当該シーケンスの最後の画像フレームとして使用できる。幾つかの例では、ピーク強度を有するフレームを、該ピーク強度を有するフレームと最初のフレームとの間の(時間的に)中間点にあるフレームを決定するために使用でき、該中間点にあるフレームを最後のフレームとして選択できる。最後のフレームを選択するための他の技術も使用できる(例えば、最初のフレームから所定数のフレーム後、ピーク強度の1/2又は1/4を有するフレームを見つける等)。何の技術が使用されるかは、画像化される解剖学的構造(例えば、肝臓、乳房又は心臓)及び/又は蓄積撮像のタイプ(例えば、MVI又はToA)に少なくとも部分的に基づくものであり得る。本明細書に開示される装置、システム及び方法は、コントラスト蓄積画像を生成するための、より高速及び/又はより一貫したフレーム選択を提供できる。
【0019】
[0025]
図2は、本開示の原理に従って構成された超音波撮像システム200のブロック図を示す。本開示による超音波撮像システム200はトランスデューサアレイ214を含むことができ、該アレイは超音波プローブ212、例えば外部プローブ又は内部プローブに含まれ得る。トランスデューサアレイ214は、超音波信号(例えば、ビーム、波)を送信すると共に、送信された超音波信号に応答するエコー(例えば、受信超音波信号)を受信するように構成される。様々なトランスデューサアレイ、例えば、直線アレイ、湾曲アレイ又はフェーズドアレイを使用することができる。トランスデューサアレイ214は、例えば、2D及び/又は3D撮像のために仰角及び方位角の両次元で走査できるトランスデューサ素子の2次元アレイ(図示のような)を含むことができる。一般的に知られているように、軸方向はアレイの面に垂直な方向であり(湾曲したアレイの場合、軸方向は扇状に広がる)、方位角方向は一般的にアレイの長手方向次元により定義され、仰角方向は方位角方向を横切る方向である。
【0020】
[0026] 幾つかの例において、トランスデューサアレイ214はマイクロビームフォーマ216に結合することができ、該マイクロビームフォーマは超音波プローブ212内に配置され得ると共に、アレイ214内のトランスデューサ素子による信号の送信及び受信を制御することができる。幾つかの例において、マイクロビームフォーマ216はアレイ214内の能動素子(例えば、任意の時点における活性開口を定めるアレイの活性部分群の素子)による信号の送信及び受信を制御できる。
【0021】
[0027] 幾つかの例において、マイクロビームフォーマ216は、例えばプローブケーブルにより又は無線で、送信/受信(T/R)スイッチ218に結合され得、該T/Rスイッチ218は、送信と受信とを切り替えて、メインビームフォーマ222を高エネルギー送信信号から保護する。幾つかの例において(例えば、携帯型超音波システムにおいて)、T/Rスイッチ218及び当該システム内の他の要素は、画像処理電子回路を収容し得る超音波システム基体にではなく、超音波プローブ212内に含まれ得る。超音波システム基体は、通常、信号処理及び画像データ生成のための回路並びにユーザインターフェースを提供するための実行可能な命令を含むソフトウェア及びハードウェア要素を含む。
【0022】
[0028] マイクロビームフォーマ216の制御下でのトランスデューサアレイ214からの超音波信号の送信は、T/Rスイッチ218及びメインビームフォーマ222に結合され得る送信コントローラ220により指示される。送信コントローラ220は、ビームがステアリングされる方向を制御できる。ビームは、トランスデューサアレイ214から真っ直ぐ前方に(に直交して)、又はより広い視野のために異なる角度にステアリングされ得る。送信コントローラ220は、ユーザインターフェース224にも結合され、ユーザ制御部のユーザによる操作からの入力を受信することができる。ユーザインターフェース224は制御パネル252等の1以上の入力装置を含むことができ、該装置は1以上の機械式制御部(例えば、ボタン、エンコーダ等)、タッチ感知式制御部(例えば、トラックパッド又はタッチスクリーン等)、及び/又は他の既知の入力装置を含み得る。
【0023】
[0029] マイクロビームフォーマ216により生成された部分的にビーム形成された信号はメインビームフォーマ222に結合され、該メインビームフォーマにおいて、トランスデューサ素子の個々のパッチからの部分的にビーム形成された信号は完全にビーム形成された信号に合成され得る。幾つかの例においては、マイクロビームフォーマ216は省略され、トランスデューサアレイ214はビームフォーマ222の制御下にあり、該ビームフォーマ222が信号の全てのビーム形成を実行する。マイクロビームフォーマ216を備えた又は備えない例において、ビームフォーマ222のビーム形成された信号は処理回路250に結合され、該処理回路は、ビーム形成された信号(すなわち、ビーム形成されたRFデータ)から超音波画像を生成するように構成された1以上のプロセッサ(例えば、信号プロセッサ226、Bモードプロセッサ228、ドプラプロセッサ260並びに1以上の画像生成及び処理要素268)を含み得る。
【0024】
[0030] 信号プロセッサ226は、受信されたビーム形成されたRFデータを、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、及び高調波信号分離等の様々な方法で処理するように構成され得る。信号プロセッサ226は、スペックル低減、信号合成、及び電子ノイズ除去等の追加の信号強調も実行できる。処理された信号(I及びQ成分又はIQ信号とも呼ばれる)は、画像生成のための追加の下流側信号処理回路に結合され得る。IQ信号は当該システム内の複数の信号経路に結合することができ、これら経路の各々は異なるタイプの画像データ(例えば、Bモード画像データ、造影画像データ、ドプラ画像データ)の生成に適した特定の構成の信号処理要素に関連され得る。
【0025】
[0031] 例えば、システム200はBモード信号経路258を含むことができ、該信号経路は信号プロセッサ226からの信号をBモードプロセッサ228に結合して、造影画像及び/又は通常のグレースケール画像のためのBモード画像データを生成することができる。Bモードプロセッサ228は、身体の臓器構造の画像化のために振幅検波を使用できる。他の例において、システム200は造影信号経路272を含み、該信号経路は信号プロセッサ226からの信号を造影プロセッサ270に結合して造影画像データを生成することができる。造影プロセッサ270は、身体内の造影剤(例えば、マイクロバブル)を検出するために、振幅検波、高調波イメージング技術及び/又は他の処理技術を使用することができる。幾つかの例において、Bモードプロセッサ228及び造影プロセッサ270は、単一のプロセッサにより実装され得る。
【0026】
[0032] Bモードプロセッサ228及び/又は造影プロセッサ270により生成された信号は、スキャンコンバータ230及び/又は多平面再フォーマッタ232に結合され得る。スキャンコンバータ230は、エコー信号を、受信された空間関係から所望の画像フォーマットに配置するように構成され得る。例えば、スキャンコンバータ230は、エコー信号を、二次元(2D)扇形フォーマット、又はピラミッド状若しくは他の形状の三次元(3D)フォーマットに配置することができる。多平面再フォーマッタ232は、例えば米国特許第6,443,896号(デトマー)に記載されているように、身体のボリューム領域内の共通平面における点から受信されたエコーを、該平面の超音波画像(例えば、Bモード画像)に変換できる。スキャンコンバータ230及び多平面再フォーマッタ232は、幾つかの例では、1以上のプロセッサとして実装され得る。
【0027】
[0033] ボリュームレンダラ234は、例えば米国特許第6,530,885号(Entrekin他)に記載されているように、所与の基準点から見た3Dデータセットの画像(投影、レンダ又はレンダリングとも呼ばれる)を生成することができる。ボリュームレンダラ234は、幾つかの例では、1以上のプロセッサとして実施化できる。ボリュームレンダラ234は、表面レンダリング及び最大強度レンダリング等の如何なる既知の又は将来知られる技術により、ポジティブレンダ又はネガティブレンダ等のレンダリングを生成することができる。
図2には多平面再フォーマッタ232からデータを受信するものとして示されているが、幾つかの例において、ボリュームレンダラ234はスキャンコンバータ230からデータを受信することもできる。
【0028】
[0034] 幾つかの例において、当該システムは、信号プロセッサ226からの出力をドプラプロセッサ260に結合するドプラ信号経路262を含み得る。ドプラプロセッサ260は、ドプラシフトを推定してドプラ画像データを生成するように構成され得る。ドプラ画像データはカラーデータを含み、該カラーデータは、次いで、表示のためにBモード(すなわち、グレースケール)画像データと重ね合わされ得る。ドプラプロセッサ260は、例えばウォールフィルタを使用して、不所望な信号(すなわち、動いていない組織に関連するノイズ又はクラッタ)を除去するように構成され得る。ドプラプロセッサ260は、更に、既知の技術に従って速度及びパワーを推定するように構成され得る。例えば、該ドプラプロセッサは自己相関器等のドプラ推定器を含むことができ、該推定器において、速度(ドプラ周波数)推定はラグ-1自己相関関数の引数に基づくものであり、ドプラパワー推定はラグ-ゼロ自己相関関数の大きさに基づくものである。動きも、既知の位相ドメイン(例えば、MUSIC、ESPRIT等のパラメトリック周波数推定器)又は時間ドメイン(例えば、相互相関)の信号処理技術により推定できる。速度推定器に代えて又は加えて、加速度又は時間及び/又は空間速度導関数の推定器等の、速度の時間的又は空間的分布に関する他の推定器を使用することもできる。幾つかの例において、上記速度及びパワー推定値は、ノイズを更に低減するための他の閾値検出、並びにセグメンテーション、及び充填及び平滑化等の後処理を受けることもできる。該速度及びパワーの推定値は、次いで、カラーマップに従って所望の範囲の表示色にマッピングすることができる。ドプラ画像データとも呼ばれる該カラーデータは、次いで、スキャンコンバータ230に結合され、該スキャンコンバータにおいて、ドプラ画像データは所望の画像フォーマットに変換されると共に組織構造のBモード画像上に重ね合わされ、カラードプラ又はパワードプラ画像を形成する。例えば、ドプラ画像データは組織構造のBモード画像上に重ね合わせることができる。
【0029】
[0035] スキャンコンバータ230、多平面再フォーマッタ232及び/又はボリュームレンダラ234からの出力(例えば、Bモード画像、造影画像、ドプラ画像)は、画像ディスプレイ238に表示される前の更なる増強、バッファリング及び一時記憶のために画像プロセッサ236に結合され得る。
【0030】
[0036] 本開示の原理によれば、幾つかの例において、画像プロセッサ236はコントラスト強調画像のシーケンス(例えば、マルチフレームループ、シネループ)の画像フレームに対応する画像データを受信し得る。該シーケンス内の各画像フレームは異なる時点で取得されたものであり得る(例えば、これら画像フレームは時間的に隔てられたものであり得る)。幾つかの例において、画像プロセッサ236はシーケンス内の2以上の画像フレームを組み合わせて蓄積画像を生成することができる。幾つかの例において、画像プロセッサ236はシーケンス内の各画像フレームを分析して、該シーケンスからの或る画像フレーム及び該シーケンスからの後の画像フレームを選択し得る。いくつかの例において、上記画像フレーム及び後の画像フレームは、それぞれ、当該シーケンスからの画像フレームの部分組(例えば、サブシーケンス)の最初及び最後のフレームであり得る。最初の画像フレーム、最後の画像フレーム、及び最初と最後の画像フレームの間で取得された画像(例えば、サブシーケンスのフレーム)を組み合わせて、蓄積画像を生成することができる。幾つかの例において、画像プロセッサ236はシーケンス内の各フレームを分析して、これら画像から1以上の特徴構造をセグメント化(分離)することができる。例えば、腫瘍又は他の関心のある特徴構造をセグメント化することができる。画像フレームの分析は、
図4~
図10を参照して更に詳細に説明される。蓄積画像及び/又は画像フレームの分析結果は、ディスプレイ238及び/又はローカルメモリ242に供給され得る。
【0031】
[0037] グラフィックプロセッサ240は、画像プロセッサ236により生成された蓄積画像等の画像と共に表示するためのグラフィックオーバーレイを生成できる。これらのグラフィックオーバーレイは、例えば、患者名、画像の日時、撮像パラメータ等の標準的な識別情報を含み得る。これらの目的のために、該グラフィックプロセッサは、タイプ入力された患者名又は他の注釈等の入力をユーザインターフェース224から受信するように構成され得る。ユーザインターフェース224は、複数の多平面再フォーマットされた(MPR)画像の表示の選択及び制御のために多平面再フォーマッタ232にも結合され得る。
【0032】
[0038] システム200はローカルメモリ242を含むことができる。ローカルメモリ242は、如何なる適切な非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュドライブ、ディスクドライブ)として実装することもできる。ローカルメモリ242は、Bモード画像、パラメトリックマップ、実行可能命令、ユーザによりユーザインターフェース224を介して供給される入力、又はシステム200の動作に必要な任意の他の情報を含む、システム200により生成されたデータを記憶できる。
【0033】
[0039] 前述したように、システム200はユーザインターフェース224を含む。ユーザインターフェース224はディスプレイ238及び制御パネル252を含むことができる。ディスプレイ238は、LCD、LED、OLED又はプラズマディスプレイ技術等の種々の既知のディスプレイ技術を使用して実装される表示装置を含み得る。幾つかの例において、ディスプレイ238は複数のディスプレイを備え得る。制御パネル252は、ユーザ入力(例えば、検査タイプ、造影剤注入時間、画像内のROIの選択)を受信するように構成され得る。制御パネル252は、1以上のハードウェア制御子(例えば、ボタン、ノブ、ダイヤル、エンコーダ、マウス、トラックボール等)を含むことができる。幾つかの例において、制御パネル252は、加えて又は代りに、タッチ感知ディスプレイ上に設けられるソフトウェア制御子(例えば、GUI制御子要素又は単にGUI制御子)を含むこともできる。幾つかの例において、ディスプレイ238は制御パネル252の1以上のソフトウェア制御子を含むタッチセンシティブディスプレイであり得る。
【0034】
[0040] 幾つかの例において、
図2に示される種々の構成要素は組み合わせることができる。例えば、画像プロセッサ236及びグラフィックプロセッサ240は単一のプロセッサとして実装できる。他の例において、スキャンコンバータ230及び多平面再フォーマッタ232は単一のプロセッサとして実装できる。幾つかの例において、
図2に示される種々の構成要素は別個の構成要素として実装できる。例えば、信号プロセッサ226は各撮像モード(例えば、Bモード、造影、ドプラ)ごとに別個の信号プロセッサとして実装され得る。幾つかの例において、
図2に示される種々のプロセッサのうちの1以上は、指定されたタスクを実行するように構成された汎用プロセッサ及び/又はマイクロプロセッサにより実装できる。幾つかの例において、種々のプロセッサのうちの1以上は、特定用途向け回路として実装できる。幾つかの例において、種々のプロセッサのうちの1以上(例えば、画像プロセッサ236)は、1以上のグラフィック処理ユニット(GPU)で実装できる。
【0035】
[0041]
図3は、本開示の原理による例示的なプロセッサ300を示すブロック図である。プロセッサ300は、本明細書に記載される1以上のプロセッサ、例えば、
図2に示される画像プロセッサ236を実装するために使用できる。プロセッサ300は、限定されるものではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プロセッサを形成するようにプログラムされているフィールドプログラマブルアレイ(FPGA)、グラフィック処理ユニット(GPU)、プロセッサを形成するように設計された特定用途向け回路(ASIC)又はこれらの組み合わせを含む如何なる適切なプロセッサタイプとすることもできる。
【0036】
[0042] プロセッサ300は1以上のコア302を含むことができる。コア302は1以上の算術演算論理ユニット(ALU)304を含むことができる。幾つかの例において、コア302は、ALU304に加えて又は代えて、浮動小数点論理ユニット(FPLU)306及び/又はデジタル信号処理ユニット(DSPU)308を含むこともできる。
【0037】
[0043] プロセッサ300はコア302に通信可能に結合された1以上のレジスタ312を含み得る。レジスタ312は、専用の論理ゲート回路(例えば、フリップフロップ)及び/又は任意のメモリ技術を使用して実装できる。幾つかの例において、レジスタ312はスタティックメモリを使用して実装できる。該レジスタは、データ、命令及びアドレスをコア302に供給できる。
【0038】
[0044] 幾つかの例において、プロセッサ300はコア302に通信可能に結合された1以上のレベルのキャッシュメモリ310を含み得る。キャッシュメモリ310は実行のためにコア302にコンピュータ可読命令を供給できる。キャッシュメモリ310はコア302による処理のためのデータを供給できる。幾つかの例において、コンピュータ可読命令は、ローカルメモリ(例えば外部バス316に接続されたローカルメモリ)によりキャッシュメモリ310に供給され得る。キャッシュメモリ310は、任意の適切なキャッシュメモリタイプ、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)等の金属酸化物半導体(MOS)メモリ、及び/又は任意の他の適切なメモリ技術で実装され得る。
【0039】
[0045] プロセッサ300はコントローラ314を含むことができ、該コントローラは、システムに含まれる他のプロセッサ及び/又は構成要素(例えば、
図1に示される制御パネル252及びスキャンコンバータ230)からの該プロセッサ300への入力、及び/又は該プロセッサから当該システムに含まれる他のプロセッサ及び/又は構成要素(例えば、
図1に示されるディスプレイ238及びボリュームレンダラ234)への出力を制御し得る。コントローラ314はALU304、FPLU306及び/又はDSPU308におけるデータ経路を制御できる。コントローラ314は、1以上のステートマシン、データ経路、及び/又は専用制御ロジックとして実装できる。コントローラ314のゲートは、スタンドアロンゲート、FPGA、ASIC又は何らかの他の適切な技術として実装できる。
【0040】
[0046] レジスタ312及びキャッシュ310はコントローラ314及びコア302と内部接続320A、320B、320C及び320Dを介して通信することができる。内部接続は、バス、マルチプレクサ、クロスバースイッチ、及び/又は他の適切な接続技術として実装できる。
【0041】
[0047] プロセッサ300に対する入力及び出力は、1以上の導電線を含み得るバス316を介して提供され得る。バス316は、プロセッサ300の1以上の構成要素、例えばコントローラ314、キャッシュ310、及び/又はレジスタ312に通信可能に結合され得る。バス316は、前述したディスプレイ238及び制御パネル252等の、当該システムの1以上の構成要素に結合され得る。
【0042】
[0048] バス316は1以上の外部メモリに接続され得る。該外部メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)332を含み得る。ROM332は、マスクROM、電子的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、又は何らかの他の適切な技術のものであり得る。当該外部メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)333を含み得る。RAM333は、スタティックRAM、バッテリバックアップスタティックRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、又は何らかの他の適切な技術のものであり得る。該外部メモリは、電気的に消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM(登録商標))335を含み得る。該外部メモリはフラッシュメモリ334を含み得る。該外部メモリはディスク336等の磁気記憶装置を含み得る。幾つかの例において、当該外部メモリは
図2に示された超音波撮像システム200等のシステム内に含まれ得る(例えばローカルメモリ242)。
【0043】
[0049] 幾つかの例において、プロセッサ300は、システム200等の超音波撮像システムとは別個のコンピューティングシステムに含まれ得る。例えば、該コンピューティングシステムは、検査中に取得された画像の超音波検査後処理のためのワークステーションであり得る。これらの例において、プロセッサ300は、システム200におけるの画像プロセッサ236により実行されるものとして説明された処理の一部又は全てを実行できる。例えば、画像フレームの分析及び選択、蓄積画像の生成、及び/又は画像フレームからの特徴構造のセグメント化等である。
【0044】
[0050]
図4は、本開示の原理による画像フレームの分析を示す。幾つかの例において、当該分析は
図2に示された画像プロセッサ236等のプロセッサにより実行され得る。画像フレーム402の個々のピクセルの値(例えば、グレースケール値、強度値)を分析するというより、ピクセル群の値の統計的分布が分析される。
図4に示されるように、移動するウィンドウ406が、矢印408及び410により示されるように、画像402にわたって平行移動される。移動ウィンドウ406は任意の数のピクセルを含むことができ、例えば、移動ウィンドウ406は20×20ピクセル(合計で400ピクセル)又は16x16ピクセル(合計で256ピクセル)の寸法を有し得る。ウィンドウ406は、幾つかの例では、正方形でなくてもよい(例えば、円形、長方形)。ウィンドウ406のサイズ及び/又は形状は、画像402のサイズに少なくとも部分的に基づくことができる。例えば、600×800ピクセルの画像402に対して16×16ピクセルの移動ウィンドウが選択され得る。
【0045】
[0051] ウィンドウ406が画像402にわたって平行移動されるたびに、ピクセル値の統計的分布が分析され、パラメトリック値が生成される。次いで、パラメトリック値はウィンドウ406の中心(例えば、ウィンドウ406の中心のピクセルに等しい位置を有する)に割り当てられる。パラメトリック値に対して、様々なパラメータ及び/又はそれらの組み合わせが計算され得る。例えば、各ウィンドウ406に対して、信号対雑音比(SNR)が計算され得る。他の例においては、各ウィンドウ406に対してナカガミ指数(NI)が計算され得る。更なる例においては、SNR及びNIの両方が計算され、最終的なパラメトリック値はSNRとNIとの積になり得る。これらのパラメータは単に例示的なものであり、他の例では他の分布又はそれらの組み合わせ(例えば、ガンマ、ホイト)が使用され得る。当該パラメトリック値はパラメトリックマップ412を生成するために使用され得る。幾つかの例において、計算されるパラメトリック値の数は、画像402内のピクセルの数に等しいものであり得る。すなわち、画像402の各ピクセルは対応するパラメトリック値を有し得る。このように、幾つかの例では、パラメトリックマップ412は画像402と同じ寸法を有し得る。
図4に示された例において、パラメトリックマップ412は画像402のSNRを示す。パラメトリックマップ412等のパラメトリックマップは、フレームのシーケンスにおける各フレームに対して生成され得る。
【0046】
[0052] オプションとして、幾つかの例においては、全体の画像402にわたりウィンドウ406を平行移動するというより、画像402において大きなROI(図示略)を、自動的に及び/又はユーザインターフェース224等のユーザインターフェースを介したユーザ入力を介してユーザにより選択することができる。これらの例において、ウィンドウ406は画像402全体というよりROIを介して平行移動され、パラメトリックマップ412はROIに対してのみ生成され得る。この構成は、画像402内に重大なアーティファクトが存在する用途において有利であり得る。ROIは、アーティファクト(例えば、近くの埋め込み装置からの歪み、皮膚表面の反射)を含む領域を除外するように選択され得る。
【0047】
[0053] オプションとして、幾つかの例では、造影剤の到達前(例えば、造影剤の注入前、予想される造影剤の到達より少なくとも2秒前)に取得されることが分かっている画像フレームを、残存組織信号を含む画像402内の一部又は全ての領域をパラメトリックマップ412から除外することが可能な画像402に適用されるマスクとして使用することができる。幾つかの例において、ユーザはユーザインターフェースを介して入力を供給することにより何時造影剤が注入されるかを示すことができ、このことは、何の画像フレームをマスクとして使用すべきかを決定するために使用することができる。
【0048】
[0054] パラメトリックマップ412を生成することにより、各画像フレーム402に関連付けられた値のダイナミックレンジが増加され得る。図示の例において、元のグレースケール画像402の0~1の限られたダイナミックレンジ(スケールバー404により示される)の場合、腹膜(矢印420により示される)からの残留組織信号のグレースケール値は、腫瘍(点線の円422により示される)内部の強い造影剤エコーのグレースケール値に匹敵する。パラメトリックマップ412の一桁大きい0~10の拡大されたダイナミックレンジ(スケールバー414により示される)の場合、腹膜(矢印424により示される)からの残存組織信号のパラメトリック値は殆ど見えず、腫瘍(点線の円426により示される)内部の強い造影剤エコーのパラメトリック値よりもはるかに低い。ダイナミックレンジを拡大することにより、造影剤からの信号と組織からの信号とを区別することが一層容易となり得る。例えば、画像412におけるROI418内の腫瘍416に関するピクセル値の間には、画像402におけるよりも一層大きな差が存在する。組織の値と造影剤の値との間の差を大きくすることにより、シーケンスから最初及び最後のフレームを自動的に選択して、蓄積画像を生成するためのサブシーケンスを形成することが一層容易になり得る。
【0049】
[0055]
図5は、本開示の原理による画像フレームのシーケンスからの画像フレームの選択を示す。幾つかの例において、該選択は、
図2に示された画像プロセッサ236等のプロセッサにより実行され得る。パラメトリックマップのシーケンス502は、画像フレームのシーケンス504に対応し得る。シーケンス502のパラメトリックマップを分析して、これらパラメトリックマップの何れかが閾値以上の値を有するかを決定することができる。該閾値は、撮像されている組織タイプのパラメトリックの最大値に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。例えば、肝臓の撮像において、SNR又はNIがパラメータとして使用される場合、閾値は4に等しいものとすることができる一方、SNRxNIがパラメータとして使用される場合、閾値は16に等しくすることができる。異なる組織(例えば、乳房組織、心臓組織)が撮像される場合、及び/又は異なるパラメータが使用される場合、当該閾値に対しては他の値が選択され得る。幾つかの例においては、ユーザが閾値を設定してもよい。幾つかの例において、当該閾値は、検査の種類及び/又は画像フレームに何の種類の組織が含まれるかについてのユーザによる指示に基づくことができる。
【0050】
[0056] 閾値以上の値を有する最も早く取得されたパラメトリックマップ(図示の例におけるパラメトリックマップ506)は、画像シーケンス504からサブシーケンス510の最初の画像フレーム516を選択するために使用され得る。幾つかの例において、画像フレーム516は、パラメトリックマップ506に対応する画像フレームであり得る。すなわち、パラメトリックマップ506は、
図4を参照して説明したように、画像フレーム516から生成されたものである。幾つかの例において、画像フレーム516は、該画像フレームがパラメトリックマップ506を生成するために使用される所定の時間又は所定の数のフレーム前(又は後)に取得された画像フレームであり得る。例えば、画像フレーム516は、当該画像フレームがパラメトリックマップ506を生成するために使用される1秒前(又は後)に取得された画像フレームであり得る。他の例において、画像フレーム516は、当該画像フレームがパラメトリックマップ506を生成するために使用される100フレーム前(又は後)に取得された画像フレームであり得る。他の例では、画像フレーム516のための他の選択基準が使用されてもよい。
【0051】
[0057] パラメトリックマップのシーケンス502は更に分析されて、どのフレームが、該パラメトリックマップのシーケンス502に含まれるパラメトリック値のうちの最大(例えば、ピーク)パラメトリック値を含むかを決定することができる。幾つかの例においては、最大パラメトリック値を含む最も早く取得されたパラメトリックマップ(図示された例におけるパラメトリックマップ508)が、サブシーケンス510の最後のフレーム518を選択するために使用され得る。幾つかの例において、画像フレーム518はパラメトリックマップ508に対応する画像フレームであり得る。幾つかの例においては、パラメトリックマップ508内で見つかる最大パラメトリック値が、最大値の一部(例えば、1/2、1/4)に等しいパラメトリック値を計算するために使用され得る。次いで、パラメトリックマップのシーケンス502は該計算されたパラメトリック値を含む最も早く取得されたパラメトリックマップを見付けるために分析され、対応する画像フレームが画像フレーム518として選択され得る。
【0052】
[0058] 他の例として、パラメトリックマップのシーケンス502を分析して最大パラメトリック値を見付ける代わりに、画像フレーム518を画像フレーム516に少なくとも部分的に基づいて選択することもできる。例えば、画像フレーム516の所定の時間量後に取得された画像フレームを画像フレーム518として選択できる。他の例においては、画像フレーム516の所定数のフレーム後に取得された画像フレームを、画像フレーム518として選択できる。
【0053】
[0059] 画像フレーム516及び画像フレーム518が選択されたなら、画像フレーム516、画像フレーム518、及び画像フレーム516と画像フレーム518との間で取得された画像フレームを、サブシーケンス510に含めることができる。サブシーケンス510の画像フレームは、結合されて蓄積画像を生成できる。
図5に示されるもののような幾つかの例において、蓄積画像512はToA蓄積画像であり得、その場合、造影剤は、何の領域に該造影剤が他の領域に対して早く又は遅く到達したかを示すようにコード化される(例えば、異なる強度又は色にされる)。しかしながら、他の例では、他のタイプの蓄積画像をサブシーケンス510から生成できる。
【0054】
[0060] オプションとして、幾つかの例において、ユーザは自動的に選択されたフレーム516及び518を見て、一方又は両方の選択を無効にすることができる。この場合、ユーザは、画像フレーム516及び/又は画像フレーム518に対してシーケンス504から異なる画像フレームを選択することができる。ユーザが選択を無効にすることができるようにすることは、幾つかの状況では、例えばユーザにより誤った閾値又は組織タイプが供給された場合には、有利であり得る。
【0055】
[0061]
図5はパラメトリックマップの単一シーケンス502の分析を説明しているが、幾つかの例では、複数のシーケンスを分析できる。例えば、パラメトリックマップは複数のパラメータ(例えば、SNR、NI)に基づいて生成され得る。
【0056】
[0062] 蓄積画像を生成するために画像フレームのシーケンスの最初及び最後の画像フレームを自動的に選択するための本明細書に開示される技術は、蓄積画像を生成するための画像を選択するためにシーケンスの画像フレームを手動で調べる必要性を低減又は除去することができる。本明細書に開示される技術は、蓄積画像を生成するために使用されるシーケンスの最初及び最後の画像の一層一貫性のある選択をもたらすことができる。一部のアプリケーションにおいて、このことは、蓄積画像の一貫性及び/又は診断値を向上させ得る。
【0057】
[0063]
図4及び
図5を参照して開示したパラメトリックマップは、蓄積画像を生成するための最初及び最後のフレームを選択する際の使用に関して説明されたが、パラメトリックマップは造影撮影における他の用途にも使用できる。例えば、パラメトリックマップにおけるパラメトリック値の範囲尺度及び時間変化率を使用して、ToA撮像のための時変符号化の範囲尺度及び時間的勾配を制御することができる。例えば、当該時間的勾配は、パラメトリックマップにおける画像特徴構造の時間的勾配に比例し得る。造影画像における急速な変化の場合、画像特徴構造における一層高い時間的勾配は、短い時間フレームにおける一層大きな符号化範囲での符号化(例えば、色範囲、グレースケール強度)の一層高い時間的勾配をもたらし得る。遅い変化の場合、より低い時間的勾配は、より長い時間範囲における一層小さな符号化範囲での符号化の一層低い時間的勾配につながり得る。ToAに関する符号化のこの適応は、速い及び遅いプロセス(例えば、組織における急速な到達及び遅い取り込み)の各々の一層良好な視覚化をもたらし得る。
【0058】
[0064] 幾つかの例において、パラメトリックマップは画像のセグメンテーション(例えば、画像から特徴構造を分離する)に使用できる。例えば、
図4を参照して述べたように、腫瘍416のパラメトリック値は周囲の組織と比較して、腫瘍416のピクセルの強度値を周囲の組織のピクセルの強度値と比較した場合よりも、はるかに高い強度を有する。すなわち、正常な組織と腫瘍との間の値の差は、元の画像フレームにおけるよりもパラメトリックマップにおける方が大きくなり得る。したがって、組織タイプを区別するための閾値に少なくとも部分的に基づくもの等の特定のセグメンテーション技術は、元の画像フレームに直接適用するよりもパラメトリックマップに適用する方が一層高信頼となり得る。
【0059】
[0065]
図6A~
図9Bは、本開示の原理によるコントラスト強調超音波画像フレーム及び該画像フレームから生成されたパラメトリックマップの例である。
図6A~
図9Bに示される超音波画像及びパラメトリックマップは、
図1A及び
図1Bに示したものと同じ肝臓病変(腫瘍)を含む。
図6A~
図9Bに示される超音波画像A6A~A6B、A7A~A7B、A8A~A8B及びA9A~A9Bは、コントラスト強調画像のシーケンスからの例示的なコントラスト強調画像である。幾つかの例において、当該超音波画像はシステム200等の超音波撮像システムにより取得されたものであり得る。幾つかの例において、当該パラメトリックマップは画像プロセッサ236等のプロセッサにより生成されたものであり得る。
【0060】
[0066]
図6A~
図6Bは、当該シーケンスからの42番目の画像フレームA6A~A6Bを示す。画像フレームA6A~A6Bは、造影剤が当該画像フレームに含まれる領域に到達する約1秒前に取得されたものである。
図6Aにおいて、パラメトリックマップB6A、C6A及びD6Aは、画像フレームA6Aから16×16の移動するピクセルウィンドウにより統計的分布を分析してパラメトリック値を決定することにより生成されたものである。パラメトリックマップB6AはSNRに関する値を示し、パラメトリックマップC6AはNIに関する値を示し、パラメトリックマップD6AはSNRxNIに関する値を示す。画像フレームA6A及びパラメトリックマップB6A~D6Aの右側のスケールバーにより示されるように、3つのパラメトリックマップは全て画像フレームよりも大きなダイナミックレンジを有している。
【0061】
[0067]
図6AにおけるパラメトリックマップB6A~D6Aは、造影剤がまだ到達していないので、組織からの信号及びアーティファクトに基づくパラメトリック値を含む。パラメトリックマップB6A及びC6Aにおける最大信号は3.8である一方、パラメトリックマップD6Aにおける最大値は14.5である。したがって、造影剤は存在しないので、組織及び他のアーティファクトからのこれらの最大値を、閾値を設定するために使用できる。例えば、パラメトリックマップB6A及びC6Aに対する閾値は4とすることができる一方、パラメトリックマップD6Aに対する閾値は16とすることができる。
【0062】
[0068]
図6Bは、
図6Aに示されたのと同じ画像フレーム及びパラメトリックマップを示す。しかしながら、パラメトリックマップB6B~D6Bは、上に示した閾値を下回る如何なる値も除去するために閾値処理されている。このように、
図6Bにおける3の全てのパラメトリックマップは、全てのパラメトリック値に対してゼロを有する。
【0063】
[0069]
図7A~
図7Bは、当該シーケンスからの76番目の画像フレームA7A~A7Bを示す。画像フレームA7A~A7Bは、造影剤が当該画像フレームに含まれる領域に到達してから約1秒後に取得されたものである。
図7におけるパラメトリックマップB7A~D7Aは、
図6Aを参照して説明したのと同様の方法で生成されたものである。3つのパラメトリックマップ全てに見られるように、最大パラメトリック値は増加されている。しかしながら、組織部位におけるパラメトリック値は、点線円により示される腫瘍部位におけるものと同等である。
図7BはパラメトリックマップB7B~D7Bを示し、これらは、
図6Bに示されたパラメトリックマップB6B~D6Bと同様の方法で閾値処理されている。
図6AのパラメトリックマップB6A~D6Aから決定された閾値が使用されている。閾値処理後、腫瘍内の造影剤からの信号のみが見える一方、全ての組織信号は除去されている。
【0064】
[0070]
図8A~
図8Bは、当該シーケンスからの127番目の画像フレームA8A~A8Bを示す。画像フレームA8A~A8Bは、造影剤が当該画像フレームに含まれる領域に到達してから約4秒後に取得されたものである。
図8AにおけるパラメトリックマップB8A~D8Aは、
図6Aを参照して説明したのと同様の方法で生成されたものである。3つのパラメトリックマップ全てに見られるように、最大パラメトリック値は、特に点線円内の腫瘍部位において大幅に増加している。腫瘍部位におけるパラメトリック値は、この場合、組織部位におけるパラメトリック値よりも大幅に大きくなっている。
図8Bに示されるように、パラメトリックマップB8A~D8Aを閾値処理してパラメトリックマップB8B~D8Bを生成する場合、これらパラメトリックマップにおいて腫瘍部位の大部分は見えたままであり、該腫瘍部位を囲む組織ノイズはほとんど、又は全く存在しない。
【0065】
[0071] 閾値処理されたパラメトリックマップB8B~D8Bは、幾つかの例では、画像フレームから腫瘍をセグメント化するために使用され得る。例えば、画像フレームA8A~A8Bにおける閾値を超えるパラメトリック値に対応するピクセルは、腫瘍に属するものとして分類され得る。幾つかの例においては、点線円等のROIにおける閾値を超えるパラメトリック値に対応するピクセルのみを、腫瘍に割り当てることができる。セグメント化は、パラメトリックマップB8B~D8Bのうちの1以上に基づいて実行され得る。
【0066】
[0072]
図9A~
図9Bは、当該シーケンスからの229番目の画像フレームA9A~A9Bを示す。画像フレームA9A~A9Bは、造影剤が当該画像フレームに含まれる領域に到達してから約10秒後に取得されたものである。
図9AにおけるパラメトリックマップB9A~D9Aは、
図6Aを参照して説明したのと同様の方法で生成されたものである。3つのパラメトリックマップ全てに見られるように、最大パラメトリック値は増加し続けているが、ここでは、点線円で示される腫瘍部位を囲む組織においてである。これは、造影剤が組織内に蓄積するためである。しかしながら、
図9Bに示されるように、パラメトリックマップB9A~D9AがパラメトリックマップB9B~D9Bを生成するために閾値処理された場合、腫瘍の周りのクラッタは、やはり、低減される。このように、画像フレームからの腫瘍のセグメント化は、パラメトリックマップB9B~D9Bにより依然として改善され得る。
【0067】
[0073]
図9A~
図9Bにおいて、最大のパラメトリック値(ピーク)は腫瘍内部で(点線円内で)見付けられ得る。一般的に言って、造影剤の動態(例えば、到達時間及びピーク時間)は異なる位置で相違する。複雑な造影剤動態分布を持つ画像全体の場合、画像上の何れかの場所における造影剤信号(グレースケール強度及びパラメトリック値)の最初の出現は到達時点と見なすことができ、画像全体にわたる最大の造影剤エコー(グレースケール強度及びパラメトリック値)はピーク時点と見なすことができる。
【0068】
[0074] したがって、累積画像を生成するためにシーケンスの最初及び最後の画像フレームを選択することに加えて、画像フレームから腫瘍又は他の関心対象をセグメント化するために、パラメトリックマップも、又は代わりにパラメトリックマップを使用することもできる。
【0069】
[0075]
図10は、本開示の原理による方法のフローチャートである。フローチャート1000は、
図4~
図9Bを参照して説明したもの等の、本明細書に記載された分析及び選択技術を要約したものである。幾つかの例において、フローチャート1000に示される方法は、超音波撮像システム200等の超音波撮像システムの1以上の構成要素により実行され得る。例えば、画像プロセッサ236等の画像プロセッサは、フローチャート1000に示される方法の一部又は全てを実行することができる。幾つかの例において、フローチャート1000に示される方法は、超音波撮像システム200とは別個のコンピューティングシステムに含まれるプロセッサにより実行され得る。該コンピューティングシステムは、プロセッサ300等のプロセッサ、及び/又は検査中に取得された画像の後処理のためのプロセッサ236と同等のプロセッサを含み得る。
【0070】
[0076] 幾つかの例において、画像プロセッサ236等の少なくとも1つのプロセッサは、ブロック1002に示すように、複数の時間的に隔てられた画像フレームの個々の画像フレームにわたって多ピクセルウィンドウを平行移動させることができる。上記画像フレームは、幾つかの例では、超音波画像フレームであり得る。幾つかの例において、これら画像フレームはCEUS画像であり得る。
【0071】
[0077] ブロック1004により示されるように、多ピクセルウィンドウの各平行移動に関して、上記少なくとも1つのプロセッサは、多ピクセルウィンドウに含まれる個々の画像フレームのピクセルの統計的分布を決定して、複数の統計的分布を生成することができる。幾つかの例において、当該多ピクセルウィンドウは正方形であり得る。幾つかの例において、当該少なくとも1つのプロセッサは、多ピクセルウィンドウを一度に1ピクセルずつ平行移動させ得る。幾つかの例において、該少なくとも1つのプロセッサは多ピクセルウィンドウを複数回平行移動させ、各画像フレームに対して計算される統計的分布の数が当該画像フレーム内のピクセル数と等しくなるようにすることができる。幾つかの例において、当該少なくとも1つのプロセッサは、多ピクセルウィンドウを画像フレーム内のROIにわたってのみ平行移動し得る。幾つかの例において、ROIは、ユーザによりユーザインターフェース224等のユーザインターフェースを介して選択され得る。
【0072】
[0078] ブロック1006に示すように、少なくとも1つのプロセッサは、複数の統計的分布のうちの対応するものに少なくとも部分的に基づいてパラメトリック値を計算し、複数のパラメトリック値を生成し得る。パラメトリック値は、幾つかの例では、信号対雑音比、ナカガミ指数又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0073】
[0079] 少なくとも1つのプロセッサは、ブロック1008に示すように、複数のパラメトリック値から、時間的に隔てられた複数の画像フレームの個々の画像フレームに対応する複数のパラメトリックマップを生成し得る。幾つかの例において、少なくとも1つのプロセッサは、これらパラメトリックマップの1以上を例えばディスプレイ238上での表示のために供給することができる。
【0074】
[0080] 幾つかの例において、当該少なくとも1つのプロセッサは上記パラメトリックマップを使用して、蓄積画像(例えば、ToA画像又はMVI画像)を生成するためのサブシーケンス(部分シーケンス)を定義することができる。例えば、少なくとも1つのプロセッサは、複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの第1のフレームを、複数のパラメトリックマップのうちの或る閾値を超える第1のパラメトリック値を有する第1のパラメトリックマップに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。幾つかの例において、該閾値は、複数の時間的に隔てられた画像フレームに含まれる組織タイプに少なくとも部分的に基づくものである。他の例において、該閾値は、ユーザインターフェースを介して供給されるユーザ入力に少なくとも部分的に基づくものであり得る。幾つかの例において、少なくとも1つのプロセッサは、複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの第2のフレームを、複数のパラメトリックマップのうちの複数のパラメトリック値における最大パラメトリック値を有する第2のパラメトリックマップに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。幾つかの例において、第1のフレーム及び第2のフレームは複数の時間的に隔てられた画像フレームのサブシーケンスを少なくとも部分的に定義し、当該方法は該サブシーケンスを組み合わせて蓄積画像を生成するステップを更に有する。
【0075】
[0081] 幾つかの例において、少なくとも1つのプロセッサは、パラメトリックマップを使用して、画像フレームから1以上の特徴構造をセグメント化(分離)することができる。例えば、少なくとも1つのプロセッサは、複数のパラメトリックマップのうちの第1のパラメトリックマップに対応する複数のパラメトリック値のうちの最大のパラメトリック値を決定し、複数のパラメトリックマップのうちの残りのものに対応する複数のパラメトリック値を閾値処理して、複数のパラメトリック値のうちの最大のパラメトリック値を下回るパラメトリック値を削除することができる。少なくとも1つのプロセッサは、複数のパラメトリックマップの残りのものの少なくとも1つに対応する複数の時間的に隔てられた画像フレームの少なくとも1つをセグメント化することができる。幾つかの例において、セグメント化は、複数の時間的に隔てられた画像フレームのうちの少なくとも1つのピクセルを或る特徴構造に割り当てることを含むことができ、その場合、これらピクセルは閾値に等しい又はそれ以上のパラメトリック値に対応する。
【0076】
[0082] 構成要素、システム及び/又は方法が、コンピュータベースのシステム又はプログラマブルロジック等のプログラマブル装置を使用して実装される種々の例において、上述したシステム及び方法は、「C」、「C++」、「FORTRAN」、「Pascal」、「VHDL」等の種々の既知の又は後に開発されるプログラミング言語の何れかを使用して実施化できると理解されたい。したがって、上述したシステム及び/又は方法を実施するようにコンピュータ等の装置を指示できる情報を含むことが可能な、磁気コンピュータディスク、光ディスク、電子メモリ等の様々な記憶媒体を準備することができる。適切な装置が記憶媒体に含まれる情報及びプログラムにアクセスしたなら、該記憶媒体はその情報及びプログラムを装置に供給することができ、このようにして、該装置は本明細書に記載されるシステム及び/又は方法の機能を実行できるようになる。例えば、ソースファイル、オブジェクトファイル、実行可能ファイル等の適切な素材を含むコンピュータディスクがコンピュータに提供されたとしたら、該コンピュータは、情報を受信し、自身を適切に構成し、種々の機能を実施するために先に図及びフローチャートで概説した種々のシステム及び方法の機能を実行できる。すなわち、該コンピュータは、前述したシステム及び/又は方法の種々の要素に関連する情報の様々な部分をディスクから受信し、個々のシステム及び/又は方法を実装し、上述した個々のシステム及び/又は方法の機能を協調させることができる。
【0077】
[0083] このような開示を考慮して、本明細書で説明される種々の方法及び装置は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアで実装できることに留意されたい。更に、種々の方法及びパラメータは、例示のみとして含まれるもので、限定する意味で含まれるものではない。この開示を考慮すれば、当業者は、本発明の範囲内に留まりながら、独自の技術及びこれら技術に影響を与えるための必要な機器を決定する際に、本教示を実施することができる。本明細書に記載される1以上のプロセッサの機能は、より少ない数又は単一の処理ユニット(例えば、CPU)に組み込むことができると共に、特定用途向け集積回路(ASIC)又は本明細書に記載された機能を実行するための実行可能命令に応じてプログラムされた汎用処理回路を使用して実装することができる。
【0078】
[0084] 本システムは、特に超音波撮像システムを参照して説明されたものであり得るが、本システムは、1以上の画像が系統的に取得される他の医用撮像システムに拡張できることも想定され得る。したがって、本システムは、これらに限定されるものではないが、腎臓、精巣、乳房、卵巣、子宮、甲状腺、肝臓、肺、筋骨格系、脾臓、心臓、動脈及び血管系に関連する画像情報を取得及び/又は記録するために、及び超音波誘導介入術に関連する他の撮像アプリケーションのために使用することができる。更に、本システムは、本システムのフィーチャ及び利点を提供できるように従来の撮像システムと共に使用され得る1以上のプログラムを含むこともできる。本開示の特定の追加の利点及びフィーチャは、本開示を精査する際に当業者にとり明らかになり得、又は本開示の新規なシステム及び方法を採用する者により経験され得るものである。本システム及び方法の他の利点は、従来の医用画像システムを、本システム、装置及び方法のフィーチャ及び利点を組み込むように容易にアップグレードできることである。
【0079】
[0085] 当然のことながら、本明細書に記載される例、実施例又はプロセスの何れか1つは、1以上の他の例、実施例及び/又はプロセスと組み合わせることができると共に、本システム、装置及び方法による別個の装置又は装置部分間で分離及び/又は実施することができると理解されたい。
【0080】
[0086] 最後に、上記説明は、本発明のシステム及び方法を単に例示することを意図しており、添付請求項の範囲を特定の例又は例のグループに限定するものとして解釈されるべきではない。このように、本システムは例示的な例を参照して特に詳細に説明されてきたが、当業者によれば多くの修正及び代替例が、後述する請求項に記載された本システム及び方法の一層広い意図された趣旨及び範囲から逸脱することなく考案され得ると理解されるべきである。したがって、明細書及び図面は、例示としてみなされるべきであり、添付請求項の範囲を限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】