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特表2023-552786電気光学ディスプレイを駆動するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイを駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20231212BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20231212BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20231212BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 9/30 20060101ALI20231212BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G09G3/20 650M
G09G3/34 C
G02F1/167
G02F1/133 550
G02F1/133 545
H04N9/30
H04N5/66 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534300
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021062131
(87)【国際公開番号】W WO2022125500
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,936
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】浅野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】クラウンス, ケネス アール.
【テーマコード(参考)】
2H193
2K101
5C058
5C060
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA03
2H193ZA12
2H193ZE16
2H193ZF11
2H193ZF12
2H193ZQ13
2H193ZQ22
2K101AA04
2K101AA08
2K101BA01
2K101BA12
2K101BD21
2K101BD61
2K101ED12
2K101ED13
2K101EE02
5C058AA18
5C058BA05
5C060JA11
5C080AA10
5C080AA11
5C080AA13
5C080BB05
5C080CC03
5C080EE29
5C080FF11
5C080GG09
(57)【要約】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法が、提供され、そのような方法は、画像を受信することと、画像をYCbCr画像に変換することと、YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成することとを含む。本方法はさらに、YCbCr画像に関する局所的面積内の変動量を計算し、変動量マップを取得することと、計算された変動量を使用して、効果比マップを計算することとを含む。一実施形態では、効果比マップを計算することは、ルーマ画像からピクセル値を求めることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法であって、前記方法は、
画像を受信することと、
前記画像をYCbCr画像に変換することと、
前記YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成するステップはさらに、赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルからの出力をブーストすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルからの前記出力をブーストすることは、前記ルーマを標的ピクセルのものと合致させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記YCbCr画像に関する局所的面積内の変動量を計算し、変動量マップを取得することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変動量を計算することは、前記YCbCr画像の前記赤色チャネル、緑色チャネル、および前記青色チャネルのそれぞれに対して前記変動量を計算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変動量を計算することは、前記YCbCr画像の前記赤色チャネル、緑色チャネル、および前記青色チャネルのそれぞれに対して変動量を最大限にすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記計算された変動量を使用して、効果比マップを計算することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記効果比マップを計算することは、前記ルーマ画像からピクセル値を求めることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記効果比マップを計算することは、前記受信された画像からピクセル値を求めることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
カラーフィルタアレイをさらに備える、請求項1に記載の方法を遂行するように構成されている、電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
流体中に配置され、電場の影響下で、前記流体を通して移動することが可能である、複数の帯電粒子を備える、電気泳動材料を備える、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項12】
前記帯電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記帯電粒子および前記流体は、高分子材料を備える、連続相によって囲繞される、複数の離散液滴として存在する、請求項10に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
双安定電気光学ディスプレイの動作を制御することが可能である、ディスプレイコントローラであって、前記コントローラは、前記ディスプレイを動作させるための駆動方法を遂行するように構成されており、前記方法は、
画像を受信することと、
前記画像をYCbCr画像に変換することと、
前記YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成することと
を含む、ディスプレイコントローラ。
【請求項15】
前記駆動方法はさらに、前記YCbCr画像に関する局所的面積内の変動量を計算し、変動量マップを取得することを含む、請求項14に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記駆動方法はさらに、前記算出された変動量を使用して、効果比マップを計算することを含む、請求項15に記載のコントローラ。
【請求項17】
前記駆動方法はさらに、前記ルーマ画像からピクセル値を求めることを含む、効果比マップを計算することを含む、請求項15に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年12月8日に出願された、米国仮出願第63/122,936号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の主題)
本発明は、電気光学ディスプレイを駆動するための方法に関する。より具体的には、本発明は、カラーフィルタまたはカラーフィルタアレイを伴う、電気光学ディスプレイ上に画像をレンダリングするための駆動方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
電気光学ディスプレイは、典型的には、そのそれぞれが、ディスプレイの1つのピクセルを画定する、複数のピクセル電極を具備する、バックプレーンを有し、従来的に、単一共通電極が、多数のピクセルにわたって延在し、通常、ディスプレイ全体が、電気光学媒体の反対側に提供される。個々のピクセル電極は、直接駆動されてもよい(すなわち、別個の導体が、各ピクセル電極に提供されてもよい)、またはピクセル電極が、バックプレーン技法の当業者に熟知されるであろう、アクティブマトリクス様式で駆動されてもよい。電気光学ディスプレイにおいてカラーを達成する1つの方法は、そのようなディスプレイにカラーフィルタアレイ(CFA)を装備することである。
【0005】
しかしながら、発光型および反射型ディスプレイの両方を含む、CFAベースのディスプレイは、サブピクセルに起因して、カラーの空間的分解能の損失に悩まされる。典型的なCFAディスプレイは、赤色、緑色、および青色フィルタを有する。したがって、原色のうちの1つが、ディスプレイ上に示される場合、それは、利用されることになるディスプレイ面積の3分の1またはそれ未満のみ(サブピクセル間に充填しているために、より少ない)を有する。ソース画像内の1つのピクセルは、各ピクセル場所がカラーフィルタのうちの1つを有する、ディスプレイ内の1つのピクセルに対応する。単純なレンダリングプロセスでは、所与のピクセル場所が、赤色フィルタを有する場合、赤色チャネル値のみが、ソース画像内の同一ピクセルから求められるであろう。同一のことが、緑色および青色フィルタにも当てはまる。これは、時として、着色微細テキスト等のカラーの微細な詳細の損失につながり得る。また、本問題は、ディスプレイの色域が小さい、ダイナミックレンジが低い、またはディスプレイの分解能が低いとき、より深刻になり得る。
【0006】
したがって、CFAディスプレイにおいてカラーの微細な詳細を保存する、駆動方法が、必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
故に、一側面では、本明細書に提示される主題は、複数のディスプレイピクセルを有する電気光学ディスプレイを駆動するための方法を提供し、本方法は、画像を受信することと、画像をYCbCr画像に変換することと、YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成することとを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、YCbCr画像を処理し、ルーマ画像を生成するステップはさらに、赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルからの出力をブーストすることを含んでもよい。また、赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルからの出力をブーストすることは、ルーマを標的ピクセルのものと合致させることを含んでもよい。
【0009】
いくつかの他の実施形態では、本方法はさらに、YCbCr画像に関する局所的面積内の変動量を計算し、変動量マップを取得することを含み、変動量を計算することは、YCbCr画像の赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルのそれぞれに対して変動量を計算することを含んでもよく、変動量を計算することは、YCbCr画像の赤色チャネル、緑色チャネル、および青色チャネルのそれぞれに対して変動量を最大限にすることを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、計算された変動量を使用して、効果比マップを計算することをさらに含んでもよく、効果比マップを計算することは、ルーマ画像からピクセル値を求めることを含んでもよい。
【0011】
いくつかの他の実施形態では、効果比マップを計算することは、受信された画像からピクセル値を求めることを含んでもよい。
【0012】
さらなる別の実施形態では、本方法を遂行するように構成される、電気光学ディスプレイは、カラーフィルタアレイを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本ディスプレイはさらに、流体中に配置され、電場の影響下で、流体を通して移動することが可能である、複数の帯電粒子を備える、電気泳動材料を含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、帯電粒子および前記流体は、複数のカプセルまたはマイクロセル内に閉じ込められる。さらなる別の実施形態では、帯電粒子および流体は、高分子材料を含み得る、連続相によって囲繞される、複数の離散液滴として存在する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、電気泳動ディスプレイを表す、回路図である。
【0014】
図2図2は、電気光学結像層の回路モデルを示す。
【0015】
図3図3は、着色フィルタアレイを有する、電気光学ディスプレイの断面図を図示する。
【0016】
図4図4は、本明細書に開示される主題による、駆動方法を図示する、ブロック図である。
【0017】
図5図5は、CFAディスプレイのためのカラー画像をレンダリングするための例示的プロセスフローを図示する。
【0018】
図6図6は、本明細書に開示される主題による、分散マップを図示する。
【0019】
図7図7は、本明細書に開示される主題による、効果比マップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は、電気光学ディスプレイ、特に、双安定電気光学ディスプレイを駆動するための方法と、そのような方法での使用のための装置とに関する。より具体的には、本発明は、そのようなディスプレイにおける「残影」およびエッジ効果の低減、ならびに閃光の低減を可能にし得る、駆動方法に関する。本発明は、排他的ではないが、特に、1つ以上のタイプの帯電粒子が、流体中に存在し、電場の影響下で流体を通して移動され、ディスプレイの外観を変化させる、粒子ベースの電気泳動ディスプレイと併用するために意図されている。
【0021】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、結像技術分野におけるその従来の意味において、少なくとも1つの光学性質が異なる第1および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によって、その第1の表示状態からその第2の表示状態に変化される材料を指すために、本明細書で使用される。光学性質は、典型的には、人間の眼に知覚可能なカラーであるが、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読取のために意図されるディスプレイの場合では、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味における擬似色等の別の光学性質であってもよい。
【0022】
用語「グレー状態」は、結像技術分野におけるその従来の意味において、本明細書で使用され、2つの極端なピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれらの2つの極端な状態の間の黒色-白色遷移を意味するわけではない。例えば、下記に参照されるE Inkの特許および公開された出願のうちのいくつかは、中間の「グレー状態」が、実際には薄青色であるように、極端な状態が白色および濃青色である、電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに記述されているように、光学状態の変化は、カラーの変化では全くない場合もある。用語「黒色」および「白色」は、ディスプレイの2つの極端な光学状態を指すために以降で使用され得、通常、厳密には黒色および白色ではない極端な光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降では、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをそれらの2つの極端な光学状態のみに駆動させる、駆動スキームを指すために使用され得る。
【0023】
いくつかの電気光学材料は、材料が固体外部表面を有するという意味において固体であるが、材料は、内部液体または気体充填空間を有し得、多くの場合、それが該当する。固体電気光学材料を使用するそのようなディスプレイは、以降、便宜上、「固体電気光学ディスプレイ」と称され得る。したがって、用語「固体電気光学ディスプレイ」は、回転二色部材ディスプレイと、カプセル化電気泳動ディスプレイと、マイクロセル電気泳動ディスプレイと、カプセル化液晶ディスプレイとを含む。
【0024】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学性質が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、その第1または第2の表示状態のいずれかを呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動された後、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろうようなディスプレイを指すために、本明細書で使用される。米国特許第7、170、670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極端な黒色および白色状態においてだけではなく、また、それらの中間グレー状態においても、安定しており、同一のことが、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、双安定ではなく「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために本明細書で使用され得る。
【0025】
用語「インパルス」は、時間に対する電圧の積分のその従来の意味において、本明細書で使用される。しかしながら、いくつかの双安定電気光学媒体は、電荷トランスデューサとして作用し、そのような媒体を用いる場合、インパルスの代替定義、すなわち、経時的な電流の積分(印加される全電荷に等しい)が、使用され得る。インパルスの適切な定義が、媒体が電圧時間インパルストランスデューサまたは電荷インパルストランスデューサとして作用するどうかに応じて、使用されるべきである。
【0026】
下記の議論の多くは、初期グレーレベルから最終グレーレベル(初期グレーレベルと異なる場合とそうではない場合がある)への遷移を通して、電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動するための方法に焦点を当てるであろう。用語「波形」は、ある具体的な初期グレーレベルから具体的な最終グレーレベルへの遷移をもたらすために使用される、時間に対する電圧全体の曲線を指すために使用されるであろう。典型的には、そのような波形は、複数の波形要素を備えるであろう。これらの要素が、略長方形である場合(すなわち、所与の要素が、ある期間にわたって一定電圧の印加を備える場合)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、具体的なディスプレイに関するグレーレベル間のあらゆる可能性として考えられる遷移をもたらすために十分な波形のセットを指す。ディスプレイは、1つを上回る駆動スキームを利用し得る。例えば、前述の米国特許第7、012、600号は、駆動スキームが、ディスプレイの温度またはその寿命の間に動作中であった時間等のパラメータに応じて、修正される必要があり得、したがって、ディスプレイが、異なる温度等で使用されるための複数の異なる駆動スキームを提供され得ることを教示する。本様式において使用される駆動スキームのセットは、「関連駆動スキームのセット」と称され得る。また、前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されるように、1つを上回る駆動スキームを同一ディスプレイの異なる面積内で同時に使用することも可能性として考えられ、本様式において使用される駆動スキームのセットは、「同時駆動スキームのセット」と称され得る。
【0027】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(本タイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上記に言及される特許のうちのいくつかでは、回転部材が球形ではないため、用語「回転二色部材」が、より正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する、多数の小さい本体(典型的には、球形または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内の液体充填空胞内に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填される。ディスプレイの外観は、それに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分の位置を変動させることによって、変化される。本タイプの電気光学媒体は、典型的には、双安定である。
【0028】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極に取り付けられる可逆的カラー変化が可能である複数の染色分子とから成る、ナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体を使用する。例えば、O’Regan, B., et al.、Nature 1991, 353, 737、およびWood, D.、Information Display, 18(3), 24 (2002年3月)を参照されたい。また、Bach, U., et al.、Adv. Mater., 2002, 14(11), 845も参照されたい。本タイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。本タイプの媒体もまた、典型的には、双安定である。
【0029】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes, R.A., et al.「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」、Nature, 425, 383-385 (2003)において説明されている、エレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが、双安定にされ得ることが示されている。
【0030】
長年にわたり精力的な研究および開発の関心の対象である、1つのタイプの電気光学ディスプレイは、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通して移動する、粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、それらの広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイに対して不適正な使用可能寿命をもたらす。
【0031】
上記のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。殆どの先行技術の電気泳動媒体では、本流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる。例えば、Kitamura,T.,et al.「Electrical toner movement for electronic paper-like display」、IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1、およびYamaguchi, Y., et al.「Toner display using insulative particles charged triboelectrically」、IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4)を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直平面内に配置される看板において、媒体がそのような沈降を可能にする配向において使用されるときに、粒子沈降に起因する、液体ベースの電気泳動媒体と同一のタイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速な沈降を可能にする液体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度のため、液体ベースの電気泳動媒体よりもガスベースの電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0032】
Massachusetts Institute of Technology (MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動媒体および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化媒体は、多数の小型カプセルを備え、そのそれぞれは、それ自体が、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルは、それら自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
【0033】
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
【0034】
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
【0035】
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
【0036】
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
【0037】
(e)電気光学材料を含有する、フィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
【0038】
(f)バックプレーン、接着剤層、他の補助層、およびディスプレイ内で使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
【0039】
(g)カラー形成およびカラー調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
【0040】
(h)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号、第8,009,348号参照)第
【0041】
(i)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ、ならびにディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016//0012710号参照)
【0042】
(j)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0070032号、第2007/0076289号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2007/0296452号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0169821号、第2008/0218471号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)
【0043】
前述の特許および出願のうちの多くは、カプセル化電気泳動媒体中の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相によって置換され得、したがって、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、高分子材料の連続相とを備える、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2002/0131147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0044】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、例えば、高分子フィルム内に形成される複数の空洞内に留保される。例えば、両方とも、Sipix Imaging, Inc.に譲渡されている、国際出願公開第WO02/01281号、および公開された米国出願第2002/0075556号を参照されたい。
【0045】
前述のE InkおよびMIT特許ならびに出願の多くはまた、マイクロセル電気泳動ディスプレイおよび高分子分散電気泳動ディスプレイを検討する。用語「カプセル化電気泳動ディスプレイ」は、全てのそのようなディスプレイタイプを指し得、これはまた、壁の形態構造を横断して一般化するために、集合的に「マイクロキャビティ電気泳動ディスプレイ」として説明され得る。
【0046】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes, R. A., et al.「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」,Nature, 425, 383-385 (2003)に説明される、エレクトロウェッティングディスプレイである。2004年10月6日に出願された、同時係属中の出願第10/711,802号では、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは、双安定にされ得ることが示されている。
【0047】
他のタイプの電気光学材料もまた、使用されてもよい。特に着目すべきこととして、双安定強誘電液晶ディスプレイ(FLC)が、当技術分野において公知であって、残留電圧挙動を呈している。
【0048】
電気泳動媒体は、不透過性であって(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子がディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、いくつかの電気泳動ディスプレイは、一方の表示状態が実質的に不透過性であり、一方が光透過性である、いわゆる「シャッターモード」で動作するようにさせることができる。例えば、特許、すなわち、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、ならびに米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが、電場強度の変動に依拠する、誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、遮蔽モードで動作することが可能であり得る。
【0049】
高分解能ディスプレイは、隣接するピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス指定可能である、個々のピクセルを含んでもよい。そのようなピクセルを取得するための1つの方法は、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供することであって、少なくとも1つの非線形要素は、各ピクセルと関連付けられ、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産する。1つのピクセルをアドレス指定するアドレス指定またはピクセル電極は、関連付けられた非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。非線形要素が、トランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続されてもよく、本配列が、以下の説明では仮定されるであろうが、本質的に、恣意的であって、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的なピクセルが、1つの規定される行および1つの規定される列の交点によって、一意に画定されるように、行および列の2次元アレイ内に配列されてもよい。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一列電極に接続されてもよい一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一行電極に接続されてもよい。再度、行へのソースおよび列へのゲートの割当は、所望に応じて、逆転されてもよい。
【0050】
ディスプレイは、行毎様式で書き込まれてもよい。行電極は、行ドライバに接続され、これは、選択された行電極に、選択された行内の全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするような電圧を印加する一方、全ての他の行に、これらの選択されていない行内の全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような電圧を印加してもよい。列電極は、列ドライバに接続され、これは、種々の列電極に、選択された行内のピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動するように選択される電圧をかける(前述の電圧は、電気光学媒体の非線形アレイと反対側に提供され、ディスプレイ全体を横断して延在し得る、共通前面電極に対するものである。当技術分野において公知のように、電圧は、相対的であって、2つの点の間の電荷差の測定値である。一方の電圧値は、別の電圧値に対するものである。例えば、ゼロ電圧(「0V」)は、別の電圧に対して無電圧差を有することを指す)。「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後に、選択された行が、選択解除され、別の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変更される。
【0051】
しかしながら、使用時、ある波形が、電気光学ディスプレイのピクセルへの残留電圧を生産し得、上記の議論から明白であるように、本残留電圧は、いくつかの不要な光学効果を生産し、一般に、望ましくない。
【0052】
本明細書に提示されるように、アドレス指定パルスと関連付けられた光学状態における「偏移」は、電気光学ディスプレイへの特定のアドレス指定パルスの最初の印加が、第1の光学状態(例えば、第1のグレートーン)をもたらし、電気光学ディスプレイへの同一アドレス指定パルスの後続の印加が、第2の光学状態(例えば、第2のグレートーン)をもたらす、状況を指す。残留電圧は、アドレス指定パルスの印加中に電気光学ディスプレイのピクセルに印加される電圧が、残留電圧とアドレス指定パルスの電圧との和を含むため、光学状態における偏移を生じさせ得る。
【0053】
経時的なディスプレイの光学状態における「ドリフト」は、ディスプレイが静止している間に(例えば、アドレス指定パルスがディスプレイに印加されない周期中に)、電気光学ディスプレイの光学状態が変化する、状況を指す。残留電圧は、ピクセルの光学状態が、ピクセルの残留電圧に依存し得、ピクセルの残留電圧が、経時的に減衰し得るため、光学状態におけるドリフトを生じさせ得る。
【0054】
上記に議論されるように、「残影」は、電気光学ディスプレイが書き換えられた後に、前の画像の痕跡が、依然として、可視である、状況を指す。残留電圧は、前の画像の一部の輪郭(エッジ)が可視のままである、残影のタイプである、「エッジ残影」を生じさせ得る。
【0055】
例示的EPD
【0056】
図1は、本明細書に提起される主題による、電気光学ディスプレイのピクセル100の概略図を示す。ピクセル100は、結像フィルム110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、双安定であってもよい。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、カプセル化電気泳動結像フィルムを含んでもよく、これは、例えば、荷電顔料粒子を含んでもよい。
【0057】
結像フィルム110は、前面電極102と背面電極104との間に配置されてもよい。前面電極102は、結像フィルムとディスプレイの前面との間に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、前面電極102は、透明であってもよい。いくつかの実施形態では、前面電極102は、限定ではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を含む、任意の好適な透明材料から形成されてもよい。背面電極104は、前面電極102と対向して形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、寄生静電容量(図示せず)が、前面電極102と背面電極104との間に形成されてもよい。
【0058】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであってもよい。複数のピクセルは、任意の具体的なピクセルが、1つの規定される行および1つの規定される列の交点によって、一意に画定されるように、行および列の2次元アレイ内に配列され、マトリクスを形成してもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは「アクティブマトリクス」であってもよく、本場合では、各ピクセルは、少なくとも1つの非線形回路要素120と関連付けられる。非線形回路要素120は、バックプレーン電極104とアドレス指定電極108との間に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、ダイオードおよび/またはトランジスタを含んでもよく、限定ではないが、MOSFETを含む。MOSFETのドレイン(またはソース)は、バックプレーン電極104に結合されてもよく、MOSFETのソース(またはドレイン)は、アドレス指定電極108に結合されてもよく、MOSFETのゲートは、MOSFETのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成される、ドライバ電極106に結合されてもよい(便宜上、バックプレーン電極104に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのドレインと称され、アドレス指定電極108に結合されるMOSFETの端子は、MOSFETのソースと称されるであろう。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETのソースおよびドレインが、交換され得ることを認識するであろう)。
【0059】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列における全てのピクセルのアドレス指定電極108は、同一の列電極に接続されてもよく、各行における全てのピクセルのドライバ電極106は、同一の行電極に接続されてもよい。行電極は、行ドライバに接続されてもよく、これは、選択された行における全てのピクセル100の非線形要素120をアクティブ化するために十分な電圧を選択された行電極に印加することによって、ピクセルの1つ以上の行を選択し得る。列電極は、列ドライバに接続されてもよく、これは、選択された(アクティブ化された)ピクセルのアドレス指定電極106に、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために好適な電圧をかけ得る。アドレス指定電極108に印加される電圧は、ピクセルのフロントプレーン電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)に対して相対的であってもよい。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内の全てのピクセルのフロントプレーン電極102は、共通電極に結合されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎様式で書き込まれてもよい。例えば、ピクセルの行は、行ドライバによって選択されてもよく、ピクセルの行に関する所望の光学状態に対応する電圧が、列ドライバによってピクセルに印加されてもよい。「ラインアドレス時間」として公知である事前選択された間隔後に、選択された行が、選択解除され得、別の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように変更され得る。
【0061】
図2は、本明細書に開示される主題による、前面電極102と背面電極104との間に配置される、電気光学結像層110の回路モデルを示す。抵抗器202およびコンデンサ204は、電気光学結像層110、前面電極102、および背面電極104の抵抗ならびに静電容量を表し、任意の接着剤層を含んでもよい。抵抗器212およびコンデンサ214は、ラミネート加工接着剤層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、前面電極102と背面電極104との間に形成され得る、静電容量、例えば、結像層とラミネート加工接着剤層との間、および/またはラミネート加工接着剤層とバックプレーン電極との間の界面等の層間の界面接触面積を表し得る。ピクセルの結像フィルム110を横断する電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0062】
使用時、ディスプレイの背景を閃光させることなく、後続の画像に更新させることは、図1および2に図示されるような電気光学ディスプレイにとって望ましい。しかしながら、背景色-背景色(例えば、白色-白色または黒色-黒色)波形に関する画像更新の際に、空の遷移を使用する簡単な方法は、エッジアーチファクト(例えば、ブルーミング)の蓄積につながり得る。白黒電気光学ディスプレイでは、エッジアーチファクトは、上昇波形等の特殊化された波形を使用することによって、低減され得る。しかしながら、カラーフィルタアレイ(CFA)を使用して生成されるカラーを伴う電気泳動ディスプレイ(EPD)等の電気光学ディスプレイでは、カラーの品質およびコントラストを維持することが、時として、困難であり得る。
【0063】
図3は、本明細書に開示される主題による、CFAベースの着色EPDの断面図を図示する。図3に示されるように、(概して、300として指定される)カラー電気泳動ディスプレイは、複数のピクセル電極304を担持する、バックプレーン302を備える。本バックプレーン302には、反転されたフロントプレーン積層体が、積層されてもよく、本反転されたフロントプレーン積層体は、黒色および白色の極端な光学状態を有する単色電気泳動媒体層306と、接着剤層308と、ピクセル電極304と整合される赤色、緑色、および青色面積を有する、カラーフィルタアレイ310と、(典型的には、酸化インジウムスズ、酸化窒素から形成される)略透明な伝導層312と、前面保護層314とを備えてもよい。
【0064】
実践では、画像の局所的面積の変動量が、CFAディスプレイの微細なカラーの詳細を保存するために使用されてもよい。本明細書に提示される主題は、局所的変動量ベースのサブピクセルレンダリング、すなわち、LVSレンダリングを利用する。所与の入力画像の局所的面積内のカラー変動量を使用する場合、本面積が詳細な保存面積であるかどうかを判定するプロセスが、微細なカラーの詳細をより良好に提示するために採択される。ここで図4を参照すると、本明細書に開示される主題による、CFAディスプレイを駆動するための例示的方法400が、提示されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、LVSレンダリングアルゴリズムが、最初に、ソース画像(例えば、sRGB画像またはimg_sRGB)と、どのピクセル場所が入力としてどのカラーフィルタを有するかを定義する、サブピクセル場所マップ(例えば、imMASK)とを取り込んでもよい。続いて、図4のステップ402において、sRGB画像は、ITU-R推奨BT.601において定義される線形変換等、業界内で一般的に採択される方法を使用して、YCbCr画像に変換され得る。
【0066】
次に、図4のステップ404において、ルーマ画像(例えば、img_luma)が、下記に提示される例示的アルゴリズムに従って定義され得る。
【数1】
式中、img_Yは、YCbCr画像からのYチャネル画像であり、c_boost_RGBは、赤色、緑色、および青色チャネル出力をブーストするための3つの係数のリストである。本ブースト化は、透明性が、3つのチャネル間で異なるため、標的ピクセルのルーマに合致させるために理想的であり得る。係数は、図6に図示されるように、画像輝度を平衡させるように設計される調整可能なパラメータである。
【0067】
ルーマ画像の作成後、ステップ406では、局所的変動量が、計算され、画像の変動量マップを生成し得る(図6参照)。変動量の計算は、YCbCrにおけるチャネル毎の局所的面積内で行われ得る。例証の目的のために、例えば、図5に図示されるように、3×3ピクセル面積の局所的面積サイズが、本明細書で使用される。変動量マップを生成するための例示的アルゴリズムが、ここに例証される。
【数2】
【0068】
いくつかの実施形態では、YCbCrにおけるチャネル毎に、かつ上記に定義されるような局所的面積毎に、各ピクセルからの平均を減算することによって、平均ピクセル値が計算され、絶対値が求められ、次いで、その値の平方根が求められ得る。本場合では、ピクセル値は、ピクセルの輝度および/またはあるべきカラーを説明する値として定義され得る。バイナリ画像の最も単純な場合では、ピクセル値は、前景または背景のいずれかを示す、1ビットの数であってもよい。グレースケール画像に関して、ピクセル値は、ピクセルの輝度を表す単一数であってもよい。例えば、バイト画像に関して、本数は、0~255の可能性として考えられる値の範囲を与える、8ビットの整数として記憶され得、本場合では、ゼロが、黒色であると解釈され、255が、白色であると解釈される。中間の値は、グレーの異なる色合いを構成する。カラー画像を表すために、別個の赤色、緑色、および青色成分が、ピクセル毎に規定され得、したがって、ピクセル値は、実際には、3つの数のベクトルであり得る。多くの場合、3つの異なる成分が、カラープレーンとして公知である、3つの別個のグレースケール画像(赤色、緑色、および青色のそれぞれに対して1つ)として記憶され、これは、表示または処理するときに再度組み合わせられる必要があり得る。続いて、局所的面積内の変動量は、局所的面積内の全てのピクセルの平方根値の平均を計算することによって、計算されてもよい。
【0069】
代替実施形態では、局所的変動量を定義するために、ピクセル値と近隣平均値との間の絶対差の平方根を求める代わりに、標準偏差、分散、または任意の他の平均もまた、求められることができる。同様に、3つのチャネル間の変動量をともにプールするとき、最大値の代わりに、平均および中央値等の任意の形態が、求められ得る。変動量は、チャネル毎にそれらを計算する代わりに、3つのチャネルにおいてともに計算され得る。
【0070】
次に、ステップ408では、図7に示されるような効果比マップが、生成されてもよく、効果比マップは、各ディスプレイピクセルに対して、詳細保存効果を定義するように構成される。所与のピクセルに関する効果比は、下記に図示される区分線形関数において定義される。
【数3】
式中、rは、効果比であり、vは、上記で計算された変動量であり、k1およびk2は、調整可能なパラメータである。
【0071】
それが、完全な効果(r=1)である場合、ピクセル値は、規定されたピクセル場所におけるimg_lumaから求められる。それが、非効果である場合(r=0)、ピクセル値は、規定されたピクセル場所におけるimg_sRGB内の対応するカラーチャネルから求められる。ピクセル値は、効果が0~1である場合、線形に補間される。
【0072】
効果比マップは、変動量を入力として捉える、任意の線形または非線形関数において計算されることができることに留意されたい。
【0073】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される本発明の具体的な実施形態に対して行われ得ることは、当業者に明白であろう。故に、前述の説明の全体は、限定的ではなく、例証的な意味において解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】