IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2023-552787動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム
<>
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図1
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図2
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図3
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図4
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図5
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図6
  • 特表-動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】動力電池の充電方法、充電装置及び充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231212BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231212BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/02 B
H02J7/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534398
(86)(22)【出願日】2021-09-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2021119453
(87)【国際公開番号】W WO2023039908
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 金博
(72)【発明者】
【氏名】▲婁▼ 其▲棟▼
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BB02
5G503CA10
5G503CA11
5G503FA06
5G503GD04
(57)【要約】
本出願の実施例は、充電装置の性能を向上させることができる動力電池の充電方法及び充電装置を提供する。この充電方法は、充電装置に用いられる。この充電装置は、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、このエネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含み、この充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含む。この充電方法は、放電段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定することであって、この第一の電圧が、このエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例することと、この第一のDC/DCコンバータにこの第一の電圧を送信することで、このエネルギー貯蔵電池がこの第一のDC/DCコンバータを介して、この第一の電圧に従って動力電池により放出される電力量を受け取ることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電方法であって、充電装置に用いられ、前記充電装置は、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含み、前記充電装置の各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が前記N個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含み、Nは、1よりも大きい正整数であり、
前記充電方法は、
前記放電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、前記第一の制御信号が、前記第一の電圧を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記エネルギー貯蔵電池が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータを介して、前記第一の電圧に従って前記動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることと、を含むことを特徴とする動力電池の充電方法。
【請求項2】
前記充電方法は、
前記充電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、前記第二の制御信号が、前記第二の電圧を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータを介して、前記第二の電圧に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項3】
前記充電装置は、隔離ユニットをさらに含み、前記隔離ユニットは、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットと前記動力電池との間に接続され、前記隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、前記M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含み、Mは、2以上の正整数であり、
前記充電方法は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電圧を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電流を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすること、をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の充電方法。
【請求項4】
前記充電装置は、前記動力電池と交流電源との間に接続されるAC/DCコンバータをさらに含み、
前記充電方法は、
前記AC/DCコンバータに第三の制御信号を送信することをさらに含み、前記第三の制御信号は、前記AC/DCコンバータにより出力される電圧を前記動力電池の充電電圧に等しくするように制御することで、前記交流電源が前記AC/DCコンバータを介して、前記充電電圧に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の充電方法。
【請求項5】
前記充電方法は、
前記AC/DCコンバータに第四の制御信号を送信することをさらに含み、前記第四の制御信号は、前記AC/DCコンバータにより出力される電圧を前記動力電池の放電電圧に等しくするように制御することで、前記動力電池が前記AC/DCコンバータを介して、前記放電電圧に従って前記交流電源へ放電するようにするために用いられることを特徴とする請求項4に記載の充電方法。
【請求項6】
動力電池の充電装置であって、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットと、制御モジュールと、を含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含み、前記充電装置の各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が前記N個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含み、Nは、1よりも大きい正整数であり、
前記制御モジュールは、
前記放電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、前記第一の制御信号が、前記第一の電圧を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記エネルギー貯蔵電池が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータを介して、前記第一の電圧に従って前記動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることと、に用いられることを特徴とする動力電池の充電装置。
【請求項7】
前記制御モジュールはさらに、
前記充電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、前記第二の制御信号が、前記第二の電圧を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、前記第二の電圧に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることと、に用いられることを特徴とする請求項6に記載の充電装置。
【請求項8】
前記充電装置は、隔離ユニットをさらに含み、前記隔離ユニットは、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットと前記動力電池との間に接続され、前記隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、前記M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含み、Mは、2以上の正整数であり、
前記制御モジュールはさらに、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電圧を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される総電圧のM倍に等しくすること、又は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電流を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすること、に用いられることを特徴とする請求項6又は7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記充電装置は、前記動力電池と交流電源との間に接続されるAC/DCコンバータをさらに含み、
前記制御モジュールはさらに、
前記AC/DCコンバータに第三の制御信号を送信するために用いられ、前記第三の制御信号は、前記AC/DCコンバータにより出力される電圧を前記動力電池の充電電圧に等しくするように制御することで、前記交流電源が前記AC/DCコンバータを介して、前記充電電圧に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項10】
前記制御モジュールはさらに、
前記AC/DCコンバータに第四の制御信号を送信するために用いられ、前記第四の制御信号は、前記AC/DCコンバータにより出力される電圧を前記動力電池の放電電圧に等しくするように制御することで、前記動力電池が前記AC/DCコンバータを介して、前記放電電圧に従って前記交流電源へ放電するようにするために用いられることを特徴とする請求項9に記載の充電装置。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載の充電方法を実行するためのプロセッサを含む、EMS。
【請求項12】
充電システムであって、
動力電池と、
請求項6から10のいずれか1項に記載の充電装置と、を含み、前記充電装置は、前記動力電池へ充電するために用いられ、各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が放電する段階と、を含むことを特徴とする充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に動力電池の充電方法、充電装置及び充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生不可能エネルギーの消費及び環境保護に対する切実な需要に伴い、充電可能な電池を動力源として使用する新エネルギー電気自動車は、急速に発展している。現在、動力電池を交互に充電・放電する方式を採用し、動力電池に対する急速充電を実現することができ、ここで、放電中、動力電池により放出される電力量を受け取るためのエネルギー貯蔵ユニットを設置することができる。しかしながら、エネルギー貯蔵ユニットの容量などの要因によって、動力電池の充電効率がこれ以上向上できない。
【発明の概要】
【0003】
本出願の実施例は、充電効率を向上させることができる動力電池の充電方法、充電装置及び充電システムを提供する。
【0004】
第一の態様によれば、本出願は、充電装置に用いられる動力電池の充電方法を提供する。この充電装置は、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含む。充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含み、Nは、1よりも大きい正整数である。充電方法は、放電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、この第一の制御信号が、第一の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、第一の電圧に従って動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることと、を含む。
【0005】
本出願の実施例は、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が直列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと繋がる第一のDC/DCコンバータと、を含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電圧を制御することによって、動力電池が各エネルギー貯蔵ユニットに放電する電力量を調節することができ、例えば、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例するように調節し、このように各エネルギー貯蔵ユニットが耐える電力量を現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間に発生したエネルギーミスマッチの問題を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0006】
一つの可能な実施例では、上記充電方法は、充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、この第二の制御信号が、第二の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、第二の電圧に従って動力電池へ充電するようにするために用いられることと、をさらに含む。
【0007】
この実施例では、動力電池へ充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例するように調節することで、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量をその現在の電力量によりマッチングさせ、さらに各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0008】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、隔離ユニットをさらに含む。この隔離ユニットは、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続され、この隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含み、Mは、2以上の正整数である。
【0009】
一つの可能な実施例では、上記充電方法は、制御スイッチモジュールがM個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電圧を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、制御スイッチモジュールがM個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電流を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることをさらに含む。
【0010】
上記実施例は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットをさらに提供し、この隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含む。このスイッチモジュールを制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータ間の接続方式を変えることによって、隔離ユニットの出力側電圧に対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間を直列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間を並列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電流充電を実現することができる。
【0011】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、動力電池と交流電源との間に接続されるAC/DCコンバータをさらに含む。この充電方法は、AC/DCコンバータに第三の制御信号を送信することをさらに含み、この第三の制御信号は、AC/DCコンバータにより出力される電圧を動力電池の充電電圧に等しくするように制御することで、交流電源がAC/DCコンバータを介して、充電電圧に従って動力電池へ充電するようにするために用いられる。
【0012】
一つの可能な実施例では、上記充電方法は、AC/DCコンバータに第四の制御信号を送信することをさらに含み、この第四の制御信号は、AC/DCコンバータにより出力される電圧を前記動力電池の放電電圧に等しくするように制御することで、動力電池がAC/DCコンバータを介して、放電電圧に従って交流電源へ放電するようにするために用いられる。
【0013】
上記実施例では、動力電池と交流電源との間にAC/DCコンバータがさらに接続され、このAC/DCコンバータは、交流電源により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、動力電池を充電することができるだけでなく、動力電池の放電段階で、動力電池により出力される直流電力を交流電力に変換することによって、動力電池の電力量を交流電源に放出し、動力電池が同時にエネルギー貯蔵ユニットと交流電源とに放電することを実現し、動力電池の放電段階の時間長を短縮し、さらに充電効率を向上させることができる。
【0014】
第二の態様によれば、本出願は、動力電池の充電装置を提供し、この充電装置は、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットと、制御モジュールと、を含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含む。充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含み、Nは、1よりも大きい正整数である。上記制御モジュールは、放電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、この第一の制御信号が、第一の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、第一の電圧に従って動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることと、に用いられる。
【0015】
本出願の実施例の充電装置は、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が直列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと繋がる第一のDC/DCコンバータと、を含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電圧を制御することによって、動力電池が各エネルギー貯蔵ユニットに放電する電力量を調節することができ、例えば、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例するように調節し、このように各エネルギー貯蔵ユニットが耐える電力量を現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間に発生したエネルギーミスマッチの問題を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0016】
一つの可能な実施例では、上記制御モジュールはさらに、充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、この第二の制御信号が、第二の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、第二の電圧に従って動力電池へ充電するようにするために用いられることと、に用いられる。
【0017】
この実施例では、動力電池へ充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例するように調節することで、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量をその現在の電力量によりマッチングさせ、さらに各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0018】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットをさらに含む。隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含み、Mは、2以上の正整数である。上記制御モジュールはさらに、制御スイッチモジュールがM個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電圧を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、制御スイッチモジュールがM個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電流を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることに用いられる。
【0019】
上記実施例は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットを提供し、この隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールと、を含む。このスイッチモジュールを制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータ間の接続方式を変えることによって、隔離ユニットの出力側電圧に対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間が直列に接続されるようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、動力電池への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間が並列に接続されるようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、動力電池への大電流充電を実現することができる。
【0020】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、動力電池と交流電源との間に接続されるAC/DCコンバータをさらに含む。上記制御モジュールはさらに、AC/DCコンバータに第三の制御信号を送信するために用いられ、この第三の制御信号は、AC/DCコンバータにより出力される電圧を動力電池の充電電圧に等しくするように制御することで、交流電源がAC/DCコンバータを介して、充電電圧に従って動力電池へ充電するようにするために用いられる。
【0021】
一つの可能な実施例では、上記制御モジュールはさらに、AC/DCコンバータに第四の制御信号を送信するために用いられ、この第四の制御信号は、AC/DCコンバータにより出力される電圧を動力電池の放電電圧に等しくするように制御することで、動力電池がAC/DCコンバータを介して、放電電圧に従って交流電源へ放電するようにするために用いられる。
【0022】
上記実施例では、動力電池と交流電源との間にAC/DCコンバータがさらに接続され、このAC/DCコンバータは、交流電源により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、動力電池を充電することができるだけでなく、動力電池の放電段階で、動力電池により出力される直流電力を交流電力に変換することによって、動力電池の電力量を交流電源に放出し、動力電池が同時にエネルギー貯蔵ユニットと交流電源とに放電することを実現し、動力電池の放電段階の時間長を短縮し、さらに充電効率を向上させることができる。
【0023】
第三の態様によれば、本出願は、上記のような第一の態様と第二の態様のいずれか一つの可能な実施例における方法を実行するためのプロセッサを含むEMSを提供する。
【0024】
第四の態様によれば、本出願の実施例は、充電システムを提供し、この充電システムは、動力電池と、上記第二の態様又は第二の態様のいずれか一つの可能な実施例における充電装置と、を含み、この充電装置は、動力電池へ充電するために用いられ、ここで、各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池が放電する段階と、を含む。
【0025】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本出願の一実施例の充電システムの構造概略図である。
図2】本出願の一実施例の充電周期概略図である。
図3】本出願の一実施例の充電装置の構造概略図である。
図4】本出願の一実施例の充電方法のフローチャートである。
図5】本出願の別の実施例の充電装置の構造概略図である。
図6】本出願のまた別の実施例の充電装置の構造概略図である。
図7図4に示す充電方法に基づく具体的な実現方式のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、図面と実施例とを結び付けながら、本出願の実施の形態をさらに詳細に記述する。以下では、実施例の詳細な記述と図面は、例示的に本出願の原理を説明するためのものであるが、本出願の範囲を制限するためのものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0028】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「複数の」の意味は、二つ以上であり、用語である「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより指示される方位又は位置関係は、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。なお、用語である「第一」、「第二」、「第三」などは、記述の目的のみで用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解すべきではない。
【0029】
下記記述に出現された方位詞は、いずれも図に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
新エネルギー分野では、動力電池は、電力消費装置、例えば、車両、船舶又は宇宙航空機などの主な動力源とすることができるが、エネルギー貯蔵電池は、電力消費装置の充電源とすることができ、両者の重要性は、言うまでもない。例示であって限定的ではないが、いくつかの応用シナリオにおいて、動力電池は、電力消費装置における電池であってもよく、エネルギー貯蔵電池は、充電装置における電池であってもよい。
【0031】
図1は、本出願の実施例に適用される充電システムの構造概略図を示した。
【0032】
図1に示すように、この充電システム10は、充電装置100と、電池システム200と、を含んでもよい。選択的に、電池システム200は、電気自動車(純電気自動車と、プラグインハイブリッド電気自動車と、を含む)における電池システム又は他の応用シナリオにおける電池システムであってもよい。
【0033】
選択的に、電池システム200には、少なくとも一つの電池パック(battery pack)が設置されてもよく、この少なくとも一つの電池パックの全体は、動力電池210と総称されてもよい。電池の種類から言えば、この動力電池210は、いずれかタイプの電池であってもよく、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、又はリチウム空気電池などを含むが、それらに限らない。電池の規模から言えば、本出願の実施例における動力電池210は、電池コア/電池セル(cell)であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよく、ここで、電池モジュール又は電池パックは、いずれも複数の電池によって直並列に接続されて形成されてもよい。本出願の実施例において、動力電池210の具体的なタイプと規模に対して、いずれも具体的に限定しない。
【0034】
なお、この動力電池210をインテリジェントに管理・メンテナンスし、電池の過充電と過放電とを防ぎ、電池の耐用年数を延長するために、電池システム200には、一般的に、動力電池210の状態をモニタリングするための電池管理システム(battery management system、BMS)220がさらに設置される。選択的に、このBMS220は、動力電池210と集積して同一の機器又は装置に設置されてもよく、又は、このBMS220は、独立した機器/装置として動力電池210の外に設置されてもよい。
【0035】
具体的には、充電装置100は、電池システム200における動力電池210のために電気エネルギーを補充する装置である。
【0036】
選択的に、本出願の実施例における充電装置100は、通常の充電スタンド、スーパー充電スタンド、ビークルツーグリッド(vehicle to grid、V2G)モードをサポートする充電スタンド、又は電池を充電できる充電装置又は機器などであってもよい。本出願の実施例は、充電装置100の具体的なタイプと具体的な応用シナリオに対して限定しない。
【0037】
選択的に、図1に示すように、充電装置100は、電線300を介して動力電池210に接続され、且つ通信線400を介してBMS220に接続されてもよい。ここで、通信線400は、充電装置100とBMS220との間の情報インタラクションを実現するために用いられる。
【0038】
例として、この通信線400は、コントローラエリアネットワーク(control area network、CAN)通信バス又はデイジーチェーン(daisy chain)通信バスを含むが、それらに限らない。
【0039】
選択的に、充電装置100は、通信線400を介してBMS220と通信することができるほか、無線ネットワークを介してBMS220と通信することができる。本出願の実施例は、充電装置100とBMS220との通信タイプに対して具体的に限定しない。
【0040】
従来の充電方式を採用して動力電池210を持続的に充電する場合、持続的な充電プロセスにおけるリチウムイオンの電池負極における蓄積に制限され、充電電流も制限されるため、持続的な大電流を利用して電池への急速充電を実現することができない。動力電池210の急速充電を実現するために、本出願の実施例において、動力電池210を交互に充電・放電する方式を採用し、動力電池210の急速充電を実現する。
【0041】
例えば、図2に示すように、一つの充電周期Tは、動力電池210を充電する段階と、動力電池210が放電する段階と、を含む。ここで、動力電池210を充電する段階で、充電電流は、+I1であり、動力電池210が放電する段階で、充電電流は、-I2である。動力電池210を大電流で充電した後、動力電池210が放電して、充電中に動力電池210の負極に蓄積されるリチウムイオンを放出することによって、動力電池210にリチウム析出、発熱などの状況の発生を回避するため、その後に大電流を再び利用して動力電池210を充電することによって、動力電池210への急速充電を実現することができる。
【0042】
本出願の実施例の充電装置100には、動力電池210により放電段階で放出される電力量を受け取るためのエネルギー貯蔵ユニットが設置される。このエネルギー貯蔵ユニットは、例えばエネルギー貯蔵電池であり、エネルギー貯蔵電池の容量は、動力電池210により放出されることができる電力量に直接に影響を及ぼす。エネルギー貯蔵電池の容量を向上させるために、このエネルギー貯蔵電池は、大量の電池コアを含んでもよく、大量の電池コアが直列に接続されている場合、電池コアの整合性が比較的に悪ければ、そのうちの個別の電池コアの故障は、エネルギー貯蔵電池全体の故障を招き、動力電池210の充電に直接に影響を及ぼす。充電する信頼性を向上させるために、これらの電池コアを別々に複数のエネルギー貯蔵電池に設置し、即ち、複数のエネルギー貯蔵電池を採用して動力電池210により放出される電力量を同時に受け取ることができる。このように、そのうちのあるエネルギー貯蔵電池における電池コアが故障した場合、一定の方式で、例えば、このエネルギー貯蔵電池をバイパスすることで、動力電池210の充電に影響を与えず、充電する信頼性を向上させることができる。
【0043】
これらの複数のエネルギー貯蔵電池は、直列に接続されることができ、動力電池210が直列に接続される複数のエネルギー貯蔵電池に同時に放電する場合、複数のエネルギー貯蔵電池の電力量間に差がある可能性があるため、エネルギー貯蔵電池の両端の電圧に差があるが、直列に接続されるこれらの複数のエネルギー貯蔵電池における電流が等しければ、動力電池210がこれらの複数のエネルギー貯蔵電池に放出する電力量は、異なる。例えば、充電状態(State of Charge、SOC)が比較的に小さいエネルギー貯蔵電池に対し、その両端の電圧が比較的に小さければ、一定時間内に、動力電池210がこのエネルギー貯蔵電池に放出する電力量が少なく、SOCが比較的に大きいエネルギー貯蔵電池に対し、その両端の電圧が比較的に大きければ、同じ時間内に、動力電池210がこのエネルギー貯蔵電池に放出する電力量が多い。このように、各エネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチの問題が発生する可能性がある。SOCが小さいエネルギー貯蔵電池に対し、それにより受け取られる電力量が少なく、SOCが大きいエネルギー貯蔵電池に対し、それにより受け取られる電力量が逆に多く、このエネルギー貯蔵電池は、満充電に達しやすくなる。これらの複数のエネルギー貯蔵電池間がバケツ原理に従うため、そのうちのあるエネルギー貯蔵電池が満充電に達した場合、安全性を保証するために、動力電池210の充電はそれによって終了する。これで分かるように、各エネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチにより、各エネルギー貯蔵ユニットの容量は、十分に利用されることができず、動力電池210の充電効率は、これ以上向上できない。
【0044】
そのために、本出願の実施例は、動力電池の充電方案を提案し、第一のDC/DCコンバータが各エネルギー貯蔵電池の充電電圧と放電電圧とを制御するように設置することで、各エネルギー貯蔵電池により受け取られ、放出される電力量をその現在の容量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチを回避し、動力電池の充電効率を向上させる。
【0045】
図3は、本出願の実施例の充電装置100の構造概略図を示した。充電装置100は、充電スタンド又は充電機であってもよく、他のタイプの固定又は移動充電装置であってもよく、ここで限定しない。
【0046】
充電装置100は、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニット、例えばエネルギー貯蔵ユニット110、エネルギー貯蔵ユニット120などを含んでもよく、Nは、1よりも大きい正整数である。ここで、充電装置100の各充電周期は、動力電池210を充電する段階と、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階と、を含む。
【0047】
図3に示すように、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、このエネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータと、を含む。例えば、エネルギー貯蔵ユニット110は、エネルギー貯蔵電池111と、エネルギー貯蔵電池111と接続される第一のDC/DCコンバータ112と、を含み、エネルギー貯蔵ユニット120は、エネルギー貯蔵電池121と、エネルギー貯蔵電池121と接続される第一のDC/DCコンバータ122と、を含む。
【0048】
具体的には、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池は、このエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの第一のDC側、即ちポートAの位置する側とポートBとの位置する側に並列に接続されてもよく、エネルギー貯蔵電池の二つの電極は、ポートA及びポートBとそれぞれ接続されてもよい。各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの第二のDC側は、直列に接続され、即ちポートCの位置する側とポートDの位置する側とは、直列に接続される。例えば、図3に示すように、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111は、第一のDC/DCコンバータ112の第一のDC側、即ち第一のDC/DCコンバータ112のポートAの側とポートBの側とに並列に接続され、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121は、第一のDC/DCコンバータ122の第一のDC側、即ち第一のDC/DCコンバータ122のポートAの側とポートBの側とに並列に接続される。そして、第一のDC/DCコンバータ112の第二のDC側は、第一のDC/DCコンバータ122の第二のDC側の間に直列に接続される。
【0049】
図3から分かるように、第一のDC/DCコンバータの第一のDC側は、第一のDC/DCコンバータにおいてエネルギー貯蔵電池を接続するための側であり、第一のDC/DCコンバータの第二のDC側は、第一のDC/DCコンバータにおいて動力電池210を接続するための側である。注意すべきこととして、エネルギー貯蔵電池が動力電池210へ充電する場合、第一のDC側は、第一のDC/DCコンバータの入力側であり、第二のDC側は、第一のDC/DCコンバータの出力側であり、動力電池210がエネルギー貯蔵電池に放電する場合、第一のDC側は、第一のDC/DCコンバータの出力側であり、第二のDC側は、第一のDC/DCコンバータの入力側である。
【0050】
選択的に、上記第一のDC/DCコンバータは、入力電圧を変換した後に固定電圧を効果的に出力する電圧型コンバータであってもよく、例えば、昇降圧型DC/DCコンバータとして設置されてもよい。
【0051】
選択的に、N個のエネルギー貯蔵ユニットは、N個のエネルギー貯蔵の単一の電装ボックスであってもよく、且つN個のエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池は、電池モジュール又は電池パックであってもよく、電池モジュール又は電池パックは、いずれも複数の電池コアによって直列に接続され、又は並列に接続されて形成されてもよい。
【0052】
さらに、充電装置100は、制御モジュール160をさらに含んでもよい。ここで、制御モジュール160は、N個のエネルギー貯蔵ユニットに繋がってもよく、それらは、N個のエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを制御して、動力電池210が第一のDC/DCコンバータを介してエネルギー貯蔵ユニットに放電するようにし、又は、エネルギー貯蔵ユニットが第一のDC/DCコンバータを介して動力電池210を充電するようにするために用いられる。制御モジュール160は、通信線400を介して動力電池210のBMS220に接続されて、充電装置100とBMS220との間の情報インタラクションを実現してもよい。
【0053】
制御モジュール160は、例えば、充電スタンド又は充電機におけるエネルギー管理システム(energy management system、EMS)コントローラであってもよい。さらに、制御モジュール160は、二次ソースシステムをさらに含んでもよい。
【0054】
選択的に、図4は、動力電池210を充電するための本出願の実施例の充電方法40を示した。この方法40は、上記の制御モジュール160によって実行されてもよく、具体的に、以下のステップのうちの一部又はすべてを含んでもよい。
【0055】
ステップ410:放電段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得する。
【0056】
ステップ420:動力電池210の放電電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を決定する。
【0057】
ここで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧は、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例する。
【0058】
ステップ430:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信する。ここで、この第一の制御信号は、第一の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、この第一の電圧に従って動力電池210により放出される電力量を受け取るようにするために用いられる。
【0059】
本出願の実施例では、交互に充放電する方式に基づいて動力電池210に対する急速充電を実現し、充電装置100が、直列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと繋がる第一のDC/DCコンバータと、を含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電圧を制御することで、動力電池210が各エネルギー貯蔵ユニットに放電する電力量を調節することができる。各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例するように調節する場合、各エネルギー貯蔵ユニットが耐える電力量を現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間に発生したエネルギーミスマッチの問題を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0060】
具体的には、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットに放電する場合、制御モジュール160は、BMS220により送信される放電電圧を受信することができ、この放電電圧は、動力電池210の放電に必要な電圧である。制御モジュール160は、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を同時に取得することによって、動力電池210の放電電圧、及び各エネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧を調節することで、この第一の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例するようにすることができる。ここで、放電プロセスにおけるN個のエネルギー貯蔵ユニットの電圧の和は、動力電池210のこの放電電圧に等しい。
【0061】
例を挙げると、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111の現在の電力量が比較的に低く、即ちSOCが比較的に小さいとすると、エネルギー貯蔵電池111両端内の電圧も比較的に小さいが、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121の現在の電力量が比較的に高く、即ちSOCが比較的に高ければ、エネルギー貯蔵電池121両端の電圧も比較的に大きい。エネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120との間が直列に接続されるため、動力電池210がエネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120とに放電する時の電流は等しい。動力電池210がエネルギー貯蔵ユニットに放電する時にエネルギー貯蔵ユニットの電圧と電流とが大きければ、エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210から受信する電力量は、大きくなる。このように、動力電池210がSOCの比較的に小さいエネルギー貯蔵電池111に放出する電力量が少ないが、SOCの比較的に大きいエネルギー貯蔵電池121に放出する電力量が多いことによって、二つのエネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチが発生する。SOCが比較的に大きいエネルギー貯蔵電池121がまもなく満充電されるため、安全性を保証するために、動力電池210の充電は、それによって終了する。
【0062】
このとき、エネルギー貯蔵電池111の現在の電圧が比較的に小さい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池111と接続される第一のDC/DCコンバータ112を制御し、エネルギー貯蔵電池111に一つの比較的に大きい第一の電圧を出力し、それに対応して、エネルギー貯蔵電池121の現在の電圧が比較的に大きい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池121と接続される第一のDC/DCコンバータ122を制御し、エネルギー貯蔵電池121に一つの比較的に小さい第一の電圧を出力する。このような方法により、エネルギー貯蔵ユニットにより受け取られる電力量を現在の電力量にマッチングさせることができ、現在の電圧が小さく又は電力量が少ないエネルギー貯蔵電池111は、動力電池210からより多くの電力量を取得することができ、現在の電圧が大きく又は電力量が大きいエネルギー貯蔵電池121が動力電池210から比較的に少ない電力量を受け取ることによって、動力電池210が放電した後に各エネルギー貯蔵ユニット間のエネルギーが、相対的に均衡になり、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、充電効率を向上させることができる。
【0063】
以上、制御モジュール160が、動力電池210からN個のエネルギー貯蔵ユニットへの放電段階で第一のDC/DCコンバータをどのように制御するかを記述しており、それに応じて、制御モジュール160は、N個のエネルギー貯蔵ユニットから動力電池210への充電段階で第一のDC/DCコンバータを制御することで、N個のエネルギー貯蔵ユニット間のエネルギーをより均衡にすることができる。
【0064】
理解すべきこととして、本出願の実施例では、交流電源150、即ちグリッドのみが動力電池210へ充電してもよく、N個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150とが動力電池210を共同で充電してもよい。選択的に、図5に示すように、充電装置100は、動力電池210と交流電源150との間に接続されるAC/DCコンバータ140をさらに含み、動力電池210を充電する場合、交流電源150により出力される交流電力がAC/DCコンバータ140を介して安定している直流電力に変換することによって、動力電池210を充電する。
【0065】
具体的には、交流電源150が動力電池210へ充電する場合、制御モジュール160は、AC/DCコンバータ140に第三の制御信号を送信することができ、この第三の制御信号は、AC/DCコンバータ140により出力される電圧を動力電池210の充電電圧に等しくするように制御することで、交流電源150がAC/DCコンバータ140を介して、この充電電圧に従って動力電池210へ充電するために用いられる。
【0066】
N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、選択的に、上記方法40は、
充電する段階で、各エネルギー貯蔵電池の現在の電圧を取得することと、
各エネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例することと、
各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、この第二の制御信号が、第二の電圧を出力するようにこの第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が各エネルギー貯蔵ユニットにおけるこの第一のDC/DCコンバータを介して、第二の電圧に従って動力電池210へ充電するようにするために用いられることと、をさらに含んでもよい。
【0067】
このように、同様に、動力電池210へ充電する段階で、各第一のDC/DCコンバータの出力電圧を制御することで各エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する電力量を調節することもでき、例えば各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電圧がエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例するように調節することによって、SOCが大きいエネルギー貯蔵電池が動力電池210に移行する電力量がより多く、SOCが小さいエネルギー貯蔵電池が動力電池210に移行する電力量がより少なく、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量をその現在の電力量によりマッチングさせ、各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0068】
具体的には、N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210を充電する場合、制御モジュール160は、BMS220により送信される充電電圧を受信することができ、この充電電圧は、動力電池210の充電に必要な電圧である。同時に、制御モジュール160は、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧を取得し、動力電池210の充電電圧、及び各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧を調節することで、この第二の電圧が、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例するようにすることができる。充電プロセスにおけるN個のエネルギー貯蔵ユニットの電圧の和は、動力電池210のこの充電電圧に等しくなるべきである。
【0069】
この実施例では、N個のエネルギー貯蔵ユニットが交流電源150とともに動力電池210へ充電することができるため、さらに充電効率を向上させる。
【0070】
選択的に、交流電源150が電力量を受け取るために使用でき、即ちグリッドによる連系放電を許容する場合、動力電池210は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150とに同時に放電してもよく、動力電池210が交流電源150に放電する場合、制御モジュール160は、AC/DCコンバータ140に第四の制御信号を送信してもよく、この第四の制御信号は、AC/DCコンバータ140により出力される放電電圧を動力電池210に必要な放電電圧に等しくするように制御することで、動力電池210がAC/DCコンバータ140を介して、この放電電圧に従って交流電源150に放電するようにするために用いられる。
【0071】
この交流電源150が電力量を受け取るために使用できず、即ちグリッドによる連系放電を許容しない場合、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットにのみ放電すればよい。
【0072】
これで分かるように、動力電池210と交流電源150との間にAC/DCコンバータ140がさらに接続される場合、AC/DCコンバータ140は、交流電源150により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、交流電源150が動力電池210を充電することができるだけでなく、動力電池210の放電段階で、動力電池210により出力される直流電力を交流電力に変換することによって、動力電池210の電力量は、交流電源150に放出され、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150とに同時に放電することを実現し、動力電池210の放電段階の時間長を短縮し、さらに充電効率を向上させることができる。
【0073】
選択的に、図6に示すように、充電装置100は、隔離ユニット130をさらに含んでもよい。
【0074】
具体的には、隔離ユニット130は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池210との間に接続され、隔離ユニット130は、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュール133と、を含み、Mは、2以上の正整数である。
【0075】
制御モジュール160は、M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するようにスイッチモジュール133を制御することができ、このとき、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しい。
【0076】
制御モジュール160は、M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するようにスイッチモジュール133を制御することもでき、このとき、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電流は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しい。
【0077】
M=2を例にして、図6に示すように、隔離ユニット130は、二つの第二のDC/DCコンバータ、即ち第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132とを含む。N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132との、N個のエネルギー貯蔵ユニットに繋がる側は、入力端として、動力電池210と繋がる側は、出力端とする。ここで、第二のDC/DCコンバータ131の入力端と第二のDC/DCコンバータ132の入力端とは、並列に接続され、第二のDC/DCコンバータ131の出力端と第二のDC/DCコンバータ132の出力端との間には、スイッチモジュール133が接続されている。
【0078】
例として、図6に示すように、スイッチモジュール133は、スイッチK1と、スイッチK2と、スイッチK3と、を含んでもよい。エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電するとき、制御モジュール160は、スイッチモジュール133におけるスイッチK1を閉じるように制御することで、第二のDC/DCコンバータ131の出力端と第二のDC/DCコンバータ132の出力端とが直列に接続されるようにすることができる。このように、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される総電圧の2倍に等しい。
【0079】
エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電するとき、制御モジュール160は、スイッチモジュール133におけるスイッチK2とスイッチK3とを制御することで、第二のDC/DCコンバータ131の出力端と第二のDC/DCコンバータ132の出力端とが並列に接続されるようにすることができる。このように、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電流は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流の2倍に等しい。
【0080】
これで分かるように、隔離ユニット130がN個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池210との間に接続されるように設置するため、隔離ユニット130は、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュール133と、を含む。スイッチモジュール133を制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータの出力端における直並列接続関係を変えることによって、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧に対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間が直列に接続されるようにこの隔離ユニット130のスイッチモジュール133を制御する場合、動力電池210への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間が並列に接続されるようにこの隔離ユニット130のスイッチモジュール133を制御する場合、各第二のDC/DCコンバータにより出力される電流が重畳され、動力電池210への大電流充電を実現することができる。
【0081】
図7は、図4に示す充電方法に基づく可能な実現方式の概略フローチャートであり、動力電池210の周期的な充放電により、動力電池210に対する急速充電を実現する。図7に示すように、方法70は、上記の制御モジュール160、例えばEMSによって実行されてもよい。図5に示す充電装置100を例にして、この方法70は、以下のステップを含む。
【0082】
ステップ701:充電装置100と電池システム200との接続に成功したことを検出した後、動力電池210の充電をオンにする。
【0083】
ステップ702:動力電池210の充電電圧を取得し、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を検出する。
【0084】
ステップ703:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの出力電圧とAC/DCコンバータ140の出力電圧とを決定する。
【0085】
ここで、AC/DCコンバータ140の出力電圧は、動力電池210に必要な充電電圧に等しい。各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電圧は、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に比例し、このようにSOCが大きいエネルギー貯蔵電池が動力電池210に移行する電力量は、より多くなり、SOCが小さいエネルギー貯蔵電池が動力電池210に移行する電力量は、より少なくなり、異なるエネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチを回避し、充電効率を向上させる。
【0086】
ステップ704:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信する。
【0087】
ここで、この第二の制御信号は、第二の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、この第二の電圧に従って動力電池210へ充電するようにするために用いられる。
【0088】
ステップ704を実行すると同時に、ステップ705において、AC/DCコンバータ140に第三の制御信号を送信する。
【0089】
ここで、この第三の制御信号は、AC/DCコンバータ140により出力される電圧を動力電池210の充電電圧に等しくするように制御することで、交流電源150がこの充電電圧に従って動力電池210へ充電するようにするために用いられる。
【0090】
ステップ706:充電が完了したか否かを判断する。
【0091】
例えば、動力電池210の電圧が満充電圧に達した場合、制御モジュール160は、BMS220により送信される充電停止メッセージを受信する。この充電停止メッセージを受信した場合、充電が完了したと判断し、充電を終了し、ステップ716を実行し、充電停止メッセージを受信していない場合、充電が完了していないと判断し、ステップ707を実行する。
【0092】
ステップ707:充電時間を記録し、充電の予め設定される時間に達したか否かを判断する。
【0093】
この充電の予め設定される時間は、各充電周期において動力電池210へ充電するための充電段階の時間であり、それに応じて、放電の予め設定される時間は、各充電周期において動力電池210が放電するための放電段階の時間である。充電段階と放電段階との交互により、動力電池210に対する急速充電を実現する。
【0094】
充電の予め設定される時間に達していない場合、上記のステップに基づいて動力電池210を充電し続け、充電の予め設定される時間に達すると、この充電周期における放電段階に入る。
【0095】
ステップ708:動力電池210の放電電圧を取得し、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧を検出する。
【0096】
ステップ709:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの出力電圧とAC/DCコンバータ140の出力電圧とを決定する。
【0097】
ここで、AC/DCコンバータ140の出力電圧は、動力電池210の放電電圧に等しい。各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電圧は、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧に反比例し、このようにSOCが大きいエネルギー貯蔵電池が動力電池210から受信する電力量がより少なく、SOCが小さいエネルギー貯蔵電池が動力電池210から受信する電力量がより多く、異なるエネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチを回避し、充電効率を向上させる。
【0098】
ステップ710:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信する。
【0099】
ここで、この第一の制御信号は、第一の電圧を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを介して、この第一の電圧に従って動力電池210により放出される電力量を受け取るようにするために用いられる。
【0100】
ステップ710を実行すると同時に、ステップ711において、動力電池210が交流電源150に放電することを許容するか否かを判断する。
【0101】
動力電池210が交流電源150に放電することを許容しない場合、ステップ712を実行し、そうでなければ、ステップ713を実行する。
【0102】
ステップ712:AC/DCコンバータ140に停止信号を送信する。
【0103】
この停止信号は、AC/DCコンバータ140のオフを制御するために用いられる。
【0104】
ステップ713:AC/DCコンバータ140に第三の制御信号を送信する。
【0105】
ここで、この第三の制御信号は、AC/DCコンバータ140により出力される電圧を動力電池210の放電電圧に等しくするように制御することで、交流電源150がこの放電電圧に従って動力電池210により放出される電力量を受け取るようにするために用いられる。
【0106】
ステップ714:充電が完了したか否かを判断する。
【0107】
例えば、動力電池210の電圧が満充電圧に達した場合、制御モジュール160は、BMS220により送信される充電停止メッセージを受信する。充電停止メッセージを受信した場合、充電が完了したと判断し、充電を終了し、ステップ716を実行し、充電停止メッセージを受信していない場合、充電が完了していないと判断し、ステップ715を実行する。
【0108】
ステップ715:充電時間を記録し、放電の予め設定される時間に達したか否かを判断する。
【0109】
放電の予め設定される時間は、各充電周期において動力電池210が放電するための放電段階の時間である。
【0110】
放電の予め設定される時間に達していない場合、上記のステップに基づいて動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットに放電し続け、放電の予め設定される時間に達した場合、次の充電周期の充電段階に入る。
【0111】
ステップ716:充電は、終了する。
【0112】
図7から分かるように、制御モジュール160は、充電段階と放電段階とで各第一のDC/DCコンバータの出力電圧を制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵ユニットにより放出され、又は受け取られる電力量を制御することによって、各エネルギー貯蔵ユニット間に発生したエネルギーミスマッチを回避し、各エネルギー貯蔵ユニットに対する十分な利用を実現し、充電効率を向上させることができる。
【0113】
本出願の実施例は、前記本出願の各実施例における充電方法を実行するためのプロセッサを含むEMSをさらに提供する。
【0114】
本出願の実施例は、充電システムをさらに提供し、動力電池と、上記いずれか一つの実施例に記載の充電装置100と、を含むことを特徴とする。充電装置100は、動力電池210へ充電するために用いられ、ここで、各充電周期は、動力電池210を充電する段階と、動力電池210が放電する段階と、を含む。
【0115】
理解すべきこととして、本明細書における具体的な例は、当業者が本出願の実施例をより良く理解することを助けるためのものだけであり、本出願の実施例の範囲を制限するものではない。
【0116】
さらに理解すべきこととして、本出願の様々な実施例では、各プロセスの各プロセスの実行順序は、本出願の実施例の実施プロセスに対して任意の限定を構成するものでなく、その機能と内在的論理とによって決定されるべきである。
【0117】
さらに理解すべきこととして、本明細書に記述された様々な実施の形態は、単独で実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよく、本出願の実施例は、これを限定しない。
【0118】
好ましい実施例を参照しながら本出願を記述したが、本出願の範囲を逸脱することなく、それに様々な改良を加え、且つ均等物でそのうちの部材を置き換えることができる。特に、構造衝突がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせられてもよい。本出願は、明細書に開示される特定の実施例に限定されるものでなく、請求項の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【国際調査報告】