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特表2023-552788動力電池の充電方法、充電装置と充電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】動力電池の充電方法、充電装置と充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231212BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20231212BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534400
(86)(22)【出願日】2021-09-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2021119362
(87)【国際公開番号】W WO2023039888
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】蔡 金博
(72)【発明者】
【氏名】▲婁▼ 其▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲偉▼
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB01
5G503GB03
(57)【要約】
本出願の実施例は、充電効率を向上させることができる動力電池の充電方法と充電装置を提供する。この充電方法は、充電装置に用いられ、この充電装置は、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含み、この充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含む。この充電方法は、放電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータを取得することと、第一のパラメータに基づいて各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定することであって、この第一の電流が、このエネルギー貯蔵電池の第一のパラメータに反比例することと、この第一のDC/DCコンバータに第一の電流を送ることで、このエネルギー貯蔵電池がこの第一のDC/DCコンバータを介して、第一の電流に従って動力電池により放出される電力量を受け取るようにすることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電方法であって、充電装置に用いられ、前記充電装置は、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、前記各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含み、前記充電装置の各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が前記N個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含み、Nは、1よりも大きい正整数であり、
前記充電方法は、
前記放電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得することと、
前記第一のパラメータに基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のパラメータに反比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、前記第一の制御信号が、前記第一の電流を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータが、前記第一の電流に従って前記動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることとを含む、ことを特徴とする動力電池の充電方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記充電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットの前記第一のパラメータを取得することと、
前記第一のパラメータに基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のパラメータに比例することと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、前記第二の制御信号が、前記第二の電流を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータが、前記第二の電流に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることとをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項3】
前記各エネルギー貯蔵ユニットの前記第一のパラメータは、
前記各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の充電状態SOCと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、
前記各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧と、のうちの少なくとも一つのパラメータを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の充電方法。
【請求項4】
前記充電装置は、隔離ユニットをさらに含み、前記隔離ユニットは、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットと前記動力電池との間に接続され、前記隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、前記M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含み、Mは、2以上の正整数であり、
前記充電方法は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電圧を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電流を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることをさらに含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の充電方法。
【請求項5】
前記充電装置は、AC/DCコンバータをさらに含み、前記AC/DCコンバータは、前記動力電池と交流電源との間に接続され、それによって前記交流電源は、前記AC/DCコンバータを介して前記動力電池へ充電する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の充電方法。
【請求項6】
動力電池の充電装置であって、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、前記各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含み、前記充電装置の各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が前記N個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含み、Nは、1よりも大きい正整数であり、
前記制御モジュールは、
前記放電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得すること、
前記第一のパラメータに基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のパラメータに反比例すること、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、前記第一の制御信号が、前記第一の電流を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータが、前記第一の電流に従って前記動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることに用いられる、ことを特徴とする動力電池の充電装置。
【請求項7】
前記制御モジュールはさらに、
前記充電する段階で、前記各エネルギー貯蔵ユニットの前記第一のパラメータを取得すること、
前記第一のパラメータに基づき、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を決定することであって、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流が、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のパラメータに比例すること、及び、
前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、前記第二の制御信号が、前記第二の電流を出力するように前記第一のDC/DCコンバータを制御することで、前記各エネルギー貯蔵ユニットにおける前記第一のDC/DCコンバータが、前記第二の電流に従って前記動力電池へ充電するようにするために用いられることに用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載の充電装置。
【請求項8】
前記各エネルギー貯蔵ユニットの前記第一のパラメータは、
前記各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の充電状態SOCと、
前記各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、
前記各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧と、のうちの少なくとも一つのパラメータを含む、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記充電装置は、隔離ユニットをさらに含み、前記隔離ユニットは、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットと前記動力電池との間に接続され、前記隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、前記M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含み、Mは、2以上の正整数であり、
前記制御モジュールはさらに、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電圧を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、
前記M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するように前記スイッチモジュールを制御することで、前記隔離ユニットが前記動力電池に出力する電流を、前記N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることに用いられる、ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項10】
前記充電装置は、AC/DCコンバータをさらに含み、前記AC/DCコンバータは、前記動力電池と交流電源との間に接続され、それによって前記交流電源は、前記AC/DCコンバータを介して前記動力電池へ充電する、ことを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか1項に記載の充電方法を実行するためのプロセッサを含む、EMS。
【請求項12】
充電システムであって、
動力電池と、
請求項6から10のいずれか1項に記載の充電装置とを含み、前記充電装置は、前記動力電池へ充電するために用いられ、前記各充電周期は、前記動力電池を充電する段階と、前記動力電池が放電する段階とを含む、ことを特徴とする充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に動力電池の充電方法、充電装置と充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生不可能エネルギーの消費及び環境保護に対する切実な需要に伴い、充電可能な電池を動力源として使用する新エネルギー電気自動車は、急速に発展している。現在、動力電池を交互に充電・放電する方式を採用し、動力電池に対する急速充電を実現することができ、ここで、放電中、動力電池により放出される電力量を受け取るためのエネルギー貯蔵ユニットを設置することができる。しかしながら、動力電池への充電中、往々にしてエネルギー貯蔵ユニットの容量などの要因によって、動力電池の充電効率がこれ以上向上できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願の実施例は、動力電池の充電効率を向上させることができる動力電池の充電方法、充電装置と充電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の態様によれば、本出願は、充電装置に用いられる動力電池の充電方法を提供する。この充電装置は、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、前記エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含む。充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含み、Nは、1よりも大きい正整数である。充電方法は、放電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得することと、この第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに反比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、この第一の制御信号が、第一の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第一の電流に従って動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることとを含む。
【0005】
本出願の実施例は、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が、並列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと接続される第一のDC/DCコンバータとを含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電流を制御することによって、動力電池が各エネルギー貯蔵ユニットへ放電する電力量を調節することができ、例えば、エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づいて各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流を調節し、それが第一のパラメータに反比例するようにすることによって、各エネルギー貯蔵ユニットにより受け取られた電力量をその現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間にエネルギーミスマッチの問題の発生を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0006】
一つの可能な実施例では、上記充電方法は、充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得することと、この第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに比例することと、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、第二の制御信号が、第二の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第二の電流に従って動力電池へ充電するようにするために用いられることとをさらに含む。
【0007】
上記実施例では、動力電池へ充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流が第一のパラメータに比例するように調節することで、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量を、その現在の電力量によりマッチングさせ、さらに各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0008】
一つの可能な実施例では、上記各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の充電状態(state of charge、SOC)と、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0009】
上記実施例では、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つを第一のパラメータとして選択することによって、エネルギー貯蔵電池の現在の容量状態をより直接的に表すことによって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの出力電流を決定することができる。
【0010】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、隔離ユニットをさらに含む。この隔離ユニットは、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続され、隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含み、Mは、2以上の正整数である。
【0011】
一つの可能な実施例では、上記充電方法は、M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するようにスイッチモジュールを制御することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電圧を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するようにスイッチモジュールを制御することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電流を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることをさらに含む。
【0012】
上記実施例は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットをさらに提供し、この隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含む。このスイッチモジュールを制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータ間の接続方式を変えることによって、隔離ユニットの出力側電圧と出力側電流とに対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間を直列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間を並列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電流充電を実現することができる。
【0013】
一つの可能な実施例では、上記充電方法における充電装置は、AC/DCコンバータをさらに含み、このAC/DCコンバータは、動力電池と交流電源との間に接続され、それによって交流電源が、AC/DCコンバータを介して動力電池へ充電する。
【0014】
上記実施例では、動力電池と交流電源との間にAC/DCコンバータがさらに接続され、このAC/DCコンバータは、交流電源により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、動力電池を充電することができる。エネルギー貯蔵電池と交流電源とが同時に動力電池へ充電する場合、動力電池の充電時間長を短縮し、充電効率をさらに向上させることができる。
【0015】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、動力電池の充電装置をさらに提供し、この充電装置は、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニットを含み、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、エネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含み、充電装置の各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含み、Nは、1よりも大きい正整数である。上記制御モジュールは、放電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得すること、第一のパラメータに基づいて、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに反比例すること、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信することであって、この第一の制御信号が、第一の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第一の電流に従って動力電池により放出される電力量を受け取るようにするために用いられることに用いられる。
【0016】
本出願の実施例は、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が、並列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと接続される第一のDC/DCコンバータとを含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電流を制御することによって、動力電池が各エネルギー貯蔵ユニットへ放電する電力量を調節することができ、例えば、エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づいて各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流を調節し、それが第一のパラメータに反比例するようにすることによって、各エネルギー貯蔵ユニットにより受け取られた電力量をその現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間にエネルギーミスマッチの問題の発生を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0017】
一つの可能な実施例では、上記制御モジュールはさらに、充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得すること、この第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を決定することであって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに比例すること、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信することであって、この第二の制御信号が、第二の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第二の電流に従って動力電池へ充電するようにするために用いられることに用いられる。
【0018】
上記実施例では、動力電池へ充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流がエネルギー貯蔵電池の現在の電力量に比例するように調節することで、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量を、その現在の電力量によりマッチングさせ、さらに各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0019】
一つの可能な実施例では、上記各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0020】
上記実施例では、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つを第一のパラメータとして選択することによって、エネルギー貯蔵電池の現在の容量状態をより直接的に表すことによって、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの出力電流を決定することができる。
【0021】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットをさらに含む。隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含み、Mは、2以上の正整数である。上記制御モジュールはさらに、M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するようにスイッチモジュールを制御することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電圧を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しくすること、又は、前記M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するようにスイッチモジュールを制御することで、隔離ユニットが動力電池に出力する電流を、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しくすることに用いられる。
【0022】
上記実施例は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池との間に接続される隔離ユニットをさらに提供し、この隔離ユニットは、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュールとを含む。このスイッチモジュールを制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータ間の接続方式を変えることによって、隔離ユニットの出力側電圧と出力側電流に対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間を直列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間を並列に接続するようにこの隔離ユニットのスイッチモジュールを制御する場合、充電装置による動力電池への大電流充電を実現することができる。
【0023】
一つの可能な実施例では、上記充電装置は、AC/DCコンバータをさらに含み、このAC/DCコンバータは、動力電池と交流電源との間に接続され、それによって交流電源が、AC/DCコンバータを介して動力電池へ充電する。
【0024】
上記実施例では、動力電池と交流電源との間にAC/DCコンバータがさらに接続され、このAC/DCコンバータは、交流電源により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、動力電池を充電することができる。エネルギー貯蔵電池と交流電源とが同時に動力電池へ充電する場合、動力電池の充電時間長を短縮し、充電効率をさらに向上させることができる。
【0025】
第三の態様によれば、本出願の実施例は、上記のような第一の態様と第一の態様のいずれか一つの可能な実施例における方法とを実行するためのプロセッサを含むEMSを提供する。
【0026】
第四の態様によれば、本出願の実施例は、充電システムを提供し、この充電システムは、動力電池と、上記第二の態様又は第二の態様のいずれか一つの可能な実施例における充電装置とを含み、この充電装置は、動力電池へ充電するために用いられ、ここで、各充電周期は、動力電池を充電する段階と、動力電池が放電する段階とを含む。
【0027】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本出願の一実施例の充電システムの構造概略図である。
図2】本出願の一実施例の充電周期概略図である。
図3】本出願の一実施例の充電装置の構造概略図である。
図4】本出願の一実施例の充電方法のフローチャートである。
図5】本出願の別の実施例の充電方法のフローチャートである。
図6】本出願の別の実施例の充電装置の構造概略図である。
図7】本出願のまた別の実施例の充電装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、図面と実施例を結び付けながら、本出願の実施の形態をさらに詳細に記述する。以下では、実施例の詳細な記述と図面とは、例示的に本出願の原理を説明するためのものであるが、本出願の範囲を制限するためのものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0030】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に断りのない限り、「複数の」の意味は、二つ以上であり、用語である「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより指示される方位又は位置関係は、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。なお、用語である「第一」、「第二」、「第三」などは、記述の目的のみで用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解すべきではない。
【0031】
下記記述に出現された方位詞は、いずれも図に示す方向であり、本出願の具体的な構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0032】
新エネルギー分野では、動力電池は、電力消費装置、例えば、車両、船舶又は宇宙航空機などの主な動力源とすることができるが、エネルギー貯蔵電池は、電力消費装置の充電源とすることができ、両者の重要性は、言うまでもない。例示であって限定的ではないが、いくつかの応用シナリオにおいて、動力電池は、電力消費装置における電池であってもよく、エネルギー貯蔵電池は、充電装置における電池であってもよい。
【0033】
図1は、本出願の実施例に適用される充電システムの構造概略図を示した。
【0034】
図1に示すように、この充電システム10は、充電装置100と、電池システム200とを含んでもよい。選択的に、電池システム200は、電気自動車(純電気自動車と、プラグインハイブリッド電気自動車とを含む)における電池システム又は他の応用シナリオにおける電池システムであってもよい。
【0035】
選択的に、電池システム200には、少なくとも一つの電池パック(battery pack)が設置されてもよく、この少なくとも一つの電池パックの全体は、動力電池210と総称されてもよい。電池の種類から言えば、この動力電池210は、いずれかタイプの電池であってもよく、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、又はリチウム空気電池などを含むが、それらに限らない。電池の規模から言えば、本出願の実施例における動力電池210は、電池コア/電池セル(cell)であってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよく、ここで、電池モジュール又は電池パックは、いずれも複数の電池によって直並列に接続されて形成されてもよい。本出願の実施例において、動力電池210の具体的なタイプと規模に対して、いずれも具体的に限定しない。
【0036】
なお、この動力電池210をインテリジェントに管理・メンテナンスし、電池の過充電と過放電を防ぎ、電池の耐用年数を延長するために、電池システム200には、一般的に、動力電池210の状態をモニタリングするための電池管理システム(battery management system、BMS)220がさらに設置される。選択的に、このBMS 220は、動力電池210と集積して同一の機器又は装置に設置されてもよく、又は、このBMS 220は、独立した機器/装置として動力電池210の外に設置されてもよい。
【0037】
具体的には、充電装置100は、電池システム200における動力電池210のために電気エネルギーを補充する装置である。
【0038】
選択的に、本出願の実施例における充電装置100は、通常の充電スタンド、スーパー充電スタンド、ビークルツーグリッド(vehicle to grid、V2G)モードをサポートする充電スタンド、又は電池を充電できる充電装置又は機器などであってもよい。本出願の実施例は、充電装置100の具体的なタイプと具体的な応用シナリオに対して限定しない。
【0039】
選択的に、図1に示すように、充電装置100は、電線300を介して動力電池210に接続され、且つ通信線400を介してBMS 220に接続されてもよい。ここで、通信線400は、充電装置100とBMS 220との間の情報インタラクションを実現するために用いられる。
【0040】
例として、この通信線400は、コントローラエリアネットワーク(control area network、CAN)通信バス又はデイジーチェーン(daisy chain)通信バスを含むが、それらに限らない。
【0041】
選択的に、充電装置100は、通信線400を介してBMS 220と通信することができるほか、無線ネットワークを介してBMS 220と通信することができる。本出願の実施例は、充放電装置とBMS 220の通信タイプに対して具体的に限定しない。
【0042】
従来の充電方式を採用して動力電池210を持続的に充電する場合、持続的な充電プロセスにおけるリチウムイオンの電池負極における蓄積に制限され、充電電流も制限されるため、持続的な大電流を利用して電池への急速充電を実現することができない。動力電池210の急速充電を実現するために、本出願の実施例において、動力電池210を交互に充電・放電する方式を採用し、動力電池210の急速充電を実現する。
【0043】
例えば、図2に示すように、一つの充電周期Tは、動力電池210を充電する段階と、動力電池210が放電する段階とを含む。ここで、動力電池210を充電する段階で、充電電流は、+I1であり、動力電池210が放電する段階で、充電電流は、-I2である。動力電池210を大電流で充電した後、動力電池210が放電して、充電中に動力電池210の負極に蓄積されるリチウムイオンを放出することによって、動力電池210にリチウム析出、発熱などの状況の発生を回避するため、その後に大電流を再び利用して動力電池210を充電することによって、動力電池210への急速充電を実現することができる。
【0044】
本出願の実施例の充電装置100には、動力電池210により放電段階で放出される電力量を受け取るためのエネルギー貯蔵ユニットが設置される。このエネルギー貯蔵ユニットは、例えばエネルギー貯蔵電池であり、エネルギー貯蔵電池の容量は、動力電池210により放出されることができる電力量に直接に影響を及ぼす。エネルギー貯蔵電池の容量を向上させるために、このエネルギー貯蔵電池は、大量の電池コアを含んでもよく、大量の電池コアが直列に接続されている場合、電池コアの整合性が比較的に悪ければ、そのうちの個別の電池コアの故障は、エネルギー貯蔵電池全体の故障を招き、動力電池210の充電に直接に影響を及ぼす。充電する信頼性を向上させるために、これらの電池コアを別々に複数のエネルギー貯蔵電池に設置し、即ち複数のエネルギー貯蔵電池を採用して動力電池210により放出される電力量を同時に受け取ることができる。このように、そのうちのあるエネルギー貯蔵電池における電池コアが故障した場合、一定の方式で、例えば、このエネルギー貯蔵電池をバイパスすることで、動力電池210の充電に影響を与えず、充電する信頼性を向上させることができる。
【0045】
複数のエネルギー貯蔵電池は、並列に接続されることができ、動力電池210が並列に接続される複数のエネルギー貯蔵電池に同時に放電する場合、異なるエネルギー貯蔵電池と動力電池210との間の線路、例えば、母線線路の長さなどが異なっていることによって、動力電池210が各エネルギー貯蔵電池に電気エネルギーを伝送するプロセスにおける電気エネルギーの損失が異なるため、動力電池210がこれらの複数のエネルギー貯蔵電池に放出する電力量は、異なる。例えば、動力電池210との間の線路距離が比較的に大きいエネルギー貯蔵電池に対し、線路損失による電圧損失が比較的に大きく、動力電池210がこのエネルギー貯蔵ユニットへ放電する電圧が小さくなり、そうすると、一定時間内に、動力電池210がこのエネルギー貯蔵電池に放出する電力量は、少なくなり、逆に、動力電池210との間の線路距離が比較的に小さいエネルギー貯蔵電池に対し、線路損失による電圧損失が比較的に小さく、そうすると、同じ時間内に、動力電池210がこのエネルギー貯蔵電池に放出する電力量は多くなる。このように、各エネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチの問題が発生する可能性があり、動力電池210との間の線路距離が比較的に小さいエネルギー貯蔵電池が持続的な充電中に電力量が多くなり、動力電池210との間の線路距離が比較的に大きいエネルギー貯蔵電池が持続的な充電中に電力量が少なくなることによって、並列に接続される各エネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチが発生する。
【0046】
同様に、並列に接続される複数のエネルギー貯蔵電池が動力電池210を同時に充電する場合、線路損失などの要因も同じ問題を招き、例えば、動力電池210との間の線路距離が比較的に大きいエネルギー貯蔵電池に対し、線路損失による電圧損失が比較的に大きく、このエネルギー貯蔵電池が動力電池へ充電する電圧は、それに応じて小さくなり、動力電池へ充電する電力量は、少なくなり、逆に、動力電池210との間の線路距離が比較的に小さいエネルギー貯蔵電池に対し、線路損失による電圧損失が比較的に小さく、このエネルギー貯蔵電池が動力電池へ充電する電力量は、比較的に大きくなる。このままでいけば、各エネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチの問題が発生する可能性がある。
【0047】
これらの複数のエネルギー貯蔵電池間がバケツ原理に従うため、そのうちのあるエネルギー貯蔵電池が満充電に達した場合、安全性を保証するために、動力電池210によるエネルギー貯蔵電池への放電は、それによって終了する。これで分かるように、各エネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチは、動力電池210と複数のエネルギー貯蔵ユニットとの間の電力量伝送効率に影響を与え、エネルギー貯蔵電池の容量が十分に利用されることができないため、動力電池210の充電効率は、これ以上向上できない。
【0048】
そのために、本出願の実施例は、電池充電の方案を提案し、第一のDC/DCコンバータが各エネルギー貯蔵電池の充電電流と放電電流を制御するように設置することで、各エネルギー貯蔵電池により受け取られ、放出される電力量をその現在の容量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵電池間のエネルギーミスマッチを回避し、動力電池の充電効率を向上させる。
【0049】
図3は、本出願の実施例の充電装置100の構造概略図を示した。充電装置100は、充電スタンド又は充電機であってもよく、他のタイプの移動充電装置であってもよく、ここで限定しない。
【0050】
充電装置100は、並列に接続されるN個のエネルギー貯蔵ユニット、例えばエネルギー貯蔵ユニット110、エネルギー貯蔵ユニット120などを含んでもよく、Nは、1よりも大きい正整数である。ここで、充電装置100の各充電周期は、動力電池210を充電する段階と、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットへ放電する段階とを含む。
【0051】
図3に示すように、各エネルギー貯蔵ユニットは、エネルギー貯蔵電池と、このエネルギー貯蔵電池と接続される第一のDC/DCコンバータとを含む。例えば、エネルギー貯蔵ユニット110は、エネルギー貯蔵電池111と、エネルギー貯蔵電池111と接続される第一のDC/DCコンバータ112とを含み、エネルギー貯蔵ユニット120は、エネルギー貯蔵電池121と、エネルギー貯蔵電池121と接続される第一のDC/DCコンバータ122とを含む。
【0052】
具体的には、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池は、このエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの第一のDC側、即ちポートAとポートBとの位置する側に直列に接続され、ここで、各第一のDC/DCコンバータのポートAは、母線230に接続され、ポートBは、対応するエネルギー貯蔵電池の一つの電極と繋がる。第一のDC/DCコンバータが作動している場合、第一のDC/DCコンバータを介してエネルギー貯蔵電池に到着する電流は、一定値である。
【0053】
各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池は、このエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの第二のDC側、即ちポートCとポートDとの位置する側に並列に接続され、ここで、第一のDC/DCコンバータのポートCとポートDとは、エネルギー貯蔵電池の二つの電極にそれぞれ接続されている。図3に示すように、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111は、第一のDC/DCコンバータ112と第一のDC側で直列に接続され、エネルギー貯蔵電池111は、第一のDC/DCコンバータ112と第二のDC側で並列に接続される。エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121は、第一のDC/DCコンバータ122と第一のDC側で直列に接続され、エネルギー貯蔵電池121は、第一のDC/DCコンバータ122と第二のDC側で並列に接続される。
【0054】
選択的に、上記第一のDC/DCコンバータは、入力電流を変換した後に固定電流を効果的に出力するコンバータ、例えば、定電流モードで作動できるDC/DCコンバータであってもよい。
【0055】
選択的に、N個のエネルギー貯蔵ユニットは、
N個のエネルギー貯蔵電気キャビネットであってもよく、且つN個のエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池は、電池モジュール又は電池パックであってもよく、電池モジュール又は電池パックは、いずれも複数の電池コアによって直列に接続され、又は並列に接続されて形成されてもよい。
【0056】
さらに、充電装置100は、制御モジュール160をさらに含んでもよい。ここで、制御モジュール160は、N個のエネルギー貯蔵ユニットに繋がり、それらは、N個のエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータを制御して、動力電池210が第一のDC/DCコンバータを介してエネルギー貯蔵ユニットに放電するようにし、又は、エネルギー貯蔵ユニットが第一のDC/DCコンバータを介して動力電池210を充電するようにするために用いられる。制御モジュール160はさらに、通信線400を介して動力電池210のBMS 220に接続されることで、充電装置100とBMS 220との間の情報インタラクションを実現することができる。
【0057】
この制御モジュール160は、例えば、充電スタンド又は充電機におけるエネルギー管理システム(energy management system、EMS)コントローラであってもよい。さらに、この制御モジュール160は、二次ソースシステムをさらに含んでもよい。
【0058】
図4は、動力電池210を充電するための本出願の実施例の充電方法40を示した。この方法40は、制御モジュール160によって実行されてもよく、具体的に、以下のステップのうちの一部又はすべてを含む。
【0059】
ステップ410:放電段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得する。
【0060】
ここで、第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電力量に関連している。例えば、この第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよい。
【0061】
各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池のSOCが大きくなったり、このエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧VBが大きくなったり、このエネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧VC、即ち母線230上の電圧が大きくなったりすれば、このエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電力量が多くなることを表し、逆に、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池のSOCが小さくなったり、このエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電圧VBが小さくなったり、このエネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧VC、即ち母線230上の電圧が小さくなったりすれば、このエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電力量が少なくなることを表す。
【0062】
これで分かるように、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧VBと、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧VCとのうちの少なくとも一つを第一のパラメータとして選択し、エネルギー貯蔵電池の現在の容量状態をより直接的に表すことができる。
【0063】
ステップ420:この第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を決定する。ここで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流は、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに反比例する。
【0064】
図3におけるエネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120とを例にして、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111のSOCがSOC 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121のSOCがSOC 2であり、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111の電圧がVB 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121の電圧がVB 2であり、エネルギー貯蔵ユニット110の電圧がVC 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120の電圧がVC 2であるとする。第一のパラメータがエネルギー貯蔵電池のSOCである場合、第一のDC/DCコンバータ112により出力される第一の電流I1と第一のDC/DCコンバータ122により出力される第二の電流I2とがI1/I2=SOC 2/SOC 1を満たすことを設定することができ、第一のパラメータがエネルギー貯蔵電池の電圧である場合、I1/I2=VB 2/VB 1を設定することができ、第一のパラメータがエネルギー貯蔵ユニットの電圧である場合、I1/I2=VC 2/VC 1を設定することができる。
【0065】
ステップ430:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第一の制御信号を送信する。ここで、この第一の制御信号は、第一の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第一の電流に従って動力電池210により放出される電力量を受け取るようにするために用いられる。
【0066】
この実施例では、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が、並列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと接続される第一のDC/DCコンバータとを含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電流を制御することによって、動力電池が各エネルギー貯蔵ユニットへ放電する電力量を調節することができ、例えば、エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づいて各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流を調節し、それが第一のパラメータに反比例するようにすることによって、各エネルギー貯蔵ユニットにより受け取られた電力量をその現在の電力量にマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間にエネルギーミスマッチの問題の発生を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、各エネルギー貯蔵ユニットは、動力電池により放出される電力量をより効果的に受け取り、動力電池の充電効率を向上させることができる。
【0067】
具体的には、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットに放電する場合、制御モジュール160は、BMS 220により送信される放電電流を受け取ることができ、この放電電流は、動力電池210の放電に必要な電流である。制御モジュール160は、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを同時に取得することによって、動力電池210の放電電流、及び各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流を調節することで、この第一の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに反比例するようにすることができる。
【0068】
例を挙げると、図3に示すように、エネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120とを例にして、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121と動力電池210との間の母線230の距離が比較的に大きければ、線路損失による電圧損失が比較的に大きくなり、動力電池210がエネルギー貯蔵電池121へ放電する電圧が小さくなると、一定時間内に、動力電池210がエネルギー貯蔵電池121に放出する電力量は少なくなることに対し、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111と動力電池210との間の母線230の距離が比較的に小さければ、線路損失による電圧損失が比較的に小さくなり、同じ時間内に、動力電池210がエネルギー貯蔵電池111に放出する電力量は多くなる。このように動力電池210がエネルギー貯蔵電池111に放出する電力量が多いが、エネルギー貯蔵電池121に放出する電力量が少なくなることを招く。このように、二つのエネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチが徐々に発生する。
【0069】
このとき、エネルギー貯蔵電池121の現在の電力量が比較的に小さい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池121と接続される第一のDC/DCコンバータ122を制御し、このエネルギー貯蔵電池121に一つの比較的に大きい第一の電流I1を出力し、それに対応して、エネルギー貯蔵電池111の現在の電力量が比較的に大きい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池111と接続される第一のDC/DCコンバータ112を制御し、エネルギー貯蔵電池111に一つの比較的に小さい第一の電流I1を出力する。このような方法により、エネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120により受け取られた電力量は、その現在の電力量にマッチングし、現在の電力量が少ないエネルギー貯蔵電池121が、動力電池210からより多くの電力量を受け取り、現在の電力量が大きいエネルギー貯蔵電池111が動力電池210から比較的に少ない電力量を受け取ることによって、動力電池210が放電した後に各エネルギー貯蔵ユニット間のエネルギーは、相対的に均衡になり、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、充電効率を向上させることができる。
【0070】
以上、制御モジュール160が、動力電池210からN個のエネルギー貯蔵ユニットへの放電段階で第一のDC/DCコンバータをどのように制御するかを記述しており、それに応じて、制御モジュール160は、N個のエネルギー貯蔵ユニットから動力電池210への充電段階で第一のDC/DCコンバータを制御することで、N個のエネルギー貯蔵ユニット間のエネルギーをより均衡にすることができる。
【0071】
N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、選択的に、図5に示すように、上記方法40は、以下のステップをさらに含んでもよい。
【0072】
ステップ440:充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを取得する。
【0073】
ここで、第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池の現在の電力量に関連している。例えば、この第一のパラメータは、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在のSOCと、各エネルギー貯蔵ユニットのエネルギー貯蔵電池の現在の電圧と、各エネルギー貯蔵ユニットの現在の電圧とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよい。
【0074】
ステップ450:この第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を決定し、ここで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流は、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに比例する。
【0075】
図3におけるエネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120を例にして、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111のSOCがSOC 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121のSOCがSOC 2であり、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111の電圧がVB 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121の電圧がVB 2であり、エネルギー貯蔵ユニット110の電圧がVC 1であり、エネルギー貯蔵ユニット120の電圧がVC 2であるとする。第一のパラメータがエネルギー貯蔵電池のSOCである場合、第一のDC/DCコンバータ112により出力される第一の電流I1と第一のDC/DCコンバータ122により出力される第二の電流I2とがI1/I2=SOC 1/SOC 2を満たすことを設定することができ、第一のパラメータがエネルギー貯蔵電池の電圧である場合、I1/I2=VB 1/VB 2を設定することができ、第一のパラメータがエネルギー貯蔵ユニットの電圧である場合、I1/I2=VC 1/VC 2を設定することができる。
【0076】
ステップ460:各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータに第二の制御信号を送信し、ここで、この第二の制御信号は、第二の電流を出力するように第一のDC/DCコンバータを制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが、第二の電流に従って動力電池210へ充電するようにするために用いられる。
【0077】
このように、同様に、動力電池210へ充電する段階で、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流がエネルギー貯蔵電池の現在の電力量と比例するように調節することで、各エネルギー貯蔵ユニットにより提供される電力量を、その現在の電力量によりマッチングさせ、各エネルギー貯蔵電池の容量に対する十分な利用を実現し、動力電池の充電効率を向上させることもできる。
【0078】
この実施例では、交互に充放電する方式に基づいて動力電池に対する急速充電を実現し、充電装置が、並列に接続される複数のエネルギー貯蔵ユニットを含み、且つ各エネルギー貯蔵ユニットが、エネルギー貯蔵電池と、それと接続される第一のDC/DCコンバータとを含むため、各第一のDC/DCコンバータの出力電流を制御することで、各エネルギー貯蔵ユニットが動力電池へ充電する電力量を調節することができ、例えば、エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づいて各エネルギー貯蔵ユニットの第一のDC/DCコンバータの出力電流を調節し、それが第一のパラメータに比例するようにすることによって、各エネルギー貯蔵ユニットにより放出される電力量をその現在の電力量によりマッチングさせ、各エネルギー貯蔵ユニット間にエネルギーミスマッチの問題の発生を回避することによって、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現することで、各エネルギー貯蔵ユニットは、電力量をより効果的に放出して動力電池へ充電し、動力電池の充電効率を向上させる。
【0079】
具体的には、N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、制御モジュール160は、BMS 220により送信される充電電流を受け取ることができ、この充電電流は、動力電池210の充電に必要な電流である。制御モジュール160は、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを同時に取得することによって、動力電池210の充電電流、及び各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータに基づき、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータにより出力される第二の電流を調節することで、この第二の電流が、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のパラメータに比例するようにすることができる。
【0080】
例を挙げると、図3に示すように、エネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120とを例にして、エネルギー貯蔵ユニット120におけるエネルギー貯蔵電池121と動力電池210との間の母線230の距離が比較的に大きければ、線路損失による電圧損失が比較的に大きく、エネルギー貯蔵電池121が動力電池210へ充電する電圧が小さくなると、一定時間内に、エネルギー貯蔵電池121が動力電池210へ充電する電力量は少なくなることに対し、エネルギー貯蔵ユニット110におけるエネルギー貯蔵電池111と動力電池210との間の母線230の距離が比較的に小さければ、線路損失による電圧損失が比較的に小さく、同じ時間内に、エネルギー貯蔵電池121が動力電池210へ充電する電力量は多くなる。このようにエネルギー貯蔵電池111が動力電池210へ充電する電力量が多いが、エネルギー貯蔵電池121が動力電池210へ充電する電力量が少なくなることを招く。このように、二つのエネルギー貯蔵電池間にエネルギーミスマッチが徐々に発生する。
【0081】
このとき、エネルギー貯蔵電池121の現在の電力量が比較的に小さい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池121と接続される第一のDC/DCコンバータ122を制御し、エネルギー貯蔵電池121に一つの比較的に小さい第二の電流I2を出力し、それに対応して、エネルギー貯蔵電池111の現在の電力量が比較的に大きい場合、制御モジュール160は、エネルギー貯蔵電池111と接続される第一のDC/DCコンバータ112を制御し、エネルギー貯蔵電池111に一つの比較的に大きい第二の電流I2を出力する。このような方法により、エネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120が動力電池210へ充電する電力量は、その現在の電力量にマッチングし、現在の電力量が少ないエネルギー貯蔵電池121が、動力電池210に比較的に少ない電力量を放出し、現在の電力量が大きいエネルギー貯蔵電池111は、動力電池210に比較的に多い電力量を放出することによって、動力電池210へ充電した後の各エネルギー貯蔵ユニット間のエネルギーは、相対的に均衡になり、各エネルギー貯蔵ユニットの容量に対する十分な利用を実現し、充電効率を向上させることができる。
【0082】
選択的に、いずれか二つのエネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータの値が比較的に大きく異なる場合、例えば、二つのエネルギー貯蔵ユニットのSOCの差又は電圧の差が予め設定される閾値よりも大きい場合にのみ、上記方法40に基づいてN個のエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCの出力電流を制御する。
【0083】
図3におけるエネルギー貯蔵ユニット110とエネルギー貯蔵ユニット120とを例にして、エネルギー貯蔵電池111のSOCとエネルギー貯蔵電池121のSOCとの差が予め設定されるSOC閾値、例えば2%を超える場合、又はエネルギー貯蔵電池111の電圧とエネルギー貯蔵電池121の電圧との差が予め設定される電圧閾値、例えば10Vよりも大きい場合にのみ、N個のエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの出力電流を制御・調整する。
【0084】
選択的に、制御モジュール160は、上記二つのエネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータの差に基づき、一つの継続時間Tを計算してもよい。各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが該当する第一の電流が作動する時間に従ってTに達した後、各エネルギー貯蔵ユニットの第一のパラメータを再計算して、各エネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータが該当する第一の電流に従って作動し続ける必要があるか否かを決定する。動力電池210がエネルギー貯蔵電池に放電するプロセスで、エネルギー貯蔵電池の電圧と容量とがいずれも次第に増えるため、時間Tを設定しないと、調節し過ぎるため、エネルギー貯蔵電池間の電力量が均衡になった後にミスマッチが再び発生する可能性がある。
【0085】
N個のエネルギー貯蔵ユニットが並列に接続されるため、選択的に、そのうちのあるエネルギー貯蔵ユニットにおけるエネルギー貯蔵電池が満充電され、即ちこのエネルギー貯蔵電池の電圧がその電池コアの充電閾値電圧に達した場合、制御モジュール160は、このエネルギー貯蔵電池と繋がる第一のDC/DCコンバータにより出力される第一の電流が0となるように制御することができ、これは、満充電されたこのエネルギー貯蔵電池をバイパスすることで、動力電池210を再びこのエネルギー貯蔵電池ヘ放電させないことに相当し、エネルギー貯蔵電池の過充電を効果的に回避し、残りのエネルギー貯蔵ユニットにおける第一のDC/DCコンバータの第一の電流がそのまま維持される。
【0086】
理解すべきこととして、本出願の実施例では、交流電源150、即ちグリッドのみが動力電池210へ充電してもよく、N個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150が動力電池210へ共同で充電することによって、充電効率をさらに向上させてもよい。図6に示すように、充電装置100は、動力電池210と交流電源150との間に接続されるAC/DCコンバータ140をさらに含み、動力電池210を充電する場合、交流電源150により出力される交流電力は、AC/DCコンバータ140を介して安定している直流電力に変換し、動力電池210へ充電する。
【0087】
具体的には、交流電源150が動力電池210へ充電する場合、制御モジュール160は、AC/DCコンバータ140を制御することで、交流電源150が、AC/DCコンバータ140を介して動力電池210へ充電することができる。
【0088】
選択的に、交流電源150が電力量を受け取るために使用でき、即ちグリッドによる連系放電を許容する場合、動力電池210は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150に同時に放電してもよく、動力電池210が交流電源150に放電する場合、制御モジュールは、AC/DCコンバータ140を制御することで、動力電池210が、AC/DCコンバータ140を介して交流電源150に放電するようにする。
【0089】
これで分かるように、動力電池210と交流電源150との間にAC/DCコンバータ140がさらに接続される場合、AC/DCコンバータ140は、交流電源150により出力される交流電力を安定している直流電力に変換して、交流電源150が動力電池210を充電することができるだけでなく、動力電池210の放電段階で、動力電池210により出力される直流電力を交流電力に変換することによって、動力電池210の電力量は、交流電源150に放出され、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットと交流電源150とに同時に放電することを実現し、動力電池210の放電段階の時間長を短縮し、充電効率をさらに向上させることができる。
【0090】
この交流電源150が電力量を受け取るために使用できず、即ちグリッドによる連系放電を許容しない場合、動力電池210がN個のエネルギー貯蔵ユニットにのみ放電すればよい。
【0091】
選択的に、図7に示すように、充電装置100は、隔離ユニット130をさらに含んでもよい。
【0092】
具体的には、隔離ユニット130は、N個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池210との間に接続され、隔離ユニット130は、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュール133とを含み、Mは、2以上の正整数である。
【0093】
制御モジュール160は、M個の第二のDC/DCコンバータを直列に接続するようにスイッチモジュール133を制御することができ、このとき、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧のM倍に等しい。
【0094】
制御モジュール160は、M個の第二のDC/DCコンバータを並列に接続するようにスイッチモジュール133を制御することもでき、このとき、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電流は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電流のM倍に等しい。
【0095】
M=2を例にして、図6に示すように、隔離ユニット130は、二つの第二のDC/DCコンバータ、即ち第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132とを含み、N個のエネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132との、N個のエネルギー貯蔵ユニットに繋がる側は、入力端として、動力電池210と繋がる側は、出力端とする。ここで、第二のDC/DCコンバータ131の入力端と第二のDC/DCコンバータ132との入力端は、並列に接続され、第二のDC/DCコンバータ131の出力端と第二のDC/DCコンバータ132の出力端との間には、スイッチモジュール133が接続されている。
【0096】
例として、図6に示すように、スイッチモジュール133は、スイッチK1と、スイッチK2と、スイッチK3とを含んでもよい。エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、制御モジュール160は、スイッチモジュール133におけるスイッチK1を閉じるように制御することで、第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132との出力端が直列に接続されるようにすることができ、このように、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される電圧の2倍に等しい。
【0097】
エネルギー貯蔵ユニットが動力電池210へ充電する場合、制御モジュール160は、スイッチモジュール133における並列に接続されるスイッチK2と並列に接続されるスイッチK3を制御することで、第二のDC/DCコンバータ131と第二のDC/DCコンバータ132との出力端が並列に接続されるようにすることができ、このように、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電流は、N個のエネルギー貯蔵ユニットにより出力される総電流の2倍に等しい。
【0098】
これで分かるように、隔離ユニット130がN個のエネルギー貯蔵ユニットと動力電池210との間に接続されるように設置するため、この隔離ユニット130は、M個の第二のDC/DCコンバータと、M個の第二のDC/DCコンバータ間に接続されるスイッチモジュール133とを含む。このスイッチモジュール133を制御することで、M個の第二のDC/DCコンバータの出力端における直並列接続関係を変えることによって、隔離ユニット130が動力電池210に出力する電圧に対する調節を実現することができる。ここで、M個の第二のDC/DCコンバータ間を直列に接続するようにこの隔離ユニット130のスイッチモジュール133を制御する場合、動力電池210への大電圧充電を実現することができ、M個の第二のDC/DCコンバータ間を並列に接続するようにこの隔離ユニット130のスイッチモジュール133を制御する場合、各第二のDC/DCコンバータにより出力される電流が重畳され、動力電池210への大電流充電を実現することができる。
【0099】
本出願の実施例は、前記本出願の各実施例における充電方法を実行するためのプロセッサを含むEMSをさらに提供する。
【0100】
本出願の実施例は、動力電池と、上記いずれか一つの実施例における充電装置100とを含む充電システムをさらに提供する。充電装置100は、動力電池210へ充電するために用いられ、ここで、各充電周期は、動力電池210を充電する段階と、動力電池210が放電する段階とを含む。
【0101】
好ましい実施例を参照しながら本出願を記述したが、本出願の範囲を逸脱することなく、それに様々な改良を加え、且つ均等物でそのうちの部材を置き換えることができる。特に、構造衝突がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせられてもよい。本出願は、明細書に開示される特定の実施例に限定されるものでなく、請求項の範囲内に含まれるすべての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】