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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】コア針生検装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61B10/02 110J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534718
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 SG2021050781
(87)【国際公開番号】W WO2022124995
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10202012400T
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520182958
【氏名又は名称】ザ バイオファクトリー プライベイト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THE BIOFACTORY PTE LTD
【住所又は居所原語表記】Block 79 Ayer Rajah Crescent,05-06,Singapore 139955,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】マンガット カマルジット シン
(72)【発明者】
【氏名】タン ガブリエル ホン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ワイト ロナルド クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】リー チュン シオン
(57)【要約】
本開示は、静脈系を通していずれかの主要臓器に対して軟組織生検を実行するための生検装置、および生検装置を使用するための方法を提供する。生検装置は、ハウジングと、第1の近位端および第1の遠位端を有する細長いチューブとを備え、第1の遠位端は標的臓器の生検部位に配置され、第1の近位端は、ハウジングに結合された第1のロック機構を備え、さらに第2の近位端および第2の遠位端を有する生検針を備え、生検針は、生検部位における標的臓器の生検サンプルを取得するために細長いチューブ内に配置され、生検針の第2の近位端はハウジングに結合された第2のロック機構を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における標的臓器の生検サンプルを取得するための生検装置であって、前記生検装置は、
ハウジング(312)と、
第1の近位端(373)および第1の遠位端(375)を有する細長いチューブ(376)と、を備え、
前記第1の遠位端(375)は、前記標的臓器の生検部位に配置され、前記第1の近位端は、第1のロック機構(374、378)を備え、前記第1のロック機構は、前記ハウジング(312)に結合される、生検装置。
【請求項2】
第2の近位端(365)および第2の遠位端(303)を有する生検針(363)をさらに備え、前記生検針(363)は、前記生検部位への誘導のために前記細長いチューブ(376)内に配置され、前記生検部位における前記標的臓器の組織内に貫入するために前記細長いチューブ(376)の前記第1の遠位端(375)から出て、前記生検部位における前記標的臓器の生検サンプルを取得するように構成され、前記生検針(363)の前記第2の近位端(365)は、第2のロック機構(308、310)を備え、前記第2のロック機構は、前記ハウジング(312)に結合される、請求項1に記載の生検装置。
【請求項3】
前記第1のロック機構が、スイベルおよびバヨネットを備える、請求項2に記載の生検装置。
【請求項4】
前記第1のロック機構が、前記ハウジングの開口部と係合するように構成された対向する延長部を備える、請求項2または3に記載の生検装置。
【請求項5】
対向する前記延長部の各々が、前記ハウジングの前記開口部と係合するように構成された肩部を備える、請求項4に記載の生検装置。
【請求項6】
前記第1のロック機構が、前記細長いチューブの周囲を自由に回転可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の生検装置。
【請求項7】
前記生検針が、コアリング針およびスタイレット針を備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の生検装置。
【請求項8】
前記第2のロック機構が、カートリッジおよびスタイレットラグを備える、請求項7に記載の生検装置。
【請求項9】
前記コアリング針が、前記コアリング針の周囲に、および前記コアリング針に沿って長手方向に延びる1つまたは複数のスパイラルカットを備える、請求項7に記載の生検装置。
【請求項10】
前記1つまたは複数のスパイラルカットが、一定のピッチを有する、請求項9に記載の生検装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数のスパイラルカットが、可変ピッチを有する、請求項9に記載の生検装置。
【請求項12】
前記スタイレット針が、スタイレット針の周囲に沿って、前記スタイレット針に沿って長手方向にノッチを備える、請求項7に記載の生検装置。
【請求項13】
前記ノッチが、正反対にある、請求項12に記載の生検装置。
【請求項14】
前記ノッチが、前記スタイレット針の直径の30%以下の深さである、請求項12または13に記載の生検装置。
【請求項15】
前記ノッチが、軸方向に90度回転している、請求項12~14のいずれか一項に記載の生検装置。
【請求項16】
前記ハウジングがさらに、
前記生検部位における前記標的臓器の組織内に貫入するために前記スタイレット針を前進させるように構成されている前進機構と、
前記生検部位における前記標的臓器の組織内に貫入するために前記コアリング針を発射し、それによって前記生検部位における前記標的臓器の生検サンプルを取得するように構成されている発射機構と
を備える、請求項7~15のいずれか一項に記載の生検装置。
【請求項17】
前記前進機構が、回転によって作動する、請求項16に記載の生検装置。
【請求項18】
前記発射機構が、前記スタイレット針が完全に前進した場合にのみ前記コアリング針を発射するように構成されている、請求項16または17に記載の生検装置。
【請求項19】
前記スタイレット針が、前記スタイレット針の第3の遠位端にくぼみを備える、請求項7~18のいずれか一項に記載の生検装置。
【請求項20】
生検装置を使用して対象における標的臓器の生検サンプルを取得するための方法であって、前記方法が、
生検装置を提供するステップであって、前記生検装置が、
ハウジングと、
第1の近位端(373)および第1の遠位端(375)を備える細長いチューブ(376)であって、前記第1の遠位端(375)が、前記標的臓器の生検部位に配置され、前記第1の近位端が、第1のロック機構(374、378)を備え、前記第1のロック機構が、前記ハウジング(312)に結合される、細長いチューブ(376)と、
第2の近位端(365)および第2の遠位端(303)を有する生検針(363)であって、前記生検針(363)が、前記生検部位へ誘導するために前記細長いチューブ(376)内に配置され、前記生検部位における前記標的臓器の組織内に貫入するために前記細長いチューブ(376)の前記第1の遠位端(375)から出て、前記生検部位における前記標的臓器の生検サンプルを取得するように構成され、前記生検針(363)の前記第2の近位端(365)が、第2のロック機構(308、310)を備え、前記第2のロック機構が、前記ハウジング(312)に結合される、生検針(363)と
を備える、ステップと、
前記細長いチューブを対象の四肢の第1の血管内に経皮的に挿入するステップと、
前記細長いチューブの前記第1の遠位端を、前記第1の血管から前記対象の血管系を通って、前記生検部位の近くの前記標的臓器の第2の血管内に誘導するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記第1のロック機構が、前記ハウジングの開口部と係合するように構成された対向する延長部を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のロック機構を有する前記細長いチューブを前記ハウジングに結合することが、対向する前記延長部を圧縮するステップと、
圧縮された対向する前記延長部を前記ハウジングの開口部に挿入するステップと
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生検針が、コアリング針およびスタイレット針を備える、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記スタイレット針が完全に前進するまで、前記スタイレット針を前記生検部位における前記標的臓器に押し込むステップと、
前記生検部位における前記標的臓器内に前記コアリング針を押し込むステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生検装置に関し、より具体的には、標的臓器の生検サンプルを取得するための生検装置に関する。特に、本開示は、軟組織生検を実行するためにカテーテルを通して末梢血管アクセス部位に挿入できる可撓性手術器具を備えた生検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肝生検を実行するための現在の方法は、重篤な合併症の固有のリスクを含むことがあり、それにより患者が生検処置を遅らせることを選択する原因になることが多く、その後の診断および肝機能障害の治療介入を遅らせることがある。その方法には、開腹手術、経皮的肝生検(PLB)、および経頸静脈肝生検(TJLB)が含まれることがある。
【0003】
開腹手術肝生検は、腹腔鏡または外科的処置中に、肝組織を直接除去するものである。現在の治療における開腹外科的肝生検は、既に外科的処置が行われているときに利用することができる。
【0004】
経皮的肝生検(PLB)は、腹壁を通して挿入された生検針を使用して肝組織のコアサンプルを抽出することを含むことがある。PLBでは、肝臓被膜に穴が開けられ、その実質に到達するために高い貫入深度が必要である。この処置は良好な生検サンプルを提供することが可能である場合が多いが、この処置は侵襲的で痛みを伴うと共に、死の重大なリスク(250分の1)を含む重大な合併症のリスクを伴うことがある。最初の生検が失敗し、追加の生検サンプルが必要な場合、追加の針穿刺が必要となることがあり、合併症のリスクがさらに高まる。したがって、PLB患者は、肝臓被膜または血管の穿刺による腹腔内への出血がないことを確実にするために、処置の後数時間観察下に置かれる場合がある。
【0005】
TJLBは、硬い金属カテーテルを右または左頸静脈に挿入することにより肝臓にアクセスし、心臓の右心室を通って肝臓の肝静脈の中に誘導することを含む。カテーテルの下方に向けられた大口径の針を使用して肝臓組織を中心部から取り除く。満足のいく分析には多数のサンプルが必要な場合が多い。
【0006】
PLBの場合と同じように、針の穿刺による出血は肝静脈に戻るので、TJLBは、腹膜への検出されない出血のリスクを避けることができる。TJLBは、硬い金属カテーテルを主要な臓器および血管を通して誘導することを含むので、この処置は、出血、不整脈、血管穿孔、気胸、または死などの重大な合併症を引き起こす場合がある。TJLBは、PLBより安全であると考えられることもあるが、TJLBは、頸静脈アクセス部位に関連する新たな合併症のリスクを負っている。
【0007】
経皮生検組織サンプルを取得するための既存の単回使用の使い捨て機構は、バネ仕掛けのスタイレットを標的病変に高速で発射し、その直後にコアリング針または切断カニューレを発射して標的病変のサンプルを取得する。発射機構は、スタイレットおよびコアリング針が機構内で一体化されるように構成されている。超音波を利用した経皮用途にはこれで十分であり得るが、TJLBにとってはかなりのリスクを伴う。挿入前に発射機構に誤って負荷がかかった場合、右腕頭静脈または上大静脈を通して挿入中に、操作者の誤りまたは発射機構の誤動作により機構が時期尚早に発射するという固有のリスクが存在する。さらに、分析に十分なサンプルを確実に回収するためにTJLBを複数回実行すると、患者にとって重大なリスクが生じる。
【0008】
したがって、PLBおよびTJLB処置に伴う主要な合併症のリスクを低減するために、例えば、尺側皮静脈/橈側皮静脈を介して腕の末梢静脈系に導入して患者の身体に導入することができ、肝臓などの標的臓器に対して軟組織生検を実行するために、静脈系を通って柔軟に誘導することができる経静脈生検装置に対するニーズがある。
【0009】
本出願人による2019年5月31日に公開された特許文献1(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、バルーン固定式生検装置を記載している。しかしながら、ほとんどの用途にはこれで十分であったが、いくつかの問題が発生した。バルーンカテーテルの遠位端は、バルーンが膨張すると肝静脈に固定されるので、反動により臓器に貫入するのに十分な力が発生しない。
【0010】
軟組織からコア標本を取得するために使用される現在の装置を考慮すると、改良された生検装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2019/103694A1号
【発明の概要】
【0012】
本開示の実施形態の一態様は、静脈系を通していずれかの主要臓器に対して軟組織生検を実行するための生検装置に関する。本開示の生検装置は、システムが、手動で、ならびに既存のツール、すなわち、可視化のための蛍光透視法および単純なガイドワイヤを用いてガイドされ得ように十分に可撓性であるシステムである。本開示の生検装置は、一旦配置されると、十分な力を生成することができ、その力をシステムの遠位切断端に伝達して、臓器を貫入して生検を取得することができる。さらに、本開示の生検装置は、システムを完全に引き抜かずに、検査および収集のために軟組織サンプルとともにシステムの一部を引き抜くことを可能にする。以前のサンプルが不十分であることが判明した場合、システムの引き抜かれた部分は、追加のサンプルのリスクを最小限に抑えて後で再挿入することができる。
【0013】
本開示の実施形態によれば、対象における標的臓器の生検サンプルを取得するための生検装置であって、生検装置は、ハウジングと、第1の近位端および第1の遠位端を有する細長いチューブとを備え、第1の遠位端は、標的臓器の生検部位に配置され、第1の近位端は、第1のロック機構を備え、第1のロック機構は、ハウジングに結合される、生検装置が提供される。
【0014】
一部の実施形態によれば、生検装置は、第2の近位端および第2の遠位端を有する生検針をさらに備えることができ、生検針は、生検部位への誘導のために細長いチューブ内に配置され、生検部位における標的臓器の組織内に貫入するために細長いチューブの第1の遠位端から出て、生検部位における標的臓器の生検サンプルを取得するように構成され、生検針の第2の近位端は、第2のロック機構を備え、第2のロック機構は、ハウジングに結合される。任意選択で、第1のロック機構は、スイベルおよびバヨネットを備える。任意選択で、第1のロック機構は、ハウジングの開口部の内側と係合するように構成された対向する延長部を備える。任意選択で、対向する延長部の各々は、ハウジングの開口部の内側と係合するように構成された肩部を備える。任意選択で、第1のロック機構は、細長いチューブの周囲を自由に回転可能である。
【0015】
一部の実施形態によれば、生検針は、コアリング針およびスタイレット針を備える。第2のロック機構は、カートリッジおよびスタイレットラグを備えることができる。任意選択で、コアリング針は、コアリング針の周囲に、およびコアリング針に沿って長手方向に延びる1つまたは複数のスパイラルカットを備える。任意選択で、1つまたは複数のスパイラルカットは、一定のピッチを有する。あるいは、1つまたは複数のスパイラルカットは、可変ピッチを有する。
【0016】
一部の実施形態によれば、スタイレット針は、その周囲に沿って、スタイレット針に沿って長手方向にノッチを備える。任意選択で、ノッチは正反対にある。任意選択で、ノッチは、スタイレット針の直径の30%以下の深さである。任意選択で、ノッチは、軸方向に90度回転している。
【0017】
一部の実施形態によれば、ハウジングはさらに、生検部位における標的臓器の組織内に貫入するためにスタイレット針を前進させるように構成されている前進機構と、生検部位における標的臓器の組織内に貫入するためにコアリング針を発射し、それによって生検部位における標的臓器の生検サンプルを取得するように構成されている発射機構とを備える。任意選択で、前進機構は回転によって作動する。任意選択で、発射機構は、スタイレット針が完全に前進した場合にのみコアリング針を発射するように構成されている。任意選択で、スタイレット針は、スタイレット針の第3の遠位端にくぼみを備える。
【0018】
一部の実施形態によれば、生検装置を使用して対象における標的臓器の生検サンプルを取得するための方法であって、方法は、生検装置を提供するステップであって、生検装置が、ハウジングと、第1の近位端および第1の遠位端を備える細長いチューブであって、第1の遠位端が、標的臓器の生検部位に配置され、第1の近位端が、第1のロック機構を備え、第1のロック機構が、ハウジングに結合される、細長いチューブと、第2の近位端および第2の遠位端を有する生検針であって、生検針が、生検部位へ誘導するために細長いチューブ内に配置され、生検部位における標的臓器の組織内に貫入するために細長いチューブの第1の遠位端から出て、生検部位における標的臓器の生検サンプルを取得するように構成され、生検針の第2の近位端が、第2のロック機構を備え、第2のロック機構が、ハウジングに結合される、生検針とを備える、ステップと、細長いチューブを対象の四肢の第1の血管内に経皮的に挿入するステップと、細長いチューブの第1の遠位端を、第1の血管から対象の血管系を通って、生検部位の近くの標的臓器の第2の血管内に誘導するステップとを含む、方法が提供される。
【0019】
一部の実施形態によれば、第1のロック機構は、ハウジングの開口部の内側と係合するように構成された対向する延長部を備える。任意選択で、第1のロック機構を用いて細長いチューブをハウジングに結合することが、対向する延長部を圧縮するステップと、圧縮された対向する延長部をハウジングの開口部に挿入するステップとを含む。任意選択で、生検針は、コアリング針およびスタイレット針を備える。
【0020】
一部の実施形態によれば、方法は、スタイレット針が完全に前進するまで、スタイレット針を生検部位における標的臓器に押し込むステップと、生検部位における標的臓器内にコアリング針を押し込むステップとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示をよりよく理解し、その実際の適用を理解するために、以下の図面を提供し、本明細書以下で参照する。図面は例としてのみ示されており、本発明の範囲を決して制限するものではないことに留意されたい。
【0022】
図1A】本開示のいくつかの実施形態による、生検装置を概略的に示す。
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、生検装置の分解図を概略的に示す。
図2図2A、Bは、本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリを概略的に示す。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリを概略的に示す。
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリのコアリング針を概略的に示す。
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリのスタイレット針を概略的に示す。
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、ノッチのないスタイレット針の屈曲を概略的に示す。
図3E】本開示のいくつかの実施形態による、ノッチ付きのスタイレット針の屈曲を概略的に示す。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリがガンにロックされる機構を概略的に示す。
図5図5A~Dは、本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリをロックしてガンに装填するプロセスを示す生検装置の断面を概略的に示す図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、発射前のガンに接続された針アセンブリおよびカテーテルを備えた生検装置の断面を概略的に示す。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、発射後のガンに接続された針アセンブリおよびカテーテルを備えた生検装置の断面を概略的に示す。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、発射ピンが後退した状態で、ガンに接続された針アセンブリおよびカテーテルを備えた生検装置の断面を概略的に示す。
【0023】
ここで特に図面を詳細に参照すると、示された詳細は例示として、本開示の実施形態の例示的な説明を目的としたものであることが強調される。これに関して、図面を伴う説明により、本開示の実施形態がどのように実施され得るかが当業者には明らかになる。
【0024】
1つまたは複数の図面に現れる同一または重複または同等または類似の構造、要素、または部分には、一般に、同じ参照番号が付けられ、同様の実体または実体の変形を区別するために任意選択で追加の文字が付けられ、繰り返し符号を付け、および/または記載することはできない。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面または説明を必ずしもさらに引用することなく、示されている。
【0025】
図面に示される構成要素および特徴の寸法は、表示の便宜上または明瞭さのために選択されており、必ずしも縮尺通りまたは実際の遠近法で示されているわけではない。便宜上または明確にするために、一部の要素または構造は図示されていないか、または部分的にのみ示されており、および/または異なる遠近法もしくは異なる視点から示されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細を明記する。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細なしで本発明を実施できることを理解するであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニットおよび/または回路は詳細には記載されていない。
【0027】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されないが、本明細書で使用される「複数(plurality)」および「複数の(a plurality)」という用語は、例えば、「多数(multiple)」または「2つ以上(two or more)」を含むことがある。「複数(plurality)」または「複数の(a plurality)」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記述するために使用されることがある。明示しない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。これに加えて、記載された方法の実施形態またはその方法の実施形態の要素によっては、同じ時点において、同時に、または並行して発生、または実行される場合がある。特に明記しない限り、本明細書で使用される接続詞「または」の使用は、包括的(記載した選択肢のいずれかまたは全て)として理解すべきである。
【0028】
本開示の実施形態は、本明細書では、生検部位におけるハンドルから切断カニューレおよびスタイレットへの力の伝達が不十分であるという問題を克服する、末梢アクセス(例えば、経頭静脈アクセス)のためのコア針生検装置を記載している。コア針生検装置はさらに、カニューレおよび生検針に別個のロック機構を提供するだけでなく、コアリング針の早期発射を防止することによる安全機構を備える。最後に、本開示は、バルーン固定式カテーテルを、生検針のスタイレット針およびコアリング針を前進させる機構に結合して、バルーン固定式カテーテルを安定させ、バルーン固定式カテーテル上に保持することなくスタイレット針を前進させることを可能にすることを含む。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図1Aは生検装置100を概略的に示し、一方、図1Bは生検装置100の分解図を概略的に示す。生検装置100は、ガン300、針アセンブリ400および細長いチューブ376を備える。生検装置100は、細長いチューブ376を介して患者に挿入された生検針363を発射するために使用される。例示の目的のために、説明では、細長いチューブ376はカテーテル376として記載されることがあるが、カニューレのような他の細長いチューブが使用されてもよいことを理解されたい。カテーテル376は、近位端373および遠位端375を備える。カテーテル376の遠位端375は、標的臓器の生検部位に配置される。標的臓器は、肝実質を含む任意の臓器であり得る。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スタイレット針302、コアリング針304は、カートリッジ308およびスタイレットラグ310とともに、針アセンブリ400として組み合わされる(図2Aおよび2Bを参照のこと)。カテーテル376は、スイベル374およびバヨネット378を備える第1のロック機構を用いてガン300に結合される。スイベル374は、カテーテル376の近位端に固定される。バヨネット378は、フォーク382の先端に肩部384を備えた対向する延長部またはフォーク382を備える。好ましくは、2つの対向する延長部またはフォーク382がある。バヨネット378は、カテーテル376に固定されたスイベル374の周りを自由に回転可能である。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ガン300は、ハウジング左部312aおよびハウジング右部312bによって形成されるハウジング312を備える。ハウジング312は、ラチェットボルト306、つめ316、ハンドルレバー318、圧縮バネ320、発射ピン322、発射ネジ324、つめリリースナット326、および回転リリースノブ328を含む、前進機構および発射機構を構成する複数のコンポーネントを保持する。前進機構および発射機構は、図6に関連して以下でより詳細に説明される。1つまたは複数のセルフタッピンネジ330がハウジング312を一緒に保持し、より大きなセルフタッピンネジ332が、ハウジング左部312a、ハンドルレバー318およびハウジング右部312bを通過する。好ましくは、ハウジング312を一緒に保持する3つのセルフタッピンネジ330がある。任意選択で、セルフタッピンネジ330は3mmネジであり、一方、より大きなセルフタッピンネジ332は3.5mmネジである。当業者であれば、セルフタッピンネジ330および332は、ハウジング312およびハンドルレバー318を一緒に固定する限り、いかなるサイズであってもよいことを理解するであろう。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ラチェットボルト306は、ハウジング左部312aおよびハウジング右部312bを閉じることによってハウジング312内に形成されたチャネル内で自由にスライドする。同様に、つめ316も、ハウジング左部312aおよびハウジング右部312bを閉じることによってハウジング312内に形成されたチャネル内でスライドし、ラチェットボルト306の下側と係合するつめロック歯346を有する。ハンドルレバー318は、ハウジング左部312aとハウジング右部312bとの間で分割されたシャフトの周りで回転する。ラチェットボルト306およびつめ316は、ハンドルレバー318を通過し、ハンドルレバー318と直接相互作用する。圧縮バネ320は、ラチェットボルト306およびハウジング312の後部内に位置する。発射ピン322は、圧縮バネ320、針アセンブリ400およびラチェットボルト306と軸方向に位置合わせされる。発射ネジ324は、内部でつめリリースナット326と係合し、外部で発射ピン322と係合する。リリースノブ328は、ハウジング312の後部にはめ込まれ、軸方向に位置合わせされ、発射ネジ324に固定される。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ハウジング312は、円形の開口部またはソケット380を備える。この円形の開口部またはソケット380は、バヨネット378のフォーク382を受け入れる。バヨネット378のフォーク382は、挿入中に一緒に圧縮され、次いで、円形の開口部またはソケット380に挿入されると、バネにより離れる。各フォーク382の肩部384は、ハウジング312の内側に引っ掛かり、こうしてバヨネット378をハウジング312に固定する。ハウジング312はさらに、ハウジング左部312aおよびハウジング右部312b上にファセット386を備え、これにより、カテーテル376の軌道へのガン300のより緊密な位置合わせが可能になる。
【0034】
図2Aおよび2Bは、本開示の実施形態による針アセンブリ400を概略的に示す。針アセンブリ400は、スタイレット針302およびコアリング針304から構成される生検針363、カートリッジ308、ならびにスタイレットラグ310を備える。生検針363は、近位端365および遠位端303を備える。カートリッジ308およびスタイレットラグ310は、生検針363の近位端365をガン300にロックする第2のロック機構を構成する。特に、カートリッジ308はコアリング針304の近位端をガン300にロックし、一方、スタイレットラグ310はスタイレット針302の近位端をカートリッジ308およびガン300にロックする。コアリング針304は、カートリッジ308内のチャネルを通過し、それらの共通軸によって位置合わせされてカートリッジ308に堅く接着される。スタイレット針302は、コアリング針304を通過し、カートリッジ308の近位端に位置するスタイレットラグ310に堅く接着される。スタイレットラグ310は、直線変位の方向に平行なチャネル354を備える。好ましくは、2つのチャネル354があり、その2つのチャネル354は180度離れて等間隔に配置される。チャネル354の各々は、隆起した円筒形バンプ358を備える。カートリッジ308は、カートリッジ308の近位端内に位置する複数の長手方向ラッチフック356を備え、長手方向ラッチフック356の各々は、スタイレットラグ310上のチャネル354の各々と位置合わせされ、隆起した円筒形バンプ358が自由にスライドすることを防止する。ラッチフック356はまた、スタイレットラグ310およびスタイレット針302をロックする役割も果たし、針アセンブリ400がカテーテル376を通して挿入されるときのカートリッジ308に対する変位を防止する。
【0035】
図3A、3B、および3Cは、それぞれ、本開示のいくつかの実施形態による、針アセンブリ400、針アセンブリ400のコアリング針304、および針アセンブリ400のスタイレット針302を概略的に示す。コアリング針304は、スタイレット針302上を自由にスライドする薄壁のステンレス鋼管である。スタイレット針302は、その遠位端に、スタイレット針302の残りの部分よりも小さな断面積を有するサンプル収集くぼみ360を備えた16gの針であってもよい。コアリング針304およびスタイレット針302はともに、カテーテル376を穿刺するか、または一方もしくは両方の針の遠位先端を損傷することなく、例えば、患者の右腕頭静脈の屈曲部を通過するには硬すぎる。右腕頭静脈のきつい屈曲部を通過するために、スタイレット針302およびコアリング針304は、4つの変数によって決定される可撓性を示さなければならない。スタイレット針302のサンプル収集くぼみ360を保護するために、針アセンブリ400の遠位端には最大限の可撓性が与えられる。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態によれば、コアリング針304は、各スパイラル間のピッチ長「b」で、その軸方向の長さに沿って長さ「a」のスパイラルカットを導入することによって、より可撓性になるように適合される。好ましくは、スパイラルカットの幅は、0.01~0.3mm、理想的には0.1mmであってもよい。長さ「a」は、コアリング針304に沿って延びる任意の長さであり得る。スパイラルカットは、長さ「a」に沿って連続的であってもよいか、またはセグメント化されてもよい。当業者であれば、長さ「a」がカートリッジ308まで完全に延びる必要がないことを理解するであろう。好ましくは、コアリング針304の遠位端におけるスパイラルカットの開始点は、コアリング針304の傾斜した遠位端から2.5mm離れて位置する。各スパイラル間のピッチ長「b」は、任意の長さであってもよく、好ましくは6mmである。ピッチ長「b」は一定であってもよいか、またはスパイラルカットの全長「a」にわたって変化していてもよい。好ましくは、ピッチ長「b」は、コアリング針304の遠位端で2mmであり、コアリング針304の中間部分で4mmに増加し、コアリング針304の近位端で6mmに増加する。当業者であれば、コアリング針304のピッチ「b」は、コアリング針304が腕頭静脈の近傍でカテーテル376を通してガイドされるときに、各個々のスパイラルセグメントが直線方向をとらずに各スパイラルが腕頭静脈の半径に適合できるように十分に小さくなければならないことを理解するであろう。スパイラスセグメントが直線的方向をとる場合、各スパイラルの端部は位置がずれて、各端部の比較的直角の角がカテーテル376の内側を潜在的に摩耗する可能性がある。また、当業者であれば、ピッチが「b」が小さすぎると、各スパイラル間の全てのギャップの合計が発射中に圧縮され、コアリング針304の貫入深さを効果的に減少させることを理解するであろう。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スタイレット針302は、ノッチ間のピッチ「d」で、その遠位端から長さ「c」のノッチを導入することによって、より可撓性になるように適合される。長さ「c」は、スタイレット針302に沿って延びる任意の長さであってもよい。当業者であれば、長さ「c」が、スタイレット針302のサンプル収集くぼみ360からあまり近くまで延びる必要がないことを理解するであろう。ピッチ「d」は、任意の長さであってもよい。好ましくは、ノッチのピッチ「d」は、0.5~5mm、理想的には2mmであってもよい。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図3Dは、ノッチのないスタイレット針302の屈曲を概略的に示し、一方、図3Eは、ノッチ付きのスタイレット針302の屈曲を概略的に示す。サンプル収集くぼみ360は、スタイレット針302の残りの部分よりも小さい断面積を示すため、サンプル収集くぼみ360の近位端362は、標的臓器を貫入する自由端と比較して、カンチレバーの固定端を代表し、それによって、スタイレット針302の遠位端に加えられる何らかの力に対して、断面積の急激な変化により、最大曲げモーメントおよび応力集中が、サンプル収集くぼみ360の当該近位端362で発生する(図3Dを参照のこと)。したがって、ノッチがスタイレット針302に導入され、当該スタイレット針302における最大曲げモーメントが、サンプル収集くぼみ360の近位端362で発生する傾向を低減する(図3Eを参照のこと)。好ましくは、ノッチは、軸方向に90度回転され、「c」の距離に対してピッチ「d」だけ離間されたノッチの正反対の対である。好ましくは、ノッチは、約0.1mmの幅であり、スタイレット針302の直径の30%以下の深さを有する。ノッチにより、スタイレット針302は、より可撓性のスパイラルカットコアリング針304内の曲率の漸進的な変化率を採用することができ、両方がカテーテル376を進むと、サンプル収集くぼみ360の近位端302に集中することなく、曲げの力がスタイレット針302に沿って効果的に分散されるので、各ノッチ自体が応力集中部となる。したがって、当業者であれば、コアリング針304の長さ「a」およびピッチ「b」が、様々なゲージのスタイレット針302に調整されることを理解するであろう。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図4は、針アセンブリ400がガン300にロックされる機構を概略的に示す。針アセンブリ400のカートリッジ308は、複数のカートリッジペグ334を備える。好ましくは、互いに正反対にある2つのカートリッジペグ334がある。ガン300のラチェットボルト306は、位置合わせスロット336を備える。カートリッジペグ334は、ラチェットボルト306における位置合わせスロット336と位置合わせされる。針アセンブリ400は、矢印で示すように、直線変位とそれに続く回転変位によってガン300にロックされる。好ましくは、回転変位は、60~70度であり、理想的には65度である。ガン300のラチェットボルト306は、位置合わせスロット336の円形部分に隆起した突起部338をさらに備え、当該位置合わせスロット336の幅を効果的に狭め、針アセンブリ400がガン300に固定されていることを確認するための触覚フィードバックを提供する。好ましくは、2つの隆起した突起部338がある。針アセンブリ400がガン300に挿入されて、ねじられると、針アセンブリ400は所定の位置にロックされ、カートリッジ308はラチェットボルト306と同時に変位する。この時点で、スタイレットラグ310は発射ピン322とはまだ係合していない。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図5A~5Dは、針アセンブリ400をガン300にロックし、装填するプロセスを示す生検装置100の断面を概略的に示す。図5Aは、針アセンブリ400が挿入されたガン300を示し、ハンドルレバー318によるレバー動作を開始する準備ができている。図5Bは、針アセンブリ400が挿入されたガン300を示し、ハンドルレバー318が完全に回転されている。図5Cは、針アセンブリ400が挿入されたガン300を示し、ラチェットボルト306が圧縮バネ320に予荷重をかけ、スタイレットラグ310がカートリッジ308の長手方向ラッチフック356によって保持されている。図5Dは、針アセンブリ400が挿入されたガン300を示し、スタイレットラグ310が、カートリッジ308の長手方向ラッチフック356から解放されている。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ラチェットボルト306は、複数の歯を有するギアラック342を備える。複数の歯を有するギアラック342は、ラチェットボルト306の一部であり、ラチェットボルト306の直線変位の範囲を決定する。ハンドルレバー318は、可撓性フィンガ340を備える。ハンドルレバー318の可撓性フィンガ340は、ギアラック342と係合する。ハンドルレバー318は、握ると反時計回りに回転することができる。好ましくは、ハンドルレバー318は、最大15度の円弧にわたって回転する。ハンドルレバー318の握り動作または回転動作の各々は、ラチェットボルト306の直線変位を生じ、これによりガン300の圧縮バネ320に予荷重が加えられる。好ましくは、ラチェットボルト306の直線変位は、ギアラック342の少なくとも1ピッチに等しく、最大でもギアラック342の2ピッチである。直線変位の合計、または圧縮バネ320に加えられる予荷重は、コアリング針304の発射ストロークに等しい。任意選択で、ストロークは30mmである。当業者であれば、ギアラック342の歯の数およびラチェットボルト306の対応する長さによってストローク長を増減できることを理解するであろう。ハンドルレバー318の各回転動作およびその後のラチェットボルト306の直線変位により、ラチェットボルト306上の各歯に与えられた逃げ角344は、つめ316上のつめロック歯346を十分に偏向させるので、当該つめロック歯346が、ラチェットボルト306との係合を阻止する。ハンドルレバー318を解放すると、ハンドルレバー318と一体のカンチレバーバネ348がハンドルレバー318を元の位置に戻し、レバー動作を繰り返す準備が整う。同時に、つめ316上のつめロック歯346がラチェットボルト306と即座に再係合し、圧縮バネ320に対する予荷重を維持する。図5Aおよび5Bは、ラチェットボルト306を単純支持梁として示しているが、すなわち、ラチェットボルト306はハウジング312aおよび312b内のチャネルによって両端が拘束されており、その中でスライドするが、当業者であれば、ラチェットボルト306の直線変位が継続すると、ラチェットボルト306がハウジング遠位端350(図5Cを参照のこと)から外れ、ハンドルレバー318上の可撓性フィンガ340の回転慣性によって係合されると、それ自体がカンチレバーとして現れることを理解するであろう。したがって、この回転自由度を制限するために、カンチレバーバネ348上の支点352は、ラチェットボルト306に対する十分な接触点を維持する接線半径方向のスイープを提供し、回転慣性モーメントに抵抗する。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態によれば、スタイレットラグ310は、小さなスタイレットラグペグ364をさらに備え、発射ピン322は、キーホールスロット366をさらに備える。好ましくは、2つの小さなスタイレットペグ364がある。ラチェットボルト306が完全な予荷重変位に近づくと、スタイレットラグ310上の小さなスタイレットラグペグ364は、発射ピン322のキーホールスロット366と位置合わせされる。ラチェットボルト306とカートリッジ308の全変位が最大予荷重の2mm以内であるとき、スタイレットラグ310は発射ピン322と完全に係合する(図5Cを参照のこと)。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態によれば、発射ピン322は、その長さに沿って二重開始角ネジ368および2つの対向する平坦部370を備える。発射ピン322は、その長さに沿った2つの対向する平坦部370がハウジング212の正方形の位置合わせスロット372内で回転するのを防ぐため、発射ネジ324が回転するまで直線変位を提供することができない。ハンドルレバー318の最終動作中(図5Bを参照のこと)およびラチェットボルト306の直線変位中、発射ピン322はスタイレットラグ310に衝突してラチェットボルト306のラッチフック356から離れる。図5D図5Cの拡大図を比較すると、当該ラッチフック356が現在隆起した円筒形のバンプ358の近位にあることが示されている。針アセンブリ400がガン300にロックされ、装填されると、操作者はここでカテーテル376をガン300に接続することができる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図6は、圧縮バネ320が完全に予荷重され、つめ316が完全に変形された状態で発射される前の、針アセンブリ400およびカテーテル376がガン300に接続された生検装置100を概略的に示す。カテーテル376がハウジング312に接続された後、操作者は、以下に詳述するように、前進機構を回転させることによってスタイレット針302を標的臓器内に前進させる。前進機構は、回転可能な前進機構であるリリースノブ328であってもよい。他の前進機構も利用することができる。スタイレット針302を前進させるとカテーテル376が移動するため、バヨネット378は、患者の組織内へのスタイレット針302の前進および貫入によって生じる同等の逆向きの反力を打ち消す。これは、カテーテル376が、スタイレット針302およびコアリング針304とは独立して、バヨネット378によってガン300に結合されているためである。バヨネット378によるカテーテル376のガン300への直接結合は、また、カテーテル376の近位端の安定化および操作者がカテーテル376上に保持することなくスタイレット針302を前進させることを可能にすることを含む、複数の利点をもたらす。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態によれば、リリースノブ328は、組み立てられたハウジング312内の周囲チャネル388内で回転する(図1Bを参照のこと)。組み立ての間、当該リリースノブ328は、発射ネジ324のシャフト上の複数の平坦部390(図1Bおよび5Dを参照のこと)と位置合わせされる。好ましくは、3つの平坦部390がある。リリースノブ328がハウジング312に押し込まれるにつれて、アンダーカットを有する1つまたは複数のはめ込み式のつめ392は、周囲チャネル388の外周と干渉する。好ましくは、4つのはめ込み式のつめ392がある。適度な力を加えると、はめ込み式のつめ392が偏向され、リリースノブ328が位置合わせされ、さらに発射ネジ324に沿ってスライドすることが可能になる。各はめ込み式のつめ392のアンダーカットは、周囲チャネル388内で位置合わせされた静的位置に留められるか、または戻る。発射ネジ324は、ここでリリースノブ328と一緒にのみ回転することができる。発射ネジ324は、左雄ネジ394を有する。内径は、発射ネジ324に対して間隙を提供するが、発射ネジ324の二重開始角ネジ368と係合する内径から隆起したキー396を有する。好ましくは、2つのキー396がある。リリースノブ328の時計回りの回転により、発射ネジ324が、発射ピン322、スタイレットラグ310およびスタイレット針302を標的臓器内に前進させる。好ましくは、リリースノブ328を完全に時計回りに1回転させると、発射ネジ324が、発射ピン322、スタイレットラグ310およびスタイレット針302を標的臓器内に6mm前進させ、一方、つめリリースナット326は1.75mm変位し、その量は、発射ネジ324の左雄ネジ394のピッチに等しい。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態によれば、リリースノブ328が時計回りに、例えば、完全に5回転すると、2つの直線変位は同時に進行し、発射ピン322、スタイレットラグ310およびスタイレット針302を前進させる。最後の回転の間、つめリリースナット326は、つめ316の角度付きヒール398に対して圧縮力を加え続ける。角度付きヒール398は、本質的に小さなカンチレバーであり、その長さおよび厚さは、変形し、直線的に変位するように、それが成型されるポリマーに応じて調整される。この直線変位により、つめ402のネックがハンドルレバー318上の隆起した円形ストップ404に押し付けられ、当該ハンドルレバー318のいずれかの一方の側がラチェットボルト306をまたいでいる。これらの隆起した円形ストップ404は2つの目的を果たす。第1に、ハンドルレバー318を完全に戻して、可撓性フィンガ340がラチェットボルト306から離れることを確実にする。第2に、つめ402のネックは、当該隆起した円形ストップ404に対してさらに圧縮され、つめ406のホーンは、ハンドルレバー318の間隙チャネル408に堅く接触する。つめ402のネックは、ここで単純支持梁であり、最大の偏向は梁の中心で発生する。すなわち、つめロック歯346は、ラチェットボルト306上のギアラック342から離れるように塑性変形する。スタイレット針302は、ここでガン300の前進機構によって完全に前進する。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態によれば、操作者は、リリースノブ328の最後の回転後にハンドルレバー318を押すことによって発射機構を操作し、ラチェットボルト306を発射する。ハンドルレバー318を押すと、つめロック歯346がギアラック342から外れ、圧縮バネ320に対する全ての予荷重が解放されるので、ラチェットボルト306を発射する。ラチェットボルト306が発射されると、ラチェットボルト306に結合したカートリッジ308およびコアリング針304が患者の標的臓器に発射されるので、サンプル収集くぼみ360内にサンプルが収集される。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図7は、発射後のガン300に接続された針アセンブリ400およびカテーテル376を備えた生検装置100の断面を概略的に示す。ラチェットボルト306の発射の間、スタイレット針302は、発射ピン322上のキーホールスロット366によってつかまれたスタイレットラグ310上の小さなスタイレットラグペグ364によって拘束される。コアリング針304は標的臓器に入り、削られ、サンプル収集くぼみ360と当該コアリング針304の内側との間の空間内で組織サンプルを捕捉した。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態に従って、図8は、発射ピン322が後退された状態のガン300に接続された針アセンブリ400およびカテーテル376を備えた生検装置100の断面を概略的に示す。発射後、リリースノブ328を回転できなくなるまで反時計回りに回転しなければならない。これは、図8に示すように、発射ピン322の近位端が発射ネジ324から突き出ている外観によって確認することができる。発射ピン322はスタイレットラグ310を解放している。ここで、針アセンブリ400を回転させて、ガン300から引き抜くことができ、ガン300は、ここで別のセットの針アセンブリ400を受け入れる準備ができている。
【0050】
ガン300、針アセンブリ400およびカテーテル376を備える生検装置100を使用して生検を実行するための方法が、本開示のいくつかの実施形態に従って以下に説明される。医師などの操作者は、スイベル374およびバヨネット378が接続されたカテーテル376を患者の第1の血管に挿入することができる。操作者は、カテーテル376の遠位端375を、血管系を通して標的臓器の生検部位近くの第2の血管まで誘導する。カテーテル376が標的臓器の第2の血管内に固定されると、針アセンブリ400は、カテーテル376を通して、スタイレット針302の遠位端が標的臓器に近づくがまだ貫入しない深さまで挿入される。次に、操作者はガン300を生検針の近位端365に導入することができる。操作者は、針アセンブリ400をハンドル300に完全に挿入し、針アセンブリ400を反時計回りに回転させることによって針アセンブリ400をガン300にロックすることによって、ガン300を針アセンブリ400に結合することができる(図4を参照のこと)。
【0051】
操作者は、スタイレットラグ310がカートリッジ308の長手方向ラッチフック356から解放されてハンドルレバー318を握ることができなくなるまで、ガン300のハンドルレバー318を数回、握って、解放することができる(図5A~5Dを参照のこと)。これは、ガン300の発射機構が完全に装填されており、発射の準備ができていることを示す。ここで、ガン300は針アセンブリ400の軌道に位置合わせされるはずである。ガンのハウジング212の両側のファセット386により、患者の腕に対してより密接に位置合わせすることができる。この時点で、操作者は、カテーテル376をガン300に取り付けることができる(図6を参照のこと)。操作者は、カテーテル376の近位端の周りを旋回させてガン300に挿入するバヨネット378をスナップロックすることができる。これにより、カテーテル376の近位端を安定化し、カテーテル376をガン300に直接結合することによって、スタイレット針302が前進し、コアリング針304が発射されるとき、ガン300がカテーテル376との固定関係を維持することが確実にされる。
【0052】
針アセンブリ400とカテーテル376との相互関係により、スタイレット針302が標的臓器に対して配置されるか、または標的臓器をわずかに貫入するように配置されるべきである。次に、操作者は、ガン300の後部にあるリリースノブ328を時計回りに回転させて、針スタイレット302を標的臓器内に前進させることができ、完全に1回転させるとスタイレット針302が6mm前進する。完全に5回転させた後、6回目の回転の間に、スタイレット針302は完全に前進し、ラチェットボルト306は発射する準備が整う。スタイレット針302が完全に前進した後、操作者がハンドルレバー318を握ると、コアリング針304がラチェットボルト306によって解放され、標的臓器内に発射される(図7を参照のこと)。この解放の前であればいつでも、針スタイレット302を後退させて位置を変えることができる。発射後、操作者は、それ以上回転できなくなるまでリリースノブ328を反時計回りに回転させることによって、リリースノブ328を後退させることができる(図8を参照のこと)。これにより、内部発射機構が針アセンブリ400から解放される。その後、針アセンブリ400を時計回りに回転させて取り外すことができる。ガン300は、追加の生検サンプルを必要とすべき場合に、別のセットの針を受け入れる準備ができている。
【0053】
本明細書では様々な実施形態を開示している。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。したがって、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であることまたは開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上記の教示に照らして多くの修正、変形、置換、変更、および均等物が可能であることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのような全ての修正および変更を含むことを意図していると理解されたい。
【0054】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、記載されているが、多くの修正、置換、変更、および均等物を当業者は考えるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨の範囲に含まれるそのような全ての修正および変更を含むことを意図していると理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A-3C】
図3D-3E】
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
【国際調査報告】