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特表2023-552803切りくずの排出を容易にするための、方向付けられた流体流れを有する切削工具
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  • 特表-切りくずの排出を容易にするための、方向付けられた流体流れを有する切削工具 図1
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  • 特表-切りくずの排出を容易にするための、方向付けられた流体流れを有する切削工具 図18
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】切りくずの排出を容易にするための、方向付けられた流体流れを有する切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20231212BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20231212BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20231212BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20231212BHJP
   B23D 77/02 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
B23Q11/00 L
B23B51/00 L
B23B51/06 D
B23C9/00 Z
B23D77/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534726
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021062367
(87)【国際公開番号】W WO2022125635
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/116,782
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594027476
【氏名又は名称】ケンナメタル インコ-ポレイテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セムニスキー、ローガン、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブークハイマー、アラン、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グリレンベルガー、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ドミニク
【テーマコード(参考)】
3C022
3C037
3C050
【Fターム(参考)】
3C022QQ07
3C037DD01
3C037DD03
3C037DD06
3C037DD07
3C037FF04
3C050EA00
(57)【要約】
リーマーなどの切削工具は、後方機械接続部材、中央管、前方切削リング、後方切削リングを含む。前方切削リングは、スリーブ部材および一つ以上の切削ヘッドアセンブリを含む。各切削ヘッドアセンブリは、切削工具の回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、少なくとも一つの支持アームによって支持された切削ヘッドとを含む。切削ヘッドアセンブリの少なくとも一つの支持アームは、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を画定する。流体力学的構造は、翼形部、タービンブレード、または方向付けられた流体流れを生成する類似の構造とすることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の切削ヘッドアセンブリを備える切削リングであって、各切削ヘッドアセンブリが、切削工具の回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、前記少なくとも一つの支持アームによって支持された切削ヘッドとを含み、
前記少なくとも一つの支持アームが、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備える、切削リング。
【請求項2】
前記流体力学的構造が翼形を備える、請求項1に記載の切削リング。
【請求項3】
前記少なくとも一つの支持アームが、切削インサート/被工作物の界面に流体を輸送する能力を有する流体ダクトを画定する中空内部を有する、請求項1に記載の切削リング。
【請求項4】
前記少なくとも一つの支持アームが、らせん状の弧で形成されている、請求項1に記載の切削リング。
【請求項5】
各切削ヘッドアセンブリが、先導支持アームおよび後続支持アームをさらに備える、請求項1に記載の切削リング。
【請求項6】
前記先導支持アームが、曲率半径RLでスリーブ部材から半径方向外向きに延在し、かつ前記後続支持アームが、曲率半径RTで前記スリーブ部材から半径方向外向きに延在する、請求項5に記載の切削リング。
【請求項7】
前記後続支持アームが、前記切削工具の回転方向Rと同じ方向に湾曲し、かつ前記先導支持アームが、前記切削工具の回転方向Rと反対方向に湾曲する、請求項6に記載の切削リング。
【請求項8】
前記切削リングが、一つ以上のガイドパッドアセンブリをさらに備え、各ガイドパッドアセンブリが、前記回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、各ガイドパッドアセンブリの前記少なくとも一つの支持アームによって支持されたガイドパッドヘッドとを含む、請求項1に記載の切削リング。
【請求項9】
各ガイドパッドアセンブリの前記少なくとも一つの支持アームが、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備える、請求項8に記載の切削リング。
【請求項10】
各ガイドパッドアセンブリが、先導支持アームおよび後続支持アームをさらに備える、請求項8に記載の切削リング。
【請求項11】
前記切削リングが、中央ハブと、前記中央ハブから半径方向外向きに延在する一つ以上のスポークとをさらに備える、請求項1に記載の切削リング。
【請求項12】
前記一つ以上のスポークが、前記切削リングの前記一つ以上のスポークの間の開口部を通る流体流れを方向付けるための流体力学的構造を備える、請求項11に記載の切削リング。
【請求項13】
前記切削ヘッドアセンブリの少なくとも一つの支持アームが、前記切削ヘッドの凹面と協働して、機械的ショベルとして働き、切削動作中の切りくずの前記排出をさらに容易にする凹面を有する、請求項1に記載の切削リング。
【請求項14】
前記切削ヘッドが、その中に切削インサートを据え付けるためのインサートポケットを備える、請求項1に記載の切削リング。
【請求項15】
切削工具であって、
前方切削本体と、
後方機械接続部材と、
前端および後端を有する中央管と、
前記中央管の前記前端と前記前方切削本体とに固定された前方切削リングであって、前記前方切削リングが一つ以上の切削ヘッドアセンブリを備え、各切削ヘッドアセンブリが、前記切削工具の回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、前記支持アームによって支持された切削ヘッドとを含む、前方切削リングと、
前記中央管の前記後端と前記後方機械接続部材とに固定された後方切削リングであって、前記後方切削リングが一つ以上の切削ヘッドアセンブリを備え、各切削ヘッドアセンブリが、前記切削工具の回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、前記支持アームによって支持された切削ヘッドを含む、後方切削リングと、を備え、
前記前方切削リングの前記少なくとも一つの支持アームが、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備え、
前記後方切削リングの前記少なくとも一つの支持アームが、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備える、切削工具。
【請求項16】
前記切削ヘッドアセンブリの前記少なくとも一つの支持アームが、前記切削ヘッドの凹面と協働して、機械的ショベルとして働き、切削動作中の切りくずの前記排出をさらに容易にする凹面を有する、請求項15に記載の切削工具。
【請求項17】
各切削ヘッドアセンブリが、先導支持アームおよび後続支持アームをさらに備える、請求項15に記載の切削工具。
【請求項18】
前記前方切削リングが、一つ以上のガイドパッドアセンブリをさらに備え、各ガイドパッドアセンブリが、前記回転軸RAから半径方向外向きに延在する少なくとも一つの支持アームと、各ガイドパッドアセンブリの前記少なくとも一つの支持アームによって支持されたガイドパッドヘッドとを含む、請求項15に記載の切削工具。
【請求項19】
前記ガイドパッドアセンブリの前記少なくとも一つの支持アームが、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備える、請求項18に記載の切削工具。
【請求項20】
各ガイドパッドアセンブリが、先導支持アームおよび後続支持アームをさらに備える、請求項18に記載の切削工具。
【請求項21】
前記望ましい方向が、前記切削工具の外部に沿った軸方向後ろ向き方向を含む、請求項15に記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月9日に出願された米国特許出願第17/116,782号に対する特許協力条約第8条に従って優先権を主張するものである。
【0002】
概して、本発明は切削工具に関し、より具体的に、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体の流れを望ましい方向に方向付ける流体力学的構造(翼形状のアームなど)を有する、軽量切削工具(リーマーなど)およびこれに類するものに関する。
【背景技術】
【0003】
切削動作中、切削ゾーンから切りくずを除去することは不可欠である。例えばリーマーは、特に止まり穴を機械加工する時に、切削ゾーンから切りくずを排出することが困難である場合があることが観察されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切削工具(リーマーなど)およびこれに類するものにおける切削ゾーンからの切りくずの排出の問題は、機械的に、および流体力学的に切りくずの排出を容易にする、翼形部、タービンブレード、およびこれに類するものに類似の断面形状を有する流体力学的構造を、一つ以上のアームに提供することによって解決されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
切削ヘッドを支持する一つ以上のアームによって画定された流体力学的構造は、複数の方法によって切りくずの排出を容易にすることができる。第一に、アームは、ドリル内の溝に類似の様式で、切れ刃から離れるように切りくずを機械的に「掻き出す」ことができる。第二に、アームは、翼形に類似する流体力学的構造として機能する。工具を回転することによって作り出される作業は、流体がアームに対して下向きの力を加えることを引き起こし、アームが空気に対して等しい上向きの力を加えることを引き起こし、その結果、流体流れは後方の機械接続に向かって方向付けられる。タービンブレードとして働く追加的なスポークを追加することによって、止まり穴を機械加工する時の流体流れの効率を改善することができる。これらのタービンブレードは、穴の入口(機械のスピンドルの近くにある)から穴の中に流体を引き出すように設計されていて、流体は工具の中央を通って、穴の底(工具の前方の近くにある)まで流れる。流体は穴の底で工具の中央から出る時に、切削領域を支持する流体力学的スタイルのアームによって、上に、かつ穴から出るように引き出される。加えて、翼形状のアーム/ブレードの形態の流体力学的構造はまた、切削領域またはガイドパッド領域を支持するために使用されることなく、純粋に流体流れを生成するために、工具の外径上で使用されてもよい。流体流れはまた、出口を切削工具の中央で閉鎖することと、切れ刃につながる複数の出口でこの出口を置き換えることとによって方向付けられることができ、それによって、機械流体と翼形状のアーム/ブレードとの組み合わせを使用して、流体流れを方向付けて、切りくずの排出を容易にする。
【0006】
一つの態様において、切削工具は、スリーブ部材および一つ以上の切削ヘッドアセンブリを含む、前方切削リングを備える。各切削ヘッドアセンブリは、スリーブ部材から半径方向外向きに延在する先導支持アームと、スリーブ部材から半径方向外向きに延在する後続支持アームと、先導支持アームおよび後続支持アームによって支持された切削ヘッドとを含む。切削ヘッドアセンブリの先導支持アームと後続支持アームとのうちの少なくとも一つは、中心管の外部に沿って軸方向後方方向に流体流れを方向付けるための流体力学的構造を備え、それによって切削動作中の切りくずの排出を増進する。
【0007】
別の態様において、切削工具は、前方切削本体と、後方機械接続部材と、前端および後端を有する中央管と、中央管の前端および前方切削本体に固定された前方切削リングと、中央管の後端および後方機械接続部材に固定された後方切削リングとを備える。前部切削リングは、スリーブ部材および一つ以上の切削ヘッドアセンブリを備え、各切削ヘッドアセンブリは、スリーブ部材から半径方向外側に延在する先導支持アームと、スリーブ部材から半径方向外側に延在する後続支持アームと、先導支持アームおよび後続支持アームによって支持された切削ヘッドとを含む。後方切削リングは、スリーブ部材および一つ以上の切削ヘッドアセンブリを備え、各切削ヘッドアセンブリは、スリーブ部材から半径方向外側に延在する先導支持アームと、スリーブ部材から半径方向外側に延在する後続支持アームと、先導支持アームおよび後続支持アームによって支持された切削ヘッドとを含む。前方切削リングの先導支持アームと後続支持アームとのうちの少なくとも一つ、および後方切削リングの先導支持アームと後続支持アームとのうちの少なくとも一つは、流体流れを中央管の外部に沿った軸方向後ろ向き方向に方向付けるための流体力学的構造を備え、それによって切削動作中の切りくずの排出を増進する。
【0008】
本発明の様々な実施形態が図示されているが、示される特定の実施形態は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされてもよいことが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態による、軽量リーマーなどの切削工具の前方斜視図である。
図2図2は、図1の軽量リーマーの後方斜視図である。
図3図3は、図1の軽量リーマーの側面図である。
図4図4は、図3の線4-4に沿って取られた図1のリーマーの断面図である。
図5図5は、図1のリーマーの正面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態による、リーマーの前方切削リングの斜視図であり、後方切削リングは、後方切削リングがわずかにより大きい切削直径を有する場合があり、またガイドパッドアセンブリを含まない場合がある点を除き、前方切削リングと実質的に同一である。
図7図7は、本発明の一実施形態による、リーマーの前方切削リングの側面図である。
図8図8は、図7の前方切削リングの背面図である。
図9図9は、前方切削リングの先導支持アームおよび後続支持アームの、図8の線9-9に沿って取られた断面図である。
図10図10は、図9の前方切削リングの先導支持アームおよび後続支持アームの拡大図である。
図11図11は、本発明の代替的な一実施形態による、前方切削リングの背面図である。
図12図12は、図11の前方切削リングの側面図である。
図13図13は、図12の切削ヘッドアセンブリの先導支持アームの拡大図であり、切削インサート/被工作物の界面の近くの流体のための出口穴を示す。
図14図14は、図12の前方切削リングの機械的ショベル特徴部の拡大図である。
図15図15は、図11の線15-15に沿って取られた、前方切削リングの先導支持アームおよび後続支持アームの断面図であり、先導支持アームの流体ダクトを示す。
図16図16は、図15の前方切削リングの先導支持アームの拡大図であり、流体ダクトを示す。
図17図17は、本発明の一実施形態による、後方切削リングの斜視図である。
図18図18は、本発明の一実施形態による、各切削ヘッドアセンブリおよびガイドパッドアセンブリのための単一の支持アームを有する切削リングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図1図5を参照すると、本発明の一実施形態による、切削工具10が示されている。図示した実施形態において、切削工具は、動作中に中央回転軸RAを中心として方向Rに回転する方向付けられた流体流れを有するリーマーを含む。図示した実施形態において切削工具10はリーマーを含むものの、当然のことながら本発明の原理は、フライスカッター、およびこれに類するものなどの切削動作のための任意の切削工具に適用されることができる。加えて、特定の用途の本明細書の記述は、切削工具の使用の範囲と程度を限定するものであるべきではない。
【0011】
例えば、左、右、前、後、上、下、およびそれらの派生語などの本明細書で使用される方向の語句は、図面に示される要素の向きに関し、また特許請求の範囲において明示的に列挙されない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。同一の部分には、すべての図面において同じ参照番号が提供されている。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して本明細書で使用される近似の言葉は、それが関連する基本的な機能の変更をもたらすことなく、許容可能に変化する可能性のある任意の定量的表現を修飾するために適用されてもよい。従って、「約」、「およそ」、「実質的に」などの用語(複数可)によって修飾される値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の場合において、近似の言葉は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲全体を通して、範囲の限定は、組み合わされてもよく、かつ/または交換されてもよく、こうした範囲は特定され、かつその中に含まれるすべての部分的な範囲を含むが、文脈または言葉によって別のことが示される場合は、この限りではない。
【0013】
本文および特許請求の範囲全体を通して、値の範囲に関する単語「約」の使用(例えば、約22~35重量%)は、列挙された高値と低値の両方を修飾することが意図されていて、また本発明が関連する当業者によってすべてが理解されるように、測定、有意な数値、および互換性に関連付けられた変動の周辺を反映する。
【0014】
本明細書(動作の実施例以外)の目的のために、別段の示唆が無い限り、成分、プロセス条件等の量および範囲を表現するすべての数は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。それに応じて、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる望ましい結果に応じて変動する可能性がある近似であるが、そうではないと示される場合はこの限りではない。最低でも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁の数に照らし、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、「the」は、明示的にかつはっきりと一つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含むことが意図されている。
【0015】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の実施例に記載の数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定において見いだされる標準偏差(計測器で見いだされる標準偏差を含む)から必然的にもたらされる特定の誤差を本質的に含む。また、当然のことながら、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されている。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10の間のすべての部分範囲、および列挙された最小値1と列挙された最大値10とを含むすべての部分範囲、すなわち1以上の最小値および10以下の最大値を有する範囲を含むことが意図されている。開示された数値範囲は連続的であるため、最小値と最大値の間のあらゆる値を含む。別段の示唆が明示的に無い限り、本出願で特定された様々な数値範囲は近似である。
【0016】
以下の明細書および特許請求の範囲において、以下の意味を有する幾つかの用語が参照されている。
【0017】
単数形「a」、「an」、「the」は、文脈によって別のことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0018】
「随意の」または「随意に」とは、その後に記述される事象または状況が発生する場合がある、または発生しない場合があることと、事象が発生する場合および発生しない場合を記述が含むこととを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「伸長」という用語は、その幅よりも長いものとして定義される。言い換えれば、幅は長さよりも小さい。
【0020】
本明細書で使用される「円形状」という用語は、円の形状を有する物体、すなわち単純な閉じた形状を有する物体として定義される。これは所与の点、中心から所与の距離にある平面内の点の集合であり、所定の点からの距離が一定であるように平面内で移動する点によって描かれた曲線と等価である。点のうちのいずれかの点と中心の間の距離は、半径と呼ばれる。
【0021】
本明細書で使用される「3D印刷」という用語は、典型的に層ごとに一緒に添加される材料(液体分子または一緒に融合する粉末粒子など)を用いて、材料がコンピュータ制御下で結合または固化されて三次元物体を作り出す、様々なプロセスのいずれかである。3D印刷技法は1990年代に、機能的または審美的なプロトタイプの製作にのみ適していると考えられていた。また当時、3D印刷を表す包括的な用語は、ラピッドプロトタイピングであった。今日において、精度、再現性、材料の多様性が拡大し、それによって3D印刷は「積層造形」という正式な用語で、工業的製造技術として見なされるまでになっている。
【0022】
本明細書で使用される「穴」という用語は、任意の断面形状を有することができる、何かを通る開口部、間隙、空洞または開口として定義される。
【0023】
本明細書で使用される「流体力学的構造」という用語は、構造が流体を通って動く時に、流体流れなどの流体力学的力を生成する任意の構造として定義される。流体力学的構造の一つの例は、翼形である。流体力学的構造の別の例は、タービンブレードである。
【0024】
本明細書で使用される「翼形」という用語は、翼、ブレード、羽根、およびこれに類するものなどの流体力学的構造の断面形状として定義される。
【0025】
本明細書で使用される「流体」という用語は、ガスまたは液体など、固定された形状を有しない、外圧に対して簡単に降伏する物質として定義される。
【0026】
図1図5を参照すると、方向付けられた流体流れを有する本発明の切削工具10は、以下の5つの基本的な構成要素を有する。
1)前方切削本体12
2)第一の前方切削リング14
3)中央管16
4)第二の後方切削リング18
5)後方機械接続部材20
5つの基本的な構成要素は、収縮嵌合、ろう付け、はんだ付け、溶接、糊付け、エポキシ、機械的締結具、およびこれに類するものなどの当技術分野で周知の任意の手段を使用することによって、相互に留められることができる。別の方法として、5つの基本的な構成要素のうちの一つ以上は、積層造形(すなわち、3D印刷)を使用して一体的に形成されることができる。
【0027】
図示した実施形態において、図4に示す通り、随意の流体導管21は、後方機械接続部材20から前方切削リング14に延在する。随意の流体導管21は、以下でさらに詳細に記述する通り、切削工具10が流体(冷却剤など)およびこれに類するものを、後方機械接続部材20から前方切削リング14に、および最終的に切削インサート/被工作物の界面に提供することを可能にする。代替的な一実施形態において、2019年8月30日に出願された米国特許出願第16/557,533号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の通り、後方接続部材20から前方切削リング14に流体を輸送するための空洞を含めるために、流体導管21を除去し、積層造形によって中央管16を形成することができる。
【0028】
ここで図6図10を参照すると、本発明の一実施形態による、前方切削リング14が示されている。本発明は切削リングの数によって限定されないこと、および本発明は単一の切削リングのみ、または三つ以上の切削リングを用いて実施されることができることに留意されたい。
【0029】
前方切削リング14は、後方切削リング18がわずかにより大きい切削直径を有してもよいことと、ガイドパッドアセンブリ26が省略されてもよいこととを除き、後方切削リング18と実質的に同一であることに留意されたい。従って、前方切削リング18は、本明細書において簡潔にのみ記述され、また本明細書における前方切削リング14についてのあらゆる記述は、後方切削リング18にも適用されることが理解されよう。
【0030】
一般に、前方切削リング14は、スリーブ部材22と、複数の切削ヘッドアセンブリ24と、複数のガイドパッドアセンブリ26とを含む。図示した実施形態において、前方切削リング14は、合計6個の切削ヘッドアセンブリ24および6個のガイドパッドアセンブリ26を有し、各切削ヘッドアセンブリ24は、ガイドパッドアセンブリ26によって分離されている。本発明は切削ヘッドアセンブリ24およびガイドパッドアセンブリ26の数によって限定されないこと、および本発明は、切削工具10の物理的サイズに応じて、任意の望ましい数の切削ヘッドアセンブリ24およびガイドパッドアセンブリ26を用いて実施されることができることが理解されよう。加えて、本発明は、切削ヘッドアセンブリ24のみを有し、ガイドパッドアセンブリ26を有しない前方切削リング14を用いて実施されることができる。
【0031】
図8に示す通り、例えば切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りで、相互から離隔されている。図示した実施形態において、切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りで概して不均等に離隔されている。しかし当然のことながら、切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りに等しく離隔されることができる。
【0032】
前方切削リング14は、その用途に基づいて切削力に耐えるのに適切な強度を有する任意の材料(工具鋼、アルミニウム、およびこれに類するものなど)で、積層造形(すなわち、3D印刷)プロセスを使用して作製されることができる。一つの実施形態において、前方切削リング14は、複数の切削ヘッドアセンブリ24および複数のガイドパッドアセンブリ26がスリーブ部材22と一体的に形成されている一体構造を有する。代替的な一実施形態において、切削ヘッドアセンブリ24およびガイドパッドアセンブリ26のうちの一つまたはすべては、スリーブ部材22に別々に取り付けられることができる。
【0033】
前方切削リング14はまた、中央ハブ28からスリーブ部材22に半径方向外向きに延在する複数のスポーク30を有する中央ハブ28を含む。各スポーク30は、図3および図4において矢印によって示される通り、切削工具10の後方から切削工具10の前方に軸方向前向き方向に流体流れを生成するために、翼形部、タービンブレード、およびこれに類するものなどの流体力学的構造を備えてよい。
【0034】
各切削ヘッドアセンブリ24は、回転軸RAから半径方向外向きに延在する先導支持アーム34と、回転軸RAから半径方向外向きに延在する後続支持アーム36と、切削ヘッド38とを含む。図示した実施形態において、切削ヘッド38は、図7に示す通り、切削インサートポケット40と、ガイドパッドポケット42とを含む。
【0035】
図示した実施形態において、先導支持アーム34および後続支持アーム36は、スリーブ部材22に直接固定されている。しかしながら、スリーブ部材22は、中央管16を除去することができるように、前方切削リング14と後方切削リング18の間の全長を延在することができる。反対に、スリーブ部材22を除去することができ、中央管16は、前方切削リング14と後方切削リング18の間の全体に延在することができる。この場合、アーム34、36は、中央管16に直接固定されることができる。
【0036】
図示した実施形態において、スリーブ部材22は、半径方向内向きに延在するフランジ32を含む。フランジ32およびスリーブ部材22は、前方切削リング14を中央管16に対して軸方向および半径方向に固定し、位置付ける。前方切削本体12は、前方切削リング14の中央ハブ28に固定されていることに留意されたい。しかしながら、前方切削本体12の寸法に応じて、前方切削本体12をスリーブ部材22に固定することが可能である。
【0037】
図6図8に示す通り、先導支持アーム34は、スリーブ部材22から半径方向に直線的に延在するのではなく、曲率半径RLで湾曲して延在する。同様に、後続支持アーム36は、スリーブ部材22から曲率半径RTで湾曲して延在する。曲率半径RLは大きさが曲率半径RTと同じでありうるか、または異なりうる。加えて、先導支持アーム34は、後続支持アーム36に対して反対方向に湾曲している。具体的に、後続支持アーム36は、切削工具10の回転の方向R(矢印によって表示されている)と同じ方向に湾曲し、先導支持アーム34は、切削工具10の回転方向Rと反対方向に湾曲する。後方切削リング18の先導支持アーム34は、回転方向Rと反対方向に湾曲していないことに留意されたい。
【0038】
加えて、先導支持アーム34および後続支持アーム36は、図6図8に示す通り、らせん状の弧に沿って湾曲運動する。具体的に、先導支持アーム34と後続支持アーム36の各々の断面のねじれの量は、先導支持アーム34と後続支持アーム36の各々の長さに沿って変化する。らせん状の弧は一定でありうるか、または可変でありうる。先導支持アーム34のらせん状の弧は、後続支持アーム36のらせん状の弧と同じ大きさであってもよく、または異なる大きさであってもよいことに留意されたい。例えば、先導支持アーム34は、後続支持アーム36よりも小さいらせん状の弧を有してもよい。また、後続支持アーム36は、図7に示す通りの先導支持アーム34と反対方向で渦巻き状であることに留意されたい。それ故に、先導支持アーム34と後続支持アーム36の両方は、回転方向Rに対して反対方向に下向きに湾曲する。
【0039】
図6および図8に示す通り、切削ヘッドアセンブリ24と同様に、各ガイドパッドアセンブリ26は、回転軸RAから半径方向外向きに延在する先導支持アーム44と、回転軸RAから半径方向外向きに延在する後続支持アーム46と、ガイドパッド(図示せず)を上に受容する能力を有するガイドパッドヘッド48とを含む。図5図8に示す通り、切削ヘッドアセンブリ24の後続支持アーム36は、隣接するガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44と相互接続されている。ガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44は、前方切削リング14のスリーブ部材22に直接接続されていないことが留意される。反対に、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34は、異なる隣接するガイドパッドアセンブリ26の後続支持アーム46と相互接続されている。切削ヘッドアセンブリ24とガイドパッドアセンブリ26の間のこの連動関係は、切削ヘッドアセンブリ24とガイドパッドアセンブリ26の間の空間関係を維持するのに役立つ。加えて、切削ヘッドアセンブリ24とガイドパッドアセンブリ26の間のこの連動関係は、切削工具10の軸方向、半径方向、および接線方向の剛性対重量比を増加する。
【0040】
本発明の一つの態様は、切削工具10が、切削動作中の切りくずの排出を増進するために、方向付けられた流体流れを提供することである。これは、流体力学的構造を備える切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34と後続支持アーム36とのうちの一方または両方によって達成される。加えて、ガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44と後続支持アーム46とのうちの一方または両方は、流体力学的構造を備えてもよい。図示した実施形態において、流体力学的構造は、翼形部、タービンブレード、およびこれに類するものを含む。しかしながら、流体力学的構造は、構造が機械流体、空気、およびこれに類するものなどの流体を通って移動する時に流体力学的流れを生成するように設計された任意の構造とすることができることが理解されよう。
【0041】
ここで翼形の一部の基本的な概念を記述する。翼形は、負圧面(すなわち、上面)を有し、これは一般的に、より高い速度およびより低い静圧と関連付けられている。翼形は、翼形が空気、およびこれに類するものなどの流体を通って移動する時に、流体力学的力を生成する。当然のことながら、動きの方向に対して垂直であるこの流体力学的力の成分は揚力と呼ばれ、また動きの方向に対して平行である成分は抗力と呼ばれる。加えて、翼形は圧力面(すなわち、下面)を有し、これは負圧面よりも比較的に高い静圧を有する。これらの二つの表面間の圧力勾配は、翼形によって生成された揚力に寄与する。
【0042】
翼形の幾何学的形状は以下の通りに記述される。1)前縁は、最大曲率(すなわち、最小半径)を有する翼形の前方にある点であり、2)後縁は、翼形の後方にある最大曲率の点として同様に定義されていて、3)翼弦線は、前縁と後縁を接続する直線である。翼弦の長さ、または単に翼弦cは、翼弦線の長さである。これは翼形セクションの参照寸法である。
【0043】
翼形の形状は、以下の幾何学的パラメータを使用して定義される。1)平均反り曲線または平均線は、上面と下面の間の中間の点の軌跡であり、その形状は翼弦に沿った厚さ分布に依存し、2)翼形の厚さは翼形に沿って変化し、二つのやり方、すなわち、a)厚さを反り曲線に対して垂直に測定する方法(しばしば「アメリカ法」と記述される)と、b)厚さを翼形線に対して垂直に測定する方法(しばしば「イギリス法」と記述される)とのうちのいずれかのやり方で測定される場合がある。
【0044】
図3および図4に戻って参照すると、各切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36、ならびに各ガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44および後続支持アーム46は、矢印によって示されている通り、中央管16の外側に沿って、切削工具10の後方機械接続部材20に向かって、切削工具10の前方から軸方向後ろ向き方向に流体流れを生成する。加えて、前方切削リング14のスポーク30は、図4で矢印によって示されている通り、切削工具10の後方から、中央管16を通して、前方切削リング14のスポーク30の間の開口部31を通して、前方切削本体12の近くで外向きに軸方向前向き方向に流体流れを生成するために、翼形部、タービンブレード、およびこれに類するものなどの流体力学的構造を備えてもよい。
【0045】
代替的な一実施形態において、前方切削リング14および後方切削リング18の中央にある開口部31は、中央管16を通る流体の流れを防止するために閉鎖されることができる。しかしながら、以前の実施形態と同様に、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36は、中央管16の外側に沿った軸方向後ろ向き方向に方向付けられている流体の流れを生成する。加えて、ガイドパッドアセンブリ26は、流体力学的構造を有する単一のアーム47を有する。
【0046】
前述の通り、流体導管21は、図4に示す通り、流体が後方機械加工接続部材20から切削工具10の前方切削リング14に移動するのを可能にする。具体的に、流体導管21は、流体が中央ハブ28を通して、スポーク30を通して、前方切削リング14のスリーブ部材22の中に移動するのを可能にする。中央ハブ28および各スポーク30は、空気、機械加工冷却剤、およびこれに類するものなどの流体が、流体導管21から中央ハブ28の中に移動し、一つ以上のスポーク30を通過し、スリーブ部材22の中に至り、各切削ヘッドアセンブリ24の一つ以上のアーム34、36の中に至り、および/または各ガイドパッドアセンブリ26の一つ以上のアーム44、46の中に至ることを可能にする中空内部を有してもよい。
【0047】
図8で見られる通り、一つ以上のスポーク30は、各切削ヘッドアセンブリ24の後続支持アーム36と半径方向に整列している。それ故に、図示した実施形態において、流体は、中央ハブ28から、一つ以上のスポーク30を通して、スリーブ部材22を通して、切削ヘッドアセンブリ24のそれぞれの後続支持アーム36の中に直接移動することができる。しかしながら、本発明は、切削ヘッドアセンブリ24の後続支持アーム36に流体を提供することのみに限定されないことと、本発明は、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および/またはガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44および/または後続支持アーム46に流体を提供することで実施されることができることとが理解されよう。
【0048】
ここで図9および図10を参照すると、切削ヘッドアセンブリ24の後続支持アーム36の中空内部は、流体チャネル36aを画定する。図示した実施形態において、流体チャネル36aは、非円形の断面形状を有する。しかし当然のことながら、流体チャネル36aは、アームを通る流体の流量を最適化する任意の望ましい断面形状を有することができる。加えて、当然のことながら、前方切削リング14の流体チャネル36aはまた、後方切削リング18の後続支持アーム36内に提供されることができる。加えて、流体チャネル(図示せず)はまた、ガイドパッドアセンブリ26の後続支持アーム46内に提供されることができる。さらに、当然のことながら、前方切削リング14および後方切削リング18内の流体を輸送するために使用される流体チャネル36aの他の組み合わせは、本発明の範囲内である。当然のことながら、流体チャネル(図示せず)は、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および/またはガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44内に提供されることができる。
【0049】
上述の通り、切削ヘッドアセンブリ24の後続支持アーム36は、隣接するガイドパッドアセンブリ26の先導支持アーム44と相互接続されていて、また切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34は、異なる隣接するガイドパッドアセンブリ26の後続支持アーム46と相互接続されていて、図5図7に示す通りである。しかしながら、本発明は、切削ヘッドおよびガイドパッドアセンブリ24、26の先導支持アームおよび後続支持アーム34、36、44、46の間の相互接続関係によって限定されない。また本発明は、この相互接続関係なしで実施されることができる。
【0050】
ここで図11図16を参照すると、本発明の代替的な一実施形態による、前方切削リング140が示されている。この実施形態において、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36は、互いに相互接続されていない。加えて、ガイドパッドアセンブリ26は、翼形およびこれに類するものなどの流体力学的構造の形態の単一のアーム47のみを有する。さらに、前方切削リング14のスポーク30間の開口部31は、前方切削リング140における中実構造33と置き換えられていて、スポーク30間の流体流れを防止する。むしろ、前方切削リング140は、中央管16(図4を参照)からの流体の流れが入口穴35に入り、スリーブ部材22の中空内部を通り、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34内の流体ダクト34aの中に流れることを可能にする、一つ以上の入口穴35を有する。流体は、図13に示す通り、切削インサート/被工作物の界面の近くの出口穴37を通して流体ダクト34aを出る。中実構造33は、図8で示した以前の実施形態においての通り、スポーク30間の流体の流れを可能にするために開口部31で置き換えられることができる。
【0051】
前述の通り、切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36と、前方切削リング140のガイドパッドアセンブリ26の単一のアーム47とは、切削工具10の前方から後方に向かって方向付けられた流体の流れを生成し、それによって切削動作中の切りくずの排出を増進する。図14に示す通り、切削ヘッドアセンブリ24の翼形状の後続支持アーム36は、切削動作中の切りくずの排出をさらに増進するために、機械的ショベルとして働くために、切削ヘッド38の凹面38aと協働する凹面36bを有する。
【0052】
図11図16に示す図示した実施形態において、スリーブ部材22からの流体は、先導支持アーム34を通してのみ、切削インサート/被工作物の界面およびガイドパッド/被工作物の界面に輸送される。しかしながら、後続支持アーム36内の流体チャネルは、切削インサート/被工作物の界面に流体を輸送するために使用されることができ、またアーム47は、ガイドパッド/被工作物の界面に流体を輸送するために使用されることができることが理解されよう。
【0053】
図4に戻って参照すると、中央管16は、その意図された目的のために適切な強度を有する任意の材料(鋼、CFRP、アルミニウム、およびこれに類するものなど)で作製されている。図示した実施形態において、中央管16は、炭素繊維、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、およびこれに類するものなどの任意の適切な材料で作製されることができる。中央管16の中空内部は、望む場合に、空気およびこれに類するものなどの流体を、後方機械接続部材20から中央管16を通して前方切削リング14に輸送するために使用されることができる空洞50を形成する。図示した実施形態において、中央管16は、切削工具10の重量を低減するために、積層造形(すなわち、3D印刷)を使用して作製されてもよく、または焼結、プラズマスパッタリング、およびこれに類するものなどの任意の他の適切な製造プロセスによって作製されてもよい。
【0054】
前方切削リング14は、中央管16の前端52に取り付けられていて、後方切削リング18は、中央管16の反対側の後端54に取り付けられていること(図4)が留意される。中央管16は、当技術分野で任意の周知の手段を使用して、前方切削リング14および後方切削リング18に取り付けられることができる。一つの実施形態において、例えば前方切削リング14および後方切削リング18は、中央管16に接着されてもよい。中央管16に適切に取り付けられた後、前方切削リング14および後方切削リング18の各々は、中央管16と流体連通している。具体的に、前方切削リング14および後方切削リング18の各々のスリーブ部材22は、中央管16と流体連通している。当然のことながら、中央管16は、積層造形プロセスを使用して、前方切削リング14と後方切削リング18の一方または両方と一体的に形成されることができる。
【0055】
ここで図17を参照すると、本発明の一実施形態による、後方切削リング18が示されている。後方切削リング18は、後方切削リングがガイドパッドアセンブリ26を含まないことを除き、前方切削リング14に類似している。しかしながら、後方切削リング18は、望む場合、一つ以上のガイドパッドアセンブリ26を含んでもよいことが理解されよう。
【0056】
一般に、後方切削リング18は、スリーブ部材22および複数の切削ヘッドアセンブリ24を含む。図示した実施形態において、各切削ヘッドアセンブリ24は、その中にガイドパッド(図示せず)を据え付けるためのガイドパッドポケット42(図12)を有する能力を有する。しかしながら、各切削ヘッドアセンブリ24は、望む場合、ガイドパッドポケット42を含まなくてもよいことが理解されよう。図示した実施形態において、後方切削リング18は、合計で6つの切削ヘッドアセンブリ24を有する(図17においては5つだけ見える)。本発明は、切削ヘッドアセンブリ24の数によって限定されないことと、本発明は、切削工具10の物理的サイズに応じて、任意の望ましい数の切削ヘッドアセンブリ24を用いて実施されることができることとが理解されよう。
【0057】
図17に示す通り、例えば切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りで、相互から離隔されている。図示した実施形態において、切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りで概して不均等に離隔されている。しかし当然のことながら、切削ヘッドアセンブリ24は、スリーブ部材22の周囲の周りに等しく離隔されることができる。
【0058】
前方切削リング14と同様に、後方切削リング18は、積層造形(すなわち、3D印刷)プロセスを使用して、工具鋼などの鋼材料で作製されることができる。一つの実施形態において、後方切削リング18は、複数の切削ヘッドアセンブリ24がスリーブ部材22と一体的に形成されている一体構造を有する。代替的な一実施形態において、切削ヘッドアセンブリ24のうちの一つまたはすべては、スリーブ部材22に別々に取り付けられることができる。
【0059】
また、前方切削リング14と同様に、後方切削リング18の各切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36は、翼形部、タービンブレード、およびこれに類するものなどの流体力学的構造を備える。結果として、各切削ヘッドアセンブリ24の先導支持アーム34および後続支持アーム36は、図3および図4の矢印によって示されている通り、切削工具10の後方機械接続部材20に向かって軸方向後ろ向き方向に流体流れを生成する。
【0060】
後方切削リング18は、後方機械接続部材20に接続されていて、また中央管16(図1図2、および図4)にも取り付けられている。後方切削リング18は、後方機械接続部材20から直接、流体を受容する。次いで、後方機械接続部材20は、後方機械接続部材20に加圧流体を提供するために、中央の回転軸RA、および流体源(図示せず)を中心として切削工具10を回転させるためのスピンドルアセンブリ(図示せず)に連結されることができる。
【0061】
後方機械接続部材20が流体源と流体連通すると、本発明の切削工具10全体を通して流体を提供することができる。具体的に、流体は後方機械接続部材20に入り、後方切削リング18の中に直接移動することができる。加えて、流体は、上述の通り、後方切削リング18を通り過ぎて、流体導管21を通して、前方切削リング14の中に直接至り、切削ヘッドアセンブリ24の中に移動し、各切削ヘッドアセンブリ24の切削インサートポケット40およびガイドパッドポケット42に近接して出ることができる。
【0062】
上述の実施形態において、前方切削リング14および後方切削リング18の各切削ヘッドアセンブリ24は、先導支持アーム34、44および後続支持アーム36、46を有する。しかしながら、本発明は、切削ヘッドを支持するための単一のアーム、およびガイドパッドヘッド支持するための単一のアームのみを有する切削ヘッドアセンブリおよび/またはガイドパッドアセンブリを用いて実施されることができることが理解されよう。
【0063】
ここで図18を参照すると、前方切削リング14の切削ヘッドアセンブリ24は、切削ヘッド38を支持するための単一のアーム56、およびガイドパッドヘッド48を支持するための単一のアーム58のみを有する。以前の実施形態と同様に、アーム56、58は、切削動作中の切りくずの排出を容易にするために、流体流れを望ましい方向に方向付けるための流体力学的構造を備える。
【0064】
図2に戻って参照すると、後方機械接続部材20は、スリーブ部材60から半径方向内向きに延在する複数のスポーク62を有するスリーブ部材60を有する。各スポーク62は、図4に示す通り、流体流れが通過して中央管16の中に入ることを可能にする開口部64によって分離されている。加えて、各スポーク62は、前方切削リング14のスポーク30と同様の流体力学的構造とすることができる。代替的な一実施形態において、開口部64は、流体が中央管16の中に通ることを防止するように閉鎖されてもよい。
【0065】
上述の通り、切削ヘッド38およびガイドパッドヘッド48を支持する一つ以上のアーム34、36、44、46、47、56、58によって画定された流体力学的構造は、複数の方法によって切りくずの排出を容易にすることができる。第一に、切削ヘッド38を支持するアーム34、36は、ドリル内の溝に類似の様式で、切れ刃から離れるように切りくずを機械的に「掻き出す」ことができる。第二に、アーム34、36、44、46、47、56、58は、翼形に類似する流体力学的構造として機能する。切削工具10を回転することによって作り出される作業は、流体がアーム34、36、44、46、47、56、58に対して下向きの力を加えることを引き起こし、アーム34、36、44、46、47、56、58が流体に対して等しい上向きの力を加えることを引き起こし、その結果、流体流れは後方の機械接続部材20に向かって方向付けられる。
【0066】
タービンブレードとして働くスポーク30、62を追加することによって、止まり穴を機械加工する時の流体流れの効率を改善することができる。これらのタービンブレードは、穴の入口(機械のスピンドルの近くにある)から機械加工された穴の中に流体を引き出すように設計されていて、流体は切削工具10の中央管16を通って、機械加工された穴の底(切削工具10の前方の近くにある)まで流れる。流体は機械加工された穴の底で切削工具10の中央から出る時に、切削領域およびガイドパッドを支持する翼形スタイルのアーム34、36、44、46、47、56、58によって、上に、かつ機械加工された穴から出るように引き出される。
【0067】
加えて、翼形状のアーム/ブレード30、34、36、44、46、47、56、58の形態の流体力学的構造はまた、切削領域またはガイドパッド領域を支持するために使用されることなく、純粋に流体流れを生成するために、工具の外径上で使用されてもよい。流体流れはまた、出口穴37を切れ刃の近くに位置付けることと、流体流れをマニピュレートして切りくずの排出を補助するために機械流体と翼形状アームの組み合わせを使用することと、切削工具10の切れ刃の近くの穴から流体を強制的に出す圧縮機を作り出すために翼形アームの幾何学的形状を使用することとによって方向付けられることができる。
【0068】
本明細書で参照される特許および出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
現時点で好ましい実施形態を記述しているが、本発明は別の方法で、添付の特許請求の範囲の範囲内で具現化されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】