(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】圧搾可能な皮下ポート
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
A61M39/02 102
A61M39/02 114
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534889
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062403
(87)【国際公開番号】W WO2022125661
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523006974
【氏名又は名称】ポータル アクセス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タル,ミカエル ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】リヴネ,ロン
(72)【発明者】
【氏名】エイロン,オマー
(72)【発明者】
【氏名】ウィンシュタイン,ロニー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066FF01
4C066GG06
(57)【要約】
皮下ポートおよびその埋め込み方法が開示される。皮下ポートは、剛性内側部材と、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って内側部材に接続された可撓性材料で構成される外側部材とを備え、それにより、弾性的に弛緩した状態のときに皮下ポートの所定の空間形状を形成する。皮下ポートは、内側部材の最大断面円周よりも大きく、且つ所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押し込まれたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下ポートであって、
空洞を備える剛性内側部材であって、前記空洞が、隔壁部材によって閉じられ、且つ前記空洞内に繰り返し針が貫通するように構成された第1の空洞開口部、および前記空洞とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部に通じている、剛性内側部材と、
前記内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って前記内側部材に接続された可撓性材料で構成され、それによって弾性的に弛緩した状態にあるときに前記皮下ポートの所定の空間形状を形成する外側部材と
を備え、
前記皮下ポートが、前記内側部材の最大断面円周よりも大きく、且つ前記所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押し込まれたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている、皮下ポート。
【請求項2】
前記弾性的に弛緩した状態の前記皮下ポートが、前記所定の空間形状の最大軸方向断面における幅、面積、および/または体積が前記内側部材よりも少なくとも50%大きい、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項3】
前記外側部材が、前記内側部材の前記少なくとも1つの横方向周縁部分に向かって横方向に局所的に弾性的に圧縮可能である、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項4】
前記外側部材が5Nを超える力で圧縮されたときに少なくとも10%、および/または前記外側部材が20Nを超える力で圧縮されたときに少なくとも25%、最大幅が減少するように構成されている、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項5】
前記外側部材が、局所的に半径方向に圧縮された形状に適合する一方で、その圧縮領域まで半径方向に離れて拡張するように構成されている、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項6】
前記外側部材が、前記内側部材に対して近位方向に、前記所定の空間形状よりも狭く且つ長い拡張形状に拡張可能である、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項7】
前記可撓性材料が、軟質エラストマーおよび/またはシリコーンゴムを含む、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項8】
前記可撓性材料が、前記内側部材の周囲の前記所定の空間形状に形成された大部分または全ての空間を充填する、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項9】
前記内側部材から突出し、前記内側部材の前記少なくとも1つの横方向周縁部分を取り囲む、前記可撓性材料よりも剛性の少なくとも1つの弾性延長部を備え、前記少なくとも1つの延長部が、前記可撓性材料に埋め込まれ、局所的に圧縮された部分から生じる圧縮荷重を前記外側部材の他の部分に分配するように構成されている、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項10】
前記少なくとも1つの延長部が、前記可撓性材料によって充填された前記内側部材の前記少なくとも1つの横方向周縁部分と間隙を形成する、請求項9に記載の皮下ポート。
【請求項11】
前記少なくとも1つの延長部が、前記外側部材が前記内側部材に対して横方向に圧縮され、且つ/または軸方向に近位方向に延長されたときに、前記内側部材の前記少なくとも1つの横方向周縁部分に近付くように構成されている、請求項10に記載の皮下ポート。
【請求項12】
前記少なくとも1つの延長部が、前記空洞の遠位に位置する前記内側部材の遠位部分から近位方向および横方向外側に突出する、請求項9に記載の皮下ポート。
【請求項13】
前記少なくとも1つの延長部が、前記内側部材の遠位部分に固定され、前記内側部材に対して軸方向および/または横方向に撓むことが可能にされ、その部分が前記内側部材の遠位部分から離れている、請求項12に記載の皮下ポート。
【請求項14】
前記少なくとも1つの延長部が、前記内側部分の大部分または全ての横方向周縁を取り囲んでいる、請求項9に記載の皮下ポート。
【請求項15】
前記内側部材が、前記皮下ポートの大部分または全長に沿って長手方向に延在している、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項16】
前記内側部材が、前記空洞に対して遠位に延在する遠位部分を含み、前記遠位部分が、丸みを帯びたまたは尖った前縁を有し、且つ/または前記外科用開口部を介した前記皮下ポートの貫通を容易にするまたは簡単にするように構成されている、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項17】
前記外側部材が、前記内側部材に対して少なくとも1つの方向に幅および/または厚さが変化する、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項18】
前記内側部材が、遠位部分、中間部分、および近位部分を含み、前記外側部材が、前記遠位部分に沿うよりも、前記中間部分に沿う、および/または前記近位部分に沿う幅および/または厚さが大きい、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項19】
前記内側部材が、上側部分および下側部分を含み、前記外側部材が、前記上側部分に沿うよりも前記下側部分に沿う幅および/または厚さが大きい、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項20】
前記外側部材が、前記内側部材に対して局所的に圧縮されたときに長くなり、それによって前記皮下ポートの全長を増加させる、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項21】
前記外側部材が、大部分または近位にのみ伸長するように構成され、および/または前記内側部材が、前記外側部材が前記内側部材に対して遠位に伸長するのに抵抗し、またはこれを防止するように構成されている、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項22】
前記外側部材が、前記内側部材に対して局所的に圧縮されたときに、圧縮方向に対して垂直に前記内側部材の基部に対して下方に膨張し、それによって前記皮下ポートの全高を増加させる、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項23】
前記外側部材が、単一の構成要素として形成される、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項24】
前記外側部材が、前記内側部材の周囲の大部分または全ての体積を占める中実部材として形成される、請求項1に記載の皮下ポート。
【請求項25】
皮下ポートを埋め込むための方法であって、
対象者の皮膚層を横切って外科用開口部を形成することであって、前記外科用開口部が、最大開口部円周を取り囲んで制限する開口部ネック部分を備える、形成することと、
前記外科用開口部を介して前記皮膚層の下方に皮下空隙を形成することと、
前記外科用開口部を介して前記皮下ポートを前記皮下空隙内に押し込むことであって、前記皮下ポートが、弾性的に弛緩した状態で前記皮下ポートがその長さに沿って局所的に弾性的に圧縮可能であるとき、前記最大開口部円周よりも大きい最大断面円周を有する所定の空間形状を有する、押し込むことと
を含み、
前記押し込むことが、前記開口部ネック部分に押し込まれたときに前記皮下ポートを弾性的に直径方向に圧縮し、および/または近位方向に長さ方向に延在させ、それによって前記外科用開口部を通して前記皮下ポートを圧搾することを可能にする、方法。
【請求項26】
前記押し込むことの後、前記皮下ポートが弾性的に弛緩した状態まで自発的に弾性的に拡張するのを可能にすることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記形成することおよび前記押し込むことが、外科用器具を用いて実行される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記外科用器具が、ケリークランプまたは外科用針ホルダである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記皮下ポートが、前記内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って剛性内側部材に接続された可撓性外側部材を含み、それにより、弾性的に弛緩した状態にあるときに前記皮下ポートの前記所定の空間形状を形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記剛性内側部材が空洞を備え、前記空洞が、隔壁部材によって閉じられ、且つ針が繰り返し貫通して前記空洞内に入るように構成された第1の空洞開口部、および前記空洞とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部に通じている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記外側部材が、自然発生する皮下応力下にあるときに外科的に形成可能な皮下空隙内に前記所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮に対する弾性抵抗を有するように構成されている、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記押し込むことが、前記外側部材を前記内側部材に対して局所的に圧縮させる一方で、前記外側部材の圧縮領域まで遠隔的に拡大することによって、前記外側部材の全体的な体積を実質的に維持する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
針によって頸静脈にアクセスすること、前記針を通して前記頸静脈にワイヤを挿入すること、前記頸静脈から前記針を取り外すこと、前記ワイヤ上で剥離シースおよび/または拡張器を前記頸静脈に挿入すること、前記頸静脈から前記ワイヤおよび/または前記拡張器を取り外すこと、前記剥離シースを通して前記頸静脈にカテーテルを挿入すること、および前記頸静脈から前記剥離シースを取り外すことのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記頸静脈を介して上大静脈に前記カテーテルを前進させること、撮像下で前記上大静脈または右心房内の前記カテーテルの遠位先端の位置を確認すること、および前記カテーテルの遠位先端の位置を調整することのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月9日に出願された「Squeezable Subcutaneous Port」と題する米国仮特許出願第63/123,028号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、対象者の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物、および/または化学療法剤などの薬剤を担持する流体)の反復送達を促進且つ/または改善するための装置および方法に関し、より具体的には、排他的ではないが、対象者の体内でのその送達および展開の血管アクセスポートおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の血管系への流体(例えば、薬物または薬剤)の送達または回収を容易にするための繰り返しの針穿刺は、局所組織に害を及ぼし、標的血管機能性および針配置精度を低下させる。この現象は、例えば、長期間にわたる連続的且つ反復的な静脈内輸液投与を必要とする慢性糖尿病、透析または化学療法の患者においてしばしば明白である。
【0004】
血管アクセスポートは、針の穿刺および動力による流体の注入によって引き起こされる累積的な害を最小限に抑えながら、そのような繰り返しの穿刺および流体投与を可能にする装置である。アクセスポートは、通常は胸部の大きな血管に近接した外科的に形成されたポケットに皮下埋め込みされる。それは、基本的に、空洞を囲むポート本体から形成され、ポート本体は、上部皮膚層を支持し、周囲の身体組織に密封された血管内輸液のためにそれを通して繰り返しの針穿刺を受け入れるように構成された隔壁部材によってキャップされる。ポートは、注入された流体が血流中において希釈することを可能にするために、上大静脈などの大きな血管との流体連通を提供するカテーテル(薄い可撓性チューブ)に取り付けられる。
【0005】
ポートの埋め込みは、介入放射線科医または外科医による局所麻酔または全身麻酔下で行われる軽微な処置と考えられる。第1に、外科医が所望の静脈へのアクセスを達成し、その後アクセスポイントで皮膚切開が行われる。第2のより大きな切開は、ポートの所望の位置の上方に行われ、それを通してポケット状の皮下空隙が鈍い装置を使用して形成される。カテーテルは、ブラントトンネラーを使用して2つの切開部の間で皮下に延長される。次いで、カテーテルの一端が静脈に挿入され、カテーテルの他端がポートに結合される。必要に応じて、展開中、カテーテルは、所望の長さに切断される。
【0006】
アクセスポート設計における過去数年の進歩に加えて、外傷性および侵襲性が低く、潜在的には非外科的医療従事者によっても実行するのがより簡単なポートおよびその埋め込みおよび展開方法を開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、対象者の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物、および/または化学療法剤などの薬剤を担持する流体)の反復送達を促進且つ/または改善するための装置および方法に関し、より具体的には、排他的ではないが、対象者の体内でのその送達および展開の血管アクセスポートおよび方法に関する。
【0008】
特定の実施形態では、皮下ポートが提供される。皮下ポートは、空洞を含む剛性内側部材であって、空洞が、隔壁部材によって閉じられ、且つ針が繰り返し貫通して空洞に入るように構成された第1の空洞開口部、および空洞とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部に通じている、剛性内側部材と、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って内側部材に接続された可撓性材料からなり、それにより、弾性的に弛緩した状態にあるときに皮下ポートの所定の空間形状を形成する外側部材と、を備えることができる。いくつかの実施形態では、皮下ポートは、内側部材の最大断面円周よりも大きく、所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押されたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、弾性的に弛緩した状態の皮下ポートは、所定の空間形状の最大軸方向断面において、幅、面積、および/または体積が内側部材よりも少なくとも50%大きい。
【0010】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に向かって横方向に局所的に弾性的に圧縮可能である。
【0011】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、外側部材が5Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも10%、および/または外側部材が20Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも25%、最大幅が減少するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、外側部材は、局所的に半径方向に圧縮された形状に適合する一方で、その圧縮領域まで半径方向に離れて拡張するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材に対して近位方向に、所定の空間形状よりも狭く且つ長い拡張形状に拡張可能である。
【0014】
いくつかの実施形態では、外側部材は、皮下空隙内の自然発生的な皮下応力下にあるときに所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮に対する弾性抵抗を有するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、外側部材が所定の空間形状から内側部材に対して近位に圧縮または引き込まれるとき、その体積を実質的に維持する。
【0016】
いくつかの実施形態では、可撓性材料は、軟質エラストマーおよび/またはシリコーンゴムを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、可撓性材料は、内側部材の周りの所定の空間形状に形成された大部分または全ての空間を充填する。
【0018】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、内側部材から突出し、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分を取り囲む、可撓性材料よりも剛性の少なくとも1つの弾性延長部を備え、少なくとも1つの延長部は、可撓性材料に埋め込まれ、局所的に圧縮された部分から生じる圧縮荷重を外側部材の他の部分に分配するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、可撓性材料によって充填された内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分と間隙を形成する。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、外側部材が内側部材に対して横方向に圧縮され、且つ/または軸方向に近位方向に延長されたときに、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に近付くように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、空洞の遠位に位置する内側部材の遠位部分から近位方向および横方向外側に突出する。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、内側部材の遠位部分に固定され、内側部材に対して軸方向および/または横方向に撓むことが可能にされ、その部分は内側部材の遠位部分から離れている。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの延長部は、内側部分の大部分または全ての横方向周縁を取り囲んでいるか、または囲む。
【0024】
いくつかの実施形態では、外側部材は、外科用開口部を通って押し込まれたときに、所定の空間形状の最大断面円周に隣接して、内側部材に対してその弾性的に応力を受けていない幅の約50%以下まで局所的に圧縮可能である。
【0025】
いくつかの実施形態では、外側部材は、外科用開口部を通って押し込まれたときに、所定の空間形状の最大断面円周に隣接して、内側部材に対してその弾性的に応力を受けていない幅の約25%以下まで局所的に圧縮可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、外側部材は、皮下ポートが約5kgf以下の軸方向力で押されたときに外科用開口部を通って圧搾するのに十分に内側部材に対して局所的に圧縮可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、可撓性材料は、約35ショアA以下の硬度によって構成された弾性ポリマーを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、内側部材は、皮下ポートの大部分または全長に沿って長手方向に延在する。
【0029】
いくつかの実施形態では、内側部材は、空洞に対して遠位に延在する遠位部分を含み、遠位部分は、丸みを帯びたまたは尖った前縁を有し、且つ/または外科用開口部を介した皮下ポートの貫通を容易にするまたは簡単にするように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材に対して少なくとも1つの方向に幅および/または厚さが変化する。
【0031】
いくつかの実施形態では、内側部材は、遠位部分、中間部分、および近位部分を含み、外側部材は、遠位部分に沿うよりも、中間部分に沿う、および/または近位部分に沿う幅および/または厚さが大きい。
【0032】
いくつかの実施形態では、内側部材は、上側部分および下側部分を含み、外側部材は、上側部分に沿うよりも下側部分に沿う幅および/または厚さが大きい。
【0033】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材に対して局所的に圧縮されたときに長くなり、それによって皮下ポートの全長を増加させる。
【0034】
いくつかの実施形態では、外側部材は、大部分または近位にのみ伸長するように構成され、および/または内側部材は、外側部材が内側部材に対して遠位に伸長するのに抵抗し、またはこれを防止するように構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材に対して局所的に圧縮されたときに、圧縮方向に対して垂直に内側部材の基部に対して下方に膨張し、それによって皮下ポートの全高を増加させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、外側部材は、大部分または下方にのみ屈曲または拡張するように構成され、および/または内側部材は、外側部材が上方に拡張するのに抵抗し、またはこれを防止するように構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、内側部材の基部の下方で外側部材を下方に屈曲または拡張させるのに十分な最小の力は、外側部材を上方に屈曲または拡張させるのに十分な最小の力よりも小さい。
【0038】
いくつかの実施形態では、隔壁部材は、楕円形である。
【0039】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、その近位端において、ケリークランプまたは外科用針ホルダなどの把持手段による把持を容易にするように構成された剛性把持部を備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、剛性把持部は、そのアームが皮下ポートに対して垂直に配置されたときに剛性把持部を把持する外科用針ホルダを制限するように水平に延在する平坦面を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、隔壁部材上で内側部材の上側部分に結合されて、皮下ポートの一体の剛性カプセル化コア本体を形成するキャップ部材を備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、カプセル化コア本体は、空洞内に生成可能なパワー注入圧力に耐えるように構成されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、外側部材は、単一の構成要素として形成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、外側部材は、所定の空間形状にしたがって成形された制限された空間境界内で内側部材上に可撓性材料を押し出す、鋳造する、または成形することによって形成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、外側部材は、カプセル化コア本体の上に押し出され、鋳造され、または成形されて皮下ポートを形成する。
【0046】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材の周りの実質的に大部分または全ての体積を占める中実部材として形成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、外側部材は、内側部材の各側に少なくとも1つの外側部材空洞を囲む薄層を含む弾性シェル状構造を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの外側部材空洞は、可撓性材料によって少なくとも部分的に充填される。
【0049】
いくつかの実施形態では、シェル状構造は、第1の材料から形成され、可撓性材料は、第2の材料から形成され、第1の材料は、剛性、弾性および圧縮強度のうちの少なくとも1つが第2の材料とは異なる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の材料の硬度は、約30ショアAから約50ショアAであり、第2の材料の硬度は、約00~20ショアから約20ショアAである。
【0051】
いくつかの実施形態では、外側部材は、外側部材の全体積の少なくとも20%を占める集合した空の体積を有する複数の貫通孔を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、外側部材は、それぞれが内側部材の側面から垂直に延在する複数の薄いリブ状部材を含み、リブ状部材は、皮下ポートが外科用開口部を通って押されたときに、互いに接触することなくリブ状部材の部分的な屈曲の第1の段階を可能にするのに十分に互いに離間している。
【0053】
いくつかの実施形態では、外側部材は、実質的に楕円形のベースフットプリントを有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、外側部材は、それらの間に狭窄ネック部を形成する連続的に接合された楕円形セグメントから形成されたベースフットプリント形状を有する。
【0055】
特定の実施形態では、皮下ポートを埋め込むための方法が提供される。本方法は、以下のステップのうちの少なくとも1つを含むことができる(必ずしも同じ順序ではない):
【0056】
-対象者の皮膚層を横切って外科用開口部を形成するステップであって、外科用開口部が、最大開口部円周を取り囲んで制限する開口部ネック部分を備える、形成するステップ、
【0057】
-外科用開口部を介して皮膚層の下方に皮下空隙を形成するステップ、
【0058】
-外科用開口部を介して皮下ポートを皮下空隙内に押し込むステップであって、皮下ポートが、弾性的に弛緩した状態で皮下ポートがその長さに沿って局所的に弾性的に圧縮可能であるとき、最大開口部円周よりも大きい最大断面円周を有する所定の空間形状を有する、押し込むステップ。
【0059】
いくつかの実施形態では、押し込みは、開口部ネック部分に押し込まれときに皮下ポートを弾性的に直径方向に圧縮し、且つ/または近位方向に長さ方向に延在させ、それによって外科用開口部を通る皮下ポートの圧搾を可能にする。
【0060】
いくつかの実施形態では、押し込みの後、本方法は、皮下ポートが弾性的に弛緩した状態まで自発的に弾性的に拡張するのを可能にすることを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、形成および押し込みは、外科用器具を用いて実行される。
【0062】
いくつかの実施形態では、外科用器具は、ケリークランプまたは外科用針ホルダである。
【0063】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って剛性内側部材に接続された可撓性外側部材を含み、それにより、弾性的に弛緩した状態にあるときに皮下ポートの所定の空間形状を形成する。
【0064】
いくつかの実施形態では、剛性内側部材は空洞を備え、空洞が、隔壁部材によって閉じられ、且つ針が繰り返し貫通して空洞内に入るように構成された第1の空洞開口部、および空洞とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部に通じている。
【0065】
いくつかの実施形態では、外側部材は、自然発生する皮下応力下にあるときに外科的に形成可能な皮下空隙内に所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮に対する弾性抵抗を有するように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、押し込みは、外側部材を内側部材に対して局所的に圧縮させる一方で、外側部材の圧縮領域まで遠隔的に拡大することによって、外側部材の全体的な体積を実質的に維持する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本方法は、針によって頸静脈にアクセスすること、針を通して頸静脈にワイヤを挿入すること、頸静脈から針を取り外すこと、ワイヤ上で剥離シースおよび/または拡張器を頸静脈に挿入すること、頸静脈からワイヤおよび/または拡張器を取り外すこと、剥離シースを通して頸静脈にカテーテルを挿入すること、および頸静脈から剥離シースを取り外すことのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本方法は、頸静脈を介して上大静脈にカテーテルを前進させること、撮像下で上大静脈または右心房内のカテーテルの遠位先端の位置を確認すること、およびカテーテルの遠位先端の位置を調整することのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0069】
特定の実施形態では、対象者の身体から皮下ポートを取り外すための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のステップのうちの少なくとも1つを含む(必ずしも同じ順序ではない):
【0070】
-対象者の皮膚層を横切って外科用開口部を形成するステップであって、外科用開口部が、最大開口部円周を取り囲んで制限する開口部ネック部分を備える、形成するステップ、
【0071】
-外科用開口部と皮下ポートの近位端との間の皮膚層の下方に皮下通路を形成するステップ、
【0072】
-皮下ポートを患者から取り外すために皮下通路および外科用開口部を通して皮下ポートを引っ張るステップ。
【0073】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、弾性的に弛緩した状態で皮下ポートがその長さに沿って局所的に弾性的に圧縮可能であるとき、最大開口部円周よりも大きい最大断面円周を有する所定の空間形状を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、引っ張りは、開口部ネック部分に押し込まれたときに皮下ポートを弾性的に直径方向に圧縮し、且つ/または近位方向に長さ方向に延在させ、それによって外科用開口部を通して皮下ポートを圧搾することを可能にする。
【0075】
いくつかの実施形態では、形成および引っ張りは、外科用器具を用いて実行される。
【0076】
いくつかの実施形態では、外科用器具は、ケリークランプまたは外科用針ホルダである。
【0077】
いくつかの実施形態では、皮下ポートは、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って剛性内側部材に接続された可撓性外側部材を含み、それにより、弾性的に弛緩した状態にあるときに皮下ポートの選択された所定の空間形状を形成する。
【0078】
いくつかの実施形態では、剛性内側部材は空洞を備え、空洞が、隔壁部材によって閉じられ、且つ針が繰り返し貫通して空洞内に入るように構成された第1の空洞開口部、および空洞とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部に通じている。
【0079】
いくつかの実施形態では、外側部材は、皮下通路内の選択された所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮に対する弾性抵抗を有するように構成されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、引っ張りは、外側部材を内側部材に対して局所的に圧縮させる一方で、外側部材の圧縮領域まで遠隔的に拡大することによって外側部材の全体的な体積を実質的に維持する。
【0081】
いくつかの実施形態では、外科用開口部は、皮下ポートを埋め込むために以前に形成された挿入瘢痕に隣接してまたはその上に形成される。
【0082】
本明細書で使用される全ての技術的または/および科学的な単語、用語、または/および語句は、本明細書で特に明確に定義または記載されない限り、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じまたは類似の意味を有する。本明細書で例示的に説明される方法(ステップ、手順)、装置(装置、システム、それらの構成要素)、機器、および材料の例示的な実施形態は、例示的且つ説明的なものに過ぎず、必ずしも限定的であることを意図するものではない。本明細書に記載の方法、装置、機器、および材料と同等または類似の方法、装置、機器、および材料は、本発明の実施形態の実施または/および試験に使用されることができるが、例示的な方法、装置、機器、および材料が以下に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
いくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載されている。ここで詳細に図面を特に参照すると、示されている詳細は例としてのものであり、いくつかの実施形態の例示的な説明のためのものであることが強調される。この点に関して、添付の図面と合わせた説明は、いくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0084】
図面では以下のとおりである:
【0085】
【
図1A】いくつかの実施形態にかかる、例示的な展開された血管アクセスポートの側面断面図および平面断面図をそれぞれ概略的に示している。
【
図1B】いくつかの実施形態にかかる、例示的な展開された血管アクセスポートの側面断面図および平面断面図をそれぞれ概略的に示している。
【
図1C】いくつかの実施形態にかかる、例示的な展開された血管アクセスポートの側面断面図および平面断面図をそれぞれ概略的に示している。
【
図2A】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図2B】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図2C】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図2D】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図2E】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図2F】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図3A】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートにアクセスして操作するための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図3B】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートにアクセスして操作するための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図3C】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートにアクセスして操作するための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図3D】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す圧搾可能な皮下ポートの例示的な変形形態にアクセスするための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図3E】いくつかの実施形態にかかる、
図1Aに示す圧搾可能な皮下ポートの例示的な変形形態にアクセスするための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図4A】いくつかの実施形態にかかる、組立等角図および分解等角図における例示的な圧搾可能な皮下ポートをそれぞれ示している。
【
図4B】いくつかの実施形態にかかる、組立等角図および分解等角図における例示的な圧搾可能な皮下ポートをそれぞれ示している。
【
図5A】いくつかの実施形態にかかる、側面断面図および正面断面図における
図4Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートをそれぞれ示している。
【
図5B】いくつかの実施形態にかかる、側面断面図および正面断面図における
図4Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートをそれぞれ示している。
【
図6】いくつかの実施形態にかかる、例示的な外科用針ホルダによって把持された、
図4Aに示す例示的な圧搾可能な皮下ポートを示している。
【
図7A】いくつかの実施形態にかかる、空の弾性シェル状構造を含む、
図7Bおよび
図7Cに示す外側部材を有する例示的な圧搾可能な皮下ポートを示している。
【
図8A】いくつかの実施形態にかかる、可撓性充填材によって充填された弾性シェル状構造を含む、
図7Bに示す外側部材の例示的な変形例を示している。
【
図8B】いくつかの実施形態にかかる、可撓性充填材によって充填された弾性シェル状構造を含む、
図7Bに示す外側部材の例示的な変形例を示している。
【
図8C】いくつかの実施形態にかかる、可撓性充填材によって充填された弾性シェル状構造を含む、
図7Bに示す外側部材の例示的な変形例を示している。
【
図9A】いくつかの実施形態にかかる、複数の貫通孔を含む、
図9Bおよび
図9Cに示す外側部材を有する例示的な圧搾可能な皮下ポートを示している。
【
図10A】いくつかの実施形態にかかる、複数の薄いリブ状部材を含む、
図10Bおよび
図10Cに示す外側部材を有する例示的な圧搾可能な皮下ポートを示している。
【
図11A】いくつかの実施形態にかかる、順次接合された楕円形セグメントから形成されたベースフットプリント形状を有する
図11Bに示す外側部材を有する例示的な圧搾可能な皮下ポートを示している。
【
図12A】いくつかの実施形態にかかる、可撓性材料に埋め込まれた弾性延長部を備える例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図12B】いくつかの実施形態にかかる、可撓性材料に埋め込まれた弾性延長部を備える例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図12C】いくつかの実施形態にかかる、可撓性材料に埋め込まれた弾性延長部を備える例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図12D】いくつかの実施形態にかかる、可撓性材料に埋め込まれた弾性延長部を備える例示的な圧搾可能な皮下ポートを埋め込むための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
【
図13】いくつかの実施形態にかかる、カテーテルに接続された例示的な皮下ポートを備える例示的な血管アクセスポートシステムを示している。
【
図14A】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14B】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14C】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14D】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14E】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14F】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14G】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14H】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【
図14I】いくつかの実施形態にかかる、
図13に示す皮下ポートのいくつかの図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本開示は、そのいくつかの実施形態では、対象者の血管系への流体(例えば、栄養素、薬物および/または化学療法剤などの薬剤を担持する流体)の反復送達を促進且つ/または改善するための装置および方法に関し、より具体的には、排他的ではないが、対象者の体内でのその送達および展開の血管アクセスポートおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示の血管アクセスポートは、外科的プロセス(切断、切開、およびトンネリングのような)のサイズまたは数、それらの持続時間および/または複雑さを低減することによって、アクセスポートおよびカテーテルの外科的埋め込み処置の安全性および/または有効性を改善することができ、それにより、患者にとってより短く、より容易な回復を伴う潜在的により外傷の少ない経験を提供する。
【0087】
図1A~
図1Cは、例示的な血管アクセスポート10の側面断面図および平面断面図をそれぞれ概略的に示し、これは、患者の皮膚に行われた穿刺または切開によって形成されたものなどの小さな開口部を貫通することができる圧搾可能な皮下ポートとして任意に構成され、弾性的に弛緩した状態にあるとき、その最大断面円周においてポート10の通過を収容することができない。そのような開口部を通る貫通は、ポート10が開口部を通して遠位に押されたときに、ポートの1つまたは複数の部分を開口部ネック部分によって局所的に弾性的に圧縮することによって達成されることができる。本明細書で使用される場合、「断面円周」という用語は、皮下ポート(この実施形態では、ポート10)またはその一部などの物体の特定の断面における周囲長または弧長を指し、物体(例えば、皮下ポート)の遠位端と近位端との間に延在する長軸または長手方向軸などの軸を横方向に横切る。最大断面円周とは、全ての断面円周の中で最大の長さを有する断面円周を意味する。
【0088】
図1Aの平面図および
図1Bの内側切断図に示す血管アクセスポート10は、空洞12を画定し、空洞12を周囲から覆って封止する隔壁部材13と結合されたポート本体11を含む。隔壁部材13は、
図1Bに示す針14のように、針を通る針配置中および針が引き抜かれた後に空洞12の封止を損なうことなく、針を繰り返し穿刺するように構成されている。この文脈における「繰り返し」は、10回を超える連続した針穿刺、任意に100回を超える連続した針穿刺、任意に1,000回を超える連続した針穿刺、任意に10,000回を超える連続した針穿刺、またはそれ以上もしくはそれ以下を指し得る。この文脈における「針」は、静脈内投与などのための血管アクセスポートを介した流体送達のために承認された針を指し得る。
【0089】
ポート10、特にポート本体11は、空洞12を形成する剛性内側部材19と、内側部材の少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って内側部材19に接続され、弾性的に弛緩した状態にあるときに(例えば、
図1Aに示すように)ポート10のための選択された所定の空間形状を形成する可撓性外側部材20(可撓性材料によって形成される)と、を含む。外側部材12は、自然に生じる皮下応力下にあるときに外科的に形成可能な皮下空隙内に所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮に対する弾性抵抗を有するように構成されている。さらにまた、外側部材20は、内側部材19に対して局所的に圧縮可能であり、その圧縮領域まで遠隔的に拡大することによって全体の体積を実質的に維持するように構成され、それによって、内側部材の最大断面円周よりも大きく、所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押されたときに、皮下空隙内へのポート10の圧搾を容易にする。
【0090】
ポート10は、対象者SUBの皮膚層SKLの下方(必要に応じて脂肪組織内または脂肪組織の下方を含む)の標的埋め込み部位IMSに埋め込み可能である。完全に展開されたとき、血管アクセスポート10は、対象者SUBの血管系VSC、通常は鎖骨下静脈または大静脈などの大きな血管と流体連通する空洞12を有し、その結果、針14を介して空洞12内に投与された流体は、対象者の血管系に直接流れる。カテーテル管腔16を有するカテーテル15は、その第1のカテーテル端部17が血管系VSC内に配置され、血管系VSCに通じ、その第2のカテーテル端部18がポート本体11に接続され、空洞12に通じている。カテーテル端部17および18は、カテーテル管腔16に通じ、空洞12と血管系VSCとの間の流体連通を促進する。
図1Bは、ポート10が、頸静脈に形成されたアクセス開口部に近接して対象者の胸部の上部に配置され、第1のカテーテル端部17が対象者の右心房に近接して大静脈に配置される任意の展開方式を示している。血管アクセスポート10は、それらの間に選択的に接続するように構成されたコネクタを有するカテーテル15に別個に設けられてもよく、必要に応じて体内に設けられてもよく、あるいは血管アクセスポート10およびカテーテル15は、アセンブリキットとして、または一体化された装置として一緒に設けられる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「血管アクセスポート」という用語は、対象者に投与されたおよび/または対象者から取り出された流体の繰り返し移送を意図したインプラントを指す。本明細書に記載の開示は、針による繰り返し穿刺のために構成された隔壁部材を有する血管アクセスポートと組み合わせて使用される場合にも有利であるが、この特定の特徴は、要件ではなく、他の形態の針アクセス開口部またはプラットフォームが適用されてもよい。本明細書に記載のいくつかの血管アクセスポートは、適切に組み立てられて展開されたときに、生きている(例えば、ヒト)対象者への長期間の埋め込みのために、および隔壁部材などを介した反復流体移送アクセスのために集合的に構成された1つまたは複数の構成要素を含む。血管アクセスポートは、流体移送アクセスのための促進構造として、および/または流体移送アクセスに適用可能な構成要素(例えば、隔壁)を保持するように構成された支持構造として機能する、本明細書で「ポート本体」と呼ばれる構造物体を少なくとも含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポート本体は、針アクセス開口部または隔壁の下(例えば、下方)に空洞を形成し、これは、針先端部を繰り返し受け入れるため、選択されたまたは所定の体積の流体(例えば、溶液、懸濁液またはコロイドなどの液体)を蓄積するため、および/または生物学的対象者の血管系への流体投与および/またはそこからの流体回収のためのサイズおよび形状である。いくつかの実施形態では、血管アクセスポートは、単一の要素として、またはいくつかの相互接続可能な部材として提供される、1つまたはいくつかの別個の隔壁部材によって覆われた単一の空洞またはいくつかの別個の空洞を含み得て、いくつかまたは全ては、ポート本体内に、またはそれぞれ別個のポート本体として構成された血管アクセスポートのいくつかの部分または部材内に提供されることができる。埋め込みの前または後に、カテーテルは、患者の血管系に物理的に入る遠位端によって血管アクセスポートに取り付けられてもよい。接続されると、カテーテルの管腔は、ポート本体空洞と直接流体連通して設けられる。
【0093】
本明細書に記載の「血管アクセスポート」、またはそれを備えるキットは、そのようなカテーテルを含んでも含まなくてもよく、そのようなカテーテル用のフィッティングを含んでも含まなくてもよい。血管アクセスポートは、流体の送達または回収に関連しない追加の構成要素および機能を有し得る。血管アクセスポートは、本明細書では単に「ポート」または「インプラント」と呼ばれることがある。「皮下ポート」は、血管アクセスポートを指し、任意に、より一般的には、皮膚組織の下方に埋め込むために特に構成され、針の穿刺または内部への貫通によって、経皮的に、それを覆う皮膚組織を介してアクセス可能な任意の他の医療用埋め込み可能ポートを指す。
【0094】
ポート本体は、対象者の血管系に流体を繰り返し蓄積且つ/または送達且つ/または引き出すという血管アクセスポートの少なくとも基本的な機能を促進するように構造的および/または機能的に構成されてもよく、血管アクセスポートの送達、展開、および/または長期使用に関連する追加の機能を促進するために、任意のまたは重要な1つまたは複数の他の特徴を欠くか、またはそれらなしで最初に構成されてもよい。ポート本体は、血管アクセスポートの追加の特徴または能力、例えば、改善されたまたはより容易な送達可能性、ポート本体を取り囲む身体組織への選択的固定、および/または予め形成された皮下空隙などの選択された埋め込み部位における安定性の向上を提供するために、少なくとも1つの他の構成要素に接続されてもよい。
【0095】
血管アクセスポートを展開することは、ポート本体の上側部分が繰り返しの流体移送アクセスにアクセス可能であるように、少なくともポート本体を対象者の身体の標的埋め込み部位に挿入することを含む。血管アクセスポートの展開は、ポート本体の周囲を囲む組織塊の圧縮を含んでもよく、それにより、ポート本体の周囲と圧縮された組織塊との間の標的埋め込み部位に形成された空隙の体積を増加させる。空隙は、標的埋め込み部位の皮膚組織層の間または下方に位置する皮下空隙とすることができる。空隙体積の増加と同時に、またはその直後に、増加した空隙体積は、ポート本体の体積を増加させることによって、または1つもしくは複数の中実形状の構成要素(例えば、ポート本体延長部)をそれに接続することなどによって、血管アクセスポートによって占有される。これは、組織塊の圧縮がポート本体体積のそのような増加の直接的な結果であり得る状況も含む。圧縮された組織塊は、通常、展開された血管アクセスポート上の連続圧力に影響を及ぼし、それによって皮下空隙内のその固定および/または安定性を増加させる。ポート本体は、空洞を画定する下側部分と、空洞を覆う隔壁部材と結合された上側部分とを含んでもよく、血管アクセスポートは、圧縮された組織塊がポート本体の上側部分ではなく下側部分のみを取り囲むように展開されてもよい。
【0096】
皮下ポートを埋め込むための方法は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る(必ずしも同じ順序ではない):
【0097】
-対象者の皮膚層を横切って外科用開口部を形成することであって、外科用開口部が、最大開口部円周を取り囲んで制限する開口部ネック部分を備える、形成すること、
【0098】
-外科用開口部を介して皮膚層の下方に皮下空隙を形成すること、
【0099】
-外科用開口部を介して皮下ポートを皮下空隙内に押し込むことであって、皮下ポートが、弾性的に弛緩した状態で皮下ポートがその長さに沿って局所的に弾性的に圧縮可能であるとき、最大開口部円周よりも大きい最大断面円周を有する所定の空間形状を有する、押し込むこと。そのような押し込みは、皮下ポートの各セグメントが開口部ネック部分を押圧して、最大開口部円周に等しいかそれよりも小さいセグメント円周に維持または減少するように強制するように構成され、それによって外科用開口部を通る皮下ポートの圧搾を可能にする。
【0100】
皮下ポートの埋め込みは、カテーテルの埋め込みにおいて任意に組み合わされ、それにより、カテーテルの一端がポートに接続され、その空洞との流体連通を維持し、一方、カテーテルの他端は、患者の血管系内、任意に上大静脈内または右心房内に配置される。したがって、本方法は、以下のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい(必ずしも同じ順序ではない):
【0101】
-針によって頸静脈にアクセスすること、
【0102】
-針を通して頸静脈にワイヤを挿入すること、
【0103】
-針を頸静脈から取り外すこと、
【0104】
-拡張器をワイヤ上の頸静脈に挿入すること、
【0105】
-剥離シースをワイヤ上の頸静脈に挿入すること、
【0106】
-頸静脈からワイヤおよび/または拡張器を取り外すこと、
【0107】
-剥離シースを通して頸静脈にカテーテルを挿入すること、
【0108】
-剥離シースを頸静脈から取り外すこと。
【0109】
本方法は、以下のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい(必ずしも同じ順序ではない):
【0110】
-頸静脈を介して上大静脈までカテーテルを前進させること、
【0111】
-撮像下で上大静脈または右心房内のカテーテルの遠位先端の位置を確認すること、
【0112】
-カテーテル遠位先端部の位置を調整すること。
【0113】
図2A~
図2Fは、圧搾可能な皮下ポート10を対象者(患者)の体内に埋め込むための例示的な処置におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
図2Aに示すように、任意に切断または切開INSの形態の外科用開口部が、例えばメスを使用することによって、対象者の皮膚層SKLを通して最初に形成される。次いで、皮下ポケット、トンネルおよび/または空隙SCVが、例えば、ケリークランプ、針ホルダ(例えば、
図6に示す針ホルダ119)または任意の他の適切な器具を使用することによって形成されることができる。切開INSのサイズ(例えば、幅、円周、および/または長さ)は、使用中のポート10のサイズ、医学的必要性および持続時間、患者の状態、および/または患者の身体および解剖学的考慮事項(皮膚状態、体重を含む)、性別の考慮事項などにしたがって決定されることができる。切開INSのサイズは、ポート10の最大幅LWの一部、例えば約95%以下、約75%以下、または約50%以下とみなすことができ、および/または、例えば、ポート10の最大幅LWよりも少なくとも1mm、少なくとも5mm、または少なくとも10mm小さい。
【0114】
次いで、ポート10は、それを弾性的に変形させるのに十分な力によって切開INSを介して皮下空隙SCV内に強制的に押し込まれることができ、それにより、ポート10は、
図2Bから
図2Fに示すように、皮下空隙SCV内で弾性的に応力の低いまたは応力のない形態を弾性的に取り戻すことができるまで、切開INSによって皮膚層SKLに形成された開口部ネック部分NKを介して圧搾されることができる。開口部ネック部分NKを通るポート10のこのような圧搾は、開口部ネック部分NKと直接接触している外側部材20の部分の、ポート10の長さに沿って局所的に徐々に内側部材19に対する横方向の圧縮によって促進される。ポート10のそのような「押し込み」の例示的なシーケンスが
図2Cおよび
図2Dに示されている。外側部材20は、
図2Eに示すように、通常は皮膚層SKLの下方に位置する周囲の軟組織を場合により押圧または圧縮することによって、開口部ネック部分NKまで遠位に皮下空隙SCV内に部分的または完全に提供されると弾性的に拡張することができるように構成されている。ポート10は、標的埋め込み部位IMSに到達するまでさらに遠位に押し込まれることができ、そこで、
図2Fに示すように、周囲組織への追加の固定なしに、任意に固定または放置されることができる。埋め込みシーケンス前、最中、または後、および/またはポート10の圧搾前、最中、および/または後において、ポートは、カテーテル15に接続されることができる。
【0115】
同様の考慮において、圧搾可能な皮下ポートは、より小さい外科用開口部を通してその取り外しに適用可能であることが分かる。対象者の身体から皮下ポートを取り外すための方法は、以下のうちの少なくとも1つを含み得る(必ずしも同じ順序ではない):
【0116】
-対象者の皮膚層を横切って外科用開口部を形成することであって、外科用開口部が、最大開口部円周を取り囲んで制限する開口部ネック部分を備える、形成すること、
【0117】
-外科用開口部と皮下ポートの近位端との間の皮膚層の下方に皮下通路を形成すること、および
【0118】
-皮下ポートを患者から取り外すために皮下通路および外科用開口部を通して皮下ポートを引っ張ることであって、皮下ポートが、弾性的に弛緩した状態で皮下ポートがその長さに沿って局所的に弾性的に圧縮可能であるとき、最大開口部円周よりも大きい最大断面円周を有する所定の空間形状を有する、引っ張ること。そのような引っ張りは、皮下ポートの各セグメントが開口部ネック部分を押圧して、最大開口部円周に等しいかそれよりも小さいセグメント円周に維持または減少するように強制するように構成され、それによって外科用開口部を通る皮下ポートの圧搾を可能にする。
【0119】
図3A~
図3Cは、皮下空隙SCVに既に埋め込まれ提供されている、ポート10(正面切断図に示す)にアクセスして操作するための例示的な手順におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。
図3Aに示すように、通常の状態では、ポート10は、医療施術者がポート10へのより容易な位置およびアクセスを可能にするために、任意の可視または触知可能な突起または膨らみを形成するように、その上面または隔壁部材13の皮膚層SKLに到達または押圧しなくてもよい。規則的な状態におけるこの「隠れモード」についての利点は、周囲組織の感染および創傷、ならびに患者の審美的または感情的な関連嗜好の低減または防止である。あるいは、ポート10は、被覆する皮膚を通して一定の可視的または触知可能な突出または膨出を引き起こすようなサイズおよび構成であってもよい。追加的または代替的に、ポート10は、必要に応じて選択的または自動的に、その配置を容易または簡単にするための専用の膨出部分または機械的、電子的または他の手段を有してもよい。
図3Bに示すように、医療施術者は、外側部材20を弾性変形させて高さを増加させ、したがってポート10を上昇させて局所的な皮膚の突出を十分に生じさせ、皮膚の下方に隔壁部材13を配置するのを容易にするように、重なり合う皮膚を通して直接外側部材を(例えば、指によって)圧縮力を加えることができる。ポート10が選択された高さにあり、および/または隔壁部材13が適切に配置されると、医療施術者は、
図3Cに示すように、皮膚層SKLおよび隔壁部材13を通して針14によって空洞12にアクセスすることができる。
【0120】
別の上昇技術は、ポート10を用いて、または可撓性もしくは屈曲可能(上下方向)に構成されたその変形例10’を用いて適用されてもよい。
図3Dは、
図3Aに示すのと同様に規則的な状態のポート10’を示しており、それによって、医療施術者がポート10’を容易に配置してアクセスすることを可能にするために、任意の可視または触知可能な突起または膨らみを形成するように、その上面または隔壁部材13の皮膚層SKLに到達または押圧することができない。
図3Eは、外側部材20が皮膚層SKLを介して内側部材19の両側から押圧され、それによって外側部材20を弾性的に撓ませるまたは屈曲させて、その横方向周縁部分が内側部材19に向かって下方に(基部の下側に)および横方向にシフトする第2の例示的なシナリオを示している。これは高さが増加し、したがって、ポート10’の上昇を引き起こして、局所的な皮膚の突出を十分に引き起こし、皮膚の下方に隔壁部材13を配置するのを容易にすることができる。ポート10’が選択された高さにあり、および/または隔壁部材13が適切に配置されると、医療施術者は、
図3Cに示すのと同様に、皮膚層SKLおよび隔壁部材13を通して針14によって空洞12にアクセスすることができる。
【0121】
図4A~
図4Bは、それぞれ、組立等角図および分解等角図における例示的な圧搾可能な皮下ポート100を示している。
図5A~
図5Bは、それぞれ、ポート100を側面断面図および正面断面図で示している。ポート100は、任意に、ポート10の例示的な実施形態、表現、または変形であり、ポート10に関して説明した一部または全ての構造的および/または機能的特徴を含み得る。弾性的に弛緩された状態のポート100は、50mm以下、任意に25mm以下の最大幅、30mm以下、任意に15mm以下の最大高さ、50mm以下、任意に30mm以下の最大長さ(カテーテル接続手段ありまたはなし)を有し得る。いくつかの実施形態では、ポート100は、約80mm以下、任意に約60mm以下、任意に約40mm以下の最大開口部円周を有する(それを通過するときにさらに拡大または裂けることなく)外科用開口部を通って圧搾するように構成され、および/または約20mm以下、任意に約15mm以下、または任意に約10mm以下の長さの外科的切開によって形成される。
【0122】
ポート100は、第1の空洞開口部103および第2の空洞開口部105に通じている空洞102を備える剛性内側部材101を含む。第1の空洞開口部103は、隔壁部材104によって閉じられ、空洞102内に繰り返し針が貫通するように構成されている。第2の空洞開口部105は、空洞102とカテーテルの管腔との間の流体連通を容易にするように構成されている。内側部材101は、針の選択された長さを(安全且つ効率的に)収容し、針の先端が貫通するのを防ぐのに十分な剛性を有するように構成されている。隔壁部材104は、図示のように、任意に楕円形であるが、任意の他の形状を有してもよい。
【0123】
キャップ部材106は、隔壁部材104の上および内側部材101の上側部分の上に結合されて、ポート100の一体型剛性カプセル化コア本体を形成する。隔壁部材104は、キャップ部材106および内側部材101によって所定位置に拘束され、任意に少なくとも部分的に圧縮される。内側部材101および/またはキャップ部材106は、PEEKなどの硬質プラスチックから、またはチタンもしくはステンレス鋼合金などの金属から任意に形成される。キャップ部材106は、任意に、接着剤、圧縮嵌合および/または溶接(例えば、部品がプラスチック製である場合は超音波溶接、または部品が金属製である場合はレーザ溶接)などによって、内側部材101に固定的に接続される。カプセル化コア本体は、完全に組み立てられると、十分な剛性および降伏強度を有し、空洞102への注入(場合により300psi以上またはそれ以下で約5ml/秒の注入)中に共通の内圧を維持するように構成されている。管腔延長部107は、内側部材101に結合され、その遠位部分は、第2の空洞開口部105を通って空洞102に向かって延在し、その近位部分を介してカテーテル管腔に流体密封通路を提供するように構成されている。コネクタ部材108は、管腔延長部107上に結合され、ルアーフィッティングベースの接続機構などを用いて、カテーテル遠位端とポート100との選択的接続を容易にするように構成されている。
【0124】
ポート100は、その近位端に設けられた剛性把持部117を含み、ケリークランプまたは外科用針ホルダなどの把持手段によるポート100の効率的且つ安全な把持を容易にするように構成されている。剛性把持部117は、図示のように、キャップ部材106の近位延長部として設けられ、管腔延長部107およびコネクタ部材108の上(上方)に配置されてもよい。
図6は、例示的な外科用針ホルダ119を用いて剛性把持部117において把持されたポート100を示している。剛性把持部117は、その平坦面が水平に延在して示されており、それにより、
図6に示すように、針ホルダ119は、そのアームを垂直に(上下に)配置した医療施術者によって保持されることができる。あるいは、剛性把持部117は、任意に垂直を含む任意の他の方向にその平坦面で配置されることができる。剛性把持部117は、任意に、把持または機械的故障を解放することなく、その最大弛緩寸法よりも小さい外科用開口部を通って押し込む、弾性圧縮によって押し込む、および操作ポート100を操作するのに十分に針ホルダ150による強固な把持を容易にするために、サイズ、その平坦面の表面積、厚さ、および/または耐久性および/または強度で構成されている。針ホルダ150は、ポート100に把持して皮下空隙内に送達する前に、皮下空隙のサイズを形成または増大させるために使用されることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、内側部材101は、血管アクセスポートとして機能するように機能的に構成または適用可能とすることができるが、ポート100の埋め込みおよび/または長期使用を改善、容易または容易にするための1つまたは複数の、任意に必須の特徴を提供することは不可能、不十分、または互換性が低い場合がある。ポート100は、可撓性材料から構成され、埋め込み部位の安定性および/または固定、経皮アクセス可能性、反復経皮流体投与のための隔壁部材104の識別および/または位置決め、ポート本体への保護および/または皮膚層の被覆などを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の追加の特徴を提供するように構成された外側部材110を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、皮下ポート100は、弾性的に弛緩した状態で、内側部材101の最大断面円周よりも大きく、ポート100の所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押されたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている。狭い外科用開口部を通じたそのような「圧搾」特性を容易にするために、弾性の、任意に柔軟でしなやかな外側部材110は、内側部材101、その少なくとも側方(側部)周縁部分、任意に特にその下(下部)部分の周りにかなりの幅、断面、および/または体積を加え、それにより、ポートまたは他のインプラントを外科用または他の開口部を通って生物学的対象者の体内に導入するために一般的に加えられる垂直力で圧縮するのに十分な材料および空間を提供する。いくつかのそのような実施形態では、ポート100は、(例えば
図5Bに示すように)所定の空間形状の最大軸方向断面における幅、面積、および/または体積が、内側部材101単独よりも少なくとも25%、任意に少なくとも50%、任意に少なくとも75%、任意に少なくとも100%大きい。本明細書で使用される場合、「軸方向断面」という用語は、物体(例えば、ポート100、例えば)の長手方向軸と直角に交差する平面(例えば、水平面)に沿って提供される物体(例えば、横方向)の断面を指す。「最大軸方向断面」という用語は、本明細書では、物体の他の全ての軸方向断面よりも全面積において最大(または等しい)である物体の特定の軸方向断面を指す。
【0127】
外側部材110は、内側部材101の横方向周縁部分に向かって横方向に局所的に弾性的に圧縮可能であり、したがって、ポート100は、外側部材110が5Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも10%、および/または外側部材110が20Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも25%、最大幅を減少させるように構成されている。いくつかの実施形態では、ポート100として構成され、最大幅約21.7mm(その最大軸方向断面において)を有する皮下ポートは、約0.45N(ニュートン)の垂直力の下で約1.5mm(約7%)、約3Nの垂直力の下で約4.5mm(約21%)、約8Nの垂直力の下で約7.5mm(約34.5%)、および約33Nの垂直力の下で約10.5mm(約48%)圧縮することが分かった。
【0128】
外側部材110は、内側部材101の少なくとも一方の横方向周縁部分に沿って内側部材に接続され、それにより、弾性的に弛緩した状態にあるときに皮下ポートの選択された所定の空間形状を形成する。任意に、外側部材は、少なくともその周方向セグメントにおいて、内側部材101の大部分または全周、および任意にキャップ部材106の外周も包含するスカートまたはリング状要素として構成されている。挿入および埋め込みのためにポート100の十分な剛性押し込み性を維持するために、剛性内側部材101は、ポート100の大部分または全長に沿って長手方向に延在し、任意にキャップ部材106と組み合わせて、ポート100の剛性のスパイン状構造としても機能する。内側部材101は、外科用開口部を介したポート100の貫通を容易または簡単にするように構成された丸いまたは尖った前縁116を有する、102の空洞に対して遠位に延在する遠位(前部)部分113を含む。ポート100は、遠位部分113が、そこから遠位方向および横方向に延在し得る外側部材20によって覆われないように構成され得るが、(図示のように)十分な剛性の押し込み性が実質的に損なわれないように、外側部材110の薄層によって覆われてもよい。
【0129】
外側部材110は、内側部材101に対して少なくとも一方向に幅および/または厚さが変化し、内側部材101の遠位(前)部分113に沿うよりも、内側部材101の中間部分111に沿うおよび/または近位部分112に沿う幅および/または厚さが大きくてもよい。例えば、中間部分111に沿う外側部材110の幅および/または厚さは、内側部材101の各側で約3mm以上、任意に約5mm以上であってもよく、内側部材101の遠位部分113に沿って約2mm以下、または任意に約1mm以下であってもよい。同様に、外側部材110は、内側部材101の上側部分115に沿うよりも下側部分114に沿う幅および/または厚さが大きくてもよい。例えば、下側部分114に沿う外側部材110の幅および/または厚さは、内側部材101の各側において、上側部分115に沿って約5mm以上、任意に約7mm以上であってもよく、約3mm以下、または任意に約2mm以下であってもよい。
【0130】
外側部材110は、任意に、シリコーンまたは他の可撓性および弾性ポリマーまたはゴムから作製され、皮下ポート100を形成するとき、任意に、選択された成形型の境界内で、内側部材101の周囲またはカプセル化コア本体(すなわち、相互接続された内側部材101、隔壁部材104、およびキャップ部材106によって形成された構造)の周囲にわたって任意に押し出され、鋳造され、または成形される。外側部材110は、約50ショアA以下、任意に約35ショアA以下、任意に約20ショアA以下、または任意に約00~50ショア以下の硬度で構成されている。
【0131】
外側部材110は、自然発生する皮下応力下にあるとき、外科的に形成可能な皮下空隙(上述した皮下空隙SCVなど)内に所定の空間形状を維持するのに十分な圧縮または圧縮強度に対する弾性抵抗を有するように構成されている。いくつかの実施形態では、外側部材110は、約50MPa以下、任意に約35MPa以下、任意に約20MPa以下、または任意に約10MPa以下の圧縮強度を有する。
【0132】
外側部材20と同様に、外側部材110は、内側部材101に対して局所的に圧縮可能であり、その圧縮領域まで遠隔で拡大することによって実質的に一定の全体体積を維持するように構成されている。したがって、外側部材110は、内側部材の最大断面円周よりも大きく、且つ所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押し込まれたときに、皮下空隙内へのポート100の圧搾を容易にするように構成されている。いくつかの実施形態では、外側部材110は、内側部材101に対して、少なくともその下側部分において、内側部材101の両側において、その弾性的に応力を受けていない幅の約50%以下、任意に約25%以下まで局所的に圧縮可能である。最大圧縮は、任意に、所定の空間形状の最大断面円周に隣接する。記載されているように、狭い外科用開口部を通して圧搾するのに十分な圧縮は、ポート100が約10kgf以下、任意に約5kgf以下、任意に約3kgf以下、任意に約2kgf以下、または任意に約1kgf以下の軸方向(押し込み)力で外科用開口部に押し込まれたときに任意に達成される。
【0133】
いくつかの実施形態では、外側部材110は、内側部材101に対して半径方向に局所的に圧縮されたときに長くなるように構成され、それによってポート100の全長を増加させる。外側部材110は、大部分または近位にのみ伸長するように構成され、任意に、内側部材101は、外側部材110が遠位に伸長するのに抵抗し、またはこれを防止するように構成されている。さらにまた、外側部材110は、内側部材101に対して局所的に圧縮されたときに圧縮軸に対して垂直に膨張するように構成され、それによってポート100の全高を増加させる。外側部材110は、大部分または下方のみに拡張するように構成され、任意に、内側部材101は、外側部材110が後方に拡張するのに抵抗し、またはこれを防止するように構成されている。
【0134】
図5Bに示すように、外側部材110は、単一の構成要素として、任意に、内側部材101の周りの実質的に大部分または全ての体積を占める中実部材として形成される。
図7Aは、(空の)弾性シェル状構造121を含む別の例示的な外側部材120(
図7Bおよび
図7Cに別々に示す)を有するポート100を示している。構造121は、内側部材101の周りに外側部材空洞123を囲む薄層122を備える。薄層122は、0.5から2mmの厚さであってもよく、外側部材空洞123は、内側部材101の周りのポート100の体積の少なくとも50%、任意に少なくとも75%、または任意に少なくとも90%を占めてもよい。
図8A~
図8Cは、ここでは可撓性充填材124によって充填された弾性シェル状構造121を含む外側部材120の例示的な変形例120’を示している。シェル状構造121は、第1の材料から形成され、充填材124は、第2の材料から形成され、第1の材料は、剛性、弾性および圧縮強度のうちの少なくとも1つが第2の材料とは異なる。第1の材料の硬度は、任意に約30ショアAから約50ショアAであり、第2の材料の硬度は、任意に約00~20ショアから約20ショアAである。
【0135】
図9Aは、複数の貫通孔126を含む、
図9Bおよび
図9Cに別個に示されている別の例示的な外側部材125を有するポート100を示している。貫通孔126は、任意に、外側部材125の全体積の少なくとも20%、任意に少なくとも50%を占める。
図10Aは、
図10Bおよび
図10Cに別々に示されている、異なるタイプの外側部材130のポート100を示している。外側部材130は、内側部材101の各辺から垂直に延在する複数の薄いリブ状部材131を含む。リブ状部材131は、ポート100が外科用開口部を通って押し込まれたときに、互いに接触することなくリブ状部材の部分的な屈曲の第1の段階を可能にするのに十分に互いに離間している。これは、異なるタイプの圧搾機構を可能にし、これにより、1つまたは少数のリブ状部材131の明確な撓みまたは屈曲が、外側部材本体の局所的な半径方向の圧縮に置き換わる。
図11Aは、
図11Bに別個に示されている異なる外側部材135を有するポート100を示しており、例えば外側部材110の実質的に(単一の)楕円形状のベースフットプリントとは異なり、それらの間に狭窄ネック部分138を形成する連続的に接合された楕円形セグメント137から形成されたベースフットプリント136の形状を有する。これは、外側部材全体の単一の圧搾努力ではなく、各楕円形セグメント137ごとの一連の圧搾エピソードを使用して、より小さい外科用開口部を介してポート100を通過させることを可能にすることができる。
【0136】
図12A~
図12Dは、例示的な皮下ポート150を、切開INSのような外科用開口部を通して押す(例えば、圧搾する)ことによって皮下空隙SCV内に埋め込むための例示的な処置におけるステップを表す例示的なシナリオを概略的に示している。ポート150は、ポート10のいくつかまたは全ての構造的および/または機能的特徴において類似または同一であってもよく、その少なくとも1つの横方向周縁部分に沿って剛性内側部材19に接続され、弾性的に弛緩した状態にあるときにポート10のための選択された所定の空間形状を形成する可撓性外側部材20を含む。外科用開口部INSは、内側部材19の最大断面円周よりも大きく、ポート150の所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい。ポート10とは異なり、ポート150はまた、内側部材19から突出し、外側部材20を形成する可撓性材料に埋め込まれ、内側部材19の少なくとも1つの横方向周縁部分を取り囲む弾性延長部151を含む。いくつかの実施形態では、弾性延長部151は、外側部材20を構成する可撓性であり、任意に柔軟でしなやかな材料の機械的特性に対して、横方向の圧縮に対する抵抗を増加させるように、および/または外側部材20の弾性延長部151に向かう局所的な横方向の圧縮を起点とする内側部材19の周囲の荷重の分配を促進または増加させるように構成されている。
【0137】
図12Aは、例えば、外部応力が加えられていない弾性的に弛緩した状態のポート150、または外側部材20の一部を圧縮することができる、および/または弾性延長部151を内側部材19に向かって横方向に押圧することができるポートを示している。
図12Bおよび
図12Cは、それぞれ、外科用開口部INSを通って圧搾するポート150の初期段階および進行段階を示している。図示されているように、外科用開口部INSを取り囲む隣接する皮膚部分と接触して押圧される外側部材20の部分は、局所的に押圧され、弾性延長部151を内側部材19に対して横方向内側および近位側にシフトさせる。その弾性延長部151は、外側部材20に埋め込まれているため、それらの動きおよび新たな位置は、外側部材20の部分、特に外科用開口部INSの近位に位置する部分の変形に直接影響を及ぼす。
【0138】
いくつかの実施形態では、図示するように、弾性延長部151が内側部材19に向かってシフトすることによって引き起こされる外側部材20のそのような変形は、大部分または全長の外側部材20に沿って、少なくとも外科用開口部INSの近位方向に、および/または外側部材20の少なくとも近位方向(例えば、遠位から近位を指す方向に)に伸長(例えば、長さの増加)するのに圧縮(例えば、幅の減少)をもたらす。いくつかの実施形態では、ポート150が外科用開口部INSを通して圧搾されている間、外側部材20の全体積は、実質的に維持されるか、または約15%以下、または任意に約10%以下、または任意に約5%以下減少する。
図12Dは、皮下空隙SCVに完全に埋め込まれた後のポート150を示している。いくつかの実施形態では、図示するように、皮下インプラント150は、その所定の空間形状に実質的に戻り、これは任意に、皮下空隙SCVが十分に大きいこと、および/または皮下空隙SCVを取り囲んでいるかまたは形成している身体組織によって外側部材20に加えられる収縮力が小さすぎて弾性延長部151を実質的に移動させ、および/または外側部材20を圧縮することができないためである。
【0139】
図13は、カテーテル170に接続された例示的な皮下ポート200を含む例示的な血管アクセスポートシステム160を示している。
図14A~
図14Iは、皮下ポート200のいくつかの図を示している。ポート200は、任意に、ポート150の例示的な構成、表現、または変形であり、ポート150に関して説明した一部または全ての構造的および/または機能的特徴を含み得る。皮下ポート200は、剛性内側部材201と、可撓性で任意に柔軟でしなやかな材料で構成される外側部材210とを含む。
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、外側部材210を中実および透明に表したポート200の平面図を示している。
図14Cは、ポート200の最大軸方向断面を示している。
図14Dおよび
図14Eは、それぞれ、外側部材210の有無にかかわらず、ポート200の正面上部視野角等角投影を示している。
図14Fおよび
図14Gは、それぞれ、(透明な)外側部材210の有無にかかわらず、ポート200の後方底部視野角等角投影を示している。
図14Hおよび
図14Iは、キャップ部材の有無にかかわらず、外側部材210に存在しないポート200の等角図を示している。
【0140】
皮下ポート200は、その部材が弾性的に弛緩した状態にあるとき、所定の(例えば、予め形成される)空間形状を有する。弾性的に弛緩した状態にあるとき、ポート200は、50mm以下、任意に25mm以下の最大幅、30mm以下、任意に15mm以下の最大高さ、50mm以下、任意に30mm以下の最大長さ(カテーテル接続手段ありまたはなし)を有し得る。いくつかの実施形態では、ポート200は、約80mm以下、任意に約60mm以下、任意に約40mm以下の最大開口部円周を有する(それを通過するときにさらに拡大または裂けることなく)外科用開口部を通って圧搾するように構成され、および/または約20mm以下、任意に約15mm以下、または任意に約10mm以下の長さの外科的切開によって形成される。
【0141】
内側部材201は、空洞202内に繰り返し針が貫通するように構成された隔壁部材204によって閉じられた第1の空洞開口部203に開口された空洞202を含む(囲む)。キャップ部材206は、隔壁部材204上で内側部材201の上側部分に結合されて、空洞202内に発生可能な動力注入圧力に耐えるように構成されたポート200の一体の剛性カプセル化コア本体を形成する。空洞202はまた、空洞202とカテーテル170の管腔との間の流体連通を容易にするように構成された第2の空洞開口部205に通じている。内側部材201は、狭い外科用開口部を介したポート200の貫通を容易または簡単にするように構成された丸いまたは尖った前縁を有する、空洞202に対して遠位に延在する遠位部分209を含む。内側部材201は、その近位端207に、ケリークランプまたは外科用針ホルダなどの把持手段による把持を容易にするように構成された剛性把持部208を含む。
【0142】
外側部材210は、弾性的に弛緩した状態にあるとき、その横方向周縁部分211に沿って内側部材201に接続され、ポート200の所定の空間形状(図示のように)を形成する。皮下ポート200は、内側部材201の最大断面円周よりも大きく、所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい(例えば、少なくとも10%、または少なくとも25%)ことを示す狭い外科用開口部を通って押されたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている。
【0143】
皮下ポート200はまた、内側部分201の(大部分または全ての)横方向周縁211を取り囲む薄いリブ状またはリング状要素の形態の弾性延長部212を含み、内側部材遠位部分209に固定され、内側部材201の横方向周縁部分211を取り囲むようにそこから近位方向および横方向外側に突出する。延長部212は、外側部材210を形成する可撓性材料に埋め込まれ、可撓性材料よりも実質的に剛性であり、撓みまたは屈曲に対する抵抗が大きく、可撓性材料によって充填された横方向周縁部分211との間に間隙214を形成する。したがって、延長部212は、外側部材210の局所的に圧縮された部分から生じる圧縮荷重を外側部材210の他の部分に分配するように構成されている。弾性延長部212は、内側部材201に対して軸方向(例えば、近位)および/または横方向(例えば、外側に)に屈曲することを可能にし、その近位部分は、内側部材遠位部分209から離れている。ポート200がそのような狭い外科用開口部を通って圧搾されると、外側部材210は、内側部材201の横方向周縁部分211に向かって横方向に弾性的に圧縮し、したがって、外側部材210の大部分または全てを横方向に圧縮および/または近位方向に延伸するように構成されている。外側部材210は、皮下ポート200が約5kgf以下の軸力などの通常の手動の力で押されたときに狭い外科用開口部を通って圧搾するのに十分に内側部材201に対して局所的に圧縮可能である。
【0144】
いくつかの実施形態では、皮下ポート200は、弾性的に弛緩した状態で、内側部材201の最大断面円周よりも大きく、ポート200の所定の空間形状の最大断面円周よりも小さい外科用開口部を通って押されたときに皮下空隙内に圧搾されるように構成されている。狭い外科用開口部を通じたそのような「圧搾」特性を容易にするために、弾性の、任意に柔軟でしなやかな外側部材210は、内側部材201、その少なくとも側方(側部)周縁部分、任意に特にその下(下部)部分の周りにかなりの幅、断面および/または体積を加え、それにより、ポートまたは他のインプラントを外科用または他の開口部を通って生物学的対象者の体内に導入するために一般的に加えられる垂直力で圧縮するのに十分な材料および空間を提供する。いくつかのそのような実施形態では、ポート200は、(例えば
図14Cに示すように)所定の空間形状の最大軸方向断面における幅、面積および/または体積が、内側部材201単独よりも少なくとも25%、任意に少なくとも50%、任意に少なくとも75%、任意に少なくとも100%大きい。外側部材210は、内側部材201の横方向周縁部分に向かって横方向に局所的に弾性的に圧縮可能であり、したがって、ポート200は、外側部材110が5Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも10%、および/または外側部材110が20Nを超える力で圧縮された場合に少なくとも25%、最大幅を減少させるように構成されている。いくつかの実施形態では、ポート200として構成され、最大幅約21.7mm(その最大軸方向断面において)を有する皮下ポートは、約1.7N(ニュートン)の垂直力の下で約1.5mm(約7%)、約11Nの垂直力の下で約4.5mm(約21%)、約30Nの垂直力の下で約7.5mm(約34.5%)、および約50Nの垂直力の下で約9mm(約41%)圧縮することが分かった。
【0145】
外側部材210は、可撓性材料を含む1つまたは複数の材料を含むかまたはそれによって充填されるか、または硬度などの1つまたは複数の機械的特性が異なる部分を有する。それにもかかわらず、外側部材210は、上述したように圧搾性を可能にするのに十分な全体的な可撓性および/または柔軟性を保持する。外側部材210を形成する可撓性材料は、約50ショアA以下、任意に約35ショアA以下、任意に約20ショアA以下、または任意に約00~50ショア以下の硬度で構成された軟質エラストマーおよび/またはシリコーンゴムを含み、それらから形成される。いくつかの実施形態では、可撓性材料は、内側部材201の周りの所定の空間形状に形成された大部分または全ての空間を充填するが、外側部材210には1つまたは複数の空隙または孔が分布していてもよい。そのような空隙は、異なる材料によって、または異なる1つまたは複数の機械的特性によって構成された同じ材料によって充填されてもよい。いくつかの実施形態では、外側部材210は、所定の空間形状にしたがって成形された制限された空間境界内で、内側部材201および延長部212の上に可撓性材料を押し出し、鋳造または成形することによって、単一の構成要素として形成されてもよい。
【0146】
本明細書で使用される場合、単数文法形式で書かれた以下の用語:「a」、「an」および「the」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書における「1つまたは複数」という語句の使用は、「a」、「an」または「the」のこの意図された意味を変更しない。したがって、本明細書で使用される「a」、「an」および「the」という用語はまた、本明細書で特に明確に定義または記載されない限り、または文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の記載された実体または対象物を指し、包含し得る。例えば、本明細書で使用される「ユニット」、「装置」、「アセンブリ」、「機構」、「構成要素」、「要素」、および「ステップまたは手順」という語句は、複数のユニット、複数の装置、複数のアセンブリ、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順をそれぞれ指し、包含し得る。
【0147】
以下の用語:「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「備える(comprises)」、および「備える(comprising)」、ならびにそれらの言語的/文法的変形、派生語、または活用語は、本明細書で使用される場合、「限定されないが、含む」を意味し、記載された構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと解釈されるべきであり、1つまたは複数の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはそれらの群の追加を排除するものではない。これらの用語のそれぞれは、「から本質的になる」という句と同義であると考えられる。
【0148】
本明細書で使用される「方法」という用語は、限定されないが、開示された発明の関連分野の専門家によって既知の、または既知のステップ、手順、方法、手段、または/および技術から容易に開発されるステップ、手順、方法、手段、または/および技術を含む、所与のタスクを達成するためのステップ、手順、方法、手段、または/および技術を指す。
【0149】
本開示全体を通して、パラメータ、特徴、特性、対象、または寸法の数値は、数値範囲形式に関して言及または記載され得る。本明細書で使用されるそのような数値範囲形式は、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実施を示し、本発明の例示的な実施形態の範囲を非柔軟に限定するものではない。したがって、言及されたまたは記載された数値範囲はまた、その言及されたまたは記載された数値範囲内の全ての可能な部分範囲および個々の数値(ここで、数値は、全体として、整数、または分数として表され得る)を指し、包含する。例えば、言及または記載された数値範囲「1から6」はまた、「1から3」、「1から4」、「1から5」、「2から4」、「2から6」、「3から6」などの全ての可能な部分範囲、および「1から6」の言及または記載された数値範囲内の「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、および「6」などの個々の数値を指し、包含する。これは、言及または記載された数値範囲の数値幅、範囲、またはサイズに関係なく適用される。
【0150】
さらに、数値範囲を言及または記載するために、「約第1の数値と約第2の数値との間の範囲内」という語句は、「約第1の数値から約第2の数値の範囲内」という語句と同等であり、同じ意味であると見なされ、したがって、2つの同等の意味の語句は、互換的に使用され得る。例えば、室温の数値範囲を言及または説明するために、「室温は、約20℃と約25℃との間の範囲内の温度を指す」という語句は、「室温は、約20℃から約25℃の範囲の温度を指す」という語句と同等であると考えられ、同じ意味であると考えられる。
【0151】
本明細書で使用される「約」という用語は、言及された数値の±10%を指す。
【0152】
明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示される本発明の特定の態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈または形式で任意の適切な組み合わせまたは部分的組み合わせで例示的に記載および提示されてもよいことを十分に理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈または形式で組み合わせまたは部分的組み合わせで例示的に記載および提示される本発明の様々な態様、特性、および特徴はまた、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示されてもよい。
【0153】
本発明は具体的な例示的な実施形態およびその例によって例示的に記載および提示されてきたが、その多くの代替形態、変更形態または/および変形形態が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、そのような代替形態、変更形態、または/および変形形態は、全て、添付の特許請求の範囲の広い範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0154】
本開示において引用または参照される全ての刊行物、特許、および/または特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、または/および特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別に示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術を表すかまたはそれに対応することの承認として解釈または理解されるべきではない。セクションの見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
【国際調査報告】