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特表2023-552814スクロースエステル及び溶媒を含む化粧品組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】スクロースエステル及び溶媒を含む化粧品組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20231212BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534891
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021062319
(87)【国際公開番号】W WO2022132518
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/124,870
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】多田 晶子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC152
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC542
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD492
4C083AD632
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083FF04
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと、(b)約23~約31.5(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される1つ以上の溶媒と、の混合物を調製する工程を含む、化粧品組成物の製造方法に関する。本発明の化粧品組成物の製造方法によって、ショ糖エステルが組成物中に高濃度で含有される場合であっても、及び/又はショ糖エステルが化粧料組成物の水相中に含有される場合であっても、ショ糖エステルを化粧料組成物中に溶解させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物を製造する方法であって、
(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、前記脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約12~約18個の炭素原子を有するものから選択され、前記スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと、
(b)約23~約31.5、好ましくは約23~約29(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5、好ましくは約5~約9、より好ましくは約5.5~約8(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される、1つ以上の溶媒と、
の混合物を調製する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記混合物が、約70%~約100%、好ましくは約80%~約100%、より好ましくは約90%~約100%の前記スクロースエステルと前記溶媒との合計量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有する飽和アルキル基を有するものから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スクロースエステルと前記溶媒との重量比が、約1:1000~約1000:1、好ましくは約1:100~約100:1、より好ましくは約10:1~約1:10、更により好ましくは約5:1~1:5、更により好ましくは約2.5:1~1:2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物と水性担体とを混合する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水性担体と前記混合物との重量比が、約1000:1~約1:1000、好ましくは約1:100~約100:1、より好ましくは約1:10~約10:1、更により好ましくは約5:1~約1:5、更により好ましくは約2:1~約1:5である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物と水性担体とを混合する前記工程が、第1の希釈工程及び第2の希釈工程を含み、前記第1の希釈工程において、前記水性担体と前記混合物との重量比が、約1:10~約10:1、好ましくは約5:1~約1:5、より好ましくは約2:1~約1:5である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スクロースエステルが、約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%の前記ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される高級エステルを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化粧品組成物が、約0.01%~約50%、好ましくは約0.1%~約35%、より好ましくは約0.5%~約25%、更により好ましくは約1%~約20%の前記スクロースエステルを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと、(b)約23~約31.5(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される、1つ以上の溶媒と、の混合物を調製する工程を含む、化粧品組成物の製造方法に関する。本発明の化粧品組成物の製造方法によって、ショ糖エステルが組成物中に高濃度で含有される場合であっても、及び/又はショ糖エステルが化粧品組成物の水相中に含有される場合であっても、ショ糖エステルを化粧品組成物中に溶解させることができる。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の角質組織、特にヒトの皮膚は、外因性因子及び内因性因子の両方による様々な障害に曝される。このような外因性因子としては、紫外線、環境汚染、風、熱、赤外線、低湿度、刺激の強い界面活性剤、研磨剤などが挙げられる。一方、内因性因子としては、経時的老化及び皮膚内からの他の生化学的変化が挙げられる。外因性であるか内因性であるかによらず、これらの因子は、皮膚損傷の目に見える徴候をもたらす。老化した又は損傷した皮膚における典型的な皮膚損傷としては、小じわ、しわ、色素沈着過剰、黄ばみ、たるみ、目の下のくま、腫れぼったい目、毛穴の拡大、ターンオーバー速度の低下、及び異常な落屑又は剥離が挙げられる。外的因子及び内的因子の双方の結果として生じる更なる損傷としては、目に見える死んだ皮膚、すなわち、剥離、落屑、乾燥、及び荒れが挙げられる。
【0003】
現在、皮膚、毛髪、及び爪などの角質組織の健康及び物理的外観の改善を目的とした多くのパーソナルケア製品が消費者に利用可能である。これらの製品の大部分は、皮膚の老化又はヒトの皮膚に対する環境的損傷に伴う皮膚のしわ、しみ、及び他の組織学的変化を遅延させるか、最小化するか、又は更には排除することを対象とする。消費者は、局所的に塗布する製品を好むが、その理由は、こうした製品が効果的であるだけでなく、安全かつ使い心地がよいことによる。
【0004】
こうした製品では、上記のような利点をもたらすために様々な成分が使用されている。そのような成分の1つ、すなわちスクロースエステルは、特にスクロースエステルが製品組成物中により高いレベルで含有される場合、及び/又は特にスクロースエステルが製品組成物の水相中に含有される場合、製品組成物中に溶解させることが困難であり得ることが本発明者らによって見出された。スクロースエステルの利点を提供する一方で、組成物からの新鮮で/軽い感触を提供する観点から、スクロースエステルは、製品組成物の油相ではなく水相に溶解することが好ましくあり得ることも見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に基づいて、特にスクロースエステルが組成物中により高いレベルで含有される場合、及び/又は特にスクロースエステルが化粧品組成物の水相中に含有される場合に、化粧品組成物中にスクロースエステルを溶解させる化粧品組成物の製造方法が求められている。更に、化粧品組成物を製造する方法であって、製造された化粧品組成物が、スクロースエステルの利点を提供する一方で、組成物からの新鮮な/軽い感触を提供する方法も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、化粧品組成物を製造する方法であって、
(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと
(b)約23~約31.5(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される1種以上の溶媒と、の混合物を調製する工程を含む、方法に関する。
【0007】
驚くべきことに、本発明の化粧品組成物を製造する方法によれば、スクロースエステルが組成物中により高いレベルで含有される場合であっても、及び/又はスクロースエステルが化粧品組成物の水相中に含有される場合であっても、スクロースエステルを化粧品組成物中に溶解することがここに見出された。
【0008】
理論に限定されるものではないが、この方法により、組成物が水性担体を含有する場合、スクロースエステルの大部分は、組成物の水相に含有されるものと考えられる。理論に限定されるものではないが、このような組成物は、スクロースエステルの利点を提供する一方で、組成物からの軽い、べたつかない、及び/又は新鮮な感触である感覚的感触を提供するものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中での「実施形態」などへの言及は、その実施形態と関連付けて説明される、特定の材料、特徴、構造、及び/又は特性が、少なくとも1つの実施形態、任意選択的に多数の実施形態に含まれていることを意味するが、全ての実施形態が、説明された材料、特徴、構造、及び/又は特性を組み込むことを意味するものではない。更に、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、異なる実施形態にわたって、任意の好適な方法で組み合わされ得、材料、特徴、構造、及び/又は特性は、説明されるものから省略又は代用され得る。したがって、本明細書に記載されている実施形態及び態様は、別途記載のない限り又は不適合性が明示されてされない限り、組み合わせて明示的に例示されていなくても、他の実施態様及び/又は態様の要素又は構成成分を含み得るか又はこれらと組み合わされ得る。
【0010】
全ての実施形態において、別途具体的に記載のない限り、成分の百分率は全て化粧品組成物の重量を基準としている。別途具体的に記載のない限り、全ての比率は、重量比である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。別途具体的に示されない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。別途示されない限り、全ての測定は、およそ25℃の周囲条件でなされると理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%の条件を意味する。全ての数値範囲は包括的であり、明示的に開示されていない狭い範囲を形成するために組み合わせることが可能である。例えば、区切られた上下の範囲制限は、更なる範囲を作る上で互換性がある。
【0011】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意選択的な成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用する場合、「~から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的かつ新規な特性を実質的に変えない追加の成分のみを含み得ることを意味する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途文脈が明らかに示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0012】
定義
「約」とは、言及された値のプラスマイナス20パーセント(±20%)又はそれよりも低い値(例えば、15%、10%未満、若しくは更には5%未満)に等しい範囲を指すことで、特定の値を修飾する。
【0013】
組成物に関連して使用される「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を表皮などのヒトの皮膚表面上に塗布又は拡げることを意味する。
【0014】
本明細書において、「誘導体」とは、所定の化合物のアミド、エーテル、エステル、アミノ、カルボキシル、アセチル、及び/又はアルコールの誘導体を意味する。
【0015】
「有効量」は、処理期間の過程にわたってケラチン性組織に対して正の効果を有意に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。正の効果は、本明細書に開示される効果を独立して又は組み合わせて含む、健康、外観、及び/又は感触の効果であり得る。
【0016】
「化粧剤」とは、美容効果を提供するために哺乳動物の身体又はその任意の部分に擦り込まれる、注がれる、振りかけられる、噴霧される、導入される、又は他の方法で塗布することを目的とした任意の物質及びその任意の成分を意味する。化粧剤としては、米国食品医薬品局によって全般的に安全と認められた(Generally Recognized as Safe、GRAS)物質、食品添加物、及び市販薬などの非化粧用消費者製品に使用される材料が挙げられ得る。
【0017】
「化粧品組成物」とは、化粧剤を含む組成物を意味する。化粧品組成物の例としては、カラー化粧品(例えば、ファンデーション、リップスティック、コンシーラー、及びマスカラ)、スキンケア組成物(例えば、保湿剤及び日焼け止め剤)、パーソナルケア組成物(例えば、洗い流す及び洗い流さないボディソープ及び石鹸)、ヘアケア組成物(例えば、シャンプー及びコンディショナー)が挙げられる。
【0018】
「スキンケア」とは、皮膚の状態(例えば、皮膚の健康、外観、又は質感/感触)を調節及び/又は改善することを意味する。皮膚のコンディションを改善するいくつかの非限定的な例としては、滑らかでより均一な外観及び/又は感触を提供することにより、皮膚の見た目及び/又は感触を改善することと、皮膚の1つ以上の層の厚さを増加させることと、皮膚の弾性又は弾力性を改善することと、皮膚のハリを改善することと、皮膚の脂っぽい、てかてかした、及び/若しくはくすんだ外観を低減し、皮膚の水分量の状態若しくは保湿を改善し、小じわ及び/若しくはしわの外観を改善し、皮膚角質除去若しくは落屑を改善し、皮膚を膨化させ、皮膚バリア特性を改善し、皮膚の色合いを改善し、発赤若しくは皮膚のシミの外観を低減させ、並びに/又は皮膚の明るさ、つや、若しくは透明感を改善することと、が挙げられる。
【0019】
「スキンケア活性物質」は、皮膚に塗布すると、皮膚又は皮膚の中に通常見られる細胞の一種に急性効果及び/又は慢性効果を提供する、化合物又は化合物の組み合わせを意味する。スキンケア活性物質は、肌又はそれに関連する細胞を調節及び/又は改善(例えば、肌の弾性、肌水分量、肌のバリア機能、及び/又は細胞代謝を改善)し得る。
【0020】
「スキンケア組成物」は、スキンケア活性物質を含み、皮膚の状態を調節及び/又は改善する組成物を意味する。
【0021】
「相乗作用」及びその変化形は、2つ以上の物質の組み合わせによって提供される効果が、これらの物質で予想される相加効果よりも大きいことを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「処置期間」は、材料又は組成物が標的皮膚表面に塗布される時間の長さ及び/又は頻度を意味する。
【0023】
製造方法
化粧品組成物の製造方法は、以下の工程:
(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びテトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと、
(b)約23~約31.5(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される1種以上の溶媒と、の混合物を調製する工程を含む。
【0024】
混合物は、スクロースエステルを可溶化する観点から、好ましくは混合物の約70重量%~約100重量%、より好ましくは約80重量%~約100重量%、更により好ましくは約90重量%~約100重量%のスクロースエステルと溶媒との合計量を含む。
【0025】
混合物において、ショ糖エステルと溶媒との重量比は、ショ糖エステルを可溶化する観点から、好ましくは約1:1000~約1000:1、より好ましくは約1:100~約100:1、更により好ましくは約10:1~約1:10、更により好ましくは約5:1~1:5、更により好ましくは約2.5:1~1:2.5である。別の実施形態において、スクロースエステルと溶媒との重量比は、スクロースエステルを可溶化する観点から、約2.5:1~約1:10、好ましくは約2.5:1~約1:5である。
【0026】
方法は、好ましくは、混合物と水性担体とを混合する工程を更に含む。水性担体と混合物との重量比は、好ましくは約1000:1~約1:1000、より好ましくは約1:100~約100:1、更により好ましくは約1:10~約10:1、更により好ましくは約5:1~約1:5、更により好ましくは約2:1~約1:5である。混合物への水性担体の添加は、改善されたスクロースエステル溶解度を提供し得る。水性担体が多すぎると、スクロースエステルの透明性/半透明性の低下及び/又は溶解度の低下を引き起こす場合があり、水性担体が少なすぎると、スクロースエステルのそのような溶解度の改善が見られなくなる可能性がある。
【0027】
混合物と水性担体とを混合する上記工程は、2つのサブ工程、すなわち、第1の希釈及び第2の希釈を含み得る。第1の希釈は、水性担体による混合物の希釈である。第2の希釈は、化粧品組成物の最終製品配合物を作製するための、第1の希釈から得られた希釈混合物の希釈である。第2の希釈において、希釈剤は、水性担体を含むがこれに限定されない、化粧品組成物中に含まれるいずれの希釈剤であり得る。第1の希釈において、水性担体と混合物との重量比は、好ましくは約1:10~約10:1、より好ましくは約5:1~約1:5、更により好ましくは約2:1~約1:5である。最終化粧品組成物を作製するための第2の希釈において、希釈剤及び他の任意の成分が、化粧品組成物の100%までの適量で添加される。第2の希釈では、他の成分(含まれる場合)、例えば増粘剤、保湿剤、界面活性剤、顔料、粉末、油が、同時に及び続いて添加される。
【0028】
スクロースエステル
本明細書で有用なスクロースエステルは、スクロースと脂肪酸とのエステルであり、脂肪酸は、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約12~約18個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、脂肪酸は、上記の数の炭素原子を有する飽和アルキル基を有するものから選択される。
【0029】
好ましくは、スクロースエステルは、約0.01重量%~約50重量%、好ましくは約0.1重量%~約35重量%、より好ましくは約0.5重量%~約25重量%、更により好ましくは約1重量%~約20重量%のレベルで組成物中に含まれる。
【0030】
好ましくは、本明細書で有用なスクロースエステルは、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される高級エステルを約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%含有する。
【0031】
いくつかの場合には、スクロースエステルは、2つ以上のスクロースエステルのブレンドであり得、2つ以上のスクロースエステルは、いずれか1つのスクロースエステルと別のスクロースエステルとの比が1:10~1:1(例えば、1:7、1:5、1:3、又は1:2)で存在する。いくつかの場合には、スクロースエステルは、ラウリン酸スクロースとジラウリン酸スクロースとのブレンドであり得、ラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの50重量%~80重量%で存在し、ジラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの20重量%~45重量%で存在する。代替的に、スクロースエステルは、ラウリン酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、及びトリラウリン酸スクロースのブレンドであり得、ジラウリン酸スクロースは、スクロースエステルの35重量%以上で存在する。本明細書における使用に特に好適なスクロースエステルの例としては、BASFから入手可能なSucrose Dilaurate BC10034がある。
【0032】
溶媒
本明細書で有用な溶媒は、ショ糖エステルを可溶化する観点から、約23~約31.5、好ましくは約23~約29(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5、好ましくは約5~約9、より好ましくは約5.5~約8(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される。
【0033】
各溶媒が上記パラメータを満たす限り、上記溶媒の1つ又は上記溶媒のいくつかの混合物を使用することができる。このような溶媒としては、例えば、下記表の以下の材料が挙げられる。
【0034】
【表1】
【0035】
これらの中で、スクロースエステルの改善された溶解性と皮膚刺激の最小限の可能性とのバランスを考慮すると、ペンチレングリコールが非常に好ましい。
【0036】
溶媒は、約0.01%~約90%、好ましくは約0.1%~約50%、より好ましくは約0.5%~約30%の濃度で、化粧品組成物中に含めることができる。
【0037】
以下に、あくまで参照目的として、本明細書で定義される溶媒ではないが、化粧品組成物にしばしば使用される成分のヒルデブラント溶解度パラメータ及びハンセン溶解度パラメータの極性成分を示す。
【0038】
【表2】
【0039】
水性担体
本明細書で有用な水性担体は、上記で定義された溶媒を除くものである。好ましくは、水性担体は、実質的に水である。好ましくは、脱イオン水が使用される。製品の所望の特性に応じて、ミネラルカチオンを含む天然源からの水も使用することができる。
【0040】
一実施形態において、水性担体は、組成物の約50%~約99%、好ましくは約60%~約98%、より好ましくは約70%~約98%、更により好ましくは約80%~約95%のレベルで存在することができる。
【0041】
化粧品組成物
本明細書の化粧品組成物は、ヒトの皮膚への局所塗布を意図しており、スクロースエステル及び溶媒を含有し、好ましくは更に水性担体を含有する。本スキンケア組成物は、任意選択的に、1つ以上の更なる皮膚活性成分、又は局所用スキンケア組成物に一般的に含まれる種類の他の成分を含み得る。
【0042】
本明細書の化粧品組成物は、化粧品組成物、医薬組成物、又は薬用化粧品組成物であり得、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、スプレー、エアロゾル、軟膏、クレンジングリキッド洗浄液及び固形バー、ペースト、フォーム、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、ストリップ、パッチ、電動式パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャル及びスキンマスク(不溶性シートを有するもの、及び有さないもの);ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウなどのメークアップなどを含むがこれらに限定されない様々な製品形態で提供され得る。いくつかの場合には、組成物の形態は、選択された皮膚科学的に許容可能な特定の担体に従い得る。例えば、組成物(及び担体)は、エマルジョン(例えば、油中水型、水中油型、若しくは水中油中水型)又は水性分散液の形態で提供され得る。好ましくは、本発明の化粧品組成物は、水中油型エマルジョンの形態である。
【0043】
皮膚科学的に許容可能な担体
本明細書に開示される組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体(「担体」と称され得る)を含み得る。「皮膚科学的に許容可能な担体」という句は、担体がケラチン性組織への局所塗布に好適であり、良好な審美特性を有し、組成物中の活性物質と相溶性を有し、安全性又は毒性について不当な懸念をいっさい生じさせないことを意味する。一実施形態において、担体は、約50重量%~約99重量%、約60重量%~約98重量%、約70重量%~約98重量%、又は代替的に約80重量%~約95重量%のレベルで存在する。
【0044】
担体は、多種多様な形態であり得る。いくつかの場合には、構成成分(例えば、抽出物、日焼け止め活性物質、追加の成分)の溶解性又は分散性によって担体の形態及び特徴が決定され得る。非限定的な例としては、単純な溶液(例えば、水性又は無水)、分散液、エマルジョン、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、又は非晶質材料)が挙げられる。いくつかの場合には、皮膚科学的に許容可能な担体は、エマルジョンの形態である。エマルジョンは、連続水相(例えば、水中油型若しくは水中油中水型エマルジョン)又は連続油相(例えば、油中水型若しくは油中水中油型エマルジョン)を有し得る。本発明の油相には、シリコーンオイル、炭化水素油、エステル、エーテルなどの非シリコーン油、及びこれらの混合物が含まれ得る。水相は、典型的には、水及び水溶性成分(例えば、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他のスキンケア活性物質)を含む。しかしながら、いくつかの場合には、水相は、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の構成成分を含み得る。いくつかの場合には、組成物の非水構成成分は、グリセリン及び/又は他のポリオールなどの湿潤剤を含む。
【0045】
いくつかの場合には、本明細書における組成物は、軽くてべたつかない感覚的感触を提供する水中油型(oil-in-water、「O/W」)エマルジョンの形態である。本明細書における好適なO/Wエマルジョンは、組成物の50重量%超の連続水相を含み得、残部は分散油相であり得る。水相は、任意の水溶性及び/又は水混和性成分とともに水相の重量に基づいて、1%~99%の水を含み得る。これらの場合では、分散油相は、油性組成物の望ましくない感触効果をいくらか回避するのを助けるために、典型的には、組成物の30重量%未満(例えば、1%~20%、2%~15%、3%~12%、4%~10%、又は更には5%~8%)で存在する。油相は、1つ以上の揮発性及び/又は非揮発性油(例えば、植物油、シリコーン油、及び/又は炭化水素油)を含み得る。
【0046】
皮膚コンディショニング剤
任意選択的に、本発明の組成物は、皮膚コンディショニング剤を更に含むことができる。これらの薬剤は、保湿剤及び皮膚軟化薬から選択され得る。皮膚コンディショニング剤の量は、組成物の約1重量%~約50重量%、好ましくは約2重量%~約40重量%、より好ましくは約5重量%~約30重量%の範囲であり得る。
【0047】
保湿剤は、保湿を行い、鱗屑を減少させ、蓄積した鱗屑の皮膚からの剥離を刺激することを目的とする多価アルコールである。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体が挙げられる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシ化グリセリン、プロポキシ化グリセリン及びそれらの混合物がある。最も好ましくは、保湿剤はグリセロールである。
【0048】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤である場合、それは、炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール、及びエステルから選択され得る。
【0049】
脂肪アルコール
本明細書の組成物は、脂肪アルコールを含み得る。脂肪アルコールとは、以下の一般構造を有する高分子量の直鎖一級アルコールを指す。
【0050】
【化1】
式中、n=8~32である。
【0051】
脂肪アルコールは、天然又は合成、飽和又は不飽和、分枝鎖又は直鎖であり得る。化粧品組成物に一般的に使用される脂肪アルコールのいくつかの非限定的な例としては、カプリル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、及びベヘニルアルコールが挙げられる。本明細書における脂肪アルコールは、分子中の炭素原子の数によって総称的に称され得る。例えば、「C12アルコール」とは、その鎖中に12個の炭素原子を有するアルコール(すなわち、ドデカノール)を指す。
【0052】
スクロースエステルは、組成物中に組成物の0.0001重量%~15重量%(例えば、0.0002重量%~10重量%、0.001重量%~15重量%、0.025重量%~10重量%、0.05重量%~7重量%、0.05重量%~5重量%、又は更には0.1重量%~3重量%)で含まれ得る。
【0053】
美白剤
本組成物は、美白剤を含有し得る。本明細書で有用な美白剤は、皮膚の外観を変えるだけでなく、処置前と比較して色素沈着過剰を更に改善する活性成分を指す。本明細書において有用な美白剤としては、アスコルビン酸化合物、ビタミンB3化合物、アゼライン酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸及びその誘導体、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、クワ抽出物、テトラヒドロクルクミン及びこれらの混合物が挙げられる。美白剤の組み合わせの使用は、それらが異なる機構により増白効果を提供し得るという点でも有利であると考えられる。
【0054】
使用される場合、組成物は、組成物の好ましくは約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.2重量%~約5重量%の美白剤を含む。
【0055】
アスコルビン酸化合物は有用な美白剤であり、アスコルビルグルコシドはアスコルビン酸化合物の好ましい誘導体である。
【0056】
コンディショニング剤
本明細書の組成物は、0.1重量%~50重量%のコンディショニング剤(例えば、0.5%~30%、1%~20%、又は更には2%~15%)を含み得る。コンディショニング剤を添加することは、望ましい感触特性(例えば、塗布時の絹のような滑らかな感触)を有する組成物を提供するのに役立ち得る。コンディショニング剤のいくつかの非限定的な例としては、炭化水素油及びワックス、シリコーン、脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリド、トリグリセリド、植物油、植物油誘導体、アセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ラノリン、ワックスエステル、蜜蝋誘導体、ステロール及びリン脂質、これらの塩、異性体、及び誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。コンディショニング剤の特に好適な例としては、ジメチコンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1~30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコン、ジメチコノール、ジメチコン、ジメチコノール、シリコーンクロスポリマー、及びこれらの組み合わせなどの揮発性又は非揮発性シリコーン流体が挙げられる。ジメチコンは特に好適であり得るが、これは、一部の消費者は、特定のジメチコン流体によって提供される感触特性を良好な保湿と関連付けるためである。コンディショニング剤として使用するのに好適であり得るシリコーン流体の他の例は、米国特許第5,011,681号に記載されている。
【0057】
増粘剤
本発明の組成物は、1つ以上の増粘剤を更に含み得る。
【0058】
増粘剤の非限定的なクラスとしては以下、すなわち、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、及びガムから選択されるものが挙げられる。
【0059】
存在する場合、組成物は、組成物の好ましくは約0.01重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約4重量%、更により好ましくは約0.1重量%~約3重量%の増粘剤を含む。
【0060】
乳化剤
組成物がエマルジョンの形態である場合、それは、乳化剤を含有し得る。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性イオン性であり得る。乳化剤のいくつかの非限定的な例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、米国特許出願公開第2006/0275237号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,317~324ページ(1986)に開示されている。乳化剤の好適な例としては、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリグリセリル-4カプレート、及びグリセレス-25ピロリドンカルボン酸イソステアレートなどの非イオン性乳化剤が挙げられる。本明細書に記載される組成物で使用するための乳化剤の特に好適な例としては、ポリソルベート20がある。
【0061】
他の任意選択的な成分。
本明細書の方法で使用するのに好適な組成物は、局所スキンケア組成物における使用が知られている1つ以上の任意選択的な成分を含み得るが、任意選択的な成分が、組成物の所望の効果を許容不能に変化させないことを条件とする。いくつかの場合には、活性成分同士が互いに干渉しないように、異なる生物学的経路によって機能する化粧品活性成分を選択することが望ましくあり得る。組成物がエマルジョンの形態である場合、追加成分はエマルジョンに不安定性(例えば、シネレシス)を導入してはならない。例えば、組成物中の他の成分、特にビタミンB3化合物、サリチル酸塩及びペプチドのようなpH感受性成分と複合体を形成しない任意選択的な成分を選択することが望ましくあり得る。
【0062】
追加の成分は、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー応答などを伴わずに、ヒトの皮膚組織と接触させて使用するのに好適でなければならない。存在する場合、任意選択的な成分は、組成物の約0.001重量%~50重量%(例えば、0.01重量%~40重量%、0.1重量%~30重量%、0.5重量%~20重量%、又は1重量%~10重量%)の量で含まれ得る。追加の成分のいくつかの非限定的な例としては、ビタミン、ミネラル、ペプチド及びペプチド誘導体、糖アミン、サンスクリーン、オイルコントロール剤、微粒子、フラボノイド化合物、育毛調整剤、抗酸化剤及び/又は抗酸化前駆体、防腐剤、プロテアーゼ阻害剤、チロシナーゼ阻害剤、抗炎症剤、保湿剤、角質除去剤、皮膚美白剤、日焼け止め剤、サンレスタンニング剤、潤滑剤、抗ニキビ剤、抗セルライト剤、キレート剤、抗しわ活性物質、抗萎縮活性物質、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N-アシルアミノ酸化合物、抗菌剤、並びに抗真菌剤が挙げられる。追加成分のいくつかの特に好適な例としては、ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド)、n-アシルアミノ酸(例えば、ウンデシレノイルフェニルアラニン)、ビタミンE化合物(例えば、酢酸トコフェリル)、パルミトイル化ジペプチド(例えば、パルミトイル-リシン-スレオニン)、パルミトイル化ペンタペプチド(例えば、パルミトイル-リシン-スレオニン-スレオニン-リシン-セリン)、ビタミンA化合物(例えば、レチノール及びプロピオン酸レチニル)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、1つ以上のスキンケア活性物質が挙げられる。本明細書での使用に好適であり得る任意選択的な成分及び/又はスキンケア活性物質の他の非限定的な例が、米国特許出願公開第2002/0022040号、同第2003/0049212号、同第2004/0175347号、同第2006/0275237号、同第2007/0196344号、同第2008/0181956号、同第2008/0206373号、同第2010/0092408号、同第2008/0206373号、同第2010/0239510号、同第2010/0189669号、同第2010/0272667号、同第2011/0262025号、同第2011/0097286号、同第2012/0197016号、同第2012/0128683号、同第2012/0148515号、同第2012/0156146号、及び同第2013/0022557号、並びに米国特許第5,939,082号、同第5,872,112号、同第6,492,326号、同第6,696,049号、同第6,524,598号、同第5,972,359号、及び同第6,174,533号に記載されている。
【0063】
化粧品組成物の使用方法
本明細書における使用方法は、処置を必要とする人の皮膚の対象部分を識別することと、処置期間にわたって皮膚の対象部分に組成物を塗布する工程と、を伴う。皮膚の対象部分は、額、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻、及び/若しくは頬)などの顔の皮膚表面上、又は身体の別の部分(例えば、手、腕、脚部、背部、胸)にあり得る。処置を必要とする人とは、その皮膚が、一般的に老化に伴う小じわ、しわ、色素沈着過剰、不均一な皮膚のトーン、及び/又は他の目に見える皮膚の特徴などの酸化ストレスの徴候を呈する人である。いくつかの場合には、皮膚の対象部分が、皮膚老化の目に見える徴候を呈しない場合があるが、ユーザ(例えば、比較的若いユーザ)はその皮膚領域が加齢に伴ってそのような問題を生じる部分であれば、やはりそのような領域を対象とすることを望む可能性がある。このようにして、本発明の方法は、皮膚老化の目に見える徴候の開始を遅延させるための予防的措置として使用され得る。
【0064】
組成物は、処理期間中、皮膚の標的部分に、かつ所望される場合には周囲の皮膚に、少なくとも1日1回、1日2回、又はそれ以上の頻度で毎日塗布され得る。1日2回塗布する場合、1回目及び2回目の塗布の間は、少なくとも1~12時間の間隔を空ける。組成物は典型的に、朝及び/又は夜就寝前に塗布される。処理期間は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、4週間、8週間、又は更には12週間)にわたって持続し得る。いくつかの場合には、処理期間は、数ヶ月(すなわち3~12ヶ月)に及ぶであろう。いくつかの場合には、少なくとも2週間、4週間、8週間、又は12週間の処理期間中に、週の大半の日数(例えば、少なくとも週に4日、5日又は6日)にわたって、少なくとも1日に1回、又は更には1日に2回組成物を塗布し得る。
【0065】
組成物を塗布する工程は、局所的塗布によって達成され得る。組成物の塗布に関して、「局所的な」、「局所的」、又は「局所的に」という用語は、処置が望まれていない皮膚表面への送達を最小限に留めつつ、組成物が対象領域(例えば、しわ又は線)に送達されることを意味する。本組成物は、ある皮膚領域に塗布され、軽く揉み込まれ得る。組成物又は皮膚科学的に許容可能な担体の形態は、局所的塗布が容易となるように選択されるべきである。本明細書における特定の実施形態は、組成物をある領域に局所的に塗布することを想到しているが、本明細書の組成物は、1つ以上の皮膚表面に広く塗布することができることが理解されよう。特定の実施形態において、本明細書における組成物は、多段階式美容法の一部として使用され得、この多段階式美容法では、本組成物を1つ以上の他の組成物の前及び/又は後に塗布され得る。
【0066】
組み合わせ
A.化粧品組成物を製造する方法であって、
(a)スクロースと脂肪酸との1つ以上のエステルであって、脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約12~約22個の炭素原子、より好ましくは約12~約18個の炭素原子を有するものから選択され、スクロースエステルが、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上のエステルと、
(b)約23~約31.5、好ましくは約23~約29(J/cm1/2のヒルデブラント溶解度パラメータ、及び約4.5~約10.5、好ましくは約5~約9、より好ましくは約5.5~約8(J/cm1/2のハンセン溶解度パラメータの極性成分を有するものから選択される1つ以上の溶媒と、の混合物を調製する工程を含む、方法。
B.混合物が、約70%~約100%、好ましくは約80%~約100%、より好ましくは約90%~約100%のスクロースエステルと溶媒との合計量を含む、先行する特徴に記載の方法。
C.脂肪酸が、約12~約24個の炭素原子を有する飽和アルキル基を有するものから選択される、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
D.スクロースエステルと溶媒との重量比が、約1:1000~約1000:1、好ましくは約1:100~約100:1、より好ましくは約10:1~約1:10、更により好ましくは約5:1~1:5、更により好ましくは約2.5:1~1:2.5である、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
E.混合物と水性担体とを混合する工程を更に含む、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
F.水性担体と混合物との重量比が、約1000:1~約1:1000、好ましくは約1:100~約100:1、より好ましくは約1:10~約10:1、更により好ましくは約5:1~約1:5、更により好ましくは約2:1~約1:5である、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
G.混合物と水性担体とを混合する工程が、第1の希釈工程及び第2の希釈工程を含み、第1の希釈工程において、水性担体と混合物との重量比が、約1:10~約10:1、好ましくは約5:1~約1:5、より好ましくは約2:1~約1:5である、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
H.スクロースエステルが、約10%~約100%、好ましくは約20%~約100%、より好ましくは約50%~約90%のジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される高級エステルを含有する、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
I.化粧品組成物が、約0.01%~約50%、好ましくは約0.1%~約35%、より好ましくは約0.5%~約25%、更により好ましくは約1%~約20%のスクロースエステルを含む、先行する特徴のいずれかに記載の方法。
【実施例
【0067】
【表3】
**i)80℃で60分間混合してから24時間後の目視観察。
【0068】
【表4】
**ii)混合物と脱イオン水とを室温で1分間混合した後の目視観察。
【0069】
【表5】
**iii)以下のように混合した後の目視観察:
(a)水相成分を、均一化するまで室温で混合する。
(b)(a)からのそのような均一された水相成分と表2からの第1の希釈液を5分間混合する。
(c)(b)からのそのような混合成分と油相成分とをホモミキサによって、5000rpmで、室温で5分間混合する。
【0070】
【表6】
【0071】
第2の希釈実施例1~実施例5は、本発明の製造方法によって作製されたスキンケア組成物である。第2の希釈CEx.iは、本発明とは異なる製造方法によって作製されたスキンケア組成物であり、比較例として提供される。上記の各表に示されるように、本発明の方法は、スクロースエステルをスキンケア組成物中に溶解することができるが、比較例はスクロースエステルを溶解することができない。
【0072】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別途指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0073】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外又は別様に限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0074】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】