(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】前立腺癌を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/501 20060101AFI20231212BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20231212BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20231212BHJP
C07K 14/72 20060101ALN20231212BHJP
【FI】
A61K31/501 ZNA
A61P35/00
A61P13/08
A61P35/04
A61K45/00
A61K9/20
A61K31/58
C07K14/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534905
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 US2021062924
(87)【国際公開番号】W WO2022125969
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516307378
【氏名又は名称】アルビナス・オペレーションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARVINAS OPERATIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】チルノマス,サラ デボラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲドリッチ,リチャード ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ペック,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,イアン チャールス アンソニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC27
4C076FF70
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086DA12
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4H045AA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本出願は、転移性及び/又は去勢抵抗性前立腺癌を含む前立腺癌の治療及び/又は予防に関し、特定の体細胞AR腫瘍バイオマーカー状態を有する治療を必要とする対象に式(I)の化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグを投与することを含み、式中、R
1、R
2、R
3、X
1、X
2、X
3、X
4、及びnは、本明細書に定義される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における前立腺癌の治療方法であって、前記前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
前記方法が、前記対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである、方法。
【請求項2】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前立腺癌が、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、以下の変異の群:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742Lから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記前立腺癌が、前記AR遺伝子の増幅を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記前立腺癌が、去勢抵抗性前立腺癌である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記前立腺癌が、転移性前立腺癌である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
R
1がCNであり、R
2がクロロである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
R
3が水素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
R
3がフルオロである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
nが0である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
nが1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
X
1、X
2、X
3及びX
4の各々がCHである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
X
1、X
2、X
3及びX
4のうちの三つがCHであり、他がNである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
X
1、X
2、X
3及びX
4のうちの二つがCHであり、他の二つがNである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記式(I)の化合物が、
【化2-1】
【化2-2】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記式(I)の化合物が、前記対象に経口投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、一日一回、一日二回、一日三回又は一日四回、前記対象に投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、一日一回、前記対象に投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、前記対象に全て一度に投与されるか、又は二回、三回、若しくは四回の単位用量で投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約70mg~約1000mgである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約100mg~約280mgである、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約4,500ng*時間/mL、約4,600ng*時間/mL、約4,700ng*時間/mL、約4,800ng*時間/mL、約4,900ng*時間/mL、約5,000ng*時間/mL、約5,100ng*時間/mL、約5,200ng*時間/mL、約5,300ng*時間/mL、5,400ng*時間/mL、約5,500ng*時間/mL、約5,600ng*時間/mL、約5,700ng*時間/mL、約5,800ng*時間/mL、約5,900ng*時間/mL又は約6,000ng*時間/mL超の15日目平均AUC
0-24をもたらす、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約4,500ng*時間/mL超及び約5,500ng*時間/mL未満の15日目平均AUC
0-24をもたらす、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約300ng/mL超及び約400ng/mL未満の15日目平均C
maxをもたらす、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記治療有効量の式(I)の化合物が、約330ng/mL、約335ng/mL、約340ng/mL、約345ng/mL、約350ng/mL、約355ng/mL、約360ng/mL、約365ng/mL、約370ng/mL、約375ng/mL又は約380ng/mL超の15日目平均C
maxをもたらす、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記式(I)の化合物が、錠剤として製剤化される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記錠剤が、式(I)の化合物、並びに乳化剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、及び滑沢剤からなる群から選択される一つ又は複数の賦形剤を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対象が摂食状態にある、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が絶食状態にある、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
治療有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を一日一回経口投与することを含む、それを必要とする対象において前立腺癌を治療する方法に関し、前記式(I)の化合物が、
【化3-1】
【化3-2】
又はその薬学的に許容可能な塩、からなる群から選択され、前記前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む、方法。
【請求項35】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xから選択され、「X」が、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記前立腺癌が、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、以下の変異の群:
T878A及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;
W742C及びW742Lから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記前立腺癌が、前記AR遺伝子の増幅を含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記前立腺癌が去勢抵抗性前立腺癌である、請求項34~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記前立腺癌が転移性前立腺癌である、請求項34~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前立腺癌対象の亜集団における前立腺癌を治療する方法であって、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、前記対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物、
【化4】
又はその薬学的に許容可能な塩を前記対象に投与することと、を含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである、方法。
【請求項45】
前記選択された対象の前立腺癌が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xから選択される少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、「X」が、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記選択された対象の前立腺癌が、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gから選択される少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記選択された対象の前立腺癌が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xから選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含み、「X」が、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記選択された対象の前立腺癌が、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記選択された対象の前立腺癌が、以下の変異の群:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878S、及びH875Y;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742Lから選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記選択された対象の前記前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異が、ctDNA分析、蛍光in situハイブリダイゼーション、免疫組織化学、PCR分析、又はシーケンシングによって決定される、請求項44~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記選択された対象の前記前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異が、前記対象に由来する血液試料で決定される、請求項44~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記選択された対象の前記前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異が、前記対象の腫瘍に由来する固体生検で決定される、請求項44~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記式(I)の化合物が、
【化5-1】
【化5-2】
又はその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、請求項44~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記式(I)の化合物が、
【化6】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項44~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記式(I)の化合物が、
【化7】
である、請求項44~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記前立腺癌が、去勢抵抗性前立腺癌である、請求項44~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記前立腺癌が、転移性前立腺癌である、請求項44~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも一つの追加的な抗癌剤を投与することを更に含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記追加的な抗癌剤が、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記追加的な抗癌剤が、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、及びゾレンドロネートからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記式(I)の化合物及び前記追加的な抗癌剤が、前記対象に同時に又は時間的に近接して投与される、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法
【請求項62】
式(I)の化合物、
【化8】
又はその薬学的に許容可能な塩であって、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌の治療用であって、前記前立腺癌が少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項63】
式(I)の化合物、
【化9】
又はその薬学的に許容可能な塩であって、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌を治療する方法における使用のためであって、前記前立腺癌が少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、前記方法が、約35mg~約1000mgの前記式(I)の化合物を前記対象に投与することを含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項64】
式(I)の化合物、
【化10】
又はその薬学的に許容可能な塩であって、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象において前立腺癌を治療する方法に関し、前記前立腺癌が少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、前記方法が、前記治療有効量の式(I)の化合物を一日一回、前記対象に経口投与することを含み、前記治療有効量の式(I)の化合物が、約35mg~約1000mgである、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項65】
式(I)の化合物、
【化11】
又はその薬学的に許容可能な塩であって、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする前立腺癌対象の亜集団における前立腺癌の治療方法で使用するためのものであり、前立腺癌が少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、前記方法が、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、前記対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物を投与することと、を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項66】
式(I)の化合物、
【化12】
又はその薬学的に許容可能な塩であって、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌の治療用薬剤の製造における使用のためのものであって、前記前立腺癌が少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項67】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xからなる群から選択され、「X」が、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項62~66のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項68】
前記少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異が、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gからなる群から選択される、請求項62~66のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項69】
前記前立腺癌が、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む、請求項62~66のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す、請求項69に記載の化合物。
【請求項71】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される、請求項69に記載の化合物。
【請求項72】
前記少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異が、以下の変異の群:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742Lから選択される、請求項69に記載の化合物。
【請求項73】
前記前立腺癌が、前記AR遺伝子の増幅を含む、請求項62~72のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項74】
前記前立腺癌が、去勢抵抗性前立腺癌である、請求項62~73のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
前記前立腺癌が、転移性前立腺癌である、請求項62~74のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項76】
前記式(I)の化合物が、
【化13-1】
【化13-2】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項62~75のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項77】
前記式(I)の化合物が、
【化14】
又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項62~75のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項78】
前記式(I)の化合物が、
【化15】
である、請求項62~75のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項79】
それを必要とする対象における前立腺癌の治療での使用のための組み合わせであって、前記組み合わせが、請求項62~86のいずれか一項に記載の使用のための前記化合物、及び少なくとも一つの追加的な抗癌剤を含む、組み合わせ。
【請求項80】
前記追加的な抗癌剤が、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤からなる群から選択される、請求項79に記載の組み合わせ。
【請求項81】
前記追加的な抗癌剤が、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、 デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、及びゾレンドロネートからなる群から選択される、請求項79に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項82】
前記式(I)の化合物及び前記追加的な抗癌剤が、前記対象に同時に又は時間的に近接して投与される、請求項79に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項83】
キットであって、
(a)式(I-g)の化合物:
【化16】
(b)追加的な抗癌剤;及び
(c)使用説明書、を含む、キット。
【請求項84】
前記追加的な抗癌剤が、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤である、請求項91に記載のキット。
【請求項85】
前記追加的な抗癌剤が、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、 デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、又はゾレンドロネートである、請求項91に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月11日に出願された米国仮出願第63/124,640号及び2020年12月14日に出願された米国仮出願第63/125,345号の優先権及び利益を主張し、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2021年12月8日に作成された当該ASCIIコピーは「ARVN-014-001WO_ST25.txt」と名付けられ、約9KBのサイズである。
【0003】
アンドロゲン受容体(AR)は、テストステロン及びジヒドロテストステロンなどのアンドロゲンにより活性化される核ホルモン受容体ファミリーに属している(Pharmacol.Rev.2006、58(4)、782-97;Vitam.Horm.1999、55:309-52)。アンドロゲンが存在しない状況下ではARはサイトゾル中でヒートショックタンパク質90(Hsp90)に結合されている。アンドロゲンがARに結合すると、その立体構造が変化してHsp90からARが放出され、核局在化シグナル(NLS:Nuclear Localization Signal)が露出される。後者によりARが核内に移行することが可能となり、そこでARは転写因子として作用して雄性の性的特性に関与する遺伝子の発現を促進する(Endocr.Rev.1987,8(1):1-28;Mol.Endocrinol.2002,16(10),2181-7)。AR欠損症は、以前には精巣性女性化症と呼ばれていたアンドロゲン不応症を誘発する。
【0004】
ARは雄性の性的特性の発生に関与するが、前立腺癌を含む特定の形態の癌においては癌遺伝子であることもよく報告されている(Endocr.Rev.2004、25(2)、276-308)。一般的に測定されているAR活性の標的遺伝子は、分泌型前立腺特異抗原(PSA)タンパク質である。前立腺癌の現在の治療レジメンには、二つの方法によるアンドロゲン-AR軸の阻害が含まれる。一つ目の方法は、アンドロゲンの減少に頼る方法であり、二つ目の方法は、AR機能の阻害を目的としている(Nat.Rev.Drug Discovery、2013、12、823-824)。有効な標的療法が開発されているにもかかわらず、ほとんどの患者は耐性を獲得し、疾患が進行する。前立腺癌治療に対する代替的な方法には、ARタンパク質の除去が含まれる。ARは多くの型の前立腺癌で腫瘍形成の重要な誘導物質であるため、その排除は治療上有益な反応を生じさせるはずである。疾患、特に癌、前立腺癌、及びケネディ病に対する効果的な治療に関する継続的なニーズが当分野に存在する。しかしながら、例えば転写因子などには非特異的作用があり、特定のクラスのタンパク質を完全に標的とし、及び調節することができない。ゆえに未だ効果的な抗癌剤の開発の障害となっている。ゆえにセレブロンの基質特異性を活性化し、又は増強すると同時に、広範なタンパク質種が標的となり、特異的に調節され得るように「調節可能な」低分子治療剤は、治療剤として非常に有用である。
【0005】
前立腺癌患者において、70種類以上の体細胞ミスセンスAR腫瘍変異が同定されている(Gottlieb,B.,Hum.Mutat.2004,23:527-533)。これらのAR腫瘍変異の大部分は、リガンド結合ドメインに存在する。理論に拘束されるものではないが、リガンド結合ドメインにおけるAR腫瘍変異は、リガンド特異性の低下をもたらし、それによってARはアンドロゲンとは独立して機能することができる。こうしたAR腫瘍変異は、アンドロゲン欠乏環境で増殖する能力を腫瘍細胞に与え、したがってアンドロゲンレベルを遮断又は低減する前立腺癌に対する治療(例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト)に応答して選択される。したがって、AR腫瘍変異は、早期の前立腺癌を有する患者と比較して、進行したアンドロゲン非依存性腫瘍を有する患者において高い頻度で観察される(Taplin,M.E.,et al.N.Engl.J.Med.(1995)332:1393-1398;Marcelli,M.,et al.Cancer Res.(2000)60:944-949)。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本出願は、前立腺癌の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法に関し、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及び889Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742L。
【0013】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、AR遺伝子の増幅を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0015】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性前立腺癌である。
【0016】
いくつかの実施形態では、R1はCNであり、R2はクロロである。
【0017】
いくつかの実施形態では、R3は、水素である。
【0018】
いくつかの実施形態では、R3はフルオロである。
【0019】
いくつかの実施形態では、nは0である。
【0020】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0021】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4の各々はCHである。
【0022】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4のうち三つはCHであり、他の一つはNである。
【0023】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4のうち二つはCHであり、他の二つはNである。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は:
【化2-1】
【化2-2】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0025】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、対象に経口投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回、一日二回、一日三回、又は一日四回、対象に投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回対象に投与される。
【0028】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、対象に全て一度に投与されるか、又は二回、三回若しくは四回の単位用量で投与される。
【0029】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、約70mg~約1000mgである。
【0030】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、約100mg~約280mgである。
【0031】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約4,500ng*時間/mL、約4,600ng*時間/mL、約4,700ng*時間/mL、約4,800ng*時間/mL、約4,900ng*時間/mL、約5,000ng*時間/mL、約5,100ng*時間/mL、約5,200ng*時間/mL、約5,300ng*時間/mL、約5,400ng*時間/mL、約5,500ng*時間/mL、約5,600ng*時間/mL、約5,700ng*時間/mL、約5,800ng*時間/mL、約5,900ng*時間/mL、又は約6,000ng*時間/mL超の15日目平均AUC0-24をもたらす。
【0032】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約4,500ng*時間/mL超及び約5,500ng*時間/mL未満の15日目平均AUC0-24をもたらす。
【0033】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、約300ng/mL超かつ約400ng/mL未満の15日目平均Cmaxをもたらす。
【0034】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約330ng/mL、約335ng/mL、約340ng/mL、約345ng/mL、約350ng/mL、約355ng/mL、約360ng/mL、約365ng/mL、約370ng/mL、約375ng/mL又は約380ng/mLの15日目平均Cmaxをもたらす。
【0035】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、錠剤として製剤化される。
【0036】
いくつかの実施形態では、錠剤は、式(I)の化合物と、乳化剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、及び滑沢剤からなる群から選択される一つ又は複数の賦形剤を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象は摂食状態にある。
【0038】
いくつかの実施形態では、対象は絶食状態にある。
【0039】
一態様では、本出願は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を一日一回経口投与することを含む、それを必要とする対象において前立腺癌を治療する方法に関し、式(I)の化合物は、
【化3-1】
【化3-2】
又はその薬学的に許容可能な塩、から選択され、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gから選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
T878A及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;
W742C及びW742L。
【0046】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、AR遺伝子の増幅を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0048】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性前立腺癌である。
【0049】
一態様では、本出願は、前立腺癌対象の亜集団における前立腺癌を治療する方法であって、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物、
【化4】
又はその薬学的に許容可能な塩を対象に投与することと、を含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである。
【0050】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xから選択される少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0051】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gから選択される少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xから選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含み、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0053】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌は、以下の群から選択される少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878S、及びH875Y;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742L。
【0055】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異は、ctDNA分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、免疫組織化学、PCR分析、又はシーケンシングによって決定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異は、対象に由来する血液試料で決定される。
【0057】
いくつかの実施形態では、選択された対象の前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異は、対象の腫瘍に由来する固体生検で決定される。
【0058】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化5-1】
【化5-2】
又はその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化6】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0060】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化7】
である。
【0061】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0062】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性前立腺癌である。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの追加の抗がん剤の投与である。
【0064】
いくつかの実施形態では、追加の抗がん剤は、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤からなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、追加的な抗癌剤は、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、 デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、及びゾレンドロネートからなる群から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び追加的な抗癌剤は、対象に同時に又は時間的に近接して投与される。
【0067】
一態様では、本出願は、式(I)の化合物、
【化8】
又はその薬学的に許容可能な塩、に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌の治療用であって、前立腺癌は少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0068】
一態様では、本出願は、式(I)の化合物、
【化9】
又はその薬学的に許容可能な塩、に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌を治療する方法における使用のためであって、前立腺癌は少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、方法は、約35mg~約1000mgの式(I)の化合物を対象に投与することを含む。
【0069】
一態様では、本出願は、式(I)の化合物、
【化10】
又はその薬学的に許容可能な塩に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象において前立腺癌を治療する方法における使用のためであって、前立腺癌は少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、方法は、治療有効量の式(I)の化合物を一日一回、対象に経口投与することを含み、治療有効量の式(I)の化合物は、約35mg~約1000mgである。
【0070】
一態様では、本出願は、式(I)の化合物、
【化11】
又はその薬学的に許容可能な塩、に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする前立腺癌対象の亜集団における前立腺癌の治療方法で使用するためのものであり、前立腺癌は少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、方法は、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物を投与することと、を含む。
【0071】
一態様では、本出願は、式(I)の化合物、
【化12】
又はその薬学的に許容可能な塩、に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
それを必要とする対象における前立腺癌の治療用薬剤の製造における使用のためのものであって、前立腺癌は少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及び889Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gからなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、及びW742Xからなる群から選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。
【0076】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;及び
W742C及びW742L。
【0078】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、AR遺伝子の増幅を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0080】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性前立腺癌である。
【0081】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は:
【化13-1】
【化13-2】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0082】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は:
【化14】
又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0083】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は:
【化15】
である。
【0084】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における前立腺癌の治療の使用又は方法は、少なくとも一つの追加的な抗癌剤の使用を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、追加の抗がん剤は、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤からなる群から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、追加的な抗癌剤は、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、及びゾレンドロネートからなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び追加的な抗癌剤は、対象に同時に又は時間的に近接して投与される。
【0088】
一態様では、本出願は、
(a)式(I-g)の化合物:
【化16】
(b)追加的な抗癌剤;及び
(c)使用説明書、を含むキットに関する。
【0089】
いくつかの実施形態では、キット中の追加的な抗癌剤は、FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤である。
【0090】
いくつかの実施形態では、追加的な抗癌剤は、ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、 デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、又はゾレンドロネートである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】
図1は、化合物(I-g)のVCaP増殖のインビトロ阻害効果をエンザルタミドと比較する用量反応曲線である。
【0092】
【
図2】
図2は、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nM及び300nMの濃度の化合物(I-g)による治療に反応して、VCaP腫瘍細胞におけるARの減少を示すウェスタンブロット実験である。
【0093】
【
図3】
図3は、去勢VCaP異種移植片モデルで実施された動物実験を要約する一連の線グラフである。一日一回、0.1mg/kg(mpk)、0.3mg/kg、1mg/kg及び3mg/kgの用量で化合物(I-g)の経口投与がなされた。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0094】
【
図4】
図4は、無傷(非去勢)VCaP異種移植片モデルで実施された動物実験を要約する一連の線グラフである。一日一回、1mg/kg、3mg/kg及び10mg/kgの用量で化合物(I-g)の経口投与がなされた。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0095】
【
図5】
図5は、エンザルタミド抵抗性VCaP異種移植片モデルで実施された動物実験を要約する一連の線グラフである。一日一回、3mg/kg及び10mg/kgの用量で化合物(I-g)の経口投与がなされた。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0096】
【
図6】
図6は、10mg/kg及び3mg/kgの化合物(I-c)の投与(経口、一日一回)に反応して、エンザルタミド抵抗性VCaP腫瘍におけるARの減少を示すウェスタンブロット実験である。
【0097】
【
図7】
図7は、三つの試験用量(35mg/日、70mg/日及び140mg/日、経口投与)すべてについて、15日目の投与後の24時間にわたる化合物(I-g)の平均濃度を表す、一連の線グラフである。
【0098】
【
図8】
図8は、化合物(I-g)を投与された転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者20名における前立腺特異的抗原(PSA)検査結果の最良の変化率を示す棒グラフ(別名、ウォーターフォールプロット)である。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。患者は、凡例に示されるように、35mg/日、70mg/日、140mg/日又は280mg/日の化合物(I-g)のいずれかを投与された。
【0099】
【
図9】
図9は、140mg以上の化合物(I-g)を一日用量で投与されているmCRPC患者12名における前立腺特異的抗原(PSA)検査結果の最良の変化率を示す棒グラフ(別名、ウォーターフォールプロット)及び各患者から単離された循環腫瘍DNA又は循環腫瘍細胞にそれぞれ存在するAR遺伝子又はタンパク質の分子状態である。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。AR-V7は、ARのスプライスバリアントである。増幅とは、AR遺伝子の増幅を指す。
【0100】
【
図10】
図10は、140mg/日の用量の化合物(I-g)を投与された一名の患者(患者19)の主要な特徴を要約する。この患者は、
図8及び
図9の両方における右から二番目のバーに対応している。
【0101】
【
図11】
図11Aは、140mg/日の用量の化合物(I-g)を投与された一名の患者(患者20)の主要な特徴を要約する。この患者は、
図8及び
図9における最も右側のバーに対応している。
図11Bは、治療前の患者20の腫瘍のCTスキャンを示す。
図11Cは、4サイクル後の患者20の腫瘍のCTスキャンを示し、RECIST反応を示す。
【0102】
【
図12】
図12は、15日目の投与後の24時間にわたる化合物(I-g)の15日目平均AUC
0-24(ng*時間/mL)を、四つの試験用量(35mg/日、70mg/日、140mg/日及び280mg/日、経口投与)すべてについて表すものである。
【0103】
【
図13】
図13は、四つの試験用量(y軸の最低から最高まで順に、35mg/日、70mg/日、140mg/日及び280mg/日、経口投与)すべてについて、15日目の投与後の24時間にわたる化合物(I-g)の平均濃度を表す、一連の線グラフである。
【0104】
【
図14】
図14は、化合物(I-g)を投与されているmCRPC患者28名における前立腺特異的抗原(PSA)検査結果の最良の変化率を示すウォーターフォールプロット及び各患者について決定された、循環腫瘍DNA又は循環腫瘍細胞にそれぞれ存在するAR遺伝子の分子状態である。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。AR-V7は、ARのスプライスバリアントである。増幅とは、AR遺伝子の増幅を指す。
【0105】
【
図15】
図15は、化合物(I-g)を投与後にAR T878/H875変異を有するmCRPC患者5名における前立腺特異的抗原(PSA)検査結果の最良の変化率を示すウォーターフォールプロット及び各患者から単離された循環腫瘍DNA又は循環腫瘍細胞にそれぞれ存在するAR遺伝子の分子状態である。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。AR-V7は、ARのスプライスバリアントである。
【0106】
配列表:
アンドロゲン受容体におけるアミノ酸変異に対するすべての言及は、本明細書に提供される配列番号1に対して番号付けされる。
1 mevqlglgrv yprppsktyr gafqnlfqsv reviqnpgpr hpeaasaapp gasllllqqq
61 qqqqqqqqqq etsprqqqqq qgedgspqah rrgptgylvl deeqqpsqpq
121 salechperg cvpepgaava askglpqqlp appdeddsaa pstlsllgpt fpglsscsad
181 lkdilseast mqllqqqqqe avsegsssgr areasgapts skdnylggts tisdnakelc
241 kavsvsmglg vealehlspg eqlrgdcmya pllgvppavr ptpcaplaec kgsllddsag
301 kstedtaeys pfkggytkgl egeslgcsgs aaagssgtle lpstlslyks galdeaaayq
361 srdyynfpla lagppppppp phpharikle npldygsawa aaaaqcrygd laslhgagaa
421 gpgsgspsaa assswhtlft aeegqlygpc gggggggggg gggeagavap
481 ygytrppqgl agqesdftap dvwypggmvs rvpypsptcv ksemgpwmds ysgpygdmrl
541 etardhvlpi dyyfppqktc licgdeasgc hygaltcgsc kvffkraaeg kqkylcasrn
601 dctidkfrrk ncpscrlrkc yeagmtlgar klkklgnlkl qeegeasstt spteettqkl
661 tvshiegyec qpiflnvlea iepgvvcagh dnnqpdsfaa llsslnelge rqlvhvvkwa
721 kalpgfrnlh vddqmaviqy swmglmvfam gwrsftnvns rmlyfapdlv fneyrmhksr
781 mysqcvrmrh lsqefgwlqi tpqeflcmka lllfsiipvd glknqkffde lrmnyikeld
841 riiackrknp tscsrrfyql tklldsvqpi arelhqftfd llikshmvsv dfpemmaeii
901 svqvpkilsg kvkpiyfhtq
【発明を実施するための形態】
【0107】
定義
ハロゲン又は「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を指す。
【0108】
「C1-C6アルキル」は、1~6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指す。(C1-C6)アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル及びイソヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
式(I)の化合物に関して本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」は、式(I)の化合物の塩形態及び一つ又は複数の水分子が存在する塩形態の水和物を意味する。かかる塩及び水和形態は、式(I)の化合物の生物学的活性を保持し、生物学的に又は他の望ましくないものではなく、すなわち、毒性学的影響があったとしても、最小限を示す。代表的な「薬学的に許容可能な塩」には、例えば、酢酸塩、アンソナート(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホネート、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、ジヒドロクロリド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキサフルオロホスファート、ヘキシルレソルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオナート、ラウレート、マグネシウム、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムカート、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエート、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート(1,1-メタン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、エインボネート)、パントテン酸塩、リン酸/二リン酸、ピクラート、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラメート、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、及び吉草酸塩などの、水溶性塩及び水不溶性塩が含まれる。
【0110】
「異性体」という用語は、同じ組成及び分子量を有するが、物理的及び/又は化学的特性が異なる塩及び/又は化合物を指す。構造差は、構成(幾何異性体)又は偏光平面を回転させる能力(立体異性体)にあり得る。立体異性体に関して、式(I)の化合物の塩は、一つ又は複数の不斉炭素原子を有してもよく、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のエナンチオマー又はジアステレオマーとして生じてもよい。
【0111】
式(I)の化合物は、例えば、水和物などの非溶媒和形態及び溶媒和形態で存在し得る。
【0112】
「溶媒和物」とは、化学量論的又は非化学量論的な量の溶媒のいずれかを含有する溶媒付加形態を意味する。一部の化合物は、結晶性固体状態で固定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり、それゆえ溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、一つ又は複数の水の分子と、その中で水がその分子状態をH2Oとして保持する物質のうちの一つとの組み合わせによって形成され、そのような組み合わせは、一つ又は複数の水和物を形成することができる。水和物では、水分子は、分子間力、特に水素架橋によって、副原子価を介して結合される。固体水和物は、化学量論比で、いわゆる結晶水として水を含有し、水分子は、その結合状態に関して等価である必要はない。水和物の例としては、セスキ水和物、一水和物、二水和物、又は三水和物が挙げられる。同様に、本発明の化合物の塩の水和物も適切である。
【0113】
化合物が溶液又はスラリーから結晶化される場合、空間の異なる配置格子で結晶化されて(この特性は、「多形性」と呼ばれる)、異なる結晶形態を有する結晶を形成することができ、その各々は、「多形体」として知られる。本明細書で使用される場合、「多形体」は、式(I)の化合物の結晶形態を指し、ここで分子は三次元格子部位に局在している。式(I)の化合物の異なる多形体は、溶解性及び溶解率、真比重、結晶形態、蓄積モード、流動性及び/又は固体状態安定性などの一つ又は複数の物理的特性において互いに異なっていてもよい。
【0114】
本明細書で言及されるように、「同位体誘導体」は、(化合物の一つ又は複数の原子に関して)一つ又は複数の安定同位体によって、同位体的に濃縮又は標識される式(I)の化合物に関する。したがって、本出願では、式(I)の化合物は、例えば、重水素などの一つ又は複数の原子で同位体的に濃縮又は標識される化合物を含む。
【0115】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能なプロドラッグ」は、確実な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを有するヒト及びより下等な動物の組織と接触しての使用に適した、合理的な利益/リスク比に見合った、及びその意図される使用に有効な、ならびに可能であれば本発明の化合物の両性イオン形態である、式(I)の化合物のプロドラッグを指す。
【0116】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」とは、代謝手段によって(例えば、加水分解によって)インビボで変換可能で、本発明の式によって詳述される任意の化合物をもたらすような化合物を意味する。様々な形態のプロドラッグが当技術分野で公知であり、例えば、Bundgaard,(ed.)、Design of Prodrugs,Elsevier (1985);Widderら(ed.)、Methods in Enzymology、vol.4、Academic Press(1985);Krogsgaard-Larsenら、(ed).“Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development”、Chapter5、1 13-191(1991);Bundgaardら、Journal of Drug Deliver Reviews、8:1-38(1992);Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences、77:285 et seq.(1988);Higuchi and Stella(eds.)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)及びBernard Testa & Joachim Mayer、“Hydrolysis In Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry、Biochemistry And Enzymology”John Wiley and Sons,Ltd.(2002)で論じられている。
【0117】
本発明は又、本発明の化合物の薬学的に許容可能なプロドラッグを含有する医薬組成物、及び本発明の化合物の薬学的に許容可能なプロドラッグを投与することによって障害を治療する方法を包含する。例えば、遊離アミノ基、アミド基、ヒドロキシ基又はカルボン酸基を有する本発明の化合物は、プロドラッグに変換することができる。プロドラッグには、アミノ酸残基、又は二個以上(例えば、二個、三個、又は四個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド又はエステル結合によって、本発明の化合物の遊離アミノ基、ヒドロキシ基、又はカルボン酸基に共有結合している化合物が含まれる。アミノ酸残基は、限定されないが、三つの文字記号によって一般的に指定される20個の自然発生的なアミノ酸を含み、又4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータアラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンを含む。追加の種類のプロドラッグも又包含される。例えば、遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化され得る。遊離ヒドロキシ基は、限定されるものではないが、ヘミコハク酸塩、リン酸エステル、ジメチルアミノアセテート及びホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を使用して誘導体化されてもよく、Advanced Drug Delivery Reviews、1996、19、1 15に概説される。ヒドロキシ基及びアミノ基のカルバミン酸塩プロドラッグには、炭酸塩プロドラッグとして、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルも含まれる。(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含され、アシル基は、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基で任意に置換されたアルキルエステルであってもよく、又はアシル基は、上記に記載されたアミノ酸エステルである。この種類のプロドラッグは、J.Med.Chem.1996,39,10に記載される。遊離アミンは又、アミド、スルホンアミド、又はホスホンアミドとして誘導体化され得る。これらのプロドラッグ部分の全ては、限定されないが、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含む基を組み込んでもよい。本発明によって想定される置換基及び変数の組み合わせは、安定した化合物の形成をもたらすもののみである。
【0118】
転移性前立腺癌又は転移は、前立腺を越えて、例えば、骨、リンパ節、肝臓、肺、脳などの身体の他の部分へと広がった前立腺癌を指す。
【0119】
去勢抵抗性前立腺癌(castrate-resistant prostate cancer)又は去勢抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer)(又は去勢抵抗性(castrate-resistant)又は去勢抵抗性(castration-resistant)の前立腺癌)は、体内のテストステロンの量が非常に低いレベルに減少しても増殖し続ける前立腺癌の一種である。
【0120】
転移性の去勢抵抗性前立腺癌は、転移し、体内のテストステロンの量が非常に低いレベルに減少しても成長し続ける前立腺癌の一種である。
【0121】
本明細書で使用される場合、「治療する」は、疾患、状態又は障害と闘うための対象の管理及びケアを表し、症状若しくは合併症の減少又は軽減、又は疾患、状態若しくは障害の除去を含む。
【0122】
本明細書で使用される場合、「予防する」は、疾患、状態、又は障害の症状又は合併症の発症を止めることを表す。
【0123】
「投与」は、式(I)の化合物などの薬剤を対象に導入することを指す。関連用語である「投与する」及び「の投与」(及び文法的等価物)は、医療従事者による、又は対象の自己投与による、対象への投与であり得る直接投与、及び/又は薬物を処方する行為であり得る間接投与の両方を指す。例えば、患者に薬物を自己投与するように指示し、及び/又は薬物の処方箋を患者に提供する医師は、患者に薬物を投与している。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「抗癌剤」は、癌の治療に有効な薬剤、又は抗癌剤と同時投与される治療薬(例えば、パロノセトロン)を説明するために使用され、これはがん、及びがん治療に関連する副作用を治療するために式(I)の化合物と同時投与及び/又は同時処方され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、追加的な抗癌剤は、以下のいずれかから選択される:FLT-3阻害剤、アンドロゲン受容体阻害剤、VEGFR阻害剤、EGFR TK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1調節因子、Bcl-2阻害剤、HDAC阻害剤、c-Met阻害剤、PARP阻害剤、CDK4/6阻害剤、抗HGF抗体、IGFR TK阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、AKT阻害剤、mTORC1/2阻害剤、JAK/STAT阻害剤、チェックポイント1阻害剤、チェックポイント2阻害剤、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、B7-H3阻害剤、CTLA4阻害剤、LAG-3阻害剤、OX40作動薬、焦点接着キナーゼ阻害剤、Mapキナーゼキナーゼ阻害剤、VEGFトラップ抗体、及び化学去勢剤。
【0126】
いくつかの実施形態では、追加的な抗癌剤は次のいずれかから選択される:ペメトレキセド、イピリムマブ、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、テモゾロミド、カペシタビン、イリノテカン、タモキシフェン、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、ベバシズマブ、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、ヒドロプロゲステロンカプロエート、ラロキシフェン、酢酸メゲストロール、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、フィナステリド、アルゾキシフェン、フルベストラント、プレドニゾン、アビラテロン、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド、シプリューセル-T、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、 デュルバルマブ(イミフィンジ)、ドセタキセル(タキソテール)、カバジタキセル(ジェブタナ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、エストラムスチン(Emcyt)、ドセタキセル、ケトコナゾール、 ヒストレリン、トリプトレリン、ブセレリン、シプロテロン、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、パミドロン酸、及びゾレンドロネート。
【0127】
アビラテロン酢酸エステルは、Janssen社が開発し、Zytiga(登録商標)というブランド名で販売されている転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療のための市販の薬物である。
【0128】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」は、特定の疾患(例えば、前立腺癌)、疾患の症状、障害若しくは状態を治療、改善、又は予防する、あるいは検出可能な治療若しくは阻害効果を発揮するのに十分である、式(I)の化合物の遊離塩基の量を意味する。効果は、当該技術分野で公知の任意の分析方法によって検出され得る。特定の対象に対する有効量は、対象の体重、サイズ及び健康、状態の性質及び範囲、ならびに追加の治療剤が対象に投与されるかどうかに依存し得る。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技能及び判断の範囲内にある日常的な実験によって決定することができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、「Cmax」は、対象にその化合物の用量を投与した後の、対象において観察された特定の化合物の最大(ピーク)血漿濃度を指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「AUC」は、血漿濃度-時間曲線下の総面積を指し、対象化合物への曝露の尺度であり、単回投与後又は定常状態における濃度-時間曲線の積分である。AUCは、ng*H/mL(ng×H/mL)の単位で表される。
【0131】
本明細書で使用される場合、「AUCtau」は、0時間から投与間隔の終了までのAUCを指す。
【0132】
「AUC0-24」は、単回投与の投与後0時間から24時間までのAUCを意味する。
【0133】
本開示の経口剤形に関して本明細書で使用される場合、「徐放」又は「CR」は、式(I)の化合物が、所定のプロファイルに従って剤形から放出されることを意味するが、このプロファイルは、経口投与の後、放出がいつ、どこで起こるか、及び/又は指定された期間にわたる指定された放出速度を含み得る。
【0134】
本開示の経口剤形に関して本明細書で使用される場合、「徐放剤」は、剤形からの式(I)の化合物の放出を調節する一つ又は複数の物質又は材料を指す。徐放剤は、有機又は無機、天然起源又は合成の材料で、例えば高分子材料、トリグリセリド、トリグリセリドの誘導体、脂肪酸及び脂肪酸の塩、タルク、ホウ酸及びコロイドシリカであり得る。
【0135】
本開示の剤形に関して本明細書で使用される場合、「腸溶性コーティング」は、式(I)の化合物を含むコアを囲むpH依存性材料を指し、胃の酸性環境内では実質的に無傷のままであるが、腸のpH環境で溶解する。
【0136】
本明細書に記載されるCR経口剤形に適用される「胃抵抗」又は「GR」は、対象の胃における式(I)の化合物の放出が、剤形における式(I)の化合物の総量の5%、2.5%、1%又は0.5%を超えないことを意味する。
【0137】
本明細書で使用される場合、「経口剤形」とは、活性成分としての特定の量(用量)の式 (I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩及び/又は溶媒和物、ならびに不活性成分(賦形剤)を含有し、錠剤又はカプセルなどの経口投与及び薬物送達に適した特定の構成に製剤化された医薬品を指す。いくつかの実施形態では、組成物は、割線を入れることができる錠剤の形態である。
【0138】
本開示で使用される用語「担体」は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、対象の一器官又は身体の一部から別の器官又は身体の一部への、医薬品の運搬又は輸送に関与する、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料などの材料、組成物又はビヒクルを意味する。
【0139】
アビラテロン酢酸エステルは、Janssen社が開発し、Zytiga(登録商標)というブランド名で販売されている転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療のための市販の薬物である。
【0140】
「約X」などの定量的表現の一部としての用語「約」は、Xよりも10%高い又は低い任意の値を含み、又X-10%とX+10%との間の任意の数値を含む。したがって、例えば、約40gの重量は、36~44gの重量を含む。本明細書で使用される場合、AR中のアミノ酸残基を示すために、用語「約」は、指定されるアミノ酸残基の5アミノ酸残基以内にある任意のアミノ酸残基を意味する。例えば、ARのアミノ酸残基約560からアミノ酸残基約624まで伸長するアミノ酸残基の連続したストレッチを指す場合、これは、配列番号1のARアミノ酸残基555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、又は565からアミノ酸残基619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、又は629まで伸長するアミノ酸残基の連続したストレッチを指す。いくつかの実施形態では、用語「約」は、指定されるアミノ酸残基の3アミノ酸残基以内にある任意のアミノ酸残基を意味する。いくつかの実施形態では、用語「約」は、指定されるアミノ酸残基の1アミノ酸残基以内にある任意のアミノ酸残基を意味する。
【0141】
本明細書に記載される、又は特許請求される特定の剤形、組成物、使用、方法、又はプロセスに適用される「含むこと(comprising)」又は「含む(comprises)」は、剤形、組成物、使用、方法、又はプロセスが、特定の記載又は特許請求の範囲において列挙された要素の全てを含むが、他の要素を排除しないことを意味する。「から本質的になる(consists essentially of)」及び「から本質的になること(consisting essentially of)」とは、記載又は特許請求される組成物、剤形、方法、使用、又はプロセスが、組成物、剤形、方法、使用、又はプロセスの列挙された物理的、薬理学的、薬物動態学的特性、又は治療効果に実質的に影響しない他の材料又は工程を排除しないことを意味する。「からなる(consists of)」及び「からなる(consisting of)」は、他の成分の微量元素、及び実質的な方法又はプロセス工程を超えるものの除外を意味する。
【0142】
対象を説明するために使用される「絶食状態(fasted condition)」又は「絶食状態(fasted state)」は、式(I)の化合物を投与する時間など、関心のある時点の前に少なくとも4時間、対象が食事を摂取していないことを意味する。一実施形態では、絶食状態の対象は、式(I)の化合物の投与前の少なくとも6、8、10、又は12時間のいずれかに食事を摂取していない。
【0143】
本明細書において対象を説明するために使用される「摂食状態(fed condition)」又は「摂食状態(fed state)」は、式(I)の化合物を投与する時間など、関心のある時点の4時間未満前に、対象が食事を摂取したことを意味する。一実施形態では、摂食状態の対象は、式(I)の化合物の投与前の少なくとも3、2、1又は0.5時間のいずれかに食事を摂取していない。
【0144】
冠詞「a」及び「an」は、本開示において、一つ又は一つより多い(すなわち、少なくとも一つの)冠詞の文法的目的物を指すために使用される。一例として、「要素(an element)」は一つの要素又は一つより多い要素を意味する。
【0145】
用語「及び/又は」は、別段の示唆がない限り、本開示において、「及び」若しくは「又は」のいずれかを意味するために使用される。
【0146】
用語「患者」及び「対象」は本明細書で互換的に使用され、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、又は非ヒト霊長類、例えばサル、チンパンジー、ヒヒ、又はアカゲザルなどを指す。
【0147】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象は、前立腺癌と診断されたヒトである。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象は、転移性前立腺癌と診断されたヒトである。
【0150】
いくつかの実施形態では、対象は、去勢抵抗性前立腺癌と診断されたヒトである。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象は、転移性、去勢抵抗性前立腺癌と診断されたヒトである。
式(I)の化合物
【0152】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象への式(I)の化合物の投与を含む、癌を治療する及び/又は予防する方法に関する。一態様では、本出願は、前立腺癌の治療及び/又は予防における式(I)の化合物の使用に関する。一態様では、本出願は、前立腺癌の治療及び/又は予防のための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用に関する。
【0153】
本明細書で言及されるように、式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物:
【化17】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体若しくはプロドラッグを指し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1である。
【0154】
いくつかの実施形態では、R1は、水素である。
【0155】
いくつかの実施形態では、R1は、CNである。
【0156】
いくつかの実施形態では、R1は、C1-C6アルキルである。
【0157】
いくつかの実施形態では、R2は、水素である。
【0158】
いくつかの実施形態では、R2は、ハロである。いくつかの実施形態では、R2は、Fである。いくつかの実施形態では、R2はClである。いくつかの実施形態では、R2は、Brである。いくつかの実施形態では、R2は、Iである。
【0159】
いくつかの実施形態では、R2は、C1-C6アルキルである。
【0160】
いくつかの実施形態では、R3は、水素である。
【0161】
いくつかの実施形態では、R3は、ハロである。いくつかの実施形態では、R3は、Fである。いくつかの実施形態では、R3は、Clである。いくつかの実施形態では、R3は、Brである。いくつかの実施形態では、R3は、Iである。
【0162】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4の少なくとも一つは、CHである。
【0163】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4の少なくとも二つは、CHである。
【0164】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4の少なくとも三つは、CHである。
【0165】
いくつかの実施形態では、X1、X2、X3及びX4の各々はCHである。
【0166】
いくつかの実施形態では、X1、X2、及びX3はそれぞれCHであり、X4はNである。
【0167】
いくつかの実施形態では、X1、X2、及びX4はそれぞれCHであり、X3はNである。
【0168】
いくつかの実施形態では、X1、X3、及びX4はそれぞれCHであり、X2はNである。
【0169】
いくつかの実施形態では、X2、X3、及びX4はそれぞれCHであり、X1はNである。
【0170】
いくつかの実施形態では、X1及びX2はそれぞれCHであり、X3及びX4はそれぞれNである。
【0171】
いくつかの実施形態では、X1及びX3はそれぞれCHであり、X2及びX4はそれぞれNである。
【0172】
いくつかの実施形態では、X1及びX4はそれぞれCHであり、X2及びX3はそれぞれNである。
【0173】
いくつかの実施形態では、X2及びX3はそれぞれCHであり、X1及びX4はそれぞれNである。
【0174】
いくつかの実施形態では、X2及びX4はそれぞれCHであり、X1及びX3はそれぞれNである。
【0175】
いくつかの実施形態では、X3及びX4はそれぞれCHであり、X1及びX2はそれぞれNである。
【0176】
いくつかの実施形態では、nは0である。
【0177】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0178】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化18-1】
【化18-2】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0179】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化19-1】
【化19-2】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0180】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化20】
又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはそのプロドラッグである。
【0181】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-a)の化合物:
【化21】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0182】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-b)の化合物:
【化22】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0183】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-c)の化合物:
【化23】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0184】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-d)の化合物:
【化24】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0185】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-e)の化合物:
【化25】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0186】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-f)の化合物:
【化26】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0187】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-g)の化合物:
【化27】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0188】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-h)の化合物:
【化28】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0189】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-i)の化合物:
【化29】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0190】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-j)の化合物:
【化30】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0191】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-k)の化合物:
【化31】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグである。
【0192】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化32-1】
【化32-2】
である。
【0193】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化33-1】
【化33-2】
である。
【0194】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、
【化34】
である。
【0195】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-a)の化合物:
【化35】
である。
【0196】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-b)の化合物:
【化36】
である。
【0197】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-c)の化合物:
【化37】
である。
【0198】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-d)の化合物:
【化38】
である。
【0199】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-e)の化合物:
【化39】
である。
【0200】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-f)の化合物:
【化40】
である。
【0201】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-g)の化合物:
【化41】
である。
【0202】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-h)の化合物:
【化42】
である。
【0203】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-i)の化合物:
【化43】
である。
【0204】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-j)の化合物:
【化44】
である。
【0205】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-k)の化合物:
【化45】
である。
【0206】
式(I)の化合物は、関連する科学文献又は当該分野の標準参照教科書から得ることができるような、有機分子の調製のための標準的な合成方法及び手順、ならびに保護基の使用を含む、官能基の変換及び操作を使用して合成され得る。任意の一つ又はいくつかの供給源に限定されないが、認識される有機合成の参照教科書として、Smith,M.B.;March,J.March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th ed.;John Wiley & Sons:New York,2001、及びGreene,T.W.Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd;John Wiley & Sons:New York,1999が挙げられる。式(I)の化合物を調製する方法は、米国特許出願公開第2018/0099940号、現在の米国特許第10,584,101号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0207】
細胞内の標的タンパク質をユビキチン化/分解する方法
本発明は、細胞中の標的タンパク質をユビキチン化/分解する方法を提供する。本方法は、本明細書において別段に記載のように、好ましくはリンカー部分を介して連結されるE3ユビキチンリガーゼ結合部分とタンパク質標的化部分を含む二機能性化合物を投与することを含み、E3ユビキチンリガーゼ結合部分はタンパク質標的化部分に結合され、E3ユビキチンリガーゼ結合部分はユビキチン経路タンパク質(例えば、ユビキチンリガーゼ、好ましくはE3ユビキチンリガーゼ)を認識し、標的タンパク質部分は、標的タンパク質を認識し、標的タンパク質がユビキチンリガーゼに近接して配置されたときに標的タンパク質の分解が生じ、それに伴い標的タンパク質の作用の低下/阻害、及びタンパク質レベルの制御がもたらされる。本発明によりもたらされるタンパク質レベルの制御は病態又は状態の治療を提供するものであり、これは患者細胞中のそのタンパク質のレベルを低下させることによって標的タンパク質を介して調節される。
【0208】
一態様では、本出願は、アンドロゲン受容体(AR)タンパク質を分解する、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多型化合物、同位体誘導体、又はそのプロドラッグを提供する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物によって分解されるARは、野生型ARである。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物によって分解されるARは、ARの変異体形態である。
【0209】
当業者に理解されるように、ARは、N末端転写調節ドメイン、DNA結合ドメイン、及びリガンド結合ドメインの三つの機能的ドメインを含むモジュラー構造を有する(MacLean HE,et al J.Steroid Biochem Mol Biol.(1997)62:233-42)。DNA結合ドメインは、ヒンジを介してリガンド結合ドメインに連結される。ARリガンド結合ドメインは、AR同族ホルモンリガンド(例えば、アンドロゲン)に結合する疎水性ポケットを形成するように折り畳まれたヒトARの機能ドメインを指す。
【0210】
さらに、ARは、920アミノ酸残基長であり、N末端転写調節ドメインは、アミノ酸残基1からアミノ酸残基約559まで伸長し、DNA結合ドメインは、アミノ酸残基約560からアミノ酸残基約624まで伸長し、ヒンジは、アミノ酸残基約625からアミノ酸残基約676まで伸長し、リガンド結合ドメインは、アミノ酸残基約677からアミノ酸残基約920まで伸長することが当技術分野で理解される。好適なAR参照配列は、配列番号1によって記述され、UniProtデータベースにおいてP10275 (ANDR_HUMAN)として同定される。ARをコードする遺伝子(「AR遺伝子」)は約90kbであり、ヒト参照ゲノムGRCh38.p13によると染色体座標67544021-67730619を有する。AR遺伝子は、8つのエクソンを含有し、エクソン1はN末端転写調節ドメインをコードし、エクソン2~3はDNA結合ドメインをコードし、エクソン4~8はヒンジ及びリガンド結合ドメインをコードする(Jenster,et al (1992)J.Steroid Biochem.モル Biol.41:671-75)。
【0211】
いくつかの実施形態では、対象は、ARの機能ドメインに存在する少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む前立腺癌を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列(例えば、配列番号1)と比較して、AR機能ドメインにおける一つ又は複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列(例えば、配列番号1)と比較して、AR機能ドメインにおける一つ又は複数のアミノ酸残基の置換である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列(例えば、配列番号1)と比較して、ARリガンド結合ドメインにおける一つ又は複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列(例えば、配列番号1)と比較して、ARリガンド結合ドメインにおける一つ又は複数のアミノ酸残基の置換である。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列と比較して、アミノ酸残基677~920から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換であり、AR参照配列は、配列番号1によって記述される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、AR参照配列と比較して、アミノ酸残基677~920から選択される一つ又は複数のアミノ酸残基の置換であり、AR参照配列は、配列番号1によって記述される。
【0212】
いくつかの実施形態では、ARリガンド結合ドメインのアミノ酸残基の改変(例えば、置換)は、リガンド特異性の低下及び/又は補因子リクルートメントの強化を有する変異ARを提供する。理論に拘束されるものではないが、減少したリガンド特異性及び/又は増強された補助因子動員を有する変異ARは、ARシグナル伝達経路を誘発する能力を増大させ、それによって、変異ARを含む腫瘍細胞に増殖の利点を付与する。
【0213】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、本明細書に記載される少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の発現を特徴とする癌細胞を含む。体細胞変異の発現を特徴とするがんを特定する方法は当技術分野で公知であり、例えば、対象から生体試料を取得することと、生体試料を採取して遺伝物質(例えば、ゲノムDNA又はRNA)を取得することと、シーケンシング解析、RNAシーケンシング解析、又はリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を行うこととを含む。例えば、いくつかの実施形態では、まず、対象から得られたがん組織から(任意の標準技術を使用して)ゲノムDNAを取得し、cDNAを調製し、配列解析に十分な量のcDNAを提供するために増幅を実行し(例えば、ポリメラーゼ鎖反応を使用して)、例えば、次世代シーケンシングなどを使用して、シーケンシングを実行する。ゲノムDNA又はRNAは通常、例えば、組織生検によって、対象から取り出された組織などの生体試料から抽出される。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、組織生検試料(例えば、前立腺腫瘍生検試料)であり、ゲノムDNA又はRNAの配列解析は、ARにおける体細胞変異(例えば、ARリガンド結合ドメインのアミノ酸残基の置換をもたらす体細胞突然変異)の存在を同定するために実施される。いくつかの実施形態では、対象から得られた血漿を含む生物学的試料は、例えば、PCRベースの増幅、その後に遺伝子シーケンシングを使用して、循環腫瘍DNA中に存在する体細胞AR腫瘍変異を検出するために使用される。
【0214】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物によって分解されるARの変異体形態は、少なくとも一つのAR体細胞腫瘍変異を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、L702X、T878X、H875X、W742X、F877X、V716X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、L702X、T878X、H875X、W742X、F877X、V716X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外のアミノ酸残基を指し、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、プロリン(P)、グリシン(G)、セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、及びグルタミン酸(E)から選択される。
【0216】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外のアミノ酸残基を指し、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、プロリン(P)、グリシン(G)、セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、及びグルタミン酸(E)から選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、L702H、T878A、H875Y、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、E666K、Q799E、Q793E、Q118K、Y447N、S532Y、G751C、Q825E、L702H、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、E666K、Q799E、Q793E、Q118K、Y447N、S532Y、G751C、Q825E、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。
【0218】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、L702Hである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878Aである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Yである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Lである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、Q825Eである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、W742Cである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、W742Lである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、F877Lである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、T878Sである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、V716Mである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、D891Hである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、M750Vである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、M750Tである。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、S889Gである。
【0219】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異は、L702H、T878A、H875Y、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gから選択される。
【0220】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物によって分解されるARの変異体形態は、少なくとも二つのAR体細胞腫瘍変異を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、L702X、T878X、H875X、W742X、F877X、V716X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、L702X、T878X、H875X、W742X、F877X、V716X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外のアミノ酸残基を指し、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、プロリン(P)、グリシン(G)、セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、及びグルタミン酸(E)から選択される。
【0222】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外の任意のアミノ酸残基を指す。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875X、Q825X、T878X、F877X、V716X、T878X、W742X、D891X、M750X、及びS889Xのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択され、「X」は、その位置での野生型残基以外のアミノ酸残基を指し、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、プロリン(P)、グリシン(G)、セリン(S)、スレオニン(T)、システイン(C)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、チロシン(Y)、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、及びグルタミン酸(E)から選択される。
【0223】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、L702H、T878A、H875Y、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、E666K、Q799E、Q793E、Q118K、Y447N、S532Y、G751C、Q825E、L702H、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、E666K、Q799E、Q793E、Q118K、Y447N、S532Y、G751C、Q825E、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。
【0224】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、T878A、H875Y、H875L、Q825E、W742C、W742L、F877L、T878S、V716M、D891H、M750V、M750T、及びS889Gのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、H875Y、H875L、Q825E、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lのうちのいずれか一つ又は任意の組み合わせから選択される。
【0225】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、L702H、H875Y、T878A、F877L、V716M、T878S、W742C、及びW742Lから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
L702H及びH875Y;
L702H、T878A、及びH875Y;
T878A、F877L、L702H、及びV716M;
T878S、及びH875Y;
T878S及びW742C;
W742C及びW742L;及び
L702H及びT878A。
【0226】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
L702H及びH875Y;
L702H、T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、L702H、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;
W742C及びW742L;及び
L702H及びT878A。
【0227】
いくつかの実施形態では、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異は、以下の変異の群から選択される:
T878A、及びH875Y;
H875L及びQ825E;
T878A、F877L、及びV716M;
T878A、M750T、及びD891H;
T878S、及びH875Y;
T878A及びT878S;
T878S及びW742C;
W742C及びW742L。
【0228】
いくつかの実施形態では、本開示は、タンパク質を介して調節される病態又は状態を、それを必要とする患者を治療する方法であって、当該タンパク質の分解がその患者に治療効果をもたらす方法を対象とし、当該方法は、有効量の式(I)の化合物を、任意選択的に、別の生物活性剤(例えば抗癌剤)と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む。病態又は状態は、微生物体、又は例えばウイルス、細菌、真菌、原虫若しくはその他の微生物などの他の外来性主体により引き起こされる疾患であってもよく、又は病態及び/若しくは状態が生じるタンパク質の過剰発現により引き起こされる病態であってもよい。
治療法
【0229】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象に、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグの治療有効量を投与することを含む、癌を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0230】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象に、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグの治療有効量を、任意で一つ又は複数の追加の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、癌を治療及び/又は予防する方法に関する。
【0231】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象における前立腺癌の治療方法に関し、前立腺癌を有する対象は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化46】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0232】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象における前立腺癌の治療方法に関し、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化47】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである。
【0233】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象における前立腺癌の治療方法に関し、前立腺癌を有する対象は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化48】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
但しX
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHであり、治療有効量の式(I)の化合物は約35mg~約1000mgである。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0234】
一態様では、本出願は、それを必要とする対象における前立腺癌の治療方法に関し、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含み、
方法は、対象に、治療有効量の式(I)の化合物、
【化49】
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
但しX
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHであり、治療有効量の式(I)の化合物は約35mg~約1000mgである。
【0235】
本明細書に記載される、癌を治療する方法は、腫瘍サイズの縮小を含む。別の方法として、又は追加的に、癌は転移性癌であり、本治療方法は、転移性癌細胞浸潤の阻害を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、前立腺の腺癌である。
【0237】
いくつかの実施形態では、癌は、転移性前立腺癌である。
【0238】
いくつかの実施形態では、癌は、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0239】
いくつかの実施形態では、癌は、転移性、去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。
【0240】
いくつかの実施形態では、前立腺癌(例えば、mCRPC)に罹患している対象は、対象のARバイオマーカー状態、すなわち、対象がARに対する一つ又は複数の体細胞腫瘍変異を有するかどうかに応じて、化合物(I)、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体若しくはプロドラッグを用いた治療に対して異なる応答を有することになる。
【0241】
いくつかの実施形態では、前立腺癌を有する対象は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともL702Hの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともT878Aの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともH875Yの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともH875Lの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともW742Cの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともQ825Eの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともW742Lの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともF877Lの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともT878Sの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともV716Mの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともD891Hの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともM750Vの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともM750Tの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくともS889Gの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、前立腺癌を有する対象は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異L702H及びH875Yを含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878A及びH875Yの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、H875L及びQ825Eの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、L702H、T878A、及びH875Yの少なくとも三つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878A、F877L、L702H、及びV716Mの少なくとも四つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878A、M750T、及びD891Hの少なくとも三つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878A、F877L、及びV716Mの少なくとも三つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878S及びH875Yの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、T878S及びW742Cの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、W742C及びW742Lの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、L702H及びT878Aの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異を含む。
【0244】
一態様では、本出願は、前立腺癌患者の亜集団における前立腺癌を治療する方法であって、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物、
【化50】
又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグを患者に投与することと、を含む方法に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3及びX
4の少なくとも二つはCHである。
【0245】
一態様では、本出願は、前立腺癌患者の亜集団における前立腺癌を治療する方法であって、
治療のために前立腺癌を有する対象を選択することであって、対象の前立腺癌が、少なくとも一つの体細胞AR変異を含む、選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物、
【化51】
又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグを患者に投与することと、を含む方法に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
治療有効量の式(I)の化合物は、約35mg~約1000mgである。
【0246】
一態様では、本出願は、前立腺癌患者の亜集団における前立腺癌を治療する方法であって、
対象の体細胞AR腫瘍バイオマーカー状態に基づいて、治療のために前立腺癌患者を選択することと、
治療有効量の式(I)の化合物、
【化52】
又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグを患者に投与することと、を含む方法に関し、式中、
R
1は、水素、CN、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、水素、ハロ、又はC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、水素又はハロであり、
X
1は、CH又はNであり、
X
2は、CH又はNであり、
X
3は、CH又はNであり、
X
4は、CH又はNであり、
nは、0又は1であり、
ただし、X
1、X
2、X
3、及びX
4の少なくとも二つはCHであり、
治療有効量の式(I)の化合物は、約35mg~約1000mgである。
【0247】
いくつかの実施形態では、前立腺癌(例えば、mCRPC)に罹患している対象のARバイオマーカー状態は、対象の循環腫瘍DNA(ctDNA)を通して決定することができる(Ledet,E.M.et al.The Oncologist,2019;24:1-7、これはあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。前立腺癌に罹患している対象のARバイオマーカー状態を決定するための代替的な方法は、蛍光in situハイブリダイゼーション、免疫組織化学、PCR分析、又はシーケンシングを含むが、これらに限定されない。
【0248】
いくつかの実施形態では、前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異は、対象の循環腫瘍DNA(ctDNA)の分析を介して決定することができる。前立腺癌の体細胞AR腫瘍変異を決定するための代替的な方法は、蛍光in situハイブリダイゼーション、免疫組織化学、PCR分析、又はシーケンシングを含むが、これらに限定されない。
【0249】
いくつかの実施形態では、前立腺癌を罹患している対象のARバイオマーカー状態は、対象に由来する血液サンプルで決定される。
【0250】
いくつかの実施形態では、前立腺癌に罹患している対象のARバイオマーカー状態は、対象の腫瘍に由来する固体生検で決定される。
【0251】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0252】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、L702Hの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0253】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878Aの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0254】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、H875Yの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0255】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、H875Lの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0256】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、Q825Eの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0257】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、W742Cの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0258】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、W742Lの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0259】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、F877Lの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0260】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878Sの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0261】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、V716Mの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0262】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、D891Hの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0263】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、M750Vの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0264】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、M750Tの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0265】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、S889Gの少なくとも一つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0266】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0267】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、L702H及びH875Yの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0268】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、L702H、T878A、及びH875Yの少なくとも三つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0269】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878A及びH875Yの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0270】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878A、F877L、L702H、及びV716Mの少なくとも四つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0271】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878A、F877L、及びV716Mの少なくとも三つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0272】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878S及びH875Yの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0273】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、H875L及びQ825Eの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0274】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878A及びT878Sの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0275】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、T878S及びW742Cの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0276】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、W742C及びW742Lの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0277】
いくつかの実施形態では、前立腺癌患者は、L702H及びT878Aの少なくとも二つの体細胞AR腫瘍変異の存在に基づいて治療のために選択される。
【0278】
一態様では、本出願は、前立腺癌を式(I)の化合物で治療することに関し、式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物:
【化53】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体若しくはプロドラッグを指し、式中、R
1、R
2、R
3、X
1、X
2、X
3及びX
4ならびにnが本明細書に定義される。いくつかの実施形態では、癌は、転移性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は去勢抵抗性(castrate-resistant)又は去勢抵抗性(castration-resistant)前立腺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、転移性、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0279】
一態様では、本出願は、前立腺癌を式(I)の化合物で治療することに関し、式(I)の化合物は、
【化54-1】
【化54-2】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグからなる群から選択される。
【0280】
一態様では、本出願は、前立腺癌を式(I)の化合物で治療することに関し、式(I)の化合物は、
【化55-1】
【化55-2】
からなる群から選択される。
【0281】
いくつかの実施形態では、癌は、転移性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は去勢抵抗性(castrate-resistant)又は去勢抵抗性(castration-resistant)前立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は転移性、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0282】
一態様では、本出願は、別の抗癌剤と組み合わせて、式(I)の化合物で前立腺癌を治療することに関し、式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物:
【化56】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、溶媒和物、多形体、同位体誘導体、若しくはプロドラッグを指し、式中、R
1、R
2、R
3、X
1、X
2、X
3及びX
4ならびにnが本明細書に定義される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-g)の化合物である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-j)の化合物である。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-k)の化合物である。
【0283】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物と別の抗癌剤との組み合わせで治療される前立腺癌は、転移性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物と別の抗癌剤との組み合わせで治療される前立腺癌は、去勢抵抗性又は去勢抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物と別の抗癌剤との組み合わせで治療される前立腺癌は、転移性、去勢抵抗性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、他の抗癌剤は、アビラテロン又はその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、他の抗癌剤はアビラテロン酢酸エステルである。
【0284】
一態様では、がんの治療は、腫瘍のサイズの縮小をもたらす。腫瘍のサイズの縮小は又、「腫瘍退縮」と呼んでもよい。好ましくは、治療後、腫瘍サイズは、治療前のそのサイズに対して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍サイズが10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、さらにより好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは、75%以上減少する。腫瘍のサイズは、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、腫瘍のサイズは、腫瘍の直径として測定されてもよい。
【0285】
別の態様では、癌の治療は、腫瘍体積の縮小をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍体積は、治療前にそのサイズに対して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍体積が10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、さらにより好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは、75%以上減少する。腫瘍体積は、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。
【0286】
別の態様では、癌の治療は、腫瘍の数の減少をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍数は、治療前のその数に対して5%以上減少し、より好ましくは、腫瘍数が10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、さらにより好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは、75%以上減少する。腫瘍の数は、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、腫瘍の数は、肉眼か又は指定された倍率で見ることができる腫瘍を計数することによって測定され得る。好ましい態様では、指定された倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又は50倍である。
【0287】
別の態様では、癌の治療は、原発腫瘍部位から離れた他の組織又は臓器における転移性病変の数の減少をもたらす。好ましくは、治療後、転移性病変の数は、治療前のその数に対して5%以上減少し、より好ましくは、転移性病変の数が10%以上減少し、より好ましくは、20%以上減少し、より好ましくは、30%以上減少し、より好ましくは40%以上減少し、さらにより好ましくは50%以上減少し、最も好ましくは、75%以上減少する。転移性病変の数は、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、転移性病変の数は、肉眼か又は指定された倍率で見ることができる転移性病変を計数することによって測定され得る。好ましい態様では、指定された倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又は50倍である。
【0288】
別の態様では、癌の治療は、担体単独を投与された集団と比較して、治療を受けた対象の集団の平均生存期間の増加をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日超、より好ましくは60日超、より好ましくは90日超、最も好ましくは120日超増加する。集団の平均生存期間の増加は、任意の再現性のある手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性剤又は化合物を用いた治療開始後の生存の平均の長さを、集団について計算することによって測定されてもよい。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性剤又は化合物を用いた一次治療の完了後の生存の平均の長さを、集団について計算することによって測定されてもよい。
【0289】
別の態様では、癌の治療は、未治療の対象の集団と比較して、治療を受けた対象の集団の平均生存期間の増加をもたらす。好ましくは、平均生存期間は30日超、より好ましくは60日超、より好ましくは90日超、最も好ましくは120日超増加する。集団の平均生存期間の増加は、任意の再現性のある手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は、例えば、活性剤又は化合物を用いた治療開始後の生存の平均の長さを、集団について計算することによって測定されてもよい。別の好ましい態様では、集団の平均生存期間の増加は又、例えば、式(I)の化合物を用いた一次治療の完了後の生存の平均の長さを、集団について計算することによって測定されてもよい。
【0290】
別の態様では、癌の治療は、腫瘍増殖速度の低下をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍増殖速度は、治療前の数に対して少なくとも5%減少し、より好ましくは、腫瘍増殖速度は、少なくとも10%減少し、より好ましくは、少なくとも20%減少し、より好ましくは、少なくとも30%減少し、より好ましくは、少なくとも40%減少し、より好ましくは、少なくとも50%減少し、さらにより好ましくは、少なくとも50%減少し、最も好ましくは、少なくとも75%減少する。腫瘍増殖速度は、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、腫瘍増殖速度は、単位時間当たりの腫瘍直径の変化に従って測定される。
【0291】
別の態様では、癌の治療は、腫瘍再増殖の減少をもたらす。好ましくは、治療後、腫瘍再増殖は5%未満、より好ましくは腫瘍再増殖は10%未満、より好ましくは20%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは50%未満、さらにより好ましくは50%未満、最も好ましくは75%未満である。腫瘍再増殖は、任意の再現性のある測定手段によって測定されてもよい。好ましい態様では、腫瘍再増殖は、例えば、治療後に腫瘍が縮小した後の腫瘍の直径の増加を測定することによって測定される。別の好ましい態様では、腫瘍再増殖の減少は、治療が停止した後の腫瘍の再発の失敗によって示される。
【0292】
本明細書に記載される方法及び使用のいずれかに対する式(I)の化合物の用量は、薬剤、レシピエント対象の年齢、体重、及び臨床状態、ならびに選択された用量に影響を与える他の要因の中でも特に、療法を施す臨床医又は施術者の経験及び判断に応じて変化する。
【0293】
式(I)の化合物の治療有効量は、一日に一回又は複数回、最長で30日以上投与され、続いて式(I)の化合物の1日又は複数日の非投与とされ得る。このタイプの治療スケジュール、すなわち、連続日での式(I)の化合物の投与、続いて連続日での式(I)の化合物の非投与は、治療サイクルと呼んでもよい。治療サイクルは、意図される作用を達成するために必要なだけ何回でも繰り返され得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、又は1,000mgを、一日に一回、二回、三回、四回、若しくはそれを超える回数で、一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日、八日、九日、十日、十一日、十二日、十三日、十四日、十五日、三十日連続して投与されるか、又は一日に一回、二回、三回、四回若しくはそれを超える回数で、一回量又は分割用量を、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、又はそれ以上投与される。
【0295】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回、二回、三回、四回、又はそれを超える回数で、単回又は分割用量で投与される、約10~約40mg、約20~約50mg、約30~約60mg、約40~約70mg、約50~約80mg、約60~約90mg、約70~約100mg、約80~約110mg、約90~約120mg、約100~約130mg、約110~約140mg、約120~約150mg、約130~約160mg、約140~約170mg、約150~約180mg、約160~約190mg、約170~約200mg、約180~約210mg、約190~約220mg、約200~約230mg、約210~約240mg、約220~約250mg、約230~約260mg、約240~約270mg、約250~約280mg、約260~約290mg、約270~約300mg、約280~約310mg、約290~約320mg、約300~約330mg、約310~約340mg、約320~約350mg、約330~約360mg、約340~約370mg、約350~約380mg、約360~約390mg、約370~約400mg、約380~約410mg、約390~約420mg、約400~約430mg、約410~約440mg、約420~約450mg、約430~約460mg、約440~約470mg、約450~約480mg、約460~約490mg、約470~約500mg、約480~約510mg、約490~約520mg、約500~約530mg、約510~約540mg、約520~約550mg、約530~約560mg、約540~約570mg、約550~約580mg、約560~約590mg、約570~約600mg、約580~約610mg、約590~約620mg、約600~約630mg、約610~約640mg、約620~約650mg、約630~約660mg、約640~約670mg、約650~約680mg、約660~約690mg、約670~約700mg、約680~約710mg、約690~約720mg、約700~約730mg、約710~約740mg、約720~約750mg、約730~約760mg、約740~約770mg、約750~約780mg、約760~約790mg、約770~約800mg、約780~約810mg、約790~約820mg、約800~約830mg、約810~約840mg、約820~約850mg、約830~約860mg、約840~約870mg、約850~約880mg、約860~約890mg、約870~約900mg、約880~約910mg、約890~約920mg、約900~約930mg、約910~約940mg、約920~約950mg、約930~約960mg、約940~約970mg、約950~約980mg、約960~約990mg、又は約970~約1,000mgである(用量は患者の体重(kg)、体表面積(m2)及び年齢(歳)に対して調整され得る)。
【0296】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約35mg~約1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回、二回、三回、四回、又はそれを超える回数で、単回又は分割用量で投与される、約35mg~約1000mgである(この用量は、患者の体重(kg)、体表面積(m2)、及び年齢(歳)に対して調整され得る)。
【0297】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回、二回、三回、四回、又はそれを超える回数で、単回又は分割用量で投与される、約70mg~約1000mgである(この用量は、患者の体重(kg)、体表面積(m2)、及び年齢(歳)に対して調整され得る)。
【0298】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約35mg、70mg、105mg、140mg、175mg、210mg、245mg、280mg、315mg、350mg、385mg、420mg、455mg、490mg、525mg、560mg、595mg、630mg、665mg又は700mgを、一日一回、二回、三回、四回、又はそれを超える回数で、単回又は分割用量で投与することである(この用量は、患者の体重(kg)、体表面積(m2)、及び年齢(年)に対して調整され得る)。
【0299】
式(I)の化合物の治療有効量は又、一日当たり約0.01mg/kg~一日当たり約100mg/kgの範囲であってもよい。一態様では、式(I)の化合物の治療有効量は、一日当たり約0.05mg/kg~一日当たり約10mg/kgの範囲であってもよい。一態様では、式(I)の化合物の治療有効量は、一日当たり約0.075mg/kg~一日当たり約5mg/kgの範囲であってもよい。一態様では、式(I)の化合物の治療有効量は、一日当たり約0.10mg/kg~一日当たり約1mg/kgの範囲であってもよい。一態様では、式(I)の化合物の治療有効量は、一日当たり約0.20mg/kg~一日当たり約0.70mg/kgの範囲であってもよい。
【0300】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日当たり約0.10mg/kg、一日当たり約0.15mg/kg、一日当たり約0.20mg/kg、一日当たり約0.25mg/kg、一日当たり約0.30mg/kg、一日当たり約0.35mg/kg、一日当たり約0.40mg/kg、一日当たり約0.45mg/kg、一日当たり約0.50mg/kg、一日当たり約0.55mg/kg、一日当たり約0.60mg/kg、一日当たり約0.65mg/kg、一日当たり約0.70mg/kg、一日当たり約0.75mg/kg、一日当たり約0.80mg/kg、一日当たり約0.85mg/kg、一日当たり約0.90mg/kg、一日当たり約0.95mg/kg、又は一日当たり約1.00mg/kgである。
【0301】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日当たり約1.05mg/kg、一日当たり約1.10mg/kg、一日当たり約1.15mg/kg、一日当たり約1.20mg/kg、一日当たり約1.25mg/kg、一日当たり約1.30mg/kg、一日当たり約1.35mg/kg、一日当たり約1.40mg/kg、一日当たり約1.45mg/kg、一日当たり約1.50mg/kg、一日当たり約1.55mg/kg、一日当たり約1.60mg/kg、一日当たり約1.65mg/kg、一日当たり約1.70mg/kg、一日当たり約1.75mg/kg、一日当たり約1.80mg/kg、一日当たり約1.85mg/kg、一日当たり約1.90mg/kg、一日当たり約1.95mg/kg、又は一日当たり約2.00mg/kgである。
【0302】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日当たり約2mg/kg、一日当たり約2.5mg/kg、一日当たり約3mg/kg、一日当たり約3.5mg/kg、一日当たり約4mg/kg、一日当たり約4.5mg/kg、一日当たり約5mg/kg、一日当たり約5.5mg/kg、一日当たり約6mg/kg、一日当たり約6.5mg/kg、一日当たり約7mg/kg、一日当たり約7.5mg/kg、一日当たり約8.0mg/kg、一日当たり約8.5mg/kg、一日当たり約9.0mg/kg、一日当たり約9.5mg/kg、又は一日当たり約10mg/kgである。
【0303】
いくつかの実施形態では、治療有効量の式(I)の化合物は、一日一回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のこの一日用量は、対象に全て一度に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のこの一日用量は、対象に二回に分けて(分割用量)で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のこの一日用量は、対象に三回に分けて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のこの一日用量は、対象に四回に分けて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のこの一日用量は、対象に五回に分けて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、これら分割投与は、例えば、12時間ごと、8時間ごと、6時間ごと、5時間ごと、4時間ごとなど、一日を通して一定の間隔で対象に投与される。
【0304】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約3,500ng*時間/mL、約3,550ng*時間/mL、約3,600ng*時間/mL、約3,650ng*時間/mL、約3,700ng*時間/mL、約3,750ng*時間/mL、約3,800ng*時間/mL、約3,850ng*時間/mL、約3,900ng*時間/mL、約3,950ng*時間/mL、約4,000ng*時間/mL、4,050ng*時間/mL、約4,100ng*時間/mL、約4,150ng*時間/mL、約4,200ng*時間/mL、4,250ng*時間/mL、約4,300ng*時間/mL、約4,350ng*時間/mL、約4,400ng*時間/mL、約4,450ng*時間/mL、約4,500ng*時間/mL、約4,550ng*時間/mL、約4,600ng*時間/mL、約4,650ng*時間/mL、約4,700ng*時間/mL、約4,750ng*時間/mL、約4,800ng*時間/mL、約4,850ng*時間/mL、約4,900ng*時間/mL、約4,950ng*時間/mL、約5,000ng*時間/mL、5,050ng*時間/mL、約5,100ng*時間/mL、約5,150ng*時間/mL、約5,200ng*時間/mL、約5,250ng*時間/mL、約5,300ng*時間/mL、約5,350ng*時間/mL、約5,400ng*時間/mL、約5,450ng*時間/mL、約5,500ng*時間/mL、約5,550ng*時間/mL、約5,600ng*時間/mL、約5,650ng*時間/mL、約5,700ng*時間/mL、約5,750ng*時間/mL、約5,800ng*時間/mL、約5,850ng*時間/mL、約5,900ng*時間/mL、5,950ng*時間/mL、又は約6,000ng*時間/mL、6,050ng*時間/mL、約6,100ng*時間/mL、約6,150ng*時間/mL、約6,200ng*時間/mL、約6,250ng*時間/mL、約6,300ng*時間/mL、約6,350ng*時間/mL、約6,400ng*時間/mL、約6,450ng*時間/mL、約6,500ng*時間/mL、約6,550ng*時間/mL、約6,600ng*時間/mL、約6,650ng*時間/mL、約6,700ng*時間/mL、約6,750ng*時間/mL、約6,800ng*時間/mL、約6,850ng*時間/mL、約6,900ng*時間/mL、6,950ng*時間/mL又は約7,000ng*時間/mL、7,050ng*時間/mL、約7,100ng*時間/mL、約7,150ng*時間/mL、約7,200ng*時間/mL、約7,250ng*時間/mL、約7,300ng*時間/mL、約7,350ng*時間/mL、約7,400ng*時間/mL、約7,450ng*時間/mL、約7,500ng*時間/mL、約7,550ng*時間/mL、約7,600ng*時間/mL、約7,650ng*時間/mL、約7,700ng*時間/mL、約7,750ng*時間/mL、約7,800ng*時間/mL、約7,850ng*時間/mL、約7,900ng*時間/mL、7,950ng*時間/mL、又は約8,000ng*時間/mL、8,050ng*時間/mL、約8,100ng*時間/mL、約8,150ng*時間/mL、約8,200ng*時間/mL、約8,250ng*時間/mL、約8,300ng*時間/mL、約8,350ng*時間/mL、約8,400ng*時間/mL、約8,450ng*時間/mL、約8,500ng*時間/mL、約8,550ng*時間/mL、約8,600ng*時間/mL、約8,650ng*時間/mL、約8,700ng*時間/mL、約8,750ng*時間/mL、約8,800ng*時間/mL、約8,850ng*時間/mL、約8,900ng*時間/mL、8,950ng*時間/mL又は約9,000ng*時間/mLの15日目平均AUC0-24をもたらす。
【0305】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療有効量は、約250ng/mL、約255ng/mL、約260ng/mL、約265ng/mL、約270ng/mL、約275ng/mL、約280ng/mL、約285ng/mL、約290ng/mL、約295ng/mL、約300ng/mL、約305ng/mL、約310ng/mL、約315ng/mL、約320ng/mL、約325ng/mL、約330ng/mL、約335ng/mL、約340ng/mL、約345ng/mL、約350ng/mL、約355ng/mL、約360ng/mL、約365ng/mL、約370ng/mL、約375ng/mL、約380ng/mL、約385ng/mL、約390ng/mL、約395ng/mL、約400ng/mL、約405ng/mL、約410ng/mL、約415ng/mL、約420ng/mL、約425ng/mL、約430ng/mL、約435ng/mL、約440ng/mL、約445ng/mL、約450ng/mL、約455ng/mL、約460ng/mL、約465ng/mL、約470ng/mL、約475ng/mL、約480ng/mL、約485ng/mL、約490ng/mL、約495ng/mL又は約500ng/mLの15日目平均Cmaxをもたらす。
【0306】
式(I)の化合物の治療有効量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタ、のいずれかで最初に推定され得る。又動物モデルを使用して、適切な濃度範囲及び投与経路を決定してもよい。次いで、こうした情報を使用して、ヒトにおける投与のための有用な用量及び経路を決定することができる。治療的/予防的効果及び毒性は、細胞培養又は実験動物での標準的な薬学的手順、例えばED50(集団の50%における治療有効用量)及びLD50(集団の50%に対する致死用量)により決定することができる。毒性と治療効果の間の用量比は治療の指標であり、LD50/ED50比として表され得る。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。用量は、採用された剤形、患者の感受性、及び投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。
【0307】
用量及び投与は、式(I)の化合物の十分なレベルを提供するように、あるいは所望の効果を維持するように調整される。考慮され得る因子としては、病態の重症度、対象の全般的健康、対象の年齢、体重、及び性別、食事、投与の時間と頻度、薬物の組み合わせ、反応感受性、ならびに療法に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス率に応じて、3~4日ごと、毎週、又は二週間ごとに投与され得る。
【0308】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物と他の抗癌剤の組み合わせで前立腺癌を治療する方法について、式(I)の化合物の治療有効量が本明細書に記載され、他の抗癌剤の治療有効量は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、又は1,000mgを、一日に一回、二回、三回、四回、若しくはそれを超える回数で、一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日、八日、九日、十日、十一日、十二日、十三日、十四日、十五日、三十日連続して投与されるか、又は一日に一回、二回、三回、四回若しくはそれを超える回数で、一回量又は分割用量を、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、又はそれ以上投与される。いくつかの実施形態では、他の抗癌剤は、アビラテロン又はその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、他の抗癌剤はアビラテロン酢酸エステルである。
【0309】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物とアビラテロン又はその薬学的に許容可能な塩の組み合わせで前立腺癌を治療する方法について、式(I)の化合物の治療有効量が本明細書に記載され、アビラテロン又はその薬学的に許容可能な塩の治療有効量は、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、又は1,000mgを、一日に一回、二回、三回、四回、若しくはそれを超える回数で、一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日、八日、九日、十日、十一日、十二日、十三日、十四日、十五日、三十日連続して投与されるか、又は一日に一回、二回、三回、四回若しくはそれを超える回数で、一回量又は分割用量を、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、又はそれ以上投与される。いくつかの実施形態では、アビラテロンはアビラテロン酢酸エステルである。
【0310】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物とアビラテロン酢酸エステルとの組合せで前立腺癌を治療する方法について、式(I)の化合物の治療有効量は本明細書に記載されており、アビラテロン酢酸エステルの治療有効量は、1,000mgを、一日一回、一日、二日、三日、四日、五日、六日、七日、八日、九日、十日、十一日、十二日、十三日、十四日、十五日、三十日間以上連続して、一回量又は分割用量で経口投与される。いくつかの実施形態では、アビラテロン酢酸エステルは、5mgのプレドニゾンと組み合わせて、一日二回経口投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及びアビラテロン酢酸エステルの組み合わせは、絶食状態でそれを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、式(I)の化合物及びアビラテロン酢酸エステルの組み合わせの投与の少なくとも二時間前、及び少なくとも一時間後に食事をしない。
【0311】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び他の抗癌剤は、対象に同時に投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び他の抗癌剤は、対象に順次投与される。
【0312】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物及び他の抗癌剤は、対象に時間的に近接して投与される。
【0313】
いくつかの実施形態では、「時間的近接性」とは、式(I)の化合物の治療効果が他の抗癌剤の治療効果と重複するように、式(I)の化合物の投与を、他の抗癌剤の投与の前又は後の一定期間内に行うことを意味する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の治療効果が、他の抗癌剤の治療効果と完全に重複している。いくつかの実施形態では、「時間的近接性」とは、式(I)の化合物と他の抗癌剤との間に相乗効果があるように、式(I)の化合物の投与を、他の抗癌剤の投与の前又は後の一定期間内に行うことを意味する。
【0314】
「時間的近接性」は、限定されないが、治療薬を投与される対象の年齢、性別、体重、遺伝的背景、健康状態、病歴及び治療歴;治療又は軽減される疾患又は状態;達成される治療転帰;治療薬の用量、投与回数及び投与期間;治療薬の薬物動態及び薬力学;及び治療薬が投与される経路を含む、様々な要因に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、「時間的近接性」とは、15分以内、30分以内、一時間以内、二時間以内、四時間以内、六時間以内、八時間以内、12時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、一週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、6週間以内、又は8週間以内を意味する。いくつかの実施形態では、一つの治療薬の複数回投与は、別の治療薬の単回投与に時間的近接性で行われ得る。一部の実施形態では、時間的近接性は、治療サイクルの間、又は投与レジメン内で変化し得る。
医薬組成物
【0315】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、経口投与のために製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、乳化剤、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、滑剤及び潤滑剤のうちのゼロ、一つ、二つ又はそれ以上を含む錠剤として製剤化される。
【0316】
いくつかの実施形態では、乳化剤は、ヒプロメロースである。
【0317】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ビタミンEポリエチレングリコールスクシナートである。
【0318】
いくつかの実施形態では、結合剤(本明細書では充填剤とも呼ぶ)は、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、スクロース、グルコース、及びソルビトールからなる群から選択される。
【0319】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0320】
いくつかの実施形態では、流動促進剤は、粒子間凝集を低減することによって粉末の流れを促進するために使用される物質を指す。いくつかの実施形態では、本開示の剤形では、流動促進剤は、二酸化ケイ素、無水シリカコロイド、デンプン、及びタルクからなる群から選択される。
【0321】
いくつかの実施形態では、滑沢剤は、本開示の剤形の調製に使用される機械において、成分が固着及び/又は凝集することを防ぐ物質を指す。いくつかの実施形態では、本開示の剤形において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、及び植物性ステアリンからなる群から選択される。
【0322】
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖剤製造(dragee-making)、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスの手段による、一般的に知られている様式で製造され得る。医薬組成物は、式(I)の化合物を、薬学的に使用することができる調製物に加工することを容易にする、賦形剤及び/又は補助剤を含む、一つ又は複数の薬学的に許容可能な担体を使用して、従来的な様式で製剤化され得る。当然のことながら、適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0323】
注射用に好適な医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液、及び滅菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与については、好適な担体として、生理食塩水、静菌水、クレモホールEL(商標)(BASF、ニュージャージ州パーシッパニー)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は、滅菌状態でなければならず、容易に注射可能である程度に流体でなければならない。それは製造及び保管の条件下で安定し、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して守られなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物を含有する、溶媒又は分散媒とすることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合に必要な粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射可能な組成物の吸収延長は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0324】
滅菌注射用溶液は、式(I)の化合物を、上記で列挙された成分の一つ又は組み合わせを伴う適切な溶媒中に、必要量で組み込み、必要に応じて、その後にろ過滅菌することによって調製することができる。概して、分散液は、活性剤又は化合物を、基本的な分散媒と、上記で列挙したものから必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥であり、事前に滅菌ろ過したその溶液から活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0325】
経口組成物は一般に、不活性希釈剤又は食用の薬学的に許容可能な担体を含む。それらはゼラチンカプセルで封入されてもよく、又は錠剤に圧縮されてもよい。経口治療投与の目的で、式(I)の化合物は、賦形剤と組み合わせ、錠剤、トローチ又はカプセルの形態で使用することができる。経口組成物は又、マウスウォッシュとして使用するための流体担体を使用して調製することができ、ここで、流体担体中の薬剤又は化合物は、経口的に適用され、口中をすすぎ、吐き出すか、又は飲み込まれる。薬学的に適合性のある結合剤及び/又はアジュバント物質を組成物の一部として含有させることができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分:微結晶性セルロース、トラガカントガム、若しくはゼラチンなどの結合剤;デンプン若しくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、デンプングリコール酸ナトリウム(プリモゲル(登録商標))若しくはトウモロコシデンプンなどの分散剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ香味料などの香味剤、あるいはそれらと同様の性質の化合物のうちのいずれかを含有することができる。
【0326】
吸入による投与については、薬剤又は化合物は、適切な推進剤、例えば二酸化炭素などのガスを含む加圧容器又はディスペンサー又はネブライザーから、エアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0327】
全身投与は又、経粘膜的手段又は経皮的手段によってもよい。経粘膜投与又は経皮投与については、浸透されるバリアに適切な浸透剤が製剤中に使用される。こうした浸透剤は、当該技術分野で一般的に知られており、例えば、経粘膜的投与については、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔スプレー又は座薬の使用によって達成され得る。経皮投与については、活性剤又は化合物は、当該技術分野で一般的に知られている軟膏、サルベ、ゲル又はクリームに製剤化される。
【0328】
一態様では、式(I)の化合物は、例えばインプラント及びマイクロカプセル化送達システムをはじめとする放出制御製剤など、身体からの急速な排出から薬剤又は化合物を保護する、薬学的に許容可能な担体で調製される。例えばエチレンビニル酢酸塩、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸など、生分解性で生体適合性のポリマーを使用することができる。こうした製剤の調製方法は、当分野の当業者には明らかであろう。
【0329】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞に標的化されたリポソームを含む)も、薬学的に許容可能な担体として使用され得る。これらは、例えば、米国特許第 4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調整され得る。
【0330】
投与の容易さ及び用量の均一性のために、経口組成物又は非経口組成物を単位剤形に製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、投与単位形態又は「単位用量」は、治療される対象に対する単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体に関連して所望の治療効果を生成するように計算された所定量の活性薬剤又は化合物を含有する。本出願の単位剤形の仕様は、式(I)の化合物の固有の特性及び達成される特定の治療効果によって決定され、かつそれらに直接依存する。
【0331】
医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、パック、又はディスペンサーに含まれ得る。
【0332】
式(I)の化合物の例示的な投与様式は、経口、鼻腔、非経口、経皮、皮下、膣、口腔、直腸、又は局所投与様式などの、全身投与又は局所投与を含む。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは水和物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、錠剤、カプセル、カプレット、溶液、懸濁液、シロップ、顆粒、ビーズ、粉末、又はペレットとして投与される。
【0333】
例示的な医薬組成物は、式(I)の化合物の塩及び薬学的に許容可能な担体を含む錠剤及びゼラチンカプセルであり、例えば、a)希釈剤、例えば、精製水、水素化又は部分的に水素化された植物油などのトリグリセリドオイル又はその混合物であって、トウモロコシ油、オリーブオイル、ヒマワリオイル、ベニバナ油、EPAやDHAなどのフィッシュオイル又はそのエステル若しくはトリグリセリド若しくはそれらの混合物、オメガ3脂肪酸又はその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコース及び/又はグリシン;b)潤滑剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、マグネシウム又はカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム及び/又はポリエチレングリコール;錠剤についても、c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、炭酸マグネシウム、グルコース又はベータラクトースなどの天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシアなどの天然及び合成ゴム、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム、ワックス及び/又はポリビニルピロリドン、必要に応じて、d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸又はそのナトリウム塩、又は発泡性混合物、e)吸収剤、着色剤、風味剤及び甘味剤、f)乳化剤又は分散剤、例えばTween 80、ラブラゾール、HPMC、DOSS、カプロイル909、ラブラファック、ラブラフィル、ペセオール、トランスカトール、capmul MCM、capmul PG-12、キャプテックス355、ゲルシレ、ビタミンE TGPS又は他の許容可能な乳化剤、及び/又はg)シクロデキストリンなどの塩の吸収を強化する薬剤、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、及び/又はPEG200を含む。
【0334】
式(I)の化合物又はその任意の塩若しくは水和物から医薬組成物を調製するために、不活性で薬学的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれかであってもよい。固体形態の調製物には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤及び座薬が含まれる。粉末及び錠剤は、約5~約95パーセントの活性成分からなってもよい。適切な固体担体は、当技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖又はラクトースである。錠剤、粉末、カシェ剤、及びカプセルは、経口投与に適した固形剤形として使用することができる。様々な組成物に対する薬学的に許容可能な担体及び製造方法の例は、A.Gennaro(ed.),Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,Pa.に見出すことができる。
【0335】
液体形態調製物には、溶液、懸濁液及び乳剤が含まれる。例えば、非経口注射のための水又は水-プロピレングリコール溶液、あるいは経口溶液、懸濁液、及び乳剤のための甘味剤及び乳白剤の添加。液体形態調製物は又、鼻腔内投与のための溶液を含んでもよい。
【0336】
液体、特に注射用の、組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製することができる。例えば、開示された塩は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒に溶解されるか、又はそれらと混合されて、それによって注射用等張性溶液又は懸濁液を形成する。アルブミン、カイロミクロン粒子又は血清タンパク質などのタンパク質を使用して、開示された化合物を可溶化することができる。
【0337】
非経口注射可能投与(parental injectable administration)は、皮下、筋肉内又は静脈内の注射及び注入に一般的に使用される。注射剤は、従来の形態で、注射前の液体中での溶解に適した、液体溶液若しくは懸濁液又は固体形態のいずれかとして調製することができる。
【0338】
吸入に適したエアロゾル調製物は、溶液及び粉末形態の固体を含んでもよく、これは、不活性圧縮ガス、例えば、窒素などの薬学的に許容可能な担体との組み合わせであってもよい。
【0339】
又、使用の直前に、経口又は非経口投与のいずれかのための液体形態調製物へと転換されることが意図される、固体形態調製物も含まれる。かかる液体形態には、溶液、懸濁液、及び乳剤が含まれる。
【0340】
意図される投与方法に応じて、開示される組成物は、例えば、注射用、錠剤、座薬、丸薬、徐放性カプセル、エリキシル、チンキ剤、乳剤、シロップ、粉末、液体、懸濁液などの固体、半固体、又は液体の剤形であってもよく、時には単位用量で、従来の医薬慣行と一致する。同様に、それらは又、静脈内(ボーラス及び注入の両方)、腹腔内、皮下又は筋肉内形態で投与されてもよく、すべては、医薬当業者に周知の形態を使用して投与されることができる。
【0341】
医薬組成物は、それぞれ、従来の混合、造粒又はコーティング方法に従って調製することができ、本医薬組成物は、重量又は容量で約0.1%~約99%、約5%~約90%又は約1%~約20%の本開示の塩を含有することができる。
【0342】
%w/wに基づいて示される、本明細書に記載の経口剤形、例えば錠剤、の任意の成分の全ての量は、別段の示唆がない限り、経口剤形の総重量を指す。
【実施例】
【0343】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明され、これは、本明細書に記述される特定の手順の範囲又は精神において本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。当然のことながら、実施例は、ある特定の実施形態を説明するために提供され、本開示の範囲に対する制限はそれによって意図されない。本開示の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にそれら自体を示唆し得る様々な他の実施形態、改変、及びその等価物に対して、手段を有してもよいことがさらに理解されるべきである。
【0344】
実施例1-化合物(I-g)を用いたインビトロ研究
化合物(I-g)は、例えば、VCaP細胞を含む、前立腺癌研究に典型的に使用される複数の細胞株において、アンドロゲン受容体(AR)の95%~98%を分解することが示された。(化合物(I-g)のVCaP中のDC
50は1nMである。)最大に近い分解が、化合物(I-g)の投与から4時間以内に観察された。化合物(I-g)は、エンザルタミドの約60倍強力なVCaP増殖を阻害する。(
図1)
【0345】
図2は、0.03nM、0.1nM、0.3nM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nM及び300nMの濃度の化合物(I-g)による治療に反応して、VCaP腫瘍細胞におけるARの減少を示す。
【0346】
実施例2-動物を用いたインビボ試験及び化合物(I-g)に対する前臨床有効性曝露範囲の評価
VCaP異種移植片動物モデルにおいて、化合物(I-g)を用いて前臨床動物試験を実施した。VCaPは、前立腺癌の脊椎転移性増殖に由来した。これは、臨床的前立腺癌の特徴の多くを示すため、インビボ試験に望ましい細胞株である。VCaPは又、AR拮抗薬に対する抵抗を促進することが示されているARスプライスバリアントを発現するため、AR抵抗性を研究するのに有用なモデルである。(European Urology.2018年4月;73(4):572-582)
【0347】
0.1mg/kg(mpk)、0.3mg/kg、1mg/kg及び3mg/kgの用量での化合物(I-g)の一日一回の経口投与を、去勢VCaP異種移植片モデルで実施した(
図3)。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0348】
1mg/kg、3mg/kg、10mg/kgの用量での化合物(I-g)の一日一回の経口投与を、インタクト(去勢されていない)VCaP異種移植片モデルで実施した(
図4)。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0349】
3mg/kg及び10mg/kgの用量での化合物(I-g)の一日一回の経口投与を、エンザルタミド抵抗性VCaP異種移植片モデルで実施した(
図5)。エンザルタミド(20mg/kg)及びビヒクルも対照群として使用した。
【0350】
1mg/kg及び3mg/kgの用量での化合物(I-g)の一日一回の経口投与の薬物動態結果を以下の表1に示す。1mg/kgの化合物(I-g)の用量は、VCaP異種移植片におけるエンザルタミドよりも優れている最低用量である。化合物(I-g)の3mg/kgの用量は、エンザルタミド抵抗性VCaPモデル(対照群と比較して70%の腫瘍増殖阻害)における最小有効量であった。
【0351】
図6は、10mg/kg及び3mg/kgの化合物(I-g)の投与(経口、一日一回)に反応して、エンザルタミド抵抗性VCaP腫瘍におけるARの減少を示す。
【表1】
【0352】
実施例3-化合物(I-g)及びアビラテロンを用いたインビボ動物試験
化合物(I-g)とアビラテロンとの組み合わせは、去勢したVCaP異種移植片において、どちらかの薬剤単独よりも腫瘍増殖を有意に減弱した。
【0353】
実施例4-毒性研究
動物に、化合物(I-g)を一日一回、28日間経口投与し、その後、高用量投与動物は14日間の回復期間を経た。
【0354】
イヌでは、一日一回、3mg/kg、10mg/kg又は30mg/kgの化合物(I-g)の経口投与がなされた。30mg/kgの用量は、最大耐量を超えていると判断された。胃腸の変化は、すべての用量レベル(ビヒクル単独を含む)で観察された。有害ではないとみなされる可逆的な肝機能酵素上昇が、一部の中用量及び高用量の動物で観察された。雄動物は前立腺重量の減少を示し、これは化合物(I-g)の薬理学に起因する可能性がある。
【0355】
雄ラットでは、一日一回、20mg/kg、60mg/kg又は120mg/kgの化合物(I-g)の経口投与がなされた。雌ラットでは、一日一回、20mg/kg、40mg/kg又は120mg/kgの化合物(I-g)の経口投与がなされた。
【0356】
全体として、80mg/kgの雌コホートを除いて、化合物(I-g)はすべての用量で忍容性良好であった。これらのラットは体重が減り、食物の消費量が減少した。雄の高用量ラットにおける所見はすべて完全に可逆的であった(肝肥大、大腿骨骨端軟骨の肥厚)。雄ラットは前立腺重量の減少を示し、これは化合物(I-g)の薬理学に起因する可能性がある。
【0357】
実施例5-化合物(I-g)を用いた第I相臨床試験研究設計
化合物(I-G)を用いた第I相臨床試験が実施された。従来の3+3用量漸増設計が実装された。化合物(I-g)の開始用量は、35mgを食物と共に一日一回、経口投与した。用量増加は毒性に依存した。
【0358】
この試験の主要な基準は、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)を有する男性、少なくとも二つの過去の全身療法、そのうちの少なくとも一つはアビラテロン又はエンザルタミドであり、最新の療法での疾患進行(例えば、PSAの上昇又は骨スキャンによる二つ以上の新しい病変)であった。
【0359】
この試験の主要目的は、化合物(I-g)の最大耐量及び推奨される第II相試験用量を得ることであった。追加の目的には、化合物(I-g)、薬物動態、抗腫瘍活性(例えば、PSA、RECIST)、及びバイオマーカー、例えば、CTC及び治療前後の生検におけるAR分解(利用可能な場合)、ctDNAにおけるAR(及び他の)遺伝子変異、増幅、ならびにCTCにおけるAR-V7の全体的な安全性の評価が含まれた。
【0360】
実施例6-第I相薬物動態データ-化合物(I-g)の経口投与
第I相臨床試験では、化合物(I-g)は、35mg/日、70mg/日及び140mg/日の用量で経口投与された。140mg/日の化合物(I-g)を用いた治療が、腫瘍増殖阻害に関連する前臨床の有効範囲に入ることが観察された。
【0361】
初期薬物動態結果を、以下の表2及び
図7に示し、これは、15日目の投与後の24時間の期間にわたる、三つの試験された用量(35mg/日、70mg/日、及び140mg/日)すべてに対する化合物(I-g)の平均濃度を表す。
【表2】
【0362】
実施例7-化合物(I-g)を用いた第I相用量漸増研究
化合物(I-g)を、35mg/日、70mg/日、140mg/日及び280mg/日の用量で、ヒト対象に経口投与した(n=22)。
【0363】
35mg/日コホート(n=3)では、用量制限毒性は観察されず、グレード2、3又は4の有害事象は観察されなかった。
【0364】
70mg/日コホート(n=4)では、用量制限毒性は観察されなかった。一名の患者がグレード2の有害事象(下痢、疲労、嘔吐)を経験した。一名の患者は、化合物(I-g)の投与とは関連のないグレード3の有害事象(貧血)を経験した。
【0365】
140mg/日コホート(n=8)では、用量制限毒性は観察されなかった。50%の患者がグレード2の有害事象を経験し、1名の患者がグレード3の有害事象(リンパ球数の減少)を経験した。これらの結果には、このコホート群において評価不能と判断され、1日目に治療を中止した患者一名は含まれていない。
【0366】
280mg/日コホート(n=7)では、一名の患者が用量制限毒性及び腎不全を経験し、5名の患者がグレード2以下の有害事象を経験した。
【0367】
実施例8-MCRPC患者における治療前レベルからの血漿PSAの最良変化率の評価、及び化合物(I-g)の経口投与後のバイオマーカーステータスのその後の評価
患者二十名に、35mg/日、70mg/日、140mg/日又は280mg/日の用量で化合物(I-g)を経口投与した。二十名の患者のそれぞれについて、治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を
図8に提供する。患者19(右から二番目のバー)及び患者20(右端のバー)は、化合物(I-g)での治療後に少なくとも50%のPSA減少を示した。
【0368】
140mg/日以上の用量で化合物(I-g)を経口投与した十二名の患者のARバイオマーカー状態を評価した。
図9は、これらの12名の患者のARバイオマーカー状態を、血漿PSAレベルの最良の変化率と共に示す。異なるARバイオマーカー状態を有する患者は、化合物(I-g)を用いた治療に対して異なる応答を有した。例えば、T878A及びH875Y AR変異の両方を有する患者19(右から二番目のバー)及び患者20(右端バー)が、治療後にPSAの少なくとも50%の減少を有する、本試験における唯一の患者であった。
【0369】
患者19及び患者20の主要な特徴を
図10及び
図11Aそれぞれにまとめる。
図11Bは、化合物(I-g)による治療前の患者20の腫瘍のCTスキャンを示す。
図11Cは、4サイクル後の患者20の腫瘍のCTスキャンを示し、RECIST反応を示す。
【0370】
実施例9-第I相薬物動態データ-化合物(I-g)の経口投与
化合物(I-g)を、35mg/日、70mg/日、140mg/日及び280mg/日の用量で経口投与した。140mg/日及び280mg/日の用量の化合物(I-g)を用いた治療が、腫瘍増殖阻害に関連する前臨床の有効範囲に入ることが観察された。(
図12)15日目の投与後の24時間の期間にわたる化合物(I-g)の平均血漿濃度を、四回すべての試験された用量(35mg/日、70mg/日、140mg/日及び280mg/日)について
図13に提供する。
【0371】
実施例10-ARバイオマーカー研究
図14は、化合物(I-g)を投与されたmCRPC患者28人のウォーターフォールプロットである。循環腫瘍DNA又は循環腫瘍細胞に存在するAR遺伝子の分子状態を、各患者について決定した。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。AR-V7は、ARのスプライスバリアントである。増幅とは、AR遺伝子の増幅を指す。
【0372】
図15は、各患者の化合物(I-g)を投与後、AR T878/H875変異を有するmCRPC患者5名におけるPSA検査結果の最良の変化率を示すウォーターフォールプロット及び各患者から単離された循環腫瘍DNA又は循環腫瘍細胞にそれぞれ存在するAR遺伝子の分子状態である。各バーは、一名の患者の治療前レベルからの血漿PSAの最良の変化率を表す。AR-V7は、ARのスプライスバリアントである。(AR-V7状態は、3名の患者で入手できなかった。)
【0373】
PSA値は、腫瘍の不均一性が著しい場合でも、対象の80%(4/5)で30%以上低下した。50%以上のPSA低下が、患者の40%(2/5)で観察された。一名の患者(写真)では、80%のPSA低下が観察された。
【0374】
したがって、AR T878/H875変異を有する患者は、化合物(I-g)に特に感受性である患者のサブグループを表しうる。
【0375】
現在進行中のmCRPC治療における化合物(I-g)の投与を評価する第I/II相臨床試験において、化合物(I-g)投与前に観察された循環腫瘍DNA中のAR遺伝子の分子状態と循環腫瘍細胞中のAR-V7スプライスバリアントの発現、及び各患者について観察されたベースライン値からの前立腺血清抗原(PSA)検査の最良の変化量が決定された。データを表3(第I相)及び表4(第II相)に要約する。表に含まれた全第I/II相患者は、AR状態について評価可能であり、1ヵ月以上の前立腺特異的抗原(PSA)追跡期間があった。第I相試験では、総投与量が420mg以上であったか、マウス前立腺癌異種移植モデルにおける腫瘍増殖抑制効果を評価した非臨床試験に基づき、化合物(I-g)の曝露量が最小有効閾値以上であった患者が示された。
【表3-1】
【表3-2】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0376】
均等物
当業者は、ほんのわずかな通例の実験により、本明細書に具体的に記載の特定の実施形態についての多くの均等物を認識するであろうし、又は確かめることができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0377】
本開示の方法は、特定の好ましい実施形態に言及することにより、本明細書に記述されている。しかしながら、本明細書に記載する開示に基づいて、その特定の変形が当業者に明らかになるであろうが、本開示はそれに限定されと見なされるべきではない。
【0378】
別途定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書及び特許請求の範囲において、単数形は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形も含む。
【0379】
当然のことながら、本開示の説明の少なくとも一部は、本開示の明確な理解に関連する要素に焦点を当てるように簡略化されているが、明確にするために、当業者が理解する他の要素を排除することが、本開示の一部を構成してもよい。しかしながら、こうした要素は当該技術分野で周知であり、必ずしも本開示のより良好な理解を促進するものではないため、こうした要素の説明は本明細書に提供されない。
【0380】
さらに、方法が本明細書に明記される工程の特定の順序に依存しない限りにおいて、請求項に列挙される工程の特定の順序は、その請求項に対する制限として解釈されるべきではない。
【0381】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、参考文献、及び刊行物は、その全体が記載されているかのように、参照によって完全に組み込まれる。そのような文書は、本開示の先行技術であるとは認められない。
【配列表】
【国際調査報告】