(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】高炉からガス試料を採取する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/24 20060101AFI20231212BHJP
【FI】
C21B7/24
C21B7/24 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535008
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021082837
(87)【国際公開番号】W WO2022128377
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020133545.8
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510103130
【氏名又は名称】ティーエムティー タッピング-メジャリング-テクノロジー ゲゼルシャフトミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TMT Tapping-Measuring-Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フライマン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ピータン ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4K015
【Fターム(参考)】
4K015KA01
4K015KA04
(57)【要約】
高炉からガス試料を採取する装置は、炉室からガス試料を採取するための複数の取出口(34)であって、炉室の外側に配置されかつ採取したガス試料を分析する分析ユニットに接続するための貯蔵ユニット(42)に接続された、取出口(34)を有し、かつ高炉の炉室内において装入物表面(18)上に配置された棒状のプローブ(33)と、炉室の外側に配置され、かつプローブ(33)を炉室の中及び炉室の外に移動可能にする前進ユニットと、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉からガス試料を採取する装置であって、
炉室からガス試料を採取するための複数の取出口(34)であって、前記炉室の外側に配置されかつ採取したガス試料を分析する分析ユニット(44)に接続するための貯蔵ユニット(42)に接続された、取出口を有し、前記高炉の前記炉室内において装入物表面(18)の上側に配置された棒状のプローブ(33)と、
前記炉室の外側に配置され、前記プローブ(33)を前記炉室の中及び前記炉室の外に移動可能にする前進ユニット(37)と、を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記プローブ(33)は、垂直軸(15)と前記炉室の外縁(29)との間に前記プローブ(33)が少なくとも部分的に延在するように、前記炉室内の径方向に配置されたサンプリング位置に位置することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記プローブ(33)は、前記炉室内において、水平面内に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の装置において、
前記貯蔵ユニット(42)は、互いに独立して動作可能なバルブ(45)によって共通の前記分析ユニット(44)に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の装置において、
前記ガス試料を採取する前記装置は、前記炉室内の温度測定用の装置(26)を含む装置構成の構成要素を形成することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
温度測定用の前記装置(26)は、測定面(30)内の温度分布が測定されるように、共通の前記測定面(30)において、前記炉室の外縁(29)に配置された音響送信機/受信機構成(28)を備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
前記プローブ(33)は、温度測定用の前記装置(26)の前記測定面(30)内又は前記測定面(30)に隣接する水平面(27)内に延びていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置において、
前記ガス試料を採取する前記装置及び温度測定用の前記装置(26)は、前記高炉の前記装入物表面(18)の形状を測定する装置を含む装置構成の構成要素を形成することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、
前記装入物表面の形状を測定する装置は、炉蓋(13)の領域に配置されたアンテナ装置(22)を有するレーダユニット(20)を備え、
前記アンテナ装置(22)は、垂直軸(15)に対して傾斜角αだけ傾斜した回転軸(24)上に配置されるとともに、前記アンテナ装置(22)のレーダ放射により形成されるレーダファン(49)が、輪郭線Pに沿って前記装入物表面(18)に入射して、前記アンテナ装置(22)の回転の間に前記装入物表面(18)を通過するように、駆動ユニットにより前記回転軸(24)周りに回転可能であることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置によってガス試料を採取する方法であって、
前記プローブ(33)は、前記炉室の外側の待機位置から前記炉室内のサンプリング位置に径方向に移動され、
その後、ガス試料は、前記炉室内に配置された前記取出口(34)を介して採取されて、前記貯蔵ユニット(42)に貯蔵され、
その後、前記貯蔵ユニット(42)に貯蔵されたガス試料は、前記分析ユニット(44)で連続的に分析されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記ガス試料は、同時に採取されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法において、
温度とガス組成との間の線形依存性は、前記プローブ(33)のサンプリング位置において前記分析ユニット(44)により測定された前記ガス組成を、請求項6に係る装置により、前記サンプリング位置(34)で測定された温度に割り当てることにより、プロセッサユニットを用いて、前記プローブ(33)に沿って測定され、
所定位置の前記ガス組成は、温度分布と重畳された前記ガス組成の分布が測定面(30)内で測定されるように、前記測定面(30)内の前記所定位置で測定された温度分布に基づいて、温度と前記ガス組成との間の関数依存性に従って前記プロセッサユニットによって決定されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記プロセッサユニットは、前記ガス組成の分布と重畳された温度分布に、請求項9に係る装置により測定された、前記装入物表面(18)の形状に関する値を重畳するために用いられることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高炉からガス試料を採取する装置に関し、該装置は、炉室からガス試料を採取するための複数の取出口であって、炉室の外側に配置されかつ採取したガス試料を分析する分析ユニットに接続するための貯蔵ユニットに接続された、取出口を有し、高炉の炉室内において装入物表面の上側に配置された棒状のプローブと、炉室の外側に配置され、プローブを炉室内に移動させて、炉室の外に出すことを可能にする前進ユニットと、を有する。本発明はさらに、そのような装置によってガス試料を採取するための方法に関し、プローブは炉室の外側の待機位置から炉室内のサンプリング位置に径方向に移動され、その後、ガス試料は、炉室内に配置された取出口を介して採取されて、貯蔵ユニットに貯蔵され、その後、貯蔵ユニット内に貯蔵されたガス試料は、分析ユニット内で分析される。
【背景技術】
【0002】
生産性、排出物の削減及び資源管理に関する高炉技術に対する要求の増加により、進行中のプロセスを制御及び追跡するための高度な測定装置の使用が必要とされている。還元プロセスから上昇するガスの温度の測定は、従来は熱電対により一点ずつ可能なだけであったが、そうこうしているうちに、出願人によって商標名TMT-SOMAで提供されかつ測定システムの配置に起因する装入物表面の上側に画定された測定面内の2次元温度分布を送達する音響測定システムによって実行されるようになっている。
【0003】
高炉で行われるプロセスは、本質的には、炉容器内に配置されかつ高炉装入物を形成するコークス及び鉱石の層化の組成によって定義され、高炉の装入は層を形成するために行われ、鉱石、コークス及びポテンシャルフラックスは、装入の間は、高炉の上部を通って炉室内に導入される。高炉の垂直軸周りに回転可能でありかつ「回転シュート」という専門用語で呼ばれる装入装置は、装入を実現するために使用され、該装入装置は、できる限り正確に画定された層を実現しかつそれにより再現可能な高炉プロセスを達成するために、垂直軸に対する傾斜を調整可能な装入傾斜部を有する。
【0004】
この目的のために、装入物表面の形状をできる限り正確に決定することが必要であり、この場合、出願人によって商標名3DTopScanで提供されるレーダユニットを使用することが知られているが、これは表面形状の測定を不可能にする。
【0005】
高炉プロセスの本質的なパラメータの1つは、装入物から上昇する高炉ガスのガス組成であり、炉室の炉壁に取り外せないように設置されかつ装入物の上側に配置された測定ロッドを用いてガス試料を採集することにより、ガス組成を測定することが知られている。ガス試料を採取するために、測定ロッドには、炉室の外側に配置された分析ユニットにパイプラインを介してそれぞれ接続された複数の取出口が設けられ、異なる取出口を介して炉室から採取された各ガス試料の分析は、個々の取出口にそれぞれ割り当てられた独立した分析ユニットで実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既知の測定ロッドは、炉壁に取り外せないように設置された測定ロッドと回転シュートとの衝突を防ぐことができるように、炉に装入するのに必要な回転シュートの下に配置される。しかしながら、前述の相対的な配置では、回転シュートを介して炉室に導入された物質と測定ロッドとの衝突が頻発し、この衝突は、適用可能であれば、測定ロッドのアライメントを下方に傾斜させることによって、実際に減衰させることができるが、いずれの場合にも、測定ロッドは、繰り返し衝突によって摩耗してしまう。
【0007】
他の欠点は、個々の取出口が分離した分析ユニットにそれぞれ接続されているため、既知の装置の動作が、装置における相応に高い支出に関連しているという所に見ることができる。
【0008】
本発明は、高炉からガス試料を採取する装置を提案するという目的に基づいており、この装置は一方では無衝突運転を可能にし、他方では、試料分析を実行する装置における比較的低い費用を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する本発明の装置により達成される。
【0010】
本発明に係る高炉からガス試料を採取する装置は、前記炉室からガス試料を採取するための複数の取出口であって、炉室の外側に配置されかつ採取したガス試料を分析する分析ユニットに接続するための貯蔵ユニットに接続された、取出口を有し、高炉の炉室内において装入物表面の上側に配置された棒状のプローブと、炉室の外側に配置され、プローブを炉室の中及び炉室の外に移動可能にする前進ユニットと、を有する。
【0011】
炉室の外側に配置された前進ユニットにより、炉室の中及び炉室の外に移動可能な棒状のプローブを有する装置の設計は、高炉の装入マトリクスと協調して炉室内でプローブを使用すること、すなわち、装入休止の間において炉室内にプローブを単に一時的に配置することを可能にし、これにより、装入の間に炉室内に導入された材料とプローブとの衝突を防止することができる。さらに、それぞれの取出口に貯蔵ユニットを割り当てることで、個々のガス試料を独立して中間貯蔵することができ、これにより、それぞれのガス試料はサンプリングと直接時間的に関連した各取出口に割り当てられた分析ユニットによって分析される必要はなく、むしろ、試料貯蔵ユニットにそれぞれ貯蔵されたガス試料は、単一の分析ユニットによって連続的に分析され得る。したがって、単一の分析ユニットは、取出口を介して炉室から採取された全てのガス試料を連続的に分析するのに十分である。
【0012】
サンプリング位置では、プローブは、垂直軸と炉室の外縁との間にプローブが少なくとも部分的に延在するように、好ましくは炉室内の径方向に配置され、これにより、垂直軸に対する取出口の位置は、炉室の外縁上におけるプローブの配置が画定された状態で、プローブの長手方向座標によってのみ画定される。
【0013】
プローブが、他の測定装置、特に、複数の音響送信機/受信機構成を有する温度測定用の装置の配置によって画定される水平測定面内に、又は測定面に少なくとも隣接しかつ平行に配置される水平面内に配置され得るように、プローブを水平に炉室内に配置すると特に有利である。これにより、温度などの測定面内で測定された変数を、同じ面内又は測定面の少なくとも近傍で測定されたガス組成の値と重畳させることができる。
【0014】
貯蔵ユニットは、好ましくは、ガス試料のそれぞれの分析の時間シーケンスが、プローブの取出口によるガス試料の同時サンプリングとは独立して、ユーザによって任意に定義することができるように、互いに独立して作動するバルブを介して共通の分析ユニットに接続されている。
【0015】
ガス試料を採取する装置が炉室内の温度を測定する装置を備える装置構成の構成要素を形成するときには、ガス組成の測定及びガス試料のサンプリングを規定された測定時間で行うことができ、これにより、各取出口で測定された各ガス組成とサンプリング場所における温度との割り当ては、ガス試料の分析が測定時間とは無関係に分析ユニットで実行された後に実行することができる。
【0016】
温度測定用の装置が、共通の測定面内における炉室の外縁に、すなわち測定面内の温度分布が測定されるように配置された複数の音響送信機/受信機構成を有することが特に好ましい。
【0017】
プローブが、温度測定用の装置の測定面内、又は測定面に隣接する水平面内に延在するときには、ガス試料のサンプリング中の取出口の位置に対応する位置における温度に対する、プローブによって測定されるガス組成値の割り当ては、測定面によって画定される装入物表面からの距離で実行することができる。
【0018】
ガス試料を採取する装置及び温度測定用の装置が、高炉内の装入物表面の形状を決定する装置を含む装置構成の構成要素を形成するときには、温度測定によって決定された温度及びプローブによって決定されたガス組成値は、装入物表面からの測定面の垂直距離により割り当てられた形状値と組み合わせることができ、これにより、高炉プロセスの3つの異なるパラメータ、すなわち、温度、ガス組成及び形状は、プロセスの本質的に対応する時間で決定され得るようになる。
【0019】
装入物表面全体の形状は、装入物表面の形状を測定するためのデバイスが、炉蓋の領域に配置されたアンテナ装置を有するレーダユニットを備えるときには、ほとんど動作労力なく決定することができ、アンテナ装置は、高炉の垂直軸に対して傾斜角αだけ傾斜した回転軸上に配置されるとともに、アンテナ装置のレーダ放射により形成されるレーダファンが、輪郭線に沿って装入物表面に入射して、アンテナ装置の回転の間に装入物表面を通過するように、駆動ユニットにより回転軸周りに回転することができる。
【0020】
本発明の装置によってガス試料を採取するための本発明の方法では、プローブは、炉室の外側の待機位置から炉室内のサンプリング位置に径方向に移動され、次に、ガス試料は、炉室内に配置された取出口を介して採取されて、貯蔵ユニット内に貯蔵され、その後、貯蔵ユニット内に貯蔵されたガス試料は、分析ユニットで連続的に分析される。
【0021】
ガス試料は、好ましくは、全てのガス試料の組成が、異なる取出口を介して炉室から採取された各ガス試料の連続的な分析にもかかわらず、プロセスの対応する時間に測定され得るように、同時に採取される。
【0022】
温度とガス組成物との間の関数線形依存性は、好ましくは、プローブのサンプリング位置において分析ユニットにより測定されたガス組成を、請求項6に係る装置によってサンプリング位置で測定された温度に割り当てることにより、プロセッサユニットを用いて、プローブに沿って測定され、所定位置のガス組成は、温度分布と重畳されたガス組成の分布が測定面内で測定されるように、測定面内の所定位置で測定された温度分布の温度に基づいて、温度とガス組成との間の関数依存性に従ってプロセッサユニットによって決定される。
【0023】
ガス温度及びガス組成の直接の割り当ては、高炉プロセスの対応する制御のための基礎を形成し、高炉プロセスにおける不規則性は、高炉への被害が生じ得る前に制御が介入できるように、特に早い段階で検出され得る。
【0024】
これに関連して、温度測定用の装置に加えて設けられた、装入物表面の形状を測定する装置によって測定される装入物表面の形状値を、ガス組成の分布と重畳された温度分布に重畳するのにプロセッサユニットを使用することが特に有利であり、これにより、対応する追加プロセスのパラメータに関する情報が高炉プロセスのさらに意図的な制御が可能になり、例えば、対応する位置における鉱物の装入が、装入物表面の凹部の領域における過熱を防止するために、高温の領域及び高い発熱量を有するガス組成の領域における装入物表面の局所凹部に対して実行される。
【0025】
本発明の装置の実施形態及びこの装置を用いて実施することができる方法の実施形態を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、炉容器の上部の炉壁に配置された、ガス試料を採取する装置を備えたシャフト炉の断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1においてシャフト炉の上部に配置された、ガス試料を採取する装置のプローブの概略図であって、前記プローブが分析ユニットに接続されたものを示す。
【
図3】
図3は、ガス試料を採取する装置に加えて、炉室内の温度測定用の装置及び装入物表面の形状を測定する装置を含む装置構成を有する、
図1に示される炉容器の部分的な断面の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本質的に、下側炉部分11と、上側炉部分12と、炉蓋13とからなるシャフト炉10を示し、この場合、回転シュート14の形態で実現される装入装置は、炉蓋に一体化されるとともに、回転シュート14の漏斗開口部16に追従しかつ垂直軸15に対する傾斜を調整可能な装入傾斜部17を、所定の方法で位置決めできるように、シャフト炉10の垂直軸15を中心として旋回可能である。
【0028】
回転シュート14は、
図1に詳細には示されていないコークス層及び装入層を高炉10に交互に装入し、再現可能な高炉プロセスを達成するために、可能な限り正確に画定された層を実現することが試みられている。この目的のために、炉室内に形成された装入物表面18の形状をできるだけ正確に測定することが必要である。
【0029】
装入物表面18を検査するために、レーダユニット20が、炉蓋13の領域における上側炉部分12の炉壁19内の装入物表面18の上側に配置され、レーダユニット20のハウジング21は、炉壁19を貫通する。アンテナ装置22は、ハウジング21内に配置されるとともに、回転軸24を中心に回転可能でありかつキャリアシャフト25を介して図示しない駆動ユニットによって駆動可能なアンテナキャリア23上に配置される。
【0030】
回転軸24は、垂直軸15に対して角度αだけ傾斜していて、ほぼ装入物表面18との交点Sにおいて垂直軸15と交差する。アンテナ装置22は、レーダ放射の主軸方向Hが回転軸24と本質的に一致するとともに、アンテナ装置22のビーム開口角βが、シャフト炉10の輪郭線Pに沿って装入物表面18に作用することができるレーダファン49を形成するのに十分な大きさとなるように、設計される。この例では、周縁ビームを有するレーダファン49が形成される。レーダファン49は、アンテナ装置22が回転軸24を中心に360°回転する間、装入物表面18全体を通過する。
図1によると、回転軸24を中心としたレーダユニット20の回転は、回転シュート14の位置にかかわらず、回転シュート14との衝突のリスクなしに行うことができる。
【0031】
図1及び
図3の概要は特に、シャフト炉10が、レーダユニット20に加えて、その上側炉部分12に温度測定装置26を備えることを示し、温度測定装置は、水平面27内に、炉壁19によって形成された炉室の外縁29上に配置されかつ水平面27内に形成された測定面30内の温度分布を測定する複数の音響送信機/受信機構成28を有する。
【0032】
この例では、送信機/受信機構成28は、マイクロフォンの形態の受信機によって受信される音響信号を発する、図示しないスピーカの形態の送信機を有する。
図3は、送信機/受信機構成28の送信機と、反対側の送信機/受信機構成28の受信機との間に信号経路31を有する例示的な送信機/受信機構成28を示し、信号経路は測定面30を画定する。信号経路31に沿った音響信号の信号伝搬時間は、下側炉部分11に配置された鉱石の還元中に装入物表面18の上側に形成される高炉ガスの温度に依存するので、信号経路31に沿った高炉ガスの平均温度は、信号伝搬時間から決定することができる。送信機/受信機構成28の間に形成される全ての信号経路31を重ね合わせることで、適切なアルゴリズムに基づいて測定面30内の所与の温度分布を測定することができ、これにより、例えば、特にレーダユニット20によって決定された装入物表面18の形状を考慮して、ホットスポットを検出したり、高炉プロセスのプロセス制御のための測定を意図的に開始したりすることができる。そのようなホットスポットが、周囲の装入物表面18と比較して装入レベルが大幅に低下した装入物表面18の領域に割り当てられるときには、例えば、そのような測定は、コークスの還元温度の上昇効果を一時的に低減し、それによって装入物表面の対応する位置での温度を低下させるために、不釣り合いに大量の鉱石でこのホットスポットを意図的に装入させることから構成され得る。
【0033】
図1は、シャフト炉10が本実施例において、レーダユニット20及び温度測定装置26を備えるだけでなく、その上側炉部分12上にガスサンプリング装置32を備えることを示し、ガスサンプリング装置は、シャフト炉10の炉室内の装入物表面18の上側に配置されかつ炉室からガス試料を採取ための複数の取出口34を備える棒状のプローブ33を有する。ガスサンプリング装置32は、炉室の外側、この場合は高炉プラットフォーム35上に配置されたフレーム36を有するとともに、プローブ33を炉室の中と炉室の外とに移動させることができる前進ユニット37を備える。炉壁19を気密に貫通させるために、炉壁19には、ソフトグランドパッキンを備えた高炉接続片38が配置されており、この接続片はさらに、プローブ33全体が炉室の外側に配置されるときに、炉室を密閉するための遮断弁48を有する。
【0034】
図1によれば、プローブは、
図1に示されたサンプリング位置において、炉室内に径方向に配置され、プローブ33は、温度測定装置26の測定面30に隣接する水平面39に延在し、これにより、温度測定装置26による測定は、該当する場合、プローブ33が図示されたサンプリング位置に位置するときにも、プローブ33が温度測定装置26の信号経路31に沿った信号伝送を損なうことなく行われ得る。
【0035】
プローブ33は、本例ではプローブ33の長さに亘って等距離に分布する取出口34が装入物表面18によって形成される円形領域の半径rに沿って装入物表面18を覆うように、炉室内に配置される。
図1に示す例示的な実施形態では、先端の取出口34は、装入物表面18の中心Mを定義するシャフト炉10の垂直軸15上に位置し、近傍の取出口34は、取出口34が装入物表面18の定義された表面点P1からP6までに割り当てられるように、炉壁19のすぐ近くに位置する。
【0036】
図2は、取出口34を有するプローブ33の概略図を示し、この場合、取出口34は、プローブ本体40の下面に形成されていて、流体ライン41を介してプローブ本体40の外面に配置された貯蔵ユニット42にそれぞれ接続されている。各貯蔵ユニット42は、次に、流体ライン43を介して分析ユニット44に接続され、バルブ45は、取出口34を介して炉室から取り出されかつ貯蔵ユニットに貯蔵されたガス試料を、個々のガス試料のガス組成を分析するために互いに独立して分析ユニット44に供給できるように、流体ライン43にそれぞれ設けられている。
【0037】
図2に示されるプローブ33は、取出口34の数に対応する数のガス試料を同時に採取することができ、ガス試料は、貯蔵ユニット42内に互いに独立して貯蔵され得る。別のバルブ46は、ガス試料の各ガス組成を、炉室の中又は炉室の外のプローブ33の配置とは無関係にかつサンプリングの時間とは無関係に決定できるようにするために、貯蔵ユニット42の上流にそれぞれ配置される。プローブ33が炉室の外側に配置されている間に流体ライン41のフラッシングを可能にして、それによりプローブ33による連続的なサンプリングプロセス中に、ガス試料が以前のガス試料の残留物によって影響を受けることを防止するために、バルブ46は、フラッシングガスを供給するための第2接続部47を備える。
【0038】
図3は、温度測定装置26によって温度分布が測定される測定面30若しくは測定面30に密接に隣接する、プローブ33又はプローブ33の取出口34の定義された配置によって、温度とガス組成との間の依存性が、プローブ33の範囲に沿って、この場合は測定面30の半径rに沿って、線形関数の形成で表され得るように、取出口34の位置で高炉ガスから採取されたガス試料と、取出口34の位置で測定された高炉ガスの温度との間の定義された割り当てが可能であることを明らかにする。温度とガス組成との間の既知の依存性に基づいて、高炉ガスのガス組成は、温度測定装置26によって測定される高炉ガス温度に依存して、測定面30内の任意の位置で決定することができる。
【国際調査報告】