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特表2023-552839レイトレーシングに基づく好ましい眼内レンズの選択
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】レイトレーシングに基づく好ましい眼内レンズの選択
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20231212BHJP
   A61B 3/117 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
A61F2/16
A61B3/117
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535023
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 IB2021059477
(87)【国際公開番号】W WO2022123340
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,333
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ハンター ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ジールク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アルフレッド キャンピン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン グリュンディヒ
(72)【発明者】
【氏名】ダニール ネクラソブ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C316
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB10
4C097CC01
4C097SA01
4C097SA10
4C316AA03
4C316AA06
4C316AA08
4C316AA13
4C316AA24
4C316AA25
4C316AA28
4C316AB14
4C316FC21
4C316FY05
(57)【要約】
眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択するためのシステム及び方法は、プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラを含む。コントローラは、眼モデルとして眼の術前解剖学的データを記憶するように適合された診断モジュールと通信する。コントローラは、予測モジュールを介して、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの代入術後変数を特定するように構成される。それぞれの代入術後変数を眼モデルに組み込むことにより、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルが生成される。レイトレーシングモジュールがそれぞれの偽水晶体眼モデルで実行されて、複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定する。それぞれのメトリックの比較に基づいて、好ましい眼内レンズが選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択するためのシステムであって、
プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラ、
前記コントローラと通信し、且つ眼モデルとして前記眼の術前解剖学的データを記憶するように適合された診断モジュール、
前記コントローラによって選択的に実行可能であり、且つ前記術前解剖学的データに部分的に基づいて、前記眼のそれぞれの代入術後変数を特定するように適合された予測モジュール、
前記コントローラによって選択的に実行可能であり、且つ前記眼を通した光の伝播を計算するように適合されたレイトレーシングモジュール
を含み、前記コントローラは、
前記診断モジュールを介して、前記眼の前記術前解剖学的データを取得することと、
前記予測モジュールを介して、複数の眼内レンズの各々の前記それぞれの代入術後変数を特定することと、
前記それぞれの代入術後変数を前記眼モデルに組み込むことにより、前記複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルを生成することと、
前記それぞれの偽水晶体眼モデルで前記レイトレーシングモジュールを実行して、前記複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定することと、
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックの比較に部分的に基づいて、前記複数の眼内レンズから前記好ましい眼内レンズを選択することと
を行うように構成される、システム。
【請求項2】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
光束が網膜上のスポットに達するまで、前記眼を通して後方に前記光束を伝播させることであって、前記光束は、角膜前面から前記眼に入る前に前記眼の光軸に平行である、伝播させることと、
前記網膜上の前記スポットにおける前記光束の空間分布に基づいて、前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レイトレーシングモジュールは、550ナノメートルの波長の光に適用可能である、前記眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レイトレーシングモジュールは、スペクトルの可視部にわたる複数の波長に適用可能である、前記眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
瞳孔を十分に照明する特定の発散を有する光束を前記眼の中心窩上のスポットにおいて発生させることと、
前記光束が角膜前面から出るまで、前記眼を通して前方に前記光束を伝播させることと、
前記角膜前面から出た後の前記光束の空間分布に基づいて、前記それぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記術前解剖学的データは、前記眼の軸長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記術前解剖学的データは、前記眼の角膜前面及び角膜後面のそれぞれの場所及びそれぞれのプロファイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記術前解剖学的データは、三次元座標系における前記眼の瞳孔の場所、向き及びサイズを含み、前記瞳孔は、明順応条件下にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記眼の前記それぞれの代入術後変数は、前記複数の眼内レンズのそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記それぞれの代入術後変数は、瞳孔及び虹彩の少なくとも一方のそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックは、点拡散関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックは、変調伝達関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラを有するシステムを用いて、眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択する方法であって、
診断モジュールを介して、前記眼の術前解剖学的データを取得し、且つ眼モデルとして前記術前解剖学的データを記憶することと、
予測モジュールを介して、前記術前解剖学的データに部分的に基づいて、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの代入術後変数を特定することと、
前記コントローラを介して、前記それぞれの代入術後変数を前記眼モデルに組み込むことにより、前記複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルを生成することと、
前記眼を通した光の伝播を計算するようにレイトレーシングモジュールを適合させることであって、前記レイトレーシングモジュールは、前記コントローラによって選択的に実行可能である、適合させることと、
前記それぞれの偽水晶体眼モデルで前記レイトレーシングモジュールを実行して、前記複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定することと、
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックの比較に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の眼内レンズから前記好ましい眼内レンズを選択することと
を含む方法。
【請求項14】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
光束が網膜上のスポットに達するまで、前記眼を通して後方に前記光束を伝播させることであって、前記光束は、角膜前面から前記眼に入る前に前記眼の光軸に平行である、伝播させることと、
前記網膜上の前記スポットにおける前記光束の空間分布に基づいて、前記それぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レイトレーシングモジュールにおいて、550ナノメートルの波長の光に適用可能なそれぞれの屈折率を使用することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
前記眼の瞳孔を十分に照明する特定の発散を有する光束を前記眼の中心窩上のスポットにおいて発生させることと、
前記光束が角膜前面から出るまで、前記眼を通して前方に前記光束を伝播させることと、
前記角膜前面から出た後の前記光束の空間分布に基づいて、前記それぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記術前解剖学的データは、前記眼の軸長並びに前記眼の角膜前面及び角膜後面のそれぞれの場所及びそれぞれのプロファイルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記術前解剖学的データは、三次元座標法における前記眼の瞳孔の場所、向き及びサイズを含み、前記瞳孔は、明順応条件下にある、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記それぞれの代入術後変数は、前記複数の眼内レンズ、瞳孔及び虹彩の少なくとも2つのそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
点拡散関数及び変調伝達関数の少なくとも一方であるように前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックを選択することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼内に移植するための眼内レンズを選択するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、レイトレーシングに基づいて、複数の眼内レンズから好ましい眼内レンズを選択することに関する。一般に、ヒトの水晶体は、光が容易に通過し得るように透明である。しかしながら、様々な要因により、水晶体内の領域が混濁し、不透明になり、したがって視覚の質に悪影響を及ぼすことがある。このような状況は、白内障手術によって治療され得る。白内障手術では、患者の眼内に移植するための人工水晶体が選択される。実際に、白内障手術は、世界中で一般的に行われている。今日、モデル(例えば、異なる範囲の視覚を矯正する多焦点眼内レンズ)及び屈折力の両方に関して様々なタイプの眼内レンズが利用可能であるが、特定の患者にとって最適な選択がどのようなものであり得るかは、常に明確であるわけではない。更に、眼内レンズの屈折力計算式は、現在、眼内移植処方を推奨するために、限られた術前診断情報及び比較的単純な光学解析を用いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書に開示されるのは、対象の眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択するためのシステム及び方法である。システムは、プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラを含む。コントローラは、眼モデルとして眼の術前解剖学的データを記憶するように適合された診断モジュールと通信する。システムは、コントローラによって選択的に実行可能な予測モジュール及びレイトレーシングモジュールを含む。予測モジュールは、術前解剖学的データに部分的に基づいて、眼のそれぞれの代入術後変数を特定するように適合される。レイトレーシングモジュールは、眼を通した光の伝播を計算するように適合される。
【0003】
コントローラは、予測モジュールを介して、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの代入術後変数を特定するように構成される。それぞれの代入術後変数を眼モデルに組み込むことにより、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルが生成される。コントローラは、それぞれの偽水晶体眼モデルでレイトレーシングモジュールを実行して、複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定するように構成される。少なくとも1つのそれぞれのメトリックの比較に少なくとも部分的に基づいて、複数の眼内レンズから好ましい眼内レンズが選択される。それぞれのメトリックは、点拡散関数であり得る。それぞれのメトリックは、変調伝達関数であり得る。
【0004】
幾つかの実施形態では、レイトレーシングモジュールを実行することは、光束が網膜上のスポットに達するまで、眼を通して後方に光束を伝播させることを含み、光束は、角膜前面から眼に入る前に眼の光軸に平行である。ここで、それぞれのメトリックは、網膜上のスポットにおける光束の空間分布に基づき得る。レイトレーシングモジュールは、550ナノメートルの波長の光に適用可能である、眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合され得る。レイトレーシングモジュールは、スペクトルの可視部にわたる複数の波長に適用可能である、眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合され得る。
【0005】
幾つかの実施形態では、レイトレーシングモジュールを実行することは、瞳孔を十分に照明する特定の発散を有する光束を眼の中心窩上のスポットにおいて発生させることと、光束が角膜前面から出るまで、眼を通して前方に光束を伝播させることとを含む。ここで、それぞれのメトリックは、角膜前面から出た後の光束の空間分布に基づき得る。
【0006】
術前解剖学的データは、眼の軸長を含み得る。術前解剖学的データは、眼の角膜前面及び角膜後面のそれぞれの場所及びそれぞれのプロファイルを含み得る。術前解剖学的データは、三次元座標系における眼の瞳孔の場所、向き及びサイズを含み、瞳孔は、明順応条件下にある。眼のそれぞれの代入術後変数は、複数の眼内レンズのそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含み得る。それぞれの代入術後変数は、瞳孔及び虹彩の少なくとも一方のそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含み得る。
【0007】
本明細書に開示されるのは、プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラを有するシステムを用いて、眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択する方法である。方法は、診断モジュールを介して、眼の術前解剖学的データを取得し、且つ眼モデルとして術前解剖学的データを記憶することを含む。予測モジュールを介して、術前解剖学的データに部分的に基づいて複数の眼内レンズの各々のそれぞれの代入術後変数が特定される。
【0008】
方法は、コントローラを介して、それぞれの代入術後変数を眼モデルに組み込むことにより、複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルを生成することを含む。レイトレーシングモジュールは、眼を通した光の伝播を計算するように適合され、レイトレーシングモジュールは、コントローラによって選択的に実行可能である。方法は、それぞれの偽水晶体眼モデルでレイトレーシングモジュールを実行して、複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定することを含む。少なくとも1つのそれぞれのメトリックの比較に少なくとも部分的に基づいて、複数の眼内レンズから好ましい眼内レンズが選択される。
【0009】
本開示の上記の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、本開示を実施するための最良の態様の以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、コントローラ及びレイトレーシングモジュールを有する、眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択するためのシステムの概略図である。
図2図2は、図1のコントローラによって実行可能な方法の概略フローチャートである。
図3図3は、第1の実施形態による、図1のレイトレーシングモジュールの一実装形態例を示す概略図である。
図4図4は、第2の実施形態による、図1のレイトレーシングモジュールの一実装形態例を示す概略図である。
図5図5は、複数の眼内レンズの各点拡散関数グラフの概略図である。
図6図6は、複数の眼内レンズの各点拡散関数グラフの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照番号が同様の構成要素を指す図面を参照すると、図1は、対象14の眼Eへの移植に好ましい眼内レンズ12を選択するためのシステム10を概略的に示す。複数の眼内レンズ16から好ましい眼内レンズ12が選択される。図1を参照すると、システム10は、少なくとも1つのプロセッサPと、好ましい眼内レンズ12を選択するための方法100を実行するための命令が記録されている少なくとも1つのメモリM(又は有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体)とを有するコントローラCを含む。方法100を図2に示し、それを参照して以下に説明する。
【0012】
図1を参照すると、システム10は、眼モデル20として記憶された、眼Eの術前解剖学的データを記憶するように適合された診断モジュール18を含む。術前解剖学的データは、少なくとも1つの画像化デバイス22から取得し得る。システム10は、コントローラCによって選択的に実行可能な予測モジュール24及びレイトレーシングモジュール26を含み得る。予測モジュール24は、術前解剖学的データに少なくとも部分的に基づいて、眼Eの術後解剖学的パラメータを推測するように適合される。レイトレーシングモジュール26は、眼Eを通した光の伝播を計算するように適合される。
【0013】
図1を参照すると、システム10は、調査のために1組の眼内レンズ、即ち複数の眼内レンズ16についてのレイトレーシングモジュール26の出力を受信するレンズ選択モジュール28を含む。この情報により、臨床医は、視覚性能を最適化するのに最良のモデル及び/又は屈折力を選択することができる。概説として、システム10は、白内障手術をまさに受けようとしている眼Eの術前解剖学的データを入力し、予測モジュール24を介して複数の眼内レンズ16の各々のそれぞれの代入術後変数を特定する。それぞれの代入術後変数は、複数の眼内レンズ16の各々及び虹彩/瞳孔複合体の術後の場所及び向きを含む。
【0014】
図1を参照すると、それぞれの代入術後変数は、複数の眼内レンズ16の各々のそれぞれの偽水晶体眼モデル30を生成するために、眼モデル20に組み込まれる。コントローラCは、レイトレーシングモジュール26を実行して、それぞれの偽水晶体眼モデル30の少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定するように構成される。レイトレーシングモジュール26は、偽水晶体眼の集束性の査定を提供する。少なくとも部分的に、少なくとも1つのメトリック(以下、「少なくとも1つの」は省略される)の各々の比較に基づいて、複数の眼内レンズ16から好ましい眼内レンズ12が選択される。システム10は、偽水晶体眼の解剖学的構造に合致する網膜フォーカスをより正確に予測し、複数の眼内レンズ16からのよりよい選択に繋がるという技術的利点を提供する。
【0015】
図1を参照すると、システム10は、ユーザにより操作可能なユーザインタフェース32を含み得る。ユーザインタフェース32は、タッチスクリーン又は他の入力デバイスを含み得る。コントローラCは、ユーザインタフェース32及びディスプレイ(図示せず)への及びからの信号を処理するように構成し得る。
【0016】
図1に示されているように、システム10の様々な構成要素は、ネットワーク34を介して通信するように構成され得る。診断モジュール18、予測モジュール24、レイトレーシングモジュール26及びレンズ選択モジュール28は、コントローラCに組み込まれ得る。代替的に、診断モジュール18、予測モジュール24、レイトレーシングモジュール26及びレンズ選択モジュール28は、ネットワーク34を介してコントローラCがアクセス可能なリモートサーバ又はクラウドユニットの一部であり得る。ネットワーク34は、例えば、ローカルエリアネットワークの形態のシリアル通信バスなどの種々な方法で実装されたバスであり得る。ローカルエリアネットワークは、コントローラエリアネットワーク(CAN)、フレキシブルデータレート対応コントローラエリアネットワーク(CAN-FD)、イーサネット、WIFI、Bluetooth(登録商標)及び他のデータ接続形態を含み得るが、これらに限定されない。他の種類の接続が使用され得る。
【0017】
ここで、図2を参照して、好ましい眼内レンズ12を選択する方法100のフローチャートを示す。方法100は、図1のコントローラCにより完全又は部分的に実行可能であり得る。方法100は、本明細書に記載の特定の順序で適用される必要はない。更に、幾つかのブロックを省略し得ることが理解される。方法100は、ブロック110において開始する。
【0018】
図2のブロック110により、コントローラCは、眼Eの術前解剖学的データを取得するように構成され、これは、診断モジュール18に眼モデル20の一部として記憶される。術前解剖学的データは、バイオメトリックデータを含み得、少なくとも1つの画像化デバイス22から取得し得る。画像化デバイス22は、トポグラフィデバイス、超音波機、光干渉断層機、磁気共鳴画像化機又は当業者が利用できる他の画像化デバイスであり得る。術前解剖学的データは、単一の画像又は複数の画像から得ることができる。
【0019】
術前画像40の一例を図1に示す。術前画像40は、超音波生体顕微鏡法を介して取得され得る。超音波生体顕微鏡法は、約4mm~5mmの組織侵入深度を有する、約35MHz~100MHzの比較的高い周波数のトランスデューサを用い得る。図1を参照すると、術前解剖学的データは、生来の水晶体42及び虹彩44の各位置及び各向きを含む。向きは、XYZ座標系に対する傾きを含み得る。術前解剖学的データは、明順応条件下の瞳孔46の位置、向き及びサイズを含む。明順応条件とは、主に眼内の錐体細胞に起因した機能を有する、十分に照明がある条件下での視覚を指す。幾つかの実施形態では、明順応条件は、1平方メートル当たり3カンデラ(cd/m)以上の順応レベルを包含するものとして定義され得る。
【0020】
図1を参照すると、生来の水晶体42、虹彩44及び瞳孔46の各位置は、XYZ座標系において三次元でX軸に沿って且つY軸及びZ軸に沿って指定し得る。XYZ座標系は、X軸が視軸Aに平行であるように定義され得る。代替的に、XYZ座標系は、X軸が別の幾何学的又は光軸(図示せず)に平行であるように定義され得る。ここで、眼モデル20は、視軸Aの位置及び向きを含む。
【0021】
眼モデル20は、複数のパラメータP...P(術前解剖学的データを表す)により定義される術前又は有水晶体(生来の水晶体を含む)眼の三次元モデルとして見なし得る。図1を参照すると、複数のパラメータ(又は術前解剖学的データ)は、水晶体の厚さ48、前眼房の深さ50及び角膜の厚さ52を含み得る。加えて、診断モジュール18内の眼モデル20は、眼Eの様々な部分の屈折率を含む。診断モジュール18は選択的に実行されて、術前解剖学的データ及び当業者が利用できるアルゴリズムに基づいて眼Eの表面を近似又はパラメータ化し得る。図1の眼モデル20は、角膜前面54A及び角膜後面54Bの形状及び場所を含み得る。眼モデル20は、水晶体前面56及び水晶体後面58の形状及び場所を更に含み得る。術前解剖学的データは、眼Eの軸長L(図3及び図4に示される)を含み得る。視球は典型的に略球形を有するため、眼モデル20は、軸長58から網膜60の表面(図2に示される)を近似し得る。
【0022】
方法100は、ブロック120に続き、コントローラCは、対象14への移植について調査する複数の眼内レンズ16(図1を参照されたい)を選択するように構成される。複数の眼内レンズ16は、単焦点又は屈折力が変化する多焦点レンズであり得る第1のIOL 16A及び第2のIOL 16Bを含み得る。幾つかの実施形態では、第1のIOL 16Aは第1の距離範囲でよりよい視覚を提供するように構成され、第2のIOL 16Bは第2の距離範囲でよりよい視覚を提供するように構成される。代替的に、第1のIOL 16Aは、流体充填内部キャビティを有する順応レンズであり得、流体移動可能であり、それにより、第1のIOL 16Aの厚さ(及び屈折力)を変える。複数の眼内レンズ16は、多くの異なる形態をとり、複数の及び/又は代替の構成要素を含み得ることを理解されたい。
【0023】
方法100は、ブロック120からブロック130に進む。図2のブロック130により、方法100は、予測モジュール24を介して、複数の眼内レンズ16の各々の眼Eのそれぞれの代入術後変数を特定することを含む。術後又は偽水晶体眼の解剖学的構造を反映するために、それぞれの代入術後変数は眼モデル20に組み込まれ、それにより、複数の眼内レンズ16の各々のそれぞれの偽水晶体眼モデル30(図1を参照されたい)を生成する。換言すれば、眼モデル20における生来の水晶体42、虹彩44及び瞳孔46の測定パラメータは、偽水晶体眼の対応する予測パラメータで置換されて、それぞれの偽水晶体眼モデル30を形成する。例えば、図1を参照すると、第1のIOL 16Aの第1の偽水晶体眼モデル30Aが生成される。第2のIOL 16Bの第2の偽水晶体眼モデル30Bが生成される。
【0024】
代入術後変数は、術前解剖学的データ及び複数の眼内レンズ16の特性に部分的に基づく。偽水晶体眼モデル230の一例を図3に示す。術後の瞳孔246(図3を参照されたい)は、視軸A(図1を参照されたい)から中心ずれ又は傾斜し得る。図1に示される術前画像40では、虹彩44は、生来の水晶体42の比較的嵩張った形状に起因して、膨らみ、前方にシフトし得る。術後の虹彩244(図3を参照されたい)は、比較的より平坦なジオメトリをとり得る。
【0025】
図4を参照すると、代入術後変数は、眼内レンズ242、瞳孔246及び/又は虹彩244のそれぞれの場所及びそれぞれの向き又は傾斜(XYZ座標系に対する)を含む。予測モジュール24は、測定パラメータP...P(ブロック110からの)を使用して、第1の関数f(P...P)を使用して複数の眼内レンズ16の各々の位置及び傾斜を予測するように適合され得る。予測モジュール24は、第2の関数g(P...P)及び第3の関数h(P...P)を使用して瞳孔位置/傾斜及び虹彩位置/傾斜を予測するように構成し得る。幾つかの実施形態では、第1の関数f(P...P)、第2の関数g(P...P)及び第3の関数h(P...P)は、当業者が利用できる眼内レンズ屈折力計算式に基づく。そのような式の例には、SRK/T式、ホラデー式、ホッファーQ式、オルセン式及びハイギス式がある。
【0026】
幾つかの実施形態では、予測モジュール24は、術前データ及び術後データの履歴対のトレーニングデータセットを通して代入術後変数を特定するようにトレーニングされる、ニューラルネットワーク等の機械学習モジュールを組み込む。履歴対とは、同じ人間の術前データ及び術後データを指す。システム10は、「適応可能」であり、より大きいトレーニングセットを用いて定期的に更新されるように構成され得る。代入術後変数は、当業者が利用できる他の推定方法から取得され得る。
【0027】
方法100はブロック130からブロック140に進み、コントローラCは、レイトレーシングモジュール26を実行して、それぞれの偽水晶体眼モデル30のそれぞれのメトリックを特定するように構成される。レイトレーシングモジュール26は、偽水晶体眼のフォーカス性の査定を提供する。眼Eを通した光の伝播は、スネルの法則を使用して反射及び屈折を通して追跡し得、スネル法則は、異なる屈折率を有する2つの媒質を隔てる表面における光線の屈折を記述する。換言すれば、光束中の各光線が表面に直面するとき、各光線の新しい方向は、診断モジュール18に記憶された屈折率を使用してスネルの法則に従って決まる。幾つかの実施形態では、レイトレーシングモジュール26は、550ナノメートルの波長の光(緑色光)に適用可能な屈折率を用いる。他の実施形態では、レイトレーシングモジュール26は、複数の波長に適用可能な屈折率を用いる。これは、網膜像品質及び他の因子への色収差の影響を査定するために、例えば診断測定波長と人間の視覚にとって重要な異なる波長との間又は複数の可視波長間での波長分散効果を考慮に入れるのに役立つ。
【0028】
第1の実施形態によれば、レイトレーシングモジュール26の第1の実装形態200の例が図3に示される。図3は、偽水晶体眼モデル230を通して伝播する光束202を示す。第1の実装形態200は、図2のサブブロック142、144、146(ブロック140の)を参照して説明される。
【0029】
サブブロック142により、レイトレーシングモジュール26(図1の)は、偽水晶体眼モデル230を通して光束202をトレースするか又は伝播させるように適合される。光束202は、眼Eの光軸Oに平行である。光束202は、例えば、550ナノメートルの波長を有する光源204から発せられるようにシミュレートし得る。光束202の第1の部分202Aは、角膜前面254A及び角膜後面254Bを通して伝播する。
【0030】
サブブロック144により、図3の光束202は、網膜210上のスポット206に達する(第3の部分202Cを参照されたい)まで、眼内レンズ242を通して後方に伝播する(第2の部分202Bを参照されたい)。スポット206における光束202の空間分布が記録される。レイトレーシングは、異なる直径の瞳孔246に対して繰り返すことができる。
【0031】
サブブロック146により、網膜210上のスポット206における光束202の空間分布を使用して、それぞれのメトリックを導出する。それぞれのメトリックは、関心のある単一のパラメータ又は値の分布であり得る。それぞれのメトリックは、波面文法、変調伝達関数(MTF)及び点拡散関数(PSF)を含み得るが、これらに限定されない。点拡散関数グラフのセット400の一例を図5に概略的に示す。図5を参照すると、トレース402、404、406及び408は、それぞれ4つの異なる眼内レンズで取得された点拡散関数を示す。セット400における瞳孔246(又は図4の瞳孔346)のサイズは、約5mmである。図5における縦軸は強度を表し、一方、横軸は、網膜210上のスポット206に対応する参照点のいずれかの側への距離D(正及び負)を表す。
【0032】
ここで、図6を参照して、変調伝達関数のセット500を概略的に示す。変調伝達関数は、形式上、複素光学伝達関数の大きさ(絶対値)として定義され、異なる空間周波数が光学系によっていかに扱われるかを指定する。図6のトレース502、504及び506は、それぞれ3つの異なる眼内レンズで取得された変調伝達関数を示す。図6のY軸は伝達関数(入射放射線の透過の大きさ)を表し、一方、X軸は空間周波数を表す。
【0033】
ここで、図4を参照して、第2の実施形態によるレイトレーシングモジュール26の第2の実装形態300を示す。図4は、偽水晶体眼モデル330を通して伝播する光束302を示す。第2の実装形態300について、図2のサブブロック152、154、156(ブロック140の)を参照して説明する。
【0034】
サブブロック152により、光束302(第1の部分302Aを参照されたい)は、網膜310の中心窩308上のスポット306で発生し、眼Eの瞳孔346を十分に照明する特定の発散312を有する。中心窩308は、約1.5mm幅の網膜内面における窪みである。中心窩308は、全体的に錐体で構成され、最大視力に向けて特化された光受容体層を有する。スポット306は無限小であり得る。サブブロック154により、光束302(第2の部分302Bを参照されたい)は、角膜前面354A及び角膜後面354Bを出るまで、眼内レンズ342の前方を伝播する。
【0035】
サブブロック156により、コントローラCは、角膜前面354Aを出た後、光束302の空間分布(第3の部分302Cを参照されたい)に基づいて複数の眼内レンズ16のそれぞれのメトリックを特定するように構成される。上述したように、それぞれのメトリックは、単一のパラメータ、文法であり得、波面文法、変調伝達関数(MTF)及び点拡散関数(PSF)を含み得る。図1のレイトレーシングモジュール26は、ハルトマ・シャック収差計(図4を参照されたい)等の収差デバイス314により波面測定をシミュレートするように構成される。波面測定は、光束302が発生するスポット306における仮想レーザビームによって小さい仮想光源が網膜310上に作成された後、光束302が角膜前面354Aから出る方向及び傾きを解析する。複数の眼内レンズ16の各々の各波面は、フーリエ変換により各点拡散関数のセット400(図5に示される)に変換し得る。理想的な眼では、角膜前面354Aを出る波面は平坦な波面であり、即ち、角膜前面354Aを出る光束302は光軸Oに完全に平行し、無限小の点拡散関数を有する。非理想的な眼では、角膜前面354Aを出る光束302は光軸Oに完全には平行しない。レイトレーシングは、異なる直径の瞳孔346に対して繰り返すことができる。
【0036】
ブロック160により、コントローラCは、上記ブロック140のサブブロック146及び156で得られたそれぞれのメトリックの比較に部分的に基づいて、対象14の所望の視覚品質に最良に合う、移植に好ましい眼内レンズ12を選択するように構成される。例えば、最小幅の点拡散関数を表すセット400(図5を参照されたい)中のトレースが、好ましい眼内レンズ12として選択され得る。
【0037】
図1のコントローラCは、コンピュータによって(例えば、コンピュータのプロセッサによって)読み取られ得るデータ(例えば、命令)を提供することに関係する非一時的(例えば、有形)媒体を含む、コンピュータ可読媒体(プロセッサ可読媒体とも称する)を含む。そのような媒体は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含むが限定されない多くの形態をとり得る。不揮発性媒体としては、例えば、光ディスク又は磁気ディスク及び他の永続的メモリが挙げられ得る。揮発性媒体としては、例えば、主記憶装置を構成し得るダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)が挙げられ得る。このような命令は、コンピュータのプロセッサに結合されたシステムバスを含む配線を含む、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含む1つ以上の伝送媒体によって伝送され得る。コンピュータ可読媒体の幾つかの形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、他の光媒体、パンチカード、紙テープ、他の孔のパターンを有する物理媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEEPROM、他のメモリチップ又はカートリッジ又は他のコンピュータが読み取り可能な媒体が挙げられる。
【0038】
本明細書中に説明するルックアップテーブル、データベース、データリポジトリ又は他のデータストアは、階層型データベース、ファイルシステム内の複数のファイル、独自形式のアプリケーションデータベース、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)等を含む、様々な種類のデータを記憶、アクセス及び取得するための様々な種類の機構を含み得る。それぞれのかかるデータストアは、上述したようなコンピュータオペレーティングシステムを用いるコンピューティングデバイス内に含まれ得、様々な方法の1つ以上でネットワークを介してアクセスされ得る。ファイルシステムは、コンピュータオペレーティングシステムからアクセス可能であり得、様々な形式で記憶されるファイルを含み得る。RDBMSは、上述のPL/SQL言語等のストアドプロシージャを作成、保存、編集及び実行するための言語に加えて、構造化照会言語(SQL)を用い得る。
【0039】
詳細な説明及び図面又は各図は、本開示をサポートし、説明するものであるが、本開示の適用範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。特許請求される本開示を実施するための最良の態様及び他の実施形態の幾つかを詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲において定義された本開示を実施するための様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。更に、図面に示された実施形態又は本明細書で言及された様々な実施形態の特徴は、必ずしも互いに独立した実施形態として理解されるべきではない。むしろ、ある実施形態の例の1つで説明された特性のそれぞれは、他の実施形態からの1つ又は複数の他の望ましい特性と組み合わせることが可能であり、その結果、言葉で説明されていないか又は図面を参照することによって説明されていない他の実施形態を得ることができる。したがって、かかる他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の枠組み内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内に移植するための好ましい眼内レンズを選択するためのシステムであって、
プロセッサと、命令が記録されている有形の非一時的メモリとを有するコントローラ、
前記コントローラと通信し、且つ眼モデルとして前記眼の術前解剖学的データを記憶するように適合された診断モジュール、
前記コントローラによって選択的に実行可能であり、且つ前記術前解剖学的データに部分的に基づいて、前記眼のそれぞれの代入術後変数を特定するように適合された予測モジュール、
前記コントローラによって選択的に実行可能であり、且つ前記眼を通した光の伝播を計算するように適合されたレイトレーシングモジュール
を含み、前記コントローラは、
前記診断モジュールを介して、前記眼の前記術前解剖学的データを取得することと、
前記予測モジュールを介して、複数の眼内レンズの各々の前記それぞれの代入術後変数を特定することと、
前記それぞれの代入術後変数を前記眼モデルに組み込むことにより、前記複数の眼内レンズの各々のそれぞれの偽水晶体眼モデルを生成することと、
前記それぞれの偽水晶体眼モデルで前記レイトレーシングモジュールを実行して、前記複数の眼内レンズの少なくとも1つのそれぞれのメトリックを特定することと、
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックの比較に部分的に基づいて、前記複数の眼内レンズから前記好ましい眼内レンズを選択することと
を行うように構成される、システム。
【請求項2】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
光束が網膜上のスポットに達するまで、前記眼を通して後方に前記光束を伝播させることであって、前記光束は、角膜前面から前記眼に入る前に前記眼の光軸に平行である、伝播させることと、
前記網膜上の前記スポットにおける前記光束の空間分布に基づいて、前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レイトレーシングモジュールは、550ナノメートルの波長の光に適用可能である、前記眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レイトレーシングモジュールは、スペクトルの可視部にわたる複数の波長に適用可能である、前記眼内におけるそれぞれの屈折率を用いるように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レイトレーシングモジュールを実行することは、
瞳孔を十分に照明する特定の発散を有する光束を前記眼の中心窩上のスポットにおいて発生させることと、
前記光束が角膜前面から出るまで、前記眼を通して前方に前記光束を伝播させることと、
前記角膜前面から出た後の前記光束の空間分布に基づいて、前記それぞれのメトリックを取得することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記術前解剖学的データは、前記眼の軸長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記術前解剖学的データは、前記眼の角膜前面及び角膜後面のそれぞれの場所及びそれぞれのプロファイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記術前解剖学的データは、三次元座標系における前記眼の瞳孔の場所、向き及びサイズを含み、前記瞳孔は、明順応条件下にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記眼の前記それぞれの代入術後変数は、前記複数の眼内レンズのそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記それぞれの代入術後変数は、瞳孔及び虹彩の少なくとも一方のそれぞれの場所及びそれぞれの向きを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックは、点拡散関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのそれぞれのメトリックは、変調伝達関数である、請求項1に記載のシステム。
【国際調査報告】