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▶ キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】カプセルを密封するための密封流体
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20231212BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231212BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231212BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231212BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/12
A23L5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535815
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2021085468
(87)【国際公開番号】W WO2022128905
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20213865.7
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20214456.4
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21150730.6
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21191714.1
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512054458
【氏名又は名称】キャプシュゲル・ベルジウム・エヌ・ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・ロリシュセ
(72)【発明者】
【氏名】リージャナ・パランジェティック
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE11
4B035LG05
4B035LG06
4B035LG07
4B035LG12
4B035LP31
4C076AA54
4C076BB01
4C076CC40
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD43
4C076FF70
(57)【要約】
本発明は、有機酸、アルコール、および任意選択で水を含む密封流体を開示する。有機酸は乳酸または酢酸であり、アルコールはイソプロパノールまたはエタノールであり、密封流体は、ボディ部分が部分的に同軸上で重なって入れ子状に結合されたハードカプセルを密封するための液体組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸ORGACIDおよびアルコールALCを含む、ハードカプセルを密封するための密封流体SEALFLUであって;
ORGACIDは乳酸または酢酸であり;
ALCはイソプロパノールまたはエタノールであり;
ここで、
ORGACIDの量は少なくとも32.5重量%であり;
ALCの量は少なくとも17.5重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づき;
SEALFLUはHPMCを含まず;
SEALFLUは、円筒形スピンドルを備えた回転粘度計を用いて22℃で測定した粘度である、100mPa*s以下の前記粘度を有する、密封流体SEALFLU。
【請求項2】
SEALFLUは、ORGACIDおよびALCから成る、請求項1に記載のSEALFLU。
【請求項3】
ORGACIDは酢酸である、請求項2に記載のSEALFLU。
【請求項4】
ALCはイソプロパノールである、請求項2または請求項3に記載のSEALFLU。
【請求項5】
酢酸の量は47.5から80重量%であり、ALCの量は20から52.5重量%であり、
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項3または請求項4に記載のSEALFLU。
【請求項6】
SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み;
ORGACID、ALC、および水の量の合計は、少なくとも97.5重量%であり、前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項1に記載のSEALFLU。
【請求項7】
SEALFLU中の水の量は少なくとも17.5重量%であり、前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項6に記載のSEALFLU。
【請求項8】
ORGACIDは酢酸であり;
酢酸の量は40から60重量%であり;
ALCの量は20から40重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項6または請求項7に記載のSEALFLU。
【請求項9】
ALCはイソプロパノールである、請求項8に記載のSEALFLU。
【請求項10】
ORGACIDは乳酸であり;
乳酸の量は32.5から62.5重量%であり;
ALCの量は17.5から47.5重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項6または請求項7に記載のSEALFLU。
【請求項11】
ALCはエタノールであり;
エタノールの量は25から42.5重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項10に記載のSEALFLU。
【請求項12】
ALCはイソプロパノールであり;
乳酸の量は37.5から55重量%であり;
イソプロパノールの量は17.5から42.5重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項10に記載のSEALFLU。
【請求項13】
乳酸の量は37.5から45重量%であり;
イソプロパノールの量は35から42.5重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項12に記載のSEALFLU。
【請求項14】
SEALFLUは、ORGACIDおよびALCおよび水から成る、請求項6から請求項13のいずれか1項に記載のSEALFLU。
【請求項15】
ORGACIDは乳酸である、請求項14に記載のSEALFLU。
【請求項16】
およびALCはイソプロパノールである、請求項14または請求項15に記載のSEALFLU。
【請求項17】
ORGACIDの量は40重量%であり;
ALCの量は40重量%であり;
前記重量%はSEALFLUの重量に基づく、請求項14から請求項16の1つ以上に記載のSEALFLU。
【請求項18】
SEALFLUの調製方法であって;
ORGACIDおよびALCおよび任意の水が混合され;
請求項1から請求項17のいずれか1項で定義されたSEALFLU、ORGACIDおよびALCを有する、SEALFLUの調製方法。
【請求項19】
ハードカプセルを密封するための方法、METHSEALであって、前記カプセルのカプセルシェルは、キャップおよびボディから成り、前記ボディは入れ子状に前記キャップ内に挿入され、前記キャップおよび前記ボディの重なっている部分の間に隙間を提供し;
ここで、前記密封は、SEALFLUを前記隙間に塗布することによって行われ;
請求項1から請求項17のいずれか1項で定義されたSEALFLUを有する、方法、METHSEAL。
【請求項20】
前記方法METHSEALによって得られる密封されたハードカプセルであって;請求項19で定義されたMETHSEALを有する、密封されたハードカプセル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、有機酸、アルコール、および任意選択で水を含む密封流体を開示する。有機酸は乳酸または酢酸であり、アルコールはイソプロパノールまたはエタノールであり、密封流体は、ボディ部分が部分的に同軸上で重なって入れ子状に結合されたハードカプセルを密封するための液体組成物である。
【0002】
カプセルは、医薬品、栄養補助食品、栄養補助食品成分などの周知の剤形である。ハードカプセルは通常、1つ以上の物質で充填されたシェルから成る。ハードカプセルシェルは、キャップおよびボディの2つの部分で構成され、どちらも1つの開口端および1つの閉口端を有する円筒形である。ボディの円筒形開口端の外径は、キャップの円筒形開口端の内径に入れ子状にフィットする。カプセル、すなわちボディがカプセルの内容物で充填されると、カプセルが閉じられる。カプセルを閉じるために、ボディの開口端がキャップの開口端に入れ子状に挿入される。
ハードカプセルは、一般にディップ成形法を用いて製造され、金型ピンが、溶解したフィルム形成ポリマーを含む液体フィルム形成組成物である溶融物に浸漬される。抽出後、金型ピンにフィルムが形成される。フィルムは金型ピンから剥がされる。ディップ成形は、キャップおよびボディを製造するために別々に行われる。
【0003】
そのように、閉じられたカプセルでは、キャップの円筒形開口端がボディの円筒形開口端と部分的に重なる。すなわち、キャップの円筒形の内側表面の一部がボディの円筒形の外側表面の一部と接触する。キャップとボディとが重なっているこれらの表面の間で漏れが発生する可能性がある。というのは、さまざまな理由により、キャップの内径とボディの外径との合わせは、いかなる漏れも防止されるほど正確かつ緊密ではありえないからである。例えば、閉じるときにボディをキャップに挿入すると、キャップ内のそれぞれの空気量を逃がす必要があり、さもないと、過剰な圧力が発生して完全に閉じることができなくなったり、カプセルが破壊されたりする可能性がある。また、カプセルを閉じるときにキャップまたはボディが損傷するのを避けるために、キャップをボディの上にスライドさせるために加える必要がある力は、大き過ぎてはならない。そのため、キャップとボディとの間には常にある程度の公差があり、その結果、キャップとボディとの重なる部分の間に隙間が生じる。
【0004】
カプセルを閉じると、キャップの縁とボディの表面との間のこの隙間の先頭部が見え、接近可能となる。
【0005】
場合によっては、例えばカプセルに液体物質が充填されているときなど、カプセルから内容物が漏れないようにすることが望まれる。この目的のために、カプセルは密封されている。すなわち、キャップとボディとの間の隙間は、密封によって閉じられる。この密封は、密封流体によるキャップとボディとの相互の接着または接合と見なすこともできる。カプセルを密封するとき、キャップの縁とボディの表面との間のこの隙間の先頭部に密封流体が塗布される。次に、毛細管作用により、密封流体が広がり、隙間の内部に分配される。カプセルシェルは、ゼラチン、HPMC、プルラン、またはデンプンなどのさまざまなフィルム形成ポリマーから作ることができる。HPMCの場合、ディップ成形プロセスで金型ピン上にフィルムを形成するために主に2つの異なる方法がある。1つは、HPMC溶融物のゲル化温度より低い温度におけるHPMCの従来のゲル化は、溶融物中にジェランなどのゲル化系の存在を必要とする。もう1つは、熱ゲル化は、HPMC溶融物のゲル化温度を超える温度で発生し、溶融物に追加のゲル化系の存在を必要としない。
【0006】
特許文献1は、HPMC E50/水/乳酸/プロパン-2-オールを、6/25/44/25(合計100%)の比率で含む実施例6を開示している。実施例6は、その粘度がはるかに高すぎて、従来のカプセル充填ラインと互換性のある速度では、従来のカプセル充填機でカプセルを充填した直後に、カプセルを密封するために使用することができない。その粘度では、スプレーを形成することができず、密封領域内のどこにでも密封流体が存在するのを妨げ、そのことは漏れ率が高くなることを意味する。
【0007】
解決すべき問題は、カプセルの自動密封用の自動シーリングマシンで使用可能な密封流体を提供することであった。そのため、製造時間とコストとを削減し、製品の欠陥による廃棄物を削減するための大規模な大量生産を可能にすべきである。密封流体は、従来のカプセル充填ラインと互換性のある速度でカプセルを充填した直後にカプセルの密封を可能にすべきである。また、目詰まり等の問題もあるべきでない。
【0008】
密封流体は、内容物の漏れを防ぐために、充填されたカプセルの効果的な密封を提供すべきであり、よって漏れ率が低いことが望ましい。密封流体は、カプセルの形状、寸法、または安定性に悪影響を与えるべきではない。密封流体は、あらゆる種類のカプセル、特に、フィルム形成ポリマーとしてのHPMCとゲル化系としてのジェランとの組み合わせを有するカプセル、すなわち、カプセルシェルの主な成分またはさらに唯一の成分としてHPMCとジェランとでできたカプセルシェルに塗布することができるようにすべきである。
【0009】
その問題は、有機酸およびアルコールおよび任意選択で水を含む密封組成物により解決される。
【0010】
本明細書で用いられる略語および定義
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース、別名ヒプロメロースまたはセルロース、2-ヒドロキシプロピルメチルエーテルまたはセルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル、CAS9004-65-3
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2004/103338A1
【発明の概要】
【0012】
本発明の主題は、有機酸ORGACIDおよびアルコールALCを含むハードカプセルを密封するための密封流体SEALFLUであり、
ORGACIDは乳酸または酢酸であり、
ALCはイソプロパノールまたはエタノールであり、
ここで、
ORGACIDの量は少なくとも32.5重量%であり、
ALCの量は少なくとも17.5重量%であり、
重量%はSEALFLUの重量に基づき、
SEALFLUはHPMCを含まず、
SEALFLUは、円筒形スピンドルを備えた回転粘度計を用いて22℃で測定した粘度である、100mPa*s以下の粘度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態では、SEALFLUは、ゼラチン、プルラン、デンプン、加工デンプン、またはHPMCなどのセルロース誘導体など、カプセルの調製に従来使用されているポリマーを一切含まない。
【0014】
より好ましくは、SEALFLUはポリマーを一切含まない。
【0015】
より好ましくは、SEALFLUはゲル化剤を一切含まない。
【0016】
より好ましくは、SEALFLUは、円筒形スピンドルを備えた回転粘度計を用いて22℃で測定した粘度である100mPa*sを特には超えないSEALFLUの粘度を、その添加によって増加させる物質を一切含まない。
【0017】
好ましくは、ALCの量は少なくとも20重量%である。より好ましくは少なくとも25重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、特には少なくとも35重量%であり、重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0018】
好ましくは、ALCの量は55重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらにより好ましくは45重量%以下であり、重量%はSEALFLUの重量に基づく。
ALCの可能量の、下限のいずれかと上限いずれかと、を組み合わせることができる。
【0019】
好ましくは、ORGACIDの量は少なくとも35重量%であり、重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0020】
好ましくは、ORGACIDの量は75重量%以下、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは65重量%以下、特には60重量%以下、より特には55重量%以下、さらにより特には50重量%以下、特別には45重量%以下であり、重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0021】
ORGACIDの可能量の、下限のいずれかと上限のいずれかと、を組み合わせることができる。
【0022】
ALCの可能量の下限または上限のいずれかと、ORGACIDの可能量の下限または上限のいずれかと、を組み合わせることができる。
【0023】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCから成り、
好ましくは、ORGACIDは酢酸であり、または
好ましくは、ALCはイソプロパノールであり、
この場合、より好ましくは、ORGACIDは酢酸であり、ALCはイソプロパノールである。
【0024】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCから成り、
ORGACIDは酢酸であり、
酢酸の量は47.5から80重量%であり、ALCの量は20から52.5重量%であり、
好ましくは、酢酸の量は47.5から75重量%であり、ALCの量は25から52.5重量%であり、
重量%はSEALFLUの重量に基づき、
好ましくは、ALCはイソプロパノールである。
【0025】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は、少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくは100重量%、すなわちSEALFLUはORGACID、ALCおよび水から成り、重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0026】
好ましくは、SEALFLUがORGACIDおよびALCに加えて水も含む場合、SEALFLU中の水の量は少なくとも17.5重量%であり、重量%はSEALFLUの重量に基づき、この場合、好ましくはORGACIDは乳酸である。
【0027】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは酢酸であり、
酢酸の量は40から60重量%であり、
ALCの量は20から40重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、ALC、および水から成り、
重量%はSEALFLUの重量に基づき、
好ましくは、ALCはイソプロパノールである。
【0028】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは酢酸であり、
酢酸の量は45から55重量%であり、
ALCの量は25から35重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、ALC、および水から成り、
重量%はSEALFLUの重量に基づき、
好ましくは、ALCはイソプロパノールである。
【0029】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは乳酸であり、
乳酸の量は32.5から62.5重量%であり、
ALCの量は17.5から47.5重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、ALC、および水から成り、
好ましくは、ALCはエタノールであり、エタノールの量は25から42.5重量%、より好ましくは27.5から42.5重量%であり、
重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0030】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは乳酸であり、
乳酸の量は32.5から55重量%であり、
ALCの量は17.5から42.5重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、ALC、および水から成り、
好ましくは、ALCはエタノールであり、エタノールの量は25から42.5重量%、より好ましくは27.5から42.5重量%であり、
重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0031】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは乳酸、ALCはイソプロパノールであり、
乳酸の量は37.5から55重量%であり、
イソプロパノールの量は17.5から42.5重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、ALC、および水から成り、
重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0032】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCに加えて水も含み、
ORGACIDは乳酸、ALCはイソプロパノールであり、
乳酸の量は37.5から45重量%であり、
イソプロパノールの量は35から42.5重量%であり、
ORGACID、ALCおよび水の量の合計は少なくとも97.5重量%、好ましくは98重量%、より好ましくは少なくとも99重量%であり、さらにより好ましくはORGACID、ALCおよび水の量の合計は100重量%、すなわちSEALFLUは、ORGACID、およびALC、水から成り、
重量%はSEALFLUの重量に基づく。
【0033】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCおよび水から成り、
好ましくは、ORGACIDは乳酸であり、または
好ましくは、ALCはイソプロパノールであり、
より好ましくは、ORGACIDは乳酸であり、ALCはイソプロパノールである。
【0034】
一実施形態では、SEALFLUは、ORGACIDおよびALCおよび水から成り、
ORGACIDの量は40重量%であり、
ALCの量は40重量%であり、
重量%はSEALFLUの重量に基づき、
好ましくは、ORGACIDは乳酸であり、または
好ましくは、ALCはイソプロパノールであり、
より好ましくは、ORGACIDは乳酸であり、ALCはイソプロパノールである。
【0035】
任意の水は脱塩水であってもよい。
【0036】
SEALFLUは、円筒形スピンドルを備えた回転粘度計を用いて22℃で測定された粘度で、100mPa*s以下、好ましくは75mPa*s以下、より好ましくは60mPa*s以下、さらにより好ましくは50mPa*s以下、特には45mPa*s以下、より特には40mPa*s以下の粘度を有してもよい。
【0037】
一実施形態では、SEALFLUは、円筒形スピンドルを備えた回転粘度計を用いて22℃で測定された粘度で、純粋な乳酸の粘度と等しいか、またはそれより低い粘度を有する。
【0038】
本発明のさらなる主題は、ORGACIDおよびALCおよび任意の水が混合されるSEALFLUの調製方法であり、
本明細書で定義されるSEALFLU、ORGACID、およびALC、ならびにそれらのすべての実施形態も含む。
【0039】
ORGACID、ALC、および水の混合は順不同であってもよい。
【0040】
本発明のさらなる主題は、ハードカプセルを密封するための方法であるMETHSEALであり、カプセルのカプセルシェルは、キャップおよびボディから成り、ボディは入れ子状にキャップ内に挿入され、キャップおよびボディの重なっている部分の間に隙間を提供し、
ここで、密封は、SEALFLUを上記隙間に塗布することによって行われ、
SEALFLU、およびそのすべての実施形態も本明細書で定義される。
【0041】
カプセルは密封前に充填され閉じられる。カプセルキャップを閉じるとボディは入れ子状に結合される。この結合は、例えば、ボディをキャップに挿入する、すなわちボディをキャップ内にスライドさせる、またはその逆によって行うことができる。閉じられたカプセル内でキャップとボディとが部分的に重なる。これにより、キャップとボディとの重なっている部分の間に隙間が形成される。カプセルを密封するとき、密封流体は、隙間上、すなわち、カプセルの外側から接近可能である隙間の先頭部上に塗布される。隙間の先頭部は、キャップの縁とボディの表面との間にある。
【0042】
SEALFLUは、カプセルの周囲に均一に存在し、それによって隙間にも塗布されるか、または隙間のみに塗布される。SEALFLUは、隙間の全長にわたって隙間上に塗布されてもよいし、隙間の長さの一部分、または複数部分のみに塗布されてもよい。隙間の全長にわたって塗布されるのが好ましい。
【0043】
SEALFLUは、隙間上に噴霧することによって塗布され得、またはカプセル上に噴霧しそれにより隙間上にも塗布され得る。
【0044】
SEALFLUは、カプセル上、すなわち隙間上に塗布されると、周囲温度または周囲温度より低い温度になる場合がある。
【0045】
SEALFLUを隙間に塗布した後、カプセルを乾燥させてもよい。この乾燥は、例えば過剰のSEALFLUを除去するために行うことができる。また、キャップとボディとの重なっている部分の面、すなわちキャップおよびボディの隙間を形成する面同士が確実に接着するようにしてもよい。
【0046】
本発明のさらなる主題は、本明細書で定義されるMETHSEALを用いて、そのすべての実施形態も用いて、その方法METHSEALによって得ることのできる密封カプセルである。
【0047】
本発明のハードカプセルを密封する方法に適したカプセルは、ゼラチン、HPMC、プルランまたはデンプンなど公知のフィルム形成ポリマーで作られたシェルを有してもよい。カプセルシェルは、ゲル化系などのさらなる成分を含んでもよく、典型的なゲル化系はジェランである。一実施形態では、本発明のハードカプセルを密封する方法は、カプセルシェルのフィルム形成ポリマーがゼラチン、HPMC、プルランまたはデンプンであり、一実施形態では、フィルム形成ポリマーがHPMCであり、カプセルシェルはジェランを含む、という点を有する、ハードカプセルを密封する方法である。カプセルシェル中のジェランの量は、0.01から10重量%、好ましくは0.01から7重量%、より好ましくは0.1から7重量%、さらにより好ましくは1から7重量%、特には3から6重量%、より特には4から6重量%であってもよく、重量%はHPMCの重量に基づく。
【実施例
【0048】
材料および略語
カプセル 実施例では、現在は、スイスのバーゼルにあるロンザ株式会社(Lonza Ltd)のロンザ社(Lonza company)である、カプスゲル社(Capsugel)のDRcapsカプセル(DRcaps(R) Capsules)が使用された。DRcapsはジェランガムを含むHPMCベースの配合を有し、DRcapsカプセルは遅延放出特性を有する。そのカプセルは、現在は、スイスのバーゼルにあるロンザ株式会社のロンザ社である、カプスゲル社のLicaps(R)カプセルデザインを有していた。
CFS カプセルの充填および密封
CFS 1200 現在は、スイスのバーゼルにあるロンザ株式会社のロンザ社である、カプスゲル社のCFS1200TMは、実験室およびパイロットプラント規模の操作用のCFSマシンであり、操作速度は約毎時1,200カプセルである。CFSは、充填-密封-乾燥の3つのステップで作動する。乾燥は、あらかじめ設定した温度の風を当てて行われる。
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース、別名ヒプロメロースまたはセルロース、2-ヒドロキシプロピルメチルエーテルまたはセルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル、CAS9004-65-3
IPA 水性イソプロパノール80重量%
乳酸 ドイツのダルムシュタットにある、メルク株式合資会社(Merck KgaA)の約90%の(S)-乳酸、EMPROVE(R) EXPERT Ph Eur,BP,E 270(医薬品製造用添加剤)
メルク社製の乳酸90%の技術データシート:20℃で20から40mPa*s
乳酸粘度(文献):周囲温度で37から39mPa*s
35℃で21.2mPa*s
LEMS 液体封入マイクロスプレーシーリング
LEMS 70 LEMS(R)70は、現在は、スイスのバーゼルにあるロンザ株式会社のロンザ社である、カプスゲル社のLEMSシステムであり、生産規模の操作用のCFSマシンは、毎時最大55,000カプセルの操作速度で、カプセルサイズの範囲は、サイズ000、00el,00,0el,0,1.2,3,4である。
rpm 毎分回転数
【0049】
(A)密封流体:乳酸/イソプロパノール/水の40/40/20(w/w/w)溶液
密封流体(A1)
100gの密封流体溶液の場合:
・ 乳酸44.44g
・ IPA50g
・ 脱塩水5.56g
密封流体溶液を、以下の順序で3つの成分を追加することによって調製した。乳酸、水、次いでIPA。次に溶液を、マグネチックスターラーを用いて混合する。
密封流体を、カプセルを密封するために周囲温度で使用した。
【0050】
(B)密封の一般的な説明
CFS1200とLEMS70の2つの異なるシーリングマシンを使用した。
CFS1200を約毎時1200カプセルの速度で使用した。
LEMSを約毎時40,000カプセルの速度で使用した。
実施例では、サイズ0のカプセルを使用した。
【0051】
(C)漏れ率の検出
密封したカプセルをトレイ上の白い用紙に広げ、周囲温度および周囲圧力で一晩(約12時間)保管した。
次に、トレイを真空チャンバーに入れ、真空チャンバー内では250mbarの真空を20分間適用した。その後、トレイを真空チャンバーから取り出し、カプセルをライトテーブル上で目視検査して、用紙内で漏れカプセルの下に広がる油状のしみが示す漏れの可能性を観察した。漏れ率は、漏れの試験を行ったカプセルの総量のうち漏れカプセルの%として与えられる。
カプセルは、トレイ上の用紙に1週間放置されたかもしれず、目視検査による漏れ率の別の判定が行われたかもしれない。
CFS1200などの実験室規模の操作の場合、0.5%以下の漏れ率が許容される。
LEMSなどのパイロットプラント規模/生産規模の操作の場合、0.05%以下の漏れ率が許容される。
【0052】
(D)粘度
粘度測定装置:
アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ミドルバラにあるAMETEK Brookfield社の、チャンバーSC4-13Rおよび円筒形スピンドル18を備えた、Brookfield DV-II+粘度計。
温度チャンバーは、22℃±0.1℃のウォーターバスで調整しなければならない。
粘度チャンバーの半分を充填するために、密封流体をシリンジで注入する。
次に、スピンドルを導入し、チャンバーの縁から1mmまで密封流体で完全に充填する。粘度測定の誤差を防ぐため、気泡が入っていないことを確認する。
最高の測定精度を得るために、粘度計の速度を可能な限り最高速度になるように選択する。
10分後に粘度を測定する。
粘度値=2回の測定値の平均
詳細を、表6および表7に示す。
【0053】
【表1】
【表2】
【0054】
実施例1-CFS1200を用いた密封
(1a)オイルの充填
カプセルに、CFS1200内で、ピーナッツオイルを充填した。ピーナッツオイルの粘度は非常に低く(22℃で74.9mPa*s-ブルックフィールド粘度計)、特に漏れやすいため、漏れ率の検出に適したモデルである。各カプセルに同量のオイルを充填した。次に、カプセルを閉じ、CFS1200内で、およびCFS1200によって密封位置へ移動した。
【0055】
(1b)密封
各カプセルを、1カプセルあたり20mgの密封流体を用いてCFS1200で密封した。密封流体を(A1)に従って調製し、密封流体を、入れ子状に結合されたカプセルのキャップとボディとの重なりによって提供される隙間の外向きの開口端の周りに噴霧した。
シーリングマシンの目詰まり等の問題は観察されなかった。
【0056】
(1c)乾燥
CFS1200の乾燥温度は25℃であった。
【0057】
(1d)結果
漏れ率の検出を(C)に従って行った。結果を表1に示す。
真空チャンバーの前に、漏れは検出されなかった。
【表3】
カプセルの寸法、形状、および安定性は、密封による影響を受けなかった。
【0058】
実施例2-LEMS70を用いた密封
(2a)オイルの充填
カプセルに、ひまわり油を充填した。ひまわり油の粘度は非常に低く(22℃で53mPa*s-ブルックフィールド粘度計)、特に漏れやすいため、漏れ率の検出に適したモデルである。各カプセルに同量のオイルを充填した。その後カプセルを閉じた。
【0059】
(2b)密封
各カプセルを、1カプセルあたり25mgの密封流体を用いてLEMS70で密封した。密封流体を(A1)に従って調製し、密封流体を、入れ子状に結合されたカプセルのキャップとボディとの重なりによって提供される隙間の外向きの開口端の周りに噴霧することを含めて、カプセルに噴霧した。
シーリングマシンの目詰まり等の問題は観察されなかった。
【0060】
(2c)乾燥
LEMS70の乾燥温度は35℃であった。
【0061】
(2d)結果
漏れ率の検出を(C)に従って行った。結果を表2に示す。
真空チャンバーの前に、漏れは検出されなかった。
【表4】
7回の反復実行により、許容範囲内で同等の漏れ率が繰り返し得られた。
カプセルの寸法、形状、および安定性は、密封による影響を受けなかった。
【0062】
実施例3
表3から表5に示す詳細を用いて、実施例1を繰り返した。密封流体を、表3から表5に示す組成を用いて(A)に従って調製した。(B)に従ってCFS1200で密封を行い、(C)に従って漏れ率の検出を行った。

各実行で、真空チャンバーの前では、漏れは観察されなかった。
シーリングマシンの目詰まり等の問題は観察されなかった。
すべての実行で、許容簡易内の漏れ率を示す。
カプセルの寸法、形状、および安定性は、密封による影響を受けなかった。
【0063】
【表5】
【表6】
【表7】
【国際調査報告】