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特表2023-552871ポリアミド、ガラス繊維、および中空ガラス強化材をベースとする成形用組成物ならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】ポリアミド、ガラス繊維、および中空ガラス強化材をベースとする成形用組成物ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20231212BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20231212BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20231212BHJP
   C08K 3/40 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C08L77/00
C08L71/00
C08L23/00
C08K3/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535873
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 FR2021052303
(87)【国際公開番号】W WO2022129765
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013225
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】サバード, マチュー
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB022
4J002BB023
4J002BB112
4J002BB113
4J002BB172
4J002BB173
4J002BB202
4J002BB203
4J002BN052
4J002BN053
4J002CL021
4J002CL092
4J002CL093
4J002DL006
4J002DL007
4J002FA046
4J002FA047
4J002FA106
4J002FA107
4J002GC00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、成形用組成物であって、重量で、
(A)38~87%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%の中空ガラス強化材、
(C)5%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計が、100%に等しく、
組成物の密度が、1.12g/cm3未満である、
成形用組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用組成物であって、重量で、
(A)38~87%、特に43~85%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドであり、8以上の、窒素原子に対する炭素原子の平均数を有する、半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%、好ましくは5~25%、特に10~20%の中空ガラスビーズ、
(C)5%~30%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計が、100%に等しく、
前記組成物の密度が、ISO 1183-3:1999に従って測定された場合、1.12g/cm3未満である、成形用組成物。
【請求項2】
重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10~20%の中空ガラスビーズ、
(C)5~10%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の成形用組成物。
【請求項3】
重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラスビーズ、
(C)5~10%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の成形用組成物。
【請求項4】
重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラスビーズ、
(C)5~10%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の成形用組成物。
【請求項5】
重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラスビーズ、
(C)5~10%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の成形用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1g/cm3以上の密度を有することを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラスビーズ、
(C)12%~30%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の成形用組成物。
【請求項8】
重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラスビーズ、
(C)12%~30%の中実ガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項7に記載の成形用組成物。
【請求項9】
重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラスビーズ、
(C)12~30%の中実ガラス繊維、
(D)5%~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項7に記載の成形用組成物。
【請求項10】
重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラスビーズ、
(C)12~30%の中実ガラス繊維、
(D)5%~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記成形用組成物の各構成要素の割合の合計が100%に等しいことを特徴とする、請求項7に記載の成形用組成物。
【請求項11】
前記組成物が、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1.0g/cm3~1.12g/cm3未満の密度を有することを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
PEBA-1が、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1g/cm3以上、特に1.01g/cm3以上、特に1.02g/cm3以上の密度を有することを特徴とする、請求項1から3、5から8、10、および11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
官能基化ポリオレフィンが、無水マレイン酸、カルボン酸、カルボン酸無水物、およびエポキシド官能基から選択される官能基を有し、特に、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/プロピレン(EPR)エラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー共重合体(EPDM)、およびエチレン/アルキルメタクリレート共重合体から選択されることを特徴とする、請求項1、2、4、5、7、9、および11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
中空ガラスビーズが、ASTM B822-17に従ってレーザー回折によって測定された場合、10~80μm、優先的には13~50μmの平均直径d50を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
中空ガラスビーズが、ガスピクノメーター、および測定ガスとしてのヘリウムを用いて、ASTM D2840-69(1976)に従って測定された場合、0.10~0.65g/cm、優先的には0.20~0.60g/cm、特に0.30~0.50g/cmの真密度を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
中空ガラスビーズが、グリセロール中でASTM D3102-72(1982)に従って測定された場合、少なくとも50MPa、特に少なくとも100MPaの圧縮強度を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
半結晶性ポリアミドが、
少なくとも1種のC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のアミノ酸の重縮合、または
少なくとも1種のC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のラクタムの重縮合、または
少なくとも1種のC~C36、優先的にはC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12の脂肪族ジアミンXと、少なくとも1種のC~C36、優先的にはC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC~C12の脂肪族ジカルボン酸Yとの重縮合、または
それらの混合物
によって得られることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
半結晶性ポリアミドが、
少なくとも1種のC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のアミノ酸の重縮合、または
少なくとも1種のC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のラクタムの重縮合
によって得られることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記半結晶性脂肪族ポリアミドが、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、およびPA12、特に、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、PA12から選択されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記半結晶性脂肪族ポリアミドが、PA11およびPA12から選択され、特にPA11であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の添加剤が、充填剤、染料、安定剤、可塑剤、界面活性剤、成核剤、顔料、白色剤、酸化防止剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、耐衝撃性改良剤、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
物品、特に電子機器、スポーツ、航空機、自動車、または工業用の物品を製造するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
前記物品が射出成形によって製造されることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物を用いて射出成形によって得られる物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド、ガラス繊維、および中空ガラス強化材、特に中空ガラスビーズをベースとする成形用組成物であって、特に23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、良好な着色適性を有し、かつ密度が1.12g/cm3未満である、成形用組成物、ならびに物品を製造するための、特に電子機器用、スポーツ用、航空機用、自動車用、または工業用の物品を製造するための、それらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、スポーツ、自動車、または工業用途のための物品は、特にスポーツの状況で使用される場合、エネルギーの消耗を少なくするまたは消費されるエネルギーを最小限に抑えるために、すべて軽量化されなければならない。また、それらによって、スポーツ選手が、動きを制御し、筋肉パルスを迅速に伝達するために必要な感覚を得ることができるようにしなければならない。
【0003】
強化ポリアミドは、これらの組成物を含む物品の剛性、引張強度、軽量性、および延性が、特に、常温~非常に低い温度(例えば、-30℃)の間で非常に重要であるこれらの用途においてしばしば使用される。
【0004】
ガラス繊維で強化されたポリアミドの密度は、ISO1183-3:1999に従って測定された場合、前述した特定の用途、特にスポーツ用途には一般に高すぎる。
【0005】
スポーツ市場において、備品メーカーは、主として剛性、延性、衝撃強度の点で良好な機械的性能、および良好な着色適性を有する、超低密度ポリアミド(PA)ベースの材料を特に求めている。
【0006】
材料の密度を著しく低下させるためには、解決策の1つは、材料に多孔性を導入することからなる。2つの主な技術、すなわち、発泡、または中空充填剤の導入、例えば当業者に周知の配合プロセスによるものを使用することができる:
【0007】
したがって、国際出願WO2007/058812は、熱可塑性樹脂と、25μm以下のD50を有する中空ミクロスフェアとを含む組成物を記載している。
【0008】
米国特許第9,321,906号は、ポリアミドおよびプロピレン樹脂から選択されるホスト樹脂と、表面がシラン系カップリング剤で処理された中空ガラスミクロスフェアとを含む組成物を記載している。
【0009】
米国特許出願第20170058123号は、非晶性ポリアミド、微結晶性または部分的半結晶性ポリアミド、中空ガラスビーズ、および耐衝撃性改良剤を含む、密度が0.97g/cm3未満の成形用組成物を記載している。
【0010】
中空充填剤を化合物に導入することの主な欠点の1つは、中空充填剤を含む材料が充填剤を含まない材料よりも著しく脆弱であるということである。これは、破断伸度(引張試験または曲げ試験の後)および衝撃強度ではっきりと見ることができる。どちらの特性もかなり低下し、用途に適さない材料になる。
【0011】
したがって、前述の問題を克服する必要がある。
【0012】
本発明は、成形用組成物であって、重量で、
(A)38~87%、特に43~89.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%、好ましくは5~25%、特に10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計が、100%に等しく、
前記組成物が、良好な衝撃強度を有し、前記組成物の密度が、1.12g/cm3未満である、
成形用組成物に関する。
【0013】
したがって、本発明者らは、思いがけないことに、耐衝撃性改良半結晶性脂肪族ポリアミドに中空ガラスビーズおよびガラス繊維を特定の割合範囲で添加することにより、1.12g/cm3未満の低密度を有しながら、特に23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、および良好な着色適性をさらに有する組成物を得ることができることを見出した。
【0014】
射出された組成物の密度は、規格ISO 1183-3:1999に従って、23℃の温度で80mm×10mm×4mmの大きさの棒状物について測定した。
【0015】
破断伸度および引張強度は、規格ISO 527-1:2012に従って23℃で測定した。使用した機械は、INSTRON5966タイプである。クロスヘッドの速度は、弾性率の測定では1mm/分、伸長および歪みの測定では5mm/分に設定する。
【0016】
試験条件は、乾燥試料において23℃±2℃である。
【0017】
衝撃(またはショック)強度は、ISO 179-1:2010/1eU(シャルピー衝撃)に従って、50%±10%の相対湿度下の23℃±2℃の温度で80mm×10mm×4mmの大きさの棒状物を乾燥試料において測定した。
【0018】
D65光源10度下における組成物の着色適性。
【0019】
コニカミノルタブランドの分光光度計CM-3610aモデルを使用する。
【0020】
組成物は、黒色(例えばL<30)に着色しても、または白色(L>65)に着色してもよい。
【0021】
構成要素A:半結晶性脂肪族ポリアミドに関して
半結晶性ポリアミド(PA)は、本発明の意味では、規格ISO 11357-3:2013に従ったDSCによる融解温度(Tm)を有し、規格ISO 11357-3:2013に従って測定したDSCによる速度20K/分での冷却工程中の結晶化エンタルピーが30J/g超、好ましくは40J/g超であるポリアミドを意味する。
【0022】
ポリアミドの定義に使用される命名法は、ISO 1874-1:2011規格「プラスチック-ポリアミド(PA)成形および押出材料-パート1:名称」に記載されており、当業者に周知である。
【0023】
本発明の説明で使用する用語「ポリアミド」は、ホモポリアミドおよびコポリアミドの両方を包含する。
【0024】
成分(A)は、組成物の全重量に対して38~92重量%、特に43~89.9重量%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドを含む。
【0025】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドは、少なくとも1種のラクタムの重縮合から、または少なくとも1種のアミノ酸の重縮合から、または少なくとも1種のジアミンXと少なくとも1種のジカルボン酸Yとの重縮合から得られる。
【0026】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドが、少なくとも1種のラクタムの重縮合から得られる場合、それは単一のラクタムまたはいくつかのラクタムを含んでよい。
【0027】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドが少なくとも1種のラクタムの重縮合から得られる場合、前記少なくとも1種のラクタムは、C~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のラクタムから選択される。
【0028】
有利には、前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドは、単一のラクタムの重縮合から得られ、前記ラクタムは、特に、カプロラクタム、ラウロラクタム、およびウンデカノラクタムから選択することができ、有利にはラウロラクタムである。
【0029】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドが少なくとも1種のアミノ酸の重縮合から得られる場合、前記少なくとも1種のアミノ酸は、C6~C18、優先的にはC10~C18、より優先的にはC10~C12のアミノ酸から選択することができる。
【0030】
C6~C12アミノ酸は、特に、6-アミノヘキサン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、10-アミノウンデカン酸、12-アミノデカン酸、および11-アミノウンデカン酸、ならびにこれらの誘導体、特にN-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸である。
【0031】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドが少なくとも1種のアミノ酸の重縮合から得られる場合、それは単一のアミノ酸またはいくつかのアミノ酸を含んでよい。
【0032】
有利には、前記半結晶性脂肪族ポリアミドは、単一のアミノ酸の重縮合から得られ、前記アミノ酸は、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸から選択され、有利には11-アミノウンデカン酸である。
【0033】
前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドが少なくとも1種のジアミンXと少なくとも1種の二酸Yとの重縮合から得られる場合、ジアミンは、C4~C36、優先的にはC6~C18、優先的にはC6~C12、より優先的にはC10~C12のジアミンであり、二酸は、C4~C36、優先的にはC6~C18、優先的にはC6~C12、より優先的にはC8~C12の二酸であり、前記少なくとも1種のジアミンXは、脂肪族ジアミンであり、前記少なくとも1種の二酸Yは、脂肪族二酸である。
【0034】
ジアミンは、直鎖状でも分岐状でもよい。有利には、それは直鎖状である。
【0035】
少なくとも1種のC4~C36ジアミンXは、特に、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、1,13-トリデカメチレンジアミン、1,14-テトラデカメチレンジアミン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、および1,18-オクタデカメチレンジアミン、オクタデセンジアミン、エイコサンジアミン、ドコサンジアミン、および脂肪酸から得られるジアミンから選択することができる。
【0036】
有利には、前記少なくとも1種のジアミンXは、C6~C18であり、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、1,13-トリデカメチレンジアミン、1,14-テトラデカメチレンジアミン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、および1,18-オクタデカメチレンジアミンから選択される。
【0037】
有利には、前記少なくとも1種のC6~C12ジアミンXは、特に、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ヘプタメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミンから選択される。
【0038】
有利には、使用するジアミンXは、C10~C12ジアミンであり、特に、1,10-デカメチレンジアミン、1,11-ウンデカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミンから選択される。
【0039】
前記少なくとも1種のジカルボン酸Yは、C4~C36であり、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、および脂肪酸から得られる二酸から選択することができる。
【0040】
二酸は、直鎖状でも分岐状でもよい。有利には、それは直鎖状である。
【0041】
有利には、前記少なくとも1種のジカルボン酸Yは、C6~C18であり、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸から選択される。
【0042】
有利には、前記少なくとも1種のジカルボン酸Yは、C6~C12であり、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、およびドデカン二酸から選択される。
【0043】
有利には、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する炭素原子の平均数は、6以上である。
【0044】
有利には、前記少なくとも1種のジカルボン酸Yは、C8~C12であり、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、およびドデカン二酸から選択される。
【0045】
有利には、前記少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミドは、少なくとも1種のC7~C18、優先的にはC7~C12、より優先的にはC10~C12のアミノ酸の重縮合から、または少なくとも1種のC~C18、優先的にはC~C12、より優先的にはC10~C12のラクタムの重縮合から得られる。
【0046】
より有利には、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する炭素原子の平均数は、8以上である。
【0047】
特に、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する炭素原子の平均数は、8~14の間に含まれる。
【0048】
有利には、前記半結晶性脂肪族ポリアミドは、PA510、PA512、PA514、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、およびPA12、特に、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、PA12から選択される。
【0049】
さらにより有利には、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する炭素原子の平均数は、9以上である。
【0050】
特に、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する平均炭素原子数は、9~14の間に含まれる。
【0051】
より有利には、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する炭素原子の平均数は、10以上である。
【0052】
特に、半結晶性脂肪族ポリアミドの窒素原子に対する平均炭素原子数は、10~14の間に含まれる。
【0053】
有利には、前記半結晶性脂肪族ポリアミドは、PA11およびPA12から選択し、特にPA11である。
【0054】
PA-XYホモポリアミドの場合、窒素原子あたりの炭素原子の数は、単位Xと単位Yとの平均である。
【0055】
コポリアミドの場合、窒素原子あたりの炭素原子の数は、同じ原理に従って計算される。計算には、様々なアミド単位のモル比が使用される。
【0056】
前記半結晶性脂肪族ポリアミドが少なくとも1種のジアミンXと少なくとも1種のジカルボン酸Yとの重縮合から得られる場合、それは単一のジアミンまたはいくつかのジアミンおよび単一のジカルボン酸またはいくつかのジカルボン酸を含んでよい。
【0057】
一実施形態では、前記半結晶性脂肪族ポリアミドは、単一のジアミンXと単一のジカルボン酸Yとの重縮合から得られる。
【0058】
有利には、前記半結晶性脂肪族ポリアミドは、PA10、PA11、PA12、PA1010、PA1012、特にPA11およびPA12から選択される。
【0059】
有利には、半結晶性ポリアミドは、部分的または完全に生物由来である。
【0060】
中空ガラス強化材(B)に関して
中空ガラス強化材は、組成物中において組成物の全重量に対して3~25重量%、特に5~25重量%、特に10~20重量%存在する。
【0061】
中空ガラス強化材は、中空であればどんな形状でもよい中空(中実ではない)構造を有するガラス強化材料に相当する。
【0062】
中空ガラス強化物は、特に、中空ガラス繊維または中空ガラスビーズでよい。特に、中空ガラス強化材は、中空ガラスビーズから選択される。
【0063】
短い中空ガラス繊維は、好ましくは、組成物が使用される前に、2~13mm、好ましくは3~8mmの間の長さを有する。
【0064】
中空ガラス繊維とは、繊維内の中空(または穴または間隙または空隙)が、前記繊維の外径に対して必ずしも同心でないガラス繊維を意味する。
【0065】
中空ガラス繊維は、次のいずれかでよい:
- 外径が7~75μm、好ましくは9~25μm、より好ましくは10~12μmの円形断面を有するもの。
【0066】
中空(用語「中空」は、穴または間隙または空隙と呼ぶこともできる)の直径は、中空ガラス繊維の外径と等しくないことは明白である。
【0067】
有利には、中空(または穴または間隙)の直径は、中空繊維の外径の10%~80%、特に60~80%である。
- または、中空繊維は、L/D比(ここで、Lは繊維の断面の最大寸法を表し、Dは前記繊維の断面の最小寸法を表す)が2~8、特に2~4の間である非円形断面を有する。>LおよびDは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定することができる。
【0068】
一実施形態では、中空ガラス強化材は、中空ガラスビーズである。
【0069】
中空ガラスビーズは、組成物中において組成物の全重量に対して3~25重量%、特に5~25重量%、特に10~20重量%存在する。
【0070】
中空ガラスビーズは、グリセロール中でASTM D3102-72(1982)に従って測定された場合、少なくとも50MPa、特に好ましくは少なくとも100MPaの圧縮強度を有する。
【0071】
有利には、中空ガラスビーズは、規格ASTM B822-17に従ってレーザー回折を使用して測定された場合、10~80μm、好ましくは13~50μmの体積平均直径d50を有する。
【0072】
中空ガラスビーズは、例えば、この目的に使用することができるアミノシラン、エポキシシラン、ポリアミド、特に水溶性ポリアミド、脂肪酸、ワックス、シラン、チタン酸塩、ウレタン、ポリヒドロキシエーテル、エポキシド、ニッケル、またはこれらの混合物をベースとする系で表面処理することができる。中空ガラスビーズは、好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ポリアミド、またはこれらの混合物で表面処理される。
【0073】
中空ガラスビーズは、ホウケイ酸ガラス、好ましくはカルシウム-ホウケイ酸ナトリウム-炭酸酸化物ガラスから形成することができる。
【0074】
中空ガラスビーズは、好ましくは、ASTM B822-17に従ってレーザー回折によって測定された場合、10~80μm、優先的には13~50μmの平均直径d50を有する。
【0075】
本明細書において、分布は体積で表される。
【0076】
中空ガラスビーズは、好ましくは、ガスピクノメーター、および測定ガスとしてのヘリウムを用いて、規格ASTM D2840-69(1976)に従って測定された場合、0.10~0.65g/cm、好ましくは0.20~0.60g/cm、特に好ましくは0.30~0.50g/cmの真密度を有する。
【0077】
有利には、中空ガラスビーズは、グリセロール中でASTM D3102-72(1982)に従って測定された場合、少なくとも50MPa、特に少なくとも100MPaの圧縮強度を有する。
【0078】
一実施形態では、中空ガラスビーズは、シラン系カップリング剤による処理を受けていない。
【0079】
ガラス繊維(C)に関して:
ガラス繊維は、5%~30%存在する。
【0080】
一実施形態では、ガラス繊維は、12~30%存在する。
【0081】
さらに別の一実施形態では、ガラス繊維は、5~18%存在する。
【0082】
さらに別の一実施形態では、ガラス繊維は、組成物の全重量に対して5~10重量%存在する。
【0083】
ガラス繊維は、中実および/または中空でよく、有利には、それらは中実である。
【0084】
ガラス繊維は、有利には短い。
【0085】
短いガラス繊維は、円形または非円形の断面を有してよい。
【0086】
円形断面を有する繊維は、その円周上の任意の点において繊維の中心と等しい距離を有する繊維として定義され、したがって、完全またはほぼ完全な円を表す。
【0087】
したがって、この完全またはほぼ完全な円を有さない任意のガラス繊維は、非円形断面を有する繊維として定義される。
【0088】
非円形断面繊維の非限定的な例は、例えば、楕円、長円または繭形、星形、フレーク形、へん平繊維、十字形、多角形、および環を有する非円形繊維である。
【0089】
短いガラス繊維は、好ましくは、組成物が使用される前に、2~13mm、好ましくは3~8mmの間の長さを有する。
【0090】
ガラス繊維は、次のいずれかでよい:
- 4μm~25μmの間、好ましくは4~15μmの間の直径を有する円形断面を有するもの。
- または、L/D比(ここで、Lは繊維の断面の最大寸法を表し、Dは前記繊維の断面の最小寸法を表す)が2~8、特に2~4の間である非円形断面を有するもの。LおよびDは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定することができる。
【0091】
耐衝撃性改良剤(D)に関して:
少なくとも1種の耐衝撃性改良剤は、組成物の全重量に対して5~15重量%存在する。
【0092】
少なくとも1種の耐衝撃性改良剤は、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびこれらの混合物から選択され、ポリオレフィンおよびPEBA-1は、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する。
【0093】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)は、アミド単位(Ba1)とポリエーテル単位(Ba2)との共重合体であり、前記アミド単位(Ba1)は、少なくとも1種のアミノ酸から得られる単位、あるいは少なくとも1種のラクタムから得られる単位、あるいは単位X1.Y1であって、
- 直鎖状もしくは分岐状脂肪族ジアミンまたはこれらの混合物から優先的に選択される、少なくとも1種のジアミンX1と、
- 直鎖状もしくは分岐状脂肪族二酸またはこれらの混合物から優先的に選択される、少なくとも1種のカルボン二酸Y1と
の重縮合によって得られる、単位X1.Y1
から選択される脂肪族反復単位に相当し、
前記ジアミンX1および前記二酸Y1は、4~36個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子を含み;
前記ポリエーテル単位(Ba2)は、特に、少なくとも1種のポリアルキレンエーテルポリオール、特にポリアルキレンエーテルジオールから誘導され、
PEBA-1は、特に、とりわけ以下の1)~3)などの、反応性末端を有するポリアミド配列と反応性末端を有するポリエーテル配列との共重縮合から生じる:
1)ジアミン鎖末端を有するポリアミド配列と、ジカルボン酸鎖末端を有するポリオキシアルキレン配列。
2)ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミド配列と、ポリアルキレンエーテルジオール(ポリエーテルジオール)と呼ばれるα-ωジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレン配列をシアノエチル化および水素添加することによって得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレン配列。
3)ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミド配列と、ポリエーテルジオール、但し、この特定の場合、得られる生成物は、ポリエーテルエステルアミドである。本発明の共重合体は、有利にはこのタイプである。
【0094】
ジカルボン酸鎖末端を有するポリアミド配列は、例えば、連鎖制限カルボン二酸の存在下でのポリアミド前駆体の縮合からもたらされる。
【0095】
ジアミン鎖末端を有するポリアミド配列は、例えば、連鎖制限ジアミンの存在下でのポリアミド前駆体の縮合からもたらされる。
【0096】
ポリアミドおよびポリエーテルブロックのポリマーはまた、ランダムに分布した単位を含んでよい。これらのポリマーは、ポリエーテルおよびポリアミドブロック前駆体の同時反応によって調製することができる。
【0097】
例えば、ポリエーテルジオール、ポリアミド前駆体、および連鎖制限二酸を反応させることができる。その結果、本質的にポリエーテルブロック、ポリアミドブロックを長さに大きなばらつきのある状態で有するポリマーが得られるが、様々な試剤もランダムに反応して、ポリマー鎖に沿ってランダムに(統計的に)分布される。
【0098】
あるいは、ポリエーテルジアミン、ポリアミド前駆体、および連鎖制限二酸を反応させることができる。その結果、本質的にポリエーテルブロック、ポリアミドブロックを長さに大きなばらつきのある状態で有するポリマーが得られるが、様々な試剤もランダムに反応して、ポリマー鎖に沿ってランダムに(統計的に)分布される。
【0099】
アミド単位(Ba1):
アミド単位(Ba1)は、上記で定義したとおりの脂肪族反復単位に相当する。
【0100】
有利には、アミド単位(Ba1)は、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012から選択し、特にポリアミド11である。
【0101】
より有利には、アミド単位(Ba1)は、ポリアミド11およびポリアミド12から選択し、特にポリアミド11である。
【0102】
ポリエーテル単位(Ba2):
ポリエーテル単位は、特に少なくとも1種のポリアルキレンエーテルポリオールに由来し、特に、それらは、少なくとも1種のポリアルキレンエーテルポリオールに由来し、言い換えると、ポリエーテル単位は、少なくとも1種のポリアルキレンエーテルポリオールからなる。この実施形態では、「~の少なくとも1種のポリアルキレンエーテルポリオール」という表現は、ポリエーテル単位がアルコール鎖末端のみからなり、したがって、ポリエーテルジアミントリブロック型化合物にはなり得ないことを意味する。
【0103】
したがって、本発明の組成物は、ポリエーテルジアミントリブロックを含まない。
【0104】
有利には、ポリエーテル単位(Ba2)は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、およびこれらの混合物または共重合体から選択し、特にPTMGである。
【0105】
ポリエーテルブロックの数平均分子量(Mn)は、有利には200~4000g/mol、好ましくは250~2500g/mol、特に300~1100g/molの間にある。
【0106】
PEBA-1は、以下の方法によって調製することができる:
- 第1ステップにおいて、ポリアミドブロック(Ba1)を、
ラクタム、または
アミノ酸、または
ジアミンと、カルボン二酸と;必要に応じて、ラクタムおよびα-ωアミノカルボン酸から選択される共単量体とを、
カルボン二酸から選択される連鎖制限剤の存在下で
重縮合することによって調製し;次いで、
- 第2ステップにおいて、得られたポリアミドブロック(Ba1)を触媒の存在下でポリエーテルブロック(Ba2)と反応させる。
【0107】
本発明の共重合体の2段階調製のための一般的な方法は、既知であり、例えば、仏国特許第2846332号および欧州特許第1482011号に記載されている。
【0108】
ブロック(Ba1)を形成するための反応は、通常、180~300℃、好ましくは200~290℃の間で行われ、反応器内の圧力は、5~30barの間であり、約2~3時間維持される。圧力は、反応器を大気圧にすることでゆっくりと下げられ、次いで、過剰な水は、例えば1~2時間かけて蒸留除去される。
【0109】
カルボン酸末端を有するポリアミドを調製した後、ポリエーテルおよび触媒を添加する。ポリエーテルは、1または複数の段階で添加することができ、触媒も同様に添加することができる。有利な一実施形態では、ポリエーテルを最初に添加し、ポリエーテルのOH末端とポリアミドのCOOH末端との反応が、エステル結合の形成および水の除去で始まる。蒸留によって反応媒体からできるだけ多くの水を除去し、次いで、触媒を導入して、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの結合を完了させる。この第2ステップは、撹拌下、好ましくは少なくとも15mmHg(2000Pa)の真空下で、試薬および得られる共重合体が溶融状態にあるような温度で実施される。一例として、この温度は、100~400℃、最も一般的には200~300℃の間でよい。反応は、溶融ポリマーがスターラーに及ぼすトルクを測定することによって、またはスターラーが消費する電力を測定することによって監視される。反応の終了は、目標とするトルクまたは電力の値によって決定される。
【0110】
酸化防止剤として使用される1種または複数種の分子、例えば、Irganox(登録商標)1010またはIrganox(登録商標)245も、合成中に最も適切と考えられる時点で添加することができる。
【0111】
PEBA調製プロセスはまた、
ラクタム、または
アミノ酸、または
ジアミンと、カルボン二酸と;場合によっては他のポリアミド共単量体とを、
- カルボン二酸から選択される連鎖制限剤の存在下で;
- ブロック(Ba2)(ポリエーテル)の存在下で;
- ソフトブロック(Ba2)とブロック(Ba1)との間の反応のための触媒の存在下で
重縮合を行うために、単一ステップで、すべての単量体を最初に添加するように考えることができる。
【0112】
有利には、前記カルボン二酸を、連鎖制限剤として使用し、ジアミンの化学量論に対して過剰に導入する。
【0113】
有利には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムによって形成される群から選択される金属の誘導体、またはリン酸、次亜リン酸、もしくはホウ酸などの強酸を、触媒として使用する。
【0114】
重縮合は、240~280℃の温度で行うことができる。
【0115】
一般的に言えば、エーテルおよびアミド単位を有する既知の共重合体は、直鎖状かつ半結晶性の脂肪族ポリアミド配列(例えばArkemaの「Pebax」)からなる。
【0116】
一実施形態では、アミド単位(Ba1)およびポリエーテル単位(Ba2)を有するコポリアミドは、ISO 1183-3:1999に従って決定した場合、1以上、特に1.01以上、特に1.02以上の密度を有する。
【0117】
耐衝撃性改良剤のポリオレフィンは、官能基化されていても官能基化されていなくてもよく、または少なくとも1種の官能基化ポリオレフィンおよび/もしくは少なくとも1種の非官能基化ポリオレフィンの混合物であってもよい。簡略化するために、ポリオレフィンを(B)と表記し、官能基化ポリオレフィン(B1)および非官能基化ポリオレフィン(B2)を以下に説明する。
【0118】
非官能基化ポリオレフィン(B2)は、古典的には、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ブタジエンなどのα-オレフィンまたはジオレフィンの単独重合体または共重合体である。例として次のものを挙げることができる
- ポリエチレンの単独重合体および共重合体、特に、LDPE、HDPE、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、およびメタロセンポリエチレン。
- プロピレンの単独重合体または共重合体。
- エチレン/α-オレフィン共重合体、例えば、エチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴムの略)、およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)など。
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)のブロック共重合体。
- エチレンと、アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルアクリレート)などの不飽和カルボン酸の塩もしくはエステル、またはビニルアセテート(EVA)などの飽和カルボン酸のビニルエステルから選択される少なくとも1種の生成物との共重合体、但し、共単量体の割合は40重量%に達することもある。
【0119】
官能基化ポリオレフィン(B1)は、反応性単位(官能性)を有するα-オレフィンのポリマーでよく、このような反応性単位は、酸、無水物、またはエポキシ官能基である。例として、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシドによって、あるいは(メタ)アクリル酸などのカルボン酸または対応する塩もしくはエステル(Znなどの金属によって完全にまたは部分的に中和されていてもよい)によって、さらにあるいは無水マレイン酸などのカルボン酸無水物によって、グラフト化または共重合または三元重合されている前述のポリオレフィン(B2)を挙げることができる。
【0120】
官能基化ポリオレフィン(B1)は、グラフト率が例えば0.01~5重量%の、以下の無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレートでグラフト化されている(共)重合体から選択することができる:
- PE、PP、例えば35~80重量%のエチレンを含有する、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、またはオクテンとの共重合体;
- エチレン/α-オレフィン共重合体、例えば、エチレン/プロピレン、EPR(エチレン-プロピレン-ゴムの略)、およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)など。
- スチレン/エチレン-ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレン(SEPS)のブロック共重合体。
- 最大40重量%のビニルアセテートを含有する、エチレンおよびビニルアセテート共重合体(EVA);
- 最大40重量%のアルキル(メタ)アクリレートを含有する、エチレンおよびアルキル(メタ)アクリレート共重合体;
- 最大40重量%の共単量体を含有する、エチレンおよびビニルアセテート(EVA)ならびにアルキル(メタ)アクリレート共重合体。
【0121】
官能基化ポリオレフィン(B1)はまた、無水マレイン酸でグラフト化させたプロピレンを主とするエチレン/プロピレン共重合体を、モノアミンポリアミド(またはポリアミドオリゴマー)と縮合させたものから選択することができる(EP-A-0,342,066に記載の生成物)。
【0122】
官能基化ポリオレフィン(B1)はまた、少なくとも以下の単位の共重合体でも三元重合体でもよい:(1)エチレン、(2)アルキル(メタ)アクリレートまたは飽和カルボン酸のビニルエステル、および(3)無水マレイン酸などの無水物、または(メタ)アクリル酸、またはグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ。
【0123】
後者のタイプの官能基化ポリオレフィンの例として、エチレンが好ましくは少なくとも60重量%に相当し、かつ三元単量体(官能基)が例えば0.1~10重量%の共重合体に相当する、以下の共重合体を挙げることができる:
- エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレート共重合体;
- エチレン/ビニルアセテート/無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレート共重合体;
- エチレン/ビニルアセテートまたはアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸またはグリシジルメタクリレート共重合体。
【0124】
前述の共重合体において、(メタ)アクリル酸は、ZnまたはLiで塩化されていてもよい。
【0125】
(B1)または(B2)における「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、C1~C8アルキルメタクリレートおよびアクリレートを示し、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、およびエチルメタクリレートから選択することができる。
【0126】
さらに、前述のポリオレフィン(B1)はまた、任意の適切な方法または薬剤(ジエポキシ、二酸、過酸化物など)によって架橋することができ、官能基化ポリオレフィンという用語はまた、前述のポリオレフィンと、これらと反応することができる二酸、二無水物、ジエポキシなどの二官能性試薬との混合物、または一緒に反応することができる少なくとも2種の官能基化ポリオレフィンの混合物を含む。
【0127】
前述の共重合体(B1)および(B2)は、統計的または逐次的に共重合され、直鎖状または分岐状の構造を有することができる。
【0128】
これらのポリオレフィンの分子量、MFI指数、密度はまた、大きく変化する可能性があり、これは当業者には周知である。MFIは、溶融流れインデックスの略称であり、溶融状態での流動性の尺度である。これは、規格ASTM1238に従って測定される。
【0129】
添加剤(E)に関して:
少なくとも1種の添加剤は、場合によっては、組成物の全重量に対して0~2重量%、特に0.1~2%存在する。
【0130】
添加剤は、染料、安定剤、可塑剤、界面活性剤、成核剤、顔料、白色剤、酸化防止剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、レーザーマーキング用添加剤、およびこれらの混合物から選択される。
【0131】
例として、安定剤は、UV安定剤、有機安定剤、またはより一般には、フェノール系酸化防止剤(例えば、Ciba-BASFによるIrganox(登録商標)245または1098または1010のタイプ)、亜リン酸系酸化防止剤(例えば、Ciba-BASFによるIrgafos(登録商標)126)などの有機安定剤の組合せ、および、さらに場合によっては、ヒンダードアミン系光安定剤を意味するHALS(例えば、Ciba-BASFによるTinuvin(登録商標)770)、抗UV剤(例えば、CibaによるTinuvin(登録商標)312)、リン系安定剤のような他の安定剤でよい。CromptonのNaugard(登録商標)445などのアミン系酸化防止剤、またはClariantのNylostab(登録商標)S-EEDなどの多官能性安定剤も使用することができる。
【0132】
この安定剤はまた、銅系安定剤などの鉱物安定剤でもよい。このような鉱物安定剤の例として、ハロゲン化物および酢酸銅を挙げることができる。二次的には、銀などの他の金属も場合によっては考慮され得るが、これらはそれほど効果的でないことが知られている。これらの銅系化合物は、典型的には、アルカリ金属ハロゲン化物、特にカリウムと会合している。
【0133】
例を挙げると、可塑剤は、ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えば、n-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)など;エチルトルエンスルホンアミドまたはN-シクロヘキシルトルエンスルホンアミド;ヒドロキシ安息香酸エステル、例えば、パラヒドロキシ安息香酸2-エチルヘキシルおよびパラヒドロキシ安息香酸2-デシルヘキシルなど;オリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコールのようなテトラヒドロフルフリルアルコールのエステルまたはエーテル;ならびにクエン酸またはヒドロキシマロン酸のエステル、例えば、マロン酸オリゴエチレンオキシなどから選択される。
【0134】
可塑剤の混合物を使用することは、本発明の範囲外ではない。
【0135】
例として、充填剤は、シリカ、グラファイト、膨張黒鉛、カーボンブラック、カオリン、マグネシア、スラグ、タルク、珪灰石、マイカ、ナノ充填材(カーボンナノチューブ)、顔料、金属酸化物(酸化チタン)、金属、有利には珪灰石およびタルクから選択することができ、好ましくはタルクである。
【0136】
例として、レーザーマーキング用添加剤は、MERCKからのIriotec(登録商標)8835/Iriotec(登録商標)8850、およびAmpacet CorporationからのLaser Mark(登録商標)1001074-E/Laser Mark(登録商標)1001088-Eである。
【0137】
成形用組成物に関して
成形用組成物は、重量で、
(A)38~87%、特に43~85%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%、好ましくは5~25%、特に10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しく、
組成物の密度は、1.12g/cm3未満である。
【0138】
前記組成物は、1.12g/cm3未満の低密度を有しながら、特に23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、および良好な着色適性をさらに有する。
【0139】
一実施形態では、成形用組成物は、0~30重量%のポリエーテルブロックアミド(PEBA-2)であって、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で100MPa超、特に200MPa超の曲げ弾性率を有する、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-2)を含み、これを(F)と表記する。
【0140】
有利には、前記組成物は、
(A)38~87%、特に43~85%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%、好ましくは5~25%、特に10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤、
(F)0~30重量%のポリエーテルブロックアミド(PEBA-2)であり、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で100MPa超、特に200MPa超の曲げ弾性率を有する、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-2)
からなり、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しく、
組成物の密度は、1.12g/cm3未満である。
【0141】
前記組成物は、1.12g/cm3未満の低密度を有しながら、特に23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、および良好な着色適性をさらに有する。
【0142】
より有利には、前記組成物は、
(A)38~87%、特に43~85%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)3~25%、好ましくは5~25%、特に10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の、ポリオレフィン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の耐衝撃性改良剤であり、ポリオレフィンおよびPEBA-1が、規格ISO 178:2010に従って測定された場合、23℃で200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する、耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
からなり、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しく、
組成物の密度は、1.12g/cm3未満である。
【0143】
前記組成物は、1.12g/cm3未満の低密度を有しながら、特に23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、および良好な着色適性をさらに有する。
【0144】
第1の変形体では、上記で定義した前記組成物は、重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0145】
有利には、前記組成物は、重量で、
(A)54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0146】
この第1の変形体の第1の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0147】
有利には、前記成形用組成物は、重量で、
(A)54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0148】
この第1の変形体の第2の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0149】
有利には、前記成形用組成物は、重量で、
(A)54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0150】
この第1の変形体の第3の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)53~80%、特に54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0151】
有利には、前記成形用組成物は、重量で、
(A)54~79.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)10%~20%の中空ガラス強化材、
(C)5~10%のガラス繊維、
(D)5~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0152】
この第1の変形体では、上記で定義したすべての実施形態はまた、同じ組成物を用いて実施することができるが、その場合、様々な構成要素を含む(comprising)のではなくそれらの構成要素からなる(consist of)。
【0153】
有利には、この第1の変形体の様々な実施形態のすべての組成物は、用語「からなる(consisting of)」または「含む(comprising)」によって定義されるかどうかにかかわらず、前記組成物が、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1g/cm3未満の密度を有することを特徴とする。
【0154】
この第1の変形体の組成物は特に、スポーツ用物品の製造に、より特に適している。
【0155】
有利には、第1の変形体のものを含みかつPEBA-1を含む、上記で定義した組成物では、前記PEBA-1は、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1g/cm3以上、特に1.01g/cm3以上、特に1.02g/cm3以上の密度を有する。
【0156】
有利には、第1の変形体のものを含みかつポリオレフィンを含む、上記で定義した組成物では、前記ポリオレフィンは、官能基化されており、無水マレイン酸、カルボン酸、カルボン酸無水物、およびエポキシド官能基から選択される官能基を有し、特に、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/プロピレン(EPR)エラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー共重合体(EPDM)、およびエチレン/アルキルメタクリレート共重合体から選択される。
【0157】
第2の変形体では、上記で定義した前記成形用組成物は、重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラス強化材、
(C)12%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0158】
有利には、上記で定義した前記成形用組成物は、重量で、
(A)49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラス強化材、
(C)12%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種の耐衝撃性改良剤、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0159】
この第2の変形体の第1の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラス強化材、
(C)12%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0160】
有利には、上記で定義した前記成形用組成物は、重量で、
(A)49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラス強化材、
(C)12%~30%のガラス繊維、
(D)5~15%の前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0161】
この第2の変形体の第2の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラス強化材、
(C)12~30%のガラス繊維、
(D)5%~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0162】
有利には、上記で定義した前記成形用組成物は、重量で、
(A)49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5~25%の中空ガラス強化材、
(C)12~30%のガラス繊維、
(D)5%~15%の前記少なくとも1種のポリオレフィン、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0163】
この第2の変形体の第3の実施形態では、前記成形用組成物は、重量で、
(A)48~78%、特に49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラス強化材、
(C)12~30%のガラス繊維、
(D)5%~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0164】
有利には、上記で定義した前記成形用組成物は、重量で、
(A)49~77.9%の少なくとも1種の半結晶性脂肪族ポリアミド、
(B)5%~25%の中空ガラス強化材、
(C)12~30%のガラス繊維、
(D)5%~15%の、前記少なくとも1種のポリオレフィンと前記少なくとも1種のポリエーテルブロックアミド(PEBA-1)との混合物、
(E)0.1~1重量%の少なくとも1種の添加剤
を含み、
前記組成物の各構成要素の割合の合計は、100%に等しい。
【0165】
この第2の変形体では、上記で定義したすべての実施形態はまた、同じ組成物を用いて実施することができるが、その場合、様々な構成要素を含むのではなくそれらの構成要素からなる。
【0166】
有利には、この第2の変形体の様々な実施形態のすべての組成物は、用語「からなる」または「含む」によって定義されるかどうかにかかわらず、前記組成物が、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1.0~1.12g/cm3未満の密度を有することを特徴とする。
【0167】
この第2の変形体の組成物は特に、電子用または航空機用物品の製造に、より特に適している。
【0168】
有利には、第2の変形体で定義されかつPEBA-1を含む前述の組成物では、前記PEBA-1は、ISO 1183-3:1999に従って決定された場合、1g/cm3以上、特に1.01g/cm3以上、特に1.02g/cm3以上の密度を有する。
【0169】
有利には、第2の変形体で定義されかつポリオレフィンを含む前述の組成物では、前記ポリオレフィンは、官能基化されており、無水マレイン酸、カルボン酸、カルボン酸無水物、およびエポキシド官能基から選択される官能基を有し、特に、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/プロピレン(EPR)エラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー共重合体(EPDM)、およびエチレン/アルキルメタクリレート共重合体から選択される。
【0170】
誘電率は、真空の誘電率に対する、検討中の材料の誘電率εの比として定義される。これは、kまたはDkと記され、ASTM D-2520-13に従って測定される。これは、比誘電率である。
【0171】
これは、予め乾燥させた、特に80℃で5日間乾燥させた試料を、23℃、50%の相対湿度(RH)下で測定したものである。
【0172】
1GHzの周波数は、科学的記数法では10Hzに相当する。
【0173】
有利には、この第2の変形体において定義した前述の組成物は、低い誘電率Dkを示す。特に、前記誘電率Dkは、ASTM D-2520-13に従って測定された場合、少なくとも1GHzの周波数で、特に少なくとも2GHzの周波数で、特に少なくとも3GHzの周波数で、23℃、50%RH下では、3.5以下、特に3.4以下である。
【0174】
様々な弾性率(例えば、引張弾性率、曲げ弾性率など)の間には違いがある。曲げ弾性率について考えると、曲げ弾性率は常に、引張弾性率より低くなる。
【0175】
これらの弾性率は、温度によって、および試料中の水分レベルによって影響を受ける可能性がある。
【0176】
有利には、この第2の変形体において定義した前述の組成物は、高い弾性率を有する。特に、20℃における前記乾燥弾性率は、1.5GPa~6GPa未満、特に3GPa~6GPa未満である。
【0177】
一実施形態では、上記で定義した弾性率は、曲げ弾性率と引張弾性率の両方に対応し、曲げ弾性率はISO 178:2010に従って測定され、引張弾性率(または弾性係数E)はISO 527-1および2:2012に従って測定される。
【0178】
別の一実施形態では、上記で定義した弾性率は、曲げ弾性率に相当し、上記のように測定される。
【0179】
別の一実施形態では、上記で定義した弾性率は、引張弾性率に相当し、上記のように測定される。
【0180】
有利には、この第2の変形体において、半結晶性脂肪族ポリアミドは、窒素原子あたり8以上の平均炭素原子数を有し、組成物の水安定性は、窒素原子あたり8未満の平均炭素原子数を有する組成物の水安定性よりも大きい。
【0181】
別の一態様によれば、本発明は、特に電子機器、スポーツ、航空機、自動車、または工業用の物品を製造するための、上記で定義した組成物の使用に関する。
【0182】
有利には、前記物品は、射出成形によって製造される。
【0183】
別の一態様によれば、本発明は、上記で定義した組成物を用いて射出成形によって得られる物品に関する。
【実施例
【0184】
本発明の組成物の調製および機械的性質:
表1および2の組成物は、ポリアミド、PEBAおよび/またはポリオレフィンの粒状体を、中空ガラスビーズおよびガラス繊維および場合によっては添加剤と溶融ブレンドすることによって調製した。
【0185】
この混合物は、直径26mmの二軸スクリュー共回転押出機において250℃の平坦な温度プロフィル(T°)で配合することによって製造した。スクリュー速度は250rpmであり、流速は15kg/時間である。
【0186】
中空ガラスビーズおよびガラス繊維の導入は、サイドフィーダで行われる。
【0187】
半結晶性脂肪族ポリアミド、PEBA、ポリオレフィン、および添加剤をメインホッパーに添加する。
【0188】
次いで、以下の規格に従って組成物の性質を研究するために、組成物を、射出成形機(Engel)において設定温度220℃および成形温度50℃でダンベル状または棒状に成形した。
【0189】
引張弾性率は、タイプ1AのダンベルについてISO規格527-1:2012に従って23℃で測定した。また、破断伸度および引張強度を同じ規格ISO 527-1:2012に従って23℃で測定した。使用した機械はINSTRON5966タイプである。クロスヘッドの速度は、弾性率の測定では1mm/分、伸長および歪みの測定では5mm/分に設定する。
【0190】
試験条件は、乾燥試料において23℃±2℃である。
【0191】
曲げ弾性率は、規格ISO 178:2010に従って、組成物の試験片について乾燥試料において23℃で測定した。また、使用した機械は、INSTRON5966タイプである。
【0192】
衝撃強度は、ISO 179-1:2010/1eU(シャルピー衝撃)に従って、50%±10%の相対湿度下の23℃±2℃の温度で80mm×10mm×4mmの大きさのノッチなし棒状物を乾燥試料において測定した。
【0193】
射出された組成物の密度は、規格ISO 1183-3:1999に従って、23℃の温度で80mm×10mm×4mmの大きさの棒状物について測定した。
【0194】
D65光源10度下における組成物の着色適性。
【0195】
コニカミノルタブランドの分光光度計CM-3610aモデルを使用し、色パラメーターL、a、およびbを決定することが可能である。
【0196】
Lは、白/灰/黒レベルの測定を可能にするパラメーターである。
【0197】
組成物は、L<30の場合は黒色に着色し、L>65の場合は白色に着色することが適切である。
PEBA PA11/PTMG(1000/1000g/mol):ARKEMAにより製造
Tafmer(登録商標)MH5020:三井化学により販売される無水マレイン酸-グラフト化エチレン-ブテン共重合体
【0198】
Exxelor VA1840:ExxonMobilにより提供。
【0199】
Eガラス繊維:直径10μmの円形断面およびE型を有する固体ガラス繊維(日東紡績または日本電気硝子)
【0200】
中空ガラスビーズ:HK60-18000(Hollowlite)
【0201】
本発明による実施例I1~I8の組成物(表I)は、23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、非常に低い密度(厳密には密度は1未満)、および良好な着色適性を有する。
EXXELOR(商標)VA1803:ExxonMobilにより提供。無水マレイン酸-グラフト化エチレン共重合体
Kraton(商標)FG1901:Kratonにより供給。エチレンおよびスチレン-ブテン共重合体
Tafmer(登録商標)MH5020:三井化学により販売される無水マレイン酸-グラフト化エチレン-ブテン共重合体
Eガラス繊維:直径10μmの円形断面およびE型を有する固体ガラス繊維(日東紡績または日本電気硝子により提供)
中空ガラスビーズ:HK60-18000(Hollowliteにより供給)
【0202】
本発明による実施例I9~I12の組成物(表II)は、1.12g/cm3未満の低密度を維持しながら、23℃での良好な衝撃強度、良好な伸長レベル、高い剛性、および良好な着色適性を有する。
【国際調査報告】