(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20231212BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20231212BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 B
H01L23/36 D
H05K7/20 B
H05K7/20 E
H05K7/20 F
H05K7/20 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535973
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021129084
(87)【国際公開番号】W WO2022127432
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011478901.3
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペン、ヤオフェン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB01
5E322AB04
5E322DB10
5E322DB12
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA04
5F136BA04
5F136BB14
5F136BB16
5F136BC01
5F136BC04
5F136BC06
5F136CC14
5F136CC24
5F136DA27
5F136EA13
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA53
(57)【要約】
本願は、電子デバイスを開示し、放熱技術の分野に関する。電子デバイスは、放熱ハウジング(1)、回路基板(2)、チップ(3)、熱界面材料層(4)、熱伝導部材(5)、および弾性部材(6)を含む。回路基板(2)、チップ(3)、熱伝導部材(5)、および弾性部材(6)は、放熱ハウジング(1)で形成されたチャンバ(101)の中に位置している。チップ(3)は、回路基板(2)の表面上に位置している。熱伝導部材(5)は、チップ(3)の表面上に位置している。熱伝達特性を有する弾性部材(6)は、熱伝導部材(5)および第1ハウジング壁(11)の間で圧縮されて、チップ(3)および熱伝導部材(5)の間のギャップを低減する。このギャップは、熱界面材料層(4)で充填されている。ギャップに充填された薄い熱界面材料層(4)は、チップ(3)および熱伝導部材(5)の間の熱伝達を加速させることができるので、熱伝導部材(5)は吸収した熱を放熱ハウジング(1)へと迅速に伝達して、放熱効果を高められるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、熱伝導部材、および弾性部材を備え、
前記回路基板、前記チップ、前記熱界面材料層、前記熱伝導部材、および前記弾性部材が全て、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており、前記熱伝導部材が前記チップの、前記回路基板から離れた表面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記熱伝導部材の、前記チップから離れた表面、および前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されて、前記チップおよび前記熱伝導部材の間のギャップを低減し、前記ギャップが前記熱界面材料層で充填されており、前記弾性部材が熱伝達特性を有し、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁である、電子デバイス。
【請求項2】
前記弾性部材がスプリングおよびヒートパイプを有し、
前記スプリングが前記熱伝導部材および前記第1ハウジング壁の間で圧縮されて、前記チップおよび前記熱伝導部材の間の前記ギャップを低減し;
前記ヒートパイプが前記熱伝導部材および前記第1ハウジング壁の間に接続されて、前記熱伝導部材により前記チップから吸収された熱を前記放熱ハウジングへと伝達し;
前記ヒートパイプが弾力性を有し、前記ヒートパイプが、前記熱伝導部材の、前記チップから離れた前記表面、および前記放熱ハウジングの前記第1ハウジング壁の前記内面の間で圧縮されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記ヒートパイプが第1パイプ部分、第2パイプ部分、および第3パイプ部分を含み、
前記第1パイプ部分が、前記熱伝導部材の、前記チップから離れた前記表面に取り付けられており、前記第3パイプ部分が前記第1ハウジング壁の前記内面に取り付けられており、前記第2パイプ部分が前記第1パイプ部分および前記第3パイプ部分の間に斜めに接続されている、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記弾性部材が、折り曲げられた熱伝導シートであり、且つ前記熱伝導部材の、前記チップから離れた前記表面、および前記第1ハウジング壁の前記内面の間で圧縮されて配置されており、前記弾性部材が折り曲げ特性によって弾力を提供し、熱伝導特性によって熱を伝達する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記回路基板が前記放熱ハウジングのハウジング壁に固定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項6】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱伝導部材、および弾性部材を備え、
前記回路基板、前記チップ、前記熱伝導部材、および前記弾性部材が全て、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており、前記熱伝導部材が前記チップの、前記回路基板から離れた表面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記熱伝導部材の、前記チップから離れた表面、および前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されて、前記チップおよび前記熱伝導部材の間のギャップを低減し、前記弾性部材が熱伝達特性を有し、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁である、電子デバイス。
【請求項7】
前記電子デバイスがさらに熱界面材料層を備え;
前記熱界面材料層が、前記チップおよび前記熱伝導部材の間の前記ギャップに充填されている、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、弾性部材、および放熱装置を備え、
前記回路基板、前記チップ、および前記熱界面材料層が全て、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており;
前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁が、前記熱界面材料層に対応する位置に開口部を有し、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁であり;
前記放熱装置が放熱ベースおよび装着プレートを有し、前記装着プレートが前記放熱ベースの側壁の外面上に位置しており;
前記放熱ベースが前記開口部に合致しており、前記放熱ベースが前記開口部に着脱可能に配置されており、前記放熱ベースが、前記チップの、前記回路基板から離れた表面上に位置しており、前記装着プレートが前記第1ハウジング壁の外面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記装着プレートの、前記第1ハウジング壁から離れた表面上に位置しており、前記弾性部材および前記装着プレートが両方とも、留め具を用いて前記第1ハウジング壁に固定されており;
前記弾性部材が前記留め具および前記装着プレートの間で圧縮されて、前記チップおよび前記放熱ベースの間のギャップを低減し、前記ギャップが前記熱界面材料層で充填されている、電子デバイス。
【請求項9】
前記放熱ベースの、前記チップに近い表面上にベイパーチャンバが配置されている、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記放熱装置がさらに放熱フィンを有し、前記放熱フィンが、前記放熱ベースの、前記チップから離れた表面上に位置している、請求項8または9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記装着プレートの、前記放熱ベースの前記側壁から離れた端部が、前記放熱ハウジングのハウジング放熱フィンと接触している、請求項8から10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記放熱ベースの前記側壁、および前記開口部の内壁の間に封止材が配置されている、請求項8から11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記回路基板が前記放熱ハウジングのハウジング壁に固定されている、請求項8から12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項14】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、弾性部材、および放熱装置を備え、
前記回路基板および前記チップが両方とも、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており;
前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁が、前記チップに対応する位置に開口部を有し、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁であり;
前記放熱装置が放熱ベースおよび装着プレートを有し、前記装着プレートが前記放熱ベースの側壁の外面上に位置しており;
前記放熱ベースが前記開口部に合致しており、前記放熱ベースが前記開口部に着脱可能に配置されており、前記放熱ベースが、前記チップの、前記回路基板から離れた表面上に位置しており、前記装着プレートが前記第1ハウジング壁の外面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記装着プレートの、前記第1ハウジング壁から離れた表面上に位置しており、前記弾性部材および前記装着プレートが両方とも、留め具を用いて前記第1ハウジング壁に固定されており;
前記弾性部材が前記留め具および前記装着プレートの間で圧縮されて、前記チップおよび前記放熱ベースの間のギャップを低減する、電子デバイス。
【請求項15】
前記電子デバイスがさらに熱界面材料層を備え;
前記熱界面材料層が、前記チップおよび前記放熱ベースの間の前記ギャップに充填されている、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、および弾性部材を備え、
前記回路基板、前記チップ、前記熱界面材料層、および前記弾性部材が全て、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記回路基板、および前記放熱ハウジングの第2ハウジング壁の間で圧縮されて、前記チップ、および前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁の間のギャップを低減し、前記ギャップが前記熱界面材料層で充填されており、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁であり、前記第2ハウジング壁が前記第1ハウジング壁と対向する位置にある、電子デバイス。
【請求項17】
前記回路基板が第1サブボードおよび第2サブボードを有し、前記第1サブボードおよび前記第2サブボードが電気的に接続されており;
前記チップが前記第1サブボードの表面上に位置しており、前記弾性部材が前記第1サブボードおよび前記第2ハウジング壁の間で圧縮されており;
前記第2サブボードが前記放熱ハウジングのハウジング壁に固定されており、前記電子デバイスのインタフェースコンポーネントが前記第2サブボードの表面上に位置している、請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
電子デバイスであって、前記電子デバイスが放熱ハウジング、回路基板、チップ、および弾性部材を備え、
前記回路基板、前記チップ、および前記弾性部材が全て、前記放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置しており、前記チップが前記回路基板の表面上に位置しており;
前記弾性部材が、前記回路基板、および前記放熱ハウジングの第2ハウジング壁の間で圧縮されて、前記チップ、および前記放熱ハウジングの第1ハウジング壁の間のギャップを低減し、前記第1ハウジング壁が、前記放熱ハウジングの、前記チップと対向する位置にあるハウジング壁であり、前記第2ハウジング壁が前記第1ハウジング壁と対向する位置にある、電子デバイス。
【請求項19】
前記電子デバイスがさらに熱界面材料層を備え;
前記熱界面材料層が、前記チップおよび前記第1ハウジング壁の間の前記ギャップに充填されている、請求項18に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年12月15日出願の「ELECTRONIC DEVICE(電子デバイス)」と題する中国特許出願第202011478901.3号に基づく優先権を主張し、当該中国特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は放熱技術の分野に関し、具体的には電子デバイスの放熱アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0003】
自動運転車の車載機器のような電子デバイスには、チップおよび放熱ハウジングが構造的に含まれ得る。チップは放熱ハウジングの中に配置されている。放熱ハウジングはチップを封止して、防塵および防水効果を実現し、チップの熱を放散するように構成されている。
【0004】
チップは加工時に大きな許容差を有し、放熱ハウジングのハウジング壁およびベースがそれぞれ放熱ハウジングの加工時に厚さ許容差を有するので、通常、チップおよび放熱ハウジングのハウジング壁の間のギャップが大きく、このギャップを厚い熱界面材料層(例えば、通常は約1ミリメートルの厚さを有する熱界面材料層)で充填する必要がある。熱界面材料層は、チップおよび放熱ハウジングのハウジング壁の間の大きなギャップを排除し、空気によって生じる熱抵抗を減らし、熱伝達効果を改善し、チップの放熱を加速させることができる。
【0005】
チップおよび放熱ハウジングの間に充填される厚い熱界面材料層はギャップを排除でき、空気によって生じる熱抵抗を減らすが、厚い熱界面材料層自体が大きい熱抵抗を有するので、熱伝達の改善効果は不十分になる。したがって、電子デバイスの放熱効果は依然として不十分である。
【発明の概要】
【0006】
本願では、電子デバイスを提供して、関連技術の問題を克服する。この技術的解決手段は、以下の通りである。
【0007】
1つの態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱伝導部材、および弾性部材を含む。回路基板、チップ、熱伝導部材、および弾性部材は全て、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。熱伝導部材は、チップの、回路基板から離れた表面上に位置している。弾性部材は、熱伝導部材の、チップから離れた表面、および放熱ハウジングの第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されて、チップおよび熱伝導部材の間のギャップを低減する。弾性部材は熱伝達特性を有する。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。
【0008】
一例において、弾性部材は熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で圧縮されているので、チップおよび熱伝導部材の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップおよび熱伝導部材は互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップおよび熱伝導部材の間の密着度について、互いがよりぴったりと合わさると、それに応じてチップおよび熱伝導部材の間の熱伝達が速くなるので、熱伝導部材はチップの熱を迅速に吸収し、熱伝達特性を有する弾性部材を用いて、吸収した熱を放熱ハウジングへと伝達し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0009】
可能な一実装例において、電子デバイスはさらに熱界面材料層を含む。熱界面材料層は、チップおよび熱伝導部材の間のギャップに充填されている。
【0010】
一例において、弾性部材は熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で圧縮されているので、チップおよび熱伝導部材の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップおよび熱伝導部材の間に充填された熱界面材料層の厚さを低減できる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、チップから熱界面材料層、熱伝導部材への熱伝達を速くすることができるので、熱伝導部材はチップの熱を迅速に吸収し、吸収した熱を熱界面材料層、熱伝達特性を有する弾性部材、および放熱ハウジングへと順に伝達して、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0011】
可能な一実装例において、弾性部材はスプリングおよびヒートパイプを含む。スプリングは熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で圧縮されて、チップおよび熱伝導部材の間のギャップを低減する。ヒートパイプは、熱伝導部材および第1ハウジング壁の間に接続されて、熱伝導部材によってチップから吸収された熱を放熱ハウジングへと伝達する。ヒートパイプは弾力性を有する。ヒートパイプは、熱伝導部材の、チップから離れた表面、および放熱ハウジングの第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されている。
【0012】
一例では、スプリングの弾性力によって、チップおよび熱伝導部材の間のギャップの大部分が排除され、チップおよび熱伝導部材の間の熱伝達を速くすることができる。熱伝導部材および放熱ハウジング1の間の熱伝達が、ヒートパイプの熱伝導性によって速くなり得る。チップで発生した熱を熱伝導部材へと迅速に伝達でき、熱伝導部材で吸収された熱を、ヒートパイプを用いて放熱ハウジングへと迅速に伝達し、放熱ハウジングを用いて外側へ放散して、チップの熱を放散する効果を高められることが分かる。
【0013】
可能な一実装例において、ヒートパイプは、第1パイプ部分、第2パイプ部分、および第3パイプ部分を含む。第1パイプ部分は、熱伝導部材の、チップから離れた表面に取り付けられている。第3パイプ部分は、第1ハウジング壁の内面に取り付けられている。第2パイプ部分は、第1パイプ部分および第3パイプ部分の間に斜めに接続されている。
【0014】
一例において、第2パイプ部分が第1パイプ部分および第3パイプ部分に対して傾斜しており、且つヒートパイプが金属製で延性を有するので、第1パイプ部分および第2パイプ部分の間の接続部を弾性変形可能にすることができ、且つ第2パイプ部分および第3パイプ部分の間の接続部を弾性変形可能にすることができ、スプリングの伸縮動作との干渉を起こすことなくヒートパイプの弾力性を実現する。
【0015】
可能な一実装例において、弾性部材は折り曲げられた熱伝導シートであり、熱伝導部材の、チップから離れた表面、および第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されて、そこに配置されている。弾性部材は、折り曲げ特性によって弾力性を提供し、熱伝導特性によって熱を伝達する。
【0016】
一例において、弾性部材は折り曲げられたシートであり、折り曲げられた構造が伸縮自在の弾力性を有する。弾性部材が熱伝導シートであり、熱伝達特性を有するので、弾性部材は、熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で圧縮が可能であり、熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で熱を伝達できる。
【0017】
可能な一実装例において、回路基板は放熱ハウジングのハウジング壁に固定されている。
【0018】
一例において、回路基板はチャンバの中に固定されており、弾性部材の圧縮弾性力に対して支持力を提供できる。回路基板は、放熱ハウジングの任意のハウジング壁に固定されてよく、例えば、第1ハウジング壁にも、または第2ハウジング壁にも固定されてよい。
【0019】
別の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、熱伝導部材、および弾性部材を含む。回路基板、チップ、熱界面材料層、熱伝導部材、および弾性部材は全て、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。熱伝導部材は、チップの、回路基板から離れた表面上に位置している。弾性部材は、チップから離れた、熱伝導部材の表面、および放熱ハウジングの第1ハウジング壁の内面の間で圧縮されて、チップおよび熱伝導部材の間のギャップを低減する。このギャップは、熱界面材料層で充填されている。弾性部材は熱伝達特性を有する。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。
【0020】
一例において、弾性部材は熱伝導部材および第1ハウジング壁の間で圧縮されているので、チップおよび熱伝導部材の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップおよび熱伝導部材の間に充填された熱界面材料層の厚さを低減できる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、チップから熱界面材料層、熱伝導部材への熱伝達を速くすることができるので、熱伝導部材はチップの熱を迅速に吸収し、吸収した熱を熱界面材料層、熱伝達特性を有する弾性部材、および放熱ハウジングへと順に伝達して、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0021】
別の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、弾性部材、および放熱装置を含む。回路基板およびチップは両方とも、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。放熱ハウジングの第1ハウジング壁には、チップに対応する位置に開口部がある。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。放熱装置は、放熱ベースおよび装着プレートを含む。装着プレートは、放熱ベースの側壁の外面上に位置している。放熱ベースは開口部に合致し、放熱ベースは開口部に着脱可能に配置されており、放熱ベースは、チップの、回路基板から離れた表面上に位置している。装着プレートは、第1ハウジング壁の外面上に位置している。弾性部材は、装着プレートの、第1ハウジング壁から離れた表面上に位置している。弾性部材および装着プレートは両方とも、留め具を用いて第1ハウジング壁に固定されている。弾性部材は、留め具および装着プレートの間で圧縮されて、チップおよび放熱ベースの間のギャップを低減する。
【0022】
一例において、弾性部材が留め具の上部および装着プレートの間で圧縮されているので、チップおよび放熱ベースの間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップおよび放熱ベースは互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップおよび放熱ベースが互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップおよび放熱ベースの間の熱伝達が速くなるので、放熱ベースはチップの熱を迅速に吸収してチップの熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0023】
さらに、チップの熱を放散する経路に関しては、装着プレートの底部が第1ハウジング壁の外面に密着しているので、放熱装置および放熱ハウジングは熱的に接続されており、これにより、放熱ベースによってチップから吸収された熱も放熱ハウジングへと伝達されて、放熱ハウジングによってチップの熱を放散できるようになる。チップで発生した熱の一部分が放熱装置によって放散され、熱のその他の部分が放熱装置によって放熱ハウジングへと伝達され、放熱ハウジングによって放散されることが分かる。
【0024】
可能な一実装例において、電子デバイスはさらに熱界面材料層を含む。熱界面材料層は、チップおよび放熱ベースの間のギャップに充填されている。弾性部材は、ギャップに充填される熱界面材料層の厚さも低減できる。
【0025】
一例において、熱界面材料層が電子デバイスのチップおよび放熱ベースの間に充填されているが、装着プレートの外面上に配置された圧縮状態の弾性部材が放熱ベースに押圧力を加えるので、チップおよび放熱ベースの間のギャップの大部分は排除されている。この場合、ギャップに充填する必要があるのは、薄い熱界面材料層だけである。例えば、充填する熱界面材料層の厚さは、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートル、またはさらに小さい。
【0026】
さらに、チップおよび放熱ベースの間に充填された薄い熱界面材料層が圧縮変形特性を有し、且つ弾性部材が放熱ベースに押圧力を加えるので、熱界面材料層の厚さをさらに圧縮でき、これにより、熱界面材料層はさらに薄くなる。例えば、シリカゲル製で厚さが0.07ミリメートルの熱界面材料層が選択されて、チップおよび放熱ベースの間に充填される。熱界面材料層は、弾性部材の押圧作用を受けて、0.02ミリメートルの厚さの分だけ再度圧縮される。この場合、チップおよび放熱ベースの間に最終的に充填される熱界面材料層の厚さは、0.05ミリメートルになる。
【0027】
圧縮状態の弾性部材は、チップおよび放熱ベースの間のギャップの大部分を排除でき、チップおよび放熱ベースの間に充填される熱界面材料層の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0028】
可能な一実装例では、放熱ベースの、チップに近い表面上に、ベイパーチャンバが配置されている。
【0029】
一例において、ベイパーチャンバはさらに、チップおよび放熱装置の間の熱伝達を速くして、チップの熱を放散する効果を高められる。
【0030】
可能な一実装例において、放熱装置はさらに放熱フィンを含み、放熱フィンは、放熱ベースの、チップから離れた表面上に位置している。
【0031】
一例において、放熱フィンは、放熱ベースの全体の放熱面積を増やして、チップの放熱を加速させることができる。
【0032】
可能な一実装例において、装着プレートは、放熱ベースの側壁に隣接した放熱フィンの根元に位置している。
【0033】
一例において、放熱フィンを放熱ベースの上部の外面上に取り付ける解決手段では、放熱ベースの側壁の外面上の装着プレートは、放熱フィンの根元に固定されてよい。もちろん、装着プレートは代替的に、放熱ベースの側壁の、放熱ベースの上部に近い外面上に位置してもよい。本実施形態では、装着プレートの具体的な取り付け位置について限定しないが、放熱ベースの底部が開口部に位置し得ること、且つ装着プレートを第1ハウジング壁の外面上に装着できることが前提である。
【0034】
可能な一実装例において、装着プレートの、放熱ベースの側壁から離れた端部が、放熱ハウジングのハウジング放熱フィンと接触している。
【0035】
一例において、装着プレートの底部が第1ハウジング壁と接触しており、且つ装着プレートの端部がハウジング放熱フィンと接触しているので、装着プレートおよび放熱ハウジングの間の接触面積が増加し、放熱装置および放熱ハウジングの間の熱伝達を速くして、チップの熱を放散する効果を高められるようになる。
【0036】
可能な一実装例において、放熱ベースの側壁、および開口部の内壁の間には、封止材が配置されている。
【0037】
一例において、放熱ハウジングの開口部に放熱ベースを取り付ける場合、放熱ベースの側壁、および開口部の内壁の間に封止材が位置しているので、塵および水などが、放熱ベースの外壁、および開口部の内壁の間のギャップを通ってチャンバに入り込むのを防止できるようになる。
【0038】
可能な一実装例において、回路基板は放熱ハウジングのハウジング壁に固定されている。
【0039】
一例において、回路基板はチャンバの中に固定されており、弾性部材の圧縮弾性力に対して支持力を提供できる。回路基板は、放熱ハウジングの任意のハウジング壁に固定されてよく、例えば、第1ハウジング壁にも、または第2ハウジング壁にも固定されてよい。
【0040】
別の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、弾性部材、および放熱装置を含む。回路基板、チップ、および熱界面材料層は全て、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。放熱ハウジングの第1ハウジング壁には、熱界面材料層に対応する位置に開口部がある。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。放熱装置は、放熱ベースおよび装着プレートを含む。装着プレートは、放熱ベースの側壁の外面上に位置している。放熱ベースは開口部に合致し、放熱ベースは開口部に着脱可能に配置されており、放熱ベースは、チップの、回路基板から離れた表面上に位置している。装着プレートは、第1ハウジング壁の外面上に位置している。弾性部材は、装着プレートの、第1ハウジング壁から離れた表面上に位置している。弾性部材および装着プレートは両方とも、留め具を用いて第1ハウジング壁に固定されている。弾性部材は、留め具および装着プレートの間で圧縮されて、チップおよび放熱ベースの間のギャップを低減し、ギャップに充填される熱界面材料層の厚さを低減する。
【0041】
一例において、圧縮状態の弾性部材は、チップおよび放熱ベースの間のギャップの大部分を排除でき、チップおよび放熱ベースの間に充填される熱界面材料層の厚さを著しく低減できる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0042】
別の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、および弾性部材を含む。回路基板、チップ、および弾性部材は全て、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。弾性部材は、回路基板、および放熱ハウジングの第2ハウジング壁の間で圧縮されて、チップ、および放熱ハウジングの第1ハウジング壁の間のギャップを低減する。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。第2ハウジング壁は、第1ハウジング壁と対向する位置にある。
【0043】
一例において、弾性部材により回路基板に加えられる弾力によって、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップを低減して、チップおよび第1ハウジング壁を互いに対してよりぴったり合わせることができる。チップおよび第1ハウジング壁が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップおよび第1ハウジング壁の間の熱伝達が速くなるので、放熱ハウジングはチップの熱を迅速に吸収してチップ3の熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0044】
可能な一実装例において、電子デバイスはさらに熱界面材料層を含む。熱界面材料層は、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップに充填されている。弾性部材は、ギャップに充填される熱界面材料層の厚さも低減できる。
【0045】
一例において、熱界面材料層が電子デバイスのチップおよび第1ハウジング壁の間に充填されているが、回路基板および第2ハウジング壁に配置された圧縮状態の弾性部材がチップに向かう弾性力を回路基板に加えるので、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップの大部分が排除されている。この場合、ギャップに充填する必要があるのは、薄い熱界面材料層だけである。例えば、充填する熱界面材料層の厚さは、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートル、またはさらに小さい。
【0046】
回路基板および第2ハウジング壁の間に取り付けられている圧縮状態の弾性部材は、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップの大部分を排除でき、チップおよび第1ハウジング壁の間に充填される熱界面材料層の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0047】
可能な一実装例において、回路基板は第1サブボードおよび第2サブボードを含む。第1サブボードおよび第2サブボードは電気的に接続されている。チップは、第1サブボードの表面上に位置している。弾性部材は、第1サブボードおよび第2ハウジング壁の間で圧縮されている。第2サブボードは、放熱ハウジングのハウジング壁に固定されている。電子デバイスのインタフェースコンポーネントが、第2サブボードの表面上に位置している。
【0048】
一例において、弾性部材により第1サブボードに加えられる弾性力に起因して、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップの大部分が排除され、チップおよび第1ハウジング壁の間の熱伝達を速くすることができる。チップおよび第1ハウジング壁の間に熱界面材料層を充填する場合でも、充填する熱界面材料層の厚さは小さく、例えば、0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの範囲内であり、熱界面材料層の熱抵抗は小さい。これを考慮すると、チップおよび第1ハウジング壁の間の熱伝達がさらに速くなり、チップの熱を放散する効果を高められる。
【0049】
インタフェースコンポーネントについては、インタフェースコンポーネントが第2サブボードの表面上に位置しており、弾性部材と共に振動する必要がないので、インタフェースコンポーネント、およびインタフェースコンポーネントを取り付ける際に通る装着ポートの間にギャップを確保する必要がない。このように、インタフェースコンポーネントおよび装着ポートの間の封止性能を保証して、防塵および防水効果を実現できる。
【0050】
別の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、放熱ハウジング、回路基板、チップ、熱界面材料層、および弾性部材を含む。回路基板、チップ、熱界面材料層、および弾性部材は全て、放熱ハウジングで形成されたチャンバの中に位置している。チップは、回路基板の表面上に位置している。弾性部材は、回路基板、および放熱ハウジングの第2ハウジング壁の間で圧縮されて、チップ、および放熱ハウジングの第1ハウジング壁の間のギャップを低減する。このギャップは、熱界面材料層で充填されている。第1ハウジング壁は、放熱ハウジングの、チップと対向する位置にあるハウジング壁である。第2ハウジング壁は、第1ハウジング壁と対向する位置にある。
【0051】
回路基板および第2ハウジング壁の間に取り付けられている圧縮状態の弾性部材は、チップおよび第1ハウジング壁の間のギャップの大部分を排除でき、チップおよび第1ハウジング壁の間に充填される熱界面材料層の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層の厚さが低減すると、熱界面材料層の熱抵抗も減少する。熱界面材料層の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】弾性部材が本願による放熱ハウジングの中に位置している構造の概略図である。
【0053】
【
図2】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0054】
【
図3】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0055】
【
図4】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0056】
【
図5】本願による電子デバイスのヒートパイプの構造に関する概略図である。
【0057】
【
図6】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0058】
【
図7】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0059】
【
図8】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0060】
【
図9】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0061】
【
図10】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0062】
【
図11】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0063】
【
図12】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0064】
【
図13】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0065】
【
図14】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0066】
【
図15】本願による電子デバイスの構造の概略図である。
【0067】
[参照番号]
1.放熱ハウジング;101.チャンバ;11.第1ハウジング壁;12.開口部;13.第2ハウジング壁;14.上部カバー;15.底部;16.ハウジング放熱フィン;2.回路基板;21.第1サブボード;22.第2サブボード;3.チップ;4.熱界面材料層;5.熱伝導部材;6.弾性部材;61.スプリング;62.ヒートパイプ;621.第1パイプ部分;622.第2パイプ部分;623.第3パイプ部分;7.放熱装置;71.放熱ベース;72.装着プレート;73.ベイパーチャンバ;74.放熱フィン;8.留め具;9.封止材;10.インタフェースコンポーネント。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本願の一実施形態が、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、コンピュータ分野のデバイス、または車両分野のデバイスなどであってもよい。本実施形態では、電子デバイスが関連する具体的な分野を限定しない。電子デバイスは、熱をチップから放散する必要があり且つ防塵および防水の放熱ハウジングをさらに提供する必要がある任意の分野に適用されてよい。例えば、電子デバイスは、屋外で用いられる車載モジュールであってよい。
【0069】
本実施形態では、電子デバイスの放熱ハウジングの防塵および防水レベルがIP54またはそれより高い。防塵の観点から、放熱ハウジングは異物が電子デバイスに入り込むのを完全に防止できる。塵が入るのを全く防ぐわけではないが、電子デバイスの正常動作を損なうのに足る量の塵は入り込むことができない。防水の観点から、放熱ハウジングは、あらゆる方向から跳ねかかる水が電子デバイスに侵入して損傷を引き起こすのを防止できる。
【0070】
図1に示すように、電子デバイスの放熱ハウジング1には複数のハウジング壁が含まれており、この複数のハウジング壁は囲われてチャンバ101になり得る。例えば、放熱ハウジング1は六面体の箱体であり、6つのハウジング壁を含み、6つのハウジング壁は囲われてチャンバ101になり得る。電子デバイスのコンポーネントが放熱ハウジング1の中に位置してよい。放熱ハウジング1は、IP54またはそれより高い防塵および防水レベルがあり、放熱ハウジング1の中のコンポーネントの放熱、防水、および防塵などで役割を果たすことができるので、放熱ハウジング1は、塵および水がチャンバ101に入り込んで電子デバイスのコンポーネントの正常動作に影響を及ぼすのを効果的に防止できる。
【0071】
まだ
図1を参照されたい。放熱ハウジング1は、上部カバー14および底部15を含んでよい。上部カバー14は底部15を覆って、チャンバ101を有する放熱ハウジング1を形成する。
【0072】
例えば、
図1に示すように、放熱ハウジング1の上部カバー14は、底のないハウジング状の構造体であってよく、底部15はカバーのないハウジング状の構造体であってよい。上部カバー14および底部15の大きさは合致している。例えば、上部カバー14の長さおよび幅はそれぞれ、底部15の長さおよび幅に合致するので、上部カバー14は底部15を覆って、チャンバを有するハウジングを形成するようになる。
【0073】
別の例では、放熱ハウジング1の上部カバー14は代替的にプレート状の構造体であってもよく、底部15はカバーのないハウジング状の構造体であってよく、上部カバー14は底部15を覆って放熱ハウジング1を形成する。あるいは、放熱ハウジング1の上部カバー14は底のないハウジング状の構造体で底部がなく、底部15はプレート状の構造体であり、上部カバー14は底部15を覆って放熱ハウジング1を形成する。本実施形態では、放熱ハウジング1の具体的な形成方式を限定しないが、放熱ハウジング1が、電子デバイスのコンポーネントを収容するように構成されたチャンバを有し、且つ優れた封止性能を有することが前提である。
【0074】
放熱ハウジング1はさらに放熱機能を有するので、放熱ハウジング1は、金属(例えば、金属アルミニウム、アルミニウム合金、金属銅、または銅合金)からダイキャストされてよい。
【0075】
放熱ハウジング1の全体の放熱面積を増やすために、
図1に示すように、ハウジング放熱フィン16が放熱ハウジング1の外面上に配置されてよい。例えば、ハウジング放熱フィン16は上部カバー14の外面上に配置されている。別の例では、ハウジング放熱フィン16は、上部カバー14の外面上および底部15の外面上の両方に配置されている。本実施形態では、これについて限定しない。当業者であれば、実際の状況に基づいて、放熱ハウジング1の外面上におけるハウジング放熱フィン16の具体的な位置をフレキシブルに選択するであろう。
【0076】
一例において、放熱ハウジング1はダイキャスト方式で加工される。それに対応して、ハウジング放熱フィン16もダイキャスト方式で加工されてよい。ハウジング放熱フィン16は代替的に、溶接方式で加工されてもよい。放熱フィンが溶接方式で加工されることにより、ハウジング放熱フィン16は放熱ハウジング1の外面上に密集して分布するようになる。ハウジング放熱フィン16が密集しているほど、放熱ハウジング1の全体の放熱面積が大きくなり、チップ3の熱を放散する効果が良くなることを示す。当業者であれば、実際の状況に基づいて、放熱ハウジング1の外面上におけるハウジング放熱フィン16の具体的な加工方式をフレキシブルに選択するであろう。本実施形態では、これについて限定しない。
【0077】
放熱ハウジング1の中に電子デバイスのコンポーネントを取り付けしやすくするために、それに対応して、放熱ハウジング1の上部カバー14および底部15は着脱可能に取り付けられている。例えば、上部カバー14のハウジング壁および底部15のハウジング壁が、ネジなどを用いて組み立てられる。本実施形態では、上部カバー14および底部15の取り付け方式について限定しない。当業者であれば、実際の状況に基づいて、取り付け方式をフレキシブルに選択するであろう。
【0078】
本実施形態における電子デバイスはさらに、回路基板2およびチップ3を含む。回路基板2は、放熱ハウジング1の中に位置している。例えば、回路基板2は、上部カバー14のハウジング壁の内面上に取り付けられてもよく、または回路基板2は、底部15のハウジング壁の内面上に取り付けられてもよい。次いでチップ3および電子デバイスの他のコンポーネントは、回路基板2上に取り付けられる。最終的に、上部カバー14は底部15上に取り付けられる。
【0079】
説明しやすくするために、チップ3と対向するハウジング壁が第1ハウジング壁11と呼ばれることがある。言い換えれば、チップ3の、回路基板2から離れた表面と対向するハウジング壁が、第1ハウジング壁11と呼ばれる。回路基板2と対向するハウジング壁が第2ハウジング壁13と呼ばれる。言い換えれば、回路基板2の、チップ3から離れた表面と対向するハウジング壁が、第2ハウジング壁13と呼ばれる。第1ハウジング壁11および第2ハウジング壁13の位置が向かい合っている。
図1に示すように、第1ハウジング壁11は上部カバー14の上部壁であってよく、第2ハウジング壁13は底部15の底部壁であってよい。
【0080】
一例において、チップ3は、回路基板2上のフラットケーブルを用いて、電子デバイスの別のコンポーネントに電気的に接続されてよい。それに対応して、チップ3は回路基板2上に位置している。例えば、チップ3は、回路基板2の表面上にスズではんだ付けされる。例えば、回路基板2の上部(top)表面または底部(bottom)表面にチップ指定位置があり、このチップ指定位置にチップ3がスズではんだ付けされてよい。チップ3が作動すると、熱が発生する。放熱ハウジング1は、チップ3の熱を放散することができる。それに対応して、チップ3の熱は、放熱ハウジング1のハウジング壁に伝達されてよく、放熱ハウジング1のハウジング壁を通じて放散される。熱を放散する具体的な経路については、電子デバイスの構造に関する以下の説明で詳細に説明する。
【0081】
ある応用シナリオにおいて、電子デバイスは複数のチップ3を含んでよい。本実施形態のチップ3は、回路基板2の表面上にある任意のチップでもよく、または回路基板2の表面上にあるメインチップであってもよい。メインチップとは、その消費電力が全消費電力の50%を占めるチップである。
【0082】
本実施形態で提供される複数の電子デバイスの具体的な構造を、以下で詳細に説明する。
【0083】
電子デバイスの構造の概略図については、
図2~
図6を参照されたい。
【0084】
図2は、電子デバイスの分解組立構造の概略図である。電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、およびチップ3を含むだけでなく、熱伝導部材5および弾性部材6も含む。
図3は、組み立てられた電子デバイスの構造の概略図である。熱伝導部材5は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置している。弾性部材6は、熱伝導部材5、および放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11の間で圧縮されている。弾性部材6には、圧縮弾性だけでなく、熱伝達特性もある。このように、チップ3で発生した熱を熱伝導部材5へと伝達し、熱伝導部材5により弾性部材6へと伝達し、次いで弾性部材6により第1ハウジング壁11へと伝達して、第1ハウジング壁11により熱を外側へ放散できる。
【0085】
図2に示すように、回路基板2は放熱ハウジング1のチャンバ101の中に固定されてよい。例えば
図2に示すように、回路基板2は、ネジを用いて放熱ハウジング1の底部15に固定されている。回路基板2は代替的に、ネジを用いて放熱ハウジング1の上部カバー14に固定されてもよい。本実施形態では、放熱ハウジング1のチャンバ101における回路基板2の取り付け位置および取り付け方式を限定しないが、チャンバ101の中に回路基板2をしっかりと固定できることが前提である。
【0086】
回路基板2はチャンバ101の中に固定されており、弾性部材6の圧縮弾性力に対して支持力を提供できる。
【0087】
図3に示すように、熱伝導部材5は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置しており、熱伝導部材5はチップ3の熱を吸収し、吸収した熱を放熱ハウジング1に伝達するように構成されている。熱伝導部材5は、形状および大きさがそれぞれチップ3に合致する。例えば、熱伝導部材5はプレート状の構造体であり、熱伝導部材5の大きさはチップ3の大きさに等しい、または熱伝導部材5の面積がチップ3の面積よりわずかに大きい。熱伝導部材5は、チップ3の表面を覆って、チップ3の各位置で熱を吸収する。熱伝導部材5は、銅プレートまたはベイパーチャンバなどであってもよい。本実施形態では、熱伝導部材の材料を限定しないが、熱伝導部材5がチップ3の熱を迅速に吸収できることが前提である。
【0088】
チップ3および熱伝導部材5の間のギャップを低減して、熱伝導部材5およびチップ3の間の接触面積を増やし、熱伝導部材5によるチップ3の熱吸収を加速させるために、それに対応して、
図3に示すように、弾性部材6は、熱伝導部材5、および放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11の間で圧縮されている。第1ハウジング壁11は、放熱ハウジング1の、熱伝導部材5と対向する位置にあるハウジング壁である。弾性部材6は熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されているので、チップ3および熱伝導部材5は互いに圧縮されて、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップを低減する、または排除することさえできるようになる。チップ3および熱伝導部材5が互いに対してよりぴったり合わさることは、チップ3および熱伝導部材5の間の熱伝達効果が良くなることを示す。
【0089】
弾性部材6は、弾力だけでなく熱伝達特性も有し、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されている。これにより、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップが低減し、熱伝導部材5によってチップ3から吸収された熱が放熱ハウジング1へと伝達し、その熱が放熱ハウジング1によって外側へ放散され得る。弾性部材6の具体的な構造については、以下で詳細に説明する。
【0090】
第1ハウジング壁11および熱伝導部材5の間で圧縮された弾性部材6は、熱伝導部材5の表面にチップ3を押圧して、チップ3および熱伝導部材5が互いに対してよりぴったり合わさるようにし、チップ3、熱伝導部材5、および放熱ハウジング1の間の熱伝達を速くし、電子デバイスの放熱効果を改善できることが分かる。
【0091】
チップ3および熱伝導部材5の間のギャップをさらに低減するために、それに対応して、
図4に示すように、チップ3および熱伝導部材5の間に熱界面材料層4がさらに充填されている。熱界面材料層4はフレキシブル材料であり、且つ特定の熱伝導性を有する。例えば、熱界面材料層4は、シリカゲル、シリコーングリース、またはゲルなどであってもよい。本実施形態では、熱界面材料層4の具体的な材料を限定しないが、熱界面材料層4はギャップを低減して熱伝導効果を実現できることが前提である。
【0092】
電子デバイスのチップ3および熱伝導部材5の間に熱界面材料層4が充填されているが、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮された弾性部材6が熱伝導部材5に押圧力を加えるので、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップの大部分が排除されている。この場合、ギャップに充填する必要があるのは、薄い熱界面材料層4だけである。例えば、充填する熱界面材料層4の厚さは、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートル、またはさらに小さい。
【0093】
さらに、チップ3および熱伝導部材5の間に充填された薄い熱界面材料層4が圧縮変形特性を有し、且つ弾性部材6が熱伝導部材5に押圧力を加えるので、熱界面材料層4の厚さをさらに低減でき、これにより、熱界面材料層4はさらに薄くなる。例えば、シリカゲル製で厚さが0.07ミリメートルの熱界面材料層4が選択されて、チップ3および熱伝導部材5の間に充填される。熱界面材料層4は、弾性部材6の押圧作用を受けて、0.02ミリメートルの厚さの分だけ再度圧縮される。この場合、チップ3および熱伝導部材5の間に最終的に充填される熱界面材料層4の厚さは、0.05ミリメートルになる。
【0094】
熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されている弾性部材6は、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップの大部分を排除でき、チップ3および熱伝導部材5の間に充填される熱界面材料層4の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層4の厚さが低減すると、熱界面材料層4の熱抵抗も減少する。熱界面材料層4の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層4の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0095】
例えば、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で弾性部材6が圧縮されない場合、厚さが1ミリメートル~1.5ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および熱伝導部材5の間に配置する必要がある。熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で弾性部材6が圧縮されている場合、厚さがわずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および熱伝導部材5の間に配置する必要がある。前者の場合における熱界面材料層4の厚さは、後者の場合における熱界面材料層4の厚さより著しく大きいことが分かる。この場合、前者の場合における熱界面材料層4の熱抵抗も、後者の場合における熱界面材料層4の熱抵抗より大きい。さらに、後者の場合における熱界面材料層4の熱伝達性能が、前者の場合における熱界面材料層4の熱伝達性能より高い。
【0096】
上述したように、電子デバイスの放熱経路は以下のようになる。チップ3で熱が発生する。チップ3の表面上に位置している熱伝導部材5が熱を吸収し、その熱を弾性部材6へと伝達する。弾性部材6は次に、熱を放熱ハウジング1へと伝達し、最終的に放熱ハウジング1が熱を外側へ放散する。
【0097】
弾性部材6はチップ3の表面に熱伝導部材5を押圧する機能だけでなく、熱伝達機能を有する必要もあることが分かる。以下では、熱伝達特性を有する複数の弾性部材6を説明する。
【0098】
弾性部材6の可能な構造については、以下の通りであってよい。
図2に示すように、弾性部材6はスプリング61およびヒートパイプ62を含む。
図4に示すように、スプリング61は熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されて、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップを低減する。ヒートパイプ62は、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間に接続されて、熱伝導部材5によってチップ3から吸収された熱を放熱ハウジング1へと伝達する。さらに、ヒートパイプ62は弾力性を有し、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されている。
【0099】
ヒートパイプ62は、冷却剤(放熱液とも呼ばれることがある)を内部に充填した銅パイプである。
【0100】
ヒートパイプ62はさらに弾力性を有し、これも熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されているので、ヒートパイプ62はスプリング61と共に伸縮動作を行うことができるようになる。このように、スプリング61がチップ3に向かう弾性力を熱伝導部材5に加える場合、ヒートパイプ62は反対方向の作用力を熱伝導部材5に加えないので、熱伝導部材5およびチップ3の間のギャップの低減が影響を受けないようになる。
【0101】
ヒートパイプ62の弾力性を実現するために、それに対応して、
図5に示すように、ヒートパイプ62は3つの部分、すなわち、第1パイプ部分621、第2パイプ部分622、および第3パイプ部分623を含んでよい。第1パイプ部分621は、熱伝導部材5の、チップ3から離れた表面に取り付けられている。第3パイプ部分623は、第1ハウジング壁11の内面に取り付けられている。第2パイプ部分622は、第1パイプ部分621および第3パイプ部分623の間に斜めに接続されている。
【0102】
例えば、第1パイプ部分621のパイプ壁の外面が、熱伝導部材5の、チップ3から離れた表面に溶接されてよく、第3パイプ部分623のパイプ壁の外面が、放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11の内面に溶接されてよい。第2パイプ部分622は、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間に斜めに配置されて、スプリング61の伸縮動作との干渉をすることなく、ヒートパイプ62の弾力性を実現する。
【0103】
第2パイプ部分622は、第1パイプ部分621および第3パイプ部分623の間に斜めに接続されている。例えば、
図5に示すように、第2パイプ部分622は第1パイプ部分621に対して右に傾斜している。別の例では、第2パイプ部分622は第1パイプ部分621に対して左にも傾斜してよい。本実施形態では、第2パイプ部分622が第1パイプ部分621に対して右または左のいずれに傾斜するのかを限定しない。本実施形態では、第1パイプ部分621に対する第2パイプ部分622の傾斜角度を限定しない。当業者であれば、実際の状況に基づいて、傾斜の角度をフレキシブルに選択するであろう。
【0104】
第2パイプ部分622が第1パイプ部分621および第3パイプ部分623に対して傾斜しており、且つヒートパイプ62が金属製で延性を有するので、第1パイプ部分621および第2パイプ部分622の間の接続部を弾性変形可能にすることができ、第2パイプ部分622および第3パイプ部分623の間の接続部を弾性変形可能にすることができる。
【0105】
弾性部材6は、スプリング61を用いて伸縮自在の弾力性を提供し、ヒートパイプ62を用いて熱伝達特性を提供することが分かる。
【0106】
弾性部材6の別の可能な構造については、以下の通りであってよい。
図6に示すように、弾性部材6は折り曲げられた熱伝導シートであり、例えば、折り曲げられた金属シートでも、折り曲げられた銅シートでも、または折り曲げられたベイパーチャンバでもよい。弾性部材6は、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されてよく、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で熱を伝達できる。
【0107】
一例において、複数の弾性部材6があってよく、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で複数の折り曲げられた熱伝導シートが圧縮されている。複数の折り曲げられた熱伝導シートは、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で均等に圧縮されてよい。あるいは、折り曲げられた熱伝導シートは、熱が高い位置では密集して配置されてよく、熱が低い位置ではまばらに配置されてよい。当業者であれば、実際の状況に基づいて、配置方式をフレキシブルに選択できる。
【0108】
図2~
図5に示す電子デバイスにおいて、弾性部材6は熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されているので、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および熱伝導部材5は互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップ3および熱伝導部材5が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じてチップ3および熱伝導部材5の間の熱伝達が速くなるので、熱伝導部材5はチップ3の熱を迅速に吸収し、熱伝達特性を有する弾性部材6を用いて、吸収した熱を放熱ハウジング1へと伝達し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0109】
別の電子デバイスの構造の概略図については、
図4を参照されたい。
【0110】
電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、およびチップ3を含むだけでなく、熱界面材料層4、熱伝導部材5、および弾性部材6も含む。熱伝導部材5は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置している。熱界面材料層4は、熱伝導部材5の、チップ3から離れた表面上に位置している。熱伝達特性を有する弾性部材6は、熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されている。
【0111】
そのような構造を有する電子デバイスの説明については、前述した
図4および
図6の説明を参照されたい。ここでは、詳細について1つずつ改めて説明しない。
【0112】
図4に示す電子デバイスにおいて、弾性部材6は熱伝導部材5および第1ハウジング壁11の間で圧縮されているので、チップ3および熱伝導部材5の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および熱伝導部材5の間に充填された熱界面材料層4の厚さを低減できる。熱界面材料層4の厚さが低減すると、熱界面材料層4の熱抵抗も減少する。熱界面材料層4の熱抵抗が減少すると、チップ3から熱界面材料層4、熱伝導部材5への熱伝達を速くすることができるので、熱伝導部材5はチップ3の熱を迅速に吸収し、吸収した熱を熱界面材料層4、熱伝達特性を有する弾性部材6、および放熱ハウジング1へと順に伝達して、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0113】
別の電子デバイスの構造の概略図については、
図7~
図12を参照されたい。
【0114】
図7は、組み立てる前の電子デバイスの構造の概略図である。電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、およびチップ3を含むだけでなく、弾性部材6および放熱装置7も含む。回路基板2は、放熱ハウジング1のハウジング壁で形成されたチャンバ101の中に位置している。例えば、
図7に示すように、回路基板2は、ネジを用いて放熱ハウジング1の上部カバー14に固定されている。もちろん、回路基板2は代替的に、ネジを用いて放熱ハウジング1の底部15に固定されてもよい。本実施形態では、放熱ハウジング1のチャンバ101における回路基板2の取り付け位置および取り付け方式を限定しないが、チャンバ101の中に回路基板2をしっかりと固定できることが前提である。チップ3は回路基板2の表面上に位置しており、例えば、回路基板2の表面にスズではんだ付けされてよい。
【0115】
放熱装置7は、チップ3の熱を放散するように構成されている。チップ3の放熱を加速させるために、放熱装置7は熱伝導率係数が高い金属製であってよく、例えば、銅製であってよい。
【0116】
図7に示すように、放熱装置7は放熱ベース71および装着プレート72を含んでよい。放熱ベース71はプレート状の構造体を有し、且つ特定の厚さを有してよい。装着プレート72は、放熱ベース71の側壁上に位置してよく、装着プレート72の底部が放熱ベース71の底部より高い。放熱ベース71は、チップ3に接触するように構成されている。装着プレート72は、放熱装置7および放熱ハウジング1の着脱可能な取り付けを実現するように構成されている。放熱装置7および放熱ハウジング1の間の位置関係および取り付け関係は、以下の通りであってよい。
【0117】
図7に示すように、放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11は、チップ3に対応する位置に開口部12を有する。開口部12の大きさはチップ3に合致する。例えば、開口部12の面積がチップ3の面積より大きい。例えば、第1ハウジング壁11には、チップ3に対応する位置に開口部12が設けられてよい。開口部12は長方形のウィンドウとしてよく、これにより、放熱装置7の放熱ベース71を開口部12に固定できるようになる。
【0118】
放熱ベース71の大きさは開口部12に合致する。例えば、放熱ベース71の面積が開口部12の面積よりわずかに大きいまたはこれに等しいので、放熱ベース71を開口部12に配置できるようになる。放熱ベース71は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置している。装着プレート72は、第1ハウジング壁11の外面上に位置している。
【0119】
このように、チップ3は開口部12と対向する位置にあり、開口部12の面積はチップ3の面積より大きい。
図8に示すように、放熱ベース71の底部は開口部12に固定されてよく、チップ3と接触してよい。装着プレート72は、第1ハウジング壁11の外面上に装着されている。
【0120】
放熱装置7およびチップ3の間のギャップを低減するために、それに対応して、
図8に示すように、弾性部材6は、装着プレート72の、第1ハウジング壁11から離れた表面上に位置している。弾性部材6および装着プレート72は両方とも、留め具8を用いて第1ハウジング壁11に固定されている。弾性部材6は、留め具8および装着プレート72の間で圧縮されて、チップ3および放熱ベース71の間のギャップを低減する。
【0121】
留め具8は上部に横方向プレートがある任意の構造体であってよく、留め具8の上部にある横方向プレートは弾性部材6を圧縮する働きをする。例えば、留め具8はネジであってよく、留め具8の上部にある横方向プレートとして、ネジのナットが用いられてよい。
【0122】
弾性部材6は、圧縮弾性を有する任意の構造体であってよく、例えば、スプリングであってよい。
【0123】
このように、弾性部材6は装着プレート72の外面上に位置しており、留め具8は、弾性部材6、装着プレート72、および第1ハウジング壁11を連続的に通り抜けて、放熱装置7および放熱ハウジング1の間の着脱可能な取り付けを実現できる。弾性部材6は、留め具8の上部にある横方向プレート、および装着プレート72の間で圧縮されており、例えば、弾性部材6はネジのナットおよび装着プレート72の間で圧縮されている。
【0124】
図8に示す電子デバイスにおいて、弾性部材6が、留め具8の上部、および装着プレート72の間で圧縮されているので、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および放熱ベース71は互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップ3および放熱ベース71が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップ3および放熱ベース71の間の熱伝達が速くなるので、放熱ベース71はチップ3の熱を迅速に吸収してチップ3の熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0125】
さらに、チップ3の熱を放散する経路に関しては、
図8に示すように、装着プレート72の底部が第1ハウジング壁11の外面に密着しているので、放熱装置7および放熱ハウジング1は熱的に接続されており、これにより、放熱ベース71によってチップ3から吸収された熱も放熱ハウジング1へと伝達されて、放熱ハウジング1によってチップ3の熱を放散できるようになる。
図8に示す電子デバイスでは、チップ3で発生した熱の一部分が放熱装置7によって吸収され、放熱装置7によって外側へ放散され;熱のその他の部分が放熱装置7によって放熱ハウジング1へと伝達され、放熱ハウジング1によって外側へ放散されることが分かる。チップ3で発生した熱は、放熱装置7および放熱ハウジング1が合同で外側へ放散できることが分かる。
【0126】
放熱装置7および放熱ハウジング1の間の熱伝達をさらに速くするために、それに対応して、
図9に示すように、装着プレート72の、放熱ベース71から離れた端部が放熱ハウジング1のハウジング放熱フィン16と接触している。
【0127】
このように、装着プレート72の底部が第1ハウジング壁11と接触しており、且つ装着プレート72の端部がハウジング放熱フィン16と接触しているので、装着プレート72および放熱ハウジング1の間の接触面積が増加し、放熱装置7および放熱ハウジング1の間の熱伝達を速くして、チップ3の熱を放散する効果を高められるようになる。
【0128】
チップ3および放熱ベース71の間のギャップをさらに低減するために、それに対応して、
図10に示すように、熱界面材料層4がさらに、チップ3および放熱ベース71の間に充填されている。熱界面材料層4はフレキシブル材料であり、且つ熱伝導性を有する。例えば、熱界面材料層4は、シリカゲル、シリコーングリース、またはゲルなどであってもよい。本実施形態では、熱界面材料層4の具体的な材料を限定しないが、熱界面材料層4がギャップを低減して熱伝導効果を実現できることが前提である。
【0129】
熱界面材料層4が電子デバイスのチップ3および放熱ベース71の間に充填されているが、装着プレート71の外面上に配置された圧縮状態の弾性部材6が放熱ベース71に押圧力を加えるので、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分は排除されている。この場合、ギャップに充填する必要があるのは、薄い熱界面材料層4だけである。例えば、充填する熱界面材料層4の厚さは、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートル、またはさらに小さい。
【0130】
さらに、チップ3および放熱ベース71の間に充填された薄い熱界面材料層4が圧縮変形特性を有し、且つ弾性部材6が放熱ベース71に押圧力を加えるので、熱界面材料層4の厚さをさらに低減でき、これにより、熱界面材料層4はさらに薄くなる。例えば、シリカゲル製で厚さが0.07ミリメートルの熱界面材料層4が選択されて、チップ3および放熱ベース71の間に充填される。熱界面材料層4は、弾性部材6の押圧作用を受けて、0.02ミリメートルの厚さの分だけ再度圧縮される。この場合、チップ3および放熱ベース71の間に最終的に充填される熱界面材料層4の厚さは、0.05ミリメートルになる。
【0131】
圧縮状態の弾性部材6は、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分を排除でき、チップ3および放熱ベース71の間に充填される熱界面材料層4の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層4の厚さが低減すると、熱界面材料層4の熱抵抗も減少する。熱界面材料層4の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層4の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0132】
例えば、弾性部材6を配置しない解決手段では、厚さが1ミリメートル~1.5ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および放熱ベース71の間に配置する必要がある。圧縮状態の弾性部材6を装着プレート72の外面に配置する解決手段では、厚さがわずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および放熱ベース71の間に配置する必要がある。前者の場合における熱界面材料層4の厚さは、後者の場合における熱界面材料層4の厚さより著しく大きいことが分かる。この場合、前者の場合における熱界面材料層4の熱抵抗も、後者の場合における熱界面材料層4の熱抵抗より大きい。さらに、後者の場合における熱界面材料層4の熱伝達性能が、前者の場合における熱界面材料層4の熱伝達性能より高い。
【0133】
図10に示す電子デバイスでは、圧縮状態の弾性部材6を装着プレート72の外面に配置するので、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および放熱ベース71の間に充填される熱界面材料層4の厚さを低減できる。熱界面材料層4の厚さが低減すると、熱界面材料層4の熱抵抗も減少する。熱界面材料層4の熱抵抗が減少すると、チップ3から熱界面材料層4、放熱ベース71への熱伝達を速くすることができるので、放熱ベース71はチップ3の熱を迅速に吸収できるようになる。さらに放熱ベース71は、吸収した熱を放熱ハウジング1へと伝達し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0134】
チップ3および放熱装置7の間の熱伝達をさらに速くするために、それに対応して、
図11に示すように、放熱ベース71の、チップ3に近い表面上にベイパーチャンバ73を配置する。
【0135】
ベイパーチャンバ73はチップ3に合致する。例えば、ベイパーチャンバ73の形状はチップ3の形状に合致し、ベイパーチャンバ73の面積がチップ3の面積に合致する。
【0136】
このように、1つの解決手段において、放熱ベース71は開口部12を通り抜けて、チップ3の表面上に位置している。放熱ベース71の底部にあるベイパーチャンバ73は、チップ3と接触している。装着プレート72の外面に位置している圧縮状態の弾性部材6は、チップ3の、回路基板2と対向する表面に放熱ベース71を押圧するので、ベイパーチャンバ73はチップ3に密着して、チップ3およびベイパーチャンバ73の間の熱伝達を速くすることができるようになる。
【0137】
別の解決手段において、放熱ベース71は開口部12を通り抜けて、チップ3の表面上に位置している。放熱ベース71の底部にあるベイパーチャンバ73は熱界面材料層4と接触しており、熱界面材料層4はチップ3と接触している。装着プレート72の外面上に位置している圧縮状態の弾性部材6は、チップ3の、回路基板2と対向する表面に放熱ベース71を押圧して、ベイパーチャンバ73およびチップ3の間のギャップを低減する。薄い熱界面材料層4がギャップに充填されている。例えば、熱界面材料層4の厚さは約0.05ミリメートルであり、チップ3およびベイパーチャンバ73の間の熱伝達を速くする。
【0138】
放熱装置7の放熱能力を改善するために、それに対応して、
図12に示すように、放熱装置7はさらに放熱フィン74を含む。放熱フィン74は、放熱ベース71の、チップ3から離れた表面上に位置している。
【0139】
放熱フィン74は、放熱ベース71の全体の放熱面積を増やして、チップ3の放熱を加速させることができる。
【0140】
図12に示すように、放熱フィン74は、放熱ベース71に対して垂直な縦方向の放熱フィンを含んでよい。放熱フィン74の数を増やすために、放熱フィン74はさらに、縦方向の放熱フィンに対して垂直な横方向の放熱フィンを含んでよい。当業者であれば、実際の状況に基づいて、放熱ベース71の外面上における放熱フィン74の配置をフレキシブルに選択するであろう。
【0141】
一例において、放熱フィン74は複数の方式で取り付けられてよく、例えば、溶接方式で放熱ベース71の外面上に装着されてよい。放熱フィン74が溶接方式で加工されるので、放熱フィン74の数が増加して放熱フィン74が密集し、放熱装置7の全体の放熱面積が増加し、チップ3の熱を放散する放熱装置7の効果を改善するようになる。
【0142】
図12に示すように、放熱フィン74を放熱ベース71の上部の外面上に取り付ける解決手段では、放熱ベース71の側壁の外面上の装着プレート72は、放熱フィン74の根元に固定されてよい。例えば、
図12に示すように、装着プレート72は、放熱ベース71の側壁に隣接した放熱フィン74の根元に位置してよい。もちろん、
図11に示すように、装着プレート72は代替的に、放熱ベース71の側壁の、放熱ベース71に近い外面上に位置してもよい。本実施形態では、装着プレート72の具体的な取り付け位置について限定しないが、放熱ベース71の底部が開口部12に位置し得ること、且つ装着プレート72を第1ハウジング壁11の外面上に装着できることが前提である。
【0143】
放熱装置7は放熱ハウジング1の開口部12に着脱可能に取り付けられているので、電子デバイスの防塵および防水性能を改善するために、それに対応して、
図12に示すように、放熱ベース71の側壁、および開口部12の内壁の間に封止材9が配置されている。
【0144】
一例において、封止材9は放熱ベース71に合致する。例えば、放熱ベース71は長方形であり、封止材9は長方形のリングであり、放熱ベース71の側壁上にスリーブ状に取り付けられ(sleeved)得る。次いで、放熱ハウジング1の開口部12に放熱ベース71を取り付ける場合、放熱ベース71の側壁、および開口部12の内壁の間に封止材9が位置しているので、塵および水などが、放熱ベース71の外壁、および開口部12の内壁の間のギャップを通ってチャンバ101に入り込むのを防止できるようになる。
【0145】
図9に示す電子デバイスにおいて、放熱装置7は開口部12を通り抜けて、チップ3の表面上に位置している。放熱装置7の装着プレート72の外面上に位置している圧縮状態の弾性部材6は、放熱装置7に弾性力を加えるので、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および放熱ベース71は互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップ3および放熱ベース71が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップ3および放熱ベース71の間の熱伝達が速くなるので、放熱ベース71はチップ3の熱を迅速に吸収してチップ3の熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0146】
図10に示すように、チップ3および放熱ベース71の間に熱界面材料層4を充填する場合でも、充填する熱界面材料層4の厚さは小さく、例えば、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの範囲内であり、熱界面材料層4の熱抵抗は小さい。これを考慮すると、熱界面材料層4の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0147】
さらに、放熱装置7の装着プレート71の底部が第1ハウジング壁11の外面と接触しており、且つ装着プレート71の端部が第1ハウジング壁11上のハウジング放熱フィン16と接触しているので、放熱装置7および放熱ハウジング1を熱的に接続でき、これにより、放熱装置7によってチップ3から吸収される熱を放熱ハウジング1へと伝達して、この熱を放熱ハウジング1によって放散することもできるようになる。放熱装置7および放熱ハウジング1は両方とも、チップ3の熱を放散して、チップ3の熱を放散する効果を高められることが分かる。
【0148】
このように、チップ3で発生する熱を、放熱装置7へと迅速に伝達できる。放熱装置7で吸収された熱の一部分がそれ自体によって放散され、その他の部分が、装着プレート72および第1ハウジング壁11の間の接触を通じて放熱ハウジング1へと伝達されてよく、放熱ハウジング1によって放散される。放熱装置7および放熱ハウジング1は両方とも、チップ3の熱を放散して、チップ3の熱を放散する効果を高められることが分かる。
【0149】
別の電子デバイスの構造の概略図については、
図10を参照されたい。電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、およびチップ3だけでなく、熱界面材料層4、弾性部材6、および放熱装置7も含む。回路基板2は、放熱ハウジング1のチャンバ101の中に固定されている。チップ3は、回路基板2の表面上に位置している。熱界面材料層4は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置している。放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11には、チップ3に対応する位置に開口部12が設けられる。放熱装置7の放熱ベース71の底部は開口部12に入っており、放熱ベース71は熱界面材料層4の表面上に位置している。放熱装置7の装着プレート72は、第1ハウジング壁11の外面上に装着されている。弾性部材6は、装着プレート72の外面上に位置している。弾性部材6および装着プレート72は両方とも、留め具8を用いて第1ハウジング壁11に固定されている。弾性部材6は圧縮状態であり、具体的には、留め具8の上部、および装着プレート72の間で圧縮されている。
【0150】
そのような構造を有する電子デバイスの説明については、前述した
図9~
図12の説明を参照されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
【0151】
電子デバイスでは、放熱装置7は開口部12を通り抜けて、チップ3の表面上に位置している。放熱装置7の装着プレート72の外面は、圧縮状態の弾性部材6を有する。弾性部材6によって放熱装置7に加えられる弾性力で、チップ3および放熱ベース71の間のギャップの大部分を排除できる。チップ3および放熱ベース71の間に熱界面材料層4を充填するが、充填する熱界面材料層4の厚さが小さく、例えば、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの範囲内であり、熱界面材料層4の熱抵抗が小さい。これを考慮すると、熱界面材料層4の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0152】
さらに、放熱装置7の装着プレート71の底部が第1ハウジング壁11の外面と接触しており、且つ装着プレート71の端部が第1ハウジング壁11上のハウジング放熱フィン16と接触しているので、放熱装置7および放熱ハウジング1を熱的に接続でき、これにより、放熱装置7によってチップ3から吸収される熱を放熱ハウジング1へと伝達して、この熱を放熱ハウジング1によって放散することもできるようになる。放熱装置7および放熱ハウジング1は両方とも、チップ3の熱を放散して、チップ3の熱を放散する効果を高められることが分かる。
【0153】
このように、チップ3で発生する熱を、放熱装置7へと迅速に伝達できる。放熱装置7で吸収された熱の一部分がそれ自体によって放散され、その他の部分が、装着プレート72および第1ハウジング壁11の間の接触を通じて放熱ハウジング1へと伝達されてよく、放熱ハウジング1によって放散される。放熱装置7および放熱ハウジング1は両方とも、チップ3の熱を放散して、チップ3の熱を放散する効果を高められることが分かる。
【0154】
別の電子デバイスの構造の概略図については、
図13~
図15を参照されたい。
【0155】
図13に示すように、電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、チップ3、および弾性部材6を含む。回路基板2、チップ3、および弾性部材6は全て、放熱ハウジング1で形成されたチャンバ101の中に位置している。チップ3は、回路基板2の表面上に位置している。弾性部材6は、回路基板2、および放熱ハウジング1の第2ハウジング壁13の間で圧縮されて、チップ3、および放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11の間のギャップを低減する。
【0156】
第1ハウジング壁11は、放熱ハウジング1の、チップ3と対向する位置にあるハウジング壁である。第2ハウジング壁13は、放熱ハウジング1の回路基板2と対向する位置にあるハウジング壁である。チップ3が回路基板2の表面上に位置しているので、第2ハウジング壁13は、第1ハウジング壁11と対向する位置にある。
【0157】
弾性部材6は、圧縮弾性を有する任意のコンポーネントであってよく、例えば、スプリングであってよい。
【0158】
図13に示すように、回路基板2およびチップ3は両方とも、チャンバ101の中に位置している。チップ3は、回路基板2の表面上に位置している。チップ3は、第1ハウジング壁11と対向する位置にある。回路基板2は、第2ハウジング壁13と対向する位置にある。圧縮状態の弾性部材6は、回路基板2の、チップ3から離れた表面、および第2ハウジング壁13の内面の間に取り付けられている。
【0159】
チャンバ101の中に弾性部材6を取り付けるには、複数の方式がある。例えば、1つの方式が、弾性部材6の一方の端部を、回路基板2の、チップ3から離れた表面に溶接し、弾性部材6のもう一方の端部を第2ハウジング壁13の内面に溶接することであってよい。別の例では、別の方式が、弾性部材6を回路基板2および第2ハウジング壁13の間にネジを用いて固定することであってよい。例えば、ネジは弾性部材6を通り抜けて、ネジの一方の端部が回路基板2に固定されており、もう一方の端部が第2ハウジング壁13に固定されている。チャンバ101の中に弾性部材6を取り付ける具体的な方式を限定しないが、弾性部材6が回路基板2および第2ハウジング壁13の間で圧縮されて、そこに位置し得ること、且つチップ3に向かう弾性力を回路基板2に加えられることが前提である。
【0160】
このように、弾性部材6により回路基板2に加えられる弾力によって、チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップを低減して、チップ3および第1ハウジング壁11を互いに対してよりぴったり合わせることができる。チップ3および第1ハウジング壁11が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップ3および第1ハウジング壁11の間の熱伝達が速くなるので、放熱ハウジング1はチップ3の熱を迅速に吸収してチップ3の熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0161】
チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップをさらに低減するために、それに対応して、
図14に示すように、チップ3および第1ハウジング壁11の間に熱界面材料層4が充填されている。熱界面材料層4はフレキシブル材料であり、且つ熱伝導性を有する。例えば、熱界面材料層4は、シリカゲル、シリコーングリース、またはゲルなどであってもよい。本実施形態では、熱界面材料層4の具体的な材料を限定しないが、熱界面材料層4がギャップを低減して熱伝導効果を実現できることが前提である。
【0162】
熱界面材料層4が、電子デバイスのチップ3および第1ハウジング壁11の間に充填されているが、回路基板2および第2ハウジング壁13の間に配置された圧縮状態の弾性部材6がチップ3に向かう弾性力を回路基板2に加えるので、チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップの大部分が排除されている。この場合、ギャップに充填する必要があるのは、薄い熱界面材料層4だけである。例えば、充填する熱界面材料層4の厚さは、0.05ミリメートル~0.07ミリメートル、またはさらに小さい。
【0163】
さらに、チップ3および第1ハウジング壁11の間に充填された薄い熱界面材料層4が圧縮変形特性を有し、且つ弾性部材6が回路基板2に弾性力を加えるので、熱界面材料層4の厚さをさらに低減でき、これにより、熱界面材料層4はさらに薄くなる。例えば、シリカゲル製で厚さが0.07ミリメートルの熱界面材料層4が選択されて、チップ3および第1ハウジング壁11の間に充填される。熱界面材料層4は、弾性部材6の押圧作用を受けて、0.02ミリメートルの厚さの分だけ再度圧縮される。この場合、チップ3および第1ハウジング壁11の間に最終的に充填される熱界面材料層4の厚さは、0.05ミリメートルになる。
【0164】
回路基板2および第2ハウジング壁13の間に取り付けられている圧縮状態の弾性部材6は、チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップの大部分を排除でき、チップ3および第1ハウジング壁11の間に充填される熱界面材料層4の厚さを著しく低減できることが分かる。熱界面材料層4の厚さが低減すると、熱界面材料層4の熱抵抗も減少する。熱界面材料層4の熱抵抗が減少すると、熱界面材料層4の熱伝導性を改善して、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0165】
例えば、弾性部材6を配置しない解決手段では、厚さが1ミリメートル~1.5ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および第1ハウジング壁11の間に配置する必要がある。圧縮状態の弾性部材6を回路基板2および第2ハウジング壁13の間に配置する解決手段では、厚さがわずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの熱界面材料層4をチップ3および第1ハウジング壁11の間に配置する必要がある。前者の場合における熱界面材料層4の厚さは、後者の場合における熱界面材料層4のそれより著しく大きいことが分かる。この場合、前者の場合における熱界面材料層4の熱抵抗も、後者の場合における熱界面材料層4のそれより大きい。さらに、後者の場合における熱界面材料層4の熱伝達性能が、前者の場合における熱界面材料層4のそれより高い。
【0166】
図13および
図14に示すように、回路基板2は弾性部材6を用いてチャンバ101の中に固定されている。弾性部材6が伸縮動作を行うとき、回路基板2も弾性部材6と共に振動し、これが、回路基板2の表面にある他のコンポーネントの正常動作、特に、インタフェースコンポーネントにおける取り付け封止性能に影響を及ぼすことがある。
【0167】
前述した問題を克服するために、回路基板2は少なくとも2つのサブボードに分割されてよく、チップ3だけが一方のサブボードを占有し、他のコンポーネントが別のサブボードを占有する。チップ3が位置しているサブボードは、弾性部材6を用いてチャンバ101の中にフレキシブルに固定されている。他のコンポーネントが位置しているサブボードは、チャンバ101の中にしっかりと固定されている。しかしながら、回路基板2が大きい電子デバイスでは、回路基板2はさらに、より多くのサブボードに分割されてよく、チップ3だけが1つのサブボードを占有し、他のコンポーネントが複数の残りのサブボードを占有する。本実施形態では、回路基板2に含まれるサブボードの数を限定しないが、第1サブボードおよび第2サブボードを含む一例が用いられてよい。第1サブボードは、チップ3が位置しているサブボードであり、第1サブボードの数はチップ3の数と合致する。第2サブボードは、他のコンポーネントが位置しているサブボードであり、第2サブボードの数は他のコンポーネントの数に関連しており、1つまたは複数の第2サブボードがあってよい。
【0168】
図15に示すように、回路基板2は第1サブボード21および第2サブボード22を含む。第1サブボード21および第2サブボード22は電気的に接続されている。チップ3は第1サブボード21の表面上に位置しており、弾性部材6は第1サブボード21および第2ハウジング壁13の間で圧縮されている。第2サブボード22は放熱ハウジング1のハウジング壁に固定されており、電子デバイスのインタフェースコンポーネント10が第2サブボード22の表面上に位置している。
【0169】
1つまたは複数の第1サブボード21があり、これは主にチップ3の数に関連する。例えば、チップ3が1つある場合、第1サブボード21も1つある。別の例では、チップ3が複数ある場合、第1サブボード21は1つでよく、複数のチップ3は全て、この第1サブボード21上に位置している。別の例では、チップ3が複数ある場合、第1サブボード21も複数あり、チップ3は第1サブボード21と1対1対応になっている。本実施形態では第1サブボード21の数を限定しないが、当業者であれば、実際の状況に基づいて第1サブボードの数をフレキシブルに選択するであろう。
【0170】
1つまたは複数の第2サブボード22があり、これは主に電子デバイス内のコンポーネントの数に関連する。例えば、大量のコンポーネントがある場合、複数の第2サブボード22があってよい。本実施形態では第2サブボード22の数を限定しないが、当業者であれば、実際の状況に基づいて第2サブボードの数をフレキシブルに選択するであろう。
【0171】
添付図面では、1つの第1サブボード21および1つの第2サブボード22が一例として用いられてよい。
【0172】
図15に示すように、チップ3は複数の回路基板2のうちの第1サブボード21の表面に溶接され、第1サブボード21および第2ハウジング壁13の間で弾性部材6が圧縮されている。インタフェースコンポーネント10は第2サブボード22の表面に溶接され、第2サブボード22はチャンバ101の中にしっかりと固定されている。電気的な接続関係に関しては、第1サブボード21および第2サブボード22はフレキシブルケーブルを用いて電気的に接続されてもよく、または第1サブボード21および第2サブボード22はフレキシブル回路基板を用いて電気的に接続されてもよい。
【0173】
このように、第1サブボード21に対する弾性部材6の弾性力に起因して、チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップの大部分が排除され、チップ3および第1ハウジング壁11の間の熱伝達を速くすることができる。チップ3および第1ハウジング壁11の間に熱界面材料層4を充填する場合でも、充填する熱界面材料層4の厚さは小さく、例えば、0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの範囲内であり、熱界面材料層4の熱抵抗は小さい。これを考慮すると、チップ3および第1ハウジング壁11の間の熱伝達がさらに速くなり、チップ3の熱を放散する効果を高められる。
【0174】
インタフェースコンポーネント10については、インタフェースコンポーネント10が第2サブボード22の表面上に位置しており、弾性部材6と共に振動する必要がないので、インタフェースコンポーネント10、およびインタフェースコンポーネントを取り付ける際に通る装着ポートの間にギャップを確保する必要がない。このように、インタフェースコンポーネント10および装着ポートの間の封止性能を保証して、防塵および防水効果を実現できる。
【0175】
別の電子デバイスの構造の概略図については、
図14および
図15を参照されたい。
【0176】
図14に示すように、電子デバイスは、放熱ハウジング1、回路基板2、チップ3、熱界面材料層4、および弾性部材6を含む。回路基板2、チップ3、熱界面材料層4、および弾性部材6は全て、放熱ハウジング1で形成されたチャンバ101の中に位置している。チップ3は、回路基板2の表面上に位置している。熱界面材料層4は、チップ3の、回路基板2から離れた表面上に位置している。弾性部材6は、回路基板2、および放熱ハウジング1の第2ハウジング壁13の間で圧縮されて、チップ3、および放熱ハウジング1の第1ハウジング壁11の間のギャップを低減する。
【0177】
第1ハウジング壁11は、放熱ハウジング1の、チップ3と対向する位置にあるハウジング壁である。第2ハウジング壁13は、放熱ハウジング1の回路基板2と対向する位置にあるハウジング壁である。第2ハウジング壁13は、第1ハウジング壁11と対向する位置にある。
【0178】
そのような構造を有する電子デバイスの説明については、前述した説明を参照されたい。ここでは、詳細について1つずつ改めて説明しない。
【0179】
電子デバイスでは、回路基板2および第2ハウジング壁13の間で圧縮された弾性部材6が回路基板2に弾性力を加えるので、チップ3および第1ハウジング壁11の間のギャップの大部分を排除できるようになり、チップ3および第1ハウジング壁11は互いに対してよりぴったり合わさることができる。チップ3および第1ハウジング壁11が互いに対してよりぴったり合わさると、それに応じて、チップ3および第1ハウジング壁11の間の熱伝達が速くなるので、第1ハウジング壁11はチップ3の熱を迅速に吸収してチップ3の熱を放散し、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できるようになる。
【0180】
チップ3および第1ハウジング壁11の間に熱界面材料層4を充填する場合でも、充填する熱界面材料層4の厚さは小さく、例えば、わずか0.05ミリメートル~0.07ミリメートルの範囲内であり、熱界面材料層4の熱抵抗は小さい。これを考慮すると、熱界面材料層4の熱伝導性が改善され、電子デバイスの放熱効果をさらに改善できる。
【0181】
前述の説明は、本願の単なる実施形態に過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本願の趣旨および原理から逸脱することなく行われる修正、同等の置換、または改良はいずれも、本願の保護範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】