(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】車両用ステアリングシステム及びそれを有する車両
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20231212BHJP
B62D 1/189 20060101ALI20231212BHJP
B62D 1/20 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D1/189
B62D1/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535998
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021142671
(87)【国際公開番号】W WO2022143807
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011627843.6
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲鵬▼
【テーマコード(参考)】
3D030
3D333
【Fターム(参考)】
3D030DC16
3D030DC17
3D030DD13
3D030DD63
3D333CB02
3D333CB29
3D333CB46
3D333CC14
3D333CC23
3D333CD05
3D333CD13
3D333CD14
3D333CD17
3D333CD18
3D333CD20
3D333CE12
(57)【要約】
車両用ステアリングシステム及びそれを有する車両である。車両用ステアリングシステムは、ハウジング(1)と、第1のステアリングシャフト(21)、ステアリングアセンブリ(22)及び駆動機構(23)を含み、第1のステアリングシャフトの少なくとも一部及びステアリングアセンブリの少なくとも一部がハウジング内に設けられ、ステアリングアセンブリが結合位置と分離位置との間に移動可能であり、ステアリングアセンブリが結合位置にある場合に第1のステアリングシャフトと結合してトルクを伝達し、ステアリングアセンブリが分離位置にある場合に第1のステアリングシャフトから分離してトルクの伝達を遮断するクラッチモジュール(2)と、伝動ドラグ機構(3)であって、それぞれ駆動機構とハウジングに接続され、駆動機構が伝動ドラグ機構を介してステアリングアセンブリに伝動接続され、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する場合、伝動ドラグ機構が駆動機構のステアリングアセンブリの位置に対する制限力を低減する伝動ドラグ機構(3)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と、
第1のステアリングシャフト(21)、ステアリングアセンブリ(22)及び駆動機構(23)を含み、前記第1のステアリングシャフト(21)の少なくとも一部及び前記ステアリングアセンブリ(22)の少なくとも一部が前記ハウジング(1)内に設けられ、前記ステアリングアセンブリ(22)が結合位置と分離位置との間に移動可能であり、前記ステアリングアセンブリ(22)が結合位置にある場合に前記第1のステアリングシャフト(21)と結合してトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリ(22)が分離位置にある場合に前記第1のステアリングシャフトから分離してトルクの伝達を遮断するクラッチモジュール(2)と、
伝動ドラグ機構(3)あって、それぞれ前記駆動機構(23)と前記ハウジング(1)に接続され、前記駆動機構(23)が前記伝動ドラグ機構(3)を介して前記ステアリングアセンブリ(22)に伝動接続され、前記駆動機構(23)が前記伝動ドラグ機構(3)により前記結合位置と前記分離位置との間に移動するように前記ステアリングアセンブリ(22)を駆動し、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記結合位置に位置する場合、前記伝動ドラグ機構(3)が前記駆動機構(23)の前記ステアリングアセンブリ(22)の位置に対する制限力を低減する伝動ドラグ機構(3)とを含む、ことを特徴とする車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項2】
前記伝動ドラグ機構(3)は、
一端が前記駆動機構(23)に伝動接続され、他端が前記ステアリングアセンブリ(22)にヒンジ接続される第1の調整リンク(31)と、
一端が前記駆動機構(23)に伝動接続され、他端が前記ステアリングアセンブリ(22)にヒンジ接続される第2の調整リンク(32)と、
一端が前記第1の調整リンク(31)及び前記第2の調整リンク(32)にヒンジ接続され、他端に長穴(331)が形成され、前記他端が前記長穴(331)を通過して前記ハウジング(1)にヒンジ接続される縦リンク(33)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項3】
前記長穴(331)の両端の円弧の円心の間の距離は、2mmより大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項4】
前記駆動機構(23)は、前記ハウジング(1)にヒンジ接続される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項5】
前記ステアリングアセンブリ(22)は、
第2のステアリングシャフト(221)であって、前記第2のステアリングシャフト(221)の少なくとも一部が前記ハウジング(1)内に設けられ、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記結合位置にある場合に前記第2のステアリングシャフト(221)が前記第1のステアリングシャフト(21)と結合してトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記分離位置にある場合に前記第2のステアリングシャフト(221)が前記第1のステアリングシャフト(21)から分離してトルクの伝達を遮断する第2のステアリングシャフト(221)と、
クラッチシリンダー(222)であって、前記クラッチシリンダー(222)が前記第2のステアリングシャフト(221)に嵌設され、前記伝動ドラグ機構(3)が前記クラッチシリンダー(222)に接続されるクラッチシリンダー(222)とを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項6】
前記伝動ドラグ機構(3)は、請求項2に記載の前記伝動ドラグ機構(3)であり、前記第1の調整リンク(31)の他端と前記ステアリングアセンブリ(22)との間に第1のヒンジシャフト(311)があり、前記第2の調整リンク(32)の他端と前記ステアリングアセンブリ(22)との間に第2のヒンジシャフト(321)があり、前記第1のヒンジシャフト(311)の中心軸線と前記第2のヒンジシャフト(321)の中心軸線とを結ぶ線は、前記クラッチシリンダー(222)の中心を通過する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項7】
前記クラッチモジュール(2)は、
弾性部材(24)であって、前記ステアリングアセンブリ(22)に作用し、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記結合位置に位置する場合、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記伝動ドラグ機構(3)及び前記弾性部材(24)の共同作用で前記第1のステアリングシャフト(21)の方向に移動し続ける弾性部材(24)とをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項8】
前記クラッチモジュール(2)は、
第3のステアリングシャフト(25)であって、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記第3のステアリングシャフト(25)に接続され、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記第3のステアリングシャフト(25)と嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記第3のステアリングシャフト(25)に対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能である第3のステアリングシャフト(25)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項9】
前記第3のステアリングシャフト(25)にキャビティ(252)が形成され、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記キャビティ(252)内に伸び、
前記第3のステアリングシャフト(25)の内周面に複数の第1のスプラインが形成され、各前記第1のスプラインは、前記第3のステアリングシャフト(25)の軸方向に沿って延在し、複数の前記第1のスプラインは、前記第3のステアリングシャフト(25)の周方向に沿って配列され、
前記ステアリングアセンブリ(22)の外周面に複数の第2のスプライン(223)が形成され、各前記第2のスプライン(223)は、前記ステアリングアセンブリ(22)の軸方向に沿って延在し、複数の前記第2のスプライン(223)は、前記ステアリングアセンブリ(22)の周方向に沿って配列され、
複数の前記第1のスプラインは、複数の前記第2のスプライン223と噛み合わされる、ことを特徴とする請求項8に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項10】
前記ステアリングアセンブリ(22)に接続され、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記分離位置に位置する場合に前記ステアリングアセンブリ(22)の最大回転角度を限定する回転角制限装置(4)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項11】
前記ステアリングアセンブリ(22)に接続され、前記ステアリングアセンブリ(22)が前記分離位置に位置する場合に前記ステアリングアセンブリ(22)が前記結合位置に位置する場合の手触りをシミュレーションする手触りシミュレーション構造(5)をさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項12】
前記クラッチモジュール(2)に接続され、ハンドルの高さ及び/又はチルト角度を調整するハンドル調整装置(6)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項13】
前記クラッチモジュール(2)は、第3のステアリングシャフト(25)をさらに含み、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)に接続され、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)と嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)に対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能であり、前記ハンドルは、前記第3のステアリングシャフト(25)に固定され、
前記ハンドル調整装置(6)が少なくとも前記ハンドルの高さを調整する場合、前記ハンドル調整装置(6)は、ハンドル高さ調整装置(7)を含み、前記ハンドル高さ調整装置(7)は、
前記第3のステアリングシャフト(25)に嵌設されるスライドシリンダー(71)と、
前記スライドシリンダー(71)に接続され、前記スライドシリンダー(71)により、前記ハンドルを上下に移動させるように前記第3のステアリングシャフト(25)を駆動する高さ調整駆動機構(72)と、さらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項14】
前記高さ調整駆動機構(72)は、
前記ハウジング(1)に固定される高さ調整駆動装置(721)と、
前記高さ調整駆動装置(721)に伝動接続される高さ調整伝動部材(722)と、
前記高さ調整伝動部材(722)と嵌合され、前記スライドシリンダー(71)に固定されて、上下に移動するように前記スライドシリンダー(71)を駆動する高さ調整従動部材(723)とを含む、ことを特徴とする請求項13に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項15】
前記クラッチモジュール(2)は、第3のステアリングシャフト(25)を含み、前記ハウジング(1)は、前記第3のステアリングシャフト(25)に嵌設され、前記車両の車体にヒンジ接続することに適し、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)に接続され、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)と嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリ(22)は、前記第3のステアリングシャフト(25)に対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能であり、前記ハンドルは、前記第3のステアリングシャフト(25)に固定され、
前記ハンドル調整装置(6)は、少なくとも前記ハンドルのチルト角度を調整する場合にハンドルチルト角度調整装置(8)を含み、前記ハンドルチルト角度調整装置(8)は、
それぞれ前記ハウジング(1)と前記車体に接続され、前記ハウジング(1)により、前記ハンドルをチルト移動させるように前記第3のステアリングシャフト(25)を駆動するチルト調整駆動機構(81)を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項16】
前記チルト調整駆動機構(81)は、
前記ハウジング(1)にヒンジ接続されるチルト調整駆動装置(811)と、
前記チルト調整駆動装置(811)に伝動接続されるチルト調整伝動機構(812)と、
それぞれ前記チルト調整伝動機構(812)、前記ハウジング(1)及び前記車体にヒンジ接続されるチルト調整リンク機構(813)とを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項17】
前記チルト調整駆動機構(81)は、
固定座(814)であって、前記車体に固定することに適し、前記ハウジング(1)と前記チルト調整リンク機構(813)がそれぞれ前記固定座(814)にヒンジ接続される固定座(814)をさらに含む、ことを特徴とする請求項16に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項18】
前記第1のステアリングシャフト(21)と前記ステアリングアセンブリ(22)のうちの一方に伝動接続されるステアリングギヤと、
前記第1のステアリングシャフト(21)と前記ステアリングアセンブリ(22)のうちの他方に伝動接続されるハンドルとをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステム(100)。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の車両用ステアリングシステムを含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202011627843.6で、出願日が2020年12月30日である中国特許出願に基づき、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の技術分野に関し、特に車両用ステアリングシステム及びそれを車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、車載マルチメディア機能及び自動運転機能などの新機能の改善に伴い、車両用ステアリングシステムは、一般的に、ステアリングシャフトとステアリングギヤとの結合及び分離を実現するためにクラッチモジュールを含む。しかしながら、長時間使用した後、ステアリングシャフトとステアリングギヤとの間の結合部位に摩耗が発生する可能性があるため、結合が緊密でないという問題が発生しやすく、潜在的な走行安全上の問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決しようとする。このために、本願は、ステアリングアセンブリと第1のステアリングシャフトとの間の緊密な結合を実現し、走行安全性を効果的に向上させることができる車両用ステアリングシステムを提供することを1つの目的とする。
【0005】
本願は、上記車両用ステアリングシステムを有する車両を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムは、ハウジングと、第1のステアリングシャフト、ステアリングアセンブリ及び駆動機構を含み、前記第1のステアリングシャフトの少なくとも一部及び前記ステアリングアセンブリの少なくとも一部が前記ハウジング内に設けられ、前記ステアリングアセンブリが結合位置と分離位置との間に移動可能であり、前記ステアリングアセンブリが前記結合位置にある場合に前記第1のステアリングシャフトと結合してトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリが前記分離位置にある場合に前記第1のステアリングシャフトから分離してトルクの伝達を遮断するクラッチモジュールと、伝動ドラグ機構であって、それぞれ前記駆動機構と前記ハウジングに接続され、前記駆動機構が前記伝動ドラグ機構を介して前記ステアリングアセンブリに伝動接続され、前記駆動機構が前記伝動ドラグ機構により前記結合位置と前記分離位置との間に移動するように前記ステアリングアセンブリを駆動し、前記ステアリングアセンブリが前記結合位置に位置する場合、前記伝動ドラグ機構が前記駆動機構の前記ステアリングアセンブリの位置に対する制限力を低減する伝動ドラグ機構と、を含む。
【0007】
本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムは、伝動ドラグ機構を設け、駆動機構が伝動ドラグ機構を介してステアリングアセンブリに伝動接続されて、結合位置と分離位置との間に移動するようにステアリングアセンブリを駆動し、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する場合に伝動ドラグ機構が駆動機構のステアリングアセンブリの位置に対する制限力を低減することにより、ステアリングアセンブリが結合位置にある場合に第1のステアリングシャフトとより緊密に結合することができるため、車両の安全性を効果的に向上させることができる。
【0008】
本願のいくつかの実施例において、前記伝動ドラグ機構は、一端が前記駆動機構に伝動接続され、他端が前記ステアリングアセンブリにヒンジ接続される第1の調整リンクと、一端が前記駆動機構に伝動接続され、他端が前記ステアリングアセンブリにヒンジ接続される第2の調整リンクと、一端が前記第1の調整リンク及び前記第2の調整リンクにヒンジ接続され、他端に長穴が形成され、前記他端が前記長穴を通過して前記ハウジングにヒンジ接続される縦リンクとを含む。
【0009】
本願のいくつかの実施例において、前記長穴の両端の円弧の円心の間の距離は、2mmより大きい。
【0010】
本願のいくつかの実施例において、前記駆動機構は、前記ハウジングにヒンジ接続される。
【0011】
本願のいくつかの実施例において、前記ステアリングアセンブリは、第2のステアリングシャフトであって、前記第2のステアリングシャフトの少なくとも一部が前記ハウジング内に設けられ、前記ステアリングアセンブリが前記結合位置にある場合に前記第2のステアリングシャフトが前記第1のステアリングシャフトと結合してトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリが前記分離位置にある場合に前記第2のステアリングシャフトが前記第1のステアリングシャフトから分離してトルクの伝達を遮断する第2のステアリングシャフトと、クラッチシリンダーであって、前記クラッチシリンダーが前記第2のステアリングシャフトに嵌設され、前記伝動ドラグ機構が前記クラッチシリンダーに接続されるクラッチシリンダーとを含む。
【0012】
本願のいくつかの実施例において、前記伝動ドラグ機構は、本願の上記実施例に記載の伝動ドラグ機構であり、前記第1の調整リンクの他端と前記ステアリングアセンブリとの間に第1のヒンジシャフトがあり、前記第2の調整リンクの他端と前記ステアリングアセンブリとの間に第2のヒンジシャフトがあり、前記第1のヒンジシャフトの中心軸線と前記第2のヒンジシャフトの中心軸線とを結ぶ線は、前記クラッチシリンダーの中心を通過する。
【0013】
本願のいくつかの実施例において、前記クラッチモジュールは、弾性部材であって、前記ステアリングアセンブリに作用し、前記ステアリングアセンブリが前記結合位置に位置する場合、前記ステアリングアセンブリが前記伝動ドラグ機構及び前記弾性部材の共同作用で前記第1のステアリングシャフトの方向に移動し続ける弾性部材をさらに含む。
【0014】
本願のいくつかの実施例において、前記クラッチモジュールは、第3のステアリングシャフトをさらに含み、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに接続され、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトと嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能である。
【0015】
本願のいくつかの実施例において、前記第3のステアリングシャフトにキャビティが形成され、前記ステアリングアセンブリが前記キャビティ内に伸び、前記第3のステアリングシャフトの内周面に複数の第1のスプラインが形成され、各前記第1のスプラインは、前記第3のステアリングシャフトの軸方向に沿って延在し、複数の前記第1のスプラインは、前記第3のステアリングシャフトの周方向に沿って配列され、前記ステアリングアセンブリの外周面に複数の第2のスプラインが形成され、各前記第2のスプラインは、前記ステアリングアセンブリの軸方向に沿って延在し、複数の前記第2のスプラインは、前記ステアリングアセンブリの周方向に沿って配列され、複数の前記第1のスプラインは、複数の前記第2のスプラインと噛み合わされる。
【0016】
本願のいくつかの実施例において、前記車両用ステアリングシステムは、前記ステアリングアセンブリに接続され、前記ステアリングアセンブリが前記分離位置に位置する場合に前記ステアリングアセンブリの最大回転角度を限定する回転角制限装置をさらに含む。
【0017】
本願のいくつかの実施例において、前記車両用ステアリングシステムは、前記ステアリングアセンブリに接続され、前記ステアリングアセンブリが前記分離位置に位置する場合に前記ステアリングアセンブリが前記結合位置に位置する場合の手触りをシミュレーションする手触りシミュレーション構造をさらに含む。
【0018】
本願のいくつかの実施例において、前記車両用ステアリングシステムは、前記クラッチモジュールに接続され、ハンドルの高さ及び/又はチルト角度を調整するハンドル調整装置をさらに含む。
【0019】
本願のいくつかの実施例において、前記クラッチモジュールは、第3のステアリングシャフトをさらに含み、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに接続され、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトと嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能であり、前記ハンドルは、前記第3のステアリングシャフトに固定され、前記ハンドル調整装置が少なくとも前記ハンドルの高さを調整する場合、前記ハンドル調整装置は、ハンドル高さ調整装置を含み、前記ハンドル高さ調整装置は、前記第3のステアリングシャフトに嵌設されるスライドシリンダーと、前記スライドシリンダーに接続され、前記スライドシリンダーにより、前記ハンドルを上下に移動させるように前記第3のステアリングシャフトを駆動する高さ調整駆動機構と、をさらに含む。
【0020】
本願のいくつかの実施例において、前記高さ調整駆動機構は、前記ハウジングに固定される高さ調整駆動装置と、前記高さ調整駆動装置に伝動接続される高さ調整伝動部材と、前記高さ調整伝動部材と嵌合され、前記スライドシリンダーに固定されて、上下に移動するように前記スライドシリンダーを駆動する高さ調整従動部材とを含む。
【0021】
本願のいくつかの実施例において、前記クラッチモジュールは、第3のステアリングシャフトを含み、前記ハウジングは、前記第3のステアリングシャフトに嵌設され、かつ前記車両の車体にヒンジ接続することに適し、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに接続され、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトと嵌合されてステアリングトルクを伝達し、前記ステアリングアセンブリは、前記第3のステアリングシャフトに対して前記結合位置と前記分離位置との間に移動可能であり、前記ハンドルは前記第3のステアリングシャフトに固定され、前記ハンドル調整装置は、少なくとも前記ハンドルのチルト角度を調整する場合にハンドルチルト角度調整装置を含み、前記ハンドルチルト角度調整装置は、それぞれ前記ハウジングと前記車体に接続され、前記ハウジングにより、前記ハンドルをチルト移動させるように前記第3のステアリングシャフトを駆動するチルト調整駆動機構を含む。
【0022】
本願のいくつかの実施例において、前記チルト調整駆動機構は、前記ハウジングにヒンジ接続されるチルト調整駆動装置と、前記チルト調整駆動装置に伝動接続されるチルト調整伝動機構と、それぞれ前記チルト調整伝動機構、前記ハウジング及び前記車体にヒンジ接続されるチルト調整リンク機構とを含む。
【0023】
本願のいくつかの実施例において、前記チルト調整駆動機構は、固定座であって、前記車体に固定することに適し、前記ハウジングと前記チルト調整リンク機構がそれぞれ前記固定座にヒンジ接続される固定座をさらに含む。
【0024】
本願のいくつかの実施例において、前記車両用ステアリングシステムは、前記第1のステアリングシャフトと前記ステアリングアセンブリのうちの一方に伝動接続されるステアリングギヤと、前記第1のステアリングシャフトと前記ステアリングアセンブリのうちの他方に伝動接続されるハンドルとをさらに含む。
【0025】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記いずれかの実施例に係る車両用ステアリングシステムを含む。
【0026】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【0027】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図である。
【
図2】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の視点からの概略構成図である。
【
図3】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図である。
【
図4】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の視点からの概略構成図である。
【
図5】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの部分断面図であり、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する。
【
図6】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの部分断面図であり、ステアリングアセンブリが分離位置に位置する。
【
図7】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図であり、ステアリングアセンブリが分離位置に位置する。
【
図8】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図であり、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する。
【
図9】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の視点からの部分断面図であり、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する。
【
図10】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の視点からの部分断面図であり、ステアリングアセンブリは分離位置に位置する。
【
図10a】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの伝動ドラグ機構の概略構成図である。
【
図10b】
図10aに示す伝動ドラグ機構の別の状態の概略構成図である。
【
図11】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムのステアリングアセンブリ及び第1のステアリングシャフトの概略構成図である。
【
図12】本願の別の実施例に係る車両用ステアリングシステムの斜視図である。
【
図13】
図12に示す車両用ステアリングシステムの別の角度の斜視図である。
【
図14】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの手触りシミュレーション構造とステアリングアセンブリとの嵌合概略図である。
【
図15】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの手触りシミュレーション構造とステアリングアセンブリの別の角度からの嵌合概略図である。
【
図16】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図である。
【
図18】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の概略構成図である。
【
図20】本願の別の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図である。
【
図21】
図20に示す車両用ステアリングシステムの別の角度からの概略構成図である。
【
図22】
図20に示す車両用ステアリングシステムのさらに別の角度からの概略構成図である。
【
図25】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の角度からの概略構成図である。
【
図28】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの回転角制限装置と第2のステアリングシャフトの組立概略図である。
【
図29】本願の実施例に係る回転部材と第2のステアリングシャフトの接続概略図である。
【
図30】本願の実施例に係る移動部材の斜視図である。
【
図31】本願の実施例に係る回転部材の概略構成図である。
【
図32】本願のさらに別の実施例に係る車両用ステアリングシステムの概略構成図である。
【
図33】
図32に示す車両用ステアリングシステムの別の角度からの概略構成図である。
【
図34】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの部分断面図であり、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する。
【
図35】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の部分断面図であり、ステアリングアセンブリが分離位置に位置する。
【
図36】
図32に示す車両用ステアリングシステムのさらに別の角度からの概略構成図である。
【
図37】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの部分断面図であり、ステアリングアセンブリが結合位置に位置する。
【
図38】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の部分断面図であり、ステアリングアセンブリが分離位置に位置する。
【
図39】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの部分概略構成図である。
【
図40】本願の実施例に係る車両用ステアリングシステムの別の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は例示的なものであり、以下、本願の実施例を詳細に説明する。
【0030】
以下、
図1~
図40を参照して、本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100について説明する。
【0031】
図5~
図8に示すように、本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100は、ハウジング1、クラッチモジュール2及び伝動ドラグ機構3を含む。
【0032】
図5及び
図6を参照すると、クラッチモジュール2は、第1のステアリングシャフト21、ステアリングアセンブリ22及び駆動機構23を含み、第1のステアリングシャフト21の少なくとも一部及びステアリングアセンブリ22の少なくとも一部は、ハウジング1内に設けられる。これにより、上記設置により、ハウジング1は、第1のステアリングシャフト21及びステアリングアセンブリ22に対して効果的な保護作用を果たし、第1のステアリングシャフト21及びステアリングアセンブリ22と外部との直接接触面積を小さくすることができるため、外部の塵埃などの異物が第1のステアリングシャフト21及びステアリングアセンブリ22の正常な作動に影響を与えることを回避し、第1のステアリングシャフト21及びステアリングアセンブリ22の損傷確率を低下させることができる。
【0033】
ステアリングアセンブリ22は、結合位置と分離位置との間に移動可能であり、ステアリングアセンブリ22が結合位置にある場合に第1のステアリングシャフト21と結合してトルクを伝達し、ステアリングアセンブリ22が分離位置にある場合に第1のステアリングシャフト21から分離してトルクの伝達を遮断する。これにより、上記クラッチモジュール2を設けることにより、第1のステアリングシャフト21とステアリングアセンブリ22との間のトルクの伝達及び遮断を実現することができるため、車両用ステアリングシステム100は、車載マルチメディア機能及び自動運転などの機能にマッチングすることができる。
【0034】
例えば、運転者が車両を正常に操作して走行させる場合、駆動機構23を制御して、結合位置に移動するようにステアリングアセンブリ22を駆動することができ、この場合に車両用ステアリングシステム100は、運転者がハンドルを操作するモーメントをステアリングギヤに正常に伝達することにより、車両が運転者の意図に追従してステアリングすることができる。
【0035】
車両が自動運転又は停車状態にある場合、駆動機構23を制御して、分離位置に移動するようにステアリングアセンブリ22を駆動することができ、この場合にハンドルとステアリングギヤの接続が遮断される。車両が自動運転モードにある場合、ハンドルは、車両のステアリングに伴って一緒に回動することがなく、車両が停車状態にあれば、車載マルチメディアでレースなどのゲームをプレイすることができ、ハンドルを用いてゲームを制御するが、車両の実際のステアリングに影響を与えない。
【0036】
図7及び
図8に示すように、伝動ドラグ機構3は、それぞれ駆動機構23とハウジング1に接続され、駆動機構23が伝動ドラグ機構3を介してステアリングアセンブリ22に伝動接続されて、結合位置と分離位置との間に移動するようにステアリングアセンブリ22を駆動し、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合、伝動ドラグ機構3は、駆動機構23のステアリングアセンブリ22の位置に対する制限力を低減する。本願のいくつかの実施例において、伝動ドラグ機構3は、駆動機構23のステアリングアセンブリ22の位置に対する制限力を除く。
【0037】
これにより、上記伝動ドラグ機構3を設けることにより、ステアリングアセンブリ22が第1のステアリングシャフト21に結合する場合、伝動ドラグ機構3は、ステアリングアセンブリ22に第1のステアリングシャフト21に向かって移動する傾向を持たせるため、ステアリングアセンブリ22を第1のステアリングシャフト21に結合した位置に押し付けることができ、ステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との間の結合に緩みが発生する場合、ステアリングアセンブリ22は、第1のステアリングシャフト21に向かって移動し続けることにより、ステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との間の結合をより緊密かつ確実にするため、トルクを効果的に伝達し、走行安全性を大幅に向上させることができる。
【0038】
また、駆動機構23が伝動ドラグ機構3を介してステアリングアセンブリ22に伝動接続されるため、伝動ドラグ機構3は、効果的な伝動作用を果たして、ステアリングアセンブリ22の移動をより確実にし、かつ伝動ドラグ機構3は、ステアリングアセンブリ22にかかる力を増大させ、ステアリングアセンブリ22のストロークを拡大し、駆動機構23と伝動ドラグ機構3との間の駆動力の遠距離伝達を実現することができるため、駆動機構23への要求を低減し、駆動機構23のタイプ範囲を増加させ、低精度及び高精度の駆動機構23をいずれも適用し、駆動機構23のコストを低減することができる。また、伝動ドラグ機構3の伝動の自由度により、ステアリングアセンブリ22が所定の経路に応じて移動することを実現すると共に、駆動機構23の配置位置をより自由にすることができる。
【0039】
本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100は、伝動ドラグ機構3を設け、駆動機構23が伝動ドラグ機構3を介してステアリングアセンブリ22に伝動接続されて、結合位置と分離位置との間に移動するようにステアリングアセンブリ22を駆動し、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合に伝動ドラグ機構3が駆動機構23のステアリングアセンブリ22の位置に対する制限力を低減するか又は除くことにより、ステアリングアセンブリ22が結合位置にある場合に第1のステアリングシャフト21とより緊密に結合することができるため、車両の安全性を効果的に向上させることができる。
【0040】
本願のいくつかの実施例において、
図7~
図10に示すように、伝動ドラグ機構3は、第1の調整リンク31、第2の調整リンク32及び縦リンク33を含む。具体的には、第1の調整リンク31の一端が駆動機構23に伝動接続され、第1の調整リンク31の他端がステアリングアセンブリ22にヒンジ接続され、第2の調整リンク32の一端が駆動機構23に接続され、第2の調整リンク32の他端がステアリングアセンブリ22にヒンジ接続される。
【0041】
これにより、第1の調整リンク31及び第2の調整リンク32がステアリングアセンブリ22にかかる力が均一に分布し、ステアリングアセンブリ22が結合位置と分離位置との間に移動する安定性をさらに向上させる。第1の調整リンク31の上記他端とステアリングアセンブリ22との間に第1のヒンジシャフト311を有することができ、第2の調整リンク32の上記他端とステアリングアセンブリ22との間に第2のヒンジシャフト321を有することができる。
【0042】
縦リンク33の一端は、第1の調整リンク31及び第2の調整リンク32にヒンジ接続され、縦リンク33の他端に長穴331が形成され、縦リンク33の上記他端は、長穴331を通過してハウジング1にヒンジ接続される。例えば、
図9~
図10bの例において、縦リンク33の上記他端とハウジング1との間に第3のヒンジシャフト332を有し、第3のヒンジシャフト332は、長穴331を通過し、第3のヒンジシャフト332の両端は、長穴331から突出してハウジング1にヒンジ接続される。長穴331の軸方向は、縦リンク33の長さ方向と同じであってもよく、長穴331の横断面の長さ方向は、ハウジング1の長さ方向と同じであってもよい。
【0043】
ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合、
図10aを参照すると、第3のヒンジシャフト332は、長穴331の一端(例えば、
図10aにおける左端)に位置することができ、ステアリングアセンブリ22が分離位置から結合位置に移動する場合、駆動機構23は、一定の時間作動し続けることを維持することができ、
図10bを参照すると、第1の調整リンク31、第2の調整リンク32及び縦リンク33は、第1のヒンジシャフト311及び第2のヒンジシャフト321の中心軸線を回転軸として第3のヒンジシャフト332に対して第1のステアリングシャフト21に向かって揺動することができるため、第1のステアリングシャフト21の方向に向かって、第1のステアリングシャフト21と緊密に嵌合するようにステアリングアセンブリ22を駆動することができ、この場合に第3のヒンジシャフト332は、長穴331の他端(例えば、
図10bにおける右端)に移動することができ、ステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との結合の緊密性及び信頼性を効果的に向上させ、さらにステアリングトルク伝達の信頼性を向上させることができる。
【0044】
これにより、上記長穴331を設けることにより、第1の調整リンク31及び第2の調整リンク32のステアリングアセンブリ22の移動に対する制限を効果的に除去することができ、ステアリングアセンブリ22の第1のステアリングシャフト21に向かう移動にさらなるストロークを予約し、第1のステアリングシャフト21とステアリングアセンブリ22との結合の緊密性をさらに保証することができる。長穴331の両端の円弧の円心との間の距離は、2mmより大きくてもよく、例えば3mmであってもよいため、ステアリングアセンブリ22の第1のステアリングシャフト21に向かう方向の移動に十分なストロークを予約し、さらにステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との結合の緊密性を保証することができる。
【0045】
好ましくは、
図9、
図10、
図10a及び
図10bを参照すると、クラッチモジュール2は、スクリュー26及びナット27をさらに含み、スクリュー26は、駆動機構23に伝動接続され、ナット27は、スクリュー26に嵌設され螺合され、第1の調整リンク31の上記一端及び第2の調整リンク32の上記一端は、ナット27にヒンジ接続される。このように、駆動機構23は、回転するようにスクリュー26を駆動することができ、スクリュー26とナット27が螺合されるため、スクリュー26が回転する場合、ナット27は、スクリュー26の軸方向に沿って移動し、揺動するように第1の調整リンク31と第2の調整リンク32を駆動し、さらに軸方向に沿って移動するようにステアリングアセンブリ22を駆動する。
【0046】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図7及び
図8に示すように、縦リンク33は、第1の調整リンク31の両端の間、及び第2の調整リンク32の両端の間にヒンジ接続され、縦リンク33と第1の調整リンク31とのヒンジ接続箇所の第1の調整リンク31の長手方向における位置は、縦リンク33と第2の調整リンク32とのヒンジ接続箇所の第2の調整リンク32の長手方向における位置と一致する。このように、組み立てがより簡単であり、第1の調整リンク31と第2の調整リンク32の作動幅が同じであり、ステアリングアセンブリ22がその軸方向に沿って移動できることを保証し、ステアリングアセンブリ22の作動のスムーズさを向上させることができる。
【0047】
好ましくは、
図7~
図10に示すように、駆動機構23は、ハウジング1にヒンジ接続されてもよい。このように設けると、駆動機構23とハウジング1との間の接続方式が簡単であり、構造がコンパクトであり、かつ駆動機構23とハウジング1との間に一定の相対回転が発生することができる。
【0048】
本願のいくつかの実施例において、
図5及び
図6に示すように、ステアリングアセンブリ22は、第2のステアリングシャフト221及びクラッチシリンダー222を含む。具体的には、第2のステアリングシャフト221の少なくとも一部がハウジング1内に設けられ、ステアリングアセンブリ22が結合位置にある場合に第2のステアリングシャフト221が第1のステアリングシャフト21と結合してトルクを伝達し、ステアリングアセンブリ22が分離位置にある場合に第2のステアリングシャフト221が第1のステアリングシャフト21から分離してトルクの伝達を遮断し、クラッチシリンダー222は、第2のステアリングシャフト221に嵌設され、伝動ドラグ機構3は、クラッチシリンダー222に接続される。
【0049】
例えば、
図5及び
図6の例において、第1のヒンジシャフト311の中心軸線と第2のヒンジシャフト321の中心軸線とを結ぶ線は、クラッチシリンダー222の横断面の中心を通過し、このように第1のヒンジシャフト311とクラッチシリンダー222との間のモーメントアームと、第2のヒンジシャフト321とクラッチシリンダー222との間のモーメントアームとは同一直線に位置し、即ちクラッチシリンダー222全体のモーメントは、その中心軸線に対して対称であってもよく、クラッチシリンダー222の移動方向をその軸方向からずらすモーメントを除去し、即ちクラッチシリンダー222の反転モーメントを除去することができ、クラッチシリンダー222が第2のステアリングシャフト221を駆動してその軸方向に沿って移動させることを保証し、クラッチシリンダー222の移動のスムーズさを向上させ、クラッチシリンダー222が移動する場合に働かなくなる状況を回避する。なお、クラッチシリンダー222の横断面は、クラッチシリンダー222の軸方向に垂直な断面を指す。
【0050】
例えば、クラッチシリンダー222のある横断面が位置する平面は、第1のヒンジシャフト311の中心軸線と第2のヒンジシャフト321の中心軸線の両方を通過し、第1のヒンジシャフト311の中心軸線と第2のヒンジシャフト321の中心軸線とを結ぶ線は、該横断面の中心を通過し、かつ第1のヒンジシャフト311とクラッチシリンダー222とのヒンジ点から該横断面の中心までの距離は、第1の距離であり、第2のヒンジシャフト321とクラッチシリンダー222とのヒンジ点から該横断面の中心までの距離は、第2の距離であり、第1の距離と第2の距離は同じであってもよい。
【0051】
これにより、上記第2のステアリングシャフト221及びクラッチシリンダー222を設けることにより、伝動ドラグ機構3は、クラッチシリンダー222により第1のステアリングシャフト21と結合するか又は第1のステアリングシャフト21から分離するように第2のステアリングシャフト221を駆動することができ、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合、伝動ドラグ機構3は、クラッチシリンダー222により第2のステアリングシャフト221を第1のステアリングシャフト21と結合する位置に押し付けることができ、第2のステアリングシャフト221と第1のステアリングシャフト21との緊密な結合を実現すると共に、伝動ドラグ機構3と第2のステアリングシャフト221が直接接触する必要がないため、第2のステアリングシャフト221の耐用年数を延長し、第2のステアリングシャフト221の移動の安定性を保証することができる。
【0052】
本願のいくつかの好ましい実施例において、
図3及び
図4に示すように、クラッチシリンダー222の横断面は、円環状であってもよく、第1のヒンジシャフト311と第2のヒンジシャフト321は、クラッチシリンダー222の径方向に対向して設けられる。このように、クラッチシリンダー222の形状が規則的となり、製造加工及び着脱交換が容易となり、かつこの時にクラッチシリンダー222の全体にかかる力が均一となり、応力が集中することを回避すると共に、クラッチシリンダー222の作動のスムーズさをさらに保証することができる。当然のことながら、クラッチシリンダー222の横断面は、他の形状、例えば、四角形などであってもよい。
【0053】
本願のさらなる実施例において、
図5、
図6、
図9及び
図10を参照すると、クラッチモジュール2は、弾性部材24をさらに含み、弾性部材24は、ステアリングアセンブリ22に作用し、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合、ステアリングアセンブリ22は、伝動ドラグ機構3及び弾性部材24の共同作用で第1のステアリングシャフト21の方向に移動し続ける。
【0054】
例えば、
図5、
図6、
図9及び
図10の例において、弾性部材24は、第2のステアリングシャフト221に嵌設されたスプリングである。第2のステアリングシャフト221にスプリングシート241及びスプリングスリーブ242が嵌設され、弾性部材24の一端がスプリングシート241に当接し、かつ他端がスプリングスリーブ242内に当接する。これにより、ステアリングアセンブリ22を常に結合位置へ押す弾性力を提供することができる上記弾性部材24を設けることにより、一方では、ステアリングアセンブリ22を結合位置に移動させる推力を増加させることができるため、ステアリングアセンブリ22が結合位置に移動するスムーズさを向上させることができ、他方では、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合、伝動ドラグ機構3は、弾性部材24の弾性力をステアリングアセンブリ22に完全に作用させ、ステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との間の結合がより緊密であり、安定しかつエネルギー消費を必要とせず、結合角度がより正確であることを保証することができる。
【0055】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図5、
図6、
図9及び
図10に示すように、クラッチモジュール2は、第3のステアリングシャフト25をさらに含み、ステアリングアセンブリ22は、第3のステアリングシャフト25に接続され、第3のステアリングシャフト25と嵌合されてステアリングトルクを伝達し、即ちステアリングアセンブリ22及び第3のステアリングシャフト25は、同期回転してステアリングトルクを伝達し、かつステアリングアセンブリ22は、第3のステアリングシャフト25に対して軸方向に移動することにより、第3のステアリングシャフト25に対して結合位置と分離位置との間に移動可能である。これにより、ステアリングアセンブリ22と第3のステアリングシャフト25との間のステアリングトルクの伝達を実現するだけでなく、ステアリングアセンブリ22の第3のステアリングシャフト25に対する軸方向移動を実現することができるため、ステアリングアセンブリ22は、結合位置と分離位置との間に切り替えることができる。
【0056】
本願のいくつかの実施例において、
図5、
図6、
図9及び
図10を参照すると、第3のステアリングシャフト25にキャビティ252が形成されてもよく、ステアリングアセンブリ22は、キャビティ252内に伸び、第3のステアリングシャフト25の内周面に複数の第1のスプラインが形成され、各第1のスプラインは、第3のステアリングシャフト25の軸方向に沿って延在し、複数の第1のスプラインは、第3のステアリングシャフト25の周方向に沿って配列され、ステアリングアセンブリ22の外周面に複数の第2のスプライン223が形成され、各第2のスプライン223は、ステアリングアセンブリ22の軸方向に沿って延在し、複数の第2のスプライン223は、ステアリングアセンブリ22の周方向に沿って配列され、複数の第1のスプラインは、複数の第2のスプライン223と噛み合わされる。本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。これにより、上記互いに噛み合わされる複数の第1のスプライン及び複数の第2のスプライン223を設けることにより、ステアリングアセンブリ22と第3のステアリングシャフト25との間にステアリングトルクを伝達する機能を実現すると共に、ステアリングアセンブリ22と第3のステアリングシャフト25がステアリングアセンブリ22の軸方向に沿って相対的に移動しやすく、構造が簡単で確実である。
【0057】
本願のいくつかの実施例において、
図21~
図31を参照すると、車両用ステアリングシステム100は、回転角制限装置4をさらに含み、回転角制限装置4は、ステアリングアセンブリ22に接続され、ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合にステアリングアセンブリ22の最大回転角度を限定する。
【0058】
例えば、
図21~
図31の例において、回転角制限装置4は、回転部材41及び移動部材42を含んでもよい。回転部材41は、第2のステアリングシャフト221に固定することができ、回転部材41に螺旋溝411及び第1の制限構造412が設けられ、移動部材42は、ハウジング1に移動可能に取り付けられ、移動部材42にガイドシャフト421及び第2の制限構造422が設けられ、ガイドシャフト421は、螺旋溝411内に移動可能に嵌合され、回転部材41は、移動部材42に対して第1の限界位置と第2の限界位置との間に回転可能であり、回転部材41が第1の限界位置と第2の限界位置に位置する場合に第1の制限構造412は、第2の制限構造422に当接する。これにより、上記回転角制限装置4を設けることにより、ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合、ステアリングアセンブリ22の最大回転角度を効果的に限定することができ、回転部材41の任意回転によるクロックスプリング(図示せず)及び角度センサ(図示せず)などの部品の損傷を回避する。好ましくは、ガイドシャフト421は、ピンであってもよい。ただし、これに限定されない。
【0059】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図3~
図10に示すように、車両用ステアリングシステム100は、ハンドル及びステアリングギヤをさらに含む。ステアリングギヤは、第1のステアリングシャフト21とステアリングアセンブリ22のうちの一方に伝動接続され、ハンドルは、第1のステアリングシャフト21とステアリングアセンブリ22のうちの他方に伝動接続される。例えば、
図3~
図10の例において、ステアリングギヤは、第1のステアリングシャフト21に伝動接続され、ハンドルは、第2のステアリングシャフト221に伝動接続される。このように設けると、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合、ハンドルとステアリングギヤとの間の伝動接続を実現することができ、かつ伝動ドラグ機構3は、ハンドルとステアリングギヤとの間の接続信頼性を向上させることができ、ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合、ハンドルとステアリングギヤとの間の分離を実現するため、ハンドルとステアリングギヤとの間のクラッチを実現しやすくなることができる。
【0060】
本願のさらなる実施例において、
図13~
図20を参照すると、車両用ステアリングシステム100は、ステアリングアセンブリ22に接続され、ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合にステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合の手触りをシミュレーションする手触りシミュレーション構造5をさらに含む。
【0061】
例えば、運転者が車両のハンドルを制御して、ステアリングするようにステアリングアセンブリ22を駆動する場合、手触りシミュレーション構造5は、ステアリングアセンブリ22の回転方向と逆のモーメントを提供するため、ステアリング抵抗感をシミュレーションすることができ、運転者が車両のハンドルを制御して、ステアリングを戻すようにステアリングアセンブリ22を駆動する場合、手触りシミュレーション構造5は、ステアリングアセンブリ22の回転方向と同じモーメントを提供するため、戻り力をシミュレーションすることができ、手触りシミュレーション構造5が高周波数で交互に正逆回転する場合、振動提示の機能を実現して、振動感をシミュレーションするか又は運転に安全上のリスクが存在する場合に運転者に提示することができ、車両が路面を走行する場合、手触りシミュレーション構造5は、ステアリングアセンブリ22に路面感覚シミュレーションモーメントを提供するため、車両走行路面の車両用ステアリングシステム100に対するフィードバック力をリアルタイムにシミュレーションすることができ、車両の走行道路状況を効果的にフィードバックし、運転者によりリアルな路面感覚を提供し、車両の操縦性を向上させる。
【0062】
これにより、上記手触りシミュレーション構造5を設けることにより、ステアリングアセンブリ22が分離位置に位置する場合にステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合の手触り、例えばステアリング抵抗感、戻り力、振動提示及び路面感覚シミュレーションモーメントなどをリアルにシミュレーションすることができ、車両用ステアリングシステム100がステアリングバイワイヤシステムである場合、交通事故が発生するリスクを低減し、走行安全性を向上させることができ、車両用ステアリングシステム100が運転シミュレーションシステム、例えばゲーム車のステアリングシステムである場合、ゲーム体験を向上させ、シミュレーションの真実性を保証することができる。
【0063】
本願のさらなる実施例において、
図32~
図40に示すように、車両用ステアリングシステム100は、クラッチモジュール2に接続され、ハンドルの高さ及び/又はチルト角度を調整するハンドル調整装置6をさらに含む。これにより、ハンドル調整装置6を設けることにより、ハンドルの高さ及び/又はチルト角度を適切な位置に調整することができるため、異なる運転者のハンドルの高さ及び/又はチルト角度に対するニーズを満たし、運転快適性を効果的に向上させることができる。
【0064】
本願のいくつかの実施例において、
図37及び
図38に示すように、ハンドルは、第3のステアリングシャフト25に固定され、ハンドル調整装置6が少なくともハンドルの高さを調整する場合、ハンドル調整装置6は、ハンドル高さ調整装置7を含み、ハンドル高さ調整装置7は、スライドシリンダー71及び高さ調整駆動機構72を含む。具体的には、スライドシリンダー71は、第3のステアリングシャフト25に嵌設され、高さ調整駆動機構72は、スライドシリンダー71に接続され、スライドシリンダー71により、ハンドルを上下に移動させるように第3のステアリングシャフト25を駆動する。
【0065】
例えば、
図37及び
図38の例において、第3のステアリングシャフト25の第2のステアリングシャフト221から離れた一端は、軸受251によりスライドシリンダー71に固定することができる。高さ調整駆動機構72が作動する場合、軸方向に移動するようにスライドシリンダー71を駆動することができ、第3のステアリングシャフト25は、スライドシリンダー71によって、上下に移動するようにハンドルを駆動するため、ハンドルの高さの調整を実現することができる。これにより、上記スライドシリンダー71及び高さ調整駆動機構72を設けることにより、一方では、ハンドルの高さの調整を実現するため、運転者が快適な脚部空間を保持し、運転者とハンドルとの間に適切な距離を有し、運転快適性を保証することができ、他方では、高さ調整駆動機構72と第3のステアリングシャフト25が直接接触する必要がなく、第3のステアリングシャフト25の摩耗を低減するため、第3のステアリングシャフト25の耐用年数を延長することができる。
【0066】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図34、
図35、
図37及び
図38を参照すると、高さ調整駆動機構72は、高さ調整駆動装置721、高さ調整伝動部材722及び高さ調整従動部材723を含む。高さ調整駆動装置721は、ハウジング1に固定され、高さ調整伝動部材722は、高さ調整駆動装置721に伝動接続され、高さ調整従動部材723は、高さ調整伝動部材722と嵌合され、スライドシリンダー71に固定されて、上下に移動するようにスライドシリンダー71を駆動する。これにより、このように設けられた高さ調整駆動機構72の構造が合理的であり、高さ調整駆動装置721の駆動力をスライドシリンダー71に効果的に伝達することにより、ハンドルの高さを調整することができる。また、高さ調整駆動機構72の構造が簡単であり、製造難度を低下させ、車両用ステアリングシステム100の空間を合理的に利用することができる。
【0067】
本願のいくつかの実施例において、
図40を参照すると、ハウジング1に上下方向に沿って延在するスライド溝11が形成されてもよく、スライドシリンダー71には、スライド溝11内に移動可能に嵌合された延在部711が設けられ、延在部711の自由端は、ハウジング1から突出し、高さ調整従動部材723に固定される。例えば、延在部711は、シート状構造に形成されてもよく、延在部711の一端は、スライドシリンダー71に接続され、延在部711の他端は、スライドシリンダー71の軸方向に垂直な方向に沿って延在し、スライド溝11内から突出して、高さ調整従動部材723に接続することができる。このように、延在部711によりスライドシリンダー71と高さ調整従動部材723との間の接続固定を実現するため、スライドシリンダー71は、高さ調整従動部材723によって上下に移動することができる。また、上記スライド溝11を設けることにより、延在部711とハウジング1との間に干渉が発生することを回避し、スライドシリンダー71の移動をより安定的かつ確実にすると共に、スライド溝11の幅を小さくすることにより、外部の塵埃などの異物がスライド溝11からハウジング1の内部に入ることを回避し、車両用ステアリングシステム100の正常な作動を保証することができる。
【0068】
本願のいくつかの好ましい実施例において、
図42、
図43及び
図45に示すように、高さ調整伝動部材722は、高さ調整スクリューであってもよく、高さ調整スクリューは、上下方向に沿って延在し、高さ調整従動部材723は、高さ調整ナット7231を含み、高さ調整ナット7231は、高さ調整スクリューに嵌設され螺合され、延在部711は、高さ調整ナット7231に固定される。
【0069】
例えば、高さ調整駆動装置721は、高さ調整モータであってもよく、高さ調整モータは、モータ出力軸を有してもよく、高さ調整スクリューは、モータ出力軸に伝動接続されてもよい。高さ調整駆動装置721が作動する場合、回転するように高さ調整スクリューを駆動することができ、高さ調整ナット7231が高さ調整スクリューに螺合されるため、高さ調整ナット7231は、高さ調整スクリューの軸方向に沿って移動するため、高さ調整スクリューの軸方向(即ち上下方向)に沿って移動するようにスライドシリンダー71及び第3のステアリングシャフト25を駆動することができる。これにより、上記高さ調整スクリュー及び高さ調整ナット7231を設けることにより、高さ調整駆動装置721の回転運動を高さ調整ナット7231の直線移動に変換することができ、かつ高さ調整駆動装置721の回転方向を制御することにより、高さ調整ナット7231が直線移動するようにスライドシリンダー71を駆動する方向を制御するため、第3のステアリングシャフト25の伸長及び短縮をより確実に制御し、ハンドルの高さの調整を実現することができる。
【0070】
本願のいくつかの実施例において、
図40を参照すると、高さ調整従動部材723は、高さ調整ベース7232をさらに含み、高さ調整ナット7231は、高さ調整ベース7232に固定され、延在部711は、高さ調整ベース7232に固定される。これにより、上記高さ調整ベース7232を設けることにより、高さ調整ナット7231は、延在部711と直接接触する必要がなく、高さ調整ナット7231に対して効果的な支持及び保護作用を果たすことができるため、高さ調整ナット7231の耐用年数を効果的に延長し、高さ調整ナット7231と高さ調整スクリューとの間の嵌合をより確実にすることができる。
【0071】
本願のいくつかの実施例において、
図34~
図36に示すように、ハウジング1は、第3のステアリングシャフト25に嵌設され、ハウジング1は、車両の車体にヒンジ接続されることに適し、ハンドル調整装置6は、少なくともハンドルのチルト角度を調整する場合にハンドルチルト角度調整装置8を含み、ハンドルチルト角度調整装置8は、チルト調整駆動機構81を含み、チルト調整駆動機構81は、それぞれハウジング1と車体に接続され、ハウジング1によりハンドルをチルト移動させるように第3のステアリングシャフト25を駆動する。
【0072】
例えば、
図36を参照すると、ハウジング1の下端は、車体にヒンジ接続されてもよく、ハウジング1の下端と車体との間にチルトヒンジシャフト815を有する。チルト調整駆動機構81が作動する場合、チルト調整駆動機構81は、チルトヒンジシャフト815を中心として車体に対して回転するようにハウジング1の上端を駆動することにより、チルト移動させるように第3のステアリングシャフト25及びハンドルを駆動することができる。これにより、上記チルト駆動機構23を設けることにより、運転者が把持しやすくなるようにハンドルを適切なチルト角度に調整するため、運転者が快適な運転姿勢を有し、運転快適性を保証すると共に、走行安全性を向上させることができる。
【0073】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図34~
図36を参照すると、チルト調整駆動機構81は、チルト調整駆動装置811、チルト調整伝動機構812及びチルト調整リンク機構813を含む。具体的には、チルト調整駆動装置811は、ハウジング1にヒンジ接続され、チルト調整伝動機構812は、チルト調整駆動装置811に伝動接続され、チルト調整リンク機構813は、チルト調整伝動機構812、ハウジング1及び車体にヒンジ接続される。
【0074】
例えば、
図36の例において、チルト調整駆動装置811は、チルト調整駆動モータ8111及びモータベース8112を含んでもよく、チルト調整駆動モータ8111は、モータベース8112に固定され、モータベース8112は、ハウジング1にヒンジ接続される。このように、チルト調整駆動機構81の構造が簡単で合理的であり、駆動力の伝達に役立ち、チルト調整駆動装置811から出力された駆動力をチルト調整伝動機構812によりチルト調整リンク機構813に伝達し、最終的にチルト調整リンク機構813によりチルト移動させるようにハウジング1を駆動する。また、チルト調整リンク機構813は、力の伝達をより正確かつ確実にするため、ハンドルのチルト角度の確実な調整を実現することができる。また、チルト調整駆動装置811の回転方向を制御することにより、ハウジング1のチルト移動方向を制御することができ、非常に便利である。
【0075】
本願のいくつかの実施例において、
図34~
図36を参照すると、チルト調整伝動機構812は、チルト調整スクリュー8121及びチルト調整ナット8122を含む。チルト調整スクリュー8121は、チルト調整駆動装置811に伝動接続され、チルト調整ナット8122は、チルト調整スクリュー8121に嵌設され螺合され、チルト調整リンク機構813は、チルト調整ナット8122にヒンジ接続される。これにより、チルト調整駆動装置811が作動する場合、回転するようにチルト調整スクリュー8121を駆動することができ、チルト調整スクリュー8121がチルト調整ナット8122に螺合されるため、チルト調整ナット8122は、チルト調整スクリュー8121の軸方向に沿って移動するため、チルト調整リンク機構813を駆動して、チルト移動させるようにハウジング1を駆動する。また、このように設けられたチルト調整伝動機構812は、伝動効率が高く、構造がより簡単であり、コストが低い。
【0076】
本願のいくつかの実施例において、
図36に示すように、チルト調整リンク機構813は、第1のリンク8131及び第2のリンク8135を含む。第1のリンク8131は、第1のチルト調整ヒンジ点8132、第2のチルト調整ヒンジ点8133及び第3のチルト調整ヒンジ点8134を有し、第1のチルト調整ヒンジ点8132は、チルト調整ナット8122にヒンジ接続され、第2のチルト調整ヒンジ点8133は、ハウジング1にヒンジ接続され、第2のリンク8135の一端は、第3のチルト調整ヒンジ点8134にヒンジ接続され、第2のリンク8135の他端は、車体にヒンジ接続される。
【0077】
例えば、
図36を参照すると、第2のチルト調整ヒンジ点8133は、ハウジング1の上部にヒンジ接続される。チルト調整ナット8122がチルト調整スクリュー8121の軸方向に沿って移動する場合、第1のチルト調整ヒンジ点8132は、チルト調整ナット8122と共に移動し、第1のチルト調整ヒンジ点8132と第2のチルト調整ヒンジ点8133との間の距離が一定であるため、第1のリンク8131は、第2のチルト調整ヒンジ点8133によりチルトヒンジシャフト815を中心として回転するようにハウジング1を駆動し、第3のチルト調整ヒンジ点8134は、第2のリンク8135の上記他端(即ち第2のリンク8135の車体にヒンジ接続された一端)を中心として揺動する。これにより、上記第1のリンク8131及び第2のリンク8135を設けることにより、第1のリンク8131及び第2のリンク8135は、チルト調整ナット8122のチルト調整スクリュー8121に沿った直線移動をハウジング1のチルト移動に変換するため、ハンドルのチルト角度の調整を実現し、運転者の運転快適性を保証することができる。
【0078】
好ましくは、
図36に示すように、第1のチルト調整ヒンジ点8132、第2のチルト調整ヒンジ点8133及び第3のチルト調整ヒンジ点8134で囲まれた形状は、鋭角三角形であってもよい。このように、第2のリンク8135の占有空間が小さいため、ハンドルチルト角度調整装置8の構造がよりコンパクトになり、車両用ステアリングシステム100の他の部品の配置に役立つ。当然のことながら、第1のチルト調整ヒンジ点8132、第2のチルト調整ヒンジ点8133及び第3のチルト調整ヒンジ点8134で囲まれた形状は、さらに他の形状、例えば鈍角三角形などであってもよい。本願は、これを限定しない。
【0079】
本願のさらなる実施例において、
図36を参照すると、チルト調整駆動機構81は、固定座814をさらに含み、固定座814は、車体に固定することに適し、ハウジング1とチルト調整リンク機構813は、それぞれ固定座814にヒンジ接続される。例えば、
図36の例において、固定座814の下端とハウジング1の下端は、チルトヒンジシャフト815によりヒンジ接続され、固定座814の上端は、第2のリンク8135の上記他端にヒンジ接続される。チルト調整駆動装置811が作動する場合、チルト調整ナット8122は、チルト調整スクリュー8121の軸方向に沿って移動するように第1のヒンジ点を駆動することにより、固定座814に対してチルトヒンジシャフト815を中心として揺動するようにハウジング1の上端を駆動する。これにより、上記固定座814を設けることにより、ハンドルチルト角度調整装置8全体の取り付けに役立ち、ハウジング1は、一端が固定座814にヒンジ接続され、他端が固定座814に対してチルト移動するため、ハンドルのチルト角度の調整を実現することに役立つことができる。
【0080】
本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100によれば、一態様では、クラッチモジュール2を設けることにより、クラッチモジュール2のステアリングアセンブリ22が第1のステアリングシャフト21と結合してステアリングトルクを伝達する結合位置と第1のステアリングシャフト21から分離してステアリングトルクの伝達を遮断する分離位置との間に移動可能であるため、車両用ステアリングシステム100は、クラッチ機能を有し、かつ伝動ドラグ機構3は、ステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との間の結合をより緊密にし、車両の安全性を向上させることができる。
【0081】
別の態様では、上記回転角制限装置4を設けることにより、ステアリングアセンブリ22が分離位置にある場合にステアリングアセンブリ22の回転角制限を実現し、ステアリングアセンブリ22の任意回転によるクロックスプリング及び角度センサなどの部品の損傷を回避することができる。
【0082】
さらに別の態様では、上記手触りシミュレーション構造5を設けることにより、例えばステアリング抵抗感、戻り力及び路面感覚シミュレーションモーメントなどのリアルな運転手触りをシミュレーションすることができ、さらに運転に安全上のリスクが存在する場合に振動提示の作用を果たすため、運転者に振動感を提供し、走行安全性を効果的に向上させることができる。
【0083】
さらに別の態様では、ハンドルの高さ及び/又はチルト角度を調整できる上記ハンドル調整装置6を設けることにより、異なる運転者の運転ニーズに応じてハンドルの位置を対応して調整し、運転者の運転快適性を効果的に向上させることができる。
【0084】
以上をまとめると、本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100は、クラッチ機能、手触りシミュレーション機能、回転角制限機能及びハンドル調整機能を兼備し、適用性が高く、ユーザ体験がよいなどの利点を有する。
【0085】
本願の実施例に係る車両(図示せず)は、本願の上記いずれかの実施例に係る車両用ステアリングシステム100を含む。
【0086】
本願の実施例に係る車両は、上記車両用ステアリングシステム100を用いることにより、ステアリングアセンブリ22が結合位置に位置する場合にステアリングアセンブリ22と第1のステアリングシャフト21との結合の緊密性を保証することができるため、車両全体の性能がより優れ、ステアリング応答速度がより速く、車両の安全性を効果的に向上させることができる。
【0087】
本願の実施例に係る車両用ステアリングシステム100及びそれを有する車両の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0088】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。
【0089】
本願の説明において、「第1の特徴」、「第2の特徴」、「第3の特徴」、「第4の特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。
【0090】
本願の説明において、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴とが直接的に接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。
【0091】
本願の説明において、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことだけを表してもよい。
【0092】
本明細書の説明では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などの参照を表す語句は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0093】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0094】
100 車両用ステアリングシステム
1 ハウジング
11 スライド溝
2 クラッチモジュール
21 第1のステアリングシャフト
22 ステアリングアセンブリ
221 第2のステアリングシャフト
222 クラッチシリンダー
223 第2のスプライン
23 駆動機構
24 弾性部材
241 スプリングシート
242 スプリングスリーブ
25 第3のステアリングシャフト
251 軸受
252 キャビティ
26 スクリュー
27 ナット
3 伝動ドラグ機構
31 第1の調整リンク
311 第1のヒンジシャフト
32 第2の調整リンク
321 第2のヒンジシャフト
33 縦リンク
331 長穴
332 第3のヒンジシャフト
4 回転角制限装置
41 回転部材
411 螺旋溝
412 第1の制限構造
42 移動部材
421 ガイドシャフト
422 第2の制限構造
5 手触りシミュレーション構造
6 ハンドル調整装置
7 ハンドル高さ調整装置
71 スライドシリンダー
711 延在部
72 高さ調整駆動機構
721 高さ調整駆動装置
722 高さ調整伝動部材
723 高さ調整従動部材
7231 高さ調整ナット
7232 高さ調整ベース
8 ハンドルチルト角度調整装置
81 チルト調整駆動機構
811 チルト調整駆動装置
8111 チルト調整駆動モータ
8112 モータベース
812 チルト調整伝動機構
8121 チルト調整スクリュー
8122 チルト調整ナット
813 チルト調整リンク機構
8131 第1のリンク
8132 第1のチルト調整ヒンジ点
8133 第2のチルト調整ヒンジ点
8134 第3のチルト調整ヒンジ点
8135 第2のリンク
814 固定座
815 チルトヒンジシャフト
【国際調査報告】